JP2004521099A - タンパク質からシトレート及びアルミニウムを除去する方法 - Google Patents

タンパク質からシトレート及びアルミニウムを除去する方法 Download PDF

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Abstract

タンパク質を含む溶液のpHを約7〜約10のpHに調整し、pH調整した溶液を低濃度イオンを有する水溶液でダイアフィルトレーションすることによって、シトレート、アルミニウム、及びその他の多価イオン及び汚染物質をタンパク質から除去する方法が提供される。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は生理活性タンパク質からシトレート、アルミニウム及びその他の多価イオンを除去するのに有用な方法に関する。この方法はアルブミンを含む溶液からアルミニウム及びシトレートイオンを除去するのに特に有用である。
【0002】
(発明の背景)
生理活性タンパク質は治療薬としてヒトに頻繁に投与される。そのようなタンパク質が副作用を生じるかもしれない汚染物質を含まないことは重要である。例えば、静脈内投与を意図し、血漿増量剤として溶液において広く使用されている精製したヒト血清アルブミン(アルブミン)がヒトへの使用が容認されない濃度のアルミニウムを含んでいるかもしれないことが知られている。
ヒト中のアルミニウムの存在はアルツハイマータイプの老人性痴呆症及び神経原線維変性と関係がある。静脈内に投与されたアルミニウムは組織及び器官、例えば脳に蓄積する可能性があり、体内からアルミニウムを十分に排泄できない腎機能が低下した患者に特定の脅威をもたらす。そのような患者において、透析液のアルミニウム汚染物質は骨軟化症、小球性貧血及び透析性脳症と関係がある。結果として、静脈内投与用として欧州で販売されているアルブミンは、5、20又は25%のタンパク質濃度を有する溶液において200ppb以下のアルミニウム濃度を有することが必要とされ、その濃度はアルブミン製品の日付を入れた期間にわたって維持されなければならない。その他の金属、例えば鉄、鉛、水銀、クロム、銅及びニッケルの副作用も記録されている。
アルブミンに、アルブミン処理の際に使用する珪藻土、ガラス製の容器、粘度の詰まったエラストマー封入物、及び珪藻土を含むデプスフィルター等を含むいくつかのソースからアルミニウムが混入することが分かっている(Quagliaro, D. A. et al., Aluminum in Albumin for Injection, Journal of Parenteral Science & Technology, 42(6), 187-190 (1988))。
いくつかの溶液は、ガラス製の容器からアルミニウムが抽出されることによって、貯蔵の際にアルミニウムの濃度が増加することを示す。ガラス製の容器は、多くのそのような容器が1〜5%のアルミニウムを含むために、アルミニウム汚染の重要なソースであるように見える。タンパク質溶液中のアルミニウムの濃度に寄与する因子は、ガラス製の容器中の溶液の貯蔵状態及びタンパク質溶液中に存在する溶質の性質である。例えば、アルファヒドロキシ基、例えばシトレートアニオンを有するカルボン酸は、金属イオンの良いキレート化剤であり、アルミニウム含有物質へのその可溶化作用として知られている。
【0003】
シトレートイオンは、抗凝血性クエン酸ナトリウム中の血漿の収集を含む通常の血漿交換法の際に血漿誘導タンパク質に導入される。例えば、可溶化コーンフラクションV粉末(アセトン法によるアルブミン溶液の調製の出発物質)は、約7.6mM〜約9.7mM(約2235ppm〜約2853ppm)のシトレート含量を有する。このように、ヒトに投与されるべきアルブミン及びその他のタンパク質溶液中のアルミニウムの低濃度を保証することに加えて、貯蔵の際のシトレートイオンによるガラス製の容器からのアルミニウムの浸出の可能性を回避するためにシトレートの低濃度を保証することも重要である。
多価アルミニウムイオンは、その他の多価イオンと同様に、タンパク質と結合し、EDTAのようなキレート剤によってこれらのイオンを除去する試みはほとんど成功していない。限外濾過透析法は、アルブミンのようなタンパク質から多価イオンを除去するために使用されている。このプロトコールは、透析の際に一価イオンによってタンパク質と結合した多価イオンを置き換えることに依存している。例えば、米国特許第Re.36,259号には、アルブミンからアルミニウムイオンを除くためにダイアフィルトレーションシステムにおいて3%の塩水溶液、例えば塩化ナトリウム又は酢酸ナトリウムを使用することが開示されている。同様に、米国特許第5,229,498号には、約0.15Mから飽和するまでの濃度の一価アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを含む水溶液でのダイアフィルトレーションによってタンパク質からの多価イオンの置換及び除去が開示されている。
しかしながら、上記の場合には、ダイアフィルトレーションされたタンパク質は結合した一価イオンを含む。結果として、そのタンパク質を、通常は脱イオン水でさらに一連のダイアフィルトレーションに供して一価イオンを除去することが必要である。従って、シトレートイオン及びアルミニウムイオンの両方、同様にその他の多価イオンを、一価イオンを除去するために第2の方法を必要としないで、タンパク質から除去する方法が望まれている。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、タンパク質を含む溶液のpHを約7〜約10のpHに調整し、pH調整した溶液を純水でダイアフィルトレーションすることによって、シトレート、アルミニウム、及びその他の多価イオン及び汚染物質をタンパク質から除去する方法に関する。
