JP2004534783A - ポリアルキレングリコールを含む成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物、それらの使用、およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
抱合体の混合物であって、前記混合物中の各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合している成長ホルモン剤を含む混合物が開示される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤−オリゴマー抱合体(conjugate)類に関し、および特に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体に関する。
【背景技術】
【0002】
成長ホルモンは、成長ホルモンが欠乏した小児の代償療法に使用されてきた。成長ホルモンについては、火傷、外科手術、および吸収不良などのいくつかの異化状態の治療の補助剤としての研究も行われている。カルシウムイオンの保持および骨形成に対する成長ホルモンの正の効果も、骨粗鬆症および非治癒性骨折の治療に有用となりうる。
【0003】
成長ホルモンは、筋肉注射または皮下注射によって投与することができる。これらの方法の中では、自己投与が容易となるので皮下注射が好ましくなりうる。しかし、これらの方法は両方とも、特に小児の場合に、注射による投与に関連しうる心理学的および/または身体的外傷が原因で最適ではない場合がある。
【0004】
タンパク質やポリペプチドなどの医薬的に活性な分子が、ポリエチレングリコールの多分散混合物、またはポリエチレングリコール含有ポリマーの多分散混合物と結合されて、薬剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物が得られている。たとえば、エクウリベ(Ekwuribe)に付与された米国特許第5,359,030号明細書では、ソマトスタチン、ソマトトロピンおよび/またはソマトメジンなどのポリペプチドを、多分散ポリエチレングリコール修飾糖脂質ポリマーおよび多分散ポリエチレングリコール修飾脂肪酸ポリマーと結合させることが提案されている。それぞれの組み合わせによって得られる多分散ポリマーの数平均分子量は、好ましくは約500〜約10,000ダルトンの範囲内となる。
【0005】
ポリエチレングリコール(PEG)は、通常、塩基触媒を使用したエチレンオキシドの開環重合によって生成される。この反応は、エチレンオキシドを触媒としての水酸化カリウムとともにエチレングリコールに加えることによって開始される。この方法によって、所定の分子量範囲内の数平均分子量を有するポリエチレングリコールポリマーの多分散混合物が得られる。たとえば、ウィスコンシン州ミルウォーキーの(Milwaukee,Wisconsin)のシグマーアルドリッチ(Sigma−Aldrich)によって販売されるPEG製品はPEG400(Mn380〜420)、PEG1,000(Mn950〜1,050)、PEG1,500(Mn1,400〜1,600)、およびPEG2,000(Mn1,900−2,200)などの多分散混合物として提供されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オリゴマーがポリアルキレングリコールを含む場合には、成長ホルモン−オリゴマー抱合体の非多分散混合物が提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によるポリアルキレングリコールを含む成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物は、本発明による混合物と同じ数平均分子量を有する類似の抱合体の多分散混合物よりもインビボ活性が高くなりうる。このように活性が高くなくことによって、必要とされる投与量が減少しうる。さらに、本発明の実施形態によるポリアルキレングリコールを含む成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物は、腸内消化のインビトロモデルでの耐久性に関して、類似の抱合体の多分散混合物よりも有効となりうる。さらに、本発明の実施形態によるポリアルキレングリコールを含む成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物は、類似の抱合体の多分散混合物よりも被験者間変動が少なくなりうる。
【0008】
本発明の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーに結合した成長ホルモン剤を各抱合体が含む混合物が提供される。ポリアルキレングリコール部分は、好ましくは少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有し、最も好ましくは少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。ポリアルキレングリコール部分は好ましくはポリプロピレングリコールである。本発明のオリゴマーは、好ましくは親油性部分をさらに含む。上記成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。本発明のオリゴマーは、ヒト成長ホルモンのアミノ基と共有結合していることが好ましい。抱合体が水溶性となり生体膜を透過できるようになるため、本発明の抱合体は両親媒性の平衡の状態にある(balanced)ことが好ましい。本発明のオリゴマーは、加水分解可能でない結合によって薬剤と共有結合する第1のポリアルキレングリコール部分と、加水分解可能な結合によって第1のポリアルキレングリコール部分と共有結合する第2のポリアルキレングリコール部分とを含みうる。本発明の混合物は、好ましくは単分散混合物であり、最も好ましくは純粋な単分散の混合物である。
【0009】
本発明の別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有する混合物が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有する混合物が提供される。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有する混合物が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する混合物が提供される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する混合物が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が10,000を超える分散係数(DC)を有し、ここで
【数1】
(式中、nは、試料中の種類の異なる分子の数であり、Niは、該試料中のi番目の分子の数であり、Miは、該i番目の分子の質量である)である混合物が提供される。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、オリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、さらに各抱合体が同数のポリアルキレングリコールサブユニットを有する混合物が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、同じ分子量を有し、さらに式:
【化1】
(式中、Bは結合部分であり、Lはリンカー部分であり、G、G’、およびG’’は、独立して選択されるスペーサー部分であり、Rは親油性部分であってR’はポリアルキレングリコール部分であるか、あるいはR’は親油性部分であってRはポリアルキレングリコール部分であり、Tは末端部分であり、h、i、j、k、m、およびnは独立して0または1であり、但し、Rがポリアルキレングリコール部分である場合はmが1となり、およびR’がポリアルキレングリコール部分である場合はnが1となり、および、pは、1から、前記成長ホルモン剤上の求核性残基の数までの整数である)を有する混合物が提供される。
【0017】
種々の実施形態の混合物を合成する方法も、本発明によって提供される。
【0018】
本発明の抱合体混合物を含む医薬組成物も提供される。有効量のこのような医薬組成物を投与することによって、成長ホルモン欠乏症の治療を、そのような治療を必要とする被験者に対して実施する方法も提供される。
【0019】
前述の種々の実施形態による抱合体の混合物の有効量を動物に投与することによる、動物の成長速度を加速する方法も提供される。
【0020】
本発明の実施形態による成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物は、従来の多分散成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物と比較した場合に、インビボ活性の増加および/または被験者間変動の減少および/またはキモトリプシンによる分解の減少が実現されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本明細書に記載される好ましい実施形態を参照して本発明を説明する。しかしながら、これらの実施形態は本発明を説明することが目的であって、請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するために構成されたものではないことを理解されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「非多分散」は、エクウリベに付与された米国特許第5,359,030に記載される多分散混合物とは対照的な分散性を有する化合物の混合物を表現するために使用される。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に単分散」は、混合物中の化合物の少なくとも約95%が同じ分子量を有する化合物の混合物を表現するために使用される。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「単分散」は、混合物中の化合物の約100%が同じ分子量を有する化合物の混合物を表現するために使用される。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に純粋な単分散」は、混合物中の化合物の少なくとも約95%が同じ分子量を有し同じ分子構造を有する化合物の混合物を表現するために使用される。したがって、実質的に純粋な単分散の混合物は、実質的に単分散の混合物であるが、実質的に単分散混合物は必ずしも実質的に純粋な単分散混合物であるとは限らない。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「純粋な単分散」は、混合物中の化合物の約100%が同じ分子量を有し、同じ分子構造を有する化合物の混合物を表現するために使用される。したがって、純粋な単分散混合物は単分散混合物であるが、単分散混合物は必ずしも純粋な単分散混合物であるとは限らない。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「重量平均分子量」は、混合物中の所与の分子の重量分率と混合物中の各分子の分子量との質量の合計として定義される。「重量平均分子量」は記号Mwで表される。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「数平均分子量」は混合物の全重量を混合物中の分子数で割ったものとして定義され、記号Mnで表される。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「分散係数」(DC)は、
【数2】
(式中、
nは、試料中の種類の異なる分子の数であり、
Niは、該試料中のi番目の分子の数であり、
Miは、該i番目の分子の質量である)
で定義される。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「被験者内変動」は、同じ投与量の薬剤または医薬組成物を異なる時点で被験者に投与した場合に、同じ被験者内で発生する活性の変動を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「被験者間変動」は、同じ投与量の所与の薬剤または医薬製剤を各被験者に投与した場合の、2名以上の被験者の間の活性の変動を意味する。
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモン剤」は、成長ホルモンペプチドの生物活性のすべてまたは一部を有する薬剤を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチド」は、ヒト成長ホルモン、ヒト成長ホルモン放出ホルモン、動物成長ホルモン、または動物成長ホルモン放出ホルモンを意味し、これらはいずれも天然、合成、または遺伝子的に設計された供給源から提供されうる。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチド類似体」は、1以上のアミノ酸が置換されているが、成長ホルモンペプチドの活性の一部またはすべてが維持されている成長ホルモンペプチドを意味する。この類似体は、上付き文字で置換位置が示された置換アミノ酸が表記され、その後に成長ホルモンの説明を続けることによって記載される。たとえば、「Pro41成長ホルモン,ヒト」は、ヒト成長ホルモン分子の41番目の位置に通常見られるアミノ酸がプロリンで置換されていることを意味する。
【0034】
成長ホルモン類似体は、当業者にはよく知られている種々の手段によって入手することができる。たとえば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位などの構造を有する相互作用結合能力を大きく損なうことなく、成長ホルモン構造中のあるアミノ酸を別のアミノ酸で置換することができる。成長ホルモンの相互作用能力および性質がその生物機能的活性を規定するので、あるアミノ酸配列の置換がそのアミノ酸配列中で起こるが、それにもかかわらずポリペプチドは同様の性質を維持しうる。
【0035】
このような置換を行う場合、アミノ酸のハイドロパシーインデックス(hydropathic index)を考慮してよい。相互作用的生物学的機能をポリペプチドに付与することに関して、アミノ酸のハイドロパシーインデックスの重要性は一般に当分野で理解されている。アミノ酸の相対的ハイドロパシーは、結果として得られるポリペプチドの2次構造に寄与し、これによってポリペプチドと、たとえば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などの他の分子との相互作用が規定されることが認められている。アミノ酸の疎水性と電荷特性に基づいて、各アミノ酸のハイドロパシーインデックスが以下のように割り当てられている。イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタメート(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパルテート(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)。当業者には理解されているが、あるアミノ酸を、同様のハイドロパシーインデックスまたはスコアを有する別のアミノ酸で置換しても、同様の生物活性を有するポリペプチドが得られる、すなわち生物学的機能が同等のポリペプチドが得られる場合がある。このような置換を行う場合、ハイドロパシーインデックスが互いに±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、互いに±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、互いに±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0036】
同様のアミノ酸の置換は、親水性を基準にして効率的に実施できることも当分野で知られている。米国特許第4,554,101号明細書には、隣接するアミノ酸の親水性によって決定されるタンパク質の局所的な最大平均親水性が、そのタンパク質の生物学的性質と相関があることが記載されている。米国特許第4,554,101号明細書に詳細に記載されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている。アルギニン(+3.0)、リジン(±3.0)、アスパルテート(+3.0±1)、グルタメート(+3.0±1)、セイン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、トリプトファン(−3.4)。当業者には理解されているが、アミノ酸を同様の親水性値を有する別のアミノ酸で置換して、なお生物学的に同等、特に免疫学的に同等のポリペプチドを得ることができる。このような置換では、互いの親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、互いに±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、互いに±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0037】
したがって上記の概略のように、アミノ酸の置換は一般的に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、たとえば、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさなどに基づいて行われる。前述の種々の特性を考慮した代表的な置換(すなわち、そのポリペプチドの生物活性を顕著に変化させることなく交換可能なアミノ酸)は当業者にはよく知られており、そのようなものとしては、たとえば、アルギニンとリジン、グルタメートとアスパルテート、セリンとトレオニン、グルタミンとアスパラギン、ならびにバリンとロイシンとイソロイシンが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチドフラグメント」は、成長ホルモンポリペプチドの活性の一部またはすべてを維持する、成長ホルモン中に見られるアミノ酸配列のセグメントを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチドフラグメント類似体」は、セグメント中の1以上のアミノ酸が置換されているが成長ホルモンポリペプチドの活性の一部またはすべては維持されている、成長ホルモンペプチド中に見られるアミノ酸配列のセグメントを意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「ポリアルキレングリコール」は、直鎖または分岐のポリアルキレングリコールポリマーを意味する。用語「ポリアルキレングリコールサブユニット」は、1つのポリアルキレングリコール単位を意味する。たとえば、ポリエチレングリコールサブユニットは−(CH2CH2O)−である。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「親油性」は、脂質に溶解する能力、および/または生体膜に対して浸透し、相互作用し、および/または横切る能力を意味し、用語「親油性部分」または「親油性分子」は、親油性である部分、および/または別の化学物質と結合してそのような化学物質の親油性を増大させる部分を意味する。親油性部分の例としては、アルキル、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステリル、アダマンチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「低級アルキル」は、1〜5個の炭素原子を有する置換または未置換のアルキル部分を意味する。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「高級アルキル」は、6個以上の炭素原子を有する置換または未置換のアルキル部分を意味する。
【0044】
本発明の実施形態では、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が提供される。本発明の単分散混合物中の各成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含む。好ましくは、本発明の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の抱合体が同じ分子量を有する。より好ましくは、本発明の混合物は単分散混合物である。さらにより好ましくは、本発明の混合物は実質的に純粋な単分散混合物である。さらにより好ましくは、本発明の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の抱合体が同じ分子量を有し同じ分子構造を有する。最も好ましくは、本発明の混合物は純粋な単分散混合物である。
【0045】
上記の成長ホルモン剤は、好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子(pro−releasing factor),ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(hexarelin)(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は、
【化2】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに、両親媒性の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0047】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0048】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0049】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0050】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0051】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0052】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0053】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0054】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0055】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、ポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法が挙げられるが、これには限定されない当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0056】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0057】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなどの1以上の親水性部分をさらに含んでよいが、これらには限定されない。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であるとみなす。たとえば、部分
【化3】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とになる。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0058】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1個〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3個〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0059】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0060】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0061】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端における1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0062】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して、成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、抱合体は、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用して、オリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることができると望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0063】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合的に結合させるための能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能化されうる。本発明の別の実施形態によると、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などが挙げられるが、これらには限定されない種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果、得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体(complex))させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化(complexation)によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0064】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合することが好ましい。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から分離し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から離れるように、程度の異なる加水分解性を有してもよい。
【0065】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0066】
本発明の実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなるオリゴマーの実質的に単分散の混合物は、カルボン酸の実質的に単分散の混合物と、ポリエチレングリコールの実質的に単分散の混合物とを、オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この実質的に単分散の混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらにまた別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0067】
活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物は、成長ホルモン剤の実質的に単分散の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させることができる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物と、成長ホルモン剤の実質的に単分散の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、実質的に単分散の混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえば、実質的に単分散の、モノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、質量分析などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体Phe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0068】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、ブロックされた成長ホルモン剤の実質的に単分散の混合物を、活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0069】
本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコック(Allcock)およびF.W.ランプ(Lampe)の「最新ポリマー化学」(CONTEMPORARY POLYMER CHEMISTRY)394−402(第2版、1991年)に記載されているようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
別の例として、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これには限定されない種々の方法で測定できる。個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale,California)のモレキュラー・デバイシズ・コーポレーション(Molecular Devices Corporation)より市販されるサイトセンサー(Cytosensor)(登録商標)マイクロフィジオメーター(Microphysiometer)を使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスフェル(Transwell)(登録商標)(マサチューセッツ州アクトンのカミング(Coming,Inc.,Acton,Massachusetts))中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0071】
さらに別の例として、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらには限定されない種々の方法で測定できる。
【0072】
さらに別の例として、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、該実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらには限定されない種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0073】
本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0074】
本発明によるさらに別の実施形態では、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する抱合体の混合物が提供される。本発明の混合物の各抱合体は、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含む。標準偏差は好ましくは約14ダルトン未満であり、より好ましくは約11ダルトン未満である。分子量分布は当業者に公知の方法によって測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。次に分子量分布の標準偏差は当業者に公知の統計学的方法によって求めることができる。
【0075】
本発明の成長ホルモン剤は、好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は
【化4】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに両親媒性の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0077】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0078】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0079】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0080】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0081】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0082】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0083】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0084】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成における任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0085】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、ポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0086】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0087】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなどが挙げられるが、これらには限定されない1以上の親水性部分をさらに含んでよい。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し、それらが同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であると見なす。たとえば、部分
【化5】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とである。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0088】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で、線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0089】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0090】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0091】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端において1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0092】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、抱合体が、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることが望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0093】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合の能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能基化されうる。本発明の別の実施形態によると、限定するものではないが、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などの種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果、得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体化)させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0094】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合することが好ましい。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から移動し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から移動するように、異なる程度の加水分解性を有してもよい。
【0095】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基にみられ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端にみられる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0096】
約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなる約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するオリゴマーの混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するカルボン酸の混合物を、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するポリエチレングリコールの混合物と、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するオリゴマーの混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0097】
約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物と、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0098】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上で1以上のオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0099】
本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができる。たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
別の例として、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0101】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0102】
さらに別の例として、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これには限定されない種々の方法で測定できる。
【0103】
さらに別の例として、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これには限定されない種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0104】
本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0105】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が10,000を超える分散係数(DC)を有し、
【数3】
(式中、
nは、試料中の種類の異なる分子の数であり、
Niは、該試料中のi番目の分子の数であり、
Miは、該i番目の分子の質量である)
である混合物が提供される。本発明の抱合体の混合物は、好ましくは100,000を超える分散係数を有する。より好ましくは、本発明の抱合体混合物の分散係数は500,000を超え、最も好ましくは,分散係数は10,000,000を超える。変量n、Ni、およびMiは、実施例44で後述する方法などが挙げられるが、これに限定されない当業者に公知の種々の方法によって決定することができる。
