JP2004537340A - ポリマーシリンジ本体および栓 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一般に、ポリマーシリンジ本体および栓に関し、そしてより具体的には、弾性の栓と組み合わせた、環状オレフィンコポリマーから製造されるシリンジ本体に関する。本発明は、流動可能な材料容器を提供する。この容器は、以下:環式オレフィン含有ポリマーまたは架橋多環式オレフィン含有ポリマーの本体であって、この本体は、流動可能な材料を含むようなチャンバを規定し、このチャンバは、開口部を有する、本体;上記本体に装着され、そして上記チャンバにシールを提供する、エラストマー成分、を有し、そしてここで、上記本体は、注射に適切な1mlの水が充填され、上記エラストマー成分で密閉され、そして3ヶ月間保管された場合に、水中に4ppm未満の塩化物を生じる。

Description

【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、ポリマーシリンジ本体および栓に関し、そしてより具体的には、弾性の栓と組み合わせた、環状オレフィンコポリマーから製造されるシリンジ本体に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景の先行技術)
代表的に、ガラスのシリンジ本体は、シリンジ本体を製造プラントにおいて製造することによって、製造される。これらのシリンジ本体は、パッケージされ、そして薬学的プラントに移送され、ここで、これらのパッケージが解かれ、充填され、密封され、そして滅菌される。次いで、これらのシリンジ本体が再包装され、そして最終使用者への送達の準備ができる。このプロセスは、非効率的であり、そして費用がかかる。
【0003】
最近、シリンジ本体は、ポリマー樹脂から製造されている。このポリマーのシリンジ本体は、ガラスのシリンジ本体(これは、製造費用がかかり、そしてガラスが欠けるか、亀裂が入るか、または割れるので、製造プロセスの間の困難を引き起こした)に取って代わっている。割れたガラス粒子は、作業者および製造設備に対して危険になるのみでなく、ガラスシリンジ本体内にシールされて、下流の患者に対する潜在的な健康の危険をも引き起こす。
【0004】
Reinhardらに対して発行され、そしてドイツのSchott Glaswerkeに譲渡された、米国特許第6,065,270号(’270特許)は、予め充填された滅菌シリンジ本体を、環状オレフィンコポリマー(COC)樹脂から製造する方法を記載する。COCポリマーは、シリンジ本体の製造において有用である。なぜなら、これは一般に透明(clear and transparent)であるからである。COC樹脂は、例えば、Hatkeらに対して発行され、そしてドイツのHoechst Akteiengesellschaftに譲渡された、米国特許第5,610,253号に開示されている。
【0005】
’270特許は、医療目的での、充填されたプラスチックシリンジ本体を製造する方法を包含する。このシリンジ本体は、開口している後端および出口端を有するバレル(この出口端には、ヘッドが成形されており、そしてこのバレルは、注入要素を収容するように設計されている)、バレルの後端に挿入されてこのバレルをシールするための、プランジャー栓、ならびにヘッドをシールするための要素を備える。このシリンジ本体を製造する方法は、以下の工程を包含する:(1)材料を射出鋳型のキャビティ内のコアに射出成型することによって、シリンジ本体を形成する工程であって、この鋳型が、形状および予め設定された内部寸法を有する、工程;(2)鋳型を開き、そして形成されたシリンジ本体を取り出す工程であって、この本体は、初期温度を有する、工程;(3)プラスチックシリンジ本体のバレルの一端をシールする工程;(4)本体が形成した直後であり、この本体が実質的に上記初期温度のままである間に、プラスチックシリンジ本体のバレルの内壁表面をシリコーン処理する工程;(5)プラスチックシリンジ本体のバレルの他端を通して、プラスチックシリンジ本体を充填する工程;ならびに(6)プラスチックシリンジ本体のバレルの他端をシールする工程であって、この方法は、単一の連続した製造ラインにおいて、制御された環境で実施される。’270特許の方法によれば、滅菌工程は、充填され、そして完全にシールされた、使用の準備のできたシリンジ本体に対して適用される。歴史的に、完成したシリンジ構成要素(バレル、プランジャー、および先端キャップ)の滅菌は、エチレンオキシド、加圧蒸気、またはγ線照射を使用して、実施されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面と組み合わせて理解される以下の明細書から明らかである。
【0007】
本発明は、流動可能な材料容器を提供する。この容器は、以下:環式オレフィン含有ポリマーまたは架橋多環式オレフィン含有ポリマーの本体であって、この本体は、流動可能な材料を含むようなチャンバを規定し、このチャンバは、開口部を有する、本体;上記本体に装着され、そして上記チャンバにシールを提供する、エラストマー成分、を有し、そしてここで、上記本体は、注射に適切な1mlの水が充填され、上記エラストマー成分で密閉され、そして3ヶ月間保管された場合に、水中に4ppm未満の塩化物を生じる。
【0008】
本発明は、流動可能な材料容器であって、以下:ノルボルネンのホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーの本体であって、この本体は、流動可能な材料を含むようなチャンバを規定し、このチャンバは、開口部を有する、本体;および上記開口部にシールを提供するエラストマー成分であって、この成分は、ブチルゴムである、エラストマー成分、を有する、流動可能な材料容器をさらに提供する。
【0009】
本発明は、シリンジであって、以下:ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、この本体は、水を含有するためのチャンバを規定し、このチャンバは、開口部を有する、シリンジ本体;および上記開口部を密閉する、ハロブチルベースのエラストマーのプランジャーシール、を有する、シリンジをさらに提供する。
【0010】
