JP2004521877A - 多能性幹細胞の同種移植片の寛容化 - Google Patents

多能性幹細胞の同種移植片の寛容化 Download PDF

Info

Publication number
JP2004521877A
JP2004521877A JP2002546692A JP2002546692A JP2004521877A JP 2004521877 A JP2004521877 A JP 2004521877A JP 2002546692 A JP2002546692 A JP 2002546692A JP 2002546692 A JP2002546692 A JP 2002546692A JP 2004521877 A JP2004521877 A JP 2004521877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
population
cell population
individual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002546692A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004521877A5 (ja
Inventor
チョイピク チウ
ロバート エム. カイ
Original Assignee
ジェロン コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ジェロン コーポレイション filed Critical ジェロン コーポレイション
Publication of JP2004521877A publication Critical patent/JP2004521877A/ja
Publication of JP2004521877A5 publication Critical patent/JP2004521877A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0607Non-embryonic pluripotent stem cells, e.g. MASC
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/0005Vertebrate antigens
    • A61K39/001Preparations to induce tolerance to non-self, e.g. prior to transplantation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • A61P37/06Immunosuppressants, e.g. drugs for graft rejection
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K2035/122Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells for inducing tolerance or supression of immune responses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2506/00Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells
    • C12N2506/02Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from embryonic cells

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

本開示は、幹細胞由来の同種移植片と組織再生のために治療を受ける患者との間のHLAミスマッチを克服するための系を提供する。幹細胞に由来する寛容化細胞の集団を投与することにより、患者における特異的な免疫寛容状態を誘導する。これにより患者は、同じ源に由来する分化細胞から構成される同種移植片を受容することが可能になる。本発明は、これにより、単一系統の幹細胞を、組織種にかかわらず、あらゆる患者における組織再生用の普遍的な供与源として役立てることが可能になることから、重要である。

