JP2004535591A - 磁気吸引性の粒子を分離するためのシステム - Google Patents

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Abstract

本発明は、液体に懸濁した、磁気吸引性の微粒子を分離するためのシステムに関し、このシステムは、少なくとも2個の環状の磁石であってその磁石軸が環の平面に垂直な磁石を有する磁石装置を含んでいる。これらの磁石は同じ向きでまたは積み重ねて配置され、環の内部空間は、容器を収容するための空間を形成している。また本発明は、微粒子を分離するための方法と、容器内の微粒子を分離し懸濁させるためのシステムであって、上述の磁石装置と、容器固定器と、分離した微粒子を懸濁させるためにこの容器固定器内で容器を動かすための変位器とを含んだシステムにも関する。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、分析の分野に関し、詳細には、磁気吸引性の粒子を使用した臨床的な免疫学的分析に関する。
【0002】
本発明は、液体に懸濁させた、磁気吸引性の粒子を分離するためのシステムに関するものであり、環状の少なくとも2個の磁石を有する磁石装置を含み、その磁石軸が環の平面に垂直な方向に向いており、これらの磁石は、同じ向きでまたは反対の向きで積み重ねて配置され、その環の内部空間は容器の受容位置を形成する。また本発明は、このタイプのシステムを使用して、磁気吸引性の粒子を分離し洗浄するための方法にも関し、分離した粒子を懸濁させるための可動機器を有するシステムにも関する。
【背景技術】
【0003】
磁気吸引性の粒子の使用は、以前から化学分析の分野で既に確立された原理である。磁気吸引性の粒子は、主にサンプルマトリックスから検出される物質/粒子を分離するのに、使用される。このためには、検出される材料の表面に直接または補助物質と反応した後に結合するように、磁気吸引性の粒子を被覆する。これらのプロセスでは、後続の分析ステップに支障をきたさないように、検出される物質をサンプルマトリックスからできる限り完全に分離することが望ましいまたは必要でさえある。磁気吸引性の粒子を洗浄し、それによってサンプルマトリックスのさらなる分離を行うために、これら粒子をサンプルマトリックスから分離することが特に重要である。
【0004】
米国特許第5,827,478号および米国特許第5,888,835号の文書は、容器の外側に磁石を誘導することによって、懸濁している磁性粒子を分離する装置について述べている。容器から上清サンプル液を除去し、粒子を洗浄液で洗浄する。このためには、上清を分離除去した後に、粒子を洗浄液に懸濁させることができる。
【0005】
米国特許第5,976,369号および米国特許第5,897,783号の文書は、磁気双極子によって容器の内壁に磁性粒子を堆積させた装置について述べている。磁気ヨークの形状によって分離が行われ、粒子は環状に実質的に堆積する。しかしこのタイプの双極子を使用した場合、均一なリングを形成することができない。
【0006】
さらに、EP0479448は、懸濁させた磁性粒子が入っている容器が導入されるボアを備えた磁石プレートを含む分離器を開示している。磁石プレートは、そのN−S軸がボアの軸と平行に配置されるようになされている。
【特許文献1】
米国特許第5,827,478号明細書
【特許文献2】
米国特許第5,888,835号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,976,369号明細書
【特許文献4】
米国特許第5,897,783号明細書
【特許文献5】
EP0479448
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明との関連において、上記文書に記載されている分離装置により基本的には十分な分離を行うことができるが、その洗浄効率に関しては改善する必要があることがわかった。とりわけ、粒子は非常に稠密に集まっており、したがって再懸濁ステップ後でさえも稠密に集まったままのクラスタがしばしば残るので、非常に強力な、濃縮された粒子の堆積物が極めて不利になることがわかった。この場合、粒子間のスペースは、洗浄液に接触することができないか、または洗浄液に不十分に接触することしかできない。集中的な濃縮された粒子の堆積物に関するその他の欠点は、多大な費用をかけなければ粒子の再懸濁を行うことができないことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器の比較的広い内面全体にできる限り均一に粒子を堆積させるシステムを提案する。この状態で、粒子の効率的な洗浄または粒子と反応液との効率的な混合と、比較的簡単な粒子の再懸濁とのいずれもが可能になる。本発明によるシステムおよび方法では、環状の少なくとも2個の磁石の装置、すなわちその磁石軸が環の平面に垂直な方向に向いており、これらの磁石が同じ向きでまたは反対の向きで積み重ねて配置され、したがって形成された環の内部空間が磁気による堆積に適した位置を形成するようになされた装置によって、ここで述べた有利な堆積が実現する。
