JP2004533242A - 異種移植のための改変された器官および細胞 - Google Patents

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Abstract

ヒトへの移植の際またはヒト血清との接触の際、すぐに免疫応答または炎症応答を誘導するブタのような動物種の細胞上に提示される少なくとも2つの主要な抗原が存在することを発見された。第1の抗原は、α−ガラクトシル(Gal)エピトープ(例えば、Galα(1→3)Galβ(1→4)GlcNac(直線B2型)またはGalα(1→3)Galβ(1→4)Glc(直線B6型))である。第2の抗原は、N−グリコシルノイラミン酸(NeuGc)構造である。これらのエピトープを排除することによって、好ましくは、エピトープが生成されないか、または大いに減少されるような動物を遺伝子操作することによって、あるいは、エピトープを除去するための動物細胞の化学的処理または酵素的処理によって、人への異種移植に適する、器官、組織および細胞を生成し得る。

Description

【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本願は、米国特許仮出願番号第60/287,684号(2001年4月30日出願)、米国特許仮出願番号第60/300,604号(2001年6月22日出願)、米国特許仮出願番号第60/333,876号(2001年11月8日出願)に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、異種移植、および移植後の拒絶を誘導する傾向が少ない組織、細胞または器官を産生するための動物の遺伝的改変の分野の中にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(移植のための器官の不足)
Dorling,A.ら、Clinical xenotransplantation of solid organs.Lancet 349:867−871、1997に概説されるように、臨床的移植は、過去40年間にわたり、器官の同種移植片(すなわち、ある動物から同じ種の別の動物への(例えば、ヒトからヒトへの)移植)が、末期の腎臓、心臓、肺、肝臓、および他の器官の疾患についての1つの慣用的な処理の選択肢であるという段階まで達した。しかし、臨床的要件を満たす死体の器官は十分に存在しない。異種移植(すなわち、ある動物から異なる種の別の動物への(例えば、ブタからヒトへの)移植)は、最終ステージの患者の生存を、永久的にか、または適切な同種移植片が得られるまで一時的にかのいずれかで維持するための手段を提供する。理想的には、異種移植は、非霊長類種の遺伝的操作を用いて開発され、その移植片は、損傷または罹患した器官の長期間の置換に適し、かつ最小限の拒絶を受ける。しかし、それらの器官は、新しい宿主によるある形態の拒絶を受ける場合でさえも、なお有用である。同種移植片の場合でさえも、拒絶は、頻繁に発生し、従って、患者は、シクロスポリンおよび同種移植片の拒絶を回避するための他の型の免疫抑制剤のような薬物を用いて、免疫抑制される。
【0004】
器官提供の問題の1つの答えは、適切な動物ドナーから取り出された器官の使用である。より高等な非ヒト霊長類(類人猿および狭鼻猿類)は、ヒトに対する、最も近い免疫学的適合を提供するが、器官のドナーとしてのこれらの種の慣用的な使用を、好ましくなくするいくつかの要素が存在する。これらの要素としては、以下:(i)不十分な数、(ii)大量飼育の困難さおよび費用、(iii)ヒト成体に関していくつかの器官(例えば、心臓)の不適切なサイズ、(iv)この目的のための、そのような種の使用に関する一般市民の懸念の可能性、および(v)重篤なウイルス性疾患の移植のリスク、が挙げられる。
【0005】
従って、系統発生的尺度上、より下等な、より一般的に利用可能な哺乳動物(特に、Xenograft 25,Amsterdam、Elsevier、1989.pp.125−132におけるKirkman,R.L.;およびXenotransplantation.Heidelberg、Springer、1991.pp.481−500におけるCooper,D.K.C.ら、により報告されているように、この点において、多くの利点を有する、ブタ)に関心が向いている。これらは、(i)大量に利用可能であること、(ii)飼育および維持が高価でないこと、(iii)最も小さなヒトまたは最も大きなヒトの大きさに適すること、(iv)病原体を有さない(ノトバイオートの)動物が利用可能であること、(v)ヒトとの解剖学および生理学の相当な類似性、(vi)遺伝的に操作する能力、を含む。
【0006】
(輸血のための安全な血液の不足)
パックされたヒト赤血球(RBC)を利用する1,100万回の輸血が、毎年、米国において投与されている(National Blood Data Source、1998)。米国の血液供給は、慢性的に、不十分である。2001年に、米国血液銀行は、最適の必要量より約250,000単位少ない量を得ると予想されている。政府官僚は、通常の血液ドナーが休暇に出、大学生も主要な郊外都市を離れる夏の期間における、危機的な国家的不足を予想している。国家は、確固とした競争的な、血液収集および血液分配システムを有するので、血液の一時的な不足は、通常死を招かないが、待機手術は、延期される必要があり得、そして他の致命的でない必要は、満たされない。献血される血液は、通常の条件下で約42日間しか保存され得ず、そして資格の有るドナーの5%未満が血液を提供しているので、厳しい気象条件(例えば、吹雪または暴風雨)は、潜在的ドナーの血液センターへのアクセスを減らすことにより、しばしば、待機手術のキャンセルをもたらす。
【0007】
ヒトの血液が不足する供給源であるだけでなく、レシピエントに対する潜在的リスクも伴う。新規のウイルススクリーニングプロセスに関らず、提供されたヒト血液は、100%安全であるとは考えられていない。C型肝炎ウイルスは、100,000回の輸血につき、1回、伝播し、HIVウイルス(AIDウイルス)は、676,000回につき、1回伝播すると予想されている。HIV、肝炎、およびウイルス物質の有意な発生数は、特に、幾分かの集団において、輸血目的のための十分に安全なヒトの血液の提供を、高価および困難にする。さらに最近では、欧州における新規の異種のクロイツフェルト−ヤコブ病の発生率の増加に対する懸念に起因して、血液提供の有資格が、FDAによって、より厳しくされている。このことは、米国における血液の利用可能性にさらに影響し得る。
【0008】
ヒト血液が、いずれの感染性微生物も含まないことを確認することの困難さおよび費用に起因して、量的な限定が無くかつ全ての感染性物質を含まないRBCの供給源を開発することが非常に所望され得る。ブタ赤血球(pRBC)は、この役割を満たし得る。
【0009】
過フルオロ化合物およびヘモグロビン誘導体のような代用血液を開発することに非常に興味を持たれているが、臨床試験において、侮りがたい障害に遭遇している。報告されているように、有する患者の中の予想外に多い数の外傷による死亡により、臨床試験は終了され、そして2つのヘモグロビンベースの処方物がさらなる開発から撤退された(Sloan,E.P.ら、JAMA.1999:282:1857−64)。現在、ヒトRBCの適切な代替物の非存在は、pRBCの潜在的な有用性を増している。
【0010】
(異種移植片の拒絶)
しかし、ブタからヒト(または他の霊長類)への器官移植物または細胞移植物の生存は、現在、第一に、数分内または数時間内での移植片の破壊を導く重篤な体液の免疫応答(超急性拒絶)(Taniguchi,S.およびCooper、D.K.C.Ann.R.Coll.Surg.Engl.79、13−19、1997;およびCooper,D.K.C.ら、J.Heart Transplant 7:238−246、1988により概観される)および続く遅延する体液の応答(急性体液異種移植片拒絶)(これはまた、抗ブタ抗体の効果により大部分が媒介されていると考えられている)により制限されている。
【0011】
近縁の関係の種の間(例えば、チンパンジーからヒト)の異種移植物は、通常、同種間の移植物のように、輸血の最初の期間、損傷することなく生存し得る。次いで、移植される器官の外来抗原は、レシピエントの免疫応答および拒絶プロセスの開始を引き起こす。同種移植片と同様だが、より増進された様式で臨床的に拒絶される、これらの異種移植片は、調和する異種移植物と呼ばれる。系統発生的により離れた種(例えば、ブタからヒト)の間の異種移植片は、同種移植物とは全く異なる臨床的過程をたどり、そして調和しない異種移植物と呼ばれる。調和しない異種移植片を移植された器官において、抗体に媒介される(脈管の)拒絶は、一般的に、2〜3分または数時間の再循環の内に、重篤な間質の出血および水腫を伴う内皮外傷の代表的な組織病理学的パターンを伴って生じる。この超急性拒絶は、通常、不可逆的であるが、ドナー組織に対するレシピエントの天然の抗体の除去により、遅延され得る。Xenotransplantation Heidelberg,Springer,1991.pp.47−67におけるPaul,L.C.;およびXenotransplantation, Heidelberg, Springer,1991.pp.69−79.におけるPlatt,J.L.,Bach,F.H.により報告されているように、現在、この超急性拒絶が、全体的または大部分、古典的な経路を介する抗体媒介性合併症活性の結果であることを示唆する、相当な量の証拠が存在する。Cooper,D.K.C.ら、Immunol.Rev.141,31−58,1994;Cooper,D.K.C.ら、Xenotransplantation3,102−111,1996;およびAlwayn,I.P.J.ら、Xenotransplantation.6,157−168,1999.により記載されているように、この体液応答を阻害することに、多くの注目が向けられている。
