JP2005000386A - 内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム、及び磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材と、該把持部材に接続された、磁性材料を含有する磁気アンカーと、上記対象物外部に配置され、磁界を発生する磁気アンカー誘導装置と、を具備し、該磁気アンカー誘導装置が発生する磁界からの磁力により、上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムであって、上記磁気アンカーが、磁気シールド性がなく針状部材によって破裂可能な柔軟な袋体と、該袋体の内部に充填された磁性流体とを有することを特徴とする内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
【選択図】 図12
Description
【技術分野】
本発明は、内視鏡観察下で病変部を切除する際に用いる、内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム、及び磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
従来、通常の手術において人体内部の病変部を切除する場合においては、把持鉗子を用いて病変部を持ち上げることにより病変部と隣接する正常組織との間隔を広げ、その状態で病変部と正常組織との間を切除している。しかし、例えば内視鏡的粘膜切除術(EMR)では、体内には内視鏡を一台しか挿入できないため、病変部を持ち上げることができず、注射針で病変部の周囲の正常粘膜に生理食塩水等を注入して病変部を浮き上がらせ、その状態で高周波ナイフやスネアなどを用いて病変部と正常粘膜の間の切除を行っていた。
【0003】
しかし、このような従来の方法では、病変部を十分な位置まで持ち上げることができなかったため、病変部と正常組織との境界の切除部分を十分確保することができなかった。
また、病変部が扁平な形状である場合は、切除部分を作りだすことができないこともあった。
【0004】
さらに、切除作業中において、すでに切除した病変部が正常組織上に落ち込むことにより内視鏡による視界を妨げることがあり、特に病変部が大きい場合に顕著であった。そのため、切除部分を見ることができず、盲目的に切除するために正常部分を損傷して穿孔などの合併症が発生したり、血管を損傷して大出血をきたし、また出血時も出血部位の確認ができず止血できないことから重篤な合併症を来すことも考えられ、より安全な装置や処置方法が求められていた。
【0005】
そこで本出願人は、これらの問題点を解決すべく、人体の臓器内部の病変部を把持する把持部材と、該把持部材に接続された磁性体からなる磁気アンカーと、人体の外部に配置され、磁界を発生して磁気アンカーに動力を与える磁気アンカー誘導装置と、を備え、磁気アンカー誘導装置が発生する磁界によって磁気アンカーに動力を与えて、把持部材によって把持された病変部を持ち上げることを特徴とする磁気アンカー遠隔誘導システムを提案し、特許出願している(特願2002−268239号)。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、対象部位の切除を迅速かつ容易に行うことができるとともに、対象物内部に挿入された磁気アンカーを、簡単かつ確実に回収できるようにした、内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム、及び磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法を提供することにある。
【0007】
【発明の概要】
本発明の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムは、対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材と、該把持部材に接続された、磁性材料を含有する磁気アンカーと、上記対象物外部に配置され、磁界を発生する磁気アンカー誘導装置と、を具備し、該磁気アンカー誘導装置が発生する磁界からの磁力により、上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムであって、上記磁気アンカーが、磁気シールド性がなく針状部材によって破裂可能な柔軟な袋体と、該袋体の内部に充填された磁性流体とを有することを特徴としている。
【0008】
上記袋体は具体的には例えばゴム材料から構成できる。
【0009】
さらに、上記針状部材によって破裂された上記袋体は内視鏡の吸引チャンネルの出口部に吸引付着可能であるのが好ましい。
【0010】
さらに、上記針状部材によって破裂された上記袋体から流出した磁性流体は、内視鏡の吸引チャンネルから吸引回収可能であるのが好ましい。
【0011】
また、上記針状部材によって破裂された上記袋体は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な把持鉗子により把持可能でかつ該鉗子チャンネルを介して回収可能であってもよい。
【0012】
