JP4281947B2 - ガストロカインおよびインヒビターによる、胃腸組織の増殖および修復の調節 - Google Patents

ガストロカインおよびインヒビターによる、胃腸組織の増殖および修復の調節 Download PDF

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Description

(背景)
胃幽門洞粘膜タンパク質の新規グループであるガストロカイン(gastrokine)が特徴付けられる。ガストロカイングループの1つのメンバーは、AMP−18と呼ばれる。AMP−18ゲノムDNA、およびcDNA分子は、ヒトおよびマウスで配列決定され、そしてタンパク質配列がヌクレオチド配列から予測される。ブタAMP−18のcDNA分子が配列決定され、そして天然タンパク質の部分的配列決定によって確認される。AMP−18タンパク質およびその配列から得られる活性ペプチドは、細胞増殖因子である。驚くべきことに、完全なタンパク質の効果を阻害し得るペプチドも、AMP−18タンパク質配列から得られる。哺乳動物胃腸組織の増殖および修復の調節は、そのタンパク質またはペプチドの使用によって促進され、そのタンパク質および誘導ペプチドは治療の候補となる。
哺乳動物胃腸(GI)管に影響する因子の探索は、診断的および治療的薬剤の必要性によって動機付けられる。タンパク質はムチン層の一部に留まり、下にある組織の機械的(例えば潤滑剤またはゲル安定化剤)および化学的(例えば胃酸に対して、おそらく粘液pH勾配および/または疎水性バリアを維持するのを助ける)保護を提供し得る。トレフォイル(trefoil)ペプチドファミリーは、そのような一般的な細胞保護の役割を有すると示唆された(SandsおよびPodolsky、1996を参照のこと)。あるいは、サイトカイン様の活性が、傷ついた上皮の修復を助け得る。トレフォイルペプチドが他の因子と共同で作用して、上皮を維持および修復し得るという示唆は、胃腸管で起こる相互作用の複雑さをさらに強調する(Podolsky、1997)。GI上皮の完全さの維持は、哺乳動物の持続した安寧のために必要不可欠であり、そして損傷後の創傷閉鎖は通常非常に迅速に起こり(Lacy、1988)、その後すぐに増殖および分化が続いて起こって上皮の完全さを再確立する(Nursatら、1992)。従って、保護および回復は、健康な胃腸管の2つの重要な特徴であり、そして胃の比較的厳しい細胞外環境において重要であり得る。
GIタンパク質の探索は、いくらかの成功をおさめた。ヒトおよびブタ胃細胞から単離したメッセンジャーRNA(mRNA)に対する相補的DNA(cDNA)配列が、他の発明者と共に研究した本発明者の一人による、University of Chicago Ph.D.論文、「新規メッセンジャーRNAの特徴付けおよびブタ胃粘膜からのそのタンパク質の免疫化学的検出」1987年12月において記載された。しかし、いくつかのcDNA配列決定の誤りがあり、それは本明細書中で開示されるAMP−18タンパク質から有意なアミノ酸変化を引き起こした。タンパク質自身は、本発明の1つの局面としてのみ単離および精製され、そして有用性を決定するために機能的分析を行なった。核酸配列が探索された。
(本発明の概要)
幽門洞粘膜タンパク質18(「AMP−18」)と呼ばれる新規遺伝子産物は、ガストロカインである。そのタンパク質は、ヒト、ブタ、およびマウスから得られたcDNAクローンの分析によって、胃幽門洞粘膜細胞で発見された。そのタンパク質は細胞増殖因子またはサイトカイン、より具体的にはガストロカインのグループのメンバーである。AMP−18cDNA配列は、ブタおよびヒトの両方で、長さが185アミノ酸のタンパク質を予測する。ヌクレオチド配列はまた、分泌タンパク質のための20アミノ酸のN−末端シグナル配列を予測する。前駆体(プレAMP−18)からのこのN−末端ペプチドの切断は、ブタタンパク質で確認された;この切断は長さが165アミノ酸、そして大きさが約18,000ダルトン(18kD)の分泌タンパク質を産生する。ヒトおよびマウスゲノムDNA配列も得られ、そして配列決定された。ヒトゲノムDNAは、大きさがそれぞれ1.6kb、3kb、3.3kb、および1.1kbの4つの互いに重なる断片で単離された。マウスゲノムDNA配列は、単一のBACクローンで単離された。
AMP−18タンパク質と呼ばれるガストロカインは、胃幽門洞の細胞で高レベルに発現される。そのタンパク質は胃の他の部分または十二指腸でほとんど検出されず、そして試験した他の体組織で見出せないか、または低レベルで見出された。AMP−18は管腔表面粘膜細胞で合成され、そしてムチン顆粒と共に分泌される。
ヒトにおける研究によって、ヒト胃粘膜におけるAMP−18ペプチドの位置および発現を確認される。
マウスおよびブタ幽門洞組織から単離されたAMP−18の組成物は、培養中のコンフルエントな胃、腸、および腎臓上皮細胞の増殖を刺激する;ヒト、サル、イヌおよびラット細胞も反応することが示される。この分裂促進的(増殖刺激)効果は、AMP−18に対する特異的抗血清(抗体)によって阻害され、AMP−18、またはその産物、例えばタンパク質の断片の単離または合成によってタンパク質から得られたペプチドは、増殖因子であるという結論を支持する。実際、アミノ酸配列がAMP−18タンパク質の中央領域に相当するある合成ペプチドも、増殖因子活性を有する。そのペプチドはまた、組織培養アッセイにおいて創傷修復を速め、胃粘膜損傷の回復を媒介する過程である、細胞遊走に対する刺激効果を示す。従って、そのタンパク質およびその活性ペプチドは、細胞遊走促進因子である。予期しないことに、親分子のサブドメインから得られたペプチドが、生物活性合成ペプチド、および胃抽出物に存在するそのままの天然タンパク質の分裂促進効果を阻害し得る。
本発明のガストロカインタンパク質およびペプチドの3つの活性が存在する。それらは細胞が遊走するのを刺激するので、そのタンパク質は細胞遊走促進因子である。それらは細胞分裂を刺激するので、分裂促進因子である。それらは上皮の完全さを維持するので(酸化剤または非ステロイド性抗炎症剤、NSAIDのような損傷を与える薬剤で処理した組織培養における、電気抵抗上皮細胞層に与えられる保護によって示されるように)、細胞保護剤として機能する。
AMP−18の合成は、ヒトおよび他の哺乳動物の、胃幽門洞の管腔粘膜裏打ち上皮細胞に限られる。細胞内で、タンパク質は分泌顆粒のムチンと同時局在しており、そして先端の原形質膜の上にある粘液へ分泌されるようである。E.coliにおける組換えヒトAMP−18は、成熟タンパク質の中央から得た増殖促進ペプチドよりも、1オーダー低い程度の濃度で、その分裂促進性効果を発揮する。最も強力な分裂促進ペプチドである、ペプチド77−97は、アミノ酸配列特異的なAMPペプチドであり、それは線維芽細胞またはHeLa細胞の増殖を刺激しないので、細胞型特異的であるようである。活性な分裂促進因子でないあるペプチドが、濃度依存的な様式で、ペプチド58−99および幽門洞細胞抽出物の増殖刺激効果を競合的に阻害し得るので、特異的AMPペプチドによる分裂促進は、細胞表面レセプターによって媒介されるようである。AMP−18およびその誘導ペプチドは、胃および腸上皮細胞に対して多様な効果を示し、それはそれらが胃粘膜損傷後の修復に決定的な役割を果たし得ることを示唆する。これらは、細胞保護、分裂促進、回復、および酸化剤および/またはインドメタシンによる損傷後のバリア機能の成熟を含む。AMP−18またはそのペプチド誘導体がその多面発現性の効果を媒介する、可能性のあるメカニズムは、タンパク質チロシンキナーゼ活性の刺激、細胞ストレス後の熱ショックタンパク質発現の延長、および密着結合関連タンパク質ZO−1およびオクルディンの蓄積の増強を含む。これらの生理学的効果のあるものは、トレフォイルペプチドまたはα−デフェンシン、クリプトジン3(cryptdin3)(>100μM)のような他の胃ペプチドメディエーターの濃度と比較して、rhAMP−18(<50nM)で比較的低い濃度で起こり得る。免疫反応性AMP−18は、明らかにインドメタシン胃管栄養後にマウス幽門洞細胞によって、およびフォルスコリンに接触させた一次培養中のイヌ幽門洞細胞によって放出され、そのタンパク質は調節を受けることを示唆する。これらの結果は、AMP−18は、インビボにおける胃粘膜上皮の創傷治癒のような生理学的および病理学的過程で役割を果たし得ることを意味する。
本発明は、ガストロカインと呼ばれる単離された相同的細胞増殖刺激タンパク質のグループに関連し、それは胃上皮細胞によって産生され、そしてコンセンサスアミノ酸配列VKE(K/Q)KXXGKGPGG(P/A)PPK(配列番号10)を含む。ここでXXはLQまたは空白(結果として、各々、配列番号25および配列番号26を生じる)であり得る。そのグループの単離されたタンパク質は、図7に示したようなアミノ酸配列を有する。シグナルペプチド配列を構成する20アミノ酸を欠く、処理された形式でブタ胃上皮に存在するタンパク質は、165アミノ酸およびポリアクリルアミドゲル電気泳動によって測定された約18kDの推定分子量を有する。シグナルペプチドは、小胞体(ER)を通過した後に切断される。そのタンパク質は分泌され得る。図3に示したアミノ酸配列は、ヒトcDNA配列から導かれた。そのタンパク質の1つの実施態様を、マウスRNAおよびDNAから予測される配列である、図6のアミノ酸配列で示す。
増殖刺激(生物活性)ペプチドを、ガストロカイングループのタンパク質から得ることができる。生物活性ペプチドは、より小さく、従ってタンパク質全体よりそれらを合成するコストが低いために、タンパク質より使用に好ましい。
さらに、以下の方法によって修飾ペプチドを産生し得る:
(a)アミノ酸置換または欠失によって、未修飾ペプチドアミノ酸配列の主要なプロテアーゼ部位を排除する;および/または
(b)未修飾ペプチド中のアミノ酸の修飾アミノ酸アナログを導入する。
本発明の1つの局面は、図3に示した位置78から119までのアミノ酸配列を有する、合成増殖刺激ペプチドである。
別のペプチドは、図3に示した位置97から位置117までのアミノ酸配列を有する。
別のペプチドは、図3に示した位置97から位置121までのアミノ酸配列を有する。
別のペプチドは、図3に示した位置104から位置117までのアミノ酸配列を有する。
単離された生物活性ペプチドの1つの実施態様は、以下の配列のうち1つを有する:KKLQGKGPGGPPPK(配列番号11)、LDALVKEKKLQGKGPGGPPPK(配列番号12)、またはLDALVKEKKLQGKGPGGPPPKGLMY(配列番号13)。ガストロカイングループのタンパク質のインヒビターの1つの実施態様は、アミノ酸配列KKTCIVHKMKK(配列番号14)またはKKEVMPSIQSLDALVKEKK(配列番号15)を有する(表1も参照のこと)。
本発明はまた、少なくとも1つの増殖刺激ペプチドを含む薬学的組成物に関連する。
胃上皮の過剰増殖に関連する疾患を治療するための薬学的組成物は、ガストロカインのグループのタンパク質、またはガストロカインタンパク質から得られた増殖刺激ペプチドのインヒビターを含む。
結腸および小腸の疾患を治療するための薬学的組成物は、少なくとも1つの本発明の増殖刺激ペプチドを含む。そのような疾患の例は、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む。
細菌で発現されるヒトcDNAによってコードされるタンパク質産物AMP−18に対する抗体を、ウサギで産生した;これらの抗体は試験した全ての哺乳動物種(ヒト、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラットおよびマウス)の18kDの幽門洞抗原と反応し、ガストロカインを検出する有用な方法を提供する。グループのタンパク質に対する抗体は、タンパク質のペプチド内のエピトープを認識し、それは図3の位置78から位置119までのアミノ酸配列を含む。
本発明はまた、図1で示したヒトのヌクレオチド配列を有する単離されたゲノムDNA分子、およびヌクレオチド配列が図2で示された、ヒトタンパク質をコードする単離されたcDNA分子にも向けられる。
本発明の別の局面は、図4で示したような、マウス由来のDNAで見出されるゲノム配列を有する単離されたDNA分子である。
ゲノムDNAは、遺伝子の胃発現のために調節エレメントを含むので重要であり、従って調節エレメントを単離し、そして胃組織でガストロカイン以外の遺伝子配列を発現するために使用し得る。
本発明の1つの局面は、欠失無しに発現した場合、本発明のガストロカイングループのタンパク質をコードする、マウスゲノムのヌクレオチド配列に標的化された欠失を有するマウスである。
本発明の1つの局面は、ガストロカインタンパク質またはガストロカインタンパク質から得られるペプチドを作成する方法である。その方法は以下のものを含む:
(a)図2に示したような配列を有する単離cDNA分子を得る;
(b)組換えDNA発現ベクターにその分子を配置する;
(c)組換えDNA発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトする;
(d)トランスフェクトされた宿主細胞がcDNA分子によってコードされるタンパク質を産生するのを可能にする環境条件を提供する;および
(e)宿主細胞からタンパク質を精製する。
発現が成功した宿主細胞は、バキュロウイルスを含み、それは商業的および研究使用のために大量のガストロカインを提供することを可能にする。例えば、シグナルペプチドを持たないヒトAMP−18タンパク質を産生した。
E.coliで発現した組換えヒトタンパク質AMP−18は、図14、左パネルの配列を有する。
本発明の1つの局面は、哺乳動物の胃腸管において上皮細胞の増殖を刺激する方法である。その方法は、以下の工程を含む:
(a)上皮細胞を、ガストロカインタンパク質またはそのグループのタンパク質から得られたペプチドを含む組成物と接触させる;および
(b)上皮細胞の増殖を刺激する環境条件を提供する。
そのグループのタンパク質の細胞増殖刺激活性を阻害する方法は、以下の工程を含む:
(a)タンパク質をインヒビターと接触させる;および
(b)タンパク質の細胞増殖刺激活性に適当な環境条件を提供する。
インヒビターは、タンパク質の少なくとも1つのエピトープ、例えば図3の推定アミノ酸配列の位置78から位置119までのアミノ酸配列を有するエピトープに対して産生された抗体、または表1のもののようなインヒビターペプチドであり得る。
