JP2004532034A - 遺伝子発現分析システムでコントロールとして使用するための人工遺伝子のデザイン - Google Patents

遺伝子発現分析システムでコントロールとして使用するための人工遺伝子のデザイン Download PDF

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Abstract

マクロアレイ、リアル−タイムPCR、ノーザンブロット、SAGEおよびミクロアレイのような遺伝子発現分析システムで使用のためのコントロールを作成する方法。当該コントロールは、DNAのニア−ランダム配列から、またはゲノムの遺伝子間または遺伝子内領域から、何れかから作成する。10の特定コントロール配列も開示する。遺伝子発現分析システムのネガティブコントロール、ポジティブコントロール、およびキャリブレーターとして含む、これらのコントロールを使用する方法も示す。

Description

【0001】
関連出願との相互引用
本願出願は、2001年5月7日出願の米国仮特許出願番号60/289,202、2001年8月15日出願の60/312,420の優先権を主張する。その開示は、引用により全て本願明細書に組み込まれる。
【0002】
コンパクトディスクで提出したデータの引用による組み込み
本出願は、4つ提供した、ボリュームラベルPB0120を有する単一の(CD−R)コンパクトディスクで、PCT Administrative Instructions Section 801(a)の下、本願明細書とともに提出した配列表を含む。当該配列表は、最後に2002年5月6日に更新し、2002年5月6日に記録した、32キロバイトの単一のファイル名PB0120.ST25.txtに表されている。当該ディスクの当該ファイル中に含まれる配列表は、本願明細書に全て引用により組み込まれる。
【0003】
本発明の背景
1.本発明の分野
本発明は、遺伝子発現分析システムでコントロールとして人工遺伝子を使用する方法に関連する。より特に、本発明は、マクロアレイ、リアルタイムPCR、ノーザンブロット、SAGEおよびMicroarray ScoreCardシステムで提供されるもののようなマイクロアレイのような遺伝子発現分析システムでの使用のためのコントロールを作成する方法に関連する。
【0004】
関連技術の説明
遺伝子発現プロファイリングは、細胞性機能および増加を支配する分子機構をより理解するために使用する重要な生物学的アプローチである。ミクロアレイ分析は、異なる条件下でのそれぞれの遺伝子の相対的発現レベルの測定に適用し得るツールの1つである。しかし、ミクロアレイ測定は、システム的に偏っているとしばしば思われ、この偏りの原因となる因子は、多く、不明確である(Bowtell, D.L., Nature Genetics 21, 25-32(1999); Brown, P.P. and Botstein, D., Nature Genetics 21, 33-37 (1999))。他のものは、ミクロアレイ実験でのコントロールとして既知濃度の精製mRNAの「スパイク」の使用を推奨する。Affymetrixは、それらのGeneChip製品で使用するための幾つかのものを含む。当分野の現在の状態では、これら選択された遺伝子は、非常に遠縁の関係の生物から選択した実際の遺伝子である。例えば、ヒトチップ(ヒトmRNAで使用するためにデザインした)は、細菌および植物の起源由来のコントロール遺伝子を含む。Affymetrixは、標識反応にスパイクするためのこれらの遺伝子に相当するmRNAおよびハイブリダイゼーション反応での含有物を販売している。
【0005】
従来技術のそれぞれのコントロールは、幾つかの起源由来のDNAの転写配列を含む。結果として、その起源は、その起源に対する当該コントロールの本来的なハイブリダイゼーションにより、コントロールを用いるハイブリダイゼーション実験の主体とはなり得ない。そのため、必要であるものは、実験の当該実体となり得る任意の起源のDNAとハイブリダイズしないコントロールのセットである。より望ましくは、任意の既知の起源とはハイブリダイズしない遺伝子発現分析のためのコントロールの必要性がある。
【0006】
本発明の要旨
したがって、本発明は、任意の種用にデザインした遺伝子発現分析システムに有用であり、コントロールDNA自体以外の起源由来のmRNAとは確実にハイブリダイゼーションしないことを試験し得るコントロールを作成するプロセスを提供する。
【0007】
第一の実施態様の本発明は、遺伝子発現分析システムに使用するための少なくとも1つのコントロールを作成するためのプロセスに関連する。当該プロセスは、既知配列由来のゲノムDNAの少なくとも1つの非転写(遺伝子間または遺伝子内)領域を選択すること、当該少なくとも1つの非転写領域用のプライマー対をデザインすること、およびゲノムDNAの当該少なくとも1つの非転写領域を増幅し、相当する二本鎖DNAを作成すること、次いでベクターを用い当該二本鎖DNAをクローニングし、更なる二本鎖DNAを得ること、および当該二本鎖DNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製することを含む。
【0008】
