JP2004523478A - トポイソメラーゼ・インヒビター - Google Patents
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Abstract
本発明は、インドリロピロロカルバゾール化合物の新規N12,N13−ブリッジド糖誘導体と、該誘導体のトポイソメラーゼ−I活性を示し、かつ腫瘍細胞の増殖を抑制するのに有用な医薬製剤に関する。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、トポイソメラーゼ(topoisomerase)−I活性を示しかつ腫瘍細胞の増殖を抑制するのに有用な、インドロピロロカルバゾール化合物(indolopyrrolocarbazoles)の糖誘導体に関する。
【0002】
(背景技術)
トポイソメラーゼは、生体核酵素であって、DNAにおけるトポロジーのジレンマ、たとえば、標準的に複製、転写およびことによると他のDNAプロセス中に起こる、オーバーウィンディング(overwinding)、アンダーウィンディング(underwinding)および連鎖を解決するよう機能する。これらの酵素は、DNAを弛緩させるが、これは、他のDNAストランドの通過用の一時的ゲートまたはピボットポイントとして作用する、酵素−ブリッジド(bridged)・ストランド破断の形成による。
【0003】
トポイソメラーゼ−標的薬物は、このDNAトポイソメラーゼの破損−再結合反応を干渉すると思われる。トポイソメラーゼ−活性作用物質の存在下、“開裂性錯体”と呼ばれる頓挫反応中間体が蓄積して複製/転写を阻止し、これは結局、細胞死に導く。
【0004】
従って、トポイソメラーゼI−活性作用物質の開発は、癌処置のためクリニックで一般に用いられる多様な統制的療法に対し、新しいアプローチを付与する。「Cancer Chemother.Pharmacol」(34(増刊)、S41−S45、1994年)に、臨床実験中のトポイソメラーゼI−活性化合物が論じられ、これらの化合物は有効な臨床的抗腫瘍剤であることが認められている。これらの臨床的候補化合物は構造上、アルカロイド・カンプトセシン(camptothecin)と関係がある。
【0005】
レベッカマイシン(Rebeccamycin)種に関係するインドロ[2,3−a]カルバゾール誘導体が開示され[EP出願No.0545195B1および0602597A2;「Cancer Research」(53、490−494、1993年);「ibid」(55、1310−1315、1995年)]かつクレームで抗腫瘍活性を示すことが記載されているが、これら誘導体の作用の主なメカニズムは、トポイソメラーゼI毒薬として作用するカンプトセシンと同じとは思われない。
【0006】
インドロ[2,3−a]カルバゾール・アルカロイド化合物、たとえばレベッカマイシン(U.S.特許No.4487925および4552842)およびその水溶性の臨床的活性類縁体の、6−(2−ジエチルアミノエチル)レベッカマイシン(U.S.特許No.4785085)は、DNAを標的にする有用な抗腫瘍剤である。さらに、フルオロインドロカルバゾール化合物(たとえばWO98/07433に記載)は、トポイソメラーゼI抑制活性を持つ抗腫瘍性作用物質である。またインドロカルバゾール化合物も開示され(WO9530682)、かつクレームで抗腫瘍活性を示すことが記載されている。
【0007】
Hudkinsらは、一連の縮合ピロロカルバゾール化合物を開示し(WO96/11933およびU.S.特許No.5475110)、幾つかの化合物に対して、インビトロ生物学的活性、たとえばニューロン・コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の抑制およびたん白キナーゼC(PKC)抑制を報告している。U.S.特許No.5468849に、有用な抗腫瘍剤としての特定フルオロレベッカマイシン類縁体、並びにサッカロスリックス・アエロコロニジーンズ(Saccharothrix aerocolonigenes)、好ましくはサッカロスリックス・アエロコロニジーンズC38383−RK2(ATCC39243)のレベッカマイシン−産生菌株のフルオロトリプトファン類縁体栄養補給による、上記類縁体の製造法が開示されている。
【0008】
Glicksmanらは、本発明の化合物とは構造が異なるインドロカルバゾール・アルカロイド化合物を開示する(U.S.特許No.5468872)。Kojiriらは、ジサッカライド置換基を有するインドロピロロカルバゾール化合物を開示する(WO96/04293)。Weinrebら(Heterocycles,21、309、1984年)およびKleinschrothら(U.S.特許No.5043335)は、ブリッジするフラン成分を持つインドロピロロカルバゾール誘導体を開示し、McCombieら(Bioorg.Med.Chem.Lett.,3、1537、1993年)は、より官能性の高いブリッジド(bridged)・フランを報告している。
【0009】
Woodらは(+)−K252a(J.Am.Chem.Soc.,117、10413、1995年),関連した天然産生インドロカルバゾール・アルカロイドの総合成を報告し、PKC抑制活性を証明した。これらK252aの総合成の過程中に、Fukuyamaらは(J.Am.Chem.Soc.,121、6501、1999年)、望ましい生成物のシクログリコシドの単離を記載した。
【0010】
Danishefskyらは、彼らのスタウロスポリン(staurosporine)の最初の総合成の過程中(J.Am.Chem.Soc.,118、2825、1996年)、中間体N12,N13−ブリッジド・インドロピロロカルバゾールの合成を記載する。三原子ブリッジ(bridge)により結合した窒素を持つインドロカルバゾール誘導体は、効力あるPKCインヒビターであることが報告されている[S.F.Viceらの「Bioorg.Med.Chem.Lett.」(4、1333、1994年)]。C1’,C5’−ブリッジまたはC1’,C3’−ブリッジ・グリコシドを持つ単純インドロカルバゾール誘導体の合成が、文献に報告されている[それぞれ、B.M.Stolz、J.L.Woodの「Tetrahedron Lett.」(36、8543、1995年);B.B.Shankar、S.W.McCombieの「Tetrahedron Lett.」(35、3005、1994年)]。
【0011】
Prudhommeらは、レベッカマイシンから誘導され、炭水化物の2つのインドール窒素への結合を示す一連の抗腫瘍インドロカルバゾール化合物を開示し、その細胞毒性とそのトポイソメラーゼIおよびPKC抑制活性がミリモル〜ミクロモル範囲にあることを報告した(Bioorg.Med.Chem.,6、1597、1998年)。これらの例に拘らず、トポイソメラーゼI活性の抑制に有用な、新規で効力ある細胞毒化合物の必要性が残る。
【0012】
(発明の概要)
すなわち、本発明の第1側面の最初の具体例によれば、トポイソメラーゼIおよび腫瘍細胞の増殖の抑制に有用な、下記式(I)で示される化合物およびそれらの医薬的に許容しうる塩および溶媒化合物が提供される。
【化3】
【0013】
上記式中、Zは
【化4】
の式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および(G)からなる群から選ばれ;
【0014】
Rは水素、OH、OC1−7アルキル、NH2、N(C1−3アルキル)2またはC1−7アルキル、ここで、上記C1−7アルキルまたはC1−3アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、SR9、OR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく;
R1,R2,R3,R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、C1−7アルキル、C3−7シクロアルキル、ハロゲン、アジド、NR9R10、NHC(O)NR9R10、NHC(O)OR9、C(O)OR9、SR9およびOR9からなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、SR9、OR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく、但し、R1,R2,R3,R4およびR5からなる群から選ばれる変記号の2つのみがC3−7シクロアルキル、アジド、NHC(O)NR9R10またはNHC(O)OR9であってよく;
【0015】
R7およびR8はそれぞれ独立して、OHもしくはH、またはR7とR8は共に合して=Oを形成し;
R9およびR10はそれぞれ独立して、水素、C1−7アルキルおよびC3−7シクロアルキルからなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、OH、OC1−7アルキル、NH2およびN(C1−3アルキル)2からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく、あるいは
R9とR10はそれらが結合する窒素原子と共に合して、O、NおよびSからなる群から選ばれる同一もしくは異なるヘテロ原子の1個または2個を含有する非芳香族5〜8員複素環を形成し;
【0016】
mは0または1;および
X1,X1 ’,X2およびX2 ’はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、OR9、−CF3、アルキルカルボニル、C1−7アルキル、ニトロ、アルコキシアミノアルキル、NR9R10、SR9およびC(O)OR9からなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、OR9、SR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよい。
【0017】
本発明の第1側面の第1具体例によれば、Zが式(A)、(C)および(D)からなる群から選ばれる式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(A)である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(B)である式(I)の化合物が提供される。
【0018】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(C)である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(D)である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、mが1である式(I)の化合物が提供される。
【0019】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、mが0である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Rが水素である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、R7とR8が共に合して=Oである式(I)の化合物が提供される。
【0020】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、R7およびR8が共にHである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2 ’およびX2が共にF、X1およびX1 ’が共にHである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2がF、X2 ’,X1およびX1 ’が共にHである式(I)の化合物が提供される。
【0021】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2 ’がF、X2,X1およびX1 ’が共にHである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2 ’,X2,X1およびX1 ’が共にFである式(I)の化合物が提供される。
【0022】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2およびX2 ’が共にH、X1およびX1 ’が共にFである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、R1,R2,R3,R4およびR5がそれぞれ独立して、H、F、OR9からなる群から選ばれ、R9が水素またはメチルである式(I)の化合物が提供される。
【0023】
本発明の第1側面の他の具体例は、上記第1側面の具体例の2つ以上を適当に組合せてなる式(I)の化合物を提供する。
本発明の第2側面の他の具体例は、哺乳動物宿主、特にヒト宿主の腫瘍成長を抑制する方法を提供し、該抑制法は、本明細書で規定される本発明化合物の、腫瘍成長抑制量を上記宿主に投与することから成る。
【0024】
本発明の第3側面の具体例は、哺乳動物宿主の腫瘍成長を抑制する方法を提供し、該抑制法は、本発明の第1側面の具体例で規定される本発明化合物の医薬配合物(製剤)の、腫瘍成長抑制量を上記宿主に投与することから成る。
本発明の他の具体例および側面については、以下に記載の説明に従って明らかであろう。
【0025】
発明の詳細
ここで、本発明の説明については、化学結合の法則や原理と一致させて解釈すべきである。別の具体例または側面から従属する1つの具体例または側面には、それが従属する具体例または側面とは異なる数値および条件を持つ変記号のみを記載するだろう。
【0026】
すなわち、たとえば、“RがNH2である、本発明の第n側面による式(I)の化合物”と解される具体例は、第n側面に規定の数値を持つ残りの全ての変記号を含むと解釈すべきであり、さらに他に特別な指示がない限り、第n側面における変記号のどれもこれもに関係する全ての条件を含むと解釈すべきである。変記号がゼロの数値を有すると規定されている場合、該変記号に付く結合は除去すべきことが理解される。
【0027】
たとえば、n=0およびR−X−Vn(nは0または1となりうる)の場合、記載の構造はR−XでR−X−でないことが理解される。記号“C”の後の下付きの数字は、個々の基が含有できる炭素原子の数を規定する。
【0028】
たとえば、“C1−7アルキル”は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭素鎖を意味し、たとえば、これらに制限されるものでなく、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシルおよびn−ヘプチルが挙げられる。
【0029】
“アリール”とは、6〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素を意味し、たとえばフェニルおよびナフチルが挙げられる。“置換アリール”または“置換アラルキル”とは、C1−6アルカノイルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、トリフルオロメチル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、C1−6アルカノイル、ニトロ、アミノ、シアノ、アジド、C1−6アルキルアミノおよびアミドからなる群から選ばれる1〜5個(特に1〜3個)の基で置換されたアリールまたはアラルキル基を意味する。語句“ハロゲン”としては、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが挙げられる。
【0030】
なお、本発明は、他に特別な記載が明記されていない限り、可能性のある立体異性体、幾何異性体、ジアステレオマー、エナンチオマーおよびアノマーのいずれかおよび全てを包含することを理解すべきである。
【0031】
本発明の化合物は、医薬的に許容しうる塩の形状で存在しうる。かかる塩としては、たとえば、塩酸および硫酸などの無機酸や、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酒石酸およびマレイン酸などの有機酸との付加塩が挙げられる。
【0032】
さらに、本発明化合物が酸性の基を含有する場合、該酸性基はたとえば、カリウム塩およびナトリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩およびカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;およびトリエチルアンモニウム塩およびアルギニン塩などの有機塩基との塩の形状で存在しうる。本発明化合物は、水和されてあるいはそうでなくてもよい。
【0033】
本発明化合物は、錠剤、カプセル剤(これらは、それぞれ持続放出性(徐放性)もしくは時限放出性の配合を含む)、丸剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液、シロップおよびエマルジョンといった経口投与剤形で投与することができる。また本発明化合物は、医薬分野の当業者にとって周知の投与剤形を用い、静脈内、腹腔内、皮下または筋肉内に投与されてもよい。
【0034】
本発明化合物は単独投与できるが、一般には、選択投与方法や標準医薬実務に基づいて選ばれる医薬用担体といっしょに投与される。また本発明化合物は、適当な鼻腔内ビヒクルの局所使用による鼻腔内剤形で、または経皮パッチを用いる経皮ルートで投与することもできる。本発明化合物を経皮投与すると、投与生活規制を通じて投与量が連続するだろう。
【0035】
本発明の1つの側面は、腫瘍を移植したあるいは癌形成を受けやすい哺乳動物に対する、本発明化合物またはその医薬的に許容しうる塩もしくは溶媒化合物の投与を必然的に伴う。一般にかかる化合物は、約0.01mg/Kg〜MTD(最大許容量)の用量範囲で投与される。
【0036】
本発明化合物の投与量並びに投与生活規制およびスケジュールについては、各ケースにおいて、信頼できる専門医師の判断を利用し、かつ受容者の年令、体重および状態、投与方法並びに癌疾患状態の種類および程度を考慮して、注意深く調整しなければならない。
【0037】
本明細書で用いる語句“全身投与”とは、口腔舌下、バッカル、経鼻腔、経皮、直腸、筋肉内、静脈内、心室内、鞘内、および皮下経路を指称する。適正な臨床実務に従って、有害もしくは厄介な副作用のいずれも起こさずに、有効で有益な効きめをもたらす濃度レベルで本化合物を投与することが好ましい。
【0038】
詳細な説明
式(I)化合物の製造手順を、下記反応式1〜6に例示し、基本中間体/出発物質の製法を下記反応式7に例示する。
【0039】
反応式1:
【化5】
【0040】
反応式2:
【化6】
【0041】
反応式3:
【化7】
【0042】
反応式4:
【化8】
反応式5:
【化9】
【0043】
反応式6:
【化10】
反応式7:
【化11】
【0044】
反応式1において、選択的に保護されたグリコシド1をベンゼンなどの適当な溶媒中、室温〜100℃、好ましくは80℃もしくはその付近にて、ミツノブ条件下[O.ミツノブの「Synth.」(1、1、1981年)参照]、たとえばトリフェニルホスフィンおよびジイソプロピル・アゾジカルボキシレート(DIAD)を用いて処理し、4’−ブリッジド・グリコシド2を得る。次いで、パールマン(Pearlman)の触媒(20%Pd(OH)2/活性炭)上の水添分解を必然的に伴う通常の手順を用いて、ベンジル保護基の脱離を行い、完全脱保護のブリッジド・グリコシド3を得る。
【0045】
別法として、対応する過ベンジル化グリコシドを無水酢酸中ヨウ素で処理した後[K.P.R.Kartha、R.A.Fieldの「Tetrahedron」(53、11753、1997年)参照]、中間体アセテートの加水分解を行って、部分的脱保護されたグリコシドを製造することができる。次にこの選択的脱保護グリコシドを周知のフッ素化剤,DAST[(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド]で処理した後、前記の脱ベンジル化を行って、モノフッ素化ブリッジド・グリコシド4を得る。
【0046】
他のブリッジ手順が反応式2に示されている。5などの過ベンジル化グリコシドのイミド成分の脱保護を、塩基−誘発加水分解で行った後、酸性化して中間体無水物を得る。この無水物は、適当なアミンを用い便宜的にイミドに変換され、たとえばジメチルホルムアミド中ヘキサメチルジシラザンおよびメタノールの混合物との反応によってイミドが得られる[P.D.Davis、R.A.Bitの「Tetrahedron Lett.」(31、5201、1990年)参照]。次いで、対応する過ベンジル化グリコシドを無水酢酸中ヨウ素で処理した後[K.P.R.Kartha、R.A.Fieldの「Tetrahedron」(53、11753、1997年)参照]、中間体アセテートの加水分解を行って、選択的脱保護グリコシド7を製造することができる。
【0047】
次いで、得られる第一アルコールをたとえば、そのメシレートに、その後対応するヨウ化物に活性化し、次いで適当なアミン塩基、たとえば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)を用い、HI成分の除去を誘発せしめて、ビニルエーテル8を得ることができる。このビニルエーテルを適当な塩基、たとえばカリウム・t−ブトキシドの存在下、ヨウ素で処理してブリッジ反応に導き、1’,5’−ブリッジド・グリコシド9を得る。
