JP2004534760A - 腎線維症の治療 - Google Patents
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Abstract
本発明は、キナゾリノンを含有する組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、有効成分として本明細書で定義する通りのキナゾリノン誘導体を含む、腎線維症の治療のための組成物に関する。現在好ましい実施形態は、ハロフジノンであり、ここでは、ハロフジノンが、腎線維症の進行をin vivoで遅らせる或いは妨げ、それによって末期腎不全を予防することが示される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、キナゾリノンを含有する組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、有効成分として本明細書で定義する通りのキナゾリノン誘導体を含む、腎線維症の治療のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロフジノン(Halofuginone)
米国特許第3,320,124号は、キナゾリノン誘導体を用いてコクシジウム症を治療するための方法を開示及び主張している。7−ブロモ−6−クロロ−3−[3−(3−ヒドロキシ−2−ピペリジニル)−2−オキソプロピル]−4(3H)−キナゾリノン(キナゾリノン誘導体の1つ)としても知られるハロフジノンは、アメリカンサイアナミッド社(American Cyanamid)による前記特許で最初に記載及び主張されたものであり、前記の特許によって教示された好ましい化合物であり、そこに記載及び主張された誘導体の中から商品化されたものである。その後の米国特許第4,824,847号、第4,855,299号、第4,861,758号、及び第5,215,993号はすべて、ハロフジノンのコクシジウム殺性に関する。
【0003】
より最近では、米国特許第5,449,678号に、こうしたキナゾリノン誘導体が、線維過多状態の治療に思いがけず有用であったことが開示されている。この開示は、次式の薬剤として活性な化合物
【化1】
(式中、nは、1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ(alkenoxy)−カルボニルからなる群のメンバーである)
を治療有効量含む、特異的阻害剤の組成物を提供している。薬剤として許容されるその塩も含まれる。この化合物の群のうち、ハロフジノンが、開示された治療にとって特に有効であることが判明している。
【0004】
米国特許第5,449,678号は、前述の化合物が、強皮症及び移植片対宿主病(GVHD)などの線維過多状態の治療に有効であることを開示している。さらに、米国特許第5,891,879号は、こうした化合物が、再狭窄の治療に有効であることを開示している。先に述べた2つの状態は、過剰なコラーゲン沈着を伴い、これは、ハロフジノンによって抑制することができる。再狭窄は、血管の損傷に応答して罹患した血管腔内の平滑筋細胞増殖及び細胞外マトリックス蓄積が特徴である[Choi他、Arch.Surg.、130:257〜261,1995年]。こうした平滑筋細胞増殖の1つの特徴は、正常な収縮型の表現型から合成型表現型への、表現型の変化である。I型コラーゲンは、こうした表現型の変化を補助することが示されており、これは、ハロフジノンによって阻止することができる[Choi他、Arch.Surg.、130:257〜261,1995年;米国特許第5,449,678号]。
【0005】
特に、ハロフジノンのin vitroの作用は、必ずしもそのin vivoの効果を予測するとは限らない。例えば、米国特許第5,449,678号で実証される通り、ハロフジノンは、in vitroで骨の軟骨細胞(chrondrocytes)での、I型コラーゲンの合成を阻害する。しかし、ハロフジノンを用いて治療した鶏では、骨破損(bone breakage)率の増大が報告されておらず、その作用は、in vivoでは見られないことが示唆されている。
【0006】
さらに、ハロフジノンは、in vitroでは線維芽細胞によるコラーゲン合成を抑制するが、in vivoでは創傷治癒を促進する(WO 01/17531)。したがって、in vivoでのハロフジノンの正確な挙動は、in vitro研究から、必ずしも正確に予測することはできない。
【0007】
慢性腎不全
慢性腎不全(CRF)の進行は、多くの患者を、長期の透析治療を必要とする末期腎不全に到達させるので、腎臓病学における最も厄介な問題の1つに相当する。多くの腎疾患は、最初の発病機構とは無関係に、糸球体硬化症及び/又は髄質の線維症を伴う末期腎不全に進行する。これは、様々な進行性の腎疾患が、局所的な、最終的には拡散した糸球体硬化症及び慢性の尿細管間質性疾患を招く共通の破壊経路を示す可能性があることを示唆する。
【0008】
最終の共通の経路と考えられる腎線維症を直接的に抑制すると、慢性腎不全(CRF)の発症を弱める可能性があるので、線維症に対する治療戦略は、このプロセスを減少又は排除することを標的にするべきである。
【0009】
慢性腎臓疾患は、糸球体及び間質における細胞外マトリックス(ECM)の蓄積で特徴付けられ[Klahr S.他、N Engl J Med 318:1657〜1666,1988年]これは、最終的に、腎線維症及び慢性腎不全を招く。糸球体硬化症は、主に、メサンギウム細胞の広がり及びECMの沈着を介する、機能的(functional)糸球体の、結合組織による置き換えが特徴である。線維症は、ECMの過剰な合成及びそれと同時のECMの分解の低下に起因すると考えられている。
【0010】
腎線維症の病因としては、腎臓における繊維組織の形成が挙げられる。繊維組織の形成は、異常に大量のコラーゲンの沈着で特徴付けられる。腎臓の損傷後(この用語「損傷」には、物理的な損傷、毒による損傷、及び血管の損傷が含まれる)、メサンギウム細胞は、健康な糸球体ではIV型コラーゲンが独占的に存在することとは対照的に、I型及びIII型コラーゲンを合成する能力をもつ(Trai他、1994)。in vitroでは、メサンギウム細胞は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPr)(IV型コラーゲンを分解することができるが、I型及びIII型コラーゲンを分解することはできない)を放出する能力をもつ(Daniel他、1998年)。コラーゲンの合成はまた、いくつかの他の病的状態にも関与する。例えば、全身性硬化症、移植片対宿主病(GVHD)、肺線維症及び肝線維症、並びに広く様々な自己免疫異常などの、一次性又は二次性線維症に伴う臨床的状態及び異常は、結合組織の過剰な生成によって特徴付けられ、これは、正常な組織の構築物及び機能の破壊という結果になる。これらの疾患は、細胞機能の撹乱という言葉で最も良く説明することができ、その主な徴候は、過剰なコラーゲン合成及び沈着である。線維症において、コラーゲンは重大な役割を果たしているので、コラーゲンの蓄積を抑制する薬物を開発しようとする試みが促されてきた[K.I.Kivirikko、医学年鑑(Annals of Medicine)、Vol.25、113〜126頁(1993年)]。
【0011】
間質線維症は、尿細管及び間質の毛細血管の破壊によって、また、細胞外マトリックスタンパク質の蓄積によって特徴付けられる[M.Fukagawa他、Nephrol Dial Transplant(1999年)14:2793〜2795]。
【0012】
巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)は、タンパク尿及び進行性の腎機能の喪失を通常伴う糸球体の損傷の形の組織学的種類である[H.G.Rennke及びP.S.Klein、「非原発性の巣状分節状糸球体硬化症の病因及び重要性(Pathogenesis and Significance of nonprimary Focal and segmental Glomerulosclerosis)」Am.J.Kid.Dis.Vol.13、443〜46頁(1989)を参照のこと]。
【0013】
もともと、FSGSは、末期腎不全で死亡したネフローゼ患者で発見された。より最近では、FSGSは、いくつかのヒトの全身疾患及び腎疾患における、糸球体における最終の共通経路と特定されている。これらには、通常の加齢による腎症及び糖尿病性腎症などのプロセスが含まれる。FSGSの異常病変は、見たところ無関係な様々な傷害性の刺激に起因する可能性があり、初期の損傷の終了してから長期間経過した後に、細胞外マトリックスの沈着及び糸球体硬化症を介して腎臓の壊死を引き起こす。
【0014】
こうした薬物は、プロコラーゲンポリペプチド鎖の合成を調節することによって、或いは翻訳後の特定の事象を抑制することによって作用し、これにより、細胞外のコラーゲン線維の形成の低下が、或いは性質が変化した線維の蓄積が起こることとなる。組織の完全性の維持におけるこのタンパク質の重要性、及び様々な異常におけるその関与にもかかわらず、残念ながら、利用できるのは、コラーゲン合成の数種の阻害剤のみである。
【0015】
例えば、コルヒチンなどの細胞障害性薬物が、コラーゲンを生成する線維芽細胞の増殖を遅らせる試みに使用されており[J.A.Casas他、Ann.Rhem.Dis.、46:763,1987年]、これは、細胞外マトリックスへのコラーゲン分泌[D.Kershenobich他、N.Engl.J.Med.、318:1709,1988年]、並びに、主要なコラーゲン代謝酵素の阻害剤[K.Karvonen他、J.BiolChem.、265:8414,1990年;C.J.Cunliffe他、J.Med.Chem.、35:2652,1992年]を緩慢にさせる。
【0016】
残念ながら、これらの阻害剤はどれも、コラーゲンの型に特異的ではない。また、古典的補体経路におけるClq、神経筋接合部終板のアセチルコリンエステラーゼ、コングルチニン、及び腎臓のサーファクタントアポタンパク質など、生命維持に必要な他のコラーゲン性分子の生合成を妨げるという毒性の結果に対する深刻な懸念が存在する。
【0017】
ニジェジピン及びフェニトインなどの、コラーゲン合成を抑制することができる他の薬物は、他のタンパク質の合成も抑制し、それによってコラーゲン生合成経路を非特異的に阻止する[T.Salo他、J.Oral Pathol.Med.、19:404,1990]。
【0018】
β−アミノ−プロピオニトリルなどのコラーゲン架橋阻害剤もまた、非特異的であるが、これらは、有用な抗線維症剤として働くことができる。エラスチン、すなわち別の繊維状の結合組織タンパク質も架橋されるので、これらを長期間使用することにより、関節炎(lathritic)症候群、及び弾性起源(elastogenesis)への妨害が引き起こされる。さらに、このコラーゲン架橋抑制効果は、二次性であり、コラーゲンの過剰生成が、コラゲナーゼによるその分解に勝る必要がある。したがって、型に特異的な、コラーゲン自体の合成の阻害剤が、抗線維症剤として明らかに必要である。
【0019】
ハロフジノン、又は他の関連するキナゾリノン誘導体の、腎線維症に関連する病的プロセスを阻止又は抑制する能力は、米国特許第5,998,442号にのみ示されている。この特許は、メサンギウム細胞の異常な増殖を弱めるための、キナゾリノン誘導体を含有する薬剤組成物を開示している(実施例はすべて、in vitroで試験されている)。さらに、腎臓の線維性疾患を特徴付ける尿細管間質区画における強力な線維化プロセスは、メサンギウム細胞増殖をまったく伴わない。
【0020】
in vitroで得られる薬理学的効果が、必ずしも生きている生物内でin vivoで再現されないことは、薬物開発の分野でよく知られている。したがって、in vitroでのメサンギウム細胞の異常な増殖の抑制が認められたことから、これらの化合物が、腎臓疾患(腎線維症が、他の何らかの潜在的な異常の原因又は結果であり得るもの)の治療に有効であることを推定することは不可能である。ハロフジノンが、腎疾患の末期腎不全への進行を妨げるために有用であるだろうということを予測することは明らかに不可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の技術では、ハロフジノンが、in vivoでの腎線維症の治療に有用であるだろうということを教示又は示唆しているものは存在しなかった。したがって、ハロフジノン及び関連する化合物の、腎臓における線維症の進行を遅らせる或いは停止させる能力は、明白ではなく、新規である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
以下で述べる通り、キナゾリノン誘導体、特にハロフジノンを含有する薬剤組成物が、他の機構にも原因があるかもしれないが、おそらくI型コラーゲンの合成を抑制することによって、糸球体と尿細管間質区画の両方への効果を含めて、腎線維症の病態生理学的なプロセスをin vivoで抑制することもできることが、思いがけず判明した。I型コラーゲンの合成の阻害が、1つのもっともらしい機構であると提案されているが、単一の機構に限定することは望ましくないし、以下に示したin vivoのデータが、in vivoでの腎線維症の阻害剤としてのハロフジノンの効果を明確に実証する必要もない。本発明は、次の薬剤として許容される担体と組み合わせて、一般式を有する群のメンバーである化合物
【化2】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量含む、腎線維症の治療のための組成物を提供する。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、この化合物は、ハロフジノンであることが好ましい。
【0024】
別の実施形態によれば、本発明は、薬剤として許容される担体に、次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化3】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量入れるステップを含む、腎線維症を治療するための薬剤を製造する方法を提供する。
【0025】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、次の一般式を有する化合物
【化4】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量投与するステップを含む、対象における腎線維症を治療するための方法を提供する。
【0026】
腎線維症は、一次性又は二次性であり得る。一次性腎線維症は、何らかの他の疾患又は異常の結果ではなしに腎臓に影響を与える状態に関連があるのに対し、二次性腎線維症は、何らかの潜在的な異常の結果である。二次性の状態は、高血圧、糖尿病合併症、自己免疫疾患、及び他の異常によって引き起こされる可能性がある。
【0027】
