JP2004528537A - アナライトの検出 - Google Patents
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Abstract
アナライトに露出されたとき分子の形態変化を受け得るインジケーターシステムを用いてアナライトを検出する方法を開示する。形態変化はインジケーターシステムに関連づけられた検出可能な特質に影響を受け、それにより、アナライトの存在または濃度の検出が可能となる。
Description
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2001年1月5日に出願された出願番号09/754,219の一部継続出願である。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明はアナライトの存在または濃度の検出に関する。さらに詳細には、本発明は、アナライトに対する露出時に分子形態の変化を受けうるインジケーターシステムを用いてアナライトを検出することに関する。形態変化はインジケーターシステムに関連付けられた検出可能な特質に影響を及ぼし、それにより、アナライトの存在または濃度の検出を可能にする。
2.関連技術の記述
米国特許第5,503,770号明細書 (James等)は、グルコースを含む糖類に結合したときに高強度の蛍光を発する蛍光性ボロン酸含有化合物に向けられている。この蛍光性化合物は、蛍光体成分(fluorophore)、少なくとも一つのフェニルボロン酸成分および少なくとも一つのアミン−付与窒素原子(窒素原子は、ボロン酸と分子内で相互作用するようにフェニルボロン酸成分の近くに配置される)を含む分子構造を有する。それにより、このような相互作用は、この化合物が糖類との結合時に蛍光を発生させる。米国特許第5,503,770号明細書は糖類を検出するのに適する化合物を記載する。T. James等, J. Am. Chem. Soc. 117(35):8982-87 (1995)も参照。
【0003】
Nature Biotechnology 16, 49-53 (1998)は分子ビーコン(すなわち、蛍光体成分/消光体成分対で標識したヘアピン型オリゴヌクレオチドプローブ)を利用する対立遺伝子識別に向けられている。ターゲットに結合すると、プローブは内部的に消光した蛍光体成分の蛍光を回復する形態再組織化を受ける。しかし、DNA塩基対化の強さが周囲温度で相対的に高く、そして使用の際に分子ビーコンプローブは大きな形態変化(本質的に180゜)を受けるのに違いないので、その系はリアルタイムで変動するアナライト濃度を継続的に検出するのに容易に使用することができない。
【0004】
当業界において、感度の高いアナライトの存在または濃度を検出でき、広範囲の検出システムにも使用することができ、しかもその濃度が変動しうるアナライトのリアルタイム検出にも使用できるインジケーターシステムの必要性が依然としてある。
【0005】
発明の簡単な概要
一局面では、本発明は試料中のポリヒドロキシルアナライトの存在または濃度の検出法に向けられており、当該方法は、
a)インジケーターシステムに試料を露出すること、ここで、このインジケーターシステムが、
i)前記アナライトと可逆的な様式で共有結合を形成できる第1認識要素、および、A)第1認識要素に結合された前記アナライトに可逆的な様式で共有結合を形成できる第2認識要素、もしくはB)前記アナライトの不存在下で第1認識要素と可逆的な様式で相互作用できるリガンド要素のいずれか、ここで、リガンド要素は場合により認識要素とリガンド要素との相互作用により調節される検出可能な特質を生じさせる標識をさらに含み、前記第1認識要素を含むインジケーターシステムの一部が前記第二認識要素もしくは前記リガンド要素を含有するインジケーターシステムの1部に共有的または非共有的に連結される;と
ii)少なくとも一つのA)前記インジケーターシステムが前記アナライトに露出されると、濃度−依存様式で変化する検出可能な特質を生じさせるドナー/アクセプターシステム、もしくはB)前記標識されたリガンド要素を含む検出システムと
を有する;そして
b)前記検出可能な特質のいずれかの変化を測定し、それにより前記試料中の前記アナライトの存在または濃度を決定することである。
【0006】
別の局面では、本発明は上述の方法を行うためのインジケーターシステムに関する。
発明の詳細な記述
一局面では、本発明は、アナライトと相互作用したときに形態変化を受けるインジケーターシステムを使用するアナライトの存在または濃度を検出する方法を提供する。このインジケーターシステムは、インジケーターシステムが形態変化を受けるときに変化する検出可能な特質を有し、アナライトの存在または濃度の指標である。
【0007】
本発明では多くのアナライトを検出できる。適当なアナライトには、分子アナライト(たとえば、金属イオンや配位結合から構成される金属錯体ではなくて、共有結合から構成される分子として定義される);炭水化物、ポリヒドロキシル化合物、特に、遊離糖(たとえば、グルコース、フルクトース、ラクトース等)および脂質、タンパク質等に結合された糖のようなビシナルヒドロキシ基を持つもの;小分子薬物;ホルモン類;酸素;二酸化炭素;亜鉛、カリウム、水素、炭酸のような種々のイオン等がある。本発明は、特に、小さなアナライト、特に5000ダルトン未満のものを検出するのに適している。
【0008】
一実施態様では、本発明は、検出しようとするアナライトのための少なくとも二種類の認識要素を有するインジケーターシステムを使用して行うことができ、これらの認識要素は、二部位相互作用のできるアナライトとの相互作用時に、インジケーターシステムが形態変化を受けるように配向されている。インジケーターシステムはさらにそれと関連付けられた検出システムを有し、当該システムはインジケーターシステムがアナライトと相互作用するときに変化する検出可能な特質を有する。アナライトと相互作用するとき、認識要素は、アナライトの不存在下の形態と比較して、これらの要素が互いにより近いかまたはより遠いかのいずれかである場合、あるいはこれらの要素が分子運動のそれらの自由度において制限され、その分子運動の自由度が次いで信号に影響を与え得る場合の形態を推定できる。形態におけるその変化は検出可能な特質に変化をもたらすことができる。
【0009】
別の実施態様では、本発明は検出しようとするアナライトのための少なくとも一種の認識要素、ならびにリガンド要素を有するインジケーターシステムを使用して行うことができる。リガンド要素は認識要素と可逆的な相互作用をでき、認識要素との相互作用についてアナライトと競合する。アナライトの不存在下で認識要素およびリガンド要素が相互作用するとき、検出システムは、アナライトが認識要素と相互作用するときより異なる好適な形態もしくは相対配向を有し、認識要素からリガンド要素の置換をもたらす。形態のその変化は検出可能な特質の変化をもたらす。一定の実施態様では、リガンド要素はさらに検出システムの一部であることができる。たとえば、リガンド要素はさらに消光体成分であることができ、アナライトが認識要素と相互作用するときにその作用を取り除く。さらに、リガンド要素は、たとえば、リガンド要素が認識要素と相互作用するか否かに依存して特徴(たとえば、スペクトル様相)が異なる検出可能な標識を含む。
【0010】
上述したいずれかの実施態様に関して、適当な認識要素には、検出しようとするアナライトと好ましくは可逆的に相互作用できる成分がある。用語「相互作用」は、電荷相互作用(charge interactions)、水素結合、共有結合等の広範囲の物理的および化学的相互作用を含むことができることが了解されよう。認識要素(1または複数)とアナライトとの間、およびリガンド要素(存在する場合)と認識要素との間の相互作用が、可逆的な様式で1以上の共有結合の形成であることが特に好適である。この文脈では、好ましくは、共有結合は二つの原子間の結合を意味し、一つの電子が各原子により与えられ、水素結合、イオン結合、および2原子のうちの1つから二つの電子の付与を含む配位結合(coordinative or dative bonding)を排除する。相互作用は相対的に弱く、たとえば、約10-6Mを超える解離定数を持つものが好ましい。数種の適当な認識要素は公知であり、好ましくは、ボロン酸、ボロン酸イオン、亜ヒ酸、亜ヒ酸イオン、テルル酸、テルル酸イオン、ゲルマニウム酸、またはゲルマニウム酸イオン等が好ましく、それらのすべてがグルコースやその他の炭化水素のようなビシナルジオールを認識することが知られている。アナライトがグルコースのとき、ボロン酸がもっとも好適な認識要素である。
【0011】
インジケーターシステムがリガンド要素を含有する場合、このような要素は認識要素と相互作用でき、ターゲットアナライトの動的範囲(dynamic range)に依存してデザインされるべきである。リガンド要素の選択は、上述の指針の範囲内で、アナライトと認識要素とに依存する。好適な実施態様では、アナライトがグルコースのようなビシナルジオールであり、認識要素がボロン酸であり、リガンド要素が好ましくは可逆的様式で認識要素と結合を形成できる成分である(たとえば、エステル結合)。このようなリガンド要素には芳香族ジオール(たとえば、カテコール)、ラクテート、α−ヒドロキシ酸、酒石酸、リンゴ酸、ジエタノールアミン、β−アミノアルコール、グルコース、ポリヒドロキシ化合物、およびビシナルヒドロキシ含有化合物等があり、すべてが場合により置換基を有する。別の実施態様では、リガンド要素は検出システムの一部であることもできる。たとえば、リガンド要素はインジケーターシステムと関連付けられた蛍光体成分の蛍光発光を調節できる。リガンド要素が認識要素と相互作用するとき、たとえば、蛍光体成分を有効に消光することができる場合の形態にある。リガンド要素がアナライトにより認識要素からはずれるときとき、リガンドはもはや蛍光体成分を消光する形態にない(実施例6)。逆の場合は、別の実施態様においても真実である(認識要素と相互作用するとき蛍光体成分と相互作用できない消光体成分)。
【0012】
使用の際、本インジケーターシステムは、好ましくは、本明細書中で記載した形態状態間で動的平衡で存在する。より好ましくは、比較的弱い結合性と高速の相互作用があり、自由アナライト(free analyte)の存在下よりも迅速な平衡を可能にする。結果として、本発明の使用は、好ましくは、広範囲の条件にわたって、リアルタイムのアナライト検出ができる(特に濃度が不安定なアナライトの検出)。本発明は概して本明細書中で記載した方法を実施するのに実質的な温度変化の使用を必要としない。すなわち、本発明の方法は実質的に周囲温度で行うことができ、それはアナライト試料が正常な条件下で見いだされる温度を意味する。周囲温度がアナライトおよびその環境に依存して広範囲に変動しうることが了解される。たとえば、周囲温度には、室温もしくはそれよりも低い温度;インビボ用途で多くの場合約45℃まで;そして約80℃までもしくはそれよりも高い温度(たとえば、一定の発酵用途)等がある。
【0013】
本発明のインジケーターシステムは、アナライトにインジケーターシステムが露出されたときに濃度に依存して変化する検出可能な特質を有する検出システムを含む。検出システムは好ましくはドナー/アクセプターシステムを含み、それは相互作用して信号を与える一対の異なる原子団(group)を意味し、ここで、これらの原子団間の距離の変化が信号の特徴を変化させる。好ましくは、信号は電磁的または電気化学的信号である(たとえば、接近時に異なる電気化学ポテンシャルを与える電荷移動対(charge transfer pair))。
【0014】
多くのこのような特質/システムは公知であり、本発明に使用できる。たとえば、インジケーターシステムは、ルミネッセンス(蛍光または燐光)または化学ルミネッセンス標識、吸光度を基礎とした標識(absorbance based label)等を含むことができ、インジケーターシステムが形態変化を受けるとき、検出可能な特質の変化を受ける。検出システムはドナー成分およびアクセプター成分を含むことができ、各々が、インジケーターシステムがアナライトと相互作用するとき検出可能な変化があるように間隔を空ける。
【0015】
検出可能な特質は、蛍光減衰時間の変化(時間領域もしくは頻度領域測定により決定)、蛍光強度、蛍光異方性もしくは偏光;発光スペクトルのスペクトルシフト;時間−解像異方性減衰(time-resolved anisotropy decay)の変化 (時間領域もしくは頻度領域測定により決定)、吸光度スペクトルの変化のような検出可能なスペクトル変化であることができる。
【0016】
検出システムは蛍光体成分および蛍光体成分の蛍光を消光できる成分を含むことができる。その実施態様では、インジケーターシステムは2方向で構成できる。第一に、アナライトの不存在下で蛍光体成分と消光体成分が、蛍光発光が効果的に消光するように互いに十分に接近して配置されるように構成できる。アナライトとの相互作用時、インジケーターシステムの形態が変化し、蛍光体成分の脱消光(dequenching)ができるのに足る蛍光体成分/消光体成分対の分離をもたらす。あるいは、インジケーターシステムは、アナライトの不存在下で蛍光体成分および消光体成分が、蛍光体成分が蛍光を発することができるように互いに十分に離れて配置されるように構成することができる。アナライトとの相互作用時、インジケーターシステムの形態が変化し、蛍光体成分/消光体成分対を蛍光体成分の消光ができるのに足る接近をもたらす。明細書で使用されているように、蛍光体成分/消光体成分対は、この対の双方の構成員が蛍光体成分(同種または異種のいずれか)を含むことを意図されているが、しかし、インジケーターシステムが消光形態であるとき、一方の蛍光体成分は、近接効果、エネルギー移動等により他成分の蛍光体成分の蛍光性に影響を及ぼす。
【0017】
多くの蛍光体成分/消光体成分対は公知であり、本発明により意図されている。たとえば、DABCYLは、クマリン、EDANS、フルオレセイン、Lucifer 黄色、BODIPYTMEosine、テトラメチルローダミン、Texas RedTM等の多くの蛍光体成分を効果的に消光する。
【0018】
蛍光体成分から発光した蛍光は種々のメカニズムにより消光され得ることが了解される。1つの方法は、蛍光体成分および消光体成分間の光誘導された電子移動を介して消光することによる( Acc. Chem. Res. 1994, 27, 302-308参照、 参照として本明細書に含める)。消光は、重原子効果によりもたらされる内部システム交差または常磁性金属イオンとの相互作用によっても起こり、この場合、消光体成分はヨウ素のような重原子、またはCu+2イオンのような常磁性金属イオンを含むことができる(たとえば、J.Am.Chem.Soc. 1985, 107, 7783-7784,およびJ.Chem.Soc. Faraday Trans., 1992, 88, 2129-2137,双方とも参照として含める)。消光は、Nature Biotechnology, 1998, 16, 49-53に記載されているように蛍光体成分と消光体成分間の基底状態コンプレックス形成によっても起こり得る(参照として含める)。別の消光メカニズムは蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer:FRET)に関連する(たとえば、Meas. Sci. Technol. 10 (1999) 127-136 および JACS 2000, 122, 10466-10467、参照として含める)。
【0019】
本検出システムに有用な成分の別の種類には、分子形態の変化時に吸光度スペクトルが変化するようなもの(Alizarin Red-S等を含む)がある。
本発明に使用するために適当なインジケーターシステムは下記の概略構造のうちの1つを含む化合物である。
【0020】
【化1】
【0021】
(式中、-R1は前記アナライトのための一種以上の認識要素であり;-R2はi)前記アナライトのための一種以上の認識要素、またはii)場合により標識したリガンド要素であり;-D1および D2は共にエネルギードナー/アクセプターシステムを含む検出システムを含み、前記インジケーター分子がアナライトと相互作用するときに濃度に依存して変化する検出可能な特質を有するか、またはD1および D2はR2が標識したリガンド要素であるとき存在しない;-L1およびL2は同じか異なり、生じる相互作用および検出可能な特質変化を可能にするのに足る長さと構造からなる結合基を含み;ZはL1およびL2間の共有結合または非共有結合である。
【0022】
認識要素、リガンド要素、および検出システムについてすでに記述した。結合基L1およびL2は生じる既述相互作用および変化を可能にするのに足る長さと構造とを有する。結合基の正確な種類はインジケーターシステムの他の要素の構造に依存しうることが了解される。結合基は、構造の剛性、分子範囲(molecular distance)、電荷相互作用等について設計することができ、それらは実施例に示すような可逆的アナライト検出システム相互作用を最適化するのに用いることができる。
【0023】
本インジケーターシステムのZ成分は好ましくはL1および L2間の共有結合を表す。インジケーターシステムは単一分子または巨大分子の形体であり得る。
L1およびL2は広範囲の形体をとることができる。たとえば、適当な結合基にはアルキル基、アリール基、ポリアミド基、ポリエーテル基、ポリアミノ基、ポリエステル基およびその組み合わせがあり、すべての基は場合により置換され得る。
【0024】
本発明のインジケーターシステムは、可溶性の場合、直接溶液状で使用できる(所望の場合)。一方、目的の用途で必要な場合、インジケーターシステムは、ガラス、プラスチック、ポリマー物質等のような不溶性表面またはマトリックス上または内に(たとえば、機械的捕捉または共有もしくはイオン結合により)固定化され得る。インジケーターシステムが、たとえば、ポリマー内に捕捉されるとき、捕捉用物質は、好ましくは、アナライトがアナライトおよびインジケーターシステム間で適切な相互作用できるに足る透過性であるべきである。
【0025】
インジケーターシステムが水に難溶性または不溶性で、さらに水性媒質中で検出することが望まれる場合、インジケーターシステムを親水性モノマーと共重合させ、親水性巨大分子を形成することができる(2000年8月4日に出願された同時継続米国特許出願番号09/632,624号に記載、参照として本明細書に含める)。
【0026】
本インジケーターシステムは化学的に多くの形体をとることができることが了解され得る。たとえば、全インジケーターシステムは、比較的小さな寸法の1分子であることができる。あるいは、インジケーターシステムの個々の成分は巨大分子の一部であることができる。後者の場合では、このシステムの諸成分を同じポリマー中に組み入れることができるか、または別の架橋したポリマーと関連付けることができる。たとえば、蛍光体成分/リガンド要素アダクトおよび消光体成分/認識要素アダクトを含有する別のモノマーを共重合してインジケーターシステムポリマーを形成できる(実施例5参照)。あるいは、モノマーを別々に重合させて、別のポリマー鎖を形成し、次いで、それらを架橋してインジケーターシステムを形成できる。
【0027】
本発明のインジケーターシステムに対して多くの用途が存在し、それにはエネルギー、医療および農業の分野におけるインジケーターとしての用途がある。たとえば、血中または尿中のグルコースの下位レベル(sub-level)または上位レベル(supra-level)を検出するためのインジケーター分子としてインジケーターシステムを使用でき、したがって、糖尿病や副腎皮質機能不全のような疾病を診断またはモニターするための価値ある情報を与えることができる。二種の認識要素を有する本発明のインジケーターシステムは、潜在的に影響を与える量のα−ヒドロキシ酸やβ−ジケトンも含有する溶液中のグルコースを検出するために特に有用である(同時継続特許出願番号09/754,217, 2001年1月5日出願; 60/329,746,2001年10月18日出願; および60/269,887 , 2001年2月21日出願, 発明の名称"Detection of Glucose in Solutions Also Containing An Alpha-Hydroxy Acid or a Beta-Diketone"を参照、 参照として含める)。ヒト治療用途用のグルコースの医薬/薬学生成はモニターおよびコントロールを必要とする。
【0028】
農業の本発明のための用途は、大豆やその他の農業産品のようなアナライトの検出レベルを含む。グルコースは、ワインのような高価値製品のための重要な収穫決定に注意深くモニターしなければならない。グルコースはもっとも高価な炭素源および発酵プロセスの供給源であるので、最適な反応器供給速度制御のためのグルコースモニターは強力なアルコール生産に重要である。反応器混合およびグルコース濃度の制御もソフトドリンクおよび発酵飲料の製造中品質管理に重要であり、これらの製造は国際的にもっとも大量のグルコースおよび発酵可能な(シス−ジオール)砂糖を消費する。
【0029】
検出システムが蛍光インジケーター置換物を組み入れるとき、本発明の検出システムシステムの使用をできる種々の検出技術も当業界で公知である。たとえば、本発明のシステムを蛍光センサーデバイスに使用でき(たとえば、米国特許第5,517,313号)または視覚的検査のための試験紙のようなポリマー物質に結合できる。この後者の技術により、たとえば、リトマス試験紙片を用いるpH決定に類似の方法でグルコース測定が可能である。本明細書中で記載したシステムは、島津、日立、Jasco、 Beckmanおよびその他により製造される分光蛍光計や臨床分析器のような標準的な卓上分析装置における単純試薬としても利用できる。これらの分子は、Ocean Optics (Dunedin, Florida)、またはOriel Opticsにより製造される光ファイバー系センサーおよび分析用フルオロメーターのためのアナライト特異的化学/光信号変換(transduction)も与え得る。
【0030】
米国特許第5,517,313号は蛍光センサーデバイスを記載し、当該デバイスにおいて本発明のシステムを液体媒質中のグルコースまたはその他のシス−ジオール化合物のようなアナライトの存在または濃度を決定するのに使用できる(本特許を本明細書に含める)。このセンサーデバイスは、蛍光インジケーターシステム含有マトリックス(以下、「蛍光マトリックス"fluorescent matrix")」、高域フィルターおよび光検出器の層状アレイを含む。このデバイスでは、光源、好ましくは発光ダイオード(light-emitting diode "LED")は、光源から入射光が、インジケーターシステムが蛍光を発光するにように、インジケーター物質内またはの少なくとも部分的に配置されるか、インジケーターマトリックスが配置される導波管中の少なくとも部分的に配置する。高域フィルターは発光光が光検出器に到達できるようにする、一方、光源からの散乱した入射光を除く。
【0031】
米国特許第5,517,313号に記載されているデバイスで使用されるインジケーター分子の蛍光性を、たとえば、グルコースまたはその他のシス−ジオール化合物のようなアナライトの局所存在により減衰または増幅等の調節をする。
【0032】
米国特許第5,517,313号に記載されているセンサーでは、インジケーターを含有する物質がアナライトに透過性である。こうして、アナライトは取り囲む試験媒質からこの物質中に分散でき、それにより、インジケーターシステムにより発光した蛍光性に影響を及ぼす。光源(インジケーターシステム含有物質)、高域フィルターおよび光検出器は、インジケーターシステムにより発光した蛍光の少なくとも一部が光検出器に影響を与え、取り囲む媒質中のアナライト(たとえば、グルコース)の濃度を表示する電気信号を発生するように配置されている。
【0033】
本発明のインジケーターシステムを使用するためのその他の可能性のある実施態様では、米国特許第5,910,661号、第 5,917,605号および第5,894,351号にセンサーデバイスが記載されている(これらすべてを参照として本明細書に含める)。
【0034】
本発明のシステムは、たとえば、インビボでアナライトを連続的にモニター(血中グルコースレベル等)するために移植可能なデバイスにも使用できる。1999年8月26日出願の同時継続米国特許出願第09/383,148号、ならびに米国特許第5,833,603号、第6,002,954号および第6,011,984号に適当なデバイスが記載されている(すべてを参照として本明細書に含める)。
【0035】