【0048】
得られるヨウ化物9に対し、たとえば水素化物源として水素化トリ−n−ブチル錫、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用い、ラジカル−誘発還元を容易に行なうことにより、対応する6’−デオキシ・ブリッジド・グリコシドを得る。幾らかの標準方法を用い、たとえば三臭化ホウ素による処理で、ベンジル保護基の最終脱離を行なうことにより、化合物10を得ることができる。また別法として、過酸、たとえばm−クロロ過安息香酸を用いてヨウ化物9を容易に酸化して、6’−ヒドロキシ置換ブリッジド・グリコシド11を得ることができる。最後に前記の脱保護を行って、誘導体12を得る。
【0049】
また芳香族核(core)を、反応式3で示されるように容易に還元する。ヨウ化物13のラジカル還元を行った後、イミド成分を還元水素化物、たとえばホウ水素化ナトリウムで処理して還元し、さらにベンゼンセレノールを用いて還元し、対応ラクタムの混合物を得る。次いで前記の最終脱保護を行って、部分異性(regioisomeric)ラクタム15および16を得る。
【0050】
幾つかの場合に、未保護グリコシドを便宜的に用いて、ブリッジド・グリコシドを製造することができる。たとえば、反応式4で示されるように、未保護グリコシド17を上述のミツノブ反応条件下で環化せしめ、1’,6’−ブリッジド・グリコシド18を得る。この戦略は、最終の脱保護工程の必要を回避する点で有利である。
【0051】
1’,6’−ブリッジド・グリコシド合成への他の有用なアプローチは、反応式5に示される。この場合、前記グリコシド5を前記の如くモノ脱ベンジル化して、6’−脱保護グリコシド19を得る。この6’−脱保護グリコシドにブリッジ反応を行って、たとえばベンゼンなどの適当な溶媒中、室温から100℃付近、好ましくは80℃もしくは80℃付近の温度にて、トリメチルホスフィンおよび1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)の複合体を用いるミツノブ条件下で行って、化合物20を得る。次いでベンジル保護基を前記の通り脱離して、1’,6’−ブリッジド・グリコシド21を得る。
【0052】
またモノ脱ベンジル化グリコシドを用いて、反応式6で示されるように選択ブリッジド・グリコシドを製造しうる。すなわち、トリ−O−ベンジルグリコシド22の未保護ヒドロキシル基をそのメシレートに活性化し、次いで適当なアミン塩基、たとえばジイソプロピルエチルアミンを用い、メタンスルホン酸成分の除去を行って、1’,2’−ブリッジド・グリコシドを得、これを容易に前記の脱ベンジル化に付して、化合物23を得る。
【0053】
基本中間体の糖は、反応式7で示されるようにして製造される。商業上入手しうるメチル−α−D−グルコピラノシド24の4−デオキシグリコシド26への変換は、BarretteおよびGoodmanの「J.Org.Chem.」(49、176、1984年)の記載に準じ行なう。アノマー位の脱保護は2工程で行なうことができ、すなわち、最初にベンゼンチオールおよびルイス酸、たとえば三フッ化ホウ素・エテレートで処理した後[L.A.Paquette、J.A.Oplingerの「J.Org.Chem.」(53、2953、1988年)参照]、適当な溶媒、たとえばアセトンまたはアセトニトリル中、水の存在下、N−ブロモスクシンイミドを用いて得られるフェニルチオ糖誘導体27の加水分解を行なう[B.Fraser−Reidらの「J.Am.Chem.Soc.」(110、2662、1988年)参照]。
【0054】
別法として、アノマー位の脱保護は、1工程、すなわち、90%ギ酸などの適当な酸による処理で行ない、これによってグルコピラノシド28を直接得ることができる。28などのグリコピラノシドのグリコピラノシルクロリド29への変換は、IversenおよびBundleの「Carb.Res.」(103、29、1982年)に記載の手順に従って行なうことができる。
本発明を構成する化合物およびその製造法については、以下に示す実施例の考慮からより十分に明らかとなるだろう。なお、これらの実施例は単に例示を目的とし、いかなる場合も本発明の技術的範囲を制限すると解釈すべきではない。
【0055】
中間体の合成
式(I)の最終生成物の製造に用いる、幾つかの中間体化合物、並びに他の通常の出発物質は一般に、文献公知であるか、または商業上入手可能である。それにも拘らず、これら幾つかの化合物の代表的な合成法を以下に記載する。
【0056】
無水反応の全ては、商業上入手しうる乾燥溶媒または新たに蒸留した溶媒を用い、窒素またはアルゴンの雰囲気下で行なう。融点はThomas−Hoover融点測定装置を用い、開毛管中で測定し、修正せず。カラムクロマトグラフィーは、EM Science シリカゲル60(230〜400メッシュ)を用い、溶離剤として指定の溶剤系を用いて行なう。
【0057】
薄層クロマトグラフィーは、E.Merck シリカゲル60F254プレート(0.5mm)にて行なう。HPLC純度測定は、SPD−10AV UV−Vis検出器と、YMC Combiscreen ODS−A(4.6×50mm)またはHP Zorbax SB−C18(4.6×750mm)カラムの1つを持つShimadzu LC−10AS;またはダイオード・アレイ検出器とWaters Nova−Pak C18カラム(3.9×150mm)を持つHP1090DR5を用いて行なう。赤外スペクトルは、薄手フィルムまたはKBrペレットとしてNicolet Protege 460FTIRに記録する。
【0058】
1H−NMRスペクトルは、Bruker AMX−400またはBruker ARX−500NMR分光計で記録し、化学シフトは内部標準として溶剤を用い、ppm(またはδ)で表示する。カップリング定数はヘルツ(Hz)で示し、多重線は以下の通りである:一重線(s)、二重線(d)、三重線(t)、四重線(q)、多重線(m)、およびブロード(br)。低分解(low resolution)質量スペクトルは、陰イオンモードで作動するFinnigan Matt TSQ−7000トリプル・ステージ四極子分光計(陽/陰ESI)で測定する。
【0059】
実施例1:6−(4−t−ブチルベンジル)−2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化12】
【0060】
10mLの乾燥ベンゼン中の6−(4−t−ブチルベンジル)−2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.377g、0.39ミリモル)の溶液に、トリメチルホスフィンの溶液(THF中1M、0.78mL、0.78ミリモル)、次いで1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)(0.227mg、0.90ミリモル)を加える。Ar下室温で5分間撹拌後、得られる赤血色混合物を30分間加熱還流する。冷却した黄色−オレンジ色混合物をそのまま、シリカゲルフラッシュカラムに加える。ジクロロメタンで溶離して、標記化合物(0.276g、74%)を明黄色ガラス状物で得る。
【0061】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.07(dd、J=10.5、8.4Hz、1H)、8.99(dd、J=10.5、8.3Hz、1H)、7.7−7.3(m、15H)、6.82(br s、3H)、6.47(br s、2H)、6.27(m、1H)、5.99(d、J=7.7Hz、1H)、5.00(d、J=12.7Hz、1H)、4.99(d、J=11.0Hz、1H)、4.96(d、J=11.0Hz、1H)、4.82(d、J=12.6Hz、1H)、4.81(d、J=15.0Hz、1H)、4.73(d、J=14.7Hz、1H)、4.61(m、1H)、4.45(br s、1H)、4.18−4.11(m、2H)、3.97−3.92(m、4H)、1.26(s、9H)
【0062】
実施例2:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化13】
【0063】
20mLのエタノール/THF(1:1)中の6−(4−t−ブチルベンジル)−2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.276g、0.29ミリモル)の溶液に、5mLの5M−KOH溶液を加える。得られる混合物をAr下で2h加熱還流し、その間、THFを徐々に留出せしめる(デイーン−スターク(Dean−Stark)トラップ)。反応混合物を0℃で冷却し、濃HClで酸性化し、次いで酢酸エチルで希釈する。
【0064】
この混合物をr.t.(室温)で1h激しく撹拌し、次いで有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出する。コンバインした有機相を洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体を得る。固体をジクロロメタン/アセトニトリルに溶かし、溶液を濃縮して沈澱物を得る。固体を濾別し、アセトンで少し洗い、減圧乾燥して、195mg(83%)の無水物を明黄色固体で得る。
【0065】
この無水物/10mLの乾燥DMFの溶液に、メタノール(0.105mL、10当量)、次いでヘキサメチルジシラザン(1.09mL、20当量)を加える。r,t.で7h撹拌後、混合物を酢酸エチルと飽和水性NH4Cl間に分配し、有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出する。コンバインした有機相を洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体を得る。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/酢酸エチル=1:0、次いで4:1)を行って、純生成物(0.183g、全収率78%)を黄色ガラス状物で得る。
【0066】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ8.87(m、1H)、8.74(m、1H)、7.8−7.3(m、12H)、7.12(br、1H)、7.00(br、2H)、6.65(br、1H)、6.30(br、1H)、5.98(d、J=7.4Hz、1H)、4.99(m、3H)、4.80(d、J=12.5Hz、1H)、4.54(br s、2H)、4.25−3.85(m、6H)
MS(ESI−),m/e810(M−H)−
【0067】
実施例3:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−(1,6−β−−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化14】
【0068】
40mLのクロロホルム/メタノール(1:1)中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.086g、0.106ミリモル)の溶液に、20%Pd(OH)2/C(0.090g)を加え、混合物を激しく撹拌下、室温にて72h水素添加する(バルーン圧)。次いで得られる混合物を濾過し[セライト(Celite)]、ケーキをメタノール、THF、再度メタノールで連続して洗う。
【0069】
濾液の蒸発で茶色がかった黄色ゴム状物を得、これを少量のメタノールに溶かして固体を得る。固体を濾別し、メタノールで少し洗い、減圧乾燥して標記化合物を黄色固体で得る。濾液を蒸発し、残渣を再度、最小量のメタノールに溶かし、室温で静置させて、追加の純生成物を得る。全収量0.038g(60%)。
【0070】
IR(KBr):1749、1700、1487、1473cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ11.17(s、1H)、8.99(dd、J=11.0、9.1Hz、1H)、8.89(dd、J=10.8、8.6Hz、1H)、8.37(dd、J=12.6、7.2Hz、1H)、8.10(dd、J=11.6、6.8Hz、1H)、6.17(br s、1H)、5.95(d、J=7.9Hz、1H)、5.57(d、J=4.6Hz、1H)、5.53(d、J=4.6Hz、1H)、4.89(m、1H)、4.57(m、1H)、4.41(br m、1H)、4.30(dd、J=12.2、2.9Hz、1H)、3.76(d、J=5.7Hz、1H)、3.68(m、1H)
MS(ESI−),m/e540(M−H)−
HPLC:97.2%(320nm)
【0071】
実施例4:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化15】
本例化合物を実施例3の記載に準じ、収率69%、黄色固体で製造する。
【0072】
IR(KBr):1717、1700、1487、1473cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ9.19(m、1H)、9.09(m、1H)、8.37(dd、J=12.5、7.1Hz、1H)、7.69(dd、J=11.2、6.6Hz、1H)、5.90(d、J=7.5Hz、1H)、4.64(m、3H)、4.48(br s、1H)、3.96(dt、J=9.6、8.6Hz、1H)、2.84(dt、J=13.4、8.5Hz、1H)
MS(ESI−),m/e524(M−H)−
HPLC:99.6%(320nm)
【0073】
実施例5:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(3−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化16】
【0074】
本例化合物を実施例3の記載に準じ、収率75%、黄色固体で製造する。
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.35(s、1H)、8.63(m、1H)、8.56(m、1H)、7.95(m、1H)、7.51(m、1H)、5.52(d、J=5.6Hz、1H)、5.20(br s、1H)、4.45(m、3H)、4.18(d、J=12.7Hz、1H)、4.07(m、1H)、3.91(m、1H)、2.50(m、1H)、1.84(m、1H)
MS(ESI−),m/e524(M−H)−
HPLC:98.5%(320nm)
【0075】
実施例6:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(3−デオキシ−3−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化17】
【0076】
本例化合物を実施例3の記載に準じ、収率58%、黄色固体で製造する。
IR(KBr):1826、1757、1489、1475cm−1
1H−NMR(THF−d8、400MHz):δ10.83(s、1H)、8.92−8.80(m、2H)、8.48(m、1H)、7.88(m、1H)、6.38(br s、1H)、6.16(d、J=7.8Hz、1H)、5.47(br s、1H)、4.96(m、2H)、4.84−4.67(m、2H)、4.56(d、J=12.5Hz、1H)、4.15(dt、J=25.0、5.5Hz、1H)
MS(ESI−),m/e542(M−H)−
HPLC:98.5%(320nm)
【0077】
実施例7:1,11−ジクロロ−12,13−[1,6−(4−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化18】
【0078】
10mLのTHF中の1,11−ジクロロ−12−(4−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.184g、0.32ミリモル)の懸濁液にAr下室温にて、トリフェニルホスフィン(0.262g、1.0ミリモル)、次いでジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(0.193mL、1.0ミリモル)を加える。
【0079】
得られる混合物を室温で3日間撹拌し、次いでこれを濾過し、濾液を蒸発して黄色ゴム状物を得る。このゴム状物をジクロロメタンと共にトリチュレートし、混合物を濾過して固体を得、これをメタノールに溶かし、激しく撹拌すると、固体が分離する。固体を濾過で単離し、減圧乾燥して、標記化合物(0.113g、64%)を明黄色固体で得る。
【0080】
IR(KBr):1711、1321、1064cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ11.44(s、1H)、9.26(d、J=7.9Hz、1H)、9.15(d、J=7.9Hz、1H)、7.76(d、J=7.4Hz、1H)、7.61(d、J=7.8Hz、1H)、7.50(t、J=7.9Hz、1H)、7.41(t、J=7.9Hz、1H)、6.61(d、J=7.3Hz、1H)、5.70(dd、J=16.8、5.8Hz、1H)、5.15(d、J=5.9Hz、1H)、4.91(d、J=6.0Hz、1H)、4.80(d、J=5.6Hz、1H)、4.23(d、J=5.0Hz、1H)、4.21(d、J=16.1Hz、1H)、3.58(s、3H)、3.54(m、1H)、3.44(m、1H)
MS(ESI−),m/e550(M−H)−
HPLC:97.3%(320nm)
【0081】
実施例8:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化19】
【0082】
本例化合物を実施例7の記載に準じ、収率48%、黄色固体で製造する。
IR(KBr):1750、1700、1488、1473cm−1
1H−NMR(THF−d8、400MHz):δ10.06(s、1H)、9.17(dd、J=11.3、8.6Hz、1H)、9.07(dd、J=11.1、8.4Hz、1H)、8.36(dd、J=12.3、6.9Hz、1H)、7.79(dd、J=11.3、6.6Hz、1H)、6.04(d、J=7.8Hz、1H)、5.93(br s、1H)、5.61(br s、1H)、4.87−4.50(m、5H)、4.10(m、1H)
MS(ESI−),m/e542(M−H)−
HPLC:99.0%(320nm)
【0083】
実施例9:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4,4−ジフルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化20】
【0084】
本例化合物を実施例7の記載に準じ、収率6%、黄色固体で製造する。
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.85(s、1H)、8.96(dd、J=11.3、8.7Hz、1H)、8.90(dd、J=11.0、8.5Hz、1H)、8.29(dd、J=12.4、7.1Hz、1H)、7.99(dd、J=11.5、6.7Hz、1H)、6.09(d、J=8.0Hz、1H)、4.98−4.70(m、4H)、4.31(dt、J=15.4、11.3Hz、1H)
MS(ESI−),m/e560(M−H)−
HPLC:95.2%(320nm)
【0085】
実施例10:2,10−ジフルオロ−12,13−[1,6−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化21】
【0086】
本例化合物を実施例7の記載に準じ、収率12%、mp>300℃の黄色固体で製造する。
IR(KBr):3414(br)、1744、1702、1619、1582、1490、1468、1449、1415、1328、1182、1112、1043、826、763cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、500MHz):δ9.22(dd、J=8.6、6.3Hz、1H)、9.14(dd、J=8.6、6.0Hz、1H)、8.14(d、J=9.9Hz、1H)、7.81(dd、J=10.5、1.8Hz、1H)、7.24−7.18(m、2H)、5.98(d、J=7.7Hz、1H)、5.63(br s、1.5H)、4.85−4.83(m、1H)、4.65−4.60(m、1H)、4.49(m、1H)、4.35−4.32(m、1H)、3.80(d、J=6.3Hz、1H)、3.68(dd、J=10.8、6.3Hz、1H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0087】
実施例11:2,10−ジフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバソール−5,7−ジオン
【化22】
【0088】
本例化合物を実施例7の記載に準じ製造し、LH−20クロマトグラフィー(MeOH)後に収率24%、mp315℃(分解)の黄色固体で単離する。