哺乳動物胃腸管上皮に対するタンパク質の異なるレベルの発現の影響を試験する方法は、以下の工程を含む:
(a)不活性なまたは空白のガストロカインタンパク質を有するマウスを得る;
(b)マウスにおけるタンパク質の欠如の影響を決定する;
(c)マウスに増加するレベルのタンパク質を投与する;および
(d)胃腸管上皮の変化を、上皮中のタンパク質レベルと関連付ける。
ガストロカインに対する抗体を使用して、定量的免疫学によってそのレベルを測定するキットが企図される。レベルを、疾患の状態および治療効果と関連付け得る。
哺乳動物の胃腸管に対する損傷後の上皮細胞の遊走を刺激する方法は、以下の工程を含む:
(a)上皮細胞を、タンパク質から得られたペプチドを含む組成物と接触させる;および
(b)上皮細胞の遊走を可能にする環境条件を提供する。
哺乳動物の胃腸管の傷ついた上皮細胞の細胞保護の方法は、以下の工程を含む:
(a)損傷した上皮細胞を、ガストロカイングループのタンパク質またはタンパク質から得られたペプチドを含む組成物と接触させる;および
(b)上皮細胞の修復を可能にする環境条件を提供する。
傷ついた細胞は、潰瘍を形成し得る。
(発明の詳細な説明)
(1.概要)
新規遺伝子産物、ガストロカイングループのメンバーを、ブタ胃の異なる領域から得たcDNAライブラリーの差次的スクリーニングによって、哺乳動物の胃幽門洞粘膜において検出した。cDNA配列は、シグナルペプチドリーダー配列を含む185アミノ酸のタンパク質を予測した。cDNAをヒトライブラリーからも単離した。ブタおよびヒト間の、予測されたアミノ酸配列同一性は76.3%である。その配列は、分泌タンパク質に特徴的な20アミノ酸のシグナルペプチドを予測した。このN−末端シグナルペプチドの切断は、ブタタンパク質で確認された。細菌で発現したヒトcDNAの産物に対する抗体を、ウサギで産生した;これらの抗体は、試験した全ての哺乳動物種(ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラットおよびマウス)の18−20kD幽門洞抗原と反応した。mRNAレベルと一致して、AMP−18タンパク質は、胃幽門洞においてのみ高レベルに発現する;胃の残りの部分または十二指腸ではほとんど検出されず、そして様々な他の試験した組織では検出されなかった。AMP−18は、管腔表面粘膜細胞で合成される;免疫電子顕微鏡検査は、これらの細胞の分泌顆粒中にAMP−18の位置を突きとめる。マウスおよびブタの幽門洞組織由来の部分的に精製されたAMP−18調製物は、培養細胞においてコンフルエントな胃および腎臓上皮細胞に対して分裂促進性である;この効果は、特異的抗血清によって阻害され、AMP−18、すなわちその産物は増殖因子であることを意味する。
AMP−18は、おそらく粘液とともに分泌され、おそらくペプチド誘導体として、粘液ゲル中で機能して上皮の完全さを直接的に維持する、そしておそらく病原体に対して作用する。培養中で上皮細胞系統に対して観察される増殖因子活性を考慮して、AMP−18またはそのペプチド誘導体は、胃上皮のオートクリン(そしておそらくパラクリン)因子として作用するようである。AMP−18の機能は、単純に分裂促進因子としてだけでなく、それに加えて成熟管腔表面細胞を補充するシグナルを提供する分化因子として作用し得る。AMP−18タンパク質またはその誘導体は、高度に機能的な胃粘膜の正常な維持におそらく重要であり、および損傷後の幽門洞上皮の回復に決定的な役割を果たしているようである。このタンパク質はどの出版物においても特徴付けられていないが、関連する核酸配列がESTとしておよび同様の全長遺伝子として報告された。ESTデータの限界が、本発明で開示されたような、開始配列、シグナルペプチド、または生物活性を担うタンパク質の配列についての情報を産生できない。多くのこれらESTが哺乳動物の胃cDNAに関して報告されたが、関連するESTが膵臓および妊娠子宮のライブラリーに関しても報告された。これら他の組織におけるAMP−18RNAの発現は低いようであるが(膵臓に関してPCR分析によって示されたように)、これらの結果は、この増殖因子は胃で見出される特異的な高レベルの発現によって示されるよりも広い発達的役割および生理学的役割を有し得ることを示唆する。
AMP−18タンパク質は、胃腸(GI)管の細胞層の表面に発現しているようである。発現細胞は、貯蔵された増殖因子を必要な場所−表面損傷に起因して、細胞修復が必要なGI管の陰窩および割れ目に放出し得る。
AMP−18は、漿膜側の基底外側細胞表面レセプターを通して作用するプロスタグランジンおよび他の増殖因子と共同で、上皮細胞の粘膜、先端表面に作用し得る。そのタンパク質またはその誘導体は、おそらく胃の機械的ストレスおよび高酸性にもかかわらず、高度に活動的な胃粘膜の正常な維持に重要である。AMP−18は、アルコール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、または病原体、特に、主に幽門洞に優勢に感染しそして胃潰瘍およびおそらく癌の原因であるHelicobacter pyloriのような因子による損傷後の胃上皮の修復に決定的な役割を果たし得る。
(2.生物活性)
AMP−18アミノ酸配列の中央領域に相当する合成ペプチド(42アミノ酸、「42マー」)も、増殖因子活性を有し、それは特異的抗血清によって阻害される;いくつかの関連するより短いペプチドも刺激活性を有するが、他は42マーの活性を阻害し得る。この結果は、飽和可能な上皮レセプターがAMP−18のために存在し、そしてタンパク質の生物活性領域を分析し、そして推定レセプターを同定する直接的な道を開く。AMP−18は、公知のサイトカインまたは細胞保護タンパク質(トレフォイルペプチドのような)のいずれとも構造が類似していないので、タンパク質、ならびにその活性および阻害性の関連ペプチドの、細胞との相互作用の分析は、細胞増殖調節に関与する新規分子相互作用を明らかにする機会を提供する。
BSC−1細胞の増殖は、ゲル画分ブタ幽門洞抽出物によって刺激された;ブタ抽出物タンパク質(250μg)を、2つのレーンそれぞれに負荷し、そしてポリアクリルアミドゲル(12.5%)で電気泳動を行なった;M14kDaおよび21.5kDaの間の各領域から5つの薄切片(2−3mm)を、実験的レーンから切り取った。切片の各対を、200μlの滅菌PBS、3%のアセトニトリル、および1%のBSAを含むシラン処理マイクロチューブに入れ、そして浸軟した;タンパク質を22℃で18時間、激しく振とうしてゲルから溶出した;試料を次いでマイクロ遠心し、そして上清の試料を、BSC−1細胞のコンフルエントな培養物に加えた;細胞数を4日後に計測した;最大の増殖刺激が、約18kDaのMに対応するゲル切片から溶出された抽出物を加えた培養物で観察された;培養培地に加えた組換えヒトAMP−18に対する抗血清は、18kDa画分による増殖刺激を完全に阻害した(+Ab);値は2つの培養の平均である;SEは平均の10%より少ない。
AMP−18の生物活性(胃腸管の上皮細胞に関して分裂促進性)は、タンパク質のC−末端側の半分に位置する。エピトープ配列は、分裂促進性配列のすぐN−末端側にあるようである。
増殖因子である生物活性は、全長タンパク質配列の位置78位から119位までの少なくとも42アミノ酸からなるペプチドによって示される。この領域に対する抗体は、分裂促進活性を阻害した。104から117までのアミノ酸配列を有するペプチドは分裂促進活性を有していたが、この領域に対する抗体はその活性を阻害(阻害)しなかった。位置97位−117位までのアミノ酸配列を有するペプチドは、42アミノ酸配列を有するペプチドと同じ分裂促進活性を有するが、合成ペプチドとして産生するのにより安価である。
(3.生物活性の阻害)
マウスまたはブタ幽門洞細胞抽出物によって刺激された上皮細胞の増殖は、完全、組換えヒトAMP−18前駆体タンパク質に対するウサギ抗血清によって阻害された;BSC−1細胞のコンフルエントな培養物を調製した;マウスまたはブタの幽門洞細胞抽出物を調製し、そしてそのタンパク質濃度を測定した;細胞抽出物単独および異なる希釈の抗血清、または抗血清単独(1:100希釈)を培養培地に加え、そして細胞数を4日後に計測した。マウス幽門洞ガストロカインによる増殖刺激は、1:400の希釈の抗血清によって最大阻害され(93%)、一方ブタ幽門洞タンパク質抽出物による刺激は1:100の希釈で完全に阻害された。記録した値は3つの培養の平均であった;平均の標準誤差(SE)は平均の10%より低かった。
AMP−18タンパク質に対する抗体は、インビボで胃腸管における異なるレベルのタンパク質を決定する診療的な使用法を有する。もし通常より低いレベルのAMP−18タンパク質が存在するなら、潰瘍が発達する可能性がある。当業者に公知の技術によって正常値を決定する、すなわち試験する人々の代表的な試料を得て(年齢、性別、臨床状態カテゴリー)、そしてタンパク質定量の標準的な技術を適用する。AMP−18レベルに対するアスピリンおよびインドメタシンの効果も、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含む薬物の有害なレベルをモニターするために有用である。胃癌細胞系統は、少なくとも本明細書中で開示される検出方法によっては、AMP−18タンパク質を発現しない。
(4.ゲノムDNA)
おそらく遺伝子が活性であり得る組織における遺伝子発現レベルの大きな違いを決定する、遺伝子調節エレメントの分析に対する前置きとして、ゲノムAMP−18DNA配列が、ヒトおよびマウスでクローニングされた。上流および下流側面配列を、遺伝子ノックアウトの準備としてマウスゲノムDNAから単離した。側面ゲノム配列が、おそらく胃およびそれが発現し得る少数の他の組織における非常に異なる遺伝子発現レベルを決定する。異なる調節エレメントの関与によって、ガストロカイン遺伝子は他の組織において増殖因子として発現され得る。
(5.本発明のガストロカインの使用)
AMP−18タンパク質およびそれ由来のあるペプチドは、胃および腸上皮細胞(および腎臓)による増殖および創傷修復を刺激し得るので、これらのガストロカイン分子は、薬剤学的介入、放射線治療、または手術の後の損傷されたGI管の修復を速める治療的薬剤の候補である。それに加えて、ガストロカインに対して発達させた抗体を、多様な病理学的状態における血液組織のAMP−18タンパク質またはペプチドのレベルを測定するためにキットで使用し得る。これらの新規分子は、胃潰瘍、および炎症性腸疾患の治療において大きな治療的可能性を有し、一方その機能を阻害する新規薬剤は、GI管の癌の治療に有用であることを示し得る。
胃は、多くの細菌にとって生来の場所ではなく、そして酸性で生存し得る細胞はそこに定着しない(Rotimiら、1990)。従って、幽門洞領域が、ヒト人口の大部分に感染し(70年目までに>60%)、そして胃炎、胃潰瘍および十二指腸潰瘍(Goodwinら、1986;Blaser、1987)、および胃腺癌(Nomuraら、1991;Parsonnetら、1991)に関連する原因である、Helicobaccter pyloriの接着、侵入、および細胞溶解効果の好ましい部位であることは興味深い。従って上皮細胞増殖因子として、AMP−18は細菌の侵入および細胞溶解によって引き起こされた損傷を改善するために作用し得る。AMP−18の特異的幽門洞発現およびH.pyloriの好ましい結合部位を合わせて考慮すれば、その細菌はAMP−18を刺激因子(tropic factor)として使用することが可能である。H.pyloriはフコースを含むムチン顆粒を有する幽門洞細胞に結合する(Falkら、1993;Baczakoら、1995)。これらの顆粒はまた、AMP−18も含み得る。両生類Xenopus laevisの胃で、抗菌ペプチドが発見された(Mooreら、1991)。AMP−18構造のいくつかのドメインは、マガイニンのものと類似しており、そしておそらくAMP−18は腸細菌と相互作用する。
(6.ブタAMP−18の単離)
ヒトAMP−18タンパク質に対する抗血清を使用して、ブタ幽門洞粘膜の抽出物からタンパク質を精製するのを補助した。全組織抽出物に適用した免疫親和性方法はあまり効果的でないことが判明したが、細胞画分をモニターするためのイムノブロット、勾配遠心分離およびゲル電気泳動を使用することによって、十分な量のブタ18kDaポリペプチドを精製して、天然N−末端は、シグナルペプチドの除去のために正確に予測されるアラニン−アスパラギン酸部位における、ORFのN−末端からの20アミノ酸の切断によって予測されるものであることを、配列決定によって確認した。成熟タンパク質におけるアスパラギン残基が豊富さにもかかわらず、糖鎖付加に特徴的なコンセンサスな状況に合うものは存在しない。タンパク質のかなり長い領域が、両親媒性ヘリックス(helix)形成傾向を有し得る。後者は、処理後に生物活性ペプチドを産生するタンパク質内のユニットに相当し得る。円二色性を用いて、ヒトプレAMP配列(図3)のアミノ酸126−143に相当する合成ペプチドは、マガイニン型の抗菌ペプチドを含むいくつかの生物活性ペプチドのヘリックス傾向を評価するために使用される、中程度のトリフルオロエタノール濃度の条件で、容易にヘリックスになるよう誘導される(例えばParkら、1997を参照のこと)。
(7.E.coliにおける活性組換えヒトAMP−18の調製)
20アミノ酸の疎水性シグナルペプチド配列を、6ヒスチジン残基のスターチ(starch)を含むN−末端12アミノ酸ペプチドで置換した、ヒトAMP−18をコードするcDNAを設計した(図13、左のパネル)。この改変cDNA配列の発現は、His−6タグ(配列番号16)に結合するNi−NTA樹脂を用いて容易に精製し得る177アミノ酸タンパク質産物(M19,653)を産生することが予測された。N−末端シグナルペプチドをコードする領域を欠くcDNA配列(図14を参照のこと)を、QE30発現ベクター(QIAGEN)のBamHI部位へ産物を挿入する適当なリンカーを提供するオリゴヌクレオチドを用いて、PCRによって増幅した;組換えベクターの配列を確認した。His−6タグ(配列番号16)で操作した組換えヒト(rh)AMP−18を、続いてE.coli細胞で発現した。それを回収するために、細菌を溶解し、そして可溶性および不溶性画分のアリコートをSDS−PAGEにかけ、その後rhAMP−18前駆体に対する特異的ウサギ抗血清を用いてイムノブロットを行なった。発現したタンパク質は、溶解物の可溶性画分にはほとんど検出されなかった。