本発明のシステムは過度な量の実験をすることなく、容易に知ることのできる反応メカニズムおよび試薬(下記する一般的な手順と矛盾しない反応メカニズムを含む)を使用して当業者により調製できる。
【0036】
(実施例1)
【0037】
【化2】
【0038】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]-アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)
グルコース研究で使用される遊離ビスボロン酸生成物が、MeOH/PBSバッファー系中でN-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドの分解(dissolution)よりもたらされる。
【0039】
【化3】
【0040】
N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド
45 mL EtOH中の4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(10.0 g, 36.1 ミリモル) およびアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール(4.81 g、5.26 mL、36.1 ミリモル、1 等量)の懸濁液を3日間45℃で攪拌した。この時点で、得られた懸濁液を濾過し、EtOHで洗浄し、残渣を乾燥すると13.3 g (94%)の淡褐色固体生成物を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、98/2 CH2Cl2/CH3OHでRf 値0.17、UV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、 0.050 mL インジェクション、0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、 360 nm 検出、 A = 水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、 10-80% B 18 分以上、 80-100% B 2 分以上、 100 %B 2 分、保持時間24.2 分。
【0041】
【化4】
【0042】
N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
8 mL NMP中のN-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド (0.797 g、 2.03 ミリモル)およびn-ブチルアミン (1.48 g、 2.00 mL、 20.2 ミリモル、 9.96 等量)の溶液を66時間45℃で加熱した。この時点で、得られた懸濁液を25℃に冷却して次いで濾過した。残渣を50mLのエーテルで溶解し、水50mLで3回抽出した。有機抽出物を無水Na2SO4上で乾燥させ、黄色の粗粉末を得た。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(25 g 重力等級ゲル(gravity grade gel)、0-1% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、0.639 g (82%)の黄色粉末を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.71、 UV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム, 0.050 mL インジェクション、 0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、 450 nm 検出、 A =水 (0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、 10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2 分、保持時間23.5 分。
【0043】
【化5】
【0044】
N-(2-オキソエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
25 mLアセトン中N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (0.622 g、1.62 ミリモル)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(0.010 g、0.053ミリモル、 0.032 等量)の溶液を25℃で18時間攪拌した。この時点で、溶液を濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(25 g 重力等級ゲル、 0-1% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、0.470 g (94%)の橙色固体を得た。
TLC: Merck シリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でのRf値0.61 、UV (254/366)で観察
1H NMR (400 MHz, CDCl3); δ1.03 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.53 (m, 2H), 1.78 (m, 2H), 3.38 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 5.02 (s, 2H), 6.64 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.52 (dd, 1H, J = 7.4, 8.3 Hz), 8.08 (dd, 1H, J = 1 Hz, 8.5 Hz), 8.38 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 8.46 (dd, 1 H, J = 1.0, 7.3 Hz), 9.75 (s, 1H)
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.050 mLインジェクション、0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、450 nm 検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、10-80% B 18 分以上、 80-100% B 2 分以上、100 %B 2 分、保持時間19.6分。
【0045】
【化6】
【0046】
N-(4-ジメチルアミノベンジル)-1,6-ジアミノヘキサン
20 mL無水EtOHの4-ジメチルアミノベンズアルデヒド(1.00 g、6.70 ミリモル)、Na2SO4(6.70 g、47.2 ミリモル、7.04等量)および1,6-ジアミノヘキサン (3.89 g、33.5ミリモル、 5.00 等量)の懸濁液を暗所25℃で窒素ガス雰囲気下18時間攪拌した。この時点で、溶液を濾過し、濾液にNaBH4(1.73 g、45.8 ミリモル、6.84等量)を加えた。懸濁液を25℃で5時間攪拌した。この時点で反応混合物を濃縮し、残留物を50mLの水に溶解し、50mLエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を50mLの水で2回洗った。合わせた水性抽出物を50mLエーテルで2回抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して1.35 g (81%)の粘性の油状物を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、 80/15/5 CH2Cl2/CH3OH/iPrNH2でRf値 0.58、ニンヒドリン染色で観察、UV (254/366)
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、 0.050 mL インジェクション、0.75 mL/分、, 1.5 mL インジェクションループ、 280 nm 検出、 A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、 10-80% B 18 分以上、80-100% B 2 分以上、100 %B 2分、保持時間13.3分。
【0047】
【化7】
【0048】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)アミノヘキシル]アミノエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
25 mL無水MeOH中のN-(2-オキソエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(0.346 g, 1.11 ミリモル)の懸濁液に、20 mL無水MeOH中のN-(4-ジメチルアミノベンジル)-1,6-ジアミノヘキサン (0.554 g、2.22ミリモル、2.00等量)および酢酸(0.067 g、1.1ミリモル、1.0等量)の溶液を加えた。この混合物に5 mL無水MeOH中のNaCNBH3(0.070 g、 1.1 ミリモル、1.0等量)を加えた。反応混合物を25℃で15時間攪拌した。この時点で、ロータリーエバポレーターによりMeOHを除去し、残留物を30mLの水に溶解した。溶液を1 N HClでpH 2に調整し、次いで、1時間25℃で攪拌した。この時点で、溶液を1 N NaOHでpH 12に調整し、次いで、50 mL CH2Cl2で3回抽出した。合わせた有機抽出物を50 mLの水で3回洗い、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して褐色粗油状物を得た。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(35 g フラッシュ等級ゲル(flash grade gel), 0-50% CH3OH/CH2Cl2、次いで45/50/5 CH3OH/CH2Cl2/iPrNH2)によりジアミン生成物の精製した。
FAB MS: C33H45N5O2の計算値 [M]+544; 実測値 [M]+544
TLC: Merck シリカゲル60プレート、 80/20 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.42 、ニンヒドリン染色およびUV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、 0.050 mLインジェクション、 0.75 mL/分、 1.5 mL インジェクションループ、 450 nm 検出、 A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2分、10-80% B18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間17.6分。
【0049】
【化8】
【0050】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
5 mL CHCl3中のN-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)アミノヘキシル]アミノエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (0.150 g、 0.276ミリモル)およびDIEA (0.355 g、 0.478 mL, 2.81ミリモル、 10.0 等量)の溶液に2 mL CHCl3中の(2-ブロモメチルフェニル)ボロン酸ネオペンチルエステル(0.390 g、 1.38ミリモル、5.00等量)の溶液を加えた。次いで、溶液を25℃で27時間攪拌した。この時点で、混合物を濃縮し、残留物をアルミナカラムクロマトグラフィー(100 g 活性化中性アルミナ、0-5% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、0.024 g (19%)の粘性褐色油状物を得た。
FAB MS (グリセリンマトリックス): 計算値C53H67B2N5O8[M]+924 (ボロン酸のビスネオペンチルエステルの適所にあるビスグリセリン); 実測値 [M]+924
TLC: Merck中性アルミナプレート、 80/20 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.62、 UV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、 0.050 mL インジェクション、 0.75 mL/分、 1.5 mL インジェクションループ、 450 nm 検出、A = 水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2分、10-80% B 18 分以上、80-100% B 2分以上、 100% B 2 分、保持時間 20.7分。
【0051】
nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネート:
【0052】
【化9】
【0053】
N-2-[4-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノメチル]ベンジル-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネート)
本化合物は、ジアミン結合相手として1-[N-(4-ジメチルアミノベンジル)アミノ]メチル-4-アミノメチルベンゼンを使用して、N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]-アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF-ヘキサ-Q-ビス ボロネート)と同様の方法で調製した。
【0054】
コントロールインジケーター分子:
nBuFモノ−ボロネート:
【0055】
【化10】
【0056】
N-2-(カルボキシメチル)-2-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF モノ−ボロネート)
【0057】
【化11】
【0058】
N-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド
20 mL EtOH中の4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(1.00 g, 3.61ミリモル) およびN-(tert-ブトキシカルボニル)-1,2-ジアミノエタン(0.578 g, 3.61ミリモル、1.00等量)の懸濁液を45℃で2時間攪拌した。この時点で、温度を15分間にわたって150℃に上げた。続いて、反応混合物を25℃に冷却し、さらに15時間攪拌した。この時点で、得られた懸濁液を濾過し、EtOHで洗浄し、残渣を乾燥して1.03 g (68%)の淡褐色固体生成物を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでRf値0.63、UV (254/366)で観察。
【0059】
【化12】
【0060】
N-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-,ナフタルイミド
5 mL NMP中のN-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド(0.900 g、 2.15ミリモル) およびn-ブチルアミン(0.786 g、 1.06 mL、10.7ミリモル、5.01等量)の溶液を45℃で17時間加熱した。その時点で、第二部分のn-ブチルアミン(0.786 g、1.06 mL、10.7ミリモル、5.01 等量)を加えた。得られた溶液を25℃で23時間より長く攪拌した。その点で、この混合物を真空内で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(50 g 重力等級ゲル、0%、次いで、4% CH3OH/CH2Cl2ステップグラジエント)により精製して0.97 gの粘着性の黄色固体(残留NMPを含有)を得た。得られた物質をそのまま続けた。
FAB MS: C23H29N3O4ついての計算値 [M]+411; 実測値[M]+411
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでRf値 0.5 、 UV (254/366)で観察。
【0061】
【化13】
【0062】
N-2-アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドモノTFA 塩
20 mL の20%トリフルオロ酢酸/CH2Cl2中のN-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド(0.92 g、2.24ミリモル)を25℃で19時間攪拌した。この時点で、反応混合物を窒素ガス流下濃縮した。残留物を、エーテルを使用して摩砕して粉末化し、得られた固体を真空下乾燥して0.772 g (81%)の橙色の粉末を得た。
FAB MS: C18H21N3O2について計算値[M]+311; 実測値[M + 1]+312
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Vydac 201TP 10 x 250 mm カラム、0.100 mL インジェクション、2 mL/分、450 nm 検出、 A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間19.5分。
【0063】
【化14】
【0064】
N-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
2.5 mL のCH2Cl2中のN-2-アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドモノTFA塩(0.99 g、0.23ミリモル)、DIEA (0.167 g、0.225 mL、1.29 ミリモル、5.55等量)およびtert-ブチルブロモアセテート(0.032 g、0.024 mL、0.16 ミリモル、0.70等量)を25℃で23時間攪拌した。この時点で、25 mL CH2Cl2を加え、溶液を25 mL飽和NaHCO3で1回洗浄し、有機抽出物を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(15 g重力等級ゲル、0%-4% CH3OH/CH2Cl2)で精製し、0.051 g (73%)黄色ガラス質の固体を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.27 、 UV (254/366)で観察。
【0065】
【化15】
【0066】
N-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]-2-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチルl-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
10 mL CH2Cl2中のN-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]-アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (0.0.051 g、 0.0.12ミリモル), DIEA (0.78 g、0.11 mL、 0.60ミリモル、5.0等量)および(2-ブロモエチルフェニル)ボロン酸ネロペエンチルエステル(0.083 g、0.29ミリモル、2.4等量)を25℃で72時間撹拌した。この時点で、混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(10 g 重力等級ゲル、0-1% CH3OH/CH2Cl2)で精製し、0.035 g (47%)ガラス質橙色の固体を得た。この生成物は同様に行う。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHで Rf値 0.39、UV (254/366)で観察。
【0067】
【化16】
【0068】
N-2-(カルボキシメチル)-2-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF モノ-ボロネート)
5 mLの20% TFA/CH2Cl2中 N-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]-2-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(0.035 g、0.056ミリモル)を25℃で16時間撹拌した。この時点で、溶液を窒素ガス流下濃縮し、残留物をエーテルで摩砕して粉末化し、橙色の固体を得た。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(8 g 重量等級ゲル、0-5% CH3OH/CH2Cl2)により精製して0.011 g (39%)の黄色/橙色の固体を得た。
FAB MS:C30H34BN3O7についての計算値[M]+559 (モノグリセリンアダクト); 実測値[M+1]+560
TLC: Merck シリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でのRf値 0.26、UV (254/366)で観察。
【0069】
蛍光の調節
本実施例で調製した三化合物の蛍光性についてグルコースによる調節を決定した。図1は、0-20ミリモルグルコースを含有する70/30 MeOH/PBS中の nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート("ヘキサ-Q")インジケーター(0.015ミリモル)、nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネート("キシレンQ")インジケーター(0.049ミリモル)およびnBuF モノ-ボロネートコントロールインジケーター (0.029 mM)溶液の標準化した蛍光発光(535 nm におけるI/Io)を示す。Shimadzu RF-5301スペクトロフルオロメーターを使用して450 nmで励起; 1.5 nmの励起スリット; 1.5 nmの発光スリット;周囲温度で記録した。エラーバーは各データポイントについて三回の値の標準偏差である。
【0070】
データは、nBuF モノ-ボロネートインジケーター化合物がグルコースの存在によって影響を受けないということを示す。nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネートインジケーター化合物の蛍光はグルコースの存在によりわずかに影響を受け、nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネートインジケーター化合物の蛍光はグルコースにより0〜5ミリモルの範囲内で大きく影響される。グルコースの不存在下で、ヘキサ-Q化合物中の相対的に融通性のあるヘキサメチレン結合が、N-4-ジメチルアミノベンジル消光性基をしてナフタルアミド蛍光体成分に充分に接近して効率的に後者の蛍光を消光出来るようにすると思われる。グルコースの存在下で、両方のボロン酸認識要素がグルコース結合中に関与することが期待され、インジケーターの分子形態を変化させ、蛍光体成分と消光体成分を蛍光発光が脱消光するように十分に分離する。同じ作用がキシレン-Q化合物を用いて見られるが、キシレンリンカーの融通性が低いのでより程度が低く、したがって、グルコース結合時に蛍光体成分および消光体成分間で低い分離が許される。
【0071】
コントロール化合物は蛍光体基を含むが消光体成分を含まない。グルコースの不存在下でコントロールは蛍光を発し、グルコースが加えられたとき調節されない。
(実施例2)
【0072】
【化17】
【0073】
【化18】