Description

【0001】
技術の分野
本発明は一般に、胚細胞の細胞生物学および移植免疫学の分野に関する。より詳細には、本発明は、患者において、彼らが多能性幹細胞から作製された同種移植片を受容するように、特異的な免疫寛容を生じさせるための技術を記載する。
【0002】
関連出願の参照
本出願は、2000年11月22日に提出された米国仮特許出願第60/252,688号の優先権を主張するものである。米国における遂行を目的として、その優先出願は全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0003】
背景
前駆細胞は、医学研究における最大の関心の的となっている。体内の多くの組織は、老化した細胞または損傷もしくは疾患によって障害を来した細胞の代わりとなりうる前駆細胞の補充用貯蔵庫を持っている。
【0004】
米国特許第5,750,397号(Tsukamotoら、Systemix)は、Thy−1+、CD34+であり、リンパ系、赤血球系および骨髄単球性系譜に分化しうるヒト造血幹細胞の単離および増殖を報告している。米国特許第5,736,396号(Bruderら)は、適切な生物活性因子を用いた、単離したヒト間葉幹細胞の系譜指向的な分化のための方法を報告している。その後、派生した細胞を間葉組織の再生または修復のために宿主に導入することができる。
【0005】
米国特許第5,716,411号(Orgillら)は、上皮自己移植片を用いて、熱傷または創傷の部位で皮膚を再生させることを提唱している。米国特許第5,766,948号(F. Gage)は、動物脳組織から神経芽細胞を生成させるための方法を報告している。米国特許第5,672,499号(Andersonら)は、胚組織からの神経冠幹細胞の入手を報告している。米国特許第5,851,832号(Weissら、Neurospheres)は、8〜12週齡のヒト胎児からの神経幹細胞と推定される細胞の単離を報告している。米国特許第5,968,829号(M. Carpenter)は、成人の初代中枢神経系組織由来のヒト神経幹細胞を報告している。
【0006】
米国特許第5,082,670号(F. Gage)は、中枢神経系の欠陥、疾患または損傷の治療を目的として遺伝子改変細胞を移植するための方法を報告している。アウエルバッハ(Auerbach)ら(Eur. J. Neurosci. 12:1696、2000)は、動物の脳に移植した多能性CNS細胞が電気活動性のある機能的に連結したニューロンを形成することを報告している。ブルストル(Brustle)ら(Science 285:754、1999)は、胚性幹細胞由来の前駆細胞が脳内および脊髄内で宿主ニューロンと相互作用し、軸索を効率的に有髄化することを報告している。
【0007】
ほとんどあらゆる種類の細胞に分化する能力があると考えられている胚性幹細胞の開発により、大きな関心が生じている。最近まで、胚性幹細胞が単離されていた哺乳動物はマウスのみであった。トムソン(Thomson)らは最近、下等霊長類から多能性幹細胞を単離して増殖させ(米国特許第5,843,780号;Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844、1995;Biol. Reprod. 5:254、1996)、その後にヒトからも同じことを行った(Science 282:114、1998)。ギアハート(Gearhart)らは、胎児性腺組織からヒト胚生殖(hEG)細胞系を導き出した(Shamblottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726、1998;および米国特許第6,090,622号)。国際特許公報・国際公開公報第99/20741号(Geron Corp.)は、霊長類由来の始原幹細胞を増殖させるための方法および材料に言及している。
【0008】
hES細胞およびhEG細胞はいずれも長い間探し求められてきたヒト多能性幹(hPS)細胞の特徴を備えている。すなわち、それらはインビトロで分化せずに増殖を続けることができ、正常な核型を保つほか、分化してさまざまな種類の細胞を生成する能力がある。クローン由来のヒト胚性幹細胞系は、培養下で多分化能および増殖能を長期間にわたって維持する(Amitら、Dev. Biol. 227:271、2000)。
【0009】
幹細胞をヒトの治療法に用い、遺伝的異常、外傷または疾病状態によって損なわれたほとんどあらゆる組織の再生のための貯蔵所として役立てることはかなり有望である。
【0010】
発明の概要
本開示は、単一系統の幹細胞を、細胞種にかかわらず、あらゆる患者における組織再生用の普遍的な供与源として役立てることを可能にする系を提供する。幹細胞の供給源と患者との間のHLAミスマッチは、幹細胞に由来する寛容化細胞を患者に投与することによって克服される。これにより、患者が、同じ源に由来する分化細胞を用いて組織再生を行うことが可能になる。
【0011】
本発明の1つの面は、治療的用途のための細胞を調製するための方法であって、ヒト多能性幹(hPS)細胞を第1および第2の細胞集団に分化させることを含み、個体に対する第1の集団の投与によってそれらが第2の細胞集団に対して免疫寛容化される方法である。
【0012】
第1の細胞集団は第2の集団とMHC適合性があり、このことはこれらの細胞がHLA−AおよびHLA−B遺伝子座で少なくとも1つのハプロタイプを共有していることを意味する。1つの好ましい態様において、2つの集団内の細胞は自家性であり、これは両方の集団を同じhPS細胞系から分化させることによって達成しうる。
【0013】
第1の細胞集団内の個々の種類の寛容化細胞は、以下のセクションで説明する特定の表現型的または機能的な特徴を有しうる。第2の細胞集団は、治療を受ける患者による組織再生のために必要な任意の種類の細胞を含む。
【0014】
本発明のもう1つの面は、それが投与された個体を、すでに述べたような第2の細胞集団に対して免疫寛容化する、第1の細胞集団を調製するための方法である。
【0015】
本発明のもう1つの面は、すでに述べたような第1のおよび第2の細胞集団を投与することにより、個体における細胞機能を再構成する方法である。
【0016】
本発明のもう1つの面は、薬学的組成物の調製のために、すでに述べたような第1の細胞集団および第2の細胞集団を用いることである。これには、キット形態として供給される、または別個に配布される、薬学的化合物の組み合わせが含まれる。この組み合わせの構成要素は、すでに述べたような、それが投与された対象を第2の細胞集団に対して免疫寛容化する表現型へとヒト多能性幹(hPS)細胞から分化した第1の細胞集団;および、第1の細胞集団とMHC適合性のある第2の細胞集団である。
【0017】
本発明のその他の態様は以下の説明から明らかになると考えられる。
【0018】
発明の詳細な説明
幹細胞技術は、組織再生のための幹細胞およびその子孫のバンクを作成する方向に向けて開発されている。本発明は、解決すべき重要な問題が、移植片の細胞と患者との間の組織適合性ミスマッチであることを認識している。幹細胞およびそれから分化した細胞はMHC抗原を発現すると考えられている。このような細胞の同種移植片は、免疫抑制剤がなければ、超急性的、急性的および慢性的な組織拒絶反応にさらされると予想される。
【0019】
本発明は、細胞特異的な免疫寛容状態を誘導することにより、幹細胞同種移植片の適合性の問題を解決する。同種移植片に用いる細胞種に対する特異的な免疫学的不応答性を誘導する寛容化細胞を注入することにより、患者に準備を施す。
【0020】
寛容誘導には、MHCクラスII提示細胞または寛容化細胞集団の他の構成要素との相互作用によるアロ特異的な宿主リンパ球の排除またはアネルギーを伴う、宿主の免疫系の順応が含まれると考えられている。宿主が、宿主において細胞キメラとして検出される、寛容化集団からの新たな免疫性構成要素(アロ特異的サプレッサー細胞またはベト細胞など)に順応してもよい。本明細書ではこれらの機序を、読者による本発明の理解を高める目的で提示している。これらの機序が理解されることも、本発明を実行に移すために証明されることも必要ではない。
【0021】
本発明は、同一の系が寛容化細胞集団および組織再生に用いられる他の終末分化細胞(神経前駆細胞または肝細胞前駆細胞など)の両方に分化しうるという、幹細胞に特有の特性を利用する。幹細胞は高い複製能を持つため、それを治療に必要な量へと増殖させて分化させることが可能である。寛容化細胞の投与は、患者において、クラスIおよびクラスIIアロ抗原に対してのみならず、移植片に無数に存在すると思われる副組織適合性抗原およびアロタイプの差異に対しても免疫学的アネルギーを誘導する。
【0022】
本開示に述べる戦略は、再生医学における幹細胞の使用に対して極めて大きな可能性を提供する。幹細胞と治療を要する患者の細胞との間の組織適合性ミスマッチに直面したことにより、臨床医はこれまで、各々の患者に適合するアロタイプを有する細胞を保有するために多能性幹細胞の膨大なバンクを維持する、または移植片が受容されるまで過酷な免疫抑制療法を患者に行うといった困難な選択肢に直面してきた。
【0023】
本発明により、単一系統の幹細胞を用いてあらゆる患者を寛容化し、その後に、患者の免疫系によって受容されると考えられる様式で組織を再生させることが可能である。
【0024】
定義
原型となる「霊長類多能性幹細胞」(pPS細胞)とは、受精後の任意の時点にある前胚、胚または胎児組織に由来する多能性細胞のことであり、適切な条件下で、8〜12週齡SCIDマウスに奇形腫を形成させる能力といった当技術分野で標準的に認められた検査に従って、3つの胚葉(内胚葉、中胚葉および外胚葉)のすべてからの派生物である複数の異なる細胞種を子孫として生成しうるという特徴を有する。
【0025】
pPS細胞の定義には、トムソン(Thomson)ら(Science 282:1145、1998)によって記載されたヒト胚性幹(hES)細胞;他の霊長類に由来する胚性幹細胞、例えばアカゲザル幹細胞(Thomsonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844、1995)、マーモセット幹細胞(Thomsonら、Biol. Reprod. 55:254、1996)およびヒト胚性生殖(hEG)細胞(Shamblottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726、1998)などを例とする、さまざまな種類の胚細胞が含まれる。他の種類の多能性細胞もこの用語に含まれる。胚の3つの層のすべてに由来する子孫を生じうる霊長類由来のあらゆる細胞が、胚組織、胎児組織または他の源のいずれに由来したかに関係なく含まれる。初期原始外胚葉様(EPL)細胞のヒトでの相当物が含まれる(国際公開公報第99/53021号および国際公開公報第01/51611号、Bresagen Ltd.)。胚性癌(EC)細胞(Peraら、Int. J. Cancer 40:334、1987)も含まれるが、核型が正常で、悪性由来でない細胞を用いることが一般に好ましい。
【0026】
pPS細胞の培養物は、集団内の幹細胞およびその派生物のかなりの割合が、胚または成体由来の分化細胞とは明らかに区別される未分化細胞の形態的特徴を示す場合、「本質的に未分化」であると記載される。未分化pPS細胞は当業者によって容易に認識され、通常は二次元顕微鏡像で核/細胞質比が高く核小体が顕著な細胞のコロニーとして認められる。集団内の未分化細胞のコロニーはしばしば分化した隣接細胞によって取り囲まれることがあることは認識されている。しかし、未分化コロニーは集団を適切な条件下で培養または継代すると存続し、個々の未分化細胞は細胞集団のかなりの割合(>20%、好ましくは>60%)を占める。
【0027】
「フィーダー細胞」または「フィーダー」は、第2の種類の細胞が増殖しうる環境を提供するために、別の種類の細胞と共培養されるある種類の細胞を説明するために用いる用語である。例えば、ある種のpPS細胞は、本開示で後に説明するように、初代マウス胚線維芽細胞、不死化マウス胚線維芽細胞、またはhES細胞から分化したヒト線維芽細胞様細胞による補助が可能である。pPS細胞集団は、pPSの増殖を補助する新たなフィーダー細胞を加えない分割を少なくとも1回経た上で細胞が増殖している場合に、フィーダー細胞を「本質的に含まない」という。フィーダー細胞を本質的に含まない培養物はフィーダー細胞を約5%未満しか含まない。培養物または細胞集団が「フィーダーを含まない(feeder−free)」と本開示で言及する場合は常に、組成物が前記の定義によるフィーダー細胞を本質的に含まず、明示的に必要とするそれ以外の制約のみを受けることを意味する。
【0028】