【0106】
本発明の成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0107】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は、
【化6】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに両親媒性成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0108】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0109】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0110】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0111】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0112】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0113】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0114】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0115】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0116】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、ポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0117】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0118】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなど挙げられるが、これらには限定されない1以上の親水性部分をさらに含んでよい。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は、6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であると見なす。たとえば、部分
【化7】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とになる。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0119】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1個〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3個〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0120】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0121】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0122】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端における1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、限定するものではないが糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などの当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0123】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を抱合体が欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることが望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0124】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合的に結合させるための能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能化されうる。本発明の別の実施形態によると、限定するものではないが、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などの種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体化)させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0125】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合すると好ましくなりうる。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から分離し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から離れるように、異なる程度の加水分解性を有してもよい。
【0126】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0127】
10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなる10,000を超える分散係数を有するオリゴマーの混合物は、10,000を超える分散係数を有するカルボン酸の混合物を、10,000を超える分散係数を有するポリエチレングリコールの混合物と、10,000を超える分散係数を有するオリゴマーの混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この10,000を超える分散係数を有する混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0128】
10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物は、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物と、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、10,000を超える分散係数を有する混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、限定するものではないが配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0129】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、10,000を超える分散係数を有するブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0130】
本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
別の例として、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0132】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0133】
さらに別の例として、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0134】
さらに別の例として、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0135】
本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0136】
本発明の別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、オリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、さらに同数のポリアルキレングリコールサブユニットを有する混合物が提供される。
【0137】
本発明の成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2、3、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は
【化8】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに両親媒性成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0139】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0140】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0141】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0142】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0143】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0144】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0145】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0146】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0147】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、限定するものではないがポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などの当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0148】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0149】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなどが挙げられるが、これらには限定されない1以上の親水性部分をさらに含んでよい。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分、
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であると見なす。たとえば、部分
【化9】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とである。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0150】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1個〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3個〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0151】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0152】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0153】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端における1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、限定するものではないが糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などの当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0154】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を抱合体が欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることが望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0155】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合的に結合させる能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能化されうる。本発明の別の実施形態によると、限定するものではないが、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などの種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体化)させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0156】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合することが好ましい。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から分離し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から離れるように、異なる程度の加水分解性を有してもよい。
【0157】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、および求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0158】
混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなる混合物であって、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有するオリゴマーの混合物は、カルボン酸の混合物を、ポリエチレングリコールの混合物であって、混合物中の各ポリエチレングリコール分子が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する混合物と、オリゴマーの混合物であって、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0159】
混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物は、成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物と、成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する抱合体の混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、限定するものではないが配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0160】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、ブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0161】
本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
別の例として、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0163】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0164】
さらに別の例として、本発明のさらに別の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0165】
さらに別の例として、本発明のさらに別の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0166】
本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0167】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、同じ分子量を有し、さらに式:
【化10】
成長ホルモン剤
(式中、
Bは結合部分であり、
Lはリンカー部分であり、
G、G’、およびG’’は、独立して選択されるスペーサー部分であり、
Rは親油性部分でありR’はポリアルキレングリコール部分であるか、あるいはR’は親油性部分でありRはポリアルキレングリコール部分であり、
Tは末端部分であり、
h、i、j、k、m、およびnは独立して0または1であり、但し、Rがポリアルキレングリコール部分である場合はmが1となり、R’がポリアルキレングリコール部分である場合はnが1となり、および
pは、1から、前記成長ホルモン剤上の求核性残基の数までの整数である)を有する混合物が提供される。
【0168】
本発明の成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0169】
本発明のこれらの実施形態によると、RまたはR’はポリアルキレン部分である。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は
【化11】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに(すなわち、m+nの合計が1)両親媒性成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、例えば腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0170】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0171】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0172】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0173】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0174】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0175】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0176】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0177】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0178】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、限定するものではないがポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などの当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0179】
本発明のこれらの実施形態によると、RまたはR’は当業者に公知の親油性部分である。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0180】
本発明のこれらの実施形態によると、スペーサー部分G、G’、およびG’’は当業者に公知のスペーサー部分である。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。好ましくは、これらの実施形態のオリゴマーはスペーサー部分を含まない(すなわち、i、j、およびkが好ましくは0である)。
【0181】
本発明のこれらの実施形態によると、当業者には公知のように、リンカー部分Lは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用してよい。リンカー部分は好ましくは、アルキルおよび脂肪酸からなる群より選択される。
【0182】
本発明のこれらの実施形態によると、末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、限定するものではないが糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などの当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0183】
本発明のこれらの実施形態によると、式Aの構造の括弧部分で表される本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合する。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を抱合体が欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることができると望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。結合部分は、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用することができる当業者に公知の種々の結合部分であってよい。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。
【0184】
変量pは、1から、成長ホルモン剤上の求核性残基の数までの整数である。pが2以上である場合、2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)が薬剤と結合する。本発明のこれらの実施形態によると、複数のオリゴマーは同じものである。
【0185】
本発明のオリゴマーは、限定するものではないが求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などの薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0186】
混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し式Aの構造を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなるオリゴマーの混合物は、カルボン酸の混合物を、ポリエチレングリコールの混合物と、オリゴマーの混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次にこの混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0187】
各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物は、混合物中の各剤が同じ分子量を有する成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物と、成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する抱合体の混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、限定するものではないが配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0188】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、ブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、混合物中の各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0189】
本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0190】
別の例として、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0191】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0192】
さらに別の例として、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0193】
さらに別の例として、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0194】
本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0195】
本発明の実施形態による抱合体混合物を含む医薬組成物も提供される。上述の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、投与するために、公知の技術に従って医薬担体中に処方してよい。たとえば、レミントン(Remington)の「調剤の科学および実践」(The Science And Practice of Pharmacy)(第9版、1995年)を参照されたい。本発明の実施形態による医薬組成物の製造では、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、通常、特に医薬的に許容可能な担体と混合される。当然ながらこの担体は、医薬組成物中の他のすべての成分と適合性であり患者に対して有害ではないという意味で許容される必要がある。この担体は、固体または液体のいずれであってもよいし、またはその両方であってもよく、約0.01または0.5重量%〜約95重量%または99重量%の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含みうる錠剤などの単位投与剤形として、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体とともに調剤されることが好ましい。本発明の医薬組成物は、成分を混合し、任意選択的に1種類以上の副成分を混合することを含むが、これらには限定されない任意の公知の製薬技術で調製することができる。
【0196】
本発明の実施形態による医薬組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入(たとえば、エアロゾルによって)、口腔内(たとえば、舌下)、経膣、非経口投与(たとえば、皮下、筋肉内、皮内、関節内、胸膜内、腹膜内、脳内、動脈内、または静脈内)、局所投与(すなわち、皮膚と、気道面を含む粘膜面との両方)、および経皮投与に好適なものを含むが、所与の場合において最も好適な経路は、治療される状態の性質および重篤度、ならびに使用される個々の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の性質に依存する。
【0197】
経口投与に好適な医薬組成物は、カプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤などの分離した単位で存在してよく、それぞれが、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の所定量を、粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油または油中水型エマルジョンとして含有する。このような製剤は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と、好適な担体(前述の1種類以上の副成分を含んでもよい)とを関連させるステップを含む、あらゆる好適な製剤方法によって調製してよい。一般に、本発明の実施形態による医薬組成物は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合を、液体または微粉砕固体担体あるいはその両方と均質かつ密接に混合し、続いて必要であれば、得られた混合物を成型することによって調製される。たとえば、錠剤は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と任意に1種類以上の副成分とを含有する粉末または顆粒を圧縮または成型することによって調製してよい。圧縮錠剤は、バインダー、滑沢剤、不活性希釈剤、および/または、界面活性/分散剤と任意に混合した粉末または顆粒などの易流動性形態の本発明の混合物を好適な装置で圧縮することによって調製してよい。成型錠剤は、不活性液体バインダーで湿らせた粉末化合物を好適な装置で成型することによって作製してよい。
【0198】
口腔内(舌下)投与に好適な医薬組成物としては、通常はショ糖とアラビアゴムまたはトラガカントゴムである、風味が付いた基剤中に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含むトローチ剤、ならびにゼラチンとグリセリンまたはショ糖とアラビアゴムなどである不活性基剤中に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含む香錠が挙げられる。
【0199】
非経口投与に好適な本発明の実施形態による医薬組成物は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の滅菌された水性および非水性注射液を含み、これらの製剤は、意図する受容者の血液に対して等張性であることが好ましい。これらの製剤は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、および意図する受容者の血液に対して組成物を等張性にする溶質を含んでよい。水性および非水性滅菌懸濁液は、懸濁剤および増粘剤を含んでよい。本発明の組成物は、密封アンプルおよびビンなどの単位投与または複数回投与用の容器中で提供してもよく、滅菌液体担体、たとえば、食塩水または注射用水を使用直前に加えるだけでよい凍結乾燥条件で保存してもよい。即時注射液および懸濁液は、前述の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製してもよい。たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含む安定な滅菌注射組成物を密封容器中に単位投与剤形で提供することができる。凍結乾燥した形態の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が提供され、これは好適な医薬的に許容可能な担体を使用して再構成して、被験者への注射に好適な液体組成物を得ることができる。通常、単位投与剤形は、約10mg〜約10gの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物を含む。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が実質的に水不溶性である場合、生理学的に許容される乳化剤の十分な量を使用して、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を水性担体中に乳化させてもよい。このような有用な乳化剤の1つはホスファチジルコリンである。
【0200】
直腸投与に好適な医薬組成物は、好ましくは単位投与坐剤として提供される。これらは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を、カカオバターなどの1種類以上の従来の固体担体と混合し、得られた混合物を次に成型することによって調製することができる。
【0201】
皮膚への局所適用に好適な医薬組成物は好ましくは、軟膏、クリーム、ローション、パスタ剤、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油剤の形態をとる。使用してもよい担体としては、石油ゼリー、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮吸収促進剤、およびこれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0202】
経皮投与に好適な医薬組成物は、受容者の表皮と長時間密接な接触を維持するのに適合した分離型パッチとして提供されてもよい。経皮投与に好適な組成物は、イオン導入によって送達されてもよく(たとえばファーマシューティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)3(6):318(1986)を参照されたい)、通常は成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の水溶液に任意に緩衝剤を加えた形態をとる。好適な製剤は、クエン酸またはビス/トリス緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含み、0.1〜0.2Mの有効成分を含有する。
【0203】
有効量のこのような医薬組成物を投与することによる、成長ホルモン欠乏症の治療をそのような治療を必要とする被験者に対して実施する方法も提供される。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の有効量、本発明の範囲内でのその使用は、混合物ごと、患者ごとによってある程度変動し、患者の年齢や症状、および送達経路などの要因に依存する。このような投与量は、当業者に公知の日常的な薬理学的手順に従って求めることができる。一般的な発案では、約0.1〜約50mg/kgの投与量が治療に有効となり、すべての重量は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の重量を基準にして計算される。より多量における毒性の問題から、最大約10mg/kgまでのより少ない量に静脈投与では制限されることがあり、このすべての重量は有効成分の重量を基準にして計算される。経口投与では約10mg/kg〜約50mg/kgの投与量が使用されうる。通常、筋肉注射では約0.5mg/kg〜5mg/kgの投与量が使用されうる。投与頻度は、通常は1日当たり1、2、または3回となるか、あるいは症状に応じて調節される。あるいは、本発明の薬剤−オリゴマー抱合体は、持続点滴によって投与してもよい。治療期間は、治療される成長ホルモン欠乏症の種類に依存する。
【0204】
動物の成長速度を加速させる方法は、前述の種々の実施形態による抱合体混合物の有効量を動物に投与することを含む。当然ながら、成長ホルモンの有効量は、投与される動物に依存し、当業者によって決定することができる。
【0205】
本発明の実施形態による抱合体混合物を合成する方法も提供される。以下の合成経路の実施形態は実質的に単分散の混合物の合成に関するものであるが、同様の合成経路を、本発明の実施形態による他の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物の合成に使用することができる。
【0206】
ポリエチレングリコール部分を含むポリマーの実質的に単分散の混合物は、反応1:
【化12】
に示されるようにして得られる。
【0207】
R1はHまたは親油性部分である。好ましくは、R1は、H、アルキル、アリールアルキル、芳香族部分、脂肪酸部分、脂肪酸エステル部分、コレステリル、またはアダマンチルである。より好ましくは、R1は、H、低級アルキル、または芳香族部分である。最も好ましくはR1は、H、メチル、またはベンジルである。
【0208】
式Iにおいて、nは1〜25である。好ましくはnは1〜6である。
【0209】
X+は陽イオンである。好ましくは、X+は、PEG上のヒドロキシル部分をイオン化可能な強塩基などの化合物中の陽イオンである。陽イオンの例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、およびタリウムイオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0210】
R2はHまたは親油性部分である。好ましくは、R2は、線状または分岐状のアルキル、アリールアルキル、芳香族部分、脂肪酸部分、または脂肪酸エステル部分である。より好ましくは、R2は、低級アルキル、ベンジル、1〜24個の炭素原子を有する脂肪酸部分、または1〜24個の炭素原子を有する脂肪酸エステル部分である。最も好ましくはR2は、メチル、1〜18個の炭素原子を有する脂肪酸部分、または1〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のエチルエステル部分である。
【0211】
式IIにおいて、mは1〜25である。好ましくはmは1〜6である。
【0212】
Msはメシレート部分(すなわち、CH3S(O2)−)である。
【0213】
反応1に示されるように、式Iの構造を有する化合物の混合物を、式IIの構造を有する化合物の反応物と反応させると、ポリエチレングリコール部分を含み式IIIの構造を有するポリマーの混合物が得られる。式Iの構造を有する化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式Iの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式Iの化合物の混合物は単分散混合物である。式IIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式IIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式IIの化合物の混合物は単分散混合物である。式IIIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式IIIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量である。より好ましくは、式IIIの化合物の混合物は単分散混合物である。
【0214】
反応1は、好ましくは約0℃〜約40℃の間で実施され、より好ましくは約15℃〜約35℃の間で実施され、最も好ましくは室温(約25℃)で実施される。
【0215】
反応1は、当業者に公知の種々の時間で実施してよい。反応1は、好ましくは約0.25時間、0.5時間、または0.75時間から、約2時間、4時間、8時間の間の時間実施される。
【0216】
好ましくは、反応1は、限定するものではないが、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、またはそれら混合物などの非プロトン性溶媒中で実施される。より好ましくは、溶媒はDMF、DMA、またはトルエンである。
【0217】
式Iの化合物の式IIの化合物に対するモル比は好ましくは約1:1を超える。より好ましくは、このモル比は少なくとも約2:1である。化合物Iを過剰にすることによって、式IIの化合物の実質的にすべてを反応させることができ、これによって後述する式IIIの化合物の回収が容易となる。
【0218】
式Iの化合物は反応2:
【化13】
に示すように調製されることが好ましい。
【0219】
R1およびX+は前述の通りであり、式IVの化合物の混合物は実質的に単分散であり、好ましくは、式IVの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは式IVの化合物の混合物は単分散混合物である。
【0220】
式IVの化合物のPEG部分上のヒドロキシル部分をイオン化することができる種々の混合物は当業者に公知である。ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物は、好ましくは強塩基である。より好ましくは、ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物は、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、ブチルリチウム(BuLi)、およびリチウムジイソプロピルアミンからなる群より選択される。ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物は、より好ましくは水素化ナトリウムである。
【0221】
