JP2004524429A - 低密度棒洗剤組成物 - Google Patents

Abstract

通気された超低密度の注型脱水された合成棒洗剤は、身体の洗浄、繊維の洗浄、及び粗い表面の洗浄に用いられる。本発明はまた、通気された超低密度の注型脱水された棒洗剤（ここで空気は硬質化後及び生成物の造形後に棒洗剤に混入される）の調製法も提供する。

Description

【０００１】
発明の分野
本発明は通気された超低密度の注型脱水された棒洗剤に関する。本発明は特に、通気された超低密度の注型脱水された棒洗剤に関し、硬質化後、及び生成物の造形後にその棒洗剤に空気を混入させる。
【０００２】
背景及び先行技術
石鹸または非石鹸の洗剤製品は、剪断応力作用／均質化、その後の押出し及び打抜きにより一般的に製造されている。この手順は熱可塑性の棒洗剤または剪断応力に影響されにくい棒洗剤の処方にのみ適している。剪断応力に影響されやすい配合物は一般に注型法により生成される。注型による洗剤組成物の製造において、その構築されたシステムにより温度を上昇させ液体状態にし、型に満たし、冷却する。
【０００３】
棒洗剤中の含水量は一般に、約５−４０％に維持される。空気のような気体が棒洗剤中に閉じ込められると、棒洗剤の嵩密度は減少し、一定の重量に対しより大きい寸法の棒洗剤の製造を可能とさせる。洗浄溶液中で棒洗剤を浮かせるために十分な空気を閉じ込めさせることも可能となる。空気または気体を閉じ込めさせることの発想は、棒洗剤を浴槽中に浮かせることに利点がある場合に棒石鹸に対して特になされてきた。
【０００４】
米国特許第２２９５５９４号（Ｐ＆Ｇ １９４２年）は、ペースト状に密着した状態で石鹸の泡立ちと押出しを通じて機械的に空気を閉じ込めさせると、細かく分かれた気泡状の空気が取り込まれ得ることを含む浮き石鹸を得る方法を開示している。棒石鹸は押出し後に冷えて固まり得る。棒石鹸の組成物は非石鹸洗浄活性物質を全く含んでいない。
【０００５】
米国特許第５９７２８６０号（花王（株）１９９９年）は、無機塩及び／又はポリオール及び非イオン性界面活性剤を本質的に取り込む通気された棒洗剤（空気は細かい気泡状で存在し、注型前の処方において閉じ込められる）を開示する。
【０００６】
米国特許第５１９４１７２号（Ｐ＆Ｇ、１９９０年）は脂肪酸石鹸、スクロース、ワックス類から選択される疎水性材料、及び水を含む通気フリーザー棒を開示する。
【０００７】
米国特許第５２１９４８７号（Ｐ＆Ｇ、１９９２年）は、脂肪酸石鹸、遊離脂肪酸、塩、及び水を含む通気性フリーザー棒石鹸を開示する。
【０００８】
先行技術は一般に、通気棒石鹸の組成物及び製造（ここで硬質化及び生成物の造形前に空気を細かい気泡状で閉じ込めさせることは必須である）ことを教示する。造形前に空気を閉じ込めさせることは処方の自由度を制限し、空気中での泡立ちのために機械的な撹拌を与える特殊用途の装置を必要とし、そのため、その製造には大きな資本が必要となる。また、閉じ込められた空気の量は少なく、その結果、超低密度の棒洗剤を得ることは出来ない。脂肪酸石鹸、非石鹸洗浄活性物質、及び空気を非常に多く含む超低密度の注型脱水された棒洗剤を得ることが今回可能となった。ここで空気は硬質化及び生成物の造形後、棒洗剤に閉じ込められる。この技術は処方に自由度を与え、経済的に生成され得る超低密度棒洗剤となる。
【０００９】
発明の詳細な説明
本発明のある実施態様において、超低密度の注型脱水された棒洗剤組成物を提供する。ここで当該組成物は、
i）１０−６０体積％の、鎖長がＣ_８−Ｃ_２４である中和されたカルボキシル脂肪酸、
ii）０−４０体積％の非石鹸界面活性剤、及び
iii）１−９０体積％の空気、
を含む。
