JP2004532037A - ガストロカインおよびインヒビターを含むその誘導ペプチド - Google Patents

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Abstract

ガストロカインといわれる胃洞粘膜タンパク質の新規な群が特徴付けられる。この群のメンバーは、AMP18と称される。AMP−18ゲノムDNA、cDNA、およびAMP−18タンパク質は、ヒト、マウスおよびブタについて配列決定された。AMP−18タンパク質およびこのタンパク質に由来する活性ペプチドは、細胞増殖因子である。驚くべきことに、完全タンパク質の効果を阻害し得るペプチドは、AMP−18タンパク質に由来している。哺乳動物胃腸組織の増殖および修復の制御は、このタンパク質の使用により促進され、このことによりこのタンパク質が治療の候補である。

Description

【背景技術】
【0001】
(背景)
胃幽門洞粘膜タンパク質の新規群、ガストロカイン(gastrokine)が特徴付けられる。ガストロカイン群のメンバーは、AMP−18と称される。AMP−18のゲノムDNAおよびcDNA分子は、ヒトおよびマウスについて配列決定され、そしてそのタンパク質配列は、ヌクレオチド配列から予測されている。ブタAMP−18のcDNA配列は配列決定され、そして天然タンパク質の部分的配列決定によって確認されている。AMP−18タンパク質およびこの配列由来の活性ペプチドは、細胞増殖因子である。驚くべきことに、完全なタンパク質の効果を阻害し得るペプチドもまた、AMP−18タンパク質配列に由来する。哺乳動物の胃腸組織の増殖および修復の制御は、このタンパク質またはペプチドの使用によって容易にされ得、このことが、このタンパク質および由来するペプチドを治療についての候補にする。
【0002】
哺乳動物胃腸(GI)管に影響を与える因子についての研究は、診断剤および治療剤に対する要求によって動機付けされる。タンパク質は、ムチン層の一部に残留し得、裏打ち組織についての機械的保護(例えば、潤沢剤またはゲル安定剤)および化学的保護(例えば、粘液pH勾配および/または疎水性障壁を維持するためにおそらく役立つ、胃酸に対する保護)を提供する。トレフォイル(trefoil)ペプチドファミリーは、このような一般的な細胞保護剤の役割を有することが示唆されてきた(SandsおよびPodolsky、1996)。あるいは、サイトカイン様活性は、損傷した上皮の回復を補助し得る。トレフォイルペプチドが、上皮を維持および修復するために他の因子と協同して作用し得るという示唆は、さらに、胃腸管において生じる相互作用の複雑性を強調する(Podolsky、1997)。GI上皮の完全性の維持は、哺乳動物の持続的な健康に重要であり、そして損傷後の傷の閉鎖は、通常、非常に迅速に生じ(Lacy、1988)、その後すぐに増殖および分化が生じ、上皮の完全性を再確立する(Nusratら、1992)。従って、保護および復旧は、健康な胃腸管の2つの重要な特徴であり、そして胃の比較的過酷な細胞外環境において重要であり得る。
【0003】
GIタンパク質の探索は、いくらかの成功をおさめた。ヒトおよびブタ胃細胞から単離したメッセンジャーRNA(mRNA)に対する相補的DNA(cDNA)配列が、他の発明者と共に研究した本発明者の一人による、University of Chicago博士論文、「Characterization of a novel messenger RNA and immunochemical detection of its protein from porcine gastric mucosa」、1987年12月において記載された。しかし、いくつかのcDNA配列決定の誤りがあり、それは本明細書中で開示されるAMP−18タンパク質から有意なアミノ酸変化を引き起こした。タンパク質自身は、本発明の1つの局面としてのみ単離および精製され、そして有用性を決定するために機能的分析を行なった。核酸配列が探索された。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
幽門洞粘膜タンパク質18(「AMP−18」)と呼ばれる新規遺伝子産物は、ガストロカインである。そのタンパク質は、ヒト、ブタ、およびマウスから得られたcDNAクローンの分析によって、胃幽門洞粘膜細胞で発見された。そのタンパク質は細胞増殖因子またはサイトカイン、より具体的にはガストロカインのグループのメンバーである。AMP−18cDNA配列は、ブタおよびヒトの両方で、185アミノ酸長のタンパク質を予測する。ヌクレオチド配列はまた、分泌タンパク質のための20アミノ酸のN−末端シグナル配列を予測する。前駆体(プレAMP−18)からのこのN−末端ペプチドの切断は、ブタタンパク質で確認された;この切断は165アミノ酸長、そして大きさが約18,000ダルトン(18kD)の分泌タンパク質を産生する。ヒトおよびマウスゲノムDNA配列も得られ、そして配列決定された。ヒトゲノムDNAは、大きさがそれぞれ1.6kb、3kb、3.3kb、および1.1kbの4つの互いに重なる断片で単離された。マウスゲノムDNA配列は、単一のBACクローンで単離された。
【0005】
AMP−18タンパク質と呼ばれるガストロカインは、胃幽門洞の細胞で高レベルに発現される。そのタンパク質は胃の他の部分または十二指腸でほとんど検出されず、そして試験した他の体組織で見出せないか、または低レベルで見出された。AMP−18は管腔表面粘膜細胞で合成され、そしてムチン顆粒と共に分泌される。
【0006】
マウスおよびブタ幽門洞組織から単離されたAMP−18の組成物は、培養物においてコンフルエントな胃上皮細胞、腸上皮細胞、および腎臓上皮細胞の増殖を刺激する;ヒト細胞、サル細胞、イヌ細胞およびラット細胞も反応することが示される。この分裂促進的(増殖刺激)効果は、AMP−18に対する特異的抗血清(抗体)によって阻害され、AMP−18、またはその産物、例えばタンパク質の断片の単離または合成によってタンパク質から得られたペプチドは、増殖因子であるという結論を支持する。実際、アミノ酸配列がAMP−18タンパク質の中央領域に相当する特定の合成ペプチドも、増殖因子活性を有する。そのペプチドはまた、組織培養アッセイにおいて創傷修復を速め、胃粘膜損傷の復旧を媒介する過程である、細胞遊走に対する刺激効果を示す。従って、そのタンパク質およびその活性ペプチドは、細胞遊走促進因子(motogen)である。予期しないことに、親分子のサブドメインから得られたペプチドが、生物活性合成ペプチド、および胃抽出物に存在するインタクトな天然タンパク質の分裂促進効果を阻害し得る。
【0007】
本発明のガストロカインタンパク質およびペプチドの3つの活性が存在する。それらは細胞が遊走するのを刺激するので、そのタンパク質は細胞遊走促進因子である。それらは細胞分裂を刺激するので、分裂促進因子である。それらは上皮の完全さを維持するので(酸化剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)のような損傷を与える薬剤で処理した組織培養における、電気抵抗上皮細胞層に与えられる保護によって示されるように)、細胞保護剤として機能する。
【0008】
AMP−18の合成は、ヒトおよび他の哺乳動物の、胃幽門洞の管腔粘膜裏打ち上皮細胞に限られる。細胞内で、タンパク質は分泌顆粒中でムチンと同時局在しており、そして先端の原形質膜の上にある粘液へ分泌されるようである。E.coliにおける組換えヒトAMP−18は、成熟タンパク質の中央から得た増殖促進ペプチドよりも、1オーダー低い程度の濃度で、その分裂促進性効果を発揮する。最も強力な分裂促進ペプチドである、ペプチド77−97は、アミノ酸配列特異的なAMPペプチドであり、それは線維芽細胞またはHeLa細胞の増殖を刺激しないので、細胞型特異的であるようである。活性な分裂促進因子でない特定のペプチドが、濃度依存的な様式で、ペプチド58−99および幽門洞細胞抽出物の増殖刺激効果を競合的に阻害し得るので、特異的AMPペプチドによる分裂促進は、細胞表面レセプターによって媒介されるようである。AMP−18およびその誘導ペプチドは、胃上皮細胞および腸上皮細胞に対して多様な効果を示し、このことはそれらが胃粘膜損傷後の修復に決定的な役割を果たし得ることを示唆する。これらは、細胞保護、分裂促進、復旧、および酸化剤および/またはインドメタシンによる損傷後のバリア機能の成熟を含む。AMP−18またはそのペプチド誘導体がその多面発現性の効果を媒介する、可能性のあるメカニズムは、タンパク質チロシンキナーゼ活性の刺激、細胞ストレス後の熱ショックタンパク質発現の延長、および密着結合関連タンパク質ZO−1およびオクルディンの蓄積の増強を含む。これらの生理学的効果の特定のものは、トレフォイルペプチドまたはα−デフェンシン、クリプトジン3(cryptdin3)(>100μM)のような他の胃ペプチドメディエーターの濃度と比較して、rhAMP−18(<50nM)で比較的低い濃度で起こり得る。免疫反応性AMP−18は、明らかにインドメタシン胃管栄養後にマウス幽門洞細胞によって、およびフォルスコリンに接触させた一次培養物中のイヌ幽門洞細胞によって放出され、このことは、そのタンパク質は調節を受けることを示唆する。これらの結果は、AMP−18が、インビボにおける胃粘膜上皮の創傷治癒のような生理学的過程および病理学的過程で役割を果たし得ることを意味する。
【0009】
本発明は、ガストロカインと呼ばれる単離された相同的細胞増殖刺激タンパク質のグループに関連し、それは胃上皮細胞によって産生され、そしてコンセンサスアミノ酸配列VKE(K/Q)KXXGKGPGG(P/A)PPKを含む。ここでXXはLQまたは空白であり得る。そのグループの単離されたタンパク質は、図8に示したようなアミノ酸配列を有する。シグナルペプチド配列を構成する20アミノ酸を欠く、処理された形式でブタ胃上皮に存在するタンパク質は、165アミノ酸およびポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定された約18kDの推定分子量を有する。シグナルペプチドは、小胞体(ER)を通過した後に切断される。そのタンパク質は分泌され得る。図3に示したアミノ酸配列は、ヒトcDNA配列から導かれた。このタンパク質の1つの実施態様を、マウスRNAおよびDNAから予測される配列である、図6のアミノ酸配列で示す。
【0010】
増殖刺激(生物活性)ペプチドを、ガストロカイングループのタンパク質から得ることができる。生物活性ペプチドは、より小さく、従ってタンパク質全体に対してのコストよりそれらを合成するコストが低いために、タンパク質より使用に好ましい。