本発明のこれら及びその他の特徴、解釈、及び利点は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面を考慮することにより、より完全に理解されるであろう。
【0005】
(詳細な説明)
本発明の方法は、タンパク質からシトレート、アルミニウム、及びその他の多価イオン及び汚染物質を除去する、簡便で、コストパフォーマンスがよく、効率的な方法を提供する。本発明の方法は、アルブミンからシトレート及びアルミニウムイオンを除去するのに特に有用である。
本発明の方法の出発物質は、シトレート及び/又はアルミニウムイオンをも含む任意のタンパク質含有水溶液であってもよい。例えば、出発物質は、工業的に調製されたアルブミン、CohnらによるJ. Amer. Chem. Soc., 68: 459-475 (1946)に記載される(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)コーン法から得られる可溶化フラクションV粉末又はフラクションVペースト、その他の血漿誘導フラクション、又はアルブミン又はその他の血漿タンパク質を含む任意のその他の水溶液であってもよい。米国特許第5,250,662号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)には、出発物質として好適なアルブミンを精製する方法が開示されている。
本発明の実施に適した出発物質のその他の例としては、これに限定されないが、免疫グロブリン、第VIII因子、第IX因子、アルファ−1−プロテイナーゼインヒビター及び/又はプロトロンビン複合体を含む水溶液が挙げられる。
初期のタンパク質含有溶液は、1NのNaOHのような塩基によって約7〜約10のpH値に最初に調整される。一の実施態様において、アルブミンを含む溶液は約8.8〜約9.2のpHに調整される。タンパク質溶液は、好ましくは予め濾過されて沈殿したタンパク質又はその他の粒状物質が取り除かれる。
次いで、タンパク質含有溶液はダイアフィルトレーションシステムに適用される。ダイアフィルトレーションシステムはタンパク質の分子量よりも小さい細孔サイズを有するダイアフィルター膜を含むように選択されて、アルミニウムイオン及びシトレートイオンのような多価イオン、同様に塩、溶媒、及びその他の小さな分子がダイアフィルター膜を通過できるようにし、タンパク質を保持する。アルブミン溶液からシトレート及びアルミニウムを除去するための使用に適したダイアフィルター膜としては、例えばMillipore UF-10 KDフィルター膜及びMillipore UF-30 KDフィルター膜(ミリポアコーポレイション、ベッドフォード、マサチューセッツ)が挙げられる。
タンパク質含有溶液はダイアフィルター膜に平行な方向にダイアフィルトレーションシステムを通過する。圧力勾配はフィルターにわたって適用される。タンパク質含有溶液がダイアフィルトレーション膜を横切って移動するため、汚染物質は濾液としてダイアフィルトレーション膜を通過し、タンパク質は保持液として保持される。純水が保持液に加えられ、得られた希釈保持液はさらにダイアフィルトレーションで循環処理される。このプロセスは汚染物質の所望の低減が達成されるまで繰り返される。
【0006】
本明細書で使用される“純水”は、脱イオン水及び蒸留水等の低濃度のイオンを有する任意の水溶液を意味する。また、純水としては、1995年米国薬局方、国民医薬品集18に記載されるように、注射用蒸留水、注射用静菌水、吸入用滅菌水、注射用滅菌水、潅漑用水、及び精製水が挙げられる(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
次に、図1に本発明の実施に有用なシステム10を示す。pH調整されたタンパク質溶液が原料タンク12に入れられる。ポンプ14は、溶液がホース16を通ってダイアフィルター膜(図示しない)を含むダイアフィルトレーション装置18に流れるようにする。濾液はパイプ20を通ってダイアフィルトレーション装置から除去され、保持液はパイプ22を通って原料タンクに戻されて再循環される。
水タンク24に含まれる純水、例えば脱イオン水は、ポンプ28によってホース26を通って原料タンクに供給される。撹拌装置30は純水を原料タンク中で保持液と混合する。
一の好ましい実施態様において、純水は、濾液がダイアフィルトレーション装置から除去される流量と同じ流量で原料タンク12に連続的に加えられる。この実施態様において、タンパク質溶液/保持液の体積は一定に保たれる(“定容量洗浄ダイアフィルトレーション”)。保持液は、保持液に加えられた純水の量が初期のタンパク質溶液の体積又は重量の少なくとも約3倍と等しくなるまで、又は汚染物質の所定の低減が達成されるまで、ダイアフィルトレーション装置及び原料タンクを通って連続的に再循環される。
第2の好ましい実施態様において、純水は連続的ではなくバッチで保持液に加えられる。この“回分式ダイアフィルトレーション”実施態様において、保持液の体積は濾液が除去されるために減少し、保持液中のタンパク質の濃度は増加する。保持液中のタンパク質濃度が2倍から10倍に増加したときに、保持液の体積をタンパク質溶液の初期体積に戻すのに十分な純水の量が原料タンクに加えられる。ダイアフィルトレーション装置及び原料タンクを通して保持液を再循環する方法及び原料タンクへの純水の回分式添加は、多価イオンが所望の濃度になるまで続けられる。
本発明の方法の実施例を以下に記載する。
【0007】
実施例1:脱イオン水でのアルブミンの定容量洗浄ダイアフィルトレーション
pH7.2の工業的に製造されている25%アルブミン溶液約40mLを本発明の手順に従ってダイアフィルトレーションした。10KD Millipore(登録商標)UF膜フィルターを含むダイアフィルトレーション装置を通してアルブミン溶液を循環することによって、濾液を除去し、濾液が除去される流量と同じ流量で脱イオン水を保持液に連続的に加えた。約280mLの体積の脱イオン水が加えられるまで、ダイアフィルトレーションを繰り返した。次いで、ダイアフィルトレーションしたアルブミン溶液について、アルミニウム及びシトレートの試験をした。
