JP2004520335A5 - - Google Patents

Download PDF

Info

Publication number
JP2004520335A5
JP2004520335A5 JP2002554680A JP2002554680A JP2004520335A5 JP 2004520335 A5 JP2004520335 A5 JP 2004520335A5 JP 2002554680 A JP2002554680 A JP 2002554680A JP 2002554680 A JP2002554680 A JP 2002554680A JP 2004520335 A5 JP2004520335 A5 JP 2004520335A5
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pharmaceutically acceptable
alkyl
compound
acceptable salt
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002554680A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004520335A (ja
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority claimed from PCT/US2001/044715 external-priority patent/WO2002053561A1/en
Publication of JP2004520335A publication Critical patent/JP2004520335A/ja
Publication of JP2004520335A5 publication Critical patent/JP2004520335A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Description

興奮性アミノ酸レセプターアンタゴニスト 発明の詳細な説明
哺乳動物の中枢神経系(CNS)において、神経インパルスの伝達は、発信ニューロンにより放出される神経伝達物質と、受容ニューロン上の表面受容体との間の相互作用により制御され、これが、この受容ニューロンの興奮を引き起こす。CNSにおいて最も豊富な神経伝達物質であるL−グルタミン酸は、哺乳動物における主要な興奮性経路を媒介し、興奮性アミノ酸(EAA)と呼ばれている。グルタミン酸に応答する受容体は、興奮性アミノ酸受容体(EAA受容体)と呼ばれている。WatkinsおよびEvans、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.、21、165(1981);Monaghan、Bridges、およびCotman、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.、29、365(1989);Watkins、Krogsgaard−Larsen、およびHonore、Trans. Pharm. Sci.、11、25(1990)を参照。興奮性アミノ酸は、生理学的に大変重要なものであり、長期的な増強(学習および記憶)、シナプス可塑性の発達、運動制御、呼吸、心臓血管調節、および知覚認知のような、様々な生理的プロセスにおける役目を果たす。
興奮性アミノ酸受容体は、2つの一般的なタイプに分類される。ニューロンの細胞膜におけるカチオンチャンネルの開口部に直接結合している(coupled)受容体は、「イオンチャンネル型(ionotropic)」と呼ばれている。このタイプの受容体は、少なくとも3つのサブタイプに細分されており、これらは、選択的アゴニストであるN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソオキサゾール−4−プロピオン酸(AMPA)、およびカイニン酸(KA)の脱分極作用により定義される。分子生物学的研究により、AMPA受容体が、集合して機能的なイオンチャネルを形成し得るサブユニット(GluR−GluR)から構成されることが確立されている。5個のカイニン酸受容体が同定されており、これらは高親和性(KA1およびKA2)ならびに低親和性(Glu、GluRおよび/またはGluRサブユニットから構成される)のいずれかとして同定されている(Bleakmanら、Molecular Pharmacology,49,No.4,581(1996))。第2の一般的なタイプの受容体は、G−タンパク質または第二メッセンジャーが結合している「代謝型(metabotropic)」興奮性アミノ酸受容体である。この第2のタイプは、ホスホイノシチド加水分解の増大、ホスホリパーゼDの活性化、c−AMP形成における増加または減少、およびイオンチャネル機能における変化をもたらす複数の(multiple)第二メッセンジャーシステムと関連している。SchoeppおよびConn、Trends in Pharmacol. Sci.、14、13(1993)。両方のタイプの興奮性アミノ酸受容体は、おそらく、興奮性経路にそって正常なシナプス伝達を媒介するだけでなく、発達の間および一生を通してのシナプス結合の変化に関与する。Schoepp、Bockaert、およびSladeczek、Trends in Pharmacol. Sci.、11、508(1990);McDonaldおよびJohnson、Brain Research Reviews、15、41(1990)。
興奮性アミノ酸受容体の過剰な、または不適当な刺激は、興奮毒性として知られているメカニズムによるニューロン細胞損傷または損失をもたらす。このプロセスは、種々の神経学的障害および病態におけるニューロン変性を媒介することが示唆されている。そのようなニューロン変性の医学的結果により、これらの変性性の神経学的プロセスの排除重要な治療目標となっている。例えば、興奮性アミノ酸受容体興奮毒性は、多数の神経性障害の病態生理学(心臓バイパス手術および移植の結果として生じる大脳欠損、卒中(stroke)、大脳虚血、外傷または炎症から生じる脊髄病変、周産期低酸素症、心停止および低血糖性ニューロン損傷の病因を含む)に関与している。さらに、興奮毒性は、慢性的な神経変性状態(アルツハイマー病、ハンティングトン舞踏病、遺伝性運動失調、AIDS誘発性痴呆、筋萎縮側索硬化症、特発性および薬物誘発性パーキンソン病ならびに目の損傷および網膜症を含む)に関与している。興奮毒性および/またはグルタミン酸機能不全に関連している他の神経学的障害としては、震顫を含む筋肉痙攣、薬物耐性および薬物使用中止、脳浮腫、痙攣性障害(癲癇、うつ病、不安および外傷後ストレス症候群、遅発性運動異状およびうつ病、精神分裂病、双極性障害、躁病および薬物中毒または耽溺に関連した精神病のような不安関連障害を含む)が挙げられる(包括的には、米国特許第5,446,051号および同第5,670,516号を参照のこと)。興奮性アミノ酸受容体アンタゴニストはまた、アレルギー性薬剤として、そして種々の形態の頭痛(群発性頭痛、緊張型頭痛、および慢性日常性頭痛を含む)の治療または予防に有用でありうる。さらに、公開されている欧州特許出願WO98/45720は、興奮性アミノ酸受容体興奮毒性が急性および慢性疼痛状態(激しい頭痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、外傷後頭痛)の病因に関与することを報告している。
また、三叉神経節、およびその関連する神経経路は、頭痛および特に偏頭痛のような頭部および顔面の痛みの知覚と関連している。Moskowitz(Cephalalgia,12,5−7,(1992))は、未知の要因が三叉神経節を刺激し、次いで頭部組織内の脈管構造を刺激し、これにより軸索から、脈管構造を刺激する血管活性神経ペプチドの放出が生じることを提案している。これらの神経ペプチドは、結果として頭痛が生じる髄膜の神経原性炎症を導く一連の事象を開始する。この神経原性炎症は、ヒトの急性偏頭痛を治療するために必要とされる用量と類似の用量でスマトリプタンによりブロックされる。しかし、このような用量のスマトリプタンは、スマトリプタンの付随の血管収縮特性の結果としての禁忌と関連している(MacIntyre,P.D.ら、British Journal of Clinical Pharmacology,34,541−546(1992)、Chester,A.H.ら、Cardiovascular Research,24,932−937(1990)、Conner,H.E.ら、European Journal of Pharmacology,161,91−94(1990)を参照のこと)。近年、イオンチャネル型グルタミン酸受容体のカイニン酸型サブタイプの5つのメンバー全てがラット三叉神経節ニューロン上で発現され、特に高レベルのGluRおよびKA2が観察されていることが報告されている(Saharaら、The Journal of Neuroscience,17(17),6611(1997))。このように、偏頭痛は、グルタミン酸受容体興奮毒性と関係し得るさらに別の神経性障害を提示する。