【0011】
さらに、以下の方法によって修飾ペプチドを産生し得る:
(a)アミノ酸置換または欠失によって、未修飾ペプチドアミノ酸配列の主要なプロテアーゼ部位を排除する;および/または
(b)未修飾ペプチド中にアミノ酸の修飾アミノ酸アナログを導入する。
【0012】
本発明の単離されたタンパク質は、シグナルペプチド配列を構成する20アミノ酸を欠き、165アミノ酸を有し、そしてポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定される約18kDの推定分子量を有するプロセシング形態にて、ブタ胃上皮に存在する、図8のアミノ酸配列を含み、このタンパク質は、分泌され得る。
【0013】
本発明のタンパク質は、ヒトcDNAから予測された配列である、図3のアミノ酸配列を含む。
【0014】
本発明のタンパク質は、マウスRNAおよびDNAから予測された配列である、図6のアミノ酸配列を含む。
【0015】
本発明の実施形態は、合成増殖刺激ペプチドを含み、このペプチドは、図3に示した78位から119位までのアミノ酸配列を有し、図3に示した97位から117位までのアミノ酸配列、または図3に示した97位から121位までのアミノ酸配列、または図3に示した104位から117位までのアミノ酸配列を有する。
【0016】
本発明のタンパク質に対する抗体は、図3の78位〜119位のアミノ酸配列を有するタンパク質のペプチド内のエピトープを認識する。
【0017】
本発明の1つの局面はまた、図1で示したヒトのヌクレオチド配列を有する単離されたゲノムDNA分子、およびアミノ酸配列が図2で示された、ヒトタンパク質をコードする単離されたcDNA分子である。
【0018】
本発明は、哺乳動物の胃腸管において上皮細胞の増殖を刺激する方法を含み、この方法は、以下の工程を含む:
(a)上皮細胞を、本発明のタンパク質またはこのタンパク質由来のペプチドを含む組成物と接触させる工程;および
(b)上皮細胞の増殖を刺激する環境条件を提供する工程。
【0019】
単離された生体活性ペプチドの実施形態は、以下の配列のうち1つを有する:KKLQGKGPGGPPPK、LDALVKEKKLQGKGPGGPPPK、LDALVKEKKLQGKGPGGPPPKGLMY。インヒビターの実施形態は、KKTCIVHKMKKまたはKKEVMPSIQSLDALVKEKKである(表1もまた参照のこと)。
【0020】
細菌で発現されるヒトcDNAによってコードされるタンパク質産物AMP−18に対する抗体を、ウサギで産生した;これらの抗体は試験した全ての哺乳動物種(ヒト、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラットおよびマウス)の18kDの幽門洞抗原と反応し、ガストロカインを検出する有用な方法を提供した。グループのタンパク質に対する抗体は、タンパク質のペプチド内のエピトープを認識し、それは図3の位置78から位置119までのアミノ酸配列を含む。
【0021】
本発明はまた、図1で示したヒトのヌクレオチド配列を有する単離されたゲノムDNA分子、およびヌクレオチド配列が図2で示された、ヒトタンパク質をコードする単離されたcDNA分子に関する。
【0022】
本発明の別の局面は、図4で示したような、マウス由来のDNAで見出されるゲノム配列を有する単離されたDNA分子である。
【0023】
ゲノムDNAは、遺伝子の胃発現のために調節エレメントを含むので、有用性を有し、結果として調節エレメントが単離され、そして胃組織でガストロカイン以外の遺伝子配列を発現するために使用され得る。
【0024】
本発明の1つの局面は、哺乳動物の胃腸管において上皮細胞の増殖を刺激する方法である。この方法は、以下の工程を含む:
(a)上皮細胞を、ガストロカインタンパク質またはそのグループのタンパク質から得られたペプチドを含む組成物と接触させる工程;および
(b)上皮細胞の増殖を刺激する環境条件を提供する工程。
【0025】
この群のタンパク質の細胞増殖刺激活性を阻害する方法は、以下の工程を含む:
(a)タンパク質をインヒビターと接触させる工程;および
(b)タンパク質の細胞増殖刺激活性に適当な環境条件を提供する工程。
【0026】
このインヒビターは、タンパク質の少なくとも1つのエピトープ(例えば、図3の推定アミノ酸配列の78位から119位までのアミノ酸配列を有するエピトープ)に対する抗体、または表1のようなインヒビターペプチドであり得る。
【0027】
哺乳動物胃腸管上皮におけるタンパク質の異なる発現レベルの影響を試験する方法は、以下の工程を含む:
(a)不活性なガストロカインタンパク質を有するかまたはガストロカインタンパク質を有さないマウスを得る工程;
(b)マウスにおけるタンパク質の欠如の影響を決定する工程;
(c)マウスに漸増レベルのタンパク質を投与する工程;および
(d)胃腸管上皮の変化を、上皮中のタンパク質レベルと相関させる工程。
【0028】
ガストロカインに対する抗体を使用して、定量的免疫学によってそのレベルを測定するキットが企図される。レベルを、疾患の状態および処置効果と相関させ得る。
【0029】
哺乳動物の胃腸管に対する損傷後の上皮細胞の遊走を刺激する方法は、以下の工程を含む:
(a)上皮細胞を、タンパク質に由来するペプチドを含む組成物と接触させる工程;および
(b)上皮細胞の遊走を可能にする環境条件を提供する工程。
【0030】
哺乳動物の胃腸管の傷ついた上皮細胞の細胞保護のための方法は、以下の工程を含む:
(a)損傷した上皮細胞を、ガストロカイン群のタンパク質またはこのタンパク質に由来するペプチドを含む組成物と接触させる工程;および
(b)上皮細胞の修復を可能にする環境条件を提供する工程。
【0031】
損傷した細胞は、潰瘍を形成し得る。
【0032】
(発明の詳細な説明)
(1.概要)
新規遺伝子産物、ガストロカイングループのメンバーを、ブタ胃の異なる領域から得たcDNAライブラリーの差次的スクリーニングによって、哺乳動物の胃幽門洞粘膜において検出した。cDNA配列は、シグナルペプチドリーダー配列を含む185アミノ酸のタンパク質を予測した。cDNAをヒトライブラリーからも単離した。ブタおよびヒト間の、予測されたアミノ酸配列同一性は76.3%である。その配列は、分泌タンパク質に特徴的な20アミノ酸のシグナルペプチドを予測した。このN−末端シグナルペプチドの切断は、ブタタンパク質で確認された。細菌で発現したヒトcDNAの産物に対する抗体を、ウサギで惹起した;これらの抗体は、試験した全ての哺乳動物種(ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラットおよびマウス)の18−20kD幽門洞抗原と反応した。mRNAレベルと一致して、AMP−18タンパク質は、胃幽門洞においてのみ高レベルに発現する;胃の残りの部分または十二指腸ではほとんど検出されず、そして様々な他の試験した組織では検出されなかった。AMP−18は、管腔表面粘膜細胞で合成される;免疫電子顕微鏡検査は、これらの細胞の分泌顆粒中にAMP−18の位置を突きとめる。マウスおよびブタの幽門洞組織由来の部分的に精製されたAMP−18調製物は、培養物においてコンフルエントな胃上皮細胞および腎臓上皮細胞に対して分裂促進性である;この効果は、特異的抗血清によって阻害され、AMP−18、すなわちその産物は増殖因子であることを意味する。
【0033】
AMP−18は、おそらく粘液とともに分泌され、おそらくペプチド誘導体として、粘液ゲル中で機能して上皮の完全さを直接的に維持し、そしておそらく病原体に対して作用する。培養物中で上皮細胞系統に対して観察される増殖因子活性を考慮して、AMP−18またはそのペプチド誘導体は、胃上皮のオートクリン(そしておそらくパラクリン)因子として作用するようである。AMP−18の機能は、単純に分裂促進因子としてだけでなく、それに加えて成熟管腔表面細胞を補充するシグナルを提供する分化因子として作用し得る。AMP−18タンパク質またはその誘導体は、高度に活動的な胃粘膜の正常な維持におそらく重要であり、そして損傷後の幽門洞上皮の復旧に決定的な役割を果たしているようである。このタンパク質はどの出版物においても特徴付けられていないが、関連する核酸配列がESTとして、そして同様の全長遺伝子として報告された。ESTデータの限界は、本発明で開示されたような、開始配列、シグナルペプチド、または生物活性を担うタンパク質の配列についての情報をもたらし得ない。多くのこれらESTが哺乳動物の胃cDNAに関して報告されたが、関連するESTが膵臓および妊娠子宮のライブラリーに関しても報告された。これら他の組織におけるAMP−18RNAの発現は低いようであるが(膵臓に関してPCR分析によって示されたように)、これらの結果は、この増殖因子は胃で見出される特異的な高レベルの発現によって示されるよりも広い発達的役割および生理学的役割を有し得ることを示唆する。
【0034】
AMP−18タンパク質は、胃腸(GI)管の細胞層の表面に発現しているようである。発現細胞は、貯蔵された増殖因子を、必要な場所−表面損傷に起因して、細胞修復が必要なGI管の陰窩および割れ目に放出し得る。
【0035】
AMP−18は、漿膜側の基底外側細胞表面レセプターを通して作用するプロスタグランジンおよび他の増殖因子と共同で、上皮細胞の粘膜、先端表面に作用し得る。そのタンパク質またはその誘導体は、胃の機械的ストレスおよび高酸性にもかかわらず、高度に活動的な胃粘膜の正常な維持に重要であるようである。AMP−18は、アルコール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、または病原体、特に、幽門洞に優勢に感染しそして胃潰瘍およびおそらく癌の原因であるHelicobacter pyloriのような因子による損傷後の胃上皮の修復に重要な役割を果たし得る。
【0036】
(2.生物活性)
AMP−18アミノ酸配列の中央領域に相当する合成ペプチド(42アミノ酸、「42マー」)もまた、増殖因子活性を有し、それは特異的抗血清によって阻害される;いくつかの関連するより短いペプチドも刺激活性を有するが、他は42マーの活性を阻害し得る。この結果は、飽和可能な上皮レセプターがAMP−18について存在し、そしてタンパク質の生物活性領域を分析し、そして推定レセプターを同定する直接的な道を開くことを示唆する。AMP−18は、公知のサイトカインまたは細胞保護タンパク質(トレフォイルペプチドのような)のいずれとも構造が類似していないので、タンパク質、ならびにその活性および阻害性関連ペプチドの、細胞との相互作用の分析は、細胞増殖制御に関与する新規分子相互作用を明らかにする機会を提供する。