別の態様によれば、本発明の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システは、対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材と、該把持部材に接続された磁性材料を含有する磁気アンカーと、上記対象物外部に配置され、磁界を発生する磁気アンカー誘導装置と、を具備し、該磁気アンカー誘導装置が発生する磁界からの磁力により、上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記磁気アンカーが、磁性材料を含有し針状部材によって破裂可能な柔軟な袋体と、該袋体の内部に充填された液体と有することを特徴としている。
【0013】
この態様では、上記液体が生理食塩水であるのが実際的である。
【0014】
この態様でも、上記針状部材によって破裂された上記袋体は内視鏡の吸引チャンネルの出口部に吸引付着可能であるのが好ましい。
【0015】
また、上記針状部材によって破裂された上記袋体は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な把持鉗子により把持可能でかつ該鉗子チャンネルを介して回収可能であってもよい。
【0016】
いずれの態様でも、上記磁気アンカーと把持部材と接続する接続部材は、柔軟な連結ひもとするのが実際的である。
【0017】
さらに、いずれの態様でも、上記磁気アンカー誘導装置は、発生する磁界によって磁力を生じさせて、該磁力によって、上記磁気アンカーを所定方向に移動させる磁気誘導部材と、該磁気誘導部材を特定の一平面内に配置したU字状のフレーム部材に沿って移動させる一平面内移動機構と、上記U字状のフレーム部材を上記一平面と直交する方向に相対移動させる一方向移動機構と、を有するのが実際的である。
【0018】
本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法は、磁気シールド性がない材料からなる袋体と、該袋体の内部に充填された磁性流体とを具備する磁気アンカーと、対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材との接続体を、上記対象物内部に配設するステップ、上記把持部材により、上記対象部位を把持する把持ステップ、上記対象物外部に配置された磁気アンカー誘導装置から磁界を発生させ、該磁界から生じる磁力により上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる移動ステップ、該移動ステップの後に、上記対象部位を上記対象物から分離させる分離ステップ、及び該分離ステップの後に、針状部材により上記袋体を破裂させる破裂ステップ、を有することを特徴としている。
【0019】
上記袋体がゴム製であるのが実際的である。
【0020】
さらに、内視鏡の挿入部を上記対象物内部に挿入する挿入ステップ、を有し、上記破裂ステップが、該内視鏡の鉗子チャンネルに上記針状部材を通して、該針状部材により上記袋体を破裂させるステップである、のが実際的である。
【0021】
上記破裂ステップの後に、さらに、上記内視鏡の挿入部の先端面に設けられた吸引チャンネルの出口からの負圧により、上記袋体を該出口に吸引し、該吸引状態を維持したまま、該内視鏡とともに上記袋体を体外に取り出す袋体回収ステップ、を有するのが好ましい。
【0022】
また、上記破裂ステップの後に、さらに、上記内視鏡の鉗子チャンネルに把持鉗子を挿入して、該鉗子チャンネルの出口から該把持鉗子の把持片を突出させ、該把持片により上記袋体を把持し、該把持状態を維持したまま、該内視鏡とともに上記袋体を体外に取り出す袋体回収ステップ、を有するようにしてもよい。
【0023】
さらに、上記内視鏡の吸引チャンネルの出口からの負圧により、上記袋体から対象物内部に流出した上記磁性流体を、該内視鏡の吸引チャンネル内に吸引する磁性流体吸引ステップ、を有するのが好ましい。
【0024】
別の態様によると、本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法は、磁性流体を含有する袋体と、該袋体の内部に充填された液体とを具備する磁気アンカーと、対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材との接続体を、上記対象物内部に配設するステップ、該把持部材により、上記対象部位を把持する把持ステップ、上記対象物外部に配置された磁気アンカー誘導装置から磁界を発生させ、該磁界から生じる磁力により上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる移動ステップ、該移動ステップの後に、上記対象部位を上記対象物から分離させる分離ステップ、及び該分離ステップの後に、針状部材により上記袋体を破裂させる破裂ステップ、を有することを特徴としている。
【0025】
この態様では、上記液体が生理食塩水であるのが実際的である。
【0026】
この態様でも、上記破裂ステップの後に、さらに、内視鏡の挿入部を上記対象物内部に挿入する挿入ステップ、を有し、上記破裂ステップが、該内視鏡の鉗子チャンネルに上記針状部材を通して、該針状部材により上記袋体を破裂させるステップである、のが好ましい。
【0027】
また、上記破裂ステップの後に、さらに、上記内視鏡の鉗子チャンネルに把持鉗子を挿入して、該鉗子チャンネルの出口から把持鉗子の把持片を突出させ、該把持片により上記袋体を把持し、該把持状態を維持したまま、該内視鏡とともに上記袋体を体外に取り出す袋体回収ステップ、を有するようにしてもよい。
【0028】