興奮性アミノ酸受容体アンタゴニストのような神経保護剤の使用は、上記の障害全ての治療または予防、および/あるいはこれらの障害と関連した神経学的損傷の量を減少させる際に有用であると考えられる。例えば、AMPA受容体アンタゴニストが、局所的および全体的虚血モデルにおいて神経保護的であることを示す研究がある。競合的AMPA受容体アンタゴニストNBQX(2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ[f]キノキサリン)は、全体的および局所的虚血損傷の予防に有効であると報告されている。Sheardownら、Science,247,571(1900)、Buchanら、Neuroreport,2,473(1991)、LePeilletら、Brain Research,571,115(1992)。非競合的AMPA受容体アンタゴニストGKYI52466は、ラットの全体的な虚血モデルにおいて有効な神経保護剤であると示されている。LaPeilletら、Brain Research,571,115(1992)。欧州特許出願公開番号第590789A1号および米国特許第5,446,051号および同第5,670,516号は、特定のデカヒドロイソキノリン誘導体化合物がAMPA受容体アンタゴニストであり、それ自体が疼痛および偏頭痛を含む多数の障害状態の治療に有用であることを開示している。WO98/45270は、特定のデカヒドロイソキノリン誘導体化合物がiGluR受容体の選択的アンタゴニストであり、種々のタイプの疼痛(重篤性、慢性、難治性および神経障害性疼痛を含む)の治療に有用であることを開示している。
本発明に従い、本発明者らはiGluR受容体サブタイプの選択的アンタゴニストであり、それゆえ上記の多数の神経学的障害または神経変性疾患の治療に有用であり得る新規な化合物を発見した。このような選択的アンタゴニストは、神経学的障害に対する安全かつ有効な治療に関する長い間の切実な必要性に、付随の副作用を伴うことなく対処し得る。神経学的障害および神経変性疾患の治療は本発明により促進される。
発明の要旨
本発明は、式I:
Figure 2004520335
により表される化合物またはその製薬上許容される塩もしくはプロドラッグを提供する。
好ましい実施態様において、本発明は、式Ia:
Figure 2004520335
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、(C−C20)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルアリール、(C−C)アルキル(C−C10)シクロアルキル、(C−C)アルキル−N,N−C−Cジアルキルアミン、(C−C)アルキル−ピロリジン、(C−C)アルキル−ピペリジン、または(C−C)アルキルモルホリンであるが、ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素以外である]
により表される化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
特に好ましい実施態様において、本発明は式Iまたは式Ia(ここで、式Iおよび式Iaは上記定義に従う)のD−(−)−マンデル酸塩を提供する。
別の実施態様において、本発明は神経学的障害または神経変性状態の治療方法または予防方法を提供し、この方法はその治療を必要とする患者に式Iまたは式Iaの化合物、またはその製薬上許容される塩を有効量投与することを含む。このような神経学的障害または神経変性状態の例としては、次のものが挙げられる。心臓バイパス手術および移植の結果として生じる大脳欠損、卒中(stroke)、大脳虚血、外傷または炎症から生じる脊髄損傷、周産期低酸素症、心停止、低血糖性ニューロン損傷、アルツハイマー病、ハンティングトン舞踏病、遺伝性運動失調、AIDS誘発性痴呆、筋萎縮側索硬化症、特発性および薬物誘発性パーキンソン病、目の損傷および網膜症、振戦を含む筋肉痙攣、薬物耐性および退薬、脳浮腫、癲癇を含む痙攣性障害(ジスキネジー)、うつ病、不安および外傷後ストレス症候群のような不安関連障害、遅発性運動異状、うつ病、精神分裂病、双極性障害、躁病および薬物中毒または耽溺に関連した精神病、群発性頭痛、緊張型頭痛、および慢性日常性頭痛を含む頭痛、偏頭痛、急性および慢性疼痛状態(激しい頭痛、難治性疼痛、神経因性疼痛および外傷後頭痛を含む)。
具体的には、本発明は偏頭痛を治療または予防する方法を提供し、この方法はそのような治療を必要とする患者に有効量の式IまたはIaの化合物、もしくはその製薬上許容される塩を投与することを含む。
より具体的には、本発明は偏頭痛を治療または予防する方法を提供し、この方法はそのような治療を必要とする患者に有効量の式IまたはIaのD−(−)−マンデル酸塩を投与することを含む。
本発明はまた、式Iaの化合物を製造する方法を提供し、この方法は、構造式(2):
Figure 2004520335
[式中、Rは本明細書中の定義に従い、Pgは適切な窒素保護基であり、LgOは適切な脱離基である]
により表される化合物を適切な溶媒中で適切な塩基と混合し、次いで構造式(3):
Figure 2004520335
[式中、Rは本明細書中の定義に従う]
により表される化合物を加え、次いで構造式(5):
Figure 2004520335
により表される化合物へと酸化させた後、ハロゲン化および窒素保護基を除去する工程を含む。
さらに、本発明は、神経学的障害または神経変性状態の治療に有用な式Iおよび式Iaの化合物(製薬上許容される塩およびその水和物を含む)の医薬組成物を提供し、これは活性成分として式Iまたは式Iaの化合物を、製薬上許容されるキャリア、希釈剤または賦形剤とともに含有する。また、本発明は式Iおよび式Iaの化合物の合成のための新規な中間体、および合成方法を包含する。
より具体的には、本発明は偏頭痛の治療または予防に有用な医薬組成物を提供し、活性成分として式Iおよび式IaのD−(−)−マンデル酸塩を1種以上の製薬上許容されるキャリア、希釈剤または賦形剤と共に含有する。
また、本発明は、神経学的障害または神経変性状態を治療または予防するための医薬の製造のための、式Iまたは式Iaの化合物の使用を提供する。
より具体的には、本発明は、偏頭痛を治療または予防するための医薬の製造のための、式Iまたは式Iaの化合物の使用を提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、選択的iGluR受容体アンタゴニストとして機能的な化合物ならびにその製薬上許容される塩、プロドラッグおよび組成物を提供する。
さらに、本発明は、神経学的障害または神経変性状態の治療方法を提供する。特に、本発明は偏頭痛の治療方法を提供し、これは特定の作用機序である神経性硬膜タンパク質管外遊出の阻害により証明され得る。他の興奮性アミノ酸受容体と比較してiGluR受容体に対する選択的アンタゴニストである化合物または組成物を用いて偏頭痛患者を治療することにより、スマトリプタンの5−HT様媒介型血管収縮活性を最適化するように設計されている薬剤に付随する副作用を伴うことなく偏頭痛を媒介する神経性管外遊出を阻害する。
当業者であれば、本発明の方法に有用な化合物は全て、プロドラッグ製剤に利用可能であることを理解する。本明細書中で用いる用語「プロドラッグ」は、式Iの化合物またはインビボでプロドラッグが式Iにより提供される親化合物へと(例えば、加水分解、酸化的、還元的または酵素的切断により)変換されるように構造的に修飾されている化合物を意味する(例えば、カルボン酸(薬物)または親ジカルボン酸であり得る場合)。このようなプロドラッグは、例えば、カルボン酸基を有する親化合物の代謝的に不安定なエステルまたはジエステル誘導体であり得る。本発明はこのようなプロドラッグ(例えば、代謝的に不安定なエステルまたはジエステルの式Iの化合物の誘導体)を含むことが理解されるべきである。全ての場合において、本明細書中に記載の化合物のプロドラッグとしての使用が意図され、これはしばしば好ましく、それゆえ用いる化合物の全てのプロドラッグが本明細書中の化合物の名称中に含まれる。好ましいプロドラッグは式Iの化合物のジエステル誘導体を含む。適切なプロドラッグの選択および製造に便利な方法は、当業者に周知である。
より具体的には、本発明の範囲内に含まれると理解される式Iのプロドラッグの例は、以下の式Ia:
Figure 2004520335
[RおよびRは、各々独立して、水素、(C−C20)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルアリール、(C−C)アルキル(C−C10)シクロアルキル、(C−C)アルキル−N,N−C−Cジアルキルアミン、(C−C)アルキル−ピロリジン、(C−C)アルキル−ピペリジンまたは(C−C)アルキルモルホリンを表すが、ただし、RおよびRの少なくとも1方は水素以外である]
により表される化合物またはその製薬上許容される塩である。