本発明は、ノルボルネンとエチレンコポリマーとのシリンジ本体であって、この本体は、水を含有するためのチャンバを規定し、そしてこのチャンバは、開口部を有する、シリンジ本体;上記開口部を密閉する、ハロブチルベースのエラストマーのプランジャーシール、をさらに提供し、ここで、上記シリンジは、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する全ての要件を満たしている。
【0011】
本発明は、注射シリンジのための滅菌水であって、以下:ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、この本体は、水を含有するチャンバを規定し、このチャンバは、開口部を有する、シリンジ本体;上記開口部の流体密封を形成する、ハロブチルベースのエラストマーのプランジャーシール、を有する、滅菌水をさらに提供し、ここで、該シリンジは、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する全ての要件を満たしている。
【0012】
本発明は、シリンジを充填するための方法であって、該方法は、以下:(1)ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、開口部を有するシリンジ本体を提供する、工程;(2)滅菌されたシリンジ本体を規定するために、シリンジ本体を滅菌する、工程;(3)上記滅菌されたシリンジ本体を滅菌環境に移動させる一方で、この滅菌されたシリンジ本体の滅菌を維持する、工程;上記滅菌されたシリンジ本体に、適切な量の注射用滅菌水を充填する、工程;(4)注射シリンジ用の滅菌水を規定するために、上記開口部をハロブチルベースのエラストマーのエラストマー成分で密閉する、工程、を包含する方法をさらに提供し、ここで、上記注射シリンジ用の滅菌水は、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する要件を満たしている。
【0013】
本発明は、シリンジを充填するための方法であって、該方法は、以下:(1)ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、開口部を有するシリンジ本体を提供する、工程;(2)滅菌されたシリンジ本体を規定するために、このシリンジ本体を滅菌する、工程;(3)上記滅菌されたシリンジ本体を滅菌環境に移動させる一方で、この滅菌されたシリンジ本体の滅菌を維持する、工程;(4)上記滅菌されたシリンジ本体に、適切な量の注射用滅菌水を即時に充填する、工程;(5)注射シリンジ用の滅菌水を規定するために、上記開口部をハロブチルベースのエラストマーのエラストマー成分で密閉する、工程、を包含する方法をさらに提供し、ここで、(6)上記注射シリンジ用の滅菌水は、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する要件を満たしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態での実施形態が可能であるが、本開示が本発明の原理の例示としてみなされ、そして本発明の広い局面を、記載される実施形態に限定することは意図されないことを理解して、本発明の好ましい実施形態が、図面に示され、そして本明細書中に詳細に記載される。
【0015】
本発明は、予め充填された滅菌容器(例えば、医療バイアルであるが、好ましくは、予め充填された、滅菌された、ポリマーシリンジ本体)を連続的に製造するための方法に関する。本明細書を通して、シリンジ本体が、提供される容器の型の代表的な例として使用される;しかし、本発明の方法は、本発明の精神から逸脱することなく、任意の容器、バイアル、他の型の貯蔵容器、またはIVキットに適用され得ることが、理解されるべきである。本発明の容器は、流動性物質を収容するために使用され得る。流動性物質とは、重力の影響下で、または空気のような加圧流体ストリームに巻き込まれる場合に、流動し得る物質である。この容器は、無針注射システム(例えば、代表的な米国特許第5,399,163号、同第5,891,086号、同第6,096,002号、およびPCT国際公開番号WO00/35520(これらの各々は、本明細書中に参考として援用され、そして本明細書の一部を形成する)に開示されるもの)の構成要素(例えば、カートリッジ)をさらに備える。
【0016】
図1を参照すると、シリンジ本体1は、内側円筒側壁3によって規定される少なくとも1つの内側チャンバ2、注射針などを受容するために適合された開口部を有する先端部4、およびプランジャーアーム6aを受容するための、より大きな開口端部5を有する型のものである。このプランジャーアーム6aは、チャンバ2から先端部4を通って外向きの、流体物質の流れを起こすために、このプランジャーアームの遠位端にプランジャーシール6bを有する。先端部4は、代表的に、先端キャップ7を備える。このようなシリンジ本体1は、通常、医療適用において使用されている。
【0017】
(I.シリンジ本体)
シリンジ本体1は、ガラスまたは任意の適切なポリマーから製造され得るが、好ましくは、環状オレフィン含有ポリマーまたは架橋多環式炭化水素含有ポリマーから製造される。これらのポリマーは、いくつかの例において、集合的に、COCと称される。
【0018】
COCに基づくシリンジ本体の使用は、ガラスシリンジ本体の使用に関連する欠点の多くを克服する。ガラスシリンジ本体の最も大きな欠点は、ガラスシリンジの取り扱いに関連する。例えば、ガラスシリンジは、製造プロセスの間に、しばしば欠けるか、亀裂が入るか、または割れる。ガラス粒子は、シリンジ本体内に捕捉され得、そして引き続いて、医療溶液でシリンジバレル中にシールされ得る。このことは、この医療溶液を注射される患者に対して危険であり得る。さらに、ガラス粒子は、プラントの職員に傷害を引き起こすことによって、または高価な製造設備を損傷することによって、製造において危険であり得る。
【0019】
適切なCOCポリマーとしては、以下に規定されるような、環状オレフィンモノマーおよび/または架橋多環式炭化水素から得られる、ホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーが挙げられる。
【0020】