いずれの態様でも、上記磁気アンカーと把持部材と接続する接続部材は、柔軟な連結ひもとするのが実際的である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1から図13を参照しながら説明する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムは、磁気アンカー装置10(把持部材11、磁気アンカー12、連結ひも13、牽引分離部材14、筒状締付部材15からなる)と、磁気アンカー装置10の内視鏡20からの分離操作等を行う操作装置30と、磁気アンカー装置10を体外において吸引制御する(磁気アンカー12に磁力を及ぼす)磁気アンカー誘導装置40とからなるものである。
【0030】
まず、図1から図3を参照して、磁気アンカー装置10の構成について説明する。
対称形状をなす把持部材11は、金属板を折曲加工した弾性部材であり、自由状態においてその両側部の先端が接触するCリング状の基部11aと、基部11aの先端から前方に延びつつ拡開する一対の傾斜片11b、11bと、両傾斜片11b、11bの先端から互いに平行に延びる開閉片11c、11cと、両開閉片11c、11cの先端から内向きに傾斜しながら延出する爪部11d、11dとを具備している。さらに、基部11aの後端部には挿入孔11a1が穿設されている。
【0031】
磁気アンカー12は、天然ゴムやシリコーンゴムからなる袋体12aの内部に磁性流体(図示略)を充填したものである。磁性流体としては、例えば、マグネタイト(Fe3O4)等の強磁性微粒子を、水や油などの溶媒に分散させたものがある。袋体12aの口元部12a1は柔軟な連結ひも13により固く縛られており、口元部12a1から磁性流体が漏れ出さないようになっている。さらに、連結ひも13の中間部は、把持部材11の基部11aの中空部を挿通している。
【0032】
牽引分離部材14は棒状の部材であり、その先端には、把持部材11の挿入孔11a1を貫通する一対の挿入片14aと、挿入片14aの先端に設けられた、基部11aの内面に係合して、挿入片14aが基部11aから抜け出すのを防止する抜け止め部14bとが設けられている。さらに、牽引分離部材14の基端部には鈎部14cが形成されている。牽引分離部材14は、プラスチックやSUS等の金属材料から成形されており、所定の切断力以上の強い力を受けると切断される程度の強度である。
【0033】
図1から図3等に示す両端が開口する筒状締付部材15は、可撓性のある材料からなるものである。この筒状締付部材15には、筒状締付部材15と同方向を向く一対のスリット15aが形成されている。このスリット15aの前端は開放しており後端は閉塞している。さらに、この筒状締付部材15の内径は、把持部材11の基部11aと傾斜片11bが嵌合可能な寸法となっている。
【0034】
図1に示す状態(把持部材11が筒状締付部材15内に嵌合していない状態)から、筒状締付部材15に対して牽引分離部材14を相対的に後方に引くと、図2に示すように、把持部材11の基部11aが内向きに弾性変形しながら筒状締付部材15の内部に引き込まれる。すると、基部11aの径が小さくなり、両傾斜片11bと両開閉片11cが互いに離れる開状態となる。
図3に示すように、筒状締付部材15に対して牽引分離部材14をさらに相対的に後方に引くと、把持部材11が内向きに弾性変形しながら筒状締付部材15の内部にさらに引き込まれ、その傾斜片11bが筒状締付部材15の先端開口部に接触し、両開閉片11cと両爪部11dが互いに接近する閉状態となる。
【0035】
図4は、アンカー遠隔誘導システムを用いた切除術の実施に用いる内視鏡20を示している。
内視鏡20は周知のように、柔軟で可撓性を有し体内に挿入される挿入部21を有しており、その先端面22には、エア及び洗浄水を送るための送気送水ノズル(図示略)、切除部及びその周辺を照らすための照明窓(図示略)、直後に対物レンズと撮像素子が配置された、切除部及びその周辺を観察するための観察窓、図7等に示された鉗子チャネルCの出口23、並びに、内視鏡20の内部に設けられた、負圧がかけられる吸引チャンネル(図示略)の出口(図示略)が設けられている。
【0036】
次に、図7を参照しながら、内視鏡20の鉗子チャンネルC内に挿入される操作装置30について説明する。
挿入管31は可撓性を有する筒状の部材であり、内視鏡20の鉗子口24の入口24aから鉗子チャンネルCに挿通可能であり、その全長は鉗子チャンネルCより長い。さらに、その内径は、図1の状態の把持部材11及び筒状締付部材15を挿入可能な寸法となっている。挿入管31の内部には、挿入管31に対して相対移動可能な筒状の挿入コイル32が挿通されている。挿入コイル32の先端部には、大径部33aと小径部33bとからなる規制管33の小径部33bが嵌合され、接着剤、はんだ、ロウなどによって、小径部33bが挿入コイル32の先端部に固着されている。
【0037】
大径部33aの外径は挿入管31の内径より小さく、かつ、挿入コイル32の外径とほぼ同一に設定されている。さらに、大径部33aの内径は小径部33bの内径より大きく、筒状締付部材15の外形と略同一に設定されており、大径部33a内面の小径部33b内面との接続部には、規制管33の軸線に対して直交する環状段部33a1が形成されている(図7等参照)。
【0038】
鉗子チャンネルCに挿入された挿入コイル32の内側には、先端にフック部34が設けられた操作ワイヤ35が、挿入コイル32と規制管33に対して相対移動可能に挿入されている。フック部34は、接着剤、はんだ、ロウ等によって、その基端部が操作ワイヤ35の先端部に固着されている。
さらに、挿入管31、挿入コイル32、及び操作ワイヤ35の各基端部は、操作装置30の操作部(図示略)に連結されており、互いに軸方向に相対移動可能となっている。