【００１０】
本発明の好ましい実施態様において、前記の中和カルボキシル脂肪酸は、Ｃ_１６−Ｃ_２４の鎖長を有する少なくとも５０％の飽和脂肪酸、より好ましくは７０％がＣ_１６−Ｃ_２０の鎖長を有する飽和脂肪酸を含み、前記非石鹸界面活性剤は少なくとも１％であり、多くとも４０％まで含む。
【００１１】
本処方において、石鹸／非石鹸洗剤活性の比は０．５を超えることが特に好ましい。
【００１２】
本発明の他の実施態様において、超低密度の注型脱水された棒洗剤を調製する方法を提供し、
i）（ａ）１０−６０重量％の、鎖長がＣ_８−Ｃ_２４である中和されたカルボキシル脂肪酸
（ｂ）０−４０重量％の非石鹸界面活性剤、及び（ｃ）１−９０重量％の水を含む混合物を、注入可能な溶融物を得るために５０−１００℃の範囲の温度にまで加熱すること、
ii）型に前記溶融物を注入すること、
iii）硬質化をもたらすために前記溶融物を冷却すること、及び
iv）硬質棒洗剤を脱水し、微量に含まれる水分を低減することで、組成物の体積で１−９０％の範囲にある空気の混入を可能にする、
工程を含む。
【００１３】
所望により、本発明の棒洗剤の密度は０．９ｇ／ｃｃ未満、より好ましくは０．８ｇ／ｃｃ未満、さらに好ましくは０．２５乃至０．７０ｇ／ｃｃである。
【００１４】
本発明の詳細な説明
本発明の本質的な特徴は、石鹸及び／又は非石鹸及び空気を含む通気された超低密度の注型脱水された合成棒洗剤（ここで空気は生成物の造形後に取り込まれる）に関する。石鹸は鎖長がＣ_８−Ｃ_２４である中和されたカルボキシル脂肪酸であり、ここで好ましくは少なくとも５０％、さらに好ましくは７０％がＣ_１６−Ｃ_２０の鎖長を有する飽和脂肪酸である。本発明はまた、前記通気された超低密度の注型脱水された棒洗剤の調製法に関する。
【００１５】
本発明に関する組成物は、身体の洗浄、繊維の洗浄、及び粗い表面の洗浄に適している。
【００１６】
脂肪酸石鹸
脂肪酸石鹸は好ましくは、１以上のＣ_８−Ｃ_２４の飽和脂肪酸の塩から選択される。用いられる石鹸はナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム又はリチウムの飽和脂肪酸塩であり得る。石鹸はナトリウム又はカリウムの飽和脂肪酸塩として得られることが特に好ましい。石鹸は組成物体積の１０−６０％で存在し、好ましくは１５−４０％である。石鹸の少なくとも５０％、より好ましくは７０％がＣ_１６−Ｃ_２０の鎖長の中和された飽和脂肪酸から得られることが望ましい。
【００１７】
本処方において、石鹸／非石鹸洗浄活性物質の比は０．５を超えることが特に望ましい。
【００１８】
非石鹸洗浄活性物質
１−４０体積％の範囲にあるアニオン性、非カチオン性、カチオン性、両性又は両イオン性界面活性剤又はそれらの混合物から選択される非石鹸洗浄活性物質を用いることが望ましい。
【００１９】
適切なアニオン性洗浄活性化合物は、有機硫黄反応生成物の水溶性塩であり、分子構造中、８乃至２２の炭素原子を含むアルキル基、及びスルホン酸又はスルホン酸エステル基及びそれらの混合物を有する。合成アニオン性洗浄活性化合物は、例えば線状アルキル ベンゼン スルホナート、ナトリウム ラウリル スルファート、ナトリウム ラウリル エーテル スルファート、α−オレフィン スルホナート、アルキル エーテル スルファート、脂肪メチル エステル スルホナート、アルキル イソチオナート、スルホスクシナート等がある。上記洗浄活性種に最も適したカチオンは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及び種々のアミン（例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン）である。