適切な環状オレフィンモノマーは、5〜約10個の炭素を環内に有する、単環式化合物である。環状オレフィンは、置換および非置換のシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエンからなる群より選択され得る。適切な置換基としては、低級アルキル、アクリレート誘導体などが挙げられる。
【0021】
適切な架橋多環式炭化水素モノマーは、2つ以上の環を有し、そしてより好ましくは、少なくとも7個の炭素を含む。これらの環は、置換または非置換であり得る。適切な置換基としては、低級アルキル、アリール、アラルキル、ビニル、アリルオキシ、(メタ)アクリルオキシなどが挙げられる。架橋多環式炭化水素は、以下に援用される特許および特許出願に開示されるものからなる群より選択され、そして本発明の最も好ましい形態は、ノルボルネンである。
【0022】
環状オレフィンおよび架橋多環式炭化水素の、適切なホモポリマーおよびコポリマー、ならびにこれらのブレンドは、米国特許第5,218,049号、同第5,854,349号、同第5,863,986号、同第5,795,945号、同第5,792,824号;EP 0 291,208、EP 0 283,164、EP 0 497,567(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用され、そして本明細書の一部を形成する)に見出され得る。これらのホモポリマー、コポリマーおよびポリマーブレンドは、50℃より高いガラス転移温度、より好ましくは、約70℃〜約180℃のガラス転移温度、0.910g/ccより大きな密度、そしてより好ましくは0.910g/cc〜約1.3g/cc、そして最も好ましくは0.980g/cc〜約1.3g/ccの密度、およびポリマー骨格に少なくとも約20モル%の環状脂肪族または架橋多環式、より好ましくは、約30〜65モル%、そして最も好ましくは約30〜60モル%の、環状脂肪族または架橋多環式を有し得る。
【0023】
COCのコポリマーおよびターポリマーの適切なコモノマーとしては、2〜10個の炭素を有するα−オレフィン、芳香族炭化水素、他の環状オレフィンおよび架橋多環式炭化水素が挙げられる。
【0024】
現在好ましいCOCは、ノルボルネンとエチレンのコポリマーである。これらのノルボルネンコポリマーは、米国特許第5,783,273号、同第5,744,664号、同第5,854,349号および同第5,863,986号に詳細に記載されている。ノルボルネンエチレンコポリマーは、好ましくは、少なくとも約20モルパーセントのノルボルネンモノマーを有し、そしてより好ましくは、約20モルパーセント〜約75モルパーセントを有し、最も好ましくは、約30モルパーセント〜約60モルパーセントのノルボルネンモノマーまたはその範囲の任意のコンビネーションもしくはサブコンビネーションを有する。ノルボルネンエチレンコポリマーは、約70〜180℃、より好ましくは、70〜130℃のガラス転移温度を有するべきである。0.45Mpaでの熱変形温度は、約70℃〜約200℃、より好ましくは、約75℃〜約150℃、そして最も好ましくは、約76℃〜約149℃であるべきである。また、本発明の好ましい形態において、COCは、121℃でのオートクレーブ処理による滅菌に耐性(有意な熱歪曲を伴わない)であり得る。適切なコポリマーは、Ticonaによって、商品名TOPAS(等級6013、6015および8007(オートクレーブ不可))で市販されている。
【0025】
他の適切なCOCは、Nippon Zeonにより商品名ZEONEXおよびZEONORで、Daikyo Gomu Seikoにより商品名CZ樹脂で、そしてMitsui Petrochemical Companyにより商品名APELで市販されている。
【0026】
COCに結合するペンダント基を有することがまた、所望され得る。ペンダント基はCOCをより多くの極性ポリマー(アミン、アミド、イミド、エステル、カルボン酸および他の極性官能基を含む)と適合性にするための基である。適切なペンダント基としては、芳香族炭化水素、二酸化炭素、モノエチレン性不飽和炭化水素、アクリロニトリル、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、ビニルケトン、ハロゲン化ビニル、エポキシド、環状エステルおよび環状エーテルが挙げられる。このモノエチレン性不飽和炭化水素としては、アルキルアクリレートおよびアリールアクリレートが挙げられる。環状エステルとしては、無水マレイン酸が挙げられる。
【0027】
COCを含むポリマーブレンドはまた、シリンジ本体1を製造するために適切であることがわかっている。本発明の適切な2成分ブレンドは、第1の成分として、ブレンドの約1重量%〜約99重量%、より好ましくは、ブレンドの約30重量%〜約99重量%、そして最も好ましくは、約35重量%〜約99重量%の量のCOC、あるいはそれらの範囲の任意のコンビネーションまたはサブコンビネーションを含む。本発明の好ましい形態において、第1の成分は、約70℃〜約130℃、そしてより好ましくは、約70℃〜110℃のガラス転移温度を有する。
【0028】
このブレンドはさらに、ブレンド重量の約99重量%〜約1重量%、より好ましくは、約70重量%〜約1重量%、そして最も好ましくは、約65重量%〜約1重量%の量の第2の成分を含む。この第2の成分は、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセンおよびスチレンのホモポリマーおよびコポリマーからなる群より選択される。本発明の好ましい形態において、第2の成分は、エチレンとα−オレフィンとのコポリマーであり、ここで、α−オレフィンは、3〜10個の炭素、そしてより好ましくは、4〜8の炭素を有する。最も好ましくは、エチレンとα−オレフィンとのコポリマーは、メタロセン触媒または単一部位触媒を用いて得られる。とりわけ、適切な触媒系は、米国特許第5,783,638号および同第5,272,236号に開示される触媒である。適切なエチレンとα−オレフィンとのコポリマーとしては、Dow Chemical Companyにより商品名AFFINITYおよびENGAGEで市販されているコポリマー、Exxonにより商品名EXACTで市販されているコポリマー、ならびにPhilips Chemical Companyにより商品名MARLEXで市販されているコポリマーが挙げられる。