本発明はさらに、必要とする対象に、薬剤として許容される担体に入れた次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化5】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を治療有効量投与することを含む、腎線維症の末期腎不全への移行を妨げるための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下で述べる通り、ハロフジノンが、別の機構にも原因があるかもしれないが、おそらくI型コラーゲンの合成を阻害することによって、腎線維症の病的プロセスをin vivoで抑制することができることが、思いがけず判明した。実際、具体的な機構にかかわりなく、以下に示したデータは、ハロフジノンの、腎線維症の病理学的進行をin vivoで抑制する効力を明確に実証する。
【0029】
本発明は、薬剤として許容される担体と組み合わせて、次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化6】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量含む、腎線維症を治療するための組成物を提供する。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、この化合物は、ハロフジノンであることが好ましい。
【0031】
別の実施形態によれば、本発明は、薬剤として許容される担体に、次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化7】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量入れるステップを含む、腎線維症を治療するための薬剤を製造する方法を提供する。
【0032】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、次の一般式を有する化合物
【化8】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量投与するステップを含む、対象における腎線維症を治療するための方法を提供する。
【0033】
腎線維症は、一次性又は二次性であり得る。二次性の状態は、高血圧、糖尿病合併症、自己免疫疾患、並びに他の潜在的な異常及び状態によって引き起こされる可能性がある。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、該化合物は、ハロフジノンであることが好ましい。以下、用語「ハロフジノン」は、次式の化合物
【化9】
及びその薬剤として許容される塩と定義される。この組成物は、該化合物のための薬剤として許容される担体を含むことが好ましい。
【0035】
以下、用語「対象」は、ハロフジノンが投与されるヒト又は動物を意味する。用語「患者」は、ヒトの対象を意味する。用語「治療」には、腎線維症のプロセスを実質的に開始させないことと、いったん発症した腎線維症の進行を遅らせる或いは停止させることの両方が含まれる。用語「腎線維症」は、対象の腎臓におけるどんな線維過多状態も意味する。
【0036】
以下、用語「経口投与」には、それだけには限らないが、消化管を通した吸収のための経口による投与、口腔投与、及び舌下投与が含まれる。経口投与用の組成物には、散剤又は顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ(sachet)、カプセル剤、又は錠剤が含まれる。増粘剤、希釈剤、着香料、分散補助剤、乳化剤、結合剤、又は保存剤が所望される可能性もある。
【0037】
用語「非経口投与」には、それだけには限らないが、点滴又はボーラス静注による投与、皮下又は筋肉内注射が含まれる。非経口投与用の製剤は、それだけには限らないが、滅菌水溶液(緩衝液、希釈剤、及び他の適切な添加物を含有してもよい)を含むことができる。
【0038】
本明細書全体を通して、特効性のキナゾリノン誘導体「ハロフジノン」が記述されるが、次の一般式を有する他のキナゾリノン誘導体
【化10】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩も、それに代えて使用できることを理解されたい。
【0039】
腎線維症の抑制を目的とする化合物は、in vivoモデルによって、繊維組織の沈着を招く病的プロセスを遅らせる或いは停止させるその能力について試験されなければならない。
【0040】
こうした実験を、I型コラーゲンの合成阻害剤であるハロフジノンについて、以下の実施例でより詳細に述べる通りに実施する。腎臓のマスリダクション(renal mass reduction)(RMR)又は偽手術(sham operation)を受けたラットに、腎線維症を誘発させた。本発明は、以下の例及び図を参考にしてより容易に理解することができる。
【0041】
本発明を、その態様が、より十分に理解及び認識できるように、今から以下の図及び例において、ある種の好ましい実施形態に関して述べるが、本発明をこうした特定の実施形態に限定するつもりはない。それどころか、添付の特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の範囲内に含められるところのすべての代替形態、改変形態、及び等価形態を包含するものとする。したがって、好ましい実施形態を含む以下の図及び例は、本発明の実践を例示するのに役立つこととなり、示された事項は、例示のため、また、本発明の好ましい実施形態の例示的な考察のために過ぎず、調合手順並びに本発明の原理及び概念的な態様の、最も有用かつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示されることを理解されたい。
【実施例1】
【0042】
適切な緩衝液を含有する水(aqueous media)に、臭化水素酸ハロフジノンの粉末を溶解することによって、ハロフジノンの溶液を調製した。
【0043】
この研究には、環境に1週間順応させた後の雄のウィスターラット(実験開始時の体重300±30g)を使用した。ラットは、ペントバルビタール(体重1kgにつき35mg)の腹腔内注射を用いて麻酔下で、5/6腎摘除術又は偽手術によって腎臓のマスリダクション(RMR)を受けるように割り当てられた。RMRは、左の腎動脈の3つの主な分枝のうちの2つを結紮することによって実施し、同時に右腎摘除術を行った。偽(sham)ラットは、RMRを受けずに、腎臓の曝露及び腎臓周囲の脂肪の除去を受ける。回復してから24時間後に、これらのラットを、次のグループのうちの1つに割り当てた:
1)グループI:RMRラット、ハロフジノン0.2mg/kg/日を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
2)グループII:RMRラット、1日1回の(daily)通常の生理食塩水を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
3)グループIII:日齢が一致する、対照としての役割の、偽手術を受けたラット。
【0044】
動物はすべて、制約無しに標準の食餌及び水に自由に接触させた。屠殺(RMRの10週後)時に腎臓を切除し、インサイチューハイブリダイゼーション(in situ hybridization)、免疫組織化学、及び組織学的評価のために処理した。
【0045】