本発明の選択的iGluR受容体アンタゴニストは製薬上許容される塩として存在し得ること、従って塩自体が本発明の範囲内に含まれることが理解される。本明細書中で使用される用語「製薬上許容される塩」は、本発明により提供されるまたは用いられ、生存生物に対して実質的に非毒性である、化合物の塩を意味する。代表的な製薬上許容される塩には、本発明の化合物と製薬上許容される無機もしくは有機酸との反応、または有機もしくは無機塩基との反応により製造される塩が挙げられる。このような塩は、酸付加塩および塩基付加塩として公知である。
当業者であれば、本発明で用いる化合物のほとんどまたは全てが塩を形成し得ること、および遊離塩基よりもしばしば容易に結晶化し精製されるので、塩形態の医薬が一般的に用いられることを理解する。全ての場合において、本明細書中に記載の医薬の塩としての使用は本明細書の説明において意図され、そしてしばしば好ましく、そして全ての化合物の製薬上許容される塩がその名称中に含まれる。
酸付加塩を形成するために通常使用される酸としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸など)および有機酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、マンデル酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、蓚酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、琥珀酸、クエン酸、安息香酸、酢酸など)である。このような製薬上許容される塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、蓚酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩(dioate)、ヘキシン−1, 6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、α−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩、ナパジシル酸塩(napadysilate)などである。好ましい製薬上許容される酸付加塩は、塩酸および臭化水素酸のような無機酸と形成される塩ならびにD−(−)−マンデル酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸塩、マレイン酸およびメタンスルホン酸のような有機酸と形成される塩である。
塩基付加塩としては、無機塩基(例えば、アンモニウムまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)に由来する塩が挙げられる。従って、本発明の塩の製造に有用な塩機としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。カリウムおよびナトリウムの塩の形態が特に好ましい。本発明の任意の塩の一部を形成する特定の対イオンは、通常、塩が全体として薬理学的に許容され、そして対イオンが全体として塩に望ましくない特性の一因とならない限り重要な性質のものではないことが認識されるべきである。このような塩は水和物として存在し得ることがさらに理解される。
本明細書中で使用する用語「立体異性体」は、同一の結合により結合された同一の原子から構成されているが、相互交換可能ではない異なる三次元構造を有する化合物を意味する。三次元構造は、立体配置と称される。本明細書中で使用される用語「エナンチオマー」は、分子が互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を意味する。用語「キラル中心」とは、4つの異なる基が結合している炭素原子を意味する。本明細書中で使用する用語「ジアステレオマー」は、エナンチオマーではない立体異性体を意味する。さらに、1つのキラル中心のみで異なる立体配座を有する2つの立体異性体は、本明細書中で「エピマー」と称する。用語「ラセミ体」、「ラセミ混合物」または「ラセミ変形」は、エナンチオマーの等部の混合物を意味する。
本明細書中で用いる用語「エナンチオマー濃縮(enrichment)」は、一方のエナンチオマーの他方と比較しての量の増加を意味する。達成されたエナンチオマー濃縮を表す簡便な方法は、エナンチオマー過剰、すなわち「ee」という概念であり、これは以下の等式を用いて見出される:
Figure 2004520335
(式中、Eは第1のエナンチオマーの量であり、Eは第2のエナンチオマーの量である)。従って、2つのエナンチオマーの最初の比が50:50(例えば、ラセミ混合物で存在する)であり、50:30の最終的な比を生じるに充分なエナンチオマー濃縮が達成されるならば、第1のエナンチオマーに関してのeeは25%である。しかしながら、最終的な比が90:10であるならば、第1のエナンチオマーに関するeeは80%である。eeは、90%より高いことが好ましく、95%より高いeeが最も好ましく、99%より高いeeが特に最も好ましい。エナンチオマー濃縮は、ガスまたはキラルカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーのような標準的な技術および手順を用いて当業者により簡単に決定される。エナンチオマー対の分離を果たすために必要な、適切なキラルカラム、溶離液および条件の選択は当業者の技術範囲内にある。さらに、式IまたはIaの化合物のエナンチオマーは、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」John WileyおよびSons,Inc.,1981に記載されるような当該分野において周知の標準的な技術を用いて当業者により分割され得る。
本発明の化合物は1つ以上のキラル中心を有し、種々の立体異性的な立体配座で存在し得る。これらのキラル中心の結果として、本発明の化合物はラセミ体、エナンチオマーの混合物および個々のエナンチオマーならびにジアステレオマーおよびジアステレオマーの混合物として生じる。このようなラセミ体、エナンチオマーおよびジアステレオマーは全て、本発明の範囲内にある。
用語「R」および「S」は、有機化学の分野で一般的に用いられるものを本明細書中において使用し、キラル中心の特定の立体配座を記載する。用語「R」(レクタス(右旋性))は、最も優先順位の低い基に向かう結合に沿って眺めた場合に基の優先順位(最も高いもの〜2番目に低いもの)が時計回りの関係にあるキラル中心の立体配置を意味する。用語「S」(シニスター(左旋性))は、最も優先順位の低い基に向かう結合に沿って眺めた場合に基の優先順位(最も高いもの〜2番目に低いもの)が逆時計回りの関係にあるキラル中心の立体配置を意味する。基の優先順位は、その原子番号(原子番号が減少する順番)に基づく。優先順位の部分的なリストおよび立体化学の議論は、「Nomenclature of Organic Compounds:Principles and Practice」(J.H.Fletcherら編、1974、103−120頁)に含まれている。
式Iおよび式Iaの化合物の特定の立体異性体およびエナンチオマーは、ElielおよびWilen、「Stereochemistry of Organic Compounds」、John Wiley&Sons,Inc.,1994,Chapter 7、Separation of Stereoisomers.Resolution.Racemization,ならびにColletおよびWilen、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley&Sons,Inc.,1981.に開示されるような周知の技術および方法を利用して当業者により製造され得る。例えば、特定の立体異性体およびエナンチオマーは、鏡像的および幾何学的に純粋、または鏡像的および幾何学的に富化された出発物質を用いて立体特異的合成により製造され得る。さらに、特定の立体異性体およびエナンチオマーは、この目的のために用いられる試薬により形成された付加塩のキラル固定相でのクロマトグラフィー、酵素的分割または分別再結晶化のような技術により分割および回収することができる。
