JP2004537313A - 細胞内のプロテアーゼ活性を検出する方法 - Google Patents

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Abstract

細胞内の活性型プロテアーゼの存在を検出するための方法および組成物が提供される。本発明の方法の特徴は、プロテアーゼ検出融合タンパク質が、関心対象であるプロテアーゼ活性の検出に使用されることである。プロテアーゼ検出融合タンパク質は、第一細胞内局在ドメインが第二細胞内局在ドメインより優位である、プロテアーゼ切断ドメインで分離される第一および第二細胞内局在ドメインを含む。本発明の方法で使用されるプロテアーゼ検出融合タンパク質はさらに、プロテアーゼ切断ドメインと第二細胞内局在ドメインの間に位置する標識ドメインを有することによって特徴づけられる。本発明の方法を実践する上で、プロテアーゼ検出融合タンパク質は第一に、アッセイされる細胞の内部に提供される。適当な培養期間の後、標識ドメインの細胞内の位置が決定される。その位置は、関心対象であるプロテアーゼの活性が細胞内に存在するかしないかを示す。本発明の方法を実践する上で使用するシステムおよびキットもまた提供される。本発明は、プロテアーゼ活性検出応用、薬剤スクリーニングとしての応用等を含む、様々な異なる応用において有用である。

Description

【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)項に従い、2001年7月31日に提出された米国特許仮出願第60/309,312号の提出日に対する優先権を主張する。その開示は参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
序文
発明の分野
本発明の技術分野は、プロテアーゼ、具体的にはそのアッセイ法である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
細胞内のプロテアーゼ活性の存在についてのアッセイ法は、典型的には、細胞集団を可溶化すること、および、その可溶化物をプロテアーゼの存在についてアッセイすることを伴う。これらのアッセイ法は、個々の細胞内の活性型プロテアーゼを検出することができない。これゆえ、そのようなアッセイ法で測定される酵素活性は、少数の細胞における非常に高いレベルの活性によるものである可能性、または、多数の細胞における低いレベルの活性によるものである可能性があるが、これらの可能性を区別することができない。さらには、現在利用できる方法は、細胞可溶化物をアッセイすることを伴うので、細胞は死滅し、さらなる研究に利用できない。
【0004】
個々の生細胞におけるプロテアーゼ活性の検出は、アポトーシス現象をモニターする、プロテアーゼをコードする遺伝子の発現に対する特定因子の効果を決定する、および、プロテアーゼ活性に対する薬剤の効果を決定する、というような多くの応用において関心対象とされている。特に、細胞が生きたままであり、さらなる研究に利用できることは、多くの応用にとって関心対象である。このように、当技術分野において、それぞれの細胞における活性型プロテアーゼの存在を検出する方法が必要である。本発明は、この必要性に対処するものである。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
細胞内の活性型プロテアーゼの存在を検出する方法および組成物が提供される。本発明の方法の特徴は、プロテアーゼ検出融合タンパク質が、関心対象のプロテアーゼ活性を検出するために使用されることである。プロテアーゼ検出融合タンパク質は、プロテアーゼ切断ドメインによって分断される第一および第二の細胞内局在ドメインを含み、第一細胞内局在ドメインは第二のものより優位である。本発明の方法で使用されるプロテアーゼ検出融合タンパク質は、プロテアーゼ切断ドメインと第二細胞内局在ドメインとの間に位置する標識ドメインを有することによってさらに特徴づけられる。本発明の方法を実践する上で、プロテアーゼ検出融合タンパク質は最初に、アッセイされる細胞の内部に提供される。適当な培養期間の後、標識ドメインの細胞内局在が決定され、その局在は、関心対象であるプロテアーゼ活性が細胞内に存在するかしないかを示す。本発明の方法を実践に使用するためのシステムおよびキットもまた提供される。本発明は、プロテアーゼ活性検出、薬物スクリーニングとしての応用等を含む、様々な異なった応用における用途を提供する。
【0006】
定義
「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」という用語は、任意の長さのヌクレオチドの重合体型をさし、本明細書では置き換え可能に使用される。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体を含みうる。ヌクレオチドは、何らかの三次元構造を有し、既知または未知の何らかの機能を果たしていると考えられる。「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖、二本鎖、および三重らせん状分子を含む。「オリゴヌクレオチド」は一般に、一本鎖または二本鎖DNAの、約5から約100ヌクレオチドの間のポリヌクレオチドをさす。しかしながら、本開示の目的のためには、オリゴヌクレオチドの長さの上限はない。オリゴヌクレオチドはまた、オリゴマーまたはオリゴとして知られており、遺伝子から単離、または、当技術分野において既知の方法によって化学的に合成されうる。「ポリヌクレオチド」という用語は、特に、直線状DNA分子(たとえば制限酵素断片)、ウイルス、プラスミド、および染色体で見られる二本鎖DNAを含む。
【0007】
DNAの「コード配列」は、適当な調節配列の制御下に置かれたときにインビボでポリペプチドに転写・翻訳されるDNA配列である。コード配列の境界線は、5'(アミノ)末端での開始コドンおよび3'(カルボキシル)末端での翻訳終止コドンによって決定される。コード配列は、原核生物の配列、真核生物のmRNAからのcDNA、真核生物(たとえば、哺乳類)のDNAからのゲノムDNA配列、および、合成のDNA配列を含みうるが、これに限定されない。ポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列が、コード配列の3'末端に位置していてもよい。
【0008】
本明細書で置き換え可能に使用される「DNA調節配列」および「調節因子」という用語は、宿主細胞において、コード配列の発現および/またはコードされているポリペプチドの生成を、提供および/または調節する、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナル等の、転写・翻訳制御配列をさす。
【0009】
「プロモーター配列」とは、細胞内においてRNAポリメラーゼを結合し、下流(3'方向)のコード配列の転写を開始させることが可能なDNA調節領域である。本発明を定義する目的では、プロモーター配列は、その3'末端で転写開始点につながっており、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始するために必要な最小の数の塩基または因子を含むように上流(5'方向)に延びている。プロモーター配列中には、RNAポリメラーゼの結合を招くタンパク質結合領域、ならびに転写開始点が見られる。真核生物のプロモーターは、常ではないが、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。誘導性プロモーターを含む様々なプロモーターが、発現を誘導することに使用されうる。
【0010】
外来または異種のDNAが細胞内に導入されると、細胞は、そのようなDNAによって「形質転換され」または「形質移入され」る。形質転換DNAは、細胞のゲノムに組み込まれ(共有結合され)ていても、そうでなくてもよい。たとえば、原核生物、酵母、および哺乳類細胞では、形質転換DNAは、プラスミドのようなエピソーム因子で維持されうる。真核細胞に関して、安定的に形質転換された細胞とは、形質転換DNAが染色体複製を通して娘細胞によって遺伝されるように染色体に組み込まれているものである。この安定性は、形質転換DNAを含む娘細胞集団からなる細胞系またはクローンを樹立する真核細胞の能力によって実際に示される。
【0011】
本明細書に記載されるアミノ酸は、「L」異性体型として存在することが好ましい。アミノ酸配列は一文字コードで与えられる(A:アラニン;C:システイン;D:アスパラギン酸;E:グルタミン酸;F:フェニルアラニン;G:グリシン;H:ヒスチジン;I:イソロイシン;K:リジン;L:ロイシン;M:メチオニン;N:アスパラギン;P:プロリン;Q:グルタミン;R:アルギニン;S:セリン;T:スレオニン;V:バリン;W:トリプトファン;Y:チロシン;X:任意の残基)。NH2は、ポリペプチドのアミノ末端にある遊離アミノ基をさす。COOHは、ポリペプチドのカルボキシル末端にある遊離カルボキシル基をさす。標準ポリペプチド命名法と一致する、J Biol. Chem.、243 (1969)、3552-59が使用される。
【0012】
本明細書で使用される「宿主細胞」とは、微生物もしくは真核生物、または、組み換えベクターもしくは他の導入ポリヌクレオチドのレシピエントとして使用されうるもしくは使用されている単細胞体として培養された細胞系を意味し、形質移入された最初の細胞の子孫を含む。単一細胞の子孫は、自然の、偶発的な、または計画的な変異の結果、形態学的に、または、ゲノムDNAもしくは総DNAの相補性において、最初の親細胞とは必ずしも完全に同一ではないことが理解される。
【0013】