第二の実施態様の本発明は、遺伝子発現分析システムでの使用のための少なくとも1つのコントロールを作成するプロセスであって、ゲノムDNAの当該少なくとも1つの非転写領域以外の起源由来のmRNAと確実にハイブリダイズしない当該少なくとも1つの非転写領域の試験を行う当該プロセスに関連する。
【0009】
第三の実施態様の本発明は、当該DNAおよびmRNAを精製すること、その濃度を決定すること、および選択した濃度および割合で当該DNAまたはmRNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製することを更に含む当該プロセスに関連する。
【0010】
本発明の他の実施態様は、遺伝子発現分析システムでの使用のためのコントロールであって、既知配列由来のゲノムDNAの少なくとも1つの非転写領域から作成した、既知量の少なくとも1つのDNAを含むか、または既知配列由来のゲノムDNAの少なくとも1つの非転写領域から作成したDNAから作成した既知量の少なくとも1つのmRNAを含む当該コントロールである。本発明は、当該DNAに相補的なmRNAを作成すること、ならびに所望により当該DNAおよびmRNAを精製すること、その濃度を決定すること、および選択した濃度および割合で当該DNAを含むかまたはmRNAの少なくとも1つのコントロールを調製することにより当該mRNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製することを所望により含み得る。
【0011】
本発明の他の実施態様は、遺伝子発現分析システムでの使用のためのコントロールであって、既知配列由来のゲノムDNAの少なくとも1つの非転写領域から作成した、既知量の少なくとも1つのDNA配列、既知配列由来のゲノムDNAの少なくとも1つの非転写領域から作成したDNAから作成した既知量の少なくとも1つのmRNAが含まれる当該コントロールであり、ここで上記コントロールにおいて、当該DNAおよびmRNAは、ゲノムDNAの少なくとも1つの非転写領域以外の起源由来の任意のDNAまたはmRNAとはハイブリダイズしない。
【0012】
本発明は、遺伝子発現分析システムでネガティブコントロールとして当該コントロールを使用する方法であって、既知量のDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、および当該サンプルを、相補性標識mRNAの非存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、およびシグナルの非存在または存在に関しコントロールサンプルを検査することによる、当該方法に関連する。
【0013】
更に、当該コントロールは、既知量のDNAを含む既知量の当該コントロールをコントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、および既知量の標識相補性mRNAを含む当該コントロールの存在下で当該サンプルをハイブリダイゼーション条件におくこと、および標識mRNAのシグナル値を測定することおよび標識mRNAのシグナル値に基づくDNAの発現レベルを決定すること、により遺伝子発現分析システムで使用することができる。
【0014】
更に、当該コントロールは、既知量の幾つかのDNA配列を含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、当該サンプルを、既知量の相当する相補性標識mRNA(それぞれのmRNAは、異なる濃度である)を含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、および標識mRNAのシグナル値を測定することおよびそれぞれのmRNAのシグナルの値と濃度との間の関係に基づく用量反応または較正曲線を構成すること、により遺伝子発現分析システムでキャリブレーターとして使用し得る。
【0015】
また、本発明は、既知量のDNAを含む既知量の少なくとも1つの当該コントロールを、コントロールサンプルとして二色遺伝子発現分析システムに加えることおよび当該サンプルを、既知量の2種類標識した相当する相補性標識mRNAを含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること(存在するそれぞれのDNAサンプルに対して)、2種類の標識mRNAのシグナル値の比を測定すること、および当該シグナル比を、2種類またはそれより多い種類の標識mRNAの濃度の比と比較すること、により二色遺伝子発現分析システムで遺伝子発現比のキャリブレーターとしてコントロールを使用する方法に関連する。
【0016】
本発明の更なる実施態様は、任意の種用にデザインした遺伝子発現分析システムに有用であり、コントロールを作成するDNAの合成配列以外の起源由来のmRNAとは確実にハイブリダイゼーションしないことを試験し得るコントロールを作成するプロセスである。
【0017】
1つまたはそれより多いコントロールは、非転写DNAのニアランダム(near-random)配列を合成すること、当該少なくとも1つのニアランダム配列用にプライマー対をデザインすることおよび当該非転写DNAを増幅させ、相当する二本鎖DNAを作成すること、次いでベクターを用い当該二本鎖DNAをクローニングし、更なる二本鎖DNAを得ること、および当該二本鎖DNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製すること、を含むプロセスにより作成し得る。