尿素(6M)を採用して、不溶性画分からタンパク質を放出し、His6−タグ(配列番号16)を含むrhAMP−18を可溶化し、そしてNi2+荷電樹脂への結合に利用可能にして、続いてそれからイミダゾールの勾配(0〜200mM)で溶出した。溶出されたrhAMP−18の量を、BCAアッセイを用いて測定し、そして予測された19−20kDaの大きさにおける単一バンドの出現を、SDS−PAGE、続いてイムノブロッティングによって確認した。溶出されたrhAMP−18が復元して分裂促進性の構造をとるかどうか決定するために、溶出物のアリコートを(透析によって尿素およびイミダゾールを除去した後)、IEC−18細胞の培養物に加え、そして細胞数を4日後に計測した。図13(右のパネル)は、組換えタンパク質は、分裂促進性AMPペプチド77−97(または図11に示したブタ由来の可溶性幽門洞組織抽出物)を刺激するのと同じ最大程度細胞の増殖を刺激するが、ペプチド77−97より1オーダー低い程度の最大半減濃度で刺激することを示す。AMPペプチド77−97は成熟タンパク質を指す;ヒト前駆体タンパク質のペプチド97−117と同じである:表1。これらの観察は、多様な臨床的状況で利用し得る生物学的に活性な組換えヒトAMP−18が入手可能であることを示す。rhAMP−18の分裂促進能力は、インビボで胃の維持および修復に関与するネイティブな胃細胞増殖因子で予測されるナノモルの範囲である。
(8.AMP−18および誘導ペプチドによる胃および腸上皮細胞の増殖および回復の刺激)
AMP−18に反応する胃および腸細胞の能力を特徴付けるために、AGS胃腺癌細胞、SV40ラージT抗原で形質転換したHAEヒト胃幽門洞粘膜初代培養物、IEC−6(図15)およびIEC−18系統のラット二倍体小腸上皮細胞、NCIN−87胃癌腫細胞、およびSK−GT5胃食道腺癌細胞を研究した;ヒトWI−38線維芽細胞およびHeLa細胞を非GIコントロール細胞系統として扱った。細胞を目的の薬剤に曝露して3〜4日後に細胞数計測を行ない、単一細胞を調製するために培養をトリプシン処理し、そして血球計算器でそれらを計測しながらこれを確認することによって、分裂促進をアッセイした。
AMP−18を含む幽門洞抽出物、ペプチド77−97、またはEGFはそれぞれAGS細胞の増殖を刺激し、そして予測されたように、組換えヒトAMP−18前駆体タンパク質に対するウサギ抗血清は、幽門洞抽出物の活性を阻害したが、エピトープを欠くペプチド77−97の活性は阻害しなかった(図11)。ペプチド77−97による増殖刺激は、EGFのものと相加的であった。AGS細胞の増殖は、スクランブルペプチド77−97またはペプチド67−85によって刺激されず、そしてペプチド67−85はペプチド58−99による増殖刺激を完全に阻害する。HAE細胞を使用して、AMP−18がその合成の局所環境に存在する上皮細胞に対して効果を発揮し得るかどうかを試験した。Dr.Duane Smoot、Howard University College of Medicineによって提供されたこれらの細胞は、完全に不死化されておらず、そして従って限られた継代数を有する。ペプチド77−97によるHAE細胞の増殖刺激は、明らかにEGFのものと相加的である(図16、左のパネル)。AMPペプチドは増殖を刺激するだけでなく、遊走促進因子としても作用し、コンフルエントな培養物において作られた引っかき傷に、より迅速な細胞の遊走(回復)を引き起こす。この創傷回復の増強も、EGFと高い相加性を示した(図16、右のパネル)。相乗作用が存在するかどうかにかかわらず、観察された相加性は、AMP−18がインタクトなまま胃粘膜上皮の維持、および損傷後の修復の促進に重要な役割を果たし得ることを支持する。ラット二倍体IEC−6細胞の増殖もまた、幽門洞抽出物、ペプチド77−97、およびEGFによって刺激されたが、ペプチドはEGFより強力な分裂促進因子であるようであった(図15)。最大に近い増殖刺激が、0.5μg/ml(0.23μM)のAMPペプチド濃度で検出され(図15、中央のパネル)、それは培養物中でその効果を発揮するのにトレフォイルペプチド(1μg/μl)(約150μM)またはα−デフェンシン、クリプトジン3(cryptdin3)(660μm/ml)(約140μM)で必要な濃度よりも非常に低い値であった。IEC−18細胞に対するrhAMP−18の最大分裂促進効果は、5ナノモルで観察された(図18)。ペプチド77−97の分裂促進効果を、IEC−6細胞における[H]チミジンのDNAへの組込みを測定することによって確証し、それはペプチドによって16,668±616から28,036±882まで68%(P<0.001)刺激された。創傷回復の刺激は、EGFと匹敵し、そして明らかにそれと相加性であった。スクランブルペプチド77−97は、8μg/mlまでの濃度で、IEC−18細胞またはBSC−1細胞の増殖を刺激しなかった。胃NCIN−87細胞および胃SK−GT5細胞もまた、ペプチド77−97、幽門洞抽出物、またはEGFによって濃度依存的な様式で刺激された。AMP−18抗血清は、幽門洞抽出物またはEGFの分裂促進効果を、濃度依存的な様式で阻害した。AMP−18抗血清は、これら2つの胃上皮細胞系統に対する幽門洞抽出物の分裂促進効果を阻害したが、ペプチド77−97またはEGFの増殖効果は阻害しなかった。免疫前の血清は、増殖に影響しなかった。これらの結果は、AMP−18およびそのペプチド誘導体は、インビボで機能して損傷後の修復の間に増殖および回復を刺激し得ることを示唆する。AMPペプチド77−97は、8μg/mlまでの濃度において、ヒト線維芽細胞(WI−38)または類表皮細胞(HeLa)の増殖を刺激せず、その分裂促進効果は比較的上皮細胞特異的であることを示唆する。
(9.AMP誘導ペプチドによるIEC−18細胞増殖の競合的阻害)
細胞表面におけるAMPペプチドおよびその結合部位の間の相互作用についてさらなる情報を得るために、非形質転換ラットIEC−18細胞を研究した。非分裂促進性ペプチド67−85の濃度を徐々に増加させることは、もしこの分裂促進性42マーがレセプターによるメカニズムによってその効果を発揮するならば、ペプチド58−99による増殖刺激を阻害する。3日間のアッセイで、ペプチド58−99は、ビヒクルによる290%と比較して、細胞数の407%の増加を刺激した。ペプチド67−85の濃度を約0.1μg/mlまで徐々に増加させると、ペプチド58−99の増殖刺激効果はほとんど消失した(図17)。この結果は、その2つのペプチドは同じ表面「レセプター」部位に対して競合することを示唆する。
(10.AMP−18に対する抗血清は、rhAMP−18の分裂促進効果を中和化する)
進行中の研究は、AMP−18前駆体に対するウサギ抗血清は、イムノブロットでrhAMP−18を認識することを明らかにする。その抗血清はまた、ブタ幽門洞組織抽出物(図11)およびAMPペプチド58−99の分裂促進効果も阻害し、そしてヒトおよびマウスの胃幽門洞組織の細胞においてAMP−18を免疫学的局在決定する。図18は、抗血清がIEC−18細胞のコンフルエントな培養物において、rhAMP−18の分裂促進効果を中和化することを示し、それによってネイティブなタンパク質と同様に組換え体を研究するためにその有用性を広げる。
GI上皮細胞を用いて、結果は、rhAMP−18の細胞保護効果は、密着結合(TJ)タンパク質の蓄積を促進する能力によって媒介され得ること、およびそれは強力な分裂促進因子であることを示唆する。その結果はまた、AMPペプチド77−97は、その生理的効果を発揮するのに比較的より高い濃度を必要とするが、そのペプチドはrhAMP−18の適切な代理であることを意味する(図13)。
rhAMP−18の収率を改善するために、EDTAフリープロテアーゼインヒビターカクテルを使用し、リゾチームを加えてE.coli細胞の破片を消化し、そして組換えタンパク質を1MのイミダゾールでNi2+ビーズから溶出する。
(11.AMPペプチドは、引っかいて傷つけた後の胃および腸の上皮細胞の回復を刺激する)
図19に示したデータは、分裂促進効果が細胞数の増加によって検出され得る前の時間、AMPペプチドへの曝露の24から48時間後に得られた。その結果は、AMPペプチドが引っかき傷をつけたHAE系統のヒト胃腺癌由来の細胞、およびIEC−18系統の非形質転換ラット腸細胞における回復を刺激することを示す。従ってAMPペプチドは、培養物中で胃および腸の上皮細胞の回復を迅速に刺激し、そしておそらくインビボで損傷した胃粘膜の再舗装(resurface)を速め得る。
(12.AMPペプチドはチロシンキナーゼ活性を誘導し、このことは、その機能的効果が細胞表面レセプターによって媒介されることを示唆する)
AMP−18の生理学的効果は特異的であり、そしてレセプター媒介性であるという証拠を得るために、AMPペプチドを試験して、それがGI上皮細胞においてチロシンリン酸化を誘導するかどうかをみた。
IEC−18細胞をAMPペプチド77−97で、以前に、60分までの異なる時間で最大増殖刺激のために必要なものより多いことが示された濃度で処理した。次いで細胞を溶解し、タンパク質を抽出し、そしてSDSポリアクリルアミドゲルで分離し、ブロットし、そしてブロットを4G10抗ホスホチロシンモノクローナル抗体でプローブした。そのブロットは、細胞をAMPペプチド(8μg/ml)に曝露させることが、2分後に、いくつかのタンパク質(42kDaおよび55kDaの分子量を有するものを含む)のチロシンリン酸化を引き起こすことを示し、このことは、AMP−18シグナル伝達における活性化ERK1および活性化ERK2の役割を示唆する。5分後に、いくつかのタンパク質のチロシンリン酸化の程度が減少し、そして他は60分まで持続した。
AMPペプチドおよびおそらくAMP−18は、その分裂促進、遊走促進、および細胞保護効果を、細胞表面レセプターを通してシグナル伝達し、そして特異的細胞タンパク質のチロシンリン酸化を刺激する可能性がある。
(13.AMPペプチド77−97は、上皮細胞のバリア機能の発達を増強し、そして細胞保護的である)
バリア機能の維持は、胃管腔から外来性の抗原および細菌の侵入を防ぐために、および電解質、水および栄養素の特定の方向への輸送のような他の機能のために必要不可欠である。単独でまたは他の薬剤と協同で作用して、AMP−18は粘膜損傷後の迅速なバリア機能の復帰を媒介し得る。AMPペプチド77−97がバリア機能の発達を促進し得るかどうか、および反応性酸素代謝物、インドメタシン、またはデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)が、粘膜の透過性を増加させ、そして上皮密着結合を維持するために必要な細胞の完全さを傷つけた場合に、機能の損失を防止する細胞保護剤として作用し得るかどうかを決定するために、上皮密着結合のマーカーとして比較的高い値のTERを示すことが知られている細胞系統を使用した。最初に、ペプチド77−97は、よく特徴づけされた、非形質転換MDCK細胞の単層培養においてTERの成熟を調節する。図20は、ペプチドへの曝露は、24時間までに、そしてその後より高い程度まで単層におけるTERを増加させることを示す。この観察は、AMP−18またはAMPペプチドが損傷後のGI上皮の回復を速め、そしてバリア機能の発達を増強し得ることを示唆する。
AMPペプチドが、粘膜酸化損傷の組織培養モデルにおいてバリア機能を保護するかどうかを決定するために、細胞単層に、モノクロラミンを用いて反応性酸素代謝物損傷を与えた。図21の結果(パネルA)は、モノクロラミンに曝露し60分後、ビヒクルまたはEGFで処理したMDCK細胞は、TERのかなりの損失を示し、一方ペプチド77−97で処理した培養物のTERは、損傷していない単層と同様であることを示す。それは、AMPペプチドはこのセットの条件下で細胞保護的であるがEGFはそうではないことを示唆し、一方以前に、これら2つの分子は胃および腸の上皮細胞に同等および相加的な分裂促進因子および遊走促進因子であることが見出されたので、これらの結果は非常に興味深い。ペプチド77−97の細胞保護効果はまた、酸化剤(図22、パネルB)またはインドメタシン媒介性(パネルC)損傷の設定で、ヒト結腸腺癌系統由来のCaco2/bbe(C2)細胞においても明らかであった。
(14.DDS損傷後のAMPペプチドの細胞保護効果)
AMPペプチドの、インビボで大腸炎において細胞保護効果を発揮する潜在的な能力を評価するために、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の溶液を、結腸上皮のモデルに使用したC2細胞単層の培養培地に加えた。バリア機能のDSS媒介損傷を、これらの単層培養におけるTERを測定することによって定量した。図22は、DSS(4%)が45分後にTERをコントロール値の約30%に抑制したこと、そしてAMPペプチドが細胞保護的であったことを示す。この観察は、AMPペプチドを、DSS媒介大腸炎のマウスモデルにおいて治療薬として評価する、強力な生理学的原理を提供する。
AMPペプチドが、IBDを治療するために設計された薬剤の非常に求められている機能的特徴である、DSS誘導結腸細胞損傷後のTERの回復を速め得るかどうか決定するために、C2細胞単層をDSS(5%)に10分間接触させ、これは、TERをコントロール値の33±6%に抑制した。DSSを、培地を吸引し、そして新しい培地と交換することによって除去した。AMPペプチド77−97(8μg/ml)またはビヒクルを培養培地に加え、そして18時間後にTERを測定した。ビヒクルの存在下で、TERはコントロール値の33%から66±7%まで増加し、一方AMPペプチドに曝した細胞はコントロールの112±4%の値に達した。DSS媒介大腸炎の組織培養モデルにおけるその有益な結果は、AMPペプチドがインビボで損傷結腸上皮におけるバリア機能の回復を速め得ることを示唆する。
(15.結腸上皮細胞におけるAMPペプチドの細胞保護効果は、増加した密着結合タンパク質の蓄積によって媒介され得る)