【００２０】
適切な非イオン性洗浄活性化合物は、アルケンオキシド基の縮合により生成される化合物として幅広く記載され得、本質的に親水性であり、本質的に脂肪族又はアルキル芳香族となり得る有機親水性化合物を伴う。一般的な非イオン性界面活性剤は、８乃至２２の炭素原子が線状又は分岐鎖の配座を有する脂肪族アルコールの、エチレンオキシドとの縮合生成物である。例えばココナッツ油のエチレンオキシド縮合物はココナッツアルコールの１モルに対して２乃至１５モルのエチレンオキシドからなる。非イオン性界面活性剤は、例えばアルキルフェノールのエチレンオキシド（ＥＯ）縮合物であり、牛脂アルコール（Ｔａｌｌｏｗ ａｌｃｏｈｏｌ）の１０ＥＯ縮合物、アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルモノエタノールアミド、糖エステル等がある。
【００２１】
両性洗浄活性物質は、例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油ベタイン等がある。
【００２２】
本発明に基づく組成物には任意にカチオン性又は両性洗浄活性物質を含むことも可能である。
【００２３】
さらに適切な非石鹸洗浄活性物質種は、例えば“Ｈａｎｄｂｏｏｋ ｏｆ Ｓｕｒｆａｃｔａｎｔｓ”，Ｍ．Ｒ．Ｐｏｒｔｅｒ，Ｃｈａｐｍａｎ ａｎｄ Ｈａｌｌ，Ｎｅｗ Ｙｏｒｋ，１９９１年の文献に記載されている。
【００２４】
本発明の洗剤組成物に用いられ得る非石鹸洗浄活性物質は好ましくはアニオン性であり、一般に４０％（体積／体積）までであり、さらに好ましくは２乃至３０％（体積／体積）である。
【００２５】
選択自由な配合物
他の選択自由な配合物は、例えば、塩溶電解質、ポリオール、充填材、着色剤、香料、乳白剤、保存料、１以上の非水溶性粒子材料（タルク、カオリン、多糖等）、液体の有益な試薬（日焼け止め剤、保湿剤、柔軟化粧水、アンチエージング化合物、ヘアーコンディショニング剤等）、及び他の従来の配合物であり、これらは組成物中に組み込まれ得る。
【００２６】
本発明の棒洗剤は、高濃度のポリオール溶媒、例えばグリセロール又はソルビトール等を必要とせずに製造され得る。好ましくは組成物は、実質的にポリオール溶媒を含んでいない、即ち、ポリオール濃度は組成物の１０体積％未満、特に５体積％未満又は１体積％未満、最も好ましくは実質的に０体積％である。
【００２７】
また、本発明の棒洗剤は高濃度の塩を必要とせずに製造され得る。好ましくは組成物は実質的に塩を含んではいなく、即ち、塩の濃度が組成物の１０体積％未満、特に５体積％未満又はさらに１体積％未満、最も好ましくは実質的に０体積％である。
【００２８】
製法
石鹸、非石鹸界面活性剤及び水を含む混合物を加熱し、注入可能な溶融物を得、適度に堅く、しかも柔軟性のある型を用いることにより硬質の棒／ブロックに注型する。型を適切に選択し、ニヤ・ネット・シェーブ・タブレット又は棒／ブロックを生成する。棒／ブロックはさらに洗剤製品に造形され得る。
【００２９】
石鹸及び非石鹸界面活性剤又はそれらと同様の酸前駆体を原料とすることも可能である。石鹸及び非石鹸界面活性剤の酸前駆体が用いられる場合、脂肪酸の中和を〜８０℃の高温で行い、溶融物のｐＨを９．５乃至１０．５の範囲で調整した。
【００３０】
硬質洗剤製品を、室温又は高温で、空気の混入を可能とする生成物の形状に影響を与えることなく脱水する。脱水工程は対流空気流れ（ｃｏｎｖｅｃｔｉｖｅ ａｉｒ ｆｌｏｗ）を用いることにより迅速に処理され得る。
【００３１】
本発明を以下の非制限的な実施例に関して説明する。
【００３２】
実施例
i．通気された棒の調製法