【0074】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]-アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ-1,8-ナフタルイミド (アミノエトキシF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)
この化合物はN-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)と同様の方法で調製したが、次の点を修正した。1,8-ナフタルイミド成分の4-ブロモ位を、ジアミン中間体のビスベンジルボロン化が完了した後まで2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ基に変換しなかった。この最終工程を、N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドの合成におけるブチルアミンの添加についてと類似の条件下で、2,2'-(エチレンジオキシ)ビス (エチルアミン)のブロミドへの添加により行った。
【0075】
アミノエトキシF-ヘキサ-Cビス-ボロネート:
【0076】
【化19】
【0077】
N-2-[5-ベンジル-5-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ-1,8-ナフタルイミド(アミノエトキシF-ヘキサ-Cビス-ボロネート)
この化合物をジアミンカップリング相手としてN-ベンジル-1,6-ジアミノヘキサンを使用して、N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ-1,8-ナフタルイミド(アミノエトキシF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)に類似の方法で調製した。
【0078】
蛍光の調節
本実施例で調製した二化合物の蛍光性についてグルコースによる調節を決定した。図2は、0-20ミリモルグルコースを含有する70/30 MeOH/PBS中の アミノエトキシF-ヘキサ-Q ビス-ボロネートインジケーター(0.197ミリモル)およびアミノエトキシF-ヘキサ-C-ビスボロネートコントロールインジケーター溶液の標準化した蛍光発光(535 nm におけるI/Io)を示す。Shimadzu RF-5301スペクトロフルオロメーターを使用して450 nmで励起; 1.5 nmの励起スリット; 1.5 nmの発光スリット;周囲温度で記録した。エラーバーは各データポイントについて二回の値の標準偏差である。
【0079】
データは、ヘキサ-C-インジケーター化合物の蛍光性がグルコースの存在によって影響を受けず、ヘキサ-Q-インジケーター化合物の蛍光性がグルコースにより0〜10ミリモルの範囲内で大きく影響される。グルコースの不存在下で、ヘキサ-Q化合物中の相対的に融通性のあるヘキサメチレン結合が、N-4-ジメチルアミノベンジル消光基をしてナフタルアミド蛍光体成分に充分に接近して効率的に後者の蛍光を消光出来るようにすると思われる。グルコースの存在下で、両方のボロン酸認識要素がグルコース結合に関与することが予期され、インジケーターの分子形態を変化させ、蛍光体成分と消光体成分を蛍光発光が脱消光するように十分に分離する。
【0080】
ヘキサC-化合物はヘキサ-Q化合物と同一であるが、ナフタルイミド蛍光体成分の効率的な消光に必要とされるジメチルアミノ基を欠く。ヘキサ-C化合物はグルコースの不存在下で蛍光を発し、グルコースが加えられるとき調節されない。
【0081】
* * *
下記の実施例3〜5は、インジケーターシステムがボロン酸認識要素およびカテコールリガンド要素を含む場合のグルコースセンサー性接近を例証する。この接近の一般原理を下記の式により例証する。
【0082】
【化20】
【0083】
ここで、
・ドナーは蛍光体成分であり、アクセプターは蛍光体成分又は消光体成分である;
・ドナーおよびアクセプターは、ドナーからのエネルギーが分子距離依存方式でアクセプターに移動できるように選択される;
・L1、L2、L3,、および L4は独立して約3〜約20個の近接原子と化学リンカーであり、次の置換されたまたは/および無置換化学基(脂肪族、芳香族、アミノ、アミド、スルホ、カルボニル、ケトン、スルホンアミド等)により成るが、これらに限定されない;
・Rは、一または二個のフェニルボロン酸基を含むグルコース認識要素である;
・RRは、Rのフェニルボロン酸誘導体と可逆的なエステル結合を形成できる化学基、例えば、芳香族ジオール(例えば、カテコール)、ラクテート、αヒドロキシ酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコース、ジエタノールアミン、ポリヒドロキシビシナルジオール等(すべて、場合により置換される)である;
・L3-6およびP1-2は任意な基であり、独立して存在できる;
・L5および L6は結合基L1-4について定義した通りの結合基であるか、例えば、アクリルアミド、アクリレート、ポリグリコール、もしくは他の親水ポリマーから成るポリマー鎖である;そして
・P1および P2は親水ポリマーまたは疎水ポリマーである。
【0084】
R および RRが自由溶液(free solution)中で相互作用できるとき、あるいは、親水性ポリマー上に適切に固定化されるとき、ドナーおよびアクセプターは互いに充分に接近して配置され、ドナーからアクセプターへ比較的効率よくエネルギー移動できる(例えば、FRET、衝突エネルギー移動等により)。その溶液にグルコースが添加されると、グルコースがRRとR(ボロネート)の結合について競合してRR-R⇔RR + R平衡において右側にシフトをもたらす。溶液中で自由なときまたはポリマー上で比較的長く柔軟なリンカーを使用して固定されるとき、R-ドナーおよびRR-アクセプター成分は互いに離れることができ、ドナーおよびアクセプター間のエネルギー移動効率は減少し、蛍光発光の増加をもたらす。
【0085】
(実施例3)
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン(消光体-ボロン酸アダクト)の存在下でリン酸バッファー処理生理食塩水中のN-(5-メトキシカルボニル-5-[3,4-ジヒドロキシベンゾアミド]ペンチル)-N'-(5-フルオレシニル)チオウレア(フルオレセイン-カテコールアダクト)の蛍光発光におけるグルコースの影響
【0086】
【化21】
【0087】
【化22】
【0088】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル:
3,4-ジヒドロキシ安息香酸(820 mg, 5.3 ミリモル)およびN-ε-t-BOC-リシンメチルエステル (1.38 g, 5.31 ミリモル)を50 mL EtOAc/THF (1/1,無水)に溶解させた。
【0089】
ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.24 g, 6 ミリモル)を得られた溶液に加えた。反応混合物を24時間攪拌し、濾過し、溶媒を蒸発させた。得られた固体をEtOAc (50 mL)中に溶解させ、リン酸塩バッファー(200 mM, pH=6.5)50 mLで2回抽出した。酢酸エチル溶液をブラインで洗浄し、分離し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させると、1.89 gの固体を得た(収率90%)。TLCにより化合物を精製し、次の工程に使用した。
【0090】
【化23】
【0091】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル(840 mg, 2.12 ミリモル)を10 mLのCH2Cl2、3 mLのトリフルオロ酢酸および1 mLのトリイソプロピルシランと合わせた。室温で一夜攪拌した後、溶液を蒸発させ、得られた残留物をエーテルで洗い、真空下で乾燥させた。収量808 mg (93%)。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、 0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、2 mLインジェクションループ、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間10.78分。
【0092】
【化24】
【0093】
N-(5-メトキシカルボニル-5-[3,4-ジヒドロキシベンゾアミド]ペンチル)-N'-(5-フルオレセニル)チオウレア:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩(60 mg、0.146ミリモル)、フルオレセインイソチオシアナート(50 mg、 0.128ミリモル)、およびジイソプロピルエチルアミン(129 mg、1ミリモル) を1 mLの無水DMFと合わせた。反応物を5時間攪拌し、次いで、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶出液としてCH2Cl2/MeOH (80/20容量基準)を用い、SiO2(10 g)上でクロマトグラフィーに付した。単離生成物- 68 mg, (77 %収率)。
FAB MS: C35H31N3O10S についての計算値: M=685; 実測値M+1=686
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、0.100 mL インジェクション、0.75 mL/分、2 mL インジェクションループ、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間16.59分。
【0094】
【化25】
【0095】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル:
(3-カルボキシ-5-ニトロフェニル)ボロン酸(536mg、2.54ミリモル)、N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル塩酸塩(776mg、2.61ミリモル)、およびジフェニルホスホリルアジド(718mg、2.6ミリモル)を5mLの無水DMFと合わせた。ジイソプロピルエチルアミン(1.3mL、7.5ミリモル)をDMF溶液に加えた。得られた溶液を室温で24時間攪拌した。DMFを真空中で蒸発させ、残留物を50 mLのEtOAcに溶解させ、EtOAc溶液をH2O(3x 50 mL)で抽出した。ブラインで抽出した後、有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させて880 mgの生成物(収率76%)を生成した。生成物をそのまま使用した。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、 0.050mLインジェクション、0.75 mL/分、1.5 mLインジェクションループ、450nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB=MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2 分、保持時間17.87分。
【0096】
【化26】
【0097】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩:
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル(800mg、1.76ミリモル)を10 mLのCH2Cl2、3 mLのトリフルオロ酢酸、および1 mL のトリイソプロピルシランと合わせた。一夜室温で攪拌後、溶液を蒸発させ、得られた残留物をエーテルで洗い、真空下で乾燥させた。収量715 mg (87%)。生成物をそのまま使用した。
【0098】
【化27】
【0099】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンメチルエステル
25℃の3 mL DMF中のN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.198 g、0.42ミリモル)、DIEA (0.167 g、0.225mL、1.29ミリモル、3.05等量 )、4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ安息香酸(0.120 g、0.47ミリモル、1.11等量)およびジフェニルホスホリルアジド(0.130 g、0.47ミリモル、1.11等量)溶液を23時間、暗所で攪拌した。この時点で、50 mL EtOAcを加え、得られた溶液を20 mLの 100 mM リン酸塩バッファー(pH 6.5)中で2回洗い、次いで、25 mL NaCl (飽和水溶液)で1回洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を乾燥させ、濾過し、濃縮して橙色の粗固体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10 g 重力等級ゲル、0-5% CH3OH/CH2Cl2)により残渣を精製し、0.0974 g (39%)の黄橙色固体を得た。生成物をそのまま使用した。
TLC: Merck シリカゲル60プレート、 80/20 CH2Cl2/CH3OHでRf値0.60、UV (254/366)で観察。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.050 mLインジェクション、0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、450 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間18.91分。
【0100】
【化28】
【0101】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン
4 mL の1:1 Na2CO3(0.2 M水溶液):EtOH中のN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンメチルエステル(0.095 g、0.16ミリモル)溶液を25℃で1時間攪拌し、次いで、45℃で1.5時間攪拌した。この時点で、得られた混合物を真空中で濃縮し、次いで、25 mL の5 % TFA/CH2Cl2を加えた。混合物を10 mLの水で2回洗浄し、次いで、さらに25 mL の5% TFA/CH2Cl2を有機層に加えた。有機抽出物を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、0.088 g (95%)の橙色粉末を得た。
FAB MS:グリセリンマトリックス; C25H29BN6013(モノグリセリンアダクト)計算値 [M]+632; 実測値 [M + 1]+633
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.050 mLインジェクション、0.75 mL/分、 1.5 mLインジェクションループ、450 nm検出、 A = 水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間17.66分。
【0102】
蛍光性調節
図3は、30μMの消光体−ボロン酸アダクトを含有するPBS中のフルオレセイン−カテコールアダクトの2μM溶液の蛍光発光(518 nmにおけるI)を示す。グルコースの濃度は0-160 mMの間で変動した。Shimadzu RF-5301 スペクトロフルオロメーターを使用して495 nmで励起; 3nmの励起スリット; 5 nmの発光スリット; 低PMT感度; 周囲温度でスペクトルを記録した。グルコースの添加で消光性が減少した。
【0103】
(実施例4)
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイル-リシン(消光体-ボロン酸アダクト)の存在下でリン酸塩バッファー生理食塩水中のN-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルフォニル)-リシン(DANSYL-カテコールアダクト)の蛍光発光におけるグルコースの影響
【0104】
【化29】
【0105】
【化30】
【0106】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-スルフォニル)-リシンメチルエステル:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩(205 mg, 0.5ミリモル,合成について実施例3を参照)およびDANSYL 塩化物(162 mg, 06ミリモル)を2 mLの無水DMFと合わせた。ジイソプロピルエチルアミン(224 mg, 1.7ミリモル)をDMF溶液に加えた。得られた溶液を室温で5時間攪拌し、次いで、真空下DMFを蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH, 98/2容量基準)に付した。黄色固体として生成物を得た。 240 mg (90 % 収率)
FAB MS: C29H31N3O7Sについて計算値: M=529; 実測値M+1=530
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、 2 mL インジェクションループ、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間15.45分。
【0107】
【化31】
【0108】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシンメチルエステル (200 mg、0.38ミリモル)および250 mgのNa2CO3を10 mLの EtOH/H2O (1/1容量基準)と合わせた。混合物を55℃で6時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、1 mLのトリフルオロ酢酸を加えて過剰の塩基を中和し、50 mLのEtOAcを混合物に加え、溶液をH2O (2x40 mL)で抽出した。有機相を分離させ、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて190 mg の固体を得た(収率97 %)。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.100 mL インジェクション、0.75 mL/分、2 mLインジェクションループ、370 nm検出、 A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、 100% B 2分、保持時間14.26分。
【0109】
【化32】
【0110】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン
合成について実施例3について参照。
【0111】
蛍光性調節
表4は、120 μM消光体−ボロン酸アダクトを含有するPBS中のDANSYL-カテコールアダクトの30μMの蛍光発光(545 nmにおけるI)を示す。グルコースの濃度を0-120 mMに変動させた。スペクトルを、350 nmで励起; 3 nmにおける励起スリット; 5 nmにおける発光スリット; 高PMT 感度のShimadzu RF-5301蛍光光度計を使用して周囲温度で記録した。
【0112】
(実施例5)
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン N-3-(メチルアクリルアミド)プロピルカルボキサミド (DANSYL-カテコールモノマー)およびN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド(消光体-ボロン酸モノマー)
【0113】
【化33】
【0114】
【化34】
【0115】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン N-3-(メチルアクリルアミド)-プロピルカルボキサミド:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン(75 mg、0.15ミリモル;合成については実施例4を参照)、3-アミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩(30 mg、0.17ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン(0.1 mL、0.5ミリモル)、および2 mLの無水DMFを合わせた。2 mLの無水CH2Cl2中に1-[3-(ジメチルアミノ)-プロピル]-3-エチルカルボジイミドエチルカルボジイミド塩酸塩(40mg、0.2ミリモル)を溶解させた。DMFおよびCH2Cl2溶液を合わせ、室温で20分間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、SiO2(7 g)クロマトグラフィーに付し、18 mgの生成物(収率19 %)を生成した。
FAB MS: C32H41N5O7Sについて計算値: M=640; 実測値M+=640
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、2 mL インジェクションループ、370 nm検出、A = 水 (0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間14.78分。
【0116】
【化35】
【0117】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド
1 mL 無水DMF中の3-アミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩(0.013 g、0.073ミリモル、1.2等量)、DIEA (0.025 g、0.034 mL、0.19ミリモル、3.2等量)、N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン(0.035 g、0.061ミリモル;合成については実施例3を参照)、ジフェニルホスホリルアジド(0.019 g、0.015 mL、0.069 ミリモル、1.1等量)および2 mgまでのBHT溶液を25℃で23.5時間暗所で攪拌した。この時点で、 60 mL EtOAcを加え、得られた溶液を2 x 20 mL 部の 200 mMリン酸塩バッファー(pH 6.5)で洗い、次いで、1 x 20 mL NaCl (飽和水溶液)で洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を乾燥させ、濾過し、濃縮して橙色固体を得た。この固体をエーテルで摩砕して粉末化し、乾燥して0.028 g (65%)橙色粉末を得た。
FAB MS: グリセリンマトリックス; C32H41BN8013について計算値(モノグリセリンアダクト) [M]+756; 実測値 [M + 1]+757
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、0.050 mLインジェクション、 0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、450 nm 検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、 80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間17.98分。
【0118】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルフォニル)リシンN-3-(メチルアクリルアミド)プロピルカルボキサミドおよびN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミドを含有するアクリルアミドゲル(20%)の製造