【0037】
BSC−1細胞の増殖を、ゲル画分ブタ幽門洞抽出物によって刺激し;ブタ抽出物タンパク質(250μg)を、2つのレーンそれぞれにロードし、そしてポリアクリルアミドゲル(12.5%)で電気泳動に供した;M14kDaおよび21.5kDaの間の各領域から5つの薄切片(2−3mm)を、実験的レーンから切り取った。切片の各対を、200μlの滅菌PBS、3%のアセトニトリル、および1%のBSAを含むシラン処理マイクロチューブに入れ、そして浸軟した;タンパク質を22℃で18時間、激しく振とうしてゲルから溶出した;次いで、試料をマイクロ遠心し、そして上清の試料を、BSC−1細胞のコンフルエントな培養物に加えた;細胞数を4日後に計測した;最大の増殖刺激を、約18kDaのMに対応するゲル切片から溶出された抽出物を加えた培養物で観察した;培養培地に加えられた組換えヒトAMP−18に対する抗血清は、18kDa画分による増殖刺激を完全に阻害した(+Ab);値は2つの培養の平均である;SEは平均の10%より少ない。
【0038】
AMP−18の生物活性(胃腸管の上皮細胞に関して分裂促進性)は、タンパク質のC末端側の半分に位置する。エピトープ配列は、分裂促進性配列のすぐN末端側にあるようである。
【0039】
増殖因子である生物活性は、全長タンパク質配列の位置78位〜119位までの少なくとも42個のアミノ酸を含むペプチドによって示される(表1を参照のこと)。この領域に対する抗体は、分裂促進活性を遮断した。104〜117までのアミノ酸配列を有するペプチドは分裂促進活性を有していたが、この領域に対する抗体はその活性を遮断(阻害)しなかった。位置97位〜117位までのアミノ酸配列を有するペプチドは、42個のアミノ酸配列を有するペプチドと同じ分裂促進活性を有するが、合成ペプチドとして産生するのにより安価である。
【0040】
(3.生物活性の阻害)
マウスまたはブタ幽門洞細胞抽出物によって刺激された上皮細胞の増殖を、完全、組換えヒトAMP−18前駆体タンパク質に対するウサギ抗血清によって遮断した;BSC−1細胞のコンフルエントな培養物を調製した;マウスまたはブタの幽門洞細胞抽出物を調製し、そしてそのタンパク質濃度を測定した;細胞抽出物単独、および異なる希釈の抗血清、または抗血清単独(1:100希釈)と共に培養培地に加え、そして細胞数を4日後に計測した。マウス幽門洞ガストロカインによる増殖刺激は、1:400の希釈の抗血清によって最大阻害され(93%)、一方ブタ幽門洞タンパク質抽出物による刺激は1:100の希釈で完全に阻害された。記録した値は3つの培養物の平均であった;平均の標準誤差(SE)は平均の10%より低かった。
【0041】
AMP−18タンパク質に対する抗体は、インビボで胃腸管における異なるレベルのタンパク質を決定する診療的な用途を有する。通常より低いレベルのAMP−18タンパク質が存在する場合、潰瘍が発達する可能性がある。正常値は、当業者に公知の技術によって、すなわち試験される人々の代表的な試料を得(年齢、性別、臨床状態カテゴリー)、そしてタンパク質定量の標準的な技術を適用することによって決定される。AMP−18レベルに対するアスピリンおよびインドメタシンの効果もまた、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む薬物の有害なレベルをモニターするために有用である。胃癌細胞系統は、少なくとも本明細書中で開示される検出方法によっては、AMP−18タンパク質を発現しない。
【0042】
(4.ゲノムDNA)
遺伝子調節エレメントの分析に対する前置きとして、ゲノムAMP−18 DNA配列が、ヒトおよびマウスでクローニングされた。これらは、おそらく、遺伝子が活性であり得る組織における遺伝子発現レベルの大きな差異を決定する。上流および下流隣接配列が、遺伝子ノックアウトの標本としてマウスゲノムDNAから単離されている。隣接ゲノム配列が、おそらく胃およびそれが発現し得る少数の他の組織における非常に異なる遺伝子発現レベルを決定する。異なる調節エレメントの関与によって、ガストロカイン遺伝子は他の組織において増殖因子として発現され得る。
【0043】
(5.本発明のガストロカインの使用)
AMP−18タンパク質およびそれ由来の特定のペプチドは、胃および腸上皮細胞(および腎臓)による増殖および創傷修復を刺激し得るので、これらのガストロカイン分子は、薬剤学的介入、放射線治療、または手術の後の損傷されたGI管の修復を速める治療剤の候補である。それに加えて、ガストロカインに対して発達させた抗体を、多様な病理学的状態において血液組織のAMP−18タンパク質またはペプチドのレベルを測定するためにキットで使用し得る。これらの新規分子は、胃潰瘍、および炎症性腸疾患の治療において大きな治療的可能性を有し、一方その機能を阻害する新規薬剤は、GI管の癌の処置に有用であることを示し得る。
【0044】
胃は、多くの細菌にとって生来の場所ではなく、そして酸性で生存し得る細胞はそこに定着しない(Rotimiら、1990)。従って、幽門洞領域が、ヒト人口の大部分に感染し(70年目までに>60%)、そして胃炎、胃潰瘍および十二指腸潰瘍(Goodwinら、1986;Blaser、1987)、および胃腺癌(Nomuraら、1991;Parsonnetら、1991)に関連する因子である、Helicobaccter pyloriの接着、侵入、および細胞溶解効果の好ましい部位であることは興味深い。従って上皮細胞増殖因子として、AMP−18は細菌の侵入および細胞溶解によって引き起こされた損傷を改善するよう作用し得る。AMP−18の特異的幽門洞発現およびH.pyloriの好ましい結合部位を合わせて考慮すれば、その細菌はAMP−18を刺激因子(tropic factor)として使用する可能性がある。H.pyloriはフコースを含むムチン顆粒を有する幽門洞細胞に付着する(Falkら、1993;Baczakoら、1995)。これらの顆粒はまた、AMP−18も含み得る。両生類Xenopus laevisの胃で、抗菌ペプチドが発見された(Mooreら、1991)。AMP−18構造のいくつかのドメインは、マガイニンのドメインと類似しており、そしてAMP−18は腸細菌と相互作用する可能性がある。
【0045】
(6.ブタAMP−18の単離)
ヒトAMP−18タンパク質に対する抗血清を使用して、ブタ幽門洞粘膜の抽出物からこのタンパク質を精製するのを補助した。全組織抽出物に適用した免疫親和性方法はあまり有効でなかったが、細胞画分をモニターするためのイムノブロット、勾配遠心分離およびゲル電気泳動を使用することによって、十分な量のブタ18kDaポリペプチドを精製して、天然N末端は、シグナルペプチドについて予測されるアラニン−アスパラギン酸部位における、ORFのN末端からの20個のアミノ酸の切断によって予測されるものであることを、配列決定によって確認した。成熟タンパク質におけるアスパラギン残基の豊富さにもかかわらず、糖化に特徴的なコンセンサスな状況に合うものは存在しない。このタンパク質のかなり長い領域が、両親媒性ヘリックス形成傾向を有し得る。後者は、処理後に生物活性ペプチドを産生するタンパク質内のユニットを示し得る。円二色性(circular dichroism)を用いて、ヒトプレAMP配列(図3)のアミノ酸126−143に相当する合成ペプチドは、マガイニン型の抗菌ペプチドを含む、いくつかの生物活性ペプチドのヘリックス傾向を評価するために使用される、中程度のトリフルオロエタノール濃度の条件で、容易にらせん状になるよう誘導される(例えばParkら、1997を参照のこと)。
【0046】
(7.E.coliにおける活性組換えヒトAMP−18の調製)
20個のアミノ酸の疎水性シグナルペプチド配列を、6個のヒスチジン残基のストレッチを含むN末端の12個のアミノ酸ペプチドで置換した、ヒトAMP−18をコードするcDNAを設計した(図13、左のパネル)。この改変cDNA配列の発現は、177個のアミノ酸タンパク質産物(M19,653)を産生することが予測され、このアミノ酸タンパク質産物は、His−6タグに結合するNi−NTA樹脂を用いて容易に精製され得る。N−末端シグナルペプチドをコードする領域を欠くcDNA配列(図14を参照のこと)を、QE30発現ベクター(QIAGEN)のBamHI部位へ産物を挿入するのに適当なリンカーを提供するオリゴヌクレオチドを用いて、PCRによって増幅した;組換えベクターの配列を確認した。His−6タグで操作した組換えヒト(rh)AMP−18を、続いてE.coli細胞で発現した。それを回収するために、細菌を溶解し、そして可溶性および不溶性画分のアリコートをSDS−PAGEに供し、その後rhAMP−18前駆体に対する特異的ウサギ抗血清を用いてイムノブロッティングした。発現したタンパク質は、溶解物の可溶性画分にはほとんど検出されなかった。
【0047】
尿素(6M)を用いて、不溶性画分からタンパク質を放出し、His6−タグを含むrhAMP−18を可溶化し、そしてNi2+荷電樹脂への結合に利用可能にして、続いてそれからイミダゾールの勾配(0〜200mM)で溶出した。溶出されたrhAMP−18の量を、BCAアッセイを用いて測定し、そして予測された19−20kDの大きさの単一バンドの出現を、SDS−PAGE、続いてイムノブロッティングによって確認した。溶出されたrhAMP−18が復元して分裂促進性の構造をとるかどうか決定するために、溶出物のアリコートを(透析によって尿素およびイミダゾールを除去した後)、IEC−18細胞の培養物に加え、そして細胞数を4日後に計測した。図13(右のパネル)は、組換えタンパク質が、分裂促進性AMPペプチド77−97(または図11に示されるブタ由来の可溶性幽門洞組織抽出物)を刺激するのと同じ最大程度細胞の増殖を刺激するが、ペプチド77−97より1オーダー低い程度の最大半減濃度で刺激することを示す。AMPペプチド77−97は成熟タンパク質を指す;表1におけるヒト前駆体タンパク質のペプチド97−117と同じである。これらの観察は、多様な臨床的状況で利用し得る生物学的に活性な組換えヒトAMP−18が入手可能であることを示す。rhAMP−18の分裂促進能力は、インビボで胃の維持および修復に関与するネイティブな胃細胞増殖因子で予測されるナノモルの範囲である。
【0048】
(材料および方法)
(1.幽門洞特異的cDNAクローンの単離)