光学顕微鏡研究:検体を、10%の緩衝化ホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋した。4〜5μの厚さの組織切片を、ヘマトキシリン−エオシン(HES)、過ヨウ素酸シッフ(PAS)、及びマッソントリクローム(薄緑(light green))で染色した。糸球体硬化症、メサンギウムの広がり及び増殖、並びに尿細管間質の変化の程度を評価するために、半定量的スコアを使用した。各検体において最低30個の糸球体を調べ、その損傷の重症度を、糸球体への関与の割合に従って、0から4+まで等級分けした。すなわち、1+の損傷は、糸球体の25%に相当し、4+の損傷は、糸球体の100%が関与していることを示唆した。損傷の程度(0〜4+)を、同じ程度の損傷を示す糸球体の割合に掛けることによって、損傷スコアを得た。ツァイス(Zeiss)I積分接眼レンズ(integrating eyepiece)を使用するポイントカウント法(point−counting method)を用いて、尿細管間質性線維症の評価を実施した。
【0046】
対照グループと比較して、ハロフジノンで治療したラットでは、尿細管間質性線維症の有意な減少が見られた。ハロフジノンで治療したラットでは、糸球体硬化症及びメサンギウムの増殖の存在も、ほとんど悪化しなかった(表1)。これらの結果により、ハロフジノンで治療したラットでは、低用量であっても、腎機能の維持がより優れていたことが示される。
【0047】
【表1】
【実施例2】
【0048】
この研究には、雄のウィスターラット(実験開始時の体重300±30g)を使用した。これらを、その環境に1週間順応させた。ラットは、ペントバルビタール(体重1kgにつき35mg)の腹腔内注射を用いて麻酔下で、5/6腎摘除術又は偽手術によって腎臓のマスリダクション(RMR)を受けるように割り当てられた。RMRは、左の腎動脈の3つの主な分枝のうちの2つを結紮することによって実施し、同時に右腎摘除術を行った。偽ラットは、腎臓の曝露及び腎臓周囲の脂肪の除去を受けていた。回復してから24時間後に、これらのラットを、次のグループのうちの1つに割り当てた:
1)グループI:RMRラット、ハロフジノン0.2mg/kg/日を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
2)グループII:RMRラット、1日1回の通常の生理食塩水を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
3)グループIII:日齢が一致する、対照としての役割の、偽手術を受けたラット。
【0049】
動物はすべて、制約無しに標準の食餌及び水に自由に接触させた。毎週、テイルカフ(tail cuff)検圧法によって、最高血圧を測定し、総タンパク質量及びクレアチニン排出量を求めるために、代謝ケージの尿サンプルをそれぞれ収集した。尿中のタンパク質濃度は、ピロガロールレッド モリブデン酸錯体(コバス インテグラ(cobas integra)700、ロシュ社(Roche))を使用する比色法によって求めた。体重も測定した。屠殺時(RMRの10週後)に、クレアチニン及びハロフジノン濃度を求めるために、腹大動脈から血液を採取した。日立(Hitachi)の747型自動分析器を用いて、動態学的な(kinetic)ヤッフェ法(Jaffe method)を使用して血清クレアチニンを測定した。
【0050】
どちらの腎摘除グループも、第1週の最後に体重がわずかに減少したが、その後、ハロフジノンで治療したグループと対照グループでは体重の増加は同じであり(図3)、これは、実験期間全体を通して、両方のグループにおいて食物摂取が同じであったことを示唆する。これら2つの腎摘除グループには、最高血圧の有意な差も示されず、最高血圧は、連続的に増大し、7週目でピークに達した(図1)。偽手術を受けたグループでは、基準レベルからの有意な変動は示されなかった。これらの結果により、ハロフジノンの腎臓維持作用の効力を評価するために試みられたモデルの妥当性が実証される。
【0051】
図2に示される通り、ハロフジノンで治療したラットは、対照の腎摘除グループよりもタンパク尿が低濃度であった。この差は、腎摘除術後5週目からずっと、統計学的に有意であった。
【0052】
予想通り、RMRグループでは、CCRは、偽ラットと比較して、より低かった。ハロフジノンで治療したグループでは、研究の最後に、CCRが、より高かった(0.35+0.07ml/分に対して0.44+0.09、p=0.06、図4)。
【0053】
これらの結果は、ハロフジノンが、腎臓に対する有益な効果をもち、タンパク尿症を妨げ、かつクレアチニンクリアランスの低下を減少させることを示す。どちらの減少も、腎機能の維持を示唆する。
【実施例3】
【0054】
腎線維症の治療方法
上に示した通り、ハロフジノンは、腎線維症の有効な阻害剤であることが示された。以下の例は、ハロフジノンを用いて腎線維症を治療する方法の例示に過ぎず、限定的なものではない。
【0055】
この方法は、治療対象となる対象に、上で述べた通りの薬剤として許容される担体に入れたハロフジノンを投与するステップを含む。ハロフジノンは、有効な投薬方法に従って、好ましくは、対象における腎線維症のさらなる進行が存在しない状態、腎線維症の抑制、又は腎線維の形成の予防などのあらかじめ定められた終点に到達するまで投与される。
【0056】
ハロフジノンは、当技術分野でよく知られているいくつかの方法で対象に投与することができる。以下、用語「対象」は、ハロフジノンが投与されるヒト又は動物を意味する。例えば、投与は、経口的に、或いは、例えば点滴又はボーラス静注、皮下又は筋肉内注射によって非経口的に行うことができる。
【0057】
経口投与のための組成物には、散剤、顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ、カプセル剤、又は錠剤が含まれる。増粘剤、希釈剤、着香料、分散補助剤、乳化剤、保存剤、又は結合剤が所望される可能性もある。
【0058】
非経口投与のための製剤は、それだけには限らないが滅菌水溶液(緩衝液、希釈剤、及び他の適切な添加物を含有してもよい)を含むことができる。
【0059】
投薬は、症状の重さ、及びハロフジノンに対する対象の応答性に応じて変わる。担当の医師であれば、最適な投与量、投薬の方法論、及び繰り返しの速度(repetition rate)を容易に決定することができる。
【実施例4】
【0060】
ハロフジノンを含有する薬剤の製造法
以下は、ハロフジノンを製造する方法の例である。最初に、ハロフジノンを、医薬品のGMPに従って合成する。ハロフジノン及び関連するキナゾリノン誘導体を合成する方法の例は、米国特許第3,338,909号に示されている。次に、ハロフジノンを、再び医薬品のGMPに従って、上の実施例3で述べた通りの適切な薬剤用担体に入れる。
ここで、本発明を、例示のためだけに、添付の図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ラットにおける最高血圧(SBP)に対するハロフジノンの効果を示す図である。(*)2つのRMRグループよりも有意に低い(p<0.01)
【図2】ラット尿中のタンパク質濃度に対するハロフジノンの効果を示す図である。(*)2つのRMRグループよりも有意に低い(p<0.01)
【図3】ラットの体重に対するハロフジノンの効果を示す図である。
【図4】クレアチニンクリアランス(CCR)に対するハロフジノンの効果を示す図である。
【0001】
本発明は、キナゾリノンを含有する組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、有効成分として本明細書で定義する通りのキナゾリノン誘導体を含む、腎線維症の治療のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロフジノン(Halofuginone)