【0018】
当該プロセスはまた、非転写DNAの当該配列以外の起源由来のmRNAと確実にハイブリダイズしない非転写合成DNAの当該配列の試験を行う、遺伝子発現分析システムで使用のための少なくとも1つのコントロールの作成に使用し得る。
【0019】
更に、合成DNAに相補的なmRNAを作成および調製し、当該mRNAを含む少なくとも1つのコントロールを作成し得る。
【0020】
DNAおよびmRNAは実質的に精製され得、その濃度は決定され、そして選択した濃度および割合で当該DNAまたは当該mRNAを含む1つまたはそれより多いコントロールを調製し得る。
【0021】
本発明の他の実施態様は、DNAのニアランダム(near-random)配列を合成すること、当該合成DNA用にプライマー対をデザインすることおよび当該DNAを増幅させ、相当する二本鎖DNAを作成すること、次いでベクターを用い当該二本鎖DNAをクローニングし、更なる二本鎖DNAを得ることおよび既知量の少なくとも1つの当該二本鎖DNAまたは当該DNAから作成した既知量の少なくとも1つのmRNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製することを含み、所望により、ここで、当該DNAおよびmRNAは、非転写DNAの当該DNA配列以外の起源由来の任意のDNAまたはmRNAとはハイブリダイズしない、プロセスにより作成される遺伝子発現分析システムでの使用のためのコントロールである。
【0022】
本発明は、更に、既知量のDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、および当該サンプルを、相補性標識mRNAの非存在下でハイブリダイゼーション条件に付することおよびシグナルの非存在または存在に関しコントロールサンプルを検査することを含む遺伝子発現分析システムでネガティブコントロールとして、既知量のDNAを含む当該コントロールを使用する方法に関連する。
【0023】
更に、当該コントロールは、既知量のDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加え、および当該サンプルを、既知量の標識相補性mRNAを含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付する、および標識mRNAのシグナル値を測定し、および標識mRNAのシグナル値に基づくDNAの発現レベルを決定する、遺伝子発現分析システムに使用し得る。
【0024】
本発明はまた、既知量の幾つかのDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えることおよび当該サンプルを、既知量の相当する相補性標識mRNA(それぞれのmRNAは、異なる濃度である)を含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付することおよび標識mRNAのシグナル値を測定することおよびそれぞれのmRNAのシグナルの値と濃度との間の関係に基づく用量反応または較正曲線を構成することを含む遺伝子発現分析システムでキャリブレーターとして当該コントロールを使用する方法に関連する。
【0025】
本発明は、更に、既知量のDNAを含む既知量の少なくとも1つの当該コントロールを、コントロールサンプルとして二色遺伝子発現分析システムに加えること、当該サンプルを、既知量の2種類標識した相当する相補性標識mRNAを含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること(それぞれのDNAサンプルが存在する)および2種類の標識mRNAのシグナル値の比を測定することおよび当該シグナル比を、2種類またはそれより多い種類の標識mRNAの濃度の比と比較することを含む二色遺伝子発現分析システムで遺伝子発現比のキャリブレーターとして当該コントロールを使用する方法に関連する。
【0026】
本発明の更なる実施態様および使用は、次の詳細な説明の考慮により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の上記および他の目的および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を考慮することにより明らかとなる。図面において、類似の文字は全体として類似の部分に関係する。図面において:
【図1】図1は、YIR1のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図2】図2は、YIR2のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図3】図3は、YIR3のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図4】図4は、YIR4のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図5】図5は、YIR5のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図6】図6は、YIR6のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図7】図7は、YIR7のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図8】図8は、YIR8のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図9】図9は、YIR11のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図10】図10は、YIR19のコントロールヌクレオチド配列を示す。
