JP2004529160A - 胆汁酸の製造 - Google Patents
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Abstract
ある種の胆汁酸は製薬産業で用途を有する。HIV、AIDS及び狂牛病(BSE)のような深刻な病気の広い拡散に鑑みると、感染のあらゆる危険性を解消するために動物由来の成分は如何なるものでも医薬中に含有させることは、実行可能である限り、避けることが望ましい。本発明は非動物性出発材料から胆汁酸を製造する方法に関するものである。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、非動物性出発物質から胆汁酸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胆汁酸は殆どの脊椎動物の胆汁中にグリシン又はタウリンを抱合した形で生じ、その幾種かは医薬に使用されている。しかして、ある種の胆汁酸は、胆汁分泌促進薬として使用されている(例えば、James EF Reynolds (編者) Martindale The Extra Pharmacopeia, 30版, The Pharmaceutical Press, London (1993), p1341を参照のこと)。その界面活性作用から胆汁酸塩は製薬組成物中で吸収促進剤として試験されている(タケダ、GB1527605)。また、胆汁酸は、ペプチド類の作用のプロフィールに影響を及ぼす目的で治療用ペプチド類の誘導体を製造するために使用することができる(WO95/07931;WO98/08871、何れもノボ・ノルデイスク)。
【0003】
伝統的には、胆汁酸は動物供給源から得られている。しかし、HIV、AIDS、狂牛病(BSE)のような深刻な病気が広く分散したため、動物由来の原料は感染を引き起こすかも知れないという不安を広く蔓延させた。全ての場合に不安の根拠が十分あるものではないが、危険と危険への不安をなくするために医薬品に動物由来の成分は如何なるものでも含有させることは、実行可能である限り、避けることが望ましい。胆汁酸はかなり複雑な分子構造を持っており、簡単な出発材料から商業的に許容できる価格でそれを合成することはできない。
【0004】
(定義)
リトコール酸とその製造に使用される中間体の「置換されていてもよい誘導体」という標記は、密接に関連する生成物及びリトコール酸とは異なる中間体あるいは一又は二以上の更なるヒドロキシ基を持っていることによってリトコール酸を生じる中間体(デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸)を示すために使用される。
【発明の開示】
【0005】
胆汁酸とある程度構造上の類似性を示す天然物は植物界に見出され、それらは胆汁酸の大規模な合成における出発原料として使用することを最初から妨げるものではない価格で入手できる。
【0006】
従って、本発明は、
式(I):
【化1】
のリトコール酸又は置換されていてもよいその誘導体を製造する方法において、
a)3-オキソ-4,22-コラジエン酸エチル(式(II))
【化2】
又は置換されていてもよいその誘導体の接触水素化によって3-オキソコラン酸エチル(式(III))
【化3】
又はその対応する置換誘導体を調製する工程と;
b)工程a)で得られた式(III)の中間体又はその対応する置換誘導体のC-24エステル基の加水分解によって3-オキソコラン酸(式(IV))
【化4】
又はその対応する置換誘導体を調製し、この中間体の3-ケト基の還元によりリトコール酸(式(I))又はその対応する置換誘導体を調製する工程と;
あるいは工程b)の代わりに、
c)工程a)で得られた式(III)の中間体又はその対応する置換誘導体の3-ケト基の還元により次の式(V):
【化5】
の中間体を調製した後、C-24エステル基の加水分解によりリトコール酸(式(I))又はその対応する置換誘導体を調製する工程を、
含んでなる方法を提供する。
【0007】
スチグマステロールは大豆から単離できるステロールである。上述した式(II)の出発原料は、スチグマステロールを、JA Campbell等, J Am Chem Soc 79 (1957) 1127-1129に記載されたようにして酸化しオゾン分解して3-ケトビスノル-4-コレンアルデヒドにし、ついでED Bergmann等, Steroids 27(1976) 431-437に記載されたようにして、該アルデヒドをトリエチルホスホノアセテートと反応させることにより、得ることができる。
