JP2010513287A - 癌治療のための組成物及び方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、多様な形の癌の治療用医薬組成物の調製のための、インドロカルバゾールK252aに関する特定の化合物の使用に関する。

Description

関連出願
本願は、癌治療のための組成物及び方法という発明の名称である、2006年12月14日に出願された米国仮出願第60/875,013(代理人書類番号TAUI−004−1)の優先権を主張している。本願の明細書で引用されたあらゆる特許、特許出願及び文献の内容は、引用により本願の明細書に援用されている。
技術分野
本発明は、様々な形態の癌の治療のための薬学的組成物の調製のための、特に偶発性の薬学的性質を具備したインドロカルバゾールK252aに関する具体的な化合物の使用に関するものである。
細胞内リン酸化現象は、遺伝子的又は環境的な傷害に曝された細胞の生き残りを調整することによる様々な病理学的な条件の長期に亘る結果に決定的な強い影響を与える。特に、前記の細胞のサイクルの制御、ニューロンのような分裂終了細胞のような場合、又は個々の分化状態の維持に関与する、あるキナーゼ類の不適切な活性化は、代謝的なストレスがかかった状況下における癌細胞のアポトーシス又は神経の回復のような、病理学的チャレンジに対する有益な病理学的応答を徐々に弱めることができる。
制御された細胞のサイクル又はMAPキナーゼスーパーファミリーに属するもののような、いくらかのキーとなるキナーゼが偏在して発現されるが、異なる生物学的状況における根本的に異なる機能を果たすことが認識されている。増殖する細胞のタイプにおいて、前記のキナーゼの生理学的な活性化は、細胞内現象(cdks)を同時に発生させるか、又は環境的な刺激及び細胞間のシグナル(MAPキナーゼ類)を結びつけることにより細胞増殖に及ぼされる支配的な制御を発揮する傾向がある。したがって、前記のキナーゼ類のレベルに関する干渉は、様々な癌における治療学的な有用性を具備する。
キーであるMAPキナーゼERK2及び前記のcdkファミリーのいくつかのメンバーの癌の生物学への関与が詳細に立証されている。活性化されたERK1/2タンパク質は、構造性的に、前記のERKシグナル伝達経路にカップリングしている膜受容体の突然変異によりしばしば引き起こされる、例えばメラノーマ細胞の場合のような頻繁に引き起こされる異常性である[Abi-Habib
et al., Mol. Cancer Ther. 4, 1303-1310 (2005); Takata et al., J. Invest. Dermatol. 125,
318-322 (2005)]。
この異常性を備えた大多数の腫瘍細胞に関して、前記のERK経路の阻害は有毒である。構造性的に受容体突然変異を活性化することは、腫瘍生物学におけるよく知られたテーマであり、大多数の前記の受容体は前記のERK経路に供給する。
前記の広く知られている例の一つは、由来する組織のスペクトルを越える癌のかなり大きな断片を説明する、前記のERK経路のシグナル伝達分子ras上流における突然変異である。チロシンキナーゼ受容体のERBファミリーにおける突然変異は乳癌において顕著である。しかしながら、ハーセプチン(Herceptin)耐性腫瘍の治療に使用される新薬であるTykerbは、二つのERB受容体サブタイプに対して二重の親和性を具備しているのもかかわらず、乳癌腫瘍セルラインの大パネルの約20%のみにおいて成長阻害活性を示す[Konecny et
al., Cancer Res. 66, 1630-1639 (2006)]。対照的に、試験された前記のセルラインのすべては、構造性のERK2活性のいくらかのレベルを具備していた。それゆえ、しかしながら、ERKのレベルにおける干渉は、時折今なお知られていない、発がん性の突然変異をもっている、無数の上流の受容体をターゲットとするよりも多い普遍的な治療原理に提供すべきである[e.g.,
Zuidervaart et al., Br. J. Cancer 92,
2032-2038 (2005)]。他のより特異的な干渉戦略に対する新規又は発生する耐性[e.g.,
Gee et al., Endocr. Relat. Cancer 12
Suppl.1, S99-S111 (2005)]は、また、ERK2のレベルにおいて問題がより少ないかもしれない。すなわち、哺乳動物種に亘るERK2の相同性はほとんど絶対的であり、前記の各々の遺伝子における突然変異を起こさせる活性がないか又は前記のタンパク質のあらゆる変性ための耐性がないかの何れか一方を示す。ERK活性による特異的な阻害の臨床的な有用性が、MEK1/2と称される、唯一知られている上流の活性化するERK類のキナーゼの阻害を伴う治療により、進行した悪性腫瘍に冒された患者で確認された[Lorusso
et al., J. Clin. Oncol. 23, 5281-5293 (2005)]。しかしながら、腫瘍細胞の形質転換におけるMAPキナーゼ経路の明白である真に中心的な役割によってさえ、MEK1/2、及びそれについてのERK2の非常に特異的な阻害剤の有効性の驚くべき限界が明らかになった。前記の阻害剤はrafにより形質転換された細胞に極めて有効である一方、前記の阻害剤は、発がん性rasによる突然変異を宿す腫瘍細胞における有効性を失うことが示された。ここにおいて、前記のMAPキナーゼ経路以外にもう一つの経路が十分な形質転換作用を提供するために利用されていることが明らかである。
これは、すべての知られた腫瘍の50%以上がrasによる発がん性突然変異を含むという事実の観点において特に重要である。それによって頻発する腫瘍における予期しない有効性又は耐性の発現のための十分な機会を与えるからである。
前記のERK経路を発現するだけでなく、臨床の癌類の大多数において観察される前記のバイパス経路を妨げる、より広く作用する阻害剤について焦眉の必要性がある。前記の阻害剤は、分子レベルでの発がん性メカニズムの広いスペクトルを妨げる、癌の広い治療的有用性を最終的に示すべきであり、そして、それによって患者の生き残りという臨床的に最も重要な結果に影響を及ぼすべきである。
本発明の要約
本願の多くの態様において、本発明は、成長に関連した経路の組み合わせの阻害剤である特定のインドロカルバゾール誘導体、前記の化合物を調製する方法、1つ以上の前記の化合物を含む薬学的組成物、1つ以上の前記の化合物を含む薬学的製剤を調製する方法、及び例えば癌のような1つ以上の増殖性の疾患の治療、予防、阻害又は改善の方法を提供する。
本発明は式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩を提供する。
Figure 2010513287
本発明は、また有効量の式1、2、3又は4の化合物及びその薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物を提供する。
前記の式1、2、3及び4の化合物は、(1)in vitroで成長関連のキナーゼ経路を強力に阻害し、(2)in vitroで様々な他のキナーゼに加えてGSK3及びセカンドメッセンジャーキナーゼ類(second messenger kinases)(例えば、PKC及びPKA)をほとんど阻害しない、(3)ホルモン/成長因子の刺激(例えば、MDA−MB−231及びU373)とは関係なく増殖するものを含むほとんどのヒト細胞株における異常細胞を阻害し、(4)例えば、ABC−G2(gp170)及びABC−B1(BCRP)のような薬物流出輸送体(MDRタンパク質)により認識されず、及び(5)既存の抗がん剤(例えば、パクリタキセル、シスプラチン及び関連する薬剤)に比べて相対的に高い効力及び/又は軽減された毒性を提供する。
したがって、本発明は、さらに前記のインドロカルバゾール化合物の有効量を投与することにより、哺乳動物、特にヒトにおける発がん性キナーゼを阻害する方法を提供する。
前記のキナーゼ経路を阻害するために式1、2、3又は4の化合物を患者へ投与することは前記の癌の治療に有用である。
本発明は、また(1)式1、2、3又は4の化合物の有効量を投与することにより、形質変換された細胞を含む細胞の異常成長を阻害するか又は治療する方法、(2)前記の治療が必要な哺乳動物(例えば、ヒト)に式1、2、3又は4の化合物の有効量を投与することにより、腫瘍の成長を阻害するか又は治療する方法、(3)式1、2、3又は4の化合物の有効量を投与することにより、活性化されたキナーゼ経路(例えば、ERK1,2)を発現する腫瘍の成長を阻害するか又は治療する方法を提供する。阻害されるか又は治療される腫瘍の例としては、肺癌(例えば、肺腺癌)、膵臓癌(例えば、外分泌性膵臓癌のような膵臓癌)、胃癌、食道癌、脳腫瘍、骨癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌及び結腸腺腫のような結腸直腸癌)、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、リンパ腫(例えば、未分化大細胞リンパ腫及び他の非ホジキンリンパ腫)、甲状腺小胞癌、骨髄異形成症候群(MDS)、膀胱癌、腎臓癌、肝臓癌、表皮癌、メラノーマ、乳癌及び前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一つの態様において、本発明は、式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩の有効量を被験体に投与するステップを含む、異常な細胞の増殖を患う被験体を治療するための方法を提供する。
一つの態様において、本発明は、式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩の有効量を被験体に投与するステップを含む、活性化されたキナーゼ経路(例えば、ERK1,2)の亢進したレベルを発現する腫瘍を患う前記の被験体を治療するための方法を提供する。
もう一つの態様において、本発明は、式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩の有効量を被験体に投与するステップを含む、治療の必要な前記の被験体における活性化されたキナーゼ経路(例えば、ERK1,2)阻害するための方法を提供する。
もう一つの態様において、本発明は、式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩の有効量を被験体に投与するステップを含む、治療の必要な前記の被験体における癌を治療するための方法を提供する。一つの態様では、前記の癌が、乳癌、結腸癌、神経膠腫、メラノーマ、前立腺癌、卵巣癌、腎臓癌、膀胱癌、頭及び頸部の癌、骨癌、表皮癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、肺癌、骨髄性白血病、甲状腺小胞癌、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫からなる群から選ばれる。一つの態様では、前記の癌が、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、メラノーマ、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、及び乳癌からなる群から選ばれる。もう一つの態様では、前記の癌が乳癌、結腸癌又は神経膠腫である。
本発明の一つの態様では、前記の癌が、細胞表面受容体チロシンキナーゼ(RTK)又は他の上流シグナルタンパク質をコードする遺伝子における発がん性突然変異の結果としてMAPキナーゼの活性化に関連している。もう一つの態様では、前記のMAPタンパク質キナーゼが、細胞外のシグナルにより制御されたキナーゼ−2(ERK−2)及び/又は細胞外のシグナルにより制御されたキナーゼ−1(ERK−1)であって、前記他の上流シグナルタンパク質がRaf又はRasタンパク質である。
もう一つの態様では、本発明は、
(1)式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩の有効量を前記の被験体に投与するステップ、及び
(2)少なくとも一つの化学療法剤及び/又は放射線照射の少なくとも一つの有効量を、前記の被験体に投与するステップを含み、ステップ(1)及び(2)が同時又は連続して実施される、
治療を必要とする被験体における癌を治療する方法を提供する。
一つの態様では、前記の化学療法剤が、抗悪性腫瘍薬であって、前記の抗悪性腫瘍薬が、タキサン系薬剤;プラチナ配位化合物;EGF阻害剤;VEGF阻害剤;ALK阻害剤;ABL−キナーゼ阻害剤;FLT−キナーゼ阻害剤;MEK−阻害剤;Raf−キナーゼ阻害剤;エストロゲン受容体拮抗剤又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ;抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体;エポチロン類;トポイソメラーゼ阻害剤;ビンカアルカロイド類;アルファ−インテグリン類阻害剤;葉酸拮抗剤類;リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤;アントラサイクリン類;17−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン;生物製剤(biologics);及びサリドマイド又はその誘導体からなる群から選ばれる。
もう一つの態様では、前記の方法は、少なくとも2つの抗悪性腫瘍薬を投与するステップを含み、前記の少なくとも2つの抗悪性腫瘍薬がタキサン化合物及びプラチナ配位化合物である。さらにもう一つの態様では、(a)前記のタキサン類がパクリタキセルであり、且つ前記プラチナ配位化合物がカルボプラチンであるか、又は(b)前記のタキサン類がパクリタキセルであり、且つ前記プラチナ配位化合物がシスプラチンであるか、又は(c)前記のタキサン類がドセタキセルであり、且つ前記プラチナ配位化合物がシスプラチンであるか、又は(d)前記のタキサン類がドセタキセルであり、且つ前記プラチナ配位化合物がカルボプラチンである。さらなるもう一つの態様では、前記の抗悪性腫瘍薬が、ハーセプチン、セツキシマブ、タイカーブ、タルセバ、イレッサ、ベバシズマブ、IMC−1C11、SU5416及びSU6688である。
もう一つの態様では、本発明は、式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩の治療学的な有効量及び少なくとも一つの抗ホルモン剤の治療学的な有効量を被験体に投与するステップを含む、乳癌を患う被験体を治療するための方法を提供するものであって、前記の抗ホルモン剤が、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン剤、及びLHRHからなる群から選ばれ、そして前記の治療法が任意に少なくとも一つの化学療法剤の投与を含む。一つの態様では、前記の治療法が、トラスツズマブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ及びボルテゾミブからなる群から選ばれる化学療法剤の投与を含む。
もう一つの態様では、本発明は、(1)式1、2、3又は4の化合物又はその薬学的に受容される塩;(2)少なくとも一つの抗ホルモン剤、及び(3)薬学的に受容されるキャリヤーを含む薬学的組成物を提供する。一つの態様では、前記の薬学的組成物は、さらに少なくとも一つの化学療法剤を含む。
前記の治療法のいずれかの一つの態様では、前記の被験体がヒトである。
もう一つの態様では、本発明は、
(a)式1、2、3又は4の化合物及びその薬学的に許容されるキャリヤーを各々の錠剤が含む薬学的組成物、
(b)前記の薬学的組成物を収める包装材料、及び
(c)その必要性がある被験体における癌の治療における前記の薬学的組成物の使用のための指示書を含むキットを提供する。
本発明の方法で有用な式1、2、3又は4の化合物は、細胞の異常な成長を阻害又は治療する。理論により結び付けられる希望なくして、これらの化合物は、単一の初期の発ガンメカニズムの阻害によるよりもむしろ、主な発がん性経路の限定された組み合わせの選択的な阻害により作用することができると信じられている。言い換えれば、及び再び理論により結び付けられた希望なくして、これらの化合物が本質的な受容体の活性化を引き起こすことなく発ガン経路のいくらかの面を阻害することにより作用することができるので、これらの化合物が長期間に亘る癌治療に有用であると信じられている。効力、選択性のプロファイル、薬物動力学的性質及び溶解度の幸運な組み合わせにより、式1、2、3及び4の化合物は、既存の治療法が効かないか又は最早有効ではない、薬剤耐性の癌の治療に特に有用である。
もう一つの態様では、化合物6とKCN及びCHNHと反応させて化合物1を形成するステップを含む、化合物6を化合物1に変換するためのプロセスを提供する。
図1は、活性の低い公知の化合物6と比較した、化合物1の濃度の増加に伴うMDA−MB−231乳癌セルラインの成長曲線を示す。細胞濃度は、実施例3において説明するクリスタルバイオレット染色法(crystal violet staining method)により測定された。
図2は、活性の低い公知の化合物6と比較した、化合物1の濃度の増加に伴うU373多形グリア芽腫セルライン(実施例5)の成長曲線を示す。
図3は、活性の低い公知の化合物6と比較した、化合物1の濃度の増加に伴うHT29の結腸癌セルライン(実施例4)の成長曲線を示す。
図4は、様々な濃度の化合物1と単回接触後(A)1時間、(B)3時間及び(C)6時間における、MDA−MB−231乳癌セルラインの成長に関する延長された効果を示す。
図5は、MDA−MB−231乳癌セルラインの成長に関する、既存の抗癌剤であるビンブラスチン(A)及びシスプラチン(B)の濃度の増加に伴う効果を示す。
図6は、二つのしばしば関与している多薬剤耐性タンパク質ABC−B1(糖蛋白質gp170)(A)及びABC−G2(乳癌耐性タンパク質BCRP)(B)による、化合物1の認識と化合物6の認識との比較を示す。gp170を高レベルに発現するKb−V1細胞におけるカルセイン−AMのMDRにより誘導される流出との競合、又は前記の化合物のそれぞれの有効な濃度範囲以内におけるMCF−7細胞におけるミトキサンドロン(mitoxandrone)の流出との競合に、測定は基づいていた。1又は6との競合による蛍光報告化合物(fluorescent reporter compound)の取り込みは、Mueller
et al., Cancer Chemother. Pharmacol. 59, 157-164 (2007)に開示されているようにFACSにより評価された。
図7a−hは、様々な癌からにNCIパネルのセルラインにおける化合物1の阻害活性を示す。種々の濃度の化合物1により処理された細胞の成長は、48時間の接触の後に未処理の対照(100%)と比較して示されている。マイナス成長値(negative growth values)は、細胞死を示す。化合物1の実際の濃度は、96ウエルプレートにおけるウエル結合であるため、名目上よりも約2倍低い。
図8は、ウエル結合による実際のプラズマの阻害剤濃度における前記の減少について修正されている、経口で投与された化合物1の達しうる、拘束されていないマウスのプラズマの濃度に関する、GI50(50%成長阻害濃度、網目のバー)及びNCI−60パネルにおける全細胞のTGI値(全成長阻害濃度、実線のバー)を表す。前記のセルラインの発がん性突然変異スペクトルは、最下段に示されている。
図9は、実施例8に記載されているHT29移植マウスモデルにおける30日に亘る、2.5mg/kgを1日2回経口投与された結果を示すグラフである。
図10は、実施例8における処理されたマウス(B)の腫瘍において検出される塊状の単球浸潤を示すが、ビークル対照マウス(A)では未処理である。
図11は、実施例6に記載した方法によりマウスのプラズマ及び脳で測定された、水に固体10mg/kgを懸濁したものを経口で単回投与した場合の化合物1の薬物動力学的挙動を示す。
本発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用されているように、特に断わらない限り、以下の用語は、以下の定義されたように使用される。
「抗癌剤」、「化学療法剤」及び「抗悪性腫瘍薬」は同じ意味を有し、そしてそれらの用語は、癌を治療するために使用される薬物(医薬)を表す。
「抗悪性腫瘍薬」は、癌に有効な化学療法剤を表す。
「少なくとも一つ」は、例えば1、2若しくは3、又は1若しくは2、又は1のように1以上を意味する。
「化合物」は、抗悪性腫瘍薬に関連し、抗体である薬剤を含む。
「同時に発生の」は、(1)同時に起こる(例えば、同時に)、又は(2)共通の治療スケジュールにおける異なる回数を表す。
「連続した」は、他に続く一つを意味する。
「異なる抗悪性腫瘍薬」という句で使用されているように、「異なる」は、前記の薬剤が同じ化合物ではないか又は同じ構造ではないことを意味する。好ましくは「異なる抗悪性腫瘍薬」という句で使用されているように、「異なる」は、抗悪性腫瘍薬の同じクラスではないことを意味し、例えば一つの抗悪性腫瘍薬がタキサンであり、且つもう一つの抗悪性腫瘍薬がプラチナ配位化合物である。
「有効な量」又は「治療学的に有効な量」は、癌の阻害若しくは治療において有効であるか、又は細胞外のシグナルにより制御されたキナーゼ(ERK)の阻害において有効である、本発明の化合物の量又は本発明の組成物の量を記載することを意味する。たとえば、(a)癌により引き起こされる一つ以上の症状の減少、軽減、又は消失、(b)腫瘍のサイズの減少、(c)前記の腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期に亘る症状の安定化(腫瘍の成長を止める)をもたらす前記の化合物の量又は前記の組成物の量である。例えば、前記のERK阻害剤の治療学的に有効な量は、また、ERK活性の減少を生ずる量である。前記のERK活性の減少は、当該技術分野で知られている技術を使用して、たとえばERK−1及びcdk−1のような薬力学マーカーの分析により測定することができる。
「1つ以上」は、例えば1,2若しくは3、又は1若しくは2、又は1である少なくとも1つである。
「患者」は、ヒト及び動物(好ましくは、ヒト)を含む。
「プロドラッグ」は、例えば血中での加水分解、in vivoでその母化合物、例えば式1、2、3又は4の化合物、その塩及び/又はその溶媒和物に速やかに変換される化合物を示す(T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S.