胃酸分泌ならびに粘膜および膵臓細胞の増殖を調節する(Yooら、1982)胃腸(GI)ペプチドガストリンのcDNAクローンを単離した。これらのスクリーニングから、胃の幽門洞において比較的特異的に発現されるいくつかの他のmRNAを発見した。これらRNAの1つにおけるオープンリーディングフレーム(ORF)は、ブタおよびヒトの間で高度に保存されており、そしてすぐに明らかな機能を持たない新規保存タンパク質を予測した。特異的抗体を使用して、同様のタンパク質種が、試験した全ての哺乳動物の胃幽門洞粘膜に存在することを示した。これらの配列の発現に組織特異性が存在し、そしてそれらは明らかに哺乳動物種の幽門洞粘膜に普遍的に存在する。
【0049】
(2.RNA発現)
cDNAクローンの単離が、胃幽門洞の粘膜における優先的な発現について予測され、そしてこれは、最初にcDNA配列でプローブした様々な組織由来のRNAのノーザンブロットハイブリダイゼーション、そしてその後のタンパク質分析によって確認された。ノーザンブロットは、ブタの胃腸管内におけるmRNA発現の特異性を示した。最も高いmRNA発現は、幽門洞粘膜であり、隣接する体の粘膜では変動する量、そして底、食道および十二指腸では検出不可能なレベルであった。幽門洞および体の非粘膜組織は、cDNAプローブと反応するRNAをほとんど含んでいなかった。
【0050】
(3.発現されたタンパク質に対する抗体)
ヒトおよびブタcDNAクローンのオープンリーディングフレーム(ORF)は、非常によく似た比較的低分子量(MW)のタンパク質を予測し、それはコンピューターデータベースの公知のタンパク質と近いホモログを有さず、従って可能性のある機能についてほとんど示さない。推定タンパク質の生物学的役割を研究するアプローチとして、N末端His6タグもコードするベクターを用いて、全cDNA配列をE.coliで発現させた。残念ながら、細菌で発現した場合、そのポリペプチド産物は不溶性であり、そして生化学的研究のために容易に従わない。しかし、ヒトcDNAの細菌産物を、抗血清を誘発するためにウサギで免疫原として使用したドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲルで分離した。その血清を、多数の哺乳動物種由来の幽門洞組織のタンパク質抽出物に対してスクリーニングした。この手順は、免疫原と試験した哺乳動物の幽門洞で発現する約18kDaのタンパク質の両方を認識し得る、いくつかの高力価、低バックグラウンドの抗血清を産生するのに成功した。細菌で発現したタンパク質は、シグナルペプチド配列およびHis6タグを含むので、よりゆっくり移動する。免疫前血清は、有意な18kDa反応性を示さなかった。ヒトcDNAクローンから発現したタンパク質に対して惹起された抗血清の、様々な哺乳動物(ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラットおよびマウス;最後はSDSゲルにおいて常にわずかにより速く移動する)由来の幽門洞抽出物の非常によく似たMWのタンパク質との交差反応性は、ヒトおよびブタcDNAのORFの比較によって予測されたアミノ酸配列の保存のレベルを支持する(図10を参照のこと)。その後の実験において、シグナルペプチドを有するヒトAMP−18を細菌で産生した。
【0051】
免疫前血清は、全ての組織抽出物のウェスタンブロットでわずかな反応を与えるが、2つの免疫血清(1:50000希釈までで)はどちらも18−20kDaの主なバンドのみを与え、それらは胃幽門洞抽出物においてのみであり、そして隣接する体抽出物においてはより少ない程度である。その血清は、細菌で発現したタンパク質に対して惹起したので、動物起源の他の外来性免疫原の可能性は存在しない。
【0052】
イムノブロットによって決定されたように、幽門洞に対する発現の特異性は、ノーザンブロットが示唆するよりも大きく、そして幽門洞抽出物からのシグナルの強度は、タンパク質が比較的豊富にあることを意味するが、定量的推定は行なわなかった。試験した非胃組織において有意な抗原は検出されなかった。
【0053】
免疫組織化学は、両方の免疫前血清による幽門洞組織のわずかな染色を示し、一方、両方の免疫血清は、表面粘膜細胞をかなりの希釈で非常に強力に染色した。免疫前血清は、免疫電子顕微鏡研究における免疫金染色を引き起こさなかった。幽門洞抽出物の増殖因子活性は、両方の免疫血清によって阻害されるが、免疫前血清によって阻害されない。最後に、増殖因子活性を有し、免疫血清によって阻害されるが免疫前血清によって阻害されず、そして免疫血清によって認識されるが免疫前血清によって認識されないエピトープを有する合成ペプチドの結果は、これら試薬の特異性をさらに確認する。
【0054】
(4.ブタ胃粘膜組織由来のRNAのノーザンブロットハイブリダイゼーション)
全RNAを電気泳動し、膜に移し、そして標識されたブタAMP−18 cDNAプローブとハイブリダイズさせた。各レーンのRNA試料の供給源は以下の通りである:1.遠位十二指腸;2.近位十二指腸;3.幽門洞;4.隣接する体;5.底;6.食道。等量のRNAをロードした。幽門洞に隣接する体のRNAからのシグナルは変動した。サイズマーカー(ヌクレオチド)を、比較のために同じゲルに流した。
【0055】
(5.ヒト幽門洞特異的cDNAクローンによって指示された、細菌で発現したタンパク質に対して惹起されたウサギ抗血清を用いたイムノブロット)
全組織タンパク質を、SDS緩衝液に溶解し、電気泳動し、そして膜に移動させて免疫血清(1:50000)と反応させた。結合した抗体分子を、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギ抗体を用いて検出した。免疫前血清は、1:200希釈で同時に行なったブロットの特異的染色を与えなかった。レーン:1、6、13、17はマーカーを含んでいた。2 HeLa細胞。3 マウスTLT細胞。4 発現ヒトタンパク質+HELA細胞。7 マウス体。8 マウス幽門洞。9 マウス十二指腸。10 マウス腸。11 マウス肝臓。12 発現ヒトタンパク質+TLT細胞。14 マウス幽門洞。15 マウス脳。16 マウス腎臓。18 ブタ幽門洞。19 マウス幽門洞。
【0056】
高パーセントアクリルアミドゲルのイムノブロットは、抗血清が合成ペプチド78−119上のエピトープを認識したことを示した。配列のこの領域は、タンパク質の表面に露出しており、そして抗原性であることが予測されたので、ペプチド78−119の抗体との反応は予期しないものではなかった。これは、AMP−18またはその直前の前駆体が上皮細胞の増殖因子であるという考えをさらに実証するだけでなく、AMP−18の生物活性(および抗原性)領域の分析の基礎、および細胞レセプター数および同一性を評価するツールも提供する。ペプチドの化学合成はまた、さらなる細胞研究のために、かなりの量の純粋な「野生型」および「変異」試薬の簡便および迅速な供給源を利用可能にする。それらの最大効果は相加的でないので、合成ペプチド78−119は、明らかに幽門洞タンパク質と同じメカニズムで作用する。
【0057】
(6.プレAMPオープンリーディングフレームの配列および予測される構造)
ヒトおよびブタの予測されるアミノ酸配列は76%同一である。予測されるシグナルペプチドは目立たない;天然ブタAMPのN末端は、アスパラギン酸塩であることが示された(図10)。
【0058】
(7.ネイティブタンパク質の構造)
ヒトおよびブタcDNAのORFは、同様の一般構造のポリペプチドを予測した(図10)。他に未修飾のヒトおよびブタタンパク質について予測される分子量は、それぞれ18.3および18.0であった;これらの値は、本発明の抗血清と反応する幽門洞タンパク質のSDSにおける電気泳動移動度とよく一致する。
【0059】
抗血清を使用して、ブタ幽門洞粘膜の抽出物からのタンパク質の精製を補助した。全組織抽出物に適用した免疫親和性方法は、あまり有効でないことが示されたが、細胞分画をモニターするためのイムノブロット、勾配遠心、およびゲル電気泳動を使用することによって、十分な量のブタ18kDaポリペプチドを精製し、配列決定によって、ネイティブN末端が、正確にシグナルペプチドの除去のために予測されるアラニン−アスパラギン酸部位におけるORFのN−末端から約20個のアミノ酸の切断によって予測されるものであることを確認した。アスパラギン残基は豊富にあるが、糖化のコンセンサスコンテキストにあうものはなかった。両親媒性ヘリックス形成傾向を有し得るかなり長い領域。後者は、タンパク質内のユニットまたは処理後のペプチドに相当し得る。円二色性を用いて、ヒトプレAMP配列(図3)のアミノ酸126−143に相当する合成ペプチドは、マガイニン型の抗菌ペプチドを含む、いくつかの生物活性ペプチドのヘリックス傾向を評価するために使用される、中程度の濃度のトリフルオロエタノール条件において、ヘリックスになるよう容易に誘導される(例えばParkら、1997を参照のこと)。
【0060】
(8.AMP−18の局在化)
AMP−18に対する抗血清は、マウス幽門洞領域の切片と強く反応するが、底、十二指腸、または腸と反応しない、優れた組織化学的プローブであることが証明され、イムノブロットの結果を確認した。免疫前血清はより高い濃度ででもわずかな反応を与える。AMP−18タンパク質は、胃管腔を裏打ちする粘膜上皮細胞に集中しているようであるが、組織のより深部の細胞および上部陰窩領域におけるより少ないシグナルは、細胞が、管腔層に向けて移動するにつれてタンパク質を発現し始め得ることを示唆する。組織化学的調製物のより高い倍率は、このレベルの解像度では、一般的な細胞質染色しか示さない;光学顕微鏡の、電子顕微鏡(EM)によって見られるいくつかの管腔表面細胞の顆粒が詰まった領域と同じものであり得る、強力な染色のパッチがいくつか存在する。従って幽門洞粘膜におけるAMP−18の局在は、粘膜層の深部にあるガストリンを合成する細胞とは非常に異なっている。
【0061】
(9.マウス胃幽門洞粘膜細胞におけるAMP−18抗原の免疫電子顕微鏡局在化)
組織片を4%のホルムアルデヒドで固定し、そしてUnicrylにおける包埋について処理した。薄片をウサギ抗ヒトAMP−18抗血清(1:200)と反応させた;結合した抗体を、10nmの金コロイドに結合体化したプロテインAによって検出した。反応した切片を見る(20,000×)前にクエン酸鉛で染色した。金粒子は半透明の分泌顆粒の上に見え、それは免疫反応性の必要条件のために、標準的なグルタルアルデヒド−オスミウム−エポン(epon)手順(11,400×)よりもここはでより半透明であるようであった。他の細胞質構造に対してほとんどバックグラウンドが見えなかった。
【0062】