本製法は、組成物の注入可能な溶融物の調製を含み、その溶融物は所望の形状に注型され、その後脱水されることにより空気を混入し得る。
【００３３】
表１ａは、脱水前の、注型時の組成（単位は重量％）を示す。一方、表１ｂは対応する注型脱水された棒洗剤の組成（単位は体積％）を示す。注型脱水された棒洗剤の組成は、棒洗剤の主な成分が空気であるため体積％で示される。表１ｂにおいて示される組成は、以下の製法により調製された。
【００３４】
実施例１ａに示すような組成（重量％の組成物）で、石鹸、非石鹸界面活性剤及び水（実施例５ａを除き全ての実施例に対し、石鹸−水混合物のみが選ばれた）からなる混合物を、２リットル容積の丸底フラスコに充填した。混合物を撹拌し、水浴を約８０℃まで加熱し注入可能な溶融物を得た。この溶融物を長方形の型（長さ８ｃｍ、幅５ｃｍ及び高さ４ｃｍ）に注入した。溶融物を冷却し、硬質化した。これら棒洗剤の剛性は全て、７５ｋＰａを超えていた。
【００３５】
硬質棒洗剤は、その後、４５℃のエアオーブン中に静置され、空気の混入を可能とするため脱水した。脱水法を、通気が所望の水準に達するまで継続した。最終的な棒洗剤の体積％組成は脱水中の寸法減少に依存する。得られた超低密度の注型脱水された棒洗剤の組成（単位は体積％）は表１Ｂに示される。表１ｂに示された組成（単位は体積％）は、原料組成（表１ａに示されるように単位は重量％）、配合物の濃度、及び脱水中の収縮に基づいて定めた。降伏応力の測定の手順及び注型脱水された棒洗剤の密度の測定を以下に記載する。
【００３６】
ii．降伏応力の測定
降伏応力を測定するための自動針入度計は、Ｐｅｔｒｏｔｅｓｔ Ｉｎｓｔｒｕｍｅｎｔｓ ＧｍｂＨ社のＰＮＲ１０モデルであった。Ｐｌｕｎｇｅｒ（＃１８−００４２部）と共に標準のＨｏｌｌｏｗ Ｃｏｎｅ（ＡＳＴＭ Ｄ２１７−ＩＰ ５０のような＃１８−０１０１部）を測定のために用いた。当該コーンは、分離可能な硬化鋼チップを伴う真ちゅうの円錐体からなる。コーンの全重量は１０２．５ｇであった。移動可能なプランジャーの全重量は４７．５ｇであった。洗剤の錠剤に落下するコーンとプランジャーの総量は従って１５０ｇであった。さらに５０ｇ及び１００ｇの重り（サンプルに落下する全重量はそれぞれ２００ｇ及び２５０ｇとなる）も用いた。２５℃でのサンプルの降伏応力値を、以下の工程を含む標準的な手順を用いて測定した。
１．洗剤の錠剤を針入度計の台に置いた。
２．針入度計の測定装置を下げると、針入度計のチップは錠剤に達したが貫通はしなかった。
３．測定操作を“スタート”ボタンを押すことにより始めた。
４．針入度をディスプレイに表示されたｍｍ単位で測定した。
５．測定された針入度の値を洗剤の錠剤の降伏応力を計算するために用い、下記の式に適用した。
【００３７】
式：降伏応力＝用いられた力／（コーンの投影面積）
＝（ｍ×ｇ）×１０^３／［π（ｐ ｔａｎ^１／２θ＋^１／２チップの径）^２］
式中、
降伏応力の単位はｋＰａ
ｍ：棒洗剤の平らな表面に落下する全重量（ｋｇ）
ｇ：重力加速度（ｍ／ｓ^２）
ｐ：得られた針入度（ｍｍ）
θ：コーン角（３０°）
チップの径＝０．３５９ｍｍ
上式に基づき測定された針入度はサンプルに落下する全重量が２００ｇの場合１０ｍｍ未満であり、洗剤錠剤の降伏応力は７５ｋＰａを超える。３つの降伏応力値は洗剤錠剤に落下する全重量が１５０ｇ、２００ｇ、及び２５０ｇの場合に計算され、３つの値の平均値を洗剤錠剤の降伏応力として用いた。
【００３８】
iii．棒洗剤の密度測定
超低密度の注型脱水された棒洗剤の重量は天秤を用いて測定した。棒の体積を平行６面体の棒の大きさから計算した。密度は重量と体積を用いて計算した。
【００３９】
【表１ａ】