【0012】
(Gal抗原−抗Gal抗体相互作用)
狭鼻猿類および類人猿を除き、哺乳動物細胞の表面上に存在する、特定の炭水化物構造が存在し、この構造が、ヒトへの細胞の移植の直後に抗体媒介性拒絶を誘発することを、研究が示している。抗体は、予め存在している(すなわち、これらは、異種移植片の移植の前に、患者の血液内に存在する)、それ故、体液性または抗体媒介性の応答は、強力でありかつ即座に起こる。ヒトに移植されたときにブタ組織に対する免疫応答を誘発する、ブタに存在するがヒトに存在しない1つの炭水化物構造は、既に同定されている。これは、Galエピトープである。有意なレベルのIgG抗Gal抗体、IgM抗Gal抗体、およびIgA抗Gal抗体が、ヒトにおいて検出される。ヒト、類人猿、および狭鼻猿類におけるGalエピトープの損失が酵素(α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1,3GT)についての遺伝子の変異の結果であることが知られている(Larsen,R.D.ら、J.Biol.Chem.265、7055−7061、1990)。
【0013】
ブタGal抗原に対するヒト抗Gal抗体の結合から生じる超急性拒絶を回避するための以下の複数のアプローチが、示唆されている:
(1)Gal産生に必要とされる酵素(α1,3GT)をコードする遺伝子の「ノックアウト」(Thall,A.D.ら、J.Biol.Chem.270;21437−40、1995)。α1,3GTの発現を防ぐために、遺伝子が、その酵素が産生されないように、コード領域内または制御配列のいずれかで、欠失、中断、または置換され得る。これは、一般的に、代理母における胚の移植の前の動物の胚の操作によって達成される。これらの胚は、マイクロインジェクションもしくはレトロウイルスベクターのようなベクターによる、胚への遺伝物質の注入により直接的にか、または胚幹細胞の操作により間接的に操作され得る。後の方法は、所望の最終結果が、活性な酵素についての遺伝子発現を完全な防ぐことである場合、特に有用である。核移植技術を用いて可能になりそうであるが、ブタの胚幹細胞が単離されていないので、このアプローチは、現在は、ブタに関しては不可能である。動物は、それらの細胞の表面上にGalエピトープを作製しないように遺伝的に操作される。
【0014】
(2)α1,3GT遺伝子発現の減少または抑制。いくつかの場合において、単に、Galの発現を減少させることが必要であり得る。例えば、動物の生存可能性または健康に必須であるGalの役割が存在する場合、最適な結果は、遺伝子発現の除去ではなく、その減少または抑制により達成され得る。これらの場合、α1,3GTと、その基質について競合し得、そしてGalエピトープの数を減少させ得る酵素についての遺伝子を導入することが必要とされ得る(Cooper,D.K.C.ら、Lancet342、682−683、1993)。α1,3GTと、その共通の基質(N−アセチルラクトサミン)について競合する酵素についての遺伝子を挿入し、それにより移植後の免疫応答を減少させることによって、動物組織上でのGalエピトープの発現を減少させることが可能である。糖構造を改変させる別の酵素をコードするDNA(例えば、シアリルトランスフェラーゼまたはフコシルトランスフェラーゼ)は、胚に挿入され得、この胚において、このDNAは、動物の染色体に組み込まれるそして発現されて、細胞表面上のGal構造の免疫反応性を改変または減少させ得る。これは、マウスにおいて達成されている(Osman,N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、14677−14682、1997;Shinkel,T.A.ら、Transplantation 64、197−、1997;Tanemura,M.ら、Transplant.Proc.29、895、1997)が、現在まで、ブタにおいては、部分的にのみ好首尾であり(Koike,C.ら、Xenotransplantation 3、81−86、1996;Sharma,A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93、7190−7195、1996)、そしてCooper,D.K.C.Xenotransplantation 5、6−17、1998により概説されている。
【0015】
ヒト被験体中に存在する炭水化物に対する抗体が、動物器官のヒトレシピエント中に存在しないように、この炭水化物に対するエピトープを改変することが好ましい。それが任意の他の炭水化物に改変される場合、その炭水化物が、ヒト被験体中に天然に存在しない場合、この炭水化物に対する抗体が発生し得る。これは、異種移植片の供給源としての役割を果たす動物を、シアリルトランスフェラーゼまたはフコシルトランスフェラーゼのいずれかを発現するように遺伝的に操作し、その結果、非Gal炭水化物構造(これは、ヒトにも存在する)が基質(これは、通常Galエピトープの形成のために用いられる)に付着して天然に存在する抗Gal抗体による認識および結合を防ぐことによって達成され得る(Osman,N.ら、J.Biol.Chem.271、33105−33109、1996;Osman,N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、14677−14682、1997;Sandrin,M.S.ら、Xenotransplantation 3;134−140、1996;Sandrin,M.S.,ら、Nature Med.1、1261−1267、1995).ヒトα−1,3フコシルトランスフェラーゼは、KoszdinおよびBowen、Biochem.Biophys.Res.Comm.187、152−157,1992;およびLowe,J.B.,ら、J.Biol.Chem.266、17467−17477、1991によりクローン化されている。
【0016】
(3)末端Gal残基を欠失させ、それによりGal発現を減少させるα−ガラクトシダーゼについての遺伝子の挿入(Cooper,D.K.C.ら、Xenotransplantation 3、102−111、1996;Osman,N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、14677−14682、1997);
(4)霊長類レシピエント由来の抗Gal抗体の免疫吸着。ヒト血清は、抗ブタ抗体を含み、これは、抗Gal IgG、抗Gal IgM、および抗Gal IgAを含む(Good,A.H.ら、Transplant.Proc.24、559−562、1992;Cooper,D.K.C.ら、Transpl.Immunol.1、198−205、1993;Kujundzic,M.ら、Xenotransplantation.1,58−65,1994)。抗Gal抗体は、血漿の交換によりヒト血漿から除去され得るか、またはその血漿を1つ以上の特定のGal構造の免疫親和性カラムに通すことによって吸着され得る。Ye,Y.ら、Transplantation.58、330−337、1994;Cooper,D.K.C.ら、Xeno.4、27−29、1996;およびXu,Y.ら、Transplantation.65、172−179、1998.により報告されるように、特定のGal炭水化物によるそのような抗ブタ抗体の吸着は、異種移植が、ブタと非ヒト霊長類との間で実施されるときに生じる超急性拒絶を防ぎ得る。
【0017】
(5)内因性抗体により結合され、それにより異種移植物の結合を防ぐ、1つ以上のGal炭水化物(例えば、合成Galオリゴ糖)の静脈内投与(Ye,Y.ら、Transplantation、58、330−337、1994;Simon,P.ら、Transplantation 65、172−179、1998;Romano E.ら、Xenotransplantation 6、36−42、1999)。
【0018】
同じアプローチ(1〜5、上記)が、急性の体液性の異種移植片拒絶(この拒絶は、超急性拒絶が防がれるかまたは回避されている場合に発生する拒絶応答である)の発生を防ぐか、遅延させることを示唆する多くの証拠が存在する(Alwayn,I.P.J.ら、Xenotransplantation.6,157−168,1999;およびBuhler,L.ら、Frontiers in Bioscience4,d416−432,1999.http://www.bioscience.org/1999/v4/d/buhler/fulltext.htm(Pub med識別番号10209058、により概説される)。
【0019】
潜在的な器官および組織のドナーとして使用するための、ブタおよび他の動物を作製する方法は、この情報に基づいて開発された。一旦遺伝的に操作された動物が産生されると、皮膚、心臓、肝臓、腎臓、肺、膵臓、小腸、およびそれらの成分を含む組織が回収され、そして移植の分野の当業者に知られているように、移植され得る。
【0020】
しかし、上記のアプローチの全ては、有用であるが、十分に有用であることを証明しておらず、抗体媒介性異種移植片の拒絶の問題を完全に解決してはいない。
【0021】
従って、本発明の目的は、異種移植物(詳細には、ブタからヒトへの)の免疫拒絶を軽減する問題に対する解決法を提供することであり、ここで、拒絶は、ヒトにおいて見出されない異種移植物の血管内皮上での糖タンパク質構造および/または糖脂質構造の存在により開始される。
【0022】