本明細書中で用いる場合、用語「Pg」は、適切な窒素保護基を意味する。本明細書中で用いる適切な窒素保護基の例は、合成手順の間、窒素基を望ましくない反応から保護するまたはブロックすることを意図する基を意味する。用いる適切な窒素保護基の選択は、保護が必要とされる続いての反応工程において用いられる条件に依存し、当業者に周知である。一般的に用いられる窒素保護基は、Greene、「Protective Groups In Organic Synthesis」、(John Wiley&Sons,New York(1981))に開示される。適切な窒素保護基は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイルなどのようなアシル基、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル等のようなスルホニル基、ベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンゾヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのようなカルバメート形成基、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなどのようなアルキル基、ならびにトリメチルシリルなどのようなシリル基が挙げられる。好ましい適切な窒素保護基は、ホルミル、アセチル、メトキシカルボニル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)を含む。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルキル」は、1〜4個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル等を含むがこれらに限定されない。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルキル」は、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等を含むがこれらに限定されない。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C10)アルキル」は、1〜10個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、3級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、2,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、2,2−ジメチル−3−ペンチル、2−メチル−2−ヘキシル、オクチル、4−メチル−3−へプチル等を含むがこれらに限定されない。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C20)アルキル」は、1〜20個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、3−メチルペンチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルなど等を含むがこれらに限定されない。用語「(C−C)アルキル」、「(C−C)アルキル」および「(C−C10)アルキル」は、「(C−C20)アルキル」の定義内に含まれることが理解される。
本明細書中で用いる場合、用語「Me」、「Et」、「Pr」、「iPr」、「Bu」および「t−Bu」は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびtert−ブチルを意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルコキシ」は、1〜4個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を保有する酸素原子を意味し、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ等を含むがこれらに限定されない。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルコキシ」は、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を保有する酸素原子を意味し、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ等を含むがこれらに限定されない。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルキル(C−C)アルコキシ」は、脂肪族鎖に結合した(C−C)アルコキシ基を有する、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「ハロ(Halo)」、「ハロゲン化物(Halide)」または「Hal」は、特記しない限り、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素原子を意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルケニル」は、2〜6個の炭素原子を有する1価の直鎖または分枝鎖の不飽和脂肪族鎖を意味する。代表的なC−Cアルケニル基としては、エテニル(ビニルとしても公知)、1−メチルエテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、1−ヘキセニル、2−メチル−2−プロペニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−ブテニル、2−ペンテニルなどが挙げられる。
本明細書中で用いる場合、用語「アリール」は、1つ以上の縮合または非縮合フェニル環を含む1価の炭素環式基を意味し、例えば、フェニル、1−または2−ナフチル、1,2−ジヒドロナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなどが挙げられる。用語「置換アリール」は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル(C−C10)シクロアルキル、(C−C)アルキルアリール、(C−C)アルコキシカルボニル、保護カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、アミノ、アミノメチルまたはトリフルオロメチルからなる群から選択された1または2個の部分で置換されているアリール基を意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルキルアリール」は、脂肪族鎖に結合したアリール基を有する、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味する。用語「C−Cアルキルアリール」には、以下の式:
Figure 2004520335
により表されるもの、などが含まれる。
本明細書中で用いる場合、用語「アリール(C−C)アルキル」は、アリール基に結合した、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を有するアリール基を意味する。用語「アリール(C−C)アルキル」には、以下の式:
Figure 2004520335
により表されるもの、などが含まれる。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C10)シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子からなる1つ以上の縮合または非縮合環から構成される飽和炭化水素環構造を意味する。代表的なC−C10シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンタニルなどが挙げられる。
本明細書中で用いる場合、用語「C−Cアルキル(C−C10)シクロアルキル」は、脂肪族鎖に結合した(C−C10)シクロアルキルを有する、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味する。用語「C−Cアルキル(C−C10)シクロアルキル」には、以下の式:
Figure 2004520335
により表されるもの、などが含まれる。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルコキシカルボニル」は、酸素原子を通じてカルボニル炭素に結合した(C−C)アルキル基を有するカルボニル基を意味する。この基の例にはt−ブトキシカルボニル、メトキシカルボニルなどが挙げられる。
本明細書中で用いる場合、用語「ヘテロ環」は、酸素、硫黄および窒素からなる群から選択される、1〜4個のヘテロ原子を含有する5または6員環を意味する。環の残りの原子は、当業者は炭素と認識する。環は、飽和または不飽和でありうる。ヘテロ環基の例としては、チオフェニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリジアジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、ピリミジニル、イミダゾリジミル、モルホリニル、ピラニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。用語「置換へテロ環」は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル(C−C10)シクロアルキル、(C−C)アルキルアリール、(C−C)アルコキシカルボニル、保護カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、アミノ、アミノメチルまたはトリフルオロメチルからなる群から選択された1または2個の部分で置換されているヘテロ環基を意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「N,N−C−Cジアルキルアミン」は、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖2個で置換されている窒素原子を意味する。用語「N,N−C−Cジアルキルアミン」には、−N(CH、−N(CHCH、−N(CHCHCH、−N(CHCHCHCHなどが含まれる。