試料について、ウエストコーストアナリティカルサービス(WCAS、サンタフェスプリングズ、CA)でシトレートイオンの試験をした。WCASによって使用されたイオンクロマトグラフィー方法において、抑制した伝導性(suppressed conductivity)によってシトレートイオンを検出し、外部標準を参照して定量化した。
また、アルミニウム試験も、誘導結合プラズマ質量分光法(ICPMS)を用いて、WCASで行った。この方法において、プラズマによって発生した陽イオンは真空界面に導入される。この界面は四重極質量分析計であり、試料導入後元素状態で存在する同位体の質量の範囲のデータを得る。データを多チャンネル分析装置で記録及び収集し、さらに標準と比較することによってアルミニウムの濃度を計算するために使用する。
結果を表1に示す。
【0008】
【表1】
Figure 2004521099
【0009】
表1に示すように、工業的に製造された25%アルブミン溶液(pH7.2)中の97%のシトレートは脱イオン水でのダイアフィルトレーションの際に除去され、81%のアルミニウムが除去される。
【0010】
実施例2:アルブミンの定容量洗浄ダイアフィルトレーションによるアルミニウム及びシトレートの除去に対するpHの影響
工業的に製造された25%アルブミン溶液を脱イオン水で3倍に希釈した。希釈したアルブミン溶液を3つの試料に分けた。1NのNaOHを用いて、第1試料のpHを8.1に調整し、第2試料のpHを9.1に調整し、さらに第3試料のpHを9.9に調整した。
約50mLの各試料を、10KD Millipore UF膜フィルターを用いて、脱イオン水での定容量洗浄ダイアフィルトレーションに別々に供した。ダイアフィルトレーションは、約350mLの脱イオン水が加えられるまで継続した。ダイアフィルトレーション前後の希釈したアルブミン溶液中のシトレート及びアルミニウム濃度を上述のように測定した。結果を表2に示す。
【0011】
【表2】
Figure 2004521099
【0012】
表2に示すように、市販のアルブミンのシトレート濃度はすべての試験したpH条件で50ppm未満に減少した。アルミニウム濃度は、pH8.1で74ppbから10ppbに減少し、pH9.1及び9.9では、10ppb未満に減少した。
【0013】
実施例3:コーンフラクションVペースト−脱イオン水での定容量洗浄ダイアフィルトレーション後のアルブミン及びシトレートイオン濃度に対するpHの影響
脱イオン水にコーンフラクションVペーストを懸濁することによって、約7%のタンパク質を含むアルブミン溶液を調製した。pHを4.6に調整した後、アルブミン溶液を予め平衡にしたDEAE Sephadex A-50樹脂で処理した。予め濾過したパススルーアルブミン溶液の一部を取り、5つの50mLアリコットをこの溶液から調製した。第1アリコットをpH5.0に調整し、第2アリコットをpH7.0に調整し、第3アリコットをpH8.0に調整し、第4アリコットをpH9.0に調整し、第5アリコットをpH10.0に調整した。
10KD Millipore(登録商標)UF膜フィルターを用いて、各アリコットを一つずつ脱イオン水に対する定容量洗浄ダイアフィルトレーションに供した。約350mLの脱イオン水が加えられるまで、ダイアフィルトレーションを継続した。アルブミン溶液中のシトレート及びアルミニウム濃度をダイアフィルトレーション前後で測定した。結果を表3に示す。
【0014】
【表3】
Figure 2004521099
【0015】
表3に示した結果は、増加するpH条件下でのアルブミン溶液のダイアフィルトレーションによるシトレート及びアルミニウム濃度の減少傾向を示す。一般に、アルミニウム及びシトレートの両方の濃度は増加するpHによって減少するが、pH10のアルミニウム濃度はpH9.0及びpH8.0の濃度よりもわずかに上がっている。
【0016】
実施例4:コーンフラクションV粉末−アルミニウム及びシトレート濃度に対するpH10で脱イオン水でのダイアフィルトレーションの影響
アセトン処理したコーンフラクションVペーストから得られるコーンフラクションV粉末から約7%のタンパク質を含むアルブミン溶液を調製した。アルブミン溶液のpHを約10に調整した。
30KD Millipore(登録商標)UF膜フィルターを含むダイアフィルトレーション装置を用いて、pH調整したアルブミン溶液を脱イオン水でダイアフィルトレーションした。原料タンクからのアルブミン溶液をダイアフィルトレーション装置に供給した。保持液を原料タンクに戻して再循環し、濾液を除去した。脱イオン水を濾液の除去とほぼ同じ流量で原料タンクに連続的に加えた。タンパク質溶液の原重量の約7倍の量の脱イオン水を加えたときに、ダイアフィルトレーションプロセスを停止した。タンパク質溶液の試料を回収し、シトレート及びアルミニウムについて試験した。試験結果を表4に示す。
【0017】
【表4】
Figure 2004521099
【0018】
表4に示すように、タンパク質溶液のpHを約10に調整し、その溶液を脱イオン水でダイアフィルトレーションした後、シトレート濃度は1700ppmの初期値から2ppm未満に減少し、アルミニウム濃度は49ppbから2ppbに減少した。
【0019】
実施例5:pH6.2、8.8、9.0、又は9.2に調整した可溶性コーンフラクションV粉末からの20%アルブミンの調製
アセトン処理したコーンフラクションVペーストから得られる約1.5KgのフラクションV粉末を冷脱イオン水中に0〜10℃で懸濁して約8%のタンパク質を含む溶液を得た。温度を0〜10℃に保ちながらpHを約6.5±0.5に調整した。濾過助剤を有するCUNO CPX90SPデプスフィルターを通して濾過することにより、pH調整したアルブミン溶液を浄化した。
