JP2002291372A - トランスジェニック哺乳動物 - Google Patents

トランスジェニック哺乳動物

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JP2002291372A
JP2002291372A JP2001255498A JP2001255498A JP2002291372A JP 2002291372 A JP2002291372 A JP 2002291372A JP 2001255498 A JP2001255498 A JP 2001255498A JP 2001255498 A JP2001255498 A JP 2001255498A JP 2002291372 A JP2002291372 A JP 2002291372A
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Hiroshi Murakami
博 村上
Tatsuya Fujimura
達也 藤村
Yoichi Takahagi
陽一 高萩
Koji Toyomura
浩司 豊村
Tamotsu Shigehisa
保 重久
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Nippon Meat Packers Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 臓器移植に好適に利用されるトランスジェニ
ック哺乳動物を提供する。 【解決手段】 本発明は、超急性拒絶の生じる局所の細
胞で機能している調節遺伝子とヒトのN-アセチルグルコ
サミン転移酵素IIIの遺伝子からなる導入遺伝子、また
は当該調節遺伝子とヒトのN-アセチルグルコサミン転移
酵素IIIの遺伝子とヒト補体制御因子の遺伝子からなる
導入遺伝子を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳
動物である。本発明のトランスジェニック哺乳動物は、
超急性拒絶の生じる局所の細胞のα-Gal抗原を減少して
いる、またはα-Gal抗原を減少すると共にヒト補体制御
因子発現しており、Discordant異種移植において問題と
なる超急性拒絶反応を抑制する上で非常に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトランスジェニック
哺乳動物に関する。より詳細には、本発明はヒトのN-ア
セチルグルコサミン転移酵素IIIの遺伝子を有しα-ガラ
クトース抗原を減少しているヒト以外のトランスジェニ
ック哺乳動物に関する。更に、本発明はヒトのN-アセチ
ルグルコサミン転移酵素IIIの遺伝子を有しα-ガラクト
ース抗原を減少すると共に、ヒトの補体制御因子の遺伝
子を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物に関
する。
【0002】
【従来の技術】臓器移植は極めて有用な根治療法であ
り、近年、臓器の機能不全を治療するために腎臓移植、
肝臓移植、心臓移植等の臓器移植が行われている。臓器
移植には、同種移植(ドナーとレシピエントが同一の種
に属する場合)と異種移植(ドナーとレシピエントが異
なる種に属する場合)があり、各々長所と短所を併有し
ている。同種移植は異種移植に比べて拒絶反応等の問題
は少ないが、ヒトがレシピエントの場合には、ドナーの
数に限りがあるという欠点がある。これに対し、近年、
動物の臓器をヒトに移植する(異種移植)ための研究が
欧米を中心に盛んに行われている。臓器を提供するドナ
ー動物としては、ヒトに最も近い点でサルが好ましい
が、サルは希少で知性の高い野生動物であることから、
サルの利用は困難な状況にある。そこで、家畜、中でも
臓器サイズ、形態がヒトに近く、繁殖や増産技術の確立
しているブタの臓器を利用するための研究が行われるよ
うになってきた。なお、異種移植のうち、近縁種間(例
えば、ヒヒ−ヒト間)の移植はConcordant異種移植と呼
ばれ、遠縁種間(例えば、ブタ−ヒト間)の移植はDisc
ordant異種移植と呼ばれている。
【0003】ブタ−ヒト間のDiscordant異種移植の場合
には、移植片は分単位で拒絶される。このような現象は
超急性拒絶と呼ばれている。この超急性拒絶はヒト血清
中の自然抗体がブタ移植片(臓器、組織、細胞など)の
異種抗原と反応し、補体依存性細胞障害反応(補体反
応)を惹起することにより生じる。異種抗原として最も
重要視されている物は、ブタの細胞の糖鎖(糖タンパク
質、糖脂質)の非還元末端に存在するGalα1,3Gal配列
(以下、α-Gal抗原)であるとされている。α-Gal抗原
はα-1,3-ガラクトース転移酵素(以下、α-1,3GT)の
作用によりN-アセチルラクトサミン構造にガラクトース
がα1,3結合されて合成される(図1参照)。一方、ヒト
組織はα-Gal抗原を発現していない。哺乳類のうち今か
ら2000万〜3000万年前以降に系統発生した旧世界サル
(アジア、アフリカに生息する)、類人猿(チンパンジ
ー、ゴリラ、オランウータン)及びヒトの場合には、α
-Gal抗原をつくり出すα-1,3GT遺伝子は点変異により生
じたフレームシフトによって偽遺伝子(pseudogene)と
なっており(J. Biol. Chem., 265: 7055-7061 (199
0))、逆に、この糖鎖抗原に対して強い自然抗体をもっ
ている。ヒトIgGの1%は、このα-Gal抗原に対する抗体
であると言われている(Blood, 82: 2485-2493 (199
3))。
【0004】一方、何らかの方法で超急性拒絶を克服し
た場合でも、移植数日後から数週間後には、血管内皮細
胞の浮腫、虚血、血栓を特徴とする移植片の機能不全が
生じる。組織学的には、血小板凝集、フィブリン沈着、
血管内皮の活性化、活性化したマクロファージとNKの
湿潤が生じる。このような現象は、急性血管型拒絶(AV
R)または遅延型異種移植片拒絶(DXR)と呼ばれている。A
VRが生じる原因として、異種抗原、補体、マクロファー
ジ、NK細胞、好中球、血小板などが関与すると言われて
いる。
【0005】前述の超急性拒絶を回避する方法には、大
別すれば、移植レシピエントに対する処置とドナーに対
する処置がある。前者の例としては移植レシピエント血
液中の自然抗体を免疫カラム等に吸着除去させる方法が
挙げられ、後者の例としては補体反応を抑制する補体制
御因子、特に移植レシピエントの動物種に由来する補体
制御因子をドナー動物に発現させる方法、ドナー動物の
α-Gal抗原自体を減少させる方法などが挙げられる。し
かし、移植レシピエント血液中の自然抗体を完全に除去
することは困難であるから、ドナーに対する処置が一般
的に行われている。なお、異種抗原はAVRの惹起にも関
与していると考えられているから、α−抗原の消滅はAV
Rの遅延又は回避の方策としても有効であろうと考えら
れている。
【0006】上記のドナー動物のα-Gal抗原を減少させ
るための方法としては次のようなものが知られている。(1)糖鎖末端のα-Gal抗原のα-ガラクトシド結合を切
断するα-ガラクトシダーゼを作用させて、α-Gal抗原
を減少させる方法 この方法においては、従来から知られているコーヒー豆
由来のα-ガラクトシダーゼが使用されるが、当該酵素
の至適pHは6〜6.5なので、生理的条件下でα-Gal抗原を
除去させることは不可能であった。