式IVの化合物のPEG部分上のヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物の、式IVの化合物に対するモル比は、好ましくは少なくとも約1:1であり、より好ましくは少なくとも約2:1である。ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物を過剰にすることによって、式IVの化合物の実質的にすべてが反応して式Iの化合物が得られる。したがって、式IVの化合物と式Iの化合物の両方が反応生成混合物に存在すると発生しうる分離の問題を回避することができる。
【0222】
反応2は、好ましくは約0℃〜約40℃の間で実施され、より好ましくは約0℃〜約35℃の間で実施され、最も好ましくは約0℃〜室温(約25℃)の間で実施される。
【0223】
反応2は、当業者に公知の種々の時間で実施してよい。反応2は、好ましくは約0.25時間、0.5時間、または0.75時間から、約2時間、4時間、8時間の間の時間実施される。
【0224】
好ましくは、反応2は、限定するものではないが、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン、N−メチルピロリジノン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、またはそれら混合物などの非プロトン性溶媒中で実施される。より好ましくは、溶媒はDMF、ジクロロメタン、またはトルエンである。
【0225】
式IIの化合物は、好ましくは反応3:
【化14】
に示すように調製される。
【0226】
R2およびMsは前述の通りであり、式Vの化合物は、式Vの化合物の実質的に単分散の混合物として存在し、好ましくは、式Vの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式Vの混合物は単分散混合物である。
【0227】
Qはハロゲン化物であり、好ましくは塩化物またはフッ化物である。
【0228】
CH3S(O2)Qはハロゲン化メタンスルホニルである。このハロゲン化メタンスルホニルは、好ましくは塩化メタンスルホニルまたはフッ化メタンスルホニルである。より好ましくは、ハロゲン化メタンスルホニルは塩化メタンスルホニルである。
【0229】
ハロゲン化メタンスルホニルの式Vの化合物に対するモル比は、好ましくは約1:1を超え、より好ましくは少なくとも約2:1である。ハロゲン化メタンスルホニルを過剰にすることによって、式Vの化合物の実質的にすべてが反応して式IIの化合物が得られる。したがって、式Vの化合物と式IIの化合物の両方が反応生成混合物に存在すると発生しうる分離の問題を回避することができる。
【0230】
反応3は、好ましくは約−10℃〜約40℃の間で実施され、より好ましくは約0℃〜約35℃の間で実施され、最も好ましくは約0℃〜室温(約25℃)の間で実施される。
【0231】
反応3は、当業者に公知の種々の時間で実施してよい。反応3は、好ましくは約0.25時間、0.5時間、または0.75時間から、約2時間、4時間、8時間の間の時間実施される。
【0232】
好ましくは、反応3は、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノ−n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、モノシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、またはそれらの混合物などが挙げられるが、これらには限定されない脂肪族アミンの存在下で実施される。より好ましくは、脂肪族アミンは、トリエチルアミンなどの第3級アミンである。
【0233】
当業者には公知であるが、種々の式Vの化合物の実質的に単分散の混合物は市販されている。たとえば、R2がHまたはメチルである場合、式Vの化合物はそれぞれPEGまたはmPEGの化合物であり、これらはウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin)のアルドリッチ(Aldrich)、スイスのフルカ(Fluka)、および/またはオレゴン州ポートランド(Portland,Oregon)のTCIアメリカ(TCI America)より市販されている。
【0234】
R2が、たとえば、高級アルキル、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステリル、またはアダマンチルなどの親油性部分である場合、式Vの化合物は当業者に公知の種々の方法によって得ることができる。式Vの化合物は以下の方法:
【化15】
【化16】
で得られることが好ましい。
【0235】
R2は親油性部分であり、好ましくは高級アルキル、脂肪酸エステル、コレステリル、またはアダマンチルであり、より好ましくは脂肪酸の低級アルキルエステルであり、最も好ましくは1個〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のエチルエステルである。
【0236】
R3はH、ベンジル、トリチル、テトラヒドロピラン、または当業者に公知の別のアルコール保護基である。
【0237】
X2 +は、X+に関して前述した陽イオンである。
【0238】
mの値は前述の通りである。
【0239】
反応4に関して、式VIの化合物の混合物は、式VIIの化合物の混合物と、反応1に関して前述した反応条件と同様の反応条件で反応させる。式VIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式VIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量である。より好ましくは、式VIの化合物の混合物は、単分散混合物である。式VIIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式VIIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量である。より好ましくは、式VIIの化合物の混合物は、単分散混合物である。
【0240】
反応5に関して、当業者に公知の種々の方法によって、式VIIIの化合物を加水分解させて、R3部分をアルコールに転化させることができる。R3がベンジルまたはトリチルである場合、当業者に公知のパラジウム−チャコール触媒の存在下でH2を使用して加水分解を行うことが好ましい。当然ながら、R3がHである場合には反応5は必要ない。
【0241】
式VIの化合物は市販されている場合があるし、あるいは反応3に関して前述したようにして得られる場合もある。式VIIの化合物は、反応2に関して前述したようにして得ることができる。
【0242】
PEG部分を含み上記式IIIの構造を有するポリマーの実質的に単分散の混合物は、PEG鎖を延長するために、PEG部分を含む他の実質的に単分散のポリマーとさらに反応させることができる。たとえば、以下の図式:
【化17】
【化18】
を使用してよい。
【0243】
Ms、m、およびnは、反応1に関して前述した通りであり、pはnおよびmと同様であり、X2 +は、反応1に関して前述したX+と同様である。Qは、反応3に関して前述した通りである。R2は反応1に関して前述した通りであり、好ましくは低級アルキルである。R1はHである。反応6は、反応3に関して前述した方法と同様の方法で実施することが好ましい。反応7は、反応1に関して前述した方法と同様の方法で実施することが好ましい。好ましくは、式IIIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式IIIの化合物の混合物は単分散混合物である。式Xの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式Xの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは式Xの化合物の混合物は単分散混合物である。
【0244】
本発明の実施形態による方法は、これより説明する図1に示す図式に示されている。実質的に単分散のポリエチレングリコール含有オリゴマーの合成は、実質的に単分散ポリエチレングリコールのモノベンジルエーテル(1)を調製することによって開始する。コーダー(Coudert)ら(シンセティック・コミュニケーションズ(Synthetic Communications),16(1):19−26(1986))に記載されるようにして、過剰の市販の実質的に単分散のポリエチレングリコールを、水酸化ナトリウム水溶液の存在下で塩化ベンジルと反応させる。次に、NaHを加えることによって1のナトリウム塩を調製し、このナトリウム塩を、ヒドロキシアルカン酸のエステルから合成したメシレート(2)と反応させる。メシレートが置換した生成物(3)を、接触水素化によって脱ベンジル化して、アルコール(4)を得た。塩化メタンスルホニルを加えることによってこのアルコールのメシレート(5)を調製して、実質的に単分散ポリエチレングリコール誘導体のモノメチルエーテルのナトリウム塩との反応の求電子試薬として使用し、それによってオリゴマーのポリエチレングリコール部分を所望の長さまで延長し、延長したエステル(6)を得ることができる。このエステルを塩基水溶液中で酸(7)に加水分解し、カルボジイミドとN−ヒドロキシスクシンイミドとの反応によって、活性化エステル(8)に転化させることができる。図1に示されるオリゴマーはN−ヒドロキシスクシンイミドを使用して活性化されるが、本発明のオリゴマーの活性化には種々の他の試薬を使用してよく、たとえば、クロロギ酸p−ニトロフェニル、クロロギ酸フェニル、3,4−フェニルジクロロホルメート、および3,4−フェニルジクロロホルメートなどの活性化クロロギ酸フェニル、トレシル化、ならびにアセタール形成を使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0245】
さらに図1を参照すると、qは1〜24である。好ましくは、qは1〜18であり、より好ましくはqは4〜16である。R4は、加水分解によってカルボン酸を得ることができる部分である。R4は、好ましくは低級アルキルであり、より好ましくはエチルである。変量nおよびmは、反応1に関して前述した通りである。
【0246】
本明細書に記載の手順に使用されるすべての出発物質は、市販されているか、市販の出発物質を使用して当分野で公知の方法によって調製できるかのいずれかである。
【0247】
これより、以下の実施例を参照しながら本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の態様を例示することが目的であって、請求項によって規定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0248】
[実施例]
[実施例1〜10]
他に明記しない限り、実施例1〜10の反応は、マグネチックスターラーを使用して窒素雰囲気下で実施した。「ワークアップ」は、有機溶媒で抽出し、有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、蒸発(ロータリーエバポレーター)させることを意味する。薄層クロマトグラフィーは、シリカゲル60°F−254があらかじめコーティングされたメルク(Merck)ガラス板を使用して行い、スポットはヨウ素蒸気で可視化した。すべての質量分析は、コロラド州のコロラド州立大学マクロモレキュラー・リソーシズ(Macromolecular Resources Colorado State University,CO)で測定し、単位m/z(相対強度)で報告している。元素分析および融点は、テネシー州ノックスビルのガルブレイス・ラボラトリーズ(Galbraith Laboratories,Inc.,Knoxville,TN)が実施した。実施例1〜10は、図2に示される図式を参照している。
【実施例1】
【0249】
[8−メトキシ−1−(メチルスルホニル)オキシ−3,6−ジオキサオクタン(9)]
非多分散のトリエチレングリコールモノメチルエーテル分子(4.00ml、4.19g、25.5mmol)と、トリエチルアミン(4.26ml、3.09g、30.6mmol)とを乾燥ジクロロメタン(50ml)に溶解した溶液を、氷浴で冷却し、窒素雰囲気下に置いた。塩化メタンスルホニル(2.37ml、3.51g、30.6mmol)を乾燥ジクロロメタン(20ml)に溶解した溶液を、添加漏斗から滴下した。塩化物の滴下終了から10分後、反応混合物を氷浴から取り出し、室温まで上昇させた。この混合物をさらに1時間混合すると、TLC(溶離液としてCHCl3に15%MeOH)により、トリエチレングリコールモノメチルエーテルが残留していないことが示された。
【0250】
この反応混合物にさらに75mlのジクロロメタンを加えて希釈し、飽和NaHCO3、水、およびブラインで連続して洗浄した。得られた有機物をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮すると、透明油として化合物9の非多分散混合物(5.31g、86%)を得た。
【実施例2】
【0251】
[エチレングリコールモノメチルエーテル(10)(m=4、5、6)]
非多分散化合物11(35.7mmol)を乾燥DMF(25.7ml)に溶解し撹拌した溶液に、N2雰囲気下で鉱油中の60%NaH分散液を一度に加え、混合物を室温で1時間撹拌した。この塩12に、非多分散メシレート9(23.36)を乾燥DMF(4ml)に溶解した溶液を一度に加え、その混合物を室温で3.5時間撹拌した。反応の進行はTLC(12%のCH3OH−CHCl3)で監視した。得られた反応混合物を同量の1NのHClで希釈し、酢酸エチル(20ml×2回)で抽出し、廃棄した。水溶液の抽出およびワークアップによって、非多分散ポリマー10(収率82〜84%)を得た。
【実施例3】
【0252】
[3,6,9,12,15,18,21−ヘプタオキサドコサノール(10)(m=4)]
油;Rf0.46(メタノール:クロロホルム=3:22);MS m/z C15H32O8としての計算値340.21(M++1)、測定値341.2。
【実施例4】
【0253】
[3,6,9,12,15,18,21,24−オクタオキサペンタコサノール(10)(m=5)]
油;Rf0.43(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C17H36O9としての計算値384.24(M++1)、測定値385.3。
【実施例5】
【0254】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27−ノナオキサオクタコサノール(10)(m=6)]
油;Rf0.42(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C19H40C10としての計算値428.26(M++1)、測定値429.3。
【実施例6】
【0255】
[20−メトキシ−1−(メチルスルホニル)オキシ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサエイコサン(14)]
9に関して説明した方法と同様にして、アルコール13(m=4)と塩化メタンスルホニルから定量的収量の非多分散化合物14を油として得た;Rf0.4(酢酸エチル:アセトニトリル=1:5);MS m/z C17H37O10としての計算値433.21(M++1)、測定値433.469。
【実施例7】
【0256】
[エチレングリコールモノメチルエーテル(15)(m=3、4、5)]
化合物10に関して前述した方法を使用して、ジオールから非多分散化合物15を調製した。
【実施例8】
【0257】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27,30−デカオキサヘンエイコサノール(15)(m=3)]
油;Rf0.41(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C21H44O11としての計算値472.29(M++1)、測定値472.29。
【実施例9】
【0258】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33−ウンデカオキサテトラトリコサノール(15)(m=4)]
油;Rf0.41(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C23H48O12としての計算値516.31(M++1)、測定値516.31。
【実施例10】
【0259】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36−ドコサオキサヘプタトリコサノール(15)(m=5)]
油;Rf0.41(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C25H52O13としての計算値560.67(M++1)、測定値560.67。
【0260】
実施例11〜18は、図3に示される図式を参照している。
【実施例11】
【0261】
[ヘキサエチレングリコールモノベンジルエーテル(16)]
3.99g(100mmol)のNaOHを4mlの水に溶解して調製した水酸化ナトリウム水溶液を、非多分散ヘキサエチレングリコール(28.175g、25ml、100mmol)にゆっくりと加えた。塩化ベンジル(3.9g、30.8mmol、3.54ml)を加え、その反応混合物を100℃まで加熱し18時間撹拌した。続いて反応混合物を冷却し、ブライン(250ml)で希釈して、塩化メチレン(200ml×2回)で抽出した。その有機層を合わせたものを、ブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して、暗褐色油を得た。この未精製の生成混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、グラジエント溶離:酢酸エチルから9/1の酢酸エチル/メタノール)で精製して、8.099g(70%)の非多分散16を黄色油として得た。
【実施例12】
【0262】
[6−メチルスルホニルオキシヘキサノエート(17)]
非多分散6−ヒドロキシヘキサノエート(50.76ml、50.41g、227mmol)を乾燥ジクロロメタン(75ml)に溶解した溶液を氷浴で冷却し、窒素雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(34.43ml、24.99g、247mmol)を加えた。塩化メタンスルホニル(19.15ml、28.3g、247mmol)を乾燥ジクロロメタン(75ml)に溶解した溶液を添加漏斗から滴下した。その混合物を3時間半撹拌し、氷欲を融解させながらゆっくりと室温まで上昇させた。混合物をシリカゲルでろ過し、そのろ液を、水、飽和NaHCO3、水、およびブラインで続けて洗浄した。得られた有機物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮すると、淡黄色油が得られた。この未精製の生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1/1のヘキサン/酢酸エチル)を使用して最終的に精製して、非多分散生成物(46.13g、85%)を無色透明油として得た。FAB MS:m/e239(M+H)、193(M−C2H5O)。
【実施例13】
【0263】
[6−{2−[2−(2−{2−[2−(2−ベンジルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−ヘキサン酸エチルエステル(18)]
水素化ナトリウム(3.225g、または60%の油分散液、80.6mmol)を80mlの無水トルエン中に懸濁させ、窒素雰囲気下に置き、氷浴で冷却した。非多分散アルコール16(27.3g、73.3mmol)を80mlの乾燥トルエンに溶解した溶液を、上記NaH懸濁液に加えた。この混合物を0℃で30分間撹拌し、室温まで戻し、さらに5時間撹拌し、この間に混合物は透明褐色溶液となった。非多分散メシレート17(19.21g、80.6mmol)を80mlの乾燥トルエンに溶解した溶液を、上記NaH/アルコール混合物に加え、混合した溶液を室温で3日間撹拌した。その反応混合物に50mlのメタノールを加えて反応を停止させ、塩基性アンモニアでろ過した。そのろ液を減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、グラジエント溶離:3/1の酢酸エチル/ヘキサンから酢酸エチル)で精製して、非多分散生成物を淡黄色油として得た(16.52g、44%)。FAB MS:m/e515(M+H)。
【実施例14】
【0264】
[6−{2−[2−(2−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−ヘキサン酸エチルエステル(19)]
非多分散ベンジルエーテル18(1.03g、2.0mmol)を25mlのエタノールに溶解した。この溶液に、270mgの10%Pd/Cを加え、その混合物を水素雰囲気下に置き、4時間撹拌すると、出発物質が完全に消失したことがTLCによって示された。この反応混合物をセライト(Celite)545でろ過して触媒を除去し、そのろ液を減圧濃縮して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.67g、79%)。FAB MS:m/e425(M+H)、447(M+Na)。
【実施例15】
【0265】
[6−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メチルスルホニルエトキシ)エトキシ]エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−ヘキサン酸エチルエステル(20)]
非多分散アルコール19(0.835g、1.97mmol)を3.5mlの乾燥ジクロロメタンに溶解して、窒素雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(0.301ml、0.219g、2.16mmol)を加え、その混合物を氷浴で冷却した。2分間後、塩化メタンスルホニル(0.16ml、0.248g、2.16mmol)を加えた。混合物を0℃で15分間撹拌した後、室温で2時間撹拌した。その反応混合物をシリカゲルでろ過して塩化トリエチルアンモニウムを除去し、そのろ液を水、飽和NaHCO3、水、およびブラインで連続して洗浄した。得られた有機物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9/1の酢酸エチル/メタノール)で精製して、非多分散化合物20を透明油として得た(0.819g、83%)。FAB MS:m/e503(M+H)。
【実施例16】
【0266】
[6−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(21)]
NaH(88mgの60%油分散液、2.2mmol)を、N2下で無水トルエン(3ml)中に懸濁させ、0℃に冷却した。トルエンとともに共沸蒸留しておいた非多分散ジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.26ml、0.26g、2.2mmol)を加えた。その反応混合物を室温まで温め、4時間撹拌すると、濁った灰色の懸濁液が透明な黄色になり、続いて褐色になった。メシレート20(0.50g、1.0mmol)を2.5mlの乾燥トルエンに溶解した溶液を加えた。室温で終夜撹拌した後、2mlのメタノールを加えて反応を停止させ、その結果得られた溶液をシリカゲルでろ過した。そのろ液を減圧濃縮すると、そのFAB MSはm/e499(M+H)、521(M+Na)となった。分取クロマトグラフィー(シリカゲル、19/3のクロロホルム/メタノール)でさらに精製して、非多分散生成物を透明黄色油として得た(0.302g、57%)。FAB MS:m/e527(M+H)、549(M+Na)。
【実施例17】
【0267】
[6−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ヘキサン酸(22)]
非多分散エステル21(0.25g、0.46mmol)を、0.71mlの1NのNaOH中で18時間撹拌した。18時間後、その混合物減圧濃縮してアルコールを除去し、その残留物を別の水10mlに溶解した。得られた水溶液に2NのHClを加えてpH2まで酸性化し、その生成物をジクロロメタン(30ml×2回)で抽出した。それらの有機物を合わせたものを、次にブライン(25ml×2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して、非多分散表題化合物を黄色油として得た(0.147g、62%)。FAB MS:m/e499(M+H)、521(M+Na)。
【実施例18】
【0268】
[6−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ヘキサン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(23)]
非多分散の酸22(0.209g、0.42mmol)を4mlの乾燥ジクロロメタンに溶解し、この溶液を、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)(57.8mg、0.502mmol)およびEDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)(98.0mg、0.502mmol)が既に入れられた乾燥フラスコにN2雰囲気下で移した。得られた溶液を室温で終夜撹拌し、シリカゲルでろ過して、過剰の試薬とEDCから生成した尿素とを除去した。そのろ液を減圧濃縮して、非多分散生成物を暗黄色油として得た(0.235g、94%)。FAB MS:m/e596(M+H)、618(M+Na)。
【0269】
実施例19〜24は、図4に示される図式を参照している。
【実施例19】
【0270】
[トリエチレングリコールモノメチルエーテルのメシレート(24)]
氷浴で0℃に冷却したCH2Cl2(100ml)の溶液に、非多分散トリエチレングリコールモノメチルエーテル(25g、0.15mol)を加えた。次に、トリエチルアミン(29.5ml、0.22mol)を加え、その溶液を0℃で15分間撹拌した後、塩化メタンスルホニル(13.8ml、0.18mol、20mlのCH2Cl2に溶解)をさらに滴下した。その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、室温まで温めた後、2時間撹拌した。得られた未精製の反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2C2で洗浄)、続いて、H2O(300ml)、5%のNaHCO3(300ml)、H2O(300ml)、飽和NaCl(300ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させて、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を、次に減圧ラインに約2時間つないで確実に乾燥させて、非多分散の表題化合物を黄色油として得た(29.15g、収率80%)。
【実施例20】
【0271】
[ヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル(25)]
非多分散テトラエチレングリコール(51.5g、0.27mol)をTHF(1L)に溶解した溶液に、カリウムt−ブトキシド(14.8g、0.13mol、少量ずつ30分間かけて)加えた。その反応混合物を1時間撹拌した後、24(29.15g、0.12mol)をTHF(90ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。得られた未精製の反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2Cl2で洗浄)、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を次にHCl(250ml、1N)に溶解し、酢酸エチル(250ml)で洗浄して、過剰の24を除去した。残留する24を除去するためにさらに酢酸エチル(125ml)で洗浄する必要が生じる場合もある。得られた水相は、水相から大部分の25が除去されるまでCH2Cl2(125mlずつ)で繰り返し洗浄した。最初の抽出物は24、25、および2つ結合した副生成物を含んでおり、HCl(125ml、1N)で抽出し戻すべきである。得られた有機層を合わせて、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を次にCH2Cl2(100ml)に溶解し、25が除去されるまで繰り返しH2O(50mlずつ)で洗浄した。これらの水性分画を集めると、全体積は500mlとなり、溶液が濁り始めるまでNaClを加え、続いてCH2Cl2(500ml×2回)で洗浄した。得られた有機相を集めて、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散の表題化合物を油として得た(16.9g、収率41%)。高純度にするためには1回以上精製ステップを繰り返すことが望ましい場合もある。
【実施例21】
【0272】
[8−ブロモオクタノエート(8-Bromooctoanate)(26)]
8−ブロモオクタン酸(5.0g、22mmol)をエタノール(100ml)に溶解した溶液に、H2SO4(0.36ml、7.5mmol)を加え、その反応混合物を3時間撹拌しながら加熱還流した。得られた未精製反応混合物を室温まで冷却し、H2O(100ml)、飽和NaHCO3(100ml×2回)、H2O(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させて、透明油を得た(5.5g、収率98%)。
【実施例22】
【0273】
[MPEG7−C8エステル(27)の合成]
非多分散化合物25(3.0g、8.8mmol)をエーテル(90ml)に溶解した溶液に、カリウムt−ブトキシド(1.2g、9.6mmol)を加え、その反応混合物を1時間撹拌した。続いて、非多分散化合物26(2.4g、9.6mmol)をエーテル(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。得られた未精製の反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2Cl2で洗浄)、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を酢酸エチルに溶解し、H2O(200ml×2回)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチルから酢酸エチル/メタノール=10:1)を実施して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.843g、収率19%)。
【実施例23】
【0274】
[MPEG7−C8酸(28)]
非多分散化合物27の油(0.70g、1.4mmol)に、1NのNaOH(2.0ml)を加え、その反応混合物を4時間撹拌した。その未精製反応混合物を濃縮し、酸性化(pH約2)し、NaClで飽和させ、CH2Cl2(50ml×2回)で洗浄した。得られた有機層を集め、飽和NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散表題化合物を透明油として得た(0.35g、収率53%)。
【実施例24】
【0275】
[MPEG7−C8酸の活性化(29)]
非多分散mPEG7−C8−酸28(0.31g、0.64mmol)を3mlの無水塩化メチレンに溶解し、次に、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.079g、0.69mmol)およびEDCI−HCl(135.6mg、0.71mmol)を無水塩化メチレンに溶解した溶液を加えた。反応混合物を数時間撹拌した後、1NのHCl、水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。未精製材料をカラムクロマトグラフィーで精製し、濃縮して、非多分散表題化合物が透明油として得られ、これを減圧乾燥した。
実施例25〜29は、図5の図式を参照している。
【実施例25】
【0276】
[10−ヒドロキシデカノエート(30)]
非多分散の10−ヒドロキシデカン酸(5.0g、26.5mmol)をエタノール(100ml)に溶解した溶液に、H2SO4(0.43ml、8.8mmol)を加え、その反応混合物を撹拌しながら3時間加熱還流した。得られた未精製反応混合物を室温まで冷却し、H2O(100ml)、飽和NaHCO3(100ml×2)、H2O(100ml)、MgSO4で乾燥し、蒸発乾燥させて、非多分散表題化合物を透明油として得た(6.9g、収率98%)。
【実施例26】
【0277】
[10−ヒドロキシデカノエートのメシレート(31)]
CH2Cl2(27ml)の溶液に、非多分散10−ヒドロキシデカノエート30(5.6g、26mmol)を加え、氷浴で0℃に冷却した。次に、トリエチルアミン(5ml、37mmol)を加え、その反応混合物を0℃で15分間撹拌した。続いて、塩化メタンスルホニル(2.7ml、24mmol)をCH2Cl2(3ml)に溶解した溶液を加え、その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、氷浴を取り外し、反応混合物を室温でさらに2時間撹拌した。その未精製反応混合物を、セライトでろ過し(80mlのCH2Cl2で洗浄)、そのろ液を、H2O(100ml)、5%NaHCO3(100ml×2回)、H2O(100ml)、飽和NaCl(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散表題化合物を黄色油として得た(7.42g、収率97%)。
【実施例27】
【0278】
[MPEG7−C10エステル(32)]
非多分散のヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル25(2.5g、7.3mmol)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解した溶液に、水素化ナトリウム(0.194g、8.1mmol)を加え、その反応混合物を1時間撹拌した。続いて、非多分散10−ヒドロキシデカノエートのメシレート31(2.4g、8.1mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。その未精製反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2Cl2で洗浄)、蒸発乾燥させた。得られた油を酢酸エチルに溶解し、H2O(200ml×2)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させ、クロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/メタノール=10:1)を実施し、さらにクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)を実施して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.570g、収率15%)。
【実施例28】
【0279】
[MPEG7−C10酸(33)]
非多分散mPEG7−C10エステル32の油(0.570g、1.1mmol)に1NのNaOH(1.6ml)を加え、その反応混合物を終夜撹拌した。その未精製反応混合物を濃縮し、酸性化し(pH約2)、NaClで飽和させ、CH2Cl2(50ml×2回)で洗浄した。得られた有機層を合わせて、飽和NaCl(50ml×2回)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.340g、収率62%)。
【実施例29】
【0280】
[MPEG7−C10酸の活性化(34)]
実施例24で前述した手順と同様の手順を使用して、非多分散の酸33を活性化させた。
実施例30および31は、図6に示される図式を参照している。
【実施例30】
【0281】
[C18(PEG6)オリゴマー(36)の合成]
非多分散の塩化ステアロイル35(0.7g、2.31mmol)を、PEG6(5g、17.7mmol)とピリジン(0.97g、12.4mmol)をベンゼンと混合した混合物にゆっくりと加えた。その反応混合物を数時間(約5時間)撹拌した。酢酸エチル/メタノールを展開溶媒として使用したTLCによって反応を追跡した。続いて、反応混合物を水洗し、MgSO4で乾燥させ、濃縮し、減圧乾燥した。精製した非多分散化合物36をFABMSで分析した:m/e549/M+H。
【実施例31】
【0282】
[C18(PEG6)オリゴマーの活性化]
非多分散C18(PEG6)オリゴマーの活性化は2段階で実施した。
1)非多分散ステアロイル−PEG6(36)(0.8g、1.46mmol)をトルエンに溶解し、ホスゲン溶液(10ml、トルエン中20%)を加え、氷浴で冷却した。この反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、室温で3時間撹拌した。続いて、ホスゲンとトルエンを留去し、残った非多分散ステアロイルPEG6クロロホルメート37をP2O5で終夜乾燥させた。
【0283】
2)非多分散ステアロイルPEG6クロロホルメート36(0.78g、1.27mmol)およびTEA(128mg、1.27mmol)を無水塩化メチレンに溶解した溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミドNHSの)を塩化メチレンに溶解した溶液を加えた。その反応混合物を16時間撹拌した後、水洗し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮し、減圧乾燥して、非多分散の活性化C18(PEG6)オリゴマー38を得た。
【0284】
実施例32〜37は、図7に示される図式を参照している。
【実施例32】
【0285】
[テトラエチレングリコールモノベンジルエーテル(39)]
非多分散テトラエチレングリコールの油(19.4g、0.10mol)に、NaOH溶液(4.0ml中4.0g)を加え、その反応溶液を15分間撹拌した。続いて、塩化ベンジル(3.54ml、30.8mmol)を加え、その反応混合物を100℃まで加熱し、終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、飽和NaCl(250ml)で希釈し、CH2Cl2(200ml×2)で洗浄した。それらの有機相を集め、飽和NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、クロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)を実施して、非多分散の表題化合物を黄色油として得た(6.21g、収率71%)。
【実施例33】
【0286】
[テトラエチレングリコールモノベンジルエーテルのメシレート(40)]
CH2Cl2(20ml)の溶液に、非多分散のテトラエチレングリコールモノベンジルエーテル39(6.21g、22mmol)を加え、氷浴で0℃に冷却した。続いて、トリエチルアミン(3.2ml、24mmol)を加え、その反応混合物を0℃で15分間撹拌した。次に、塩化メタンスルホニル(1.7ml、24mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解した溶液を加え、その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、氷浴を除去し、反応混合物を室温でさらに2時間撹拌した。得られた未精製反応混合物をセライトでろ過し(80mlのCH2Cl2で洗浄)、そのろ液を、H2O(100ml)、5%NaHCO3(100ml×2)、H2O(100ml)、飽和NaCl(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。それによって得られた黄色油について、シリカ含有活性炭のパッド(10g)上でクロマトグラフィーを実施して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(7.10g、収率89%)。
【実施例34】
【0287】
[オクタエチレングリコールモノベンジルエーテル(41)]
水素化ナトリウム(0.43g、18mmol)を含有するテトラヒドロフラン(140ml)の溶液に、非多分散テトラエチレングリコール(3.5g、18mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を1時間撹拌した。次に、非多分散テトラエチレングリコールモノベンジルエーテルのメシレート40(6.0g、16.5mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。得られた未精製反応混合物をセライトでろ過し(250mlのCH2Cl2で洗浄)、そのろ液をH2Oで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させた。それによって得られた油について、クロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/メタノール=10:1)を実施し、さらにクロマトグラフィー(シリカ、クロロホルム/メタノール=25:1)を実施して非多分散の表題化合物を透明油として得た(2.62g、収率34%)。
