JP2004001204A - 固体表面の脱脂方法 - Google Patents

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西村 寛仁
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Abstract

【課題】金属板や樹脂材料などの固体表面にダメージを与えることなく、且つ、溶剤を用いずに油脂成分を効率よく除去することができる固体表面の脱脂方法を提供する。
【解決手段】樹脂粒子を主成分とする投射材、好ましくは、界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子、或いは、熱可塑性樹脂基材中に金属系粒子を20〜90質量%含有してなる粒子を、加圧して固体表面に投射することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体部材表面に付着した油分を溶剤を使用することなく除去する、固体表面の脱脂方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属板などの固体表面に所定の表面処理を施し、接着剤や塗料などを塗布する場合、これらの表面処理に先だって基材表面の脱脂処理が行われる。脱脂処理は、一般的には固体表面を油脂成分の溶解性に優れる溶剤や界面活性剤を含有する水性溶媒などで洗浄したり、サンドペーパーによる研磨や金属粒子の投射により表面を研磨した後、水洗することにより行われている。
特に、IC基板や、各種の製品に付着した油脂分の除去は、一般に、フロンや塩素系の有機溶剤を溶解させた溶液や、軽油を用いて行う洗浄によっていた。
このように溶剤を用いる場合には、洗浄や排水処理に多大な設備が必要となり、洗浄に用いた溶液や軽油の後処理・廃棄処分、環境汚染等の観点から種々問題があり、溶剤を用いない脱脂処理が切望されている。また、研磨と水洗工程を含む脱脂方法においても、界面活性剤や固形分を含む排水の処理が必要となる。
一方、ガードレールの塗装の劣化に伴い、劣化した塗膜と、表面の油分等を除去して新しく塗装を行なうような場合などのように、金属粒子や砂、ガラスビーズなどの無機粒子を投射材として用い、水洗を行わない脱脂方法をとる場合、表面に残存、固着した金属粒子に錆が生じたり、無機粒子に起因する塗料や接着剤のはじきが起こったりして、引き続き行われる塗料や接着剤の均一塗布を妨げる懸念がある。
【0003】
これに対し、アルミナ、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、ガラス繊維、ガラスバルーン、金属、酸化鉄及び酸化鉄含有化合物等の無機充填材を、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂及びグアナミン樹脂等の熱硬化性樹脂に配合した複合樹脂製の投射材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような投射材は、その比重が最高でも1.7程度、ロックウェル硬度も最高で130程度であり、投射材としては、低比重で十分な脱脂効果を得ることは困難である。
また、この投射材は熱硬化性樹脂で成形されているので、ブラスト処理後に回収した使用済み投射材及びその破砕物を再利用(リサイクル)することが難しく、省資源及び環境対策上にも問題がある。
【0004】
また、乾式脱脂方法として、吸着材と投射材とを併用する方法が記載されているが(例えば、特許文献2参照。)、この方法では炭酸カルシウムやシリカなどの特殊な吸着材を吹きつけてそこに油分を吸着させ、その後、投射材を用いて吸着剤を除去する必要があり、表面に付着した僅かな油分を吸着により除去するのは困難であった。
【0005】
また、このような脱脂処理後に塗装を行なおうとする場合、一般的には、どのような材料の投射材を用いた場合でも、平均粒径100μm以上の投射材を用いて剥離した表面に再塗装を行なうと、剥離処理後の個体表面の凹凸が再塗装した塗膜の表面に影響を与え、平面性が損なわれる問題があるため、剥離処理、或いは、表面脱脂処理後に、さらに、ブラスト処理を施して平面性を確保してから塗装処理を行なっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−277128公報
【特許文献2】
特開平7−39837号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の様な問題点を解決することを課題とするものであり、金属板や樹脂材料などの固体表面にダメージを与えることなく、且つ、溶剤を用いずに油脂成分を効率よく除去することができる固体表面の脱脂方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは検討の結果、特定の投射材を高圧で固体表面に吹き付けることで、固体表面に付着した油脂成分を効率よく除去し得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の固体表面の脱脂方法は、樹脂粒子を主成分とする投射材を固体表面に投射することを特徴とする。
【0009】
投射材を投射され、脱脂処理された固体表面の表面粗さRmaxは0.1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。