【0009】
本発明との関連において、磁気吸引性の粒子は、常磁性粒子であり好ましくは強磁性粒子でもある。強磁性粒子の場合、外部磁場を除去した後にいかなる残留磁気も有さないまたはわずかな残留磁気しか有さない硬磁性物質が好ましい。残留磁気が少しでもあると、粒子の完全な再懸濁がより困難になる。分析用の磁気吸引性の微粒子は通常、数マイクロメートルの範囲内、好ましくは1.5〜4μmの範囲内の直径を有する。このタイプの粒子は、例えばDynalから市販されている。分析に使用するため、一般にこの粒子を結合パートナーで被覆する。これは、検出される検体に直接結合するコーティングでよく、また万能コーティングでもよく、例えばストレプタビジンがある。驚異的に結合する微粒子は、万能コーティングで被覆した粒子を、万能コーティングの結合パートナー(例えばビオチン)と検体の結合パートナーとのコンジュゲートと反応させることによって、生成することができる。化学/免疫学的分析用の微粒子を生成するためのプロセスは当技術分野で周知であるので、ここでさらに詳細に述べる必要はない。
【0010】
分析を行うために、微粒子を血液や血清などのサンプル液と混合して、検出する検体を微粒子の表面に結合させることができるように、またはそこで特異的な反応を引き起こすことができるようにする。微粒子とサンプル液は共に、記述した反応ステップにかける前に、懸濁や希釈、消化などの他の操作ステップにかけることができる。分析を行うには、後続の検出反応に支障をきたさないように、検体でないサンプル部分(サンプルマトリックス)をできる限り完全に分離除去することが、一般に必要である。本発明では、これは、磁気吸引性の粒子を分離し、残っている液体(一般に上清とも呼ぶ)を分離除去することによって実現される。一般に、分離された微粒子は、依然としてサンプルマトリックスを含有している付着液を除去するために、次の分析ステップを実施する前にまず洗浄しなければならない。本発明によれば、このタイプの洗浄ステップは、粒子が堆積する間に、あるいは粒子を液体に懸濁させることによってまたは粒子を液体に懸濁させる間に行われる。上記にて既に述べたように、本発明は、比較的大きな凝集体をそのままにしておくことなく特に首尾良く再懸濁させることができるような形で微粒子を堆積させる点が異なっている。次いでこの粒子を、非常に広い範囲にわたる方法で分析に使用することができる。
【0011】
分離を行うには、磁性微粒子の懸濁液を磁石装置の活性場に導入しなければならず、すなわち本発明の場合は環状の磁石の内部空間に導入しなければならない。これは主に、懸濁液が入っている非磁性容器を、環状の磁石によって形成された環の内部空間に導入することによって実現することができる。あるいは、懸濁液が入っている容器が内部空間に入り込むように、磁石装置を移動させることも可能である。別の選択肢は、容器を導入させるために2つ以上の部品、好ましくは二分されたシェルからなる磁石装置を選択することからなり、これらの部品は、容器を導入するために離れるように移動し、その後形成された内部空間に容器を移動させ、磁場が印加されるようにこれらの部品が一緒に動くものである。
【0012】
本発明による磁石装置内の環状の磁石は、同じ向きでまたは反対の向きで積み重ねて配置することができる。磁石を反対方向に向けることによって、より強力な磁場勾配が得られ、したがって粒子がより迅速に分離される。しかし上記にて既に述べたように、分析プロセスに必要な時間を短縮するために分離時間を短縮することは基本的に有利であるが、再懸濁させることがより困難な粒子ケークにもしばしば関連付けられる。磁石を反対の向きに配置した装置を選択した場合、反発力に逆らうように磁石を一つに保つ保持器を設けることが有利である。同方向に向いた磁石の場合と反対方向に向いた磁石の場合のいずれにおいても、個々の磁石の間に非磁性材料からなるスペーサを設けることが可能である。磁場の強度および空間的分布は、スペーサ、特にその厚さを選択することにより、比較的簡単な方法で変更することができる。その結果、この磁石装置を、容易に特定の要件に適合させることができる。