米国特許第3,320,124号は、キナゾリノン誘導体を用いてコクシジウム症を治療するための方法を開示及び主張している。7−ブロモ−6−クロロ−3−[3−(3−ヒドロキシ−2−ピペリジニル)−2−オキソプロピル]−4(3H)−キナゾリノン(キナゾリノン誘導体の1つ)としても知られるハロフジノンは、アメリカンサイアナミッド社(American Cyanamid)による前記特許で最初に記載及び主張されたものであり、前記の特許によって教示された好ましい化合物であり、そこに記載及び主張された誘導体の中から商品化されたものである。その後の米国特許第4,824,847号、第4,855,299号、第4,861,758号、及び第5,215,993号はすべて、ハロフジノンのコクシジウム殺性に関する。
【0003】
より最近では、米国特許第5,449,678号に、こうしたキナゾリノン誘導体が、線維過多状態の治療に思いがけず有用であったことが開示されている。この開示は、次式の薬剤として活性な化合物
【化1】
(式中、nは、1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ(alkenoxy)−カルボニルからなる群のメンバーである)
を治療有効量含む、特異的阻害剤の組成物を提供している。薬剤として許容されるその塩も含まれる。この化合物の群のうち、ハロフジノンが、開示された治療にとって特に有効であることが判明している。
【0004】
米国特許第5,449,678号は、前述の化合物が、強皮症及び移植片対宿主病(GVHD)などの線維過多状態の治療に有効であることを開示している。さらに、米国特許第5,891,879号は、こうした化合物が、再狭窄の治療に有効であることを開示している。先に述べた2つの状態は、過剰なコラーゲン沈着を伴い、これは、ハロフジノンによって抑制することができる。再狭窄は、血管の損傷に応答して罹患した血管腔内の平滑筋細胞増殖及び細胞外マトリックス蓄積が特徴である[Choi他、Arch.Surg.、130:257〜261,1995年]。こうした平滑筋細胞増殖の1つの特徴は、正常な収縮型の表現型から合成型表現型への、表現型の変化である。I型コラーゲンは、こうした表現型の変化を補助することが示されており、これは、ハロフジノンによって阻止することができる[Choi他、Arch.Surg.、130:257〜261,1995年;米国特許第5,449,678号]。
【0005】
特に、ハロフジノンのin vitroの作用は、必ずしもそのin vivoの効果を予測するとは限らない。例えば、米国特許第5,449,678号で実証される通り、ハロフジノンは、in vitroで骨の軟骨細胞(chrondrocytes)での、I型コラーゲンの合成を阻害する。しかし、ハロフジノンを用いて治療した鶏では、骨破損(bone breakage)率の増大が報告されておらず、その作用は、in vivoでは見られないことが示唆されている。
【0006】
さらに、ハロフジノンは、in vitroでは線維芽細胞によるコラーゲン合成を抑制するが、in vivoでは創傷治癒を促進する(WO 01/17531)。したがって、in vivoでのハロフジノンの正確な挙動は、in vitro研究から、必ずしも正確に予測することはできない。
【0007】
慢性腎不全
慢性腎不全(CRF)の進行は、多くの患者を、長期の透析治療を必要とする末期腎不全に到達させるので、腎臓病学における最も厄介な問題の1つに相当する。多くの腎疾患は、最初の発病機構とは無関係に、糸球体硬化症及び/又は髄質の線維症を伴う末期腎不全に進行する。これは、様々な進行性の腎疾患が、局所的な、最終的には拡散した糸球体硬化症及び慢性の尿細管間質性疾患を招く共通の破壊経路を示す可能性があることを示唆する。
【0008】
最終の共通の経路と考えられる腎線維症を直接的に抑制すると、慢性腎不全(CRF)の発症を弱める可能性があるので、線維症に対する治療戦略は、このプロセスを減少又は排除することを標的にするべきである。
【0009】
慢性腎臓疾患は、糸球体及び間質における細胞外マトリックス(ECM)の蓄積で特徴付けられ[Klahr S.他、N Engl J Med 318:1657〜1666,1988年]これは、最終的に、腎線維症及び慢性腎不全を招く。糸球体硬化症は、主に、メサンギウム細胞の広がり及びECMの沈着を介する、機能的(functional)糸球体の、結合組織による置き換えが特徴である。線維症は、ECMの過剰な合成及びそれと同時のECMの分解の低下に起因すると考えられている。
【0010】
腎線維症の病因としては、腎臓における繊維組織の形成が挙げられる。繊維組織の形成は、異常に大量のコラーゲンの沈着で特徴付けられる。腎臓の損傷後(この用語「損傷」には、物理的な損傷、毒による損傷、及び血管の損傷が含まれる)、メサンギウム細胞は、健康な糸球体ではIV型コラーゲンが独占的に存在することとは対照的に、I型及びIII型コラーゲンを合成する能力をもつ(Trai他、1994)。in vitroでは、メサンギウム細胞は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPr)(IV型コラーゲンを分解することができるが、I型及びIII型コラーゲンを分解することはできない)を放出する能力をもつ(Daniel他、1998年)。コラーゲンの合成はまた、いくつかの他の病的状態にも関与する。例えば、全身性硬化症、移植片対宿主病(GVHD)、肺線維症及び肝線維症、並びに広く様々な自己免疫異常などの、一次性又は二次性線維症に伴う臨床的状態及び異常は、結合組織の過剰な生成によって特徴付けられ、これは、正常な組織の構築物及び機能の破壊という結果になる。これらの疾患は、細胞機能の撹乱という言葉で最も良く説明することができ、その主な徴候は、過剰なコラーゲン合成及び沈着である。線維症において、コラーゲンは重大な役割を果たしているので、コラーゲンの蓄積を抑制する薬物を開発しようとする試みが促されてきた[K.I.Kivirikko、医学年鑑(Annals of Medicine)、Vol.25、113〜126頁(1993年)]。
【0011】
間質線維症は、尿細管及び間質の毛細血管の破壊によって、また、細胞外マトリックスタンパク質の蓄積によって特徴付けられる[M.Fukagawa他、Nephrol Dial Transplant(1999年)14:2793〜2795]。
【0012】
巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)は、タンパク尿及び進行性の腎機能の喪失を通常伴う糸球体の損傷の形の組織学的種類である[H.G.Rennke及びP.S.Klein、「非原発性の巣状分節状糸球体硬化症の病因及び重要性(Pathogenesis and Significance of nonprimary Focal and segmental Glomerulosclerosis)」Am.J.Kid.Dis.Vol.13、443〜46頁(1989)を参照のこと]。
【0013】
もともと、FSGSは、末期腎不全で死亡したネフローゼ患者で発見された。より最近では、FSGSは、いくつかのヒトの全身疾患及び腎疾患における、糸球体における最終の共通経路と特定されている。これらには、通常の加齢による腎症及び糖尿病性腎症などのプロセスが含まれる。FSGSの異常病変は、見たところ無関係な様々な傷害性の刺激に起因する可能性があり、初期の損傷の終了してから長期間経過した後に、細胞外マトリックスの沈着及び糸球体硬化症を介して腎臓の壊死を引き起こす。
【0014】