浄化した溶液をそれぞれ4Kgの4つのサブロットに分け、各サブロットのpHを6.2(コントロール)、8.8、9.0、又は9.2に1NのNaOHで調整した。pH調整した各サブロットを、出発可溶性フラクションV溶液の重量の5倍(“5×体積”)の冷(約2℃〜約8℃)脱イオン水の合計量で2回ダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーションの完了時のタンパク質濃度は13±3%であった。ダイアフィルトレーションしたアルブミン溶液のpHをpH6.70〜6.85に0.5NのHCl(pH6.2のコントロールについて)又は1.0NのHCl(pH8.8、9.0及び9.2のサブロットについて)で調整した。
ダイアフィルトレーションしたアルブミン溶液をカプリル酸ナトリウム及びアセチルトリプトファンナトリウム(sodium acetyl tryptophan)で安定化して、それぞれ1グラム当たり0.08ミリモルのタンパク質の最終濃度とした。濾過による浄化後、溶液を60±0.5℃で2時間加熱した。加熱したアルブミン溶液を5〜10℃の温度に急激に冷却し、濾過により浄化し、23〜26%のタンパク質溶液に濃縮した。
溶液をカプリル酸ナトリウム及びアセチルトリプトファンナトリウムで再度安定化し、それぞれ1グラム当たり0.08ミリモルのアルブミンの濃度とした。pHを6.9±0.5に調整し、ナトリウムを1リットル当たり145±15mEqに調整し、タンパク質を約20%に調整した。
無菌バクテリア保持フィルターを通して溶液を無菌濾過し、無菌ボトル(タイプIIガラス)に入れ、塩化ゴム止め具で栓をした。密封したボトルを10時間以上又は11時間よりも長く60±0.5℃で加熱処理した。
【0020】
実施例6:pH6.2、9.0、又は9.2に調整した可溶性コーンフラクションV粉末からの25%アルブミンの調整
25%アルブミンの2つの別個のロット(ロット1及びロット2)を可溶性コーンフラクションV粉末から実施例5に記載されるように調製した(各ロットの浄化した溶液をそれぞれ4Kgの3つのサブロットに分け(各サブロットのpHを6.2(コントロール)、9.0又は9.2に調整した)、各サブロットからの最終加熱アルブミン溶液を約25%のタンパク質溶液に濃縮することを除いて)。
20%及び25%アルブミン(実施例5及び6)を調製する方法の3つのステージ:ダイアフィルトレーション前(出発物質又は“SM”)、ダイアフィルトレーション後(6.70〜6.85へのpH調製後;ダイアフィルトレーションした試料又は“DS”)、及び最終無菌ガラス容器での低温殺菌後(最終容器試料又は“FS”)で試験する試料を得た。アルブミンを調製する方法の概要を3つのサンプリングポイントと共に図2に示す。
【0021】
実施例7:フラクションV溶液の異なるpH及び異なるダイアフィルトレーション洗浄体積でのダイアフィルトレーション
シトレートの低減に対するダイアフィルトレーションの際の浄化したフラクションV溶液のpHの増加(pH8.8、9.0、又は9.2)の影響を決定した。また、ダイアフィルトレーションをpH6.2で行い、これをコントロールとした。実施例5のダイアフィルトレーションしたフラクションV溶液の試料(“DS”)をシトレートについてウエストコーストアナリティカルサービス(WCAS、サンタフェスプリングズ、CA)及びアルファセラピューティックコーポレイション(ATC、ロサンジェルス、CA)の両方で試験した。
上述のシトレート濃度を測定するためのWCASによって使用されたイオンクロマトグラフィー方法は、2ppmの最小検出限界を有する。ATCで使用した比色法において、標準シトレート溶液及びタンパク質を除去した試料を混合し、ピリジン及び無水酢酸と反応させた。約45分間後、これらの溶液の425nmでの光学密度(OD425)を測定した。次いで、各試料のシトレートイオン含有量を計算し、標準曲線から決定した。この方法は0.1mM(29ppm)の最小検出限界を有する。検出限界未満のすべてのシトレートの値は、以下に述べられるように、図3〜5において検出限界値として得られた。
ダイアフィルトレーション定容量洗浄が4×体積又は6×体積であること以外は実施例5のようにして調製したダイアフィルトレーションしたフラクションV溶液から追加の試料を得た。図3に示すように、冷(約2℃〜約8℃)脱イオン水に対するpH8.8、9.0及び9.2のダイアフィルトレーションにより、pH6.2のダイアフィルトレーション(383ppm)と比較してシトレートの量が少ない(約38〜5ppm)溶液を得た。
また、低濃度のシトレート(50ppm未満)は、洗浄体積が4×体積又は6×体積である試料においても、pH8.8、9.0又は9.2のダイアフィルトレーションの場合にも見られた。図3及び4を参照のこと。図4に示すように、使用した各pHで、浄化したフラクションV溶液をダイアフィルトレーションするために使用した脱イオン水の体積を大きくすればするほど、シトレートはより低減される。
同じ結果は、多くの25%アルブミンが実施例6のようにして調製され、4×体積又は5×体積の脱イオン水でpH6.2(コントロール)、pH9.0及び9.2の浄化したフラクションV溶液をダイアフィルトレーションした場合に見られた。図5に示すように、pH9.0及び9.2の両方で、各洗浄体積でのダイアフィルトレーション後のシトレートの量は、コントロールで得られた264ppm(pH6.2、5×体積)と比較して、2ppmの検出限界未満であった。
【0022】
実施例8:20%及び25%アルブミンの浄化したフラクションVのダイアフィルトレーション前後及び最終容器溶液のシトレート及びアルミニウム濃度