【実施例35】
【0288】
[ステアレートPEG8−ベンジル(43)の合成]
非多分散オクタエチレングリコールモノベンジルエーテル41(0.998g、2.07mmol)およびピリジン(163.9mg、2.07mmol)の溶液を冷却して撹拌したものに、非多分散塩化ステアロイル42(627.7mg、2.07mmol)をベンゼンに溶解した溶液を加えた。その反応混合物を終夜(18時間)撹拌した。翌日、反応混合物を水洗し、MgSO4で乾燥させ、濃縮し、減圧乾燥した。次に、その未精製生成物について、10%メタノール/90%クロロホルムを使用するフラッシュシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを実施した。生成物を含有する分画を集め、濃縮し、減圧乾燥して、非多分散の表題化合物を得た。
【実施例36】
【0289】
[ステアレートPEG8−ベンジルの加水分解]
非多分散ステアレートPEG8−ベンジル43(0.854g、1.138mmol)のメタノール溶液に、Pd/C(10%)(活性炭上にパラジウムが10重量%)を加えた。水素雰囲気下で反応混合物を終夜(18時間)撹拌した。次に、その溶液をろ過し、濃縮し、10%メタノール/90%クロロホルムを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、Rf=0.6の分画を回収し、濃縮し、乾燥させて、非多分散の酸44を得た。
【実施例37】
【0290】
[C18(PEG8)オリゴマーの活性化]
前述の実施例31のステアレート−PEG6の場合に記載したように、非多分散ステアレート−PEG8オリゴマーの2段階活性化を実施して、非多分散活性化C18(PEG8)オリゴマー45を得た。
【実施例38】
【0291】
[活性化されたトリエチレングリコールモノメチルオリゴマーの合成]
以下の説明は、図8に示される図式を参照している。20%のホスゲンを含有するトルエン溶液(100ml、約18.7g、189mmolのホスゲン)をN2雰囲気下で0℃まで冷却した。非多分散mTEG(トリエチレングリコールモノメチルエーテル、7.8g、47.5mmol)を25mlの無水酢酸エチルに溶解し、さきほどの冷却したホスゲン溶液に加えた。この混合物を0℃で1時間撹拌した後、室温まで温め、さらに2時間半撹拌した。減圧留去により残留するホスゲン、酢酸エチル、およびトルエンを除去すると、非多分散mTEGクロロホルメート46が透明油状残留物として残った。
【0292】
この非多分散残留物46を50mlの乾燥ジクロロメタンに溶解し、これにTEA(トリエチルアミン、6.62ml、47.5mmol)およびNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド、5.8g、50.4mmol)を加えた。この混合物を乾燥雰囲気下、室温で20時間撹拌すると、大量の白色沈殿が現れた。混合物をろ過して沈殿物を除去し、減圧濃縮した。得られた油47をジクロロメタンに溶解し、冷脱イオン水で2回洗浄し、1NのHClで2回洗浄し、さらにブラインで1回洗浄した。得られた有機物をMgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮して、非多分散の表題化合物を透明淡黄色油として得た。必要であれば、NHSエステルは、溶離液としてEtOAcを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製してもよい。
【実施例39】
【0293】
[活性化されたパルミテート−TEGオリゴマーの合成]
以下の説明は、図9に示される図式を参照している。非多分散無水パルミチン酸(5g、10mmol)を乾燥THF(20ml)に溶解し、室温で撹拌した。この撹拌を続ける溶液に、3mol過剰のピリジンを加えた後、非多分散トリエチレングリコール(1.4ml)を加えた。この反応混合物を1時間撹拌した(反応の進行はTLC;酢酸エチル−クロロホルム=3:7で監視した)。反応終了後、THFを除去し、生成物を10%のH2SO4酸と混合し、酢酸エチル(30ml×3)で抽出した。集めた抽出物を、水、ブラインで続けて洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させて、非多分散生成物48を得た。N,N’−ジスクシニミジルカーボネート(3mmol)をDMF(約10ml)に溶解した溶液を、非多分散生成物48(1mmol)を10mlの無水DMFに溶解した溶液に撹拌しながら加えた。水素化ナトリウム(3mmol)を反応混合物にゆっくりと加えた。その反応混合物を数時間(たとえば、5時間)撹拌した。ジエチルエーテルを加えて、活性化オリゴマーを沈殿させた。この方法を3回繰り返して、最後に生成物を乾燥させた。
【実施例40】
【0294】
[活性化されたヘキサエチレングリコールモノメチルオリゴマーを有するヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の合成]
以下の説明は、図10に示される図式を参照している。非多分散活性化ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルを、前述の実施例38の非多分散トリエチレングリコールの場合と同様にして調製した。20%ホスゲンのトルエン溶液(35ml、6.66g、67.4mmolのホスゲン)を、N2雰囲気下、氷/塩水浴で冷却した。非多分散ヘキサエチレングリコール50(1.85ml、2.0g、6.74mmol)を5mlの無水EtOAcに溶解し、これをシリンジでホスゲン溶液に加えた。その反応混合物を氷浴中で1時間撹拌した後、氷浴から取り出して、室温でさらに2.5時間撹拌した。減圧蒸留によってホスゲン、EtOAc、およびトルエンを除去すると、非多分散化合物51が透明油状残留物として残った。
【0295】
非多分散残留物51を20mlの乾燥ジクロロメタンに溶解し、乾燥不活性雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(0.94ml、0.68g、6.7mmol)を加え、次にNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド、0.82g、7.1mmol)を加え、その反応混合物を室温で18時間撹拌した。その混合物をシリカゲルでろ過して白色沈殿物を除去し、減圧濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶解し、冷水で2回、1NのHClで2回、そしてブラインで1回洗浄した。その有機物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。最後にフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc)で精製して、UV活性非多分散NHSエステル52を得た。
【0296】
マサチューセッツ州ランドルフ(Randolph,Massachusetts)のセロノ(Serono)より商品名Saizen(商標)で入手可能なヒト成長ホルモン(ソマトロピン(rDNA起源)、注射用)をDMSOに溶解し、hGH濃度が0.58mmolとなるようにした。TEA(278当量)を加え、その溶液を約10分間撹拌した。2当量、5当量、または30当量の非多分散活性化ヘキサエチレングリコール52を、活性化オリゴマーを乾燥THFに溶解した0.2M溶液から加えた。反応混合物を、室温で45分間〜1時間撹拌した。各反応混合物の少量の試料に、600μlの0.1%TFA水溶液を加えて反応を停止させた。2ポリマー当量および5ポリマー当量の反応混合物と、未結合hGHとのHPLCの比較を図14に示している。30ポリマー当量反応のHPLC分析は図15に示している。
【0297】
質量分析の抱合体の試料は、逆相C18カラムと水/アセトニトリルグラジエントを使用した分析用HPLCで精製した。2当量反応混合物のピーク全体を回収し、濃縮し、MALDI質量分析を使用して分析した。この材料の質量スペクトルから、モノ結合、ジ結合、トリ結合、およびテトラ結合hGHと一部残存する未反応hGH(図16)の存在が明らかとなった。5当量の反応混合物は、図17に示される極性に従っておおまかに精製した。濃縮分画のMALDI質量スペクトル(図18、図19、および図20)から、滞留時間とともにタンパク質の結合量が増加することが分かった。図21の分画Eのエレクトロスプレー質量スペクトルから、ヘキサ結合hGHの存在が確認された。30ポリマー当量反応混合物のピーク全体を回収し、濃縮した。図22のエレクトロスプレー質量分析から、デカ結合またはより高次のコンジュゲートされた材料が示された。
【0298】
実施例18、24、29、31、または37の活性化オリゴマーにhGHを結合させるためには同様の手順が使用される。
【実施例41】
【0299】
[活性化されたパルミテート−TEGオリゴマーを有するヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の合成]
実施例39の活性化ポリマーを使用して、前述の実施例41と同様の手順を実施した。結合の進行は、20μlの結合反応混合物をビンに採取し、100μlの0.1%TFA−水−IPA(1:1)で希釈してHPLCによりチェックし、その結果は図23に示される。2時間後、0.1%のTFA−水を加えて反応を停止させた。結合生成物は分取HPLCで精製した。
【実施例42】
【0300】
[活性化されたTEGオリゴマーを有するヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の合成]
マサチューセッツ州ランドルフのセロノより商品名Saizen(商標)で入手可能なヒト成長ホルモン(hGH)(ソマトロピン(rDNA起源)、注射用)1当量をDMSO(1mg/125μm)に溶解し、室温で2〜4分間撹拌した。2当量のTEAを加えた後、THFに溶解した実施例39の活性化オリゴマー2当量を加えた。2時間後、0.1%TFA−水を加えて反応を停止させた。結合生成物は、図24に示すように分取HPLCで精製した。
【0301】
5当量のTEAおよび5当量の実施例39の活性化オリゴマーを使用して同様の手順を使用した。結合生成物は、図25に示すようにC18カラムを使用した分取HPLCで精製した。移動相および溶離時間は以下の通りである。
【表1】
回収した分画は凍結乾燥して、白色の粉末にした。化合物の質量分析は図26および27に示されている。
【0302】
9当量のTEAおよび9当量の実施例39の活性化オリゴマーを使用して同様の手順を使用した。結合生成物は、図28に示すようにC18カラムを使用した分取HPLCで精製した。
【実施例43】
【0303】
[ヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体混合物の分散係数の決定]
ヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物の分散係数は以下のように決定される。例えば実施例40で前述したようにして、ヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物を提供する。混合物の第1の試料は、HPLCで精製して、試料中の種々のヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体を分離し、単離する。単離された各分画が、抱合体の純粋な単分散混合物を含み、「n」が採取した分画数に等しいと過程する。混合物は、モノ抱合体、ジ抱合体、トリ抱合体、テトラ抱合体、ペンタ抱合体、ヘキサ抱合体、ヘプタ抱合体、オクタ抱合体、および/またはノナ抱合体などの1種類以上の抱合体を含みうる。混合物の単離された各分画は質量分析によって分析されて、その分画の質量が求められ、それによって単離された各分画が結合の程度で分類され、試料中の各抱合体の変量「M」の値が求められる。
【0304】
混合物の第2の試料はHPLCで分析されて、HPLCトレースが得られる。モル吸光率が結合によって変化しないと仮定すると、混合物中の個々の抱合体の重量%は、HPLCトレースの全ピークの下の全面積に対するパーセンテージとしての、個々の抱合体に対応するHPLCトレース下のピーク面積として与えられる。試料を回収し、凍結乾燥して、乾燥状態の試料のg重量が求められる。試料のg重量に、試料中の各成分の重量%を掛けると、試料中の各抱合体のg重量が求められる。特定の抱合体(i番目の抱合体)について変量「Ni」は、試料中の特定の抱合体のg重量を特定の抱合体の分子量で割り、それによって得られた商にアボガドロ数(6.02205×1023mol-1)を掛けると(Miは前述のように求められる)、試料中の特定の抱合体の分子数Niが求められる。続いて、分散係数は、n、各抱合体で求めたMi、および各抱合体で求めたNiを使用して計算される。
【実施例44】
【0305】
以下のように分析を行った。
細胞培養:すでに説明したように、完全長のヒトGHRを発現している安定クローンを293細胞で作製し(ヒト腎臓胚細胞株)、293GHRと命名した。
【0306】
転写アッセイ:これらは最少TKプロモーターとルシフェラーゼに融合したStat5−結合要素(LHRE)を有するレポーターが一過性にトランスフェクションされた293GHR細胞で実施した。β−ガラクトシダーゼ発現ベクターをトランスフェクション対照として共トランスフェクションし、ルシフェラーゼ値をβ−ガラクトシダーゼ活性について補正した。トランスフェクション後16時間目に細胞を無血清培地に移し、GHまたはアゴニストで6時間処理した。ルシフェラーゼ活性は、反復実験間の比較を可能にするための特異的実験内でGHにより刺激された最大活性の%として報告される。GHにより刺激された最大活性はGHにより刺激された重複誘導、即ち非刺激状態の細胞の補正ルシフェラーゼ値で割ったGH刺激細胞内の補正ルシフェラーゼ値である。アッセイの結果は図29および30に示され、ゲノトロピンはヒト成長ホルモン(標準物質、本発明の一部ではない)であり、GH−002は2当量のmTEG抱合体、GH−003は5当量のmTEG抱合体、GH−004は5当量のmTEG抱合体、Prot hGHはヒト成長ホルモン(標準物質、本発明の一部ではない)、およびhGH−TEGは9当量のmTEG抱合体である。
【0307】
本明細書では、代表的な好ましい本発明の実施形態を開示してきており、特定の用語が使用されているが、これらは一般的および説明的な意味でのみ使用されており、請求項によって示される本発明の範囲を限定することを目的としたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0308】
【図1】本発明の実施形態によるポリエチレングリコール部分と脂肪酸部分とを含む活性化ポリマーの混合物を合成するための一般的な図式を示している。
【図2】本発明の実施形態によるmPEGの混合物を合成するための図式を示している。
【図3】本発明の実施形態による活性化されたmPEG7−ヘキシルオリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図4】本発明の実施形態による活性化されたmPEG7−オクチルオリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図5】本発明の実施形態による活性化されたPEG−デシルオリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図6】本発明の実施形態による活性化されたステアレート−PEG6オリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図7】本発明の実施形態による活性化されたステアレート−PEG8オリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図8】本発明の実施形態による活性化されたPEG3オリゴマーの混合物を合成するために図式を示している。
【図9】本発明の実施形態による活性化されたパルミテート−PEG3オリゴマーの混合物を合成するために図式を示している。
【図10】本発明の実施形態により活性化されたPEG6オリゴマーの混合物を合成し、ヒト成長ホルモンをその活性化されたPEG6オリゴマーと結合させるための図式を示している。
【図11】本発明の実施形態による種々のプロピレングリコールモノマーを合成するための図式を示している。
【図12】本発明の実施形態による種々のプロピレングリコールポリマーを合成するための図式を示している。
【図13】本発明の実施形態による種々のプロピレングリコールポリマーを合成するための図式を示している。
【図14】2当量の活性化されたMPEG6オリゴマーおよび5当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応のHPLCトレース(HPLCグラジエント:30分間で、50%から90%のアセトニトリル)である。
【図15】30当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応のHPLCトレース(20分間で、HPLCグラジエント:0%から95%のアセトニトリル)である。
【図16】2当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応のMALDIスペクトルである。
【図17】5当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応の生成物の部分精製を示すHPLCトレース(30分間で、HPLCグラジエント:50%から70%のアセトニトリル)である。
【図18】図17に示す部分精製における分画BのMALDIスペクトルである。
【図19】図17に示す部分精製における分画CのMALDIスペクトルである。
【図20】図17に示す部分精製における分画DおよびEのMALDIスペクトルである。
【図21】図17に示す部分精製における分画Eのエレクトロスプレースペクトルである。
【図22】30当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応の反応混合物のエレクトロスプレースペクトルである。
【図23】ヒト成長ホルモンと図9の活性化されたオリゴマーの結合反応のHPLCトレースである。
【図24】1当量のヒト成長ホルモンと2当量の図9の活性化されたオリゴマーとを使用した結合反応のHPLCトレースである。
【図25】1当量のヒト成長ホルモンと5当量の図8の活性化されたオリゴマーとを使用した結合反応のHPLCトレースである。
【図26】図25の結合のHPLCトレースのピークの左半分に対応する分画のMALDIスペクトルである。
【図27】図25の結合のHPLCトレースのピークの右半分に対応する分画のMALDIスペクトルである。
【図28】1当量のヒト成長ホルモンと9当量の図8の活性化されたオリゴマーとを使用した結合反応のHPLCトレースである。
【図29】本発明の実施形態による成長ホルモン抱合体混合物のルシフェラーゼアッセイによって測定した活性と、比較の目的でのみ提供され本発明の一部を構成するものではないヒト成長ホルモン標準物質の活性との比較を示す棒グラフを示している。
【図30】本発明の実施形態による成長ホルモン抱合体混合物のルシフェラーゼアッセイによって測定した活性と、比較の目的でのみ提供され本発明の一部を構成するものではないヒト成長ホルモン標準物質の活性との比較を示す棒グラフを示している。
【0001】
本発明は、薬剤−オリゴマー抱合体(conjugate)類に関し、および特に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体に関する。
【背景技術】
【0002】
成長ホルモンは、成長ホルモンが欠乏した小児の代償療法に使用されてきた。成長ホルモンについては、火傷、外科手術、および吸収不良などのいくつかの異化状態の治療の補助剤としての研究も行われている。カルシウムイオンの保持および骨形成に対する成長ホルモンの正の効果も、骨粗鬆症および非治癒性骨折の治療に有用となりうる。
【0003】
成長ホルモンは、筋肉注射または皮下注射によって投与することができる。これらの方法の中では、自己投与が容易となるので皮下注射が好ましくなりうる。しかし、これらの方法は両方とも、特に小児の場合に、注射による投与に関連しうる心理学的および/または身体的外傷が原因で最適ではない場合がある。
【0004】
タンパク質やポリペプチドなどの医薬的に活性な分子が、ポリエチレングリコールの多分散混合物、またはポリエチレングリコール含有ポリマーの多分散混合物と結合されて、薬剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物が得られている。たとえば、エクウリベ(Ekwuribe)に付与された米国特許第5,359,030号明細書では、ソマトスタチン、ソマトトロピンおよび/またはソマトメジンなどのポリペプチドを、多分散ポリエチレングリコール修飾糖脂質ポリマーおよび多分散ポリエチレングリコール修飾脂肪酸ポリマーと結合させることが提案されている。それぞれの組み合わせによって得られる多分散ポリマーの数平均分子量は、好ましくは約500〜約10,000ダルトンの範囲内となる。
【0005】
ポリエチレングリコール(PEG)は、通常、塩基触媒を使用したエチレンオキシドの開環重合によって生成される。この反応は、エチレンオキシドを触媒としての水酸化カリウムとともにエチレングリコールに加えることによって開始される。この方法によって、所定の分子量範囲内の数平均分子量を有するポリエチレングリコールポリマーの多分散混合物が得られる。たとえば、ウィスコンシン州ミルウォーキーの(Milwaukee,Wisconsin)のシグマーアルドリッチ(Sigma−Aldrich)によって販売されるPEG製品はPEG400(Mn380〜420)、PEG1,000(Mn950〜1,050)、PEG1,500(Mn1,400〜1,600)、およびPEG2,000(Mn1,900−2,200)などの多分散混合物として提供されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オリゴマーがポリアルキレングリコールを含む場合には、成長ホルモン−オリゴマー抱合体の非多分散混合物が提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によるポリアルキレングリコールを含む成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物は、本発明による混合物と同じ数平均分子量を有する類似の抱合体の多分散混合物よりもインビボ活性が高くなりうる。このように活性が高くなくことによって、必要とされる投与量が減少しうる。さらに、本発明の実施形態によるポリアルキレングリコールを含む成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物は、腸内消化のインビトロモデルでの耐久性に関して、類似の抱合体の多分散混合物よりも有効となりうる。さらに、本発明の実施形態によるポリアルキレングリコールを含む成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物は、類似の抱合体の多分散混合物よりも被験者間変動が少なくなりうる。
【0008】
本発明の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーに結合した成長ホルモン剤を各抱合体が含む混合物が提供される。ポリアルキレングリコール部分は、好ましくは少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有し、最も好ましくは少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。ポリアルキレングリコール部分は好ましくはポリプロピレングリコールである。本発明のオリゴマーは、好ましくは親油性部分をさらに含む。上記成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。本発明のオリゴマーは、ヒト成長ホルモンのアミノ基と共有結合していることが好ましい。抱合体が水溶性となり生体膜を透過できるようになるため、本発明の抱合体は両親媒性の平衡の状態にある(balanced)ことが好ましい。本発明のオリゴマーは、加水分解可能でない結合によって薬剤と共有結合する第1のポリアルキレングリコール部分と、加水分解可能な結合によって第1のポリアルキレングリコール部分と共有結合する第2のポリアルキレングリコール部分とを含みうる。本発明の混合物は、好ましくは単分散混合物であり、最も好ましくは純粋な単分散の混合物である。
【0009】
本発明の別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有する混合物が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有する混合物が提供される。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有する混合物が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態によると、実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、前記実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する混合物が提供される。
【0013】
本発明の別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する混合物が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が10,000を超える分散係数(DC)を有し、ここで
【数1】
(式中、nは、試料中の種類の異なる分子の数であり、Niは、該試料中のi番目の分子の数であり、Miは、該i番目の分子の質量である)である混合物が提供される。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、オリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、さらに各抱合体が同数のポリアルキレングリコールサブユニットを有する混合物が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、同じ分子量を有し、さらに式:
【化1】
(式中、Bは結合部分であり、Lはリンカー部分であり、G、G’、およびG’’は、独立して選択されるスペーサー部分であり、Rは親油性部分であってR’はポリアルキレングリコール部分であるか、あるいはR’は親油性部分であってRはポリアルキレングリコール部分であり、Tは末端部分であり、h、i、j、k、m、およびnは独立して0または1であり、但し、Rがポリアルキレングリコール部分である場合はmが1となり、およびR’がポリアルキレングリコール部分である場合はnが1となり、および、pは、1から、前記成長ホルモン剤上の求核性残基の数までの整数である)を有する混合物が提供される。
【0017】
種々の実施形態の混合物を合成する方法も、本発明によって提供される。
【0018】
本発明の抱合体混合物を含む医薬組成物も提供される。有効量のこのような医薬組成物を投与することによって、成長ホルモン欠乏症の治療を、そのような治療を必要とする被験者に対して実施する方法も提供される。
【0019】
前述の種々の実施形態による抱合体の混合物の有効量を動物に投与することによる、動物の成長速度を加速する方法も提供される。
【0020】
本発明の実施形態による成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物は、従来の多分散成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物と比較した場合に、インビボ活性の増加および/または被験者間変動の減少および/またはキモトリプシンによる分解の減少が実現されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本明細書に記載される好ましい実施形態を参照して本発明を説明する。しかしながら、これらの実施形態は本発明を説明することが目的であって、請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するために構成されたものではないことを理解されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「非多分散」は、エクウリベに付与された米国特許第5,359,030に記載される多分散混合物とは対照的な分散性を有する化合物の混合物を表現するために使用される。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に単分散」は、混合物中の化合物の少なくとも約95%が同じ分子量を有する化合物の混合物を表現するために使用される。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「単分散」は、混合物中の化合物の約100%が同じ分子量を有する化合物の混合物を表現するために使用される。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に純粋な単分散」は、混合物中の化合物の少なくとも約95%が同じ分子量を有し同じ分子構造を有する化合物の混合物を表現するために使用される。したがって、実質的に純粋な単分散の混合物は、実質的に単分散の混合物であるが、実質的に単分散混合物は必ずしも実質的に純粋な単分散混合物であるとは限らない。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「純粋な単分散」は、混合物中の化合物の約100%が同じ分子量を有し、同じ分子構造を有する化合物の混合物を表現するために使用される。したがって、純粋な単分散混合物は単分散混合物であるが、単分散混合物は必ずしも純粋な単分散混合物であるとは限らない。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「重量平均分子量」は、混合物中の所与の分子の重量分率と混合物中の各分子の分子量との質量の合計として定義される。「重量平均分子量」は記号Mwで表される。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「数平均分子量」は混合物の全重量を混合物中の分子数で割ったものとして定義され、記号Mnで表される。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「分散係数」(DC)は、
【数2】
(式中、
nは、試料中の種類の異なる分子の数であり、
Niは、該試料中のi番目の分子の数であり、
Miは、該i番目の分子の質量である)
で定義される。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「被験者内変動」は、同じ投与量の薬剤または医薬組成物を異なる時点で被験者に投与した場合に、同じ被験者内で発生する活性の変動を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「被験者間変動」は、同じ投与量の所与の薬剤または医薬製剤を各被験者に投与した場合の、2名以上の被験者の間の活性の変動を意味する。
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモン剤」は、成長ホルモンペプチドの生物活性のすべてまたは一部を有する薬剤を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチド」は、ヒト成長ホルモン、ヒト成長ホルモン放出ホルモン、動物成長ホルモン、または動物成長ホルモン放出ホルモンを意味し、これらはいずれも天然、合成、または遺伝子的に設計された供給源から提供されうる。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチド類似体」は、1以上のアミノ酸が置換されているが、成長ホルモンペプチドの活性の一部またはすべてが維持されている成長ホルモンペプチドを意味する。この類似体は、上付き文字で置換位置が示された置換アミノ酸が表記され、その後に成長ホルモンの説明を続けることによって記載される。たとえば、「Pro41成長ホルモン,ヒト」は、ヒト成長ホルモン分子の41番目の位置に通常見られるアミノ酸がプロリンで置換されていることを意味する。
【0034】
成長ホルモン類似体は、当業者にはよく知られている種々の手段によって入手することができる。たとえば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位などの構造を有する相互作用結合能力を大きく損なうことなく、成長ホルモン構造中のあるアミノ酸を別のアミノ酸で置換することができる。成長ホルモンの相互作用能力および性質がその生物機能的活性を規定するので、あるアミノ酸配列の置換がそのアミノ酸配列中で起こるが、それにもかかわらずポリペプチドは同様の性質を維持しうる。
【0035】
このような置換を行う場合、アミノ酸のハイドロパシーインデックス(hydropathic index)を考慮してよい。相互作用的生物学的機能をポリペプチドに付与することに関して、アミノ酸のハイドロパシーインデックスの重要性は一般に当分野で理解されている。アミノ酸の相対的ハイドロパシーは、結果として得られるポリペプチドの2次構造に寄与し、これによってポリペプチドと、たとえば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などの他の分子との相互作用が規定されることが認められている。アミノ酸の疎水性と電荷特性に基づいて、各アミノ酸のハイドロパシーインデックスが以下のように割り当てられている。イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタメート(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパルテート(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)。当業者には理解されているが、あるアミノ酸を、同様のハイドロパシーインデックスまたはスコアを有する別のアミノ酸で置換しても、同様の生物活性を有するポリペプチドが得られる、すなわち生物学的機能が同等のポリペプチドが得られる場合がある。このような置換を行う場合、ハイドロパシーインデックスが互いに±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、互いに±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、互いに±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0036】
同様のアミノ酸の置換は、親水性を基準にして効率的に実施できることも当分野で知られている。米国特許第4,554,101号明細書には、隣接するアミノ酸の親水性によって決定されるタンパク質の局所的な最大平均親水性が、そのタンパク質の生物学的性質と相関があることが記載されている。米国特許第4,554,101号明細書に詳細に記載されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている。アルギニン(+3.0)、リジン(±3.0)、アスパルテート(+3.0±1)、グルタメート(+3.0±1)、セイン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、トリプトファン(−3.4)。当業者には理解されているが、アミノ酸を同様の親水性値を有する別のアミノ酸で置換して、なお生物学的に同等、特に免疫学的に同等のポリペプチドを得ることができる。このような置換では、互いの親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、互いに±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、互いに±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0037】
したがって上記の概略のように、アミノ酸の置換は一般的に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、たとえば、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさなどに基づいて行われる。前述の種々の特性を考慮した代表的な置換(すなわち、そのポリペプチドの生物活性を顕著に変化させることなく交換可能なアミノ酸)は当業者にはよく知られており、そのようなものとしては、たとえば、アルギニンとリジン、グルタメートとアスパルテート、セリンとトレオニン、グルタミンとアスパラギン、ならびにバリンとロイシンとイソロイシンが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチドフラグメント」は、成長ホルモンポリペプチドの活性の一部またはすべてを維持する、成長ホルモン中に見られるアミノ酸配列のセグメントを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「成長ホルモンペプチドフラグメント類似体」は、セグメント中の1以上のアミノ酸が置換されているが成長ホルモンポリペプチドの活性の一部またはすべては維持されている、成長ホルモンペプチド中に見られるアミノ酸配列のセグメントを意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「ポリアルキレングリコール」は、直鎖または分岐のポリアルキレングリコールポリマーを意味する。用語「ポリアルキレングリコールサブユニット」は、1つのポリアルキレングリコール単位を意味する。たとえば、ポリエチレングリコールサブユニットは−(CH2CH2O)−である。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「親油性」は、脂質に溶解する能力、および/または生体膜に対して浸透し、相互作用し、および/または横切る能力を意味し、用語「親油性部分」または「親油性分子」は、親油性である部分、および/または別の化学物質と結合してそのような化学物質の親油性を増大させる部分を意味する。親油性部分の例としては、アルキル、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステリル、アダマンチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「低級アルキル」は、1〜5個の炭素原子を有する置換または未置換のアルキル部分を意味する。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「高級アルキル」は、6個以上の炭素原子を有する置換または未置換のアルキル部分を意味する。
【0044】
本発明の実施形態では、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が提供される。本発明の単分散混合物中の各成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含む。好ましくは、本発明の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の抱合体が同じ分子量を有する。より好ましくは、本発明の混合物は単分散混合物である。さらにより好ましくは、本発明の混合物は実質的に純粋な単分散混合物である。さらにより好ましくは、本発明の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の抱合体が同じ分子量を有し同じ分子構造を有する。最も好ましくは、本発明の混合物は純粋な単分散混合物である。
【0045】
上記の成長ホルモン剤は、好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子(pro−releasing factor),ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(hexarelin)(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は、