【図11】図11は、スパイクミックス中で使用するYIR1sのヌクレオチド配列を示す。
【図12】図12は、スパイクミックス中で使用するYIR2sのヌクレオチド配列を示す。
【図13】図13は、スパイクミックス中で使用するYIR3sのヌクレオチド配列を示す。
【図14】図14は、スパイクミックス中で使用するYIR4sのヌクレオチド配列を示す。
【図15】図15は、スパイクミックス中で使用するYIR5sのヌクレオチド配列を示す。
【図16】図16は、スパイクミックス中で使用するYIR6sのヌクレオチド配列を示す。
【図17】図17は、スパイクミックス中で使用するYIR7sのヌクレオチド配列を示す。
【図18】図18は、スパイクミックス中で使用するYIR8sのヌクレオチド配列を示す。
【図19】図19は、スパイクミックス中で使用するYIR11sのヌクレオチド配列を示す。
【図20】図20は、スパイクミックス中で使用するYIR19sのヌクレオチド配列を示す。
【0028】
本発明の詳細な説明
本発明は、マイクロアレイのような遺伝子発現分析システムで使用のためのコントロールを開示する。多くの者が、そのアレイに含めるためのコントロールとして適当な遺伝子およびスパイクを得ることに興味を示す。
【0029】
本発明のコントロールの利点は、単一のセットが、作為的に加えない限りこれらのコントロールは存在しないため、任意の種用にデザインしたアッセイシステムで使用され得ることである。これは、「遠縁の関係の種」由来の遺伝子の使用の概念とは対照的である。例えば、ヒト遺伝子発現の検出を目的とする分析システムは、ヒト遺伝学的物質中には存在し得ない、コントロールとしてBacillus subtilis遺伝子を用い得る。しかし、このコントロールは、細菌性遺伝学的物質中に存在し得(または少なくともクロスハイブリダイズする)、そのため、細菌性遺伝子発現の実験で良好なコントロールとはなり得ない。本願明細書で示す新規コントロールは、同セットのコントロールが試験サンプルRNAの種にかかわらず使用され得るという従来技術の状況を超える利点を提供する。
【0030】
本発明は、鋳型として非転写ゲノム配列または全体的にランダムの合成配列の何れかを用い、そしてコントロールとしての使用のための、その配列由来のDNAおよび相補性「mRNA」の両方を作成する新規アプローチを用いる。当該コントロールは、ニアランダム配列をデザインしそれらを合成し普遍的なコントロールとして合成高分子を生ずることにより新たに編み出され得る。全体的に合成のランダムDNAフラグメントを、それらが、お互いにまたは任意の生物学的関連の種(DNAまたはRNAが遺伝子発現分析システム中に存在し得る種を意味する)由来のRNAとクロスハイブリダイゼーションしないように、デザインする。そのような大きな合成DNA分子の作成の費用は高くなり得る。しかし、それらは一度に作成する必要があるのみである。更に、フラグメントの大きさは、既知の方法により、より小さな合成フラグメントを一緒にライゲーションすることにより増大し得る。この方法では、容易にクローニングするに十分な大きさのフラグメントが作成し得る。クローニングおよびPCRを通して、コントロールとしての使用のための十分量のDNAを作成し得、mRNAは、コントロール中での使用のためのインビトロ転写により作成し得る。
【0031】
より簡単なアプローチは、生物由来のゲノムDNAの非転写領域由来の配列を同定することであり、そしてPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を介する合成のための鋳型としてのこれらの使用である。理想的には、1000塩基あたり(500から2000塩基の範囲となり得る)の配列を、公然としてアクセス可能な配列データのコンピューターサーチに基づき、選択する。選択のための基準には、
1.当該配列は非転写領域(遺伝子間または遺伝子内領域)由来でなければならず、そして
2.当該配列は、任意の既知/公開された遺伝子または発現配列タグ(EST)とは相同性があってはならず、ハイブリダイズすると予想されてもならない。
【0032】
PCRプライマー対は、選択配列でデザインされ、PCRは、ゲノムDNA(鋳型として)を用い行い、コントロールDNAとして非転写配列に相当するPCRフラグメント(dsDNA)を作成する。更なるコントロールDNAは、ベクターおよび標準の技術を用いクローニングされ得る。その後、インビトロ転写のような標準技術を用い、コントロールmRNAとしてmRNA(cDNAに相補的であり、ポリAテイルを含む)を作成する。標準技術は、コントロールDNAおよびコントロールmRNA産物を精製するため、およびその濃度を算出するため、使用する。