【0007】(2)α-Gal抗原の生成に係わるα-1,3GT
遺伝子をノックアウト(KO)する方法 α-1,3GT遺伝子KOマウスは作製されたが(Transplantat
ion, 61:13-19 (1996))、当該マウスは白内障を発症
した。ブタの組織はマウスの組織以上に多量のα-Gal抗
原を発現しているから、ブタのα-1,3GT遺伝子をKOした
場合、ブタ生体への悪影響はマウス以上に大きいと考え
られている。また、KOブタの作製に必要とされるブタの
胚性幹(ES)細胞株が樹立されていないので、KOブタの
作製自体が不可能であった。
【0008】(3)α-1,3GTと基質(N-アセチルラクト
サミン構造)が同一であるα-1,3GT以外の糖転移酵素を
遺伝子導入してα-Gal抗原の発現を競合阻害させる方法
(図1参照) α-1,3GTにより合成される糖鎖末端のα-Gal抗原(Gal
α1,3Gal配列)中のガラクトースをフコースに変換する
ために、α-1,2フコース転移酵素(α-1,2FT)遺伝子を
導入して血液型H物質とする方法(WO095/34202A1)など
が報告された。これらの方法では糖鎖非還元末端のガラ
クトースが他の糖に変換されるので、当該糖鎖のα-Gal
抗原は消失する。しかし、導入遺伝子の発現量が内在性
のα-1,3GT遺伝子の発現量を超越しない限り、細胞全体
としてのα-Gal抗原の減少量は軽度であった。また、後
述のN-アセチルグルコサミン転移酵素IIIとは異なり、
糖鎖の分岐本数自体及び細胞全体の糖鎖本数には変化を
生じなかった。
【0009】(4)N-結合型糖鎖の分岐の生成を阻害す
るN-アセチルグルコサミン転移酵素III(β-D-mannosid
e β-1,4-N-acetylglucosaminyltransferase III, EC
2.4.1.144;以下、GnT-III)を強制発現させる方法 GnT-IIIを強制発現させることにより、糖鎖の分岐を抑
制し、ひいてはα-Gal抗原の減少を図る方法であり、以
下図2を参照しながら、糖鎖の分岐機構とGnT-IIIによ
る糖鎖の分岐抑制の作用点を説明する。糖鎖はN-結合型
糖鎖、O-結合型糖鎖、糖脂質糖鎖に大別される。各糖鎖
にはそれぞれコア構造が存在し、そのコア構造から末端
へ向かって糖鎖は伸長するが、α1-3ガラクトースが付
加すると糖鎖の伸長は止まる。同様に、上述のα-1,2FT
などの糖転移酵素もN-アセチルラクトサミン構造を基質
として糖鎖の伸長を止めるので、これらの糖転移酵素は
α-1,3GTと拮抗関係にある(図1参照)。一方、GnT-II
Iは他のN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)転移酵素と
ともにN-結合型糖鎖のコア構造の形成に関与しており、
先の糖転移酵素のようにα-1,3GTと基質を競合しない。
N-結合型糖鎖はそのコア構造の分岐の度合いによって二
本鎖、三本鎖、四本鎖として区分される。図2に示され
るように、三本鎖、四本鎖糖鎖は前駆構造である二本鎖
にGnT-IV及びGnT-Vが作用して分岐が導入されることに
よって合成される。なお、二本鎖の糖鎖は、N-結合型糖
鎖のコアにGnT-I及びGnT-IIが作用して合成される。GnT
-IIIによってコア構造のβマンノース(βMan)に付加
されるGlcNAcからは鎖の伸長が起きないので、他のGlcN
Acとは区別され、バイセクティング(bisecting)GlcNA
cと呼ばれる。このbisecting GlcNAcが三本鎖、四本鎖
構造に分岐する前の二本鎖構造に付加されると、GnT-IV
及びGnT-Vがその構造を基質とすることができず、三本
鎖、四本鎖糖鎖の合成が阻害される。図2において、四
角の付された矢印は酵素反応が阻害されることを示す。
また、bisecting GlcNAcを持つ二本鎖糖鎖を基質にする
場合には、α-Gal抗原の合成に係わるβ-ガラクトシル
化反応及びα-ガラクトシル化反応も低下し、α-Gal抗
原自体も減少する(Glycobiol., 6: 691-694 (199
6))。要約すれば、GnT-IIIを強制発現させることによ
って、糖鎖の分岐数及び各分岐当たりのα-Gal抗原の数
を減少させることができ、細胞全体の糖鎖本数及びα-G
al抗原を減少させることができる。
【0010】GnT-III遺伝子を導入したトランスジェニ
ック動物としては、ラットGnT-IIIのcDNAの上流にβ-ア
クチン・プロモーターとサイトメガロウイルス・エンハ
ンサーを結合した導入用遺伝子を用いてトランスジェニ
ックマウスが作出された(Transplant. Proc., 29: 895
-896 (1997))。当該トランスジェニックマウスの心
臓、肺と肝臓では、通常マウスの臓器に比べて、GnT-II
Iの比活性が上昇し、α-Gal抗原は減少した。しかし、
腎臓におけるGnT-IIIは、通常マウスでも高発現してお
り(3,400 p mol/h/mg protein)、当該トランスジェニ
ックマウスでは更に高発現したが(4,800 p mol/h/m
g)、α-Gal抗原は減少しなかった。このように、当該
トランスジェニックマウスはラットGnT-III遺伝子を有
するものの、必ずしも総ての臓器において、特に腎臓に
おいて、α-Gal抗原を減少することはできなかった。
【0011】一方、GnT-III遺伝子を導入したトランス
ジェニックブタは知られていなかった。α-Gal抗原は有
袋哺乳類と霊長類を除く胎生哺乳類の細胞膜上に発現し
ているが、ブタ臓器に発現しているα-Gal抗原の量は特
に多く、例えばブタ腎臓に発現しているα-Gal抗原量は
ラット腎臓に発現しているα-Gal抗原量の500〜1000倍
であると言われており、ブタの発生及び生存上必須であ
るとも、細菌の受容体をマスクして感染を防御している
とも考えられている(細胞工学, 19: 830-834(200
0))。また、後述するように、通常ブタの場合、腎臓を
含む多くの臓器でGnT-IIIを発現していない。従って、
ブタの臓器、組織または細胞に人為的にGnT-IIIを発現
させα-Gal抗原を減少させることがブタの発生や生存に
悪影響を生じるか否かは知られていなかった。また、導
入遺伝子を構築する際に用いられるプロモーターのう
ち、狙いとする構造遺伝子をマウスで発現させることが
できても、ブタでは発現させられないプロモーターのあ
ることが知られている(例えば、Theriogenol. 51: 422
(1999))。このようなことから、ブタにヒトのGnT-III
遺伝子を効率よく発現させるための遺伝子プロモーター
は知られていなかった。より詳細には、(1)GnT-III遺
伝子(特に、ヒトGnT-III遺伝子)を導入した受精卵か
ら生存トランスジェニックブタ産仔が得られるか否か、
(2)ヒトGnT-III遺伝子を導入したトランスジェニック
ブタが得られた場合でも、その臓器でGnT-IIIが発現し
α-Gal抗原量を減少させるか否か、(3)1動物個体中
にGnT-III遺伝子と共にそれ以外の1以上の導入遺伝子を
共発現させようとする場合に、生存トランスジェニック
ブタ産仔が得られるか否か、(4)当該トランスジェニ
ックブタの臓器がヒトGnT-III遺伝子を発現すると共に
α-Gal抗原を減少させ、更にGnT-III遺伝子以外の1以上
の当該導入遺伝子を発現させ得るか否か、特に、(5)糖
鎖修飾酵素をコードするGnT-III遺伝子と共に発現させ