組み換えベクター(本明細書で「構築物」とも呼ばれる)は、たとえば、単離された細胞(たとえば、インビトロで培養された細胞)のような細胞内へ、「導入され」る。すなわち、構築物は、形質転換、形質移入、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクション、感染等を含むがこれに限定されない、任意の既知の方法を使用して細胞に入れられる。
【0014】
具体的な態様の説明
細胞内の活性型プロテアーゼの存在を検出する方法および組成物が提供される。本発明の方法の特徴は、プロテアーゼ検出融合タンパク質が、関心対象のプロテアーゼ活性を検出するために使用されることである。プロテアーゼ検出融合タンパク質は、プロテアーゼ切断ドメインによって分断される第一および第二の細胞内局在ドメインを含み、第一細胞内局在ドメインは第二のものより優位である。本発明の方法で使用されるプロテアーゼ検出融合タンパク質は、プロテアーゼ切断ドメインと第二細胞内局在ドメインとの間に位置する標識ドメインを有することによってさらに特徴づけられる。本発明の方法を実践する上で、プロテアーゼ検出融合タンパク質は最初に、アッセイされる細胞の内部に提供される。適当な培養期間の後、標識ドメインの細胞内局在を決定し、その局在により、関心対象であるプロテアーゼ活性が細胞内に存在するかしないかが示される。本発明の方法を実践に使用するためのシステムおよびキットもまた提供される。本発明は、プロテアーゼ活性検出、薬物スクリーニングとしての応用等を含む、様々な異なった応用における用途を提供する。
【0015】
本発明がさらに記載される前に、本発明は、当然変化しうるものとして、記載される特定の態様に制限されないことが理解されなければならない。本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ制限されるので、本明細書で使用される用語は、特定の態様を記載する目的のみのものであり、限定することを意図しないこともまた理解されなければならない。
【0016】
数値範囲が提供される場合、文脈により他に明確に指示されていない限り、その範囲の上限値と下限値との間にある値、および、他に記載された数値またはその記載された範囲内にある値は、それぞれ、下限値の10分の1の単位まで、本発明に包含されることが理解される。より狭いこれらの範囲の上限値および下限値は、記載された範囲内で具体的に除外される任意の制限に従って、より狭い範囲に独立して含まれ得、これもまた本発明に包含される。記載された範囲が制限の一つまたは両方を含む場合、含まれる制限のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0017】
他に定義されないかぎり、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと同様または同等であるいかなる方法および材料も本発明の実践および試験に使用されうるが、好ましい方法および材料が、これから記載される。本明細書に記載されたすべての刊行物は、その刊行物が引用されるところに関連する方法および/または材料を開示および記載するために、参照として本明細書に組み入れられる。
【0018】
文脈により他に明確に示されてない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「a」、「an」、および「the」は、複数の指示物を含むことに注意されたい。したがって、たとえば「プロテアーゼ(a protease)」という言及はそのような複数のプロテアーゼを含み、「蛍光タンパク質(the fluorescent protein)」という言及は、一つまたはそれ以上のタンパク質および当業者に知られているその等価物等への言及を含む。
【0019】
本明細書に論じられる刊行物は、本願の提出日の前の開示についてのみ提供される。本明細書において、本発明が先行発明によるそのような公開より日時が前である資格がないことの自認として解釈されるものではない。さらには、提示された公開日は、実際の公開日とは異なる可能性があり、個々に確認する必要があるかもしれない。
【0020】
本発明をさらに記載する上で、そこで使用される融合タンパク質の組成物はもちろん、プロテアーゼを検出する方法を、最初に非常に詳細に記載する。そして、本発明の方法を実践する上で有用なシステムおよびキットの説明に加えて、本発明の方法および組成物が用いられる代表的な応用の説明をする。
【0021】
細胞内の活性型プロテアーゼを検出する方法および組成物
ここまでに説明したように、本発明は、真核細胞等の細胞内の活性型プロテアーゼの存在を検出するための方法および組成物を提供する。その方法は概して、アッセイされる細胞の細胞質ゾルにプロテアーゼ検出融合タンパク質を提供し、それから、適当な培養期間のあと、プロテアーゼ検出融合タンパク質の標識ドメインの細胞内局在を決定することを含む。ここで、標識ドメインの細胞内局在が、関心対象であるプロテアーゼ活性がその細胞に存在するか否かを示す。さらに本発明の方法を記載する上で、本発明の方法で使用されているプロテアーゼ検出融合タンパク質が最初に記載され、そして、検出融合タンパク質が本発明の方法でどのように使用されているかという、より詳細な説明が続く。
【0022】
プロテアーゼ検出融合タンパク質
本発明の方法で使用されるプロテアーゼ検出融合タンパク質は、第一および第二の細胞内局在ドメインを含むタンパク質である。第一細胞内局在ドメインは第二細胞内局在ドメインより優位である。
【0023】
第一および第二細胞内局在ドメインは、タンパク質を特定の細胞内の場所へ移行させるドメインである。関心対象である細胞内の場所は、以下を非制限的に含む。核、細胞質ゾル、原形質膜、細胞小器官、たとえば、ミトコンドリア、小胞体(たとえば粗面、滑面)、ゴルジ体など。
【0024】
「優位」とは、第一および第二細胞内局在ドメインが同一の融合タンパク質上に存在するときに、その融合タンパク質が、第一細胞内局在ドメインの標的である細胞内の場所に位置付けられることを意味する。言い換えれば、両方の局在ドメインが同一の融合タンパク質に存在するとき、第一細胞内局在ドメインは、融合タンパク質が移動する場所を制御する、すなわち、融合タンパク質は、第一細胞内局在ドメインの標的である場所に移動する。
【0025】
本発明のプロテアーゼ検出融合タンパク質は、第一および第二細胞内局在ドメインがプロテアーゼ切断ドメインによって分断されることでさらに特徴づけられる。加えて、第一および第二細胞内局在ドメインが互いに分断されるようにプロテアーゼによって融合タンパク質が切断されようがされまいが、標識ドメインが常に第二細胞内局在ドメインにつながっているように、標識ドメインがプロテアーゼ切断ドメインと第二細胞内局在ドメインとの間に位置する。
【0026】
このように、本発明の融合タンパク質は、第一および第二局在ドメイン、プロテアーゼ切断ドメイン、ならびに標識ドメインを含む。本発明のプロテアーゼ検出融合タンパク質のこれらの構成要素のそれぞれは、これから別個に、より詳細に記載される。
【0027】
第一細胞内局在ドメイン
これまで示したように、第一細胞内局在ドメインは、タンパク質を方向付ける、すなわち、タンパク質を第一の細胞内位置に標的化するドメインである。関心対象である細胞内の場所には、以下を非制限的に含む。核、細胞質ゾル、原形質膜、細胞小器官、たとえば、ミトコンドリア、小胞体(たとえば粗面、滑面)、ゴルジ体など。第一細胞内局在ドメインの特徴は、融合タンパク質が第一および第二細胞内局在ドメイン両方を含むとき、第一細胞内局在ドメインの活性が融合タンパク質を制御するように、第二細胞内局在ドメインより優位であることである。
【0028】
ある態様では、第一細胞内局在ドメインは核外移行シグナルである。核外移行シグナルは、核から細胞質へのタンパク質の移行を指示する、長さ約10から約100アミノ酸の、全体的にロイシンリッチなアミノ酸部分である。様々なNESが報告されており、本発明の方法における融合タンパク質に使用されうる。たとえば、Ohnoら (1998) Cell 92: 327-336;HendersonおよびEleftheriou (2000) Experimental Cell Research 256: 213-224;および、Huangら (1993) Mol. Cell Biol. 13: 7476を参照されたい。NESの例には、CRMIタンパク質、ならびにHIV-1 Revタンパク質、EIBタンパク質、およびE4タンパク質のような様々なウイルスタンパク質において記載されるような、ロイシンリッチなアミノ酸ペプチド配列を含む(Ossareh-Nazari, B.ら (1997) Science 278: 141-4;Wolff, B. (1997) Chemistry and Biology 4: 139-47;Dobelstein, M. (1997) EMBO J. 16 (4): 4276-84);Fischerら (1995) Cell 82: 475-483。一つの非制限的な例として、アミノ酸配列(配列番号:01)を有する、MAPキナーゼキナーゼNESが使用される。
【0029】
第一細胞内局在ドメインは、特定の局在化配列の単一コピー、または、所与の局在化配列の二つ以上のコピー、または、第二細胞内局在ドメインの優位性を与えるために共に働く異なる局在化配列の二つ以上のコピーを含んでもよい。たとえば、本発明の方法に使用するための融合タンパク質は、一つのNESを含んでもよく、いくつかの態様では、一つよりも多いNES、たとえば二つ以上のNESをタンデムに含んでもよい。
【0030】
第二細胞内局在ドメイン