エチレングリコール中のアクリルアミド(20% wt)およびN,N'-メチレンビスアクリルアミド(0.6% wt)溶液を調製した。N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルフォニル)-リシン N-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド(0.75 mg、 1.6 x 10-6モル)、 N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド(3.5 mg、5 x 10-6モル)、および30μLの過硫酸アンモニウム水溶液 (5% wt)を0.5 mLのエチレングリコールモノマー溶液を合わせた。得られた溶液を窒素でパージしたグローブボックスに入れた。N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン (30μL、 5重量%)をモノマー配合物に加え、重合反応を促進させた。得られた配合物を顕微鏡用スライドおよび100μステンレススチールスペーサーから構成されたモールド中に注いだ。窒素雰囲気下に8時間維持した後、モールドをリン酸塩バッファー生理食塩液(phosphate buffered saline:PBS) (10 mM PBS、 pH=7.4)中に入れ、顕微鏡スライドを分離し、ヒドロゲルを除去した。1 mM ラウリル硫酸ナトリウム塩および1 mM EDTA ナトリウム塩を含有する100 mL の PBSで3日間洗浄し、毎日溶液を交換し、次いで、DMF/PBS (10/90容量、 3 x 100 mL)で洗い、最後にPBS (pH=7.4、 3 x 100 mL)で洗った。得られたヒドロゲルポリマーを0.2重量% wtナトリウムアジドおよび1 mM EDTAナトリウム塩を含有するPBS (10 mM PBS、 pH=7.4)中に貯蔵した。
【0119】
蛍光性調節
図5は、PBS中の2 mMのDANSYL-カテコールモノマーおよび10 mM の消光体-ボロン酸モノマーを含有するアクリルアミドゲル(20%)の蛍光発光(532 nmにおけるI)を示す。PMMAキュベット中にゲル(100μm 厚さ)を載せた。グルコースの濃度を0〜200 mMに変動させた。350 nmで励起;3 nmで励起スリット; 10 nmで発光スリット;高PMT感度のShimadzu RF-5301スペクトルフルオロメーターを使用して37℃のスペクトルを記録した。グルコースの添加で消光性が減少した。
【0120】
(実施例6)
【0121】
【化36】
【0122】
3,4-ジヒドロキシ安息香酸の存在下でグルコースのアントラセンビス−ボロン酸誘導体の蛍光性における影響
PBS可溶性アントラセンビスボロン酸誘導体の製造
【0123】
【化37】
【0124】
9,10-ビス[[2-(tert-ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]-アントラセン
75 mL CHCl3中のβ-アラニンtert-ブチルエステル塩酸塩 (3.06 g、16.8 ミリモル、5.09等量)、DIEA (4.27 g、5.75 mL、 33.0ミリモル、10.00等量)および9,10-ビス(クロロメチル)アントラセン(0.910 g、3.31ミリモル)の溶液を23℃暗所で93時間攪拌した。この時点で、溶液を濾過し、1 x 40 mL および 2 x 60 mL 部のNaHCO3(飽和水溶液)で洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を乾燥し、濾過し、濃縮して粗黄色固体を得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30 g 重量等級ゲル、0-3% CH3OH/CH2Cl2)により精製して1.06 g (65%)の粘性黄橙を得た。生成物をそのまま使用した。
TLC: Merckシリカゲルゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでのRf値0.33、UV (254/366)で観察。
【0125】
【化38】
【0126】
9,10-ビス[N-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]-N-[2-(tert-ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン
30 mL CHCl3中の9,10-ビス[[2-(tert-ブトキシカルボニル)-エチルアミノ]メチル]アントラセン(1.60 g、3.25ミリモル)、DIEA (4.45 g、6.00 mL、34.4 ミリモル、10.6等量)および(2-ブロモメチルフェニル)ボロン酸ネオペンチルエステル(4.80 g、17.0ミリモル、5.22等量)の溶液を23℃暗所で4.5日間攪拌した。この時点で、45 mL CHCl3を混合物に加え、得られた混合物を2 x 25 mL 部のNaHCO3(飽和水溶液)で洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を洗い、濾過し、濃縮して赤みがかった粗油状物を得た。残さをアルミナカラムクロマトグラフィー(100 g 活性化中性アルミナ、0-3% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、〜3.5gの橙色油状物を得た。生成物を溶解し、ついで、白色沈殿物(DIEA-HBr 塩)の形成があった。溶液を濾過し、濾液を濃縮して2.72 g (93%)の橙色固体を得た。生成物(RP-HPLC により>80 %に精製)をそのまま使用した。
TLC: Merck塩基性アルミナプレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでの Rf値0.66、UV (254/366)で観察
HPLC条件: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Vydac 201TP10 x 250mmカラム、0.100 mLインジェクション、2 mL/分、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2 分、保持時間23.9 分。
【0127】
【化39】
【0128】
9,10-ビス[N-(2-ボロノベンジル)-N-[3-(プロパノイル)アミノ]-メチル]アントラセン
5 mL 20% TFA/CH2Cl2中の9,10-ビス[N-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]-N-[2-(tert-ブトキシカルボニル)エチルアミノ]-メチル]アントラセン(0.556 g、0.620ミリモル)溶液を23℃暗所で25時間攪拌した。この時点で、反応混合物を窒素ガス流下で濃縮した。残留物を3 x 10 mL部のエーテルで摩砕して粉末化した。残留した固体を真空中で乾燥させ、0.351g (87%)のふわふわとした黄色粉末を得た。
FAB MS: グリセリンマトリックス; C42H46B2N2010(ビスグリセリンアダクト)計算値 [M]+760;実測値 [M]+760
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.025 mL インジェクション、0.75 mL/分、1.5 mLインジェクションループ、360 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、 10-80% B 18 分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2 分、保持時間16.7 分。
【0129】
蛍光性調節
図6は、本実施例で製造したPBS中のアントラセンビスボロン酸誘導体(40 μM)の蛍光強度(450 nm)における3,4-ジヒドロキシ安息香酸の影響を示す。スペクトルを、励起370 nm; 3 nmにおいて励起スリット; 3 nmの発光スリット; 高PMT感度のShimadzu RF-5301 分光蛍光計を周囲温度で使用して記録した。アントラセンビスボロン酸誘導体は低レベルの蛍光を発光し、3,4-ジヒドロキシ安息香酸の存在で効果的に消光される。
【0130】
図7は、PBS中のグルコース濃度の関数として3,4-ジヒドロキシ安息香酸(200μM)の存在下に本実施例のアントラセンビスボロン酸誘導体(40 μM)の標準化した蛍光性強度(430 nm) (ダイヤ印)およびPBS中のグルコース濃度の関数として同じインジケーター(40 μM)の標準化した蛍光性強度(430 nm)を示す(四角印)。グルコース濃度を0〜25 mMに変動させた。370 nmで励起; 3 nm で励起スリット; 5 nm で発光スリット; 低PMT感度のShimadzu RF-5301分光蛍光計を使用して周囲温度でスペクトルを記録した。3,4-ジヒドロキシ安息香酸消光体の不存在下でアントラセンビスボロン酸誘導体にグルコースを添加すると蛍光性の増加をもたらす。3,4-ジヒドロキシ安息香酸消光体成分の存在下でアントラセンビスボロン酸誘導体にグルコースを添加すると蛍光性の著しい増加をもたらす。それは、ボロン酸認識要素から3,4-ジヒドロキシ安息香酸消光体をグルコースが置き換わり、蛍光性の増加をもたらすと思われる。本実施例では、3,4-ジヒドロキシ安息香酸基が検出システムの消光体部分双方として、そして認識要素と相互作用するリガンド要素として作用する。
【0131】
(実施例7)
【0132】
【化40】
【0133】
A. 1,4-Bis[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチルl]ベンゼン:
テレフタルジカルボキシアルデヒド(0.253 g、1.89ミリモル)、N-t-Boc-ブタンジアミン(0.71 g、 3.77ミリモル)および硫酸ナトリウム(5.5 g、40 ミリモル)を25 mlの無水メタノールと合わせた。得られた混合物を室温で24時間攪拌し、硫酸ナトリウムを濾過して除き、NaBH4(1.5 g、40ミリモル)加えた。4時間後、混合物を100 mlのエーテルで稀釈し、濾過した。溶媒の蒸発後得られた残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付し、溶出剤としてCH2Cl2/MeOH/Et3N (80/15/5 容量 %)を使用した。白色固体として生成物を単離した(0.77 g、86 %収率)。この物質を次の工程に使用した。
【0134】
【化41】
【0135】
B. 1,4-ビス[N-[2-(ピナコラト)ボロノベンジル]-N-[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼン:
2-ブロモメチルフェニルボロン酸、ピナコールエステル(1.4 g、4.7ミリモル)、1,4-ビス[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼン(0.74 g、1.56ミリモル)、およびN,N-ジイソプロピル-N-エチルアミン(1.8 ml、10ミリモル)を20 mlのCH2Cl2に溶解した。得られた溶液を室温で24時間攪拌し、溶媒を蒸発させ、残留物をヘキサン/エーテル(50/50容量、3x10 ml)で洗った。さらに生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、90/10容量、 CH2Cl2/MeOH)により精製した。収量1.18 g (83%)。
【0136】
【化42】
【0137】
C. 1,4-ビス[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩:
1,4-ビス[N-[2-(ピナコラト)ボロノベンジル]-N-[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼン(1.1 g、1.2ミリモル)を20容量% TFA および5 容量%トリイソプロピルシランを含有する20 ml CH2Cl2溶液中に溶解させた。得られた溶液を12時間攪拌し、溶媒を蒸発させ、残留物を高真空下50℃で24時間乾燥させた。定量的に生成物を得た。
FAB MS: C42H64B2N4O4について計算値M+=710 (ビスピナコールエステル)、実測値M+2=712
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、2 mLインジェクションループ、280 nm 検出、A = 水 (0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間14.6分。
【0138】
【化43】
【0139】
D. 3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセンスルホニルクロリド:
3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(1.4 g、3.9 mM)を30 mlのクロロスルホン酸と合わせ、5時間90℃に加熱し、その後、溶液を0℃に冷却し、100 gの氷中に注いだ。氷が溶けた後、溶液をCH2Cl2(3 x 100 ml)で抽出し、メチレンクロリド抽出物を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて、0.87 g の固体を得た(収率66%)。
【0140】
【化44】
【0141】
E. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼントリフルオロ酢酸塩:
3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセンスルホニルクロリド(0.095 g, 0.28ミリモル)を3 mlの無水CH3CN中に溶解させ、5 mlの無水CH3CN中の1,4-ビス[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩(1.06 g、1.37ミリモル)およびN,N-ジイソプロピル-N-エチルアミン(1 ml、5.8ミリモル)溶液に滴加した。4時間攪拌後、溶媒を蒸発させ、残留物を高真空下乾燥させた。残留物を10 mlのCH3CN/TFA (80/20 容量%)に溶解させ、溶媒を再び蒸発させた。残留物に水(10 ml)を加え、フラスコを20分間超音波処理をし、次いで、生成物を含有する茶色固体を濾過した。分取HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 25x100mm NovaPak HR C18カラム、1.00 mLインジェクション、5 mL/分流量、2 mLインジェクションループ、470 nm検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2 分、保持時間18.5分を使用してさらに精製を行った。収量: 198 mg (79%)。MeOH/PBS (1/1、容量)溶液(pH=7.4)中でこの化合物についてD-グルコースとの相互作用を試験し、吸光度スペクトルをモニターすることにより相互作用を評価した。
【0142】
【化45】
【0143】
F. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼン:
1 mlの無水MeOH中に1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]ベンゼントリフルオロ酢酸塩(30 mg、3.34x10-5モル)を溶解させた。メタクリル酸NHSエステル(10 mg、5.46x10-5モル、J. Am. Chem. Soc., 1999, 121(15), 3617にしたがって調製した)を加え、次いで、0.01 mlのEt3Nを加えた。10時間溶液を攪拌した。真空中で溶媒を蒸発させ、固体を水で洗った。RP-HPLC分析は固体中に出発物質が存在しなかったことを示した。得られた固体を真空下乾燥し、ヒドロゲルフィルムに重合するために使用した。
G. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼンを含有するN-N-ジメチルアクリルアミドヒドロゲルフィルムの製造:
DMF中のN,N-ジメチルアクリルアミド(40重量%)およびN,N'-メチレンビスアクリルアミド(0.8重量%)およびD-フルクトース (200 mM)溶液を調製した。上記モノマーとD-フルクトースを含有する0.5 ml の DMF溶液に1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼン(30 mg)を溶解した。この配合物に過硫酸アンモニウム水溶液(20μL、5重量%)を合わせた。得られた溶液を窒素でパージしたグローブボックス中に入れた。N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(20μL、5重量%)水溶液を重合反応を促進させるためにモノマー配合物に加えた。得られた配合物を、顕微鏡用スライドおよび100μM ステンレス鋼スペーサーから構成したモールド中に注いだ。窒素雰囲気中に8時間保持した後、モールドをリン酸塩バッファー生理食塩水(10 mM pi、pH=7.4)中に入れ、顕微鏡用スライドを分離し、ヒドロゲルを取り出した。得られたヒドロゲルを、1 mMラウリル硫酸ナトリウム塩および1 mM EDTA ナトリウム塩を含有するリン酸塩バッファー生理食塩水(PBS) 100 mlで3日間洗浄し、溶液を毎日交換し、次いで、DMF/PBS (10/90 容量基準、 3 x 100 ml)で洗浄し、最後にPBS (pH=7.4、3 x 100 ml)で洗浄した。得られたヒドロゲルポリマーを0.2重量%ナトリウムアジドおよび1 mM EDTAナトリウム塩を含有するPBS (10 mM PBS、pH=7.4)中に保存した。
H. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼンを含有するN,N-ジメチルアクリルアミドゲルの蛍光性および吸光度におけるD-グルコースの影響:
この実験を種々の温度アタッチメントを備えたShimadzu RF-5301 PC スペクトルフルオロメーターで本実験を行った。N,N-ジメチルアクリルアミドヒドロゲルフィルムを45度の角度でPMMA蛍光セル中で接着した一片のガラススライドに付着させた。種々の濃度のD-グルコースを含有するPBS( pH=7.4)溶液でセルを満たした。吸光度と蛍光強度との測定前にセルを37℃で30分間平衡化させた。蛍光強度について測定励起波長を470 nmに設定し、そのスリットは3/3 nmであり、高PMT感度だった。ヒドロゲルフィルムの吸光度スペクトルはHP 8453 装置を使用して測定し、690 nm における吸光度値は各測定のブランク訂正のために使用した。
【0144】
図8〜10に結果を示す。図8は、グルコース濃度を変化させたPBS/メタノール中のインジケーターの吸光度スペクトルを示す。図9は、グルコース濃度を変化させたインジケーターゲルの吸光度の比(A (565 nm)/A (430 nm))を示す。図10は、グルコース濃度を変化させた550 nmにおける標準化蛍光性(I/I0)を示す。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、実施例1で記載された化合物の標準化した蛍光発光(I/Io @ 535 nm)を示す。
【図2】図2は、実施例2で記載された化合物の標準化した蛍光発光(I/Io @ 535 nm)を示す。
【図3】図3は、実施例3で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(518 nm におけるI)を示す。
【図4】図4は、実施例4で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(545 nm におけるI)を示す。
【図5】図5は、実施例5で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(532 nm におけるI)を示す。
【図6】図6は、実施例6で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(450 nm におけるI)を示す。
【図7】図7は、実施例6で記載されたインジケーターシステムの標準化した蛍光発光(430 nm におけるI)を示す。
【図8】図8は、実施例7で記載されたインジケーターシステムの吸収スペクトルを示す。
【図9】図9は、実施例7で記載されたインジケーターシステムの吸収度比(A (565nm)/A (430 nm))スペクトルを示す。
【図10】図10は、実施例7で記載されたインジケーターシステムの550nmにおける標準化した蛍光(I/I0)を示す。
関連出願の相互参照
本出願は、2001年1月5日に出願された出願番号09/754,219の一部継続出願である。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明はアナライトの存在または濃度の検出に関する。さらに詳細には、本発明は、アナライトに対する露出時に分子形態の変化を受けうるインジケーターシステムを用いてアナライトを検出することに関する。形態変化はインジケーターシステムに関連付けられた検出可能な特質に影響を及ぼし、それにより、アナライトの存在または濃度の検出を可能にする。
2.関連技術の記述
米国特許第5,503,770号明細書 (James等)は、グルコースを含む糖類に結合したときに高強度の蛍光を発する蛍光性ボロン酸含有化合物に向けられている。この蛍光性化合物は、蛍光体成分(fluorophore)、少なくとも一つのフェニルボロン酸成分および少なくとも一つのアミン−付与窒素原子(窒素原子は、ボロン酸と分子内で相互作用するようにフェニルボロン酸成分の近くに配置される)を含む分子構造を有する。それにより、このような相互作用は、この化合物が糖類との結合時に蛍光を発生させる。米国特許第5,503,770号明細書は糖類を検出するのに適する化合物を記載する。T. James等, J. Am. Chem. Soc. 117(35):8982-87 (1995)も参照。
【0003】
Nature Biotechnology 16, 49-53 (1998)は分子ビーコン(すなわち、蛍光体成分/消光体成分対で標識したヘアピン型オリゴヌクレオチドプローブ)を利用する対立遺伝子識別に向けられている。ターゲットに結合すると、プローブは内部的に消光した蛍光体成分の蛍光を回復する形態再組織化を受ける。しかし、DNA塩基対化の強さが周囲温度で相対的に高く、そして使用の際に分子ビーコンプローブは大きな形態変化(本質的に180゜)を受けるのに違いないので、その系はリアルタイムで変動するアナライト濃度を継続的に検出するのに容易に使用することができない。
【0004】
当業界において、感度の高いアナライトの存在または濃度を検出でき、広範囲の検出システムにも使用することができ、しかもその濃度が変動しうるアナライトのリアルタイム検出にも使用できるインジケーターシステムの必要性が依然としてある。
【0005】
発明の簡単な概要
一局面では、本発明は試料中のポリヒドロキシルアナライトの存在または濃度の検出法に向けられており、当該方法は、
a)インジケーターシステムに試料を露出すること、ここで、このインジケーターシステムが、
i)前記アナライトと可逆的な様式で共有結合を形成できる第1認識要素、および、A)第1認識要素に結合された前記アナライトに可逆的な様式で共有結合を形成できる第2認識要素、もしくはB)前記アナライトの不存在下で第1認識要素と可逆的な様式で相互作用できるリガンド要素のいずれか、ここで、リガンド要素は場合により認識要素とリガンド要素との相互作用により調節される検出可能な特質を生じさせる標識をさらに含み、前記第1認識要素を含むインジケーターシステムの一部が前記第二認識要素もしくは前記リガンド要素を含有するインジケーターシステムの1部に共有的または非共有的に連結される;と
ii)少なくとも一つのA)前記インジケーターシステムが前記アナライトに露出されると、濃度−依存様式で変化する検出可能な特質を生じさせるドナー/アクセプターシステム、もしくはB)前記標識されたリガンド要素を含む検出システムと
を有する;そして
b)前記検出可能な特質のいずれかの変化を測定し、それにより前記試料中の前記アナライトの存在または濃度を決定することである。
【0006】
別の局面では、本発明は上述の方法を行うためのインジケーターシステムに関する。
発明の詳細な記述
一局面では、本発明は、アナライトと相互作用したときに形態変化を受けるインジケーターシステムを使用するアナライトの存在または濃度を検出する方法を提供する。このインジケーターシステムは、インジケーターシステムが形態変化を受けるときに変化する検出可能な特質を有し、アナライトの存在または濃度の指標である。
【0007】