「胚様体」という用語は、当技術分野で「凝集体」と同義の用語である。この用語は、pPS細胞を単層培養下で過成長させた場合、または懸濁培養下で維持した場合に出現する分化細胞および未分化細胞の凝集体のことを指す。胚様体は、形態的基準によって識別しうる、典型的には複数の胚葉に由来する、種々の細胞種の混合物である。
【0029】
「分化能が決定された(committed)前駆細胞」「系譜が限定された前駆細胞」および「発生的に限定された系譜細胞」という用語はいずれも、増殖能があって、3つの胚葉すべての子孫を生成しうる胚由来の多能性幹細胞よりは一般に限定された範囲の複数の異なる細胞種に分化しうる細胞のことを指す。分化能が決定された前駆細胞の非制限的な例には、以下に述べる造血系譜細胞;胆管上皮細胞および肝細胞に関して多能性である肝細胞前駆細胞;ならびに間葉肝細胞が含まれる。別の例には、オリゴデンドロサイトおよびアストロサイトに分化するグリア細胞前駆細胞を生成しうる神経前駆細胞、ならびにニューロンに分化するニューロン限定細胞がある。
【0030】
本明細書の目的に関して、「幹細胞」という用語は、いずれも以上に定義した、多能性幹細胞または分化能が決定された前駆細胞のいずれを指すこともできる。最低限、幹細胞は増殖して複数の表現型の細胞系を生成する能力を有し、さらに、同じ培養物の一部として、または異なる条件下で培養した場合に、自己再生を行うこともできる。幹細胞はテロメラーゼという酵素に関して陽性のものとして同定することができる。
【0031】
「造血細胞」および「造血系譜細胞」という用語は、赤血球、リンパ球、単球、樹状細胞、好酸球、好塩基球および多形核白血球を含む複数の種類の血液細胞を指すために、本開示において互換的に用いられる。これに含まれるものには、骨髄内の赤芽球、リンパ節または脾臓内に区画化されたリンパ球、皮膚または肝臓内に局在するマクロファージといった、これらの細胞の循環性でない機能的相当物がある。この系譜の特性を有する子孫に分化するように決定された前駆細胞もこれに含まれる。この用語は例示の目的で以下の説明に用いられる。
【0032】
特異的な免疫学的「寛容」とは、特定の外来物質に対して個体が起こす免疫応答が、類似した種類の他の物質に対するものよりも弱い状態のことである。本発明の文脈では、組織再生用に用いる同種移植片に対する免疫学的寛容が特に望まれる。患者が本発明に従って特異的に寛容化されると、同種移植片に対する免疫応答が、それを行わない場合に予想されるものよりも弱くなる。寛容は、以下に述べるように、特定組織に対して特異的な抗体、CTLまたはヘルパー/インデューサーTの反応性を測定して、治療前の反応性と比較するか、またはアロタイプの異なる同様の組織と比較することによって判定しうる。
【0033】
明示的に述べる場合を除き、請求する本発明を特定の表現型の寛容化細胞に限定するつもりはない。「寛容化細胞」は、上記の通り、(対象に投与されると)特異的な免疫学的寛容を誘導しうる細胞のことを単に意味する。多能性幹細胞から分化した、本発明に用いるのに適した寛容化特性を有する細胞集団は数多くあり、そのうち一部は間葉細胞または造血系譜細胞の形態的特徴またはマーカーを示すと考えられる。
【0034】
明示的に述べる場合を除き、請求する本発明を免疫寛容の特定の機序に限定するつもりはない。機序には、特定の特異性を有するB細胞もしくはT細胞の枯渇、B細胞もしくはT細胞のアネルギー、またはサプレッサーT細胞もしくはベト細胞による不応答性もしくは能動的抑制が非制限的に含まれうる。関心の対象となるのは寛容の結果として生じる効果であり、これは本開示の別の箇所で述べるようにして検証することができる。
【0035】
一般的な技法
本発明の実施に有用な一般的な技法のさらに詳細な説明に関して、実施者は細胞生物学、組織培養学および発生学の標準的な教科書および総説を参照することができる。これに含まれるものには、「奇形腫および胚性幹細胞:実践的アプローチ(Teratocarcinomas and embryonic stem cells:A practical approach)」(E.J. Robertson編、IRL Press Ltd. 1987);「マウスの発生における技法の手引き(Guide to Techniques in Mouse Development)」(P.M. Wassermanら編、Academic Press 1993);「胚性幹細胞のインビトロ分化(Embryonic Stem Cell Differentiation in Vitro)」(MV. Wiles, Meth. Enzymol. 225:900, 1993);「胚性幹細胞の特性および用途:ヒト生物学および遺伝子治療への応用の可能性(Properties and uses of Embryonic Stem Cells:Prospects for Application to Human Biology and Gene Therapy)」(P.D. Rathjenら、Reprod. Fertil. Dev. 10:31, 1998)が含まれる。幹細胞の分化については、ロバートソン(Robertson)(Meth. Cell Biol. 75:173、1997);およびペダーセン(Pedersen)(Reprod. Fertil. Dev. 10:31、1998)に総説がなされている。
【0036】
造血細胞系および免疫寛容に関する話題については、以下の刊行物が入手可能である:「健康および疾患における造血系系譜(Hemopoietic lineages in Health and Disease」(N.G. Testaら編、Marcel Dekker、1999);「免疫寛容(Immune Tolerance)」(J. Banchereauら、Editions Scientifiques et Medicales Elsevier、1996);および「免疫学的寛容(Immunological Tolerance)」(G. Bockら編、John Wiley & Son Ltd、1998)。
【0037】
多能性幹細胞の源
本発明は任意の脊椎動物種の幹細胞を用いて実施することができる。これに含まれるものには、ヒト;ならびに非ヒト霊長類、飼いならした動物(domestic animal)、家畜および他の非ヒト哺乳動物に由来する幹細胞がある。本発明における使用に適した幹細胞の中には、胚盤胞または妊娠期間中の任意の時点で採取した胎児組織もしくは胚組織などの妊娠後に形成される組織に由来する霊長類多能性幹(pPS)細胞がある。その非制限的な例には、胚性幹細胞または胚性生殖細胞の初代培養物または樹立系がある。
【0038】
胚性幹細胞
胚性幹細胞は、霊長類種に属する生物の胚盤胞から単離することができる(Thomsonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844、1995)。ヒト胚性幹(hES)細胞は、トムソン(Thomson)ら(米国特許第5,843,780号;Science 282:1145、1998;Curr. Top. Dev. Biol. 38:133 ff.、1998)およびロイビノフ(Reubinoff)ら、Nature Biotech. 18:399、2000に記載された技法を用いてヒト胚盤胞細胞から調製可能である。
【0039】
簡潔に述べると、ヒト胚盤胞は、ヒトのインビボ着床前胚から得られる。または、体外受精(IVF)胚を用いることもでき、または一細胞期のヒト胚を胚盤胞期まで発生させることもできる(Bongsoら、Hum Reprod 4:706、1989)。胚を胚盤胞期になるまでG1.2およびG2.2培地中で培養する(Gardnerら、Fertil. Steril. 69:84、1998)。プロナーゼ(Sigma)に短時間曝露させることによって胚盤胞から透明帯を除去する。1:50に希釈したウサギ抗ヒト脾細胞抗血清に対して胚盤胞を30分間曝露させた後にDMEM中で5分ずつ3回洗浄し、1:5に希釈したモルモット補体(Gibco)に対して3分間曝露させる免疫手術法によって内部細胞塊を単離する(Solterら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:5099、1975)。DMEM中でさらに2回洗浄した後、溶解した栄養外胚葉細胞を穏やかなピペッティングによって無傷の内部細胞塊(ICM)から除去し、ICMをmEFフィーダー層の上にプレーティングする。
【0040】
9〜15日後に、内部細胞塊由来の増殖物を、カルシウムおよびマグネシウムを含まない1mM EDTA入りのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対する曝露、ディスパーゼもしくはトリプシンに対する曝露、またはマイクロピペットによる機械的解離によって集塊に分離した後、新たな培地を入れたmEF上に再びプレーティングする。未分化形態を有する成長中のコロニーをマイクロピペットによって個別に選別し、機械的に解離して集塊とした上で再びプレーティングする。ES様形態は、核−細胞質比が高く、核小体が顕著な稠密なコロニーであることを特徴とする。続いて、この結果得られたES細胞を、1〜2週間毎に短時間のトリプシン処理、ダルベッコPBS(2mM EDTAを含む)に対する曝露、IV型コラゲナーゼ(約200U/mL;Gibco)に対する曝露により、または個々のコロニーをマイクロピペットで選別することによってルーチン的に分割する。約50〜100個の細胞からなる集塊が最適である。
【0041】
胚性生殖細胞
ヒト胚性生殖(hEG)細胞は、最終月経から約8〜11週後に採取したヒト胎児中に存在する始原生殖細胞から調製することができる。適した調製法は、シャムブロット(Shamblott)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726、1998および米国特許第6,090,622号に記載されている。
【0042】
簡潔に述べると、生殖隆起を等張緩衝液ですすいだ後に、0.1mL 0.05%トリプシン/0.53mM EDTAナトリウム溶液(BRL)中に入れ、切り刻んで1mm未満の塊にする。続いて100μLピペットチップによるピペッティングを行って組織をさらに細胞へと解離させる。これを37℃で約5分間インキュベートし、続いて約3.5mLのEG増殖培地を添加する。EG増殖培地は、DMEM、4500mg/L D−グルコース、2200mg/L NaHCO;15%ES用ウシ胎仔血清(BRL);2mMグルタミン(BRL);1mMピルビン酸ナトリウム(BRL);1000〜2000U/mLヒト組換え白血病抑制因子(LIF、Genzyme);1〜2ng/mlヒト組換えbFGF(Genzyme);および10μMフォルスコリン(10%DMSO中)である。代替的な手法では、ヒアルロニダーゼ/コラゲナーゼ/DNアーゼを用いてEG細胞を単離する。腸間膜を伴う性腺原基または生殖隆起を胎児材料から切り出し、生殖隆起をPBSですすいだ後に0.1ml HCD消化溶液(0.01%V型ヒアルロニダーゼ、0.002%DNアーゼI、0.1%IV型コラゲナーゼ、すべてSigma社、EG増殖培地中にて調製)に入れる。組織を細かく刻み、37℃で1時間または一晩インキュベートした後に1〜3mLのEG増殖培地中に再懸濁し、フィーダー層に対してプレーティングする。
【0043】
前もって96穴組織培養プレートを、LIF、bFGFおよびフォルスコリンを含まない改変EG増殖培地中でフィーダー細胞(例えば、STO細胞、ATCC番号CRL 1503)を3日間培養してサブコンフルエント層を調製しておき、5000radのγ線照射を行う。ウェルのそれぞれに約0.2mLの初代生殖細胞(PGC)懸濁液を加える。第1の継代はEG増殖培地中に7〜10日間おいた後に行い、各ウェルを、照射したSTOマウス線維芽細胞を前もって調製しておいた24穴培養皿の1ウェルに移す。培地を毎日交換しながら細胞を培養することにより、一般には1〜4回の継代を経て7〜30日間で、EG細胞に一致する細胞形態が観察されるようになる。
【0044】
未分化状態でのpPS細胞の増殖
pPS細胞は、分化を促すことなく増殖を促進する培養条件を用いて、培養下で連続的に増やすことができる。模範例となる血清含有ES培地は、80%DMEM(Knock−Out DMEM、Gibcoなど)、20%規定ウシ胎仔血清(FBS、Hyclone)または血清代替物(国際公開公報第98/30679号)、1%非必須アミノ酸、1mM L−グルタミンおよび0.1mMβ−メルカプトエタノールから構成される。使用の直前にヒトbFGFを最終濃度4ng/mLとなるように添加する(国際公開公報第99/20741号、Geron Corp.)。
【0045】