【化2】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに、両親媒性の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0047】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0048】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0049】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0050】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0051】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0052】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0053】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0054】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0055】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、ポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法が挙げられるが、これには限定されない当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0056】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0057】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなどの1以上の親水性部分をさらに含んでよいが、これらには限定されない。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であるとみなす。たとえば、部分
【化3】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とになる。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0058】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1個〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3個〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0059】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0060】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0061】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端における1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0062】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して、成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、抱合体は、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用して、オリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることができると望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0063】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合的に結合させるための能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能化されうる。本発明の別の実施形態によると、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などが挙げられるが、これらには限定されない種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果、得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体(complex))させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化(complexation)によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0064】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合することが好ましい。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から分離し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から離れるように、程度の異なる加水分解性を有してもよい。
【0065】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0066】
本発明の実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなるオリゴマーの実質的に単分散の混合物は、カルボン酸の実質的に単分散の混合物と、ポリエチレングリコールの実質的に単分散の混合物とを、オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この実質的に単分散の混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらにまた別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0067】
活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物は、成長ホルモン剤の実質的に単分散の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させることができる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物と、成長ホルモン剤の実質的に単分散の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、実質的に単分散の混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえば、実質的に単分散の、モノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、質量分析などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体Phe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0068】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、ブロックされた成長ホルモン剤の実質的に単分散の混合物を、活性化オリゴマーの実質的に単分散の混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0069】
本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコック(Allcock)およびF.W.ランプ(Lampe)の「最新ポリマー化学」(CONTEMPORARY POLYMER CHEMISTRY)394−402(第2版、1991年)に記載されているようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
別の例として、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これには限定されない種々の方法で測定できる。個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale,California)のモレキュラー・デバイシズ・コーポレーション(Molecular Devices Corporation)より市販されるサイトセンサー(Cytosensor)(登録商標)マイクロフィジオメーター(Microphysiometer)を使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスフェル(Transwell)(登録商標)(マサチューセッツ州アクトンのカミング(Coming,Inc.,Acton,Massachusetts))中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0071】
さらに別の例として、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらには限定されない種々の方法で測定できる。
【0072】
さらに別の例として、実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、該実質的に単分散の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、実質的に単分散の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらには限定されない種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0073】
本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による実質的に単分散の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0074】
本発明によるさらに別の実施形態では、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する抱合体の混合物が提供される。本発明の混合物の各抱合体は、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含む。標準偏差は好ましくは約14ダルトン未満であり、より好ましくは約11ダルトン未満である。分子量分布は当業者に公知の方法によって測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。次に分子量分布の標準偏差は当業者に公知の統計学的方法によって求めることができる。
【0075】
本発明の成長ホルモン剤は、好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は
【化4】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに両親媒性の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0077】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0078】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0079】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0080】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0081】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0082】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0083】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0084】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成における任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0085】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、ポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0086】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0087】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなどが挙げられるが、これらには限定されない1以上の親水性部分をさらに含んでよい。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し、それらが同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であると見なす。たとえば、部分
【化5】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とである。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0088】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で、線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0089】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0090】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0091】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端において1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0092】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、抱合体が、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることが望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0093】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合の能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能基化されうる。本発明の別の実施形態によると、限定するものではないが、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などの種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果、得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体化)させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0094】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合することが好ましい。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から移動し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から移動するように、異なる程度の加水分解性を有してもよい。
【0095】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基にみられ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端にみられる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0096】
約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなる約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するオリゴマーの混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するカルボン酸の混合物を、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するポリエチレングリコールの混合物と、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するオリゴマーの混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0097】
約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物と、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0098】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上で1以上のオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有するブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0099】
本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができる。たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
別の例として、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0101】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0102】
さらに別の例として、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これには限定されない種々の方法で測定できる。
【0103】
さらに別の例として、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これには限定されない種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0104】
本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0105】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、前記混合物が10,000を超える分散係数(DC)を有し、
【数3】
(式中、
nは、試料中の種類の異なる分子の数であり、
Niは、該試料中のi番目の分子の数であり、
Miは、該i番目の分子の質量である)
である混合物が提供される。本発明の抱合体の混合物は、好ましくは100,000を超える分散係数を有する。より好ましくは、本発明の抱合体混合物の分散係数は500,000を超え、最も好ましくは,分散係数は10,000,000を超える。変量n、Ni、およびMiは、実施例44で後述する方法などが挙げられるが、これに限定されない当業者に公知の種々の方法によって決定することができる。
【0106】
本発明の成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0107】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は、
【化6】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに両親媒性成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0108】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0109】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0110】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0111】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0112】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0113】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0114】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0115】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0116】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、ポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などが挙げられるが、これらには限定されない当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0117】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0118】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなど挙げられるが、これらには限定されない1以上の親水性部分をさらに含んでよい。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は、6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であると見なす。たとえば、部分
【化7】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とになる。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0119】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1個〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3個〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0120】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0121】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0122】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端における1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、限定するものではないが糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などの当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0123】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を抱合体が欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることが望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0124】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合的に結合させるための能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能化されうる。本発明の別の実施形態によると、限定するものではないが、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などの種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体化)させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0125】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合すると好ましくなりうる。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から分離し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から離れるように、異なる程度の加水分解性を有してもよい。
【0126】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0127】
10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなる10,000を超える分散係数を有するオリゴマーの混合物は、10,000を超える分散係数を有するカルボン酸の混合物を、10,000を超える分散係数を有するポリエチレングリコールの混合物と、10,000を超える分散係数を有するオリゴマーの混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この10,000を超える分散係数を有する混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0128】
10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物は、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物と、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、10,000を超える分散係数を有する混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、限定するものではないが配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0129】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、10,000を超える分散係数を有するブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、10,000を超える分散係数を有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0130】
本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
別の例として、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0132】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0133】
さらに別の例として、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0134】
さらに別の例として、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0135】
本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による10,000を超える分散係数を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0136】
本発明の別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、オリゴマーと結合した成長ホルモン剤を含み、さらに同数のポリアルキレングリコールサブユニットを有する混合物が提供される。
【0137】
本発明の成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知のポリアルキレングリコール部分を含む種々のオリゴマーであってよい。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2、3、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は
【化8】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに両親媒性成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0139】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0140】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0141】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、たとえば、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0142】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0143】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0144】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0145】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0146】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0147】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、限定するものではないがポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などの当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0148】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の他の部分を含んでよく、そのような部分としては、親水性部分、親油性部分、スペーサー部分、リンカー部分、および末端部分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のオリゴマー中の種々の部分は、加水分解可能な結合または加水分解可能でない結合のいずれかによって互いに共有結合する。
【0149】
本発明のオリゴマーは、糖、ポリアルキレングリコール、およびポリアミン/PEGコポリマーなどが挙げられるが、これらには限定されない1以上の親水性部分をさらに含んでよい。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合によって結合し同じアルキル構造を有するのであれば、同じ部分であると見なす。たとえば、部分、
−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−O−C2H4−
は6個のポリエチレングリコールサブユニットを有する1つのポリエチレングリコール部分である。隣接するポリアルキレングリコール部分は、エーテル結合以外の結合で結合している場合、または異なるアルキル構造を有する場合には、異なる部分であると見なす。たとえば、部分
【化9】
は、4つのポリエチレングリコールサブユニットを有するポリエチレングリコール部分と、2つのポリエチレングリコールサブユニットとを有する親水性部分とである。好ましくは、本発明の実施形態によるオリゴマーはポリアルキレングリコール部分を含むが、親水性部分をさらに含むことはない。
【0150】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上の親油性部分をさらに含んでよい。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1個〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2個〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2個〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3個〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0151】
本発明のオリゴマーは、当業者に公知の1以上のスペーサー部分をさらに含んでもよい。スペーサー部分は、たとえば、親水性部分を親油性部分から分離するため、親油性部分または親水性部分を成長ホルモン剤から分離するため、第1の親水性または親油性部分を第2の親水性または親油性部分から分離するため、あるいは親水性部分または親油性部分をリンカー部分から分離するために使用してよい。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。
【0152】
本発明のオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用される当業者に公知の1以上のリンカー部分をさらに含んでもよい。リンカー部分は好ましくは、アルキル部分および脂肪酸部分からなる群より選択される。
【0153】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と結合していないオリゴマーの1以上の末端における1以上の末端部分をさらに含んでよい。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、限定するものではないが糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などの当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0154】
本発明のオリゴマーは、成長ホルモン剤と共有結合することが好ましい。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を抱合体が欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることが望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。本発明のオリゴマーが成長ホルモン剤と共有結合する場合、そのオリゴマーは、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用される当業者に公知の1以上の結合部分をさらに含む。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。オリゴマー上の2つ以上の部分が、成長ホルモン剤と共有結合してもよい。
【0155】
本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合することが好ましいが、本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と非共有結合的に結合して、非共有結合的に結合した成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を形成してもよいことを理解されたい。当業者には理解されているように、非共有結合としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、およびミセルまたはリポソームカプセル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施形態によると、選択された方法で非共有結合的に結合させる能力を付与するために(たとえば、水素結合能力を付与するために)、当業者に公知のようにオリゴマーは適宜構成され、修飾され、および/または適切に官能化されうる。本発明の別の実施形態によると、限定するものではないが、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、胆汁酸、胆汁酸誘導体、脂肪酸、脂肪酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸誘導体、アミノサリチル酸、およびアミノサリチル酸誘導体などの種々の化合物でオリゴマーを誘導体化してよい。その結果得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合(複合体化)させることができる。それによって得られる複合体は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。さらに別の本発明の実施形態によると、オリゴマーをアミンおよび/またはアルキルアミンで誘導体化してよい。好適な酸性条件下では、結果として得られるオリゴマーは、薬剤分子、医薬品、および/または医薬賦形剤と非共有結合的に結合した複合体を形成することができる。このような複合体化によって得られる生成物は、親油性と親水性の平衡の状態にあることが好ましい。
【0156】
2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)を成長ホルモン剤に結合させてもよい。複数のオリゴマーは同じものであることが好ましい。しかし、複数のオリゴマーは互いに異なっていてもよいし、あるいは複数のオリゴマーの一部が同じものであり、一部が異なっていてもよいことを理解されたい。複数のオリゴマーが成長ホルモン剤と結合する場合、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって結合し、1以上のオリゴマーと成長ホルモン剤が加水分解可能でない結合によって結合することが好ましい。あるいは、複数のオリゴマーと成長ホルモン剤の結合がすべて加水分解可能であるが、たとえば、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によって急速に成長ホルモン剤から分離し、1以上のオリゴマーは体内での加水分解によってゆっくりと成長ホルモン剤から離れるように、異なる程度の加水分解性を有してもよい。
【0157】
本発明のオリゴマーは、求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などが挙げられるが、これらには限定されない薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、および求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0158】
混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなる混合物であって、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有するオリゴマーの混合物は、カルボン酸の混合物を、ポリエチレングリコールの混合物であって、混合物中の各ポリエチレングリコール分子が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する混合物と、オリゴマーの混合物であって、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次に、この混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0159】
混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物は、成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物と、成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する抱合体の混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、限定するものではないが配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0160】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、ブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、混合物中の各オリゴマーが同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0161】