本発明のさらなる目的は、免疫応答(ヒトへの動物の器官、組織または細胞の移植後の補体媒介性応答を含む)を誘発し得る特定の糖(GalおよびNeuGc)を発現しない遺伝的に操作された細胞、組織、および器官を提供することである。
【0023】
本発明のなおさらなる目的は、悪性の反応を伴わずにヒトに輸血され得る動物のRBCを提供する手段を提供することである。
【0024】
本発明のなお別の目的は、特定の免疫原(GalおよびNeuGc)を有さない治療的糖タンパク質を提供して、これらの糖タンパク質のヒトにおけるインビボでの半減期を延長する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の要旨)
少なくとも2つの有意な抗原が、ヒトへの移植またはヒト血清との接触の際に迅速に免疫応答または炎症応答を誘発する動物種(例えば、ブタ)の細胞上に存在することが、発見されている。第1の1抗原はGalエピトープ、例えば、Galα(1−>3)Galβ(1−>4)GlcNAc(線状B2型)、Galα(1−>3)Galβ(1−>4)Glc(線状B6型)、Galα(1−>3)Gal(Bジサッカライド)、およびGalα(α−D−ガラクトース)である。第2は、N−グリコシルノイラミン酸(NeuGc)構造である。これらのエピトープを誘発すること、好ましくは、動物を遺伝子操作することによって、NeuGc、もしくはNeuGcおよびGalエピトープが産生されないか、またはその発現が大きく減少されるか、あるいはエピトープを除去するためのその細胞の化学的処理または酵素的処理によって、ヒトへの異種移植に適した器官、組織および細胞の生成を可能にする。
【0026】
必要である場合、1つ以上のヒト補体調節タンパク質(例えば、崩壊促進因子(DAF)、膜補因子タンパク質(MCP)、またはCD59(Cozzi E & White DJG.Nature Med 1:964〜966,1995;およびDalmasso APら、Transplantation 1991;52:530〜3によって記載される)を発現するためか、あるいは過剰の1つ以上のブタ補体調節タンパク質(van den Berg CW & Morgan BP.Graft 4,63〜65,2001によって報告されるような)を発現するために動物細胞を遺伝子操作することによって、細胞はより適合性にされ得る。
【0027】
動物または細胞は、インビトロで酵素的に操作されるか、または処理されてGalエピトープおよびNeuGcエピトープを除去し得、そして最も好ましい方法において、NeuGcエピトープをNeuAcと置換し得、これによってこれらを、炭水化物エピトープに対する抗体による崩壊から保護し、そしてなおその構造を完全かつ成育可能に維持する。同じ結果が、遺伝子操作された動物の発育によって達成され、特にブタにおいては、核転移技術または他の遺伝子操作によって、これらはGal炭水化物エピトープもNeuGc炭化水素エピトープも発現しない。
【0028】
同じ技術はまた、グリコシル化組換え治療タンパク質を処理するために使用され得、ヒトに投与される場合に、その初期の抗体媒介崩壊を予防する。グリコシル化組換えタンパク質の酵素処理は、予め形成された抗体および組換えタンパク質上の炭化水素エピトープ(GalおよびNeuGc)に対するヒトレシピエントにおいて誘導された抗体の発達の両方から傷害を予防する。あるいは、これらの組換えタンパク質は、GalもNeuGcも発現しないように遺伝子操作されている動物に由来し得る。
【0029】
(発明の詳細な説明)
(略語)
α1,3GT=α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ
CMP−NeuAcヒドロキシラーゼ=シチジンモノホスホ−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ
ES細胞=胚幹細胞
Gal=Galα1−>3Galエピトープ
NeuAc=N−アセチルノイラミン酸
NeuGc=N−グリコリルノイラミン酸
(NeuGc抗原−抗−NeuGc抗体相互作用)
2つの最も豊富な形態のシアリン酸(Schauer,R.Sialic Acids,Chemistry,Metabolism,and Function.Vienna,Springer,1982)は、N−アセチルノイラミン酸(NeuAc)(これは自然に遍在する)、およびN−グリコリルノイラミン酸(NeuGc)(これは、ヒトおよびニワトリの著しい例外を伴いほとんどの動物中に存在する)である(Gottschalk,A.Glycoproteins:Their Composition,Structure and Function.Amsterdam,Elsevier,1972;Asaoka,H.,& Matsuda,H.J.Vet.Med.Sci.56,375〜377,1994)。NeuGcは、CMP−NeuAcヒドロキシラーゼと呼ばれる酵素による単一のヒドロキシル基の添加によってNeuAcからインビボで合成される(Shaw,L.,Schauer,R.Biochem J 263:355〜363,1989)。この酵素をコードする遺伝子は、マウス、チンパンジー、およびヒトからクローン化されている(Kawano,Tら、J.Biol.Chem.270、16458〜16463,1995)。マウスおよびチンパンジー遺伝子が、機能的酵素をコードする一方で、ヒト遺伝子は、部分的欠損を有し、酵素活性を有さない短縮型形態を生じる(Irie,A.,& Suzuki,A.Biochem.Biophys.Res.Commun.248,330〜333,1998)。これは、ゲノムレベルでの例のみであり、ヒト遺伝子は、そのチンパンジーの対応物とは異なると考えられている(Brinkman−Van der Linden,E.C.,ら、J.Biol.Chem.275:8633〜8640,2000;Chou,H.H.,ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.95,11751〜11756,1998)。
【0030】
これまで、ヒトは、NeuGc抗原に対する天然に存在する抗体を有さない(Tachi,Yら、Transplant.Proc.30,71〜73,1998;Kobayashi,Tら、Xenotransplantation,7,177〜180,2000)と一般に考えられていたが、このような抗体は、抗原への曝露の際に誘導され得る。故に、抗−NeuGc抗体は、ブタからヒトへの異種移植の後のブタ器官または細胞の超急性の拒絶に直接関すると考えられている。
【0031】
近年、NeuGcに対する抗体(抗−NeuGc抗体)が、正常なヒト血清から同定および精製されている。フローサイトメトリを用いた感度アッセイに基づいて、抗NeuGc抗体は、試験された最も健康なヒト被験体で検出されたが、血清中のその量は、著しく変化した。抗−NeuGc抗体活性は、NeuGc分子を用いた事前のインキュベーションによって特異的に阻害され得るが、NeuAc分子では特異的に阻害されない。健康なヒトにおける天然に存在する抗−NeuGc抗体の同定、およびブタ脈管の内皮細胞上のNeuGcの存在(Bouhours,D.,ら、Glycoconjugate J.13,947〜953,1996)は、抗体が、ヒトへ移植されるブタ器官または細胞の超急性の拒絶に確かに関連し得ることを強く示唆する。この間接的な証拠として、pRBCの捕体媒介溶血は、ヒト抗−非Gal抗体によって誘導され、これは、主に抗NeuGc抗体を含んでいた。
【0032】
従って、同じ改変されたグリコシル化を有するように操作された動物は、ヒトに対する、器官、組織または細胞の潜在的な供与体としての有用性を有する。
【0033】
(遺伝子操作された動物の構築)
(動物供給源)
遺伝子操作実験に適した動物が、通常の市販の供給源から入手され得る。これらとしては、遺伝子操作手順の試験のためのマウスおよびラットのような動物、ならびにブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギおよび当業者に公知の技術を用いて遺伝子操作される他の動物のようなより大きな動物が挙げられる。これらの技術は、マウスおよびラットの操作に基本的に基づいて以下に簡潔に要約される。
【0034】
(マイクロインジェクション手順)
胚の操作のための手順およびDNAのマイクロインジェクションのための手順は、Hoganら、Manipulating the mouse embryo.Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1986)に詳細に記載され、これらの教示は、本明細書中で援用される。これらの技術は、他の動物種の胚に容易に適用可能であるが、都合よい割合はより低く、当業者には慣用的な操作と考えられる。
【0035】
雌の動物は、マウスを用いる標準的な技術から適用される方法論(すなわち、ヒト絨毛性性腺刺激(hCG;Sigma)の注射による48時間後の妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG;Sigma)の注射)を用いて過剰排卵を誘発する。雌を、hCG注射後直ぐに雄と一緒にする。hCGの約1日後、つがいにさせられた雌を屠殺し、そして胚を、摘出卵管から回収し、そして0.5%のウシ血清アルブミン(BSA;Sigma)を含有するDulbeccoリン酸緩衝生理食塩水中に入れる。周囲の細胞塊は、ヒアルロニダーゼ(1mg/ml)を用いて除去される。次いで、前核の胚は、洗浄され、そして注射時まで5%のCO、95%空気での湿った雰囲気を伴う37.5℃のインキュベーター中で0.5%のBSA(EBSS)を含むEarle平衡塩溶液中に置かれる。
【0036】