伝統的に、ES細胞はフィーダー細胞、一般には胚組織または胎児組織に由来する線維芽細胞の層の上で培養する。胚を妊娠13日のCF1マウスから採取し、2mLトリプシン/EDTAを含む新たな10cm培養皿に入れて細かく切り刻み、37℃で5分間インキュベートする。10%FBSを添加し、残渣を沈降させた上で、細胞を90%DMEM、10%FBSおよび2mMグルタミン中で増殖させる。フィーダー細胞層を調製するためには、細胞に対して、増殖は阻害するがES細胞を補助する重要な因子の合成は許容する程度の線量を照射する(4000rad前後のγ線照射)。培養プレートに0.5%ゼラチンを一晩かけてコーティングし、1ウェル当たり375,000個の照射mEFをプレーティングして、プレーティングから5時間〜4日後に用いる。pPS細胞を播く直前に培地を新たなhES培地に交換する。
【0046】
ジェロン(Geron)社の研究者は、フィーダー細胞がなくてもpPS細胞を未分化状態で代替的に維持しうることを発見した。フィーダー細胞を含まない培養のための環境は、適した培養基質、特にマトリゲル(Matrigel)(登録商標)またはラミニンなどの細胞外マトリックスを含む。pPS細胞を、15,000個・cm−2(90,000cm−2〜170,000cm−2が最適である)を上回る密度でプレーティングする。一般的には、細胞が完全に分散する前に酵素消化を停止する(例えば、IV型コラゲナーゼで約5分間)。続いて、約10〜2000個の細胞からなる凝集塊を、それ以上分散させずに基質上に直接プレーティングする。
【0047】
フィーダーを含まない培養物は、一般的には照射した初代マウス胚線維芽細胞、テロメラーゼ導入処理を行った(telomerized)マウス線維芽細胞、またはpPS細胞由来の線維芽細胞様細胞を培養することによって馴化した栄養培地によって補助される。培地は、20%血清代替物および4ng/mL bFGFを添加したKO DMEMなどの無血清培地中にフィーダーを約5〜6×10cm−2の密度でプレーティングすることによって馴化させることができる。1〜2日間にわたり馴化した培地にさらにbFGFを添加し、pPS細胞培養物を補助するために1〜2日間用いる。
【0048】
ES細胞は顕微鏡下では、核/細胞質比が高く、核小体が顕著であって、細胞間結合がほとんど識別できない稠密なコロニーを形成するものとして認められる。霊長類ES細胞は、発生段階特異的胚性抗原(SSEA)3および4、ならびにTra−1−60およびTra−1−81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する(Thomsonら、Science 282:1145、1998)。マウスES細胞は、SSEA−1に関する陽性対照として、ならびにSSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81に関する陰性対照として用いることができる。SSEA−4はヒト胚性癌(hEC)細胞上に常に存在する。pPS細胞がインビトロで分化するとSSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81の発現が低下し、SSEA−1の発現が増加する。SSEA−1はhEG細胞上にも認められる。
【0049】
組織再生のための pPS 細胞の分化
pPSの分化は、まず胚様体を形成させることから開始することができる。胚様体の培養における一般的な原理は、オシェア(O’Shea)、Anat. Rec.(New Anat.)257:323、1999に報告されている。pPS細胞を、凝集体の形成が可能な様式で培養する(例えば、ドナーpPS細胞培養物の過成長による)。または、短時間のコラゲナーゼ消化を行い、解離させて塊にした上で、非接着性細胞培養プレートにプレーティングすることによってpPS細胞を収集する。凝集体には数日おきに新たな栄養分を与え、適した期間、通常は4〜8日後に収集する。続いて細胞を、特定の系譜の細胞の集積を促進する諸因子とともに、または基質上で培養する。胚様体は不均一な細胞集団を含み、これは外部に内胚葉を有し、内部に中胚葉および外胚葉を有する可能性がある。
【0050】
ジェロン(Geron)社の研究者は、pPS細胞が、中間段階として胚様体または凝集体を形成することなく、分化能の決定された前駆細胞または終末分化細胞へと分化しうることを発見した。簡潔に述べると、未分化pPS細胞の懸濁液を調製した後に、分化を促進する個体表面にプレーティングする。適した基質には、接着性のあるガラスまたは合成樹脂表面、例えば、例えばポリリジンなどの陽イオン性基質のコーティングによるものが含まれる。続いて細胞を、望ましい細胞系譜に向かう分化を促進するように適合化された適した栄養培地中で培養する。
【0051】
状況によっては、血清もしくは血清代替物を培地から除去することにより、または分化を抑制する培地成分(例えば、bFGF)を除去することにより、分化をさらに促進させる。望ましい細胞系譜に向かう分化を促進する、または望ましくない特徴を有する細胞の増殖を抑制する培地成分を添加することにより、分化を促進させることもできる。例えば、分化能が神経またはグリア系譜に決定された細胞を作製するために、培地に以下の因子または培地成分の任意のものを有効な組み合わせとして含めることができる:脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、NT−4、上皮増殖因子(EGF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、神径成長因子(NGF)、レチノイン酸(RA)、ソニックヘッジホッグ(sonic hedgehog)、FGF−8、アスコルビン酸、フォルスコリン、ウシ胎仔血清(FBS)および骨形態形成タンパク質(BMP)。
【0052】
多能性幹細胞から組織細胞を入手するための一般的な原理は、ペダーセン(Pedersen)(Reprod. Fertil. Dev. 6:543、1994)および米国特許第6,090,622号に総説がなされている。関心の対象となる他の刊行物には以下のものが含まれる:神経前駆細胞、神経拘束細胞およびグリア細胞前駆細胞については、ベイン(Bain)ら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 200:1252、1994;トロヤノフスキ(Trojanowski)ら、Exp. Neurol. 144:92、1997;ウォイシク(Wojcik)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:1305〜130;ならびに米国特許第5,851,832号、第5,928,947号、第5,766,948号および第5,849,553号を参照されたい。心筋および心筋細胞については、チェン(Chen)ら、Dev. Dynamics 197:217、1993およびウォバス(Wobus)ら、Differentiation 48:173、1991を参照されたい。米国特許第5,773,255号は、グルコース応答性インスリン分泌を行う膵β細胞系に関する。米国特許第5,789,246号は肝細胞前駆細胞に関する。関心対象の他の前駆細胞には、軟骨細胞、骨芽細胞、網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、皮膚細胞(ケラチノサイト、樹状細胞、毛包細胞など)、腎管上皮細胞、平滑筋および骨格筋細胞、ならびに血管内皮細胞が非制限的に含まれる。
【0053】
ジェロン(Geron)社の研究者は、増殖因子受容体と結合するリガンドの存在下でpPS細胞または胚様体細胞を培養すると、神経前駆細胞の集積が促進されることを見いだした。この成長環境は、フィブロネクチンなどの神経細胞支持性細胞外マトリックスを含んでもよい。適した増殖因子には、EGF、bFGF、PDGF、IGF−I、およびこれらのリガンドの受容体に対する抗体が非制限的に含まれる。選択的には、その後に培養細胞を、A2B5などのマーカーを発現するか否かに基づいて分離してもよい。A2B5マーカーの発現に関して集積された細胞の集団は、適切な環境では、ニューロン細胞(成熟ニューロンを含む)およびグリア細胞(アストロサイトおよびオリゴデンドロサイトを含む)の両方を生成する能力を持つと考えられる。選択的には、細胞集団を、例えば、cAMPの活性化物質を含む培地中で培養することにより、さらに分化させる。国際特許公報・国際公開公報第01/81549号(Geron Corporation)を参照。
【0054】
ジェロン(Geron)社の研究者は、pPS細胞または胚様体細胞を肝細胞分化物質の存在下で培養すると、肝細胞様細胞の集積が促進されることを見いだした。この成長環境は、コラーゲンまたはマトリゲル(Matrigel)(登録商標)などの肝細胞支持性の細胞外マトリックスを含んでもよい。適した分化物質には、ブチレートのさまざまな異性体およびそれらの類似体、例えばn−ブチレートが含まれる。選択的には、培養細胞を、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような有機溶媒などの肝細胞成熟因子;レチノイン酸などの成熟補助因子;またはグルココルチコイド、上皮増殖因子(EGF)、インスリン、TGF−α、TGF−β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、ヘパリン、肝細胞増殖因子(HGF)、IL−1、IL−6、IGF−I、IGF−IIおよびHBGF−1などのサイトカインもしくはホルモンとともに、同時または逐次的に培養する。国際特許出願・PCT/US 01/15861号(Geron Corporation)を参照のこと。
【0055】
ジェロン(Geron)社の研究者は、hPS細胞を、心筋細胞または心筋細胞前駆細胞を含む高度に集積された集団に分化させることも可能であることを見いだした。心筋細胞系譜細胞は例えば、DNAメチル化に影響を及ぼす心臓栄養因子(cardiotrophic factor)、例えば5−アザシチジンを含む成長環境でhES細胞を分化させることによって入手可能である。続いて、自発的に収縮する細胞を、例えば密度遠心法により、集団内の他の細胞から分離することができる。それ以外の工程段階には、クレアチン、カルニチンまたはタウリンを含む培地中で細胞を培養することが含まれうる。または、hPS細胞を、オステオカルシンおよびコラーゲン−1を発現する骨前駆細胞または骨芽細胞を含む高度に集積された集団に分化させることも可能である。これらの細胞は、骨形態形成タンパク質(特にBMP−4)、ヒトTGF−β受容体のリガンドまたはヒトビタミンD受容体のリガンドを含む培地中でpPS細胞を分化させることによって得ることができる。
【0056】
分化した細胞は、形態的特徴、発現される細胞マーカーおよび酵素活性の検出または定量化、ならびに細胞のインビボでの機能的特性の決定によって特徴づけることができる。神経細胞を特定するマーカーには、ニューロンに特徴的なβ−チューブリンIIIまたはニューロフィラメント;アストロサイトに特徴的なグリア線維性酸性タンパク質(GFAP);オリゴデンドロサイトに特徴的なガラクトセレブロシド(GalC)またはミエリン塩基性タンパク質(MBP);未分化hES細胞に特徴的なOCT−4;神経前駆細胞および他の細胞に特徴的なネスチンが含まれる。グルタミン酸デカルボキシラーゼまたはGABAは、GABA分泌性ニューロンを特定する;ドーパデカルボキシラーゼ、ドーパミンまたはチロシンヒドロキシラーゼはドーパミン作動性ニューロンを特定する。
【0057】
肝臓の細胞のマーカーには、α−フェトプロテイン(肝臓前駆細胞);アルブミン、α1−アンチトリプシン、グルコース−6−ホスファターゼ、シトクロムp450活性、トランスフェリン、アシアロ糖タンパク質受容体およびグリコーゲン蓄積(肝細胞);CK7、CK19およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ(胆管上皮)が含まれる。混合型細胞集団は以下のマーカーを用いて同定することができる。骨格筋の場合:myoD、ミオゲニンおよびmyf−5。内皮細胞の場合:PECAM(血小板内皮細胞接着分子)、Flk−1、tie−1、tie−2、血管内皮(VE)カドヘリン、MECA−32およびMEC−14.7。平滑筋細胞の場合:平滑筋アクチンおよび特定のミオシン重鎖。心筋細胞の場合:GATA−4、Nkx2.5、心筋トロポニンI、α−ミオシン重鎖、心筋トロポニンT(cTnT)または心房性ナトリウム利尿因子(ANF)。膵細胞の場合は、pdxおよびインスリン分泌。
【0058】
免疫寛容を誘導する細胞への pPS 細胞の分化
ヒトES細胞を、前記のように胚様体を形成させることにより、または適した培地を用いる適した培養環境下での直接分化により、寛容化細胞に分化させることができる。
【0059】