【0008】
上記の工程a)の接触水素化は接触水素化に一般的に使用されている任意の好適な溶媒、例えばアルコールやエーテル中で実施することができる。本発明の一実施態様では、使用される溶媒は99%エタノールである。
【0009】
工程a)において使用される触媒は、式(II)の化合物又は対応する置換誘導体の4位と22位の炭素間二重結合を特異的に還元する任意の触媒とでき、例えば5%パラジウム/カーボン又は10%パラジウム/カーボンである。本発明の一実施態様では、式(II)の化合物の還元に使用される触媒は10%パラジウム/カーボンである。
【0010】
工程a)に記載された還元は、例えばアルカリ金属の水酸化物もしくはアルカリ土類金属の水酸化物又は他の金属水酸化物あるいは例えば脂肪族アミン、例えばtert-ブチルアミンのような塩基の存在下で行うことができる。特定の実施態様では、還元は水酸化カリウムの存在下で行われる。
【0011】
工程a)に記載された還元は、様々な温度で行うことができる。本発明の一実施態様では、還元は0℃から80℃の間の温度で行われる。より特定の実施態様では、還元は室温、例えば15℃から30℃の間で行われる。
【0012】
工程a)の還元が行われる水素圧は広い範囲内で選択することができる。よって、一実施態様では、圧力は大気圧から10気圧の範囲とできる。他の実施態様は大気圧又は大気圧から2気圧の範囲である。
【0013】
工程b)及び工程c)によってなされるエステル基の加水分解は様々な条件下でなすことができる。よって、それは、水と水混和性溶媒、例えばアルコールのアルカリ性混合物中で室温にて実施することができる。工程b)が採用される場合、塩基は、簡便には接触水素化が行われる前に添加される塩基でありうる。しかし、エステル基の加水分解に対しては、更なる量の同じ又は他の塩基を反応混合物に添加することができる。工程c)が採用される場合、中間体(V)が生じる反応混合物は、水での希釈後に強いアルカリ性にされ得、エステル基の加水分解をこの混合物中で行わしめることができる。別法としては、中間体(V)を単離して精製した後、エステル基を、例えば水性エタノール中で水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて、加水分解することができる。
【0014】
式(III)及び(IV)の中間体の3-ケト基の還元に対しては、この基を特異的に還元する還元剤が使用される。そのような還元剤の例はリチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリド、ナトリウムボロヒドリド及び変性剤、例えば塩化セリウム(III)が併用されるナトリウムボロヒドリドである。還元は氷浴温度で出発して実施される。つづいて、温度は室温まで上げられる。リチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリドが還元剤として使用される場合の好都合な溶媒はテトラヒドロフランである。他の選択肢はジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテルである。ナトリウムボロヒドリド及び変性剤と併用されるナトリウムボロヒドリドが還元剤として使用される場合、好都合な溶媒は水を含んでいてもよいメタノール又はエタノールである。
【実施例】
【0015】
実施例1
スチグマステロールからのリトコール酸の調製
大豆から得たスチグマステロールを、JA Campbell等, J Am Chem Soc 79(1957) 1127-1129に記載されているようにして3-ケトビスノル-4-コレンアルデヒドに転換させる。ついで、そのアルデヒドを、ED Bergmann等, Steroids 27(1976)431-437に記載されているようにして、トリエチルホスホノアセテートと反応させて3-オキソ-4,22-コラジエン酸エチルを得る。
【0016】
3-オキソ-5β-コラン-24-酸の調製:
3-オキソ-4,22-コラジエン酸エチル(2.39g)を、0.9gの水酸化カリウムを含む99%エタノール(170ml)中に溶解させた。50%のH2O(0.16g)を含む10%パラジウム/カーボンを添加し、室温と1気圧にて約3時間水素化させた(280mlの水素を消費した)。濾過によって触媒を除去し、水(20ml)を加えた。3日、撹拌した後、酢酸を添加してpH4とし、溶液を減圧下で約10mlまで濃縮して、20mlの水を加えた。撹拌後、混合物が結晶化した。濾過と水での洗浄により、2.1gの表題の化合物が得られた。1H-NMR(CDCl3, 300 MHz), 0.67 (3H,s); 0.92 (3H,d); 1.00(3H,s); 2.68(1H,t)。