こうした薬物は、プロコラーゲンポリペプチド鎖の合成を調節することによって、或いは翻訳後の特定の事象を抑制することによって作用し、これにより、細胞外のコラーゲン線維の形成の低下が、或いは性質が変化した線維の蓄積が起こることとなる。組織の完全性の維持におけるこのタンパク質の重要性、及び様々な異常におけるその関与にもかかわらず、残念ながら、利用できるのは、コラーゲン合成の数種の阻害剤のみである。
【0015】
例えば、コルヒチンなどの細胞障害性薬物が、コラーゲンを生成する線維芽細胞の増殖を遅らせる試みに使用されており[J.A.Casas他、Ann.Rhem.Dis.、46:763,1987年]、これは、細胞外マトリックスへのコラーゲン分泌[D.Kershenobich他、N.Engl.J.Med.、318:1709,1988年]、並びに、主要なコラーゲン代謝酵素の阻害剤[K.Karvonen他、J.BiolChem.、265:8414,1990年;C.J.Cunliffe他、J.Med.Chem.、35:2652,1992年]を緩慢にさせる。
【0016】
残念ながら、これらの阻害剤はどれも、コラーゲンの型に特異的ではない。また、古典的補体経路におけるClq、神経筋接合部終板のアセチルコリンエステラーゼ、コングルチニン、及び腎臓のサーファクタントアポタンパク質など、生命維持に必要な他のコラーゲン性分子の生合成を妨げるという毒性の結果に対する深刻な懸念が存在する。
【0017】
ニジェジピン及びフェニトインなどの、コラーゲン合成を抑制することができる他の薬物は、他のタンパク質の合成も抑制し、それによってコラーゲン生合成経路を非特異的に阻止する[T.Salo他、J.Oral Pathol.Med.、19:404,1990]。
【0018】
β−アミノ−プロピオニトリルなどのコラーゲン架橋阻害剤もまた、非特異的であるが、これらは、有用な抗線維症剤として働くことができる。エラスチン、すなわち別の繊維状の結合組織タンパク質も架橋されるので、これらを長期間使用することにより、関節炎(lathritic)症候群、及び弾性起源(elastogenesis)への妨害が引き起こされる。さらに、このコラーゲン架橋抑制効果は、二次性であり、コラーゲンの過剰生成が、コラゲナーゼによるその分解に勝る必要がある。したがって、型に特異的な、コラーゲン自体の合成の阻害剤が、抗線維症剤として明らかに必要である。
【0019】
ハロフジノン、又は他の関連するキナゾリノン誘導体の、腎線維症に関連する病的プロセスを阻止又は抑制する能力は、米国特許第5,998,442号にのみ示されている。この特許は、メサンギウム細胞の異常な増殖を弱めるための、キナゾリノン誘導体を含有する薬剤組成物を開示している(実施例はすべて、in vitroで試験されている)。さらに、腎臓の線維性疾患を特徴付ける尿細管間質区画における強力な線維化プロセスは、メサンギウム細胞増殖をまったく伴わない。
【0020】
in vitroで得られる薬理学的効果が、必ずしも生きている生物内でin vivoで再現されないことは、薬物開発の分野でよく知られている。したがって、in vitroでのメサンギウム細胞の異常な増殖の抑制が認められたことから、これらの化合物が、腎臓疾患(腎線維症が、他の何らかの潜在的な異常の原因又は結果であり得るもの)の治療に有効であることを推定することは不可能である。ハロフジノンが、腎疾患の末期腎不全への進行を妨げるために有用であるだろうということを予測することは明らかに不可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の技術では、ハロフジノンが、in vivoでの腎線維症の治療に有用であるだろうということを教示又は示唆しているものは存在しなかった。したがって、ハロフジノン及び関連する化合物の、腎臓における線維症の進行を遅らせる或いは停止させる能力は、明白ではなく、新規である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
以下で述べる通り、キナゾリノン誘導体、特にハロフジノンを含有する薬剤組成物が、他の機構にも原因があるかもしれないが、おそらくI型コラーゲンの合成を抑制することによって、糸球体と尿細管間質区画の両方への効果を含めて、腎線維症の病態生理学的なプロセスをin vivoで抑制することもできることが、思いがけず判明した。I型コラーゲンの合成の阻害が、1つのもっともらしい機構であると提案されているが、単一の機構に限定することは望ましくないし、以下に示したin vivoのデータが、in vivoでの腎線維症の阻害剤としてのハロフジノンの効果を明確に実証する必要もない。本発明は、次の薬剤として許容される担体と組み合わせて、一般式を有する群のメンバーである化合物
【化2】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量含む、腎線維症の治療のための組成物を提供する。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、この化合物は、ハロフジノンであることが好ましい。
【0024】
別の実施形態によれば、本発明は、薬剤として許容される担体に、次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化3】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量入れるステップを含む、腎線維症を治療するための薬剤を製造する方法を提供する。
【0025】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、次の一般式を有する化合物
【化4】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量投与するステップを含む、対象における腎線維症を治療するための方法を提供する。
【0026】
腎線維症は、一次性又は二次性であり得る。一次性腎線維症は、何らかの他の疾患又は異常の結果ではなしに腎臓に影響を与える状態に関連があるのに対し、二次性腎線維症は、何らかの潜在的な異常の結果である。二次性の状態は、高血圧、糖尿病合併症、自己免疫疾患、及び他の異常によって引き起こされる可能性がある。
【0027】
本発明はさらに、必要とする対象に、薬剤として許容される担体に入れた次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化5】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を治療有効量投与することを含む、腎線維症の末期腎不全への移行を妨げるための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下で述べる通り、ハロフジノンが、別の機構にも原因があるかもしれないが、おそらくI型コラーゲンの合成を阻害することによって、腎線維症の病的プロセスをin vivoで抑制することができることが、思いがけず判明した。実際、具体的な機構にかかわりなく、以下に示したデータは、ハロフジノンの、腎線維症の病理学的進行をin vivoで抑制する効力を明確に実証する。
【0029】
本発明は、薬剤として許容される担体と組み合わせて、次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化6】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量含む、腎線維症を治療するための組成物を提供する。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、この化合物は、ハロフジノンであることが好ましい。
【0031】