Symposium Series, 及び Edward B. Roche, ed., Bioreversible
Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon
Press, 1987を参照。この両者は引用により本願明細書で援用されている。)。本発明は、式1、2、3又は4の化合物のプロドラッグを包含する。
「連続して起こる」は、(1)前記の方法の一つの成分の投与((a)本発明の化合物、又は(b)化学療法剤、シグナル伝達阻害剤及び/又は放射線照射治療)に続いて前記の他の成分又は複数の他の成分の投与を意味する。すなわち、一つの成分の投与後、前記の次の成分が、前記の最初の成分後に実質的にすぐに投与されるか、又は前記の次の成分が、前記の最初の成分後の有効期間の経過後投与されることを意味する。なお、前記の有効期間は、前記の最初の化合物の投与からの最大の効力を発揮するために必要とされる時間である。
「溶媒和物」は、一つ以上の溶媒分子と式1、2、3又は4の化合物との物理的結合を意味する。この物理的結合は、水素結合を含むイオン結合及び共有結合の様々な結合の程度を含む。ある例では、前記の溶媒和物は、たとえば一つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に取り込まれている場合には単離することができる。「溶媒和物」は溶液フェーズの溶媒和物及び分離できる溶媒和物の両者を包含する。適当な溶媒和物の非制限の例は、エタノール和物及びメタノール和物等を包含する。「水和物」は、前記の溶媒分子がHOである溶媒和物である。
化合物について「精製された」、「精製された形態において」又は「単離された形態及び精製された形態において」という用語は、合成プロセス、天然物又はそれらの組み合わせから単離後の前記化合物の物理的状態を意味する。したがって、化合物について「精製された」、「精製された形態において」又は「単離された形態及び精製された形態において」という用語は、本願明細書に記載されたか又は当業者に知られた標準的な分析法において特徴付けられるために十分な純度である、本願明細書に記載されたか又は当業者に知られた精製プロセス又は複数の精製プロセスから得られた後の前記の化合物の物理的状態を意味する。
「薬学的組成物」という用語は、また、あらゆる薬学的に不活性な賦形剤と共に、例えば、本発明の化合物及び本願明細書に記載された付加的な成分のリストから選ばれるような1つより多い(例えば、2つ)薬学的に活性な成分からなる、前記のバルク組成物及び個々の薬用量単位の両方を包含するように意図されている。前記のバルク組成物及び個々の薬用量単位は、一定量の上記の「1つ以上の薬学的に活性な成分」を含むことができる。
前記のバルク組成物は、未だ個々の薬用量単位に調製されていない材料である。薬用量単位の例としては、例えば錠剤、及びピル等の経口用量単位が挙げられる。同様に、本明細書に記載した、本発明の薬学的組成物を投与することにより患者を治療する方法は、また前記のバルク組成物及び個々の薬用量単位の投与を包含することを意図されている。
本明細書で使用されているように、「組成物」という用語は、具体的な量の具体的な成分の組み合わせから直接的又は間接的に生ずる生成物のみならず、具体的な量の具体的な成分を含む生成物を包含することを意図されている。
「被験体」という用語は、本明細書で開示された疾患(例えば、癌)又はゲートイオンチャンネル活性を直接的又は間接的に含むあらゆる疾患に患うか又は苦しむ可能性がある動物を含むことを意図されている。被験体の例としては、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット及びヒト以外のトランスジェニック動物のような哺乳動物が挙げられる。いくらかの態様では、前記の被験体は、例えば癌に罹ったヒト、癌に罹る危険性のあるヒト又は潜在的に癌に罹る可能性があるヒトのようなヒトである。
本発明の化合物
本発明は、特許出願WO97/05140(全内容が引用により本明細書に援用されている。)の広い範囲のうちから具体的な4種の化合物1−4を提供する。前記の4種の化合物は、顕著な活性により区別され、且つ他の知られた化合物、特にWO97/05140に例示された不活性な誘導体に関して前記の提案された問題を解決し、そして著しく改善するという唯一無比のプロフィールを有することが判明した。
本発明の化合物は、式1、2、3又は4又はその薬学的に受容される塩である。
Figure 2010513287
WO97/05140には、多数のK252aに関連する化合物が癌及び免疫疾患の治療のために開示されている。しかしながら、一般的に不活性である、WO97/05140により提供される範囲における好ましい化合物及びその他のすべての構造と比較して、癌の治療における化合物1−4の唯一無比の具体的な有用性は確認されていない。本明細書に開示された生物学的データにより示されているように、本発明の具体的な化合物は、少なくとも望ましい抗がん活性において少なくとも1オーダー高く、そしてWO00/01699及びWO04/048384(両者の全内容は引用により本明細書に援用されている。)に開示された化合物、活性が低く、そして、また、抗増殖活性に必要とされる濃度でPKA、PKC、GSK3及び他のキナーゼ類をも阻害し、癌治療における有効性が低く、且つ、それゆえ低い治療係数を示す、関連するグリコシル化されたインドロカルバゾール類よりも優れた選択性スペクトルを具備する。好ましい態様では、本発明の化合物は化合物1である。
式1、2、3及び4の化合物は、また、塩類を形成することができ、その塩類もまた本発明の範囲に含まれる。本明細書において式1、2、3又は4の化合物に言及した場合、特別に記載しない限りその塩類についても言及していると理解される。本明細書で使用されている「塩(塩類)」という用語は、無機及び/有機の塩基により形成される塩基付加塩のみならず、無機及び/有機の酸により形成される酸付加塩を意味する。さらに、式1、2、3又は4の化合物が、例えばピリジン部分又はイミダゾール部分のようなこれらに限定されるものではない塩基性部分、並びに例えばカルボン酸のようなこれらに限定されるものではない酸性部分を具備する場合、双性イオン(「内部塩」)が形成され、前記の内部塩は、本明細書で使用されているように「塩(塩類)」という用語に包含される。薬学的に受容される塩類(すなわち、非毒性の生理学的に受容される塩類)が好ましい。前記の式1、2、3又は4の化合物の塩は、例えば式1、2、3又は4の化合物と、かなりの量の酸又は塩基、例えば当量の酸又は塩基とを、前記の塩が沈殿するような溶媒中で反応させるか、又は水性溶媒中で反応させ、ついで凍結乾燥することにより形成される。塩基性(又は酸性)の薬物から薬学的に有用な塩類を形成するのに一般に適切と考えられている酸類(及び塩基類)は、例えばS. Berge et al, Journal of Pharmaceutical
Sciences (1977) 66(1) 1-19; P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986)
33 201-217; Anderson et al, The Practice of Medicinal Chemistry (1996),
Academic Press, New York; in The Orange Book (Food & Drug Administration,
Washington, D.C. on their website); 及び P. Heinrich Stahl, Camille G. Wermuth (Eds.),
Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, (2002) Int'l.
Union of Pure and Applied Chemistry, pp.
330-331において論じられている。これらの文献の開示は、本明細書への引用により援用されている。
酸付加塩の例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマール酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、本明細書に記載されたもの。)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られている。)、及びウンデカン酸塩等が挙げられる。
塩基塩の例としては、アンモニウム塩、例えばナトリウム塩、リチウム塩及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩、例えばカルシウム塩及びマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、例えばベンザチン、ジエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ヒドラバミン(hydrabamine)塩、(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミン)により形成される。)、N−メチル−D−グルカミン塩、N−メチル−D−グルカミド塩、t−ブチルアミン塩、ピペラジン塩、フェニルシクロヘキシルアミン塩、コリン塩、トロメタミン塩のような有機塩基(例えば有機アミン類)との塩、並びに例えばアルギニン及びリジン等のアミノ酸との塩が挙げられる。塩基性窒素を含む基は、例えば低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチルである。)、ジアルキル硫酸(例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジブチル硫酸、及びジアミル硫酸である。)、長鎖ハライド(例えば塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、及びヨウ化ステアリルである。)及びアラルキルハライド(例えば臭化ベンジル及び臭化フェネチルである。)等の試薬により4級化されることができる。
すべての前記の酸及び塩基は、本発明の範囲内において薬学的に受容される塩であることが意図されている。そして、すべての酸の塩及び塩基の塩は、本発明の目的のための相当する化合物の遊離形態と同等のものであると考えられている。式1、2、3又は4の一つ以上の化合物は、また溶媒和物としても存在しうるし、又は任意に溶媒和物に変換されうる。溶媒和物の調製法は一般に知られている。したがって、例えばM. Caira et al, J. Pharmaceutical Sci., 93(3),
601-611 (2004)には、水からだけでなく酢酸エチルからの抗真菌剤フルコナゾールの溶媒和物の調製法が開示されている。溶媒和物、ヘミ溶媒和物及び水和物等の同様な調製法がE. C. van Tonder et al, AAPS Pharm Sci Tech., 5(1), article
12 (2004); and A. L. Bingham et al, Chem. Commun., 603-604 (2001)に開示されている。典型的な制限されないプロセスには、室温よりも高い温度で、望ましい量の望ましい溶媒(有機溶媒、水又はそれらの混合溶媒)に本発明の化合物を溶解するステップ及び、結晶を形成するのに十分な速度で前記の溶液を冷却し、ついで標準的な方法により単離されるステップが含まれる。例えば赤外線吸収スペクトルのような分析法により、溶媒和物(又は水和物)として結晶中に前記の溶媒(又は水)の存在が検出される。
式1、2、3又は4の化合物、その塩、その溶媒和物及びそのプロドラッグは、幾何異性体の形態(たとえば、アミド又はイミノエーテルとして存在してもよい。)で存在してもよい。すべての前記の幾何異性体の形態は、本発明の一部であると本明細書において考えられている。
式1、2、3又は4の化合物は異なる異性体の形態(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体である。)として存在する。本発明の活性化合物は、天然物である(+)−K252aの絶対的又は相対的配置をとっている。
式1、2、3又は4の化合物、その塩、その溶媒和物及びそのプロドラッグの結晶多形は、本発明に含まれることが意図されている。本発明において有用である合成化合物は、本明細書に開示されたプロセススキーム及び実施例により実証されている。これらのプロセススキーム及び実施例は、前記の開示の範囲を制限するために構成されていない。本発明の範囲に含まれるもう一つのメカニズム的経路及びアナログ構造は、当業者にとって明らかである。
治療法
本発明は、式1、2、3又は4の1つ以上の化合物(例えば、1つの化合物)の有効な量(例えば、治療学的に有効な量)を投与することにより、形質転換された細胞を含む、細胞の異常な成長を阻害又は治療する方法を提供する。細胞の異常な成長は、正常な制御メカニズムとは無関係である細胞の成長(例えば、接触による阻害の消失)を意味する。このことは、良性又は悪性の腫瘍細胞(腫瘍)の異常な成長を含むが、これに限定されるものではない。
本発明は、また式1、2、3又は4の1つ以上(例えば、1つ)の化合物の有効な量(例えば、治療学的に有効な量)を前記の治療が必要な患者に投与することにより腫瘍(すなわち、癌)の成長を阻害又は治療する方法を提供する。もう一つの態様では、本発明は、式1、2、3又は4の1つ以上(例えば、1つ)の化合物の有効な量(例えば、治療学的に有効な量)を投与することにより活性化された発がん性経路を発現する腫瘍の成長を阻害又は治療する方法を提供する。
阻害又は治療される増殖性疾患(例えば、腫瘍、即ち癌)の例としては、肺癌(例えば、肺腺癌及び進行非小細胞肺癌)、膵臓癌(例えば、外分泌性膵臓癌のような膵臓癌)、胃癌、食道癌、結腸癌(例えば結腸腺癌及び結腸腺腫のような結腸直腸癌)、骨髄性白血病(例えば急性骨髄性白血病(AML)、CML及びCMML)、甲状腺小胞癌、骨髄異形成症候群(MDS)、膀胱癌、表皮癌、黒色腫、乳癌、前立腺癌、頭部及び頸部の癌(例えば頭部及び頸部の癌の鱗状細胞癌)、卵巣癌、脳腫瘍(例えば神経膠腫)、間葉起点の癌(例えば線維肉腫及び横紋筋肉腫、テトラカルシノーマ(tetracarcinomas)、神経芽腫)、骨癌、腎臓癌、ヘパトーマ、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、及び未分化甲状腺癌が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の態様が、膵臓癌、胃癌、食道癌、肺癌、骨髄性白血病、甲状腺小胞腫瘍、骨髄異形成症候群、頭部及び頸部の癌、黒色腫、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、神経膠腫、表皮癌、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫からなる群から選ばれる癌を治療する方法であって、前記の治療を必要とする前記の被験体に式1、2、3又は4の化合物の1つ以上(例えば1つ)の有効量を投与するステップ含む。
例えば、本発明の態様は、また癌を治療する方法であって、前記の癌が、肺癌(例えば進行非小細胞肺癌)、頭及び頸部の癌(例えば頭及び頸部の鱗状細胞癌)、膀胱癌、乳癌、前立腺癌、及び骨髄性白血病(例えばCML及びAML)、非ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫からなる群から選ばれ、式1、2、3又は4の化合物の1つ以上(例えば1つ)の有効量を、前記の治療が必要とする前記の被験体に投与するステップを含む。
注目すべき態様では、式1、2、3及び4の化合物は、治療の必要な被験体における、乳癌、結腸癌、前立腺癌、肺癌、肝癌、腎臓癌、脳腫瘍、黒色腫、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、食道癌、咽喉癌、骨癌、及びリンパ腫を治療するために使用することができる。
他の態様では、式1、2、3及び4の化合物は、治療の必要な被験体における、白血病(例えば急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML))、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫を治療するために使用することができる。
一つの態様では、式1、2、3及び4の化合物は、治療の必要な被験体における、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、メラノーマ、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、又は乳癌を治療するために使用することができる。もう一つの態様では、式1の化合物は、治療の必要な被験体における、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、メラノーマ、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、又は乳癌を治療するために使用することができる。
好ましい態様では、前記の被験体はヒトである。
本発明は、最初の発ガンメカニズムに関係なく、増殖性疾患、特に定着した癌、又は薬剤耐性の癌を阻害又は治療するための方法を提供する。
したがって、MAPキナーゼは、上流のシグナルタンパク質をコードする遺伝子における発がん性突然変異又はガン遺伝子の過剰発現の結果として活性化されてもよい。例えば、上流のシグナルタンパク質は、細胞表面受容体チロシンキナーゼ(RTK)であってもよく、MAPキナーゼの活性化は、チロシンキナーゼガン遺伝子(例えばneu、src、abl、lck、met及びfynである。)の突然変異又は過剰発現であってもよい。理論により結び付けられる希望なくして、最初の発ガンメカニズムに関係なく、式1、2、3又は4の化合物は、下流のエフェクター経路の選ばれた一組みを選択的に阻害する。それゆえ、そのことにより、それらの化合物が、目標とする薬物治療に耐性である癌を含む、広範囲の増殖性疾患を治療するために有用である。
本発明の方法において有用である、式1、2、3又は4の化合物は、細胞の異常な成長を阻害又は治療する。理論により結び付けられる希望なくして、これらの化合物は、特定の一組の発がん性経路(ERK−1/2を含む)の阻害を通して作用するかもしれないと信じられている。
投与の方法
式1、2、3又は4の化合物を、好ましくは固体の剤形として、より好ましくはカプセルとして経口投与することができ、治療上有効な一日当たりの総量を一日当たり1回乃至4回、又は1回乃至2回に分割した用量として投与することができるが、一般的には治療上有効な用量は一日当たり1回又は2回、好ましくは1日当たり2回、投与される。式1、2、3又は4の化合物の投薬量の例には、限定はしないが、1日当たり約50乃至500mgを1回、1日当たり約50 乃至約500 mg を2回、1日当たり約50mg乃至約200mgを2回、1日当たり約75 mg 乃至約125 mg を2回投与、あるいは一日当たり約100 mg を2回投与、がある。