本明細書中で用いる場合、用語「C−Cアルキル−N,N−C−Cジアルキルアミン」は、脂肪族鎖に結合したN,N−C−Cジアルキルアミンを有する、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味する。用語「C−Cアルキル−N,N−C−Cジアルキルアミン」には、以下の式:
Figure 2004520335
により表されるもの、などが含まれる。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルキル−ピロリジン」は、脂肪族鎖に結合したピロリジンを有する、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味する。用語「(C−C)アルキル−ピロリジン」の範囲内には、以下の式:
Figure 2004520335
により表されるもの、などが含まれる。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルキル−ピペリジン」は、脂肪族鎖に結合したピペリジンを有する、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味する。用語「(C−C)アルキル−ピペリジン」の範囲内には、以下の式:
Figure 2004520335
により表されるもの、などが含まれる。
本明細書中で用いる場合、用語「(C−C)アルキル−モルホリン」は、脂肪族鎖に結合したモルホリンを有する、1〜6個の炭素原子の1価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族鎖を意味する。用語「(C−C)アルキル−モルホリン」の範囲内には、以下の式:
Figure 2004520335
により表されるもの、などが含まれる。
以下の記号
Figure 2004520335
は、紙面から前方に突出している結合を意味する。
以下の記号
Figure 2004520335
は、紙面から後方に突出している結合を意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「iGluR」は、興奮性アミノ酸受容体の大きいクラスの、カイニン酸イオンチャネル(ionotropic)型グルタミン酸受容体サブタイプ5を意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「偏頭痛」は、再発性の頭痛(これは腫瘍または卒中から生じるもののように、構造的な脳の異状により引き起こされるものではない)、胃腸障害、および視覚障害のような神経学的症状の可能性により特徴付けられる神経系の障害を意味する。通常、偏頭痛の特徴的な頭痛は、1日持続し、一般的には吐き気、嘔吐、および羞明が付随する。
偏頭痛は、「慢性」状態または「急性」エピソードを示し得る。本明細書中で使用する用語「慢性」は、ゆっくりとした進行と長期持続の状態を意味する。そのような場合、診断され、治療が疾患の経過にわたって継続する場合に慢性状態は処置される。逆に、用語「急性」は、短期間の悪化した事象または発作、続いて軽減期間を意味する。従って、偏頭痛の治療は、急性事象および慢性状態の両方を意図する。急性事象では、化合物は症状の発症時に投与され、症状が消失した場合は中止される。上記のように、慢性状態は疾患の経過にわたって治療される。
本明細書中で使用する場合、用語「患者」はマウス、アレチネズミ、モルモット、ラット、イヌまたはヒトのような哺乳動物を意味する。しかし、好ましい患者はヒトであることが理解される。
本明細書中で用いる場合、用語「選択的iGluR受容体アンタゴニスト」には、iGluRAMPA受容体サブタイプと比較してiGluRカイニン酸受容体サブタイプに選択的に結合する興奮性アミノ酸受容体アンタゴニストが含まれることが理解される。好ましくは、本発明の方法に従って用いるための選択的iGluRアンタゴニストは、iGluRに対するよりも、iGluRに対して少なくとも10倍高い、より好ましくは少なくとも100倍高い結合親和性を有する。選択的iGluR受容体アンタゴニストは、簡単に入手することができるか、または以下の認知されている方法で当業者は簡単に製造することができる。例えば、WO98/45270は、選択的iGluR受容体アンタゴニストの例を提供し、合成方法を開示する。
本明細書用いる場合、用語「治療すること」、「治療」および「治療する」は、それぞれ、症状を緩和する、一過的または永久的のいずれかの理由に基づいて生じた症状の原因を排除する、および記載の障害の生じた症状の発生を予防する、遅延させるまたはその進行もしくは重傷度を逆転させることを意味する。このように本発明の方法は治療的および予防的投与の両方を含む。
本明細書中で用いる場合、用語「有効量」は、診断または治療において患者に所望の効果を提供する、1回または複数回の患者への投薬投与における化合物の量または投与量を意味する。有効量は、公知技術の使用、および類似の状況下で得られた結果を観察することにより、当業者としての担当医により簡単に決定することができる。投与する化合物の有効量または投薬量を決定する際には、以下に記載のものを含む(しかしこれらに限定されるわけではない)多数の因子を担当医は考慮する:哺乳動物の種類、そのサイズ、年齢および全体的な健康、関連する偏頭痛の関与の程度または重篤度、個々の患者の反応、投与する特定の化合物、投与様式、投与製剤のバイオアベイラビリティ特性、選択した投与レジメ、付随する医療の使用および他の関連する状況。
代表的な日用量は、本発明の方法の治療に用いる各化合物を約0.01mg/kg〜約100mg/kg含有する。好ましくは、日用量は約0.05mg/kg〜約50mg/kgであり、より好ましくは、約0.1mg/kg〜約25mg/kgである。
経口投与は、選択的iGluR受容体アンタゴニストとして作用し得る化合物を単独で投与しようとも、または組合せとして投与しようとも、本発明で用いる化合物に好ましい投与経路である。しかし、経口投与は唯一の経路ではなく、唯一の好ましい経路ですらない。他の好ましい投与経路としては、経真皮的(transdermal)、経皮的(percutaneous)、静脈内、筋肉内、鼻内、経頬粘膜または直腸内経路が挙げられる。選択的iGluR受容体アンタゴニストは、化合物の組合せとして投与され、化合物のうちの1つは1つの経路(例えば、経口)で投与され、他のものは特定の状況の必要に応じて、経真皮的、経皮的、静脈内、筋肉内、鼻内、肺内、経頬粘膜または直腸内経路により投与され得る。投与経路は、化合物の物理的特性および患者および介護者の都合により、多少なりとも変更され得る。
本発明で用いる化合物は医薬組成物として投与され得、それゆえ、式Iまたは式Iaの化合物を組み込む医薬組成物は本発明の重要な実施態様である。このような組成物は、製薬上許容される任意の物理形態を取り得るが、経口投与される医薬組成物が特に好ましい。このような医薬組成物は、活性成分として式Iまたは式Iaの化合物(製薬上許容される塩、プロドラッグ、およびその水和物を含む)を有効量含み、この有効量は投与され得る化合物の日用量と関連している。各投薬単位は、所定の化合物の日用量を含み得るか、または日用量の一部(例えば、用量の1/2または1/3)を含有し得る。各投薬単位に含まれる各化合物の量は、治療のために選択された特定の化合物の個性、および他の因子(例えば、与えられる指示)に依存する。本発明の医薬組成物は、周知の方法を用いることにより、患者への投与後の活性成分の即時、徐放または遅延放出を提供するように処方され得る。
好ましくは、組成物は、各投薬が各化合物を個別に約1〜約500mg含有している単位投薬形態か、または単一単位投薬形態で製剤化され、より好ましくは約5〜約300mg(例えば、25mg)である。用語「単位投薬形態」は、患者に対する集約した投薬として適する物理的に別個の単位を意味し、各単位は適切な医薬キャリア、希釈剤または賦形剤と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含有する。
医薬組成物の不活性成分および製剤様式は、従来的なものである。薬学科学において使用される通常の製剤方法が本発明において使用され得る。通常のタイプの組成物のすべてが使用され得、これには錠剤、咀嚼錠、カプセル剤、液剤、非経口液剤、鼻内スプレーまたは散剤、トローチ、坐剤、経(真)皮パッチおよび懸濁剤が挙げられる。一般的に、組成物は合計約0.5%〜約50%の化合物を含有し、これは所望の用量および使用される組成物のタイプに依存する。しかしながら、化合物の量は「有効量」として最も良く定義されている。すなわち、その処置を必要としている患者に望ましい用量を提供する各化合物の量である。本発明で使用される化合物の活性は組成物の性質に依存しないので、組成物は便利さおよび経済性のみに関して選択され、製剤化される。