【0033】
経験的な試験をまた、アレイ上のコントロールDNAと他のmRNAおよび重要な遺伝子発現系(例えば、ヒト、マウス、アラビドピシスなど)由来のmRNAとは確実にハイブリダイゼーションしないように行う。
【0034】
上記アプローチを用い、酵母Saccharomyces cerevisiaeゲノムの遺伝子間領域由来の10のコントロール配列を作成した。特に、公然として利用可能な酵母ゲノム配列データ(http://genome-www.stanford.edu/Saccharomyces/)を用い、おおよそ1kbの大きさの遺伝子間領域を同定した。これらの配列は、BLAST’dであり、他の配列とは相同性のないものは、人工遺伝子コントロールの候補として同定された。候補を、GC含有率について分析し、36%以上のGC含有率を有するサブセットを同定した。特定プライマー配列を同定し、合成した。特定プライマーで増幅したPCR産物をpGEM(商標)−T Easyベクター(Promega Corp., Madison, WI)に直接クローニングした。アレイ標的およびスパイクmRNAのための鋳型の両方を、明確で特定のプライマーを用いこれらのクローンから増幅した。
【0035】
10のコントロール配列を同定する機会を最大とするため、より多くの遺伝子間領域を試験のためにクローニングした。すべての候補配列をガラスミクロアレイスライド上にスポットし、各候補スパイクmRNAと独立してハイブリダイズさせ、クロスハイブリダイズするものを同定した。10の候補明示特異的ハイブリダイゼーションを選択し、特定のセットのコントロールを形成した。コントロールとして使用するとき、10すべての酵母遺伝子間領域(YIR)を、特定プライマー(表1)によるPCRにより、クローン化鋳型(プラスミドDNA)5ngおよび100μl反応体積中0.5μMの濃度のプライマーを用い、以下のようなサイクル:
94℃20秒、52℃20秒、72℃2分間を35サイクル、その後に72℃で5分間の伸張で、作成した。
【0036】
表1.コントロールの増幅のために使用したプライマー
【表1】
Figure 2004532034
【0037】
スパイクミックスのための全てのYIRコントロールmRNAを、インビトロ転写により作成する。インビトロ転写(IVT)のための鋳型を、PCR産物の5’末端にT7 RNAポリメラーゼプロモーターおよび3’末端にポリT(T21)テイルを導入するようにデザインする特定プライマー(表2参照)による増幅により、作成する。ラン−オフ(run-off)mRNAを、AmpliScribe system(Epicentre, Madison, WI)による反応あたり1μlのこれらPCR産物を用い、作成する。IVT産物を、RNAEasy system(Qiagen Inc., Valencia, CA)を用い精製し、スペクトロフォトメトリーにより定量する。
【0038】
図1から図10は、10のYIRコントロールのヌクレオチド配列を示すが、図11から20は、スパイクミックス中で使用するときの10YIRs(「s」は、スパイクミックスを表す)のヌクレオチド配列を示す。当該コントロールを増幅するために使用するプライマー配列を表1に列挙しており、スパイクミックス鋳型を増幅するために使用する当該プライマー配列を表2に列挙した。これらの配列は、以下の通り、更に配列表(それは、引用により本願明細書すべて組み込まれる)中に示されている:
配列番号1−8 nt、コントロールヌクレオチド配列YIR1からYIR8、
配列番号9 nt、コントロールヌクレオチド配列YIR11、
配列番号10 nt、コントロールヌクレオチド配列YIR19。
【0039】
表2.インビトロ転写標的の増幅に使用したプライマー
【表2】
Figure 2004532034
【0040】
配列番号11−18 nt、スパイクミックスヌクレオチド配列YIR1sからYIR8s、
配列番号19 nt、スパイクミックスヌクレオチド配列YIR11s、
配列番号20 nt、スパイクミックスヌクレオチド配列YIR19s、
配列番号21−28 nt、コントロールYIR1からYIR8の増幅のためのフォワードプライマー配列、
配列番号29 nt、コントロールYIR11の増幅のためのフォワードプライマー配列、
配列番号30 nt、コントロールYIR19の増幅のためのフォワードプライマー配列、
配列番号31−38 nt、コントロールYIR1からYIR8の増幅のためのリバースプライマー配列、
配列番号39 nt、コントロールYIR11の増幅のためのリバースプライマー配列、
配列番号40 nt、コントロールYIR19の増幅のためのリバースプライマー配列、
配列番号41−48 nt、インビトロ転写鋳型YIR1sからYIR8sの増幅のためのフォワードプライマー配列、
配列番号49 nt、インビトロ転写鋳型YIR11sの増幅のためのフォワードプライマー配列、
配列番号50 nt、インビトロ転写鋳型YIR19sの増幅のためのフォワードプライマー配列、
配列番号51−58 nt、インビトロ転写鋳型YIR1sからYIR8sの増幅のためのリバースプライマー配列、
配列番号59 nt、インビトロ転写鋳型YIR11sの増幅のためのリバースプライマー配列、および