典型的な手順では、細胞を凝集体または単層として、懸濁液中またはメチルセルロースまたはアガロースなどの半固形培地中で培養する。増殖因子は通常、分化が始まってから1〜2週後に添加する。さまざまな造血細胞の集団の増生を、IL−3、血管内皮増殖因子(VEGF)、トロンボポエチン(Kitリガンド)、IL−1、IL−6、IL−11、M−CSFまたはGM−CSFを用いて促すことができる。考えられる添加物には、幹細胞因子、IL−2、IL−7、インスリン様増殖因子1、エリスロポエチン、塩基性線維芽細胞増殖因子、内皮細胞増殖補助物質、G−CSF、Flt−3リガンド、抗M−CSFおよび抗TGF−βが含まれる。共刺激分子の候補には、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、Con A、PHAおよびLPSが含まれる。
【0060】
状況によっては、培養環境に、フィーダー細胞、特にマウスまたはヒト由来の骨髄ストロマ細胞(例えばS17、RP.0.10、ST2、PA6、Ac6または新たに単離した初代培養物)を含めてもよい。考えられるその他のフィーダー細胞には、胎児肝ストロマ細胞(例えば、FLS4.1)、卵黄嚢細胞(例えば、C166)、胸腺ストロマ細胞、活性化脾細胞または内皮細胞が含まれる。または、細胞をマトリゲル(Matrigel)(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチンもしくはコラーゲンなどの細胞外マトリックス上、またはフィーダー細胞によって産生された基質上で増殖させることもできる。フィーダー細胞が存在しない場合には、馴化培地(例えば、ストロマ細胞からの上清)を用いることにより、それが提供する活性のいくつかを代替することができる。造血を促進させるために、細胞を正常酸素条件(19%O)または低酸素条件(5%O)下で、例えば酸素含有量を調節可能なインキュベーター内で培養してもよい。具体的な増殖条件の選択は、一部には、培養の機構および希望する細胞サブポピュレーションに依存する。
【0061】
細胞を、敷石様の外観を伴うコロニーが形成されるまで十分な時間にわたって培養する。続いてコロニーを継代し、フローサイトメトリー、免疫組織化学または固相酵素免疫アッセイによって表現型マーカーに関して検討することができる。マーカー特異的プライマーを用いる逆転写酵素−PCRにより、発現をmRNAレベルで検出することもできる(Moore、Clin. Cancer Res. 1:3、1995)。
【0062】
適切なマーカーは以下の通りである:ヒト造血前駆細胞または幹細胞の場合:CD34+、CD38−、Thy+、HLA−DR−、CD45RO+、CD71 lo、ローダミン123 lo、GATA−1、AC133、β−主要グロブリン、β−主要グロブリン様遺伝子βH1。間葉幹細胞の場合:CTLA−4、SH2+、SH3+、CD29+、CD44+、CD71+、CD90+、CD106+、CD14−、CD34−、CD45−。リンパ系細胞の場合:CD45+。T細胞の場合:CD2+、CD3+、CD4+、CD8+、T細胞受容体、IL−2受容体。B細胞の場合:HLAクラスII、CD19+、Ig遺伝子の再配列。樹状細胞の場合:DEC−205+、CMRF−44+、CMRF−56+、S100+。ナチュラルキラー細胞の場合:CD16+、CD2+、CD3−。マクロファージ/単球の場合:HLAクラスII、CD14+、CD15+。巨核球の場合:CD41b+。赤血球系細胞の場合:グリコホリンA+、ヘモグロビン。
【0063】
造血前駆細胞のコロニー形成は、IL−1、IL−3、KL、G−CSF、GM−CSF、M−CSFおよびEPOなどの因子を含むメチルセルロース中に細胞をプレーティングし、その後に形成されたコロニーの数および種類(例えば、HPP−CFC、CFU−GM、BFU−E)を算定することによってアッセイ可能である。細胞を同種骨髄ストロマ細胞上にプレーティングし、生じたコロニーの数および大きさ、ならびにコロニー内の細胞の表現型によって長期的な増殖能を評価することも可能である。
【0064】
造血細胞の分化能を、脾臓内にコロニーを形成する能力(CFU−S)に関して動物モデルで評価することができる。分化した細胞を動物に静脈内注射し、脾臓内コロニーの形成を約2週間後に算定する。それらを、亜致死量の放射線照射を行ったマウスの造血系を再増殖させる能力、または致死量の放射線照射を行ったマウスを救命する能力に関して評価することもできる。細胞を静脈内注射し、ヒト特異抗体をFACS分析に用いてマウス血中のヒト骨髄系またはリンパ系細胞の割合を分析することにより、移植のモニタリングを行う。適したマーカーには、CD3(T細胞)、CD19(B細胞)およびCD14/15(骨髄系細胞)が含まれる。時には生命維持を補助するために骨髄全体を同時注入し、2つのドナー集団をMHCタイプによって識別する。
【0065】
選択的には、寛容化細胞を培養物中の他の系譜の分化細胞から分離すること、または特定の細胞サブセットを上に挙げたマーカーに対して特異的な抗体を用いて分離することができる。例えば、蛍光活性化細胞分取法または免疫磁気ビーズ分取法により、細胞を表現型CD34+、CD38−、CD34+およびThy+に関して集積化することができる。この技法の変法は、求める細胞種を選択用に標識するプロモーター−レポーター構築物を用いることである。例えば、CD34プロモーターまたはエンハンサー(Burnら、Blood 80:3051、1992;Radomskaら、Gene 222:305, 1998;GenBankアクセッション番号AF047373)は、薬剤耐性遺伝子のコード領域または緑色蛍光タンパク質などの蛍光性標識の発現をもたらすことができる(米国特許第6,166,178号、Geron Corp.)。混合型細胞集団におけるプロモーター−レポーターの一時的発現(例えば、アデノウイルスベクターを用いる)により、それぞれ、対応する抗生物質の存在下での培養または蛍光活性化細胞分取法により、CD34+細胞を選別することができる。
【0066】
本発明に用いるために免疫寛容を誘導するのに適した細胞集団を調製する過程で、実施者は選択的には別のところに記載された補助的な方法を用いることができる。
【0067】
例えば、国際公開公報第93/18137号(SyStemix)は、少なくとも10ng/mLの白血病抑制因子(LIF)を含む培地中で造血幹細胞を12時間培養することを提唱している。米国特許第5,635,387号(CellPro)は、増殖因子を含む栄養培地を用いる、ヒト造血細胞およびその前駆細胞、特にCD34陽性細胞を培養するための方法および装置を概説している。米国特許第5,733,541号は、CD34+ve、HLA−DR+ve、Thy−1+veおよびLin−veである造血前駆細胞の増殖および維持のための工程を概説している。米国特許第6,015,554号(SyStemix)号は、CD34+ve、CD45RA+veおよびCD10+veである前駆細胞が集積された造血細胞前駆細胞を得るための方法に関する。
【0068】
ケラー(Keller)ら(Curr. Opin. Cell Biol. 7:862、1995;Mol. Cell Biol. 13:473、1993;Development 125:725、1998)は、マウスES細胞から胚様体を形成させ、解離した上で、種々の増殖因子の組み合わせを含む半固形培地(1%メチルセルロース)または液体培養物に再プレーティングする、二段階式の分化プロトコールを概説している。
【0069】
カウフマン(Kaufman)ら(「幹細胞に関するキーストーンシンポジウム(Keystone Symposium on Stem Cells)」、2000、要旨315)は、増殖因子を外因的に添加せずに、ヒトES細胞をマウス骨髄ストロマ細胞系S17またはマウス卵黄嚢細胞系C166上で培養した。約7日後に敷石状コロニーが観察された;第14〜21日の時点で一部の細胞はCD34に関して陽性染色されたがCD45に関しては染色されなかった。
【0070】
ナカノ(Nakano)ら、Science、1994は、マウスES細胞をM−CSF欠損性ストロマ細胞系OP9と共培養した。ポトクニク(Potocnik)ら(EMBO J. 13:5274、1994)は、外的因子を添加せずに、マウスES細胞を低酸素(5%O)空気下にて液体培地または半固形メチルセルロース中で胚様体として培養した。パラシオス(Palacios)ら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9171、1992;Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7530、1995)は、マウスES細胞を、IL−3、IL−6、IL−7などの増殖因子を加えたウシ胎仔血清中または胎児肝臓ストロマ細胞馴化培地中にある不活性化ストロマ細胞上にプレーティングした。
【0071】
フェアチャイルド(Fairchild)ら(Curr. Biol. 10:1515、2000)は、マウス胚性幹細胞からの未熟樹状細胞の長期培養物の樹立を報告している。このDCはマクロファージと共通した多くの特徴を持つが、成熟すると、アロ刺激能力、ならびにCD11c、MHCクラスIIおよび補助刺激分子の発現を含む古典的DCの表面表現型を獲得した。移植寛容に関するDCの可能性については、フェアチャイルド(Fairchild)ら、Curr. Opin. Immunol. 12:528、2000に総説がなされている。状況によっては、GM−CSFおよびIL−4を含む培地中で培養し、次に低レベルのGM−CSFおよびIL−10を含む培地中で培養することにより、寛容を誘導しうる樹状細胞を作製してもよい。
【0072】
場合によっては、寛容化細胞を、同じ系由来の再生組織に対する要求に応じて患者を寛容化するためのバンクとして保存する。細胞の複製能を改善し、バンク業務を容易にするために、それらに適したベクターによるトランスフェクションもしくは形質導入、相同組換えまたは他の適切な技法によりテロメラーゼ導入処理(telomerize)を行い、それらにテロメラーゼ触媒成分(TERT)を発現させることができる。特に適しているのは、国際公開公報第98/14592号に提供されているヒトテロメラーゼの触媒成分(hTERT)である。ヒト細胞におけるテロメラーゼのトランスフェクションおよび発現は、ボドナー(Bodnar)ら、Science 279:349、1998およびチャン(Jiang)ら、Nat. Genet. 21:111、1999に記載されている。
【0073】
テロメラーゼ導入処理(telomerization)の前後に、hTERT遺伝子産物のテロメラーゼ活性および発現を、市販の試薬および確立した方法を用いて判定することができる。例えば、TRAP活性アッセイを用いてpPS細胞をテロメラーゼに関して評価する(Kimら、Science 266:2011、1997;Weinrichら、Nature Genetics 17:498、1997)。以下のアッセイキットが研究用に販売されている:TRAPeze(登録商標)XLテロメラーゼ検出キット(カタログ番号s7707;Intergen Co.、Purchase NY);およびTeloTAGGGテロメラーゼPCR ELISAplus(カタログ番号2,013,89;Roche Diagnostics、Indianapolis IN)。hTERT発現をRT−PCRによってmRNAレベルで評価することもできる。以下のアッセイキットが研究用に販売されている:LightCycler TeloTAGGG hTERT定量キット(カタログ番号3,012,344;Roche Diagnostics)。
【0074】
治療的用途のためには、本発明の寛容化細胞集団が未分化pPS細胞を実質的に含まないことが望ましい。集団から未分化幹細胞を欠乏させる1つの方法は、エフェクター遺伝子が未分化細胞における選好的発現を引き起こすプロモーターの制御下に置かれているベクターをそれらにトランスフェクトすることである。適したプロモーターには、TERTプロモーターおよびOCT−4プロモーターが含まれる。エフェクター遺伝子が細胞に対して直接溶解性があるもの、例えば、毒素またはアポトーシスのメディエーターをコードするものでもよい。アポトーシス遺伝子の例には、カスパーゼファミリーがある(Shinouraら、Cancer Gene Ther. 7:739、2000;Kogaら、Hum. Gene Ther. 11:1397、2000)。選択的には、エフェクター遺伝子をさらに、誘導薬剤(テトラサイクリン)の存在下でのみ望ましくない細胞の死滅を引き起こす分子スイッチ(テトラサイクリン耐性因子など、Gossenら、Curr. Opin. Biotechnol. 5:516、1994;米国特許第5,464,758号;Clackson、Curr. Opin. Chem. Biol. 1:210、1997)と連結することもできる。または、エフェクター遺伝子に、抗体またはプロドラッグなどの外的因子の毒性作用に対する感受性を細胞に付与する作用があってもよい。その例には、それが発現された細胞にガンシクロビルに対する感受性を与える単純ヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子がある。適したpTERT−tk構築物は国際公開公報第98/14593号(Morinら)に提供されている。