タンパク質の一般構造は、潜在的な分泌役割を示すので、正確な細胞内局在化が貴重である。これはEM免疫細胞化学手順を必要とする。標準的な包埋および染色方法が、以前に他の多くによって報告されたように、幽門洞領域(例えばJohnsonおよびMcMinn、1970)は分泌顆粒が非常に豊富である粘膜上皮細胞を含むことを明らかにする。予備的な免疫EMデータは、1:200−1:800の希釈で使用された免疫血清が、分泌顆粒と特異的に反応することを示す。後者は、いくらか膨張して、そして標準的固定条件よりも電子不透明ではないようであり、そして密度の差異は識別困難であるが、全体として細胞構造は、免疫反応性を保存するために必要なあまりストリンジェントでない条件下で固定および包埋した胃組織で非常に良好に保存される。1:100の希釈で、免疫前血清は、分泌顆粒に優先的でなくわずかなバックグラウンドを示した。
【0063】
(10.上皮細胞培養における増殖因子活性)
AMP−18の考えられる機能は、それが幽門洞およびおそらく胃の他の場所における機能的粘膜上皮の維持を少なくとも部分的に司る増殖因子であるということである。最初に、胃上皮細胞系統はすぐに入手可能でなかったが、腎臓上皮細胞システム(Karthaら、1992;Aithalら、1994;Lieskeら、1994)を使用した。分画した幽門洞粘膜細胞抽出物を、これらの実験のために使用した。分画をフォローするためにプローブとしてイムノブロッティングを使用して、ブタまたはマウス幽門洞のいずれかからけずった粘膜細胞の溶解時に、AMP−18抗原はスクロース密度勾配の35S画分に回収された。そのような高速上清画分が、細胞増殖に関する研究のための開始材料となった。予期しないことに、これらの抽出物は、コンフルエントなサルの腎臓上皮細胞(BSC−1細胞)において50%の増加を刺激したが、HeLaまたはWI−38線維芽細胞に影響を及ぼさなかった。BSC−1細胞の刺激は、少なくともその最適な濃度でアッセイした、EGF、IGF−I、aFGF、bFGF、およびバソプレシンを含む多様なポリペプチド分裂促進因子で観察されるものと同じくらい有効であった。DNA合成を、[H]チミジンの酸不溶性物質への組込みを測定することによって評価した場合、幽門洞抽出物による同様の増殖刺激が観察された。幽門洞抽出物の生物学的活性は、65℃で5分間の加熱、およびほとんどのオリゴペプチドを除去する10kDaのMカットオフを有する膜を用いた透析を耐えた;この処理は60−70%のポリペプチド物質を除去するが、イムノブロットによってアッセイしたようにAMP−18を容赦した。より重要なことに、マウスまたはブタ幽門洞抽出物によるBSC−1細胞の分裂促進刺激は、ヒト組換えプレAMP−18(細菌で発現した)に対する2つの異なる抗血清のいずれかを培養培地に加えた場合に阻害された。免疫前血清(1:100から1:800)は、細胞増殖に影響を与えず、幽門洞抽出物の分裂促進効果も変化させなかった。これらの観察は、胃粘膜細胞AMP−18は、通常このタンパク質を発現しない腎臓上皮細胞の強力な分裂促進因子として機能することを示唆する。
【0064】
部分的に分画した幽門洞抽出物における増殖促進活性は、AMP−18タンパク質によって媒介されたというさらなる証拠を得るために、マウス抽出物のアリコートを、以前に天然タンパク質のN−末端配列を決定するために使用した方法である、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた。ゲルを2mmの切片に切断し、そして各切片を、1%BSAを含むリン酸緩衝化生理食塩水中3%のアセトニトリルで抽出した。抽出上清を、分裂促進活性に関してアッセイした。その結果は、16−19kDaの範囲のタンパク質を含む1つの切片が、増殖促進活性を有することを示した。有意に、この増殖反応は免疫血清によって阻害されたが免疫前血清では阻害されなかった。タンパク質の比較的低い沈降速度とあわせて、これらの発見は、AMP−18は上皮細胞分裂促進因子であり、そしてそれはモノマーとして、またはおそらく同型ダイマーとして機能するという結論を支持するさらなる証拠を提供する。それはまた、タンパク質の構造が、SDS−ゲル電気泳動の変性条件後にネイティブなコンフォメーションを容易に再獲得し得るような構造であることを意味する。
【0065】
幽門洞増殖因子活性と他のサイトカインとの相互作用を評価するために、その活性を試験して、それが上皮細胞培養においてEGFと相加的であるかどうかを決定した。未処理マウス幽門洞抽出物(10μg/ml)、または加熱、透析ブタ抽出物(10μg/ml)と共に加えたEGF(50ng/ml)は、細胞数の静止レベルを超えて74%の増加まで、分裂促進の相加的刺激を示した;それはBSC−1細胞アッセイを用いたあらゆる因子で今までに観察された最も大きい刺激であった。この相加性の例を図11にAGS細胞に対するAMPペプチドおよびEGFに関して示す。この観察は、AMP−18およびEGFが、異なる細胞表面レセプターに作用することによって増殖を開始することを示唆する。それはまたAMP−18増殖因子活性が、上皮の維持または復において、通常他のオートクライン因子およびパラクリン因子と協同作用し得ることを意味する。EGFの結果を考慮して、他の因子(EGFがその例となり得る)は基底表面から作用するが、AMP−18は上皮細胞層の先端面(すなわち胃管腔面)で分泌され、そしてそこで作用するようである。
【0066】
(11.ガストロカイン(AMP−18)関連ペプチドの生物活性)
本発明の合成ペプチドの活性は予期しないものである。ヒトcDNAクローンペプチドのORFに基づくペプチドを、University of Chicago Cancer Center Peptide Core Facilityで合成し、そこで産物の配列および質量スペクトルをチェックした。ペプチドをHPLCによってさらに精製した。シグナルペプチドを含まずに、およそタンパク質の長さに広がる5つの比較的大きなオリゴペプチド(それぞれ約40アミノ酸)を分析した。予測されるヘリックスおよびグリシン−プロリン(GP)ターンを含む、プレAMP配列のアミノ酸lys−78からleu−119まで広がる42アミノ酸長の1つのペプチド(タンパク質の成熟型のペプチド58−99;表1を参照のこと)は、高い分裂促進活性を有していた。この反応は、特異的抗血清によって阻害されたが、免疫前血清によって阻害されなかった。
【0067】
(表1:プレ−ガストロカイン(プレ−AMP−18)の配列に基づく合成ペプチドの生物活性)
【0068】
【表1】
Figure 2004532037
表1:ヒトおよびマウスプレ−ガストロカイン(プレ−AMP−18)配列から得た分裂促進ペプチドの分析。14アミノ酸の分裂促進ドメインは太字である。ペプチドはプレ−ガストロカイン(プレAMP−18)のアミノ酸配列におけるその位置によって同定される。#AA;ペプチド中のアミノ酸の数。K1/2;最大半減増殖刺激の濃度。
【0069】
重複する不活性ペプチドが、分裂促進ペプチドの活性を阻害し得る:すなわち、ヒトペプチド78−88および87−105は、ペプチド78−119の活性を阻害し、そしてペプチド87−105はペプチド104−117の活性を阻害するが、ペプチド78−88は阻害しない。ペプチド78−88および87−105は胃抽出物中のタンパク質の活性を阻害する。
【0070】
**スクランブル
(12.ガストロカイン(AMP−18)の増殖刺激ドメイン)
新規幽門洞粘膜細胞タンパク質AMP−18の中央領域に相当する42アミノ酸ペプチドが、ブタおよびマウス幽門洞抽出物中のそのままのタンパク質と特徴が同様の分裂促進活性を有する(表1)という発見は、分子の生物活性領域の特徴付けを促進した。78位−119位のアミノ酸を含むペプチドが、組織抽出物によって与えられるものと同様の、BSC−1上皮細胞系統の増殖の最大刺激を与え、そして細菌で発現した完全幽門洞タンパク質に対してウサギで惹起されたいくつかの異なる抗血清によって同様に阻害された。ペプチド「78−119」に関連する多くの合成「欠失」ペプチドの分裂促進活性を、表1にまとめる。増殖活性の決定は、今まで腎臓上皮細胞系統およびいくつかの胃および腸系統で達成された。
【0071】
ペプチド78−119のもとの42アミノ酸配列を、リシン(K)残基が境界となる3つの部分に分割した;N−末端からC−末端へ、これらは78位−88位、87位−105位、および104位−117位のアミノ酸を有するペプチドである。これらのうちペプチド104−117のみが、同様の増殖刺激のプラトーを与えるが、もとのペプチド「78−119」より高いモル濃度を必要とする分裂促進活性を有していた;これはより高いK1/2値に反映され、それは、14アミノ酸ペプチドが42アミノ酸ペプチドの活性の30−40%を有することを示唆する。これからの結論は、より小さいペプチドは、おそらく正しいコンフォメーションを形成する能力が低いために、またはあるいは補助的な結合領域の喪失のために、細胞レセプターに関してより低い結合親和性を有するということである。後者の考えは、ペプチド「78−88」および「87−105」が、インタクトな42マーペプチド78−119の活性に拮抗し得るという観察によって支持される;これらのペプチドは幽門洞抽出物の活性にも拮抗し、新規タンパク質の生物学的機能を分析する手段としての合成ペプチドの妥当性をさらに支持する。本発明のさらなる局面は、ペプチド87−105はペプチド104−117の活性に拮抗するが、68−88はしないことである;ペプチド87−105は隣接する104−117配列と2残基重複することに注意する。
【0072】
まとめると、これらの結果は、AMP−18の増殖刺激領域の比較的単純な直線モデルを示唆する;すなわち、N−末端の伸長した結合ドメイン(大部分がヘリックスであることが予測され、それの相対的な剛性が、細胞増殖研究で決定されたような関連配列の直線的構成を説明し得る)、次にターンの可能性の他は予測される構造を持たないグリシンおよびプロリンの豊富な領域が続く。増殖刺激の引き金を含むのはこの後者の領域である。ペプチド78−88および87−105による拮抗の特異性は、それらがアゴニストペプチド78−119および104−117と重複するか否かに基づき得る;例えば78−88は78−119と重複および阻害するが、104−117と重複または阻害しない。78−119スクランブルペプチドの不活性と合わせて、これらのペプチドによる競合の特異性は、AMP−18が特異的な細胞成分と相互作用するという結論を強化する。レセプター結合領域はペプチド104−117からN−末端に伸びるというさらなる証拠が、104−117の7アミノ酸のN−末端伸長を含むペプチド97−117の増強された活性によって提供される。C−末端方向へ4アミノ酸の延長を有するペプチド(ペプチド104−121)は、親104−117よりわずかに低い活性を有するようであるが、天然チロシンを含み、それは放射活性ヨウ素による標識を可能にし、それはまず結合部位の数の評価、および続いてレセプタータンパク質の検出によって、細胞に対するAMP−関連ペプチドの結合の決定を可能にする。