配列番号60 nt、インビトロ転写鋳型YIR19sの増幅のためのリバースプライマー配列。
【実施例】
【0041】
次いで、以下の実施例は、これらコントロールDNAおよびコントロールmRNAが、ミクロアレイ遺伝子発現実験においてコントロールとしてどのように使用されるかを説明する:
1.コントロールDNAはアレイ中に含まれ、非相補的人工mRNAは、RNAサンプル中にスパイクされ、ネガティブコントロールとしての役割をし、
2.幾つかの異なるコントロールDNAサンプルは、アレイ中に含まれ得、それぞれの相補性コントロールmRNAは既知濃度で含まれ、それぞれ異なる濃度のmRNAを含む。これらのコントロールまたはキャリブレーターに相当するアレイの特徴からのシグナルは、サンプル由来のmRNAのシグナルと量との間の関係を算出する用量反応曲線または較正曲線の構成に使用され得、
3.二色マイクロアレイ遺伝子発現の研究では、それぞれのチャンネルの標識反応におけるコントロールDNAに相補的なコントロールmRNAの異なる既知のレベルを含むことが可能である。その遺伝子からの2つの色素のシグナルの比の比較は、2つのコントロールmRNA分子の濃度の比に比較され得る。これは、遺伝子発現比を決定するためのシステムの精度の試験として役割をし得る。
4.幾つかの異なるコントロールmRNA種の混合物は、実験プロトコールを簡単にするために既知濃度および比で調製(スパイクミックス)され得、その一方、正確で精度のある情報の包括的なセットを提供する。表3は、この概念の1つの実施態様を解説する。動力学的な範囲のコントロール(それらは、1:1の比で標識反応中に含まれる)により、ユーザーは、システムの感度を決定し得る。それらはまた、使用する正規化法(normalization method)の正確さの証明に有用である。比コントロールの場合、それぞれのmRNAは、異なる濃度で2つの標識反応中にスパイクされ、それによって、特定配列は、それぞれの色で異なるレベルで表示される。
【0042】
上記実施例は、本発明の特定の態様を示し、任意の点でその範囲を制限することを目的とするものではなく、それを構成するものでもない。
【0043】
上記開示のような本発明の技術の利点を有する当業者は、それらの多くの修飾を行うことができる。これらの修飾は、添付の請求の範囲に開示のように本願発明の範囲内に含まれるように構成される。
【0044】
表3.二色遺伝子発現比実験のための提唱コントロールmRNAスパイクミックス組成物
【表3】
Figure 2004532034

Claims (25)

  1. 遺伝子発現分析システムでの使用のための少なくとも1つのコントロールを作成するプロセスであって、
    既知配列から、ゲノムDNAの少なくとも1つの遺伝子間または遺伝子内領域を選択すること、
    当該少なくとも1つの遺伝子間または遺伝子内領域用にプライマー対をデザインすること、
    ゲノムDNAの当該少なくとも1つの遺伝子間または遺伝子内領域を増幅し、相当する二本鎖DNAを作成すること、
    ベクターを用い当該二本鎖コントロールDNAをクローニングし、更なる二本鎖DNAを得ること、そして
    当該二本鎖DNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製すること、
    を含む当該プロセス。
  2. ゲノムDNAの当該少なくとも1つの遺伝子間または遺伝子内領域以外の起源由来のmRNAとは確実にハイブリダイゼーションしない当該少なくとも1つの遺伝子間または遺伝子内領域を試験すること、
    を更に含む請求項1のプロセス。
  3. 当該二本鎖コントロールDNAに相補的なmRNAを作成すること、および
    当該mRNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製すること、
    を更に含む請求項1のプロセス。
  4. 当該DNAおよびmRNAを精製すること、
    その濃度を決定すること、および
    選択した濃度および割合で当該DNAまたはmRNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製すること、
    を更に含む請求項3のプロセス。
  5. 遺伝子発現分析システムでの使用のためのコントロールであって、
    既知配列由来のゲノムDNAの少なくとも1つの非転写領域から作成した、既知量の少なくとも1つのDNA、または
    既知配列由来のゲノムDNAの少なくとも1つの遺伝子間または遺伝子内領域から作成した、既知量の少なくとも1つのmRNA
    を含む当該コントロール。
  6. 当該DNAおよびmRNAは、ゲノムDNAの当該少なくとも1つの遺伝子間または遺伝子内領域以外の起源由来の任意のDNAまたはmRNAとはハイブリダイズしない、請求項5のコントロール。
  7. 遺伝子発現分析システムでネガティブコントロールとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項5の既知量の当該コントロールDNAを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、相補性標識mRNAの非存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    シグナルの非存在または存在に関しコントロールサンプルを検査すること、