供与体の雌がつがいにされるのと同時に、無作為に循環する成体の雌は、偽妊娠を誘導するためにパイプカットされた雄とつがわされる。胚転移の時に、レシピエントの雌は麻酔され、そして卵管は、卵管を直接覆う体壁を介した切開術によって曝露される。卵巣嚢は開かれ、そして転移される胚は、卵管漏斗に挿入される。転移後、切開は、縫合によって閉じられる。
【0037】
(胚幹(ES)細胞方法;核転移およびクローニング)
細胞を培養するための方法およびこれに続く遺伝子操作された動物を生成する方法、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム/DNA沈降、および直接注入のような種々の方法による細胞へのDNAの導入は、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells,a Practical Approach,E.J.Robertson(編),(IRL Press,1987)に詳細に記載される。クローン化されたブタはまた、Polejaevaら(Nature.407(6800):27,29〜30,2000)によって報告されるような最新の核転移技術を用いて生成されている。胚再構築のための核転移のような技術は、二倍体の供与体核が摘出されたMII卵母細胞中に移植される部位で使用され得る。この技術は、レシピエントの細胞に遺伝的に同一である、生産された胚幹(ES)細胞株の確立を助ける他の手順にと共に、Colman,A,およびKind,A.(Trends Biotechnol 18(5):192〜196,2000)によって総説されている。
【0038】
導入遺伝子含有細胞の所望のクローンの選択は、いくつかの手段の1つを介して達成される。配列特異的遺伝子完全性を含む場合において、α1,3 GT遺伝子またはCMP−NeuAcヒドロキシラーゼについての遺伝子、あるいはその発現を制御するための配列を用いた組換えのための核酸配列は、ネオマイシン耐性のようなマーカーをコードする遺伝子で共沈降される。トランスフェクションは、Lovell−Badge,Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells,a Practical Approach,E.J.Robertson(編),(IRL Press,1987)またはPotter,Hら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,7161,1984に詳細に記載されるいくつかの方法の1つによって実行される。リン酸カルシウム/DNA沈降、直接注入、およびエレクトロポレーションは、好ましい方法である。これらの手順において、多数の細胞(例えば、0.5×10個)は、組織培養皿中に蒔かれ、そして線状化核酸配列および1mgのpSVneoDNAの混合物を用いてトランスフェクトされ(Southern,P.J.,Berg,P.J.Mol.Appl.Gen.1:327〜341,1982)、100μlの最終容量で50mgのリポフェクチンの存在下で沈降される。この細胞は、G418のような抗生物質を補充されたDMEM(200と500μg/mlの間)中に10%の胎仔ウシ血清を含む選択培地で培養される。G418に耐性の細胞のコロニーは、クローニングリング(cloning ring)を用いて単離され、そして拡大される。DNAは、薬剤耐性クローンから抽出され、そしてプローブとして核酸配列を用いるサザンブロッティング実験が、所望の核酸配列を保有するこれらのクローンを同定するために使用される。いくつかの実験において、目的のクローンを同定するためにPCR方法が使用される。
【0039】
細胞に導入されるDNA分子はまた、Capecchi,M.R.(Science.244,1288〜1292,1989)によって記載される相同性組換えのプロセスを介して染色体中に組み込まれ得る。直接注入は、高い組込みの効率を生じる。所望のクローンは、注入されたES細胞のプールから調製されたDNAのPCRを介して同定される。プール内の陽性細胞は、細胞クローニングに続くPCRによって同定される(Zimmer,A.,Gruss,P.Nature 338,150〜153,1989)。エレクトロポレーションによるDNA導入は、多少効率が劣り、選択工程を必要とする。組換え事象の陽性選択(すなわち、neo耐性)および二重の陽性−陰性選択(すなわち、neo耐性およびガンシクロビル耐性)のための方法、ならびに続くPCRによる所望のクローンの同定は、Joyer,A.L.,ら、Nature 338,153〜156,1989;およびCapecchi,M.R.Science 244,1288〜1292,1989に記載されている。無作為に循環する成体の雌は、パイプカットされた雄とつがいにされる。レシピエントの雌は、つがいにされ、その結果、ES細胞を含む胚盤胞を用いた移植が必要とされる場合、これらは、つがいにされた2.5〜3.5日後(マウスについて、またはより大きい動物についてはより遅い)である。胚転移の時、レシピエントの雌は麻酔される。卵巣は、卵管を直接覆う体壁に切開術を施すことによって曝露され、卵巣および子宮は肱置される。孔が、針を用いて子宮角に作られ、これを介して胚盤胞が転移される。転移後、卵巣および子宮は、体に押し戻され、そして切開は、縫合によって閉じられる。この手順は、さらなる転移がなされる場合に、反対側で繰り返される。
【0040】
(遺伝子操作された動物の同定)
サンプル(1〜2cmのマウスの尻尾)は、若年の動物から除去される。より大きい動物について、血液または他の組織が、使用され得る。相同性組換え実験におけるキメラについての試験のため(すなわち、動物に対する標的化ES細胞の寄与を観察するため)に、被膜色がマウスで使用されるが、血液はより大きい動物において実験され得る。DNAは調製され、そしてトランスジェニック創始(F)動物およびその子孫(FおよびF)を検出するために、サザンブロットおよびPCRの両方によって分析される。一旦遺伝子操作された動物が同定されると、系統は、通常の交配によって確立され、そしてヒトへの移植のための標準技術を用いて組織除去および移植のための供与体として使用される。
【0041】
(CMP−NeuACヒドロキシラーゼまたはα1,3GTをコードするゲノムDNAの改変)
これらの操作は、マイクロインジェクション、またはエレクトロポレーションのような同業者に公知の他の技術を用いた胚へのcDNAまたはゲノムDNAの挿入によって実行される。DNAは、CMP−NeuAcヒドロキシラーゼまたはα1,3GTのような酵素をコードする遺伝子を不活性化することを意図する目的に基づいて、選択される。酵素をコードする遺伝子は、不完全な酵素についてのDNA(例えば、抗生物質マーカーのコード配列を内部に含むDNA)を用いた相同性組換えによって改変され得、次いでこれらは、選択目的のために使用され得る。
【0042】
α1,3GTをコードする遺伝子は、Larsenら、J.Biol.Chem.265(12)、7055〜7061,1990によって記載される。核転移クローニングによるα1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトブタの生成は、Laiら、Science 2002 Feb 8;295(5557):1089〜92によって記載される。
【0043】
CMP−NeuAcヒドロキシラーゼを発現する動物は、同じ技術を用いて操作され得る。この遺伝子のクローニングは、以下に記載される。好ましい実施形態において、この酵素は、遺伝子操作された動物において不活性化される。
【0044】
(核転移)
ノックアウトブタは、核転移技術(Colman A.Cloning.1:185〜200,2000;Polejaeva Iら、Nature.407(6800),27,29〜30,2000)の使用によって生成され得る。ブタ細胞におけるα1,3GT遺伝子の標的化崩壊は、実行されている(Polejaeva Iら、Nature.407(6800)27,29〜30,2000)。このアプローチは、単独の成体の細胞、胎児細胞または胚細胞(例えば、線維芽細胞)におけるα1,3GTについての遺伝子のノックアウトを必要とし、そしてこの改変された細胞の核転移は、当該分野技術の条件を用いる。これは、α1,3GT遺伝子について異型接合のブタの誕生を得る。このような2匹のブタの間での交配は、Galノックアウトについてホモ接合のブタを生じる。あるいは、残りのα1,3GT遺伝子は、核転移の前に細胞中でノックアウトされ得た。同じアプローチが、CMP−NeuAcヒドロキシラーゼについての遺伝子をノックアウトするために使用され得た。
【0045】
(二重ノックアウト)
ヒト天然抗体に対する標的ではないpRBC、細胞、組織および器官の供給について好ましい解決法は、GalエピトープもNeuGcエピトープも発現しないブタ(二重ノックアウトのブタ)の飼育である。α1,3GT−ノックアウトブタとCMP−NeuAcヒドロキシラーゼ−ノックアウトブタとの交雑育種は、二重ノックアウトブタを生み出す。RBCまたは二重ノックアウトブタ由来の他の任意の細胞もしくは器官は、ヒトが天然の異種反応性抗体(GalおよびNeuGc)を有する2つの主要な抗原を奪い得る(それゆえ、このような表現型によって特徴付けられ得る)。二重ノックアウトブタの場合において、酵素処理したpRBCにおいて必要である、NeuAcエピトープを添加する必要は存在しない。なぜなら、NeuAcの合成は、CMP−NeuAcヒドロキシラーゼ遺伝子の変異によって破壊されるからである。
【0046】
(補体インヒビターをコードする遺伝子の導入)
ブタの器官、組織、細胞またはpRBCの標的抗原の非存在は、ブタの他の遺伝子操作(例えば、ヒト(またはさらなるブタ)の補体調節タンパク質に対するブタトランスジェニック体の作製)についての必要性を打ち消すはずである。しかし、利点が見出されるならば、トランスジェニックまたは核移送技術は、pRBCのさらなる保護を可能にする。