シトレート及びアルミニウム濃度を、実施例5における20%アルブミンの調製及び実施例6における25%アルブミンのロット1及び2の調製からのそれぞれ3つの試料(SM、DS及びFS)について測定した。結果を表5、6及び7及び図6〜11に示す。
アルミニウム試験は、電熱黒鉛炉アトマイザによる原子の発生を含む黒鉛炉原子吸光分析(GFAAS)を用いてATCで行った。溶媒(有機分子及び/又は無機物質)を除去するための乾燥及び灰化後、試料を原子化して狭い領域に遊離原子を生成する。GFAASによって生成した吸収シグナルは鋭いピークであり、その領域は試料中に存在する検体成分の量に関係している。バリアン黒鉛炉モデルGTA96Z及びプログラム制御サンプリング可能なバリアンオートサンプラーPSD96を備えるバリアンSpectrAA-400ゼーマン原子吸光分光計をアルミニウム定量に用いた。2.5%タンパク質に希釈した試料を熱分解性被覆プラトーチューブ内の熱分解性黒鉛プラットフォームに導入した。原子吸光測定は309.3nmで行った。
3つのサンプリングポイント(SM、DS及びFS)から回収した試料のタンパク質濃度は異なるために、表5及び図6〜11に示したアルミニウム値は一貫性を維持するために2.5%タンパク質で規格化した。
シトレート試験は上述のようにATC及びWCASの両方で行った。表5、6及び7に示すように、検出限界未満であるすべてのシトレート及びアルミニウムの結果は、それぞれその検出限界値で示し、図6〜11に示すようにグラフ化した。
【0023】
【表5】
Figure 2004521099
【0024】
【表6】
Figure 2004521099
【0025】
【表7】
Figure 2004521099
【0026】
表5に示すように、pH6.2、8.8又は9.0でのダイアフィルトレーション後のアルミニウムの濃度は浄化したフラクションV溶液の6ppbからダイアフィルトレーションした試料(実施例5)の5ppb未満に減少した。しかしながら、いくらか驚いたことに、アルミニウムの濃度は、pH9.2でダイアフィルトレーションした場合に、SMの6ppbからDSの約24ppbに明らかに増加した。この結果はアルミニウムアッセイの汚染物質によるものであるかもしれない。注目すべきは、pH9.2でダイアフィルトレーションしたアルブミン溶液の最終容器(FS)が5ppb未満のアルミニウム濃度を有するように見える(表5)ことである。pH8.8でダイアフィルトレーションした試料を除いては、ダイアフィルトレーションpHが増加すると、最終容器のアルミニウム濃度は減少傾向を示した。
同様に、実施例6のようにして調製した25%アルブミン溶液の結果は、ダイアフィルトレーションpHが増加すると、アルミニウム濃度の減少を示した。例えば、pH6.2でのダイアフィルトレーション後、アルブミン溶液のアルミニウム濃度は44ppbであり、pH9.0及び9.2では、それぞれ37ppb及び7ppb又は18ppbに減少し(実施例6、ロット1)、又はpH9.0及び9.2では、それぞれ9ppb及び5ppb未満に減少した(実施例6、ロット2)。
表6に示すように、同様の結果が脱イオン水での高いpH値のダイアフィルトレーション後のアルブミン溶液中のシトレート濃度で見られた。浄化したフラクションV溶液(SM)のpH6.2でのダイアフィルトレーションにより、シトレート量は3370ppmから約624ppm(2.12mM)に減少した(実施例5)。ダイアフィルトレーションpHを8.8、9.0又は9.2に増加することにより、ダイアフィルトレーションした試料(DS)のシトレート量は41ppm(0.14mM)から29ppm未満(0.10mM未満)の間に減少した。同様の結果は実施例6のようにして調製した25%アルブミンの溶液で見られ、pH6.2でのダイアフィルトレーション後のシトレート濃度は618ppm(ロット1)及び597(ロット2)であるが、pH9.0又は9.2でのダイアフィルトレーション後には検出限界未満(29ppm又は0.10mM未満)に低下した(表6)。同様の結果は試験のためにウエストコーストアナリティカルサービスに送られた試料でも見られた(表7)。
出発物質(SM)及びダイアフィルトレーションした溶液(DS)のアルミニウム及びシトレートアッセイの結果を図6(20%アルブミン、実施例5)、7(25%アルブミン、ロット1、実施例6)及び8(25%アルブミン、ロット2、実施例6)にグラフで示す。20%及び25%アルブミン溶液の調製の際の浄化したフラクションV溶液のダイアフィルトレーション前後で得られる結果に基づいて、溶液のシトレート及びアルミニウム含有量が、ダイアフィルトレーションpHが8.8、9.0又は9.2に増加した場合に減少することは明らかである。
また、最終容器試料のシトレート及びアルミニウム結果は、ダイアフィルトレーションpHの増加がシトレート及びアルミニウム濃度を減少させることを示す。最終容器試料のシトレート濃度は、ダイアフィルトレーションpHがpH6.2からpH8.8、9.0又は9.2に増加した場合に29ppm未満に減少した(表6)。また、pH9.0又は9.2でダイアフィルトレーションした最終容器溶液のアルミニウム濃度は、各アルブミン製剤について、対応するコントロール(pH6.2でのダイアフィルトレーション)と比較して低くなった(表5)。すべての場合に、20%又は25%のタンパク質に標準化した後の最終容器のアルミニウム濃度は、200ppb以下のアルミニウムのスペックの範囲内であった。最終容器溶液(FS)のアルミニウム及びシトレートアッセイの結果を図9(20%アルブミン、実施例5)、10(25%アルブミン、ロット1、実施例6)及び11(25%アルブミン、ロット2、実施例6)にグラフで示す。