    を含む当該方法。
  8. 遺伝子発現分析システムでのコントロールの使用の方法であって、
    請求項5の既知量の当該コントロールDNAを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項5の既知量の標識相補性mRNAの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    標識mRNAのシグナル値を測定すること、および測定シグナル値に基づくDNAの発現レベルを決定すること
    を含む当該方法。
  9. 遺伝子発現分析システムでキャリブレーターとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項5の既知量の幾つかのDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項5の既知量の相当する相補性標識mRNA(それぞれのmRNAは、異なる濃度である)を含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    標識mRNAのシグナル値を測定すること、およびそれぞれのmRNAのシグナルの値と濃度との間の関係に基づく用量反応または較正曲線を構成すること
    を含む当該方法。
  10. 二色遺伝子発現分析システムで遺伝子発現比のキャリブレーターとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項5の既知量のDNAを含む既知量の少なくとも1つの当該コントロールを、コントロールサンプルとして二色遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項5の既知量の2種類標識した相当する相補性標識mRNAを含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること(存在するそれぞれのDNAサンプルに対して)、
    2種類の標識mRNAのシグナル値の比を測定すること、および当該シグナル比を、2種類またはそれより多い種類の標識mRNAの濃度の比と比較すること、
    を含む当該方法。
  11. (a)当該少なくとも1つのDNAが、
    (i)配列番号1−10、
    (ii)(i)で開示の配列のディジェネレイト変異体、および
    (iii)(i)および(ii)に開示の配列の相補体
    からなる群からから選択されるか、または
    (b)当該少なくとも1つのmRNAが、
    (i)配列番号11−20、
    (ii)(i)で開示の配列のディジェネレイト変異体、および
    (iii)(i)および(ii)に開示の配列の相補体
    からなる群から転写される、
    請求項5のコントロール。
  12. 遺伝子発現分析システムでネガティブコントロールとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項11の既知量の当該コントロールDNAを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、相補性標識mRNAの非存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    シグナルの非存在または存在に関しコントロールサンプルを検査すること、
    を含む当該方法。
  13. 遺伝子発現分析システムでコントロールを使用する方法であって、
    請求項11の既知量の当該コントロールDNAを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項11の既知量の標識相補性mRNAの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    標識mRNAのシグナル値を測定すること、および測定シグナル値に基づくDNAの発現レベルを決定すること
    を含む当該方法。
  14. 遺伝子発現分析システムでキャリブレーターとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項11の既知量の幾つかのDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項11の既知量の相当する相補性標識mRNA(それぞれのmRNAは、異なる濃度である)を含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    標識mRNAのシグナル値を測定すること、およびそれぞれのmRNAのシグナルの値と濃度との間の関係に基づく用量反応または較正曲線を構成すること
    を含む当該方法。