【0017】
3-オキソ-5β-コラン-24-酸のリトコール酸への還元:
3-オキソ-5β-コラン-24-酸(3.0g)を氷浴で冷却したドライテトラヒドロフラン(40ml)中で15分かけて溶解させた。17.5mlのリチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリドの1.1M溶液を撹拌しながら添加した。更に10mlのテトラヒドロフランを添加し、氷浴で15分間、室温で1.5時間、撹拌を続けた。氷浴の混合物を冷却後、16mlの水とついで20mlの6M HClを添加して反応をクエンチした。混合物をジクロロメタンで抽出し、混合した有機相を1MのHClと水で洗浄し乾燥させた(Na2SO4)。減圧下で溶媒を除去して3.0gの粗リトコール酸を得た。生成物のNMR分析(CDCl3, 300 MHz)は、基準リトコール酸の1H-NMRスペクトルに一致する、特徴的なシグナルを0.66 (3H,s); 0.93 (6H,s及びd); 2.15-2.49 (2H,m); 3.63(1H,m)に示した。
【0018】
実施例2
N-リトコロイル-Glu(Osu)-OHを用いたNεB29リトコロイル-γ-Glu des(B30)の合成
1000mgのdes(B30)ヒトインスリンを3.7mlの水と18.5mlのN-メチルピロリドンの混合物中に溶解させた。その溶液を含む反応容器を、10℃で平衡にした水浴に入れ、溶液のpH値を4MのNaOHの添加によって10.2に調整した。316mgのN-リトコロイル-Glu(Osu)-OHを室温で2.6mlのN-メチルピロリドン中に溶解させ、1mlのトリエタノールアミンを添加した。ついで溶解した試薬をインスリン溶液に添加し、1時間の間、反応させた後、4MのHClの添加によってpH9に調整した0.2Mエタノールアミンを19ml添加して反応を停止させた。生成物をNεB29リトコロイル-γ-Glu des(B30)ヒトインスリンの標準物に対してRP-HPLCによって分析した。収率は43%であった。
【0019】
実施例3
N-リトコロイル-Glu(Osu)-OtBuを用いたNεB29リトコロイル-γ-Glu des(B30)の合成
3000mgのdes(B30)ヒトインスリンを反応容器中で150mlの50mMホウ酸に溶解させ、その反応容器を、15℃で平衡にした水浴に入れ、溶液のpH値を4MのNaOHの添加によって10.2に調整した。690mgのN-リトコロイル-Glu(Osu)-OtBuを、約50℃に加熱した150mlのアセトニトリル中に溶解させた。ついで、溶解した試薬をインスリン溶液に添加し、1時間の間、反応させた後、4MのHClの添加によってpH9に調整した0.2Mエタノールアミンを57ml添加して反応を停止させた。有機溶媒に対して20%v/vの最終濃度になるまで反応混合物に水を添加し、混合物のpHを4MのHClの添加によって5.5まで調整した。ついで反応混合物を4℃で一晩放置した。次の日に、沈殿した物質を遠心分離によって単離した後、凍結乾燥させた。乾燥させた材料を、OtBu保護基を除去するために30mlのトリフルオロ酢酸中に溶解させた。ついで、インスリン物質を、数滴の濃HClと共に10容量のアセトンを添加して沈殿させ、精製した。98.8%の純度で、収量:1820mg。
MSで調べた分子量:6193±6、理論値:6193
【0001】
本発明は、非動物性出発物質から胆汁酸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胆汁酸は殆どの脊椎動物の胆汁中にグリシン又はタウリンを抱合した形で生じ、その幾種かは医薬に使用されている。しかして、ある種の胆汁酸は、胆汁分泌促進薬として使用されている(例えば、James EF Reynolds (編者) Martindale The Extra Pharmacopeia, 30版, The Pharmaceutical Press, London (1993), p1341を参照のこと)。その界面活性作用から胆汁酸塩は製薬組成物中で吸収促進剤として試験されている(タケダ、GB1527605)。また、胆汁酸は、ペプチド類の作用のプロフィールに影響を及ぼす目的で治療用ペプチド類の誘導体を製造するために使用することができる(WO95/07931;WO98/08871、何れもノボ・ノルデイスク)。