患者に応答があるか、あるいは患者が安定であれば、熟練した担当医の判断に従い、治療サイクルを不定期間、延長することもできる。患者には式1、2、3又は4の化合物を当初投与されたのと同じ用量、投与し続けることができるが、あるいは、熟練した臨床医の判断により観察された治療上の有益比に応じてこの用量を調節することもできる。この維持用量は、患者が向上するか、あるいは該用量をそれ以上許容できなくなる(その場合、当該用量を減らしてもよく、そして患者にはその減らした用量で続行することもできる)まで、続行することができる。
いずれかの段階の癌と診断されたヒトの患者を式1−4の化合物で単独で処置することも、あるいは、限定はしないがプラチン・ベースの化合物、タキソール及び他の同様に作用する微小管安定化又は破壊化合物、他のキナーゼ阻害剤、放射線療法や、抗嘔吐薬及びステロイドなど、このような治療の副作用を改善するための薬物を含む多様なカクテルを含む他の確立された処置計画と組み合わせて処置することもできる。限定はしないがタイカーブ(原語:Tykerb)、タルセバ(原語:Tarceva)、イレッサなどのチロシンキナーゼ阻害剤や、ハーセプチンなどのモノクローナル抗体を含む他の分子ターゲット薬では併用処置が特に適応とされる。式1−4の化合物により処置は特に、レセプターを標的とする療法を使い尽くした場合や、従来の化学療法計画が患者にとってそれ以上有効でないか、あるいは毒性が強すぎる場合に適応とされる。式1−4の化合物は、画像法(例えばCATスキャン、MRIなど)で観察される腫瘍応答に応じて、あるいは場合によっては循環中腫瘍抗原のレベルを測定することにより、0.1 - 10 mg/kgの経口投薬量を、一日一回又は二回、あるいは週当たりの計画で投与されることが好ましい。樹立充実腫瘍及び転移性腫瘍の処置にはより多量かつより頻回の投薬が好ましいが、寛解後の再発を防いだり、あるいは、顕性の腫瘍がなくともいくつかの腫瘍マーカが検出可能である場合には予防的形態で用いたりすることができる。特に重篤な場合には、最大効果に向けて臨床観察しながら最大許容血漿濃度に達するべく可溶性を高めるようにデザインされた賦形剤(例えばポリビニルピロリドン又はポリエチレングリコール)に式1−4の化合物を入れて静脈内投与することもできる。その後、患者を経口維持投薬量に切り換えてもよい。
また式1−4の化合物を代替的な経路、例えば皮下、非経口(例えば結腸癌)、経皮(例えば皮膚の腫瘍)、又はスプレーの吸入(例えば肺癌)により投与することもできる。
式1−4の化合物の経口用剤形の医薬組成物には、当該化合物の溶解を助けたり、あるいはそれらの放出の時期を調節したり(例えば長期放出用の調合物など)するために、多種の不活性のアジュバント物質を錠剤又はカプセルに入れて含めてもよい。このような成分には、限定はしないが、高分子量ポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドン(ポビドン)が含まれようが、これらは好ましくは式1−4の化合物と一緒に固体の分散液に入れて調合することで胃腸管での安定性及び/又は溶解速度を高めるようにするとよい。式1−4の化合物は更に低分子量ポリエチレングリコール(PEG)ポリビニルピロリドン、ソルビトール、マンニトール及び同様のポリヒドロキシル化化合物、カルボキシメチルセルロース、デキストランなどを含め、しかしこれらに限らず、溶解を助けるGRAS(ジェネラリー・リガーデッド・アズ・セイフ(原語:Generally Regarded As
Safe))賦系剤を含有する溶液の形で経口投与されてもよい。このような溶解補助剤はまた、静脈内輸注に向けて液体調合物中に用いられてもよい。
式1−4の化合物はそれらの溶解及び再吸収を助けるよう、有利に塩の形で投与することができる。薬学的に許容可能な塩には、限定はしないが、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、及び有機酸の塩類、例えば酢酸塩、ギ酸塩、トシル酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等がある。
本発明の別の局面では、式1、2、3又は4の化合物(あるいはそのプロドラッグ、薬学的に許容可能な塩又は薬学的に許容可能な誘導体)のいずれかを含み、そして選択的に薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物が提供される。適した薬学的に許容可能な担体と一緒に所望の投薬量にして調合した後は、本発明の医薬組成物をヒト及び他の動物に、経口、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、又はドロップとして)、口腔内に、経口用又は鼻腔用スプレー等として、処置しようとする感染の重篤度に応じて投与することができる。いくつかの実施態様では、本発明の化合物を、所望の治療効果を得るために、一日当りで対象者の体重1キログラム当り、約0.1 mg/kg 乃至約50 mg/kg、約1 mg/kg 乃至約25 mg/kg、又は約0.1 mg/kg 乃至約 10 mg/kg の投薬レベルを、一日に一回又は数回、投与することができる。0.1 mg/kg 未満又は50 mg/kg を超える投薬量を対象に投与することができることも理解されよう。いくつかの実施態様では、化合物を経口又は非経口投与する。
経口投与用の液体剤形には、限定はしないが、薬学的に許容可能な乳濁液、マイクロ乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルがある。液体剤形には、活性化合物に加え、当業で通常用いられる不活性の希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳濁剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、及びゴマ油)、クレマフォール(原語:cremaphor)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物がある。不活性の希釈剤の他にも、経口用組成物には、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、着香料及び芳香剤などのアジュバントを含めることができる。
無菌の注射用水性又は油性懸濁液などの注射用製剤は、公知の当業に従い、適した分散又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて調合できよう。無菌の注射用製剤は、例えば1,3-ブタンジオールに溶かした溶液など、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒に入れた無菌の注射用溶液、懸濁液又は乳液であってもよい。用いてもよい許容可能な賦系剤及び溶媒の中には水、リンガー液、U.S.P.、及び等張の塩化ナトリウム溶液がある。加えて無菌の、非揮発性油が溶媒又は懸濁媒質として従来より用いられている。この目的のためには、合成モノ-又はジグリセリドを含め、いずれのブランドの非揮発性油を用いてもよい。更に、オレイン酸などの脂肪酸が注射用製剤には用いられる。好ましくはポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンを可溶化剤として用いるとよい。
注射用調合物は、例えば細菌保持フィルタを通してろ過したり、あるいは、使用前に無菌水又は他の無菌の注射用媒質中に溶解又は分散させることのできる無菌の固形組成物の形で滅菌剤を取り入れたりすることにより、滅菌することができる。
ある薬物の効果を長引かせるには、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることがしばしば好ましい。これは、水溶性の乏しい液体懸濁液又は結晶性又は非結晶性物質を用いることにより達成できよう。こうして薬物の吸収速度はその溶解速度に依存することになり、ひいては結晶のサイズ及び結晶型に依存することになろう。代替的には、非経口投与用の薬物系の吸収遅延は油性の賦形剤中に薬物を溶解又は懸濁させることで達成される。注射可能なデポー型は薬物のマイクロ封入マトリックスをポリラクチド-ポリグリセリドなどの生分解性ポリマ中に形成することにより形成される。薬物対ポリマの比や、用いる特定のポリマの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマの例には(ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)がある。デポー型の注射用調合物はまた、身体組織に適合性あるリポソーム又はマイクロ乳液中に薬物を捕獲することによっても調製される。
経口投与用の固体剤形にはカプセル、錠剤、丸剤、粉末及び顆粒がある。このような固体剤形中で、活性化合物を、少なくとも一つの不活性で薬学的に許容可能な医薬品添加物又は担体、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなど、及び/又はa)充填剤又は増量剤、例えばでんぷん、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、及び珪酸など、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及びアカシアゴムなど、c)湿潤剤、例えばグリセロールなど、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、いも又はタピオカでんぷん、アルギン酸、特定の珪酸塩、及び炭酸ナトリウムなど、e)溶解遅延剤、例えばパラフィンなど、f)吸収加速剤、例えば第四アンモニウム化合物など、g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ、及びi)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物など、並びに(j)物理的混合物又は固体の分散液とした、高分子量ポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンのような溶解速度向上剤、と混合する。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、剤形はまた緩衝剤を含んでもよい。
同様の種類の固体組成物は、ラクトース即ち乳糖や高分子量ポリエチレングリコール等の医薬品添加物を用いた軟質及び硬質充填ゼラチン・カプセルの充填剤としても用いてよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒といった固体剤形は、腸溶コーティング及び医薬調合業で公知の他のコーティングなど、コーティング及びシェルで調製することができる。これらは選択的に乳白剤を含有してよく、また腸管の特定の部分で活性成分のみ、又は活性成分を優先的に、そして選択的には遅延した態様で、放出するような組成物とすることもできる。用いることのできる包埋組成物の例にはポリマ物質及びろうがある。同様の種類の固体組成物は、ラクトース即ち乳糖や高分子量ポリエチレングリコール等の医薬品添加物を用いた軟質及び硬質充填ゼラチン・カプセルの充填剤としても用いてよい。
活性化合物はまた上述した一種以上の医薬品添加物と一緒にマイクロ封入された形の中にあってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒といった固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び医薬調合業で公知の他のコーティングなど、コーティング及びシェルで調製することができる。このような固体剤形においては、活性化合物をショ糖、ラクトース及びでんぷんなどの少なくとも一種の不活性の希釈剤と混合してもよい。このような剤形は更に、通常の慣例として、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロースなどの錠剤用潤滑剤及び他の錠剤用補助剤など、不活性の希釈剤以外の付加的な物質も含んでよい。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、剤形は更に緩衝剤を含んでもよい。これらは選択的に乳白剤を含有してよく、また腸管の特定の部分で活性成分のみ、又は活性成分を優先的に、そして選択的には遅延した態様で、放出するような組成物とすることもできる。用いることのできる包埋組成物の例にはポリマ物質及びろうがある。
本発明の化合物の局所又は経皮投与用の剤形には軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤又はパッチがある。活性成分は薬学的に許容可能な担体と、そして必要に応じていずれか必要な保存剤又は緩衝剤と、無菌条件下で混合される。眼用調合物、点耳薬、及び点眼薬もまた、本発明の範囲内にあると考えられる。加えて、本発明は、化合物の身体への制御された送達を行うという付加的な利点を有する経皮用パッチを用いることも考察する。このような剤形は、適した媒質中に当該化合物を溶解又は分散させることにより、作製される。吸収促進剤もまた、皮膚を透過する化合物の流束を増すために用いることができる。速度は速度制御メンブレンを提供したり、あるいは、ポリママトリックス又はゲルに化合物を分散させたりすることにより、制御することができる。
処置の方法 − 併用療法
更に本発明は、増殖性疾患、特に癌(即ち腫瘍)を処置する方法も提供するものであり、有効量(例えば治療上有効量)の一種以上(例えば一種)のここに記載した式1、2、3、又は4の化合物を、このような処置を必要とする哺乳動物(例えばヒト)に、有効量の少なくとも一種の抗癌剤(即ち化学療法薬)及び/又は放射線と組み合わせて投与するステップを含む。
抗癌剤(即ち化学療法薬)の例には:タキサン、プラチナ配位化合物、抗体である上皮成長因子(EGF)阻害剤、低分子であるEGF阻害剤、抗体である血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、低分子であるVEGFキナーゼ阻害剤、MET阻害剤、ABLキナーゼ阻害剤、ALK阻害剤、FLT-キナーゼ阻害剤、MAPK/ERKキナーゼ (MEK)阻害剤、RAFキナーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、エストロゲン受容体アンタゴニスト又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)、抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、エポシロン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド、インテグリンの阻害剤である抗体、インテグリンの阻害剤である低分子、葉酸アンタゴニスト、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、アントラサイクリン、生物薬;サリドマイド(又は関連イミド)、熱ショックタンパク質90阻害剤から成る群より選択される抗癌剤がある。
更に本発明は、癌の処置を要する患者にこのような処置をする方法を提供するものであり、本方法は、式1、2、3、又は4の化合物のうちで治療上有効量の一種又はそれ以上(例えば一種の)化合物と、:(1)タキサン、(2)プラチナ配位化合物、(3)抗体である上皮成長因子(EGF)阻害剤、(4)低分子であるEGF阻害剤、(5)抗体である血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、(6)低分子であるVEGFキナーゼ阻害剤、(7)MET阻害剤、(8)ABLキナーゼ阻害剤、(9)ALK阻害剤、(10)FLT-キナーゼ阻害剤、(11)MAPK/ERKキナーゼ (MEK)阻害剤、(12)RAFキナーゼ阻害剤、(13)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、(14)エストロゲン受容体アンタゴニスト又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)、(15)抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、(16)エポシロン、(17)トポイソメラーゼ阻害剤、(18)ビンカアルカロイド、(19)インテグリンの阻害剤である抗体、(20)インテグリンの阻害剤である低分子、(21)葉酸アンタゴニスト、(22)リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、(23)アントラサイクリン、(24)生物薬;(25)サリドマイド(又は関連イミド)、(26)熱ショックタンパク質90阻害剤から成る群より選択される、治療上有効量の少なくとも二種の異なる抗新生物薬とを前記患者に投与するステップとを含む。
更に本発明は、癌の処置を要する患者にこのような処置をする方法を提供するものであり、本方法は、式1、2、3、又は4の化合物のうちで治療上有効量の一種又はそれ以上(例えば一種の)化合物と、:(1)抗体であるEGF阻害剤、(2)低分子であるEGF阻害剤、(3)抗体であるVEGF阻害剤、及び(4)低分子であるVEGF阻害剤から成る群より選択される、治療上有効量の少なくとも二種の異なる抗新生物薬とを前記患者に投与するステップとを含む。放射線療法を上記の併用療法と組み合わせて用いることもでき、即ち、式1、2、3、又は4の化合物のうちの化合物と抗新生物薬との組合せを用いた上記の方法に、更に治療上有効量の放射線施与を含めることができる。
更に本発明は白血病(例えば急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)の処置を要する患者にこのような処置をする方法を提供するものであり、治療上有効量の、式1、2、3又は4のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物と、(1)CMLを処置するためのグリーベック(原語:Gleevec )及びインターフェロン;(2)CMLを処置するためのグリーベック及びPEG化インターフェロン;(3) AMLを処置するための抗腫瘍ヌクレオシド誘導体(例えばAra-C) ;又は(4)AMLを処置するための抗腫瘍ヌクレオシド誘導体(例えば Ara-C) をアントラサイクリンを組み合わせて、患者に投与するステップを含む。
更に本発明は、非ホジキンリンパ腫の処置を要する患者にこのような処置をする方法を提供するものであり、本方法は、式1、2、3、又は4の化合物のうちの一種以上(例えば一種)の化合物と、(1)生物薬(例えばリツキサン);(2)生物薬(リツキサン)及び抗腫瘍ヌクレオシド誘導体(例えばフルダラビン);又は(3)ゲナセンス(原語:Genasense)(BCL-2に対するアンチセンス)を治療上有効量、前記患者に投与するステップを含む。
更に本発明は、多発性骨髄腫の処置を要する患者にこのような処置をする方法を提供するものであり、本方法は、式1、2、3、又は4の化合物のうちの一種以上(例えば一種)の化合物と、(1)プロテオソーム阻害剤(例えばMillenium社のヴェルケイド/ボルテズミブ)(原語:Velcade/Bortezumib);又は(2)サリドマイド(又は関連イミド)を治療上有効量、前記患者に投与するステップを含む。