別の実施形態によれば、本発明は、薬剤として許容される担体に、次の一般式を有する群のメンバーである化合物
【化7】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量入れるステップを含む、腎線維症を治療するための薬剤を製造する方法を提供する。
【0032】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、次の一般式を有する化合物
【化8】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩を薬剤有効量投与するステップを含む、対象における腎線維症を治療するための方法を提供する。
【0033】
腎線維症は、一次性又は二次性であり得る。二次性の状態は、高血圧、糖尿病合併症、自己免疫疾患、並びに他の潜在的な異常及び状態によって引き起こされる可能性がある。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、該化合物は、ハロフジノンであることが好ましい。以下、用語「ハロフジノン」は、次式の化合物
【化9】
及びその薬剤として許容される塩と定義される。この組成物は、該化合物のための薬剤として許容される担体を含むことが好ましい。
【0035】
以下、用語「対象」は、ハロフジノンが投与されるヒト又は動物を意味する。用語「患者」は、ヒトの対象を意味する。用語「治療」には、腎線維症のプロセスを実質的に開始させないことと、いったん発症した腎線維症の進行を遅らせる或いは停止させることの両方が含まれる。用語「腎線維症」は、対象の腎臓におけるどんな線維過多状態も意味する。
【0036】
以下、用語「経口投与」には、それだけには限らないが、消化管を通した吸収のための経口による投与、口腔投与、及び舌下投与が含まれる。経口投与用の組成物には、散剤又は顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ(sachet)、カプセル剤、又は錠剤が含まれる。増粘剤、希釈剤、着香料、分散補助剤、乳化剤、結合剤、又は保存剤が所望される可能性もある。
【0037】
用語「非経口投与」には、それだけには限らないが、点滴又はボーラス静注による投与、皮下又は筋肉内注射が含まれる。非経口投与用の製剤は、それだけには限らないが、滅菌水溶液(緩衝液、希釈剤、及び他の適切な添加物を含有してもよい)を含むことができる。
【0038】
本明細書全体を通して、特効性のキナゾリノン誘導体「ハロフジノン」が記述されるが、次の一般式を有する他のキナゾリノン誘導体
【化10】
(式中、nは1〜2であり、
R1は、水素、ハロゲン、ニトロ、ベンゾ、低級アルキル、フェニル、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R2は、ヒドロキシ、アセトキシ、及び低級アルコキシからなる群のメンバーであり、
R3は、水素及び低級アルケノキシ−カルボニルからなる群のメンバーである)
及び薬剤として許容されるその塩も、それに代えて使用できることを理解されたい。
【0039】
腎線維症の抑制を目的とする化合物は、in vivoモデルによって、繊維組織の沈着を招く病的プロセスを遅らせる或いは停止させるその能力について試験されなければならない。
【0040】
こうした実験を、I型コラーゲンの合成阻害剤であるハロフジノンについて、以下の実施例でより詳細に述べる通りに実施する。腎臓のマスリダクション(renal mass reduction)(RMR)又は偽手術(sham operation)を受けたラットに、腎線維症を誘発させた。本発明は、以下の例及び図を参考にしてより容易に理解することができる。
【0041】
本発明を、その態様が、より十分に理解及び認識できるように、今から以下の図及び例において、ある種の好ましい実施形態に関して述べるが、本発明をこうした特定の実施形態に限定するつもりはない。それどころか、添付の特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の範囲内に含められるところのすべての代替形態、改変形態、及び等価形態を包含するものとする。したがって、好ましい実施形態を含む以下の図及び例は、本発明の実践を例示するのに役立つこととなり、示された事項は、例示のため、また、本発明の好ましい実施形態の例示的な考察のために過ぎず、調合手順並びに本発明の原理及び概念的な態様の、最も有用かつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示されることを理解されたい。
【実施例1】
【0042】
適切な緩衝液を含有する水(aqueous media)に、臭化水素酸ハロフジノンの粉末を溶解することによって、ハロフジノンの溶液を調製した。
【0043】
この研究には、環境に1週間順応させた後の雄のウィスターラット(実験開始時の体重300±30g)を使用した。ラットは、ペントバルビタール(体重1kgにつき35mg)の腹腔内注射を用いて麻酔下で、5/6腎摘除術又は偽手術によって腎臓のマスリダクション(RMR)を受けるように割り当てられた。RMRは、左の腎動脈の3つの主な分枝のうちの2つを結紮することによって実施し、同時に右腎摘除術を行った。偽(sham)ラットは、RMRを受けずに、腎臓の曝露及び腎臓周囲の脂肪の除去を受ける。回復してから24時間後に、これらのラットを、次のグループのうちの1つに割り当てた:
1)グループI:RMRラット、ハロフジノン0.2mg/kg/日を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
2)グループII:RMRラット、1日1回の(daily)通常の生理食塩水を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
3)グループIII:日齢が一致する、対照としての役割の、偽手術を受けたラット。
【0044】
動物はすべて、制約無しに標準の食餌及び水に自由に接触させた。屠殺(RMRの10週後)時に腎臓を切除し、インサイチューハイブリダイゼーション(in situ hybridization)、免疫組織化学、及び組織学的評価のために処理した。
【0045】
光学顕微鏡研究:検体を、10%の緩衝化ホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋した。4〜5μの厚さの組織切片を、ヘマトキシリン−エオシン(HES)、過ヨウ素酸シッフ(PAS)、及びマッソントリクローム(薄緑(light green))で染色した。糸球体硬化症、メサンギウムの広がり及び増殖、並びに尿細管間質の変化の程度を評価するために、半定量的スコアを使用した。各検体において最低30個の糸球体を調べ、その損傷の重症度を、糸球体への関与の割合に従って、0から4+まで等級分けした。すなわち、1+の損傷は、糸球体の25%に相当し、4+の損傷は、糸球体の100%が関与していることを示唆した。損傷の程度(0〜4+)を、同じ程度の損傷を示す糸球体の割合に掛けることによって、損傷スコアを得た。ツァイス(Zeiss)I積分接眼レンズ(integrating eyepiece)を使用するポイントカウント法(point−counting method)を用いて、尿細管間質性線維症の評価を実施した。
【0046】
対照グループと比較して、ハロフジノンで治療したラットでは、尿細管間質性線維症の有意な減少が見られた。ハロフジノンで治療したラットでは、糸球体硬化症及びメサンギウムの増殖の存在も、ほとんど悪化しなかった(表1)。これらの結果により、ハロフジノンで治療したラットでは、低用量であっても、腎機能の維持がより優れていたことが示される。