IR(KBr):3423、2926、1747、1702、1619、1583、1490、1467、1449、1415、1358、1222、1182、1146、1110、1040、996、937、827、763、641cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、500MHz):δ9.21−9.19(m、1H)、9.12−9.10(m、1H)、8.10(d、J=10.9Hz、1H)、7.92(d、J=10.4Hz、1H)、7.21−7.15(m、2H)、6.08(d、J=7.6Hz、1H)、5.04−5.01(m、1H)、4.87(dd、JHF=50.7、5.3Hz、1H)、4.69−4.60(2m、2H)、4.55(m、1H)、3.98(ddd、JHF=28.0、J=10.8、5.4Hz、1H)
MS(ESI−),m/e506(M−H)−
【0089】
実施例12:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化23】
【0090】
5mLの乾燥ベンゼン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.168g、0.20ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(0.157g、0.60ミリモル)の溶液に、Ar下室温にてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(0.118mL、0.60ミリモル)を滴下する。室温で15分間撹拌後、得られる赤血色混合物を30分間加熱還流する。冷却した混合物を蒸発し、得られるオレンジ色ゴム状物をクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/アセトニトリル=1:0、次いで97:3)に付し、標記化合物(0.124g、77%)を明黄色ガラス状物で得る。
【0091】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.17(dd、J=10.7、8.3Hz、1H)、9.00(dd、J=10.6、8.2Hz、1H)、7.65(br s、1H)、7.48−7.30(m、9H)、7.20(m、3H)、7.13(dd、J=7.6、7.2Hz、2H)、6.67(d、J=7.3Hz、2H)、6.61(m、1H)、6.33(s、1H)、5.52(dd、J=8.5、2.0Hz、1H)、4.84(d、J=12.2Hz、1H)、4.83(m、1H)、4.54(d、J=12.2Hz、1H)、4.34(d、J=8.4Hz、1H)、4.31(d、J=11.2Hz、1H)、4.04(m、2H)、3.95(d、J=1.4Hz、1H)、3.56(dd、J=8.9、4.7Hz、1H)、3.02(t、J=9.2Hz、1H)
MS(ESI−),m/e810(M−H)−
【0092】
実施例13:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−(1,4−β−D−ガラクトピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化24】
【0093】
10mLのクロロホルム/メタノール(1:1)中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.059g、0.073ミリモル)および20%Pd(OH)2/C(0.059g)の混合物を、激しく撹拌しながら室温にて17h水素添加する(バルーン圧)。
【0094】
次いで得られる混合物を濾過し(セライト)、ケーキをTHF、メタノールおよびジクロロメタンで連続して洗う。濾液の蒸発で固体を得、これをTHFに溶かし、濾過する。濾液を蒸発し、残渣を最小量の冷メタノールと共にトリチュレートし、濾過し、減圧乾燥する。これによって、標記化合物(0.032g、80%)を明黄色固体で得る。
【0095】
IR(KBr):1750、1700、1487、1473cm−1
1H−NMR(THF−d8、400MHz):δ10.13(br s、1H)、9.20(m、2H)、7.79(dd、J=12.0、6.6Hz、1H)、7.71(dd、J=11.4、6.5Hz、1H)、6.56(s、1H)、5.71(dd、J=7.9、2.8Hz、1H)、5.46(d、J=4.0Hz、1H)、4.76(m、1H)、4.63(d、J=4.5Hz、1H)、4.46(m、1H)、4.12(dd、J=5.6、3.6Hz、1H)、4.05(m、1H)、3.43(m、1H)、2.97(m、1H)
MS(ESI−),m/e540(M−H)−
HPLC:95.5%(320nm)
【0096】
実施例14:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化25】
【0097】
5mLの無水酢酸中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.124g、0.15ミリモル)およびヨウ素(0.010mg、0.038ミリモル)の混合物を、Ar下室温にて16h撹拌する。次いで得られる混合物を減圧蒸発し、残渣をトルエンに溶かし、再度蒸発して、黄色ゴム状物を得る。
【0098】
次いでこの物質を15mLのメタノールに溶かし、3mLの水酸化アンモニウム溶液を加え、フラスコを密封し、混合物を室温で20h撹拌する。次いで混合物を減圧蒸発し、残渣をトルエンに溶かし、再度蒸発して黄色ゴム状物を得る。この物質のフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/酢酸エチル=9:1)により、標記化合物(0.078g、72%)を黄色ガラス状物で得る。
【0099】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ8.81(m、1H)、8.65(m、1H)、7.85(s、1H)、7.38(m、6H)、7.22−7.14(m、3H)、6.78(d、J=6.9Hz、2H)、6.54(dd、J=10.4、6.3Hz、1H)、6.29(s、1H)、5.47(d、J=7.9Hz、1H)、4.81(d、J=12.2Hz、1H)、4.75(m、1H)、4.52(d、J=12.3Hz、1H)、4.36(d、J=7.7Hz、1H)、4.15(m、2H)、3.96(s、1H)、3.67(dd、J=10.8、5.5Hz、1H)、3.39(dd、J=10.6、8.1Hz、1H)、2.06(br s、1H)
MS(ESI−),m/e720(M−H)−
【0100】
実施例15:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(6−デオキシ−6−フルオロ−2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化26】
【0101】
7.5mLの乾燥ジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.232g、0.32ミリモル)の溶液に、Ar下−40℃にて(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド(DAST)(0.127mL、0.96ミリモル)を滴下する。20分後冷却浴を取外し、混合物を室温で3h撹拌する。
【0102】
次いで反応混合物を再度−40℃で冷却し、再びDAST(0.065mL、0.49ミリモル)を加える。次いで混合物を室温で3h撹拌し、−40℃で再冷却し、メタノール(10mL)で反応を抑え、蒸発してゴム状物を得る。この物質のフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/酢酸エチル=1:0、次いで95:5)により、標記化合物(0.168g、72%)を明黄色ガラス状物で得る。
【0103】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.13(dd、J=10.7、8.3Hz、1H)、8.93(dd、J=10.7、8.2Hz、1H)、7.71(s、1H)、7.48(m、6H)、7.33(dd、J=10.7、6.2Hz、1H)、7.22(t、J=7.3Hz、1H)、7.16(dd、J=7.6、7.1Hz、2H)、6.68(d、J=7.1Hz、2H)、6.54(dd、J=10.5、6.3Hz、1H)、6.33(s、1H)、5.45(d、J=8.6Hz、1H)、4.94(m、1H)、4.89(d、J=12.2Hz、1H)、4.58(d、J=12.3Hz、1H)、4.50(dd、J=9.2、5.2Hz、0.5H)、4.39(d、J=8.2Hz、1H)、4.38(m、0.5H)、4.05(m、1H)、3.98(m、1H)
MS(ESI−),m/e722(M−H)−
【0104】
実施例16:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(6−デオキシ−6−フルオロ−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化27】
【0105】
25mLのクロロホルム/メタノール(1:1)中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−6−デオキシ−6−フルオロ−β−D−ガラクトピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.168g、0.23ミリモル)および20%Pd(OH)2/C(0.185g)の混合物を、激しく撹拌しながらr.t.にて3日間水素添加する(バルーン圧)。
【0106】
次いで得られる混合物を濾過し(セライト)、ケーキをメタノール、次いでTHFで洗い、濾液を蒸発して固体を得る。この物質をクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノール/THF=8:1:1)に付し、生成物含有画分をコンバインし、再度クロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノール/THF=90:5:5)に付して、純粋な標記化合物(0.096g、77%)を明黄色固体で得る。
【0107】
IR(KBr):1753、1716、1487、1474cm−1
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.22(dd、J=11.2、8.5Hz、1H)、9.18(dd、J=11.3、8.4Hz、1H)、7.90(dd、J=11.7、6.6Hz、1H)、7.87(dd、J=11.8、6.5Hz、1H)、6.77(s、1H)、5.96(dd、J=8.6、2.8Hz、1H)、5.10(m、1H)、4.70(dd、J=6.5、1.5Hz、1H)、4.40(dd、J=10.0、5.3Hz、0.5H)、4.30(m、1H)、4.19(dd、J=9.7、6.4Hz、0.5H)、3.29(s、1H)
MS(ESI−),m/e542(M−H)−
HPLC:97.5%(320nm)
【0108】
実施例17:2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−ジデオキシ−5,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化28】
【0109】
100mLのジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3−ジ−O−ベンジル−4−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(2.00g、2.76ミリモル)および新たに賦活した粉砕4Åモレキュラーシーブス(0.60g)の混合物を、Ar下5℃で冷却し、トリエチルアミン(0.77mL、5.52ミリモル)、DMAP(0.20g、1.64ミリモル)およびメタンスルホニルクロリド(0.32mL、4.14ミリモル)を連続して加える。
【0110】
混合物を同温で2h撹拌し、次いでこれを濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗う。濾液を酢酸エチル(200mL)およびエーテル(50mL)で希釈し、次いで洗浄し(H2O×2回、塩水)、乾燥し(MgSO4)、蒸発して黄色ガラス状物を得る。この物質を100mLのアセトンに溶かし、NaIを加え、混合物をAr下18h加熱還流する。次いで冷却した混合物を蒸発乾固し、残渣を10mLの酢酸エチルに溶かし、洗浄し(H2O×2回、塩水)、乾燥し(MgSO4)、蒸発する。
【0111】
得られる固体をクロマトグラフィー(SiO2、2〜32%酢酸エチル/ヘキサン)に付して、2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3−ジ−O−ベンジル−4−デオキシ−6−ヨード−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.90g、39%)を非晶質黄色固体で得る。このヨウ化物(0.500g、0.60ミリモル)/20mLの乾燥THFの氷冷溶液に、DBU(0.27mL、1.80ミリモル)を加え、溶液を5℃で2h保持する。次いで冷却浴を取外し、室温で16h撹拌を続ける。
【0112】
次いで追加のDBU(0.27mL、1.80ミリモル)を加え、さらに反応を24h続ける。さらにDBU(0.27mL、1.80ミリモル)を加え、撹拌を24h続ける。得られる混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで洗浄し(1N−HCl×2回、H2O×2回、1M−NaHCO3×2回、H2O、塩水)、乾燥し(MgSO4)、蒸発してゴム状物を得る。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、2〜16%酢酸エチル/ヘキサン)を行って、標記化合物(0.297g、70%)を黄色固体で得る。
【0113】
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.11(dd、J=11.0、8.5Hz、1H)、8.95(dd、J=11.0、8.5Hz、1H)、7.94(m、1H)、7.46(m、2H)、7.37(m、4H)、6.84(t、J=7.3Hz、1H)、6.69(m、2H)、6.57(d、J=8.5Hz、1H)、6.43(br s、2H)、4.92(d、J=11.4Hz、1H)、4.74(d、J=11.4Hz、1H)、4.69(s、1H)、4.58(s、1H)、4.40(d、J=11.8Hz、1H)、4.26(d、J=5.5Hz、2H)、3.99(d、J=11.8Hz、1H)、3.25(m、1H)
MS(ESI−),m/e704(M−H)−
【0114】
実施例18:2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−デオキシ−5,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化29】
【0115】
本例化合物を実施例17の記載に準じ、全収率54%、黄色固体で製造する。
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.38(s、1H)、9.13(t、J=9.3Hz、1H)、8.99(t、J=9.3Hz、1H)、7.56−7.41(m、6H)、7.29(m、2H)、6.90(t、J=7.1Hz、1H)、6.74(t、J=7.5Hz、2H)、6.68(d、J=7.9Hz、1H)、6.43(d、J=7.2Hz、3H)、5.06(m、2H)、4.84(d、J=11.6Hz、1H)、4.74(d、J=1.3Hz、1H)、4.68(d、J=10.1Hz、1H)、4.58−4.54(m、2H)、4.19(m、1H)、3.94(d、J=11.4Hz、1H)
MS(ESI−),m/e810(M−H)−
【0116】
実施例19:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化30】
【0117】
THF(7mL)とメタノール(1mL)の混合物中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−デオキシ−5,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.047g、0.058ミリモル)の溶液に、カリウム・t−ブトキシド(0.025g、0.22ミリモル)、次いでヨウ素(0.047g、0.19ミリモル)を加える。
【0118】
得られる茶色混合物を、Ar下室温にて18h撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。次いでこの混合物を洗浄し(水性Na2S2O3、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して茶色残渣を得る。分取tlc(ヘキサン/酢酸エチル=2:1)で精製して、標記化合物(0.022g、41%)を黄色固体で得る。
【0119】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.01(dd、J=10.4Hz、8.6Hz、1H)、8.82(dd、J=10.5Hz、8.2Hz、1H)、7.70(s、1H)、7.49(m、3H)、7.39(d、J=3.6Hz、2H)、7.22−7.05(m、6H)、6.90−6.84(m、3H)、6.78(d、J=7.3Hz、2H)、6.33(dd、J=10.6Hz、6.2Hz、1H)、6.22(d、J=4.9Hz、1H)、5.05(d、J=11.9Hz、1H)、4.69(t、J=11.1Hz、2H)、4.57−4.53(m、2H)、4.41(d、J=11.1Hz、1H)、4.21(d、J=11.6Hz、1H)、4.16−4.11(m、1H)、4.08(m、3H)
MS(ESI−),m/e936(M−H)−
【0120】
実施例20:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(4,6−ジデオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化31】
【0121】
本例化合物を実施例19の記載に準じ、収率68%で製造する。
1H−NMR(アセトン−d6、500MHz):δ9.10(dd、J=10.4Hz、8.6Hz、1H)、8.95(dd、J=10.4Hz、8.6Hz、1H)、8.02(m、1H)、7.6−7.4(m、7H)、7.08(m、1H)、6.90(m、1H)、6.76−6.65(m、2H)、6.70(d、J=1Hz、1H)、5.05(d、J=11.5Hz、1H)、4.98(d、J=11.5Hz、1H)、4.91(d、J=12.3Hz、1H)、4.23(dd、J=3.3、3.3Hz、1H)、4.22(d、J=12.3Hz、1H)、4.15(dd、J=1、3.3Hz、1H)、3.80(d、J=11.5Hz、1H)、3.73(d、J=11.5Hz、1H)、3.25(dd、J=3.3、14.9Hz、1H)、3.01(dd、J=3.3、14.9Hz、1H)
MS(ESI−),m/e830(M−H)−
【0122】
実施例21:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化32】
【0123】
5mLのジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.025g、0.027ミリモル)の溶液にAr下−78℃にて、三臭化ホウ素の溶液(ジクロロメタン中1M、0.27mL、0.27ミリモル)を滴下する。30分後に別途0.15mL(0.15ミリモル)の三臭化ホウ素溶液を加え、反応混合物を1hにわたって0℃まで加温せしめる。
【0124】
次いで混合物を−78℃で再冷却し、再度0.20mL(0.20ミリモル)の三臭化ホウ素溶液を加え、混合物を2hにわたって0℃まで加温せしめる。次いで反応混合物にメタノールを加えて反応を抑え、酢酸エチルで希釈し、洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発する。残渣を分取tlc(THF/ヘキサン=2:1)で精製して、標記化合物(0.003g、21%)を黄色固体で得る。
【0125】
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ11.26(s、1H)、8.97(t、J=9.5Hz、1H)、8.76(t、J=9.1Hz、1H)、8.01−7.91(m、2H)、6.46(d、J=5.2Hz、1H)、6.26(d、J=5.3Hz、1H)、5.87(d、J=5.3Hz、1H)、5.38(s、2H)、4.21(m、1H)、4.10(m、1H)、3.79−3.71(m、2H)、3.16(d、J=5.3Hz、1H)
MS(ESI−),m/e540(M−H)−
HPLC:97.0%(320nm)
【0126】
実施例22:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−(1,5−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化33】
【0127】
数滴の水を含有する4mLのジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.025g、0.027ミリモル)の溶液に、m−クロロ過安息香酸(0.018g、0.11ミリモル)を加え、得られる混合物を室温で3日間撹拌する。次いで混合物を酢酸エチルと飽和水性NaHSO3間に分配し、有機相を分離し、洗い(飽和水性NaHCO3、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体を得る。