これまで示したように、第二細胞内局在ドメインは、タンパク質を方向付ける、すなわち、タンパク質を第二の細胞内位置に標的化するドメインである。関心対象である細胞内の場所には、以下を非制限的に含む。核、細胞質ゾル、原形質膜、細胞小器官、たとえば、ミトコンドリア、小胞体(たとえば粗面、滑面)ゴルジ体など。第二細胞内局在ドメインの特徴は、融合タンパク質が第一および第二細胞内局在ドメイン両方を含むときに、第二細胞内局在ドメインの活性が融合タンパク質を制御しないように、第一細胞内局在ドメインによって支配されていることである。
【0031】
ある態様において、第二細胞内局在ドメインは、核局在化シグナル(NLS)である。関心対象のNLSには、非制限的に以下を含む。
Figure 2004537313
核局在化シグナルの他の例は、RRMKWKK(配列番号:17(Moedeら(1999) FEBS Lett. 461: 229-234;ならびに、Boulikas (1993) Crit. Rev. Eukaryot. Gene Expr. 3: 193-227;Hsiehら (1998) J. Cell Biochem. 70: 94-109;TruantおよびCullen (1999) Mol. Cell. Biol. 19: 1210-1217;およびIrieら (2000) J. Biol. Chem. 275: 2647-2653に記載されている核局在化シグナルを含む。
【0032】
第二細胞内局在ドメインは、特定の局在性配列の単一コピー、または、所与の局在化配列の二つ以上のコピー、または、第一細胞内局在領域によって支配されない場合、第二の細胞内位置に標的化するために共に働く、異なる局在化配列の二つ以上のコピーを含んでもよい。たとえば、本発明の方法に使用するための融合タンパク質は、少なくとも一つのNLSを含み、いくつかの態様において、一つより多いNLS、たとえば二つ以上のNLS配列をタンデムに含む。
【0033】
プロテアーゼ切断部位
本発明のプロテアーゼ検出融合タンパク質において、第一および第二細胞内局在ドメインは、プロテアーゼ切断部位によって隔てられている。本発明の融合タンパク質において、第一と第二局在ドメインの間に位置するプロテアーゼ切断部位は、関心対象のプロテアーゼ、すなわちその活性が本発明の方法でアッセイされるプロテアーゼで切断されるものである。プロテアーゼ切断部位は概して、部位またはドメイン、すなわち約2から約20のアミノ酸残基配列、通常は約3から約20、しばしば約4または5から約15アミノ酸残基であり、この配列は、細胞質ゾル性プロテアーゼ、すなわち細胞の細胞質ゾルで活性なプロテアーゼで切断される。いくつかの態様において、プロテアーゼ切断部位のカルボキシルおよび/またはアミノ末端に、プロテアーゼの天然の基質において見られる、2から約12、または約4から約8個の付加的なアミノ酸が含まれる。
【0034】
関心対象の細胞質ゾル性プロテアーゼは、以下を含むが、これに限定されない:カスパーゼ;ウイルスプロテアーゼ;細菌性毒素;種々の細胞質ゾル性プロテアーゼ;「人工」プロテアーゼ;など。
【0035】
カスパーゼは、12を超える異なる哺乳動物ファミリーメンバーを有する多重遺伝子ファミリーを含むシステインプロテアーゼのクラスに属する。カスパーゼは、胚発生、炎症、および細胞死の間、鍵となる役割を演じる(概説として、Cell Death and Differentiation 1999、Vol 6、11を参照されたい)。カスパーゼファミリーの特定のメンバーによって切断された基質は、細胞死の間に起こる形態学的変化/現象の大部分の原因となる。ヒトにおけるアポトーシスの調節解除と疾病との関連は明確に立証されている。不十分なアポトーシスは、結果としてガンおよびリンパ球増殖性の疾患となりうる。一方、過剰な細胞死は、遺伝的に筋萎縮症とつながっていることが示されており、神経変性疾患、外傷、および脳卒中に寄与する因子であると考えられる。これゆえ、カスパーゼは、これまで述べた様々な疾病を治癒する場合に、主要な薬剤としての標的になる。一つの具体的な関心対象であるカスパーゼは、カスパーゼ3である。カスパーゼ3は、アポトーシスの間に始まるカスパーゼカスケードにおいて鍵となる役割を担うものの一つである。カスパーゼ3は、活性が高く、細胞基質範囲がより広いゆえに、「実行(executer)」カスパーゼと呼ばれている(Nicholsonら、1995、Nature 376;37-43;Tewariら、1995、Cell 81;801-809)。脳卒中の後、カスパーゼ3活性を特異的に阻害することにより、直接損傷を受けた組織のまわりの組織の、二次的損失の広がりを抑制できることが示されている。しかしながら、基質特異性および様々なアポトーシス経路との関わり合いがあるため、カスパーゼファミリーのすべてのメンバーが潜在的薬剤標的である。他の具体的な関心対象であるカスパーゼファミリーメンバーは、以下を含むが、これに限定されない。特に興味深いカスパーゼは、カスパーゼ2、カスパーゼ6、カスパーゼ8、およびカスパーゼ9などを含む。
【0036】
関心対象である細胞質ゾル性プロテアーゼの他のクラス、すなわち、細胞質ゾルに存在し、活性型である可能性があるプロテアーセは、レトロウイルスのプロテアーゼである。ウイルスにコードされているプロテアーゼによるGagおよびGag-Pro-Pol前駆体における特定の部位でのタンパク分解プロセッシングは、ウイルスの生活環で必須の段階である。プロテアーゼはタンパク分解プロセッシングにおいて中心的役割を有し、ウイルス複製の抑制物質のデザインのための重要な標的を提供する。通常、ウイルスプロテアーゼは、不活性型として発現され、十分に構築されて既に出芽したウイルス粒子で活性化される(WitteおよびBaltimore 1978;J. Virol.、26;750-761)。しかしながら、細胞質ゾルにおけるウイルスプロテアーゼの早期活性化が、HIV-1感染の間に見られている(KaplanおよびSwanstrom、1991、Proc. Natl. Acad. Sci.、88;4528-4532)。加えて、Gag-Pro-Pol前駆体の過剰発現もまた、細胞質ゾルにおけるプロテアーゼの早期活性化を引き起こす(Karacostasら、1993、Virology 145;280-292)。感染された細胞におけるプロセシングされたウイルスタンパク質の存在は、細胞質ゾルにおけるウイルスプロテアーゼ活性の存在を示す。従って、ウイルスプロテアーゼが細胞性タンパク質を切断する可能性もある。これゆえ、本発明の方法は、特にウイルスプロテアーゼによって認識および切断されるアミノ酸配列を含むように本発明を改変することによって、感染細胞の細胞質ゾルにおいてウイルスプロテアーゼ活性をモニターすることに使用されうる。従って、ある態様において、ウイルスプロテアーゼ切断部位は、本発明のプロテアーゼ検出融合タンパク質において関心対象である。
【0037】
さらに、関心対象であるプロテアーゼのもう一つの型は、細菌毒素のプロテアーゼである。破傷風およびボツリヌス毒素のような特定の細菌毒素は、プロテアーゼ活性を示す、すなわちタンパク分解性の活性を有する。哺乳類細胞の細胞質ゾル内のこれら毒素の存在は、原形質膜と分泌/シナプス小胞を融合するのに必須であるこれら小胞でのタンパク質の切断を引き起こす。原形質膜と小胞の融合を抑制することによって、主に神経伝達物質であるこれら小胞の中身が神経筋節接合部の細胞外間隙へ放出されず、神経細胞回路網と筋肉との間の伝達低下を引き起こす。これゆえ、細胞質ゾル性プロテアーゼ活性をもつ細菌毒素は、細胞質ゾルの細菌プロテアーゼの毒性効果を抑制する薬物を見出すための研究において、薬物標的として見なされうる。このように、ある態様において、プロテアーゼ切断部位は、細菌毒素のプロテアーゼ切断部位である。
【0038】
関心対象である他の細胞質ゾル性プロテアーゼ切断部位は以下を含むが、これに限定されない:細胞質ゾルアミノペプチダーゼのようなアミノペプチダーゼ(ロイシルアミノペプチダーゼ、たとえば、カテプシンIII;細胞質ゾル非特異的ジペプチダーゼ(DPPII)およびシステイングリシン-S-共役ジペプチダーゼのようなジペプチダーゼ;細胞質ゾルアラニルアミノペプチダーゼ;カルパイン;など。
【0039】
関心対象であるさらに別のプロテアーゼのクラスは、「人工プロテアーゼ」である。人工プロテアーゼは、キメラおよび/または切断型プロテアーゼとして定義される。これらのプロテアーゼは、細胞質ゾル中に内因的に存在するのではなく、特定の活性型プロテアーゼドメインを含み、細胞質ゾルにターゲッティングされている、操作されたタンパク質(融合および/または切断型タンパク質のいずれか)である。本発明が人工プロテアーゼのプロテアーゼドメインによって認識される特異的切断配列を含む場合は、細胞質ゾル中のそのような人工プロテアーゼの活性を本発明によってモニターすることができる。代表的な関心対象であるプロテアーゼドメインは以下を含むが、これに限定されない。細胞外または分泌性のプロテアーゼ、たとえば、基質メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼなど。これらの態様において、本発明の融合タンパク質のプロテアーゼドメインは、上述した特定の分泌性プロテアーゼのような分泌性プロテアーゼを含む、任意のプロテアーゼによって認識されうる。
【0040】