【0003】
伝統的には、胆汁酸は動物供給源から得られている。しかし、HIV、AIDS、狂牛病(BSE)のような深刻な病気が広く分散したため、動物由来の原料は感染を引き起こすかも知れないという不安を広く蔓延させた。全ての場合に不安の根拠が十分あるものではないが、危険と危険への不安をなくするために医薬品に動物由来の成分は如何なるものでも含有させることは、実行可能である限り、避けることが望ましい。胆汁酸はかなり複雑な分子構造を持っており、簡単な出発材料から商業的に許容できる価格でそれを合成することはできない。
【0004】
(定義)
リトコール酸とその製造に使用される中間体の「置換されていてもよい誘導体」という標記は、密接に関連する生成物及びリトコール酸とは異なる中間体あるいは一又は二以上の更なるヒドロキシ基を持っていることによってリトコール酸を生じる中間体(デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸)を示すために使用される。
【発明の開示】
【0005】
胆汁酸とある程度構造上の類似性を示す天然物は植物界に見出され、それらは胆汁酸の大規模な合成における出発原料として使用することを最初から妨げるものではない価格で入手できる。
【0006】
従って、本発明は、
式(I):
【化1】
のリトコール酸又は置換されていてもよいその誘導体を製造する方法において、
a)3-オキソ-4,22-コラジエン酸エチル(式(II))
【化2】
又は置換されていてもよいその誘導体の接触水素化によって3-オキソコラン酸エチル(式(III))
【化3】
又はその対応する置換誘導体を調製する工程と;
b)工程a)で得られた式(III)の中間体又はその対応する置換誘導体のC-24エステル基の加水分解によって3-オキソコラン酸(式(IV))
【化4】
又はその対応する置換誘導体を調製し、この中間体の3-ケト基の還元によりリトコール酸(式(I))又はその対応する置換誘導体を調製する工程と;
あるいは工程b)の代わりに、
c)工程a)で得られた式(III)の中間体又はその対応する置換誘導体の3-ケト基の還元により次の式(V):
【化5】
の中間体を調製した後、C-24エステル基の加水分解によりリトコール酸(式(I))又はその対応する置換誘導体を調製する工程を、
含んでなる方法を提供する。
【0007】
スチグマステロールは大豆から単離できるステロールである。上述した式(II)の出発原料は、スチグマステロールを、JA Campbell等, J Am Chem Soc 79 (1957) 1127-1129に記載されたようにして酸化しオゾン分解して3-ケトビスノル-4-コレンアルデヒドにし、ついでED Bergmann等, Steroids 27(1976) 431-437に記載されたようにして、該アルデヒドをトリエチルホスホノアセテートと反応させることにより、得ることができる。
【0008】
上記の工程a)の接触水素化は接触水素化に一般的に使用されている任意の好適な溶媒、例えばアルコールやエーテル中で実施することができる。本発明の一実施態様では、使用される溶媒は99%エタノールである。
【0009】
工程a)において使用される触媒は、式(II)の化合物又は対応する置換誘導体の4位と22位の炭素間二重結合を特異的に還元する任意の触媒とでき、例えば5%パラジウム/カーボン又は10%パラジウム/カーボンである。本発明の一実施態様では、式(II)の化合物の還元に使用される触媒は10%パラジウム/カーボンである。
【0010】
工程a)に記載された還元は、例えばアルカリ金属の水酸化物もしくはアルカリ土類金属の水酸化物又は他の金属水酸化物あるいは例えば脂肪族アミン、例えばtert-ブチルアミンのような塩基の存在下で行うことができる。特定の実施態様では、還元は水酸化カリウムの存在下で行われる。
【0011】
工程a)に記載された還元は、様々な温度で行うことができる。本発明の一実施態様では、還元は0℃から80℃の間の温度で行われる。より特定の実施態様では、還元は室温、例えば15℃から30℃の間で行われる。
【0012】
工程a)の還元が行われる水素圧は広い範囲内で選択することができる。よって、一実施態様では、圧力は大気圧から10気圧の範囲とできる。他の実施態様は大気圧又は大気圧から2気圧の範囲である。