図21Bは、AMPペプチド77−97が、酸化損傷後のCaco2/bbe(C2)細胞における経上皮電気抵抗(TER)の減少を鈍らせることを示す。そのペプチドがどのようにその細胞保護効果を発揮するのか調査するために、C2細胞単層を、AMPペプチドで処理し、そして18時間後にモノクロラミンで酸化損傷を誘発した。特異的密着接合(TJ)タンパク質のレベルの変化をチェックした。細胞を溶解し、そして不溶性/微粒子画分のタンパク質を、イムノブロッティングによって研究した。図23は、0時、および酸化剤誘発損傷の60分後において、ビヒクルで処理した細胞よりもAMPペプチドで処理した細胞においてより多くの免疫反応性ZO−1およびオクルディンが存在することを示し、これらTJタンパク質がより豊富にあり、それによって単層におけるTERの損失を鈍らせ、そしてバリア機能を保持することを示唆する。これらの観察は、AMPペプチドは、細胞が酸化損傷を受ける前の18時間にTJタンパク質の蓄積を増強したことを示した。非損傷細胞を研究し、そしてAMPペプチド(またはrhAMP−18)は、未処理細胞と比較して、免疫反応性ZO−1およびオクルディンの量を迅速に増加させたことを示した(図24)。これらの変化は、いくつかの他のTJタンパク質(ZO−2、クローディン−1、クローディン−2、クローディン−5)または熱ショックタンパク質(HSC)73で観察されなかったので、ZO−1およびオクルディンに比較的特異的なようである。
(16.rhAMP−18の細胞保護効果)
十分な量の精製rhAMP−18を調製して、モノクロラミン媒介酸化損傷後のCaco2/bbe(C2)細胞における経上皮電気抵抗(TER)の減少を鈍らせたAMPペプチド77−97と比較して、rhAMP−18が細胞保護的であるかどうかを試験した(図21B)。図25は、モノクロラミンへの曝露が、45分でTERを約35%に抑制し、一方rhAMP−18またはペプチド77−97で前処理した細胞が約10%のTERの減少しか示さなかったことを示す。図26は、8時間のrhAMP−18によるC2細胞の処理が、ビヒクルで処理した細胞と比較して、免疫反応性ZO−1およびオクルディンの量を増加させることを示す。これらの結果は、AMP−18はその細胞保護効果を、特異的TJタンパク質の蓄積を増強することによって媒介し得、そしてそれによって粘膜損傷後のGI管に沿ったバリア機能を保持し得ることを示唆する。
(17.AMPペプチドの投与は、DSS誘発大腸炎を有するマウスにおいて糞中の血液の出現を遅らせ、そして体重減少を抑制する)
AMPペプチドの治療的有効性を評価するために、マウス(各12−15グラム)に飲料水中3%のDSS(M36−44kDa)を与えることによって、DSS大腸炎をC57/BL6オスマウスで誘発した。大腸炎の証拠(糞中の血液)は、早くて1日目に(図27、左のパネル)、そして4日目までに全ての動物で見出された。毎日皮下(s.c.)注射によって投与されたAMPペプチドは、潜血(hemoccult)−陽性糞の出現を遅らせ、そしてまた体重減少の程度も抑制した(図27、右のパネル)。これらの肯定的な発見は、大腸炎およびGI管の粘膜表面を傷つける他の疾患における有用な治療薬としてのAMPペプチドを強力に支持する。
AMP−18の合成は、ヒトおよび他の哺乳動物の、胃幽門洞の管腔粘膜裏打ち上皮細胞に限られている。細胞内で、そのタンパク質は分泌顆粒中でムチンと同時局在しており、そして先端の原形質膜の上にある粘液に分泌されるようである。E.coliで調製された組換えヒトAMP−18は、成熟タンパク質の中央由来の増殖促進ペプチドよりも1オーダー低い程度の濃度で分裂促進効果を発揮する。最も強力な分裂促進ペプチドであるペプチド77−97は、アミノ酸配列特異的であり、そしてそれは線維芽細胞またはHeLa細胞の増殖を刺激しないので、細胞型特異的であるようである。特異的AMPペプチドによる分裂促進は、活性分裂促進因子ではないあるペプチドが、ペプチド58−99および幽門洞細胞抽出物の増殖刺激効果を、濃度依存的な様式で競合的に阻害し得るので、細胞表面レセプターによって媒介されるようである。AMP−18およびその誘導ペプチドは、胃および腸上皮細胞に対して多様な効果を示し、それはそれらが胃粘膜損傷後の修復に決定的な役割を果たし得ることを示唆する。これらは細胞保護、分裂促進、回復、および酸化剤、DSS、および/またはインドメタシン媒介損傷後のバリア機能の成熟を含む。AMP−18またはそのペプチド誘導体がその多面発現性の効果を媒介する可能性のあるメカニズムは、タンパク質チロシンキナーゼ活性の刺激、細胞ストレス後の熱ショックタンパク質発現の延長、ならびに/または密着結合関連タンパク質ZO−1およびオクルディンの増強された蓄積を含む。これら生理学的効果のあるものは、トレフォイル(trefoil)ペプチドまたはα−デフェンシン、クリプトジン3(>100μM)のような他の胃ペプチドメディエーターの濃度と比較して、rhAMP−18(<50nM)で比較的低い濃度で起こり得る。免疫反応性AMP−18が、明らかにインドメタシン胃管栄養後にマウス幽門洞の細胞によって、およびフォルスコリンに接触させた一次培養中のイヌ幽門洞細胞によって放出され、これは、そのタンパク質は調節を受けることを示唆する。AMP−18は、インビボで胃粘膜上皮における創傷治癒のような生理学的過程および病理学的過程で役割を果たしているようである。マウス大腸炎のDSSモデルにおいて血液性糞の出現を遅らせ、そして体重減少の程度を抑制するAMPペプチドの能力は、GI管の粘膜を損傷する多様な疾患(炎症性腸疾患、胃潰瘍等)における治療的有効性を示唆する。
(材料および方法)
(1.幽門洞特異的cDNAクローンの単離)
胃酸分泌ならびに粘膜および膵臓細胞の増殖を調節する(Yooら、1982)胃腸(GI)ペプチドガストリンのcDNAクローンを単離した。これらのスクリーニングから、胃の幽門洞において比較的特異的に発現されるいくつかの他のmRNAを発見した。これらRNAの1つにおけるオープンリーディングフレーム(ORF)は、ブタおよびヒトの間で高度に保存されており、そしてすぐに明らかな機能を持たない新規保存タンパク質を予測した。特異的抗体を使用して、同様のタンパク質種が、試験した全ての哺乳動物の胃幽門洞粘膜に存在することを示した。これらの配列の発現に組織特異性が存在し、そしてそれらは明らかに哺乳動物種の幽門洞粘膜に普遍的に存在する。
(2.RNA発現)
cDNAクローンの単離が、胃幽門洞の粘膜における選択的な発現について予測され、そしてこれは、最初にcDNA配列でプローブした様々な組織由来のRNAのノーザンブロットハイブリダイゼーションによって、そして続いてタンパク質分析によって確認された。ノーザンブロットは、ブタの胃腸管内におけるmRNA発現の特異性を示した。最も高いmRNA発現は、幽門洞粘膜であり、隣接する体の粘膜では変動する量、そして底、食道および十二指腸では検出不可能なレベルであった。幽門洞および体の非粘膜組織は、cDNAプローブに反応するRNAをほとんど含んでいなかった。
(3.発現されたタンパク質に対する抗体)
ヒトおよびブタcDNAクローンのオープンリーディングフレーム(ORF)は、非常によく似た比較的低分子量(MW)のタンパク質を予測し、それはコンピューターデータベースの公知のタンパク質と近いホモログを有さず、そして従って可能性のある機能についてほとんど示さない。推定タンパク質の生物学的役割を研究するアプローチとして、N−末端His6タグ(配列番号16)もコードするベクターを用いて、全cDNA配列をE.coliで発現させた。不運なことに、細菌で発現した場合、そのポリペプチド産物は不溶性であり、そして生化学的研究のために容易に分析できない。しかし、ヒトcDNAの細菌産物を、抗血清を誘発するためにウサギで免疫原として使用したドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲルで分離した。その血清を、多くの哺乳動物種由来の幽門洞組織のタンパク質抽出物に対してスクリーニングした。この手順は、免疫原と試験した哺乳動物の幽門洞に発現する約18kDaのタンパク質とのどちらも認識し得る、いくつかの高力価、低バックグラウンドの抗血清を産生するのに成功した。細菌で発現したタンパク質は、シグナルペプチド配列およびHis6タグ(配列番号16)を含むので、よりゆっくり移動する。免疫前血清は、有意な18kDa反応性を示さなかった。ヒトcDNAクローンから発現したタンパク質に対して産生された抗血清の、様々な哺乳動物(ブタ、ヤギ、ヒツジ、ラットおよびマウス;最後はSDSゲルにおいて常にわずかにより速く移動する)由来の幽門洞抽出物の非常によく似たMWのタンパク質との交差反応性は、ヒトおよびブタcDNAのORFの比較によって予測されたアミノ酸配列の保存のレベルを支持する(図10を参照のこと)。続く実験において、シグナルペプチドを有するヒトAMP−18を細菌で産生した。
免疫前血清は、全ての組織抽出物のウェスタンブロットでわずかな反応を与えるが、2つの免疫血清(1:50000希釈までで)はどちらも18−20kDaの主なバンドのみを与え、それらは胃幽門洞抽出物においてのみであり、そして隣接する体抽出物においてはより少ない程度である。その血清は、細菌で発現したタンパク質に対して産生したので、動物起源の他の外来性免疫原の可能性は存在しない。
イムノブロットによって決定されたように、幽門洞に対する発現の特異性は、ノーザンブロットが示唆するよりも大きく、そして幽門洞抽出物からのシグナルの強度は、タンパク質が比較的豊富にあることを意味するが、定量的推定は行なわなかった。試験した非胃組織において有意な抗原は検出されなかった。
免疫組織化学は、両方の免疫前血清による幽門洞組織のわずかな染色を示し、一方両方の免疫血清は、表面粘膜細胞をかなりの希釈で非常に強力に染色した。免疫前血清は、免疫電子顕微鏡研究における免疫金染色を引き起こさなかった。幽門洞抽出物の増殖因子活性は、両方の免疫血清によって阻害されるが、免疫前血清によって阻害されない。最後に、増殖因子活性を有し、免疫血清によって阻害されるが免疫前血清によって阻害されず、そして免疫血清によって認識されるが免疫前血清によって認識されないエピトープを有する合成ペプチドの結果は、これら試薬の特異性をさらに確認する。
(4.ブタ胃粘膜組織由来のRNAのノーザンブロットハイブリダイゼーション)
全RNAを電気泳動し、膜に移動させてそして標識したブタAMP−18cDNAプローブとハイブリダイズした。各レーンのRNA試料の供給源は以下の通りである:1.遠位十二指腸;2.近位十二指腸;3.幽門洞;4.隣接する体;5.底;6.食道。等量のRNAを負荷した。幽門洞に隣接する体のRNAからのシグナルは変動した。サイズマーカー(ヌクレオチド)を、比較のために同じゲルに流した。
(5.ヒト幽門洞特異的cDNAクローンによって指示された、細菌で発現したタンパク質に対して産生されたウサギ抗血清を用いたイムノブロット)
全組織タンパク質を、SDS緩衝液に溶解し、電気泳動し、そして膜に移動させて免疫血清(1:50000)と反応させた。結合した抗体分子を、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギ抗体を用いて検出した。免疫前血清は、1:200希釈で同時に行なったブロットの特異的染色を与えなかった。レーン:1、6、13、17はマーカーを含んでいた。2HeLa細胞。3マウスTLT細胞。4発現ヒトタンパク質+HeLa細胞。7マウス体。8マウス幽門洞。9マウス十二指腸。10マウス腸。11マウス肝臓。12発現ヒトタンパク質+TLT細胞。14マウス幽門洞。15マウス脳。16マウス腎臓。18ブタ幽門洞。19マウス幽門洞。
高パーセントアクリルアミドゲルのイムノブロットは、抗血清が合成ペプチド78−119のエピトープを認識したことを示した。配列のこの領域は、タンパク質の表面に露出しており、そして抗原性であることが予測されたので、ペプチド78−119の抗体との反応は予期しないものではなかった。これは、AMP−18またはその直前の前駆体が上皮細胞の増殖因子であるという考えをさらに実証するだけでなく、AMP−18の生物活性(および抗原性)領域の分析の基礎、および細胞レセプター数および同一性を評価する道具を提供する。ペプチドの化学合成はまた、さらなる細胞研究のために、かなりの量の精製「野生型」および「変異」試薬の簡便および迅速な供給源を利用可能にする。それらの最大効果は相加的でないので、合成ペプチド78−119は、明らかに幽門洞タンパク質と同じメカニズムで作用する。
(6.プレAMPオープンリーディングフレームの配列および予測される構造)
ヒトおよびブタの予測アミノ酸配列は76%同一である。予測されるシグナルペプチドは目立たない;天然ブタAMPのN−末端は、アスパラギン酸であることが示された(図10)。
(7.天然タンパク質の構造)
ヒトおよびブタcDNAのORFは、同様の一般的構造を有するポリペプチドを予測した(図10)。他に未修飾のヒトおよびブタタンパク質の予測される分子量は、それぞれ18.3および18.0であった;これらの値は、本発明の抗血清と反応する幽門洞タンパク質のSDSにおける電気泳動移動度とよく一致する。
抗血清を使用して、ブタ幽門洞粘膜の抽出物からのタンパク質の精製を助けた。全組織抽出物に適用した免疫親和性方法は、あまり有効でないことが示されたが、細胞分画をモニターするためのイムノブロット、勾配遠心、およびゲル電気泳動を使用することによって、十分な量のブタ18kDaポリペプチドを精製し、配列決定によって、天然N−末端が、正確にシグナルペプチドの除去のために予測されるアラニン−アスパラギン酸部位におけるORFのN−末端から約20アミノ酸の切断によって予測されたものであることを確認した。アスパラギン残基は豊富にあるが、糖鎖付加のコンセンサスコンテキストにあうものはなかった。両親媒性ヘリックス形成傾向を有し得るかなり長い領域。後者は、タンパク質内のユニットまたは処理後のペプチドに相当し得る。円二色性を用いて、ヒトプレAMP配列(図3)のアミノ酸126−143に相当する合成ペプチドは、マガイニン型の抗菌ペプチドを含むいくつかの生物活性ペプチドのヘリックス傾向を評価するために使用される、トリフルオロエタノール条件の中程度の濃度においての、ヘリックスになるよう容易に誘導される(例えばParkら、1997を参照のこと)。
(8.AMP−18の位置推定)
AMP−18に対する抗血清は、マウス幽門洞領域の切片と強力に反応するが底、十二指腸、または腸と反応せず、優れた組織化学的プローブであることが証明され、イムノブロットの結果を確認した。免疫前血清はより高い濃度ででもわずかな反応を与える。AMP−18タンパク質は、胃管腔を裏打ちする粘膜上皮細胞に集中しているようであるが、組織のより深部の細胞および上部陰窩領域におけるより少ないシグナルは、細胞が、管腔層に向けて移動するにつれてタンパク質を発現し始め得ることを示唆する。組織化学的調製物のより高い倍率は、このレベルの解像度では、一般的な細胞質染色しか示さない;光学顕微鏡の、電子顕微鏡(EM)によって見られるいくつかの管腔表面細胞の顆粒が詰まった領域と同じものであり得る、強力な染色のパッチがいくつか存在する。従って幽門洞粘膜におけるAMP−18の局在は、粘膜層の深部にあるガストリンを合成する細胞とは非常に異なっている。