る1以上の遺伝子が糖蛋白質(例えば、ヒトのDAF)で
ある場合、糖鎖修飾酵素GnT-IIIの発現が糖蛋白質(例
えば、ヒトのDAF)の発現に何らかの障害を生じるのか
否か、は知られていなかった。
【0012】超急性拒絶は局所の細胞(例えば、血管内
皮細胞)で起こるから、超急性拒絶の生じる局所の細胞
のN-結合型糖鎖の分岐数が少なく、α-Gal抗原の少ない
トランスジェニック哺乳動物の作製が待ち望まれてい
た。また前述のように、超急性拒絶は補体依存性細胞障
害反応(補体反応)を惹起することにより生じるから、
当該補体反応を抑制するために、α-Gal抗原の少ないこ
とに加えて、移植レシピエント種の補体反応を抑制する
補体制御因子(レシピエントがヒトの場合にはヒト補体
制御因子)を発現しているトランスジェニック哺乳動物
が望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
存する上記課題を解決するためになされたものであり、
本発明の第1の目的は、超急性拒絶の生じる局所の細胞
でN-結合型糖鎖の分岐本数及びα-Gal抗原を減少してい
るヒト以外のトランスジェニック哺乳動物(特にトラン
スジェニックブタ)を提供することにある。また、本発
明の第2の目的は、超急性拒絶の生じる局所の細胞でN-
結合型糖鎖の分岐数及びα-ガラクトース抗原を減少す
ると同時に、ヒトの補体制御因子を発現しているヒト以
外のトランスジェニック哺乳動物(特にトランスジェニ
ックブタ)を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明は、超急性拒絶の生じる局所の細胞で
機能している調節遺伝子とヒトのN-アセチルグルコサミ
ン転移酵素III(以下、GnT-III)の遺伝子からなる導入
遺伝子を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物
である(以下、便宜上第1の発明という)。係るトラン
スジェニック哺乳動物は、超急性拒絶の生じる局所の細
胞でN-結合型糖鎖の分岐本数及びα-Gal抗原が減少して
いるという特長を有する。また、本発明の他の発明は、
超急性拒絶の生じる局所の細胞で機能している調節遺伝
子とGnT-IIIの遺伝子、並びにヒトの補体制御因子の遺
伝子を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物で
ある(以下、便宜上第2の発明という)。係るトランス
ジェニック哺乳動物は、α-Gal抗原を減少していると共
にヒトの補体制御因子を発現しているという特長を有し
ている。更に、本発明は、GnT-IIIを発現するトランス
ジェニック哺乳動物とヒトの補体制御因子を発現するト
ランスジェニック動物を個別に作製し、両者を交配する
ことによりGnT-III及びヒトの補体制御因子の両方を発
現するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物の作製方
法である。
【0015】
【発明の実施の形態】上記のように、本発明の第1の発
明は、GnT-IIIの遺伝子を有し、超急性拒絶の生じる局
所の細胞におけるN-結合型糖鎖の分岐本数及びα-Gal抗
原を減少しているヒト以外のトランスジェニック哺乳動
物である。また、本発明の第2の発明は、超急性拒絶の
生じる局所の細胞で機能している調節遺伝子とGnT-III
の遺伝子、並びにヒトの補体制御因子の遺伝子を有し、
N-結合型糖鎖の分岐本数及びα-Gal抗原を減少している
と共にヒトの補体制御因子を発現しているヒト以外のト
ランスジェニック哺乳動物及びその製造方法を提供す
る。本発明における哺乳動物はヒト以外の哺乳動物であ
れば特に限定されず、各種の家畜、実験動物などが例示
され、より具体的には、例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヒ
ツジ、ヤギ、イヌ、ウサギ、マウス、ラット、モルモッ
ト、ハムスターなどが挙げられ、前述のようにヒトへの
臓器移植に際してはブタが好適である。
【0016】N-結合型糖鎖の分岐本数及びα-Gal抗原を
減少させるために、本発明はヒトのGnT-IIIの遺伝子を
用いる。該遺伝子は公知であり、ヒトのGnT-IIIを挿入
した導入用ベクター(J. Biochem. 113: 692-698 (199
3))から適切なプライマーを用いてPCRで増幅して調製
することもできる。なお、N-結合型糖鎖とはペプチド鎖
中のアスパラギンの側鎖アミド基に糖鎖還元末端のGlcN
AcがN-グリコシド結合で結合している糖鎖のことで、ペ
プチド鎖中のセリン又はスレオニンの水酸基に糖鎖還元
末端が結合するO-型糖鎖や糖脂質糖鎖とは区別される。
なお、ブタ血管内皮細胞においては、ヒト自然抗体が反
応する主な標的はN-結合型糖鎖であるから(Transplant
ation, 50: 817-822 (1990))、本発明の趣旨であるGnT
-IIIの発現によるN-結合型糖鎖のα-Gal抗原の減少は、
超急性拒絶の軽減に有効である。
【0017】本発明で用いる補体制御因子の遺伝子とし
ては、DAF(CD55)、CD59、MCP(CD46)等のヒトの補体制
御因子の遺伝子を用いることができ、係る遺伝子は既に
公知である。なお、MCPの場合には、MCP分子のうち麻疹
ウイルスの受容体としての機能を有するショートコンセ
ンサスリピート(SCR)1を欠損させた蛋白質をコードす
る遺伝子、又はMCP分子のうちSCR1を欠損させると共に
細胞膜貫通領域及び細胞内領域を欠損させ、代わりにグ
リコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカ
ーを付すべくシグナルペプチドを有するように改変され
た蛋白質をコードする遺伝子(特願2000-131862)を用
いることもできる。また、補体制御因子の機能を有する
限り、DAF(CD55)、CD59、MCP(CD46)のような膜結合型
補体制御因子及びその機能を保持する改変型分子をコー
ドする遺伝子に加えて、C1-インヒビター、C4バインデ
ィングプロテイン、H因子、I因子のような血液中を循環
している可溶性補体制御因子を膜結合型に改変した改変
型補体制御因子をコードする遺伝子を用いることもでき
る。後記の実施例が示すように、超急性拒絶の生じる局
所の細胞においてN-結合型糖鎖の分岐本数及びα-Gal抗
原を減少させることに加えて、ヒトの補体制御因子を発
現させることによって、超急性拒絶による補体依存性細
胞障害を相乗的に軽減させることができる。
【0018】GnT-IIIの遺伝子及び/又はヒトの補体制
御因子の遺伝子を超急性拒絶の生じる局所の細胞に発現
させるために、超急性拒絶の生じる局所の細胞で機能し
ている調節遺伝子が使用される。当該調節遺伝子として
は、超急性拒絶の生じる局所の細胞で機能している蛋白
質をコードしている遺伝子の調節遺伝子を用いることが
好ましい。ここで「調節遺伝子」とは、遺伝子転写効率
の増減に働くDNA上の配列を意味し、プロモーター、エ
ンハンサー、上流活性化配列、サイレンサー、上流抑制
配列、及びアテニュエーター等が含まれるが、これらに
限定されない。上記のプロモーターとしては、GnT-III
及び/又はヒトの補体制御因子の遺伝子を超急性拒絶の
生じる局所の細胞で発現させ得るプロモーターであれば
特に限定されず、例えば、β-アクチンのプロモータ