本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
別の例として、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0163】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0164】
さらに別の例として、本発明のさらに別の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0165】
さらに別の例として、本発明のさらに別の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0166】
本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による、混合物中の各抱合体が同数のポリエチレングリコールサブユニットを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0167】
本発明のさらに別の実施形態によると、抱合体の混合物であって、各抱合体が、同じ分子量を有し、さらに式:
【化10】
成長ホルモン剤
(式中、
Bは結合部分であり、
Lはリンカー部分であり、
G、G’、およびG’’は、独立して選択されるスペーサー部分であり、
Rは親油性部分でありR’はポリアルキレングリコール部分であるか、あるいはR’は親油性部分でありRはポリアルキレングリコール部分であり、
Tは末端部分であり、
h、i、j、k、m、およびnは独立して0または1であり、但し、Rがポリアルキレングリコール部分である場合はmが1となり、R’がポリアルキレングリコール部分である場合はnが1となり、および
pは、1から、前記成長ホルモン剤上の求核性残基の数までの整数である)を有する混合物が提供される。
【0168】
本発明の成長ホルモン剤は好ましくはヒト成長ホルモンである。しかし、成長ホルモン剤は、たとえば、成長ホルモンペプチド、成長ホルモンペプチド類似体、成長ホルモンペプチドフラグメント、および成長ホルモンペプチドフラグメント類似体などの当業者に公知の種々の成長ホルモン剤から選択してよいことを理解すべきである。成長ホルモンペプチドとしては、成長ホルモン,ヒト(hGH)、成長ホルモン,ブタ、成長ホルモン,ウシ、成長ホルモン,ニワトリ、成長ホルモン,ラット、成長ホルモン,マウス、成長ホルモン,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ヒト、成長ホルモン前放出因子,ヒト、成長ホルモン放出因子,マウス、成長ホルモン放出因子,ヒツジ、成長ホルモン放出因子,ラット、成長ホルモン放出因子,ウシ、成長ホルモン放出因子,ブタ、および成長ホルモン放出因子,ニワトリが挙げられるが、これらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチド類似体は、成長ホルモンペプチド中の1以上のアミノ酸が置換されることによって前述のように得られてもよい。成長ホルモンペプチドフラグメントとしては、成長ホルモン1−43,ヒト、成長ホルモン6−13、成長ホルモン放出因子1−37,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,ヒト、成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト、成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット、ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド)、および成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒトが挙げられるがこれらに限定されるものではない。成長ホルモンペプチドフラグメント類似体としては、[D−Ala2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト、[N−Ac−Tyr1,D−Arg2]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド、[His1,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド、成長ホルモン放出ペプチド−6([His1,Lys6]−GHRP)、および[D−Lys3]−GHRP−6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0169】
本発明のこれらの実施形態によると、RまたはR’はポリアルキレン部分である。好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。より好ましくは、ポリアルキレングリコール部分は、少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。最も好ましくは、本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する。本発明のオリゴマーのポリアルキレングリコール部分は、好ましくは、ポリエチレングリコール部分、ポリプロピレングリコール部分、またはポリブチレングリコール部分などの低級アルキルポリアルキレングリコール部分である。ポリアルキレングリコール部分は、より好ましくは、均一な構造を有するポリプロピレングリコール部分である。均一な構造を有する代表的なポリプロピレングリコール部分は
【化11】
である。この均一なポリプロピレングリコール構造は、ポリプロピレングリコール鎖中の各酸素原子と隣接するメチル置換炭素原子を1つのみ有すると説明することができる。このような均一なポリプロピレングリコール部分は、親油性と親水性の両方を示す場合があり、したがって親油性ポリマー部分を使用せずに(すなわち、m+nの合計が1)両親媒性成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を得るために有用となりうる。さらに、ポリプロピレングリコール部分の第2級アルコール部分と成長ホルモン剤とを結合させることによって、例えば腸などに見られるトリプシンやキモトリプシンなどの酵素による分解に対する抵抗性が向上した成長ホルモン剤(たとえば、ヒト成長ホルモン)を得ることが可能となる。
【0170】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコールは、これから説明する図11〜13に記載されるように合成されることが好ましい。図11に示されるように、1,2−プロパンジオール53を、第1級アルコールブロッキング試薬と反応させると、第2級アルコール延長モノマー54が得られる。この第1級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第1級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、t−ブチルジフェニルシリルクロリドやt−ブチルジメチルシリルクロリドなどのシリルクロリド化合物、およびAc2Oなどのエステル化試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、第1級アルコールブロッキング試薬は、第2級アルコールと実質的に非反応性である第1級アルコールブロッキング試薬であり、たとえばt−ブチルジフェニルシリルクロリドまたはt−ブチルジメチルシリルクロリドである。第2級アルコール延長モノマー(54)を塩化メタンスルホニル(MeSO2Cl)と反応させると、第1級延長アルコールモノマーメシレート55を得ることができる。
【0171】
あるいは、第2級アルコール延長モノマー54を、第2級アルコールブロッキング試薬と反応させて、化合物56を得ることができる。第2級アルコールブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の第2級アルコールブロッキング試薬であってよく、たとえば、塩化ベンジルが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物56は、B1脱ブロッキング試薬と反応させて、ブロッキング部分B1を除去し、第1級アルコール延長モノマー57を得ることができる。B1脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング試薬から選択してよい。エステルを形成することによって第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬は塩基(たとえば、炭酸カリウム)などの脱エステル化試薬である。シリルクロリドを使用して第1級アルコールがブロックされている場合は、B1脱ブロッキング試薬はフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)が好ましい。第1級アルコール延長モノマー57を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を得ることができる。
【0172】
第1級アルコール延長モノマー54と第2級アルコール延長モノマー57は、以下のようにキャップすることができる。第2級アルコール延長モノマー54は、キャッピング試薬と反応させて化合物59を得ることができる。キャッピング試薬は当業者に公知の種々のキャッピング試薬であってよく、塩化メチルなどのハロゲン化アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化合物59を、前述のB1脱ブロッキング剤と反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマー60を得ることができる。第1級アルコールキャッピングモノマー60を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコールキャッピングモノマーメシレート61を得ることができる。第1級アルコール延長モノマー57を、キャッピング試薬と反応させると、化合物62を得ることができる。このキャッピング試薬は、前述の種々のキャッピング試薬であってよい。化合物62を、B2脱ブロッキング試薬と反応させてブロッキング部分B2を除去すると、第2級アルコールキャッピングモノマー63を得ることができる。B2脱ブロッキング試薬は、当業者に公知の種々の脱ブロッキング剤であってよく、たとえば、パラジウム/活性炭触媒の存在下でのH2が挙げられるが、これに限定されるものではない。第2級アルコールキャッピングモノマーを塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコールキャッピングモノマーメシレート64を得ることができる。図11に示される実施形態ではキャッピングモノマーの合成が示されているが、キャッピングポリマーを得るために同様の反応を実施してもよいことを理解されたい。
【0173】
一般に、鎖延長は、第1級アルコール延長モノマー57などの第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレート55などの第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、種々の均一なポリプロピレン鎖を得ることによって行うことができるし、あるいは第2級アルコール延長モノマー54などの第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーを、第2級アルコール延長モノマーメシレート58などの第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させることによって行うこともできる。
【0174】
たとえば、図13では、第1級アルコール延長モノマーメシレート55を、第1級アルコール延長モノマー57と反応させると、ダイマー化合物65が得られる。あるいは、第2級アルコール延長モノマーメシレート58を、第2級アルコール延長モノマー54と反応させて、ダイマー化合物65を得ることもできる。ダイマー化合物65上のB1ブロッキング部分は、前述のB1脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第1級アルコール延長ダイマー66を得ることができる。第1級アルコール延長ダイマー66を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を得ることができる。あるいは、ダイマー化合物65上のB2ブロッキング部分は、前述のB2脱ブロッキング試薬を使用して除去して、第2級アルコール延長ダイマー69を得ることができる。第2級アルコール延長ダイマー69を、塩化メタンスルホニルと反応させると、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を得ることができる。
【0175】
当業者であれば理解しているように、鎖延長法を繰り返して種々の他の鎖長を得ることができる。たとえば、図13に示されるように、第1級アルコール延長ダイマー66を、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70と反応させて、テトラマー化合物72を得ることができる。図13にさらに示されるように、一般的な鎖延長反応図式では、第1級アルコール延長モノマーまたはポリマー73を、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレート74と反応させることで、均一なポリプロピレンポリマー75が得られる。mおよびnの値はそれぞれ0〜1000以上の範囲となりうる。好ましくは、mおよびnはそれぞれが0〜50である。図13に示される実施形態は、第1級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーを第1級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートと反応させることを示しているが、第2級アルコール延長モノマーおよび/またはポリマーおよび第2級アルコール延長モノマーメシレートおよび/またはポリマーメシレートを使用して同様の反応を実施してもよいことは理解できるであろう。
【0176】
第1級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第1級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第1級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第1級アルコール延長ダイマーメシレート70を、第1級アルコールキャッピングモノマー60と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー71が得られる。当業者は理解しているように、B1ブロッキング部分を除去することができ、その結果得られるキャップされた第1級アルコール延長トリマーを、第1級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー71の鎖を延長することができる。
【0177】
第2級アルコール延長モノマーまたはポリマーの末端、あるいは第2級アルコール延長モノマーメシレートまたはポリマーメシレートの末端を、それぞれ第2級アルコールキャッピングモノマーメシレートまたはポリマーメシレート、あるいは第2級アルコールキャッピングモノマーまたはポリマーと反応させて、キャップされた均一なポリプロピレン鎖を得ることができる。たとえば、図12に示されるように、第2級アルコール延長ダイマーメシレート67を、第2級アルコールキャッピングモノマー63と反応させると、キャップ/ブロックされた第1級アルコール延長トリマー68が得られる。前述のようにB2ブロッキング部分は除去することができ、それによって得られるキャップされた第2級アルコール延長トリマーを、第2級アルコール延長マーメシレートと反応させて、キャップされたトリマー68の鎖を延長することができる。図12に示される合成は、トリマーを得るためのダイマーとキャッピングモノマーの反応を示しているが、キャッピング法は、均一なポリプロピレングリコール部分の合成の任意の時点で実施することができるし、あるいはキャップされていない均一なポリプロピレングリコール部分を得ることもできることを理解されたい。図12に示される実施形態は、キャッピングモノマーを使用した合成によるポリブチレンオリゴマーのキャッピングを示しているが、本発明のポリブチレンオリゴマーは、図11に関して前述したキャッピング試薬を使用して直接キャップしてもよい(すなわち、キャッピングモノマーを付加しない)ことを理解されたい。
【0178】
本発明の実施形態による均一なポリプロピレングリコール部分は、成長ホルモン剤、カルボン酸などの親油性部分、および/または種々の他の部分と、限定するものではないがポリエチレングリコール部分に関して本明細書で説明した方法などの当業者に公知の種々の方法によって結合させてよい。
【0179】
本発明のこれらの実施形態によると、RまたはR’は当業者に公知の親油性部分である。親油性部分は好ましくは、飽和または不飽和で線状または分岐状のアルキル部分、あるいは飽和または不飽和で線状または分岐状の脂肪酸部分である。親油性部分がアルキル部分である場合、その親油性部分は1〜28個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和のアルキル部分であることが好ましい。より好ましくは、アルキル部分は2〜12個の炭素原子を有する。親油性部分が脂肪酸部分である場合、その脂肪酸部分は2〜18個の炭素原子を有する線状で飽和または不飽和の天然脂肪酸部分であることが好ましい。より好ましくは、脂肪酸部分は3〜14個の炭素原子を有する。最も好ましくは、脂肪酸部分は少なくとも4個、5個、または6個の炭素原子を有する。
【0180】
本発明のこれらの実施形態によると、スペーサー部分G、G’、およびG’’は当業者に公知のスペーサー部分である。スペーサー部分は好ましくは、糖部分、コレステロール部分、およびグリセリン部分からなる群より選択される。好ましくは、これらの実施形態のオリゴマーはスペーサー部分を含まない(すなわち、i、j、およびkが好ましくは0である)。
【0181】
本発明のこれらの実施形態によると、当業者には公知のように、リンカー部分Lは、オリゴマーを成長ホルモン剤と結合させるために使用してよい。リンカー部分は好ましくは、アルキルおよび脂肪酸からなる群より選択される。
【0182】
本発明のこれらの実施形態によると、末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であり、より好ましくは低級アルキル部分または低級アルコキシ部分である。最も好ましくは、末端部分はメチルまたはメトキシである。末端部分は好ましくはアルキル部分またはアルコキシ部分であるが、末端部分は、限定するものではないが糖、コレステロール、アルコール、および脂肪酸などの当業者に公知の種々の部分であってよいことは理解できるであろう。
【0183】
本発明のこれらの実施形態によると、式Aの構造の括弧部分で表される本発明のオリゴマーは成長ホルモン剤と共有結合する。ある実施形態では、加水分解可能な結合(たとえば、エステル結合または炭酸結合)を使用して成長ホルモン剤をオリゴマーと結合させる。加水分解可能な結合によって、プロドラッグとして機能する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる場合がある。ある場合、たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が不活性である(すなわち、成長ホルモン剤の主要な作用機序を介して身体に影響する能力を抱合体が欠いている)場合などでは、加水分解可能な結合によって、持続放出または制御放出効果が得られることがあり、1以上のオリゴマーがそれぞれの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体から開裂して有効薬剤が得られる所与の時間のあいだ成長ホルモン剤が投与されうる。別の実施形態では、成長ホルモン剤は、加水分解可能でない結合(たとえば、カルバメート結合、アミド結合、またはエーテル結合)を使用してオリゴマーと結合させる。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体を長時間、好ましくは少なくとも2時間、血流中で循環させることができると望ましい場合には、加水分解可能でない結合の使用が好ましくなりうる。結合部分は、オリゴマーを成長ホルモン剤と共有結合させるために使用することができる当業者に公知の種々の結合部分であってよい。結合部分は好ましくは、共有結合、エステル部分、カーボネート部分、カルバメート部分、アミド部分、および第2級アミン部分からなる群より選択される。
【0184】
変量pは、1から、成長ホルモン剤上の求核性残基の数までの整数である。pが2以上である場合、2つ以上のオリゴマー(すなわち、複数のオリゴマー)が薬剤と結合する。本発明のこれらの実施形態によると、複数のオリゴマーは同じものである。
【0185】
本発明のオリゴマーは、限定するものではないが求核性ヒドロキシル基および/またはアミノ基などの薬剤の種々の求核性残基で成長ホルモン剤と結合させてよい。求核性ヒドロキシル基は、たとえば、セリンおよび/またはチロシン残基に見ることができ、求核性アミノ基は、たとえば、ヒスチジンおよび/またはリジン残基、および/またはポリペプチドの1以上のN末端に見ることができる。オリゴマーが成長ホルモンポリペプチドの1以上のN末端と結合する場合、結合によって第2級アミンが形成されることが好ましい。成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである場合、たとえば、オリゴマーはPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、および/またはLys172のアミノ基と結合してよい。
【0186】
混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し式Aの構造を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、種々の方法によって合成することができる。たとえば、カルボン酸とポリエチレングリコールとからなるオリゴマーの混合物は、カルボン酸の混合物を、ポリエチレングリコールの混合物と、オリゴマーの混合物を得るのに十分な条件下で接触させることによって合成される。次にこの混合物のオリゴマーを、成長ホルモン剤と反応できるように活性化させて、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体が得られる。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の一実施形態が図3に示されており、後出の実施例11〜18で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図4に示されており、後出の実施例19〜24で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図5に示されており、後出の実施例25〜29で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図6に示されており、後出の実施例30〜31で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図7に示されており、後出の実施例32〜37で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図8に示されており、後出の実施例38で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路のさらに別の実施形態が図9に示されており、後出の実施例39で説明されている。各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物を得るための合成経路の別の実施形態が図10に示されており、後出の実施例40で説明されている。
【0187】
各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物は、混合物中の各剤が同じ分子量を有する成長ホルモン剤の混合物と、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得るのに十分な条件下で反応させる。代表的な合成は、後出の実施例40〜42で説明する。当業者であれば理解できることであるが、反応条件(たとえば、選択されたモル比、溶媒混合物および/またはpH)は、各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物と、成長ホルモン剤の混合物との反応の結果得られる成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が、各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する抱合体の混合物となるように制御することができる。たとえば、リジンのアミノ基における結合は、リジンのpKaよりも反応溶液のpHを低く維持することによって抑制することができる。あるいは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、たとえばHPLCを使用して分離および単離することによって、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体、たとえばモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体の混合物を得ることができる。個々の単離された抱合体の結合の程度(たとえば、単離された分子がモノ抱合体、ジ抱合体、またはトリ抱合体のいずれであるか)は、限定するものではないが質量分析などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。個々の抱合体の構造(たとえば、ヒト成長ホルモンのモノ抱合体のPhe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、またはLys172のいずれの位置にオリゴマーが存在するか)は、限定するものではないが配列分析、ペプチドマッピング、選択的酵素開裂、および/またはエンドペプチダーゼ開裂などの当業者に公知の種々の技術を使用して測定および/または確認することができる。
【0188】
当業者には理解できるであろうが、成長ホルモン剤上の1以上の反応部位は、たとえば、成長ホルモン剤を、N−tert−ブトキシカルボニル(t−BOC)、またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)(N−FMOC)などの好適なブロッキング試薬と反応させることによってブロックしてもよい。たとえば、成長ホルモン剤がポリペプチドであり、ポリペプチドのN末端の1以上でオリゴマーを有する不飽和抱合体(すなわち、すべての求核性残基が結合しているわけでない抱合体)が望ましい場合には、この方法が好ましいこともある。このようなブロッキング後に、ブロックされた成長ホルモン剤の混合物を、混合物中の各オリゴマーが同じ分子量を有し式Aのオリゴマーの構造を有する活性化オリゴマーの混合物と反応させて、1以上の求核性残基と結合したオリゴマーを有し、別の求核性残基と結合したブロッキング部分を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。この結合反応の後、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体は、当業者に公知のように脱ブロックすることができる。必要であれば、続いて成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を前述のように分離することによって、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を得ることができる。あるいは、脱ブロック前に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を分離してもよい。
【0189】
本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、従来の混合物と比較した場合に改善された性質を有することが好ましい。たとえば、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビボ活性よりも高いインビボ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、種々の方法で測定することができ、たとえば、H.R.アルコックおよびF.W.ランプの「最新ポリマー化学」394−402(第2版、1991年)に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できるが、これらに限定されるものではない。
【0190】
別の例として、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、この混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のインビトロ活性よりも高いインビトロ活性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0191】
個々の混合物のインビトロ活性は、当業者に公知の種々の方法によって測定してよい。好ましくはインビトロ活性は、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーションより市販されるサイトセンサー(登録商標)マイクロフィジオメーターを使用して測定される。このマイクロフィジオメーターは、トランスウェル中の培養細胞に加えられる薬剤に対する応答の細胞外酸性化速度の微小な変化を監視する。この応答は、研究対象の分子の活性に比例する。
【0192】
さらに別の例として、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物のキモトリプシンによる分解に対する抵抗性と比較した場合に、キモトリプシンに対する分解に対する増加した抵抗性を有することが好ましい。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。
【0193】
さらに別の例として、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と同じ数平均分子量を有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の多分散混合物の被験者間変動よりも小さな被験者間変動を有する。当業者には公知であるが、混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の数平均分子量および多分散混合物の数平均分子量は、限定するものではないがサイズ排除クロマトグラフィーなどの種々の方法で測定できる。被験者間変動は、当業者に公知の種々の方法によって測定することができる。被験者間変動は好ましくは以下のように計算される。用量反応曲線の下の面積(AUC)(すなわち、用量反応曲線とベースライン値との間の面積)を各被験者の場合で求める。各被験者のAUCを合計し、その合計を被験者数で割ることによって、すべての被験者の平均のAUCを求める。次に、被験者のAUCと平均AUCとの間の差の絶対値を各被験者について求める。得られた差の絶対値を次に合計することで、被験者間変動を表す値が得られる。値が小さいほど被験者間変動が小さいことを表しており、値が大きいほど被験者間変動が大きいことを表している。
【0194】
本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の2つ以上を有することが好ましい。より好ましくは、本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の3つ以上を有する。最も好ましくは、本発明の実施形態による混合物中の各抱合体が同じ分子量を有し構造式Aを有する成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、前述の改善された性質の4つすべてを有する。
【0195】
本発明の実施形態による抱合体混合物を含む医薬組成物も提供される。上述の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、投与するために、公知の技術に従って医薬担体中に処方してよい。たとえば、レミントン(Remington)の「調剤の科学および実践」(The Science And Practice of Pharmacy)(第9版、1995年)を参照されたい。本発明の実施形態による医薬組成物の製造では、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物は、通常、特に医薬的に許容可能な担体と混合される。当然ながらこの担体は、医薬組成物中の他のすべての成分と適合性であり患者に対して有害ではないという意味で許容される必要がある。この担体は、固体または液体のいずれであってもよいし、またはその両方であってもよく、約0.01または0.5重量%〜約95重量%または99重量%の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含みうる錠剤などの単位投与剤形として、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体とともに調剤されることが好ましい。本発明の医薬組成物は、成分を混合し、任意選択的に1種類以上の副成分を混合することを含むが、これらには限定されない任意の公知の製薬技術で調製することができる。
【0196】
本発明の実施形態による医薬組成物は、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入(たとえば、エアロゾルによって)、口腔内(たとえば、舌下)、経膣、非経口投与(たとえば、皮下、筋肉内、皮内、関節内、胸膜内、腹膜内、脳内、動脈内、または静脈内)、局所投与(すなわち、皮膚と、気道面を含む粘膜面との両方)、および経皮投与に好適なものを含むが、所与の場合において最も好適な経路は、治療される状態の性質および重篤度、ならびに使用される個々の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の性質に依存する。
【0197】
経口投与に好適な医薬組成物は、カプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤などの分離した単位で存在してよく、それぞれが、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の所定量を、粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油または油中水型エマルジョンとして含有する。このような製剤は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と、好適な担体(前述の1種類以上の副成分を含んでもよい)とを関連させるステップを含む、あらゆる好適な製剤方法によって調製してよい。一般に、本発明の実施形態による医薬組成物は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合を、液体または微粉砕固体担体あるいはその両方と均質かつ密接に混合し、続いて必要であれば、得られた混合物を成型することによって調製される。たとえば、錠剤は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物と任意に1種類以上の副成分とを含有する粉末または顆粒を圧縮または成型することによって調製してよい。圧縮錠剤は、バインダー、滑沢剤、不活性希釈剤、および/または、界面活性/分散剤と任意に混合した粉末または顆粒などの易流動性形態の本発明の混合物を好適な装置で圧縮することによって調製してよい。成型錠剤は、不活性液体バインダーで湿らせた粉末化合物を好適な装置で成型することによって作製してよい。
【0198】
口腔内(舌下)投与に好適な医薬組成物としては、通常はショ糖とアラビアゴムまたはトラガカントゴムである、風味が付いた基剤中に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含むトローチ剤、ならびにゼラチンとグリセリンまたはショ糖とアラビアゴムなどである不活性基剤中に成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含む香錠が挙げられる。
【0199】
非経口投与に好適な本発明の実施形態による医薬組成物は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の滅菌された水性および非水性注射液を含み、これらの製剤は、意図する受容者の血液に対して等張性であることが好ましい。これらの製剤は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、および意図する受容者の血液に対して組成物を等張性にする溶質を含んでよい。水性および非水性滅菌懸濁液は、懸濁剤および増粘剤を含んでよい。本発明の組成物は、密封アンプルおよびビンなどの単位投与または複数回投与用の容器中で提供してもよく、滅菌液体担体、たとえば、食塩水または注射用水を使用直前に加えるだけでよい凍結乾燥条件で保存してもよい。即時注射液および懸濁液は、前述の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製してもよい。たとえば、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を含む安定な滅菌注射組成物を密封容器中に単位投与剤形で提供することができる。凍結乾燥した形態の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が提供され、これは好適な医薬的に許容可能な担体を使用して再構成して、被験者への注射に好適な液体組成物を得ることができる。通常、単位投与剤形は、約10mg〜約10gの成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物を含む。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物が実質的に水不溶性である場合、生理学的に許容される乳化剤の十分な量を使用して、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を水性担体中に乳化させてもよい。このような有用な乳化剤の1つはホスファチジルコリンである。
【0200】
直腸投与に好適な医薬組成物は、好ましくは単位投与坐剤として提供される。これらは、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物を、カカオバターなどの1種類以上の従来の固体担体と混合し、得られた混合物を次に成型することによって調製することができる。
【0201】
皮膚への局所適用に好適な医薬組成物は好ましくは、軟膏、クリーム、ローション、パスタ剤、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油剤の形態をとる。使用してもよい担体としては、石油ゼリー、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮吸収促進剤、およびこれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0202】
経皮投与に好適な医薬組成物は、受容者の表皮と長時間密接な接触を維持するのに適合した分離型パッチとして提供されてもよい。経皮投与に好適な組成物は、イオン導入によって送達されてもよく(たとえばファーマシューティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)3(6):318(1986)を参照されたい)、通常は成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の水溶液に任意に緩衝剤を加えた形態をとる。好適な製剤は、クエン酸またはビス/トリス緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含み、0.1〜0.2Mの有効成分を含有する。