(9.マウス胃幽門洞粘膜細胞におけるAMP−18抗原の免疫電子顕微鏡位置推定)
組織片を4%のホルムアルデヒドで固定し、そしてUnicrylにおける包埋のために処理した。薄片をウサギ抗ヒトAMP−18抗血清(1:200)と反応させた;結合した抗体を、10nmの金コロイドに結合したプロテインAによって検出した。反応した切片を見る(20,000×)前にクエン酸鉛で染色した。金粒子は半透明の分泌顆粒の上に見え、それは免疫反応性の必要条件のために、標準的なグルタルアルデヒド−オスミウム−エポン(epon)手順(11,400×)よりもここで半透明であるようであった。他の細胞質構造に対してわずかなバックグラウンドが見えた。
タンパク質の一般的な構造は、潜在的な分泌役割を示すので、正確な細胞内局在化が貴重である。これはEM免疫細胞化学手順を必要とする。標準的な包埋および染色方法が、以前に他の多くによって報告されたように、幽門洞領域(例えばJohnsonおよびMcMinn、1970)は分泌顆粒が非常に豊富である粘膜上皮細胞を含むことを明らかにする。予備的な免疫EMデータは、1:200−1:800の希釈で使用された免疫血清が、分泌顆粒と特異的に反応することを示す。後者は、いくらか膨張して、そして標準的固定条件よりも電子不透明ではないようであり、そして密度の違いは識別困難であるが、全体として細胞構造は、免疫反応性を保存するために必要なよりストリンジェントでない条件下で固定および包埋した胃組織でかなりよく保存される。1:100の希釈で、免疫前血清は、分泌顆粒に選択的でなくわずかなバックグラウンドを示した。
(10.上皮細胞培養における増殖因子活性)
AMP−18の機能は、それが幽門洞およびおそらく胃の他の場所における機能的粘膜上皮の維持を少なくとも部分的に司る増殖因子であるということである。最初に、胃上皮細胞系統はすぐに入手可能でなかったが、腎臓上皮細胞システム(Karthaら、1992;Aithalら、1994;Lieskeら、1994)を使用した。分画した幽門洞粘膜細胞抽出物を、これらの実験のために使用した。分画をフォローするためにプローブとしてイムノブロッティングを使用して、ブタまたはマウス幽門洞のいずれかからけずった粘膜細胞の溶解時に、AMP−18抗原はスクロース密度勾配の35S画分に回収された。そのような高速上清画分が、細胞増殖に関する研究のための開始材料となった。予期しないことに、これらの抽出物は、コンフルエントなサルの腎臓上皮細胞(BSC−1細胞)において50%の増加を刺激したが、HeLaまたはWI−38線維芽細胞に影響を及ぼさなかった。BSC−1細胞の刺激は、少なくともその最適な濃度でアッセイした、EGF、IGF−I、aFGF、bFGF、およびバソプレシンを含む多様なポリペプチド分裂促進因子で観察されるものと同じくらい有効であった。DNA合成を、[H]チミジンの酸不溶性物質への組込みを測定することによって評価した場合、幽門洞抽出物による同様の増殖刺激が観察された。幽門洞抽出物の生物学的活性は、65℃で5分間の加熱、およびほとんどのオリゴペプチドを除去する10kDaのMカットオフを有する膜を用いた透析を耐える;この処理は60−70%のポリペプチド物質を除去するが、イムノブロットによってアッセイしたようにAMP−18を容赦した。より重要なことに、マウスまたはブタ幽門洞抽出物によるBSC−1細胞の分裂促進刺激は、ヒト組換えプレAMP−18(細菌で発現した)に対する2つの異なる抗血清のいずれかを培養培地に加えた場合に阻害される。免疫前血清(1:100から1:800)は、細胞増殖に影響を与えず、幽門洞抽出物の分裂促進効果も変化させなかった。これらの観察は、胃粘膜細胞AMP−18は、通常このタンパク質を発現しない腎臓上皮細胞の強力な分裂促進因子として機能することを示唆する。
部分的に分画した幽門洞抽出物における増殖促進活性は、AMP−18タンパク質によって媒介されたというさらなる証拠を得るために、マウス抽出物のアリコートを、以前に天然タンパク質のN−末端配列を決定するために使用した方法である、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた。ゲルを2mmの切片に切断し、そして各切片を、1%BSAを含むリン酸緩衝化生理食塩水中3%のアセトニトリルで抽出した。抽出上清を、分裂促進活性に関してアッセイした。その結果は、16−19kDaの範囲のタンパク質を含む1つの切片が、増殖促進活性を有することを示した。有意に、この増殖反応は免疫血清によって阻害されたが免疫前血清では阻害されなかった。タンパク質の比較的低い沈降速度とあわせて、これらの発見は、AMP−18は上皮細胞分裂促進因子であり、そしてそれはモノマーとして、またはおそらく同型ダイマーとして機能するという結論を支持するさらなる証拠を提供する。それはまた、タンパク質の構造が、SDS−ゲル電気泳動の変性条件後にネイティブなコンフォメーションを容易に再獲得し得るような構造であることを意味する。
幽門洞増殖因子活性と他のサイトカインとの相互作用を評価するために、その活性を試験して、それが上皮細胞培養においてEGFと相加的であるかどうかを決定した。未処理マウス幽門洞抽出物(10μg/ml)、または加熱、透析ブタ抽出物(10μg/ml)と共に加えたEGF(50ng/ml)は、細胞数の静止レベルから74%の増加まで、分裂促進の相加的刺激を示した;それはBSC−1細胞アッセイを用いたあらゆる因子で今までに観察された最も大きい刺激であった。この相加性の例を図11にAGS細胞に対するAMPペプチドおよびEGFに関して示す。この観察は、AMP−18およびEGFが、異なる細胞表面レセプターに作用することによって増殖を開始することを示唆する。それはまたAMP−18増殖因子活性が、上皮の維持および回復において、通常他のオートクリンおよびパラクリン因子と協同作用し得ることを意味する。EGFの結果を考慮して、他の因子(EGFがその例となり得る)は基底表面から作用するが、AMP−18は上皮細胞層の先端面(すなわち胃管腔面)で分泌され、そしてそこで作用するようである。
(11.ガストロカイン(AMP−18)関連ペプチドの生物活性)
本発明の合成ペプチドの活性は予期しないものである。ヒトcDNAクローンペプチドのORFに基づくペプチドを、University of Chicago Cancer Center Peptide Core Facilityで合成し、そこで産物の配列および質量スペクトルをチェックする。ペプチドをHPLCによってさらに精製した。シグナルペプチドを含まずに、およそタンパク質の長さに広がる5つの比較的大きなオリゴペプチド(それぞれ約40アミノ酸)を分析した。予測されるヘリックスおよびグリシン−プロリン(GP)ターンを含む、プレAMP配列のアミノ酸lys−78からleu−119まで広がる42アミノ酸長の1つのペプチド(タンパク質の成熟型のペプチド58−99;表1を参照のこと)は、高い分裂促進活性を有していた。この反応は、特異的抗血清によって阻害されたが、免疫前血清によって阻害されなかった。
(表1:プレ−ガストロカイン(プレ−AMP−18)の配列に基づく合成ペプチドの生物活性)
表1:ヒトおよびマウスプレ−ガストロカイン(プレ−AMP−18)配列から得た分裂促進ペプチドの分析。14アミノ酸の分裂促進ドメインは太字である。ペプチドはプレ−ガストロカイン(プレAMP−18)のアミノ酸配列におけるその位置によって同定される。#AA;ペプチド中のアミノ酸の数。K1/2;最大半減増殖刺激の濃度。
重複する不活性ペプチドが、分裂促進ペプチドの活性を阻害し得る:すなわち、ヒトペプチド78−88および87−105は、ペプチド78−119の活性を阻害し、そしてペプチド87−105はペプチド104−117の活性を阻害するが、ペプチド78−88は阻害しない。ペプチド78−88および87−105は胃抽出物中のタンパク質の活性を阻害する。
**スクランブル
(12.ガストロカイン(AMP−18)の増殖刺激ドメイン)
新規幽門洞粘膜細胞タンパク質AMP−18の中央領域に相当する42アミノ酸ペプチドが、ブタおよびマウス幽門洞抽出物中のそのままのタンパク質と特徴が同様の分裂促進活性を有する(表1)という発見は、分子の生物活性領域の特徴付けを促進した。78位−119位のアミノ酸を含むペプチドが、組織抽出物によって与えられるものと同様の、BSC−1上皮細胞系統の増殖の最大刺激を与え、そして細菌で発現した完全幽門洞タンパク質に対してウサギで惹起されたいくつかの異なる抗血清によって同様に阻害された。ペプチド「78−119」に関連する多くの合成「欠失」ペプチドの分裂促進活性を、表1にまとめる。増殖活性の決定は、今まで腎臓上皮細胞系統およびいくつかの胃および腸系統で達成された。
ペプチド78−119のもとの42アミノ酸配列を、リシン(K)残基が境界となる3つの部分に分割した;N−末端からC−末端へ、これらは78位−88位、87位−105位、および104位−117位のアミノ酸を有するペプチドである。これらのうちペプチド104−117のみが、同様の増殖刺激のプラトーを与えるが、もとのペプチド「78−119」より高いモル濃度を必要とする分裂促進活性を有していた;これはより高いK1/2値に反映され、それは、14アミノ酸ペプチドが42アミノ酸ペプチドの活性の30−40%を有することを示唆する。
これからの結論は、より小さいペプチドは、おそらく正しいコンフォメーションを形成する能力が低いために、またはあるいは補助的な結合領域の喪失のために、細胞レセプターに関してより低い結合親和性を有するということである。後者の考えは、ペプチド「78−88」および「87−105」が、インタクトな42マーペプチド78−119の活性に拮抗し得るという観察によって支持される;これらのペプチドは幽門洞抽出物の活性にも拮抗し、新規タンパク質の生物学的機能を分析する手段としての合成ペプチドの妥当性をさらに支持する。本発明のさらなる局面は、ペプチド87−105はペプチド104−117の活性に拮抗するが、68−88はしないことである;ペプチド87−105は隣接する104−117配列と2残基重複することに注意する。
まとめると、これらの結果は、AMP−18の増殖刺激領域の比較的単純な直線モデルを示唆する;すなわち、N−末端の拡大した結合ドメイン(大部分がヘリックスであることが予測され、それの相対的な剛性が、細胞増殖研究で決定されたような関連配列の直線的構成を説明し得る)、次にターンの可能性の他は予測される構造を持たないグリシンおよびプロリンの豊富な領域が続く。増殖刺激の引き金を含むのはこの後者の領域である。ペプチド78−88および87−105による拮抗の特異性は、それらがアゴニストペプチド78−119および104−117と重複するかどうかに基づき得る;例えば78−88は78−119と重複および阻害するが、104−117と重複または阻害しない。78−119スクランブルペプチドの不活性と合わせて、これらのペプチドによる競合の特異性は、AMP−18が特異的な細胞成分と相互作用するという結論を強化する。レセプター結合領域はペプチド104−117からN−末端に伸びるというさらなる証拠が、104−117の7アミノ酸のN−末端延長を含むペプチド97−117の増強された活性によって提供される。C−末端方向へ4アミノ酸の延長を有するペプチド(ペプチド104−121)は、親104−117よりわずかに低い活性を有するようであるが、天然チロシンを含み、それは放射活性ヨウ素による標識を可能にし、それはまず結合部位の数の評価、および続いてレセプタータンパク質の検出によって、細胞に対するAMP−関連ペプチドの結合の決定を可能にする。
その活性(42マーと同等)およびその相対的経済性(21アミノ酸の長さ)のために、ペプチド97−107をほとんどの試験で使用した。しかし、tyr−121までのC−末端延長は、おそらくそれは二次構造を安定化させるために、今までで最も活性なペプチドを与える。このペプチドは例えばEGFのナノモル活性に匹敵しないが、トレフォイルペプチドで報告されたものより非常に強力である(Podolsky、1997)。インタクトなAMPタンパク質の推定活性は約1−10nMである。
(13.組換えタンパク質の発現)
(a)E.coli。組換え構築物を、一般的に、PT/CEBPベクター中の全長cDNA配列の適当な領域に相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって、遺伝子工学で操作し、そして標準的なベクターポリリンカーへの容易な挿入を可能にするのに便利な制限酵素部位まで延長する。細菌システムにおけるAMP ORFの発現を用いた最初の実験は、Ni−NTA樹脂(Qiagen)における発現タンパク質の精製の促進を意図して、N−末端His6タグ(配列番号16)を含む(Jeonら、1994)、発現ベクターPT/CEBPを採用した。宿主BL21(DE3)pLySにおけるこのベクター中の全長ヒトcDNAの発現は、不溶性タンパク質の高い収率を与え、それは変性条件下の電気泳動後に、特異的高力価抗体を得るためにウサギで免疫原として使用するために適当であったが、それはそのタンパク質の天然構造および機能を分析するために有用ではなかった。この不溶性は、おそらく発現タンパク質における、疎水性シグナルペプチドの上流にHis6タグ(配列番号16)を有する、非天然N−末端の存在のためである。疎水性シグナルペプチド配列なしにORFを発現するエンジニアリングベクターも有用である。これらをN−またはC−末端Hisタグありおよびなしで、細菌発現ベクターを用いて構築する。20アミノ酸のシグナルペプチドを欠き、そしてHis6タグ(配列番号16)を含むヒトAMP−18配列も、細菌で発現させた。
(b)Pichia pastoris。単純な真核生物の中で、発芽酵母P.pastorisが、機能的組換えタンパク質の産生および分泌のために選択される発現システムとして広く知られている(Romanosら、1992;Creggら、1993)。このシステムにおいて、外来性タンパク質の分泌は、それ自身のシグナルペプチドか、または高度に適合性の酵母接合型アルファシグナルのいずれかを利用し得る。この有機体は、AMP−18タンパク質を正しく処理および分泌および少なくとも部分的に修飾する。外来性遺伝子の構成的および調節性発現のためのベクターが、Pichiaで開発された(Searsら、1998)。ポリリンカークローニング部位に加えて、これらのベクターは、高発現構成的グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)またはメタノール調節アルコールオキシダーゼプロモーター(AOX1)のいずれかを含む。後者は、正常培養条件下で不十分な産物を産生するが、メタノールの存在下で、細胞タンパク質の30%までに達する、試験したベクターの最も高い発現を与える非常にストリンジェントなプロモーターである。酵母Pichiaが哺乳動物および昆虫の代替物に対して有する利点は、それが無タンパク質培地で連続的に増殖し、従って発現タンパク質の精製を単純化し、そして血清または宿主動物細胞由来の無関係の生物活性を排除することである。pIB4構築物(メタノール含有培地によって誘導可能)は、完全ヒトプレAMP−18cDNA配列を含む。