更に本発明は癌の処置を方法を提供するものであり、前記処置は、このような処置を要する患者に治療上有効量の
(a)式1、2、3、又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上の(例えば一種)化合物;
(b)(1)タキサン、(2)プラチナ配位化合物、(3)抗体である上皮成長因子(EGF)阻害剤、(4)低分子であるEGF阻害剤、(5)抗体である血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、(6)低分子であるVEGFキナーゼ阻害剤、(7)MET阻害剤、(8)ABLキナーゼ阻害剤、(9)ALK阻害剤、(10)FLT-キナーゼ阻害剤、(11)MAPK/ERKキナーゼ (MEK)阻害剤、(12)RAFキナーゼ阻害剤、(13)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、(14)エストロゲン受容体アンタゴニスト又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)、(15)抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、(16)エポシロン、(17)トポイソメラーゼ阻害剤、(18)ビンカアルカロイド、(19)インテグリンの阻害剤である抗体、(20)インテグリンの阻害剤である低分子、(21)葉酸アンタゴニスト、(22)リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、(23)アントラサイクリン、(24)生物薬;(25)サリドマイド(又は関連イミド)、(26)熱ショックタンパク質90阻害剤から成る群より選択される少なくとも二種の異なる抗新生物薬
とを投与するステップを含む。
キナーゼ阻害剤(即ち式1、2、3、又は4の化合物のうちの化合物)と組み合わせて用いることのできる抗新生物薬は:
(1)タキサン、例えばパクリタキセル(TAXOL)及び/又はドセタキセル(タキソテル);
(2)プラチナ配位化合物、例えばカルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチン;
(3)抗体であるEGF阻害剤、例えばHER2抗体(例えばトラスツズマブ(ハーセプチン)、Genentech社)、セツキシマブ(エルビツクス、IMC-C225、ImClone Systems社)、EMD 72000 (Merck KGaA社)、抗-EFGRモノクローナル抗体ABX (Abgenix社)、TheraCIM-h-R3 (Center of Molecular Immunology)、モノクローナル抗体425 (Merck KGaA社)、モノクローナル抗体 ICR-62 (ICR社、サットン、英国); ハーザイム (Elan
Pharmaceutical Technologies and Ribozyme Pharmaceuticals社)、PKI 166 (Novartis社)、EKB 569 (Wyeth-Ayerst社)、GW 572016 (GlaxoSmithKline社)、Cl 1033 (Pfizer Global
Research and Development社)、トラスツズマブ-メイタンシノイド結合体 (Genentech社)、ミツモマブ(Imclone Systems and Merck KGaA社) 及び Melvax II (Imclone Systems and Merck KgaA社);
(4)低分子であるEGF阻害剤、例えばTykerb (GSK社)、タルセバ (OSI-774、OSI
Pharmaceuticals社)、及びイレッサ (ZD 1839、Astra Zeneca社);
(5)抗体である血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、例えばベバシズマブ (Genentech社)、及びIMC-1 C11 (ImClone Systems社)、DC 101 (ImClone Systems社製KDR VEGF 受容体 2);
(6)低分子であるVEGFキナーゼ阻害剤、例えばSU 5416 及び SU 6688 (両社ともSugen社製);
(7)エストロゲン受容体アンタゴニスト又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)、例えばタモキシフェン、イドキシフェン、ラロキシフェン、トランス-2,3-ジヒドロラロキシフェン、レボルメロキシフェン、ドロロキシフェン、MDL 103,323 及びアコルビフェン
(Schering 社);
(8)ABLキナーゼ阻害剤、例えばグリーベック(Novartis);
(9)FLT-キナーゼ阻害剤、例えばCEP-701 (Cephalon社);
(10)MEK阻害剤、例えばCI-1040 (Pfizer社)、AZD 6244 (Array Biopharma社);
(11)RAFキナーゼ阻害剤、例えばNevaxar/Sorafenib (Bayer/Onyx社);
(12)抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば5-フルオロウラシル、ゲムシタビン又はカペシタビン;
(13)エポシロン、例えばBMS-247550
(Bristol-Myers Squibb社)、及びEP0906 (Novartis Pharmaceuticals社);
(14)トポイソメラーゼ阻害剤、例えばトポテカン(Glaxo SmithKline社)、及びカンプトサール(Pharmacia社);
(15)ビンカアルカロイド、例えばナベルビン(Anvar
and Fabre社、フランス)、ビンクリスチン及びビンブラスチン;
(16)αVβ3インテグリンの阻害剤である抗体、例えば LM-609 (引用をもってその開示をここに援用することとするClinical Cancer Research, 第6版、 3056-3061ページ、2000年8月を参照されたい);及び
(17)熱ショックタンパク質HSP-90阻害剤、例えば17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)
である。
好適な抗新生物薬は:パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ゲムシタビン、タモキシフェン、ハーセプチン、セツキシマブ、タイカーブ、ダサティニブ、タルセバ、イレッサ、ベバシズマブ、ナベルビン、IMC-1C11、SU5416 又はSU6688から成る群より選択される。最も好適な抗新生物薬はパクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、ナベルビン、ゲムシタビン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン (17-AAG)、タイカーブ、又はハーセプチンから成る群より選択される。
本方法はまた、ここで解説した癌、特に上述したもの、を処置する方法に関し、このとき式1、2、3又は4の化合物の投与に加え、当該処置サイクルの前、処置サイクル中、又は処置サイクル後に、放射線療法も施与される。
本発明の方法によれば、増殖性疾患(癌、即ち腫瘍)を処置する方法は、このような処置を要する患者において、形質転換細胞を含む細胞の異常な成長を、有効量の式1、2、3又は4の一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物と、有効量の化学療法薬及び/又は放射線とを同時又は順次、投与することにより処置する(阻害する)方法を含む。
本発明の方法の他の実施態様には、このような処置を要する患者において腫瘍の成長を、(1)有効量の式1、2、3又は4の一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物と、(2)有効量の少なくとも一種の抗新生物薬、微小管影響薬及び/又は放射線療法とを同時又は順次、投与することにより処置又は阻害する方法が含まれる。例えば、これらの方法の一実施態様は、肺がん、前立腺癌及び骨髄性白血病から成る群より選択する癌を処置する方法に関する。
本発明によれば増殖性疾患を処置する本方法には、更に、このような処置を要する患者に対して有効量の式1、2、3又は4の化合物と、有効量の抗新生物薬及び/又は放射線療法とを同時又は順次、投与することにより、良性及び悪性の療法の増殖性疾患を処置(阻害)する方法が含まれる。放射線療法の場合にはγ放射線が好ましい。
本発明の処置の方法の実施態様は、癌の処置のための薬物(化合物)の組合せの使用に関し、即ち本発明は、癌の処置のための併用療法に関する。当業者であれば、薬物は一般に医薬組成物として個別に投与されることは理解されよう。二種以上の薬物を含む医薬組成物の使用は本発明の範囲内にある。
抗新生物薬は通常、熟練した臨床医にとって容易に入手可能な剤形で投与され、一般的にはそれらが通常処方される量(例えばその開示を引用をもってここに援用することとするPhysician's Desk Reference, 57th Edition, 2003 (Thompson PDR, Montvale, N.J. 07645-1742 により発行)に記載された量、又は当該薬剤の使用に関するメーカの文献に記載された量、投与される。
例えば式1、2、3又は4の化合物は経口投与(例えばカプセルとして)することができ、当該抗新生物薬は、通常は静脈内溶液として、静脈内投与することができる。二種以上の薬物を含む医薬組成物の使用は本発明の範囲内である。
式1、2、3又は4の化合物及び抗新生物薬は、例えば腫瘍の減少又は消失など、臨床上許容可能な結果を得るために治療上有効な投薬量、投与される。このように、式1、2、3又は4の化合物及び抗新生物薬は処置プロトコル中で同時又は順次、投与することができる。抗新生物薬の投与は、当業で既に公知の処置プロトコルに従って行うことができる。
式1、2、3又は4の化合物及び抗新生物薬は、通常1から数週に渡って続けられると共に典型的には6乃至12回、反復される処置プロトコルで投与される。一般的には、処置プロトコルは1乃至4週間、続けられる。また1乃至3週間の処置プロトコルを用いてもよい。1乃至2週間の処置プロトコルを用いてもよい。この処置プロトコル又はサイクルの間、キナーゼ阻害剤1、2、3、又は4は毎日、投与されるが、抗新生物薬は1週間に一回又はそれ以上の回数、投与される。一般的には、式1、2、3又は4の化合物を毎日(即ち1日1回)、好ましくは1日に2回、投与することができ、そして当該抗新生物薬を1週間に1回又は3週毎に1回、投与する。例えばタキサン(例えばパクリタキセル(例えばタキソール)又はドセタキセル(例えばタキソテル)を1週間に1回又は3週毎に1回、投与することができる。
しかしながら、当業者であれば、処置プロトコルは患者にニーズに合わせて変えることができることを理解されよう。このように、本発明の方法で用いられる化合物(薬物)の組合せを、上述したプロトコルのバリエーションで投与することができる。例えば、式1、2、3又は4の化合物を、処置サイクルの間中、継続的ではなく非継続的に投与することができる。従って、例えば処置サイクルの間、式1、2、3又は4の化合物を1週間の間毎日投与した後、1週間の間、中断することができ、こうしてこの投与を処置サイクルの間、繰り返すことができる。あるいは式1、2、3又は4の化合物を2週間、毎日投与し、1週間中止することができ、この投与を処置サイクル中、繰り返すことができる。このように、式1、2、3又は4の化合物をサイクル中、1又は数週間毎日投与し、このサイクル中の1又は数週間、中止することができ、このパターンの投与を処置サイクル中、繰り返すことができる。この非連続な処置は、1週間全体ではなく日数を基にしてもよい。例えば、1乃至6日間、毎日投薬し、1乃至6日間、投薬なしとし、このパターンを処置プロトコル中、繰り返すことができる。式1、2、3又は4の化合物が投薬されない日数(又は週数)は、式1、2、3又は4の化合物が投薬される日数(又は週数)に等しくなくともよい。通常、非連続な投薬プロトコルを用いる場合には、式1、2、3又は4の化合物を投薬する日数又は週数は、式1、2、3又は4の化合物が投薬されない日数又は週数に少なくとも等しいか、あるいは大きい。
抗新生物薬は大量又は連続輸注により投与できるであろう。抗新生物薬は処置サイクル中、毎日乃至1週間に一回、あるいは二週間に一回、あるいは3週間に一回、あるいは4週間に一回、投与できるであろう。処置サイクル中、毎日投与されるのであれば、この毎日の投薬は処置サイクルの数週にわたって非連続とすることもできる。例えば1週間(又は数日間)投薬され、1週間(又は数日間)投薬なしとし、このパターンを処置サイクル中、繰り返すことができる。
式1、2、3又は4の化合物と共に用いられる抗新生物薬は、処置サイクル中、それらが通常処方される投薬量にして投与される(即ち、当該の抗新生物薬は、これらの薬物に投与に関する標準的慣例に従って投与される)。例えば:(a)タキサンの場合は約30 乃至約 300 mg/m2
;(b)シスプラチンの場合は約 30 乃至約 100 mg/m ;(c)カルボプラチンの場合は約 2 乃至約8 のAUC;(d)抗体であるEGF阻害剤の場合は約 2 乃至約 4 mg/m2 ;(e)低分子であるEGF阻害剤の場合は
約 50 乃至約 500 mg/m2 ;(f)抗体であるVEGFキナーゼ阻害剤の場合は約 1 乃至約 10 mg/m2 ;(g)低分子であるVEGF阻害剤の場合は
約 50 乃至約 2400 mg/m2 ;(h)SERMの場合 約 1 乃至約 20 mg;(i)抗腫瘍ヌクレオシド5-フルオロウラシル、ゲムシタビン及びカペシタビンの場合
約 500 乃至約 1250 mg/m2 ;(j)抗腫瘍ヌクレオシドであるシタラビン (Ara-C) の場合、3乃至4週毎に7乃至10日間に渡って100-200 mg/m2/日、そして治療抵抗性白血病及びリンパ腫の場合は高用量、即ち4週間の間、4乃至8回の用量を12時間毎に1時間かけて1 乃至3 gm/m2
;(k)抗腫瘍ヌクレオシドのフルダラビン
(F-ara-A) の場合、3乃至4週間毎に0-25 mg/m2/日;(I)抗腫瘍ヌクレオシドのデシタビンの場合、最高で8サイクルにわたって6週毎に3日間、30 乃至 75 mg/m2
;(m)抗腫瘍ヌクレオシドのクロロデオキシアデノシン (CdA, 2-CdA) の場合、3乃至4週毎に最高7日間、0.05-0.1 mg/kg/日を連続輸注;(n)エポシロンの場合 約 1 乃至約 100 mg/m2 ;(o)トポイソメラーゼ阻害剤の場合、 約 1 乃至約 350 mg/m2
;(p)ビンカアルカロイドの場合、約 1 乃至約 50 mg/m2 ;(q)葉酸アンタゴニストのメトトレキセート (MTX)の場合、経口、IV又はIMにより 20-60 mg/m2 を3乃至4週毎であるが、中間用量計画は 80-250 mg/m2 を静脈内で3乃至4週毎に60分間にわたって、そして高用量計画はロイコボリンを静脈内で 250-1000 mg/m2 3乃至4週毎;(r)葉酸アンタゴニストのプレメトレックス(Alimta)の場合、3週毎に 300-600 mg/m2 (1日目に10分間、静脈内注射);(s)ヌクレオチド・レダクターゼ阻害剤のヒドロキシウレア(HU)の場合、 20-50
mg/kg/日(血球数減少に必要な場合);(t)プラチナ配位化合物のオキサリプラチン(エロキサチン)の場合、3乃至4週毎に 50-100
mg/m2 (好ましくは非小細胞肺癌、結腸直腸癌及び卵巣癌などの充実腫瘍に用いられる);(u)アントラサイクリン・ダウノルビシンの場合、10-50
mg/m2/日を3乃至4週毎に3乃至5日間、静脈内で;(v)アントラサイクリン・ドキソルビシン(アドリアマイシン)の場合、3乃至4週毎に1乃至4日間にわたって 50-100 mg/m2 を静脈内連続輸注、又は 10-40 mg/m2 を毎週静脈内;(w)アントラサイクリン・イダルビシンの場合、3乃至4週毎に10乃至20分間にわたってゆっくりとした静脈内輸注として 10-30 mg/m2 を毎日、1乃至3日間;(x)生物薬インターフェロン(イントロン-A、ロフェロン)の場合、1週間当り5 乃至2000万IUを3回;(y)生物薬PEG化インターフェロン(Peg-イントロン、Pegasys)の場合、 3 乃至 4 マイクログラム/kg/日を慢性皮下(再発又は活性消失まで);及び(z)生物薬リツキシマブ(リツキサン)(非ホジキンリンパ腫に用いられる抗体)の場合、6ヶ月間、4乃至8週間にわたって毎週200-400 mg/m2 を静脈内。
グリーベックは約 200 乃至約 800 mg/日の量で経口で用いることができる。
サリドマイド(及び関連イミド)は約 200 乃至約 800 mg/日の量を経口で用いることができ、連続的に投薬することも、あるいは再発又は毒性まで使用することもできる。例えば引用をもってその開示を援用することとする Mitsiades et al.,
"Apoptotic signaling induced by immunomodulatory thalidomide analogs in
human multiple myeloma cells; therapeutic implications", Blood,
99(12):4525-30, Jun. 15, 2002を参照されたい。
例えば、パクリタキセル(例えばタキソールを 約 50 乃至約 100 mg/m2 の量、1週間に一回、投与することができるが、
約 60 乃至約 80 mg/m2 が好ましい。別の例では、パクリタキセル(例えばタキソールを約 150 乃至約 250 mg/m2
の量を3週間毎に一回、投与することができるが、約
175 乃至約 225 mg/m2
が好ましい。
別の例では、ドセタキセル(例えばタキソテル)を約 10 乃至約 45の量、1週間に一回、投与することができる。別の例では、ドセタキセル(例えばタキソテル)を 約 50 乃至約 100 mg/m2の量、3週間毎に一回、投与することができる。
別の例では、シスプラチンを約 20 乃至約 40 mg/m2の量、1週間に一回、投与することができる。別の例では、シスプラチンを約 60 乃至約 100 mg/m2の量、3週間毎に一回、投与することができる。
別の例では、カルボプラチンを約 2 乃至約 3のAUCを提供する量、1週間に一回、投与することができる。別の例では、カルボプラチンを約 5 乃至約 8のAUCを提供する量、3週間毎に一回、投与することができる。
式1、2、3又は4の化合物と組み合わせて用いることのできる抗新生物薬は:
(1)パクリタキセル (TAXOL) 及び/又はドセタキセル(タキソテル)などのタキサン;
(2)例えばカルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンなどのプラチナ配位化合物;
(3)抗体であるEGF阻害剤、例えばHER2抗体(例えばトラスツズマブ(ハーセプチン、Genentech社)、セツキシマブ(エルビツクス、IMC-C225、ImClone Systems社)、 EMD 72000 (Merck KGaA社)、抗EFGRモノクローナル抗体 ABX