【0047】
補体カスケードに対して強力な阻害活性を示す特異的な膜タンパク質は、単離および分子的にクローニングされている。C5b−9複合体の孔形成活性に対する保護は、ヒト補体調節タンパク質CD59をコードするcDNAを用いる、このような細胞のトランスフェクションによって非霊長類細胞に与えられ得る。このタンパク質を、Zhao,J.,ら、J.Biol.Chem.266:13418−13422,1991;Rollins,S.A.,Sims,P.J.J.Immunol.144:3478−3483,1990;およびRollins,S.A.ら、J.Immunol.146:2345−2351,1991によって報告されるように、膜複合体C5b−9へのC9の取り込みを限定することによって操作する。
【0048】
同定され、そして単独またはCD59と組み合わせて使用され得る、他の補体インヒビターとしては、以下が挙げられる:
(1)CD46、これはまた、Purcell,D.F.ら、J.Immunol.70:155−161,1990;Lublin,D.M.ら、J.Exp.Med.168,181−194,1988;およびSeya,T.&Atkinson,J.P.Biochem.J.264:581−588,1989によって記載されているように、膜補因子タンパク質(MCP)として公知である。このインヒビターは、補体成分C3bに結合することによって機能し、それにより、C3bを不活性なフラグメントに切断する分子の活性が、C3b蓄積を防ぎ、従ってこれは、膜攻撃複合体(MAC)の形成に寄与する。(White,D.J.G.ら、Transpl.Int.5,648−?,1992もまた参照のこと)
(2)CD55、崩壊促進因子(DAF)としてもまた公知である(Nicholson−Weller,A.ら、J.Immunol.129:184−189,1982;Lublin,D.M.& Atkinson,J.P.Annu.Rev.Immunol.7:35−58,1989; Medof,M.E.& Atkinson,J.P.J.Exp.Med.165:1731−1736,1987;およびMedof,M.E.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2007−2011,1987によって記載されている)。このインヒビターは、C3転換酵素の集合を妨害する、分子量約70kDの膜結合タンパク質である。White,D.J.G.および共同研究者による、組換えヒトDAFが、ヒト補体による溶解からの、非霊長類細胞および器官の防御を提供するという報告(Cozzi,E.ら、In Xenotransplantation(第2版).Heidelberg,Springer,1997.pp.665−682)もまた、参照のこと。
【0049】
外来宿主への移植のために適切な細胞は、補体媒介性溶解を阻害するタンパク質(例えば、CD59、CD55、CD46および/またはC8もしくはC9の他のインヒビターあるいは補体カスケードにおける特定の他のタンパク質)またはタンパク質の組み合わせをコードするDNAを細胞に導入することによる、補体媒介性溶解から保護される。DNAは、補体調節タンパク質をコードするベクターを用いるトランスフェクションまたは感染によって細胞中に導入され、そしてトランスフェクトした細胞/感染した細胞の表面に発現される。このインヒビターは、好ましくは、細胞が移植されるべき宿主と同種起源である。
【0050】
補体調節タンパク質(インヒビター)をコードする遺伝子は、異種起源の細胞へ導入され得(Cozzi,E.,ら、In Cooper,D.K.C.Kemp,E.,Platt,J.L.,White,D.J.G.Xenotransplantation(第2版).Heidelberg,Springer,1997.665−682頁;およびDalmasso AP,ら、Transplantation 52:530−533,1991)、例えば、細胞が、ヒトに移植した場合に攻撃を妨害するように、ヒトCD59遺伝子がブタ細胞中へ導入され得るか、あるいは、増加した量のタンパク質が細胞表面に発現するように、この遺伝子は同種起源の細胞に導入され得る(Van den Berg CW,Morgan BP.Graft 4,63−65,2001)。例えば、遺伝子は、この遺伝子の発現を促進するプロモーターの制御下に配置され得、次いで、この遺伝子は、通常位置するが、発現を促進するプロモーター制御下である部位で、宿主細胞の染色体に相同的組換えにより挿入されるか、あるいは染色体の別の遺伝子座で染色体に挿入され得る。
【0051】
CD46、CD55およびCD59についてのDNA配列情報は、文献において報告されている。CD46についての配列は、Lublin,D.M.ら、J.Exp.Med.168:181−194,1988(HUMCD46 cDNA Sequence Aquired from GenBank:HUMCD46Q)によって報告されている。CD55についての配列は、Medof,M.E.ら、1987によってHUMDAF;HUMDAFC1としてGenBankに報告されている。CD59をコードするアミノ酸配列および核酸配列は、Philbrick,W.M.ら、Eur.J.Immunol.20,87−92,1990によって報告された。
【0052】
補体インヒビターをコードするDNAは、トランスフェクションを用いて培養中の細胞またはトランスジェニック動物の産生のための胚へ導入され、それらの細胞の表面に補体インヒビターを発現させる。当該分野で公知であるように、トランスフェクションは、エレクトロポレーション、カルシウムリン酸沈殿、リポフェクションベースの手順、またはマイクロインジェクションもしくは「遺伝子銃(gene gun)の使用を介することによって達成され得る。各々の場合において、阻害タンパク質についてのcDNA(例えば、CD59)は、遺伝的に操作された細胞における効率的な発現のためのエレメントをコードするプラスミドベースのベクター中にサブクローニングされる。好ましくは、プラスミドベースのベクターは、ネオマイシン遺伝子(真核生物細胞において、細胞傷害性アミノグリコシドG418を有する適切な形質転換体を選択するため)、およびアンピシリン遺伝子(細菌におけるプラスミド選択のため)のようなマーカーを含む。感染は、レトロウイルスベクター中に阻害タンパク質についての遺伝子配列を取り込むことによって達成される。種々の手順がこのような取り込みに関する分野で公知である。当該分野で広範に使用されている1つのこのような手順は、Kohn,D.B.ら、Blood Cells 13:285−298,1987に記載されるように、標的ドナー細胞への感染に使用するための、感染性のアンフォトロピックウイルスを調製するために、欠損性マウスレトロウイルス(レトロウイルスをパッケージするためのPsi−2細胞)およびアンフォトロピックのパッケージ細胞株Psi−AMを用いた。あるいは、Hantzopoulos,P.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:3519−3523,1989によって記載されるように、欠損性Moloneyマウスレトロウイルス、自己不活性および二重複製型のレトロウイルス以外が使用され得る。
【0053】
(細胞上の異種抗原の酵素的改変)
ブタRBCのような細胞上のGalエピトープは、α−ガラクトシダーゼで処理することによって容易に除去され得、ヒト天然の抗Gal抗体ともはや反応しないRBCを生じる。pRBC上の他の主要な糖異種抗原であるNeuGcエピトープはまた、酵素(ノイラミニダーゼ)によってインビトロでpRBCの表面から除去され得る。しかし、インビトロでヒトにトランスフェクトした場合、この酵素はまた、NeuAcを除去し、細胞の半減期の減少を誘導し得る。この問題は、基質としてCMP−NeuAcを用いて、酵素(シアル酸転移酵素)で、ノイラミニダーゼ処理性pRBCを処理することによって解決され得る。従って、得られるpRBCは、細胞表面上にNueAを有するが、NeuGcを有さない。
【0054】
(他の糖抗原およびタンパク質抗原に対する感作の防御)
これらの系統発生的距離に起因して、ヒトRBCタンパク質は、それらが存在する場合、ブタにおける相応物とは抗原的におそらく異なる。しかし、ヒトにおけるpRBCトランスフェクション後、新しく誘導された抗体が、レシピエントにおいて10〜21日以内に生じる可能性があるpRBCにおけるタンパク質決定基に指向する。これらの誘導された抗体は、予備形成された天然抗体に存在しないタンパク質抗原(または糖抗原)に指向され得る。これは、pRBCの治療利点を減少しないかもしれないが、この起源由来のRBCのさらなる注入を妨げ得る。注入の環境が、さらなるpRBC注入が予測されないような場合、この誘導される抗体反応を防ぐための工程は示されも、必要ともされ得ない。しかし、さらなるpRBCトランスフェクションが有望である場合、誘導された抗体反応は、pRBC細胞が循環においてもはや存在しなくなるまで、このようなmAb治療が代替の日割り基準で続けられる限り、毎日の薬理学的な免疫抑制治療とともに、抗CD154mAbの同時投与によって防止され得る。(Alwayn,I.P.J.ら、Xenotransplantation.6,157−168,1999;Buhler,L.ら、Transplantation.69,2296−2304,2000);およびBuhler,L.ら、Transplant.Proc.33,716,2001によって報告される通り)。pRBCが注入された後に生じたタンパク質抗原に対して指向された誘導抗体は、その後注入される場合、ヒトRBCを標的にする可能性は低い。ヒトRBCとpRBCとの間に、タンパク質ドメインの任意の類似性(交差反応を誘導し得る)が存在した場合、pRBCに対する抗体は、最初に誘導される可能性は低い。