(c)バキュロウイルス/昆虫細胞。代替の、多くの場合成功する、非哺乳動物真核生物発現システムは、昆虫細胞培養システムにおいてAutographa californicaのような組換えバキュロウイルスを使用するものである。Pichiaと同様に、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)およびHis6タグ(配列番号16)(Pharmingen)を両方含む、簡便なベクターの大きなレパートリーがこのシステムにおいて利用可能である。トランスフェクションをSpodoptera frugiperda(Sf)細胞に対して行なう;これらの細胞を、分泌タンパク質の精製に有利なように、タンパク質を含まない培地にゆっくりと適応させ得る。内因性のシグナルペプチドがこれらの細胞で機能しない場合は、クローニング部位の上流にウイルスgp67分泌シグナルを含むベクターを用いて、外来性タンパク質の分泌を強要し得る。組換えタンパク質を、全細胞タンパク質の0.1−50%の範囲のレベルで発現し得る。いくつかのタンパク質修飾が、酵母と比較してこの昆虫細胞システムにおいて有利であり得るが、依然として哺乳動物システムを再現し得ない。昆虫発現システムはPichiaよりいくらか面倒であり、そして哺乳動物細胞における発現の完全な代用にはならないようである。20アミノ酸のシグナルペプチドを欠き、そしてHis6タグ(配列番号16)を含むヒトAMP−18配列を、バキュロウイルスで発現した。
(d)哺乳動物細胞。イムノブロット分析によって検出できない修飾が、哺乳動物細胞において起こり得、それは他の真核生物の細胞で再現されない。原核生物および単純な真核生物システムと同じくらい簡便ではないが、哺乳動物細胞は今や外来性タンパク質の一過性および持続的発現の両方にしばしば使用される。いくつかの増殖因子が、これらのシステムを使用して有意な量で発現および分泌された。
プラスミドpcDNA3/ヒト腎臓293システム:pcDNA3は、強力な構成的サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびSV40ポリAシグナルに隣接するポリリンカークローニング部位を含む(Invitrogen)。実験室での経験では、60−90%の一過性トランスフェクションレベルを達成し得る。このために、ヒトプレAMPcDNAクローンのPCR増幅を、開始コドンおよびネイティブリボソーム結合部位(コザック配列)およびpcDNA3への正しい方向性のために適当な制限酵素リンカーを含むオリゴヌクレオチドを用いて行なう。強力な抗生物質ブラストサイジンSおよび耐性遺伝子を含むベクターを用いた一過性アッセイにおいて好ましい構築物を同定し、安定な哺乳動物トランスフェクタント細胞株を「1週間以内に」確立し得る(Invitrogen)。利用可能なベクターはまた、構成的CMVプロモーター、ポリリンカークローニング部位、選択的V5−エピトープ/His6タグ(配列番号16)およびSV40ポリ(A)シグナルを含む(PcDNA6/V5−His)。
(14.AMP−18の変化した(修飾)形式の発現および分析)
「野生型」AMP−18の産生の効率的な発現システムが与えられれば、欠失または置換のいずれかを含む一連の変異タンパク質を作成し得、それは機能的ドメインの分析を可能にする。両親媒性ヘリックス、保存されたシステイン(C)残基および切断部位であり得る塩基性アミノ酸ダブレットが、魅力的な標的である。酵素アッセイと同じくらい単純ではないが、有糸分裂誘発アッセイは慣用的かつ反復可能であり、そしてそれらが構築されるのと同じくらい迅速な「変異体」の特徴付けを可能にする。ドミナントネガティブ(またはポジティブ)「変異体」は、潜在的な細胞レセプターを含む他の因子との相互作用を示すので、機能の単純な喪失を示す変異体と同じくらい重要である。
(15.発現したおよびネイティブガストロカイン(gastrokine)タンパク質の生化学的および免疫親和性分画)
ガストロカインAMP−18のいくつかの発現形式の場合に、組換えタンパク質は、可溶性タンパク質の迅速な精製を可能にするペプチドタグを含む。これらのタグの存在は、もしそれらがタンパク質の通常の機能を著しく阻害しなければ、他の関連する高分子との相互作用の分析も可能にする。His6タグ(配列番号16)は、組換えタンパク質をNi−NTA樹脂ビーズへ結合させることによって精製を可能にする(Janknechtら、1991;QiagenのNi−NTA樹脂)。タグ化タンパク質は、ほとんどの抗原−抗体複合体よりも高い親和性で結合し、そしてNi2+−ヒスチジンキレート化複合体を過剰なイミダゾールで分裂させて精製タンパク質を放出する前に激しく洗浄され得る。GST−タグ化組換えタンパク質を、グルタチオン−アガロースで精製し、洗浄し、次いで還元グルタチオンで溶出する(SmithおよびJohnson、1988)。全ての提案された発現システムと同様に、各タンパク質調製物を、その増殖因子活性に関してできるだけ早い段階で試験し得る。
従来の分画手順は、特に組織から天然タンパク質を単離する場合に、望ましい純度を達成するために使用される。後者に関してブタ幽門洞粘膜が好ましい開始点であり、最初に遠心および熱処理プロトコールを用いて、続いてサイズ排除カラムを使用する:18kDaタンパク質は、抽出物中でおそらくモノマーとして存在するという証拠を考慮して、BioGel P60が適当である。溶出物を、HiTrap Protein Aで精製した抗AMP抗体を、CNBr活性化Sepharose4B(Pharmacia)に架橋することによって作成した免疫親和性マトリックスに負荷する。過去に有用であることが証明されたマトリックスに対するリンカーの延長によるか(Aithalら、1994)、または抗体を固定化プロテインAに架橋することによる、免疫親和性マトリックスのさらなる修飾が有用であり得る。活性タンパク質をSDS−ゲル溶出によって回収し得るので、活性タンパク質を抗原−抗体複合体からも回収し得る。さらなる分画を、C8逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムによって達成し得る。最終的な工程は、N−末端配列決定による性質の確認を伴う、SDS−ゲル溶出技術の使用である。これらの工程の全てにおいて、免疫検出可能なAMP−18および増殖因子活性は、一緒に分画される。
(16.AMP−18関連合成ペプチド)
AMP−18は、1つまたはいくつかの生物活性ペプチドの前駆体であり得る。合成ペプチドは、タンパク質の機能を調査する簡便な道を提供する;ペプチドは機能の局面を模倣し得るか、またはそれに拮抗し得る。ペプチドがタンパク質の活性を再現または阻害するならば、それはもとのタンパク質の機能的ドメインのアイデンティティーを示唆し、そしてタンパク質−細胞相互作用を調査するために特異的にタグ化したプローブを合成する可能性も提供する。
ヒトタンパク質の中央領域に相当する合成42アミノ酸ペプチドは、部分的に分画された幽門洞粘膜抽出物の増殖因子活性を模倣し得るという発見は、AMP−18機能の分析に近道を提供した。リシン対におけるいくつかの潜在的なタンパク質処理部位に加えて、このペプチド(ペプチド58−99と呼ばれる;アミノ酸は、シグナルペプチドを除去した後の成熟タンパク質の58位−99位である)は、拡大したヘリックス形成可能な領域の1つおよびグリシン−プロリンループを含む。このペプチドのさらなる利点は、それは本明細書中で開示される抗血清の両方によって認識されるエピトープを含むことである。この配列由来のいくつかのより小さいペプチドを合成し、生物活性領域に焦点をあわせた。それらはこの領域の抗原性によって見られるように、タンパク質の表面に露出されることによって、タンパク質構造内の区別できるドメインを示し得るので、およびインビボで生物活性ペプチドへの切断部位であり得るので、まずリシン残基が境界となる配列を研究した。グリシン−プロリン領域が重要である(AMP−18の生物活性ドメインを示す表1を参照のこと)。グリシン−プロリン配列は、SH3(src相同性ドメイン3型)リガンドに関与することが知られている(Cohenら、1995;Nguyenら、1998);SHドメインはタンパク質−タンパク質相互作用に関与するので、AMP−18のGP領域はタンパク質の細胞表面レセプターとの相互作用に関与し得る。AMP−18で見出される正確なGPGGPPP配列(配列番号24)は、細胞内で作用するSH3ドメインで報告されていないので、それは細胞外リガンドのための新規タンパク質相互作用ドメインに相当するという興味深い可能性が存在する。成熟配列の97位−117位のアミノ酸から得られた21マーは、42マーと同様の活性を有する。このより短いペプチドは、様々な上皮細胞系統における増殖アッセイに有用である。このペプチドは、本明細書中で開示される抗血清によって認識されるエピトープを発現しない。
AMP−18誘導ペプチドの全ては、University of ChicagoのCancer Center Peptide Core Facilityで合成され、そこでHPLCによって単離された精製ペプチドの分子量およびアミノ酸配列も確認した。ペプチド78−119の生物学的活性は、有糸分裂誘発活性を有するより小さなペプチドを探索する基礎を与えるだけでなく、正のまたは負の影響を有するアミノ酸置換を迅速に発見するのを可能にする。不活性なペプチドを、活性ペプチドまたはインタクトのAMP−18の機能を阻害する能力に関して試験した。ペプチドにおける潜在的なD−アミノ酸の含有(通常のまたは逆の順序で)は、生物学的機能の保持を可能にしながら、分解に対してそれらを安定化し得る。さらに活性ペプチドを合成する能力は、細胞レセプターの性質、組織分布、および数の研究を促進するタグを可能にする。そのようなタグは、His6ビオチンまたはペプチド配列に追加したヨウ化チロシン残基を含む(いくつかの生物活性ペプチドは、C−末端に天然に存在するチロシンを有する)。
合成ペプチドはまた、機能に対する潜在的な2次構造の役割の評価を可能にする。インタクトのAMP−18配列のものと同様のヘリックスを促進することが予測される、活性ペプチド97−117の4アミノ酸C−末端延長は、より活性なペプチド97−121を生じたという発見は興味深い。これら活性ペプチド、例えば抗菌性マガイニンペプチドと類似したペプチド126−143のヘリックス傾向は、有用な情報を提供する。抗菌性ペプチドに関して、マガイニンの種類の機能は、両親媒性ヘリックスを形成する能力に関連する(Boman、1995)。ラクタム橋によってヘリックス形式に固定し得る合成ペプチドは(Houstonら、1996)、生物学的活性を増強した;ラクタム形成のために少なくとも1対の適当な酸性および塩基性アミノ酸残基が、AMP−18の潜在的なヘリックス領域に既に存在する。
ペプチド研究の別の同様に重要な局面は、その生物学的機能に拮抗する、特異的抗AMP−18ペプチドの潜在的な利用可能性である。組織培養研究は、増殖促進ペプチド78−119のサブペプチドが、インタクトなペプチドの活性に拮抗し得ることを示す(表1を参照のこと)。細胞結合部位を占有し得るが活性に必要不可欠ないくつかの残基を欠くペプチドは、AMP−18およびその活性ペプチドの作用を阻害し得る。これは、細胞レセプターの分析、およびレセプター−リガンド親和性定数の評価のために別の試薬のセットを利用可能にする。規定されたペプチドアンタゴニストの利用可能性は、動物全体の研究において有用であり、そして最終的にはヒトにおける天然タンパク質の活性を調節するために役立ち得る。
(17.AMP−18および関連ペプチドの細胞との相互作用:細胞増殖の評価)
非形質転換サル腎臓上皮細胞株BSC−1および他の上皮細胞株を使用して、増殖に対する影響を評価した。一般的に、増殖のために最小限のウシ(または胎児)血清を添加した増殖培地中で、プラスチックディッシュでコンフルエントになるまで細胞が増殖するように、各株に関して条件を選択した(Lieskeら、1997);BSC−1細胞は1%ウシ血清を含む60mmディッシュあたり10でコンフルエントになった。増殖アッセイの開始時に、コンフルエントな培養の培地を吸引および細胞の生存可能性を維持するために最小限の血清(BSC−1に関しては0.01%)を含む新しい培地と交換した。AMP−18調製物を培地に加え、そして4日後に細胞単層を洗浄し、トリプシンで分離し、そして細胞を、血球計算器を用いて計測した。AMP−18のDNA合成を開始する能力の決定を、[H]チミジンの組込みによって測定した(Toback、1980);DNA合成アッセイを確認するために、平らにした細胞のオートラジオグラムを計測した(KarthaおよびToback、1985)。
タンパク質AMP−18は、幽門洞粘膜および隣接する体粘膜により少ない程度発現する。しかし、幽門洞抽出物および活性合成ペプチドはいずれも最も単純な上皮細胞株の増殖を刺激する。AMP−18またはそのペプチドの天然の標的であり得る細胞の他に、使用した主な基準は、増殖の制御、特に細胞密度制限のものであった。ヒト癌患者由来の多くの形質転換胃株が、様々な供給源から入手可能であるが、これらのほとんどは増殖制御を示さない。例えば、Dr.Duane Smoot(Howard University College of Medicine)からの胃AGS腺癌細胞サブ亜株は、より高い程度の接触阻害を示し、そしてAMP−18およびその誘導ペプチドによく反応した。これらの細胞は天然にはAMP−18を合成しない。同様の反応が、非形質転換ラットIEC腸上皮細胞(Dr.Mark Musch、Dept.Medicine、University of Chicagoによって提供された)で観察された;後者は、培養中ですぐれた上皮細胞の特徴を示す(Quaroniら、1979;Digassら、1998)。
(18.上皮細胞表面のAMP−18レセプター)