特定のタンパク分解切断部位は当業者に知られている。幅広く種々のものが知られ、たとえば、Handbook of Proteolytic Enzymes (1998) AJ Barrett、ND RawlingsおよびJF Woessner編、Academic Pressを含む文献に詳細に記載されている。タンパク分解切断部位は以下を含むが、これに限定されない。エンテロキナーゼ切断部位:(Asp)4Lys(配列番号:18 ファクターXa切断部位:Ile-Glu-Gly-Arg(配列番号:19 トロンビン切断部位、たとえば、Leu-Val-Pro-Arg-Gly-Ser(配列番号:20 レニン切断部位、たとえば、His-Pro-Phe-His-Leu-Val-Ile-His(配列番号:21 コラゲナーゼ切断部位、たとえば、X-Gly-Pro(Xは任意のアミノ酸);トリプシン切断部位、たとえば、Arg-Lys;以下を含むが、これに限定されない、ウイルス2Aまたは3Cプロテアーゼ切断部位のようなウイルスプロテアーゼ切断部位、ピコルナウイルス由来のプロテアーゼ2A切断部位(たとえば、Sommergruberら (1994) Virol. 198: 741-745を参照されたい)、A型肝炎ウイルス3C切断部位(たとえば、Schultheissら (1995) J. Virol. 69: 1727-1733を参照されたい)、ヒトライノウイルス2Aプロテアーゼ切断部位(たとえば、Wangら (1997) Biochem. Biophys. Res. Comm. 235: 562-566を参照されたい)、ピコルナウイルス3プロテアーゼ切断部位(たとえば、Walkerら (1994) Biotechnol. 12: 601-605を参照されたい;および、カスパーゼプロテアーゼ切断部位、たとえば、活性化されたカスパーゼ-3で認識および切断されるDEVD(配列番号:/)、ここで、この切断は二番目のアスパラギン酸残基の後ろで生じる。
【0041】
標識ドメイン
上述したような第一および第二細胞内局在ドメインとプロテアーゼ切断ドメインとに加えて、本発明のプロテアーゼ検出融合タンパク質はまた、標識ドメインを含む。標識ドメインは、融合タンパク質切断の際に第二細胞内局在ドメインと結合したままになっているように、融合タンパク質内に位置する。このように、標識ドメインは、プロテアーゼ切断部位と第二細胞内局在ドメインとの間に位置する。
【0042】
本発明のプロテアーゼ検出融合タンパク質の標識ドメインは、直接的または間接的に検出可能である。直接的に検出可能なドメインの例は、蛍光タンパク質などのようにそれ自身だけで直接的に検出可能なドメインである。間接的に検出可能なドメインの例は、シグナル産生システムの一つまたはそれ以上の付加的な構成成分により視覚化されて、検出可能になるドメインである。間接的に検出可能な標識ドメインの例は、抗体によって認識されるドメインまたはエピトープであり、ここで、抗体が融合タンパク質とともに存在するとき、検出可能な融合タンパク質を提供するために、抗体が融合タンパク質に結合する。検出抗体はそれ自身で直接的または間接的に検出可能であってよい。直接的に検出可能な抗体の例は、蛍光で標識された抗体、同位体で標識された抗体などである。間接的に検出可能な抗体の例は、直接標識された二次抗体、すなわち基質を直接的に検出可能な例えば色素生産性生成物等に変える酵素部分を含む抗体によって検出される抗体である。
【0043】
多くの態様において、標識ドメインは、蛍光タンパク質である。本明細書で用いられる「蛍光タンパク質」という用語は、適当な電磁放射線で励起されたとき蛍光を発する能力のある任意のタンパク質をさす。これは、そのアミノ酸配列が自然に生じるかまたは操作された(すなわち、変異体または類似体)蛍光タンパク質を含む。関心対象の蛍光タンパク質は以下を含むが、これに限定されない:(1)以下に記載されているようなAequoria victoria緑色蛍光タンパク質およびそのバリアント、米国特許第6,066,476号;第6,020,192号;第5,985,577号;第5,976,796号;5,968,750号;第5,968,738号;第5,958,713号;第5,919,445号;第5,874,304号;および第5,491,084号(これらの開示は参照として本明細書に組み入れられる)、また、国際公開公報第00/46233号、同第99/49019号、およびドイツ特許第197 18 640号にも記載されている;ならびに、以下を含むがこれに限定されないAnthozoa由来の蛍光タンパク質:(1)amFP485、cFP484、zFP506、zFP540、drFP585、dsFP484、asFP600、dgFP512、dmFP592(特許出願第10/006,922号に開示されている;この開示は参照として本明細書に組み入れられる);(2) hcFP640(特許出願第09/976,673号に開示されている;この開示は参照として本明細書に組み入れられる);(3) CgCP(特許出願第60/255,533号に開示されている;この開示は参照として本明細書に組み入れられる);(4) hcriGFP、zoanRFP、scubGFP1、scubGFP2、rfloRFP、rfloGFP、mcavRFP、mcavGFP、cgigGFP、afraGFP、rfloGFP2、mcavGFP、mannFP(特許出願第60/332,980号に開示されている;この開示は参照として本明細書に組み入れられる);など。
【0044】
プロテアーゼ検出融合タンパク質を使用する方法
これまで述べてきたプロテアーゼ検出融合タンパク質は、細胞内のプロテアーゼの活性を検出するために使用される。ここで、本発明の融合タンパク質を使用する方法は、典型的に以下の段階を含む。第一に、プロテアーゼ検出融合タンパク質が、プロテアーゼ活性をアッセイする細胞内に提供される。特に、融合タンパク質は、アッセイする細胞の細胞質ゾル内に提供される。融合タンパク質は、任意の使いやすいプロトコルを使用して細胞の細胞質ゾル内に提供されてよい。このように、融合タンパク質は、たとえば微量注入法などの、任意の使いやすいタンパク質導入プロトコルを使用して、細胞内に直接導入されうる。細胞内にタンパク質を注入するための多数の様々なプロトコルが、当業者に知られている。
【0045】
または、核酸、たとえば本発明の融合タンパク質のコード配列を含むベクターが、アッセイされる細胞内へ導入されてもよい。そしてそこで、コードされた融合タンパク質が、導入に続いて細胞内で発現される。本発明の方法で有用な代表的なベクターは、組み換えベクターおよび宿主細胞と題する以下の項目でより詳細に記載される。多くのそのような態様において、使用されるベクターは真核生物の発現ベクターであり、関心対象の代表的な発現ベクターは以下を含むが、これに限定されない:pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、pMAMneo、pMAMneo-LUC、pPURなど。
【0046】
一般に、発現カセットは、適当な条件下、すなわち、アッセイされる標的細胞内で、コードされる本発明の融合ポリペプチドの発現を提供するプラスミドとなる。発現ベクターは、典型的には、複製開始点およびその付随のシスに働く制御因子を含むレプリコンを含む。発現ベクターに存在しうる代表的なレプリコンは、pMB1、p15A、pSC101、およびColE1を含む。発現ベクターは、一般に、異種のタンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するプロモーター配列の近くに位置する使いやすい制限酵素切断部位を有する。
【0047】
加えて、発現ベクターはまた、ベクターにより形質転換されたクローンの検出を提供するマーカーも含みうる。種々のマーカーが知られており、それらがベクターに存在していてもよい。そのようなマーカーは、たとえば、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン(ネオマイシン)耐性といった抗生物質耐性を与えるもの、組織化学的な検出を提供するマーカーなどを含む。本発明の方法において使用されうる特定のベクターは、pBR322、pUC18、pUC19、pcDNAなどを含む。本発明の融合タンパク質生成物をコードする核酸の発現ベクターへの導入は、発現ベクターを切断して所望の生成物をコードするポリヌクレオチドを挿入することによって達成される。
【0048】
これらの態様において、発現ベクターは、本発明の融合ポリペプチドの産出のために、アッセイされる標的細胞に導入される。すなわち、アッセイされる標的細胞は、発現ベクターにより形質転換される。これらの態様における標的細胞の形質転換は、任意の都合のよい様式で達成されうる。形質転換の2つの代表的な方法は、二価陽イオンの形質転換組成物による処理、および電気的形質転換である。二価の陽イオン処理を経た形質転換において、宿主細胞は、典型的には、宿主細胞にベクターDNAを透過させるのに役に立つ、たとえばCaCl2のような、一つまたはそれ以上の二価の陽イオンとともに培養される(Cohenら (1972) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 69: 2110を参照されたい)。また、宿主細胞と共に培養されうる他の薬剤は、DMSO、還元剤、ヘキサミンコバルトなどを含む。このような薬剤は、形質転換の効率を高めるのに役に立つ。電気的形質転換(エレクトロポレーション法による形質転換としても知られている)において、標的細胞は、ベクターが宿主細胞に入るのに十分な状態のベクターの存在下で、電気的パルスを受ける。Dowerら (1988) Nucleic Acids Research 16: 6127を参照されたい。いくつかの態様において、構築物は、安定して細胞内へ導入される(たとえば、構築物は細胞のゲノムに組み込まれる、または、染色体外要素として安定して維持される)。他の態様において、構築物は細胞内に一時的に維持される。
【0049】
さらに他の態様において、アッセイされる細胞は、プロテアーゼ検出融合タンパク質を発現するように前もって操作されているものである。細胞は、恒常的に融合タンパク質を発現するように、または、刺激に応答して融合タンパク質を発現するように操作されているものでもよい。
【0050】
これまで述べてきた3つのプロトコルは、プロテアーゼ活性をアッセイする細胞内に融合タンパク質を供給するための代表的なアプローチを提供したにすぎず、決して制限するものではない。
【0051】