これらの結果は、より高いpHで、アルミニウム又はタンパク質又はその両方と結合するシトレートが薄まり、ダイアフィルトレーションによって容易に除去されることを示唆する。これは、より高いpH(塩基性pH)で、シトレートとアルミニウムとの間の静電気引力がその2つの種のクーロン反発力によって弱められることを示したRabinow, B.E., Ericson, S., and Shelbourne, T.M. (1989) J. Parenter. Sci. Technol. 43: 132-139と一致している。
【0027】
実施例9:20%及び25%アルブミンの浄化したフラクションVのダイアフィルトレーション前後及び最終容器溶液の純度、透明度、アセトン含有量及びHPSEC結果
ダイアフィルトレーションpHの増加は低濃度のシトレート及びアルミニウムを生じるが、より高いダイアフィルトレーションpHがアルブミン溶液のその他の物理特性に悪影響を与えないことを保証することは重要である。たいていの市販のアルブミン溶液は、例えば種々の物理特性について所定のスペックに適合しなければならない。例えば、市販のアルブミン溶液の典型的なスペックとしては、次のような要求が挙げられる:200ppb以下のアルミニウム含有量、96%以上のアルブミンの純度、0.02g/100mL以下のアセトン含有量、及び80%以上のモノマー及びダイマー、ポリマー、及びフラグメントについて、それぞれ9%、15%及び6%以下である分子サイズ分布。従って、これらの物理特性を、実施例5及び6に記載される3つのすべてのアルブミン製剤からのSM、DS、及びFS試料で測定した。
異なるpH値でのダイアフィルトレーション前後及び最終容器溶液の浄化したフラクションV溶液の純度をセルロースアセテート膜電気泳動法(CAME)により決定した。結果を表8に示す。
【0028】
【表8】
Figure 2004521099
【0029】
表8に示すように、3つのすべての製剤のアルブミン溶液の純度は、ダイアフィルトレーション前で99.0%〜99.2%の範囲であり、ダイアフィルトレーション後で99.0%〜99.8%の範囲であった。すべての最終容器溶液の純度は98.9%〜99.9%アルブミンの範囲であり、96%以上のアルブミンであるスペックの範囲内である。
12×75mmチューブを用いて、ダイアフィルトレーション前後及び最終容器溶液のアルブミン溶液の透明度を比濁分析によって測定した。結果を表9に示す。
【0030】
【表9】
Figure 2004521099
【0031】
ダイアフィルトレーション前の浄化したフラクションV溶液の透明度は、3つのすべての製剤で2.0NTU〜2.2NTUの範囲であった。pH6.2でのダイアフィルトレーション後の濁度を表示する比濁分析記録は増加した。ダイアフィルトレーションpHをpH8.8、9.0又は9.2に増加させた場合、透明度はわずかに改善し、又はほとんど変化しなかった。すべての最終容器溶液の透明度は1.6NTU〜2.6NTUの範囲内であった。
ダイアフィルトレーション前後及び最終容器溶液におけるアルブミン溶液のアセトン含有量を表10に示す。
【0032】
【表10】
Figure 2004521099
【0033】
ダイアフィルトレーション前のアセトン含有量は、3つのすべてのアルブミン製剤について0.003〜0.010g/100mLの範囲であった。アセトン濃度はダイアフィルトレーション後、0.001〜0.004g/100mLの範囲に減少し、ダイアフィルトレーションpHの影響を受けないようであった。アセトンの出発濃度は低いが、ダイアフィルトレーション後のアセトンの量の減少は、アセトンが本発明の方法によりさらに除去されることを示す。すべての最終容器溶液のアセトン含有量は0.001〜0.002g/100mLの範囲であり、0.02g/100mL以下であるスペックの十分範囲内である。
高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)によって決定した、ダイアフィルトレーション前後及び最終容器溶液中のアルブミンの分子分布を実施例5及び6に記載される3つのアルブミン製剤について表11、12及び13に示す。
【0034】
【表11】
Figure 2004521099
【0035】
【表12】
Figure 2004521099
【0036】
【表13】
Figure 2004521099
【0037】
表11、12及び13に示すように、ダイアフィルトレーション前のモノマーの量は88.1%〜94.3%の範囲であり、ダイマーの量は4.0%〜8.8%の範囲であり、ポリマーの量は0.6%〜0.9%の範囲であり、フラグメントの量は0.8%〜2.2%の範囲である。ダイアフィルトレーション後、モノマーの量は92.2%〜94.9%の範囲であり、ダイマーの量は3.4%〜6.0%の範囲であり、ポリマーの量は0.6%〜1.3%の範囲であり、フラグメントの量は0.4%未満〜1.2%の範囲である。最終容器溶液のモノマーの量は87.2%〜89.3%の範囲であり、すべて80%以上のスペックの範囲内である。同様に、ダイマー、ポリマー及びフラグメントの量は、すべてスペックの範囲内である(それぞれ、9%以下、15%以下、及び6%以下)。
3つの製剤間でモノマー、ダイマー、ポリマー及びフラグメントの相対量において大きな変化があるが、各製剤内では変化は有意ではなかった。
【0038】
実施例10:20%及び25%アルブミンの最終容器溶液におけるタンパク質の二次構造
すべての最終容器のアルブミン溶液の円偏光二色性(CD)スペクトルのオーバーレイプロット(図12)は、試料に含まれるタンパク質の構造が定性的に非常に似ていることを示す。CD試験はコモンウェルスバイオテクノロジーズ インコーポレイテッド(リッチモンド、VA)により行われた。
【0039】
実施例11:20%及び25%アルブミンの最終容器溶液の示差走査熱量測定(DSC)結果