(Abgenix社)、TheraCIM-h-R3 (Center of Molecular
Immunology)、モノクローナル抗体 425 (Merck
KGaA社)、モノクローナル抗体ICR-62 (ICR、Sutton社、英国);ハーザイム(Elan Pharmaceutical
Technologies社及びRibozyme
Pharmaceuticals社)、PKI 166 (Novartis社)、EKB 569 (Wyeth-Ayerst社)、GW 572016
(GlaxoSmithkline社)、CI 1033 (Pfizer Global Research and
Development社)、トラスツズマブ-メイタンシノイド結合体(Genentech, Inc社)、ミツモマブ(Imclone Systems 社及びMerck KGaA社) 及び Melvax II
(Imclone Systems 社及びMerck KgaA);
(4)低分子であるEGF阻害剤、例えばタルセバ (TM) (OSI-774、OSI Pharmaceuticals, Inc社)、及びイレッサ (ZD 1839、Astra Zeneca社);
(5)抗体である VEGF阻害剤、例えばベバシズマブ(Genentech, Inc社)及びIMC-1C11 (ImClone Systems社)、DC 101 (ImClone Systems 社製のKDR VEGF 受容体2);
(6)低分子であるVEGFキナーゼ阻害剤、例えばSU 5416 及びSU 6688(両者ともSugen, Inc社製);
(7)エストロゲン受容体アンタゴニスト又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)、例えばタモキシフェン、イドキシフェン、ラロキシフェン、トランス-2,3-ジヒドロラロキシフェン、レボルメロキシフェン、ドロロキシフェン、MDL 103,323、及びアコルビフェン(Schering
Corp社);
(8)グリーベック(Novartis社)などのABL キナーゼ阻害剤;
(9)CEP-701 (Cephalon社)などのFLT-キナーゼ阻害剤;
(10)CI-1040 (Pfizer社)、AZD 6244 (Array Biopharma社)などのMEK阻害剤;
(11)Nevaxar/Sorafenib
(Bayer/Onyx社)などのRAFキナーゼ阻害剤;
(12)抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば5-フルオロウラシル、 ゲムシタビン又はカペシタビン;
(13)BMS-247550
(Bristol-Myers Squibb社)、及びEP0906 (Novartis Pharmaceuticals社)などのエポシロン;
(14)トポテカン(Glaxo
SmithKline社)、及びカンプトサール (Pharmacia社)などのトポイソメラーゼ阻害剤;
(15) ナベルビン (Anvar社及びFabre社、フランス)、ビンクリスチン及びビンブラスチンなどのビンカアルカロイド;
(16)アルファV ベータ3 インテグリンの阻害剤である抗体、例えばLM-609(例えばその開示を引用をもってここに援用することとするClinical Cancer Research, Vol. 6, page 3056-3061, August 2000を参照されたい);及び
(17)熱ショックタンパク質HSP90阻害剤、例えば17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン
(17-AAG)
である。
ある実施態様では、抗新生物薬は: パクリタキセル、ドセタキセル、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、タモキシフェン、ハーセプチン、セツキシマブ、タイカーブ、タルセバ、イレッサ、ベバシズマブ、ナベルビン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、IMC-1C11、SU5416 又は SU6688から成る群より選択される。
別の実施態様では、抗新生物薬は:パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、ナベルビン、ゲムシタビン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン (17-AAG)、タイカーブ、又は ハーセプチンから成る群より選択される。
一般的には、二種以上の抗新生物薬を本発明の方法で用いる場合、当該抗新生物は同じ日に、それらの標準的剤形で同時又は順次、投与される。例えば、抗新生物や通常、静脈内で、好ましくは当業で公知の静脈内用溶液(例えば等張の生理食塩水(0.9% NaCl) 又はデキストロース溶液(例えば 5% デキストロース)を用いて静脈内点滴によるとよい。
二種以上の抗新生物薬を用いる場合、当該抗新生物薬は一般に同じ日に投与されるが、当業者であれば、抗新生物薬を異なる日及び異なる週に投与することができることは理解されよう。熟練した臨床医であれば、当該薬剤のメーカからそれらに推奨された投薬スケジュールに従って抗新生物薬を投与することができ、また、例えば処置に対する患者の応答など、患者の必要に応じてスケジュールを調節することができる。例えば、肺癌を処置するためにゲムシタビンをシスプラチンなどのプラチナ配位化合物と併用する場合、ゲムシタビン及びシスプラチンの両者を処置サイクルの第一日目の同じ日に投与し、その後、ゲムシタビンを単独で第8日目に投与し、そしてやはり単独で第15日目に投与する。
このように、本発明の一実施態様は癌を処置する方法に関し、前記処置はこのような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物、タキサン、及びプラチナ配位化合物を治療上有効量、投与するステップを含む。
本発明の別の実施態様は、癌を処置する方法に関し、前記処置はこのような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物、タキサン、及びプラチナ配位化合物を治療上有効量、投与するステップを含み、この場合、式1、2、3又は4の前記化合物は毎日投与され、前記タキサンは1回のサイクル当り週一回投与され、そして前記プラチナ配位化合物は一回のサイクル当り週一回、投与される。ある実施態様では、当該処置は一回のサイクル当り1乃至4週間である。
本発明の別の実施態様は、癌を処置する方法に関し、前記処置はこのような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物、タキサン、及びプラチナ配位化合物を治療上有効量、投与するステップを含み、この場合、式1、2、3又は4の前記化合物は毎日投与され、前記タキサンは1回のサイクル当り3週毎に一回、投与され、そして前記プラチナ配位化合物は一回のサイクル当り3週毎に一回、投与される。ある実施態様では、当該処置は一回のサイクル当り1乃至3週間である。
本発明の別の実施態様は、癌を処置する方法に関し、前記処置はこのような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物、パクリタキセル、及びカルボプラチンを治療上有効量、投与するステップを含む。ある実施態様では、前記キナーゼ阻害剤は毎日投与され、前記パクリタキセルは一回のサイクル当り週一回、投与され、そして前記カルボプラチンは一回のサイクル当り週一回、投与される。別の実施態様では、当該処置は一回のサイクル当り1乃至4週間である。
本発明の別の実施態様は、癌を処置する方法に関し、前記処置はこのような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物、パクリタキセル、及びカルボプラチンを治療上有効量、投与するステップを含む。ある実施態様では、式1、2、3又は4の前記化合物は毎日投与され、前記パクリタキセルは一回のサイクル当り3週毎に一回、投与され、そして前記カルボプラチンは一回のサイクル当り3週毎に一回、投与される。別の実施態様では、当該処置は一回のサイクル当り1乃至3週間である。
本発明の他の実施態様は、上記の実施態様で記載した通りに癌を処置する方法に関し、例外として、パクリタキセル及びカルボプラチンに代えて、当該方法で一緒に用いられたタキサン及びプラチナ配位化合物が(1)ドセタキセル(タキソテル)及びシスプラチン;(2)パクリタキセル及びシスプラチン;並びに(3)ドセタキセル及びカルボプラチンである。本発明の方法のある実施態様では、シスプラチンは約 30 乃至約 100 mg/m2の量、用いられる。本発明の方法のある実施態様では、ドセタキセルは 約 30 乃至約 100 mg/m2の量、用いられる。
別の実施態様では、本発明は癌を処置する方法に関し、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、一種又はそれ以上(例えば一種)の式1、2、3又は4の化合物と、タキサンと、抗体であるEGF阻害剤とを治療上有効量、投与するステップを含む。ある実施態様では、用いられるタキサンはパクリタキセルであり、前記EGF阻害剤は HER2 抗体(例えばハーセプチン)又はセツキシマブであり、そしてある実施態様では、ハーセプチンを用いる。処置の長さ、及び式1、2、3又は4の化合物及びタキサンの量及び投与は上の実施態様で解説した通りである。抗体であるEGF阻害剤は一回のサイクル当り週一回、投与され、そしてある実施態様では、タキサンと同じ日に投与されるが、別の実施態様では、タキサンに順次、投与される。例えばハーセプチンを
約 3 乃至約 5 mg/m2 (好ましくは約 4 mg/m2)の負荷用量、投与し、その後、処置サイクルの残りの間、一回のサイクル当り1週当り約 2 mg/m2 の維持用量を一回、投与する(通常、サイクルは1乃至4週間である)。ある実施態様では、処置される癌は乳癌である。
別の実施態様では、本発明は癌を処置する方法に関し、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、治療上有効量の:
(1)一種又はそれ以上(例えば一種)の式1、2、3又は4の化合物と:
(2)タキサンと;
(3)(a)低分子であるEGF阻害剤;(b)抗体であるVEGF阻害剤;及び(c)低分子であるVEGFキナーゼ阻害剤:から成る群より選択される抗新生物薬
を投与するステップを含む。ある実施態様では、タキサンパクリタキセル又はドセタキセルを用いる。別の実施態様では、抗新生物薬をタルセバ、イレッサ、ベバシズマブ、SU5416 又はSU6688から成る群より選択する。処置の長さ、及び式1、2、3又は4の化合物及びタキサンの量及び投与は上の実施態様で解説した通りである。抗体であるVEGF阻害剤は一回のサイクル当り週一回、投与される。低分子であるEGF及びVEGFは通常、一回のサイクル当り毎日投与される。ある実施態様では、抗体であるVEGF阻害剤はタキサンと同じ日に投与されるが、別の実施態様ではタキサンに順次、投与される。低分子であるEGF阻害剤又は低分子であるVEGF阻害剤が、タキサンと同じ日に投与される場合、その投与は、ある実施態様では、タキサンに順次である。EGF又はVEGFキナーゼ阻害剤は一般に約 10 乃至約 500 mg/m2の量、投与される。
別の実施態様では、本発明は癌を処置する方法に関するが、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)、抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、及びプラチナ配位化合物を治療上有効量、投与するステップを含む。
本発明の別の実施態様は癌を処置する方法に関するが、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)、抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、及びプラチナ配位化合物を治療上有効量、投与するステップを含み、但しこの場合、前記式1、2、3又は4の化合物は毎日投与され、前記抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は1回のサイクル当り週一回、投与され、前記プラチナ配位化合物は一回のサイクル当り週一回、投与される。該処置は一回のサイクル当り1乃至4週間であってもよいが、ある実施態様では、該処置は一回のサイクル当り1乃至7週間である。
本発明の別の実施態様は癌を処置する方法に関するが、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)、抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、及びプラチナ配位化合物を治療上有効量、投与するステップを含み、但しこの場合、前記式1、2、3又は4の化合物は毎日投与され、前記抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は1回のサイクル当り週一回、投与され、前記プラチナ配位化合物は一回のサイクル当り3週毎に1回、投与される。該処置は一回のサイクル当り1乃至4週間であってもよいが、ある実施態様では、該処置は一回のサイクル当り1乃至7週間である。
本発明の別の実施態様は癌を処置する方法に関するが、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)、ゲムシタビン及びシスプラチンを治療上有効量、投与するステップを含む。ある実施態様では、前記式1、2、3又は4の化合物は毎日投与され、前記ゲムシタビンは1回のサイクル当り週一回、投与され、前記シスプラチンは一回のサイクル当り週一回、投与される。ある実施態様では、該処置は一回のサイクル当り1乃至7週間である。
本発明の別の実施態様は癌を処置する方法に関するが、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)、ゲムシタビン及びシスプラチンを治療上有効量、投与するステップを含む。ある実施態様では、前記式1、2、3又は4の化合物は毎日投与され、前記ゲムシタビンは1回のサイクル当り週一回、投与され、前記シスプラチンは一回のサイクル当り3週毎に1回、投与される。ある実施態様では、該処置は一回のサイクル当り1乃至7週間である。
本発明の別の実施態様は癌を処置する方法に関するが、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)、ゲムシタビン及びカルボプラチンを治療上有効量、投与するステップを含む。ある実施態様では、前記式1、2、3又は4の化合物は毎日投与され、前記ゲムシタビンは1回のサイクル当り週一回、投与され、前記カルボプラチンは一回のサイクル当り週一回、投与される。別の実施態様では、該処置は一回のサイクル当り1乃至7週間である。
本発明の別の実施態様は癌を処置する方法に関するが、前記処置は、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)、ゲムシタビン及びカルボプラチンを治療上有効量、投与するステップを含む。ある実施態様では、前記式1、2、3又は4の化合物は毎日投与され、前記ゲムシタビンは1回のサイクル当り週一回、投与され、前記カルボプラチンは一回のサイクル当り3週毎に一回、投与される。ある実施態様では、該処置は一回のサイクル当り1乃至7週間である。
ゲムシタビンを用いた上記の実施態様において、式1、2、3又は4の化合物及びプラチナ配位化合物はタキサンを用いた実施態様について上述した通りに投与される。ゲムシタビンは約 500 乃至約 1250 mg/m2の量、投与される。このゲムシタビンは、ある実施態様ではプラチナ配位化合物と同じ日に投与されるが、別の実施態様ではプラチナ配位化合物に順次、投与され、また別の実施態様ではゲムシタビンはプラチナ配位化合物の後に投与される。
本発明の別の実施態様は、癌の処置を要する患者において癌を処置する方法に関し、本方法は、式1、2、3又は3のうちの一種又はそれ以上(例えば一種)の化合物と、(1)抗体であるEGF阻害剤、(2)低分子であるEGF阻害剤、(3)抗体であるVEGF 阻害剤、及び(4)低分子であるVEGF キナーゼ阻害剤、から成る群より選択される抗新生物薬とを、すべて上述した通りに投与するステップを含む。この処置は一回のサイクル当り1乃至7週間であり、一般的には一回のサイクル当り1乃至4週間である。式1、2、3又は4の化合物は本発明の他の実施態様について上述したのと同じ態様で投与される。低分子の抗新生物薬は通常、毎日投与され、そして抗体の抗新生物薬は通常、一回のサイクル当り週一回、投与される。抗新生物薬はある実施態様ではハーセプチン、セツキシマブ、タルセバ、イレッサ、ベバシズマブ、IMC-1C11、SU5416 又は SU6688から選択される。
本発明の他の実施態様は、式1、2、3又は4の化合物と少なくとも一種の抗ホルモン薬と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。
本発明の他の実施態様は、式1、2、3又は4の化合物と少なくとも一種の抗ホルモン薬と少なくとも一種の化学療法薬と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。
本発明の他の実施態様は、式1、2、3又は4の化合物と少なくとも一種の化学療法薬と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。
当業者であれば、本発明の方法で用いられる投与に関する実際の投薬量及びプロトコルは熟練した臨床医の判断に応じて変更してもよいことは認識されよう。投与のための投薬量及びプロトコルを変更する判断は、熟練した臨床医が、患者の年齢、状態、体格や、処置しようとする癌の重篤度、そして当該処置に対する患者の応答といった因子を考慮に入れた後になされよう。
抗ホルモン薬、選択的な化学療法薬及び選択的な放射線の具体的な選択は、担当医師の診断や、患者の状態及び適した処置プロトコルに関する彼らの判断に応じるであろう。
処置プロトコル中の抗ホルモン薬、選択的な化学療法薬及び選択的な放射線の投与順序や投与反復回数の判断は、処置しようとする乳癌及び患者の状態の評価後に熟練した医師知見範囲内に充分、あるであろう。
このように、診療にあたる医師は、経験及び知識に従い、処置が進むにつれ、個々の患者にニーズに応じて抗ホルモン薬、選択的な化学療法薬及び選択的な放射線の施与について各プロトコルを変更することができる。このような変更のすべてが本発明の範囲内にある。
担当する臨床医は、投与された投薬量で処置が有効かどうかを判断する上で、患者の全身の健康状態や、癌関連症状(例えば疼痛)の軽減、腫瘍成長の阻害、腫瘍の実際の退縮、又は転移の阻害といった、より決定的な兆候を考慮するであろう。腫瘍の大きさは、例えばCAT又はMRIスキャンなど、放射線研究などの標準的方法により測定することができ、また連続的な測定を用いて、腫瘍の成長が遅らされたか、又は更には逆転されたかどうかを判断することができる。疼痛などの疾患関連症状の軽減や、全体的状態の向上も、処置の有効性を判断する支援として用いることができる。