【００４０】
【表１ｂ】

【００４１】
表１ａ及び１ｂに示されたデータを以下に示す。
１．本発明に準じ空気を高水準で有する超低密度の注型脱水された棒洗剤が生成され得、その結果、最終組成物が中和されたカルボキシル脂肪酸を含み、好ましくはその少なくとも５０％がＣ_１６（実施例１ｂ乃至５ｂ）又はＣ_１８（実施例６ｂ乃至７ｂ）の鎖長を有する飽和脂肪酸である。
２．注型時の棒洗剤の含水量は６２−８６％（体積／体積）の範囲にある（実施例１ａ乃至９ａ）。
３．飽和脂肪酸の鎖長はＣ_１６−Ｃ_２０の範囲にあることが望ましく、実施例８ｂのように鎖長がＣ_１６未満ならば超低密度の通気された棒洗剤を生成することは必ずしも可能とはならない。
４．鎖長がＣ_１６の中和されたカルボン酸の割合は、中和されたカルボキシル脂肪酸全体の５０％未満であり、Ｃ_１２のような他の中和された飽和脂肪酸は実施例９ｂのように存在するが、超低密度の通気された棒洗剤を生成することは必ずしも可能とならない。
【００４２】
iv．種々の非石鹸洗浄活物質
本発明に準拠し、種々の非石鹸洗浄活性物質を用いる処方は、さらに、表２ａ及び２ｂで表わされる。表２ａは注型時の組成（単位は重量％）を示し、表２ｂは注型脱水された棒洗剤の組成（単位は体積％）を示す。
【００４３】
【表２ａ】

【００４４】
【表２ｂ】

表２ｂで表わされるデータは、空気を高い水準で有する、超低密度の注型脱水された棒洗剤が相違する非石鹸洗浄活性物質を用いて得られ得ることを示す。

Claims (10)

1. i）１０−６０体積％の、中和されたＣ_８−Ｃ_２４のカルボキシル脂肪酸、
   ii）０−４０体積％の非石鹸界面活性剤、及び
   iii）１−９０体積％の空気、
   を含む超低密度の注型脱水された棒洗剤。
2. 中和されたカルボン酸の少なくとも５０％がＣ_１６−Ｃ_２０の飽和脂肪酸である、請求項１記載の棒洗剤。
3. 中和されたカルボン酸の少なくとも７０％がＣ_１６−Ｃ_２０の飽和脂肪酸である、請求項２記載の棒洗剤。
4. 非石鹸界面活性剤は、組成物の少なくとも１−４０体積％を含む、請求項１記載の棒洗剤。
5. 石鹸／非石鹸洗浄活性物質の比が０．５を超える、請求項１記載の棒洗剤。
6. 棒洗剤の密度は０．９ｇ／ｃｃ未満である、請求項１記載の棒洗剤。
7. ポリオール溶媒が実質的に含まれない、請求項１記載の棒洗剤。
8. 非石鹸界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、請求項１記載の組成物。
9. アニオン性界面活性剤が組成物の２乃至３０体積％を含む、請求項８記載の組成物。
10. 請求項１記載の超低密度の注型脱水された棒洗剤を調製する方法であって、
    （i）脂肪酸、非石鹸界面活性剤、及び水からなる混合物を、注入可能な溶融物を得るために５０−１００℃の範囲の温度にまで加熱すること、
    （ii）型に前記溶融物を注入すること、
    （iii）硬質化をもたらすために前記溶融物を冷却すること、及び
    （iv）当該硬質棒洗剤を脱水し、微量に含まれる水分を低減することで、組成物体積で１−９０％の範囲にある空気の混入を可能にする、
    工程を含む、方法。