アルブミン最終容器溶液のDSC結果を表14にまとめる。コントロール(ダイアフィルトレーションpH6.2)及び試料(ダイアフィルトレーションpH8.8、9.0及び9.2)の融解温度、モル熱(H)及びファントホッフ熱変化(Hv)は、平均の±2SDの範囲内であった。これらのデータは、実施例5及び6のように調製された3つのロットすべてからの最終容器試料間で二次タンパク質構造に有意な差がないことを示す。DSC試験もコモンウェルスバイオテクノロジーズ インコーポレイテッド(リッチモンド、VA)により行われた。
【0040】
【表14】
Figure 2004521099
【0041】
実施例12:20%及び25%アルブミンの最終容器溶液の全タンパク質、熱安定性及び外観
実施例5及び6に記載されるように調製した20%及び25%アルブミンの最終容器溶液(FS)の全タンパク質濃度を表15に示す。市販のアルブミン溶液の典型的なスペックは、以下の濃度要求を有する:18.8〜21.2g/100mL(20%アルブミンについて)又は23.5〜26.5g/100mL(25%アルブミンについて)の全タンパク質濃度。
【0042】
【表15】
Figure 2004521099
【0043】
表15に示すように、20%アルブミンの最終容器のタンパク質濃度は19.0〜20.5g/100mLの範囲であり、18.8〜21.2g/100mLのスペックの十分範囲内であった。同様に、25%アルブミン(ロット1)の最終容器のタンパク質濃度は23.5〜24.1g/100mLの範囲であり、すべて23.5〜26.5g/100mLのスペックの範囲内であった。ロット2(25%アルブミン)の3つの最終容器のうち1つは27.3g/100mLのタンパク質濃度を有し、スペックよりも約0.8g/100mL高い。しかしながら、タンパク質濃度の小さな差は、最終容器アルブミン生成物の品質又は生成物のアルミニウム濃度に悪影響を与えないであろう。
熱安定性研究の結果(表16に示す)は、種々のダイアフィルトレーションpH値で実施例5及び6のように調製した20%及び25%アルブミンがすべてスペック濃度の範囲内(加熱の前後で外観上透き通っている、コントロールにおいて16NTU以下又は試料において21NTU以下)であることを示す。
【0044】
【表16】
Figure 2004521099
【0045】
最終的に、最終容器溶液のすべては、より高いpH値でダイアフィルトレーションしたアルブミン生成物の外観が市販スペック、透明性の要求、わずかな粘性、緑色又は琥珀色から淡黄色への溶液の変化する強度の範囲内であるかどうかを決定するために外観上調べられた。最終容器試料のすべては、透明性、琥珀色及びわずかな粘性であることが分かり、スペックパラメータの十分範囲内であった。
浄化したフラクションV溶液の8.8〜9.2の範囲のpH値でのダイアフィルトレーションは、最終アルブミン溶液のシトレート濃度を検出限界(29ppm又は0.10mM)未満に減少させ、アルミニウム濃度を最終アルブミン溶液の重要な特性を有意に変化させることなしに減少させる。
上記の実施例を見ても分かるように、pH調整したタンパク質溶液の純水でのダイアフィルトレーションは、シトレート及びアルミニウムイオンを除去する簡単かつ効果的な方法である。タンパク質溶液のpHを約7よりも大きく調整し、純水でダイアフィルトレーションすることによって、多価イオン、同様に一価イオン、塩、溶媒及びその他の低分子量分子が同時にタンパク質から除去される。
汚染物質をタンパク質溶液から除去する方法の例示的な実施態様の上記記述は本発明の実例である。しかしながら、当業者にとって明らかである変更のために、本発明が上記特定の実施態様に限定されることを意図しない。本発明の範囲は特許請求の範囲に定義される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施に従って純水でタンパク質溶液をダイアフィルトレーションするシステムの概略図である。
【図2】本発明の実施に従ってコーンフラクションV粉末からのダイアフィルトレーションしたアルブミン溶液の調製を示すフローチャートであり、pH6.2、8.8、9.0、又は9.2の純水でダイアフィルトレーションした場合のアルブミン溶液のシトレート及びアルミニウム濃度を試験するサンプリングポイントを示す。
【図3】異なる体積の脱イオン水でダイアフィルトレーションした浄化フラクションV溶液中のシトレートの低減に対するpH(6.2、8.8、9.0、又は9.2)の影響を示すグラフである。
【図4】pH8.8、9.0又は9.2での浄化フラクションV溶液中のシトレートの低減に対するダイアフィルトレーション体積の影響を示すグラフである。
【図5】異なる体積の脱イオン水でダイアフィルトレーションした浄化フラクションV溶液中のシトレートの低減に対するpH(6.2、9.0、又は9.2)の影響を示す。
【図6】実施例5のように調製した、脱イオン水でのダイアフィルトレーション前後の浄化フラクションV溶液中のシトレート及びアルミニウムイオンの低減に対するダイアフィルトレーションpHの影響を示すグラフである。
【図7】実施例6のように調製した、脱イオン水でのダイアフィルトレーション前後の浄化フラクションV溶液ロット1中のシトレート及びアルミニウムイオンの低減に対するダイアフィルトレーションpHの影響を示すグラフである。
【図8】実施例6のように調製した、脱イオン水でのダイアフィルトレーション前後の浄化フラクションV溶液ロット2中のシトレート及びアルミニウムイオンの低減に対するダイアフィルトレーションpHの影響を示すグラフである。
【図9】実施例5のように調製した20%アルブミン溶液(最終容器試料)中のシトレート及びアルミニウムイオンの低減に対するダイアフィルトレーションpHの影響を示すグラフである。
【図10】実施例6のように調製した25%アルブミン溶液(最終容器試料)ロット1中のシトレート及びアルミニウムイオンの低減に対するダイアフィルトレーションpHの影響を示すグラフである。
【図11】実施例6のように調製した25%アルブミン溶液(最終容器試料)ロット2中のシトレート及びアルミニウムイオンの低減に対するダイアフィルトレーションpHの影響を示すグラフである。