【0029】
適切な3成分ブレンドは、第3の成分として、上記のCOCから選択され、かつ第1の成分とは異なるCOCを含む。本発明の好ましい形態において、第1のCOCが、約120℃よりも低いガラス転移温度を有する場合、第2のCOCは、約120℃よりも高いガラス転移温度を有する。本発明の好ましい形態において、第3の成分は、ブレンド重量の約10〜90重量%の量で存在し、そして第1および第2の成分は、約70〜100℃において、それぞれ、約2:1〜約1:2の第1の成分 対 第2の成分の比率で存在する。
【0030】
好ましい3成分ブレンドにおいて、第2のノルボルネンとエチレンのコポリマーは、2成分のノルボルネン−エチレン/エチレン4−8炭素α−オレフィンブレンドに添加される。第2のノルボルネンエチレンコポリマーは、30モルパーセント以上、そしてより好ましくは、約35〜75モルパーセントのノルボルネンモノマー含有量を有するべきであり、かつ第1の成分が120℃よりも低いガラス転移温度を有する場合、第2のノルボルネンエチレンコポリマーは、120℃より高いガラス転移温度を有するべきである。
【0031】
(II.プランジャーシール、バイアルストッパーおよび他のエラストマー成分)
上記のCOCと共に使用されるプランジャーシール6b、バイアルストッパーおよび他のエラストマー成分は、ポリマー材料、そして好ましくは、処理、注射用滅菌水の充填、滅菌および保存の後に、受容不可能なレベルのハロゲンを生成しないポリマー材料から製造される。より好ましくは、シリンジ本体またはバイアルは、上記のCOCの1つから作製され、これは、注射用滅菌水1mlで充填され、そしてエラストマープランジャーシール6bを有するプランジャーアーム6a(あるいは、対応する流動性材料の容器に適切な他の型のストッパーまたはクロージャー)で栓をされる。このシリンジ本体は、3ヶ月の保存後に約4ppm未満の塩化物、より好ましくは約3ppm未満、そして最も好ましくは約2ppm未満の塩化物を生成する。本発明の好ましい形態において、プランジャーシール6bは、実質的にラテックスを含まず、そしてなおより好ましくは、100%ラテックスを含まない。
【0032】
本発明のなおより好ましい形態において、プランジャーシール6bおよびCOC本体1は、注射用滅菌水について、United States Pharmocopoeia(Monograph No.24,本特許出願の出願から有効)による全ての制限を満たさなければならない。注射用滅菌水についてのUSPは、本明細書中に参考として援用され、そして本明細書の一部をなす。特に、USP注射用滅菌水は、以下の濃度に関する限定を明記する:pHは、約5.0〜7.0、アンモニア0.3ml/ml未満、塩化物0.5mg/ml未満、および酸化可能な物質0.2mmol未満。USPはさらに、USPに従って測定される場合、以下の成分が存在しないこと明記する:二酸化炭素、スルフェートおよびカルシウムイオン。
【0033】
エラストマー成分のための適切なポリマー材料は、合成ゴム(スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、ウレタンゴム、ステレオゴム、エチレン−プロピレンエラストマーが挙げられる)を含む。本発明の好ましい形態において、エラストマー成分は、ハロゲン化ブチルゴム、そしてより好ましくは、クロロブチルベースのエラストマーである。現在、好ましいクロロブチルベースのエラストマー処方物は、Stelmiにより商品名ULTRAPURE6900および6901で市販されている。
【0034】
注射用滅菌水に対するUSPの要件は、本発明の容器が、以下の方法を使用して調製される場合に満たされることが観察された。
【0035】
(III.方法)
図2および図4を参照して、本発明の方法の実施形態は、フローチャート形式で示される。これらの実施形態は、概して複数のシリンジ本体を作製する工程10、シリンジ本体を滅菌ステーションに移動する工程30、シリンジ本体を滅菌する工程50、シリンジ本体を滅菌環境に移動する工程70、滅菌環境内でシリンジ本体を処理する工程90、シリンジ本体をパッケージステーションに移動する工程110、およびシリンジ本体をパッケージする工程130を包含する。
【0036】
本明細書中に開示されるような予め充填した滅菌シリンジ本体を作製する方法は、ヒトの介入を必要としない。従って、ヒトの接触による汚染は排除される。予め充填した滅菌シリンジ本体の製造を最大にするために、二重の第1および第2の製造ラインが操作され得る。第2のラインは、プライム付きの参照番号によって記載される。
【0037】
図2を特に参照して、この実施形態のシリンジ本体を作製する工程10は、複数のシリンジ本体を連続的に作製する工程(12aおよび12b)を包含する。好ましくは、このシリンジ本体は、上に規定されるCOCから成形される注射である。代表的に、このシリンジ本体は、1分あたり150単位の速度で成形され得る。従って、サブプロセスより速い下り線を満たすために、2つの別個の成形ステーション12aおよび12b(1分あたり150単位)が提供される。一旦このシリンジ本体が成形されると、これらは、品質制御ステーションに移動され(14aおよび14b)、ここで、このシリンジ本体は、検査および秤量される。予め決定された規格を満たすシリンジ本体は、先端キャップステーションに移動され(16aおよび16b)、ここで、先端キャップは、シリンジ本体の先端部を効果的にシールし、そして封鎖するように、各シリンジ本体に取り付けられる。次に、シリンジ本体の内部を好ましくはシリコーンを用いて滑らかにする。シリコーン処理は、本発明の精神から逸脱することなく、先端キャップが取り付けられる前に実施され得る。
【0038】
シリンジ本体を、滅菌ステーション工程30に移動する間、シリンジ本体は、滅菌ステーションへのコンベアに沿って輸送される。これは、代表的な製造方法と異なり、ここで、シリンジ本体は、別の位置で作製され、予め滅菌され、ネストトレイまたはタブに配置され、包装され、そして第2の製造位置に輸送され、ここで、タブは包装を解かれ、そしてバッチ滅菌手順において処理される。
【0039】