【0128】
分取tlcで精製を行って、2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−ヒドロキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.006g、27%)を黄色固体で得る。MS(ESI−),m/e826(M−H)−。この物質をジクロロメタン(5mL)に溶かし、溶液をAr下−78℃で冷却し、次いで三臭化ホウ素溶液(ジクロロメタン中1M、0.073mL、0.073ミリモル)を滴下する。
【0129】
得られる混合物を−78℃で15分間、次いで0℃で75分間保持し、最後にメタノールで反応を抑え、酢酸エチルで希釈する。次いでこの混合物を洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発し、残渣を分取Tlc(THF/ヘキサン=3:2)で精製して、標記化合物(0.0016g、40%)を黄色固体で得る。
【0130】
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ10.01(s、1H)、9.09(dd、J=11.4Hz、8.7Hz、1H)、8.88(t、J=8.8Hz、1H)、7.88−7.76(m、2H)、6.55(d、J=6.0Hz、1H)、4.79−4.67(m、2H)、4.26−4.18(m、2H)、4.12−4.06(m、1H)、3.89−3.78(m、2H)、3.52(m、1H)、3.29(s、1H)
MS(ESI−),m/e556(M−H)−
HPLC:98.1%(320nm)
【0131】
実施例23:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5−オンおよび
2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−7−オン
【化34】
【0132】
10mLのエタノール中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.060g、0.074ミリモル)の溶液に、ホウ水素化ナトリウム(0.027g、0.71ミリモル)を三回に分けて1h間隔で加える。最後の添加の1時間後に、別途0.035g(0.92ミリモル)のホウ水素化ナトリウムを加え、得られる混合物を室温で3日間撹拌する。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、洗い(飽和NH4Cl、飽和NaHCO3、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体残渣を得る。
【0133】
この残渣を直ちにジクロロメタン(5mL)に溶かし、フェニルセレノール(0.055mL、0.52ミリモル)を加えた後、p−トルエンスルホン酸モノ水和物(0.003g、0.015ミリモル)を加える。室温で2h後、得られる混合物を蒸発し、残渣を分取tlc(ジクロロメタン/メタノール=97:3)で精製して、2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5−オンと2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−7−オンの1:1混合物(0.014g、24%)をほぼ無色の固体で得る。MS(ESI−),m/e796(M−H)−。
【0134】
この物質をジクロロメタン(5mL)に溶かし、−78℃で冷却し、次いで三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M、0.18mL、0.18ミリモル)で処理する。混合物を−78℃で15分間、次いで−20℃で2h撹拌してから、−78℃で再冷却し、再度三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M、0.10mL、0.10ミリモル)で処理する。次いで混合物を5℃で18h、さらに室温で5h保持する。
【0135】
このプロセスをもう1回繰返し、得られる混合物を1N−HClと酢酸エチル間に分配する。有機相を分離し、洗い(1N−HCl、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発し、得られる残渣を分取tlc(THF/ヘキサン=2:1)で精製して、標記化合物の分離できない1:1混合物(0.0032g、36%)をほぼ無色の固体で得る。
【0136】
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.34(dd、J=11.8Hz、9.0Hz、1H)、9.08(dd、J=11.6Hz、8.6Hz、1H)、7.94(dd、J=10.5Hz、7.9Hz、1H)、7.81−7.72(m、1H)、7.69−7.59(m、1H)、6.47(dd、J=5.4Hz、3.2Hz、1H)、5.48−5.31(m、2H)、5.03−4.90(m、2H)、4.50−4.45(m、1H)、4.20−4.12(m、1H)、4.07−4.02(m、1H)、3.61(m、1H)、2.72(s、3H)
MS(ESI−),m/e526(M−H)−
HPLC:98.0%(320nm)
【0137】
実施例24:2,10−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化35】
【0138】
乾燥ピリジン(3mL)中の2,10−ジフルオロ−12−[3,4,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.100g、0.126ミリモル)および火炎乾燥した4Åモレキュラーシーブス粉(0.10g)の混合物を、窒素下0℃に15分間冷却してから、メタンスルホニルクロリド(0.012mL、0.15ミリモル)を加える。混合物を室温で8h撹拌し、次いで0℃に再冷却し、別途メタンスルホニルクロリド(0.015mL)で処理する。
【0139】
次いで混合物を室温で1h撹拌する。この順序を出発物質の全てが消費されるまで、1時間毎に繰返す。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、0.1N−HCl、飽和NaHCO3および塩水で洗った後、乾燥し、溶媒蒸発する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=3:7)で精製して、メシレート(0.080g、73%)を黄色固体で得、これをそのまま次工程に用いる。
【0140】
このメシレートを無水ジメチルホルムアミド(1mL)に溶かし、乾燥ジイソプロピルエチルアミン(0.050mL、0.29ミリモル)を加える。混合物を110℃に1h加熱し、次いで周囲温度で一夜撹拌する。得られる混合物を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、1N−HClおよび塩水で洗い、乾燥し、濃縮する。残渣をEtOH/THF/MeOH(3:3:1)に溶かし、10%水酸化パラジウム/炭素(0.30g)を加え、混合物をパール(Parr)振とう機にて、室温および60psiで24h水素添加する。
【0141】
次いで混合物をセライトで濾過し、濾過ケーキをTHFおよびメタノールで洗う。濾液を減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9:1)で精製して、標記化合物(0.020g、全32%)を黄色固体で得る。mp>300℃。
IR(KBr):3307(br)、2926、2876、1745、1710、1697、1619、1575、1466、1438、1349、1322、1174、1117、1070、1025、760cm−1
【0142】
1H−NMR(DMSO−d6、500MHz):δ11.09(s、1H)、8.81(d、J=10.8Hz、1H)、8.73(dd、J=8.3、6.4Hz、1H)、8.61(dd、J=8.4、5.6Hz、1H)、7.87(d、J=8.0Hz、1H)、7.34−7.27(m、2H)、6.84(d、J=4.6Hz、1H)、6.80(s、1H)、5.64(d、J=5.1Hz、1H)、5.15(s、1H)、4.40−4.33(m、2H)、3.70−3.68(m、1H)、3.59−3.58(m、1H)、3.52−3.48(m、1H)、3.37−3.25(m、1H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0143】
実施例25:3,9−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−ガラクトピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化36】
【0144】
無水エタノール(750mL)中の3,9−ジフルオロ−6−(4−t−ブチルベンジル)−12−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(2.22g、3.31ミリモル)の撹拌溶液に、4.45M−KOH(75mL)を加え、得られる赤血色溶液を室温で一夜撹拌せしめる。
【0145】
反応液を濃HCl(80mL)で酸性化し、酢酸アンモニウム固体(750g)および無水エタノール(350mL)を加え、反応混合物を5日間還流する。次いで反応混合物を約2/3に濃縮し、室温まで冷却し、酢酸エチル(3500mL)および水(1500mL)を加える。
【0146】
有機層を水(1500mL×4)、飽和重炭酸ナトリウム(1500mL×1)、水(1500mL×1)および塩水(1500mL×1)で抽出し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去する。得られる残渣をシリカゲルに予め吸着させ、塩化メチレンに詰込んだフラッシュカラムに加え、塩化メチレン/アセトン勾配で溶離する。さらにSephadex LH−20/メタノールにて精製し、0.0237gの標記化合物を得る(1.4%)。
【0147】
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ11.04(br s、1H)、8.32(dd、1H、J=9.1、2.8Hz)、8.22(dd、1H、J=9.1、2.6Hz)、8.06(dd、1H、J=9.0、4.4Hz)、7.93(dd、1H、J=9.3、4.3Hz)、7.45−7.35(m、2H)、6.72(br s、1H、1’H)、6.13(br s、1H、3’OH)、5.38(br s、1H、3’H)、4.77(br s、1H、2’H)、4.73(d、1H、4’OH、J=5.5Hz)、4.73(t、1H、6’OH、J=5.4Hz)、4.28(dd、1H、5’H、J=6.2、6.1Hz)、3.71(br s、1H、4’H)、3.38−3.18(m、2H、6’H、6”H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0148】
実施例26:3,9−ジフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化37】
【0149】
無水THF(200μL)中の3,9−ジフルオロ−12−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.0100g、0.019ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(0.010g、0.038ミリモル)の撹拌溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(7.5μL、0.038ミリモル)を加える。得られる赤血色溶液を室温で3h撹拌した後、追加のジイソプロピルアゾジカルボキシレート(3μL、0.015ミリモル)を加える。
【0150】
反応液を室温で30分間撹拌し、次いでメタノール(1mL)で反応を抑え、溶媒を減圧除去する。シリカゲルにてアセトン/ヘキサン勾配を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した後、Sephadex LH−20/メタノールにて精製し、0.0041g(42.5%)の標記化合物を得る。
【0151】
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ8.97(dd、1H、J=9.7、2.5Hz)、8.88(dd、1H、J=9.7、2.5Hz)、8.34(dd、1H、J=9.2、4.5Hz)、8.08(dd、1H、J=9.0、4.2Hz)、7.54−7.45(m、2H)、6.20(d、1H、1’H、J=7.80Hz)、5.11(br d、1H、6’H、J=12Hz)、4.91(dd、1H、4’H、JH−F=50.6Hz、J3 ’ ,4 ’=5.4Hz)、4.68(br s、1H、5’H)、4.71−4.64(m、1H、6”H)、4.60−4.45(m、1H、2’H、J2,3=5.6Hz)、3.99(br ddd、1H、3’H、JH−F=28Hz、J3,4=5.5Hz、J2,3=5.6Hz)
MS(ESI−),m/e506(M−H)−。X線結晶学で確認した。
【0152】
実施例27および28:3,9−ジフルオロ−12,13−[1,6−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(1)および
3,9−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(2)
【化38】
【0153】
無水THF(10mL)中の3,9−ジフルオロ−12−β−D−グルコピラノシル−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.240g、0.459ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(0.263g、1.00ミリモル)の撹拌溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(200μL、1.01ミリモル)を加え、得られる赤血色溶液を室温で2h撹拌せしめる。次いで水(5滴)で反応を抑え、溶媒を減圧除去する。
【0154】
シリカゲルにてフラッシュクロマトグラフィー(アセトン/ヘキサン)で部分精製して、2成分を得、これらを個々にSephadex LH−20(メタノール)にて再精製し、2つの純粋な標記化合物を得る。1番目は、3,9−ジフルオロ−12,13−[1,6−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.019g、8.2%)として同定した。
【0155】
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ8.87(dd、1H、J=9.8、2.6Hz)、8.79(dd、1H、J=9.7、2.6Hz)、8.30(dd、1H、J=9.1、4.3Hz)、7.88(dd、1H、J=9.1、4.3Hz)、7.52−7.39(m、2H)、6.03(d、1H、1’H、J=7.8Hz)、5.60(br s、1H、4’−OH)、5.50(br s、1H、3’−OH)、4.81(br d、1H、6’−H、J=12.0Hz)、4.60(dd、1H、6’−H、J=12.2Hz)、4.40−4.28(m、2H、2’−H、5’−H)、3.78(br d、1H、4’−H)、3.70−3.62(m、1H、3’−H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0156】
2番目は、3,9−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.019g、8.2%)として同定した。
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ11.01(br s、1H)、8.84(dd、1H、J=9.4、4.6Hz)、8.32(dd、1H、J=9.0、2.8Hz)、8.20(dd、1H、J=9.1、2.7Hz)、7.89(dd、1H、J=9.0、4.5Hz)、7.42(m、1H)、7.35(m、1H)、6.72(s、1H、1’−H)、6.57(d、1H、3’−OH、J=4.80Hz)、5.45(d、1H、4’−OH、J=5.10Hz)、5.06(br s、1H、2’−H)、4.32−4.22(m、2H、3’−H、6’−H)、3.62−3.57(m、1H、5’−H)、3.52−3.45(m、1H、4’−H)、3.40(d、1H、6’−H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0157】
トポイソメラーゼI活性(インビトロ)
トポイソメラーゼI活性を、下記の手順で測定する。DNAにおいて化合物−誘発の、トポイソメラーゼI−仲介単一ストランド破断を検定する手順は、本質的にHsiangらの「J.Biol.Chem.」(260、14873−14878、1985年)に記載されている。100%DMSOに10μMまたは10mg/ml溶液で溶解したサンプルは、他に特別な記載がない限り、Tris−EDTA緩衝剤で希釈する。
【0158】
またマリン(marine)バクテリオファージPM2DNA(Boehringer Mannheim)は、Tris−EDTA緩衝剤で0.02μg/μl濃度に希釈する。希釈の異なる被評価化合物を、希釈DNAと混合し、該混合物を、2倍の反応緩衝剤中の精製したヒト・トポイソメラーゼI(Topogen)の1000ユニット(1ユニットの酵素活性は、100ngのスーパーコイル化DNAを37℃で約30分内で弛緩しうる量として規定する)のアリコートに加え、反応を開始する。
【0159】
化合物−DNA−酵素混合物を、37℃で30分間培養してから、ドデシル硫酸ナトリウムおよびプロテイナーゼK(Sigma)を含有する温ストップ緩衝剤で反応を停止する。これらの混合物をさらに37℃で10分間培養させ、この時、混合物をウォーターバスから取出し、クロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)混合物で抽出する。
【0160】
遠心分離を行ってから、水性相のアリコートを、0.5μg/mlのエチジウムブロマイド含有のTris−ボレート緩衝剤中の0.9%アガロース(SeaKem)ゲルのウェルに入れ、15時間電気泳動に付して、異なるトポロジー異性体とニックおよび破断したDNAsを分離する。水中でゲルのよごれを除いた後、ゲルをUV照射にさらすことによって、エチジウムブロマイド染色DNA反応産物を可視化する。
【0161】
照射したゲルの写真のネガを、濃度計でスキャンし、各サンプルの単一ストランドDNA破断形成のパーセントを得るために、ピーク下の面積を計算する。得られる用量−効果曲線のポイント間の補間(interpolation)によって、各化合物の中間有効濃度(EC50)を得るが、これは、DNAにおいてトポイソメラーゼI−仲介単一ストランド破断を誘発する、化合物の効果の潜在力を規定する。
【0162】
本発明の選択化合物のトポイソメラーゼI活性を、下記表Iに示す。
表I:
【表1】
【0163】
細胞に基づく細胞毒活性(インビトロ)
ネズミP388細胞系に対する増殖抑制活性を、以下の手順で測定する。ヒトおよび他の腫瘍細胞系を用い、「Cancer Res.」(48、4827−4833、1988年)に記載の手順に従って、細胞成長および培養中の薬物感受性の可溶性テトラゾリウム/ホルマザン・アッセイの評価を行なう。細胞を96ウェル・マイクロタイター平板にて、4000細胞/ウェルで培養し、24h後に薬物を加え、連続して希釈する。
【0164】
細胞を37℃で72h培養し、この時、メト硫酸フェナジン含有のテトラゾリウム染料,XTTを加える。生きている細胞中のデヒドロゲナーゼ酵素でXTTを還元して、450nmで光を吸収する形状とし、これを分光光度計で定量分析することができる。吸光度が増大すればするほど、生存細胞の数が増大する。結果をIC50で表示するが、これは、細胞増殖(すなわち、450nmでの吸光度)を、未処置対照細胞のそれの50%に抑制するのに必要な薬物濃度である。本発明の選択化合物の結果を、下記表IIに示す。
【0165】
表II:
【表2】
(技術分野)
本発明は、トポイソメラーゼ(topoisomerase)−I活性を示しかつ腫瘍細胞の増殖を抑制するのに有用な、インドロピロロカルバゾール化合物(indolopyrrolocarbazoles)の糖誘導体に関する。
【0002】
(背景技術)
トポイソメラーゼは、生体核酵素であって、DNAにおけるトポロジーのジレンマ、たとえば、標準的に複製、転写およびことによると他のDNAプロセス中に起こる、オーバーウィンディング(overwinding)、アンダーウィンディング(underwinding)および連鎖を解決するよう機能する。これらの酵素は、DNAを弛緩させるが、これは、他のDNAストランドの通過用の一時的ゲートまたはピボットポイントとして作用する、酵素−ブリッジド(bridged)・ストランド破断の形成による。
【0003】
トポイソメラーゼ−標的薬物は、このDNAトポイソメラーゼの破損−再結合反応を干渉すると思われる。トポイソメラーゼ−活性作用物質の存在下、“開裂性錯体”と呼ばれる頓挫反応中間体が蓄積して複製/転写を阻止し、これは結局、細胞死に導く。