【図12】20%及び25%アルブミン溶液の調製の際に得られる試料の円偏光二色性(CD)スペクトルのオーバーレイプロットである。

Claims (33)

  1. タンパク質から多価イオンを除去する方法であって、
    タンパク質及び多価イオンを含む水溶液を用意する工程と、
    前記水溶液を約7〜約10のpHに調整する工程と、
    前記水溶液を純水でダイアフィルトレーションし、それによって多価イオンを含む濾液及びタンパク質を含む保持液を得る工程とを含む前記方法。
  2. 多価イオンがアルミニウム及びシトレートからなる群の少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
  3. タンパク質がアルブミン、免疫グロブリン、第VIII因子、第IX因子、アルファ−1−プロテイナーゼインヒビター、及びプロトロンビン複合体からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  4. 水溶液の体積の少なくとも約3倍の量の純水で水溶液をダイアフィルトレーションする請求項1に記載の方法。
  5. 水溶液の体積の少なくとも約5倍の量の純水で水溶液をダイアフィルトレーションする請求項4に記載の方法。
  6. 水溶液の重量の少なくとも約3倍の量の純水で水溶液をダイアフィルトレーションする請求項1に記載の方法。
  7. 水溶液の重量の少なくとも約5倍の量の純水で水溶液をダイアフィルトレーションする請求項6に記載の方法。
  8. 水溶液を約8.5〜約9.5のpHに調整する請求項1に記載の方法。
  9. 水溶液を約8.8〜約9.2のpHに調整する請求項8に記載の方法。
  10. 水溶液が可溶性コーンフラクションVである請求項1に記載の方法。
  11. タンパク質から多価イオンを除去する方法であって、
    タンパク質及び多価イオンを含む水溶液を原料タンクに入れて水溶液を約7〜約10のpHに調整する工程と、
    水溶液を原料タンクからダイアフィルトレーション装置に供給し、それによってタンパク質を含む保持液及び多価イオンを含む濾液を生成し、濾液を流量F1でダイアフィルトレーション装置から除去する工程と、
    保持液を原料タンクに移す工程と、
    純水を原料タンク中の保持液に加え、それによって希釈した保持液を得る工程とを含み、
    多価イオンがタンパク質から除去されるまで、希釈した保持液を原料タンクからダイアフィルトレーション装置に供給し、原料タンクに戻し、純水を加える工程を繰り返す前記方法。
  12. 多価イオンがアルミニウム、シトレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項11に記載の方法。
  13. タンパク質がアルブミン、免疫グロブリン、第VIII因子、第IX因子、アルファ−1−プロテイナーゼインヒビター、及びプロトロンビン複合体からなる群から選択される請求項11に記載の方法。
  14. タンパク質がアルブミンであり、多価イオンがシトレートである請求項11に記載の方法。
  15. タンパク質がアルブミンであり、多価イオンがアルミニウムである請求項11に記載の方法。
  16. 純水を水溶液の体積の少なくとも3倍の量で加える請求項11に記載の方法。
  17. 純水を水溶液の体積の少なくとも約5倍の量で加える請求項16に記載の方法。
  18. 純水を水溶液の重量の少なくとも3倍の量で加える請求項11に記載の方法。
  19. 純水を水溶液の重量の少なくとも約5倍の量で加える請求項18に記載の方法。
  20. 純水を約F1の流量で加える請求項11に記載の方法。
  21. 純水を約8.8〜約9.2のpHに調整する請求項11に記載の方法。
  22. アルブミンからシトレートイオンを除去する方法であって、
    アルブミン及びシトレートイオンを含む水溶液を用意する工程と、
    水溶液のpHを約7.0〜約10.0のpHに調整する工程と、
    pH調整した水溶液を純水でダイアフィルトレーションし、それによってアルブミンを含む保持液及びシトレートイオンを含む濾液を得る工程とを含む前記方法。
  23. 水溶液が可溶性コーンフラクションVである請求項22に記載の方法。
  24. 水溶液を約8.5〜約9.5のpHに調整する請求項22に記載の方法。
  25. 水溶液を約8.8〜約9.2のpHに調整する請求項24に記載の方法。
  26. pH調整した水溶液を水溶液の重量の少なくとも約5倍の量の純水でダイアフィルトレーションする請求項22に記載の方法。
  27. pH調整した水溶液を水溶液の体積の少なくとも約5倍の量の純水でダイアフィルトレーションする請求項22に記載の方法。
  28. アルブミンからアルミニウムイオンを除去する方法であって、
    アルブミン及びアルミニウムイオンを含む水溶液を用意する工程と、
    水溶液を約7.0〜約10.0のpHに調整する工程と、
    pH調整した水溶液を純水でダイアフィルトレーションし、それによってアルブミンを含む保持液及びアルミニウムイオンを含む濾液を得る工程とを含む前記方法。
  29. 水溶液が可溶性コーンフラクションVである請求項28に記載の方法。
  30. 水溶液を約8.5〜約9.5のpHに調整する請求項28に記載の方法。
  31. 水溶液を約8.8〜約9.2のpHに調整する請求項30に記載の方法。
  32. pH調整した水溶液を水溶液の重量の少なくとも約5倍の量の純水でダイアフィルトレーションする請求項28に記載の方法。
  33. pH調整した水溶液を水溶液の体積の少なくとも約5倍の量の純水でダイアフィルトレーションする請求項28に記載の方法。
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