本発明では多くのアナライトを検出できる。適当なアナライトには、分子アナライト(たとえば、金属イオンや配位結合から構成される金属錯体ではなくて、共有結合から構成される分子として定義される);炭水化物、ポリヒドロキシル化合物、特に、遊離糖(たとえば、グルコース、フルクトース、ラクトース等)および脂質、タンパク質等に結合された糖のようなビシナルヒドロキシ基を持つもの;小分子薬物;ホルモン類;酸素;二酸化炭素;亜鉛、カリウム、水素、炭酸のような種々のイオン等がある。本発明は、特に、小さなアナライト、特に5000ダルトン未満のものを検出するのに適している。
【0008】
一実施態様では、本発明は、検出しようとするアナライトのための少なくとも二種類の認識要素を有するインジケーターシステムを使用して行うことができ、これらの認識要素は、二部位相互作用のできるアナライトとの相互作用時に、インジケーターシステムが形態変化を受けるように配向されている。インジケーターシステムはさらにそれと関連付けられた検出システムを有し、当該システムはインジケーターシステムがアナライトと相互作用するときに変化する検出可能な特質を有する。アナライトと相互作用するとき、認識要素は、アナライトの不存在下の形態と比較して、これらの要素が互いにより近いかまたはより遠いかのいずれかである場合、あるいはこれらの要素が分子運動のそれらの自由度において制限され、その分子運動の自由度が次いで信号に影響を与え得る場合の形態を推定できる。形態におけるその変化は検出可能な特質に変化をもたらすことができる。
【0009】
別の実施態様では、本発明は検出しようとするアナライトのための少なくとも一種の認識要素、ならびにリガンド要素を有するインジケーターシステムを使用して行うことができる。リガンド要素は認識要素と可逆的な相互作用をでき、認識要素との相互作用についてアナライトと競合する。アナライトの不存在下で認識要素およびリガンド要素が相互作用するとき、検出システムは、アナライトが認識要素と相互作用するときより異なる好適な形態もしくは相対配向を有し、認識要素からリガンド要素の置換をもたらす。形態のその変化は検出可能な特質の変化をもたらす。一定の実施態様では、リガンド要素はさらに検出システムの一部であることができる。たとえば、リガンド要素はさらに消光体成分であることができ、アナライトが認識要素と相互作用するときにその作用を取り除く。さらに、リガンド要素は、たとえば、リガンド要素が認識要素と相互作用するか否かに依存して特徴(たとえば、スペクトル様相)が異なる検出可能な標識を含む。
【0010】
上述したいずれかの実施態様に関して、適当な認識要素には、検出しようとするアナライトと好ましくは可逆的に相互作用できる成分がある。用語「相互作用」は、電荷相互作用(charge interactions)、水素結合、共有結合等の広範囲の物理的および化学的相互作用を含むことができることが了解されよう。認識要素(1または複数)とアナライトとの間、およびリガンド要素(存在する場合)と認識要素との間の相互作用が、可逆的な様式で1以上の共有結合の形成であることが特に好適である。この文脈では、好ましくは、共有結合は二つの原子間の結合を意味し、一つの電子が各原子により与えられ、水素結合、イオン結合、および2原子のうちの1つから二つの電子の付与を含む配位結合(coordinative or dative bonding)を排除する。相互作用は相対的に弱く、たとえば、約10-6Mを超える解離定数を持つものが好ましい。数種の適当な認識要素は公知であり、好ましくは、ボロン酸、ボロン酸イオン、亜ヒ酸、亜ヒ酸イオン、テルル酸、テルル酸イオン、ゲルマニウム酸、またはゲルマニウム酸イオン等が好ましく、それらのすべてがグルコースやその他の炭化水素のようなビシナルジオールを認識することが知られている。アナライトがグルコースのとき、ボロン酸がもっとも好適な認識要素である。
【0011】
インジケーターシステムがリガンド要素を含有する場合、このような要素は認識要素と相互作用でき、ターゲットアナライトの動的範囲(dynamic range)に依存してデザインされるべきである。リガンド要素の選択は、上述の指針の範囲内で、アナライトと認識要素とに依存する。好適な実施態様では、アナライトがグルコースのようなビシナルジオールであり、認識要素がボロン酸であり、リガンド要素が好ましくは可逆的様式で認識要素と結合を形成できる成分である(たとえば、エステル結合)。このようなリガンド要素には芳香族ジオール(たとえば、カテコール)、ラクテート、α−ヒドロキシ酸、酒石酸、リンゴ酸、ジエタノールアミン、β−アミノアルコール、グルコース、ポリヒドロキシ化合物、およびビシナルヒドロキシ含有化合物等があり、すべてが場合により置換基を有する。別の実施態様では、リガンド要素は検出システムの一部であることもできる。たとえば、リガンド要素はインジケーターシステムと関連付けられた蛍光体成分の蛍光発光を調節できる。リガンド要素が認識要素と相互作用するとき、たとえば、蛍光体成分を有効に消光することができる場合の形態にある。リガンド要素がアナライトにより認識要素からはずれるときとき、リガンドはもはや蛍光体成分を消光する形態にない(実施例6)。逆の場合は、別の実施態様においても真実である(認識要素と相互作用するとき蛍光体成分と相互作用できない消光体成分)。
【0012】
使用の際、本インジケーターシステムは、好ましくは、本明細書中で記載した形態状態間で動的平衡で存在する。より好ましくは、比較的弱い結合性と高速の相互作用があり、自由アナライト(free analyte)の存在下よりも迅速な平衡を可能にする。結果として、本発明の使用は、好ましくは、広範囲の条件にわたって、リアルタイムのアナライト検出ができる(特に濃度が不安定なアナライトの検出)。本発明は概して本明細書中で記載した方法を実施するのに実質的な温度変化の使用を必要としない。すなわち、本発明の方法は実質的に周囲温度で行うことができ、それはアナライト試料が正常な条件下で見いだされる温度を意味する。周囲温度がアナライトおよびその環境に依存して広範囲に変動しうることが了解される。たとえば、周囲温度には、室温もしくはそれよりも低い温度;インビボ用途で多くの場合約45℃まで;そして約80℃までもしくはそれよりも高い温度(たとえば、一定の発酵用途)等がある。
【0013】
本発明のインジケーターシステムは、アナライトにインジケーターシステムが露出されたときに濃度に依存して変化する検出可能な特質を有する検出システムを含む。検出システムは好ましくはドナー/アクセプターシステムを含み、それは相互作用して信号を与える一対の異なる原子団(group)を意味し、ここで、これらの原子団間の距離の変化が信号の特徴を変化させる。好ましくは、信号は電磁的または電気化学的信号である(たとえば、接近時に異なる電気化学ポテンシャルを与える電荷移動対(charge transfer pair))。
【0014】
多くのこのような特質/システムは公知であり、本発明に使用できる。たとえば、インジケーターシステムは、ルミネッセンス(蛍光または燐光)または化学ルミネッセンス標識、吸光度を基礎とした標識(absorbance based label)等を含むことができ、インジケーターシステムが形態変化を受けるとき、検出可能な特質の変化を受ける。検出システムはドナー成分およびアクセプター成分を含むことができ、各々が、インジケーターシステムがアナライトと相互作用するとき検出可能な変化があるように間隔を空ける。
【0015】
検出可能な特質は、蛍光減衰時間の変化(時間領域もしくは頻度領域測定により決定)、蛍光強度、蛍光異方性もしくは偏光;発光スペクトルのスペクトルシフト;時間−解像異方性減衰(time-resolved anisotropy decay)の変化 (時間領域もしくは頻度領域測定により決定)、吸光度スペクトルの変化のような検出可能なスペクトル変化であることができる。
【0016】
検出システムは蛍光体成分および蛍光体成分の蛍光を消光できる成分を含むことができる。その実施態様では、インジケーターシステムは2方向で構成できる。第一に、アナライトの不存在下で蛍光体成分と消光体成分が、蛍光発光が効果的に消光するように互いに十分に接近して配置されるように構成できる。アナライトとの相互作用時、インジケーターシステムの形態が変化し、蛍光体成分の脱消光(dequenching)ができるのに足る蛍光体成分/消光体成分対の分離をもたらす。あるいは、インジケーターシステムは、アナライトの不存在下で蛍光体成分および消光体成分が、蛍光体成分が蛍光を発することができるように互いに十分に離れて配置されるように構成することができる。アナライトとの相互作用時、インジケーターシステムの形態が変化し、蛍光体成分/消光体成分対を蛍光体成分の消光ができるのに足る接近をもたらす。明細書で使用されているように、蛍光体成分/消光体成分対は、この対の双方の構成員が蛍光体成分(同種または異種のいずれか)を含むことを意図されているが、しかし、インジケーターシステムが消光形態であるとき、一方の蛍光体成分は、近接効果、エネルギー移動等により他成分の蛍光体成分の蛍光性に影響を及ぼす。
【0017】
多くの蛍光体成分/消光体成分対は公知であり、本発明により意図されている。たとえば、DABCYLは、クマリン、EDANS、フルオレセイン、Lucifer 黄色、BODIPYTMEosine、テトラメチルローダミン、Texas RedTM等の多くの蛍光体成分を効果的に消光する。
【0018】
蛍光体成分から発光した蛍光は種々のメカニズムにより消光され得ることが了解される。1つの方法は、蛍光体成分および消光体成分間の光誘導された電子移動を介して消光することによる( Acc. Chem. Res. 1994, 27, 302-308参照、 参照として本明細書に含める)。消光は、重原子効果によりもたらされる内部システム交差または常磁性金属イオンとの相互作用によっても起こり、この場合、消光体成分はヨウ素のような重原子、またはCu+2イオンのような常磁性金属イオンを含むことができる(たとえば、J.Am.Chem.Soc. 1985, 107, 7783-7784,およびJ.Chem.Soc. Faraday Trans., 1992, 88, 2129-2137,双方とも参照として含める)。消光は、Nature Biotechnology, 1998, 16, 49-53に記載されているように蛍光体成分と消光体成分間の基底状態コンプレックス形成によっても起こり得る(参照として含める)。別の消光メカニズムは蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer:FRET)に関連する(たとえば、Meas. Sci. Technol. 10 (1999) 127-136 および JACS 2000, 122, 10466-10467、参照として含める)。
【0019】
本検出システムに有用な成分の別の種類には、分子形態の変化時に吸光度スペクトルが変化するようなもの(Alizarin Red-S等を含む)がある。
本発明に使用するために適当なインジケーターシステムは下記の概略構造のうちの1つを含む化合物である。
【0020】
【化1】
【0021】
(式中、-R1は前記アナライトのための一種以上の認識要素であり;-R2はi)前記アナライトのための一種以上の認識要素、またはii)場合により標識したリガンド要素であり;-D1および D2は共にエネルギードナー/アクセプターシステムを含む検出システムを含み、前記インジケーター分子がアナライトと相互作用するときに濃度に依存して変化する検出可能な特質を有するか、またはD1および D2はR2が標識したリガンド要素であるとき存在しない;-L1およびL2は同じか異なり、生じる相互作用および検出可能な特質変化を可能にするのに足る長さと構造からなる結合基を含み;ZはL1およびL2間の共有結合または非共有結合である。
【0022】
認識要素、リガンド要素、および検出システムについてすでに記述した。結合基L1およびL2は生じる既述相互作用および変化を可能にするのに足る長さと構造とを有する。結合基の正確な種類はインジケーターシステムの他の要素の構造に依存しうることが了解される。結合基は、構造の剛性、分子範囲(molecular distance)、電荷相互作用等について設計することができ、それらは実施例に示すような可逆的アナライト検出システム相互作用を最適化するのに用いることができる。
【0023】
本インジケーターシステムのZ成分は好ましくはL1および L2間の共有結合を表す。インジケーターシステムは単一分子または巨大分子の形体であり得る。
L1およびL2は広範囲の形体をとることができる。たとえば、適当な結合基にはアルキル基、アリール基、ポリアミド基、ポリエーテル基、ポリアミノ基、ポリエステル基およびその組み合わせがあり、すべての基は場合により置換され得る。
【0024】
本発明のインジケーターシステムは、可溶性の場合、直接溶液状で使用できる(所望の場合)。一方、目的の用途で必要な場合、インジケーターシステムは、ガラス、プラスチック、ポリマー物質等のような不溶性表面またはマトリックス上または内に(たとえば、機械的捕捉または共有もしくはイオン結合により)固定化され得る。インジケーターシステムが、たとえば、ポリマー内に捕捉されるとき、捕捉用物質は、好ましくは、アナライトがアナライトおよびインジケーターシステム間で適切な相互作用できるに足る透過性であるべきである。
【0025】
インジケーターシステムが水に難溶性または不溶性で、さらに水性媒質中で検出することが望まれる場合、インジケーターシステムを親水性モノマーと共重合させ、親水性巨大分子を形成することができる(2000年8月4日に出願された同時継続米国特許出願番号09/632,624号に記載、参照として本明細書に含める)。
【0026】
本インジケーターシステムは化学的に多くの形体をとることができることが了解され得る。たとえば、全インジケーターシステムは、比較的小さな寸法の1分子であることができる。あるいは、インジケーターシステムの個々の成分は巨大分子の一部であることができる。後者の場合では、このシステムの諸成分を同じポリマー中に組み入れることができるか、または別の架橋したポリマーと関連付けることができる。たとえば、蛍光体成分/リガンド要素アダクトおよび消光体成分/認識要素アダクトを含有する別のモノマーを共重合してインジケーターシステムポリマーを形成できる(実施例5参照)。あるいは、モノマーを別々に重合させて、別のポリマー鎖を形成し、次いで、それらを架橋してインジケーターシステムを形成できる。
【0027】
本発明のインジケーターシステムに対して多くの用途が存在し、それにはエネルギー、医療および農業の分野におけるインジケーターとしての用途がある。たとえば、血中または尿中のグルコースの下位レベル(sub-level)または上位レベル(supra-level)を検出するためのインジケーター分子としてインジケーターシステムを使用でき、したがって、糖尿病や副腎皮質機能不全のような疾病を診断またはモニターするための価値ある情報を与えることができる。二種の認識要素を有する本発明のインジケーターシステムは、潜在的に影響を与える量のα−ヒドロキシ酸やβ−ジケトンも含有する溶液中のグルコースを検出するために特に有用である(同時継続特許出願番号09/754,217, 2001年1月5日出願; 60/329,746,2001年10月18日出願; および60/269,887 , 2001年2月21日出願, 発明の名称"Detection of Glucose in Solutions Also Containing An Alpha-Hydroxy Acid or a Beta-Diketone"を参照、 参照として含める)。ヒト治療用途用のグルコースの医薬/薬学生成はモニターおよびコントロールを必要とする。
【0028】
農業の本発明のための用途は、大豆やその他の農業産品のようなアナライトの検出レベルを含む。グルコースは、ワインのような高価値製品のための重要な収穫決定に注意深くモニターしなければならない。グルコースはもっとも高価な炭素源および発酵プロセスの供給源であるので、最適な反応器供給速度制御のためのグルコースモニターは強力なアルコール生産に重要である。反応器混合およびグルコース濃度の制御もソフトドリンクおよび発酵飲料の製造中品質管理に重要であり、これらの製造は国際的にもっとも大量のグルコースおよび発酵可能な(シス−ジオール)砂糖を消費する。
【0029】
検出システムが蛍光インジケーター置換物を組み入れるとき、本発明の検出システムシステムの使用をできる種々の検出技術も当業界で公知である。たとえば、本発明のシステムを蛍光センサーデバイスに使用でき(たとえば、米国特許第5,517,313号)または視覚的検査のための試験紙のようなポリマー物質に結合できる。この後者の技術により、たとえば、リトマス試験紙片を用いるpH決定に類似の方法でグルコース測定が可能である。本明細書中で記載したシステムは、島津、日立、Jasco、 Beckmanおよびその他により製造される分光蛍光計や臨床分析器のような標準的な卓上分析装置における単純試薬としても利用できる。これらの分子は、Ocean Optics (Dunedin, Florida)、またはOriel Opticsにより製造される光ファイバー系センサーおよび分析用フルオロメーターのためのアナライト特異的化学/光信号変換(transduction)も与え得る。
【0030】
米国特許第5,517,313号は蛍光センサーデバイスを記載し、当該デバイスにおいて本発明のシステムを液体媒質中のグルコースまたはその他のシス−ジオール化合物のようなアナライトの存在または濃度を決定するのに使用できる(本特許を本明細書に含める)。このセンサーデバイスは、蛍光インジケーターシステム含有マトリックス(以下、「蛍光マトリックス"fluorescent matrix")」、高域フィルターおよび光検出器の層状アレイを含む。このデバイスでは、光源、好ましくは発光ダイオード(light-emitting diode "LED")は、光源から入射光が、インジケーターシステムが蛍光を発光するにように、インジケーター物質内またはの少なくとも部分的に配置されるか、インジケーターマトリックスが配置される導波管中の少なくとも部分的に配置する。高域フィルターは発光光が光検出器に到達できるようにする、一方、光源からの散乱した入射光を除く。
【0031】
米国特許第5,517,313号に記載されているデバイスで使用されるインジケーター分子の蛍光性を、たとえば、グルコースまたはその他のシス−ジオール化合物のようなアナライトの局所存在により減衰または増幅等の調節をする。
【0032】
米国特許第5,517,313号に記載されているセンサーでは、インジケーターを含有する物質がアナライトに透過性である。こうして、アナライトは取り囲む試験媒質からこの物質中に分散でき、それにより、インジケーターシステムにより発光した蛍光性に影響を及ぼす。光源(インジケーターシステム含有物質)、高域フィルターおよび光検出器は、インジケーターシステムにより発光した蛍光の少なくとも一部が光検出器に影響を与え、取り囲む媒質中のアナライト(たとえば、グルコース)の濃度を表示する電気信号を発生するように配置されている。
【0033】
本発明のインジケーターシステムを使用するためのその他の可能性のある実施態様では、米国特許第5,910,661号、第 5,917,605号および第5,894,351号にセンサーデバイスが記載されている(これらすべてを参照として本明細書に含める)。
【0034】
本発明のシステムは、たとえば、インビボでアナライトを連続的にモニター(血中グルコースレベル等)するために移植可能なデバイスにも使用できる。1999年8月26日出願の同時継続米国特許出願第09/383,148号、ならびに米国特許第5,833,603号、第6,002,954号および第6,011,984号に適当なデバイスが記載されている(すべてを参照として本明細書に含める)。
【0035】
本発明のシステムは過度な量の実験をすることなく、容易に知ることのできる反応メカニズムおよび試薬(下記する一般的な手順と矛盾しない反応メカニズムを含む)を使用して当業者により調製できる。
【0036】
(実施例1)
【0037】
【化2】
【0038】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]-アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)
グルコース研究で使用される遊離ビスボロン酸生成物が、MeOH/PBSバッファー系中でN-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドの分解(dissolution)よりもたらされる。
【0039】
【化3】
【0040】
N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド
45 mL EtOH中の4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(10.0 g, 36.1 ミリモル) およびアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール(4.81 g、5.26 mL、36.1 ミリモル、1 等量)の懸濁液を3日間45℃で攪拌した。この時点で、得られた懸濁液を濾過し、EtOHで洗浄し、残渣を乾燥すると13.3 g (94%)の淡褐色固体生成物を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、98/2 CH2Cl2/CH3OHでRf 値0.17、UV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、 0.050 mL インジェクション、0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、 360 nm 検出、 A = 水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、 10-80% B 18 分以上、 80-100% B 2 分以上、 100 %B 2 分、保持時間24.2 分。
【0041】
【化4】
【0042】
N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
8 mL NMP中のN-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド (0.797 g、 2.03 ミリモル)およびn-ブチルアミン (1.48 g、 2.00 mL、 20.2 ミリモル、 9.96 等量)の溶液を66時間45℃で加熱した。この時点で、得られた懸濁液を25℃に冷却して次いで濾過した。残渣を50mLのエーテルで溶解し、水50mLで3回抽出した。有機抽出物を無水Na2SO4上で乾燥させ、黄色の粗粉末を得た。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(25 g 重力等級ゲル(gravity grade gel)、0-1% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、0.639 g (82%)の黄色粉末を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.71、 UV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム, 0.050 mL インジェクション、 0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、 450 nm 検出、 A =水 (0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、 10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2 分、保持時間23.5 分。
【0043】
【化5】
【0044】
N-(2-オキソエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
25 mLアセトン中N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (0.622 g、1.62 ミリモル)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(0.010 g、0.053ミリモル、 0.032 等量)の溶液を25℃で18時間攪拌した。この時点で、溶液を濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(25 g 重力等級ゲル、 0-1% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、0.470 g (94%)の橙色固体を得た。