【0073】
その活性(42マーと同等)およびその相対的経済性(21アミノ酸の長さ)のために、ペプチド97−107をほとんどの試験で使用した。しかし、tyr−121までのC−末端延長は、おそらくそれは二次構造を安定化させるために、今までで最も活性なペプチドを与える。このペプチドは例えばEGFのナノモル活性に匹敵しないが、トレフォイルペプチドで報告されたものより非常に強力である(Podolsky、1997)。インタクトなAMPタンパク質の推定活性は約1−10nMである。
【0074】
(13.組換えタンパク質の発現)
(a)E.coli。組換え構築物を、一般的に、PT/CEBPベクター中の全長cDNA配列の適当な領域に相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって、操作し、そして標準的なベクターポリリンカーへの容易な挿入を可能にするのに便利な制限酵素部位まで伸長する。細菌システムにおけるAMP ORFの発現を用いた最初の実験は、Ni−NTA樹脂(Qiagen)における発現タンパク質の精製の促進を意図して、N−末端His6タグを含む(Jeonら、1994)、発現ベクターPT/CEBPを採用した。宿主BL21(DE3)pLySにおけるこのベクター中の全長ヒトcDNAの発現は、不溶性タンパク質の高い収率を与え、それは変性条件下の電気泳動後に、特異的高力価抗体を得るためにウサギで免疫原として使用するために適当であったが、それはそのタンパク質のネイティブ構造および機能を分析するために有用ではなかった。この不溶性は、おそらく発現タンパク質における、疎水性シグナルペプチドの上流にHis6タグを有する、非天然N−末端の存在のためである。疎水性シグナルペプチド配列なしにORFを発現するエンジニアリングベクターも有用である。これらをN−またはC−末端Hisタグありおよびなしで、細菌発現ベクターを用いて構築する。20アミノ酸のシグナルペプチドを欠き、そしてHis6タグを含むヒトAMP−18配列も、細菌で発現させた。
【0075】
(b)Pichia pastoris。単純な真核生物の中で、出芽酵母P.pastorisが、機能的組換えタンパク質の産生および分泌のために選択される発現システムとして一般的に広く知られている(Romanosら、1992;Creggら、1993)。このシステムにおいて、外来性タンパク質の分泌は、それ自身のシグナルペプチドか、または高度に適合性の酵母接合型アルファシグナルのいずれかを利用し得る。この有機体は、AMP−18タンパク質を正しくプロセシングおよび分泌および少なくとも部分的に修飾する。外来性遺伝子の構成的および調節性発現のためのベクターが、Pichiaで開発された(Searsら、1998)。ポリリンカークローニング部位に加えて、これらのベクターは、高発現構成的グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)またはメタノール調節アルコールオキシダーゼプロモーター(AOX1)のいずれかを含む。後者は、正常培養条件下で僅かな産物を産生するが、メタノールの存在下で、細胞タンパク質の30%と同程度までに達する、試験したベクターの最も高い発現を与える非常にストリンジェントなプロモーターである。酵母Pichiaが哺乳動物および昆虫の代替物に対して有する利点は、それが無タンパク質培地で連続的に増殖し、従って発現タンパク質の精製を単純化し、そして血清または宿主動物細胞由来の無関係の生物活性を排除することである。pIB4構築物(メタノール含有培地によって誘導可能)は、完全ヒトプレAMP−18cDNA配列を含む。
【0076】
(c)バキュロウイルス/昆虫細胞。代替の、多くの場合成功する、非哺乳動物真核生物発現システムは、昆虫細胞培養システムにおいてAutographa californicaのような組換えバキュロウイルスを使用するものである。Pichiaと同様に、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)およびHis6タグ(Pharmingen)を両方含む、簡便なベクターの大きなレパートリーがこのシステムにおいて利用可能である。トランスフェクションをSpodoptera frugiperda(Sf)細胞に対して行なう;これらの細胞を、分泌タンパク質の精製に有利なように、タンパク質を含まない培地にゆっくりと適応させ得る。内因性のシグナルペプチドがこれらの細胞で機能しない場合は、クローニング部位の上流にウイルスgp67分泌シグナルを含むベクターを用いて、外来性タンパク質の分泌も強要し得る。組換えタンパク質を、全細胞タンパク質の0.1−50%の範囲のレベルで発現し得る。いくつかのタンパク質修飾が、酵母と比較してこの昆虫細胞システムにおいてより有利であり得るが、依然として哺乳動物システムを再現し得ない。昆虫発現システムはPichiaよりいくらか面倒であり、そして哺乳動物細胞における発現の完全な代用にはならないようである。20アミノ酸のシグナルペプチドを欠き、そしてHis6タグを含むヒトAMP−18配列を、バキュロウイルスで発現した。
【0077】
(d)哺乳動物細胞。イムノブロット分析によって検出できない修飾が、哺乳動物細胞において起こり得、それは他の真核生物の細胞で再現されない。原核生物および単純な真核生物システムと同じくらい簡便ではないが、哺乳動物細胞は今や外来性タンパク質の一過性および持続的発現の両方にしばしば使用される。いくつかの増殖因子が、これらのシステムを使用して有意な量で発現および分泌された。
【0078】
プラスミドpcDNA3/ヒト腎臓293システム:pcDNA3は、強力な構成的サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびSV40ポリAシグナルに隣接するポリリンカークローニング部位を含む(Invitrogen)。実験室での経験では、60−90%の一過性トランスフェクションレベルを達成し得る。このために、ヒトプレAMPcDNAクローンのPCR増幅を、開始コドンおよびネイティブリボソーム結合部位(コザック配列)ならびにpcDNA3への正しい方向性のために適当な制限酵素リンカーを含むオリゴヌクレオチドを用いて行なう。強力な抗生物質ブラストサイジンSおよび耐性遺伝子を含むベクターを用いた一過性アッセイにおいて好ましい構築物を同定し、安定な哺乳動物トランスフェクタント細胞株を「1週間足らずで」確立し得る(Invitrogen)。利用可能なベクターはまた、構成的CMVプロモーター、ポリリンカークローニング部位、選択的V5−エピトープ/His6タグおよびSV40ポリ(A)シグナルを含む(PcDNA6/V5−His)。
【0079】
(14.AMP−18の変化した(修飾)形式の発現および分析)
「野生型」AMP−18の産生の効率的な発現システムが与えられれば、欠失または置換のいずれかを含む一連の変異タンパク質を作成し得、それは機能的ドメインの分析を可能にする。両親媒性ヘリックス、保存されたシステイン(C)残基および切断部位であり得る塩基性アミノ酸ダブレットが、魅力的な標的である。酵素アッセイと同じくらい単純ではないが、有糸分裂誘発アッセイは慣用的かつ反復可能であり、そしてそれらが構築されるのと同じくらい迅速な「変異体」の特徴付けを可能にする。ドミナントネガティブ(またはポジティブ)「変異体」は、潜在的な細胞レセプターを含む他の因子との相互作用を示すので、機能の単純な喪失を示す変異体と同じくらい重要である。
【0080】
(15.発現したおよびネイティブガストロカイン(gastrokine)タンパク質の生化学的および免疫親和性分画)
ガストロカインAMP−18のいくつかの発現形式の場合に、組換えタンパク質は、可溶性タンパク質の迅速な精製を可能にするペプチドタグを含む。これらのタグの存在は、もしそれらがタンパク質の通常の機能を著しく阻害しなければ、他の関連する高分子との相互作用の分析も可能にする。His6タグは、組換えタンパク質をNi−NTA樹脂ビーズへ結合させることによって精製を可能にする(Janknechtら、1991;QiagenのNi−NTA樹脂)。タグ化タンパク質は、ほとんどの抗原−抗体複合体よりも高い親和性で結合し、そしてNi2+−ヒスチジンキレート化複合体を過剰なイミダゾールで分裂させて精製タンパク質を放出する前に激しく洗浄され得る。GST−タグ化組換えタンパク質を、グルタチオン−アガロースで精製し、洗浄し、次いで還元グルタチオンで溶出する(SmithおよびJohnson、1988)。全ての提案された発現システムと同様に、各タンパク質調製物を、その増殖因子活性に関してできるだけ早い段階で試験し得る。
【0081】
従来の分画手順は、特に組織から天然タンパク質を単離する場合に、望ましい純度を達成するために使用される。後者に関してブタ幽門洞粘膜が好ましい開始点であり、最初に遠心および熱処理プロトコールを用いて、続いてサイズ排除カラムを使用する:18kDaタンパク質は、抽出物中でおそらくモノマーとして存在するという証拠を考慮して、BioGel P60が適当である。溶出物を、HiTrap Protein Aで精製した抗AMP抗体を、CNBr活性化Sepharose4B(Pharmacia)に架橋することによって作成した免疫親和性マトリックスにロードする。過去に有用であることが証明されたマトリックスに対するリンカーの延長によるか(Aithalら、1994)、または抗体を固定化プロテインAに架橋することによる、免疫親和性マトリックスのさらなる修飾が有用であり得る。活性タンパク質をSDS−ゲル溶出によって回収し得るので、活性タンパク質もまた抗原−抗体複合体から回収し得る。さらなる分画を、C8逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムによって達成し得る。最終的な工程は、N−末端配列決定による性質の確認を伴う、SDS−ゲル溶出技術の使用である。これらの工程の全てにおいて、免疫検出可能なAMP−18および増殖因子活性は、一緒に分画される。
【0082】
(16.AMP−18関連合成ペプチド)