【0013】
工程b)及び工程c)によってなされるエステル基の加水分解は様々な条件下でなすことができる。よって、それは、水と水混和性溶媒、例えばアルコールのアルカリ性混合物中で室温にて実施することができる。工程b)が採用される場合、塩基は、簡便には接触水素化が行われる前に添加される塩基でありうる。しかし、エステル基の加水分解に対しては、更なる量の同じ又は他の塩基を反応混合物に添加することができる。工程c)が採用される場合、中間体(V)が生じる反応混合物は、水での希釈後に強いアルカリ性にされ得、エステル基の加水分解をこの混合物中で行わしめることができる。別法としては、中間体(V)を単離して精製した後、エステル基を、例えば水性エタノール中で水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて、加水分解することができる。
【0014】
式(III)及び(IV)の中間体の3-ケト基の還元に対しては、この基を特異的に還元する還元剤が使用される。そのような還元剤の例はリチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリド、ナトリウムボロヒドリド及び変性剤、例えば塩化セリウム(III)が併用されるナトリウムボロヒドリドである。還元は氷浴温度で出発して実施される。つづいて、温度は室温まで上げられる。リチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリドが還元剤として使用される場合の好都合な溶媒はテトラヒドロフランである。他の選択肢はジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテルである。ナトリウムボロヒドリド及び変性剤と併用されるナトリウムボロヒドリドが還元剤として使用される場合、好都合な溶媒は水を含んでいてもよいメタノール又はエタノールである。
【実施例】
【0015】
実施例1
スチグマステロールからのリトコール酸の調製
大豆から得たスチグマステロールを、JA Campbell等, J Am Chem Soc 79(1957) 1127-1129に記載されているようにして3-ケトビスノル-4-コレンアルデヒドに転換させる。ついで、そのアルデヒドを、ED Bergmann等, Steroids 27(1976)431-437に記載されているようにして、トリエチルホスホノアセテートと反応させて3-オキソ-4,22-コラジエン酸エチルを得る。
【0016】
3-オキソ-5β-コラン-24-酸の調製:
3-オキソ-4,22-コラジエン酸エチル(2.39g)を、0.9gの水酸化カリウムを含む99%エタノール(170ml)中に溶解させた。50%のH2O(0.16g)を含む10%パラジウム/カーボンを添加し、室温と1気圧にて約3時間水素化させた(280mlの水素を消費した)。濾過によって触媒を除去し、水(20ml)を加えた。3日、撹拌した後、酢酸を添加してpH4とし、溶液を減圧下で約10mlまで濃縮して、20mlの水を加えた。撹拌後、混合物が結晶化した。濾過と水での洗浄により、2.1gの表題の化合物が得られた。1H-NMR(CDCl3, 300 MHz), 0.67 (3H,s); 0.92 (3H,d); 1.00(3H,s); 2.68(1H,t)。
【0017】
3-オキソ-5β-コラン-24-酸のリトコール酸への還元:
3-オキソ-5β-コラン-24-酸(3.0g)を氷浴で冷却したドライテトラヒドロフラン(40ml)中で15分かけて溶解させた。17.5mlのリチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリドの1.1M溶液を撹拌しながら添加した。更に10mlのテトラヒドロフランを添加し、氷浴で15分間、室温で1.5時間、撹拌を続けた。氷浴の混合物を冷却後、16mlの水とついで20mlの6M HClを添加して反応をクエンチした。混合物をジクロロメタンで抽出し、混合した有機相を1MのHClと水で洗浄し乾燥させた(Na2SO4)。減圧下で溶媒を除去して3.0gの粗リトコール酸を得た。生成物のNMR分析(CDCl3, 300 MHz)は、基準リトコール酸の1H-NMRスペクトルに一致する、特徴的なシグナルを0.66 (3H,s); 0.93 (6H,s及びd); 2.15-2.49 (2H,m); 3.63(1H,m)に示した。
【0018】
実施例2