TLC: Merck シリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でのRf値0.61 、UV (254/366)で観察
1H NMR (400 MHz, CDCl3); δ1.03 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 1.53 (m, 2H), 1.78 (m, 2H), 3.38 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 5.02 (s, 2H), 6.64 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.52 (dd, 1H, J = 7.4, 8.3 Hz), 8.08 (dd, 1H, J = 1 Hz, 8.5 Hz), 8.38 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 8.46 (dd, 1 H, J = 1.0, 7.3 Hz), 9.75 (s, 1H)
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.050 mLインジェクション、0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、450 nm 検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、10-80% B 18 分以上、 80-100% B 2 分以上、100 %B 2 分、保持時間19.6分。
【0045】
【化6】
【0046】
N-(4-ジメチルアミノベンジル)-1,6-ジアミノヘキサン
20 mL無水EtOHの4-ジメチルアミノベンズアルデヒド(1.00 g、6.70 ミリモル)、Na2SO4(6.70 g、47.2 ミリモル、7.04等量)および1,6-ジアミノヘキサン (3.89 g、33.5ミリモル、 5.00 等量)の懸濁液を暗所25℃で窒素ガス雰囲気下18時間攪拌した。この時点で、溶液を濾過し、濾液にNaBH4(1.73 g、45.8 ミリモル、6.84等量)を加えた。懸濁液を25℃で5時間攪拌した。この時点で反応混合物を濃縮し、残留物を50mLの水に溶解し、50mLエーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を50mLの水で2回洗った。合わせた水性抽出物を50mLエーテルで2回抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して1.35 g (81%)の粘性の油状物を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、 80/15/5 CH2Cl2/CH3OH/iPrNH2でRf値 0.58、ニンヒドリン染色で観察、UV (254/366)
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、 0.050 mL インジェクション、0.75 mL/分、, 1.5 mL インジェクションループ、 280 nm 検出、 A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、 10-80% B 18 分以上、80-100% B 2 分以上、100 %B 2分、保持時間13.3分。
【0047】
【化7】
【0048】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)アミノヘキシル]アミノエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
25 mL無水MeOH中のN-(2-オキソエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(0.346 g, 1.11 ミリモル)の懸濁液に、20 mL無水MeOH中のN-(4-ジメチルアミノベンジル)-1,6-ジアミノヘキサン (0.554 g、2.22ミリモル、2.00等量)および酢酸(0.067 g、1.1ミリモル、1.0等量)の溶液を加えた。この混合物に5 mL無水MeOH中のNaCNBH3(0.070 g、 1.1 ミリモル、1.0等量)を加えた。反応混合物を25℃で15時間攪拌した。この時点で、ロータリーエバポレーターによりMeOHを除去し、残留物を30mLの水に溶解した。溶液を1 N HClでpH 2に調整し、次いで、1時間25℃で攪拌した。この時点で、溶液を1 N NaOHでpH 12に調整し、次いで、50 mL CH2Cl2で3回抽出した。合わせた有機抽出物を50 mLの水で3回洗い、無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して褐色粗油状物を得た。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(35 g フラッシュ等級ゲル(flash grade gel), 0-50% CH3OH/CH2Cl2、次いで45/50/5 CH3OH/CH2Cl2/iPrNH2)によりジアミン生成物の精製した。
FAB MS: C33H45N5O2の計算値 [M]+544; 実測値 [M]+544
TLC: Merck シリカゲル60プレート、 80/20 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.42 、ニンヒドリン染色およびUV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、 0.050 mLインジェクション、 0.75 mL/分、 1.5 mL インジェクションループ、 450 nm 検出、 A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2分、10-80% B18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間17.6分。
【0049】
【化8】
【0050】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
5 mL CHCl3中のN-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)アミノヘキシル]アミノエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (0.150 g、 0.276ミリモル)およびDIEA (0.355 g、 0.478 mL, 2.81ミリモル、 10.0 等量)の溶液に2 mL CHCl3中の(2-ブロモメチルフェニル)ボロン酸ネオペンチルエステル(0.390 g、 1.38ミリモル、5.00等量)の溶液を加えた。次いで、溶液を25℃で27時間攪拌した。この時点で、混合物を濃縮し、残留物をアルミナカラムクロマトグラフィー(100 g 活性化中性アルミナ、0-5% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、0.024 g (19%)の粘性褐色油状物を得た。
FAB MS (グリセリンマトリックス): 計算値C53H67B2N5O8[M]+924 (ボロン酸のビスネオペンチルエステルの適所にあるビスグリセリン); 実測値 [M]+924
TLC: Merck中性アルミナプレート、 80/20 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.62、 UV (254/366)で観察
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、 0.050 mL インジェクション、 0.75 mL/分、 1.5 mL インジェクションループ、 450 nm 検出、A = 水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2分、10-80% B 18 分以上、80-100% B 2分以上、 100% B 2 分、保持時間 20.7分。
【0051】
nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネート:
【0052】
【化9】
【0053】
N-2-[4-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノメチル]ベンジル-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネート)
本化合物は、ジアミン結合相手として1-[N-(4-ジメチルアミノベンジル)アミノ]メチル-4-アミノメチルベンゼンを使用して、N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]-アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF-ヘキサ-Q-ビス ボロネート)と同様の方法で調製した。
【0054】
コントロールインジケーター分子:
nBuFモノ−ボロネート:
【0055】
【化10】
【0056】
N-2-(カルボキシメチル)-2-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF モノ−ボロネート)
【0057】
【化11】
【0058】
N-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド
20 mL EtOH中の4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(1.00 g, 3.61ミリモル) およびN-(tert-ブトキシカルボニル)-1,2-ジアミノエタン(0.578 g, 3.61ミリモル、1.00等量)の懸濁液を45℃で2時間攪拌した。この時点で、温度を15分間にわたって150℃に上げた。続いて、反応混合物を25℃に冷却し、さらに15時間攪拌した。この時点で、得られた懸濁液を濾過し、EtOHで洗浄し、残渣を乾燥して1.03 g (68%)の淡褐色固体生成物を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでRf値0.63、UV (254/366)で観察。
【0059】
【化12】
【0060】
N-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-,ナフタルイミド
5 mL NMP中のN-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド(0.900 g、 2.15ミリモル) およびn-ブチルアミン(0.786 g、 1.06 mL、10.7ミリモル、5.01等量)の溶液を45℃で17時間加熱した。その時点で、第二部分のn-ブチルアミン(0.786 g、1.06 mL、10.7ミリモル、5.01 等量)を加えた。得られた溶液を25℃で23時間より長く攪拌した。その点で、この混合物を真空内で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(50 g 重力等級ゲル、0%、次いで、4% CH3OH/CH2Cl2ステップグラジエント)により精製して0.97 gの粘着性の黄色固体(残留NMPを含有)を得た。得られた物質をそのまま続けた。
FAB MS: C23H29N3O4ついての計算値 [M]+411; 実測値[M]+411
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでRf値 0.5 、 UV (254/366)で観察。
【0061】
【化13】
【0062】
N-2-アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドモノTFA 塩
20 mL の20%トリフルオロ酢酸/CH2Cl2中のN-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエチル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド(0.92 g、2.24ミリモル)を25℃で19時間攪拌した。この時点で、反応混合物を窒素ガス流下濃縮した。残留物を、エーテルを使用して摩砕して粉末化し、得られた固体を真空下乾燥して0.772 g (81%)の橙色の粉末を得た。
FAB MS: C18H21N3O2について計算値[M]+311; 実測値[M + 1]+312
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Vydac 201TP 10 x 250 mm カラム、0.100 mL インジェクション、2 mL/分、450 nm 検出、 A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間19.5分。
【0063】
【化14】
【0064】
N-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
2.5 mL のCH2Cl2中のN-2-アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドモノTFA塩(0.99 g、0.23ミリモル)、DIEA (0.167 g、0.225 mL、1.29 ミリモル、5.55等量)およびtert-ブチルブロモアセテート(0.032 g、0.024 mL、0.16 ミリモル、0.70等量)を25℃で23時間攪拌した。この時点で、25 mL CH2Cl2を加え、溶液を25 mL飽和NaHCO3で1回洗浄し、有機抽出物を無水Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(15 g重力等級ゲル、0%-4% CH3OH/CH2Cl2)で精製し、0.051 g (73%)黄色ガラス質の固体を得た。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でRf値 0.27 、 UV (254/366)で観察。
【0065】
【化15】
【0066】
N-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]-2-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチルl-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド
10 mL CH2Cl2中のN-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]-アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド (0.0.051 g、 0.0.12ミリモル), DIEA (0.78 g、0.11 mL、 0.60ミリモル、5.0等量)および(2-ブロモエチルフェニル)ボロン酸ネロペエンチルエステル(0.083 g、0.29ミリモル、2.4等量)を25℃で72時間撹拌した。この時点で、混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(10 g 重力等級ゲル、0-1% CH3OH/CH2Cl2)で精製し、0.035 g (47%)ガラス質橙色の固体を得た。この生成物は同様に行う。
TLC: Merckシリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHで Rf値 0.39、UV (254/366)で観察。
【0067】
【化16】
【0068】
N-2-(カルボキシメチル)-2-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF モノ-ボロネート)
5 mLの20% TFA/CH2Cl2中 N-2-[(tert-ブトキシカルボニル)メチル]-2-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(0.035 g、0.056ミリモル)を25℃で16時間撹拌した。この時点で、溶液を窒素ガス流下濃縮し、残留物をエーテルで摩砕して粉末化し、橙色の固体を得た。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(8 g 重量等級ゲル、0-5% CH3OH/CH2Cl2)により精製して0.011 g (39%)の黄色/橙色の固体を得た。
FAB MS:C30H34BN3O7についての計算値[M]+559 (モノグリセリンアダクト); 実測値[M+1]+560
TLC: Merck シリカゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OH でのRf値 0.26、UV (254/366)で観察。
【0069】
蛍光の調節
本実施例で調製した三化合物の蛍光性についてグルコースによる調節を決定した。図1は、0-20ミリモルグルコースを含有する70/30 MeOH/PBS中の nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート("ヘキサ-Q")インジケーター(0.015ミリモル)、nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネート("キシレンQ")インジケーター(0.049ミリモル)およびnBuF モノ-ボロネートコントロールインジケーター (0.029 mM)溶液の標準化した蛍光発光(535 nm におけるI/Io)を示す。Shimadzu RF-5301スペクトロフルオロメーターを使用して450 nmで励起; 1.5 nmの励起スリット; 1.5 nmの発光スリット;周囲温度で記録した。エラーバーは各データポイントについて三回の値の標準偏差である。
【0070】
データは、nBuF モノ-ボロネートインジケーター化合物がグルコースの存在によって影響を受けないということを示す。nBuF-キシレン-Q ビス-ボロネートインジケーター化合物の蛍光はグルコースの存在によりわずかに影響を受け、nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネートインジケーター化合物の蛍光はグルコースにより0〜5ミリモルの範囲内で大きく影響される。グルコースの不存在下で、ヘキサ-Q化合物中の相対的に融通性のあるヘキサメチレン結合が、N-4-ジメチルアミノベンジル消光性基をしてナフタルアミド蛍光体成分に充分に接近して効率的に後者の蛍光を消光出来るようにすると思われる。グルコースの存在下で、両方のボロン酸認識要素がグルコース結合中に関与することが期待され、インジケーターの分子形態を変化させ、蛍光体成分と消光体成分を蛍光発光が脱消光するように十分に分離する。同じ作用がキシレン-Q化合物を用いて見られるが、キシレンリンカーの融通性が低いのでより程度が低く、したがって、グルコース結合時に蛍光体成分および消光体成分間で低い分離が許される。
【0071】
コントロール化合物は蛍光体基を含むが消光体成分を含まない。グルコースの不存在下でコントロールは蛍光を発し、グルコースが加えられたとき調節されない。
(実施例2)
【0072】
【化17】
【0073】
【化18】
【0074】
N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]-アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ-1,8-ナフタルイミド (アミノエトキシF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)
この化合物はN-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド(nBuF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)と同様の方法で調製したが、次の点を修正した。1,8-ナフタルイミド成分の4-ブロモ位を、ジアミン中間体のビスベンジルボロン化が完了した後まで2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ基に変換しなかった。この最終工程を、N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミドの合成におけるブチルアミンの添加についてと類似の条件下で、2,2'-(エチレンジオキシ)ビス (エチルアミン)のブロミドへの添加により行った。
【0075】
アミノエトキシF-ヘキサ-Cビス-ボロネート:
【0076】
【化19】
【0077】
N-2-[5-ベンジル-5-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ-1,8-ナフタルイミド(アミノエトキシF-ヘキサ-Cビス-ボロネート)
この化合物をジアミンカップリング相手としてN-ベンジル-1,6-ジアミノヘキサンを使用して、N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノヘキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル)アミノ-1,8-ナフタルイミド(アミノエトキシF-ヘキサ-Q ビス-ボロネート)に類似の方法で調製した。
【0078】
蛍光の調節
本実施例で調製した二化合物の蛍光性についてグルコースによる調節を決定した。図2は、0-20ミリモルグルコースを含有する70/30 MeOH/PBS中の アミノエトキシF-ヘキサ-Q ビス-ボロネートインジケーター(0.197ミリモル)およびアミノエトキシF-ヘキサ-C-ビスボロネートコントロールインジケーター溶液の標準化した蛍光発光(535 nm におけるI/Io)を示す。Shimadzu RF-5301スペクトロフルオロメーターを使用して450 nmで励起; 1.5 nmの励起スリット; 1.5 nmの発光スリット;周囲温度で記録した。エラーバーは各データポイントについて二回の値の標準偏差である。
【0079】
データは、ヘキサ-C-インジケーター化合物の蛍光性がグルコースの存在によって影響を受けず、ヘキサ-Q-インジケーター化合物の蛍光性がグルコースにより0〜10ミリモルの範囲内で大きく影響される。グルコースの不存在下で、ヘキサ-Q化合物中の相対的に融通性のあるヘキサメチレン結合が、N-4-ジメチルアミノベンジル消光基をしてナフタルアミド蛍光体成分に充分に接近して効率的に後者の蛍光を消光出来るようにすると思われる。グルコースの存在下で、両方のボロン酸認識要素がグルコース結合に関与することが予期され、インジケーターの分子形態を変化させ、蛍光体成分と消光体成分を蛍光発光が脱消光するように十分に分離する。
【0080】
ヘキサC-化合物はヘキサ-Q化合物と同一であるが、ナフタルイミド蛍光体成分の効率的な消光に必要とされるジメチルアミノ基を欠く。ヘキサ-C化合物はグルコースの不存在下で蛍光を発し、グルコースが加えられるとき調節されない。
【0081】
* * *
下記の実施例3〜5は、インジケーターシステムがボロン酸認識要素およびカテコールリガンド要素を含む場合のグルコースセンサー性接近を例証する。この接近の一般原理を下記の式により例証する。
【0082】
【化20】
【0083】
ここで、
・ドナーは蛍光体成分であり、アクセプターは蛍光体成分又は消光体成分である;
・ドナーおよびアクセプターは、ドナーからのエネルギーが分子距離依存方式でアクセプターに移動できるように選択される;
・L1、L2、L3,、および L4は独立して約3〜約20個の近接原子と化学リンカーであり、次の置換されたまたは/および無置換化学基(脂肪族、芳香族、アミノ、アミド、スルホ、カルボニル、ケトン、スルホンアミド等)により成るが、これらに限定されない;
・Rは、一または二個のフェニルボロン酸基を含むグルコース認識要素である;
・RRは、Rのフェニルボロン酸誘導体と可逆的なエステル結合を形成できる化学基、例えば、芳香族ジオール(例えば、カテコール)、ラクテート、αヒドロキシ酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコース、ジエタノールアミン、ポリヒドロキシビシナルジオール等(すべて、場合により置換される)である;