これまで述べた、アッセイされる細胞内に融合タンパク質を提供する第一の段階に続いて、関心対象のプロテアーゼ活性が存在する場合に融合タンパク質がその対応するプロテアーゼ活性によって切断されるのに十分な期間、細胞は維持される。プロテアーゼ活性が所与の融合タンパク質のプロテアーゼ切断ドメインを切断するならば、プロテアーゼ活性は所与の融合タンパク質に対応している。すなわち、融合タンパク質は、対応するプロテアーゼによって切断されるように作られている。培養期間は、細胞の性質、融合タンパク質およびその対応するプロテアーゼの性質に依存して変わりうる。典型的には、この培養期間は、少なくとも約1分間、時に少なくとも約5分間、しばしば少なくとも約10分間である。多くの態様において、培養期間は、少なくとも約1時間、6時間、12時間、1日、2日などである。培養温度は、変わりうるが、典型的には、約30から約40℃の間であり、通常約35から38℃の間である。
【0052】
これまで述べた培養期間に続いて、細胞内において標識ドメインの細胞内位置が決定される。細胞内ドメインの場所は、任意の使いやすいプロトコルを使用して決定される。使用されるプロトコルは、融合タンパク質の標識ドメインの性質による必要がある。たとえば、標識ドメインが直接的に検出可能な蛍光タンパク質である場合、たとえば従来の蛍光顕微鏡法といった、任意の使いやすい蛍光タンパク質イメージングプロトコルが使用されうる。
【0053】
一旦標識ドメインの細胞内の場所が同定または決定されると、細胞内の場所に関する情報はその後、細胞内の関心対象であるプロテアーゼの活性または活性の欠如を決定することに使用される。たとえば、標識ドメインが、培養期間の後、第一の細胞内の場所に存在する場合、細胞は、関心対象であるプロテアーゼ活性を欠如していると決定される。なぜなら、融合タンパク質の切断が起こらず、融合タンパク質のすべてが、優位の第一細胞内局在ドメインの指示によって、最終的に第一の細胞内の場所に位置するからである。または、培養期間の後に、標識ドメインが第二の細胞内の場所に現れる場合、細胞が関心対象のプロテアーゼを含むと決定される。なぜなら、融合タンパク質が切断され、その結果、第一および第二局在ドメインがお互いから離れ、標識ドメインを第二の細胞内の場所に移行するためである。
【0054】
これまで述べたアッセイ法は、以下のことに使用できるように、定性的でも定量的でもよい:(a)関心対象のプロテアーゼが細胞内にあるかどうかの質問に対する、単純なはい/いいえの答えを得るため;ならびに、(b)たとえば、関心対象のプロテアーゼ活性を含むおよび/または含まない対照細胞と比較することによって、第一および第二の位置に存在するシグナルの量を見ることによって、また、これらの量と細胞内のプロテアーゼの活性とを関連づけることなどによって、どのくらいプロテアーゼ活性が細胞内にあるのか、少なくとも半定量的な決定を得るため。
【0055】
上で示したように、いくつかの態様において、本方法は、核外移行シグナル(NES)、たとえば蛍光タンパク質のような標識ドメイン、核局在化シグナル(NLS)、および、活性のあるプロテアーゼに対する切断認識部位を含む融合タンパク質をコードする構築物の真核細胞への導入を含む。融合タンパク質の細胞質から核への移行(プロテアーゼが細胞質に局在する場合)、または、核から細胞質への移行(プロテアーゼが核に局在する場合)は、細胞内に活性型プロテアーゼが存在することを意味する。本発明の方法の例は、図1に模式的に描かれている。
【0056】
いくつかの態様において、活性のあるプロテアーゼが融合タンパク質の残りの部分からNESを切断するように、プロテアーゼ切断部位はNESに隣接して位置する。これらの態様において、NESは融合タンパク質においてNLSよりも優位であり、このため、融合タンパク質は、プロテアーゼ切断部位を認識する活性プロテアーゼの作用を受けるまで、細胞質に残ったままとなる。一旦NESが活性のあるプロテアーゼの作用により除去されると、融合タンパク質は核内へ移行する。
【0057】
他の態様において、活性のあるプロテアーゼが融合タンパク質の残りの部分からNLSを切断するように、プロテアーゼ切断部位はNLSに隣接して位置する。これらの態様において、NLSは融合タンパク質でNESより優位であり、このため、融合タンパク質は、プロテアーゼ切断部位を認識する核内で活性のあるプロテアーゼの作用を受けるまで、核内に残ったままである。一旦NLSが活性のあるプロテアーゼの作用により除去されると、融合タンパク質は細胞質内へ移行する。
【0058】
個々の細胞は、活性のあるプロテアーゼの存在について解析することができる。関心対象の細胞は、核を有する任意の細胞を含み、以下の細胞を含むがこれに限定されない:酵母細胞;真菌細胞;カエル細胞(たとえば、アフリカツメガエルXenopus laevis)、魚類細胞(たとえば、ゼブラフィッシュ)、線虫Caenorhabditis elegans、昆虫細胞、および哺乳類細胞(たとえば、HEK293細胞、NIH3T3細胞、COS細胞、などを含むがこれに限定されない動物細胞;ならびに、単子葉および双子葉植物を含む植物細胞(たとえば、シロイヌナズナArabidopsis)。蛍光タンパク質の細胞内局在は、任意の既知の方法を使用して決定でき、一般に、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡などを使用して細胞の視覚的観察によって実行される。そのような視覚的検出システムを使用して、プロテアーゼ活性は、生きている細胞においてリアルタイムで検出できる。
【0059】
組み換えベクターおよび宿主細胞
本発明はさらに、本発明の方法において使用される組み換えベクター(「構築物」)、および、本発明の組み換えベクターを含む組み換え宿主細胞を提供する。組み換えベクターは、本明細書に記載されている融合タンパク質をコードする本発明のポリヌクレオチドを増幅するために有用である(クローニングベクター)。それらはまた、細胞内で本発明のポリヌクレオチドの発現を果たすためにも有用である(発現ベクター)。クローニングおよび発現機能の両方を達成するベクターもある。適当なベクターの選択は、当分野の技術範囲内である。多くのそのようなベクターが、商業的に利用できる。
【0060】
いくつかの態様において、組み換えベクターは、以下を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む:融合タンパク質の局在が第一の細胞内の場所になる第一局在化シグナル;たとえば蛍光タンパク質のような、標識ドメイン;融合タンパク質の局在が第二の細胞内の場所になる第二局在化シグナル(第一局在化シグナルは第二局在化シグナルより優位で、融合タンパク質は第一の細胞内の場所に位置する);および、第一局在化シグナルと融合タンパク質の残りの部分との間に位置する、活性型プロテアーゼによって認識されるプロテアーゼ切断部位(活性型プロテアーゼの存在下で、第一局在化シグナルは融合タンパク質の残りの部分から切断される)。
【0061】
いくつかの態様において、組み換えベクターは、5'から3'の順に、転写制御配列、NESをコードするヌクレオチド配列、制限酵素切断認識部位(プロテアーゼ切断部位をコードする配列の挿入のため)、蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列、および、NLSをコードするヌクレオチド配列を含む。他の態様において、組み換えベクターは、5'から3'の順に、転写制御配列、NLSをコードするヌクレオチド配列、蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列、制限酵素切断認識部位(プロテアーゼ切断部位をコードする配列の挿入のため)、および、NESをコードするヌクレオチド配列を含む。これらの態様の多くにおいて、NESは、NLSより優位である。
【0062】
他の態様において、組み換えベクターは、5'から3'の順に、転写制御配列、NESをコードするヌクレオチド配列、プロテアーゼ切断部位をコードするヌクレオチド配列、蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列、およびNLSをコードするヌクレオチド配列を含む。他の態様において、組み換えベクターは、5'から3'の順に、転写制御配列、NLSをコードするヌクレオチド配列、蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列、プロテアーゼ切断部位をコードしているヌクレオチド配列、および、NESをコードするヌクレオチド配列を含む。これらの態様の多くにおいて、NESは、NLSより優位である。
【0063】
組み換えベクターは、典型的には、さらに、選択可能なマーカー(たとえば、抗生物質耐性)をコードするヌクレオチド配列、および複製開始点(たとえば、真核細胞における維持のため、または原核細胞における増幅のためのもの)を含む。
【0064】
発現のために、発現カセットが使用されうる。発現ベクターは、誘導性でも構成性でもよい転写および翻訳開始領域を提供する。ここで、コード領域は、転写開始領域ならびに転写および翻訳終結領域の転写制御の下、機能的に連結している。これらの制御領域は、対象の遺伝子に天然にあるものであってもよく、外来性の供給源に由来するものであってもよい。
【0065】
発現ベクターは、一般に、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するための、プロモーター配列のそばに位置する、都合のよい制限酵素切断部位を有する。発現宿主で働く選択可能なマーカーがあってもよい。発現ベクターは、融合タンパク質の生成に使用されうる。ここで、外来性の融合ペプチドは付加的な機能性を提供する。すなわち、タンパク質合成の増加、安定性、限定された抗血清に対する反応性、たとえばβ-ガラクトシダーゼのような酵素マーカーなどである。