ここで、固体表面の脱脂に用いる樹脂粒子を主成分とする投射材としては、界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子を含有する投射材が好ましく、それにより、脱脂処理された固体表面の表面粗さRmaxを0.1〜20μmの範囲とすることが好ましい態様である。
投射材を構成する前記熱硬化性樹脂としては、メラミン系、ユリア系、及びフェノール系熱硬化性樹脂が好適のものとして例示される。
また、この樹脂粒子を主成分とする投射材として、前記界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子に、酸化鉄、酸化チタン、クロム、カーボンからなる群より選択される1種以上の無機粒子を0.02〜20質量%配合、充填したものを用いることができる。
【0010】
また、前記樹脂粒子を主成分とする投射材の他の態様として、熱可塑性樹脂基材中に金属系粒子を20〜90質量%含有してなる粒子が挙げられる。ここで、樹脂粒子を形成するバインダーとして機能する熱可塑性樹脂としては、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂の中から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、バインダー中に含まれる金属系粒子は、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステンの中から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0011】
本発明の固体表面の脱脂方法においては、前記の各投射材を加圧して固体表面に投射する際の加圧手段として、高圧水流、圧縮空気、及び、遠心ローターから選択される1種以上を使用することが好適である。
【0012】
この様な本発明の投射材を用いて固体表面をブラスト処理した場合、金属や樹脂材料の表面に損傷を与えることなく、短時間で効率良く固体表面に付着した油脂成分を除去することができ、その後の、塗装、接着剤塗布などの工程を円滑に実施できる。
特に、好ましい態様である脱脂処理された固体表面のRmaxを0.1〜20μmの範囲とすることにより、剥離後直ちに、他の塗料を用いて再塗装することが可能となり、再塗装前に行なう平滑化のためのブラスト処理工程を省略することができる。このため、コスト削減が可能となると共に、該ブラスト処理工程において発生が懸念される塗装表面の面状不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
なお、上記のナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、いずれも耐熱性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂であり、投射処理時に熱くなっても劣化せず、また投射の衝撃によって破損し難いので、繰り返し使用することができる。また、粉化し飛散しにくいのでブラスト処理の作業環境は快適なものとなる。その上、ブラスト処理後に回収した使用済み投射材及びその破砕物を、再利用(リサイクル)することができる。
【0014】
本発明の方法に用いられる投射材の樹脂粒子は、その比重、硬度、粒径などは、投射する固体表面の物性、付着した油脂成分の特性などにより、適宜選択することができるが、一般的には、比重が2.0〜12.0、硬度がモース硬度で3.0以上、平均粒径が10μm〜10mmであることが好ましい。
【0015】
このような特性を有する本発明の脱脂方法は、例えば、ガードレールの塗装劣化に伴う、古い塗膜や油分の剥離と再塗装の用途に好適であり、塗膜剥離後の表面粗さRmaxを0.1〜20μmの範囲に制御することで、一般の塗料のみならず、光触媒塗料などの如き機能性の塗料の再塗装に特に有用である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の脱脂方法に用いられる投射材は、樹脂粒子を主成分とする投射材である。この樹脂粒子の好ましい態様について、順次説明する。
【0017】
[1.界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子を含有する投射材]
本態様では、樹脂粒子は熱硬化性樹脂により形成される。ここで用いられる熱硬化性樹脂としては、必要とされる耐熱性、耐衝撃性、耐磨耗性などを満たせば任意に選択することができ、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂、エポキシ系樹脂、グアナミン系樹脂等が例示されるが、なかでも、耐熱性、耐衝撃性の観点からは、メラミン系、ユリア系、及びフェノール系熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの樹脂は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を用いる場合には、樹脂ブレンド、樹脂同士の共重合体、樹脂を構成するモノマー同士の共重合体、或いは異なる樹脂粒子同士の混合物として使用してもよい。
【0018】
また、本発明に係る熱硬化性樹脂粒子は、固体粒子への所望されない付着や油脂成分の除去性低下を防止する観点から界面活性剤を含まないことが必要であり、熱硬化性樹脂を粒子状に成形する工程においても、界面活性剤を含有しない工程を選択するか、界面活性剤を用いた造粒を行う場合には、使用前に洗浄して表面に界面活性剤が残存しないようにすべきである。
【0019】