【0075】
マッチさせた つの細胞集団の組織再生における使用
個体において細胞機能を再構成するためには、ヒト多能性幹(hPS)細胞から、寛容化細胞集団のHLA組織型に対して個体を寛容化する表現型へと分化した、第1の細胞集団を投与する。組織再生用の同種移植片(寛容化細胞とマッチさせたもの)を同時に投与または移植することができるが、数週後に投与することがより一般的である。
【0076】
本発明は、寛容化プロトコールの実行可能性を評価するための動物モデルを提供する。その第1のものは、確立された方法(前記)に従って調製したマウスES細胞を用いるマウスモデルである。マウスES細胞は、近交系BALB/c、C3HまたはC57BL系統から標準的な方法に従って調製する。それらを前のセクションで説明したように寛容化細胞に分化させる。続いて、寛容化細胞を、H−2型の異なる別の近交系のマウスの門脈内または尾静脈を介して注入する。初回の試験範囲はマウス1匹当たり細胞10および10個の間とする。平行した実験で、一部のマウスには1回目から約5日後に寛容化細胞の2回目の投与を行う。
【0077】
1回目の寛容化処置から1週後に、皮膚全層の同種移植片を同一のドナー系統の背部から採取し、脱毛処理を行う。続いてこれをレシピエントマウスの右胸壁に6−0号ナイロン糸を用いて縫合する。その後の6週間またはそれ以上の期間にわたって移植片を観察し、移植面に正常な上皮が保たれているか否かを判定する。事前にテロメラーゼ導入処理を行わなければ、皮膚移植片は通常、約2週間以内に拒絶される。
【0078】
血液の採取は皮膚の同種移植を行う前に行い、移植後には2週間毎に1回行う。
さまざまなアッセイを行うことができる。レシピエント血清を、新たな補体および51Crで標識したドナー系統の標的細胞(培養した線維芽細胞またはES系から分化した細胞など)と混合することにより、アロ反応性抗体を測定する。アロ反応性細胞傷害性T細胞は、51Crで標識した標的細胞を、フィコール(Ficoll)(登録商標)で分離したレシピエント由来の末梢血単核細胞と混合することによって測定する。ヘルパー/インデューサーT細胞は、レシピエントPBMCを放射線照射を行ったPBMCまたは脾細胞と混合し、[H]チミジン取り込みを測定することによって測定する。混合リンパ球反応液からの上清を、細胞の免疫反応性の指標として、IFNγ、IL−2、TNFαまたはIL−10に対するサンドイッチELISAにより(抗体はGenzymeから入手可能)、サイトカイン分泌に関して測定することも可能である。
【0079】
移植片を数日毎に、移植面の脱毛、壊死および正常上皮の消失といった拒絶反応の徴候に関して観察する。移植片が生着したマウスについては、同じドナー系統または第3のドナーからの第2の移植片を対側の横腹に縫合することにより、免疫寛容の程度および特異性を約6週間にわたって試験することができる。レシピエントのキメラ現象は、脾細胞または骨髄細胞を採取して、ドナーのH−2アロタイプ、レシピエントのH−2アロタイプならびにCD4、CD8、B220およびMac−1などの造血マーカーに対する特異抗体で染色するFACS分析によって評価する。移植片の受容は、免疫学的アッセイにおけるアロ反応性の低さと相関すると予想されるほか、キメラ現象の所見とも相関すると思われる。
【0080】
第2のモデルは、アカゲザルES細胞(Thomsonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844、1995)またはヒトES細胞(Thomsonら、Science 282:114、1998)を用いる霊長類モデルである。ES細胞を上記のようにして寛容化性のある細胞に分化させ、マウスモデルから決定した至適用量を適宜スケールアップした上でアカゲザルに静脈内注射する。約1週後にサルに2回目の投与を行ってもよい。同時に、同じES細胞系を以前に記載したようにして肝細胞様細胞または神経細胞に分化させる。
【0081】
約2週後の時点で、寛容化処置を行ったサルに対して、置換組織の同種移植片を移植する。肝細胞様細胞および神経前駆細胞を以前に記載した通りに同じES細胞系から作製する。分化した細胞を、BrdUにより、または緑色蛍光タンパク質(GFP)などのレポーター遺伝子をコードする発現ベクターにより、内因的に標識する。肝細胞様細胞は腎被膜または脾臓の内部に移植する。マウスモデルと同じく、血液を定期的に採取してアロ抗原に対する免疫応答に関してアッセイするとともに、キメラ現象についてもアッセイする。2、4または6週後に移植部位から生検標本を採取する。生検標本を、内因性標識の測定、および肝臓特異的、MHC特異的またはヒト特異的マーカー(ES系がヒト由来の場合)に対する免疫組織化学により、移植細胞の生着の所見に関して検査する。
【0082】
アロ特異的免疫寛容を誘導するのに適した条件を決定した上で、確立した動物モデルを用いて組織再生プロトコールの有効性を評価するために追加実験を行うことができる。例えば、神経細胞移植片の有効性は、マクドナルド(McDonald)ら(Nat. Med. 5:1410、1999)により記載された通りに、脊髄に急性損傷を加えたラットモデルで評価することができる。移植が成功すれば、損傷端から脊髄に沿って移動した移植片由来の細胞が2〜5週後に損傷部に認められ、それに伴い、ラットの歩行、協調性および体重負荷の改善がみられると考えられる。肝細胞の置換は、肝損傷を修復する能力に関して動物モデルで評価することができる。このような例の1つは、D−ガラクトサミンの腹腔内注射によって起こる損傷である(Dabevaら、Am. J. Pathol. 143:1606、1993)。本発明に従って調製した心筋細胞の有効性は、治療を行わなければ左室壁組織の55%が瘢痕組織化する原因となる心冷凍障害の動物モデルで評価することができる(Liら、Ann. Thorac. Surg. 62:654、1996;Sakaiら、Ann. Thorac. Surg. 8:2074、1999、Sakaiら、J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 118:715、1999)。
【0083】
同種移植を受ける対象における免疫寛容を誘導するために本発明を用いる際に、実施者は選択的には、別のところに記載された補助的技法を用いることができる。
【0084】
例えば、国際公開公報第99/51275号(Osiris Therapeutics)は、特異的T細胞アネルギーを誘導するために膜結合抗原を提示する間葉幹細胞を用い、それによって免疫抑制を誘導することを提唱している。国際公開公報第93/13785号(Sachsら)、国際公開公報第95/21527号(Sachsら)、国際公開公報第97/41863号(Sytesら)および米国特許第6,006,752号(Sytesら)は、第1の種のドナー動物の造血幹細胞を第2の種のレシピエントに投与する、免疫寛容を誘導するための方法を提唱している。これはレシピエントに混合キメラ現象を生じさせ、それによって第1の種からの移植片を受容することを可能にする。
【0085】
米国特許第5,843,425号(Sachsら)は、寛容化性のある造血細胞調製物に存在するT細胞を、特異抗体を用いて欠乏させるやり方を説明している。国際公開公報第99/39727号(Sytesら)は、造血細胞を、CD40のリガンドとの相互作用を抑制する何らかの物と組み合わせて投与することを提唱している。米国特許第5,876,708号(Sachsら)によれば、レシピエント体内のT細胞を不活性化し(例えば、抗CD4または抗CD8抗体を用いる)、免疫抑制薬(シクロスポリンAなど)を投与することにより、造血細胞の寛容化作用を補強することが可能である。
【0086】
米国特許第5,858,963号、米国特許第5,863,528号および国際公開公報第97/41863号(Sachsら)は、骨髄細胞を幹細胞因子、IL−3、GM−CSFおよびIL−10などのサイトカインと併用することによって動物モデルにおける寛容を誘導するやり方を概説している。国際公開公報第93/09815号(Sachsら)は、レシピエント動物において移植組織に対する寛容を付与するために、MHC抗原をコードする核酸を骨髄造血細胞にトランスフェクトすることを提唱している。国際公開公報第95/03062号(CellPro)は、臓器ドナーから細胞を採取し、造血細胞(CD+ve細胞など)を集積化した上でそれらを移植の前にレシピエントに注入することにより、実質臓器の移植に対してレシピエントが寛容化されることを示唆している。
【0087】
モリタ(Morita)ら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6947、1998)は、臓器同種移植のために寛容を誘導するための戦略を概説している。レシピエントマウスの門脈内に同種ドナーからの脾細胞を注入し、1週後に同じドナーからの皮膚移植片を移植した。一部のマウスでは、移植片は移植1年後も生着しており、これに付随して微小キメラ現象の成立が認められた。投与した組成物中のドナーT細胞は生着を促し、細胞傷害性Tリンパ球はドナー特異的アネルギーを誘導するように思われた。同じ源からの骨髄細胞の静脈内投与により、5日後に寛容誘導が有意に増強された。
【0088】
シュタルツ(Starzl)ら(Lancet 339:1579、1992;N. Engl. J. Med. 328:745、1993)は、肝臓移植片を受容したヒト患者には、同種移植片からレシピエントのリンパ節に移動したドナー由来の樹状細胞およびマクロファージがあることを観察している。キメラ現象および免疫寛容の誘導に関する他の刊行物は以下に列挙している。
【0089】
前記のように、個体を第2の細胞集団に対して免疫寛容化する表現型に分化したヒト多能性幹(hPS)細胞の第1の細胞集団を投与することにより、ヒト患者を本発明に従って処置することができる。静脈内投与が現時点では好ましい経路であるが、他の経路も考えている(脾臓内注射など)。予想される投与量は、約10〜1011個の細胞が寛容化能力を有する細胞懸濁液である。必要に応じて、造血空間を作り出し、移植細胞とのキメラ現象が可能になるように、患者に破壊的もしくは部分的に破壊的なγ線照射療法、または化学療法を行うことができる。
【0090】
PBMCを採取して、照射を行ったクラスII提示性hPSドナー細胞を用いる一方向混合リンパ球反応を行うことにより、患者を免疫寛容の成立に関してモニタリングすることができる(迅速な読み取りのためにはアクリジンオレンジまたはサイトカイン分泌を用いる)。必要に応じて追加的な投与サイクルを行う。
【0091】
寛容が起こるのに十分な時間および処置の後に、患者に対して、寛容化細胞と同種の(またはHLAをマッチさせた)再生組織を投与する。同種寛容の度合いによっては、移植片が生じ、移動してその機能的役割を果たすまで、患者に対して免疫抑制薬を継続することが有益と思われる(シクロスポリンAまたは抗CD4抗体)。患者にあらかじめ寛容化処置を行うことが不可能な場合でも、寛容化細胞を再生細胞と同時または逐次的に投与することが有益な可能性はある。治療プロトコール、投与量およびモニタリングの最終的な選択は、管理を行う臨床医に責任がある。
【0092】
本発明に従って特異的な免疫寛容を誘導するのに有用な細胞を、選択的には、ヒト投与用に十分な無菌条件下で調製された等張添加剤を含む薬学的組成物として提供することができる。医薬製剤に関する一般的な原理については、「細胞療法:幹細胞移植、遺伝子治療および細胞免疫療法(Cell Therapy:Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy)」、モースチン(G. Morstyn)およびシェリダン(W. Sheridan)編、Cambridge University Press、1996;ならびに「造血幹細胞療法(Hematopoietic Stem Cell Therapy)」、ボール(E.D. Ball)、リスター(J. Lister)およびロー(P. Law)、Churchill Livingstone、2000を参照されたい。
【0093】
寛容化組成物を、細胞の寛容誘導に用いるために書面による指示とともにパッケージ化してもよい。造血細胞は通常、組織再生のために用いられるHLA適合性組織とマッチさせたものであり、2つの組成物を合わせてキット形態として出荷することができる。
【0094】
本明細書に提供した組成物および手順を、以下の特許請求の範囲に具体的に示した本発明の精神を逸脱することなく、当業者が有効に修正しうることは認識されると考えられる。