以上説明した、挿入管31、挿入コイル32、規制管33、フック部34、操作ワイヤ35、及び操作部により操作装置30が構成されている。
【0039】
次に、図5及び図6を用いて、患者Aの体外において磁気アンカー12を吸引制御する磁気アンカー誘導装置40の構成について説明する。
患者Aを載せる床板41aを具備するベッド41の両側部には、一対のXYステージ(一方向移動機構)42、42が配設されている。この一対のXYステージ42は、ベッド41の長手方向に沿って、両者42、42の該長手方向位置が常時同じになるように、直線的に往復移動するものである。さらに、ベッド41の上方には、ベッド41の長手方向と直交する平面内において互いに平行をなす、正面視略逆U字形の二つのレール44、45からなるフレーム/レール(一平面内移動機構)43が配設されており、このフレーム/レール43の両端部は、左右のXYステージ42にそれぞれ固定されている。内側のレール44には、磁気アンカー12を体外において吸引制御する(磁気アンカー12内の磁性流体に磁力を及ぼす)磁気誘導部材46が摺動自在に装着されており、磁気誘導部材46は左右のXYステージ42の間を、レール45に沿って移動することができる。磁気誘導部材46は、鉄心にコイルを巻いた構造の電磁石47を基体48上に固定したものであり、その電磁石47は常時、患者A側を向いている(図5参照)。なお、磁気誘導部材46は、永久磁石と電磁石の組み合わせでもよく、また、永久磁石と電磁石を2個以上組み合わせたものでも良い。
【0040】
フレーム/レール43の外側のレール45には、フレーム/レール43全体の重量バランスを保つためのカウンターウエイト49がレール45に摺動自在に装着されている。カウンターウエイト49は、磁気誘導部材46の位置に応じて、その位置が変化する。例えば、磁気誘導部材46が患者Aの正面側に位置するときは、カウンターウエイト49は患者Aの背面側に位置し、磁気誘導部材46が患者Aの背面側にあるときは、カウンターウエイト49は患者Aの正面側に位置して、フレーム/レール43全体の重量バランスをとっている。
そして、以上説明した磁気誘導部材46、XYステージ42、フレーム/レール43により磁気アンカー誘導装置40が構成されている。
【0041】
次に、磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた病変部Xの切除要領について説明する。
アンカー遠隔誘導システムを用いた切除術の実施に先立っては、まず、図5及び図6に示すように、局所麻酔を施した患者Aをベッド41の床板41a上に横たわらせる。このとき、XYステージ42を操作して、フレーム/レール43のベッド41の長手方向位置を、患者Aの頭部A1とほぼ同じ位置にしておき、さらに、磁気誘導部材46及びカウンターウエイト49を所定の場所に位置させておく。
次に、XYステージ42を操作してフレーム/レール43を患者Aの正面側に配置させ、さらに、磁気誘導装置46をフレーム/レール43に沿って移動させて、磁気誘導部材46を切除術開始時位置に位置させる(図6参照)。
【0042】
次いで、図示を省略した可撓性を有するオーバーチューブを、患者Aの口から体内に挿入する。続いて、内視鏡20の挿入部21をオーバーチューブ内に挿入し、挿入部21の先端部をオーバーチューブの先端から突出させ、臓器(対象物)B(図8から図13参照)の病変部(対象部位)Xに近接させる(図示略)。このように、内視鏡20の挿入部21の先端を臓器B内に挿入すると、内視鏡20の挿入部21の先端面22に設けられた観察窓から得られた臓器B内の観察像が、図示を省略したテレビモニタに写し出される。
【0043】
次いで、鉗子口24の入口24aから、先端部に注射針を具備するチューブ状の処置具(図示略)を鉗子チャンネルCに挿入して、その注射針を鉗子チャンネルCの出口23から突出させる。そして、注射針を病変部Xの周辺から臓器壁の粘膜下層B1に挿入して生理食塩水等を注入し、病変部Xを固有筋層B2から浮き上がらせておく(図8から図13参照)。
【0044】
続いて、鉗子チャンネルCから該処置具を取り出す。次に、挿入管31、挿入コイル32、規制管33、フック部34、操作ワイヤ35、及び操作部を一体化した操作装置30を、鉗子口24から鉗子チャンネルCに挿入する。
上述したように挿入管31は鉗子チャンネルCより長いので、この際、挿入管31の基端部は鉗子口24の後方に突出する(図示略)。さらに、操作ワイヤ35は挿入管31よりも充分長いため、操作ワイヤ35の基端部は、鉗子口24から突出した挿入管31の基端部のさらに後方に突出する(図示略)。
また、筒状締付部材15は可撓性を有する材料から成形されており、かつ、挿入コイル32は屈曲自在なので、挿入部21が屈曲していても、これらの部材は鉗子チャンネルC内をスムーズに移動することができる。
【0045】
操作装置30の先端が鉗子チャンネルCの先端部に到達したら、鉗子口24から突出している操作ワイヤ35の基端部を掴んで、操作ワイヤ35を操作してフック部34のみを内視鏡20の先端面22から突出させ、このフック部34に牽引分離部材14の鈎部14cを係合して、操作ワイヤ35を操作部側に引く。すると、図7に示すように、筒状締付部材15の基端部が規制管33の大径部33aに嵌合するとともに、把持部材11と牽引連結部材14が鉗子チャンネル内に収納され、さらに、磁気アンカー12の一部が鉗子チャンネルC内に収納され、磁気アンカー装置10と操作装置30が一体化する。
【0046】