【0055】
(酵素技術のための他の適用)
同様の技術を使用して、ヒト免疫系に、より適合可能で、かつより受容可能な治療タンパク質を作製するために、組換え治療的タンパク質を処理した。大部分の治療的タンパク質(モノクローナル抗体、酵素調節タンパク質など)は、非ヒト発現系(哺乳動物細胞株およびトランスジェニック動物)において産生され、グリコシル化される場合、ほぼ確実にGalおよびNeuGcエピトープを発現する。例えば、ヒト−マウス異種ハイブリドーマによって産生されたヒト抗リポポリ多糖IgMの分析は、Galエピトープおよび多量のNeuGc(NeuAcに対してNeuGcの比は、98:2で見出された)の存在を示した(Leibiger,H.ら、Glycobiology,8,497−507,1998)。従って、ヒトレシピエントにおけるGalおよびNeuGcに対する、同定された天然抗体の存在に起因して、これらの抗体のいずれか、または両方を有する任意の組換えタンパク質は、このタンパク質がこれらの抗原のいずれか、または両方を発現しなかった場合よりも、より迅速に循環から除去できると考えられ得る。さらに、これらの糖抗原は、誘導性免疫反応を刺激し得、これはさらに、グリコシル化したタンパク質のインビボでの半減期を限定し、従って、その治療効果を有意に減少させた。
【0056】
例えば、ACTAVASE(登録商標)(Genentech,Inc.製、プラスミノゲンアクチベーター)は、心筋梗塞または心臓血管性閉鎖を患う患者において使用される組換えタンパク質である。その短い半減期(約5分)に起因して、高用量の薬物(約100mg)が、治療効果のために必要とされる。このタンパク質は、哺乳動物細胞株(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)において産生される。ハムスター細胞におけるGalおよびNeuGcの存在は、この薬物の、観察される短い半減期についての説明をほぼ確実に提供する。本明細書中に記載される技術は、インビボでの半減期を増長させる手段を提供する。
【0057】
あるいは、細胞株の供給源を提供する動物、または治療的タンパク質(例えば、モノクローナル抗体)が産生され得る動物は、これらの糖の発現を回避するためにGal/NeuGcの二重ノックアウトになるように遺伝子操作される。
【0058】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによってさらに理解され得る。
【実施例】
【0059】
(実施例1:異種移植のためのブタRBCの調製)
(ブタ赤血球の生理機能)
他の哺乳動物の場合、ブタの赤血球生成の主要部位は骨髄である。血清学的にpRBCは、ヒトRBCと多くの共通する特徴を共有する(表1)(Pond WG,Houpt KA.The Biology of the Pig.Ithaca:Comstock Pub.Associates,1978;Jandl JH.Blood:Textbook of Hematology.Boston:Little,Brown,1996)。このpBRCは、直径約4〜8ミクロンの両凹円盤である。ブタ血球のヘマトクリットは、35〜47%であり、6〜17g/100mlのヘモグロビン濃度を有する。pRBCの半減期は、ヒトRBCの60日と相対的に、約40日である。
表1:
(ブタとヒトとの間の血球に関する選択されたパラメーターの比較)
【0060】
【表1】
Figure 2004533242
15個のブタ血液系がこれまでに同定されている。最も重要であり、そして十分に研究されたのは、A−O(H)系であり、これは、ヒトABO系に密接に関係する。pRBCのA抗原およびO抗原は、ヒトルイス抗原と類似のメカニズムにおいて、循環する血漿グリコスフィンゴ脂質から受動的吸収される(Marcus,D.M.,Cass,L.E.Science 164:553−555,1969)。従って、pRBC表現型決定は完全に確実ではない。ブタの表現型決定を、抗Aモノクローナル抗体(mAb)(Blood Banksにおいて使用されるような)および抗Hレクチン抗体(Ulex europaeus)(Villarroya,H.ら、Autoimmunitv 6:47−60,1990)を用いる、頬側上皮細胞の免疫組織化学的染色によって達成し得る。血液型Aを有する糖脂質は、ブタの胃粘膜(Slomiany,A.ら、J Biol Chem 249:1225−1230,1974)、上皮細胞(Backer,A.E.ら、Glycobiology 7:943−953,1997)および赤血球(Sako,F.ら、Arch Biochem Biophys 278:228−237,1990)から単離されている。血液型Bは、いかなるブタ細胞においても検出されておらず(Backer,A.E.ら、Glycobiology 7:943−953,1997;Sako,F.ら、Arch Biochem Biophvs 278:228−237,1990;Holgersson,J.ら、J Biochem(Tokyo)108:766−777,1990;Hansson,G.C.Adv Exp Med Biol 228:465−494,1988)、これは、血清学研究と一致する。
【0061】
pBRCから誘導された、十分に特徴付けられたタンパク質(ブタヘモグロビン)のうちのいくつかは、そのヒト相応物と85%配列相同性を共有するだけなく、2.8Åの分解能で類似の三次元構造を実証する(Katz,D.S.ら、J Mol Biol 244:541−553,1994)。さらに、ヒトヘモグロビンは、トランスジェニックブタにおいて、正常な翻訳後改変および生物学的機能で発現されている(Rao,M.J.ら、Artif Cells Blood Substit Immobil Biotechnol 22:695−700,1994)。pRBCからクローニングされた別のタンパク質は、補体調節タンパク質CD59である(Van Den Berg,C.W.ら、J.Immunol Methods 179:223−231,1995)。このタンパク質は、アミノ酸レベルでヒトCD59に対して48%同一なだけであるが、ブタCD59は、ヒト補体活性化を調節する能力がある(Hinchliffe,S.J.ら、J Immunol 160:3924−3932,1998)。
【0062】
ヒト被験体へのA様pRBCの注入は、レシピエントの血液型がOまたはBであった場合、pRBCの細胞溶解または凝集を生じる(従って、予め形成された抗A抗体を有する)。しかし、多数のブタが利用可能であり、これは、O様血液型に対する同質性を有し、従って、この潜在的な問題は容易に回避され得る。ヒトに治療的に注入されるべき全pRBCを、O様のブタから誘導する。
【0063】
(ブタにおけるGal抗原発現に関連する問題)
しかし、pRBCは、ヒトが予め形成する(天然の)抗体に対してGalエピトープを発現する(Galili,U.ら、J Biol Chem 263:17755−17762,1988;Good,A.H.ら、Transplant Proc 24:559−562,1992;Cooper,D.K.C.Clin.Transplantation,6,178−183,1992;Cooper,D.K.C.ら、Transpl Immunol 1:198−205,1993;MacLaren,L.ら、Transplant Proc 30:2468,1998;Sandrin,M.ら、Proc Natl Acad Sci USA 90:11391−11395,1993)。改変されていないpRBCの、改変されていない霊長類レシピエントへの注入は、抗原−抗体結合、補体活性化、および注入細胞の迅速な溶解を生じる。これは、霊長類レシピエントに対して深刻な健康の影響を有する。ヒトに、ABO血液型に不適合なRBCを注入する場合、予測結果は、インビトロでのヘモグロビン凝集研究によって容易に予測される。
【0064】
しかし、pRBCは、酵素α−ガラクトシダーゼを用いてインビトロで処置され得、これは、細胞の表面から末端のGal糖分子を除去し、細胞が抗Gal抗体によってもはや結合できなくする(LaVecchio JAら、Transplantation 60:841−847,1995)。このような方法において処置されるpRBCの注入は、この機序から細胞溶解を防ぐ。組換えα−ガラクトシダーゼによる新鮮なpRBCからのGalエピトープの除去を、血球凝集アッセイ、および精製した抗Gal抗体を用いたフローサイトメトリ分析による、Griffonia simplicifolia−1レクチン(末端Gal残基に特異的である)との結合の喪失によって確認した。
【0065】
天然の抗体および補体成分を含む、異なる量のヒト血清を、40μlの5%pRBC(約2×10細胞)と混合した(全容積210μl)。連続的に回転させながら、37℃にて1時間インキュベートした後、残存するインタクトな細胞を遠心分離によって反応物から除去した。溶解した細胞から放出されたヘモグロビン分子を、541nmでの吸光度を測定することによって定量した。未処理のpRBCおよびα−ガラクトシダーゼで処理したpRBCの両方を、このアッセイにおいて試験した。pRBCのα−ガラクトシダーゼ処理は、10倍まで溶解を減少させた。
【0066】
(ブタにおける非Gal抗原発現に関連する問題)
しかし、pRBCおよび他の組織は、これらの表面上に発現される他の末端糖分子を有する(Cooper,D.K.C.Xenotransplantation.5,6−17.1998;Macchiarini,P.ら、J Thorac Cardiovasc Surg 116:831−843,1998)。これら糖分子は、ブタおよびヒトの両方に共通のオリゴサッカライド(例えば、N−アセチルラクトサミンおよびN−ノイラミン酸(NeuAc))を含み、従って、その糖分子に対して、ヒトは抗体を前もって形成せず、誘導された抗体を作製しない(Oriol,R.ら、Transplantation.56:1433−42,1993;Cooper,D.K.C.ら、Immunol Rev 141,31−58,1994)。