カプセル剤は、化合物を適切な希釈剤と混合し、適当な量の混合物をカプセル中に充填することにより製造される。有用な希釈剤としては、不活性な粉末物質(例えば、デンプン、粉末セルロース特に結晶性および微結晶性セルロース等)、糖(フルクトース、マンニトールおよびスクロース等)、穀粉(grain flours)および類似の食用粉末)が挙げられる。
錠剤は、直接圧縮、湿潤造粒または乾燥造粒により製造される。通常、これらの製剤は希釈剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤ならびに化合物をくみこむ。代表的な希釈剤としては、例えば、種々のタイプのデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウムのような無機塩および粉末糖が挙げられる。粉末セルロース誘導体もまた有用である。典型的な錠剤結合剤は、デンプン、ゼラチンおよび糖(例えば、ラクトース、フルクトース、グルコースなど)のような物質である。天然および合成のガムもまた好都合であり、これには、アカシア、アルギナート、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。ポリエチレングリコール、エチルセルロースおよびワックスもまた、結合剤として使用され得る。
錠剤は、しばしば、矯味矯臭剤およびシーラントとしての糖と共にコーティングされる。化合物はまた、製剤中にマンニトールのような味の良い物質を大量に使用することにより咀嚼錠として製剤化され得、これは現在はよく確立されている方法である。即時溶解錠剤様製剤もまた、患者が投与形態を確実に摂取するため、および固体物質の嚥下に困る患者の困難性を避けるために、現在頻繁に使用されいている。
滑沢剤は、金型中での錠剤およびパンチのスティッキングを防ぐために錠剤製剤に必要とされることが多い。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸および水素化植物油のような滑り易い固体から選択される。
錠剤崩壊剤は、湿潤した場合に膨張して錠剤を破壊し、化合物を放出させる物質である。これらには、デンプン、クレイ(clay)、セルロース、アルギンおよびガムが挙げられる。より具体的には、例えば、トウモロコシおよびバレイショデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木質セルロース(wood cellulose)、粉末天然界面(powdered natural sponge)、カチオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、オレンジパルプ(citrus pulp)およびカルボキシメチルセルロース、ならびにラウリル硫酸ナトリウムが使用され得る。
しばしば、腸溶性製剤が胃の強酸内容物から活性成分を保護するために使用される。このような製剤は、固体投薬形態を酸環境には不溶性であるが塩基性環境には可溶性であるポリマーフィルムでコーティングすることにより作製される。例示的なフィルムは、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである。
坐剤として化合物が投与されることが望ましい場合、通常の基剤が使用され得る。カカオ脂は伝統的な坐剤基剤であり、これはワックスの添加により改変されてわずかに融点を上昇し得る。特に種々の分子量のポリエチレングリコールを含有する水混和性の坐剤基剤もまた、広範に使用されている。
経(真)皮パッチは近年、一般的になっている。代表的には、これらは薬物が溶解している、または部分的に溶解している樹脂構成部分を有し、これはこの構成部分を保護するフィルムにより皮膚と接触して保持されている。近年、当該分野において多数の特許があらわれた。また、他の、より複雑なパッチ組成物、特に浸透作用により薬物が汲み上げられる無数の孔があいているメンブレンを備えたものが使用されている。
以下の表は本発明で使用される化合物を用いるために適している製剤の代表的なリストを提供する。以下は、単に本発明を例示するためだけに提供され、いかなる意味においても本発明の範囲の限定は意図しない。
処方例1
ゼラチン硬カプセルを、以下の成分を使用して作製する。
Figure 2004520335
上記の成分を混合し、460mgの量でラチンカプセルに充填する。
処方例2
錠剤を、以下の成分を使用して作製する。
Figure 2004520335
構成成分をブレンドし、圧縮して各々665mgの錠剤を成形する。
処方例3
以下の成分を含有するエアロゾル溶液を作製する。
Figure 2004520335
活性化合物をエタノールと混合し、混合物をプロペラント22の一部に添加し、−30℃まで冷却し、充填デバイスに移す。次いで、必要とされる量をステンレス鋼容器に充填し、残りのプロペラントで希釈する。次いで、バルブユニットを容器に取りつける。
処方例4
各々60mgの活性成分を含有する錠剤を以下のように作製する。
Figure 2004520335
活性成分、デンプンおよびセルロースをNo.45メッシュU.S.ふるいに通し、徹底的に混合する。ポリビニルピロリドン溶液を得られた散剤と混合し、次いでNo.14メッシュU.S.ふるいに通す。そのようにして作製した顆粒を50℃で乾燥させ、No.18メッシュU.S.ふるいに通す。次いで、予め、No.60メッシュU.S.ふるいに通しておいたカルボキシメチルデンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを、混合後、顆粒に添加し、打錠機で圧縮して、各々150mgの重量の錠剤を得る。
処方例5
各々80mgの医薬を含有するカプセル剤を以下のように作製する。
Figure 2004520335
活性成分、セルロース、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムをブレンドし、No.45ふるいに通し、200mgの量でゼラチン硬カプセルに充填する。
処方例6
各々225mgの活性成分を含有する坐剤を以下のように作製することができる
Figure 2004520335
活性成分をNo.60メッシュU.S.ふるいに通し、必要な最小限の熱を使用して予め融解した飽和脂肪酸グリセリド中に懸濁する。次いで、混合物を、公称2g容量の坐剤型に注ぎ、冷却させる。
処方例7
5mlの投薬量あたり各々50mgの医薬を含有する坐剤を以下のように製造する。
Figure 2004520335
医薬をNo.45メッシュU.S.ふるいに通し、滑らかなペーストを形成するためにカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびシロップと混合する。安息香酸溶液、香料および着色料をいくらかの水で希釈し、攪拌しながら添加する。次いで、充分な水を添加して必要とされる体積を作製する。
処方例8
静脈内製剤を以下のように作製することができる
Figure 2004520335
当業者であれば、上記の方法が、式Iまたは式Iaの化合物を有効量で患者に投与することを含む、神経性障害または神経変性状態(特に偏頭痛)の治療方法に簡単に適用されうることをも理解する。
式IおよびIaの化合物は、例えば、以下の反応式Iの範囲に記載の方法により製造され得る。これらの反応式は、いかなる様式においても本発明の範囲を制限することは意図しない。特記しない限り、全ての置換基は先の定義に従う。試薬および出発物質は当業者は簡単に入手できる。例えば、特定の必須の出発物質は、当業者であれば、米国特許第5,356,902号(1994年10月18日発行)および同第5,446,051号(1995年8月29日発行)に開示の方法に従って製造することができる。
Figure 2004520335
反応式I、工程Aにおいて、化合物(1)の6−(ヒドロキシメチル)−2−(メトキシカルボニル)デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート(式中、Pgは先に定義した適切な窒素保護基であり、メトキシカルボニルが好ましい)を標準条件下で、式Lg−Hal(ここで、Lgは適切な脱離基であり、Halはクロロ、ブロモまたはヨード原子を表す)の化合物で処理して構造式(2)の化合物を得る。例えば、適切な有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)に溶解し、0℃まで冷却した化合物(1)の溶液を、過剰な適切な有機塩基(例えば、トリエチルアミン)、続いて約1〜2当量の式Lg−Halの化合物で処理する。Lg−Halの例には、m−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、p−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、p−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリドなどが挙げられる。(さらに、当業者であれば、クロロ、ブロモまたはヨードのようなハロ原子自体もまた、LgOの代わりに適切な脱離基として使用され得ることを理解する。)反応混合物を室温まで昇温させ、約5〜20時間攪拌する。次いで、化合物(2)を、標準的手段を用いて単離する。例えば、反応混合物を水で洗浄し、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗化合物(2)を得る。次いで、カラムクロマトグラフィーを、適切な溶離液(例えば、10〜50%酢酸エチル/ヘキサン)を用いるシリカゲルで行って精製化合物(2)を得る。