このように、内視鏡20に磁気アンカー装置10と操作装置30をセットしたら、鉗子口24から突出した挿入管31の基端部を掴んで、図8に示すように、挿入管31を挿入部21の先端側に移動させて、その先端部を先端面22から突出させ、磁気アンカー12を鉗子チャンネルCから押し出す。
次いで、挿入コイル32を挿入部21の先端側に移動させて、把持部材11を挿入管31の先端から突出させ、把持部材11を病変部Xに近接させる。この状態で操作ワイヤ35を内視鏡20に対して相対的に後方に引くと、把持部材11の基部11aが筒状締付部材15内に引き込まれ、把持部材11は図8に示す開状態となる。
【0047】
さらに操作ワイヤ35を後方に引くと、把持部材11の基部11aが筒状締付部材15内部の後方にさらに引き込まれ、かつ、傾斜片11bが筒状締付部材15の先端開口部に当接するので、把持部材11の開閉片11cが閉じて、両爪部11dが病変部Xを強固に把持する(図9参照)。
【0048】
この状態で、操作ワイヤ35を上記切断力以上の強い力で後方に引くと、フック部34と係合している牽引分離部材14が、その中間部で切断され、その結果、磁気アンカー装置10が操作ワイヤ35から分離する(図10参照)。
【0049】
続いて、図11に示すように、患者Aの体外に配置されている磁気誘導部材46の発生磁界を強めることによって、磁気アンカー12内の磁性流体に磁力を及ぼすと、磁気アンカー12が図11の上側に吸引され、連結ひも13がスリット15a内を緊張しながら図11の上側に移動し、把持部材11が磁力方向(図11の上方)に移動する。その結果、把持部材11に掴まれている病変部Xも同方向に十分な距離だけ持ち上げられる。
【0050】
このように、病変部Xを所望方向に所望距離だけ移動させると、病変部Xと正常組織との境界部に、十分な大きさの切除部分が形成されるので、挿入管31、挿入コイル32、及び操作ワイヤ35を内視鏡20から取り出し、図11に示すように、内視鏡20(図11では図示略)の鉗子チャネルCを利用して高周波メス50などの切開具を臓器B内に挿入し、病変部Xを粘膜とともに一方の端部側から切除する。
そして、病変部Xを一方の端部側から反対の端部側に切除すると、やがて、病変部X全体が完全に切除される(図12参照)。
なお、高周波メス50による切除作業時においては、切除領域が拡がるにつれて、高周波メス50の先端50aの位置の確認は、より容易となる。
【0051】
以上のように切除作業を終えると、正常組織から切り離された病変部Xは把持部材11(磁気アンカー装置10)に把持されたままの状態となるので、病変部Xの紛失が防止される。
切除した病変部Xを回収するには、通常は、内視鏡20の鉗子チャンネルCに、その先端部に開閉可能な一対の把持片61を具備し、かつ、その基端部に操作部(図示略)を具備する把持鉗子60(図13参照)を挿入し、この操作部を操作して、両把持片61により牽引分離部材14を確実に把持し(図示略)、そのままの状態で内視鏡20を体内から抜き去り、病変部Xを磁気アンカー装置10とともに体外に取り出す。
【0052】
また、図12に示すように、術中に、病変部Xの切除後に連結ひも13が切れて、磁気アンカー12と把持部材11が分離してしまった場合には、内視鏡20の鉗子チャンネルCに、その先端70aが尖鋭な形状をしている針状部材70を挿入して、その先端70aにより、袋体12aを破裂させる(図13参照)。このように袋体12aが破裂すると、袋体12aの内部から磁性流体が臓器B内に流出して袋体12aが萎むので、内視鏡20の鉗子チャンネルCに把持鉗子60を挿入し、その両把持片61により袋体12aを把持して、内視鏡20とともに袋体12aを体外に取り出す。
なお、この場合、病変部Xを把持している把持部材11、牽引分離部材14、及び筒状締付部材15の一体物は、把持鉗子11によって牽引分離部材14を把持することによって、内視鏡20とともに体外に回収する。
さらに、臓器B内に流出した磁性流体は、内視鏡20の吸引チャンネルに負圧をかけることにより、吸引チャンネルの出口から内視鏡20内部に吸引し、その後、体外に排出する。
【0053】
このようにして、体内から磁気アンカー装置10と病変部Xを取り出したら、切除した部分の縫合、消毒などの処置を行う。
【0054】
このように、本実施形態のアンカー遠隔誘導システムを用いれば、病変部Xの切除後に、連結ひも13が切れて、磁気アンカー12が把持部材11から分離してしまっても、磁気アンカー12の袋体12aを破裂させることにより、萎んだ袋体12aを把持鉗子60により簡単かつ確実に把持できるので、袋体12aを容易に体外に回収することができる。
【0055】
さらに、病変部Xを所望方向に十分な距離だけ移動させることができるため、病変部Xと正常組織との境界の切除部分を、容易かつ確実に十分な大きさで確保することができる。また、病変部Xが扁平な形状であっても、十分な大きさの切除部分を作りだすことができるので、このような場合であっても、病変部Xを容易に切除することが可能となる。
【0056】
また、病変部Xは把持部材11により持ち上げられるため、切除部分を十分確保することができ、すでに切除した病変部Xが固有筋層B2上に落ち込むことを防止できる。
また、任意の位置に把持部材11を配置できるため、切除した病変部Xにより内視鏡20の視界が妨げられることがない。
【0057】
次に、本発明の第2の実施形態について、図14を参照しながら説明する。
なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施形態のアンカー遠隔誘導システムは、磁気アンカー装置80(把持部材11、磁気アンカー81、連結ひも13、牽引分離部材14、筒状締付部材15からなる)と、操作装置30とからなるものである。