AMP−18の標的細胞レセプターの特徴付けは、このタンパク質に接触することが予期されない細胞におけるレセプターの明らかな存在のために、興味深い。最初の増殖反応アッセイを、胃因子によく反応する腎臓由来の上皮細胞系統で行なった。胃細胞株、および非形質転換ラット腸上皮IEC−6細胞を使用して、幽門洞抽出物の真の生理学的標的であろう細胞上のレセプターに注意を向けた。インビボにおけるこのタンパク質の作用の特異性は、おそらくそのレセプターよりも、その発現の非常な組織特異的性質から生ずる。AMP−18が他の増殖因子と共通のレセプターと相互作用し得ることが可能である。しかし、EGFおよび幽門洞抽出物の相加的増殖刺激は、AMP−18が新規レセプターを有し得ることを示唆する。
AMP−18と相互作用する細胞膜中のタンパク質分子を、いくつかの異なる方法で探索し得る。例えばビオチンまたは放射活性ヨウ素で標識した純粋AMP−18または関連ペプチドを使用して、細胞表面の飽和可能な部位の数を推定する。結合値のスキャッチャード分析を使用して、レセプターの数および親和性を決定した。定量的研究に関しては、結合を増加するAMPリガンドの濃度で測定し、そして非特異的成分を過剰な非標識因子の存在下で結合を測定することによって同定する。ヨウ化増殖因子を細胞レセプターと架橋し、その同定を可能にした(Segariniら、1987)。標識AMPリガンドを細胞とインキュベートし、そして結合したリガンドをジスクシンイミジルスベレート(disuccinimidyl suberate)によってレセプターと架橋する。標識タンパク質をSDS−PAGEによって分離し、そしてオートラジオグラフィーを使用して架橋した複合体を視覚化し、レセプターのMWの推定を可能にする。合成ペプチド模倣物およびアンタゴニストは、細胞レセプターの研究を可能にし、そしてその性質は、おそらくクローニング技術による将来の決定的な同定の前に、正当に推測される。
架橋研究に加えて、抗体、またはhis6タグ化(配列番号16)AMP−18またはペプチドを使用して、AMP−18に結合する細胞または粘液タンパク質を単離する。さらなるアプローチとして、固定化AMP−18親和性マトリックスを、CNMBr−活性化Sepharoseを用いることによって作成し得る。あらゆる細胞レセプターによって媒介されるシグナル伝達経路を分析する簡単な発端として、親和性単離物におけるタンパク質チロシンキナーゼ活性をアッセイする試験が利用可能である(YardenおよびUllrich、1988;SchlessingerおよびUllrich、1992)。
(19.AMP−18は生物活性ペプチドに処理されるか)
AMP−18の機能的分子形式は未知である。確かに、約18kDaは幽門洞粘膜細胞に蓄積するタンパク質形式であり、そしてそれらは約10kDaまでのペプシン断片および生物活性ペプチド78−119(42アミノ酸しか有さない)とも反応するが、実質的な量のより低いMWのポリペプチドは抗血清で検出されない。標識またはタグ化AMP−18の利用手段を有することは、タンパク質が幽門洞粘膜抽出物中で処理されるのか、またはそれに反応する上皮細胞によるのかという質問を調査することを可能にする。
(20.ヒトおよびマウスにおけるAMP−18の遺伝子)
ヒトcDNAクローンの配列に基づくプライマーを用いたPCR技術を用いて、ヒトおよびマウスプレAMP−18のゲノムクローンを得た。エキソン/イントロン構造(図13)は完全である。マウスAMPエキソンは、マウス遺伝子の配列を組み立てるのを可能にするために十分ヒトおよびブタのものと類似している。ヒトおよびマウス遺伝子は、非常に類似した構造を有し、マウス遺伝子はわずかに小さい。マウス遺伝子のエキソンに含まれるORFは、ヒトおよびブタタンパク質に対して65%の同一性を有するタンパク質を予測する。2kbの配列はヒト遺伝子の上流である。
(21.マウスにおけるAMP−18遺伝子のノックアウト)
マウスマップから標的構築物を設計する。構築物は、好ましくは[5’−TK(機能的チミジンキナーゼ遺伝子)−AMP−18DNAの5’末端の約5kb−ホスホグリセリン酸塩キナーゼ(PGK)プロモーターの調節下のネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子−遺伝子の3’末端の約3kb−3’]を含む。内在性AMP−18遺伝子と構築物のかなり長い相同性が、効率的な標的化のために必要である。全体の相同性を1.7から6.8kbに増加させることは、hrpt遺伝子の相同的標的化の効率を約200倍増加させる(Hastyら、1991)。その全体の長さを超えても、効率はわずかにしか増加しない。PCR反応による相同的成分の検出を促進するために、ベクターの一端の近くにneo遺伝子を有することが有用である。できた形質転換体を、2つのプライマー(1つはneo遺伝子中、そして他はAMP−18遺伝子座中標的化ベクターのすぐ外側)を用いてPCRによって提供し得る。マウス遺伝子の4kb5’および4.5kb3’に伸びる隣接配列を得た。完全な遺伝子のノックアウトが既にクローニングされたことを保証するために、相同的組換えによって、コード領域をneo遺伝子と置換する。プラスミド配列を切断した後、標的化カセットをES細胞にトランスフェクトして、ネオマイシンのアナログであるG418およびガンシクロビルによる選択によって安定なトランスフェクタントを得る(Mansourら、1988)。隣接配列由来のプローブを用いたサザンブロットを使用して、標的化相同的組換え体をスクリーニングする。正しく標的化されたES細胞クローンを、C57BL/6マウスの胚盤胞に注入する。
少なくとも50%の野ねずみ色の毛皮(胚幹(ES)細胞由来)を有する代理母から得たオスの子孫を、C57BL/6マウスと交配する。野ねずみ色であるF1マウスは、ES細胞由来の父性成分を有する(野ねずみ色は黒色より優性である)。これらのマウスの50%は、ノックアウトプレAMP−18対立遺伝子を有する。これらのヘミ接合体マウスを、減少した遺伝子供与量のあらゆる影響に関してモニターする。ホモ接合体ノックアウトが好ましい。AMP−18の唯一の機能が誕生後の胃におけるものならば、生存可能なホモ接合体が予想される。もしそれらが得られなければ、胎児致死性の欠損が示され、そして流産の胎児の段階を確かめる。この結果は、正常な発達におけるタンパク質の予期しない役割を示唆する。
ホモ接合体AMP−18ノックアウトマウスは、胃の形態学および機能の調査に有用である。そのようなノックアウトは、AMP−18が必要不可欠であるかどうか、そして胃腸発達のどの段階でそれが生物活性であるか示すことが期待される。AMP−18ノックアウトヘミ接合体マウスが既に表現型を示している可能性がある。タンパク質の抑制された供与量がその機能を抑制または消去するならば、または父性インプリンティングまたは無作為単一対立遺伝子発現が重要な影響を有するならば、これが起こり得る。マウスにおけるAMP−18ノックアウトの可能性のある結果の範囲は以下を含む:i)生存可能なホモ接合体なし、予期しない必要不可欠な発達的役割を意味する;ii)生存可能なホモ接合体、しかし明らかに胃腸機能が損なわれている;iii)強力な表現型なし、すなわちタンパク質は実験室マウスの発達および生命に重要ではない。もし適当なら、過剰発現マウスにおけるAMP−18の産生を追究する。マウスにおいて産生される短縮AMP−18タンパク質は、潜在的にドミナントネガティブ表現型を作成し得る;実験から得られた知識が、タンパク質の機能的ドメインをさらに規定する。
(アミノ酸略号)
図1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列(配列番号1)である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;予測プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。 図1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列(配列番号1)である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;予測プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。 図1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列(配列番号1)である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;予測プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。 図1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列(配列番号1)である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;予測プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。 図1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列(配列番号1)である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;予測プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。 図1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列(配列番号1)である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;予測プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。 図1は、プレ−ガストロカインのヒトゲノムヌクレオチド配列(配列番号1)である;配列の特徴を、cDNAおよびヒトゲノムDNA amph−ge8.seqのPCRから決定した。長さ:7995;予測プロモーター:1405;エキソン1:1436−1490;エキソン2:4292−4345;エキソン3:4434−4571;エキソン4:5668−5778;エキソン5:6709−6856;エキソン6:7525−7770;ポリA部位:7751。 図2は、ヒトcDNA配列(配列番号2)である;DNAクローンをヒト胃cDNAライブラリーから差次的発現クローニングによって得た。 図3は、Powell(1987)に基づき、そして本発明者によって修正された、cDNAクローンから予測されたヒトプレAMP−18タンパク質配列(配列番号3)である;N−21は、成熟タンパク質の予期されるN−末端である。 図4は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列(配列番号4)である; 予測プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。 図4は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列(配列番号4)である; 予測プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。 図4は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列(配列番号4)である; 予測プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。 図4は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列(配列番号4)である; 予測プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。 図4は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列(配列番号4)である; 予測プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。 図4は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列(配列番号4)である; 予測プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。 図4は、mRNAのRT−PCRおよびマウスゲノムDNA配列のBACクローンのPCRから決定されたマウスプレAMP−18配列(配列番号4)である; 予測プロモーター:1874 実験的転写開始部位:1906 翻訳開始部位:1945 CDS1:1906−1956;CDS2:3532−3582;CDS3:3673−3813;CDS4:4595−4705;CDS5:5608−5749;CDS6:6445−6542;ポリA部位:6636。 図5は、プレAMP−18のマウスcDNA配列(配列番号5)である。 図6は、マウスプレAMP−18アミノ酸配列(配列番号6)である;マウス胃幽門洞から単離されたRNAでRT−PCRを行なった;Y−21は、成熟タンパク質の予期されるN−末端である;..によって示される空間は、図11の他の配列と整列するヌクレオチドがそこに存在しないことを意味する。 図7は、ブタAMP−18(配列番号7)を発現するcDNAである。 図8は、Powell(1987)に基づいてcDNAクローンから予測されたブタプレ−ガストロカイン(プレ−AMP−18)タンパク質配列(配列番号8)である。D−21は、成熟タンパク質のN−末端である−ブタ胃から単離されたタンパク質の配列決定によって確認された。 図9は、ヒトプレ−ガストロカインのアミノ酸配列(配列番号3 対 ブタプレ−ガストロカインのアミノ酸配列(配列番号8)の比較である。 図10は、ヒトおよびブタAMP−18のcDNAクローンの配列決定から、そしてマウスRNAおよびDNAのプレAMP−18特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応によって決定された、ヒト予測タンパク質配列(配列番号3)、ブタ予測タンパク質配列(配列番号8)およびマウス予測タンパク質配列(配列番号6)のコンピューターによる整列比較を示す;各場合において、最初の20アミノ酸はシグナルペプチドを構成し、小胞体膜の通過後切断される。 