投射材として熱硬化性樹脂粒子を使用する場合、この熱硬化性樹脂に、さらに、酸化鉄、酸化チタン、クロム、カーボンからなる群より選択される1種以上の無機粒子を0.02〜20質量%配合、充填してもよい。これらの無機粒子を併用することで、固体表面の油脂成分の除去効率を向上するとができる。但し、配合量が多すぎると固体表面に損傷を与える可能性がでてくる。
ここで用いられる前記無機粒子の好ましい粒径は、球形に近い形状の場合、平均粒径は、5〜500μm程度が好ましく、8〜400μmの範囲がより好ましく、特に10〜300μmの範囲が好ましい。
ここに配合される無機粒子は、少量が固体表面に付着残存したとしても、錆の発生や塗料のハジキなどは生じない材料により形成されている。
【0020】
[2.熱可塑性樹脂基材中に金属系粒子を20〜90質量%含有してなる粒子]
本態様では、熱可塑性樹脂をバインダーとし、金属系粒子を含有してなる粒子が用いられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の中から選ばれる1種単独又は2種以上の併用が好適である。
【0021】
本発明で使用されるポリアミド系熱可塑性樹脂としては、具体的にはナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン6系共重合樹脂、ナイロン12樹脂、及びこれらの変性樹脂並びに誘導体樹脂が挙げられる。該ナイロン系樹脂のMFI(メルトフローインデックス)としては、ASTM D1238G規格(235℃、2160g荷重の条件)で、1.5〜10のものが好ましい。該ナイロン系樹脂をバインダーとする投射材は、特に強靭で耐磨耗性や耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
【0022】
本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂は、一般式(−O−R−O−CO−)で表される熱可塑性樹脂であり、この中でもRが芳香族環、特にRがビスフェノールAである芳香族ポリカーボネートが好ましい。該ポリカーボネート系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(280℃、2160g荷重の条件)で、2.0〜16のものが好ましい。該ポリカーボネート系樹脂をバインダーとする投射材は、特に高剛性で耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
【0023】
本発明で使用されるABS系樹脂としては、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合体系の熱可塑性樹脂であり、種々の市販のABS系樹脂から選択できる。該ABS系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(220℃、10Kg荷重の条件)で、3.0〜33のものが好ましい。該ポリカーボネート系樹脂をバインダーとする投射材は、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また耐熱性及び耐衝撃性も有する。
【0024】
本発明で使用されるポリプロピレン(PP)系樹脂としては、結晶性の立体規則性PP重合体であり、種々の市販ABS系樹脂から選択して使用できる。該PP系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(230℃、2160g荷重の条件)で、0.4〜40のものが好ましい。該PP系樹脂をバインダーとする投射材も、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また耐薬品性があり高強度で耐熱性及び耐衝撃性にも優れる。
【0025】
本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂としては、種々の市販のPET系樹脂から選択して使用できる。該PET系樹脂をバインダーとする投射材は、成形加工性にやや難点があるが、極めて強靭で耐水性が有り耐熱性及び耐衝撃性にも優れる。
【0026】
投射材のバインダー樹脂として、2種類以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、2種類以上の樹脂をブレンドしたものであっても、2種類以上の樹脂を共重合させたものであってもよく、2種類以上の樹脂のモノマーを共重合させたものであってもよい。
【0027】
前記バインダー樹脂中に充填される金属系粒子としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物等の粒子が挙げられ、この中でも特にフェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステンの中から選ばれる粒子が好適である。これらの金属系粒子は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
高硬度で高剛性の金属系粒子を選択した、或いは金属系粒子の充填量を増加させた高比重の投射材は、硬度が高いので、被投射体が強固である場合に好適である。また、低硬度で低剛性の金属系粒子を選択した、或いは金属系粒子の充填量を減少させた低比重の投射材は、低硬度であるので、被投射体が柔軟である場合に好適である。
【0029】