【0059】
本実施形態の磁気アンカー81の袋体81aは、シリコーンゴムに磁性流体を混ぜ合わせたものであり、磁力に引き寄せられる性質をもっている。さらに、この袋体81aの内部には、非磁性体の液体、例えば生理食塩水が充填されている。また、この場合の磁性流体の一例としては、鉄酸化物等の強磁性微粒子を、水や油等の溶媒に分散させたものがある。
【0060】
この磁気アンカー装置80は、第1の実施形態と同じ要領により、内視鏡20に装着された状態で臓器B内に挿入された後、その把持部材11が病変部Xを把持する。
そして、磁気アンカー81の袋体81aは磁気誘導部材46から発生する磁界により図14の上方に吸引され、病変部Xも同方向に移動するので、病変部Xと正常組織との境界部に形成された切除部分を、高周波メス50により切除する。
【0061】
そして、切除後に、連結ひも13が切れたら、内視鏡20の鉗子チャンネルCを利用して針状部材70(図14では図示略)を臓器B内に挿入し、その先端70aで袋体81aを破裂させ、袋体81aの内部から生理食塩水を臓器B内に流出させ、袋体81aを把持鉗子60(図14では図示略)により把持し、体外に取り出す。
【0062】
以上のように、本実施形態のアンカー遠隔誘導システムによっても、第1の実施形態と同様に、病変部Xの切除後に連結ひも13が切れても、磁気アンカー81を針状部材70及び把持鉗子60を用いて、簡単かつ確実に体外に回収することができる。
【0063】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。例えば、吸引チャンネルに負圧が掛けられた内視鏡20により、破裂した袋体12a、81aを吸引して、袋体12a、81aを体外に回収することも可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、対象部位の切除を迅速かつ容易に行うことができるとともに、対象物内部に挿入された磁気アンカーを、簡単かつ確実に回収できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の磁気アンカー装置の全体図である。
【図2】把持部材が開いた状態の磁気アンカー装置の全体図である。
【図3】把持部材が閉じた状態の磁気アンカー装置の全体図である。
【図4】内視鏡の全体図である。
【図5】病変部の切除が行われる患者を載せたベッドと、磁気アンカー誘導装置を、患者の頭部側から見た図である。
【図6】患者を載せたベッドと、磁気アンカー誘導装置の側面図である。
【図7】鉗子チャンネル内に、磁気アンカー装置と連係した状態で操作装置を挿入した状態を示す、内視鏡先端部の拡大縦断側面図である。
【図8】開いた状態で、内視鏡の先端から突出した把持部材が、病変部を掴む直前の状態を示す拡大縦断側面図である。
【図9】内視鏡の先端から突出した把持部材が閉じて、病変部を掴んだ状態を示す拡大縦断側面図である。
【図10】内視鏡の内部において、磁気アンカー装置と操作装置が分離した状態を示す拡大縦断側面図である。
【図11】把持部材が病変部を把持した後に、磁気アンカー誘導装置を用いて、病変部を持ち上げている状態を示す拡大縦断側面図である。
【図12】把持部材から分離した磁気アンカーの袋体を、針状部材で破る様子を示す図である。
【図13】針状部材によって破られた袋体を、把持鉗子により回収する様子を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の磁気アンカーを利用して、病変部を持ち上げている状態を示す拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
10 磁気アンカー装置
11 把持部材
11a 基部
11a1 挿入孔
11b 傾斜片
11c 開閉片
11d 爪部
12 磁気アンカー
12a 袋体
12a1 口元部
13 連結ひも
14 牽引分離部材
14a 挿入片
14b 抜け止め部
14c 鈎部
15 筒状締付部材
20 内視鏡
21 挿入部
22 先端面
23 鉗子チャンネルの出口
24 鉗子口
24a 入口
30 操作装置
31 挿入管
32 挿入コイル
33 規制管
33a 大径部
33a1 環状段部
33b 小径部
34 フック部
35 操作ワイヤ
40 磁気アンカー誘導装置
41 ベッド
41a 床板
42 XYステージ(一方向移動機構)
43 フレーム/レール(一平面内移動機構)
44 45 レール
46 磁気誘導部材
47 電磁石
48 基体
49 カウンターウェイト
50 高周波メス
50a 先端部
60 把持鉗子
61 把持片
70 針状部材
70a 先端
80 磁気アンカー装置
81 磁気アンカー
81a 袋体
81b 口元部
A 患者(対象物)
A1 頭部
B 臓器
B1 粘膜下層
B2 固有筋層
C 鉗子チャンネル
X 病変部(対象部位)
Claims (23)
- 対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材と、
該把持部材に接続された、磁性材料を含有する磁気アンカーと、
上記対象物外部に配置され、磁界を発生する磁気アンカー誘導装置と、を具備し、
該磁気アンカー誘導装置が発生する磁界からの磁力により、上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムであって、