シリンジ本体の滅菌は、シリンジ本体を滅菌する工程50の間に実行される。滅菌ステーションは、オートクレーブまたは照射プロセスで実行される最終プロセスを含み得る。オートクレーブが実行される場合、滅菌媒体は、代表的に蒸気である。γ放射線は、代表的に、照射によってシリンジ本体を滅菌するために提供される。しかし、本発明の方法において、電子ビーム(e−ビーム)照射は、好ましくは、シリンジ本体を滅菌するために提供される。Biosterile of Fort Wayne Indianaは、シリンジ本体を滅菌し得る電子アクセレータを提供する。電子アクセレータは、商品名SB5000−4で市販されている。E−ビーム照射は蒸気より好ましい。なぜなら、照射滅菌はより速く;製造空間を節約し;そして蒸気は廃棄物を作り出し、かつ材料の取り扱いの問題を生じるからである。E−ビーム照射は、γ照射よりも好ましい。なぜなら、e−ビーム照射は、シリンジ本体に対する損傷がより少なく、そしてより速いからである。e−ビームでは、ポリマー材料の呈色はより少ない;従って、シリンジ本体を観察する医師の能力およびその内容は改善される。
【0040】
シリンジ本体に送達されるe−ビーム線量は、約1MeV〜10MeVあるいはその範囲内の任意の範囲もしくは範囲の組み合わせであるが、好ましくは、1MeV以下で、好ましくは、10〜50kGyの範囲またはその範囲内の任意の範囲もしくは範囲の組み合わせ、そしてより好ましくは、約25kGyである。予め充填したシリンジ本体内の医薬用溶液の最終pHに対するe−ビーム照射の効果の研究において(これは、以下に詳細に記載される)、いくつかのシリンジ本体に、40kGyよりの多い線量を照射した。
【0041】
この線量は、単回ビームによって送達され得る;しかし、シリンジ本体に均一な線量を送達するために、二重ビームシステムが好ましい。二重e−ビームシステムは、シリンジ本体にわたる線量変化を最小にする。従って、コンベアの反対側に配置されたe−ビーム供給源を有することがさらに好ましい。
【0042】
一旦、個々のシリンジ本体が滅菌されると、これらは、シリンジ本体の滅菌性を維持するために、滅菌環境に滅菌的に移動される(70)。滅菌環境は、一般的に、滅菌操作が、滅菌条件下(例えば、包囲されたアイソレーター、クラス100環境、または他の滅菌環境)で実施される予め滅菌された遮へい物である。e−ビーム滅菌ステーションは、電子のカーテンまたはフィールドを生成し、これは、シリンジ本体が隣接する囲まれた滅菌環境またはアイソレーターに入る前に、滅菌した周囲の雰囲気を提供する。これは、有利である。なぜなら、シリンジ本体は、滅菌環境へ移動する場合、滅菌状態を維持するために、包装も、他のシールも必要としないからである。言い換えると、シリンジ本体は、滅菌ステーションに入り、そして未包装で、かつ滅菌されたままである。なぜなら、シリンジ本体は滅菌環境のための電子のカーテンを通って滅菌環境まで移動するからである。従って、わずかな取り扱いだけが必要とされ;紙および/または包装廃棄物はより少なく;そして連続的に進行するプロセスが可能となる(シリンジ本体を包装し、そして包装を解くことについて遅延が生じないので)。
【0043】
滅菌環境内でシリンジ本体を処理する次の工程90は、少なくとも3つの下位工程(すなわち、滅菌医療用溶液をシリンジ本体に充填する工程96、各シリンジ本体についての滅菌プランジャーを滅菌環境へ移す工程98、および各シリンジ本体の開放端に滅菌プランジャーを取り付ける工程100)を包含する。医療用溶液は、一般に、Schwabisch Hall、GermanyのInova GmbHによって提供される充填ユニットによって導入される。医療用溶液は、先端がキャップされた端の反対側にある、シリンジ本体の開口端を介してシリンジ本体に導入されるが、この医療用溶液はまた、本発明の精神から逸脱することなく、先端からも導入され得る。
【0044】
プランジャーは、アイソレーターに移される工程98の前に滅菌され、そして任意の従来の様式で滅菌され得るが、好ましくは、電子ビームユニットを介して処理される。一旦医療用溶液で満たされると、各シリンジ本体の開放端へプランジャーを挿入する工程100が実行される。一旦シリンジ本体の開放端内に挿入されると、このプランジャーは、シリンジ本体の内部側壁と共に密封を形成し、ここで、医療用溶液は、シリンジ本体内に密封される。シリンジ本体の内部側壁は、予めシリコン処理され、その結果、このシリンジ本体の内部側壁は潤滑化され、そしてこのプランジャーは、内部側壁と融合も接着もしなくなる。プランジャーは、Inova充填プロセスの一部として、シリンジ本体に自動的に取り付けられる。
【0045】
プランジャーを作製するために使用される材料は、このプロセスに適合性でなければならない。電子ビーム照射の結果としてこの材料が酸化される場合、この酸化物質は、シリンジ本体の内容物へと漏出し得る。従って、この支持体は、好ましくは、弾性材料(例えば、Stelmi 6901のようなクロロブチルゴム)製である。
【0046】
次の工程は、シリンジ本体を、アイソレーターからパッケージングステーションへ移す工程110である。この実施形態において、シリンジ本体は、代表的には、コンベヤに沿って移される;しかし、任意の移動機構(例えば、手動の手順、連続的ローダー、移動タブを介してなど)が、本発明の精神から逸脱することなく使用され得る。
【0047】
この移す工程110は、シリンジ本体をアイソレーターから移す工程112を包含し、そして必要に応じて、充填後滅菌工程114を包含し得る。この任意の滅菌工程114において、シリンジ本体およびその内容物は、紫外線照射または蒸気のいずれかによって滅菌される。紫外線滅菌は、インラインで実行され、数秒かかる。多数の紫外線技術が使用され得る(例えば、UV−C(254nm)、中圧UVまたはパルスUV)。蒸気滅菌は、オートクレーブにおいてオフラインで実行され、一般に数時間かかる。
【0048】
任意の充填後滅菌工程の後、シリンジ本体は、任意の滅菌ステーションからパッケージングステーションに移される(116)。パッケージングステーション工程130の間、プランジャーロッドは、プランジャーに固定して装着され、そして終了したシリンジは、検査され、ラベルを付けられ、そして末端使用者への出荷のためにパッケージングされる。人の介入が、シリンジ本体を検査、ラベル付けおよびパッケージングするために必要とされないことが意図される。
【0049】