【0013】
本発明の分野では、分離を行うために容器が導入される環の内部空間の断面が、好ましくは4〜10mmの間の範囲内であるべきことを発見した。さらに、磁石装置に使用される個々の磁石の残留磁気は、0.8Tよりも大きいことが有利である。このタイプの環状磁石は、例えばBomatec、Hori、スイスから得ることができる。磁石が円環状であると、容器の内壁で粒子を均一に分離をすることができるので、本発明では円環状の磁石が好ましい。しかし基本的に、例えば四角形や多角形などの磁石を、閉環状のその他の磁石と共に使用することも可能である。環の内部空間と容器外面は、問題となっている容器を環状磁石と同軸上に導入したときに、磁石の内壁と容器の外壁との間が好ましくは0〜1.5mm、さらにより好ましくは0.5mm未満の隙間になるように、互いに一致することが好ましい。
【0014】
また本発明は、本発明による磁石装置で分離するためのシステムで有利に使用することができる、堆積微粒子を再懸濁させるための機器も開示している。
【0015】
堆積微粒子を懸濁させるための機器は、容器を保持するための容器ホルダを有する。容器ホルダは、粒子を懸濁させるために、可動機器によって動かす。容器ホルダは、容器の軸が垂直方向から傾いた方向に動くことができるように取り付けることが好ましい。この種の取付けは、例えば外面が球形の一部分である容器ホルダによって実現することができ、球形の一部の形をしたリセス部を有する対応する空洞内に保持される。容器ホルダは、偏心駆動部への機械的接続によって動かすことができる。
【0016】
本発明について、図を参照しながらより詳細に述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明による磁石装置を示す斜視図であり、4個の環状磁石(10、10’、10”、10’’’)が互いの上方に配置されている。環状磁石の磁石軸は、環の平面に垂直になるよう設計される。環状磁石同士の間には、スペーサ(11、11’、11”)が配置されている。スペーサは、非磁性材料、例えばプラスチックからなる。互いに上方に配置された環状磁石の内部空間は、サンプル容器(20)を受容するための内部空間(12)を形成する。図示した装置では、環状磁石が同じ向きに配置され、したがってそのN−S軸は同方向に向いている。
【0018】
図2は、図1に示す磁石装置を用いた微粒子の洗浄に関する個々の方法ステップを、概略的に示す。図1aは磁石装置を示す斜視図であり、その他の図は断面図である。
【0019】
まず、内部に懸濁した微粒子を有する容器を、磁石装置(5)の受容空間(12)に導入する(図aおよびb)。磁場によって容器の内壁に微粒子が堆積したらすぐに、容器内で微粒子から分離された液体を、ピペット(30)を使用して除去する(図c)。次いで洗浄液を添加し(図d)、次にこの洗浄液を、ピペットを使用して容器から除去する(図e)。この容器に再び洗浄液を満たし(図f)、容器と磁石装置を互いに空間的に分離する(図g)。次いで堆積した微粒子のケーク(50)を、容器を動かすことによって液体に再懸濁させる(図h)。図示した方法の代替例として、堆積微粒子を再懸濁させる液体の導入を使用することも可能であるが、この場合も、磁場の影響を前もって除去しておく必要がある。ステップa〜hに示すプロセスは、必要なら繰り返すことができる。さらに、洗浄効率を高めるため、ステップfの後に真新しい洗浄液を使用してステップcを行うことが可能である。ステップcからステップfへの順序は、所望に応じて/必要に応じて繰り返すことができる。
【0020】
図3は、3つの異なる磁石装置を示す。図3aは、3個の環状磁石の反対の極性が、クランプ(40)によって一つに保たれている装置を示す。図3bは、4個の環状磁石が反対の向きに配置された類似の装置を示す。最後に図3cは、環状磁石同士の間にスペーサ(11、11’)が配置された装置を示す。
【0021】