【0047】
【表1】
【実施例2】
【0048】
この研究には、雄のウィスターラット(実験開始時の体重300±30g)を使用した。これらを、その環境に1週間順応させた。ラットは、ペントバルビタール(体重1kgにつき35mg)の腹腔内注射を用いて麻酔下で、5/6腎摘除術又は偽手術によって腎臓のマスリダクション(RMR)を受けるように割り当てられた。RMRは、左の腎動脈の3つの主な分枝のうちの2つを結紮することによって実施し、同時に右腎摘除術を行った。偽ラットは、腎臓の曝露及び腎臓周囲の脂肪の除去を受けていた。回復してから24時間後に、これらのラットを、次のグループのうちの1つに割り当てた:
1)グループI:RMRラット、ハロフジノン0.2mg/kg/日を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
2)グループII:RMRラット、1日1回の通常の生理食塩水を用いた経口胃管栄養を、手術後24時間で開始する
3)グループIII:日齢が一致する、対照としての役割の、偽手術を受けたラット。
【0049】
動物はすべて、制約無しに標準の食餌及び水に自由に接触させた。毎週、テイルカフ(tail cuff)検圧法によって、最高血圧を測定し、総タンパク質量及びクレアチニン排出量を求めるために、代謝ケージの尿サンプルをそれぞれ収集した。尿中のタンパク質濃度は、ピロガロールレッド モリブデン酸錯体(コバス インテグラ(cobas integra)700、ロシュ社(Roche))を使用する比色法によって求めた。体重も測定した。屠殺時(RMRの10週後)に、クレアチニン及びハロフジノン濃度を求めるために、腹大動脈から血液を採取した。日立(Hitachi)の747型自動分析器を用いて、動態学的な(kinetic)ヤッフェ法(Jaffe method)を使用して血清クレアチニンを測定した。
【0050】
どちらの腎摘除グループも、第1週の最後に体重がわずかに減少したが、その後、ハロフジノンで治療したグループと対照グループでは体重の増加は同じであり(図3)、これは、実験期間全体を通して、両方のグループにおいて食物摂取が同じであったことを示唆する。これら2つの腎摘除グループには、最高血圧の有意な差も示されず、最高血圧は、連続的に増大し、7週目でピークに達した(図1)。偽手術を受けたグループでは、基準レベルからの有意な変動は示されなかった。これらの結果により、ハロフジノンの腎臓維持作用の効力を評価するために試みられたモデルの妥当性が実証される。
【0051】
図2に示される通り、ハロフジノンで治療したラットは、対照の腎摘除グループよりもタンパク尿が低濃度であった。この差は、腎摘除術後5週目からずっと、統計学的に有意であった。
【0052】
予想通り、RMRグループでは、CCRは、偽ラットと比較して、より低かった。ハロフジノンで治療したグループでは、研究の最後に、CCRが、より高かった(0.35+0.07ml/分に対して0.44+0.09、p=0.06、図4)。
【0053】
これらの結果は、ハロフジノンが、腎臓に対する有益な効果をもち、タンパク尿症を妨げ、かつクレアチニンクリアランスの低下を減少させることを示す。どちらの減少も、腎機能の維持を示唆する。
【実施例3】
【0054】
腎線維症の治療方法
上に示した通り、ハロフジノンは、腎線維症の有効な阻害剤であることが示された。以下の例は、ハロフジノンを用いて腎線維症を治療する方法の例示に過ぎず、限定的なものではない。
【0055】
この方法は、治療対象となる対象に、上で述べた通りの薬剤として許容される担体に入れたハロフジノンを投与するステップを含む。ハロフジノンは、有効な投薬方法に従って、好ましくは、対象における腎線維症のさらなる進行が存在しない状態、腎線維症の抑制、又は腎線維の形成の予防などのあらかじめ定められた終点に到達するまで投与される。
【0056】
ハロフジノンは、当技術分野でよく知られているいくつかの方法で対象に投与することができる。以下、用語「対象」は、ハロフジノンが投与されるヒト又は動物を意味する。例えば、投与は、経口的に、或いは、例えば点滴又はボーラス静注、皮下又は筋肉内注射によって非経口的に行うことができる。
【0057】
経口投与のための組成物には、散剤、顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ、カプセル剤、又は錠剤が含まれる。増粘剤、希釈剤、着香料、分散補助剤、乳化剤、保存剤、又は結合剤が所望される可能性もある。
【0058】
非経口投与のための製剤は、それだけには限らないが滅菌水溶液(緩衝液、希釈剤、及び他の適切な添加物を含有してもよい)を含むことができる。
【0059】
投薬は、症状の重さ、及びハロフジノンに対する対象の応答性に応じて変わる。担当の医師であれば、最適な投与量、投薬の方法論、及び繰り返しの速度(repetition rate)を容易に決定することができる。
【実施例4】
【0060】
ハロフジノンを含有する薬剤の製造法
以下は、ハロフジノンを製造する方法の例である。最初に、ハロフジノンを、医薬品のGMPに従って合成する。ハロフジノン及び関連するキナゾリノン誘導体を合成する方法の例は、米国特許第3,338,909号に示されている。次に、ハロフジノンを、再び医薬品のGMPに従って、上の実施例3で述べた通りの適切な薬剤用担体に入れる。
ここで、本発明を、例示のためだけに、添付の図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ラットにおける最高血圧(SBP)に対するハロフジノンの効果を示す図である。(*)2つのRMRグループよりも有意に低い(p<0.01)
【図2】ラット尿中のタンパク質濃度に対するハロフジノンの効果を示す図である。(*)2つのRMRグループよりも有意に低い(p<0.01)
【図3】ラットの体重に対するハロフジノンの効果を示す図である。
【図4】クレアチニンクリアランス(CCR)に対するハロフジノンの効果を示す図である。
Claims (14)
- 前記化合物が、ハロフジノンである請求項1に記載の組成物。
- 薬剤として許容される前記の担体が、散剤、顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ、カプセル剤、又は錠剤の形での、該組成物の経口的又は非経口的投与を可能にする、請求項1に記載の組成物。
- 前記化合物が、ハロフジノンである請求項4に記載の方法。
- 前記薬剤組成物が、散剤、顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ、カプセル剤、又は錠剤の形での、経口的又は非経口的投与に適している請求項4に記載の方法。
- 腎線維症の状態が、一次性又は二次性である請求項4に記載の方法。
- 二次性の状態が、高血圧、糖尿病合併症、又は自己免疫疾患によって引き起こされる請求項7に記載の方法。
- 前記化合物が、ハロフジノンである請求項9に記載の方法。
- 薬剤として許容される前記の担体が、散剤、顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ、カプセル剤、又は錠剤の形での、該組成物の経口的又は非経口的投与を可能にする、請求項9に記載の方法。
- 化合物が、ハロフジノンである請求項12に記載の使用。
- 前記薬剤が、散剤、顆粒剤、水又は非水媒体の懸濁液又は溶液、サシェ、カプセル剤、又は錠剤の形での、経口又は非経口投与に適している請求項12に記載の使用。
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