図3を参照して、本発明の第二の方法が例示される。この方法は、第一の方法と類似し、そしてまた、複数のシリンジ本体を作製する工程10、シリンジ本体を滅菌ステーションに移す工程30、シリンジ本体を滅菌する工程50、シリンジ本体を滅菌環境に滅菌的に移す工程70、滅菌環境内でシリンジ本体を処理する工程90、シリンジ本体をパッケージングステーションに移す工程110およびシリンジ本体をパッケージングする工程130を包含する。
【0050】
この実施形態において、シリンジ本体を作製する工程10は、各成型されたシリンジ本体に先端キャップを取り付ける下位工程を包含しない。むしろ、先端キャップは、滅菌後にシリンジ本体に取り付けられる。
【0051】
ここで、滅菌環境内でシリンジ本体を処理する工程90は、各シリンジ本体についての滅菌された先端キャップを滅菌環境に移す下位工程92、各シリンジ本体の開放先端にキャップを取り付ける下位工程94、医療用溶液でシリンジ本体を充填する下位工程96、各シリンジ本体についての滅菌プランジャーを滅菌環境に移す下位工程98およびシリンジ本体の開放端にプランジャーを取り付ける下位工程100を、少なくとも包含する。
【0052】
先端キャップは、アイソレーターに滅菌的に移す工程92の前に滅菌され、そして任意の従来の様式で滅菌され得るが、好ましくは、電子ビームユニットあるいは別個の専用電子ビームユニットによって処理される。これらのプランジャーは、同様の様式で処理される。先端キャップは、好ましくは、シリンジ本体が医療用溶液で充填される工程96の前に、シリンジ本体の開放先端に取り付けられ(96)、そしてこれらのプランジャーは、好ましくは、シリンジ本体が充填された後に取り付けられる。しかし、本発明の精神から逸脱することなく、これらのプランジャーは、充填工程の前にシリンジ本体に取り付けられ得、そして先端キャップは、充填工程後にシリンジ本体へ取り付けられ得る。
【0053】
この実施形態の残りの工程は、第一の実施形態と同一である。
【0054】
図4を参照して、本発明の方法の第三の好ましい実施形態が例示される。この実施形態において、シリンジ本体は成型され、そして残りの工程に進められる前に、移動トレイに配置される。従って、製造プロセスを通じて処理されるシリンジ本体のラインではなく、複数のシリンジ本体が、製造プロセスを通じて移動トレイに輸送される。
【0055】
第一および第二の実施形態と同様に、この実施形態は、複数のシリンジ本体を作製する工程10、滅菌ステーションにシリンジ本体を移す工程30、シリンジ本体を滅菌する工程50、滅菌環境にシリンジ本体を滅菌的に移す工程70、滅菌環境内でシリンジ本体を処理する工程90、シリンジ本体をパッケージングステーションに移す工程110、およびシリンジ本体をパッケージングする工程130を包含する。
【0056】
図4を特に参照して、この実施形態のシリンジ本体を作製する工程10は、複数のシリンジ本体を連続的に作製する工程12aおよび12bを包含する。一旦シリンジ本体が成型されると、これらのシリンジは、品質制御ステーションに移され(14aおよび14b)、ここで、シリンジ本体は検査および計量される。所定の仕様を満たすシリンジ本体は、先端キャップステーションに移され(16aおよび16b)、ここで、先端キャップは、シリンジ本体の一端を有効に密封および閉鎖するために、各シリンジ本体に取り付けられる。次に、シリンジ本体の内部は、潤滑化のためにシリコン処理され、そして移動トレイまたはタブを用いて、入れ子の位置に挿入される(18aおよび18b)。シリンジ本体は、本発明の精神から逸脱することなく、先端キャップの取り付け前にシリコン処理され得る。
【0057】
シリンジ本体を滅菌ステーションに移す工程30の間に、シリンジ本体は、滅菌ステーションへのコンベヤに沿って、入れ子の移動トレイ内に輸送される。シリンジ本体の滅菌は、シリンジ本体を滅菌する工程50の間に実施される。再び、滅菌ステーションは、好ましくは電子ビーム照射を含む。しかし、ここで、シリンジ本体に送達される電子ビーム線量は、入れ子の移動トレイと複数のシリンジ本体との質量の増大を考慮して、改変されるべきである。従って、滅菌照射の線量は、約1MeV〜10MeV、より好ましくは5MeV以下、またはこれらの任意の範囲もしくは組み合わせで、10〜50kGy、20〜40kGy、15〜25kGyの範囲内、またはこれらの任意の範囲もしくは範囲の組み合わせであり、最も好ましくはで25kGyである。
【0058】
この実施形態の残りの工程は、シリンジ本体が、コンベヤに沿ってではなく、入れ子の移動トレイまたはタブ内で処理されること以外、第一の実施形態と同一である。
【0059】
一般に、本明細書中に記載される、予め充填された滅菌シリンジは、非経口溶液、好ましくは注射用滅菌水で充填されている。注射用滅菌水のpHが、制御され、そして特定の上限と下限との間に維持されることが重要である。本明細書中に開示される方法の1つの利点は、注射用滅菌水でシリンジ本体を充填する直前に電子ビーム照射によって滅菌されたプラスチックシリンジを使用することから生じる、注射用の水のpHの厳重な制御である。
【0060】
図5を参照して、このプロットは、充填後のある日数にわたる、pHの傾向を例示する。すなわち、pHは、時間がたつと低下する傾向がある。以下の実施例は、本発明の利点を例示する;すなわち、電子ビーム照射によるプラスチックシリンジ本体の滅菌は、シリンジ本体中に保持される注射用滅菌水の溶液pHの安定性を、シリンジ本体の等価なγ線照射よりも改善した。
【0061】
シリンジ本体を照射し、そして電子ビーム照射滅菌の5日以内に無菌的に充填した。40℃での3ヶ月の保存後、γ線照射(>40kGy)を使用して滅菌された、1mLの水で充填された1mLのシリンジ本体は、4.71の溶液pHを有した。一方、電子ビーム照射(>40kGy)を使用して滅菌された、40℃での3ヶ月保存されたシリンジ本体は、5.25の溶液pHを有した。従って、注射用滅菌水のpHは、電子ビーム照射したプラスチックシリンジ本体についてのみ、この期間にわたって、5.0〜7.0のUSP限界内に維持された。
【0062】