Claims (22)

  1. 治療的用途のための細胞を調製するための方法であって、
    a)ヒト多能性幹(hPS)細胞を第1の細胞集団に分化させること;および
    b)ヒト多能性幹(hPS)細胞を第2の細胞集団に分化させることを含み、
    第1の細胞集団が第2の細胞集団とMHC適合性があり、個体に対する第1の集団の投与によって個体が第2の細胞集団に対して免疫寛容化される方法。
  2. 個体における細胞機能を再構成する方法であって、
    a)個体に対して請求項1記載の第1の細胞集団を投与し、それによって個体を第2の細胞集団に対して免疫寛容化すること;および
    b)個体に対して請求項1記載の第2の細胞集団を投与し、それによって細胞機能を再構成すること
    を含む方法。
  3. 第1の細胞集団および第2の細胞集団が同じhPS細胞またはその子孫から分化した、前記の請求項のいずれかに記載の方法。
  4. 第1の細胞集団が中胚葉細胞を主として含む、前記の請求項のいずれかに記載の方法。
  5. 第1の細胞集団が、造血前駆細胞、血液白血球、白血球前駆細胞、マクロファージ様細胞、樹状細胞または間葉幹細胞の特徴を有する、前記の請求項のいずれかに記載の方法。
  6. 第1の細胞集団の表現型が以下のマーカーの1つまたは複数を発現する、前記の請求項のいずれかに記載の方法:CD34、T細胞受容体、HLAクラスII、CMRF−44、CMRF−56、DEC−205、S100またはCTLA−4。
  7. それが投与された個体を第2の細胞集団に対して免疫寛容化する第1の細胞集団を調製するための方法であって、ヒト多能性幹(hPS)細胞を混合型細胞集団に分化させること、およびCD34、T細胞受容体、HLAクラスII、CMRF−44、CMRF−56、DEC−205、S100またはCTLA−4を発現する混合型集団細胞を集積化することを含む方法。
  8. 第2の細胞集団が、以下の細胞型またはその系譜に拘束された前駆細胞の一つを含む、前記の請求項のいずれかに記載の方法:肝細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、心筋細胞、軟骨細胞、骨原性細胞、膵島細胞、内皮細胞、骨格筋細胞または皮膚細胞。
  9. 以下のものを別の容器に含む、薬学的化合物の組み合わせ:
    a)それが投与された対象を第2の細胞集団に対して免疫寛容化する表現型へとヒト多能性幹(hPS)細胞から分化した第1の細胞集団;および
    b)第1の細胞集団とMHC適合性のある第2の細胞集団。
  10. 第1の細胞集団および第2の細胞集団が同じhPS細胞系から分化した、請求項9記載の薬学的化合物。
  11. 第1の細胞集団が中胚葉細胞を主として含む、請求項9〜10記載の薬学的化合物。
  12. 第1の細胞集団が、造血前駆細胞、血液白血球、白血球前駆細胞、マクロファージ様細胞、樹状細胞または間葉幹細胞の特徴を有する、請求項9〜11記載の薬学的化合物。
  13. 第1の細胞集団の表現型が以下のマーカーの1つまたは複数を発現する、請求項9〜12記載の薬学的化合物:CD34、T細胞受容体、HLAクラスII、CMRF−44、CMRF−56、DEC−205、S100またはCTLA−4。
  14. 第2の細胞集団が、以下の細胞型またはその系譜に拘束された前駆細胞の一つを含む、請求項9〜13記載の薬学的化合物:肝細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、心筋細胞、軟骨細胞、骨原性細胞、膵島細胞、内皮細胞、骨格筋細胞または皮膚細胞。
  15. それが投与された個体を第2の細胞集団に対して免疫寛容化する表現型へとhPS細胞から分化した第1の細胞集団の、手術または治療法によるヒトまたは動物体の治療のための医薬品製剤における使用。
  16. それが投与された個体を第2の細胞集団に対して免疫寛容化する表現型へとhPS細胞から分化した第1の細胞集団の、ヒトまたは動物体を第2の細胞集団に対して免疫寛容化するための医薬品製剤における使用。
  17. 第2の集団が個体における細胞機能を再構成する表現型へとhPS細胞から分化しており、第1の集団が個体を第2の細胞集団に対して免疫寛容化する、同種性である第1の細胞集団および第2の細胞集団のそれぞれの、ヒトまたは動物体に対する同時または逐次的な投与のための医薬品製剤のための使用。
  18. 第1の細胞集団が中胚葉細胞を主として含む、請求項15〜17記載の使用。
  19. 第1の細胞集団が、造血前駆細胞、血液白血球、白血球前駆細胞、マクロファージ様細胞、樹状細胞または間葉幹細胞の特徴を有する、請求項15〜18記載の使用。
  20. 第1の細胞集団が以下のマーカーの1つまたは複数を発現する、請求項15〜19記載の使用:CD34、T細胞受容体、HLAクラスII、CMRF−44、CMRF−56、DEC−205、S100またはCTLA−4。
  21. 第2の細胞集団が、以下の細胞型またはその系譜に拘束された前駆細胞の一つを含む、請求項15〜20記載の使用:肝細胞、ニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、心筋細胞、軟骨細胞、骨原性細胞、膵島細胞、内皮細胞、骨格筋細胞または皮膚細胞。
  22. 第1の細胞集団が、循環中への投与用に製剤化される、請求項15〜21のいずれかに記載の使用。
JP2002546692A 2000-11-22 2001-11-21 多能性幹細胞の同種移植片の寛容化 Pending JP2004521877A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US25268800P 2000-11-22 2000-11-22
PCT/US2001/043434 WO2002044343A2 (en) 2000-11-22 2001-11-21 Tolerizing allografts of pluripotent stem cells