【0066】
発現カセットは、転写開始領域、遺伝子またはその断片、および転写終結領域を含むように調製されうる。DNAの導入の後、構築物を含む細胞を、選択可能なマーカーを用いて選択し、細胞を成長させ、その後、発現に使用しうる。種々の宿主-ベクターシステムが、本発明のポリヌクレオチドを増幅および/または発現させるために利用できる。そのような宿主-ベクターシステムとは、それにより関心対象のコード配列が産出され続いて精製される媒体を意味し、また、適当なヌクレオチドのコード配列により形質転換または形質移入されて、本発明の融合ポリペプチドを生成しうる細胞も意味する。これらは、以下を含むが、これに限定されない。本発明のポリヌクレオチドを含む、組み換えバクテリオファージベクター、プラスミドDNA、またはコスミドDNAベクターにより形質転換された微生物(たとえば、大腸菌E.coli、枯草菌B.subtilis);本発明のポリヌクレオチドを含む組み換え酵母ベクターにより形質転換された酵母(たとえば、Saccharomyces、Pichia);本発明のポリヌクレオチドを含む組み換えウイルス発現ベクター(たとえばバキュロウイルスベクター、これらの多くは商業的に利用できる、たとえばpBacPAK8およびBacPAK6を含む)により感染された昆虫細胞系(たとえば、ヨトウムシSpodoptera frugiperda);植物細胞系;または、哺乳類のプロモーター(たとえば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳類細胞で複製するウイルス由来のプロモーター(たとえば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルスプロモーターなど)を含む組み換えベクターを保持する哺乳類細胞系(たとえば、COS、CHO、BHK、293、3T3)。
【0067】
本発明のポリヌクレオチドを増幅するために使用される原核生物のクローニングベクターの例は、pBR322、M13ベクター、pUC18、pcDNA、およびpUC19である。原核細胞における本発明のポリペプチドの発現に使用される原核生物の発現ベクターは、pTrc99A、pK223-3、pEZZ18、pRIT2T、およびpMC1871を含む。
【0068】
真核細胞における本発明のポリヌクレオチドおよび本発明の融合ポリペプチドの発現に使用される真核生物の発現ベクターは、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、pMAMneo、pMAMneo-LUC、pPURなどの、商業的に利用できるベクターを含む。
【0069】
一般に、発現カセットは、適当な条件下、すなわち宿主細胞内で、コードされる本発明の融合ポリペプチドの発現を提供するプラスミドとなる。発現ベクターは、典型的にはレプリコンを含み、それは複製開始点およびそれに関連するシスに働く制御因子を含む。発現ベクター上に存在しうる代表的なレプリコンは、pMB1、p15A、pSC101、およびColE1を含む。発現ベクターは一般に、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するプロモーター配列のそばに位置する都合のよい制限酵素切断部位を有する。
【0070】
加えて、発現ベクターはまた、典型的には、ベクターにより形質転換されたクローンの検出を提供するマーカーも含む。種々のマーカーが知られており、ベクター上に存在しうる。そのようなマーカーは、たとえば、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン(ネオマイシン)に対する耐性のような抗生物質耐性を与えるもの、組織化学的検出を提供するマーカーなどを含む。本発明の方法で使用されうる具体的なベクターは、pBR322、pUC18、pUC19、pcDNAなどを含む。本発明のペプチド生成物をコードする核酸の発現ベクターへの導入は、発現ベクターを切断し、所望の生成物をコードするポリヌクレオチドを挿入することによって達成される。
【0071】
核酸を含む発現ベクターの調製に続いて、発現ベクターは、本発明の融合ポリペプチドの生成のために適当な宿主細胞へ導入されることになる。すなわち、宿主細胞は、発現ベクターにより形質転換される。宿主細胞の形質転換は、任意の都合のよい手法で達成されうる。代表的な2つの形質転換の手段は、二価の陽イオンの形質転換組成物での処理、および電気的形質転換である。二価の陽イオン処理を通しての形質転換において、宿主細胞は、典型的には、一つまたはそれ以上の、たとえばCaCl2のような二価の陽イオンとともに培養する。これは、宿主細胞がベクターDNAに透過性を持つようにするのに働く。Cohenら (1972) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 69:2110を参照されたい。それと共に宿主細胞が培養されうる他の薬剤は、DMSO、還元剤、ヘキサミンコバルトなどを含み、そのような薬剤は、形質転換の効率を改善することに働く。電気的形質転換(エレクトロポレーションによる形質転換としても知られる)では、宿主細胞は、ベクターが宿主細胞に入るのに十分な状態であるベクター存在下で、電気的パルスを受ける。Dowerら (1988) Nucleic Acids Research 16: 6127を参照されたい。
【0072】
種々の宿主細胞が、本発明の融合ポリペプチドの生成に適しており、使用されうる。関心対象の具体的な発現システムは、細菌、酵母、昆虫細胞および哺乳類細胞に由来する発現システムを含む。これらのカテゴリーの各々に由来する代表的なシステムを、以下に示す。
【0073】
細菌
細菌の発現システムは、Changら、Nature (1978) 275:615;Goeddelら、Nature (1979) 281:544;Goeddelら、Nucleic Acids Res. (1980) 8:4057;欧州特許第0 036,776号;米国特許第4,551,433号;DeBoerら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1983) 80:21-25;および、Siebenlistら、Cell (1980) 20:269に記載されるものを含む。
【0074】
酵母
酵母の発現システムは、Hinnenら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA)(1978)75: 1929;Itoら、J. Bacteriol. (1983) 153:163;Kurtzら、Mol. Cell. Biol. (1986) 6:142;Kunzeら、J. Basic Microbiol. (1985) 25:141;Gleesonら、J. Gen. Microbiol. (1986) 132:3459;Roggenkampら、Mol. Gen. Genet.(1986)202:302;Dasら、J. Bacteriol. (1984) 158:1165;De Louvencourtら、J. Bacteriol. (1983) 154:737;Van den Bergら、Bio/Technology (1990) 8:135;Kunzeら、J. Basic Microbiol.(1985) 25:141;Creggら、Mol. Cell. Biol. (1985) 5:3376;米国特許第4,837,148号および第4,929,555号;BeachおよびNurse、Nature (1981) 300:706;Davidowら、Curr. Genet. (1985) 10:380;Gaillardinら、Curr. Genet. (1985) 10:49;Ballanceら、Biochem. Biophys. Res. Commun. (1983) 112:284-289;Tiburnら、Gene (1983) 26:205-221;Yeltonら、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA) (1984) 81:1470-1474;KellyおよびHynes、EMBO J. (1985) 4:475479;欧州特許第0 244,234号;国際公開公報第91/00357号に記載されるものを含む。
【0075】
昆虫細胞
昆虫における異種性遺伝子の発現は、米国特許第4,745,051号;Friesenら、The Molecular Biology Of Baculoviruses (1986)(W. Doerfler編)中の「The Regulation of Baculovirus Gene Expression」;欧州特許第0 127,839号;欧州特許第0 155,476号;および、Vlakら、J. Gen. Virol. (1988) 69:765-776;Millerら、Ann. Rev. Microbiol. (1988) 42:177;Carbonellら、Gene (1988)73:409;Maedaら、Nature (1985) 315:592-594;Lebacq-Verheydenら、Mol. Cell. Biol. (1988) 8:3129;Smithら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA)(1985)82:8844;Miyajimaら、Gene (1987) 58:273;および、Martinら、DNA (1988)7:99に記載されるように達成される。多数のバキュロウイルスの系統およびバリアントならびに宿主由来の対応する昆虫の許容宿主細胞は、Luckowら、Bio/Technology(1988) 6:47-55、Millerら、Generic Engineering (1986) 8:277-279、およびMaedaら、Nature (1985) 315:592-594に記載されている。