上記金属系粒子としての、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステン等の形状には、特に制限はなく、粒状物、鱗片状物、繊維状物、破砕状物等の何れも使用できる。ここで、球状、破砕状、繊維状の金属系粒子を充填することにより、投射材の整粒時の粉砕工程及び投射時における静電気の発生を防止することができ、いずれの場合も、油脂成分除去効果を向上することができる。
【0030】
なお、金属系材料として特有の色相を有する酸化鉄や酸化鉄を含む化合物(フェライト等)、具体的には、αFeOOH、βFeOOH、γFeOOH、αFe、γFeO3、FeO4、MoFeO3、MoFe等を含む化合物を粒子に充填することにより、投射材に着色を付与して色分けをすることが可能となり、製品の仕分けや管理の上で好都合である。
【0031】
これらの金属系粒子の形状が球形に近い場合の平均粒径は、5〜500μm程度が好ましく、8〜400μmの範囲がより好ましく、特に10〜300μmの範囲が好ましい。
また、金属、或いは酸化鉄や酸化鉄を含む化合物(フェライト等)を顔料(着色材)として用いる場合には、粒径が10μm以下、特に5μm以下、取り分け1μm以下、のものが好ましい。
【0032】
本発明の方法に用いる投射材では、上記金属系粒子の充填量は、熱可塑性樹脂をバインダーとして、20〜90質量%であることが好ましく、油脂成分除去硬化の観点からは、さらに25〜80質量%が好ましく、特に30〜70質量%が好ましい。充填量が上記範囲において、優れた油脂成分除去効果が得られ、また、粒子を成形する際の、混合、溶融押出し、粉砕等の加工作業性が良好である。
【0033】
本発明では、上記の熱硬化性樹脂、或いは、バインダーとなる熱可塑性樹脂やそこに充填される金属系粒子の種類や充填量を適宜選択し調節することにより、脱脂処理に用いる投射材の比重や硬度等を、被処理物体の表面性状や付着した油脂成分の種類や付着量等に対応させて設定し制御することができる。
本発明においては、投射材の比重は2.0〜12.0の範囲に設定されるのが好ましく、その硬度は、モース硬度で3.0以上であることが好ましい。
【0034】
前記いずれの態様の樹脂粒子においても、さらに、導電性粒子を添加することが樹脂投射材の帯電防止の観点から好ましい。導電性粒子としては、Au、Ag、Cu、Pd、Al、Crなどの金属粒子、In、SnO、ZnO、TiO、CdIn、In−ZnOなどの酸化物半導体粒子、導電性高分子粒子などが挙げられる。導電性粒子の粒径は0.1μm〜50μmの範囲であることが好ましい。また、配合量としては、樹脂粒子に対して3〜50質量%程度であることが好ましい。
【0035】
本発明の方法に用いる投射材では、本発明の効果を損なわない範囲で、更に有機充填材や無機充填材、及び静電防止剤や酸化防止剤、老化防止剤、顔料等の添加剤を配合してもよい。この有機充填材としてはセルロース、セルロース誘導体、α−セルロース及び木粉の1種又は2種以上が挙げられる。
【0036】
上記の有機充填材を配合することにより投射材の靱性を高めることができる。なお、有機充填材の配合量が50質量部を超えると、投射材の粒子強度が低くなりすぎる。有機充填材を配合する場合は5質量部以上配合することにより上記の効果を十分に得ることができるが、特に10〜40質量部とりわけ20〜30質量部配合することが好ましい。
【0037】
本発明の投射材を構成する粒子は、すべて均一組成のものであってもよく、異なる組成の粒子の集合体よりなるものであってもよい。
【0038】
[投射材粉体の製造方法]
本発明の方法に用いる投射材は、上述の各粒子材料及び必要に応じて用いられる添加剤等を充填してなる樹脂材料の塊(インゴット)或いはペレットを、例えば粉砕機又は破砕機にかけて粉砕又は破砕して、所望の粒度に整粒することにより得られる。金属系粒子などを充填する場合には、充填及び混練等の作業性を改善する目的で、カップリング剤を加えて、金属系粒子の表面をカップリング乃至は被覆処理をしてもよい。なお、この粉砕又は破砕時に、上記の金属系粒子や有機充填材を加えてもよい。
【0039】
本発明に用いる投射材の平均粒径は、10μm〜10mmであることが好ましく、15μm〜5mmであることがより好ましく、20μm〜2mmが特に好ましい。該平均粒径がこの範囲において、効率よく、均一な油脂成分除去効果が得られる。
【0040】
本発明に係る前記投射材の中でも特に比較的低比重の投射材は、樹脂成形製品、例えばウレタン等の樹脂製品の表面に付着した油脂成分を除去するのに好適である。
【0041】
本発明の脱脂方法に用いる投射材は任意の粒径に容易に整粒できる利点を有するので、その用途、即ち、被処理体の形状や性状に応じて適宜粒径を調整して用いるのが好ましい。例えば、硬い素材や厚い塗膜を有する被投射体に対しては、比較的に粒径の大きい投射材、具体的には粒径500〜10000μmの投射材とし、柔かい素材や薄い塗膜を有する被投射体、樹脂製品、電子部品や塑造品などの高級品に対しては比較的粒径の小さい投射材、具体的には粒径10〜850μmの投射材を用いる様に使い分けることが望ましい。
投射材の物性や形状、或いは、後述する投射条件を選定する際には、投射材を投射され、脱脂処理された被処理面である固体表面の表面粗さRmaxが0.1〜100μmとなるように調整されることが好ましく、Rmaxが5〜50μmの範囲となることがさらに好ましい。また、脱脂処理面を再塗装するような場合には、Rmaxを0.1〜20μmの範囲とすることがより好ましい。
【0042】