反応式I、工程において、化合物(2)を標準条件下で構造式(3)のピロリジンを用いて処理し、式(4)の化合物を得る。例えば、化合物(2)を、約1〜1.5当量の4−ヒドロキシ−L−プロリンエチルエステル(Rはエチルである)および1〜1.5当量の炭酸カリウムと混合し、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)中で約60〜70時間、加熱還流する。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を取り除く。次いで、化合物(4)を、標準的手段(例えば、抽出技術)を用いて単離する。例えば、反応混合物を水および有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル)の間で分配し、水層をジエチルエーテルで2〜6回抽出する。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して化合物(4)を得る。次いで、化合物(4)を適切な溶離液(例えば、10〜50%酢酸エチル/ヘキサンまたはメタノール/クロロホルム)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製することができる。
あるいは、工程Bにおいて、構造式(3)のピロリジンを適切な樹脂ろ過ケークと合わせ、得られた混合物を構造式(2)の化合物で処理して構造式(4)の化合物を得ることができる。例えば、アンバーライトIRA 67樹脂を水で処理し、次いで攪拌し、ろ過し、ろ過ケークを適切な溶媒(例えば、アセトン)で、洗浄物の水含量が約5重量%未満になるまで洗浄する。ろ過ケークを4−ヒドロキシ−L−プロリンエチルエステルヒドロクロリドおよびアセトンと合わせ、混合物を室温で約1〜2時間攪拌する。次いで、混合物をろ過し、ろ過ケークを再度、アセトンで洗浄する。次いで、ヒドロキシプロリンエチルエステルのろ過溶液を直接用いてもよい。アンバーライトIRA 67樹脂の水中のスラリーを攪拌し、混合物をろ過する。ろ過ケークを適切な溶媒(例えば、アセトン)で、洗浄物の水含量が約5重量%未満になるまで洗浄する。次いで、この第2のろ過ケークを、上記由来のヒドロキシプロリンエチルエステル溶液および化合物(2)の溶液と合わせ、混合物を加熱還流してもよい。約24時間後、反応系を冷却し、ろ過する。ろ過ケークをジクロロメタン(約300mL)で洗浄し、合わせたろ液を減圧下で濃縮する。ついで、残渣をジクロロメタンから数回濃縮して油状物として化合物(4)を得、これを次の工程に直接用いる。
反応式I、工程Cにおいて、化合物(4)を標準条件下で酸化して構造式(5)の化合物を得る。例えば、ジクロロメタン溶液を五酸化リンを用いて処理し、反応系を約−10℃まで冷却させる。ジメチルスルホキシドを攪拌しながら添加し、次いで反応混合物をジクロロメタンに溶解した化合物(4)の溶液で処理する。反応系を、約4〜5時間かけて約20〜22℃まで昇温させ、約8〜20時間攪拌し、約0℃まで冷却し、次いで、反応系の温度が約5℃未満を維持するような速度でトリエチルアミンを用いて処理する。反応系を室温まで昇温させ、約1時間攪拌し、次いで反応系の温度が約10℃未満を維持するような速度で0.1M HClの溶液に添加する。次いで、化合物(5)を、標準的な方法を用いて単離する。例えば、追加のジクロロメタンを反応混合物の一部(partition)に加える。次いで、水層をジクロロメタンで2〜6回抽出し、有機層を合わせ、1M NaHCOで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して化合物(5)を得る。次いで、粗物質を適切な溶離液(例えば、トルエン中10〜50%酢酸エチルまたはメタノール/ジクロロメタン)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製することができる。
反応式I、工程Dにおいて、化合物(5)をフッ素化(flourinate)して構造式(6)の化合物を得る。例えば、化合物(5)のエタノール溶液を適切な有機溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン)に溶解し、Deoxofluor([ビス−(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄三フッ化物)で処理し、室温で約20〜25時間攪拌する。次いで、反応混合物を濃NaHCO溶液で処理し、約15分間攪拌する。層を分離し、水層をトルエンで2〜6回抽出する。層を分離し、有機層を合わせ、ろ過し、NaSOで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して構造式(6)の化合物を得る。次いで、粗物質を適切な溶離液(例えば、(50:50)トルエン/ヘプタンおよびまたはトルエン中10〜50%酢酸エチル)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製することができる。
反応式I、工程Eにおいて、構造式(6)の化合物を当該分野において周知の標準条件下で脱保護して式Iaの化合物を得る。例えば、Pgがメトキシカルボニル保護基である場合、窒素雰囲気下で化合物(6)を適切な有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)に溶解し、トリメチルシリルヨウ化物を用いて処理する。反応混合物を室温まで昇温させ、10〜20時間、攪拌する。飽和水性NaHCOを加えることにより反応系をクエンチする。次いで、水層をジクロロメタンで2〜6回抽出する。次いで有機層を合わせ、1Nチオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して式Iaの化合物を得る。次いで、物質を適切な溶離液(例えば、メタノール/ジクロロメタン)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、精製した式Iaの化合物を得ることができる。
反応式I、工程Fにおいて、場合により、式Iaの化合物を式Iの化合物へと当該分野において周知の条件下で加水分解することができる。例えば、式Iaの化合物を適切な有機溶媒(例えば、メタノール)中に溶解し、過剰な適切な塩基で処理する。適切な塩基の例としては、水性水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、水酸化リチウムが好ましい。反応系を約10〜20時間攪拌する。次いで、1N HClを用いて反応混合物をpH6まで中性化し、減圧下で濃縮して精製していない式Iの化合物を得る。次いで、この物質を適切な溶離液を用いるクロマトグラフィーのような当該分野において周知の技術により精製することができる。
反応式I、工程Gにおいて、場合により、化合物(6)を同時に脱保護および加水分解して式Iの化合物を得ることができる。例えば、6.0N HClに溶解した化合物(6)の溶液を約15〜20時間、加熱還流する。次いで、反応混合物を室温まで冷却させ、減圧下で濃縮して式Iの化合物を得る。次いで、式Iの化合物をカチオン交換クロマトグラフィー(メタノール/水、続いてメタノールまたはエタノール中2Nアンモニアで溶離)のような当該分野において周知の技術により精製して、精製した式Iの化合物を得ることができる。
さらに、当業者であれば、式Iの化合物を標準条件下でエステル化して式Iaの化合物を得ることができることを認識する。例えば、式Iの化合物を適切な有機溶媒(例えば、エタノール)中に溶解し、過剰な適切な酸で処置することができる。適切な酸の例としては、気体塩酸、水性硫酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられるが、気体塩酸が好ましい酸である。反応混合物を適切な時間、加熱還流する。次いで、反応混合物を、例えば減圧下で濃縮して精製していない式Iaの化合物を得る。次いで、この物質を、カチオン交換クロマトグラフィー(メタノール/水、続いてエタノール中2Nアンモニアで溶離)のような当該分野において周知の技術により精製して、精製した式Iaの化合物を得ることができる。
本発明の式Iおよび式Iaの化合物は、一般的な中間体である6−ヒドロキシメチル−2−メトキシカルボニル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレートから化学的に合成することができる。同様に、この中間体は、6−オキソ−2−メトキシカルボニル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸中間体から化学的に合成することができ、この合成は米国特許第4,902,695号、同第5,446,051号および同第5,356,902号(この全内容を、参照により完全に本明細書中に組み込む)に記載されている。