プラチナ配位化合物や少なくとも一種の他の抗新生物薬を用い、これらの薬物が順次投与されるような本発明の実施態様においては、当該のプラチナ配位化合物は一般に、他の抗新生物薬が投与された後に投与される。
本発明の他の実施態様には、上述した実施態様において式1、2、3又は4の化合物及び抗新生物薬の投与に加え、治療上有効量の放射線を患者に投与することが含まれる。放射線は、当業で公知の技術及びプロトコルに従って投与される。
本発明の別の実施態様は、少なくとも二種の異なる抗新生物薬と、静脈内投与用の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。好ましくは、前記の薬学的に許容可能な担体は等張の生理食塩水(0.9% NaCl) 又はデキストロース溶液(例えば5%
デキストロース)であるとよい。
本発明の別の実施態様は、少なくとも一種の式1、2、3又は4の化合物(通常は一種)と、少なくとも二種の異なる抗新生物薬と、静脈内投与用の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。ある実施態様では、前記の薬学的に許容可能な担体は、好ましくはポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンなどの可溶化剤を含有する等張の生理食塩水(0.9% NaCl)、あるいはデキストロース溶液(例えば5% デキストロース)である。
本発明の別の実施態様は、少なくとも一種の式1、2、3又は4の化合物(通常は一種)と、少なくとも一種の抗新生物薬と、静脈内投与用の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。ある実施態様では、前記の薬学的に許容可能な担体は、好ましくはポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンなどの可溶化剤を含有する等張の生理食塩水(0.9% NaCl)、あるいはデキストロース溶液(例えば5% デキストロース)である。
当業者であれば、本発明の方法で用いられる化合物(薬物)は熟練した臨床医にとってメーカから医薬組成物(剤形)の形で入手でき、これらの組成物中で用いられることは理解されよう。従って、上記の方法における化合物又はクラスの化合物の限定を、特定の化合物又はクラスの化合物を含む医薬組成物の限定に置き換えることができる。例えば、癌を処置する方法に関する実施態様であって、このような処置を要する患者に対し、式1、2、3又は4の化合物、タキサン、及びプラチナ配位化合物を治療上有効量、投与するステップを含む方法に関する実施態様には、その範囲内に、式1、2、3又は4の少なくとも一種(通常は一種)の化合物を含む医薬組成物と、タキサンを含む医薬組成物と、プラチナ配位化合物を含む医薬組成物とを治療上有効量、投与するステップを含む、癌を処置する方法が含まれる。
用いる実際の投薬量は、患者の要件や、処置しようとする状態の重篤度に応じて様々で有り得よう。特定の状況にとっての適正な投薬量の判断は、当業の技術範囲内である。
式1、2、3又は4の化合物及び抗新生物薬の投与の量及び頻度は、患者の年齢、状態及び体格や、処置しようとする癌の重篤度といった因子を考慮した担当臨床医(医師)の判断に応じて調節されよう。
抗新生物薬は、当業で公知の治療プロトコルに従って投与することができる。当業者であれば、抗新生物薬の投与は、処置しようとする癌や、抗新生物薬がその疾患に及ぼす公知の効果に応じて変更し得ることは明白であろう。また、熟練した臨床医の知見に従い、治療プロトコル(例えば投薬量及び投与時間)も、投与された治療薬が患者に及ぼした観察上の効果を鑑み、そしてこの投与された治療薬に対する癌の観察上の応答を鑑みて変更可能である。
最初の投与は、当業で公知の確立されたプロトコルに従って行うことができ、そしてその後、観察された効果に基づき、投薬量、投与形態及び投与時間を、熟練した臨床医が変更することができる。
抗新生物薬の特定の選択は、担当医師の診断及び彼らによる患者の状態の判断、並びに適した処置プロトコルに依るであろう。
処置プロトコル中の抗新生物薬の投与順序、投与反復回数の判断は、処置しようとする癌及び患者の状態を評価した後の熟練した医師の知見の範囲内である。
このように、経験及び知見に従い、担当医は、抗新生物薬の投与に関する各プロトコルを個々の患者のニーズに従い、処置が進むにつれ、変更することができる。このような変更はすべて、本発明の範囲内にある。
担当医は、投与される投薬量で処置が有効であるかどうかを判断する際、患者の全身の健康状態や、癌関連症状(例えば疼痛、咳(肺癌の場合)、及び息切れ(肺癌の場合))の軽減、腫瘍成長の阻害、腫瘍の実際の退縮、又は転移の阻害といった、より決定的な兆候を考慮するであろう。腫瘍の大きさは、例えばCAT又はMRIスキャンなど、放射線研究などの標準的方法により測定することができ、また連続的な測定を用いて、腫瘍の成長が遅らされたか、又は更には逆転されたかどうかを判断することができる。疼痛などの疾患関連症状の軽減や、全体的状態の向上も、処置の有効性を判断する支援として用いることができる。
化学療法薬
化学療法薬(本発明の化合物と組み合わされる抗新生物薬/微小管影響性薬剤)として用いることのできるクラスの化合物には、限定はしないが:アルキル化剤、抗代謝産物、天然生成物及びそれらの誘導体、ホルモン及びステロイド(合成類似体を含む)、及び合成物質が含まれる、これらのクラス内の化合物の例を以下に挙げる。
アルキル化剤(ナイトロジェン・マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレア及びトリアゼン):ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(シトキサン)、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレン-メラミン、トリエチレンチオホスホールアミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、及びテモゾロミド。
抗代謝産物(葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤を含む):メトトレキセート、5-フルオロウラシル、フロクスリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビンホスフェート、ペントスタチン、及びゲムシタビン。
天然生成物及びそれらの誘導体(ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン及びエピポドフィロトキシンを含む):ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、パクリタキセル (パクリタキセルはタキソールとして市販のものを入手可能であり、以下「微小管影響性薬剤」という表題の小項により詳述する)、パクリタキセル誘導体(例えばタキソテル)、ミトラマイシン、デオキシコ-フォルマイシン、ミトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN-α)、エトポシド、及びテニポシド。
ホルモン及びステロイド(合成類似体を含む):17α-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、テストラクトン、メゲストロールアセテート、タモキシフェン、メチルプレドニゾロン、メチル-テストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゾラデックス。
合成物質(プラチナ配位錯体などの無機錯体を含む):シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシウレア、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レヴァミゾール、及びヘキサメチルメラミン。
他の化学療法薬には、ナベルベン、CPT-11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビンベ(原語:Capecitabinbe)、レロキサフィン、及びドドロキサフィン。
特に好適なのは、シクロファスファミド(原語:Cyclophasphamide)、5-フルオロウラシル、テモゾロミド、ビンクリスチン、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン (17-AAG)、及びゲムシタビンから成る群より選択される抗新生物薬である。最も好適には、抗新生物薬をゲムシタビン、シスプラチン及びカルボプラチンから選択するとよい。
これらの化学療法薬の大半を安全かつ有効に投与する方法は当業者に公知である。加えて、それらの投与は標準的な文献に解説されている。例えば化学療法薬の多くの投与は、その開示を引用をもってここに援用することとする"Physicians' Desk Reference" (PDR), 57th Edition (Thomson
PDR, Montvale, N.J. 07645-1742)に解説されている。
微小管影響性薬剤
ここで用いられる場合、本発明の化合物と併用することのできる微小管影響性薬剤(例えばパクリタキセル、パクリタキセル誘導体又はパクリタキセル様化合物)とは、微小管の形成及び/又は作用に影響することにより、細胞内の有糸核分裂に干渉する、即ち、抗有糸分裂効果を有する、化合物である。このような薬剤は、例えば、微小管安定化性の薬剤であっても、あるいは微小管形成を損なう薬剤であってもよい。
当業者に公知の本発明において有用な微小管影響性薬剤には、限定はしないが、アロクルヒチン(NSC 406042)、ハリコンドリンB (NSC
609395)、コルヒチン (NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えばNSC 33410)、ドラスタチン10 (NSC 376128)、メイタンシン (NSC 153858)、リゾキシン (NSC 332598)、パクリタキセル (タキソール、NSC 125973)、パクリタキセル誘導体(例えばタキソテル、NSC 608832、チオコルヒチン (NSC
361792)、トリチルシステイン (NSC 83265)、ビンブラスチンスルフェート (NSC 49842)、ビンクリスチンスルフェート (NSC 67574)、エポシロンA、エポシロン、及びジスコデルモリド(Service, (1996) Science, 274:2009を参照されたい)、エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4等がある。このような薬剤の例は更に科学及び特許文献に解説されている。例えばBulinski (1997) J. Cell Sci. 110:3055-3064; Panda (1997) Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 94:10560-10564; Muhlradt (1997) Cancer Res. 57:3344-3346;
Nicolaou (1997) Nature 387:268-272; Vasquez (1997) Mol. Biol. Cell. 8:973-985;
Panda (1996) J. Biol. Chem. 271:29807-29812を参照されたい。
特に好適な薬剤はパクリタキセル様活性を持つ化合物である。これらには、限定はしないが、パクリタキセル並びにパクリタキセル誘導体(パクリタキセル様化合物)及び類似体がある。パクリタキセル及びその誘導体(例えばタキソール及びタキソテル)は市販のものを入手可能である。加えて、パクリタキセル並びにパクリタキセル誘導体及び類似体を作製する方法が当業で公知である(例えば米国特許第5,569,729号;第5,565,478号;第5,530,020号;第5,527,924号;第5,508,447号;第5,489,589号;第5,488,116号;第5,484,809号;第5,478,854号;第5,478,736号;第5,475,120号;第5,468,769号;第5,461,169号;第5,440,057号;第5,422,364号;第5,411,984号;第5,405,972号;及び第5,296,506号を参照されたい)。
より具体的には、用語「パクリタキセル」は、ここで用いられる場合、タキソール (NSC 番号: 125973)として市販のものを入手可能な薬物をいう。タキソールはチューブリン部分の重合反応を促すことで、有糸分裂にとって適した構造に再構成できない安定した微小管の束になることを促進することにより、真核細胞の複製を阻害する。入手できる数多くの化学療法薬のうちで、パクリタキセルには
卵巣及び乳腺腫瘍を含め、薬物不応性腫瘍に対する臨床試験のその効果のために興味が持たれてきた(Hawkins
(1992) Oncology, 6: 17-23, Horwitz (1992) Trends Pharmacol. Sci. 13: 134-146,
Rowinsky (1990) J. Natl. Canc. Inst. 82: 1247-1259)。
付加的な微小管影響性薬剤を、当業で公知の多くのこのような検定法の一つを用いて評価することができ、例えばパクリタキセル類似体のチューブリン重合活性を測定する準自動化検定を、有糸分裂で細胞を遮断する上でのこれらの化合物の能力を測定する細胞検定と組み合わせるなどである (Lopes (1997) Cancer Chemother. Pharmacol. 41:37-47を参照されたい)。
一般的には、検査化合物の活性は、細胞をその化合物に接触させ、その細胞周期が破壊されたかどうか、特に有糸分裂事象の阻害により破壊されたかどうかを判定することにより、判定される。このような阻害は有糸分裂装置の破壊、例えば正常なスピンドル形成の破壊など、によって媒介されるものかも知れない。有糸分裂が干渉された細胞は形態の変化(例えば微小管の緊密化、染色体数の増加など)により特徴付けられよう。
チューブリン重合活性の有り得る化合物をin
vitroでスクリーニングすることができる。例えば、化合物を培養WR21 細胞(株69-2 wap-ras
マウスから得られる)に対し、増殖の阻害について、 及び/又は for 細胞形態の変化について、特に微小管の緊密化について、スクリーニングする。次に、陽性の検査化合物のin vivo スクリーニングをWR21腫瘍細胞を持つヌード・マウスを用いて行うことができる。このスクリーニング法の詳細なプロトコルはPorter (1995) Lab. Anim. Sci., 45(2):145-150に解説されている。
所望の活性について化合物をスクリーニングする他の方法は当業者に公知である。典型的には、このような検定法は微小管の構築
及び/又は 分解の阻害についての検定を含む。微小管構築に関する検定法は、例えばGaskin et al. (1974) J.
Molec. Biol., 89: 737-758に解説されている。米国特許第5,569,720号もパクリタキセル様活性を持つ化合物についての in vitro 及びin vivo検定法を提供する。
上記の微小管影響性薬剤の安全かつ有効な投与の方法は当業者に公知である。加えて、それらの投与は標準的文献に解説されている。例えば、化学療法薬の数多くの投与が"Physicians' Desk Reference" (上に引用)で解説されている。
キット
有利なことに、本発明は消費者が疾患を処置するために使用するキットも提供する。本キットは、a)本発明の化合物(例えば式1、2、3、又は4の化合物)と薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤とを含む医薬組成物;及び選択的にb)特定の疾患を処置するために前記医薬組成物を用いる方法を解説した指示、を含む。
本出願で用いられる「キット」には、例えば分割されたビン又は分割された箔パケットなど、別個の単位剤形を含有するための容器が含まれる。該容器は、薬学的に許容可能な材料、例えば紙又は厚紙による箱、ガラス又はプラスチック製ビン又はジャー、又は再密封可能な袋(例えば異なる容器内に入れるための錠剤の「レフィル」を保持するためのもの)、あるいは治療スケジュールに応じてパックから押し出す個々の用量を入れたブリスタ・パック、など、から作製された、当業で公知のいずれの従来の形状又は形であってもよい。用いる容器は、関係する剤形そのものに依存するであろう。例えば従来の厚紙の箱は液体懸濁液を保持するためには一般的には用いられないであろう。二種以上の容器を単一のパッケージで一緒に用いて単一の剤形を市販することも考えられる。例えば、錠剤をビンに入れ、このビンを更に箱内に容れてもよい。
このようなキットの一例がいわゆるブリスタ・パックである。ブリスタ・パックは梱包業で公知であり、医薬の単位剤形(錠剤、カプセル等)を梱包するために広く用いられている。ブリスタ・パックは一般に比較的に硬い材料のシートが好ましくは透明なプラスチック材料の箔で覆われたものから成る。梱包プロセス中、凹部がこのプラスチック製箔に形成される。該凹部は、梱包しようとする個々の錠剤又はカプセルの大きさ及び形状を有するが、あるいは梱包しようとする複数の錠剤及び/又は
カプセルに適応する大きさ及び形状を有することもある。次に、錠剤又はカプセルを該凹部内に適宜配置し、比較的に硬い材料のシートを、凹部が形成された方向とは反対側の箔面で該プラスチック製箔に対して密封する。その結果、錠剤又はカプセルは所望の通り、プラスチック製箔とシートの間の凹部内に個々に密封されるか、あるいはまとめて密封される。好ましくは、シートの長さは、該凹部に手で圧力をかけることにより凹部の位置に開口が形成されて錠剤又はカプセルをブリスタ・パックから取り外せるようなものであるとよい。こうして錠剤又はカプセルを前記開口から取り出すことができる。
記憶の補助を提供することが好ましい場合もあり、この場合、該記憶の補助は医師、薬剤師又は対象に対する情報及び/又は指示を含む種類のものであり、例えば錠剤又はカプセルの隣に記載された数字であって、この数字は、当該錠剤又はカプセルを摂取するように特定された日付に相当する数値であったり、同じ種類の情報を含むカードなどであったりする。このような記憶の補助の例は、カード上に印刷されたカレンダーであり、例えば以下、「第1週、月曜日、火曜日、・・・等々」「第二週、月曜日、火曜日・・・等々」といったものである。記憶の補助の他のバリエーションは容易に明白であろう。「一日当りの用量」は、ある一日に摂取される単一の錠剤又はカプセルであっても、あるいは複数の錠剤又はカプセルであってもよい。
キットの別の具体的な実施態様は一度に一日当りの用量を計量するようデザインされたディスペンサである。好ましくは、該ディスペンサに、計画へのコンプライアンスを更に高めるように記憶の補助が備えられているとよい。このような記憶の補助の一例は、計量された一日当りの用量の数を示す機械的カウンタである。このような記憶の補助の別の例は、液晶読み取り装置に、又は、例えば最後に一日当りの用量が摂られた日付を読み出す、及び/又は、次の用量をいつ摂るべきかを思い出させる、などの可聴式リマインダ信号に接続された電池駆動型のマイクロチップメモリである。