N-リトコロイル-Glu(Osu)-OHを用いたNεB29リトコロイル-γ-Glu des(B30)の合成
1000mgのdes(B30)ヒトインスリンを3.7mlの水と18.5mlのN-メチルピロリドンの混合物中に溶解させた。その溶液を含む反応容器を、10℃で平衡にした水浴に入れ、溶液のpH値を4MのNaOHの添加によって10.2に調整した。316mgのN-リトコロイル-Glu(Osu)-OHを室温で2.6mlのN-メチルピロリドン中に溶解させ、1mlのトリエタノールアミンを添加した。ついで溶解した試薬をインスリン溶液に添加し、1時間の間、反応させた後、4MのHClの添加によってpH9に調整した0.2Mエタノールアミンを19ml添加して反応を停止させた。生成物をNεB29リトコロイル-γ-Glu des(B30)ヒトインスリンの標準物に対してRP-HPLCによって分析した。収率は43%であった。
【0019】
実施例3
N-リトコロイル-Glu(Osu)-OtBuを用いたNεB29リトコロイル-γ-Glu des(B30)の合成
3000mgのdes(B30)ヒトインスリンを反応容器中で150mlの50mMホウ酸に溶解させ、その反応容器を、15℃で平衡にした水浴に入れ、溶液のpH値を4MのNaOHの添加によって10.2に調整した。690mgのN-リトコロイル-Glu(Osu)-OtBuを、約50℃に加熱した150mlのアセトニトリル中に溶解させた。ついで、溶解した試薬をインスリン溶液に添加し、1時間の間、反応させた後、4MのHClの添加によってpH9に調整した0.2Mエタノールアミンを57ml添加して反応を停止させた。有機溶媒に対して20%v/vの最終濃度になるまで反応混合物に水を添加し、混合物のpHを4MのHClの添加によって5.5まで調整した。ついで反応混合物を4℃で一晩放置した。次の日に、沈殿した物質を遠心分離によって単離した後、凍結乾燥させた。乾燥させた材料を、OtBu保護基を除去するために30mlのトリフルオロ酢酸中に溶解させた。ついで、インスリン物質を、数滴の濃HClと共に10容量のアセトンを添加して沈殿させ、精製した。98.8%の純度で、収量:1820mg。
MSで調べた分子量:6193±6、理論値:6193
Claims (10)
- 式(I):
a)3-オキソ-4,22-コラジエン酸エチル(式(II))
b)工程a)で得られた式(III)の中間体又はその対応する置換誘導体のC-24エステル基の加水分解によって3-オキソコラン酸(式(IV))
あるいは工程b)の代わりに、
c)工程a)で得られた式(III)の中間体又はその対応する置換誘導体の3-ケト基の還元により次の式(V):
含んでなる方法。 - 工程a)の水素化が塩基性条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
- 水素化が水酸化カリウムの存在下で行われる、請求項2に記載の方法。
- 水素化が脂肪族アミンの存在下で行われる、請求項2に記載の方法。
- 工程a)の水素化が0℃から80℃の間の温度で行われる、請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
- 工程a)の水素化が1から10気圧の水素圧下で行われる、請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
- 工程a)の水素化が、触媒としてパラジウムカーボンを使用して行われる、請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
- 工程b)及びc)の加水分解が、水と、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを含む水混和性溶媒との混合物中で行われる、請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
- 工程b)及びc)において使用される還元剤が、リチウムトリ-tert-ブトキシアルミノヒドリド、ナトリウムボロヒドリド及び変性剤を併用されるナトリウムボロヒドリドを含む群から選択される、請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
- ナトリウムボロヒドリドと併用される変性剤が塩化セリウム(III)である、請求項9に記載の方法。
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