【0076】
哺乳類細胞
哺乳類の発現は、Dijkemaら、EMBO J. (1985) 4:761、Gormanら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) (1982) 79:6777、Boshartら、Cell (1985) 41:521、および米国特許第4,399,216号に記載されているように達成される。哺乳類の発現の他の特徴は、HamおよびWallace、Meth. Enz. (1979) 58:44、BarnesおよびSato、Anal. Biochem. (1980) 102:255、米国特許第4,767,704号、第4,657,866号、第4,927,762号、第4,560,655号、国際公開公報第90/103430号、国際公開公報第87/00195号、および米国RE30,985号に記載されているように促進される。
【0077】
植物細胞
植物細胞培養は、たとえば、Plant Cell Culture: A Practical Approach、(1995) R. A. DixonおよびR. A. Gonzales編、IRL Press、および米国特許第6,069,009号を含む、種々の刊行物に詳細に記載されている。
【0078】
有用性
本発明の方法は、活性型プロテアーゼの存在の検出が関心対象である、種々の応用における用途を提供する。そのような応用は、たとえば、特定のプロテアーゼが細胞内に存在するかしないかを決定するための、細胞内のプロテアーゼの活性をモニターすること;たとえば、特定のプロテアーゼの活性を変える薬剤を同定するための薬物スクリーニングとしての応用のための、プロテアーゼの活性における薬剤の効果をモニターすること;たとえば、関心対象の因子をコードする第二のベクターによる同時形質移入を経た、プロテアーゼをコードする遺伝子の発現に対する因子の効果を研究することなどを含むが、これに限定されない。
【0079】
このように、本発明の方法および組成物が用途を提供する一つの代表的な応用は、細胞内の関心対象のプロテアーゼ活性の検出におけるものである。プロテアーゼは、真核細胞において様々な過程を制御しているので、本発明の検出の応用は、特定のプロテアーゼに関係する細胞の特定の状態を決定することに使用されうる。たとえば、細胞における特定の活性型カスパーゼの存在は、細胞がアポトーシス現象を起こしていることを示す。加えて、プロテアーゼ検出の応用は、たとえば、細菌毒素のプロテアーゼの存在を検出することによる細菌病原体の感染の診断法、たとえば、細胞内のウイルス性プロテアーゼ活性の存在を検出することによるウイルス性病原体感染の診断法などを含む、診断的応用に使用されうる。
【0080】
本発明の方法および組成物が用途を提供する、もう一つの広範囲の応用カテゴリーは、所与のプロテアーゼに対する候補薬剤の効果を観察する応用におけるものである(たとえば、所与のプロテアーゼの活性を変えることができる薬剤の同定のための薬物スクリーニングとしての応用)。そのような応用において、本発明の融合タンパク質を含む細胞は、プロテアーゼの活性および/または発現を変える薬剤を同定するための薬物スクリーニングとしての応用において有用である。したがって、本発明は、プロテアーゼの活性および/または発現を変える薬剤を同定する方法を提供する。そのような薬剤は、所与のプロテアーゼの活性および/または発現を変えることに有用である。たとえば、アポトーシスの間に活性であるプロテアーゼの活性および/または発現を増加させる薬剤は、たとえば、ガン細胞のような望ましくない細胞におけるアポトーシスを誘導することに有用である。
【0081】
特にこの型の応用の方法は、本発明の融合タンパク質を保持する細胞と被験薬剤とを接触させる工程;および、存在する場合には、プロテアーゼの活性および/または発現に対する薬剤の効果を決定する工程を概して含む。そのようなアッセイ法で有用な細胞は、動物、植物、および酵母細胞を含み、哺乳類細胞系(たとえば、293細胞、COS細胞など)、昆虫細胞系(たとえば、ショウジョウバエDrosophila S2細胞など)、および植物細胞系を含むが、これに限定されない。
【0082】
様々な異なる候補薬剤(「被験薬剤」)は、本発明のスクリーニング法によってスクリーニングされうる。候補薬剤は、多数の化学的なクラスを含むが、典型的には、有機分子であり、50ダルトンより大きく約2,500ダルトンより小さい分子量を有する低分子有機化合物でありうる。候補薬剤は、たとえば水素結合のような、タンパク質との構造的な相互作用に必要な官能基を含み、少なくとも、アミン、カルボニル、ヒドロキシル、もしくはカルボキシル基、または、少なくとも2つの化学官能基を含みうる。候補薬剤は、一つまたはそれ以上の上述の官能基によって置換された、環状炭素もしくは複素環状構造、および/または、芳香族もしくは多芳香族構造を含んでもよい。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的アナログ、またはそれらの組み合わせを含む生体分子の中にも見出される。
【0083】
本明細書で「被験薬剤」とも呼ばれる候補薬剤は、合成または天然の化合物のライブラリーを含む、広く様々な供給源から得られる。たとえば、多数の手法が、ランダム化されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む、広く様々な有機化合物および生体分子のランダムおよび方向性のある合成に利用できる。または、細菌、真菌、植物、および動物抽出物の形をとっている天然の化合物のライブラリーが利用でき、あるいは容易に作製できる。加えて、天然または合成的に作製されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的、および生化学的手法を通して容易に改変され、コンビナトリアルライブラリーを作製することに使用されうる。既知の薬理学的薬剤は、構造的アナログを生成するために、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などのような方向性のあるまたはランダムな化学的改変を受けることが可能である。
【0084】
本明細書で使用される「プロテアーゼの活性および/または発現を変える薬剤」は、たとえば、合成または天然の有機または無機化合物、タンパク質、または医薬品のような、本明細書に記載されるような調節因子の活性を変化させる能力を伴う、任意の分子についていう。概して、多数のアッセイ混合液は、様々な濃度に対する異なる反応を得るために、異なる薬剤濃度で同時に実験される。典型的には、これらの濃度の一つは、陰性対照として使用される。すなわち、濃度0または検出レベル以下である。プロテアーゼの活性は、これまで述べたように、蛍光タンパク質の細胞内局在を決定することによって決定される。
【0085】
本発明の方法および組成物は、ハイスループットとしての応用へ使用されうる。たとえば、プロテアーゼの活性に対する薬剤のライブラリーの効果のハイスループットスクリーニングに関心がある場合、多数の被験細胞が、たとえば、マルチウェルプレートに提供されうる。それぞれの被験細胞は、ライブラリーの異なる薬剤にさらされ、そして、それぞれの薬剤は、細胞内の関心対象であるプロテアーゼ活性に対するその効果をモニターされる。他のハイスループット形式、たとえば、フローサイトメトリー形式、細胞に基づくハイスループットスクリーニング系プロトコルも可能である。たとえば、米国特許第5,989,835号、第6,103,479号、および第6,365,367号に記載されている。これらの開示は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0086】
システム
本発明の方法を実践する上で使用されるシステムもまた提供される。本発明のシステムは、これまで述べたような、プロテアーゼ検出融合タンパク質、または、たとえば適当なベクター上に存在するその核酸コード配列を、少なくとも含む。加えて、本発明のシステムは、アッセイされる細胞を含む。ある態様において、たとえばベクターがアッセイされる細胞内に存在するように、2つの構成成分が組み合わされている。さらに、他の態様において、その2つの構成成分は、たとえばシステムがまだ使用されない場合は、まだ組み合わされない。本発明のシステムの他の構成成分は、反応緩衝液、対照などを含むが、これに限定されない。
【0087】
キット
本発明の方法を実践する上で使用されるキットもまた、本発明によって提供される。ここで、本発明のキットおよび/またはシステムは、少なくとも本発明による融合タンパク質、または、たとえばこれまで述べたような融合タンパク質に対するコード領域を含むヌクレオチド配列を含む構築物に存在する、核酸を含む。上述の構成成分は、たとえば、緩衝液、典型的には適当な容器の中の適当な貯蔵培地に存在しうる。
【0088】
ある態様において、キットは、本発明の融合タンパク質をそれぞれコードする多数の異なるベクターを含む。ここで、ベクターは、異なる環境および/または異なる条件下における発現のためにデザインされている。たとえば、プロテアーゼ切断部位をコードするDNA断片の挿入のためのクローニングサイトを含むベクター;多数のベクターで、そのそれぞれが異なるプロテアーゼ切断部位のためのコード配列を含むものなど。
【0089】
一つより多い制限酵素切断部位が、「マルチクローニングサイト」が提供されるように、タンデムおよび/または部分的に重複している配列に提供されうる。組み換えベクターはさらに、プロモーター、翻訳開始部位、ポリアデニル化部位などの、原核または真核細胞におけるコード領域の発現を制御するための制御配列を含みうる。キットはさらに、適当な制限酵素、リガーゼ、および異種核酸分子を組み換えベクターへ挿入するための他の試薬を含みうる。