図11は、ブタ胃幽門洞粘膜抽出物、成熟ペプチドのヒトAMPペプチド77−97(ヒト前駆体タンパク質のペプチド97−117と同じ:表1)、およびEGFの、胃上皮細胞の増殖に対する効果を示す;AGS細胞を、60mmディッシュで胎児ウシ血清(5%)を含むDMEM中で増殖させた;異なる量のブタ幽門洞抽出物、HPLC精製ペプチド77−97、および/またはEGFを加えた;4日後細胞を分散し、そして血球計算器で計測した;幽門洞抽出物およびペプチドはそれぞれ濃度依存的な様式で細胞増殖を刺激した;棒グラフは飽和用量でペプチド77−97(8μg/ml)またはEGF(50ng/ml)は分裂促進性であったことを示す;あわせるとそれらは相加的であり、2つの分裂促進因子は異なるレセプターおよび/またはシグナル伝達経路を使用して作用することを示唆した;抗AMP抗体は幽門洞抽出物を阻害したがペプチド77−97は阻害しなかった。 図12は、ヒトおよびマウスプレAMP−18遺伝子の構造を示す;イントロン中の塩基対の数をバーの上に示す;エキソンはE1−E6およびイントロンはI1−I5で示す;イントロンの長さにわずかな違いが存在する。 図13は以下のものを示す。左のパネル。E.coliで発現した組換えヒトAMP−18のアミノ酸配列(配列番号3の残基21〜残基185)。N−末端の12アミノ酸ドメイン(配列番号9)内のHis6タグ(配列番号16)が推定疎水性シグナルペプチドを置換したことに注意する。右のパネル。IEC−18細胞のコンフルエントな培養の増殖に対するrhAMP−18およびAMPペプチド77−97の効果。最大の増殖刺激は同様であるが、rhAMP−18(〜30nM)の最大半減濃度(K1/2)はペプチド(〜300nM)より約1オーダー程度低い。 図14は以下のものを示す。左のパネル。ヒト洞前駆体タンパ ク質(配列番号3)およびブタ幽門洞前駆体タンパク質(配列番号8)のAMP−18cDNAクローンから得られたオープンリーディングフレーム(ORF)の整列。類似性は78.50%、および同一性は75.27%であった。Wisconsin Package(GCG)のGAPおよびPEPTIDESTRUCTUREプログラムを用いてコンピューター分析を行なった。右のパネル。ヒトプレAMP ORFの予測された二次構造のモデル。アスパラギンリッチなN−末端ドメイン、短いトリプトファン(W)−リッチおよびグリシン−プロリン(GP)領域、および4つのシステイン(C)残基の保存された位置に留意のこと。可能性のある両親媒性ヘリックスが示される。 図15は、ブタ幽門洞細胞抽出物、ペプチド77−97、およびEGFの腸上皮細胞の増殖に対する効果を示す。IEC−6細胞を60mmディッシュで増殖させた。幽門洞細胞抽出物(左のパネル)およびペプチド77−97(中央のパネル)はそれぞれ濃度依存的な様式で増殖を刺激した。ペプチド77−97(1μg/ml)は、EGF(50ng/ml)より強力であるようであった(右のパネル)。値は3つの培養の平均±SEである。 図16は、AMPペプチド77−97およびEGFの、ヒト幽門洞上皮細胞による増殖および創傷回復に対する効果を示す。増殖(左のパネル)を測定するために、HAE細胞を60mmディッシュにまいた。ペプチド77−97(8μg/ml)、またはEGF(50ng/ml)、または両方を培地に加え、そして4日後に細胞の数を計測した。ペプチド77−97およびEGFはそれぞれ増殖を刺激し、そして相加的であるようであった。値は3つの培養の平均±SEである。遊走(右のパネル)を測定するために、細胞を60mmディッシュに増殖させてコンフルエントな単層を調製した。培地を吸引、および0.01%の子牛血清(CS)を含む新しい培地と交換した。単層を、剃刀の刃でひっかくことによって機械的に傷つけた。分離した細胞を、培地を吸引し、そして残った細胞を0.01%のCSを含む新しい培地で2回洗浄することによって除去した。CS(0.01%)およびインスリン(100U/L)を含む新しい培地(5ml)を、傷つけた培養に加えた。ペプチド77−97(8μg/ml)、EGF(50ng/ml)、または両方のいずれかを加えて培養を2倍にした。顕微鏡接眼レンズの網線(10mmの長さ;0.1mmのしるし)を用いて、細胞が傷の端から遊走した距離(mm)を測定することによって、創傷後24、48、および72時間後に遊走を評価した。0.25mmの長さの傷の端にそって無作為に選択した12の部位の遊走細胞を、40倍の倍率で測定した。2つの異なる部位の遊走を、各培養で作成した2つの別々の傷それぞれで測定した。値は2つの培養における4つの異なる傷の端から露出した領域へ細胞が移動した平均距離±SEである。ペプチド77−97に接触させた細胞は、72時間で、ビヒクルに接触させたものよりも傷の端から遠くへ遊走した。EGFも細胞の移動を刺激し、そして2つの薬剤は一緒に作用して著しく遊走を増強した。 図17は、AMPペプチド67−85の、ペプチド58−99によって刺激された腸上皮細胞の増殖に対する効果を示す。IEC−18細胞のコンフルエントな培養を調製した。1日後、培地を吸引し、そして分裂促進性ペプチド58−99(8μg/ml)なし(コントロール)、またはそれと共に、CS(0.5%)およびインスリンを含む5mlのDMEMと交換した。1mlの培地および異なる量のペプチド67−85を加えた姉妹プレートを、COインキュベーターで、38℃で1時間インキュベートし、そして次いでさらに4mlの培地を各ディッシュに加えた。ペプチド58−99を、ペプチド67−85の各濃度で4つの姉妹プレートのうち2つに加え、そして細胞の数の計測した。次の3日間の間に、ペプチド67−85の非存在下では、細胞数は290%増加し、一方ペプチド58−99に接触させた細胞は数が407%増加し、そしてEGFで処理した(50ng/ml)細胞は402%(示していない)増加した。分裂促進性ペプチド58−99による細胞増殖の刺激は、細胞を0.25μg/mlのペプチド67−85とプレインキュベーションすることによって完全に消失した。単独で加えた場合、ペプチド67−85(0.25から8μg/ml)は分裂促進因子ではなかった。培養あたりの細胞数の値は、同じ期間にビヒクルと接触させた細胞の増加と相対的に示す。 図18は、AMP−18に対するウサギ抗血清の、コンフルエントなIEC−18細胞に対するrhAMP−18の分裂促進効果に対する効果を示す。rhAMP−18(50ナノモル)を抗血清(1:100希釈)およびAbと30分間プレインキュベートした場合、増殖刺激は〜95%抑制された;免疫前血清は細胞増殖に影響しなかった。この最近精製されたrhAMP−18の増殖刺激の最大半減濃度(K1/2)は、約5ナノモルである。 図19は、AMPペプチド77−97の、ヒト幽門洞(HAE)およびラット腸(IEC−18)上皮細胞の創傷回復に対する効果を示す。コンフルエントな単層培養を、剃刀の刃でひっかくことによって機械的に傷つけ、そして傷の端から細胞が遊走した距離を顕微鏡接眼レンズの網腺を用いて測定した。細胞は、調査した各時点で、AMPペプチドの存在下でより遠くに遊走した(P<0.005)。 図20は、AMPペプチド77−97の、TERの成熟に対する効果を示す。MDCK細胞の単層培養を、透過可能なポリカーボネートフィルター(0.4μmの孔サイズ)(Transell)上に、ペプチド77−97(8μg/ml)なし(コントロール)またはありでFBS(2%)を含むDMEM中で8日間増殖させた。TERを、細胞をまいてから24時間後、およびその後指定の時間に上皮電圧抵抗計(EVOM、Millipore)を用いて測定した。各測定の後、ペプチドなしまたありでFBSを含む培地を交換し(0、48、および144時間)、そしてさらなるペプチド77−97(8μg/ml)を30および72時間に加えた。72時間に、ペプチド77−97を加えた培養におけるTERは、コントロール培養の2倍高かった。値は3つの培養の平均である;分散は平均の<10%である。TERをフィルターの3つの異なる領域から測定した。 図21は、AMPペプチド77−97の、酸化剤モノクロラミンまたはインドメタシンで損傷した単層におけるTERに対する効果を示す。パネルA:MDCK細胞単層で安定なTER(330Ω・cm)に達したら、培地を、FBS(0.2%)およびペプチド77−97(8μg/ml)またはEGF(50ng/ml)のいずれかを含むDMEMに交換した。18時間後、ペプチド77−97またはEGFを、指定のウェルに加えた。1時間後、モノクロラミン(0.1mM)を、他の薬剤と同様に、Transwellの先端および基底区画に加えた。ビヒクルまたはEGFで処理したモノクロラミン損傷培養は、酸化剤への接触から90分後に〜30−40%のTERの損失を維持したが、ペプチド77−97で処理した酸化剤損傷細胞のTERは、酸化剤に接触させていないコントロール培養と同様であった。パネルB、C:Caco2/bbe(C2)サブクローン単層を、コラーゲンでコートしたポリカーボネートフィルターに、安定なTERに達するまで(225Ω・cm)増殖させた。消費した培地をFBS(0.1%)単独またはペプチド77−97(8μg/ml)とともに含む新しい培地と交換した。18時間後、モノクロラミン(0.3mM、B)またはインドメタシン(0.1mM、C)をTranswellの両方の区画に加えた。0時間に、ビヒクル(コントロール)、ビヒクルプラス酸化剤またはインドメタシン、またはペプチド77−97および酸化剤またはインドメタシンを培養に加えた。ビヒクルで処理した損傷培養のTERは、90分で〜35%減少したが、ペプチドで処理した培養は〜10%減少した。ペプチドは、非損傷細胞のTERを変化させなかった(示していない)。 図22は、AMPペプチド77−97の、DSSによる損傷後のTERに対する効果を示す。C2細胞単層を、FBS(5%)およびトランスフェリン(10μg/ml)を含むDMEM中で、コラーゲンでコートしたポリカーボネートフィルター上に、安定なTERに達するまで(225Ωcm)増殖させた。0時に、細胞をTranswellの上部区画においてDSSに曝露させない(コントロール)、またはDSS(4%)に曝露させた。AMPペプチド77−97(8μg/ml)を、0時にDSSを加える1日前に、Transwellの上部および下部区画に加えた。ビヒクルで処理したDSS−損傷培養物のTERは、45分で約70%減少したが、ペプチドで処理した培養物はその時点で約10%減少した。ペプチドは非損傷細胞のTERを変化させなかった。値は≧6の培養物の平均である。 図23は、AMPペプチド77−97の、C2細胞の酸化剤損傷後のZO−1およびオクルディンに対する効果を示す。このイムノブロットは、不溶性画分のタンパク質レベルが、細胞のビヒクルに対するよりもAMPペプチドに対する曝露後の方が約2倍より高いことを示す。 図24は、AMPペプチドのC2細胞に対する効果を示す。培養物を異なる時間、ペプチドに曝露させ、そして不溶性画分を得た。タンパク質を分離し、イムノブロットを特異的抗血清でプローブし、そして各タンパク質の量を、レーザーデンシトメトリーを用いて定量した。 図25は、rhAMP−18の、酸化剤損傷を受けた単層のTERに対する効果を示す。コンフルエントなC2細胞単層を、安定なTERが確立するまでTranswellに調製した。培地を、FBS(0.1%)単独(コントロール)またはrhAMP−18(100ナノモル)またはペプチド77−97(3.7マイクロモル)のいずれかとともに含む新しい培地と交換した。18時間後、モノクロラミン(0.3mM)をTranswellの両方の区画に加え、そして培養物にビヒクル(コントロール)、ビヒクルプラス酸化剤、rhAMP−18および酸化剤、またはペプチド77−97および酸化剤を加え、その後TERを測定した。 図26は、rhAMP−19の、C2細胞におけるZO−1およびオクルディンのレベルに対する効果を示す。単層培養を、rhAMP−19(100ナノモル)またはビヒクルで8時間処理した。細胞溶解の後、細胞膜および細胞骨格結合TJタンパク質に相当する不溶性(微粒子)画分を調製し、そして次いでイムノブロッティングを行なった。免疫反応性ZO−1およびオクルディンの量は、同じイムノブロットのレーザーデンシトメトリーによって推定されるように、ビヒクルで処理した(1)細胞よりもrhRMP−18で処理した(+)細胞で約2倍より高い。各レーンにおける同量のタンパク質の装填は、これらの細胞で恒常的に発現される熱ショックタンパク質73に対する抗体を用いてブロットを再プローブすることによって証明した。 図27は以下のものを示す。左のパネル。マウス(n=10)に3%のDSSを与え、そして糞を毎日アッセイした。ビヒクルよりもAMPペプチド(3mg/kg体重/日、s.c.)を与えたより少ない動物およびホモカルト(homocult)陽性糞。右のパネル。動物にDSSを4日間与えた後、水に切り換えた(グラフの0日)。AMPペプチドを毎日与えたマウスは、5日までにビヒクルを与えたマウスよりも体重減少が少なかった(P<0.04)。ペプチドで処理した4日目および5日目の動物の体重は増加したようであった;ビヒクルを与えたものは減少した。

Claims (6)

  1. 胃腸障害の処置のために使用される薬学的組成物であって、該組成物が、ガストロカインタンパク質由来の、胃腸管上皮細胞の細胞増殖刺激ペプチドを含む、薬学的組成物。
  2. 前記ガストロカインタンパク質が、以下
    KE(K/Q)KLQGKGPGG(P/A)PPK(配列番号25)およびVKE(K/Q)KGKGPGG(P/A)PPK(配列番号26)
    からなる群より選択されるコンセンサスアミノ酸配列を含む、請求項に記載の薬学的組成物。
  3. 以下のアミノ酸配列:
    KKLQGKGPGGPPPK(配列番号11)、LDALVEKKLQGKGPGGPPPK(配列番号12)、およびLDALVEKKLQGKGPGGPPPKGLMY(配列番号13)からなる群より選択される、胃腸管上皮細胞の細胞増殖刺激ペプチドを含む、請求項2に記載の薬学的組成物。
  4. 哺乳動物の胃腸管への損傷後に上皮細胞の遊走を刺激するための組成物であって、該組成物がストロカインタンパク質由来のタンパク質、または該タンパク質由来のペプチドを含む組成物
  5. 哺乳動物の胃腸管の損傷した上皮細胞の細胞保護のための組成物であって、該組成物が
    KE(K/Q)KLQGKGPGG(P/A)PPK(配列番号25)および
    VKE(K/Q)KGKGPGG(P/A)PPK(配列番号26)
    からなる群より選択されるコンセンサスアミノ酸配列を含むガストロカインタンパク質を含む組成物
  6. 前記損傷した細胞が潰瘍である、請求項に記載の組成物
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