【0004】
従って、トポイソメラーゼI−活性作用物質の開発は、癌処置のためクリニックで一般に用いられる多様な統制的療法に対し、新しいアプローチを付与する。「Cancer Chemother.Pharmacol」(34(増刊)、S41−S45、1994年)に、臨床実験中のトポイソメラーゼI−活性化合物が論じられ、これらの化合物は有効な臨床的抗腫瘍剤であることが認められている。これらの臨床的候補化合物は構造上、アルカロイド・カンプトセシン(camptothecin)と関係がある。
【0005】
レベッカマイシン(Rebeccamycin)種に関係するインドロ[2,3−a]カルバゾール誘導体が開示され[EP出願No.0545195B1および0602597A2;「Cancer Research」(53、490−494、1993年);「ibid」(55、1310−1315、1995年)]かつクレームで抗腫瘍活性を示すことが記載されているが、これら誘導体の作用の主なメカニズムは、トポイソメラーゼI毒薬として作用するカンプトセシンと同じとは思われない。
【0006】
インドロ[2,3−a]カルバゾール・アルカロイド化合物、たとえばレベッカマイシン(U.S.特許No.4487925および4552842)およびその水溶性の臨床的活性類縁体の、6−(2−ジエチルアミノエチル)レベッカマイシン(U.S.特許No.4785085)は、DNAを標的にする有用な抗腫瘍剤である。さらに、フルオロインドロカルバゾール化合物(たとえばWO98/07433に記載)は、トポイソメラーゼI抑制活性を持つ抗腫瘍性作用物質である。またインドロカルバゾール化合物も開示され(WO9530682)、かつクレームで抗腫瘍活性を示すことが記載されている。
【0007】
Hudkinsらは、一連の縮合ピロロカルバゾール化合物を開示し(WO96/11933およびU.S.特許No.5475110)、幾つかの化合物に対して、インビトロ生物学的活性、たとえばニューロン・コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の抑制およびたん白キナーゼC(PKC)抑制を報告している。U.S.特許No.5468849に、有用な抗腫瘍剤としての特定フルオロレベッカマイシン類縁体、並びにサッカロスリックス・アエロコロニジーンズ(Saccharothrix aerocolonigenes)、好ましくはサッカロスリックス・アエロコロニジーンズC38383−RK2(ATCC39243)のレベッカマイシン−産生菌株のフルオロトリプトファン類縁体栄養補給による、上記類縁体の製造法が開示されている。
【0008】
Glicksmanらは、本発明の化合物とは構造が異なるインドロカルバゾール・アルカロイド化合物を開示する(U.S.特許No.5468872)。Kojiriらは、ジサッカライド置換基を有するインドロピロロカルバゾール化合物を開示する(WO96/04293)。Weinrebら(Heterocycles,21、309、1984年)およびKleinschrothら(U.S.特許No.5043335)は、ブリッジするフラン成分を持つインドロピロロカルバゾール誘導体を開示し、McCombieら(Bioorg.Med.Chem.Lett.,3、1537、1993年)は、より官能性の高いブリッジド(bridged)・フランを報告している。
【0009】
Woodらは(+)−K252a(J.Am.Chem.Soc.,117、10413、1995年),関連した天然産生インドロカルバゾール・アルカロイドの総合成を報告し、PKC抑制活性を証明した。これらK252aの総合成の過程中に、Fukuyamaらは(J.Am.Chem.Soc.,121、6501、1999年)、望ましい生成物のシクログリコシドの単離を記載した。
【0010】
Danishefskyらは、彼らのスタウロスポリン(staurosporine)の最初の総合成の過程中(J.Am.Chem.Soc.,118、2825、1996年)、中間体N12,N13−ブリッジド・インドロピロロカルバゾールの合成を記載する。三原子ブリッジ(bridge)により結合した窒素を持つインドロカルバゾール誘導体は、効力あるPKCインヒビターであることが報告されている[S.F.Viceらの「Bioorg.Med.Chem.Lett.」(4、1333、1994年)]。C1’,C5’−ブリッジまたはC1’,C3’−ブリッジ・グリコシドを持つ単純インドロカルバゾール誘導体の合成が、文献に報告されている[それぞれ、B.M.Stolz、J.L.Woodの「Tetrahedron Lett.」(36、8543、1995年);B.B.Shankar、S.W.McCombieの「Tetrahedron Lett.」(35、3005、1994年)]。
【0011】
Prudhommeらは、レベッカマイシンから誘導され、炭水化物の2つのインドール窒素への結合を示す一連の抗腫瘍インドロカルバゾール化合物を開示し、その細胞毒性とそのトポイソメラーゼIおよびPKC抑制活性がミリモル〜ミクロモル範囲にあることを報告した(Bioorg.Med.Chem.,6、1597、1998年)。これらの例に拘らず、トポイソメラーゼI活性の抑制に有用な、新規で効力ある細胞毒化合物の必要性が残る。
【0012】
(発明の概要)
すなわち、本発明の第1側面の最初の具体例によれば、トポイソメラーゼIおよび腫瘍細胞の増殖の抑制に有用な、下記式(I)で示される化合物およびそれらの医薬的に許容しうる塩および溶媒化合物が提供される。
【化3】
【0013】
上記式中、Zは
【化4】
の式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および(G)からなる群から選ばれ;
【0014】
Rは水素、OH、OC1−7アルキル、NH2、N(C1−3アルキル)2またはC1−7アルキル、ここで、上記C1−7アルキルまたはC1−3アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、SR9、OR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく;
R1,R2,R3,R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、C1−7アルキル、C3−7シクロアルキル、ハロゲン、アジド、NR9R10、NHC(O)NR9R10、NHC(O)OR9、C(O)OR9、SR9およびOR9からなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、SR9、OR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく、但し、R1,R2,R3,R4およびR5からなる群から選ばれる変記号の2つのみがC3−7シクロアルキル、アジド、NHC(O)NR9R10またはNHC(O)OR9であってよく;
【0015】
R7およびR8はそれぞれ独立して、OHもしくはH、またはR7とR8は共に合して=Oを形成し;
R9およびR10はそれぞれ独立して、水素、C1−7アルキルおよびC3−7シクロアルキルからなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、OH、OC1−7アルキル、NH2およびN(C1−3アルキル)2からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく、あるいは
R9とR10はそれらが結合する窒素原子と共に合して、O、NおよびSからなる群から選ばれる同一もしくは異なるヘテロ原子の1個または2個を含有する非芳香族5〜8員複素環を形成し;
【0016】
mは0または1;および
X1,X1 ’,X2およびX2 ’はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、OR9、−CF3、アルキルカルボニル、C1−7アルキル、ニトロ、アルコキシアミノアルキル、NR9R10、SR9およびC(O)OR9からなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、OR9、SR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよい。
【0017】
本発明の第1側面の第1具体例によれば、Zが式(A)、(C)および(D)からなる群から選ばれる式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(A)である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(B)である式(I)の化合物が提供される。
【0018】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(C)である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Zが式(D)である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、mが1である式(I)の化合物が提供される。
【0019】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、mが0である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、Rが水素である式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、R7とR8が共に合して=Oである式(I)の化合物が提供される。
【0020】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、R7およびR8が共にHである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2 ’およびX2が共にF、X1およびX1 ’が共にHである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2がF、X2 ’,X1およびX1 ’が共にHである式(I)の化合物が提供される。
【0021】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2 ’がF、X2,X1およびX1 ’が共にHである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2 ’,X2,X1およびX1 ’が共にFである式(I)の化合物が提供される。
【0022】
本発明の第1側面の他の具体例によれば、X2およびX2 ’が共にH、X1およびX1 ’が共にFである式(I)の化合物が提供される。
本発明の第1側面の他の具体例によれば、R1,R2,R3,R4およびR5がそれぞれ独立して、H、F、OR9からなる群から選ばれ、R9が水素またはメチルである式(I)の化合物が提供される。
【0023】
本発明の第1側面の他の具体例は、上記第1側面の具体例の2つ以上を適当に組合せてなる式(I)の化合物を提供する。
本発明の第2側面の他の具体例は、哺乳動物宿主、特にヒト宿主の腫瘍成長を抑制する方法を提供し、該抑制法は、本明細書で規定される本発明化合物の、腫瘍成長抑制量を上記宿主に投与することから成る。
【0024】
本発明の第3側面の具体例は、哺乳動物宿主の腫瘍成長を抑制する方法を提供し、該抑制法は、本発明の第1側面の具体例で規定される本発明化合物の医薬配合物(製剤)の、腫瘍成長抑制量を上記宿主に投与することから成る。
本発明の他の具体例および側面については、以下に記載の説明に従って明らかであろう。
【0025】
発明の詳細
ここで、本発明の説明については、化学結合の法則や原理と一致させて解釈すべきである。別の具体例または側面から従属する1つの具体例または側面には、それが従属する具体例または側面とは異なる数値および条件を持つ変記号のみを記載するだろう。
【0026】
すなわち、たとえば、“RがNH2である、本発明の第n側面による式(I)の化合物”と解される具体例は、第n側面に規定の数値を持つ残りの全ての変記号を含むと解釈すべきであり、さらに他に特別な指示がない限り、第n側面における変記号のどれもこれもに関係する全ての条件を含むと解釈すべきである。変記号がゼロの数値を有すると規定されている場合、該変記号に付く結合は除去すべきことが理解される。
【0027】
たとえば、n=0およびR−X−Vn(nは0または1となりうる)の場合、記載の構造はR−XでR−X−でないことが理解される。記号“C”の後の下付きの数字は、個々の基が含有できる炭素原子の数を規定する。
【0028】
たとえば、“C1−7アルキル”は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭素鎖を意味し、たとえば、これらに制限されるものでなく、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシルおよびn−ヘプチルが挙げられる。
【0029】
“アリール”とは、6〜10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素を意味し、たとえばフェニルおよびナフチルが挙げられる。“置換アリール”または“置換アラルキル”とは、C1−6アルカノイルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、トリフルオロメチル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、C1−6アルカノイル、ニトロ、アミノ、シアノ、アジド、C1−6アルキルアミノおよびアミドからなる群から選ばれる1〜5個(特に1〜3個)の基で置換されたアリールまたはアラルキル基を意味する。語句“ハロゲン”としては、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが挙げられる。
【0030】
なお、本発明は、他に特別な記載が明記されていない限り、可能性のある立体異性体、幾何異性体、ジアステレオマー、エナンチオマーおよびアノマーのいずれかおよび全てを包含することを理解すべきである。
【0031】
本発明の化合物は、医薬的に許容しうる塩の形状で存在しうる。かかる塩としては、たとえば、塩酸および硫酸などの無機酸や、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酒石酸およびマレイン酸などの有機酸との付加塩が挙げられる。
【0032】
さらに、本発明化合物が酸性の基を含有する場合、該酸性基はたとえば、カリウム塩およびナトリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩およびカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;およびトリエチルアンモニウム塩およびアルギニン塩などの有機塩基との塩の形状で存在しうる。本発明化合物は、水和されてあるいはそうでなくてもよい。
【0033】
本発明化合物は、錠剤、カプセル剤(これらは、それぞれ持続放出性(徐放性)もしくは時限放出性の配合を含む)、丸剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液、シロップおよびエマルジョンといった経口投与剤形で投与することができる。また本発明化合物は、医薬分野の当業者にとって周知の投与剤形を用い、静脈内、腹腔内、皮下または筋肉内に投与されてもよい。
【0034】
本発明化合物は単独投与できるが、一般には、選択投与方法や標準医薬実務に基づいて選ばれる医薬用担体といっしょに投与される。また本発明化合物は、適当な鼻腔内ビヒクルの局所使用による鼻腔内剤形で、または経皮パッチを用いる経皮ルートで投与することもできる。本発明化合物を経皮投与すると、投与生活規制を通じて投与量が連続するだろう。
【0035】
本発明の1つの側面は、腫瘍を移植したあるいは癌形成を受けやすい哺乳動物に対する、本発明化合物またはその医薬的に許容しうる塩もしくは溶媒化合物の投与を必然的に伴う。一般にかかる化合物は、約0.01mg/Kg〜MTD(最大許容量)の用量範囲で投与される。
【0036】
本発明化合物の投与量並びに投与生活規制およびスケジュールについては、各ケースにおいて、信頼できる専門医師の判断を利用し、かつ受容者の年令、体重および状態、投与方法並びに癌疾患状態の種類および程度を考慮して、注意深く調整しなければならない。
【0037】
本明細書で用いる語句“全身投与”とは、口腔舌下、バッカル、経鼻腔、経皮、直腸、筋肉内、静脈内、心室内、鞘内、および皮下経路を指称する。適正な臨床実務に従って、有害もしくは厄介な副作用のいずれも起こさずに、有効で有益な効きめをもたらす濃度レベルで本化合物を投与することが好ましい。
【0038】
詳細な説明
式(I)化合物の製造手順を、下記反応式1〜6に例示し、基本中間体/出発物質の製法を下記反応式7に例示する。
【0039】
反応式1:
【化5】
【0040】
反応式2:
【化6】
【0041】
反応式3:
【化7】
【0042】
反応式4:
【化8】
反応式5:
【化9】
【0043】
反応式6:
【化10】
反応式7:
【化11】
【0044】
反応式1において、選択的に保護されたグリコシド1をベンゼンなどの適当な溶媒中、室温〜100℃、好ましくは80℃もしくはその付近にて、ミツノブ条件下[O.ミツノブの「Synth.」(1、1、1981年)参照]、たとえばトリフェニルホスフィンおよびジイソプロピル・アゾジカルボキシレート(DIAD)を用いて処理し、4’−ブリッジド・グリコシド2を得る。次いで、パールマン(Pearlman)の触媒(20%Pd(OH)2/活性炭)上の水添分解を必然的に伴う通常の手順を用いて、ベンジル保護基の脱離を行い、完全脱保護のブリッジド・グリコシド3を得る。
【0045】
別法として、対応する過ベンジル化グリコシドを無水酢酸中ヨウ素で処理した後[K.P.R.Kartha、R.A.Fieldの「Tetrahedron」(53、11753、1997年)参照]、中間体アセテートの加水分解を行って、部分的脱保護されたグリコシドを製造することができる。次にこの選択的脱保護グリコシドを周知のフッ素化剤,DAST[(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド]で処理した後、前記の脱ベンジル化を行って、モノフッ素化ブリッジド・グリコシド4を得る。
【0046】
他のブリッジ手順が反応式2に示されている。5などの過ベンジル化グリコシドのイミド成分の脱保護を、塩基−誘発加水分解で行った後、酸性化して中間体無水物を得る。この無水物は、適当なアミンを用い便宜的にイミドに変換され、たとえばジメチルホルムアミド中ヘキサメチルジシラザンおよびメタノールの混合物との反応によってイミドが得られる[P.D.Davis、R.A.Bitの「Tetrahedron Lett.」(31、5201、1990年)参照]。次いで、対応する過ベンジル化グリコシドを無水酢酸中ヨウ素で処理した後[K.P.R.Kartha、R.A.Fieldの「Tetrahedron」(53、11753、1997年)参照]、中間体アセテートの加水分解を行って、選択的脱保護グリコシド7を製造することができる。
【0047】
次いで、得られる第一アルコールをたとえば、そのメシレートに、その後対応するヨウ化物に活性化し、次いで適当なアミン塩基、たとえば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)を用い、HI成分の除去を誘発せしめて、ビニルエーテル8を得ることができる。このビニルエーテルを適当な塩基、たとえばカリウム・t−ブトキシドの存在下、ヨウ素で処理してブリッジ反応に導き、1’,5’−ブリッジド・グリコシド9を得る。
【0048】
得られるヨウ化物9に対し、たとえば水素化物源として水素化トリ−n−ブチル錫、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用い、ラジカル−誘発還元を容易に行なうことにより、対応する6’−デオキシ・ブリッジド・グリコシドを得る。幾らかの標準方法を用い、たとえば三臭化ホウ素による処理で、ベンジル保護基の最終脱離を行なうことにより、化合物10を得ることができる。また別法として、過酸、たとえばm−クロロ過安息香酸を用いてヨウ化物9を容易に酸化して、6’−ヒドロキシ置換ブリッジド・グリコシド11を得ることができる。最後に前記の脱保護を行って、誘導体12を得る。
【0049】
また芳香族核(core)を、反応式3で示されるように容易に還元する。ヨウ化物13のラジカル還元を行った後、イミド成分を還元水素化物、たとえばホウ水素化ナトリウムで処理して還元し、さらにベンゼンセレノールを用いて還元し、対応ラクタムの混合物を得る。次いで前記の最終脱保護を行って、部分異性(regioisomeric)ラクタム15および16を得る。
【0050】
幾つかの場合に、未保護グリコシドを便宜的に用いて、ブリッジド・グリコシドを製造することができる。たとえば、反応式4で示されるように、未保護グリコシド17を上述のミツノブ反応条件下で環化せしめ、1’,6’−ブリッジド・グリコシド18を得る。この戦略は、最終の脱保護工程の必要を回避する点で有利である。
【0051】