化合物1−4の優れた効力及びキナーゼ選択性
化合物1−4は、一般式5:
Figure 2010513287
の範囲構造内の最も強力かつ有効な化合物である。
H以外の置換基R2 及びR3 は概ね、細胞周期関連キナーゼ及び腫瘍増殖の阻害について相関する効力低下を起こす。H以外のR4 の置換基は、WO97/05140で例示されたように、細胞周期制御キナーゼに対して活性を完全に消失させる。表1はWO97/05140の好適な化合物6 (一般式5であり、このとき R1 = COOCH3, R2, R3, R4
= H, Z = H,H) のキナーゼ阻害効力は置換基 R1
= CONHR6 (R6 = H 又は CH3、他の置換基 R6
は活性を著しく低下させるか、又は損なう)のときに少なくとも1のオーダーの大きさで向上することを示している。同様な効力及び選択性を1に比較して2−3にもたらすという、特にR1 = CONHCH3 又はCONH2のときのこのような決定的な影響は特許出願WO97/05140では認識されていなかった。更に、好適なR1 置換基と特異的アミノ基 -NHR4
(R4 = H) との組合せが、投薬の安全性及び便利性に関連する大変貴重な医薬上の特性を可能にしつつ、非常な抗増殖効果をもたらすという効果が実証されたことはなかった。
WO00/01699 及びWO04/048384に開示された化合物に比較して、構造式1−4の化合物は複数の抗増殖性キナーゼにとって有利な高い選択性を有しており、そのことは、代表的化合物1と、それぞれ全体骨格10を含有するWO04/048384の直接的な関連化合物7、及び、WO00/01699の8−9についても例示された通りである。選択性プロファイルが10での置換パターンについてもかなりばらつきがないと立証されるように、選択性がないことは明らかに骨格10の特性である。表2は、7−9ではなく1による同一のキナーゼ検定条件下での標的キナーゼGSK3 並びに第二メッセンジャーキナーゼPKC及びPKA の分化を示す。化合物2、3及び4は事実上、1と同一の効力及び選択性プロファイルを有することから、基Z (H,H 又はO) と、骨格5中のR6 のHによる -CH3 の置換はこれらのパラメータにほとんど影響を及ぼさないことを示している。
それらの向上した可溶性、特にそれらの塩の形における優れた可溶性をまとめると、化合物1−4は、増殖制御に関与するキナーゼが調節不能であるような適応症のための非常に優れた治療薬であることが分かる。
Figure 2010513287
Figure 2010513287
化合物6を上回る1の優れた抗増殖活性
式1−4の化合物の抗腫瘍活性を複数の腫瘍細胞株で、開示WO97/05140の例示化合物の中で最も高いキナーゼ阻害効力を示す公知の化合物6に比較して評価した。癌分野で将来の革新に向けて特に関心が持たれているのは、形質転換後の状態が構成的な受容体活性化とは独立に維持されるような細胞株である。例えばエストロゲン受容体活性化は乳癌で頻繁にあり、タモキシフェン及び同様の化合物に基づく治療の効果はこの発癌性代謝に依存する。また、上皮成長因子(EGF)受容体(HER又はERB受容体)の変異は乳癌及びグリア芽腫ではよくある特徴であり、従ってイレッサ又はタイカーブのような各チロシンキナーゼドメイン阻害剤や、ハーセプチンのようなモノクローナル抗体の標的とされる。これらのアプローチすべてに共通する臨床上の経験は、患者の下位集団のみでの効験であり、この場合有意な当初の腫瘍応答は記録されるが、そのときでも応答者における生存時間の上での向上には限りがある。これらの限界はおそらくは樹立腫瘍における発癌機序の不均一性に関係するのであろう。当初の応答は、標的とされた分子機序が腫瘍においてたまたま優性であった場合にのみ、観察される。しかしながら、これが事実であったとしても、少数の腫瘍細胞集団で現れる発癌機序が最終的には治療下で選択されるようになり、元の腫瘍とは異なる分子機序又はその組合せを持つ再発性腫瘍が樹立し、より長期の生存見込みが制限される。このような状況が幅広いパネルの乳癌細胞株の調査で強調されており、ERB (EGF 受容体) の比較的に頻度の高い構成的活性化ですら、当該パネルの僅かに約 20%を成すだけであった [Konecny
et al., Cancer Res. 66, 1630-1639 (2006)].。合致して、ハーセプチンへの応答者率は余り変わらず、約 30%である。
本発明の化合物を公知の化合物と比べたときの向上点と幅広い適用性や、上述したような現在より標的とされる治療法が失敗する場合でのそれらの実用性を実証するために、異なる発癌機序を持つヒト細胞株を選抜した。その代表は、限定はしないが以下の通りである:
1)エストロゲン及びEGF受容体の両者から独立であり、タイカーブに対して最も不応性の高い細胞株の一つである、高転移性及び浸潤性のMDA-MB-231 乳癌細胞株。加えて、それはraf-
やras-変異の両方を持つため、MAP-キナーゼ経路の特異的阻害に対して非感受性となっている;
2)主にPTEN (ホスファターゼ/テンシン・ホモログ、PI3K経路) 及びp53の腫瘍サプレッサ活性の消失により駆動されるEGF-受容体独立グリア芽細胞腫細胞株U373;
3)一般にマウス異種移植片モデルにおいて最も課題の多い腫瘍細胞の一つとみなされている結腸癌細胞株HT29。
図1は、濃度10nMの式1の化合物はMDA-MB-231 細胞の成長を1週間の暴露にわたって完全に妨げるが、公知の化合物6は、直接的に匹敵する条件下でその濃度では実質には有効でなく、同様な効果を示すのに10倍高い濃度を要したことを示す。
図2は、式1の化合物はU373 細胞の成長を1週間にわたって停止させる上で10nMでほぼ完全に有効であったが、化合物6はやはり、同様な効果に達するのに10倍高い濃度を要したことを示す。
10 nM の式1の化合物は、HT29 細胞の増殖を抑えるためにも充分であったが、化合物6は、その濃度では完全に効力がなかった。加えて、式1の化合物の挙動はこの場合では遥かにより用量依存的であった。
特に興味がもたれるのは本発明の化合物、特に1、が、1乃至6時間という短い時間、100nMという治療上重要な濃度に一回、暴露した後で少なくとも1週間にわたる持続的な阻害を誘導する能力である(図4a−c)。この特徴は、癌に苦しむ患者を式1−4の化合物に断続的に暴露するだけで利益が得られるであろうという点で、治療上の安全性領域及び処置計画の薬物経済学的利点を大きく増すために用いることができる。
式1−4の化合物は、今日までで公知の最も強力な抗腫瘍薬に属する。図5は、式1の化合物例が、その急性毒性及び静脈内投与への制限もなくビンブラスチンの活性に匹敵すること、そして確立された一般的な抗腫瘍薬シスプラチンよりも実質的により強力で有効であることを示す。式1の化合物の活性はまた、幅広く用いられている薬剤のタキソールにも良好に匹敵する。
全ての抗腫瘍薬に関する重要な懸念は、多剤耐性タンパク質(MDR)及び同様の薬物排出トランスポータ(ABCカセットタンパク質)による細胞侵入からの排除が起き易いことを原因とした効験の限界である。図6は、式1の化合物の抗増殖効力範囲(図1−3に定義した)が、式6の公知の化合物からは、二つの最も頻繁に関与する薬物排出トランスポータ (MDR タンパク質) ABC-G2
(gp170) 及び ABC-B1 (BCRP)について取り込み濃度から、より明確に分離していることを示す。従って、腫瘍細胞集団でMDRタンパク質を発現させることによる、処置への耐性発生は、本発明の化合物では予測されない。この利点は、主に、本発明の化合物の効力の高さに負うものであり、従って臨床上の実用性にとって重要である。
式1−4及び6で表される化合物の水性環境中での可溶性は概して約 1 μMに限られており、1 μM を超える持続的血漿中レベルは、実施可能な形の投薬では達し得ない。約 80%で判定されたげっ歯類及びヒトの両者における有効濃度での血漿中結合時には、長時間維持された最大遊離濃度は約 200 nMである。これらの濃度では、化合物6の効力を持つ化合物は in vivoでは余り有効ではない。
化合物1−4の抗腫瘍活性の広さを更に例示するために、NCI-60 パネルを化合物1でスクリーニングした。これらの細胞株で実証された発癌性誘導変異の広がりが最近、改名されており、とりわけraf、ras、CDKN2A (cdk 阻害剤)、p53、PI3K、PTEN、EGFR、APC、FLT3、RB1 での変異を包含することが分かっている。細胞株は一般に、段階III 及び IV 癌を代表とするこれらの変異の複数を有する [Ikediobi et al., Mol. Cancer
Ther. 5, 2606-2612 (2006)]。有意な抗増殖活性が、肺、結腸、脳、皮膚、卵巣、腎臓、前立腺、及び乳癌を由来とするすべての細胞株で見られた(図7a−h)。全ての細胞株にわたって平均 50% の成長阻害 (GI50)
が、公証濃度32 nMにおいてであり、効力範囲は<10 nM 乃至 150 nMだった。化合物1は48時間という検査時間フレームにわたってプラスチック製ウェルに対して有意な吸収を示したため、これらの結果は効力を約 2の因数で過小評価するものである。総成長阻害(TGI)の平均濃度は従って 200
nMであり、即ち GI50の約10倍である。実際の経口用投薬形で、かつ、特別な調合物がなくとも達成することのできるin
vivoでの持続的遊離血漿中濃度の 約 200 nMでは、全ての細胞株は例外なく50%
を超えて阻害され、そして半分を超えるものが、全く成長しないか、あるいは致死させられたであろう(図8)。これらの結果は、発癌性形質転換の精確な機序、あるいは腫瘍の組織起源とは独立に、化合物1−4の幅広い抗腫瘍実用性を強調するものである。
化合物1−4によるマウス・モデルにおける腫瘍の処置
式1の化合物の効験をマウス腫瘍異種移植片モデルでNMRI(nu/nu) 株のマウスを用いて確認した。例えば、ヒト腫瘍細胞株 MDA-MB-231、U373、及びHT29由来の細胞を複数のヌード・マウスで皮下的に予備インキュベートして最も精力的に成長する細胞集団を選抜した。2−3週間の間、充分な大きさに成長させた後に。最も適した腫瘍のうちの約 2 mm3 体積の一片を、移植された組織が高い程度血管化する区域であることが確認されている胸郭乳腺脂肪褥の領域に皮下移植した。腫瘍が約 3 mm の直径に達したとき、ほぼ等しい平均腫瘍サイズの処置群にマウスを振り分けてから、治療を開始した。式1の化合物の投与は、好ましくは連続暴露の間、一日当り経口強制栄養により行われ、用量は式1の化合物を1 乃至10 mg/kg、水中に、又は、ポリエチレングリコール(PEG)などの普通のアジュバントを含有する水性液体調合物に、好ましくは塩酸、リン酸、乳酸、マロン酸、クエン酸等を含む(しかしこれらに限らず)薬学的に適当な酸との塩の形にした固体懸濁液とした。他の適したアジュバントには、限定はしないが、様々な平均分子量のポリビニルピロリドン(ポビドン)がある。処置の経過中、動物の体重及び移植された腫瘍の大きさを1週間に3回、観察した。最大の効験を得るために毎日の処置計画を、処置の経過にわたる有意な体重消失がないことで定義される、適用可能な最大用量で選択した。これらの用量は、用いた各個々のマウス株について別々に最良に決定された。
代表的な異種移植片モデルで観察された好適な化合物1の抗腫瘍効験はNCI-60 パネル中の各in vitro活性と概ね合致した。例えば30日間、2.5 mg/kg を一日に二回の連続的に経口投薬計画では、HT29 異種移植片の成長が70%阻害され、10匹の動物のうち2匹が完全な静止を示した(図9)。HT29 細胞株は最悪のシナリオを表すが、なぜならそれは結腸癌由来株の中で最も耐性が高く、in vitroで最高の暴露にしても化合物1で致死させることのできない珍しい腫瘍細胞の一つだからである。(図7b)。強力な抗腫瘍貢献を示す一方で、処置から30日後の腫瘍組織検査では、化合物1による処置の別の重要な結果が明らかになった:未処置の腫瘍とは異なり、処置された腫瘍はすべて、単球。おそらくはマクロファージ、による広範な浸潤を示して(図10)いることから、クリアランス活性における免疫系成分の好ましい関与が示唆された。このことは、化合物1による処置は、しばしば標準的な化学療法計画では逆効果である、重要な免疫機能を損なわなかったことを示すものである。良から優の効験は、同様に投薬されたより大きなパネルの異種移植モデルでも認められた。表3は、8種の異なる器官と多様な組合せの発癌性誘導変異とを含む代表的な異種移植片での関連する結果を要約したものである。
式1の例示的化合物による匹敵する効験は、式2−4の誘導体でも得られた。当業者であれば、限定はしないが、腹腔、静脈内、非経口、経皮がたの送達を含む代替的な投与経路でも同様な結果を得ることができることは理解されよう。
用いた細胞株の元となった臓器に式1の化合物が適正に分布するかどうかを検査するために、同所移植モデルも用いた。この目的のために、ヒト細胞株由来腫瘍組織を、上述の通りの皮下プレインキュベーション後に、細胞株の由来となった臓器に移植した。このように、MDA-MB-231由来腫瘍を乳腺に、HT-29 由来腫瘍を結腸に、そしてU373由来腫瘍を脳内に移植した。処置に対する応答は4週後に賦形剤コントロールに比較したときの腫瘍サイズを測定することにより評価された。式1−4の化合物による処置の効験は、皮下移植モデルとこれらのモデルでは大きく異ならなかったことから、化合物1−4は、血液脳関門を横切るものも含め、概して良好に分散していることが示された。図11に示すように、CNSの良好な通過という特徴は、非常な抗増殖効力とも組み合わされて、式1−4の化合物、特に化合物1の顕著な特徴である。従って本発明の化合物は、限定はしないがグリア芽細胞腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫を含め、脳腫瘍を処置する上で特に有用である。
式1−4の化合物の効験は、治療上のアプローチにとって都合が良く、また柔軟であるために選択された細胞株の移植片モデルに限られず、NCI-60 パネルにおける化合物1の成果でも示唆されているように、大半の腫瘍に及ぶ。本発明の具体的な化合物はそれらの効力、選択性プロファイル、更にはCNSを含む組織分布のおかげで低投薬量でも幅広く活性であり、また便利に経口送達されて生物学的利用能も良好である。式1−4の化合物、特に化合物1及び2は、癌の処置に用いられる関連化合物PKC-412 及びUCN-01の非常なヒト血清結合 に遭わず[Propper et al., J. Clin. Oncol. 19, 1485-1492
(2001)]、従ってそれらを低投薬型で用いることができ、そして副作用の場合にも妥当に急速にクリアランスされることにより安全性を高めることができる。
式1−4の化合物の決定的な利点は、水性環境中約1
μM という可溶性限界により提供される固有の安全性である。完全に近い抗増殖効験を得、そして経口で良好な生物学的利用能とするのに妥当な溶解速度を得るためにほぼ充分に高い一方で、標的組織でのキナーゼ特異性の分解を妨げるためにin vivo では絶対的な暴露限界を設定する。従って、約80%という中間の血漿中結合と共に、その効力/可溶性比は、式1−4の化合物の、予測され得なかった、しかし絶対的に中心的な特徴である。これらの化合物の、特に化合物1のこのような通常を超えた安全性特徴は、HT29異種移植研究で11匹の動物すべてにおいて連続処置から30日後の心臓、肺、腎臓、肝臓、十二指腸、及び結腸でいずれの臓器毒性も完全になかったことで実証されており、この場合、ほぼ最大の結晶濃度が処置経過中、維持されている。経口投与経路にもかかわらず抗癌剤には通常、大変感受性である十二指腸及び結腸組織の粘膜層で刺激の兆候が何らなかったことは、式1−4の化合物の、長期の処置計画における臨床実用性に向けた特別な物理的−化学的特性の重要性を実証するものである。
例えば化学的変異誘発、又は、トランスジェニック技術による発癌性変異タンパク質の標的化導入など、あるいは、特に自発的腫瘍を獲得し易い特別なげっ歯類株を用いるなど、げっ歯類において腫瘍誘導の代替的手段を用いることができる。いずれの場合でも、本発明で開示された処置は等しく応用可能であり、同様な結果を生ずる。

式1−4の化合物の調製
式1−4の化合物は、通常の前駆体として、引用をもってここに援用することとするWO97/05140に従って調製される化合物6から調製することができる。ラクタム1及び2は、高温でのそれぞれメチルアミン又は無水アンモニアによるエステル6のアミノ分解により得られる。溶媒としてはジオキサン又はテトラヒドロフランが適する。代替的には、メチルアミン又はアンモニアを加圧容器内で溶媒自体として用いることができる。具体的には、対応するエステルからのラクタム1及びイミド3の調製において、固形シアン化カリウムを有効性の高い触媒として用いることができ、メチルアミンを反応体及び溶媒としてアミノ分解を室温で起こさせると、副産物の形成が抑えられ、従って収率が向上し、精製が大きく容易となる。ピリジン、イミダゾール、4-ジメチル-アミノ-ピリジンなど、エステルのアミノ分解のための多くの他の触媒は遥かに低い収率しか出さず、より広範な精製を要してきた。また、化合物6の加水分解や、その後のメチルアミン及びカルボジイミドなどの縮合剤並びに関連薬剤とのアミド形成により、低い収率しか出せなかった。このように、本発明の別の局面は、NaCNではなくKCNの、化合物6を化合物1に無駄なく転化させる上での予期できなかった特異性である。
ラクタム1及び2のイミド3及び4への転化は一般に、WO97/05140に解説された通り、塩化メチレン中でのCrO3/ピリジン錯体による酸化により達成することができる。代替的には、この参加アミノ分解の前に6で行うこともできる。
実施例1: の化合物への転化:
Figure 2010513287
天然252aに似た絶対的立体配置を持つ化合物6[Fredenhagen
and Peter, Tetrahedron 52, 1235-1238 (1996)]を、塩化メチレン付加物としてWO97/05140に従って調製した(6では86%)。60.5 mg (0.112 mmole) の6及び15 mg のKCNの混合物を圧力フラスコ内に配置し、そこへ5mlのメチルアミンを-78°Cで縮合させた。この混合物を室温まで温めて溶解させ、遮光下で110時間、攪拌し、それまでにTLC (シリカゲル、塩化メチレン/メタノール 95:5)に従い、開始物質 (Rf = 0.28) を生成物1(Rf
= 0.25)に完全に転化させておいた。溶媒を蒸発させ、無色の固形残渣を1.5 x 20 cm シリカゲル・カラム上で塩化メチレン/メタノール96:4 を溶出剤としてクロマトグラフィした。溶媒の蒸発後、49 mg (81%)の99.5% (1H-NMR) を超える純度の1が得られた。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): ∂ = 1.95 (1H, dd, フラノシド-CH 2-); 2.11 (3H, s, CH 3); 2.80 (3H, d, CONH-CH 3); 3.35 (1H, m, フラノシド-CH 2-,H2O