ー、アルブミンのプロモーター、インスリンのプロモー
ター、エロンゲーションファクターのプロモーター、血
管内皮細胞が関与する蛋白質であるエンドセリンやトロ
ンボモジュリンのプロモーターなどが例示できる。な
お、移植ドナー動物に目的の蛋白質を発現させるための
プロモーターとしては、移植ドナーの動物種に由来する
プロモーターが好ましく、トランスジェニック哺乳動物
がブタの場合には、ブタ補体制御因子(pMCP)のプロモー
ター(特開平10-66584号公報)がより好適に用いられ
る。ただし、後記の実施例から、β-アクチンのプロモ
ーターはGnT-IIIをブタ血管内皮細胞に効率良く発現さ
せ得ることが明らかにされた。上述のエンハンサーとし
ては、GnT-III及び/又はヒトの補体制御因子の遺伝子
を超急性拒絶の生じる局所の細胞で発現させ得るエンハ
ンサーであれば特に限定されず、サイトメガロウイルス
のエンハンサー、ヒトDAF遺伝子の第一イントロンなど
を例示することができる。
【0019】本発明のトランスジェニック哺乳動物は、
発明の構成に適合した導入用遺伝子を構築し、当該導入
用遺伝子を用いて、慣用の方法で作製することができ
る。例えば、本発明の第1の発明においては、前述のGn
T-IIIと超急性拒絶の生じる局所の細胞で機能している
調節遺伝子からなる導入用遺伝子を構築して、トランス
ジェニック哺乳動物の作製に供される。上記の導入用遺
伝子は、慣用の方法により作製することができる。例え
ば、調節遺伝子としてpMCPのプロモーター及びヒトDAF
遺伝子の第一イントロンを有し、更にGnT-IIIを有する
導入用遺伝子は下記の方法により調製することもでき
る。まず、適当なベクター(例えば、pGL-3ベーシックベ
クター、pBluescript等)の一部を制限酵素で抜き取り、
そのベクター側の末端を常法に準じて平滑化しておく。
一方、ブタゲノムファージライブラリーのpMCP遺伝子
(特開平09-65887号公報)のプロモーターに相当する領
域を切り出し、次いでプロモーター領域が0.9Kbの長さ
(特願平09-142961号公報の配列番号1の塩基配列4498
〜5397番の配列を有する)になるまで短縮した後、末端
を平滑化し、上記のベクターに挿入する。また、DAF遺
伝子の第一イントロン領域を、ヒトゲノム遺伝子をテン
プレートとして適当なプライマーを用いてPCR法で増
幅させ、得られた遺伝子を上記ベクターのpMCPプロモー
ター遺伝子の下流側に挿入する。更に、GnT-IIIのcDNA
(J. Biochem. 113: 692-698 (1993))にpolyAシグナル
配列を付し、当該遺伝子を上記ベクターのDAF第一イン
トロンの下流側に挿入する。かくして調製されたベクタ
ーから、pMCPプロモーター、DAF第一イントロン及びGnT
-IIIを含む領域を適当な制限酵素で切り出すことによ
り、導入用遺伝子を得ることができる。なお、GnT-III
遺伝子と共にヒトの補体制御因子の遺伝子を有する導入
用遺伝子は、上記の方法において、GnT-IIIの遺伝子の
上流側又は下流側にヒトの補体制御因子の遺伝子を挿入
すればよい。なお、上記の各工程における個々の手法は
当業者に知られており、常法に準じて行うことができ
る。
【0020】トランスジェニック哺乳動物は、上記で調
製された導入用遺伝子を哺乳動物の受精卵(前核期卵)
の前核にマイクロインジェクション法などの慣用の方法
で導入し、当該受精卵を必要に応じて培養し、又は培養
せず直ちに疑妊娠状態に同期化させておいた雌性哺乳動
物の卵管又は子宮に移植し、生存産仔を得ることにより
作製される。なお、前核にマイクロインジェクションを
行う際に、受精卵内の多量の脂肪粒の存在等により前核
の確認が困難な場合には、常法に従って予め遠心処理を
行う。作製された産仔がトランスジェニック哺乳動物で
あることの確認は、後記のドットブロッテング法、PCR
法、免疫組織化学的方法、補体反応抑制試験などにより
行うことができる。また、本発明のトランスジェニック
哺乳動物は核移植技術の適用により作製することができ
る。より具体的には、下記の方法で作製することができ
る。 (1)胚性幹細胞(ES細胞)の確立していない動物種
(例えば、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタなど)の場合には
体細胞(例えば、乳腺細胞、線維芽細胞、顆粒層細胞、
卵丘細胞など)、ES細胞の確立している動物種(例え
ば、マウス)の場合にはES細胞又は体細胞を前記の導
入用遺伝子又は前記の導入用遺伝子に抗生物質耐性遺伝
子などのマーカー遺伝子を連結して構築した導入用遺伝
子を用いて、エレクトロポレーション法、リポフェクシ
ョン法などの公知の方法により形質転換する; (2)形質転換に供した細胞と同一の種の動物から卵子を
採取し、その核を取除く; (3)上記(1)の形質転換細胞と上記(2)の除核卵子を融合
し、又は上記(1)の形質転換細胞のkaryoplastを上記(2)
の除核卵子に注入し、活性化し、培養し、借り腹の雌性
動物の子宮又は卵管に移植し、懐妊させて生存産仔を得
る。更に、GnT-IIIのみを発現するトランスジェニック
哺乳動物とヒトの補体制御因子のみを発現するトランス
ジェニック動物を個別に作製し、性成熟に達した個体を
交配することによってもGnT-III及びヒトの補体制御因
子の両方を発現するトランスジェニック哺乳動物を得る
ことができる。
【0021】このようにして得られたGnT-IIIの遺伝子
を有するトランスジェニック哺乳動物又はGnT-III及び
ヒトの補体制御因子の両方を発現するトランスジェニッ
ク哺乳動物は、N-結合型糖鎖の分岐本数及びα-Gal抗原
が減少しており、特に超急性拒絶の生じる局所の細胞に
おいて当該減少が生じている。ここで、α-Gal抗原を減
少している状態とは、トランスジェニック哺乳動物の細
胞に発現しているN-結合型糖鎖のα-Gal抗原の量が、遺
伝子導入操作をしていない通常動物又は野生型動物の対
応する細胞に発現しているN-結合型糖鎖のα-Gal抗原の
量に比べて、少なくとも30%以上、好ましくは50%以
上、より好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上減
少している状態をいう。
【0022】また、本発明のGnT-IIIの遺伝子またはGnT
-III及びヒトの補体制御因子の両方を発現するトランス
ジェニック哺乳動物の臓器には、肝臓、肺、腎臓、心
臓、膵臓、小腸等の消化管及び眼が含まれるが、これら
に限定されない。本発明のトランスジェニック哺乳動物
の組織には、脳組織、皮膚、皮下組織、上皮組織、骨、
筋の組織が含まれるが、これらに限定されない。本発明
のトランスジェニック哺乳動物の細胞には、上記の臓器
又は組織に分布する血管内皮細胞の外に、肝細胞、膵細
胞、神経細胞、脳黒質線条体細胞、卵細胞、受精卵、及
び胚性幹細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
【発明の効果】本発明の第1の発明に係るトランスジェ
ニック哺乳動物は、超急性拒絶の生じる局所の細胞のα
-Gal抗原を減少しているので、Discordant異種移植時の
超急性拒絶反応を抑制する上で有効である。また、本発
明の第2の発明に係るトランスジェニック哺乳動物は、
α-Gal抗原を減少するとともにヒトの補体制御因子を発
現しているので、Discordant異種移植時の超急性拒絶反