1’,6’−ブリッジド・グリコシド合成への他の有用なアプローチは、反応式5に示される。この場合、前記グリコシド5を前記の如くモノ脱ベンジル化して、6’−脱保護グリコシド19を得る。この6’−脱保護グリコシドにブリッジ反応を行って、たとえばベンゼンなどの適当な溶媒中、室温から100℃付近、好ましくは80℃もしくは80℃付近の温度にて、トリメチルホスフィンおよび1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)の複合体を用いるミツノブ条件下で行って、化合物20を得る。次いでベンジル保護基を前記の通り脱離して、1’,6’−ブリッジド・グリコシド21を得る。
【0052】
またモノ脱ベンジル化グリコシドを用いて、反応式6で示されるように選択ブリッジド・グリコシドを製造しうる。すなわち、トリ−O−ベンジルグリコシド22の未保護ヒドロキシル基をそのメシレートに活性化し、次いで適当なアミン塩基、たとえばジイソプロピルエチルアミンを用い、メタンスルホン酸成分の除去を行って、1’,2’−ブリッジド・グリコシドを得、これを容易に前記の脱ベンジル化に付して、化合物23を得る。
【0053】
基本中間体の糖は、反応式7で示されるようにして製造される。商業上入手しうるメチル−α−D−グルコピラノシド24の4−デオキシグリコシド26への変換は、BarretteおよびGoodmanの「J.Org.Chem.」(49、176、1984年)の記載に準じ行なう。アノマー位の脱保護は2工程で行なうことができ、すなわち、最初にベンゼンチオールおよびルイス酸、たとえば三フッ化ホウ素・エテレートで処理した後[L.A.Paquette、J.A.Oplingerの「J.Org.Chem.」(53、2953、1988年)参照]、適当な溶媒、たとえばアセトンまたはアセトニトリル中、水の存在下、N−ブロモスクシンイミドを用いて得られるフェニルチオ糖誘導体27の加水分解を行なう[B.Fraser−Reidらの「J.Am.Chem.Soc.」(110、2662、1988年)参照]。
【0054】
別法として、アノマー位の脱保護は、1工程、すなわち、90%ギ酸などの適当な酸による処理で行ない、これによってグルコピラノシド28を直接得ることができる。28などのグリコピラノシドのグリコピラノシルクロリド29への変換は、IversenおよびBundleの「Carb.Res.」(103、29、1982年)に記載の手順に従って行なうことができる。
本発明を構成する化合物およびその製造法については、以下に示す実施例の考慮からより十分に明らかとなるだろう。なお、これらの実施例は単に例示を目的とし、いかなる場合も本発明の技術的範囲を制限すると解釈すべきではない。
【0055】
中間体の合成
式(I)の最終生成物の製造に用いる、幾つかの中間体化合物、並びに他の通常の出発物質は一般に、文献公知であるか、または商業上入手可能である。それにも拘らず、これら幾つかの化合物の代表的な合成法を以下に記載する。
【0056】
無水反応の全ては、商業上入手しうる乾燥溶媒または新たに蒸留した溶媒を用い、窒素またはアルゴンの雰囲気下で行なう。融点はThomas−Hoover融点測定装置を用い、開毛管中で測定し、修正せず。カラムクロマトグラフィーは、EM Science シリカゲル60(230〜400メッシュ)を用い、溶離剤として指定の溶剤系を用いて行なう。
【0057】
薄層クロマトグラフィーは、E.Merck シリカゲル60F254プレート(0.5mm)にて行なう。HPLC純度測定は、SPD−10AV UV−Vis検出器と、YMC Combiscreen ODS−A(4.6×50mm)またはHP Zorbax SB−C18(4.6×750mm)カラムの1つを持つShimadzu LC−10AS;またはダイオード・アレイ検出器とWaters Nova−Pak C18カラム(3.9×150mm)を持つHP1090DR5を用いて行なう。赤外スペクトルは、薄手フィルムまたはKBrペレットとしてNicolet Protege 460FTIRに記録する。
【0058】
1H−NMRスペクトルは、Bruker AMX−400またはBruker ARX−500NMR分光計で記録し、化学シフトは内部標準として溶剤を用い、ppm(またはδ)で表示する。カップリング定数はヘルツ(Hz)で示し、多重線は以下の通りである:一重線(s)、二重線(d)、三重線(t)、四重線(q)、多重線(m)、およびブロード(br)。低分解(low resolution)質量スペクトルは、陰イオンモードで作動するFinnigan Matt TSQ−7000トリプル・ステージ四極子分光計(陽/陰ESI)で測定する。
【0059】
実施例1:6−(4−t−ブチルベンジル)−2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化12】
【0060】
10mLの乾燥ベンゼン中の6−(4−t−ブチルベンジル)−2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.377g、0.39ミリモル)の溶液に、トリメチルホスフィンの溶液(THF中1M、0.78mL、0.78ミリモル)、次いで1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)(0.227mg、0.90ミリモル)を加える。Ar下室温で5分間撹拌後、得られる赤血色混合物を30分間加熱還流する。冷却した黄色−オレンジ色混合物をそのまま、シリカゲルフラッシュカラムに加える。ジクロロメタンで溶離して、標記化合物(0.276g、74%)を明黄色ガラス状物で得る。
【0061】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.07(dd、J=10.5、8.4Hz、1H)、8.99(dd、J=10.5、8.3Hz、1H)、7.7−7.3(m、15H)、6.82(br s、3H)、6.47(br s、2H)、6.27(m、1H)、5.99(d、J=7.7Hz、1H)、5.00(d、J=12.7Hz、1H)、4.99(d、J=11.0Hz、1H)、4.96(d、J=11.0Hz、1H)、4.82(d、J=12.6Hz、1H)、4.81(d、J=15.0Hz、1H)、4.73(d、J=14.7Hz、1H)、4.61(m、1H)、4.45(br s、1H)、4.18−4.11(m、2H)、3.97−3.92(m、4H)、1.26(s、9H)
【0062】
実施例2:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化13】
【0063】
20mLのエタノール/THF(1:1)中の6−(4−t−ブチルベンジル)−2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.276g、0.29ミリモル)の溶液に、5mLの5M−KOH溶液を加える。得られる混合物をAr下で2h加熱還流し、その間、THFを徐々に留出せしめる(デイーン−スターク(Dean−Stark)トラップ)。反応混合物を0℃で冷却し、濃HClで酸性化し、次いで酢酸エチルで希釈する。
【0064】
この混合物をr.t.(室温)で1h激しく撹拌し、次いで有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出する。コンバインした有機相を洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体を得る。固体をジクロロメタン/アセトニトリルに溶かし、溶液を濃縮して沈澱物を得る。固体を濾別し、アセトンで少し洗い、減圧乾燥して、195mg(83%)の無水物を明黄色固体で得る。
【0065】
この無水物/10mLの乾燥DMFの溶液に、メタノール(0.105mL、10当量)、次いでヘキサメチルジシラザン(1.09mL、20当量)を加える。r,t.で7h撹拌後、混合物を酢酸エチルと飽和水性NH4Cl間に分配し、有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出する。コンバインした有機相を洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体を得る。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/酢酸エチル=1:0、次いで4:1)を行って、純生成物(0.183g、全収率78%)を黄色ガラス状物で得る。
【0066】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ8.87(m、1H)、8.74(m、1H)、7.8−7.3(m、12H)、7.12(br、1H)、7.00(br、2H)、6.65(br、1H)、6.30(br、1H)、5.98(d、J=7.4Hz、1H)、4.99(m、3H)、4.80(d、J=12.5Hz、1H)、4.54(br s、2H)、4.25−3.85(m、6H)
MS(ESI−),m/e810(M−H)−
【0067】
実施例3:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−(1,6−β−−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化14】
【0068】
40mLのクロロホルム/メタノール(1:1)中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.086g、0.106ミリモル)の溶液に、20%Pd(OH)2/C(0.090g)を加え、混合物を激しく撹拌下、室温にて72h水素添加する(バルーン圧)。次いで得られる混合物を濾過し[セライト(Celite)]、ケーキをメタノール、THF、再度メタノールで連続して洗う。
【0069】
濾液の蒸発で茶色がかった黄色ゴム状物を得、これを少量のメタノールに溶かして固体を得る。固体を濾別し、メタノールで少し洗い、減圧乾燥して標記化合物を黄色固体で得る。濾液を蒸発し、残渣を再度、最小量のメタノールに溶かし、室温で静置させて、追加の純生成物を得る。全収量0.038g(60%)。
【0070】
IR(KBr):1749、1700、1487、1473cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ11.17(s、1H)、8.99(dd、J=11.0、9.1Hz、1H)、8.89(dd、J=10.8、8.6Hz、1H)、8.37(dd、J=12.6、7.2Hz、1H)、8.10(dd、J=11.6、6.8Hz、1H)、6.17(br s、1H)、5.95(d、J=7.9Hz、1H)、5.57(d、J=4.6Hz、1H)、5.53(d、J=4.6Hz、1H)、4.89(m、1H)、4.57(m、1H)、4.41(br m、1H)、4.30(dd、J=12.2、2.9Hz、1H)、3.76(d、J=5.7Hz、1H)、3.68(m、1H)
MS(ESI−),m/e540(M−H)−
HPLC:97.2%(320nm)
【0071】
実施例4:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化15】
本例化合物を実施例3の記載に準じ、収率69%、黄色固体で製造する。
【0072】
IR(KBr):1717、1700、1487、1473cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ9.19(m、1H)、9.09(m、1H)、8.37(dd、J=12.5、7.1Hz、1H)、7.69(dd、J=11.2、6.6Hz、1H)、5.90(d、J=7.5Hz、1H)、4.64(m、3H)、4.48(br s、1H)、3.96(dt、J=9.6、8.6Hz、1H)、2.84(dt、J=13.4、8.5Hz、1H)
MS(ESI−),m/e524(M−H)−
HPLC:99.6%(320nm)
【0073】
実施例5:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(3−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化16】
【0074】
本例化合物を実施例3の記載に準じ、収率75%、黄色固体で製造する。
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.35(s、1H)、8.63(m、1H)、8.56(m、1H)、7.95(m、1H)、7.51(m、1H)、5.52(d、J=5.6Hz、1H)、5.20(br s、1H)、4.45(m、3H)、4.18(d、J=12.7Hz、1H)、4.07(m、1H)、3.91(m、1H)、2.50(m、1H)、1.84(m、1H)
MS(ESI−),m/e524(M−H)−
HPLC:98.5%(320nm)
【0075】
実施例6:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(3−デオキシ−3−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化17】
【0076】
本例化合物を実施例3の記載に準じ、収率58%、黄色固体で製造する。
IR(KBr):1826、1757、1489、1475cm−1
1H−NMR(THF−d8、400MHz):δ10.83(s、1H)、8.92−8.80(m、2H)、8.48(m、1H)、7.88(m、1H)、6.38(br s、1H)、6.16(d、J=7.8Hz、1H)、5.47(br s、1H)、4.96(m、2H)、4.84−4.67(m、2H)、4.56(d、J=12.5Hz、1H)、4.15(dt、J=25.0、5.5Hz、1H)
MS(ESI−),m/e542(M−H)−
HPLC:98.5%(320nm)
【0077】
実施例7:1,11−ジクロロ−12,13−[1,6−(4−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化18】
【0078】
10mLのTHF中の1,11−ジクロロ−12−(4−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.184g、0.32ミリモル)の懸濁液にAr下室温にて、トリフェニルホスフィン(0.262g、1.0ミリモル)、次いでジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(0.193mL、1.0ミリモル)を加える。
【0079】
得られる混合物を室温で3日間撹拌し、次いでこれを濾過し、濾液を蒸発して黄色ゴム状物を得る。このゴム状物をジクロロメタンと共にトリチュレートし、混合物を濾過して固体を得、これをメタノールに溶かし、激しく撹拌すると、固体が分離する。固体を濾過で単離し、減圧乾燥して、標記化合物(0.113g、64%)を明黄色固体で得る。
【0080】
IR(KBr):1711、1321、1064cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ11.44(s、1H)、9.26(d、J=7.9Hz、1H)、9.15(d、J=7.9Hz、1H)、7.76(d、J=7.4Hz、1H)、7.61(d、J=7.8Hz、1H)、7.50(t、J=7.9Hz、1H)、7.41(t、J=7.9Hz、1H)、6.61(d、J=7.3Hz、1H)、5.70(dd、J=16.8、5.8Hz、1H)、5.15(d、J=5.9Hz、1H)、4.91(d、J=6.0Hz、1H)、4.80(d、J=5.6Hz、1H)、4.23(d、J=5.0Hz、1H)、4.21(d、J=16.1Hz、1H)、3.58(s、3H)、3.54(m、1H)、3.44(m、1H)
MS(ESI−),m/e550(M−H)−
HPLC:97.3%(320nm)
【0081】
実施例8:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化19】
【0082】
本例化合物を実施例7の記載に準じ、収率48%、黄色固体で製造する。
IR(KBr):1750、1700、1488、1473cm−1
1H−NMR(THF−d8、400MHz):δ10.06(s、1H)、9.17(dd、J=11.3、8.6Hz、1H)、9.07(dd、J=11.1、8.4Hz、1H)、8.36(dd、J=12.3、6.9Hz、1H)、7.79(dd、J=11.3、6.6Hz、1H)、6.04(d、J=7.8Hz、1H)、5.93(br s、1H)、5.61(br s、1H)、4.87−4.50(m、5H)、4.10(m、1H)
MS(ESI−),m/e542(M−H)−
HPLC:99.0%(320nm)
【0083】
実施例9:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4,4−ジフルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化20】
【0084】
本例化合物を実施例7の記載に準じ、収率6%、黄色固体で製造する。
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.85(s、1H)、8.96(dd、J=11.3、8.7Hz、1H)、8.90(dd、J=11.0、8.5Hz、1H)、8.29(dd、J=12.4、7.1Hz、1H)、7.99(dd、J=11.5、6.7Hz、1H)、6.09(d、J=8.0Hz、1H)、4.98−4.70(m、4H)、4.31(dt、J=15.4、11.3Hz、1H)
MS(ESI−),m/e560(M−H)−
HPLC:95.2%(320nm)
【0085】
実施例10:2,10−ジフルオロ−12,13−[1,6−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化21】
【0086】
本例化合物を実施例7の記載に準じ、収率12%、mp>300℃の黄色固体で製造する。
IR(KBr):3414(br)、1744、1702、1619、1582、1490、1468、1449、1415、1328、1182、1112、1043、826、763cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、500MHz):δ9.22(dd、J=8.6、6.3Hz、1H)、9.14(dd、J=8.6、6.0Hz、1H)、8.14(d、J=9.9Hz、1H)、7.81(dd、J=10.5、1.8Hz、1H)、7.24−7.18(m、2H)、5.98(d、J=7.7Hz、1H)、5.63(br s、1.5H)、4.85−4.83(m、1H)、4.65−4.60(m、1H)、4.49(m、1H)、4.35−4.32(m、1H)、3.80(d、J=6.3Hz、1H)、3.68(dd、J=10.8、6.3Hz、1H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0087】
実施例11:2,10−ジフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバソール−5,7−ジオン
【化22】
【0088】
本例化合物を実施例7の記載に準じ製造し、LH−20クロマトグラフィー(MeOH)後に収率24%、mp315℃(分解)の黄色固体で単離する。
IR(KBr):3423、2926、1747、1702、1619、1583、1490、1467、1449、1415、1358、1222、1182、1146、1110、1040、996、937、827、763、641cm−1
1H−NMR(DMSO−d6、500MHz):δ9.21−9.19(m、1H)、9.12−9.10(m、1H)、8.10(d、J=10.9Hz、1H)、7.92(d、J=10.4Hz、1H)、7.21−7.15(m、2H)、6.08(d、J=7.6Hz、1H)、5.04−5.01(m、1H)、4.87(dd、JHF=50.7、5.3Hz、1H)、4.69−4.60(2m、2H)、4.55(m、1H)、3.98(ddd、JHF=28.0、J=10.8、5.4Hz、1H)
MS(ESI−),m/e506(M−H)−
【0089】
実施例12:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化23】
【0090】
5mLの乾燥ベンゼン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.168g、0.20ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(0.157g、0.60ミリモル)の溶液に、Ar下室温にてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(0.118mL、0.60ミリモル)を滴下する。室温で15分間撹拌後、得られる赤血色混合物を30分間加熱還流する。冷却した混合物を蒸発し、得られるオレンジ色ゴム状物をクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/アセトニトリル=1:0、次いで97:3)に付し、標記化合物(0.124g、77%)を明黄色ガラス状物で得る。