シグナルにより部分的に不明瞭);
5.01 (2H, dd, ラクタム-CH 2-NH-CO); 7.03 (1H, m, グリコシド -O-CH-N-); 7.27 (1H, t, arom.H); 7.38 (1H, t, arom.H); 7.49 (2H, m, arom.H); 7.85 (1H, d, arom.H); 8.07 (1H, d, arom.H); 8.23 (1H, d, arom.H); 8.32 (1H, m, CO-NH-CH3); 8.64 (1H, bs, ラクタム-NH-CO-); 9.22 (1H, d, arom.H). MS (ESI) m/e 466 [M+H]+
実施例2:の化合物への転化
Figure 2010513287
56
mg (0.103 mmole) の6(86%)の塩化メチレンとの溶媒和化合物を 5 ml ジオキサンに溶解させ、テフロン(登録商標)で内張りした坑底圧測定器内に配置した。5 ml の無水アンモニアをこの容器内に-78°Cで縮合させた。この混合物を坑底圧測定器内で攪拌しながら100°C まで、24時間、加熱した。アンモニアを室温でゆっくり蒸発させると、残った暗い黄色の溶液を真空下で蒸発させて乾燥させた。出来た黄色の固体を数mlの塩化メチレン/メタノール9:1中に再懸濁させた。溶解しなかった物質をろ過で取り除き、できた溶液を、いくらかより多い塩化メチレン/メタノール9:1を入れた短いシリカゲル・カラムを通してろ過した。ろ過物を真空下で蒸発させて27 mg の黄色の粗生成物を得、これを更にフラッシュ・クロマトグラフィで、塩化メチレン/メタノール95:5を溶出剤にした1.5 x 20 cm シリカゲル・カラムを通して精製した。 TLC (シリカゲル;塩化メチレン/メタノール 95:5, Rf = 0.21) により、純粋な生成物を含有する画分を蒸発させると、6.8 mg (14%) の98% を超える純度 (1H-NMR) の化合物2が得られた。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): ∂ = 1.94 (1H, dd, フラノシド -CH 2-); 2.20 (3H, s, CH 3); 3.22 (1H, m, フラノシド -CH 2-,
H2O シグナルにより部分的に不明瞭);
5.01 (2H, dd, ラクタム -CH 2-NH-CO); 7.03 (1H, dd, グリコシド-O-CH-N-); 7.27 (1H, t, arom.H); 7.37 (1H, t, arom.H); 7.48 (2H, m, arom.H); 7.63 (1H, bs, CO-NH 2); 7.79 (1H, bs, CO-NH 2); 7.86 (1H, d, arom.H); 8.07 (1H, d, arom.H); 8.23 (1H, d, arom.H); 8.64 (1H, bs, ラクタム -NH-CO-); 9.21 (1H, d, arom.H). MS (ESI) m/e 452 [M+H]+
生物活性
実施例3: MDA-MB-231 ヒト乳癌細胞の長期成長阻害
ヒトエストロゲン受容体及びEGF受容体陰性MDA-MB-231 (HTB 26)乳癌細胞株(米国ロックビル、ATCCから入手)をL-グルタミン、2.2 g/l NaHCO3 及び5 % ウシ胎児血清を含有するマッコイの5A培地で培養した。細胞を75-cm2
培養フラスコに入れた37°Cの大気(95 % 空気 / 5 % 二酸化炭素)で飽和させた水中に維持し、0.05% トリプシン/0.02% EDTAを用いたトリプシン処理後に順に継代させた。
増殖検定に向け、腫瘍細胞懸濁液 (100 μl/ウェル) を96ウェル平底微量滴定プレートにほぼ15 細胞/顕微鏡視野(倍率320x)の密度になるように播種した。2−3日後に培養基を吸引により取り除き、様々な濃度の式1の化合物又は賦形剤(0.5% DMSO)を含有する新鮮な培地(200 μl/ウェル) に取り替えた。化合物1は1000分の1に濃縮されたフィード溶液として添加された。プレート毎に16個のウェルをコントロールとして役立て、16個のウェルを1の濃縮毎に用いた。様々な時間のインキュベート後に細胞をグルタルジアルデヒドで固定し、冷蔵庫内に保管した。検定の終了時に全てのプレートを同時(0.02 % 水性クリスタル・バイオレット溶液で染色(100 μl/ウェル))に処理した。トレイを水で20分間すすいで過剰な染料を取り除いた。微量プレートを約3時間、振盪しながら、細胞が結合した染料を70 % エタノール (180 μl/ウェル) に再溶解させた。吸光度(細胞質量に比例)を578 nm で BIOTEK 309オートリーダを用いて測定した。その結果(平均値 ± 標準偏差)を成長曲線として表にした。
実施例4:HT29 ヒト結腸腺癌細胞の長期の成長阻害
HT29 ヒト結腸癌細胞株(米国ロックビル、ATCCから入手)を上述の通り、培養した。式1の化合物による処置及び成長阻害の分析を実施例3と同じに行った。
実施例5: U373ヒト星状細胞腫−グリア芽細胞腫細胞の長期の成長阻害
EGF受容体独立U373ヒトグリア芽細胞腫細胞株(米国ロックビル、ATCCから入手)を上述の通り、培養した。式1の化合物による処置及び成長阻害の分析を実施例3と同じに行った。
実施例6: 化合物1のin vivoにおける効果的な投薬の判定
血清試料及び脳ホモジネートから再抽出された化合物1について、内側標準として関連化合物2を用いて標準曲線を確立した。マウス又はヒト血液から調製された200μl 血清試料と、0.2g マウス脳組織を 0.3 ml 飽和NaCl溶液に容れたホモジネートとに、10nM, 30nM、100nM、300nM、1μM、3μM の範囲の濃度の化合物1を内部標準としてDMSO (最終DMSO は2%を超えず)に入れた500nM の化合物2と混合したものを加えた。血清及びホモジネート試料を100μlの濃度のアンモニアに混合し、200μl の飽和NaCl溶液を該血清試料に加えた。化合物2及び内部標準1をそれぞれ2mlのエチルアセテートで1分間、よくボルテックスすることにより2回、再抽出した。配合した有機抽出物を SpeedVacで蒸発させ、300μl の 40% 水/60% メタノール (0.1% ギ酸)中に取った。45℃の 3.5μM Zorbox 300SB-C8 2.1x150mm カラム上の逆相HPLCにより試料を分析した。溶出は75μl/分の流速で行われ、3分間、60:40 メタノール/水 (0.1% ギ酸)で定組成溶出させた後、36:64まで7分間、勾配にし、そして10:90 メタノール/水 (0.1% ギ酸)まで10分間、勾配にした。検出は、分析物1については親分子量を466とし、そして内部標準2については452として、それぞれ310 及び312 質量のフラグメントのMS/MSにより行われた。比は、線形回帰により確定された標準曲線として表にされた。分離した線形回帰適合を高い(0.1 - 3μM) 及び低い(10 - 300nM)範囲の1濃度について行った。
マウスに12.5 mg/kgを50mM (-)-乳酸の50% PEG400溶液の賦形剤に入れて投薬し、多様な時間後に心臓穿孔によりと殺した。採取した血液を5分間、10,000xg で4℃で遠心分離して血清を調製し、脳を切除し、半分に分割して上述の通りのホモジネートの調製に向けた。試料に4μl の25mM 内部標準2 (500nM final) の DMSO溶液を添加した。再抽出を行い、分析物1及び内部標準2の比を上述した通りに判定した。血清及び脳試料中の化合物1の濃度を標準曲線から計算した。
実施例7: 血漿中の化合物の遊離濃度の判定
前もって10mM PBS に対して透析した200μl のヒト又はマウス血清試料を96ウェル・マイクロ平衡透析装置の5 kDa カットオフのメンブレンの一方の側上に配置した。10mM PBS (2% DMSO)中30nM、100nM、300nM、1μM 及び 3μMの濃度にした化合物1の200μl アリクォートの溶液を他方の側の上に配置した。血清試料のコントロール透析を10mM PBS (2% DMSO) に対して行って、該血清試料の低分子量蛍光性不純物をについて補正をするのみとした(ブランク・コントロール)。1のウェル及びメンブレン材料への非特異的結合についてコントロールとし、そして平衡終了のコントロールとするために、上記の濃度の1の10mM PBS (2% DMSO) 溶液も10mM PBS のみに対しても透析した。
装置を連続的に回転させることで48時間、攪拌した後のコントロール・ウェル中の1の濃度を蛍光(励起: 287nm, 発光: 375nm)で評価すると平衡に近かった。血清に対して透析した試料ウェルの蛍光を、低分子量成分の固有蛍光に起因するブランク・シグナルについて補正し、補正後の蛍光シグナルの消失を、緩衝剤のみに対する各濃度のコントロール試料の対応するシグナルに比較することで、血清結合を評価した。データの平均値をガングミュア吸着モデルに従って合致させた。
実施例8: 皮下腫瘍インプラントを持つヌード・マウスの化合物1による経口処置
充実腫瘍を樹立するために、100 μl の無血清培地 (RPMI) に懸濁させた3 x 106 腫瘍細胞を8−10週齢の5匹のオスの NMRI(nu/nu) マウスの胸郭乳腺脂肪褥の領域に皮下的に接種した。3−4週後に腫瘍担持マウスを頚部脱臼によりと殺し、一匹選択されたドナー・マウスの腫瘍を無菌条件下で切り出した。生命力ある腫瘍領域を2 mm3 の切片に切断し、トロカールtrocar (13 ga)で取り、同じストックのNMRI(nu/nu)に皮下移植した。移植された組織の腫瘍等級を慣例的な組織検査 (HE 染色)でチェックした。腫瘍成長及び体重は、腫瘍樹立中、毎週、登録された。皮下の腫瘍が約3 mm の直径に達したときに動物を無作為に、それぞれ10−12匹の動物から成る処置群及び賦形剤コントロール群に割り振り、一日に二度、2.5 mg/kg の化合物1を50mM (-)-乳酸の 50% ポリエチレングリコール400溶液の賦形剤に入れたものの経口強制栄養により投与するステップを含む治療計画を開始した。処置の経過中、体重の変化及び腫瘍成長を1週間に3回、記録した。成長曲線を標準偏差と共に表にし、有意差を図11の独立t検定を用いて判定した。非処置マウスでは、腫瘍の面積は9日後、約150%成長しており、他方、処置群では、平均腫瘍面積は約50%しか、成長していなかった (P = 0.012)。30日後、処置マウスの腫瘍サイズは、体重にいずれの有意な影響もないまま、70% 減少していた(P = 0.004)。
他の異種移植モデルも同様に行われ、投薬された。
Figure 2010513287
Figure 2010513287
Figure 2010513287

Claims (23)

  1. 細胞の異常な成長の処置を要する対象において、このような処置をする方法であって、式1、2、3又は4:
    Figure 2010513287
    の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を有効量、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  2. 上昇したレベルの活性化キナーゼ経路を発現する腫瘍の処置を要する対象において、このような処置をする方法であって、式1、2、3又は4:
    Figure 2010513287
    の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を有効量、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  3. 前記活性化キナーゼ経路がERKである、請求項2に記載の方法。
  4. 活性化キナーゼ経路を阻害する処置を要する対象において、このような処置をする方法であって、式1、2、3又は4:
    Figure 2010513287
    の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を有効量、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  5. 癌の処置を要する対象において、このような処置をする方法であって、式1、2、3又は4:
    Figure 2010513287
    の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を有効量、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  6. 前記癌が:乳癌、結腸癌、神経膠腫、黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、腎臓癌、膀胱がん、頭部及び頚部の癌、骨の癌、上皮癌、すい臓癌、食道癌、胃癌、肺癌、骨髄性白血病、甲状腺小胞性腫瘍、脊髄異形成性症候群、非ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫から成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記癌が:肺癌、結腸癌、脳の癌、黒色腫、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌及び乳癌から成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
  8. 前記癌が乳癌、結腸癌、又は神経膠腫である、請求項5に記載の方法。
  9. 前記癌が、細胞表面受容体チロシンキナーゼ(RTK)又は他の上流シグナル伝達タンパク質をコードする遺伝子の発癌性変異の結果であるMAPタンパク質キナーゼの活性化に関連する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記MAPタンパク質キナーゼが細胞外シグナル調節キナーゼ-2 (ERK-2) 及び/又は 細胞外シグナル調節キナーゼ-1
    (ERK-1)であり、そして前記他の上流シグナル伝達タンパク質がRaf 又はRas タンパク質である、請求項9に記載の方法。
  11. 癌の処置を要する対象において、このような処置をする方法であって、
    (1)式1、2、3又は4:
    Figure 2010513287
    の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を有効量、前記対象に投与するステップと、
    (2)少なくとも一種の化学療法薬及び/又は放射線を有効量、前記対象に投与するステップと
    を含み、この場合ステップ(1)及び(2)が同時又は順次、行われる、方法。
  12. 前記化学療法薬が抗新生物薬であり、そして前記新生物薬が:タキサン;プラチナ配位化合物;EGF)阻害剤;VEGF阻害剤;ALK阻害剤、ABLキナーゼ阻害剤;FLT-キナーゼ阻害剤、MEK阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤;エストロゲン受容体アンタゴニスト又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ;抗腫瘍ヌクレオシド誘導体;エポシロン;トポイソメラーゼ阻害剤;ビンカアルカロイド;α-インテグリンの阻害剤;葉酸アンタゴニスト;リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;アントラサイクリン;17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン;生物薬;及びサリドマイド又はその誘導体から成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記EGF阻害剤及び前記VEGF阻害剤が抗体又は低分子である、請求項12に記載の方法。
  14. 少なくとも二種の抗新生物薬を投与するステップを含み、前記少なくとも二種の抗新生物薬がタキサン及びプラチナ配位化合物である、請求項12に記載の方法。
  15. 前記タキサンがパクリタキセルであり、そして前記プラチナ配位化合物がカルボプラチンであり;あるいは(b)前記タキサンがパクリタキセルであり、そして前記プラチナ配位化合物がシスプラチンであり;あるいは(c)前記タキサンがドセタキセルであり、そして前記プラチナ配位化合物がシスプラチンであり;あるいは(d)前記タキサンがドセタキセルであり、そして前記プラチナ配位化合物がカルボプラチンである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記抗新生物薬が:ハーセプチン、セツキシマブ、タイカーブ、タルセバ、イレッサ、ベバシズマブ、IMC-1C11、SU5416、及びSU6688から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。
  17. 癌の処置を要する対象において、このような処置をする方法であって、前記対象に対し、
    式1、2、3又は4:
    Figure 2010513287
    の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を有効量と、治療上有効量の少なくとも一種の抗ホルモン薬とを投与するステップを含み、この場合前記抗ホルモン薬が:アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、及びLHRH類似体から成る群より選択され;そして前記処置が選択的に少なくとも一種の化学療法薬の投与を含む、方法。
  18. 前記処置が:トラスツズマブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、及びボルテゾミブから成る群より選択される化学療法薬の投与を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記対象がヒトである、上記請求項のいずれかに記載の方法。
  20. (1)式1、2、3又は4:
    Figure 2010513287
    の化合物又は薬学的に許容可能なその塩と;
    (2)少なくとも一種の抗ホルモン薬と;
    (3)薬学的に許容可能な担体と
    を含む医薬組成物。
  21. 少なくとも一種の化学療法薬を更に含む、請求項20に記載の医薬組成物。
  22. (a)それぞれが式1、2、3又は4の化合物と薬学的に許容可能な担体とを含む錠剤を含む医薬組成物と、
    (b)前記医薬組成物を封入した梱包材料と、
    (c)癌の処置を要する対象のこのような処置における前記医薬組成物の使用のための指示と
    を含むキット。
  23. 化合物6を化合物1に転化させる:
    Figure 2010513287
    ためのプロセスであって、化合物6をKCN 及びCH3NH2
    に反応させて化合物1を形成させるステップを含むプロセス。
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