応を抑制する上で更に有効である。本発明のトランスジ
ェニック哺乳動物の臓器(例えば、心臓、肺、肝臓、腎
臓、膵臓等)、臓器に付属する組織(例えば、冠状動
脈、脳硬膜等)や細胞(例えば、肝細胞、インスリンを
産生するランゲルハンス島、ドーパミンを産生する脳黒
質線条体細胞等)等をヒト患者に移植すれば既にダメー
ジを受け機能を失調させた患者臓器等の補完、あるいは
その代用とすることができる。本発明のトランスジェニ
ック哺乳動物の臓器の細胞(例えば、肝臓、腎臓などの
臓器から採取した細胞、インスリンを産生するランゲル
ハンス島、ドーパミンを産生する脳黒質線条体細胞)を
培養し、培養細胞を適宜器材装置等に組み入れ、対応す
る臓器の機能が失調しているヒト患者と体外循環系を介
して接続すれば、失調している臓器の代替や治療として
活用することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものでは
ない。
【0025】実施例1pMCPプロモーター、DAFの第一イントロン及びGnT-IIIの
cDNAから成る導入用遺伝子を用いて作製したトランスジ
ェニックブタ (a)導入用遺伝子の作製 pMCPプロモーター、ヒトのDAF(以下、DAF)の第一イン
トロン及びGnT-IIIのcDNAから成る導入用遺伝子を作製
した。その構造を図3に示す。当該導入用遺伝子は次の
手順で作製した。 (1)ブタゲノムファージライブラリーのpMCP遺伝子
(特開平09-65887号公報)のプロモーターに相当する領
域の約1.7 kbをBstEIIとBamHIの両サイトで切り出し、
末端をT4 DNA polymeraseで平滑化し、pBluescript(St
ratagene社製)のSmaIサイトに挿入した。更に、プロモ
ーター部分より更に上流にあるpBluescript由来のBstXI
とSpeIの両サイトを切断してプラスミドを直鎖状にし、
Kilo-Sequence用Deletion Kit(Takara社製)を用いて
プロモーター領域が0.9Kbの長さ(特願平09-142961号公
報の配列番号1の塩基配列4498〜5397番の配列を有す
る)になるまで短縮した。0.9 kbのプロモーター領域を
BssHIIとEcoRIの両サイトで切り出し、T4 DNA polymera
seで平滑化した後、pGL-3ベーシックベクター(Promega
社製)のSmaIサイトに挿入した。 (2)DAF遺伝子の第一イントロン領域をヒトゲノム遺伝
子をテンプレートとして5’-TCCTCGAGCTGCCCCGGCTGCTGC
TGCTGGTGCTGTTGTと5’-TCAAGCTTCTGGGGGAAGGCCACAGTCAC
Cの両プライマーで増幅し、両側に XhoIとHindIIIのサ
イトを持つ断片として得た。それを上記ベクターのXhoI
サイトとHindIIIサイトに挿入した。 (3)GnT-IIIのcDNA(J. Biochem. 113: 692-698 (199
3))にpolyAシグナル配列を付し、上記ベクターのHindI
IIサイトとBamHIサイトに挿入した。 (4)上記ベクターからpMCPプロモーター、DAFイントロ
ン及びGnT-IIIを含む領域をMluIとSalIの両サイトで切
り出し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に4μg/mlの濃
度に溶解した。
【0026】(b)トランスジェニックブタの作製 上記の導入用遺伝子を用いて、マイクロインジェクショ
ン法によりトランスジェニックブタを作製した。作製方
法の概略は以下の通りである(特開平11-239430号公報
参照)。ランドレース種、大ヨークシャー種及びデュロ
ック種の交雑種の雌豚を採卵用豚とした。採卵用豚に過
排卵処理(PMSGあるいはFSHとhCGの投与)した後、デュ
ロック種の雄豚の精子を人工授精し、受精卵(前核期
卵)を採取した。この前核期卵を遠心分離処理(12,000
x g, 8分間)した後、前記導入用遺伝子をマイクロイン
ジェクション法により注入し、導入用遺伝子の注入され
た前核期卵を直ちにレシピエントブタの卵管に移植し
た。そして、産仔を得た。即ち、GnT-III遺伝子(特
に、ヒトGnT-III遺伝子)を導入した受精卵から生存ト
ランスジェニックブタ産仔の得られることが確認され
た。なお、レシピエントブタとして、予め前述の過排卵
処理を行いドナーブタと性周期を同期化しておいたブ
タ、あるいは受精卵を採取した後のドナーブタを供し
た。
【0027】(c)トランスジェニックブタの同定と選別 ブタ産仔の尾部から常法に従ってゲノムDNAを抽出し、
下記の2つの方法によりトランスジェニックブタを同定
し、トランスジェニックブタを選別した。 (1)ドットブロッティング法:供試DNA(10μg)をメン
ブレンに固定し、予めジゴキシゲニン標識(DIG核酸標
識キット、ベーリンガー・マンハイム社製)しておいた
GnT-IIIのcDNAの一部とハイブリダイゼズさせ、アルカ
リホスファターゼによる発色反応(DIG核酸検出キッ
ト、ベーリンガー・マンハイム社製)を行った。 (2)PCR法:供試DNAをテンプレートとして、GnT-IIIの
cDNA由来の5'- GGTGGACGCCTTTGTGGTGTGCをセンスプライ
マー、同5'- GCCGGTGCGGTTCTCATACTGTをアンチセンスプ
ライマーとするPCR反応を行い(条件;94℃ 30秒間、68
℃ 2分30秒間、30回)、各サンプルをミニゲル(エチジ
ウム・ブロマイド入り)で泳動し、導入遺伝子の組込み
の有無を検出した。トランスジェニックと同定されたブ
タについては、常法に従って子孫を得て、本段落に記載
の同定法によりトランスジェニックブタを選別した。
【0028】実施例2pMCPプロモーター及びGnT-IIIのcDNAから成る導入用遺
伝子を用いて作製したトランスジェニックブタ pMCPプロモーター及びGnT-IIIのcDNAから成る導入用遺
伝子を作製した。その構造を図4に示す。DAFの第一イ
ントロンを欠如する以外は実施例1に準じた。そして、
トランスジェニック産仔を得た。即ち、GnT-III遺伝子
(特に、ヒトGnT-III遺伝子)を導入した受精卵から生
存トランスジェニックブタ産仔の得られることが確認さ
れた。
【0029】実施例3サイトメガロウイスのエンハンサー、鶏βアクチンのプ
ロモーター及びGnT-IIIのcDNAから成る導入用遺伝子を
用いて作製したトランスジェニックブタ サイトメガロウイスのエンハンサーと鶏βアクチンのプ
ロモーター(pCXN2)及びGnT-IIIのcDNAから成る導入用
遺伝子を作製した。その構造を図5に示す。pMCPプロモ
ーターとDAFの第一イントロン領域をpCXN2に代えた以外
は実施例1に準じた。そして、トランスジェニック産仔
を得た。即ち、GnT-III遺伝子(特に、ヒトGnT-III遺伝
子)を導入した受精卵から生存トランスジェニックブタ
産仔の得られることが確認された。
【0030】実施例4pMCPプロモーター、DAFの第一イントロン及びGnT-IIIの
cDNAから成る導入用遺伝子を用いて作製したトランスジ
ェニックマウス 実施例1に記載の導入用遺伝子を用い、常法に従ってト
ランスジェニックマウスを作製した。
【0031】比較例1pMCPプロモーター及びDAFのcDNAから成る導入用遺伝子
を用いて作製したトランスジェニックブタ pMCPのプロモータとヒトのDAFをコードするcDNAからな