AMP−18は、1つまたはいくつかの生物活性ペプチドの前駆体であり得る。合成ペプチドは、タンパク質の機能を調査する簡便な道を提供する;ペプチドは機能の局面を模倣し得るか、またはそれらに拮抗し得る。ペプチドがタンパク質の活性を再現または阻害するならば、それはもとのタンパク質の機能的ドメインのアイデンティティーを示唆し、そしてタンパク質−細胞相互作用を調査するために特異的にタグ化したプローブを合成する可能性も提供する。
【0083】
ヒトタンパク質の中央領域に相当する合成42アミノ酸ペプチドは、部分的に分画された幽門洞粘膜抽出物の増殖因子活性を模倣し得るという発見は、AMP−18機能の分析に近道を提供した。リシン対におけるいくつかの潜在的なタンパク質プロセシング部位に加えて、このペプチド(ペプチド58−99と呼ばれる;アミノ酸は、シグナルペプチドを除去した後の成熟タンパク質の58位−99位である)は、拡大したヘリックス形成可能な領域の1つおよびグリシン−プロリンループを含む。このペプチドのさらなる利点は、それは本明細書中で開示される抗血清の両方によって認識されるエピトープを含むことである。この配列由来のいくつかのより小さいペプチドを合成し、生物活性領域に焦点をあわせた。それらはこの領域の抗原性によって見られるように、タンパク質の表面に露出されることによって、タンパク質構造内の区別できるドメインを示し得るので、そしてインビボで生物活性ペプチドへの切断部位であり得るので、まずリシン残基が境界となる配列を研究した。グリシン−プロリン領域が重要である(AMP−18の生物活性ドメインを示す表1を参照のこと)。グリシン−プロリン配列は、SH3(src相同性ドメイン3型)リガンドに関与することが知られている(Cohenら、1995;Nguyenら、1998を参照のこと);SHドメインはタンパク質−タンパク質相互作用に関与するので、AMP−18のGP領域はタンパク質の細胞表面レセプターとの相互作用に関与し得る。AMP−18で見出される正確なGPGGPPP配列は、細胞内で作用するSH3ドメインで報告されていないので、それは細胞外リガンドのための新規タンパク質相互作用ドメインに相当するという興味深い可能性が存在する。成熟配列の97位−117位のアミノ酸から得られた21マーは、42マーと同様の活性を有する。このより短いペプチドは、様々な上皮細胞系統における増殖アッセイに有用である。このペプチドは、本明細書中で開示される抗血清によって認識されるエピトープを発現しない。
【0084】
AMP−18誘導ペプチドの全ては、University of ChicagoのCancer Center Peptide Core Facilityで合成され、そこでHPLCによって単離された精製ペプチドの分子量およびアミノ酸配列も確認した。ペプチド78−119の生物学的活性は、有糸分裂誘発活性を有するより小さなペプチドを探索する基礎を与えるだけでなく、正のまたは負の影響を有するアミノ酸置換を迅速に発見するのを可能にする。不活性なペプチドを、活性ペプチドまたはインタクトのAMP−18の機能を阻害する能力に関して試験した。ペプチドにおける潜在的なD−アミノ酸の含有(通常のまたは逆の順序で)は、生物学的機能の保持を可能にしながら、分解に対してそれらを安定化し得る。さらに活性ペプチドを合成する能力は、細胞レセプターの性質、組織分布、および数の研究を促進するタグを可能にする。そのようなタグは、His6ビオチンまたはペプチド配列に追加したヨウ化チロシン残基を含む(いくつかの生物活性ペプチドは、C−末端に天然に存在するチロシンを有する)。
【0085】
合成ペプチドはまた、機能に対する潜在的な二次構造の役割の評価を可能にする。活性ペプチド97−117の4アミノ酸のC末端伸長が、インタクトなAMP−18配列についてのらせんと類似のらせんを促進すると推定され、より活性なペプチド97−121をもたらすという知見は、興味深い。抗微生物マガイニン(magainin)ペプチドに類似するこれらの活性ペプチド(例えば、ペプチド126−143)のらせん傾向は、有用な情報を提供する。抗微生物ペプチドに関して、マガイニンクラスの機能は、両親媒性らせんを形成するそれらの能力に関連する(Boman,1995)。ラクタム架橋によりらせん形態にロックされ得る合成ペプチド(Houstonら,1996)は、生物学的活性を増強した;ラクタム形成のための少なくとも1対の適切な酸性アミノ酸残基および塩基対アミノ酸残基は、AMP−18の潜在的らせん領域中にすでに存在する。
【0086】
ペプチド研究の別の等しく重大な局面は、AMP−18の生物学的機能を拮抗する特定の抗AMP−18ペプチドの潜在的利用可能性である。組織培養研究により、増殖促進ペプチド78−119の部分ペプチド(sub−peptide)が、そのインタクトなペプチドの活性を拮抗し得ることが示される(表1を参照のこと)。細胞結合部位を占有し得るが活性に必須のいくつかの残基を欠き得るペプチドは、AMP−18の作用およびその活性ペプチドの作用をブロックし得る。このことにより、別のセットの試薬が、細胞レセプターの分析およびレセプター−リガンド親和性定数の評価に利用可能になる。所定のペプチドアンタゴニストの利用可能性は、完全な動物研究において有用であり、ヒトにおける天然タンパク質の活性を調節するように最終的に働き得る。
【0087】
(17.AMP−18および関連ペプチドの細胞との相互作用:細胞増殖の評価)
形質転換していないサル腎臓上皮細胞株BSC−1および他の上皮細胞株を使用して、増殖に対する効果を評価した。増殖のために最小量の仔牛(またはウシ胎仔)血清を補充した増殖培地中で細胞がプラスチックディッシュ中でコンフルエントになるまで増殖するように、一般に、各株について条件を選択した(Lieskeら,1997);BSC−1細胞は、1%仔牛血清を含有する10/60mmディッシュにてコンフルエントになる。増殖アッセイの開始時に、コンフルエント培養物の培地を吸引し、最小量の血清を含有する新たな培地と交換して、細胞の生存性を維持した(BSC−1について0.01%)。AMP−18調製物を培養培地に添加して、4日後、細胞単層をすすぎ、トリプシンを用いて剥がし、血球計算板を使用して、細胞を計数した。AMP−18がDNA合成を開始する能力の決定を、[H]チミジンの取り込みにより測定して(Toback,1980);DNA合成アッセイを確認し、ならした(leveled)細胞のオートラジオグラムを計数した(Kartha and Toback,1985)。
【0088】
タンパク質AMP−18は、洞粘膜において発現され、より少ない程度には、隣接する粘膜体(adjacent corpus mucosa)において発現される。しかし、洞抽出物および活性合成ペプチドの両方が、大部分の単純な上皮細胞株の増殖を刺激する。AMP−18またはそのペプチドについての天然の標的であり得る細胞とは別の、使用される主要基準は、増殖制御、特に細胞密度制限の基準であった。ヒト癌患者に由来する多くの形質転換された胃細胞株は、種々の供給源から入手可能であるが、これらのうちの大部分は、増殖制御を示さない。例えば、胃AGS腺癌細胞亜株(Dr.Duane Smoot(Howard University College of Medicineから入手)は、より大きな程度の接触阻害を示し、AMP−18およびその誘導体ペプチドに対して十分に応答した。これらの細胞は、天然にはAMP−18を合成しない。類似の応答は、形質転換していないラットIEC腸上皮細胞(Dr.Mark Musch,Dept.Medicine,University of Chicagoより提供された)で認められ;形質転換していないラットIEC腸上皮細胞は、培養において優れた上皮細胞特徴を示す(Quaroniら,1979;Digassら,1998)。
【0089】
(18.上皮細胞表面上のAMP−18についてのレセプター)
AMP−18の標的細胞レセプターの特徴は、このタンパク質にこれまで接触していないと予測される細胞上のレセプターの明らかな存在に起因して、魅力的である。初期増殖応答アッセイを、胃の因子(stomach factor)に十分応答する腎臓由来上皮細胞株で行った。胃細胞株、および形質転換していないラット腸上皮IEC−6細胞を使用して、洞の因子についての真の生理学的標的である可能性が高い細胞におけるレセプターを検討した。インビボでのこのタンパク質の作用に対する特異性は、そのレセプターの組織特異的性質ではなく、その発現のきわめて組織特異的な性質から生じる可能性が高い。AMP−18は、他の増殖因子と共有されるレセプターと相互作用し得ることが可能である。しかし、EGFおよび洞抽出物の付加的な増殖刺激は、AMP−18が、新規なレセプターを有し得ることを示唆する。
【0090】
AMP−18と相互作用する細胞膜中のタンパク質分子は、いくつかの異なる方法で探し出され得る。例えば、ビオチンもしくは放射活性ヨウ素で標識した純粋なAMP−18または関連ペプチドを使用して、細胞表面上の飽和可能な部位の数を予測した。結合値のスキャッチャード分析を使用して、レセプターの数および親和性を決定した。定量的研究については、結合を漸増AMPリガンド濃度にて測定し、非特異的成分を、過剰な非標識因子の存在下での結合を測定することにより同定した。ヨウ素化増殖因子を、細胞レセプターに架橋して、それらの同定を可能にした(Segariniら,1987)。標識したAMPリガンドを、細胞とともにインキュベートし、結合したリガンドを、ジスクシンイミジルスベレートによりレセプターに架橋する。標識タンパク質を、SDS−PAGEにより分離し、オートラジオグラフィーを使用して、架橋した複合体を可視化し、レセプターのMWの予測を可能にした。合成ペプチド模倣物またはアンタゴニストは、細胞レセプターの研究を可能にし、それらの特性は、おそらくクローニング技術により、将来の完全な同定の前に合理的に推論される。
【0091】
架橋研究に加えて、抗体、またはhis6タグ化AMP−18もしくはペプチドを使用して、AMP−18に結合する細胞タンパク質もしくは粘膜タンパク質を単離する。さらなるアプローチとして、固定化AMP−18アフィニティーマトリクスは、CNMBr活性化セファロースを使用することにより作製され得る。任意の細胞レセプターにより媒介されるシグナル伝達経路の分析の単なる取りかかりとして、アフィニティー単離物においてプロテインチロシンキナーゼ活性をアッセイする試験が利用可能である(Yarden and Ullrich,1988;Schlessinger and Ullrich,1992)。
【0092】
(19.AMP−18は生物活性なペプチドにプロセシングされるか?)