【0203】
有効量のこのような医薬組成物を投与することによる、成長ホルモン欠乏症の治療をそのような治療を必要とする被験者に対して実施する方法も提供される。成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の有効量、本発明の範囲内でのその使用は、混合物ごと、患者ごとによってある程度変動し、患者の年齢や症状、および送達経路などの要因に依存する。このような投与量は、当業者に公知の日常的な薬理学的手順に従って求めることができる。一般的な発案では、約0.1〜約50mg/kgの投与量が治療に有効となり、すべての重量は、成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体の混合物の重量を基準にして計算される。より多量における毒性の問題から、最大約10mg/kgまでのより少ない量に静脈投与では制限されることがあり、このすべての重量は有効成分の重量を基準にして計算される。経口投与では約10mg/kg〜約50mg/kgの投与量が使用されうる。通常、筋肉注射では約0.5mg/kg〜5mg/kgの投与量が使用されうる。投与頻度は、通常は1日当たり1、2、または3回となるか、あるいは症状に応じて調節される。あるいは、本発明の薬剤−オリゴマー抱合体は、持続点滴によって投与してもよい。治療期間は、治療される成長ホルモン欠乏症の種類に依存する。
【0204】
動物の成長速度を加速させる方法は、前述の種々の実施形態による抱合体混合物の有効量を動物に投与することを含む。当然ながら、成長ホルモンの有効量は、投与される動物に依存し、当業者によって決定することができる。
【0205】
本発明の実施形態による抱合体混合物を合成する方法も提供される。以下の合成経路の実施形態は実質的に単分散の混合物の合成に関するものであるが、同様の合成経路を、本発明の実施形態による他の成長ホルモン剤−オリゴマー抱合体混合物の合成に使用することができる。
【0206】
ポリエチレングリコール部分を含むポリマーの実質的に単分散の混合物は、反応1:
【化12】
に示されるようにして得られる。
【0207】
R1はHまたは親油性部分である。好ましくは、R1は、H、アルキル、アリールアルキル、芳香族部分、脂肪酸部分、脂肪酸エステル部分、コレステリル、またはアダマンチルである。より好ましくは、R1は、H、低級アルキル、または芳香族部分である。最も好ましくはR1は、H、メチル、またはベンジルである。
【0208】
式Iにおいて、nは1〜25である。好ましくはnは1〜6である。
【0209】
X+は陽イオンである。好ましくは、X+は、PEG上のヒドロキシル部分をイオン化可能な強塩基などの化合物中の陽イオンである。陽イオンの例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、およびタリウムイオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0210】
R2はHまたは親油性部分である。好ましくは、R2は、線状または分岐状のアルキル、アリールアルキル、芳香族部分、脂肪酸部分、または脂肪酸エステル部分である。より好ましくは、R2は、低級アルキル、ベンジル、1〜24個の炭素原子を有する脂肪酸部分、または1〜24個の炭素原子を有する脂肪酸エステル部分である。最も好ましくはR2は、メチル、1〜18個の炭素原子を有する脂肪酸部分、または1〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のエチルエステル部分である。
【0211】
式IIにおいて、mは1〜25である。好ましくはmは1〜6である。
【0212】
Msはメシレート部分(すなわち、CH3S(O2)−)である。
【0213】
反応1に示されるように、式Iの構造を有する化合物の混合物を、式IIの構造を有する化合物の反応物と反応させると、ポリエチレングリコール部分を含み式IIIの構造を有するポリマーの混合物が得られる。式Iの構造を有する化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式Iの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式Iの化合物の混合物は単分散混合物である。式IIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式IIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式IIの化合物の混合物は単分散混合物である。式IIIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式IIIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量である。より好ましくは、式IIIの化合物の混合物は単分散混合物である。
【0214】
反応1は、好ましくは約0℃〜約40℃の間で実施され、より好ましくは約15℃〜約35℃の間で実施され、最も好ましくは室温(約25℃)で実施される。
【0215】
反応1は、当業者に公知の種々の時間で実施してよい。反応1は、好ましくは約0.25時間、0.5時間、または0.75時間から、約2時間、4時間、8時間の間の時間実施される。
【0216】
好ましくは、反応1は、限定するものではないが、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、またはそれら混合物などの非プロトン性溶媒中で実施される。より好ましくは、溶媒はDMF、DMA、またはトルエンである。
【0217】
式Iの化合物の式IIの化合物に対するモル比は好ましくは約1:1を超える。より好ましくは、このモル比は少なくとも約2:1である。化合物Iを過剰にすることによって、式IIの化合物の実質的にすべてを反応させることができ、これによって後述する式IIIの化合物の回収が容易となる。
【0218】
式Iの化合物は反応2:
【化13】
に示すように調製されることが好ましい。
【0219】
R1およびX+は前述の通りであり、式IVの化合物の混合物は実質的に単分散であり、好ましくは、式IVの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは式IVの化合物の混合物は単分散混合物である。
【0220】
式IVの化合物のPEG部分上のヒドロキシル部分をイオン化することができる種々の混合物は当業者に公知である。ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物は、好ましくは強塩基である。より好ましくは、ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物は、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、ブチルリチウム(BuLi)、およびリチウムジイソプロピルアミンからなる群より選択される。ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物は、より好ましくは水素化ナトリウムである。
【0221】
式IVの化合物のPEG部分上のヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物の、式IVの化合物に対するモル比は、好ましくは少なくとも約1:1であり、より好ましくは少なくとも約2:1である。ヒドロキシル部分をイオン化することができる化合物を過剰にすることによって、式IVの化合物の実質的にすべてが反応して式Iの化合物が得られる。したがって、式IVの化合物と式Iの化合物の両方が反応生成混合物に存在すると発生しうる分離の問題を回避することができる。
【0222】
反応2は、好ましくは約0℃〜約40℃の間で実施され、より好ましくは約0℃〜約35℃の間で実施され、最も好ましくは約0℃〜室温(約25℃)の間で実施される。
【0223】
反応2は、当業者に公知の種々の時間で実施してよい。反応2は、好ましくは約0.25時間、0.5時間、または0.75時間から、約2時間、4時間、8時間の間の時間実施される。
【0224】
好ましくは、反応2は、限定するものではないが、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン、N−メチルピロリジノン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、またはそれら混合物などの非プロトン性溶媒中で実施される。より好ましくは、溶媒はDMF、ジクロロメタン、またはトルエンである。
【0225】
式IIの化合物は、好ましくは反応3:
【化14】
に示すように調製される。
【0226】
R2およびMsは前述の通りであり、式Vの化合物は、式Vの化合物の実質的に単分散の混合物として存在し、好ましくは、式Vの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式Vの混合物は単分散混合物である。
【0227】
Qはハロゲン化物であり、好ましくは塩化物またはフッ化物である。
【0228】
CH3S(O2)Qはハロゲン化メタンスルホニルである。このハロゲン化メタンスルホニルは、好ましくは塩化メタンスルホニルまたはフッ化メタンスルホニルである。より好ましくは、ハロゲン化メタンスルホニルは塩化メタンスルホニルである。
【0229】
ハロゲン化メタンスルホニルの式Vの化合物に対するモル比は、好ましくは約1:1を超え、より好ましくは少なくとも約2:1である。ハロゲン化メタンスルホニルを過剰にすることによって、式Vの化合物の実質的にすべてが反応して式IIの化合物が得られる。したがって、式Vの化合物と式IIの化合物の両方が反応生成混合物に存在すると発生しうる分離の問題を回避することができる。
【0230】
反応3は、好ましくは約−10℃〜約40℃の間で実施され、より好ましくは約0℃〜約35℃の間で実施され、最も好ましくは約0℃〜室温(約25℃)の間で実施される。
【0231】
反応3は、当業者に公知の種々の時間で実施してよい。反応3は、好ましくは約0.25時間、0.5時間、または0.75時間から、約2時間、4時間、8時間の間の時間実施される。
【0232】
好ましくは、反応3は、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノ−n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、モノシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、またはそれらの混合物などが挙げられるが、これらには限定されない脂肪族アミンの存在下で実施される。より好ましくは、脂肪族アミンは、トリエチルアミンなどの第3級アミンである。
【0233】
当業者には公知であるが、種々の式Vの化合物の実質的に単分散の混合物は市販されている。たとえば、R2がHまたはメチルである場合、式Vの化合物はそれぞれPEGまたはmPEGの化合物であり、これらはウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin)のアルドリッチ(Aldrich)、スイスのフルカ(Fluka)、および/またはオレゴン州ポートランド(Portland,Oregon)のTCIアメリカ(TCI America)より市販されている。
【0234】
R2が、たとえば、高級アルキル、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステリル、またはアダマンチルなどの親油性部分である場合、式Vの化合物は当業者に公知の種々の方法によって得ることができる。式Vの化合物は以下の方法:
【化15】
【化16】
で得られることが好ましい。
【0235】
R2は親油性部分であり、好ましくは高級アルキル、脂肪酸エステル、コレステリル、またはアダマンチルであり、より好ましくは脂肪酸の低級アルキルエステルであり、最も好ましくは1個〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のエチルエステルである。
【0236】
R3はH、ベンジル、トリチル、テトラヒドロピラン、または当業者に公知の別のアルコール保護基である。
【0237】
X2 +は、X+に関して前述した陽イオンである。
【0238】
mの値は前述の通りである。
【0239】
反応4に関して、式VIの化合物の混合物は、式VIIの化合物の混合物と、反応1に関して前述した反応条件と同様の反応条件で反応させる。式VIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式VIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量である。より好ましくは、式VIの化合物の混合物は、単分散混合物である。式VIIの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式VIIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量である。より好ましくは、式VIIの化合物の混合物は、単分散混合物である。
【0240】
反応5に関して、当業者に公知の種々の方法によって、式VIIIの化合物を加水分解させて、R3部分をアルコールに転化させることができる。R3がベンジルまたはトリチルである場合、当業者に公知のパラジウム−チャコール触媒の存在下でH2を使用して加水分解を行うことが好ましい。当然ながら、R3がHである場合には反応5は必要ない。
【0241】
式VIの化合物は市販されている場合があるし、あるいは反応3に関して前述したようにして得られる場合もある。式VIIの化合物は、反応2に関して前述したようにして得ることができる。
【0242】
PEG部分を含み上記式IIIの構造を有するポリマーの実質的に単分散の混合物は、PEG鎖を延長するために、PEG部分を含む他の実質的に単分散のポリマーとさらに反応させることができる。たとえば、以下の図式:
【化17】
【化18】
を使用してよい。
【0243】
Ms、m、およびnは、反応1に関して前述した通りであり、pはnおよびmと同様であり、X2 +は、反応1に関して前述したX+と同様である。Qは、反応3に関して前述した通りである。R2は反応1に関して前述した通りであり、好ましくは低級アルキルである。R1はHである。反応6は、反応3に関して前述した方法と同様の方法で実施することが好ましい。反応7は、反応1に関して前述した方法と同様の方法で実施することが好ましい。好ましくは、式IIIの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは、式IIIの化合物の混合物は単分散混合物である。式Xの化合物の混合物は、実質的に単分散の混合物である。好ましくは、式Xの化合物の混合物中の少なくとも約96%、97%、98%、または99%の化合物が同じ分子量であり、より好ましくは式Xの化合物の混合物は単分散混合物である。
【0244】
本発明の実施形態による方法は、これより説明する図1に示す図式に示されている。実質的に単分散のポリエチレングリコール含有オリゴマーの合成は、実質的に単分散ポリエチレングリコールのモノベンジルエーテル(1)を調製することによって開始する。コーダー(Coudert)ら(シンセティック・コミュニケーションズ(Synthetic Communications),16(1):19−26(1986))に記載されるようにして、過剰の市販の実質的に単分散のポリエチレングリコールを、水酸化ナトリウム水溶液の存在下で塩化ベンジルと反応させる。次に、NaHを加えることによって1のナトリウム塩を調製し、このナトリウム塩を、ヒドロキシアルカン酸のエステルから合成したメシレート(2)と反応させる。メシレートが置換した生成物(3)を、接触水素化によって脱ベンジル化して、アルコール(4)を得た。塩化メタンスルホニルを加えることによってこのアルコールのメシレート(5)を調製して、実質的に単分散ポリエチレングリコール誘導体のモノメチルエーテルのナトリウム塩との反応の求電子試薬として使用し、それによってオリゴマーのポリエチレングリコール部分を所望の長さまで延長し、延長したエステル(6)を得ることができる。このエステルを塩基水溶液中で酸(7)に加水分解し、カルボジイミドとN−ヒドロキシスクシンイミドとの反応によって、活性化エステル(8)に転化させることができる。図1に示されるオリゴマーはN−ヒドロキシスクシンイミドを使用して活性化されるが、本発明のオリゴマーの活性化には種々の他の試薬を使用してよく、たとえば、クロロギ酸p−ニトロフェニル、クロロギ酸フェニル、3,4−フェニルジクロロホルメート、および3,4−フェニルジクロロホルメートなどの活性化クロロギ酸フェニル、トレシル化、ならびにアセタール形成を使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0245】
さらに図1を参照すると、qは1〜24である。好ましくは、qは1〜18であり、より好ましくはqは4〜16である。R4は、加水分解によってカルボン酸を得ることができる部分である。R4は、好ましくは低級アルキルであり、より好ましくはエチルである。変量nおよびmは、反応1に関して前述した通りである。
【0246】
本明細書に記載の手順に使用されるすべての出発物質は、市販されているか、市販の出発物質を使用して当分野で公知の方法によって調製できるかのいずれかである。
【0247】
これより、以下の実施例を参照しながら本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の態様を例示することが目的であって、請求項によって規定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0248】
[実施例]
[実施例1〜10]
他に明記しない限り、実施例1〜10の反応は、マグネチックスターラーを使用して窒素雰囲気下で実施した。「ワークアップ」は、有機溶媒で抽出し、有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、蒸発(ロータリーエバポレーター)させることを意味する。薄層クロマトグラフィーは、シリカゲル60°F−254があらかじめコーティングされたメルク(Merck)ガラス板を使用して行い、スポットはヨウ素蒸気で可視化した。すべての質量分析は、コロラド州のコロラド州立大学マクロモレキュラー・リソーシズ(Macromolecular Resources Colorado State University,CO)で測定し、単位m/z(相対強度)で報告している。元素分析および融点は、テネシー州ノックスビルのガルブレイス・ラボラトリーズ(Galbraith Laboratories,Inc.,Knoxville,TN)が実施した。実施例1〜10は、図2に示される図式を参照している。
【実施例1】
【0249】
[8−メトキシ−1−(メチルスルホニル)オキシ−3,6−ジオキサオクタン(9)]
非多分散のトリエチレングリコールモノメチルエーテル分子(4.00ml、4.19g、25.5mmol)と、トリエチルアミン(4.26ml、3.09g、30.6mmol)とを乾燥ジクロロメタン(50ml)に溶解した溶液を、氷浴で冷却し、窒素雰囲気下に置いた。塩化メタンスルホニル(2.37ml、3.51g、30.6mmol)を乾燥ジクロロメタン(20ml)に溶解した溶液を、添加漏斗から滴下した。塩化物の滴下終了から10分後、反応混合物を氷浴から取り出し、室温まで上昇させた。この混合物をさらに1時間混合すると、TLC(溶離液としてCHCl3に15%MeOH)により、トリエチレングリコールモノメチルエーテルが残留していないことが示された。
【0250】
この反応混合物にさらに75mlのジクロロメタンを加えて希釈し、飽和NaHCO3、水、およびブラインで連続して洗浄した。得られた有機物をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮すると、透明油として化合物9の非多分散混合物(5.31g、86%)を得た。
【実施例2】
【0251】
[エチレングリコールモノメチルエーテル(10)(m=4、5、6)]
非多分散化合物11(35.7mmol)を乾燥DMF(25.7ml)に溶解し撹拌した溶液に、N2雰囲気下で鉱油中の60%NaH分散液を一度に加え、混合物を室温で1時間撹拌した。この塩12に、非多分散メシレート9(23.36)を乾燥DMF(4ml)に溶解した溶液を一度に加え、その混合物を室温で3.5時間撹拌した。反応の進行はTLC(12%のCH3OH−CHCl3)で監視した。得られた反応混合物を同量の1NのHClで希釈し、酢酸エチル(20ml×2回)で抽出し、廃棄した。水溶液の抽出およびワークアップによって、非多分散ポリマー10(収率82〜84%)を得た。
【実施例3】
【0252】
[3,6,9,12,15,18,21−ヘプタオキサドコサノール(10)(m=4)]
油;Rf0.46(メタノール:クロロホルム=3:22);MS m/z C15H32O8としての計算値340.21(M++1)、測定値341.2。
【実施例4】
【0253】
[3,6,9,12,15,18,21,24−オクタオキサペンタコサノール(10)(m=5)]
油;Rf0.43(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C17H36O9としての計算値384.24(M++1)、測定値385.3。
【実施例5】
【0254】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27−ノナオキサオクタコサノール(10)(m=6)]
油;Rf0.42(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C19H40C10としての計算値428.26(M++1)、測定値429.3。
【実施例6】
【0255】
[20−メトキシ−1−(メチルスルホニル)オキシ−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサエイコサン(14)]
9に関して説明した方法と同様にして、アルコール13(m=4)と塩化メタンスルホニルから定量的収量の非多分散化合物14を油として得た;Rf0.4(酢酸エチル:アセトニトリル=1:5);MS m/z C17H37O10としての計算値433.21(M++1)、測定値433.469。
【実施例7】
【0256】
[エチレングリコールモノメチルエーテル(15)(m=3、4、5)]
化合物10に関して前述した方法を使用して、ジオールから非多分散化合物15を調製した。
【実施例8】
【0257】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27,30−デカオキサヘンエイコサノール(15)(m=3)]
油;Rf0.41(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C21H44O11としての計算値472.29(M++1)、測定値472.29。
【実施例9】
【0258】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33−ウンデカオキサテトラトリコサノール(15)(m=4)]
油;Rf0.41(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C23H48O12としての計算値516.31(M++1)、測定値516.31。
【実施例10】
【0259】
[3,6,9,12,15,18,21,24,27,30,33,36−ドコサオキサヘプタトリコサノール(15)(m=5)]
油;Rf0.41(メタノール:クロロホルム=6:10);MS m/z C25H52O13としての計算値560.67(M++1)、測定値560.67。
【0260】
実施例11〜18は、図3に示される図式を参照している。
【実施例11】
【0261】
[ヘキサエチレングリコールモノベンジルエーテル(16)]
3.99g(100mmol)のNaOHを4mlの水に溶解して調製した水酸化ナトリウム水溶液を、非多分散ヘキサエチレングリコール(28.175g、25ml、100mmol)にゆっくりと加えた。塩化ベンジル(3.9g、30.8mmol、3.54ml)を加え、その反応混合物を100℃まで加熱し18時間撹拌した。続いて反応混合物を冷却し、ブライン(250ml)で希釈して、塩化メチレン(200ml×2回)で抽出した。その有機層を合わせたものを、ブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して、暗褐色油を得た。この未精製の生成混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、グラジエント溶離:酢酸エチルから9/1の酢酸エチル/メタノール)で精製して、8.099g(70%)の非多分散16を黄色油として得た。
【実施例12】
【0262】
[6−メチルスルホニルオキシヘキサノエート(17)]
非多分散6−ヒドロキシヘキサノエート(50.76ml、50.41g、227mmol)を乾燥ジクロロメタン(75ml)に溶解した溶液を氷浴で冷却し、窒素雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(34.43ml、24.99g、247mmol)を加えた。塩化メタンスルホニル(19.15ml、28.3g、247mmol)を乾燥ジクロロメタン(75ml)に溶解した溶液を添加漏斗から滴下した。その混合物を3時間半撹拌し、氷欲を融解させながらゆっくりと室温まで上昇させた。混合物をシリカゲルでろ過し、そのろ液を、水、飽和NaHCO3、水、およびブラインで続けて洗浄した。得られた有機物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮すると、淡黄色油が得られた。この未精製の生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1/1のヘキサン/酢酸エチル)を使用して最終的に精製して、非多分散生成物(46.13g、85%)を無色透明油として得た。FAB MS:m/e239(M+H)、193(M−C2H5O)。
【実施例13】
【0263】
[6−{2−[2−(2−{2−[2−(2−ベンジルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−ヘキサン酸エチルエステル(18)]
水素化ナトリウム(3.225g、または60%の油分散液、80.6mmol)を80mlの無水トルエン中に懸濁させ、窒素雰囲気下に置き、氷浴で冷却した。非多分散アルコール16(27.3g、73.3mmol)を80mlの乾燥トルエンに溶解した溶液を、上記NaH懸濁液に加えた。この混合物を0℃で30分間撹拌し、室温まで戻し、さらに5時間撹拌し、この間に混合物は透明褐色溶液となった。非多分散メシレート17(19.21g、80.6mmol)を80mlの乾燥トルエンに溶解した溶液を、上記NaH/アルコール混合物に加え、混合した溶液を室温で3日間撹拌した。その反応混合物に50mlのメタノールを加えて反応を停止させ、塩基性アンモニアでろ過した。そのろ液を減圧濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、グラジエント溶離:3/1の酢酸エチル/ヘキサンから酢酸エチル)で精製して、非多分散生成物を淡黄色油として得た(16.52g、44%)。FAB MS:m/e515(M+H)。
【実施例14】
【0264】
[6−{2−[2−(2−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−ヘキサン酸エチルエステル(19)]
非多分散ベンジルエーテル18(1.03g、2.0mmol)を25mlのエタノールに溶解した。この溶液に、270mgの10%Pd/Cを加え、その混合物を水素雰囲気下に置き、4時間撹拌すると、出発物質が完全に消失したことがTLCによって示された。この反応混合物をセライト(Celite)545でろ過して触媒を除去し、そのろ液を減圧濃縮して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.67g、79%)。FAB MS:m/e425(M+H)、447(M+Na)。
【実施例15】
【0265】
[6−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メチルスルホニルエトキシ)エトキシ]エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−ヘキサン酸エチルエステル(20)]
非多分散アルコール19(0.835g、1.97mmol)を3.5mlの乾燥ジクロロメタンに溶解して、窒素雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(0.301ml、0.219g、2.16mmol)を加え、その混合物を氷浴で冷却した。2分間後、塩化メタンスルホニル(0.16ml、0.248g、2.16mmol)を加えた。混合物を0℃で15分間撹拌した後、室温で2時間撹拌した。その反応混合物をシリカゲルでろ過して塩化トリエチルアンモニウムを除去し、そのろ液を水、飽和NaHCO3、水、およびブラインで連続して洗浄した。得られた有機物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9/1の酢酸エチル/メタノール)で精製して、非多分散化合物20を透明油として得た(0.819g、83%)。FAB MS:m/e503(M+H)。
【実施例16】
【0266】
[6−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(21)]
NaH(88mgの60%油分散液、2.2mmol)を、N2下で無水トルエン(3ml)中に懸濁させ、0℃に冷却した。トルエンとともに共沸蒸留しておいた非多分散ジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.26ml、0.26g、2.2mmol)を加えた。その反応混合物を室温まで温め、4時間撹拌すると、濁った灰色の懸濁液が透明な黄色になり、続いて褐色になった。メシレート20(0.50g、1.0mmol)を2.5mlの乾燥トルエンに溶解した溶液を加えた。室温で終夜撹拌した後、2mlのメタノールを加えて反応を停止させ、その結果得られた溶液をシリカゲルでろ過した。そのろ液を減圧濃縮すると、そのFAB MSはm/e499(M+H)、521(M+Na)となった。分取クロマトグラフィー(シリカゲル、19/3のクロロホルム/メタノール)でさらに精製して、非多分散生成物を透明黄色油として得た(0.302g、57%)。FAB MS:m/e527(M+H)、549(M+Na)。
【実施例17】
【0267】
[6−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ヘキサン酸(22)]
非多分散エステル21(0.25g、0.46mmol)を、0.71mlの1NのNaOH中で18時間撹拌した。18時間後、その混合物減圧濃縮してアルコールを除去し、その残留物を別の水10mlに溶解した。得られた水溶液に2NのHClを加えてpH2まで酸性化し、その生成物をジクロロメタン(30ml×2回)で抽出した。それらの有機物を合わせたものを、次にブライン(25ml×2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して、非多分散表題化合物を黄色油として得た(0.147g、62%)。FAB MS:m/e499(M+H)、521(M+Na)。
【実施例18】
【0268】
[6−(2−{2−[2−(2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−ヘキサン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(23)]
非多分散の酸22(0.209g、0.42mmol)を4mlの乾燥ジクロロメタンに溶解し、この溶液を、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)(57.8mg、0.502mmol)およびEDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)(98.0mg、0.502mmol)が既に入れられた乾燥フラスコにN2雰囲気下で移した。得られた溶液を室温で終夜撹拌し、シリカゲルでろ過して、過剰の試薬とEDCから生成した尿素とを除去した。そのろ液を減圧濃縮して、非多分散生成物を暗黄色油として得た(0.235g、94%)。FAB MS:m/e596(M+H)、618(M+Na)。
【0269】
実施例19〜24は、図4に示される図式を参照している。
【実施例19】
【0270】
[トリエチレングリコールモノメチルエーテルのメシレート(24)]
氷浴で0℃に冷却したCH2Cl2(100ml)の溶液に、非多分散トリエチレングリコールモノメチルエーテル(25g、0.15mol)を加えた。次に、トリエチルアミン(29.5ml、0.22mol)を加え、その溶液を0℃で15分間撹拌した後、塩化メタンスルホニル(13.8ml、0.18mol、20mlのCH2Cl2に溶解)をさらに滴下した。その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、室温まで温めた後、2時間撹拌した。得られた未精製の反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2C2で洗浄)、続いて、H2O(300ml)、5%のNaHCO3(300ml)、H2O(300ml)、飽和NaCl(300ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させて、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を、次に減圧ラインに約2時間つないで確実に乾燥させて、非多分散の表題化合物を黄色油として得た(29.15g、収率80%)。
【実施例20】
【0271】
[ヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル(25)]
非多分散テトラエチレングリコール(51.5g、0.27mol)をTHF(1L)に溶解した溶液に、カリウムt−ブトキシド(14.8g、0.13mol、少量ずつ30分間かけて)加えた。その反応混合物を1時間撹拌した後、24(29.15g、0.12mol)をTHF(90ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。得られた未精製の反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2Cl2で洗浄)、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を次にHCl(250ml、1N)に溶解し、酢酸エチル(250ml)で洗浄して、過剰の24を除去した。残留する24を除去するためにさらに酢酸エチル(125ml)で洗浄する必要が生じる場合もある。得られた水相は、水相から大部分の25が除去されるまでCH2Cl2(125mlずつ)で繰り返し洗浄した。最初の抽出物は24、25、および2つ結合した副生成物を含んでおり、HCl(125ml、1N)で抽出し戻すべきである。得られた有機層を合わせて、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を次にCH2Cl2(100ml)に溶解し、25が除去されるまで繰り返しH2O(50mlずつ)で洗浄した。これらの水性分画を集めると、全体積は500mlとなり、溶液が濁り始めるまでNaClを加え、続いてCH2Cl2(500ml×2回)で洗浄した。得られた有機相を集めて、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散の表題化合物を油として得た(16.9g、収率41%)。高純度にするためには1回以上精製ステップを繰り返すことが望ましい場合もある。
【実施例21】
【0272】
[8−ブロモオクタノエート(8-Bromooctoanate)(26)]
8−ブロモオクタン酸(5.0g、22mmol)をエタノール(100ml)に溶解した溶液に、H2SO4(0.36ml、7.5mmol)を加え、その反応混合物を3時間撹拌しながら加熱還流した。得られた未精製反応混合物を室温まで冷却し、H2O(100ml)、飽和NaHCO3(100ml×2回)、H2O(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させて、透明油を得た(5.5g、収率98%)。
【実施例22】
【0273】
[MPEG7−C8エステル(27)の合成]
非多分散化合物25(3.0g、8.8mmol)をエーテル(90ml)に溶解した溶液に、カリウムt−ブトキシド(1.2g、9.6mmol)を加え、その反応混合物を1時間撹拌した。続いて、非多分散化合物26(2.4g、9.6mmol)をエーテル(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。得られた未精製の反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2Cl2で洗浄)、乾燥するまで蒸発させた。得られた油を酢酸エチルに溶解し、H2O(200ml×2回)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチルから酢酸エチル/メタノール=10:1)を実施して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.843g、収率19%)。
【実施例23】
【0274】
[MPEG7−C8酸(28)]
非多分散化合物27の油(0.70g、1.4mmol)に、1NのNaOH(2.0ml)を加え、その反応混合物を4時間撹拌した。その未精製反応混合物を濃縮し、酸性化(pH約2)し、NaClで飽和させ、CH2Cl2(50ml×2回)で洗浄した。得られた有機層を集め、飽和NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散表題化合物を透明油として得た(0.35g、収率53%)。
【実施例24】
【0275】
[MPEG7−C8酸の活性化(29)]
非多分散mPEG7−C8−酸28(0.31g、0.64mmol)を3mlの無水塩化メチレンに溶解し、次に、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.079g、0.69mmol)およびEDCI−HCl(135.6mg、0.71mmol)を無水塩化メチレンに溶解した溶液を加えた。反応混合物を数時間撹拌した後、1NのHCl、水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。未精製材料をカラムクロマトグラフィーで精製し、濃縮して、非多分散表題化合物が透明油として得られ、これを減圧乾燥した。
実施例25〜29は、図5の図式を参照している。
【実施例25】
【0276】
[10−ヒドロキシデカノエート(30)]
非多分散の10−ヒドロキシデカン酸(5.0g、26.5mmol)をエタノール(100ml)に溶解した溶液に、H2SO4(0.43ml、8.8mmol)を加え、その反応混合物を撹拌しながら3時間加熱還流した。得られた未精製反応混合物を室温まで冷却し、H2O(100ml)、飽和NaHCO3(100ml×2)、H2O(100ml)、MgSO4で乾燥し、蒸発乾燥させて、非多分散表題化合物を透明油として得た(6.9g、収率98%)。
【実施例26】
【0277】
[10−ヒドロキシデカノエートのメシレート(31)]
CH2Cl2(27ml)の溶液に、非多分散10−ヒドロキシデカノエート30(5.6g、26mmol)を加え、氷浴で0℃に冷却した。次に、トリエチルアミン(5ml、37mmol)を加え、その反応混合物を0℃で15分間撹拌した。続いて、塩化メタンスルホニル(2.7ml、24mmol)をCH2Cl2(3ml)に溶解した溶液を加え、その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、氷浴を取り外し、反応混合物を室温でさらに2時間撹拌した。その未精製反応混合物を、セライトでろ過し(80mlのCH2Cl2で洗浄)、そのろ液を、H2O(100ml)、5%NaHCO3(100ml×2回)、H2O(100ml)、飽和NaCl(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散表題化合物を黄色油として得た(7.42g、収率97%)。
【実施例27】
【0278】
[MPEG7−C10エステル(32)]