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004521877A true JP2004521877A (ja) 2004-07-22
JP2004521877A5 JP2004521877A5 (ja) 2005-05-26

Family

ID=22957090

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002546692A Pending JP2004521877A (ja) 2000-11-22 2001-11-21 多能性幹細胞の同種移植片の寛容化

Country Status (10)

Country Link
US (2) US20020086005A1 (ja)
EP (2) EP1335972A2 (ja)
JP (1) JP2004521877A (ja)
KR (1) KR20040029311A (ja)
CN (1) CN1863906A (ja)
AU (3) AU3929402A (ja)
CA (1) CA2427996A1 (ja)
GB (1) GB2386125B (ja)
IL (1) IL155728A0 (ja)
WO (1) WO2002044343A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006254872A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Kenzaburo Tani 幹細胞分化の促進方法
JP2009537137A (ja) * 2006-05-17 2009-10-29 コグネート セラピューティクス,インコーポレーテッド 脂肪吸引後の脂肪吸引物からの造血幹細胞の単離および精製

Families Citing this family (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7311905B2 (en) 2002-02-13 2007-12-25 Anthrogenesis Corporation Embryonic-like stem cells derived from post-partum mammalian placenta, and uses and methods of treatment using said cells
US7799324B2 (en) 2001-12-07 2010-09-21 Geron Corporation Using undifferentiated embryonic stem cells to control the immune system
KR20130072272A (ko) 2001-12-07 2013-07-01 제론 코포레이션 인간 배아 줄기세포 유래의 조혈세포
US7285415B2 (en) 2002-07-11 2007-10-23 The Regents Of The University Of California Oligodendrocytes derived from human embryonic stem cells for remyelination and treatment of spinal cord injury
CA2505534A1 (en) 2002-11-26 2004-06-10 Anthrogenesis Corporation Cytotherapeutics, cytotherapeutic units and methods for treatments using them
EP1601248A4 (en) * 2003-02-13 2010-01-27 Anthrogenesis Corp USE OF UMBILICAL CORD BLOOD FOR TREATING INDIVIDUALS WITH DISEASE, DISORDER OR PATHOLOGY
AU2005213326A1 (en) * 2004-02-06 2005-08-25 Theradigm, Inc. Compositions and methods relating to culturing neural stem cells with bone marrow stromal cells
WO2005085426A1 (ja) * 2004-03-04 2005-09-15 Tanabe Seiyaku Co., Ltd. 無フィ−ダ−分化用培地及び霊長類動物胚性幹細胞からの無フィ−ダ−分化方法
CA2504451A1 (en) * 2004-08-10 2006-02-10 Geron Corporation Dendritic cell vaccines for treating cancer made from embryonic stem cells
EP1841322A4 (en) * 2005-01-11 2009-12-09 Cognate Therapeutics Inc BONE MARROW BINDING WEB CELLS FOR IMMUNE PROTECTION OF TRANSPLANTED NEURAL STEM CELLS
AU2006262329B2 (en) * 2005-06-22 2011-04-07 Asterias Biotherapeutics, Inc. Differentiation of primate pluripotent stem cells to cardiomyocyte-lineage cells
EP1962719A4 (en) 2005-08-29 2011-05-04 Technion Res And Dev Of Foundation Ltd MEDIA FOR BREEDING STEM CELLS
DK1957633T3 (en) 2005-10-13 2014-03-17 Anthrogenesis Corp Immunomodulation USING PLACE SPEECH STEM CELLS
KR20190104428A (ko) 2005-12-29 2019-09-09 안트로제네시스 코포레이션 태반 줄기 세포 집단
JP2009521930A (ja) 2005-12-29 2009-06-11 アントフロゲネシス コーポレーション 胎盤幹細胞及び第2供給源由来幹細胞の共存培養
CA2638760A1 (en) 2006-03-07 2007-09-13 Vaxinnate Corporation Compositions that include hemagglutinin, methods of making and methods of use thereof
DK3441459T3 (da) 2006-08-02 2021-06-07 Technion Res & Dev Foundation Fremgangsmåder til ekspansion af embryonale stamceller i en suspensionskultur
CA2677679A1 (en) 2007-02-12 2008-08-21 Anthrogenesis Corporation Hepatocytes and chondrocytes from adherent placental stem cells; and cd34+, cd45- placental stem cell-enriched cell populations
SI2120977T1 (sl) 2007-02-12 2014-01-31 Anthrogenesis Coroporation Zdravljenje vnetnih bolezni z uporabo placentarnih matičnih celic
JP5734836B2 (ja) * 2008-03-27 2015-06-17 アステリアス バイオセラピューティクス インコーポレイテッド 霊長類多能性幹細胞の造血系統細胞への分化
US8728805B2 (en) 2008-08-22 2014-05-20 Anthrogenesis Corporation Methods and compositions for treatment of bone defects with placental cell populations
EP4364797A3 (en) 2009-10-19 2024-07-10 FUJIFILM Cellular Dynamics, Inc. Cardiomyocyte production
AU2011237743A1 (en) 2010-04-08 2012-11-01 Anthrogenesis Corporation Treatment of sarcoidosis using placental stem cells
US8969315B2 (en) 2010-12-31 2015-03-03 Anthrogenesis Corporation Enhancement of placental stem cell potency using modulatory RNA molecules
WO2012135253A1 (en) 2011-03-29 2012-10-04 Geron Corporation Enriched populations of cardiomyocyte lineage cells from pluripotent stem cells
CN113559126A (zh) 2011-06-01 2021-10-29 人类起源公司 利用胎盘干细胞治疗疼痛
EP3662915B1 (en) * 2013-05-22 2023-02-22 National Center of Neurology and Psychiatry Mesenchymal stem cells and immunogens for use in inducing acquired immunological tolerance
CN108463548B (zh) 2015-10-30 2023-04-18 加利福尼亚大学董事会 由干细胞产生t细胞的方法及使用所述t细胞的免疫治疗方法
CN109439617A (zh) * 2018-12-25 2019-03-08 成都赋智健康科技有限公司 一种干细胞无血清培养基及其制作方法
CN111996164A (zh) * 2020-09-10 2020-11-27 聊城市人民医院 一种间充质干细胞的无血清抗衰老培养基
CN118159646A (zh) 2021-09-13 2024-06-07 富士胶片细胞动力公司 产生定向心脏祖细胞的方法
WO2024073776A1 (en) 2022-09-30 2024-04-04 FUJIFILM Cellular Dynamics, Inc. Methods for the production of cardiac fibroblasts

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5082670A (en) * 1988-12-15 1992-01-21 The Regents Of The University Of California Method of grafting genetically modified cells to treat defects, disease or damage or the central nervous system
US5061620A (en) * 1990-03-30 1991-10-29 Systemix, Inc. Human hematopoietic stem cell
US5635387A (en) * 1990-04-23 1997-06-03 Cellpro, Inc. Methods and device for culturing human hematopoietic cells and their precursors
US5851832A (en) * 1991-07-08 1998-12-22 Neurospheres, Ltd. In vitro growth and proliferation of multipotent neural stem cells and their progeny
US5843425A (en) * 1992-02-19 1998-12-01 The General Hospital Corporation Transplantation and graft-versus-host-disease
US5876708A (en) * 1992-02-19 1999-03-02 The General Hospital Corporation Allogeneic and xenogeneic transplantation
US5672499A (en) * 1992-07-27 1997-09-30 California Institute Of Technology Immoralized neural crest stem cells and methods of making
US5589582A (en) * 1992-10-27 1996-12-31 Biotransplant, Inc. Polynucleotides en coding porcine cytokines
US5489304A (en) * 1994-04-19 1996-02-06 Brigham & Women's Hospital Method of skin regeneration using a collagen-glycosaminoglycan matrix and cultured epithelial autograft
US5914268A (en) * 1994-11-21 1999-06-22 National Jewish Center For Immunology & Respiratory Medicine Embryonic cell populations and methods to isolate such populations
US5843780A (en) * 1995-01-20 1998-12-01 Wisconsin Alumni Research Foundation Primate embryonic stem cells
US5736396A (en) * 1995-01-24 1998-04-07 Case Western Reserve University Lineage-directed induction of human mesenchymal stem cell differentiation
US5733541A (en) * 1995-04-21 1998-03-31 The Regent Of The University Of Michigan Hematopoietic cells: compositions and methods
US6015554A (en) * 1995-06-07 2000-01-18 Systemix, Inc. Method of reconstituting human lymphoid and dendritic cells
ES2201977T3 (es) * 1996-05-09 2004-04-01 The General Hospital Corporation Quimerismo mixto y tolerancia.
WO1998042838A1 (en) * 1997-03-25 1998-10-01 Morphogenesis, Inc. Universal stem cells
US6090622A (en) * 1997-03-31 2000-07-18 The Johns Hopkins School Of Medicine Human embryonic pluripotent germ cells
US5968829A (en) * 1997-09-05 1999-10-19 Cytotherapeutics, Inc. Human CNS neural stem cells
US6368636B1 (en) * 1998-03-18 2002-04-09 Osiris Therapeutics, Inc. Mesenchymal stem cells for prevention and treatment of immune responses in transplantation
JP2002523084A (ja) * 1998-09-01 2002-07-30 ウイスコンシン アラムニ リサーチ ファンデーション 適合性組織適合遺伝子を有する霊長類の胚幹細胞
GB9824306D0 (en) * 1998-11-05 1998-12-30 Isis Innovation Method for producing dendritic dells
EP2348104A1 (en) * 1999-08-05 2011-07-27 Mcl Llc Multipotent adult stem cells and methods for isolation
DE10061334A1 (de) * 2000-12-04 2002-06-13 Max Delbrueck Centrum Verwendung von aus embryonalen Stammzellen hergeleiteten Zellen zur Erhöhung der Transplantationstoleranz und zur Wiederherstellung zerstörten Gewebes

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006254872A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Kenzaburo Tani 幹細胞分化の促進方法
JP2009537137A (ja) * 2006-05-17 2009-10-29 コグネート セラピューティクス,インコーポレーテッド 脂肪吸引後の脂肪吸引物からの造血幹細胞の単離および精製

Also Published As

Publication number Publication date
US20060002906A1 (en) 2006-01-05
IL155728A0 (en) 2003-11-23
EP1757681A1 (en) 2007-02-28
AU3929402A (en) 2002-06-11
GB2386125B (en) 2005-02-23
CA2427996A1 (en) 2002-06-06
WO2002044343A2 (en) 2002-06-06
WO2002044343A3 (en) 2003-01-16
GB2386125A (en) 2003-09-10
AU2006203390A1 (en) 2006-08-31
KR20040029311A (ko) 2004-04-06
US20020086005A1 (en) 2002-07-04
GB0313387D0 (en) 2003-07-16
AU2002239294B2 (en) 2006-05-11
EP1335972A2 (en) 2003-08-20
CN1863906A (zh) 2006-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2002239294B2 (en) Tolerizing allografts of pluripotent stem cells
AU2002239294A1 (en) Tolerizing allografts of pluripotent stem cells
KR101457742B1 (ko) 인간 배아 줄기세포 유래의 조혈세포
US20180353606A1 (en) Reconstituting hematopoietic cell function using human embryonic stem cells
US7799324B2 (en) Using undifferentiated embryonic stem cells to control the immune system
JP2005511084A6 (ja) ヒト胚性幹細胞に由来する造血細胞
US20050221482A1 (en) Methods and compositions for obtaining hematopoietic stem cells derived from embryonic stem cells and uses thereof
JP2004529621A5 (ja)
US20040110286A1 (en) Method for making hematopoietic cells
JP2022070912A (ja) 多様な多能性幹細胞から誘導された褐色脂肪細胞の再誘導のための方法
AU2012258384B2 (en) Hematopoietic cells from human embryonic stem cells
AU2016206280B2 (en) Hematopoietic cells from human embryonic stem cells
WO2023176986A1 (ja) 免疫寛容誘導用組成物及びその製造方法
Gertow Human embryonic stem cells: A novel model system for early human development

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071212

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080508