・L3-6およびP1-2は任意な基であり、独立して存在できる;
・L5および L6は結合基L1-4について定義した通りの結合基であるか、例えば、アクリルアミド、アクリレート、ポリグリコール、もしくは他の親水ポリマーから成るポリマー鎖である;そして
・P1および P2は親水ポリマーまたは疎水ポリマーである。
【0084】
R および RRが自由溶液(free solution)中で相互作用できるとき、あるいは、親水性ポリマー上に適切に固定化されるとき、ドナーおよびアクセプターは互いに充分に接近して配置され、ドナーからアクセプターへ比較的効率よくエネルギー移動できる(例えば、FRET、衝突エネルギー移動等により)。その溶液にグルコースが添加されると、グルコースがRRとR(ボロネート)の結合について競合してRR-R⇔RR + R平衡において右側にシフトをもたらす。溶液中で自由なときまたはポリマー上で比較的長く柔軟なリンカーを使用して固定されるとき、R-ドナーおよびRR-アクセプター成分は互いに離れることができ、ドナーおよびアクセプター間のエネルギー移動効率は減少し、蛍光発光の増加をもたらす。
【0085】
(実施例3)
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン(消光体-ボロン酸アダクト)の存在下でリン酸バッファー処理生理食塩水中のN-(5-メトキシカルボニル-5-[3,4-ジヒドロキシベンゾアミド]ペンチル)-N'-(5-フルオレシニル)チオウレア(フルオレセイン-カテコールアダクト)の蛍光発光におけるグルコースの影響
【0086】
【化21】
【0087】
【化22】
【0088】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル:
3,4-ジヒドロキシ安息香酸(820 mg, 5.3 ミリモル)およびN-ε-t-BOC-リシンメチルエステル (1.38 g, 5.31 ミリモル)を50 mL EtOAc/THF (1/1,無水)に溶解させた。
【0089】
ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.24 g, 6 ミリモル)を得られた溶液に加えた。反応混合物を24時間攪拌し、濾過し、溶媒を蒸発させた。得られた固体をEtOAc (50 mL)中に溶解させ、リン酸塩バッファー(200 mM, pH=6.5)50 mLで2回抽出した。酢酸エチル溶液をブラインで洗浄し、分離し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させると、1.89 gの固体を得た(収率90%)。TLCにより化合物を精製し、次の工程に使用した。
【0090】
【化23】
【0091】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル(840 mg, 2.12 ミリモル)を10 mLのCH2Cl2、3 mLのトリフルオロ酢酸および1 mLのトリイソプロピルシランと合わせた。室温で一夜攪拌した後、溶液を蒸発させ、得られた残留物をエーテルで洗い、真空下で乾燥させた。収量808 mg (93%)。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、 0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、2 mLインジェクションループ、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間10.78分。
【0092】
【化24】
【0093】
N-(5-メトキシカルボニル-5-[3,4-ジヒドロキシベンゾアミド]ペンチル)-N'-(5-フルオレセニル)チオウレア:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩(60 mg、0.146ミリモル)、フルオレセインイソチオシアナート(50 mg、 0.128ミリモル)、およびジイソプロピルエチルアミン(129 mg、1ミリモル) を1 mLの無水DMFと合わせた。反応物を5時間攪拌し、次いで、溶媒を蒸発させた。残留物を、溶出液としてCH2Cl2/MeOH (80/20容量基準)を用い、SiO2(10 g)上でクロマトグラフィーに付した。単離生成物- 68 mg, (77 %収率)。
FAB MS: C35H31N3O10S についての計算値: M=685; 実測値M+1=686
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、0.100 mL インジェクション、0.75 mL/分、2 mL インジェクションループ、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間16.59分。
【0094】
【化25】
【0095】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル:
(3-カルボキシ-5-ニトロフェニル)ボロン酸(536mg、2.54ミリモル)、N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル塩酸塩(776mg、2.61ミリモル)、およびジフェニルホスホリルアジド(718mg、2.6ミリモル)を5mLの無水DMFと合わせた。ジイソプロピルエチルアミン(1.3mL、7.5ミリモル)をDMF溶液に加えた。得られた溶液を室温で24時間攪拌した。DMFを真空中で蒸発させ、残留物を50 mLのEtOAcに溶解させ、EtOAc溶液をH2O(3x 50 mL)で抽出した。ブラインで抽出した後、有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させて880 mgの生成物(収率76%)を生成した。生成物をそのまま使用した。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、 0.050mLインジェクション、0.75 mL/分、1.5 mLインジェクションループ、450nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB=MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2 分、保持時間17.87分。
【0096】
【化26】
【0097】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩:
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-t-BOC-リシンメチルエステル(800mg、1.76ミリモル)を10 mLのCH2Cl2、3 mLのトリフルオロ酢酸、および1 mL のトリイソプロピルシランと合わせた。一夜室温で攪拌後、溶液を蒸発させ、得られた残留物をエーテルで洗い、真空下で乾燥させた。収量715 mg (87%)。生成物をそのまま使用した。
【0098】
【化27】
【0099】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンメチルエステル
25℃の3 mL DMF中のN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.198 g、0.42ミリモル)、DIEA (0.167 g、0.225mL、1.29ミリモル、3.05等量 )、4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ安息香酸(0.120 g、0.47ミリモル、1.11等量)およびジフェニルホスホリルアジド(0.130 g、0.47ミリモル、1.11等量)溶液を23時間、暗所で攪拌した。この時点で、50 mL EtOAcを加え、得られた溶液を20 mLの 100 mM リン酸塩バッファー(pH 6.5)中で2回洗い、次いで、25 mL NaCl (飽和水溶液)で1回洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を乾燥させ、濾過し、濃縮して橙色の粗固体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10 g 重力等級ゲル、0-5% CH3OH/CH2Cl2)により残渣を精製し、0.0974 g (39%)の黄橙色固体を得た。生成物をそのまま使用した。
TLC: Merck シリカゲル60プレート、 80/20 CH2Cl2/CH3OHでRf値0.60、UV (254/366)で観察。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.050 mLインジェクション、0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、450 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間18.91分。
【0100】
【化28】
【0101】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン
4 mL の1:1 Na2CO3(0.2 M水溶液):EtOH中のN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンメチルエステル(0.095 g、0.16ミリモル)溶液を25℃で1時間攪拌し、次いで、45℃で1.5時間攪拌した。この時点で、得られた混合物を真空中で濃縮し、次いで、25 mL の5 % TFA/CH2Cl2を加えた。混合物を10 mLの水で2回洗浄し、次いで、さらに25 mL の5% TFA/CH2Cl2を有機層に加えた。有機抽出物を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、0.088 g (95%)の橙色粉末を得た。
FAB MS:グリセリンマトリックス; C25H29BN6013(モノグリセリンアダクト)計算値 [M]+632; 実測値 [M + 1]+633
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、 Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.050 mLインジェクション、0.75 mL/分、 1.5 mLインジェクションループ、450 nm検出、 A = 水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間17.66分。
【0102】
蛍光性調節
図3は、30μMの消光体−ボロン酸アダクトを含有するPBS中のフルオレセイン−カテコールアダクトの2μM溶液の蛍光発光(518 nmにおけるI)を示す。グルコースの濃度は0-160 mMの間で変動した。Shimadzu RF-5301 スペクトロフルオロメーターを使用して495 nmで励起; 3nmの励起スリット; 5 nmの発光スリット; 低PMT感度; 周囲温度でスペクトルを記録した。グルコースの添加で消光性が減少した。
【0103】
(実施例4)
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイル-リシン(消光体-ボロン酸アダクト)の存在下でリン酸塩バッファー生理食塩水中のN-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルフォニル)-リシン(DANSYL-カテコールアダクト)の蛍光発光におけるグルコースの影響
【0104】
【化29】
【0105】
【化30】
【0106】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-スルフォニル)-リシンメチルエステル:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-リシンメチルエステルトリフルオロ酢酸塩(205 mg, 0.5ミリモル,合成について実施例3を参照)およびDANSYL 塩化物(162 mg, 06ミリモル)を2 mLの無水DMFと合わせた。ジイソプロピルエチルアミン(224 mg, 1.7ミリモル)をDMF溶液に加えた。得られた溶液を室温で5時間攪拌し、次いで、真空下DMFを蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH, 98/2容量基準)に付した。黄色固体として生成物を得た。 240 mg (90 % 収率)
FAB MS: C29H31N3O7Sについて計算値: M=529; 実測値M+1=530
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、 2 mL インジェクションループ、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間15.45分。
【0107】
【化31】
【0108】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシンメチルエステル (200 mg、0.38ミリモル)および250 mgのNa2CO3を10 mLの EtOH/H2O (1/1容量基準)と合わせた。混合物を55℃で6時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、1 mLのトリフルオロ酢酸を加えて過剰の塩基を中和し、50 mLのEtOAcを混合物に加え、溶液をH2O (2x40 mL)で抽出した。有機相を分離させ、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて190 mg の固体を得た(収率97 %)。
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.100 mL インジェクション、0.75 mL/分、2 mLインジェクションループ、370 nm検出、 A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジエント10% B分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、 100% B 2分、保持時間14.26分。
【0109】
【化32】
【0110】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン
合成について実施例3について参照。
【0111】
蛍光性調節
表4は、120 μM消光体−ボロン酸アダクトを含有するPBS中のDANSYL-カテコールアダクトの30μMの蛍光発光(545 nmにおけるI)を示す。グルコースの濃度を0-120 mMに変動させた。スペクトルを、350 nmで励起; 3 nmにおける励起スリット; 5 nmにおける発光スリット; 高PMT 感度のShimadzu RF-5301蛍光光度計を使用して周囲温度で記録した。
【0112】
(実施例5)
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン N-3-(メチルアクリルアミド)プロピルカルボキサミド (DANSYL-カテコールモノマー)およびN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド(消光体-ボロン酸モノマー)
【0113】
【化33】
【0114】
【化34】
【0115】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン N-3-(メチルアクリルアミド)-プロピルカルボキサミド:
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシン(75 mg、0.15ミリモル;合成については実施例4を参照)、3-アミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩(30 mg、0.17ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン(0.1 mL、0.5ミリモル)、および2 mLの無水DMFを合わせた。2 mLの無水CH2Cl2中に1-[3-(ジメチルアミノ)-プロピル]-3-エチルカルボジイミドエチルカルボジイミド塩酸塩(40mg、0.2ミリモル)を溶解させた。DMFおよびCH2Cl2溶液を合わせ、室温で20分間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、SiO2(7 g)クロマトグラフィーに付し、18 mgの生成物(収率19 %)を生成した。
FAB MS: C32H41N5O7Sについて計算値: M=640; 実測値M+=640
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、2 mL インジェクションループ、370 nm検出、A = 水 (0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間14.78分。
【0116】
【化35】
【0117】
N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド
1 mL 無水DMF中の3-アミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩(0.013 g、0.073ミリモル、1.2等量)、DIEA (0.025 g、0.034 mL、0.19ミリモル、3.2等量)、N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン(0.035 g、0.061ミリモル;合成については実施例3を参照)、ジフェニルホスホリルアジド(0.019 g、0.015 mL、0.069 ミリモル、1.1等量)および2 mgまでのBHT溶液を25℃で23.5時間暗所で攪拌した。この時点で、 60 mL EtOAcを加え、得られた溶液を2 x 20 mL 部の 200 mMリン酸塩バッファー(pH 6.5)で洗い、次いで、1 x 20 mL NaCl (飽和水溶液)で洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を乾燥させ、濾過し、濃縮して橙色固体を得た。この固体をエーテルで摩砕して粉末化し、乾燥して0.028 g (65%)橙色粉末を得た。
FAB MS: グリセリンマトリックス; C32H41BN8013について計算値(モノグリセリンアダクト) [M]+756; 実測値 [M + 1]+757
HPLC: HP 1100 HPLC クロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、0.050 mLインジェクション、 0.75 mL/分、1.5 mL インジェクションループ、450 nm 検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2 分、10-80% B 18分以上、 80-100% B 2 分以上、100% B 2分、保持時間17.98分。
【0118】
N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルフォニル)リシンN-3-(メチルアクリルアミド)プロピルカルボキサミドおよびN-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミドを含有するアクリルアミドゲル(20%)の製造
エチレングリコール中のアクリルアミド(20% wt)およびN,N'-メチレンビスアクリルアミド(0.6% wt)溶液を調製した。N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルフォニル)-リシン N-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド(0.75 mg、 1.6 x 10-6モル)、 N-α-(3-ボロナト-5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド(3.5 mg、5 x 10-6モル)、および30μLの過硫酸アンモニウム水溶液 (5% wt)を0.5 mLのエチレングリコールモノマー溶液を合わせた。得られた溶液を窒素でパージしたグローブボックスに入れた。N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン (30μL、 5重量%)をモノマー配合物に加え、重合反応を促進させた。得られた配合物を顕微鏡用スライドおよび100μステンレススチールスペーサーから構成されたモールド中に注いだ。窒素雰囲気下に8時間維持した後、モールドをリン酸塩バッファー生理食塩液(phosphate buffered saline:PBS) (10 mM PBS、 pH=7.4)中に入れ、顕微鏡スライドを分離し、ヒドロゲルを除去した。1 mM ラウリル硫酸ナトリウム塩および1 mM EDTA ナトリウム塩を含有する100 mL の PBSで3日間洗浄し、毎日溶液を交換し、次いで、DMF/PBS (10/90容量、 3 x 100 mL)で洗い、最後にPBS (pH=7.4、 3 x 100 mL)で洗った。得られたヒドロゲルポリマーを0.2重量% wtナトリウムアジドおよび1 mM EDTAナトリウム塩を含有するPBS (10 mM PBS、 pH=7.4)中に貯蔵した。
【0119】
蛍光性調節
図5は、PBS中の2 mMのDANSYL-カテコールモノマーおよび10 mM の消光体-ボロン酸モノマーを含有するアクリルアミドゲル(20%)の蛍光発光(532 nmにおけるI)を示す。PMMAキュベット中にゲル(100μm 厚さ)を載せた。グルコースの濃度を0〜200 mMに変動させた。350 nmで励起;3 nmで励起スリット; 10 nmで発光スリット;高PMT感度のShimadzu RF-5301スペクトルフルオロメーターを使用して37℃のスペクトルを記録した。グルコースの添加で消光性が減少した。
【0120】
(実施例6)
【0121】
【化36】
【0122】
3,4-ジヒドロキシ安息香酸の存在下でグルコースのアントラセンビス−ボロン酸誘導体の蛍光性における影響
PBS可溶性アントラセンビスボロン酸誘導体の製造
【0123】
【化37】
【0124】
9,10-ビス[[2-(tert-ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]-アントラセン
75 mL CHCl3中のβ-アラニンtert-ブチルエステル塩酸塩 (3.06 g、16.8 ミリモル、5.09等量)、DIEA (4.27 g、5.75 mL、 33.0ミリモル、10.00等量)および9,10-ビス(クロロメチル)アントラセン(0.910 g、3.31ミリモル)の溶液を23℃暗所で93時間攪拌した。この時点で、溶液を濾過し、1 x 40 mL および 2 x 60 mL 部のNaHCO3(飽和水溶液)で洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を乾燥し、濾過し、濃縮して粗黄色固体を得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30 g 重量等級ゲル、0-3% CH3OH/CH2Cl2)により精製して1.06 g (65%)の粘性黄橙を得た。生成物をそのまま使用した。
TLC: Merckシリカゲルゲル60プレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでのRf値0.33、UV (254/366)で観察。
【0125】
【化38】
【0126】
9,10-ビス[N-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]-N-[2-(tert-ブトキシカルボニル)エチルアミノ]メチル]アントラセン