非多分散のヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル25(2.5g、7.3mmol)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解した溶液に、水素化ナトリウム(0.194g、8.1mmol)を加え、その反応混合物を1時間撹拌した。続いて、非多分散10−ヒドロキシデカノエートのメシレート31(2.4g、8.1mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。その未精製反応混合物をセライトでろ過し(約200mlのCH2Cl2で洗浄)、蒸発乾燥させた。得られた油を酢酸エチルに溶解し、H2O(200ml×2)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させ、クロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/メタノール=10:1)を実施し、さらにクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)を実施して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.570g、収率15%)。
【実施例28】
【0279】
[MPEG7−C10酸(33)]
非多分散mPEG7−C10エステル32の油(0.570g、1.1mmol)に1NのNaOH(1.6ml)を加え、その反応混合物を終夜撹拌した。その未精製反応混合物を濃縮し、酸性化し(pH約2)、NaClで飽和させ、CH2Cl2(50ml×2回)で洗浄した。得られた有機層を合わせて、飽和NaCl(50ml×2回)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させて、非多分散の表題化合物を透明油として得た(0.340g、収率62%)。
【実施例29】
【0280】
[MPEG7−C10酸の活性化(34)]
実施例24で前述した手順と同様の手順を使用して、非多分散の酸33を活性化させた。
実施例30および31は、図6に示される図式を参照している。
【実施例30】
【0281】
[C18(PEG6)オリゴマー(36)の合成]
非多分散の塩化ステアロイル35(0.7g、2.31mmol)を、PEG6(5g、17.7mmol)とピリジン(0.97g、12.4mmol)をベンゼンと混合した混合物にゆっくりと加えた。その反応混合物を数時間(約5時間)撹拌した。酢酸エチル/メタノールを展開溶媒として使用したTLCによって反応を追跡した。続いて、反応混合物を水洗し、MgSO4で乾燥させ、濃縮し、減圧乾燥した。精製した非多分散化合物36をFABMSで分析した:m/e549/M+H。
【実施例31】
【0282】
[C18(PEG6)オリゴマーの活性化]
非多分散C18(PEG6)オリゴマーの活性化は2段階で実施した。
1)非多分散ステアロイル−PEG6(36)(0.8g、1.46mmol)をトルエンに溶解し、ホスゲン溶液(10ml、トルエン中20%)を加え、氷浴で冷却した。この反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、室温で3時間撹拌した。続いて、ホスゲンとトルエンを留去し、残った非多分散ステアロイルPEG6クロロホルメート37をP2O5で終夜乾燥させた。
【0283】
2)非多分散ステアロイルPEG6クロロホルメート36(0.78g、1.27mmol)およびTEA(128mg、1.27mmol)を無水塩化メチレンに溶解した溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミドNHSの)を塩化メチレンに溶解した溶液を加えた。その反応混合物を16時間撹拌した後、水洗し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮し、減圧乾燥して、非多分散の活性化C18(PEG6)オリゴマー38を得た。
【0284】
実施例32〜37は、図7に示される図式を参照している。
【実施例32】
【0285】
[テトラエチレングリコールモノベンジルエーテル(39)]
非多分散テトラエチレングリコールの油(19.4g、0.10mol)に、NaOH溶液(4.0ml中4.0g)を加え、その反応溶液を15分間撹拌した。続いて、塩化ベンジル(3.54ml、30.8mmol)を加え、その反応混合物を100℃まで加熱し、終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、飽和NaCl(250ml)で希釈し、CH2Cl2(200ml×2)で洗浄した。それらの有機相を集め、飽和NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、クロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)を実施して、非多分散の表題化合物を黄色油として得た(6.21g、収率71%)。
【実施例33】
【0286】
[テトラエチレングリコールモノベンジルエーテルのメシレート(40)]
CH2Cl2(20ml)の溶液に、非多分散のテトラエチレングリコールモノベンジルエーテル39(6.21g、22mmol)を加え、氷浴で0℃に冷却した。続いて、トリエチルアミン(3.2ml、24mmol)を加え、その反応混合物を0℃で15分間撹拌した。次に、塩化メタンスルホニル(1.7ml、24mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解した溶液を加え、その反応混合物を0℃で30分間撹拌し、氷浴を除去し、反応混合物を室温でさらに2時間撹拌した。得られた未精製反応混合物をセライトでろ過し(80mlのCH2Cl2で洗浄)、そのろ液を、H2O(100ml)、5%NaHCO3(100ml×2)、H2O(100ml)、飽和NaCl(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。それによって得られた黄色油について、シリカ含有活性炭のパッド(10g)上でクロマトグラフィーを実施して、非多分散の表題化合物を透明油として得た(7.10g、収率89%)。
【実施例34】
【0287】
[オクタエチレングリコールモノベンジルエーテル(41)]
水素化ナトリウム(0.43g、18mmol)を含有するテトラヒドロフラン(140ml)の溶液に、非多分散テトラエチレングリコール(3.5g、18mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を1時間撹拌した。次に、非多分散テトラエチレングリコールモノベンジルエーテルのメシレート40(6.0g、16.5mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を滴下し、その反応混合物を終夜撹拌した。得られた未精製反応混合物をセライトでろ過し(250mlのCH2Cl2で洗浄)、そのろ液をH2Oで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させた。それによって得られた油について、クロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/メタノール=10:1)を実施し、さらにクロマトグラフィー(シリカ、クロロホルム/メタノール=25:1)を実施して非多分散の表題化合物を透明油として得た(2.62g、収率34%)。
【実施例35】
【0288】
[ステアレートPEG8−ベンジル(43)の合成]
非多分散オクタエチレングリコールモノベンジルエーテル41(0.998g、2.07mmol)およびピリジン(163.9mg、2.07mmol)の溶液を冷却して撹拌したものに、非多分散塩化ステアロイル42(627.7mg、2.07mmol)をベンゼンに溶解した溶液を加えた。その反応混合物を終夜(18時間)撹拌した。翌日、反応混合物を水洗し、MgSO4で乾燥させ、濃縮し、減圧乾燥した。次に、その未精製生成物について、10%メタノール/90%クロロホルムを使用するフラッシュシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーを実施した。生成物を含有する分画を集め、濃縮し、減圧乾燥して、非多分散の表題化合物を得た。
【実施例36】
【0289】
[ステアレートPEG8−ベンジルの加水分解]
非多分散ステアレートPEG8−ベンジル43(0.854g、1.138mmol)のメタノール溶液に、Pd/C(10%)(活性炭上にパラジウムが10重量%)を加えた。水素雰囲気下で反応混合物を終夜(18時間)撹拌した。次に、その溶液をろ過し、濃縮し、10%メタノール/90%クロロホルムを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、Rf=0.6の分画を回収し、濃縮し、乾燥させて、非多分散の酸44を得た。
【実施例37】
【0290】
[C18(PEG8)オリゴマーの活性化]
前述の実施例31のステアレート−PEG6の場合に記載したように、非多分散ステアレート−PEG8オリゴマーの2段階活性化を実施して、非多分散活性化C18(PEG8)オリゴマー45を得た。
【実施例38】
【0291】
[活性化されたトリエチレングリコールモノメチルオリゴマーの合成]
以下の説明は、図8に示される図式を参照している。20%のホスゲンを含有するトルエン溶液(100ml、約18.7g、189mmolのホスゲン)をN2雰囲気下で0℃まで冷却した。非多分散mTEG(トリエチレングリコールモノメチルエーテル、7.8g、47.5mmol)を25mlの無水酢酸エチルに溶解し、さきほどの冷却したホスゲン溶液に加えた。この混合物を0℃で1時間撹拌した後、室温まで温め、さらに2時間半撹拌した。減圧留去により残留するホスゲン、酢酸エチル、およびトルエンを除去すると、非多分散mTEGクロロホルメート46が透明油状残留物として残った。
【0292】
この非多分散残留物46を50mlの乾燥ジクロロメタンに溶解し、これにTEA(トリエチルアミン、6.62ml、47.5mmol)およびNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド、5.8g、50.4mmol)を加えた。この混合物を乾燥雰囲気下、室温で20時間撹拌すると、大量の白色沈殿が現れた。混合物をろ過して沈殿物を除去し、減圧濃縮した。得られた油47をジクロロメタンに溶解し、冷脱イオン水で2回洗浄し、1NのHClで2回洗浄し、さらにブラインで1回洗浄した。得られた有機物をMgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮して、非多分散の表題化合物を透明淡黄色油として得た。必要であれば、NHSエステルは、溶離液としてEtOAcを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製してもよい。
【実施例39】
【0293】
[活性化されたパルミテート−TEGオリゴマーの合成]
以下の説明は、図9に示される図式を参照している。非多分散無水パルミチン酸(5g、10mmol)を乾燥THF(20ml)に溶解し、室温で撹拌した。この撹拌を続ける溶液に、3mol過剰のピリジンを加えた後、非多分散トリエチレングリコール(1.4ml)を加えた。この反応混合物を1時間撹拌した(反応の進行はTLC;酢酸エチル−クロロホルム=3:7で監視した)。反応終了後、THFを除去し、生成物を10%のH2SO4酸と混合し、酢酸エチル(30ml×3)で抽出した。集めた抽出物を、水、ブラインで続けて洗浄し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させて、非多分散生成物48を得た。N,N’−ジスクシニミジルカーボネート(3mmol)をDMF(約10ml)に溶解した溶液を、非多分散生成物48(1mmol)を10mlの無水DMFに溶解した溶液に撹拌しながら加えた。水素化ナトリウム(3mmol)を反応混合物にゆっくりと加えた。その反応混合物を数時間(たとえば、5時間)撹拌した。ジエチルエーテルを加えて、活性化オリゴマーを沈殿させた。この方法を3回繰り返して、最後に生成物を乾燥させた。
【実施例40】
【0294】
[活性化されたヘキサエチレングリコールモノメチルオリゴマーを有するヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の合成]
以下の説明は、図10に示される図式を参照している。非多分散活性化ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルを、前述の実施例38の非多分散トリエチレングリコールの場合と同様にして調製した。20%ホスゲンのトルエン溶液(35ml、6.66g、67.4mmolのホスゲン)を、N2雰囲気下、氷/塩水浴で冷却した。非多分散ヘキサエチレングリコール50(1.85ml、2.0g、6.74mmol)を5mlの無水EtOAcに溶解し、これをシリンジでホスゲン溶液に加えた。その反応混合物を氷浴中で1時間撹拌した後、氷浴から取り出して、室温でさらに2.5時間撹拌した。減圧蒸留によってホスゲン、EtOAc、およびトルエンを除去すると、非多分散化合物51が透明油状残留物として残った。
【0295】
非多分散残留物51を20mlの乾燥ジクロロメタンに溶解し、乾燥不活性雰囲気下に置いた。トリエチルアミン(0.94ml、0.68g、6.7mmol)を加え、次にNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド、0.82g、7.1mmol)を加え、その反応混合物を室温で18時間撹拌した。その混合物をシリカゲルでろ過して白色沈殿物を除去し、減圧濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶解し、冷水で2回、1NのHClで2回、そしてブラインで1回洗浄した。その有機物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。最後にフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc)で精製して、UV活性非多分散NHSエステル52を得た。
【0296】
マサチューセッツ州ランドルフ(Randolph,Massachusetts)のセロノ(Serono)より商品名Saizen(商標)で入手可能なヒト成長ホルモン(ソマトロピン(rDNA起源)、注射用)をDMSOに溶解し、hGH濃度が0.58mmolとなるようにした。TEA(278当量)を加え、その溶液を約10分間撹拌した。2当量、5当量、または30当量の非多分散活性化ヘキサエチレングリコール52を、活性化オリゴマーを乾燥THFに溶解した0.2M溶液から加えた。反応混合物を、室温で45分間〜1時間撹拌した。各反応混合物の少量の試料に、600μlの0.1%TFA水溶液を加えて反応を停止させた。2ポリマー当量および5ポリマー当量の反応混合物と、未結合hGHとのHPLCの比較を図14に示している。30ポリマー当量反応のHPLC分析は図15に示している。
【0297】
質量分析の抱合体の試料は、逆相C18カラムと水/アセトニトリルグラジエントを使用した分析用HPLCで精製した。2当量反応混合物のピーク全体を回収し、濃縮し、MALDI質量分析を使用して分析した。この材料の質量スペクトルから、モノ結合、ジ結合、トリ結合、およびテトラ結合hGHと一部残存する未反応hGH(図16)の存在が明らかとなった。5当量の反応混合物は、図17に示される極性に従っておおまかに精製した。濃縮分画のMALDI質量スペクトル(図18、図19、および図20)から、滞留時間とともにタンパク質の結合量が増加することが分かった。図21の分画Eのエレクトロスプレー質量スペクトルから、ヘキサ結合hGHの存在が確認された。30ポリマー当量反応混合物のピーク全体を回収し、濃縮した。図22のエレクトロスプレー質量分析から、デカ結合またはより高次のコンジュゲートされた材料が示された。
【0298】
実施例18、24、29、31、または37の活性化オリゴマーにhGHを結合させるためには同様の手順が使用される。
【実施例41】
【0299】
[活性化されたパルミテート−TEGオリゴマーを有するヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の合成]
実施例39の活性化ポリマーを使用して、前述の実施例41と同様の手順を実施した。結合の進行は、20μlの結合反応混合物をビンに採取し、100μlの0.1%TFA−水−IPA(1:1)で希釈してHPLCによりチェックし、その結果は図23に示される。2時間後、0.1%のTFA−水を加えて反応を停止させた。結合生成物は分取HPLCで精製した。
【実施例42】
【0300】
[活性化されたTEGオリゴマーを有するヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の合成]
マサチューセッツ州ランドルフのセロノより商品名Saizen(商標)で入手可能なヒト成長ホルモン(hGH)(ソマトロピン(rDNA起源)、注射用)1当量をDMSO(1mg/125μm)に溶解し、室温で2〜4分間撹拌した。2当量のTEAを加えた後、THFに溶解した実施例39の活性化オリゴマー2当量を加えた。2時間後、0.1%TFA−水を加えて反応を停止させた。結合生成物は、図24に示すように分取HPLCで精製した。
【0301】
5当量のTEAおよび5当量の実施例39の活性化オリゴマーを使用して同様の手順を使用した。結合生成物は、図25に示すようにC18カラムを使用した分取HPLCで精製した。移動相および溶離時間は以下の通りである。
【表1】
回収した分画は凍結乾燥して、白色の粉末にした。化合物の質量分析は図26および27に示されている。
【0302】
9当量のTEAおよび9当量の実施例39の活性化オリゴマーを使用して同様の手順を使用した。結合生成物は、図28に示すようにC18カラムを使用した分取HPLCで精製した。
【実施例43】
【0303】
[ヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体混合物の分散係数の決定]
ヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物の分散係数は以下のように決定される。例えば実施例40で前述したようにして、ヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体の混合物を提供する。混合物の第1の試料は、HPLCで精製して、試料中の種々のヒト成長ホルモン−オリゴマー抱合体を分離し、単離する。単離された各分画が、抱合体の純粋な単分散混合物を含み、「n」が採取した分画数に等しいと過程する。混合物は、モノ抱合体、ジ抱合体、トリ抱合体、テトラ抱合体、ペンタ抱合体、ヘキサ抱合体、ヘプタ抱合体、オクタ抱合体、および/またはノナ抱合体などの1種類以上の抱合体を含みうる。混合物の単離された各分画は質量分析によって分析されて、その分画の質量が求められ、それによって単離された各分画が結合の程度で分類され、試料中の各抱合体の変量「M」の値が求められる。
【0304】
混合物の第2の試料はHPLCで分析されて、HPLCトレースが得られる。モル吸光率が結合によって変化しないと仮定すると、混合物中の個々の抱合体の重量%は、HPLCトレースの全ピークの下の全面積に対するパーセンテージとしての、個々の抱合体に対応するHPLCトレース下のピーク面積として与えられる。試料を回収し、凍結乾燥して、乾燥状態の試料のg重量が求められる。試料のg重量に、試料中の各成分の重量%を掛けると、試料中の各抱合体のg重量が求められる。特定の抱合体(i番目の抱合体)について変量「Ni」は、試料中の特定の抱合体のg重量を特定の抱合体の分子量で割り、それによって得られた商にアボガドロ数(6.02205×1023mol-1)を掛けると(Miは前述のように求められる)、試料中の特定の抱合体の分子数Niが求められる。続いて、分散係数は、n、各抱合体で求めたMi、および各抱合体で求めたNiを使用して計算される。
【実施例44】
【0305】
以下のように分析を行った。
細胞培養:すでに説明したように、完全長のヒトGHRを発現している安定クローンを293細胞で作製し(ヒト腎臓胚細胞株)、293GHRと命名した。
【0306】
転写アッセイ:これらは最少TKプロモーターとルシフェラーゼに融合したStat5−結合要素(LHRE)を有するレポーターが一過性にトランスフェクションされた293GHR細胞で実施した。β−ガラクトシダーゼ発現ベクターをトランスフェクション対照として共トランスフェクションし、ルシフェラーゼ値をβ−ガラクトシダーゼ活性について補正した。トランスフェクション後16時間目に細胞を無血清培地に移し、GHまたはアゴニストで6時間処理した。ルシフェラーゼ活性は、反復実験間の比較を可能にするための特異的実験内でGHにより刺激された最大活性の%として報告される。GHにより刺激された最大活性はGHにより刺激された重複誘導、即ち非刺激状態の細胞の補正ルシフェラーゼ値で割ったGH刺激細胞内の補正ルシフェラーゼ値である。アッセイの結果は図29および30に示され、ゲノトロピンはヒト成長ホルモン(標準物質、本発明の一部ではない)であり、GH−002は2当量のmTEG抱合体、GH−003は5当量のmTEG抱合体、GH−004は5当量のmTEG抱合体、Prot hGHはヒト成長ホルモン(標準物質、本発明の一部ではない)、およびhGH−TEGは9当量のmTEG抱合体である。
【0307】
本明細書では、代表的な好ましい本発明の実施形態を開示してきており、特定の用語が使用されているが、これらは一般的および説明的な意味でのみ使用されており、請求項によって示される本発明の範囲を限定することを目的としたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0308】
【図1】本発明の実施形態によるポリエチレングリコール部分と脂肪酸部分とを含む活性化ポリマーの混合物を合成するための一般的な図式を示している。
【図2】本発明の実施形態によるmPEGの混合物を合成するための図式を示している。
【図3】本発明の実施形態による活性化されたmPEG7−ヘキシルオリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図4】本発明の実施形態による活性化されたmPEG7−オクチルオリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図5】本発明の実施形態による活性化されたPEG−デシルオリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図6】本発明の実施形態による活性化されたステアレート−PEG6オリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図7】本発明の実施形態による活性化されたステアレート−PEG8オリゴマーの混合物を合成するための図式を示している。
【図8】本発明の実施形態による活性化されたPEG3オリゴマーの混合物を合成するために図式を示している。
【図9】本発明の実施形態による活性化されたパルミテート−PEG3オリゴマーの混合物を合成するために図式を示している。
【図10】本発明の実施形態により活性化されたPEG6オリゴマーの混合物を合成し、ヒト成長ホルモンをその活性化されたPEG6オリゴマーと結合させるための図式を示している。
【図11】本発明の実施形態による種々のプロピレングリコールモノマーを合成するための図式を示している。
【図12】本発明の実施形態による種々のプロピレングリコールポリマーを合成するための図式を示している。
【図13】本発明の実施形態による種々のプロピレングリコールポリマーを合成するための図式を示している。
【図14】2当量の活性化されたMPEG6オリゴマーおよび5当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応のHPLCトレース(HPLCグラジエント:30分間で、50%から90%のアセトニトリル)である。
【図15】30当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応のHPLCトレース(20分間で、HPLCグラジエント:0%から95%のアセトニトリル)である。
【図16】2当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応のMALDIスペクトルである。
【図17】5当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応の生成物の部分精製を示すHPLCトレース(30分間で、HPLCグラジエント:50%から70%のアセトニトリル)である。
【図18】図17に示す部分精製における分画BのMALDIスペクトルである。
【図19】図17に示す部分精製における分画CのMALDIスペクトルである。
【図20】図17に示す部分精製における分画DおよびEのMALDIスペクトルである。
【図21】図17に示す部分精製における分画Eのエレクトロスプレースペクトルである。
【図22】30当量の活性化されたMPEG6オリゴマーを使用した図10に示す結合反応の反応混合物のエレクトロスプレースペクトルである。
【図23】ヒト成長ホルモンと図9の活性化されたオリゴマーの結合反応のHPLCトレースである。
【図24】1当量のヒト成長ホルモンと2当量の図9の活性化されたオリゴマーとを使用した結合反応のHPLCトレースである。
【図25】1当量のヒト成長ホルモンと5当量の図8の活性化されたオリゴマーとを使用した結合反応のHPLCトレースである。
【図26】図25の結合のHPLCトレースのピークの左半分に対応する分画のMALDIスペクトルである。
【図27】図25の結合のHPLCトレースのピークの右半分に対応する分画のMALDIスペクトルである。
【図28】1当量のヒト成長ホルモンと9当量の図8の活性化されたオリゴマーとを使用した結合反応のHPLCトレースである。
【図29】本発明の実施形態による成長ホルモン抱合体混合物のルシフェラーゼアッセイによって測定した活性と、比較の目的でのみ提供され本発明の一部を構成するものではないヒト成長ホルモン標準物質の活性との比較を示す棒グラフを示している。
【図30】本発明の実施形態による成長ホルモン抱合体混合物のルシフェラーゼアッセイによって測定した活性と、比較の目的でのみ提供され本発明の一部を構成するものではないヒト成長ホルモン標準物質の活性との比較を示す棒グラフを示している。
Claims (67)
- ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーに結合している成長ホルモン剤をそれぞれが含む抱合体の混合物であって、該混合物が約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する混合物。
- 前記分子量分布の標準偏差が約14ダルトン未満である請求項1に記載の混合物。
- 前記分子量分布の標準偏差が約11ダルトン未満である請求項1に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が、少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項1に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が、少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項1に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項1に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分がポリプロピレングリコール部分である請求項6に記載の混合物。
- 前記ポリプロピレングリコールが均一である請求項7に記載の混合物。
- 前記成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである請求項1に記載の混合物。
- 前記オリゴマーが、前記ヒト成長ホルモンのアミノ基に共有結合している請求項9に記載の混合物。
- 前記アミノ基が、Phe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、およびLys172からなる群より選択される前記ヒト成長ホルモンのアミノ酸残基に存在する請求項10に記載の混合物。
- 前記抱合体が複数のオリゴマーを含む請求項9に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分がポリプロピレングリコール部分である請求項1に記載の混合物。
- 前記ポリプロピレングリコール部分が均一である請求項13に記載の混合物。
- 前記オリゴマーが均一なポリプロピレングリコール部分からなり、前記抱合体のそれぞれが両親媒的に平衡の状態にあるため、各抱合体は水溶性であり、生体膜を貫通することができる請求項1に記載の混合物。
- 前記成長ホルモン剤が前記オリゴマーと共有結合している請求項1に記載の混合物。
- 前記成長ホルモン剤が加水分解可能な結合によって前記オリゴマーと共有結合している請求項16に記載の混合物。
- 前記成長ホルモン剤が前記ポリアルキレングリコール部分と共有結合している請求項1に記載の混合物。
- 前記オリゴマーが、前記ポリアルキレングリコール部分と共有結合している親油性部分をさらに含む請求項18に記載の混合物。
- 前記オリゴマーが親油性部分をさらに含む請求項1に記載の混合物。
- 前記成長ホルモン剤が前記親油性部分と共有結合している請求項20に記載の混合物。
- 前記抱合体が複数のオリゴマーを含む請求項1に記載の混合物。
- 前記複数のオリゴマー中の各オリゴマーが同一である請求項22に記載の混合物。
- 前記オリゴマーが、加水分解可能でない結合によって前記成長ホルモン剤と共有結合している第1のポリアルキレングリコール部分と、加水分解可能な結合によって該第1のポリアルキレングリコール部分と共有結合している第2のポリアルキレングリコール部分とを含む請求項1に記載の混合物。
- 前記オリゴマーが、前記第2のポリアルキレングリコール部分と共有結合している親油性部分をさらに含む請求項24に記載の混合物。
- 前記抱合体のそれぞれが両親媒的に平衡の状態にあるため、各抱合体は水溶性であり、生体膜を貫通することができる請求項1に記載の混合物。
- 請求項1に記載の混合物と、
医薬的に許容可能な担体と
を含む医薬組成物。 - 成長ホルモン欠乏症の治療が必要な被験者における、成長ホルモン欠乏症の治療方法であって、
ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合している成長ホルモン剤をそれぞれ含む抱合体の混合物の有効量を、成長ホルモン欠乏症を治療すべき患者に投与するステップを含み、該混合物が、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する方法。 - 動物の成長速度を加速する方法であって、
ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合している成長ホルモン剤をそれぞれ含む抱合体の混合物の、該動物の成長速度を加速するのに十分な量を、該動物に投与するステップを含み、該混合物が、約22ダルトン未満の標準偏差を有する分子量分布を有する方法。 - 実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリアルキレングリコール部分を含むオリゴマーと結合している成長ホルモン剤を含む混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が少なくとも2個、3個、または4個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項30に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が少なくとも5個または6個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項30に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項30に記載の混合物。
- 前記混合物中の前記抱合体の少なくとも約96%、97%、98%、または99%が同じ分子量を有する請求項30に記載の混合物。
- 前記混合物が単分散混合物である請求項30に記載の混合物。
- 前記混合物が実質的に純粋な単分散混合物である請求項30に記載の混合物。
- 前記混合物中の前記抱合体の少なくとも約96%、97%、98%、または99%が同じ分子量を有し、同じ分子構造を有する請求項30に記載の混合物。
- 前記混合物が純粋な単分散混合物である請求項30に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が均一なポリプロピレン部分である請求項30に記載の混合物。
- 実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、少なくとも7個のポリプロピレングリコールサブユニットを有する均一なポリプロピレングリコール部分を含むオリゴマーと共有結合しているヒト成長ホルモンを含む混合物。
- 前記オリゴマーが、少なくとも7個のポリプロピレングリコールサブユニットを有する均一なポリプロピレングリコール部分からなり、各抱合体が両親媒的に平衡の状態にあるため、各抱合体は水溶性であり、生体膜を貫通することができる請求項40に記載の混合物。
- 前記分散係数が100,000を超える請求項42に記載の混合物。
- 前記分散係数が500,000を超える請求項42に記載の混合物。
- 前記成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである請求項42に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分がポリプロピレングリコール部分である請求項42に記載の混合物。
- 前記ポリプロピレングリコール部分が均一である請求項42に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項42に記載の混合物。
- 抱合体の混合物であって、
各抱合体が、オリゴマーと結合している成長ホルモン剤を含み、
各抱合体が、同数のポリアルキレングリコールサブユニットを有する混合物。 - 前記成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンである請求項49に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分がポリプロピレングリコール部分である請求項49に記載の混合物。
- 前記ポリプロピレングリコール部分が均一である請求項51に記載の混合物。
- 前記ポリアルキレングリコール部分が少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有する請求項49に記載の混合物。
- 抱合体の混合物であって、各抱合体が同じ分子量を有し、同じ式:
Bは結合部分であり、
Lはリンカー部分であり、
G、G’、およびG’’は、独立して選択されるスペーサー部分であり、
Rは親油性部分であってR’はポリアルキレングリコール部分であるか、あるいはR’は親油性部分であってRはポリアルキレングリコール部分であり、
Tは末端部分であり、
h、i、j、k、m、およびnは独立して0または1であり、但し、Rがポリアルキレングリコール部分である場合はmが1であり、R’がポリアルキレングリコール部分である場合はnが1であり、
pは、1から、前記成長ホルモン剤上の求核性残基の数までの整数である)を有する混合物。 - 前記ポリアルキレングリコール基がポリプロピレングリコール部分である請求項54に記載の混合物。
- 前記ポリプロピレングリコール基が均一である請求項55に記載の混合物。
- i、j、k、およびnは0であり、
Rは均一なポリプロピレングリコールであり、
前記抱合体のそれぞれが両親媒的に平衡の状態にあるため、各抱合体は水溶性であり、生体膜を貫通することができる請求項54に記載の混合物。 - Rが、少なくとも7個のポリアルキレングリコールサブユニットを有するポリアルキレングリコール部分である請求項54に記載の混合物。
- 実質的に単分散の抱合体の混合物であって、各抱合体が、ポリエチレングリコール部分を含むオリゴマーと結合している成長ホルモン剤を含む抱合体を合成する方法であって、
式I:
R1(COC2H4)m−O-X+ (I)
(式中、R1はHまたは親油性部分であり、mは1〜25であり、X+は陽イオンである)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を、式II:
R2(OC2H4)n−OMs (II)
(式中、R2はHまたは親油性部分であり、nは1〜25である)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物と、式III:
R2(OC2H4)m+n−OR1 (III)
の構造を有するポリマーを含む実質的に単分散の混合物を生成するのに十分な条件下で反応させるステップと、
前記式IIIのポリマーを含む実質的に単分散の混合物を活性化させて、成長ホルモン剤と反応可能な活性化ポリマーの実質的に単分散の混合物を生成するステップと、
m+n個のサブユニットを有するポリエチレングリコール部分を含むオリゴマーと結合している成長ホルモン剤をそれぞれが含む実質的に単分散の抱合体の混合物を生成するのに十分な条件下で、前記活性化されたポリマーの実質的に単分散の混合物を、成長ホルモン剤の実質的に単分散の混合物と、反応させるステップと
を含む方法。 - R2が脂肪酸部分または脂肪酸エステル部分である請求項59に記載の方法。
- 前記脂肪酸部分または前記脂肪酸エステル部分が、少なくとも5個の炭素原子の長さのアルキル部分を含む請求項60に記載の方法。
- R1がメチル基である請求項59に記載の方法。
- 式II:
R2(OC2H4)n−OMs (II)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を生成するのに十分な条件下で、
式V:
R2(OC2H4)n−OH (V)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を、ハロゲン化メタンスルホニルと反応させるステップをさらに含む請求項59に記載の方法。 - 式VIII:
R3(OC2H4)m−OR2 (VIII)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を生成するのに十分な条件下で、
式VI:
R2−OMs (VI)
(式中、R2は親油性部分である)の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を、
式VII:
R3(OC2H4)m−O-X2 + (VII)
(式中、R3はベンジル、トリチル、またはTHPであり、X2 +は陽イオンである)の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物と反応させるステップと、
式V:
R2(OC2H4)m−OH (V)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を生成するのに十分な条件下で、
前記式VIIIの構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を反応させるステップと
をさらに含む請求項63に記載の方法。 - 式I:
R1(OC2H4)n−O-X+ (I)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を生成するのに十分な条件下で、
式IV:
R1(OC2H4)n−OH (IV)
の構造を有する化合物を含む実質的に単分散の混合物を反応させるステップをさらに含む請求項59に記載の方法。 - 前記実質的に単分散の混合物を活性化させるステップが、前記式IIIのポリマーの実質的に単分散の混合物を、N−ヒドロキシスクシンイミドと反応させて、成長ホルモン剤と反応可能な活性化ポリマーを得ることを含む請求項59に記載の方法。
- 前記成長ホルモン剤がヒト成長ホルモンであり、前記活性化ポリマーの実質的に単分散の混合物を、ヒト成長ホルモンの実質的に単分散の混合物と反応させるステップが、
前記活性化ポリマーの実質的に単分散の混合物を、Phe1、Lys38、Lys41、Lys70、Lys115、Lys140、Lys145、Lys158、Lys168、Lys172、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される前記ヒト成長ホルモンのアミノ酸残基のアミノ基と反応させて、m+n個のサブユニットを有するポリエチレングリコール部分を含む1以上のオリゴマーと結合しているヒト成長ホルモンをそれぞれが含む実質的に単分散の抱合体の混合物を得ることを含む、請求項59に記載の方法。
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