る導入用遺伝子を用いてトランスジェニックブタを作製
した(特開平11-239430号公報参照)。
【0032】比較例2pMCPプロモーター及びDAFのcDNAから成る導入用遺伝子
を用いて作製したトランスジェニックマウス 比較例1に準じて、pMCPのプロモータとヒトのDAFをコ
ードするcDNAからなる導入用遺伝子を用いてトランスジ
ェニックマウスを作製した(特開平11-239430号公報参
照)。
【0033】実施例5GnT-IIIとDAFの両遺伝子を有するトランスジェニックブ
上記実施例3に記載のGnT-IIIを発現するトランスジェ
ニックブタ(ヘテロ型雄)と上記比較例1に記載のDAF
を発現するトランスジェニックブタ(ヘテロ型雌、2
頭)が性成熟に達するのを待って交配し、17匹の生存産
仔を得た(全産仔数:18)。得られた産仔について上
記のGnT-III遺伝子の同定方法及び特開平11-239430号公
報に記載のDAF遺伝子の同定方法により導入遺伝子の有
無を調べた。得られた産仔は次の4つの遺伝子型に概ね
1:1:1:1の割合で区分された:DAF(−)/GnT-I
II(−)(n=3)、DAF(+)/GnT-III(−)(n=
5)、DAF(−)/GnT-III(+)(n=5)、DAF(+)
/GnT-III(+)(n=4)。以上の結果から、1動物個
体中にGnT-III遺伝子と共にそれ以外の1以上の導入遺
伝子(本実施例ではDAF)を共発現する生存トランスジ
ェニック産仔の得られることが確認された。
【0034】実施例6GnT-IIIとDAFの両遺伝子を有するトランスジェニックマ
ウス 実施例4に記載のGnT-IIIを発現するトランスジェニッ
クマウス(雌)と比較例2に記載のDAFを発現するトラ
ンスジェニックマウス(雄)を交配してGnT-IIIとDAFの
両方を発現するトランスジェニックマウスを作製した。
当該トランスジェニックマウスは実施例5に準じて、両
遺伝子を保有することを確認した。
【0035】試験例1トランスジェニックブタのGnT-III活性 (a)GnT-III活性の測定方法:GnT-III活性をピリジル
アミン化二分岐糖鎖(pyridylaminated biantennary-su
gar chain)を基質として測定した。概略は次の通りで
ある。供試トランスジェニックブタの各種臓器をリン酸
緩衝液(PBS)中でホモジナイズし、蛋白質含量を測定
した後、以下の反応溶液中でUDP(ウリジン2リン酸)-
GlcNAcをドナー基質として、ピリジルアミン(PA)化2分
岐糖鎖をアクセプター基質として、サンプル中のGnT-II
Iによりbisecting GlcNAcが生成される反応を行わせ、G
nT-IIIの比活性(p mol/h/mg)を測定した。すなわち、
0.77 mM 2-ピリジルアミン(PA)化糖鎖、20 mM UDP-Gl
cNAc、10 mM MnCl2、 200 mM N-アセチルグルコサミン
(GlcNAc)及び0.5% Triton X-100 を含む125 mM 2-(N-
morpholino) ethanesulphonate 緩衝液(pH 6.25)に各
サンプルを加え、37℃で2時間インキュベートした。そ
の後3分間煮沸して反応を止め、15000 gで5分間遠心分
離した。反応後のbisecting GlcNAcを HPLC(島津製作
所製HPLC装置SCL-6A)で測定した。HPLCの条件の一例を
示せば、分離用カラム;ODS-80カラム(TOSOH社製)、溶
出用緩衝液;0.25%(v/v)のbutan-1-olを含む20 mM
酢酸アンモニウム緩衝液(pH 4.0)、溶出条件;55℃で
1.2 ml/min、 検出条件;蛍光分光光度計(励起波長320
nm、蛍光波長400 nm)。399 p molのPA化二分岐糖鎖を
スタンダードとしてbisecting GlcNAcを定量した。GnT-
IIIの比活性は、個別に測定した3回の測定値を平均
し、タンパク質mg当たり、時間当たりの 転移GlcNAcのp
モルとして表した(表1)。 (b)GnT-III活性の測定結果:実施例1、2、3及び5
に記載のトランスジェニックブタ、並びに通常の非トラ
ンスジェニックブタの各種臓器についてGnT-III活性を
測定した結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】Tanemuraらによって、通常マウスの肺及び
腎臓はそれぞれ520と3,400 p mol/h/mgのGnT-III活性を
発現していることが報告されたが(Transplant. Proc.,
29:895-896 (1997))、通常ブタの場合には、全供試臓
器がGnT-IIIを発現していないことが今回明らかになっ
た。一方、本発明のトランスジェニックブタの場合に
は、全供試臓器がGnT-IIIを発現していた。供試臓器間
でGnT-IIIの発現量を比較すると、pMCPプロモーター、D
AFの第一イントロン及びGnT-IIIのcDNAから成る導入用
遺伝子を用いた場合には(実施例1)、肝臓および脾臓
でGnT-IIIの発現が促進された、一方サイトメガロウイ
スのエンハンサー、鶏βアクチンのプロモーター及びGn
T-IIIのcDNAから成る導入用遺伝子を用いた場合には
(実施例3と5)、肺、心臓、腎臓および脾臓でGnT-II
Iの発現が促進された。実施例1のトランスジェニック
ブタの臓器のGnT-III活性値は、同様にpMCPプロモータ
ーを用いた実施例2のトランスジェニックブタの臓器のG
nT-III活性値に比べて明らかに高かったから、実施例1
で用いられたDAFの第一イントロンがエンハサーとして
機能することが確認された。
【0038】試験例2トランスジェニックブタのα-Gal抗原量 (a)トランスジェニックブタの臓器のα-Gal抗原量の
測定方法(1):供試トランスジェニックブタ臓器のα
-Gal抗原の量を、当該抗原と特異的に結合するIB4レク
チンを用いて検出した。概略は次の通りである。供試臓
器の溶解物(3μg)を還元条件下でSDS-ポリアクリルア
ミド電気泳動(12%)し、ゲルをニトロセルロース膜に
電気的に転写した。当該膜を3%のBSAを含むPBSでブロ
ッキングし、ビオチン化したIB4レクチン(10μg/ml)
を作用させ、洗浄した。その後、アビジン結合ホースラ
ディッシュ・ペルオキシダーゼ(Vector社製)を作用さ
せ、洗浄し、ECL検出キット(Amersham社製)を用いて
発色させた。発色の程度はイメージスキャナーで計測し
た。レクチンの付着率は、個別に測定した3回の測定値
を平均し、通常ブタの臓器への付着率を100として相対
値を計算した。 (b)トランスジェニックブタ血管内皮細胞のα-Gal抗
原量およびGnT-III活性の測定方法(2):供試トランス
ジェニックブタを犠牲死させて、大動脈を取り出し、大
動脈内部を軽く擦って血管内皮細胞を採取し、Ham’s F
-12培地で数回継代した。α-Gal抗原量はFITC標識IB4レ
クチンを反応させ、FACS(ベクトンディキンソン社製FAC
Scan)により測定した。GnT-III活性は上記の方法で測定
した。 (c)供試臓器のα-Gal抗原量の測定結果(1):実施
例1、3及び5のトランスジェニックブタ、並びに通常
の非トランスジェニックブタの各種臓器についてα-Gal
抗原量を測定した結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例1、3及び5のトランスジェニック