上記磁気アンカーが、磁気シールド性がなく針状部材によって破裂可能な柔軟な袋体と、該袋体の内部に充填された磁性流体とを有することを特徴とする内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。 - 請求項1記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記袋体がゴム製である内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
- 請求項1または2記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記針状部材によって破裂された上記袋体は内視鏡の吸引チャンネルの出口部に吸引付着可能である内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
- 請求項1から3のいずれか1項記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記針状部材によって破裂された上記袋体から流出した磁性流体は、内視鏡の吸引チャンネルから吸引回収可能である内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
- 請求項3または4記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記針状部材によって破裂された上記袋体は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な把持鉗子により把持可能でかつ該鉗子チャンネルを介して回収可能である内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
- 対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材と、
該把持部材に接続された磁性材料を含有する磁気アンカーと、
上記対象物外部に配置され、磁界を発生する磁気アンカー誘導装置と、を具備し、
該磁気アンカー誘導装置が発生する磁界からの磁力により、上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記磁気アンカーが、磁性材料を含有し針状部材によって破裂可能な柔軟な袋体と、該袋体の内部に充填された液体と有することを特徴とする内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。 - 請求項6記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記液体が生理食塩水である内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
- 請求項6または7記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記針状部材によって破裂された上記袋体は内視鏡の吸引チャンネルの出口部に吸引付着可能である内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
- 請求項6から8のいずれか1項記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記針状部材によって破裂された上記袋体は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な把持鉗子により把持可能でかつ該鉗子チャンネルを介して回収可能である内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。 - 請求項1から9のいずれか1項記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記磁気アンカーと把持部材とを接続する接続部材は、柔軟な連結ひもである内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。
- 請求項1から10のいずれか1項記載の内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記磁気アンカー誘導装置は、
発生する磁界によって磁力を生じさせて、該磁力によって、上記磁気アンカーを所定方向に移動させる磁気誘導部材と、
該磁気誘導部材を特定の一平面内に配置したU字状のフレーム部材に沿って移動させる一平面内移動機構と、
上記U字状のフレーム部材を上記一平面と直交する方向に相対移動させる一方向移動機構と、
を有する内視鏡用磁気アンカー遠隔誘導システム。 - 磁気シールド性がない材料からなる袋体と、該袋体の内部に充填された磁性流体とを具備する磁気アンカーと、対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材との接続体を、上記対象物内部に配設するステップ、
上記把持部材により、上記対象部位を把持する把持ステップ、
上記対象物外部に配置された磁気アンカー誘導装置から磁界を発生させ、該磁界から生じる磁力により上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる移動ステップ、
該移動ステップの後に、上記対象部位を上記対象物から分離させる分離ステップ、及び
該分離ステップの後に、針状部材により上記袋体を破裂させる破裂ステップ、