投射材を脱脂処理しようとする個体表面に加圧して投射する際の手段としては、公知の方法、すなわち、投射材粉体を流体流と共に高速で吹き付ける方法を任意に選択して用いることができるが、作業環境及び後処理の観点より、一般には乾式ブラスト法が望ましい。該乾式ブラスト法には、(イ)粉体をノズルより高い位置にあるタンクに投入し、重力によってタンク底部に設けられた排出口に落下した粉体を圧縮気体と共にノズルから噴射させる重力式ブラスト法、(ロ)粉体圧送タンク内に粉体を封入してタンクに圧縮気体を送り込み、タンク底部に設けられた排出口から排出した粉体を圧縮気体と共にノズルから噴射させる直圧式ブラスト法、(ハ)粉体をノズルより低い位置にあるタンクに投入し、圧縮気体のサクションによってタンク底部に設けられた排出口から排出された粉体を圧縮気体と共にノズルから噴射させるサイフォン式ブラスト法、等が挙げられるが、本発明には上記いずれの加圧投射方法も使用することができる。
【0043】
上記の圧縮気体としては通常圧縮空気が使用される。ブラスト処理のための粉体搬送量、圧縮気体の圧力、噴射速度は、使用される投射材粉体の性状や形状、対象製品の表面の付着物質の付着状態によって、適宜選択することができる。
【0044】
ブラスト処理に使用された後の投射材粉体は、サイクロン等の公知の後処理設備を使用して、付着除去物質及びその他異物から分離回収して、再使用することができる。
更に、本発明の投射材粉体は、上記の様に回収後の投射材粉体をそのまま再使用することもできるが、微紛化した或いは鋭利多角形状を失った投射材粉体を、もう一度溶融して熱可塑性樹脂の塊(バルク)或いはペレットとし、再度、粉砕機又は破砕機にかけて粉砕又は破砕して、所望の粒度に整粒することにより、再び元の投射材そのものと同質の投射材粉体が得られる。
即ち、本発明の投射材粉体は、再利用(リサイクル)することが可能であり、これが本発明の大きなメリットである。
【0045】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0046】
[実施例1]
ナイロン6樹脂(宇部興産(株)製の「1022B」)のペレット20質量部とフェライト(日本弁柄(株)製)の粉末80質量部をヘンシェルミキサー(三井三池製作所(株)製)を用いて良く混合した後、単軸スクリュー式溶融押出し機を用いて温度245℃で押し出して、ナイロン樹脂にフェライト粉末を80質量%充填した複合樹脂塊状物(インゴット)を得た。これを粉砕機で粉砕して分級し、平均粒径が50μmの本発明の複合樹脂製の投射材を得た。この投射材の比重は4.4であった。
【0047】
上記の投射材を圧縮空気と共に、表面にシリコーンオイルが付着したポリウレタン製の成形体表面に噴射した後、目視にて表面状態を観察したところ、プラスチック表面の損傷は認められなかった。また、表面のシリコーンオイルの残存状態をガスクロマイトグラフィによって測定した結果により、本発明の方法によって油脂成分が効果的に除去されていることがわかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の固体表面の脱脂方法によれば、金属板や樹脂材料などの固体表面にダメージを与えることなく、且つ、溶剤を用いずに表面に付着した油脂成分を効率よく除去することができるという効果を奏する。

Claims (9)

  1. 樹脂粒子を主成分とする投射材を固体表面に投射する固体表面の脱脂方法。
  2. 前記投射材を投射された固体表面の表面粗さRmaxが0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の固体表面の脱脂方法。
  3. 前記樹脂粒子を主成分とする投射材が、界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子を含有し、且つ、前記投射材を投射された固体表面の表面粗さRmaxが0.1〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の固体表面の脱脂方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂がメラミン系、ユリア系、及びフェノール系熱硬化性樹脂から選択されることを特徴とする請求項3に記載の固体表面の脱脂方法。
  5. 前記樹脂粒子を主成分とする投射材が、界面活性剤を含有しない熱硬化性樹脂粒子に、酸化鉄、酸化チタン、クロム、カーボンからなる群より選択される1種以上の無機粒子を0.02〜20質量%含有してなる粒子であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の固体表面の脱脂方法。
  6. 前記樹脂粒子を主成分とする投射材が、熱可塑性樹脂基材中に金属系粒子を20〜90質量%含有してなる粒子であることを特徴とする請求項1に記載の固体表面の脱脂方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6に記載の固体表面の脱脂方法。
  8. 前記金属系粒子が、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステンの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の固体表面の脱脂方法。
  9. 前記投射材を加圧して固体表面に投射する際の加圧手段として、高圧水流、圧縮空気、及び、遠心ローターから選択される1種以上を使用することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の固体表面の脱脂方法。
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