より低い線量の電子ビームもまた、水で充填されたプラスチックシリンジの溶液pHを、より有効に維持した。20〜40kGyの線量の電子ビームを照射したプラスチックシリンジ本体を、滅菌後5日以内に水で充填し、そして保存後に評価した。70℃で2日間の保存(これは、25℃で少なくとも2年間の保存と近似するようである)後、溶液pHはUSP制限内に維持され、そして電子ビーム線量によって変化した。溶液のpHは、20kGyで6.02、30kGyで5.43、そして40kGyで5.15であった。40℃で3ヶ月の保存後、1mLの水で充填されたシリンジ本体は、20kGyの電子ビーム照射で5.53のpH値、および40kGyで5.25のpH値を生じた。
【0063】
電子ビーム照射滅菌後、直ぐに(照射の15分以内に)シリンジ本体を充填するプロセスは、小さいシリンジ容積において注射用滅菌水のpHを維持する際の要因として同定された。プラスチックシリンジ本体を、25kGyの電子ビーム照射で滅菌し、そして照射後種々の時間間隔で水を充填した。次いで、シリンジ本体を、周囲温度で2日間および70℃で2日間、別々に保存した。保存後に、溶液pHを試験した。結果は、直ぐに充填したシリンジ本体は、照射後2日目および6日目に充填したシリンジ本体よりも、実質的に高い溶液pHを有することを示した。
【0064】
この研究を繰り返し、そして結果を、電子ビームおよびガンマ線の両方を照射したプランジャーで確認した;従って、小容量の注射用滅菌水を充填したポリマー性シリンジ本体についての製品保存期間は、電子ビーム照射を受けた直後(すなわち、電子ビーム照射の15分以内)に、電子ビーム照射したポリマー性シリンジ本体を充填することによって、溶液pHに関して延長され得る。直ぐに充填することは、特に、シリンジ本体がイオン化照射が非経口溶液のpH変化を導き得るフリーラジカルの形成を引き起こす材料から作製される場合、照射の間にシリンジ本体の表面に形成されるフリーラジカルをクエンチすると考えられている。電子ビーム照射の結果として材料が酸化される場合、酸化した物質は、時間がたつにつれて、シリンジの内容物へと漏出し得る。また、水の過酸化水素レベルが測定され、非常に低い(<50ppb)ことが示されている。従って、プラスチックシリンジ本体によって引き起こされるpH変化を減少させることによって、製品の保存期間を延長させる。
【0065】
以下の表は、この研究の結果を要約する:
(表1:プラスチックシリンジ本体の電子ビーム処理直後のSWFI充填)
【0066】
【表1a】
Figure 2004537340
【0067】
【表1b】
Figure 2004537340
本発明は、本発明の精神または中心的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施され得ることが理解される。従って、本発明の実施形態は、限定としてではなく例示として全ての点で考慮されるべきであり、そして本発明は、本明細書中に与えられる詳細に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、シリンジ本体の図である。
【図2】図2は、本発明の方法のフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の方法の第2の実施形態のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の方法の第3の実施形態のフローチャートである。
【図5】図5は、本発明のシリンジ内の滅菌注射用水のpHの傾向を、充填の日数に対して示すプロットである。

Claims (35)

  1. 流動可能な材料容器であって、以下:
    環式オレフィン含有ポリマーまたは架橋多環式オレフィン含有ポリマーの本体であって、該本体は、流動可能な材料を含むようなチャンバを規定し、該チャンバは、開口部を有する、本体;
    該本体に装着され、そして該チャンバにシールを提供する、エラストマー成分、
    を備え、
    ここで、該本体は、注射に適切な1mlの水が充填され、該エラストマー成分で密閉され、そして3ヶ月間保管された場合に、該水中に4ppm未満の塩化物を生じる、
    流動可能な材料容器。
  2. 前記本体が、シリンジ本体である、請求項1に記載の容器。
  3. 前記エラストマー成分が、プランジャーシールである、請求項2に記載の容器。
  4. 前記エラストマー成分が、合成ゴムである、請求項1に記載の容器。
  5. 請求項4に記載の容器であって、前記合成ゴムが、スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、ウレタンゴム、ステレオゴム、エチレン−プロピレンエラストマーからなる群から選択される、容器。
  6. 前記合成ゴムが、ハロゲン置換基を有する、請求項5に記載の容器。
  7. 前記合成ゴムが、ハロゲン化ブチルゴムである、請求項6に記載の容器。
  8. 前記合成ゴムが、クロロブチルベースのエラストマーである、請求項7に記載の容器。
  9. 流動可能な材料容器であって、以下:
    ノルボルネンのホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーの本体であって、該本体は、流動可能な材料を含むようなチャンバを規定し、該チャンバは、開口部を有する、本体;および
    該開口部にシールを提供するエラストマー成分であって、該成分は、ブチルゴムである、エラストマー成分、
    を備える、流動可能な材料容器。
  10. 前記本体が、ノルボルネンのホモポリマーである、請求項9に記載の容器。
  11. 前記本体が、ノルボルネンのコポリマーである、請求項9に記載の容器。
  12. 請求項11に記載の容器であって、前記ノルボルネンのコポリマーが、2〜10個の炭素を有するα−オレフィン、芳香族炭化水素、環式オレフィンおよび架橋多環式オレフィンからなる群から選択されるコポリマーを有する、容器。
  13. 前記コモノマーが、エチレンである、請求項12に記載の容器。
  14. 前記ブチルゴムが、ハロゲン化される、請求項9に記載の容器。
  15. 前記成分が、クロロブチルエラストマーである、請求項14に記載の容器。
  16. 前記成分が、本質的に、ラテックスを含まない、請求項15に記載の容器。
  17. 前記成分が、100%、ラテックスを含まない、請求項15に記載の容器。
  18. シリンジであって、以下:
    ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、該本体は、水を含有するためのチャンバを規定し、該チャンバは、開口部を有する、シリンジ本体;および
    該開口部を密閉する、ハロブチルベースのエラストマーのプランジャーシール、
    を備える、シリンジ。
  19. 請求項18に記載のシリンジであって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約70℃〜約200℃の熱変形温度を有する、シリンジ。
  20. 請求項18に記載のシリンジであって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約75℃〜約150℃の熱変形温度を有する、シリンジ。
  21. 請求項18に記載のシリンジであって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約76℃〜約149℃の熱変形温度を有する、シリンジ。
  22. シリンジであって、以下:
    ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、該本体は、水を含有するためのチャンバを規定し、そして該チャンバは、開口部を有する、シリンジ本体;
    該開口部を密閉する、ハロブチルベースのエラストマーのプランジャーシール、
    を備え、
    ここで、該シリンジは、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する全ての要件を満たしている、
    シリンジ。
  23. 注射シリンジのための滅菌水であって、以下:
    ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、該本体は、水を含有するチャンバを規定し、該チャンバは、開口部を有する、シリンジ本体;
    該開口部の流体密封を形成する、ハロブチルベースのエラストマーのプランジャーシール、
    を備え、
    ここで、該シリンジは、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する全ての要件を満たしている、
    滅菌水。
  24. 前記プランジャーシールが、クロロブチルベースのエラストマーである、請求項23に記載のシリンジ。
  25. 請求項24に記載のシリンジであって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約70℃〜約200℃の熱変形温度を有する、シリンジ。
  26. 請求項24に記載のシリンジであって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約75℃〜約150℃の熱変形温度を有する、シリンジ。
  27. 請求項24に記載のシリンジであって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約76℃〜約149℃の熱変形温度を有する、シリンジ。
  28. 前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、121℃のオートクレーブ中で滅菌可能である、請求項24に記載のシリンジ。
  29. シリンジを充填するための方法であって、該方法は、以下:
    ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、開口部を有するシリンジ本体を提供する、工程;
    滅菌されたシリンジ本体を規定するために、該シリンジ本体を滅菌する、工程;
    該滅菌されたシリンジ本体を滅菌環境に移動させる一方で、該滅菌されたシリンジ本体の滅菌を維持する、工程;
    該滅菌されたシリンジ本体に、適切な量の注射用滅菌水を充填する、工程;
    注射シリンジ用の滅菌水を規定するために、該開口部をハロブチルベースのエラストマーのエラストマー成分で密閉する、工程、
    を包含し、
    ここで、該注射シリンジ用の滅菌水は、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する要件を満たしている、
    方法。
  30. 請求項29に記載の方法であって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約70℃〜約200℃の熱変形温度を有する、方法。
  31. 請求項29に記載の方法であって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約75℃〜約150℃の熱変形温度を有する、方法。
  32. 請求項29に記載の方法であって、前記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが、0.45Mpaにおいて、約76℃〜約149℃の熱変形温度を有する、方法。
  33. 前記ハロブチルベースのエラストマーが、クロロブチルベースのエラストマーである、請求項32に記載の方法。
  34. 請求項29に記載の方法であって、前記移動させる工程が、滅菌ステーションから前記滅菌環境に、前記滅菌されたシリンジ本体を移動させる工程を包含し、ここで、該滅菌されたシリンジ本体が、滅菌周囲環境に曝露される、方法。
  35. シリンジを充填するための方法であって、該方法は、以下:
    ノルボルネンとエチレンとのコポリマーのシリンジ本体であって、開口部を有するシリンジ本体を提供する、工程;
    滅菌されたシリンジ本体を規定するために、該シリンジ本体を滅菌する、工程;
    該滅菌されたシリンジ本体を滅菌環境に移動させる一方で、該滅菌されたシリンジ本体の滅菌を維持する、工程;
    該滅菌されたシリンジ本体に、適切な量の注射用滅菌水を即時に充填する、工程;
    注射シリンジ用の滅菌水を規定するために、該開口部をハロブチルベースのエラストマーのエラストマー成分で密閉する、工程、
    を包含し、
    ここで、該注射シリンジ用の滅菌水は、米国薬局型の、注入用滅菌水に関する要件を満たしている、
    方法。
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