図4は、磁気による微粒子の分離と堆積微粒子の液体への再懸濁の両方に適したシステムを示す。この装置では、外形が球体の一部に相当するホルダ(61)内に、容器を配置する。球形の部分は、ホルダに適合した固定ダイ(62)内に保持される。ホルダは、垂直方向に対して容器の縦軸を傾ける方向に動くことができるようにダイの内部に配置する。このためホルダは、可動プレート(64)に接続された接続ロッド(63)を有する。その下側でも、可動プレートは同様に接続ロッド(65)を有し、偏心ディスク(66)によって転動運動するように設定されている。このため偏心ディスク(66)は、モータ(67)によって回転運動するように設定されている。さらに、図1に示す磁石装置(5)を可動プレート(64)上に配置する。可動プレートは、引上げ器(70)を用いて接続ロッド(63)に沿って上向きに移動させることができ、これにより、容器が磁石によって形成された内部空間へと移動する。この装置は、磁石装置(5)が、容器の下部領域が磁石装置の内部空間に突き出るように既に配置されており、容器を収容位置へと移動させる、あるいは、粒子の分離を行うために引上げ器(70)を用いて磁石装置を上向きに移動させることができる、分離プロセスを実施するためにまず使用することができる。次いでこの位置で、図2に示すステップb〜fを実施することができる。再懸濁させるには、磁石装置(5)を図4に示すその低位置に移動し、微粒子が再懸濁されるように容器およびその中身が偏心装置によって動くように設定する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】磁石装置の斜視図を示す図である。
【図2】図1に示す磁石装置を使用した微粒子の洗浄に関する方法ステップを示す図である。
【図3】磁石装置の断面を概略的に示した図である。
【図4】微粒子を分離し再懸濁させるためのモジュールを示す図である。
【符号の説明】
【0023】
5…磁石装置、10、10’、10”、10’’’…磁石、11、11’、11”…スペーサ、12…受容空間、内部空間、20…サンプル容器、30…ピペット、40…クランプ、50…ケーク、61…ホルダ、62…固定ダイ、63…接続ロッド、64…可動プレート、65…接続ロッド、66…偏心ディスク、67…モータ、70…引上げ器

Claims (15)

  1. 液体に懸濁させた、磁気吸引性の微粒子を分離するためのシステムであって、環状の少なくとも2個の磁石を有する磁石装置を含み、当該装置の磁石軸が環の平面に垂直な方向に向いており、前記磁石は、同じ向きでまたは反対の向きで積み重ねて配置され、環の内部空間が、容器を収容するための空間を形成しているシステム。
  2. 環状の磁石を反対の向きで積み重ねて配置し、保持器によって前記磁石が磁石の反発力に抗して一つに保たれている、請求項1に記載のシステム。
  3. 非磁性材料から作製したスペーサが環状の磁石間に位置付けられている、請求項1に記載のシステム。
  4. 磁石の環の内部空間の断面が4mmから10mmの間の範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
  5. 個々の磁石が0.8テスラよりも大きい残留磁気を有する、請求項1または4に記載のシステム。
  6. 微粒子の懸濁液を保持するための容器を含む、請求項1に記載のシステム。
  7. 懸濁した微粒子が免疫学的結合パートナーで被覆されている、請求項6に記載のシステム。
  8. 磁性微粒子の平均直径が1.5〜4μmの範囲内である、請求項7に記載のシステム。
  9. 微粒子が容器の内壁に堆積して第1の液体が残るように、微粒子の懸濁液が入っている容器を請求項1に記載のシステムの収容位置に導入した、磁性微粒子を分離するための方法。
  10. 分離した後、前記第1の液体を除去し、磁場の作用を取り除き、第2の液体を添加して当該第2の液体に微粒子を再懸濁させる、請求項9に記載の方法。
  11. 懸濁ステップの後、粒子を再び堆積させる、請求項10に記載の方法。
  12. 微粒子を容器の内壁に堆積させた後、第2の液体を添加し、一方、微粒子が容器の内壁に残ったままで、第2の液体を除去する、請求項9に記載の方法。
  13. 環状の少なくとも2個の磁石を有する磁石装置であって、当該装置の磁石軸が環の平面に垂直な方向に向いており、前記磁石が同じ向きでまたは反対の向きで積み重ねて配置され、環の内部空間が容器を収容するための空間を形成している磁石装置と、容器ホルダおよび可動機器であって、分離した微粒子の懸濁液を得るために当該容器ホルダ内で容器を動かす容器ホルダおよび可動機器とを含む、容器内の微粒子を分離し懸濁させるためのシステム。
  14. 分離および再懸濁用の容器を同じ位置に維持したまま、装置によって、磁石装置を分離位置から容器の内容物に対する磁石装置の作用がごくわずかである故に微粒子を懸濁させることができる懸濁位置へと移動させることができる、請求項12に記載のシステム。
  15. 偏心器によって容器ホルダを動かすことができる、請求項13に記載のシステム。
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