【0090】
キットはさらに、5'および/または3'突出末端を有する2本鎖核酸分子を含みうる。2本鎖核酸分子は、プロテアーゼ切断部位をコードするヌクレオチド配列を含み、2本鎖核酸分子の5'および3'末端は、適当な制限酵素で直線化されたこれまで述べたような組み換え構築物の突出末端と相補的な突出末端である。2本鎖核酸分子は、これまで述べたように構築物が融合タンパク質をコードするように、直線化した組み換え構築物に連結できる。
【0091】
キットは、組み換えベクターを増幅させる細菌、組み換えベクターを細菌の中へ導入する試薬、および組み換えベクターを含む細菌を選択するための試薬をさらに含みうる。
【0092】
上記の構成成分に加えて、本発明のキットはさらに、本発明の方法を実践するための使用説明書を含む。これらの使用説明書は、本発明のキットに様々な形で存在させてよく、その一つまたはそれ以上は、キットの中に存在させてもよい。これらの説明書が存在しうる一つの形は、適当な媒体または基板上に印刷された情報として存在することである。たとえば、キットの包装において、包装の添付文書においてなど、情報が印刷された一枚または複数枚の紙である。さらに、もう一つの手段は、たとえば、情報がその中に記録されている、ディスク、CDなどの、コンピュータで読み取り可能な媒体である。存在しうるさらにもう一つの手段は、離れたサイトの情報にインターネット経由でアクセスすることに使用されうるウェブサイトアドレスである。任意の都合のよい手段を、キット内に存在させうる。
【0093】
実験
以下の実施例は、本発明の作成法および使用法の完全な開示および記載を当業者に提供するように述べるものであり、発明者が自身の発明と考えるものの範囲を制限することを意図するのものではなく、また、以下の実験がすべてであることまたは行われる唯一の実験であることを示す意図のものでもない。使用される数(たとえば、量、温度など)に関し、正確であるよう努めているが、いくつかの実験上の誤差および偏差は考慮されるべきである。他に示していない限り、割合は重量による割合、分子量は分子量重量平均値、温度は摂氏度、および、圧力は大気圧または大気圧付近のものである。
【0094】
実施例1:NES-プロテアーゼ切断-NLS融合タンパク質を使用するカスパーゼ3アッセイ法
構築物を、以下を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むように作製した:アミノ末端からカルボキシル末端へ順番に、MAPキナーゼキナーゼのNES
Figure 2004537313
;内在性のカスパーゼ3基質ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP;Nicholsonら (1995) Nature 376:37-43;およびTewariら (1995) Cell 81:801-809)の切断部位で見られるアミノ酸部分に隣接するカスパーゼ3の認識部位(DEVD;配列番号:22)、切断認識部位は以下の配列を有する
Figure 2004537313
;増強された黄色蛍光タンパク質(EYFP);および、サルウイルスlarge T抗原由来のNLSの3つのタンデムリピート。この構築物において、NESはNLSより優位である。
【0095】
構築物を、哺乳類細胞へ形質移入した。具体的には、3T3細胞を、カバーガラス上で生育させ、これまで述べた融合タンパク質をコードするpCaspase3-sensor Vector(Clontechniques (April、2002)にさらに説明されている)により一過的に形質移入し、24時間生育させた。スタウロスポリン(700nM)を使用してアポトーシスを誘導し、誘導の4時間後にカスパーゼ3活性を検出した。3%のパラホルムアルデヒドで細胞を固定し、Zeiss顕微鏡を使用して顕微鏡写真を撮影した。
【0096】
カスパーゼ3が不活性の場合(たとえばスタウロスポリンで処理されていない細胞)、細胞質におけるEYFPの局在が観察された。しかしながら、スタウロスポリンでの誘導によってカスパーゼ3が活性な場合、NESは融合タンパク質から切断され、EYFPは核で検出された。
【0097】
上記のアッセイ法は、さらに図1に描かれている。
【0098】
実施例II.原形質膜局在ドメイン-プロテアーゼ切断-NES融合タンパク質を使用するカスパーゼ3アッセイ法
細胞質ゾル性プロテアーゼ活性をモニターする「読み取り」のような移行現象を使用する別の方法は、これまで述べたような優位のNESの代わりに、翻訳後のミリスチル化またはファルネシル化現象のためのシグナル配列を含むドメインを含む融合タンパク質を作成することである。この場合、ミリスチル化またはファルネシル化されたドメイン、プロテアーゼ切断部位、標識ドメイン、およびNLSを含む未切断の融合タンパク質は、原形質膜の内部の(細胞質ゾルの)リーフレットと関連していると思われる。関心対象のプロテアーゼの活性化に際して、タンパク質が切断され、原形質膜局在からNLSを含む標識ドメインを放出し、NLSがそれを核内へ移行させる。このアッセイ法は、さらに図2に描かれている。
【0099】
上の記述から、本発明は、読み取りとして蛍光タンパク質の移行を使用する、細胞における活性型プロテアーゼの存在を検出するための方法を提供することは明らかである。そのような方法は、さまざまな応用、たとえば、プロテアーゼの活性をモニターすること、薬剤スクリーニングとしての応用などにおいて役に立つ。その中の活性型プロテアーゼについての情報を得るために細胞を可溶化する必要がなく、インビボおよびリアルタイムで方法を実践できるという理由で、本発明は、上記の背景の項で記載された先行技術のプロトコルによって利用できるものを超える、多数の独特な利点を提供する。このように、本発明は、当技術分野に明らかな貢献を示す。
【0100】
本明細書に引用されたすべての刊行物および特許出願は、参照として組み入れるためにそれぞれの個々の刊行物または特許出願が具体的に別個に示されたものとして、本明細書に参照として組み入れられる。どの刊行物の引用も、提出日に先行する開示に対するものであり、本発明が先行発明によるそのような公開より前である資格がないことの自認として解釈されるべきではない。
【0101】
前述の発明は、明確に理解する目的のため、説明および例示という方法である程度詳細に記述されているが、本発明の教示の観点から、その意図または添付の請求の範囲から逸脱することなく、一定の変更および修飾が行われうることは、当業者には容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
(図1および図2) 本発明のアッセイ法を模式的に描写している。

Claims (19)

  1. 以下の工程を含む、細胞が細胞内に活性型プロテアーゼを含むかどうか決定する方法:
    (a)該細胞内にプロテアーゼ検出融合タンパク質を提供する工程であって、該プロテアーゼ検出融合タンパク質は、該プロテアーゼによって認識される切断ドメインによってお互い分離される第一および第二細胞内局在ドメインを含み、さらに、該第一細胞内局在ドメインは該第二細胞内局在ドメインより優位であり、標識ドメインは該切断ドメインと第二細胞内局在ドメインとの間に存在する工程;
    (b)該プロテアーゼが該細胞に存在する場合に該プロテアーゼ切断ドメインが該プロテアーゼによって切断されるのに十分な期間、該細胞を維持する工程;および、
    (c)該細胞が該活性型プロテアーゼを含んでいるかどうか決定するために該標識ドメインの細胞内位置を検出する工程。
  2. プロテアーゼ活性が単一の生細胞において検出される、請求項1記載の方法。
  3. プロテアーゼ活性がリアルタイムで検出される、請求項1記載の方法。
  4. 標識ドメインが蛍光タンパク質である、請求項1記載の方法。
  5. 第一局在ドメインが核外移行シグナル(NES)である、請求項1記載の方法。
  6. 第二局在ドメインが核局在化シグナル(NLS)である、請求項1記載の方法。
  7. 第一局在ドメインが第二局在ドメインよりも優位である、以下を含む融合タンパク質:
    (a)第一細胞内局在ドメイン;
    (b)プロテアーゼ切断ドメイン;
    (c)標識ドメイン;および、
    (d)第二細胞内局在ドメイン。
  8. 標識ドメインが蛍光タンパク質である、請求項7記載の融合タンパク質。
  9. 第一局在ドメインが核外移行シグナル(NES)である、請求項7記載の融合タンパク質。
  10. 第二局在ドメインが核局在化シグナル(NLS)である、請求項7記載の融合タンパク質。
  11. プロテアーゼ切断部位がD-E-V-D(配列番号:22)である、請求項7記載の融合タンパク質。
  12. 請求項7記載の融合タンパク質をコードする核酸。
  13. 請求項12記載の核酸を含むベクター。
  14. 発現ベクターである、請求項13記載のベクター。
  15. 請求項12記載の核酸を含む細胞。
  16. 真核細胞である、請求項15記載の細胞。
  17. 以下を含む、細胞内の活性型プロテアーゼの存在を検出するシステム:
    (a)請求項7記載の融合タンパク質またはそれをコードする核酸;および、
    (b)該細胞。
  18. 以下を含む、細胞内の活性型プロテアーゼの存在を検出することに使用するためのキット:
    (a)請求項7記載の融合タンパク質またはそれをコードする核酸;および、
    (b)請求項1記載の方法を実践するための使用説明書。
  19. 細胞をさらに含む、請求項18記載のキット。
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