【0067】
対照的に、ヒトは、いくつかの非Gal抗原標的に対して抗体を前もって形成しないことが決定されている(Zhu,A.Transplantation.69:2422−8,2000)。α−ガラクトシダーゼ処理pRBCは、抗非Gal抗体によって認識されるが、抗Gal抗体によって認識されず、それに対して非処理pRBCは、両方の型の抗体と相互作用する。抗非Gal抗体のヒト血清の全異種反応性における百分率は、α−ガラクトシダーゼ処理pRBCおよびα−ガラクトシダーゼ非処理pRBCを使用するフローサイトメトリ分析によって、容易に決定され得る。表2に示されるように、抗非Gal抗体の活性は、全ての試験されたヒト血清サンプルにおいて検出されたが、活性百分率は、異なる健康なボランティアの間で有意に変化した。より高い抗Gal活性が、抗B抗体含有血清中(血液型AおよびOのヒトから採取されたサンプル中)で検出され、このことは、抗Bのサブセットが、Galエピトープと交差反応するという仮説を支持する(Galili,U.ら、J.Exp.Med.165,693−704,1987;Galili,U.Transfusion Med.Rev.2,112−121,1988;McMorrow,I.M.ら、Transplantation 64:546−549,1997)。
【0068】
(表2:)
(Galエピトープを除去する、α−ガラクトシダーゼを用いる細胞の処理の前および後での、pRBCに対する(平均蛍光強度によって測定された)ヒト抗体の結合。非Galエピトープに結合する抗体の百分率を示す。)
【0069】
【表2】
Figure 2004533242
比較的広い特異性(Yagi,F.ら、Arch.Biochem.Biophys.280:61−67,1990)に起因して、コーヒー豆α−ガラクトシダーゼは、Galエピトープからのα1,3−結合Gal残基のみならず、異なるグリコシド結合を有する他の末端α−グリコシル残基も切断することを示すことは価値がある。従って、抗原(例えば、P(Cairns,T.ら、Transplant.Proc.28,795−796,1996)およびGalα1,3Le(Bouhours,D.ら、Glycoconj.J.14:29−38,1997)が、pRBC上に存在する場合、pRBCのα−ガラクトシダーゼを用いた処置は、これらの構造からも末端Gal残基を除去する可能性が最もある。従って、これらの2つの炭水化物構造は、抗非Gal抗体とpRBCとの間の相互作用に関与している可能性はない。
【0070】
(ヒトへの輸血に関するpRBCの他の利点)
ブタ器官の移植に比較すると、pRBCの治療的輸血は、多くの独特で好ましい特徴を保持する。
【0071】
第1に、ほとんどの組織細胞とは違って、成熟pRBCは核を包含せず、従って、ブタ内因性レトロウイルス(PERV)を包含しない。PERVは、ブタの移植器官のヒトレシピエントに対する潜在的な危険性を示すことが現在認識されている(Patience Cら、Curr Opin Immunol 10:539−42,1998)。輸血レシピエントへの、PERVを含み得る遺伝的物質の移行は、従って、より関心が低い。
【0072】
第2に、pRBCは、細胞内器官を欠損しているので、α−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼを用いた酵素処理は、細胞表面からGalエピトープおよびNeu−Gcエピトープを、恒久的に除去する。対照的に、α−ガラクトシダーゼで処理されたブタ内皮細胞は、数時間で細胞表面上にGalエピトープを再生し得る(LaVecchio,J.A.ら、Transplantation 60:841−847,1995)。
【0073】
第3に、pRBCは、インビボでは、比較的短い半減期を有する。従って、任意の免疫抑制療法の形態(例えば、抗CD154 mAb療法)が、pRBCの輸血に必要ならば、この処理は、一時的にのみ必要とされる。
【0074】
(α−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼを用いたpRBCの二重消化)
pRBCを、ポリエチレングリコールを含むPBS(pH6.0)中、1mlのpRBC当たり100Uのα−ガラクトシダーゼと共にインキュベートする。37℃で4時間のインキュベーション後、細胞を、PBSで徹底的に洗浄する。ポリエチレングリコールに関連する潜在的な問題を回避するために、酵素処理のために、26℃でリン酸クエン酸緩衝液(pH5.5)を使用する手順を開発した。従って、生成されたpRBCは、Galエピトープを除去し、生理学的に生存可能である。
【0075】
α−ガラクトシダーゼ処置pRBCは、さらにノイラミニダーゼ(1mlのRBC当たり1〜2単位)で消化される。緩やかな回転を伴って、37℃で2時間インキュベーションした後、pRBCを、PBS緩衝液で4回洗浄する。
【0076】
pRBCの酵素処理は、精製された抗Gal抗体および抗NeuGc抗体を使用するフローサイトメトリ分析によってモニターされ得る。両エキソグリコシダーゼを用いた二重消化の後、得られたpRBCは、ヒト血に存在する2つの前もって形成された異種反応性抗体(抗Gal抗体および抗NeuGc抗体)のいずれかと本質的に非反応性である。
【0077】
(実施例2:)
(ノイラミニダーゼ処理pRBCのNeuAcを用いたマスキング)
pRBCのノイラミニダーゼを用いた処理は、細胞表面からNeuGcのみならずNeuAcも除去するので、アシアリル−RBCは、細胞表面からの負に荷電した残基の損失および基礎をなす炭水化物構造の露出に主として起因して、インビボで不安定である可能性がある。この障害は、基質としてCMP−NeuAcを使用する、シアリルトランスフェラーゼを用いた処置によって、克服され得る。文献中に記載されるシアリルトランスフェラーゼ反応についての十分に確立されたいくつかの手順がある(Kojima Nら、Biochemistry.17;33:5772−6,1994)。
【0078】
(実施例3:)
(pRBC上のGalエピトープおよび非Galエピトープの相対的重要性の決定)
ヒト免疫応答によるpRBCの破壊におけるGalおよび非Galの相対的重要性を、決定した。輸血の後に、ミスマッチヒトRBC(例えば、ABO−不適合細胞)が、インビトロで観察される補体結合性溶血と同じ機構による脈管内破壊を受ける。ヒト異種反応性抗体のpRBCへの結合が、どのように補体カスケードを誘発し、溶血を誘導するかを解明するために、インビトロ補体アッセイを確立した。(前もって形成された天然の抗体および補体を包含する)異なる量のヒト血清(全体積210μl)を、5%のpRBC(約2×10細胞)40μlと混合した。定常領域と37℃で1時間インキュベーションした後、残りのインタクトなpRBCを、遠心分離による反応によって除去した。溶解した細胞から放出されたヘモグロビンの量を541nmでの吸収率によって測定した。50%の溶血(L50)を誘導するために必要な血清の量を、これらの条件下で約9〜10μlであると決定した。
【0079】
α−ガラクトシダーゼ処理pRBCが、抗非Gal抗体によって認識されるが、抗Gal抗体によって認識されないという事実を利用して、アッセイにおいて酵素処理pRBCを使用することによって、補体媒介性溶血に対する抗非Gal抗体の効果を評価することは可能である。α−ガラクトシダーゼ処理pRBCは、非処理pRBC(上述)に類似する血清用量依存性溶血を受けるが、実質的により多くの血清が、同じ効果を達成するために必要であった。酵素処理pRBCについてのL50値は、(9〜10μlの非処理細胞のL50値とは対照的に)60〜70μlであった。従って、このデータは、ヒト血清中の抗Gal抗体が、pRBCの補体媒介性溶血の主な原因であるが、抗非Gal抗体が、このプロセスに有意に寄与することを示唆する。α−ガラクトシダーゼでのpRBCの処理は、Galエピトープを除去し、ヒト血清による凝集および溶解を減少するが、酵素処理細胞は、これらの実験によって示されるように、輸血された場合に、循環から迅速に確実に除去される強い凝集および溶血をなおも引き起こし、このことは、異種移植におけるヒト抗非Gal抗体の重要性を確認する。
【0080】
(実施例4:)
(pRBC上の主要な非Gal標的としてのNeuGcの同定)
N−グリコリルノイラミン酸(NeuGc)およびN−アセチルノイラミン酸(NeuAc)は、糖結合体として同定されたシアリル酸の、2つの最も豊富な形態である(Schauer,R.Sialic Acids,Chemistry.Metabolism,and Function.Wien:Springer,1982)。NeuGcは、ヒトおよびニワトリの顕著な例外を有して、ほとんどの動物において存在する(Asaoka,H.,& Matsuda,H.J Vet Med Sci 56:375−377,1994)。ブタ脈管内皮上のNeuGcエピトープの存在は、Bouhours,D.ら、Glycoconj J 13:947−953,1996によって同定されたが、pRBC上の存在は、ほんの最近確認されたばかりである。しかし、文献は、ヒトが、これらのエピトープに指向する抗体をほとんど前もって形成せず(Tachi,Y.ら、Transplant Proc 30:71−73,1998;Kobayashi,T.ら、Xenotransplantation.7,177−180,2000)、従って、NeuGcが、ブタから霊長類への器官の移植後、共通して観察される超急性拒絶に関与すると考えられることを述べる。