  15. 二色遺伝子発現分析システムで遺伝子発現比のキャリブレーターとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項11の既知量のDNAを含む既知量の少なくとも1つの当該コントロールを、コントロールサンプルとして二色遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項11の既知量の2種類標識した相当する相補性標識mRNAを含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること(存在するそれぞれのDNAサンプルに対して)、
    2種類の標識mRNAのシグナル値の比を測定すること、および当該シグナル比を、2種類またはそれより多い種類の標識mRNAの濃度の比と比較すること、
    を含む当該方法。
  16. 遺伝子発現分析システムでの使用のための少なくとも1つコントロールを作成するプロセスであって、
    DNAのニアランダム配列を合成すること、
    DNAの当該配列用にプライマー対をデザインすること、
    当該DNAを増幅させ、相当する二本鎖DNAを作成すること、
    ベクターを用い当該二本鎖コントロールDNAをクローニングし、更なる二本鎖DNAを得ること、そして
    当該二本鎖DNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製すること、
    を含む当該プロセス。
  17. 当該DNA以外の起源由来のmRNAとは確実にハイブリダイゼーションしない当該DNAを試験すること、
    を更に含む請求項16のプロセス。
  18. 当該DNAに相補的なmRNAを作成すること、および
    当該mRNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製すること、
    を更に含む請求項16のプロセス。
  19. 当該DNAおよびmRNAを精製すること、
    その濃度を決定すること、および
    選択した濃度および割合で当該DNAまたはmRNAを含む少なくとも1つのコントロールを調製すること、
    を更に含む請求項18のプロセス。
  20. 遺伝子発現分析システムでの使用のためのコントロールであって、
    請求項16のDNAの配列から作成した、既知量の少なくとも1つのDNA、または
    DNAの当該配列から作成した、既知量の少なくとも1つのmRNA
    を含む当該コントロール。
  21. 当該DNAおよびmRNAは、DNAの当該配列以外の起源由来の任意のDNAまたはmRNAとはハイブリダイズしない、請求項20のコントロール。
  22. 遺伝子発現分析システムでネガティブコントロールとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項20の既知量のDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、相補性標識mRNAの非存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    シグナルの非存在または存在に関しコントロールサンプルを検査すること、
    をふくむ当該方法。
  23. 遺伝子発現分析システムでコントロールを使用する方法であって、
    請求項20の既知量のDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項20の既知量の標識相補性mRNAの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    標識mRNAのシグナル値を測定すること、および測定シグナル値に基づくDNAの発現レベルを決定すること
    を含む当該方法。
  24. 遺伝子発現分析システムでキャリブレーターとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項20の既知量の幾つかのDNAを含む既知量の当該コントロールを、コントロールサンプルとして遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項20の既知量の相当する相補性標識mRNA(それぞれのmRNAは、異なる濃度である)を含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること、
    当該標識コントロールmRNAのシグナル値を測定すること、およびそれぞれのmRNAのシグナルの値と濃度との間の関係に基づく用量反応または較正曲線を構成すること
    を含む当該方法。
  25. 二色遺伝子発現分析システムで遺伝子発現比のキャリブレーターとしてコントロールを使用する方法であって、
    請求項20の既知量のDNAを含む既知量の少なくとも1つの当該コントロールを、コントロールサンプルとして二色遺伝子発現分析システムに加えること、
    当該サンプルを、請求項20の既知量の2種類標識した相当する相補性標識コントロールmRNAを含む当該コントロールの存在下でハイブリダイゼーション条件に付すること(存在するそれぞれのDNAサンプルに対して)、
    2種類の標識mRNAのシグナル値の比を測定すること、および当該シグナル比を、2種類またはそれより多い種類の標識mRNAの濃度の比と比較すること、
    を含む当該方法。
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