30 mL CHCl3中の9,10-ビス[[2-(tert-ブトキシカルボニル)-エチルアミノ]メチル]アントラセン(1.60 g、3.25ミリモル)、DIEA (4.45 g、6.00 mL、34.4 ミリモル、10.6等量)および(2-ブロモメチルフェニル)ボロン酸ネオペンチルエステル(4.80 g、17.0ミリモル、5.22等量)の溶液を23℃暗所で4.5日間攪拌した。この時点で、45 mL CHCl3を混合物に加え、得られた混合物を2 x 25 mL 部のNaHCO3(飽和水溶液)で洗った。無水Na2SO4上で有機抽出物を洗い、濾過し、濃縮して赤みがかった粗油状物を得た。残さをアルミナカラムクロマトグラフィー(100 g 活性化中性アルミナ、0-3% CH3OH/CH2Cl2)により精製し、〜3.5gの橙色油状物を得た。生成物を溶解し、ついで、白色沈殿物(DIEA-HBr 塩)の形成があった。溶液を濾過し、濾液を濃縮して2.72 g (93%)の橙色固体を得た。生成物(RP-HPLC により>80 %に精製)をそのまま使用した。
TLC: Merck塩基性アルミナプレート、95/5 CH2Cl2/CH3OHでの Rf値0.66、UV (254/366)で観察
HPLC条件: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Vydac 201TP10 x 250mmカラム、0.100 mLインジェクション、2 mL/分、370 nm検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2 分、保持時間23.9 分。
【0127】
【化39】
【0128】
9,10-ビス[N-(2-ボロノベンジル)-N-[3-(プロパノイル)アミノ]-メチル]アントラセン
5 mL 20% TFA/CH2Cl2中の9,10-ビス[N-[2-(5,5-ジメチルボリナン-2-イル)ベンジル]-N-[2-(tert-ブトキシカルボニル)エチルアミノ]-メチル]アントラセン(0.556 g、0.620ミリモル)溶液を23℃暗所で25時間攪拌した。この時点で、反応混合物を窒素ガス流下で濃縮した。残留物を3 x 10 mL部のエーテルで摩砕して粉末化した。残留した固体を真空中で乾燥させ、0.351g (87%)のふわふわとした黄色粉末を得た。
FAB MS: グリセリンマトリックス; C42H46B2N2010(ビスグリセリンアダクト)計算値 [M]+760;実測値 [M]+760
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18カラム、0.025 mL インジェクション、0.75 mL/分、1.5 mLインジェクションループ、360 nm検出、A =水(0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、 10-80% B 18 分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2 分、保持時間16.7 分。
【0129】
蛍光性調節
図6は、本実施例で製造したPBS中のアントラセンビスボロン酸誘導体(40 μM)の蛍光強度(450 nm)における3,4-ジヒドロキシ安息香酸の影響を示す。スペクトルを、励起370 nm; 3 nmにおいて励起スリット; 3 nmの発光スリット; 高PMT感度のShimadzu RF-5301 分光蛍光計を周囲温度で使用して記録した。アントラセンビスボロン酸誘導体は低レベルの蛍光を発光し、3,4-ジヒドロキシ安息香酸の存在で効果的に消光される。
【0130】
図7は、PBS中のグルコース濃度の関数として3,4-ジヒドロキシ安息香酸(200μM)の存在下に本実施例のアントラセンビスボロン酸誘導体(40 μM)の標準化した蛍光性強度(430 nm) (ダイヤ印)およびPBS中のグルコース濃度の関数として同じインジケーター(40 μM)の標準化した蛍光性強度(430 nm)を示す(四角印)。グルコース濃度を0〜25 mMに変動させた。370 nmで励起; 3 nm で励起スリット; 5 nm で発光スリット; 低PMT感度のShimadzu RF-5301分光蛍光計を使用して周囲温度でスペクトルを記録した。3,4-ジヒドロキシ安息香酸消光体の不存在下でアントラセンビスボロン酸誘導体にグルコースを添加すると蛍光性の増加をもたらす。3,4-ジヒドロキシ安息香酸消光体成分の存在下でアントラセンビスボロン酸誘導体にグルコースを添加すると蛍光性の著しい増加をもたらす。それは、ボロン酸認識要素から3,4-ジヒドロキシ安息香酸消光体をグルコースが置き換わり、蛍光性の増加をもたらすと思われる。本実施例では、3,4-ジヒドロキシ安息香酸基が検出システムの消光体部分双方として、そして認識要素と相互作用するリガンド要素として作用する。
【0131】
(実施例7)
【0132】
【化40】
【0133】
A. 1,4-Bis[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチルl]ベンゼン:
テレフタルジカルボキシアルデヒド(0.253 g、1.89ミリモル)、N-t-Boc-ブタンジアミン(0.71 g、 3.77ミリモル)および硫酸ナトリウム(5.5 g、40 ミリモル)を25 mlの無水メタノールと合わせた。得られた混合物を室温で24時間攪拌し、硫酸ナトリウムを濾過して除き、NaBH4(1.5 g、40ミリモル)加えた。4時間後、混合物を100 mlのエーテルで稀釈し、濾過した。溶媒の蒸発後得られた残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付し、溶出剤としてCH2Cl2/MeOH/Et3N (80/15/5 容量 %)を使用した。白色固体として生成物を単離した(0.77 g、86 %収率)。この物質を次の工程に使用した。
【0134】
【化41】
【0135】
B. 1,4-ビス[N-[2-(ピナコラト)ボロノベンジル]-N-[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼン:
2-ブロモメチルフェニルボロン酸、ピナコールエステル(1.4 g、4.7ミリモル)、1,4-ビス[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼン(0.74 g、1.56ミリモル)、およびN,N-ジイソプロピル-N-エチルアミン(1.8 ml、10ミリモル)を20 mlのCH2Cl2に溶解した。得られた溶液を室温で24時間攪拌し、溶媒を蒸発させ、残留物をヘキサン/エーテル(50/50容量、3x10 ml)で洗った。さらに生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、90/10容量、 CH2Cl2/MeOH)により精製した。収量1.18 g (83%)。
【0136】
【化42】
【0137】
C. 1,4-ビス[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩:
1,4-ビス[N-[2-(ピナコラト)ボロノベンジル]-N-[[4-(tert-ブトキシカルボニル)アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼン(1.1 g、1.2ミリモル)を20容量% TFA および5 容量%トリイソプロピルシランを含有する20 ml CH2Cl2溶液中に溶解させた。得られた溶液を12時間攪拌し、溶媒を蒸発させ、残留物を高真空下50℃で24時間乾燥させた。定量的に生成物を得た。
FAB MS: C42H64B2N4O4について計算値M+=710 (ビスピナコールエステル)、実測値M+2=712
HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 5 x 100 mm NovaPak HR C18 カラム、0.100 mLインジェクション、0.75 mL/分、2 mLインジェクションループ、280 nm 検出、A = 水 (0.1% HFBA)およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2分以上、100% B 2分、保持時間14.6分。
【0138】
【化43】
【0139】
D. 3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセンスルホニルクロリド:
3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(1.4 g、3.9 mM)を30 mlのクロロスルホン酸と合わせ、5時間90℃に加熱し、その後、溶液を0℃に冷却し、100 gの氷中に注いだ。氷が溶けた後、溶液をCH2Cl2(3 x 100 ml)で抽出し、メチレンクロリド抽出物を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて、0.87 g の固体を得た(収率66%)。
【0140】
【化44】
【0141】
E. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼントリフルオロ酢酸塩:
3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセンスルホニルクロリド(0.095 g, 0.28ミリモル)を3 mlの無水CH3CN中に溶解させ、5 mlの無水CH3CN中の1,4-ビス[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]ベンゼンビストリフルオロ酢酸塩(1.06 g、1.37ミリモル)およびN,N-ジイソプロピル-N-エチルアミン(1 ml、5.8ミリモル)溶液に滴加した。4時間攪拌後、溶媒を蒸発させ、残留物を高真空下乾燥させた。残留物を10 mlのCH3CN/TFA (80/20 容量%)に溶解させ、溶媒を再び蒸発させた。残留物に水(10 ml)を加え、フラスコを20分間超音波処理をし、次いで、生成物を含有する茶色固体を濾過した。分取HPLC: HP 1100 HPLCクロマトグラフ、Waters 25x100mm NovaPak HR C18カラム、1.00 mLインジェクション、5 mL/分流量、2 mLインジェクションループ、470 nm検出、A =水(0.1% HFBA) およびB = MeCN (0.1% HFBA)、グラジェント10% B 2分、10-80% B 18分以上、80-100% B 2 分以上、100% B 2 分、保持時間18.5分を使用してさらに精製を行った。収量: 198 mg (79%)。MeOH/PBS (1/1、容量)溶液(pH=7.4)中でこの化合物についてD-グルコースとの相互作用を試験し、吸光度スペクトルをモニターすることにより相互作用を評価した。
【0142】
【化45】
【0143】
F. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼン:
1 mlの無水MeOH中に1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-アミノブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]ベンゼントリフルオロ酢酸塩(30 mg、3.34x10-5モル)を溶解させた。メタクリル酸NHSエステル(10 mg、5.46x10-5モル、J. Am. Chem. Soc., 1999, 121(15), 3617にしたがって調製した)を加え、次いで、0.01 mlのEt3Nを加えた。10時間溶液を攪拌した。真空中で溶媒を蒸発させ、固体を水で洗った。RP-HPLC分析は固体中に出発物質が存在しなかったことを示した。得られた固体を真空下乾燥し、ヒドロゲルフィルムに重合するために使用した。
G. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼンを含有するN-N-ジメチルアクリルアミドヒドロゲルフィルムの製造:
DMF中のN,N-ジメチルアクリルアミド(40重量%)およびN,N'-メチレンビスアクリルアミド(0.8重量%)およびD-フルクトース (200 mM)溶液を調製した。上記モノマーとD-フルクトースを含有する0.5 ml の DMF溶液に1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼン(30 mg)を溶解した。この配合物に過硫酸アンモニウム水溶液(20μL、5重量%)を合わせた。得られた溶液を窒素でパージしたグローブボックス中に入れた。N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(20μL、5重量%)水溶液を重合反応を促進させるためにモノマー配合物に加えた。得られた配合物を、顕微鏡用スライドおよび100μM ステンレス鋼スペーサーから構成したモールド中に注いだ。窒素雰囲気中に8時間保持した後、モールドをリン酸塩バッファー生理食塩水(10 mM pi、pH=7.4)中に入れ、顕微鏡用スライドを分離し、ヒドロゲルを取り出した。得られたヒドロゲルを、1 mMラウリル硫酸ナトリウム塩および1 mM EDTA ナトリウム塩を含有するリン酸塩バッファー生理食塩水(PBS) 100 mlで3日間洗浄し、溶液を毎日交換し、次いで、DMF/PBS (10/90 容量基準、 3 x 100 ml)で洗浄し、最後にPBS (pH=7.4、3 x 100 ml)で洗浄した。得られたヒドロゲルポリマーを0.2重量%ナトリウムアジドおよび1 mM EDTAナトリウム塩を含有するPBS (10 mM PBS、pH=7.4)中に保存した。
H. 1-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-(メタクリルアミド)ブチルアミノ]メチル]-4-[N-(2-ボロノベンジル)-N-[4-[(3,4-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソ-2-アントラセン)スルホンアミド]ブチルアミノ]メチル]-ベンゼンを含有するN,N-ジメチルアクリルアミドゲルの蛍光性および吸光度におけるD-グルコースの影響:
この実験を種々の温度アタッチメントを備えたShimadzu RF-5301 PC スペクトルフルオロメーターで本実験を行った。N,N-ジメチルアクリルアミドヒドロゲルフィルムを45度の角度でPMMA蛍光セル中で接着した一片のガラススライドに付着させた。種々の濃度のD-グルコースを含有するPBS( pH=7.4)溶液でセルを満たした。吸光度と蛍光強度との測定前にセルを37℃で30分間平衡化させた。蛍光強度について測定励起波長を470 nmに設定し、そのスリットは3/3 nmであり、高PMT感度だった。ヒドロゲルフィルムの吸光度スペクトルはHP 8453 装置を使用して測定し、690 nm における吸光度値は各測定のブランク訂正のために使用した。
【0144】
図8〜10に結果を示す。図8は、グルコース濃度を変化させたPBS/メタノール中のインジケーターの吸光度スペクトルを示す。図9は、グルコース濃度を変化させたインジケーターゲルの吸光度の比(A (565 nm)/A (430 nm))を示す。図10は、グルコース濃度を変化させた550 nmにおける標準化蛍光性(I/I0)を示す。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、実施例1で記載された化合物の標準化した蛍光発光(I/Io @ 535 nm)を示す。
【図2】図2は、実施例2で記載された化合物の標準化した蛍光発光(I/Io @ 535 nm)を示す。
【図3】図3は、実施例3で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(518 nm におけるI)を示す。
【図4】図4は、実施例4で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(545 nm におけるI)を示す。
【図5】図5は、実施例5で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(532 nm におけるI)を示す。
【図6】図6は、実施例6で記載されたインジケーターシステムの蛍光発光(450 nm におけるI)を示す。
【図7】図7は、実施例6で記載されたインジケーターシステムの標準化した蛍光発光(430 nm におけるI)を示す。
【図8】図8は、実施例7で記載されたインジケーターシステムの吸収スペクトルを示す。
【図9】図9は、実施例7で記載されたインジケーターシステムの吸収度比(A (565nm)/A (430 nm))スペクトルを示す。
【図10】図10は、実施例7で記載されたインジケーターシステムの550nmにおける標準化した蛍光(I/I0)を示す。
Claims (24)
- 試料中のポリヒドロキシルアナライトの存在または濃度を検出するための方法であって、当該方法は、
a)インジケーターシステムに試料を露出すること、ここで、当該インジケーターシステムは、
i)前記アナライトと可逆的な様式で共有結合を形成することができる第1認識要素およびA)第1認識要素に結合された前記アナライトに対して可逆的な様式で共有結合を形成できる第2認識要素、もしくはB)前記アナライトの不存在下で第1認識要素と可逆的な様式で相互作用できるリガンド要素のいずれかを有し、ここで、このリガンド要素は場合によりリガンド要素と認識要素との相互作用により調節される検出可能な特質を生じさせる標識をさらに含み、ここで、前記第1認識要素を含有するインジケーターシステムの一部が前記第2認識要素もしくは前記リガンド要素を含有するインジケーターシステムの一部に共有もしくは非共有結合される;そして、インジケーターシステムはさらに
ii)少なくとも一種の、A)前記インジケーターシステムが前記アナライトに露出されるとき濃度依存方式で変化する検出可能な特質を生じさせるドナー/アクセプターシステム、もしくは B)前記標識したリガンドを含む検出システムも有し、
b)検出可能な特質の変化を測定し、それにより試料中の前記アナライトの存在または濃度を決定すること
を含む検出方法。 - インジケーターシステムがアナライトのための少なくとも二種の認識要素を有する請求項1に記載の方法。
- アナライトが糖であり、各認識要素が独立してボロン酸、ボロネートイオン、亜ヒ酸、亜ヒ酸イオン、テルル酸、テルル酸イオン、ゲルマニウム酸、ゲルマニウム酸イオン、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項2に記載の方法。
- アナライトがグルコースであり、各認識要素が1またはそれ以上のボロン酸基を含む請求項3に記載の方法。
- インジケーターシステムがアナライトのための認識要素、およびリガンド要素を有する請求項1に記載の方法。
- アナライトが糖であり、認識要素が1またはそれ以上の次の、ボロン酸、ボロン酸イオン、亜ヒ酸、亜ヒ酸イオン、テルル酸、テルル酸イオン、ゲルマニウム酸、またはゲルマニウム酸イオンを含む請求項5に記載の方法。
- アナライトがグルコースであり、認識要素が1またはそれ以上のボロン酸基を含む請求項6に記載の方法。
- リガンド要素が認識要素とエステル結合を形成できる成分である請求項5に記載の方法。
- リガンド要素が芳香族ジオール、ラクテート、アルファ−ヒドロキシ酸、酒石酸、リンゴ酸、ジエタノールアミン、α、β−アミノアルコール、グルコース、およびポリヒドロキシ化合物、ならびにビシナルヒドロキシ含有化合物(これらの化合物はすべて場合により置換されることができる)からなる群から選択される請求項8に記載の方法。
- 検出システムがドナー/アクセプターシステムを含む請求項1に記載の方法。
- 検出システムが蛍光体成分および消光成分を含み、ここで蛍光体成分が、前記インジケーターシステムが前記アナライトに結合すると、消光されるか脱消光される請求項10に記載の方法。
- 検出システムが前記標識リガンド要素を含む請求項1に記載の方法。
- 前記標識リガンド要素が蛍光体成分を含み、前記蛍光体成分の蛍光発光が前記インジケーターシステムと前記アナライトの結合により調節される請求項12に記載の方法。
- 前記検出システムが少なくとも二つの異なる蛍光体成分を含み、これらの蛍光体成分の蛍光発光が前記インジケーターシステムの前記アナライトとの相互作用により調節される請求項10に記載の方法。
- 試料が生理学的流体である請求項1に記載の方法。
- 生理学的流体が血液、血漿、血清、間質液、髄液、尿、唾液、眼内液、リンパ液、涙液、汗、および生理学的バッファーからなる群から選択される請求項15に記載の方法。
- インジケーターシステムが溶液状の試料に露出される請求項1に記載の方法。
- インジケーターシステムが固体支持体上または固体支持体内に固定化されている請求項1に記載の方法。
- 固体支持体がポリマーマトリックスである請求項18に記載の方法。
- インジケーターシステムが移植可能な用具と関連付けられており、工程a)がインビボで行われる請求項1に記載の方法。
- 測定工程が実質的に周囲温度で行われる請求項1に記載の方法。
- 温度が最高約80℃までである請求項21に記載の方法。
- インジケーターシステムが、次のN-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)-ベンジル]アミノへキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド; N-2-[4-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-[2-(ボロノ)-ベンジル]アミノメチル]ベンジル-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド; N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)-ベンジル]アミノへキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル]アミノ-1,8-ナフタルイミド; N-(5-メトキシカルボニルl-5-[3,4-ジヒドロキシベンズアミド]ペンチル)-N'-(5-フルオレセニル)チオウレア; N-α-(3-ボロナト -5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン; N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン -1-スルホニル)-リシン; N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド; およびN-α-(3-ボロナト -5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピル-カルボキサミドからなる群から選択される化合物の残基を含む請求項1に記載の方法。
- N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)-ベンジル]アミノへキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド; N-2-[4-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-[2-(ボロノ)-ベンジル]アミノメチル]ベンジル-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-ブチルアミノ-1,8-ナフタルイミド; N-2-[5-(N-4-ジメチルアミノベンジル)-5-[2-(ボロノ)-ベンジル]アミノへキシル]-[2-(ボロノ)ベンジル]アミノエチル-4-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシエチル]アミノ-1,8-ナフタルイミド; N-(5-メトキシカルボニルl-5-[3,4-ジヒドロキシベンズアミド]ペンチル)-N'-(5-フルオレッセニル)チオウレア; N-α-(3-ボロナト -5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシン; N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン -1-スルホニル)-リシン; N-α-(3,4-ジヒドロキシベンゾイル)-N-ε-(5-ジメチルアミノナフタレン-1-スルホニル)-リシンN-3-(メタクリルアミド)プロピルカルボキサミド; およびN-α-(3-ボロナト -5-ニトロ)ベンゾイル-N-ε-(4-ジメチルアミノ-3,5-ジニトロ)ベンゾイルリシンN-3-(メタクリルアミド)プロピル-カルボキサミドからなる群から選択される化合物の残基を含むインジケーターシステム。
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