【0081】
ヒト抗非Gal抗体によって認識される、pRBC上の異種抗原の性質を同定するために、プールされたヒト血清から精製された抗非Gal抗体のpRBCへの結合を、種々のインヒビターの存在下で、フローサイトメトリ分析によって試験した。このデータは、モノサッカライド(NeuGc)は、抗体の結合の約80%を阻害するが、NeuAcは阻害しないということを示唆し、このことは、抗NeuGc抗体が、ほとんどの健康なヒト被験体において、抗非Gal抗体の主要な構成成分であることを示唆する。さらに、補体誘導性溶血からのデータを合わせると、実験結果は、ヒト抗NeuGc抗体はまた、α−ガラクトシダーゼ処理pRBCの補体誘導性溶血を大きく担うことを示唆する。換言すれば、pRBC上のNeuGcの存在によって、ヒトに輸血された場合に、これらの細胞の迅速な溶解が誘導される。
【0082】
(実施例5:)
(α−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼを用いた糖タンパク質の消化)
有意な数のGalエピトープおよびNeuGcエピトープを保持する全細胞膜タンパク質は、公開された手順に従って、pRBCから単離された(Zhu,A.Transplantation.69,2422−2428,2000)。膜タンパク質を、上記に記載される条件と類似する条件下で、α−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼを用いて消化した。消化前タンパク質サンプルおよび消化後タンパク質サンプルを、精製された抗Galおよび抗NeuGcを一次抗体として使用する免疫ブロッティングによって分析した。
【0083】
これらの条件下で、pRBC膜タンパク質からの全てのGalエピトープおよびNeuGcエピトープを、本質的に除去することは可能であった。同一の手順を、同じ目的で、他の哺乳動物細胞または組換え治療的タンパク質からの任意のほかの糖タンパク質の除去のために使用し得る。
【0084】
(実施例6:)
(CMP−NeuAcヒドロキシラーゼをコードするブタ遺伝子のクローニング)
総RNAを、標準的な手順に従って、新鮮な凍結ブタ骨髄から単離した。次いで、cDNAを、ランダムプライマーを使用して総RNAから逆転写し、続いて、特異的プライマー(hp−3およびhp−9)を使用して、PCR増幅した(図1)。PCR産物のアガロースゲル分析は、約1.4kbのDNAフラグメントを明らかにした。このフラグメントを単離し、PCRベクターにサブクローニングした。挿入物の配列決定によって、この1.4kbのフラグメントが、ブタCMP−NeuAcヒドロキシラーゼをコードするcDNAの3’末端であることを確認した。
【0085】
この1.4kbのDNAフラグメントは、ブタゲノムライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして放射標識した。100万以上のプラークをスクリーニングした後、10を超える可能な「ポジティブ」を、重複ハイブリダイゼーション技術を使用して選択した。同一の条件下での2回目のスクリーニングの後、3つの別々のプラークを同定した(番号41、46および52)。
【0086】
これら3つのλクローンの確実度を確認するために、λDNAを、調製し、サザンブロットのために制限消化した。このサザンブロットのためのプローブは、ライブラリーのスクリーニングのために使用されたプローブと同一であった。3つ全てのクローンは、プローブと強くハイブリダイズするDNAフラグメントを生成した。サザンブロットにおける多数のバンドは、通常、プローブによって認識される、フラグメントの内部制限部位に起因する。λDNA(番号46)を配列決定するために、異なる領域のDNAを、Epicentre Technologies(Madison,WI)のロングPCRの手順を使用して増幅した。図2に示されるように、3つの重複するフラグメント(3kb、5kb、および9kb)を、ユニバーサルプライマー(SP6およびT7)および特異的プライマーの両方を使用して得た。これらの配列データに基づくと、図2においてグレーの領域によって示されるように、コード領域に少なくとも3つのイントロンが存在する。
【0087】
配列データを、図3に示し、ここで、影付きの領域は、総計して224残基になるエキソンを示す。1〜5の影付き領域は、それぞれ配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8によって示される。このエキソン(配列番号4〜配列番号8)は合わせられ、図4に示される組合せを生成し、ここで、ブタCMP−NeuAcヒドロジラーゼ(hydrozylase)は、アミノ酸レベルでチンパンジー酵素(配列番号9)に匹敵する。ブタCMP−NeuAcヒドロジラーゼの配列決定されたヌクレオチド領域(AからC)は、それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3に対応する。残りの配列は、決まった配列である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】
図1は、マウス(全長)およびブタ(部分配列)由来のCMP−NeuAcヒドロキシラーゼcDNAの図式の比較である。
【図2】
図2は、ブタCMP−NeuAcヒドロキシラーゼについての部分配列および遺伝子構造の図式である。3つのDNAフラグメントは、λDNA#46由来のロングPCR手順を用いて増幅された。灰色の範囲はイントロンであり、そして斜め線の範囲は既知配列である。3つの重なったフラグメント、3kb、5kb、および9kbは、ユニバーサルプライマー(SP6およびT7)ならびに特異的プライマーを用いて得られた。配列データに基づいて、少なくとも3つのイントロンがコード領域中に存在する。
【図3】
図3は、配列決定された領域の図式、およびブタCMP−NeuAcヒドロキシラーゼについての遺伝子構造である。領域A(1614bp)、領域B(1268bp)、および領域C(2763bp)配列は、それぞれ配列番号1、配列番号2および配列番号3によって示される。一本線は、配列決定されていない領域を示す。影の領域1〜5は、計224残基を有するエキソンを示す。影の領域、1〜5に対応する配列は、それぞれ配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8で示される。
【図4】
図4は、ブタおよびチンパンジーのCMP−NeuAcヒドロキシラーゼの間のアミノ酸配列比較である。ブタCMP−NeuAcヒドジラーゼ(hydozylase)(配列番号4〜8の組み合わせ)は、チンパンジー酵素(配列番号9)と比較される。

Claims (14)

  1. ヒトに移植するための非ヒト動物の器官、組織または細胞を作製するための方法であって、細胞の表面上のN−グリコリルノイラミンエピトープの発現を除去または減少させる工程を包含する、方法。
  2. 前記細胞、組織または器官がブタである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記エピトープが酵素的または化学的に除去される、請求項1に記載の方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、前記細胞、組織または器官が由来する動物の遺伝子操作によって前記エピトープを除去し、CMP−N−アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼの発現を阻害する、方法。
  5. 前記除去されるN−グリコシルノイラミンエピトープが、N−アセチルノイラミンエピトープで置換される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記細胞が赤血球である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記細胞、組織または器官を改変し、Galエピトープを除去または減少する、請求項1に記載の方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、前記細胞、組織または器官を改変し1つ以上のヒト補体調節タンパク質または過剰なブタ補体調節タンパク質を発現させる、方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、前記細胞、組織または器官を改変し、Galエピトープを除去または減少し、かつ1つ以上のヒト補体調節タンパク質または過剰なブタ補体調節タンパク質を発現させる、方法。
  10. 前記請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって作製される、前記細胞、組織または器官を用いる処置を必要とするヒトに輸血する工程を包含する処置方法。
  11. 前記請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって作製される、前記器官、組織または細胞。
  12. その表面上にNeuGcエピトープおよび/またはGalエピトープの発現を除去または減少する工程を包含する、組換えヒトタンパク質または非ヒトタンパク質の半減期を増大させるための、方法。
  13. 請求項12に記載の方法によって作製される、タンパク質。
  14. 前記タンパク質が、マウスタンパク質、ブタタンパク質もしくはヤギタンパク質または他の哺乳動物タンパク質であるか、あるいは、哺乳動物細胞株由来である、請求項12に記載の方法。
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