を有することを特徴とする磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項12記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、上記袋体がゴム製である磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。
- 請求項12または13記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、
上記破裂ステップの後に、さらに、
内視鏡の挿入部を上記対象物内部に挿入する挿入ステップ、を有し、
上記破裂ステップが、
該内視鏡の鉗子チャンネルに上記針状部材を通して、該針状部材により上記袋体を破裂させるステップである、磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項14記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、
上記破裂ステップの後に、さらに、
上記内視鏡の挿入部の先端面に設けられた吸引チャンネルの出口からの負圧により、上記袋体を該出口に吸引し、該吸引状態を維持したまま、該内視鏡とともに上記袋体を体外に取り出す袋体回収ステップ、を有する磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項14記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、
上記破裂ステップの後に、さらに、
上記内視鏡の鉗子チャンネルに把持鉗子を挿入して、該鉗子チャンネルの出口から該把持鉗子の把持片を突出させ、該把持片により上記袋体を把持し、該把持状態を維持したまま、該内視鏡とともに上記袋体を体外に取り出す袋体回収ステップ、を有する磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項14から16のいずれか1項記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、
上記破裂ステップの後に、さらに、
上記内視鏡の吸引チャンネルの出口からの負圧により、上記袋体から対象物内部に流出した上記磁性流体を、該内視鏡の吸引チャンネル内に吸引する磁性流体吸引ステップ、を有する磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 磁性流体を含有する袋体と、該袋体の内部に充填された液体とを具備する磁気アンカーと、対象物内部の対象部位を把持可能な把持部材との接続体を、上記対象物内部に配設するステップ、
該把持部材により、上記対象部位を把持する把持ステップ、
上記対象物外部に配置された磁気アンカー誘導装置から磁界を発生させ、該磁界から生じる磁力により上記磁気アンカーを移動させて、上記把持部材に把持された対象部位を所定方向に移動させる移動ステップ、
該移動ステップの後に、上記対象部位を上記対象物から分離させる分離ステップ、及び
該分離ステップの後に、針状部材により上記袋体を破裂させる破裂ステップ、
を有することを特徴とする磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項18記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、上記液体が生理食塩水である磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。
- 請求項18または19記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、
上記破裂ステップの後に、さらに、
内視鏡の挿入部を上記対象物内部に挿入する挿入ステップ、を有し
上記破裂ステップが、
該内視鏡の鉗子チャンネルに上記針状部材を通して、該針状部材により上記袋体を破裂させるステップである、磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項20記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、さらに、
上記破裂ステップの後に、
上記内視鏡の挿入部の先端面に設けられた吸引チャンネルの出口からの負圧により、上記袋体を該先端面に吸引し、該吸引状態を維持したまま、該内視鏡とともに上記袋体を体外に取り出す袋体回収ステップ、を有する磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項20記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、さらに、
上記破裂ステップの後に、
上記内視鏡の鉗子チャンネルに把持鉗子を挿入して、該鉗子チャンネルの出口から把持鉗子の把持片を突出させ、該把持片により上記袋体を把持し、該把持状態を維持したまま、該内視鏡とともに上記袋体を体外に取り出す袋体回収ステップ、を有する磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。 - 請求項12から22のいずれか1項記載の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法において、上記磁気アンカーと把持部材とを接続する接続部材は、柔軟な連結ひもである磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡による処置方法。
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