ブタの場合には、通常ブタに比べてα-Gal抗原の減少が
認められた。供試臓器間でGnT-IIIの発現量を比較する
と、pMCPプロモーター、DAFの第一イントロン及びGnT-I
IIのcDNAから成る導入用遺伝子を用いた場合には(実施
例1)、肝臓、腎臓および脾臓でα-Gal抗原の減少が促
進された、一方サイトメガロウイスのエンハンサー、鶏
βアクチンのプロモーター及びGnT-IIIのcDNAから成る
導入用遺伝子を用いた場合には(実施例3と5)、肺お
よび心臓でα-Gal抗原の減少が促進された。
【0041】(d)供試血管内皮細胞のα-Gal抗原量お
よびGnT-III活性の測定結果(2):実施例3及び5の
トランスジェニックブタ、並びに通常の非トランスジェ
ニックブタの血管内皮細胞のα-Gal抗原量(FACS mean
shiftとして表す)およびGnT-III活性(p mol/h/mg)の
測定結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】実施例3及び5のトランスジェニックブタ
の血管内皮ではGnT-IIIが発現しており、その結果とし
てα-Gal抗原量の減少していることが確認された。
【0044】試験例3ブタ心臓の体外循環試験 (1)心機能の延長時間の測定 ヒトの血清を用いてトランスジェニックブタの心臓を環
流し、GnT-IIIによる糖鎖抗原低減臓器の超急性拒絶反
応に対する効果を検討した。試験には2週齢の通常ブタ
と実施例1のトランスジェニックブタ(それぞれn=5)を
供した。鎮静剤であるストレスニル(2mg/kg)投与
後、麻酔薬であるラボナール(0.5ml/kg)により麻酔を
施した。腹部大動脈よりカテーテルを心臓に向かって挿
入し、4℃に冷やしたcardioplegic solution (glucose,
0.39M; NaHCO3, 8.3mM; KCl, 80mM; ヘパリン2000 U/l
)を200ml注入して、拍動を停止させた。摘出した心臓
はランゲンドルフ体外循環装置に結合させるまで4℃の
cardioplegic solutionに浸しておいた。心臓は大動脈
と肺静脈で装置に結合した後、35℃に保温したKrebs-He
nseleit バッファー(NaCl, 118.33mM; KCl, 4.7mM; KH
2PO4, 1.2mM; MgCl2, 0.66mM; NaHCO3, 25mM; CaCl2,
0.167mM; glucose, 11.1mM)で環流を開始した。環流開
始20分後に環流液を50%ヒト血清を含むK-H液に切り替
え、心臓が拍動を停止するまでの時間を記録した。その
際、心室の拍動の停止時を心機能の停止時とした。その
結果を表4に示す。表4に示されるように、本発明のト
ランスジェニックブタは超急性拒絶を抑制することが確
認できた。
【0045】
【表4】
【0046】(2)環流後の組織学的観察 環流に使用した心臓組織の凍結切片を作製し、沈着して
いる抗体と補体量を比較した。即ち、組織の一部を環流
後直ちにOKTコンパウンド(Miles社製)に包埋し、ドラ
イアイス/エタノールに接触させて凍結した。クリオス
タット切片は8μmの厚さとし、poly-L-lysinを塗布した
スライドグラスに張り付けた後、乾燥、アセトン固定を
おこなった。内因性のビオチンを「ブロッキングキッ
ト」(Vector Laboratories社製)で処理した後、抗IgG
抗体(ビオチン化抗ヒトIgGモノクローナル抗体JDC10:
サザンバイオテクノロジー社製)、 抗IgM抗体(ビオチ
ン化抗ヒトIgMモノクローナル抗体SA-DA4:サザンバイ
オテクノロジー社製)、抗C1q抗体(一次抗体;抗ヒトC
1qポリクローナルウサギ抗体:コスモ・バイオ社製、二
次抗体;ビオチン化抗ウサギIgGモノクローナル抗体D10
E6:スプリングバレーラボラトリーズ社製)、抗C3抗体
(一次抗体;抗ヒトC3ポリクローナルウサギ抗体:コス
モ・バイオ社製、二次抗体;ビオチン化抗ウサギIgGモ
ノクローナル抗体D10E6:スプリングバレーラボラトリ
ーズ社製)と反応させた。免疫染色はVector Laborator
ies社製VECTASTEIN ABC Kitを使用しておこなった。ペ
ルオキシダーゼの反応はdiaminobenzidine reagent set
(Kirkegaard & Perry Laboratories社製)を利用した。
そして、各成分の沈着の程度を検鏡した。その結果を表
5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】表5に示されるように、本発明のトランス
ジェニックブタは超急性拒絶を抑制することが確認でき
た。より詳細には、α-抗原量の減少に伴う補体反応の
初期段階の抑制(C1qの抑制)とそれに基づく補体反応
の中期段階の抑制(C3の抑制)が確認された。
【0049】試験例4GnT-IIIとDAFを共発現するトランスジェニックマウスの
赤血球を用いた補体反応抑制試験 実施例4に記載のGnT-IIIを発現するトランスジェニッ
クマウス、比較例2に記載のDAFを発現するトランスジ
ェニックマウス、実施例6に記載のGnT-IIIとDAFを共発
現するトランスジェニックマウスのそれぞれから得られ
た子孫マウス、及び通常マウスを犠死させて血液を採取
し、赤血球画分を得た。それぞれの赤血球をPBSにて希
釈し、96穴マイクロプレートの各ウエルに30μlずつ分
注し(1x10 個/ウェル)、その後、補体含有量調整ヒ
ト血清70μlを上記のウェルに滴下し、赤血球と反応さ
せた(37℃、1.5時間)。その後、補体反応により生じ
た溶血の程度を405nmにおける吸光度で測定した。通常
マウスの溶血の程度を100として、各供試検体における
溶血の程度を表した。その結果を表6に示した。
【0050】
【表6】
【0051】表6に示されるように、本発明のトランス
ジェニックマウスは補体依存性細胞障害(補体反応)を
抑制することが確認できた。また、GnT-IIIとDAFを同時
に発現させることによって、補体依存性細胞障害を相乗
的に抑制することが確認できた。更に、糖鎖修飾酵素で
あるGnT-IIIをマウスに発現させた場合でも、GPIアンカ
ー型糖蛋白質であるDAFの機能発現に何らの障害を生じ
ないことが確認できた。
【0052】試験例5GnT-IIIとDAFを共発現するトランスジェニックブタの血
管内皮細胞を用いた補体反応抑制試験 (a)補体反応抑制試験の方法:ブタの血管内皮細胞と
ヒト血清を反応させて、補体反応による細胞傷害の程度
を調べた。実施例1、3及び5のトランスジェニックブ
タ並びに通常ブタを犠死させて大動脈を採取した。大動
脈内皮部を軽く擦って血管内皮細胞を採取し、F-12培地
にて増殖させ、更にDMEM培地で5-10回継代培養した。そ
の後、96穴マイクロプレートの播種し(5x10細胞/ウ
エル)、一晩培養した。PBS(-)で洗浄した後、ヒト非働
化血清またはヒト補体含有量調整血清(30%と50%)10
0μlを上記のウエルに滴下し、血管内皮細胞と反応させ
た(37℃、1.5時間)。生存した細胞数を乳酸脱水素酵
素量を指標に測定した。生存率は、次式による求めた。
生存率(%)=(ヒト補体含有量調整血清と反応させた時
の生存細胞数)/(ヒト非働化血清と反応させた時の生
存細胞数)x100。その結果を表7に示した。
【0053】
【表7】
【0054】(b)細胞傷害抑制試験の結果:表7が示