【0091】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.17(dd、J=10.7、8.3Hz、1H)、9.00(dd、J=10.6、8.2Hz、1H)、7.65(br s、1H)、7.48−7.30(m、9H)、7.20(m、3H)、7.13(dd、J=7.6、7.2Hz、2H)、6.67(d、J=7.3Hz、2H)、6.61(m、1H)、6.33(s、1H)、5.52(dd、J=8.5、2.0Hz、1H)、4.84(d、J=12.2Hz、1H)、4.83(m、1H)、4.54(d、J=12.2Hz、1H)、4.34(d、J=8.4Hz、1H)、4.31(d、J=11.2Hz、1H)、4.04(m、2H)、3.95(d、J=1.4Hz、1H)、3.56(dd、J=8.9、4.7Hz、1H)、3.02(t、J=9.2Hz、1H)
MS(ESI−),m/e810(M−H)−
【0092】
実施例13:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−(1,4−β−D−ガラクトピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化24】
【0093】
10mLのクロロホルム/メタノール(1:1)中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.059g、0.073ミリモル)および20%Pd(OH)2/C(0.059g)の混合物を、激しく撹拌しながら室温にて17h水素添加する(バルーン圧)。
【0094】
次いで得られる混合物を濾過し(セライト)、ケーキをTHF、メタノールおよびジクロロメタンで連続して洗う。濾液の蒸発で固体を得、これをTHFに溶かし、濾過する。濾液を蒸発し、残渣を最小量の冷メタノールと共にトリチュレートし、濾過し、減圧乾燥する。これによって、標記化合物(0.032g、80%)を明黄色固体で得る。
【0095】
IR(KBr):1750、1700、1487、1473cm−1
1H−NMR(THF−d8、400MHz):δ10.13(br s、1H)、9.20(m、2H)、7.79(dd、J=12.0、6.6Hz、1H)、7.71(dd、J=11.4、6.5Hz、1H)、6.56(s、1H)、5.71(dd、J=7.9、2.8Hz、1H)、5.46(d、J=4.0Hz、1H)、4.76(m、1H)、4.63(d、J=4.5Hz、1H)、4.46(m、1H)、4.12(dd、J=5.6、3.6Hz、1H)、4.05(m、1H)、3.43(m、1H)、2.97(m、1H)
MS(ESI−),m/e540(M−H)−
HPLC:95.5%(320nm)
【0096】
実施例14:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化25】
【0097】
5mLの無水酢酸中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.124g、0.15ミリモル)およびヨウ素(0.010mg、0.038ミリモル)の混合物を、Ar下室温にて16h撹拌する。次いで得られる混合物を減圧蒸発し、残渣をトルエンに溶かし、再度蒸発して、黄色ゴム状物を得る。
【0098】
次いでこの物質を15mLのメタノールに溶かし、3mLの水酸化アンモニウム溶液を加え、フラスコを密封し、混合物を室温で20h撹拌する。次いで混合物を減圧蒸発し、残渣をトルエンに溶かし、再度蒸発して黄色ゴム状物を得る。この物質のフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/酢酸エチル=9:1)により、標記化合物(0.078g、72%)を黄色ガラス状物で得る。
【0099】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ8.81(m、1H)、8.65(m、1H)、7.85(s、1H)、7.38(m、6H)、7.22−7.14(m、3H)、6.78(d、J=6.9Hz、2H)、6.54(dd、J=10.4、6.3Hz、1H)、6.29(s、1H)、5.47(d、J=7.9Hz、1H)、4.81(d、J=12.2Hz、1H)、4.75(m、1H)、4.52(d、J=12.3Hz、1H)、4.36(d、J=7.7Hz、1H)、4.15(m、2H)、3.96(s、1H)、3.67(dd、J=10.8、5.5Hz、1H)、3.39(dd、J=10.6、8.1Hz、1H)、2.06(br s、1H)
MS(ESI−),m/e720(M−H)−
【0100】
実施例15:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(6−デオキシ−6−フルオロ−2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化26】
【0101】
7.5mLの乾燥ジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.232g、0.32ミリモル)の溶液に、Ar下−40℃にて(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド(DAST)(0.127mL、0.96ミリモル)を滴下する。20分後冷却浴を取外し、混合物を室温で3h撹拌する。
【0102】
次いで反応混合物を再度−40℃で冷却し、再びDAST(0.065mL、0.49ミリモル)を加える。次いで混合物を室温で3h撹拌し、−40℃で再冷却し、メタノール(10mL)で反応を抑え、蒸発してゴム状物を得る。この物質のフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/酢酸エチル=1:0、次いで95:5)により、標記化合物(0.168g、72%)を明黄色ガラス状物で得る。
【0103】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.13(dd、J=10.7、8.3Hz、1H)、8.93(dd、J=10.7、8.2Hz、1H)、7.71(s、1H)、7.48(m、6H)、7.33(dd、J=10.7、6.2Hz、1H)、7.22(t、J=7.3Hz、1H)、7.16(dd、J=7.6、7.1Hz、2H)、6.68(d、J=7.1Hz、2H)、6.54(dd、J=10.5、6.3Hz、1H)、6.33(s、1H)、5.45(d、J=8.6Hz、1H)、4.94(m、1H)、4.89(d、J=12.2Hz、1H)、4.58(d、J=12.3Hz、1H)、4.50(dd、J=9.2、5.2Hz、0.5H)、4.39(d、J=8.2Hz、1H)、4.38(m、0.5H)、4.05(m、1H)、3.98(m、1H)
MS(ESI−),m/e722(M−H)−
【0104】
実施例16:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(6−デオキシ−6−フルオロ−β−D−ガラクトピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化27】
【0105】
25mLのクロロホルム/メタノール(1:1)中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,4−(2,3−ジ−O−ベンジル−6−デオキシ−6−フルオロ−β−D−ガラクトピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.168g、0.23ミリモル)および20%Pd(OH)2/C(0.185g)の混合物を、激しく撹拌しながらr.t.にて3日間水素添加する(バルーン圧)。
【0106】
次いで得られる混合物を濾過し(セライト)、ケーキをメタノール、次いでTHFで洗い、濾液を蒸発して固体を得る。この物質をクロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノール/THF=8:1:1)に付し、生成物含有画分をコンバインし、再度クロマトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノール/THF=90:5:5)に付して、純粋な標記化合物(0.096g、77%)を明黄色固体で得る。
【0107】
IR(KBr):1753、1716、1487、1474cm−1
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.22(dd、J=11.2、8.5Hz、1H)、9.18(dd、J=11.3、8.4Hz、1H)、7.90(dd、J=11.7、6.6Hz、1H)、7.87(dd、J=11.8、6.5Hz、1H)、6.77(s、1H)、5.96(dd、J=8.6、2.8Hz、1H)、5.10(m、1H)、4.70(dd、J=6.5、1.5Hz、1H)、4.40(dd、J=10.0、5.3Hz、0.5H)、4.30(m、1H)、4.19(dd、J=9.7、6.4Hz、0.5H)、3.29(s、1H)
MS(ESI−),m/e542(M−H)−
HPLC:97.5%(320nm)
【0108】
実施例17:2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3−ジ−O−ベンジル−4,6−ジデオキシ−5,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化28】
【0109】
100mLのジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3−ジ−O−ベンジル−4−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(2.00g、2.76ミリモル)および新たに賦活した粉砕4Åモレキュラーシーブス(0.60g)の混合物を、Ar下5℃で冷却し、トリエチルアミン(0.77mL、5.52ミリモル)、DMAP(0.20g、1.64ミリモル)およびメタンスルホニルクロリド(0.32mL、4.14ミリモル)を連続して加える。
【0110】
混合物を同温で2h撹拌し、次いでこれを濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗う。濾液を酢酸エチル(200mL)およびエーテル(50mL)で希釈し、次いで洗浄し(H2O×2回、塩水)、乾燥し(MgSO4)、蒸発して黄色ガラス状物を得る。この物質を100mLのアセトンに溶かし、NaIを加え、混合物をAr下18h加熱還流する。次いで冷却した混合物を蒸発乾固し、残渣を10mLの酢酸エチルに溶かし、洗浄し(H2O×2回、塩水)、乾燥し(MgSO4)、蒸発する。
【0111】
得られる固体をクロマトグラフィー(SiO2、2〜32%酢酸エチル/ヘキサン)に付して、2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3−ジ−O−ベンジル−4−デオキシ−6−ヨード−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.90g、39%)を非晶質黄色固体で得る。このヨウ化物(0.500g、0.60ミリモル)/20mLの乾燥THFの氷冷溶液に、DBU(0.27mL、1.80ミリモル)を加え、溶液を5℃で2h保持する。次いで冷却浴を取外し、室温で16h撹拌を続ける。
【0112】
次いで追加のDBU(0.27mL、1.80ミリモル)を加え、さらに反応を24h続ける。さらにDBU(0.27mL、1.80ミリモル)を加え、撹拌を24h続ける。得られる混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで洗浄し(1N−HCl×2回、H2O×2回、1M−NaHCO3×2回、H2O、塩水)、乾燥し(MgSO4)、蒸発してゴム状物を得る。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、2〜16%酢酸エチル/ヘキサン)を行って、標記化合物(0.297g、70%)を黄色固体で得る。
【0113】
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.11(dd、J=11.0、8.5Hz、1H)、8.95(dd、J=11.0、8.5Hz、1H)、7.94(m、1H)、7.46(m、2H)、7.37(m、4H)、6.84(t、J=7.3Hz、1H)、6.69(m、2H)、6.57(d、J=8.5Hz、1H)、6.43(br s、2H)、4.92(d、J=11.4Hz、1H)、4.74(d、J=11.4Hz、1H)、4.69(s、1H)、4.58(s、1H)、4.40(d、J=11.8Hz、1H)、4.26(d、J=5.5Hz、2H)、3.99(d、J=11.8Hz、1H)、3.25(m、1H)
MS(ESI−),m/e704(M−H)−
【0114】
実施例18:2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−デオキシ−5,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化29】
【0115】
本例化合物を実施例17の記載に準じ、全収率54%、黄色固体で製造する。
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.38(s、1H)、9.13(t、J=9.3Hz、1H)、8.99(t、J=9.3Hz、1H)、7.56−7.41(m、6H)、7.29(m、2H)、6.90(t、J=7.1Hz、1H)、6.74(t、J=7.5Hz、2H)、6.68(d、J=7.9Hz、1H)、6.43(d、J=7.2Hz、3H)、5.06(m、2H)、4.84(d、J=11.6Hz、1H)、4.74(d、J=1.3Hz、1H)、4.68(d、J=10.1Hz、1H)、4.58−4.54(m、2H)、4.19(m、1H)、3.94(d、J=11.4Hz、1H)
MS(ESI−),m/e810(M−H)−
【0116】
実施例19:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化30】
【0117】
THF(7mL)とメタノール(1mL)の混合物中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−デオキシ−5,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.047g、0.058ミリモル)の溶液に、カリウム・t−ブトキシド(0.025g、0.22ミリモル)、次いでヨウ素(0.047g、0.19ミリモル)を加える。
【0118】
得られる茶色混合物を、Ar下室温にて18h撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。次いでこの混合物を洗浄し(水性Na2S2O3、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して茶色残渣を得る。分取tlc(ヘキサン/酢酸エチル=2:1)で精製して、標記化合物(0.022g、41%)を黄色固体で得る。
【0119】
1H−NMR(CDCl3、400MHz):δ9.01(dd、J=10.4Hz、8.6Hz、1H)、8.82(dd、J=10.5Hz、8.2Hz、1H)、7.70(s、1H)、7.49(m、3H)、7.39(d、J=3.6Hz、2H)、7.22−7.05(m、6H)、6.90−6.84(m、3H)、6.78(d、J=7.3Hz、2H)、6.33(dd、J=10.6Hz、6.2Hz、1H)、6.22(d、J=4.9Hz、1H)、5.05(d、J=11.9Hz、1H)、4.69(t、J=11.1Hz、2H)、4.57−4.53(m、2H)、4.41(d、J=11.1Hz、1H)、4.21(d、J=11.6Hz、1H)、4.16−4.11(m、1H)、4.08(m、3H)
MS(ESI−),m/e936(M−H)−
【0120】
実施例20:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(4,6−ジデオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化31】
【0121】
本例化合物を実施例19の記載に準じ、収率68%で製造する。
1H−NMR(アセトン−d6、500MHz):δ9.10(dd、J=10.4Hz、8.6Hz、1H)、8.95(dd、J=10.4Hz、8.6Hz、1H)、8.02(m、1H)、7.6−7.4(m、7H)、7.08(m、1H)、6.90(m、1H)、6.76−6.65(m、2H)、6.70(d、J=1Hz、1H)、5.05(d、J=11.5Hz、1H)、4.98(d、J=11.5Hz、1H)、4.91(d、J=12.3Hz、1H)、4.23(dd、J=3.3、3.3Hz、1H)、4.22(d、J=12.3Hz、1H)、4.15(dd、J=1、3.3Hz、1H)、3.80(d、J=11.5Hz、1H)、3.73(d、J=11.5Hz、1H)、3.25(dd、J=3.3、14.9Hz、1H)、3.01(dd、J=3.3、14.9Hz、1H)
MS(ESI−),m/e830(M−H)−
【0122】
実施例21:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化32】
【0123】
5mLのジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.025g、0.027ミリモル)の溶液にAr下−78℃にて、三臭化ホウ素の溶液(ジクロロメタン中1M、0.27mL、0.27ミリモル)を滴下する。30分後に別途0.15mL(0.15ミリモル)の三臭化ホウ素溶液を加え、反応混合物を1hにわたって0℃まで加温せしめる。
【0124】
次いで混合物を−78℃で再冷却し、再度0.20mL(0.20ミリモル)の三臭化ホウ素溶液を加え、混合物を2hにわたって0℃まで加温せしめる。次いで反応混合物にメタノールを加えて反応を抑え、酢酸エチルで希釈し、洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発する。残渣を分取tlc(THF/ヘキサン=2:1)で精製して、標記化合物(0.003g、21%)を黄色固体で得る。
【0125】
1H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ11.26(s、1H)、8.97(t、J=9.5Hz、1H)、8.76(t、J=9.1Hz、1H)、8.01−7.91(m、2H)、6.46(d、J=5.2Hz、1H)、6.26(d、J=5.3Hz、1H)、5.87(d、J=5.3Hz、1H)、5.38(s、2H)、4.21(m、1H)、4.10(m、1H)、3.79−3.71(m、2H)、3.16(d、J=5.3Hz、1H)
MS(ESI−),m/e540(M−H)−
HPLC:97.0%(320nm)
【0126】
実施例22:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−(1,5−β−D−グルコピラノシル)−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化33】
【0127】
数滴の水を含有する4mLのジクロロメタン中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−6−ヨード−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.025g、0.027ミリモル)の溶液に、m−クロロ過安息香酸(0.018g、0.11ミリモル)を加え、得られる混合物を室温で3日間撹拌する。次いで混合物を酢酸エチルと飽和水性NaHSO3間に分配し、有機相を分離し、洗い(飽和水性NaHCO3、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体を得る。
【0128】
分取tlcで精製を行って、2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−ヒドロキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.006g、27%)を黄色固体で得る。MS(ESI−),m/e826(M−H)−。この物質をジクロロメタン(5mL)に溶かし、溶液をAr下−78℃で冷却し、次いで三臭化ホウ素溶液(ジクロロメタン中1M、0.073mL、0.073ミリモル)を滴下する。
【0129】
得られる混合物を−78℃で15分間、次いで0℃で75分間保持し、最後にメタノールで反応を抑え、酢酸エチルで希釈する。次いでこの混合物を洗い(塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発し、残渣を分取Tlc(THF/ヘキサン=3:2)で精製して、標記化合物(0.0016g、40%)を黄色固体で得る。
【0130】
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ10.01(s、1H)、9.09(dd、J=11.4Hz、8.7Hz、1H)、8.88(t、J=8.8Hz、1H)、7.88−7.76(m、2H)、6.55(d、J=6.0Hz、1H)、4.79−4.67(m、2H)、4.26−4.18(m、2H)、4.12−4.06(m、1H)、3.89−3.78(m、2H)、3.52(m、1H)、3.29(s、1H)