AMP−18の機能的分子形態が未知である。確かに、洞粘膜細胞において蓄積するタンパク質形態は、約18kDaであり、約10kDa未満のペプシンフラグメントと反応し、生体活性ペプチド78−119(わずか42アミノ酸を有する)とも反応するとしても、実質的な低MWポリペプチドの量は、抗血清を使用して検出されない。標識またはタグ化されたAMP−18へ接近させることは、このタンパク質が、洞の粘膜抽出物中で、またはこのタンパク質に応答する上皮細胞によりプロセシングされているか否かという問題を探査することを可能にする。
【0093】
(20.ヒトおよび動物におけるAMP−18の遺伝子)
ヒトcDNAクローンの配列に基づくプライマーを使用したPCR技術を用いて、ヒトおよびマウスのプレAMP−18のゲノムクローンを得た。エキソン/イントロン構造(図12)は、完全である。マウスAMPエキソンは、ヒトおよびブタのエキソンと十分に類似し、マウス遺伝子の配列をアセンブルすることを可能にする。ヒトおよびマウスの遺伝子は、非常に類似した構造を有し、マウス遺伝子は、わずかに小さい。マウス遺伝子のエキソンに含まれるORFにより、ヒトおよびブタのタンパク質に対して65%同一性を有するタンパク質が推定される。2kbの配列は、ヒト遺伝子の上流にある。
【0094】
(21.マウスにおけるAMP−18遺伝子のノックアウト)
マウスのマップから、標的化構築物が設計される。この構築物は、好ましくは、以下を含む:[5’−TK(機能的チミジンキナーゼ遺伝子)−約5kbの5’末端のAMP−18 DNA−ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーターの制御下にある、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子−約3kbの3’末端の遺伝子−3’]。この構築物の、常在性のAMP−18遺伝子とのかなりの長さの相同性が、十分な標的化のために必要である。総相同性を1.7から6.8kbに増大させることは、hrpt遺伝子への相同性標的化の効率を約200倍増大させる(Hastyら,1991)。全長を超えると、効率は、ごくわずか増大した。PCR反応による相同性成分(intergrant)の検出を容易にするために、neo遺伝子をこのベクターの一方の端部の近くにすることは有用である。得られたトランスフェクト体は、2つのプライマー(一方は、neo遺伝子にあり、他方は、標的化ベクターのすぐ外側のAMP−18遺伝子座にある)を使用したPCRにより提供され得る。5’側に4kb延びた隣接部分およびマウス遺伝子の3’側の4.5kbを得た。相同組換えを通じて、コード領域は、neo遺伝子により置換されて、既にクローニングされている遺伝子の完全なノックアウトが確実にされる。プラスミド配列を切り取った後、標的化カセットを、ES細胞にトランスフェクトし、安定なトランスフェクト体を、G418(ネオマイシンのアナログ)およびガンシクロビルでの選択により得た(Mansourら,1988)。隣接配列からのプローブを用いたサザンブロットを使用して、標的化相同組換え体についてスクリーニングする。正しく標的化されたES細胞クローンは、C57BL/6マウス由来の胚盤胞に注入される。
【0095】
少なくとも50%のアグーチコート(agouti coat)(胚性幹(ES)細胞由来)を有する代理母から得た雄の子孫を、C57BL/6マウスと交配した。アグーチであるF1マウスは、そのES細胞(アグーチは、黒色に対して優性である)に由来する父系成分を有する。これらのマウスのうちの50%は、ノックアウトプレAMP−18対立遺伝子を有するはずである。これらのヘテロ接合マウスは、減少した遺伝子量の任意の効果についてモニターされる。ホモ接合性ノックアウトが好ましい。AMP−18の単一の機能が、誕生後の胃にある場合、生存可能なホモ接合体が予測される。これらが得られないのであれば、胎仔にとって致死性の欠損であることが示され、胎仔段階の流産が確認される。この結果は、通常の発生におけるこのタンパク質の予期しない役割を示唆する。
【0096】
ホモ接合性AMP−18ノックアウトマウスは、胃の形態および機能の研究に有用である。このようなノックアウトは、AMP−18が必須である場合、胃腸発生のどの段階でこのタンパク質が生物的に活性であるか示すことが予測される。AMP−18ノックアウトヘミ接合性マウスは、すでに表現型を示すことが可能である。このことは、タンパク質の減少した投薬量が、その機能を低減もしくは排除する場合、または親のすり込みまたはランダムな一対立遺伝子発現が、大きな影響を有する場合に生じ得る。マウスにおけるAMP−18ノックアウトのあり得る結果の範囲としては、以下が挙げられる:i)生存するホモ接合性なし(本質的な予期できない発生的役割に影響を及ぼす);ii)生存可能なホモ接合性(しかし、明らかに胃腸機能が損なわれている);iii)強い表現型なし(すなわち、タンパク質が、実験室マウスの発生および寿命に重要ではない)。適切である場合、過剰発現マウスにおけるAMP−18の生成が、追跡される。マウスにおいて生成された短縮型AMP−18タンパク質は、潜在的に、ドミナントネガティブ表現型を生じ得;この実験から得られた知見は、このタンパク質の機能的ドメインをさらに規定する。
【0097】
(アミノ酸略語)
【0098】
【表2】
Figure 2004532037
【0099】
【表3】
Figure 2004532037
Figure 2004532037

【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1−1】図1−1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;推定プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。
【図1−2】図1−2は、図1−1の続きである。
【図1−3】図1−3は、図1−2の続きである。
【図1−4】図1−4は、図1−3の続きである。
【図1−5】図1−5は、図1−4の続きである。
【図1−6】図1−6は、図1−5の続きである。
【図1−7】図1−7は、図1−6の続きである。
【図2】図2は、ヒトcDNA配列である;このDNAクローンを、ヒト胃cDNAライブラリーから差次的発現クローニングによって得た。
【図3】図3は、Powell(1987)に基づき、そして本発明者によって修正された、cDNAクローンから予測されたヒトプレAMP−18タンパク質配列である;N−21は、成熟タンパク質の予期されるN−末端である。
【図4−1】図4−1は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列である; 推定プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。
【図4−2】図4−2は、図4−1の続きである。
【図4−3】図4−3は、図4−2の続きである。
【図4−4】図4−4は、図4−3の続きである。
【図4−5】図4−5は、図4−4の続きである。
【図4−6】図4−6は、図4−5の続きである。
【図4−7】図4−7は、図4−6の続きである。
【図5】図5は、プレAMP−18のマウスcDNA配列である。
【図6】図6は、マウスプレAMP−18アミノ酸配列である;マウス胃幽門洞から単離されたRNAでRT−PCRを行なった;Y−21は、成熟タンパク質の予期されるN−末端である;..によって示される空間は、図11の他の配列と整列するヌクレオチドがそこに存在しないことを意味する。
【図7】図7は、ブタAMP−18を発現するcDNAである。
【図8】図8は、Powell(1987)に基づいてcDNAクローンから予測されたブタプレ−ガストロカイン(プレ−AMP−18)タンパク質配列である。D−21は、成熟タンパク質のN−末端である−ブタ胃から単離されたタンパク質の配列決定によって確認された。
【図9】図9は、ヒト 対 ブタの、プレ−ガストロカインのアミノ酸配列の比較である。
【図10】図10は、ヒトおよびブタAMP−18のcDNAクローンの配列決定から、そしてマウスRNAおよびDNAのプレAMP−18特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応によって決定された、ヒト、ブタおよびマウス予測タンパク質配列のコンピューターによる整列比較を示す;各場合において、最初の20アミノ酸はシグナルペプチドを構成し、小胞体膜の通過後切断される。
【図11】図11は、ブタ胃幽門洞粘膜抽出物、(成熟タンパク質の)ヒトAMPペプチド77−97(ヒト前駆体タンパク質のペプチド97−117と同じ:表1)、およびEGFの、胃上皮細胞の増殖に対する効果を示す;AGS細胞を、60mmディッシュで胎児ウシ血清(5%)を含むDMEM中で増殖させた;異なる量のブタ幽門洞抽出物、HPLC精製ペプチド77−97、および/またはEGFを加えた;4日後細胞を分散し、そして血球計算器で計測した;幽門洞抽出物およびペプチドはそれぞれ濃度依存的な様式で細胞増殖を刺激した;棒グラフは飽和用量でペプチド77−97(8μg/ml)またはEGF(50ng/ml)は分裂促進性であったことを示す;あわせるとそれらは相加的であり、2つの分裂促進因子は異なるレセプターおよび/またはシグナル伝達経路を使用して作用することを示唆した;抗AMP抗体は幽門洞抽出物を阻害したがペプチド77−97を阻害しなかった。
【図12】図12は、ヒトおよびマウスプレAMP−18遺伝子の構造を示す;イントロン中の塩基対の数をバーの上に示す;エキソンはE1〜E6およびイントロンはI1〜I5で示す;イントロンの長さにわずかな違いが存在する。
【図13】図13は以下を示す。左のパネル。E.coliで発現した組換えヒトAMP−18のアミノ酸配列。N−末端の12アミノ酸ドメイン内のHis6タグが推定疎水性シグナルペプチドを置換したことに留意のこと。右のパネル。IEC−18細胞のコンフルエントな培養物の増殖に対するrhAMP−18およびAMPペプチド77−97の効果。最大の増殖刺激は同様であるが、rhAMP−18(約30nM)の最大半減濃度(K1/2)はペプチド(約300nM)より約1オーダー程度低い。
【図14】図14は以下を示す。左のパネル。ヒト幽門洞およびブタ幽門洞の前駆体タンパク質のAMP−18cDNAクローンから得られたオープンリーディングフレーム(ORF)の整列。類似性は78.50%、および同一性は75.27%であった。Wisconsin Package(GCG)のGAPおよびPEPTIDESTRUCTUREプログラムを用いてコンピューター分析を行なった。右のパネル。ヒトプレAMP ORFの予測された二次構造のモデル。アスパラギンリッチなN−末端ドメイン、短いトリプトファン(W)−リッチ領域およびグリシン−プロリン(GP)領域、ならびに4つのシステイン(C)残基の保存された位置に留意のこと。可能性のある両親媒性ヘリックスが示される。

Claims (15)

  1. ガストロカインと称される、単離された相同な細胞増殖刺激タンパク質の群であって、該タンパク質は、胃上皮細胞により生成され、VKE(K/Q)KXXGKGPGG(P/A)PPK、VKE(K/Q)KLQGKGPGG(P/A)PPK、またはVKE(K/Q)KGKGPGG(P/A)PPK、からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、群。
  2. 請求項1に記載の群より単離されるタンパク質であって、該タンパク質は、図7に示されるアミノ酸配列を含み、シグナルペプチド配列を構成する20アミノ酸を欠いたプロセシングされた形態にてブタ胃上皮細胞に存在し、165アミノ酸であって、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定された場合に約18kDの予測分子量を有するとさらに特徴付けられ、該タンパク質は分泌され得る、タンパク質。
  3. 請求項1に記載の群からのタンパク質であって、該タンパク質は、図3に示されるアミノ酸配列を含み、該配列は、ヒトcDNAから推定されるとさらに特徴付けられる、タンパク質。
  4. 請求項1に記載の群からのタンパク質であって、該タンパク質は、図6に示されるアミノ酸配列を含み、該配列は、マウスRNAおよびDNAから推定されるとさらに特徴付けられる、タンパク質。
  5. 請求項1に記載のタンパク質に由来する増殖刺激ペプチド。
  6. 以下の工程:
    (a)請求項1に記載のタンパク質に由来する非改変ペプチドにおいてアミノ酸置換または欠失により、該非改変ペプチドのアミノ酸配列における主要プロテアーゼ部位を排除する工程;および
    (b)必要に応じて、該非改変ペプチドにおけるアミノ酸のアミノ酸アナログを導入する工程、
    を包含する方法により生成される、改変ペプチド。
  7. 図3に示される78位〜119位のアミノ酸の配列を有する、合成増殖刺激ペプチド。
  8. 請求項7に記載の合成増殖刺激ペプチドであって、該ペプチドは、図3に示される97位〜117位のアミノ酸の配列を有する、合成増殖刺激ペプチド。
  9. 請求項7に記載の合成増殖刺激ペプチドであって、該ペプチドは、図3に示される97位〜121位のアミノ酸の配列を有する、合成増殖刺激ペプチド。
  10. 請求項7に記載の合成増殖刺激ペプチドであって、該ペプチドは、図3に示される104位〜117位のアミノ酸の配列を有する、合成増殖刺激ペプチド。
  11. KKLQGKGPGGPPPK、LDALVKEKKLQGKGPGGPPPK、またはLDALVKEKKLQGKGPGGPPPKGLMYからなる群より選択される配列を含む、単離された生物活性ペプチド。
  12. 請求項1に記載の群のタンパク質に対する抗体であって、該抗体は、図3に示される78位〜119位のアミノ酸配列を有するタンパク質のペプチド内のエピトープを認識する、抗体。
  13. 図1に示されるヒトのヌクレオチド配列を有する、単離されたゲノムDNA分子。
  14. ヒトタンパク質をコードする単離されたcDNA分子であって、該タンパク質が、図2に示されるアミノ酸配列を有する、cDNA分子。
  15. 哺乳動物の胃腸管における上皮細胞の増殖を刺激する方法であって、該方法は、以下の工程:
    (a)該上皮細胞と、請求項1に記載の群からのタンパク質または請求項1に記載のタンパク質に由来するペプチドを含む組成物とを接触させる工程;および
    (b)該上皮細胞の増殖を刺激するための環境条件を提供する工程、
    を包含する、方法。
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