すように、本発明のトランスジェニックブタは補体依存
性細胞傷害(補体反応)を抑制することが確認できた。
また、GnT-IIIとDAFを同時に発現させることによって、
補体依存性細胞傷害反応を相乗的に抑制することが確認
された。更に、糖鎖修飾酵素であるGnT-IIIをブタに発
現させた場合でも、GPIアンカー型糖蛋白質であるDAFの
機能発現に何らの障害を生じないことが確認できた。
【0055】試験例6GnT-IIIとDAFを共発現するトランスジェニックブタの血
管内皮細胞のNK細胞による細胞障害への抵抗性試験 試験例5と同様に実施例3及び5のトランスジェニック
ブタ並びに通常ブタから血管内皮細胞を調製し、96穴マ
イクロプレートに播種し(2x10細胞/ウエル)、一晩
培養した。PBS(-)にて洗浄後、ヒト血液から分離したNK
細胞懸濁液(4x106細胞/ml)50μlを上記のウエルに滴
下し、血管内皮細胞と反応させた(37℃、4時間)。生
存した細胞数を乳酸脱水素酵素量を指標に測定した。生
存率は次式により求めた。生存率(%)=(NK細胞と反応さ
せた時の生存細胞数)/(NK細胞と反応させなかった時
の生存細胞数)x100。その結果を表8に示した。
【0056】
【表8】
【0057】表8が示すように、本発明のGnT-IIIを発
現するトランスジェニックブタはNK細胞に対する細胞障
害を抑制することが確認された。AVRの生じる原因は必
ずしも特定されていないが、異種抗原、補体、マクロフ
ァージ、NK細胞、好中球、血小板などが関与すると言わ
れている。本発明のトランスジェニックブタの血管内皮
細胞はヒトNK細胞による細胞障害に耐性を有すると共
に、試験例2から、異種抗原(α-Gal抗原)量が減少し
ているので、本発明のトランスジェニックブタは急性血
管型拒絶についても抵抗性を有すると思われる。
【0058】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Nippon Meat Packers, Inc. <120> Transgenic mammals <130> 0108NH73 <150> JP 2000-256541 <151> 2000-08-25 <160> 4 <210> 1 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: primer <400> 1 tcctcgagct gccccggctg ctgctgctgg tgctgttgt 39 <210> 2 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: primer <400> 2 tcaagcttct gggggaaggc cacagtcacc 30 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: primer <400> 3 ggtggacgcc tttgtggtgt gc 22 <210> 4 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: primer <400> 4 gccggtgcgg ttctcatact gt 22
【図面の簡単な説明】
【図1】α-Gal抗原の生成と同抗原の生成を回避する方
法を示す図である。
【図2】糖鎖の分岐機構とGnT-IIIによる糖鎖の分岐抑
制の作用点を示す図である。
【図3】実施例1の導入用遺伝子の構造を示す図であ
る。
【図4】実施例2の導入用遺伝子の構造を示す図であ
る。
【図5】実施例3の導入用遺伝子の構造を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高萩 陽一 茨城県つくば市緑ヶ原3丁目3番地 日本 ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 豊村 浩司 茨城県つくば市緑ヶ原3丁目3番地 日本 ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 重久 保 茨城県つくば市緑ヶ原3丁目3番地 日本 ハム株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA10 CA01 DA02 EA02 EA04 FA02 FA06 GA11 HA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超急性拒絶の生じる局所の細胞で機能
    している調節遺伝子とヒトのN-アセチルグルコサミン転
    移酵素IIIの遺伝子からなる導入遺伝子を有するヒト以
    外のトランスジェニック哺乳動物。
  2. 【請求項2】 超急性拒絶の生じる局所の細胞で機能
    している調節遺伝子及びヒトのN-アセチルグルコサミン
    転移酵素IIIの遺伝子、並びに、ヒトの補体活性制御因
    子の遺伝子を有するヒト以外のトランスジェニック哺乳
    動物。
  3. 【請求項3】 補体制御因子が、DAF、CD59、
    MCP、C1-インヒビター、C4バインディングプロテイ
    ン、H因子、I因子またはこれらの改変型補体制御因子で
    ある請求項2記載のトランスジェニック哺乳動物。
  4. 【請求項4】 超急性拒絶の生じる局所の細胞で機能
    している調節遺伝子が、β-アクチンのプロモーター、
    エンドセリンのプロモーター、トロンボモジュリンのプ
    ロモーター、ブタ補体制御因子(pMCP)のプロモーター、
    アルブミンのプロモーター、インスリンのプロモータ
    ー、エロンゲーションファクターのプロモーター、サイ
    トメガロウイルスのエンハンサー及び/又はヒトDAF遺
    伝子の第一イントロンである請求項1〜3の何れかに記
    載のトランスジェニック哺乳動物。
  5. 【請求項5】 トランスジェニック哺乳動物が、家畜
    又は実験動物である請求項1〜4の何れかに記載のトラ
    ンスジェニック哺乳動物。
  6. 【請求項6】 トランスジェニック哺乳動物が、トラ
    ンスジェニックブタ又はトランスジェニックマウスであ
    る請求項5記載のトランスジェニック哺乳動物。
  7. 【請求項7】 ヒトのN-アセチルグルコサミン転移酵
    素IIIを発現するトランスジェニック哺乳動物とヒトの
    補体制御因子を発現するトランスジェニック動物を個別
    に作製し、両者を交配することによりヒトのN-アセチル
    グルコサミン転移酵素III及びヒトの補体制御因子の両
    方を発現するヒト以外のトランスジェニック哺乳動物の
    作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006048954A1 (ja) * 2004-11-02 2006-05-11 The Animal Engineering Research Institute 異種移植用豚細胞、その選抜方法及び異種移植用豚
JP2006129736A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Nippon Dobutsu Kogaku Kenkyusho:Kk 異種移植用豚細胞、その選抜方法及び異種移植用豚

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