MS(ESI−),m/e556(M−H)−
HPLC:98.1%(320nm)
【0131】
実施例23:2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5−オンおよび
2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−7−オン
【化34】
【0132】
10mLのエタノール中の2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.060g、0.074ミリモル)の溶液に、ホウ水素化ナトリウム(0.027g、0.71ミリモル)を三回に分けて1h間隔で加える。最後の添加の1時間後に、別途0.035g(0.92ミリモル)のホウ水素化ナトリウムを加え、得られる混合物を室温で3日間撹拌する。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、洗い(飽和NH4Cl、飽和NaHCO3、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発して固体残渣を得る。
【0133】
この残渣を直ちにジクロロメタン(5mL)に溶かし、フェニルセレノール(0.055mL、0.52ミリモル)を加えた後、p−トルエンスルホン酸モノ水和物(0.003g、0.015ミリモル)を加える。室温で2h後、得られる混合物を蒸発し、残渣を分取tlc(ジクロロメタン/メタノール=97:3)で精製して、2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5−オンと2,3,9,10−テトラフルオロ−12,13−[1,5−(6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−7−オンの1:1混合物(0.014g、24%)をほぼ無色の固体で得る。MS(ESI−),m/e796(M−H)−。
【0134】
この物質をジクロロメタン(5mL)に溶かし、−78℃で冷却し、次いで三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M、0.18mL、0.18ミリモル)で処理する。混合物を−78℃で15分間、次いで−20℃で2h撹拌してから、−78℃で再冷却し、再度三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M、0.10mL、0.10ミリモル)で処理する。次いで混合物を5℃で18h、さらに室温で5h保持する。
【0135】
このプロセスをもう1回繰返し、得られる混合物を1N−HClと酢酸エチル間に分配する。有機相を分離し、洗い(1N−HCl、塩水)、乾燥し(Na2SO4)、蒸発し、得られる残渣を分取tlc(THF/ヘキサン=2:1)で精製して、標記化合物の分離できない1:1混合物(0.0032g、36%)をほぼ無色の固体で得る。
【0136】
1H−NMR(アセトン−d6、400MHz):δ9.34(dd、J=11.8Hz、9.0Hz、1H)、9.08(dd、J=11.6Hz、8.6Hz、1H)、7.94(dd、J=10.5Hz、7.9Hz、1H)、7.81−7.72(m、1H)、7.69−7.59(m、1H)、6.47(dd、J=5.4Hz、3.2Hz、1H)、5.48−5.31(m、2H)、5.03−4.90(m、2H)、4.50−4.45(m、1H)、4.20−4.12(m、1H)、4.07−4.02(m、1H)、3.61(m、1H)、2.72(s、3H)
MS(ESI−),m/e526(M−H)−
HPLC:98.0%(320nm)
【0137】
実施例24:2,10−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化35】
【0138】
乾燥ピリジン(3mL)中の2,10−ジフルオロ−12−[3,4,6−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.100g、0.126ミリモル)および火炎乾燥した4Åモレキュラーシーブス粉(0.10g)の混合物を、窒素下0℃に15分間冷却してから、メタンスルホニルクロリド(0.012mL、0.15ミリモル)を加える。混合物を室温で8h撹拌し、次いで0℃に再冷却し、別途メタンスルホニルクロリド(0.015mL)で処理する。
【0139】
次いで混合物を室温で1h撹拌する。この順序を出発物質の全てが消費されるまで、1時間毎に繰返す。次いで混合物を酢酸エチルで希釈し、0.1N−HCl、飽和NaHCO3および塩水で洗った後、乾燥し、溶媒蒸発する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=3:7)で精製して、メシレート(0.080g、73%)を黄色固体で得、これをそのまま次工程に用いる。
【0140】
このメシレートを無水ジメチルホルムアミド(1mL)に溶かし、乾燥ジイソプロピルエチルアミン(0.050mL、0.29ミリモル)を加える。混合物を110℃に1h加熱し、次いで周囲温度で一夜撹拌する。得られる混合物を酢酸エチルおよびTHFで希釈し、1N−HClおよび塩水で洗い、乾燥し、濃縮する。残渣をEtOH/THF/MeOH(3:3:1)に溶かし、10%水酸化パラジウム/炭素(0.30g)を加え、混合物をパール(Parr)振とう機にて、室温および60psiで24h水素添加する。
【0141】
次いで混合物をセライトで濾過し、濾過ケーキをTHFおよびメタノールで洗う。濾液を減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9:1)で精製して、標記化合物(0.020g、全32%)を黄色固体で得る。mp>300℃。
IR(KBr):3307(br)、2926、2876、1745、1710、1697、1619、1575、1466、1438、1349、1322、1174、1117、1070、1025、760cm−1
【0142】
1H−NMR(DMSO−d6、500MHz):δ11.09(s、1H)、8.81(d、J=10.8Hz、1H)、8.73(dd、J=8.3、6.4Hz、1H)、8.61(dd、J=8.4、5.6Hz、1H)、7.87(d、J=8.0Hz、1H)、7.34−7.27(m、2H)、6.84(d、J=4.6Hz、1H)、6.80(s、1H)、5.64(d、J=5.1Hz、1H)、5.15(s、1H)、4.40−4.33(m、2H)、3.70−3.68(m、1H)、3.59−3.58(m、1H)、3.52−3.48(m、1H)、3.37−3.25(m、1H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0143】
実施例25:3,9−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−ガラクトピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化36】
【0144】
無水エタノール(750mL)中の3,9−ジフルオロ−6−(4−t−ブチルベンジル)−12−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(2.22g、3.31ミリモル)の撹拌溶液に、4.45M−KOH(75mL)を加え、得られる赤血色溶液を室温で一夜撹拌せしめる。
【0145】
反応液を濃HCl(80mL)で酸性化し、酢酸アンモニウム固体(750g)および無水エタノール(350mL)を加え、反応混合物を5日間還流する。次いで反応混合物を約2/3に濃縮し、室温まで冷却し、酢酸エチル(3500mL)および水(1500mL)を加える。
【0146】
有機層を水(1500mL×4)、飽和重炭酸ナトリウム(1500mL×1)、水(1500mL×1)および塩水(1500mL×1)で抽出し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧除去する。得られる残渣をシリカゲルに予め吸着させ、塩化メチレンに詰込んだフラッシュカラムに加え、塩化メチレン/アセトン勾配で溶離する。さらにSephadex LH−20/メタノールにて精製し、0.0237gの標記化合物を得る(1.4%)。
【0147】
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ11.04(br s、1H)、8.32(dd、1H、J=9.1、2.8Hz)、8.22(dd、1H、J=9.1、2.6Hz)、8.06(dd、1H、J=9.0、4.4Hz)、7.93(dd、1H、J=9.3、4.3Hz)、7.45−7.35(m、2H)、6.72(br s、1H、1’H)、6.13(br s、1H、3’OH)、5.38(br s、1H、3’H)、4.77(br s、1H、2’H)、4.73(d、1H、4’OH、J=5.5Hz)、4.73(t、1H、6’OH、J=5.4Hz)、4.28(dd、1H、5’H、J=6.2、6.1Hz)、3.71(br s、1H、4’H)、3.38−3.18(m、2H、6’H、6”H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0148】
実施例26:3,9−ジフルオロ−12,13−[1,6−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン
【化37】
【0149】
無水THF(200μL)中の3,9−ジフルオロ−12−(4−デオキシ−4−フルオロ−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.0100g、0.019ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(0.010g、0.038ミリモル)の撹拌溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(7.5μL、0.038ミリモル)を加える。得られる赤血色溶液を室温で3h撹拌した後、追加のジイソプロピルアゾジカルボキシレート(3μL、0.015ミリモル)を加える。
【0150】
反応液を室温で30分間撹拌し、次いでメタノール(1mL)で反応を抑え、溶媒を減圧除去する。シリカゲルにてアセトン/ヘキサン勾配を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した後、Sephadex LH−20/メタノールにて精製し、0.0041g(42.5%)の標記化合物を得る。
【0151】
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ8.97(dd、1H、J=9.7、2.5Hz)、8.88(dd、1H、J=9.7、2.5Hz)、8.34(dd、1H、J=9.2、4.5Hz)、8.08(dd、1H、J=9.0、4.2Hz)、7.54−7.45(m、2H)、6.20(d、1H、1’H、J=7.80Hz)、5.11(br d、1H、6’H、J=12Hz)、4.91(dd、1H、4’H、JH−F=50.6Hz、J3 ’ ,4 ’=5.4Hz)、4.68(br s、1H、5’H)、4.71−4.64(m、1H、6”H)、4.60−4.45(m、1H、2’H、J2,3=5.6Hz)、3.99(br ddd、1H、3’H、JH−F=28Hz、J3,4=5.5Hz、J2,3=5.6Hz)
MS(ESI−),m/e506(M−H)−。X線結晶学で確認した。
【0152】
実施例27および28:3,9−ジフルオロ−12,13−[1,6−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(1)および
3,9−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(2)
【化38】
【0153】
無水THF(10mL)中の3,9−ジフルオロ−12−β−D−グルコピラノシル−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.240g、0.459ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(0.263g、1.00ミリモル)の撹拌溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(200μL、1.01ミリモル)を加え、得られる赤血色溶液を室温で2h撹拌せしめる。次いで水(5滴)で反応を抑え、溶媒を減圧除去する。
【0154】
シリカゲルにてフラッシュクロマトグラフィー(アセトン/ヘキサン)で部分精製して、2成分を得、これらを個々にSephadex LH−20(メタノール)にて再精製し、2つの純粋な標記化合物を得る。1番目は、3,9−ジフルオロ−12,13−[1,6−β−D−グルコピラノシル)]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.019g、8.2%)として同定した。
【0155】
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ8.87(dd、1H、J=9.8、2.6Hz)、8.79(dd、1H、J=9.7、2.6Hz)、8.30(dd、1H、J=9.1、4.3Hz)、7.88(dd、1H、J=9.1、4.3Hz)、7.52−7.39(m、2H)、6.03(d、1H、1’H、J=7.8Hz)、5.60(br s、1H、4’−OH)、5.50(br s、1H、3’−OH)、4.81(br d、1H、6’−H、J=12.0Hz)、4.60(dd、1H、6’−H、J=12.2Hz)、4.40−4.28(m、2H、2’−H、5’−H)、3.78(br d、1H、4’−H)、3.70−3.62(m、1H、3’−H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0156】
2番目は、3,9−ジフルオロ−12,13−[1,2−β−D−グルコピラノシル]−6,7,12,13−テトラヒドロ(5H)インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7−ジオン(0.019g、8.2%)として同定した。
500MHz COSY 1H−NMR(d6−DMSO):δ11.01(br s、1H)、8.84(dd、1H、J=9.4、4.6Hz)、8.32(dd、1H、J=9.0、2.8Hz)、8.20(dd、1H、J=9.1、2.7Hz)、7.89(dd、1H、J=9.0、4.5Hz)、7.42(m、1H)、7.35(m、1H)、6.72(s、1H、1’−H)、6.57(d、1H、3’−OH、J=4.80Hz)、5.45(d、1H、4’−OH、J=5.10Hz)、5.06(br s、1H、2’−H)、4.32−4.22(m、2H、3’−H、6’−H)、3.62−3.57(m、1H、5’−H)、3.52−3.45(m、1H、4’−H)、3.40(d、1H、6’−H)
MS(ESI−),m/e504(M−H)−
【0157】
トポイソメラーゼI活性(インビトロ)
トポイソメラーゼI活性を、下記の手順で測定する。DNAにおいて化合物−誘発の、トポイソメラーゼI−仲介単一ストランド破断を検定する手順は、本質的にHsiangらの「J.Biol.Chem.」(260、14873−14878、1985年)に記載されている。100%DMSOに10μMまたは10mg/ml溶液で溶解したサンプルは、他に特別な記載がない限り、Tris−EDTA緩衝剤で希釈する。
【0158】
またマリン(marine)バクテリオファージPM2DNA(Boehringer Mannheim)は、Tris−EDTA緩衝剤で0.02μg/μl濃度に希釈する。希釈の異なる被評価化合物を、希釈DNAと混合し、該混合物を、2倍の反応緩衝剤中の精製したヒト・トポイソメラーゼI(Topogen)の1000ユニット(1ユニットの酵素活性は、100ngのスーパーコイル化DNAを37℃で約30分内で弛緩しうる量として規定する)のアリコートに加え、反応を開始する。
【0159】
化合物−DNA−酵素混合物を、37℃で30分間培養してから、ドデシル硫酸ナトリウムおよびプロテイナーゼK(Sigma)を含有する温ストップ緩衝剤で反応を停止する。これらの混合物をさらに37℃で10分間培養させ、この時、混合物をウォーターバスから取出し、クロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)混合物で抽出する。
【0160】
遠心分離を行ってから、水性相のアリコートを、0.5μg/mlのエチジウムブロマイド含有のTris−ボレート緩衝剤中の0.9%アガロース(SeaKem)ゲルのウェルに入れ、15時間電気泳動に付して、異なるトポロジー異性体とニックおよび破断したDNAsを分離する。水中でゲルのよごれを除いた後、ゲルをUV照射にさらすことによって、エチジウムブロマイド染色DNA反応産物を可視化する。
【0161】
照射したゲルの写真のネガを、濃度計でスキャンし、各サンプルの単一ストランドDNA破断形成のパーセントを得るために、ピーク下の面積を計算する。得られる用量−効果曲線のポイント間の補間(interpolation)によって、各化合物の中間有効濃度(EC50)を得るが、これは、DNAにおいてトポイソメラーゼI−仲介単一ストランド破断を誘発する、化合物の効果の潜在力を規定する。
【0162】
本発明の選択化合物のトポイソメラーゼI活性を、下記表Iに示す。
表I:
【表1】
【0163】
細胞に基づく細胞毒活性(インビトロ)
ネズミP388細胞系に対する増殖抑制活性を、以下の手順で測定する。ヒトおよび他の腫瘍細胞系を用い、「Cancer Res.」(48、4827−4833、1988年)に記載の手順に従って、細胞成長および培養中の薬物感受性の可溶性テトラゾリウム/ホルマザン・アッセイの評価を行なう。細胞を96ウェル・マイクロタイター平板にて、4000細胞/ウェルで培養し、24h後に薬物を加え、連続して希釈する。
【0164】
細胞を37℃で72h培養し、この時、メト硫酸フェナジン含有のテトラゾリウム染料,XTTを加える。生きている細胞中のデヒドロゲナーゼ酵素でXTTを還元して、450nmで光を吸収する形状とし、これを分光光度計で定量分析することができる。吸光度が増大すればするほど、生存細胞の数が増大する。結果をIC50で表示するが、これは、細胞増殖(すなわち、450nmでの吸光度)を、未処置対照細胞のそれの50%に抑制するのに必要な薬物濃度である。本発明の選択化合物の結果を、下記表IIに示す。
【0165】
表II:
【表2】
Claims (1)
- トポイソメラーゼIおよび腫瘍細胞の増殖を抑制するのに用いる、式:
Rは水素、OH、OC1−7アルキル、NH2、N(C1−3アルキル)2またはC1−7アルキル、ここで、上記C1−7アルキルまたはC1−3アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、SR9、OR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく;
R1,R2,R3,R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、C1−7アルキル、C3−7シクロアルキル、ハロゲン、アジド、NR9R10、NHC(O)NR9R10、NHC(O)OR9、C(O)OR9、SR9およびOR9からなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、SR9、OR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく、但し、R1,R2,R3,R4およびR5からなる群から選ばれる変記号の2つのみがC3−7シクロアルキル、アジド、NHC(O)NR9R10またはNHC(O)OR9であってよく;
R7およびR8はそれぞれ独立して、OHもしくはH、またはR7とR8は共に合して=Oを形成し;
R9およびR10はそれぞれ独立して、水素、C1−7アルキルおよびC3−7シクロアルキルからなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、OH、OC1−7アルキル、NH2およびN(C1−3アルキル)2からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよく、あるいは
R9とR10はそれらが結合する窒素原子と共に合して、O、NおよびSからなる群から選ばれる同一もしくは異なるヘテロ原子の1個または2個を含有する非芳香族5〜8員複素環を形成し;
mは0または1;および
X1,X1 ’,X2およびX2 ’はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、OR9、−CF3、アルキルカルボニル、C1−7アルキル、ニトロ、アルコキシアミノアルキル、NR9R10、SR9およびC(O)OR9からなる群から選ばれ、ここで、上記C1−7アルキルは必要に応じて、ハロゲン、CN、OR9、SR9およびNR9R10からなる群から選ばれる置換基の1つ以上で置換されてよい]
で示される化合物、またはその医薬的に許容しうる塩もしくは溶媒化合物。
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