本発明の化合物の合成に有用な6−(ヒドロキシメチル)−2−(メトキシカルボニル)デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体の合成経路を、以下の反応式IIaおよびIIbに示す。
Figure 2004520335
反応式IIa、工程Aにおいて、6−オキソ−デカヒドロキノリン−3−カルボン酸を、メチルトリフェニルホスホニウムブロミドで処理して、6−メチリジン−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸の化合物(i−a)を得る。例えば、1当量の6−オキソ−2−メトキシカルボニル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸および約1.4当量のメチルトリフェニルホスホニウムブロミドのTHFおよびDMF中のスラリーを、窒素雰囲気下で機械的に攪拌し、−10℃まで冷却する。tert−ブトキシドカリウム溶液(THF中2.4当量)を10分間滴下する。スラリーを室温まで昇温させ、次いで2.5時間攪拌する(TLCによるとこの時点で完了)。反応系を水およびEtOAcで分配し、層を分離する。有機相を水で2回抽出し、水性部分を合わせ、ジクロロメタンで2〜6回洗浄する。6M HCl溶液の添加により水溶液を酸性にし、ジクロロメタンで2〜6回抽出する。これらの最後3回の有機抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して構造式(i−a)の化合物を得る。
反応式IIa、工程Bにおいて、中間体6−メチリデン−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(化合物(i−a))を、式R−Br(式中、Rは本明細書中の定義に従う)の化合物との反応によりエステル化して化合物(ii)の6−メチリジン−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体を得る。例えば、6−メチリデン−2−メトキシカルボニル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸をアセトニトリルに溶解し、トリエチルアミンおよびブロモエタンで処理する。反応系を50℃で約3時間加熱し、冷却し、そして50:50酢酸エチル/ヘプタンおよび1N HCLの間で分配する。有機相を単離し、水、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して構造式(ii)の化合物を得る。この粗物質を10%酢酸エチル/ヘプタンに溶解し、シリカゲルのプラグにかける(10%酢酸エチル/ヘプタン中10g)。プラグを、10%酢酸エチル/ヘプタン、15%酢酸エチル/ヘプタンおよび25%酢酸エチル/ヘプタンで溶出する。溶出液を合わせ、減圧下で濃縮して精製した構造式(ii)の化合物を得る。
反応式IIa、工程Cにおいて、6−メチリジン−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体(化合物(ii))をヒドロホウ素化、ついで酸化に供し、化合物(1)の6−ヒドロキシメチル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体を得る。例えば、エチル−6−メチリジン−2−メトキシカルボニルデカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレートをTHFに溶解し、窒素雰囲気下で攪拌しながら約−15℃に冷却する。1M BH・THF溶液を5〜7分かけて滴下し、反応混合物を−10〜−12℃で約2時間、攪拌する。次いで、反応系を適切な塩基(水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウム)でゆっくりと処理し、次いで15分かけてゆっくりと30%Hで処理する。反応混合物を室温まで昇温させ、次いで酢酸エチルおよび50%飽和塩化ナトリウム溶液の間で分配する。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を重硫酸ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して化合物(1)の中間体を得る。
あるいは、6−ヒドロキシメチル−2−メトキシカルボニル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体(化合物(1))は、反応式IIbに記載の合成経路に従って製造され得る。反応式IIb、工程Aにおいて、6−オキソ−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸を、式R−Br(式中、Rは本明細書中に定義する通りである)の化合物との反応によりエステル化して6−オキソ−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体の化合物(i−b)を得る。例えば、6−オキソ−2−メトキシカルボニル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸をアセトニトリルに溶解し、トリエチルアミンおよびブロモエタンで処理する。反応系を50℃で約3時間加熱し、冷却し、そして50:50酢酸エチル/ヘプタンおよび1N HCLの間で分配する。有機相を単離し、水、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して構造式(i−b)の化合物を得る。この粗物質を10%酢酸エチル/ヘプタンに溶解し、シリカゲルのプラグにかける(10%酢酸エチル/ヘプタン中10g)。プラグを、10%酢酸エチル/ヘプタン、15%酢酸エチル/ヘプタンおよび25%酢酸エチル/ヘプタンで溶出する。溶出液を合わせ、減圧下で濃縮して精製した構造式(i−b)の化合物を得る
反応式IIb、工程Bにおいて、化合物(i−b)の6−オキソ−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体をメチルトリフェニルホスホニウムブロミドで処理して化合物(ii)の6−メチリジン−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレートを得る。例えば、1当量の6−オキソ−2−メトキシカルボニル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート(化合物(i−b))および約1.4当量のメチルトリフェニルホスホニウムブロミドのTHFおよびDMF中のスラリーを窒素雰囲気下で機械的に攪拌し、−10℃まで冷却する。tert−ブトキシドカリウム溶液(THF中2.4当量)を10分かけて滴下する。スラリーを室温まで昇温させ、次いで2.5時間攪拌する(TLCによるとこの時点で完了)。反応系を水およびEtOAcの間で分配し、層を分離する。有機相を水で2回抽出し、水性部分を合わせ、ジクロロメタンで2〜6回洗浄する。6M HCl溶液の添加により水性溶液を酸性にし、ジクロロメタンで2〜6回抽出する。これらの最後3回の有機抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して構造式(ii)の化合物を得る。
反応式IIb、工程Cにおいて、上記の反応式IIa、工程Cに記載の方法に従って、6−メチリジン−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体(化合物(ii))をヒドロホウ素化、ついで酸化に供し、化合物(1)の6−ヒドロキシメチル−デカヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート中間体を得る。
以下の製造例および実施例は、本発明の化合物及び方法を例示する。試薬および出発物質は当業者であれば簡単に入手できる。これらの実施例は単なる例示であり、決して本発明の範囲を制限することを意図しない。本明細書中で使用する場合、以下の用語は記載の意味を有する。「i.v.」は静脈内を意味する。「p.o.」は経口を意味する。「i.p.」は腹膜内を意味する。「eq」または「equiv」は、当量を意味する。「g」はグラムを意味する。「mg」はミリグラムを意味する。「L」はリットルを意味する。「mL」はミリリットルを意味する。「μL」はマイクロリットルを意味する。「mol」はモル濃度を意味する。「mmol」はミリモル濃度を意味する。「psi」は1インチ平方あたりのポンドを意味する。「mmHg」は水銀柱ミリメートルを意味する。「min」は分を意味する。「h」または「hr」は、時間を意味する。「℃」は、摂氏度を意味する。「TLC」は薄層クロマトグラフィーを意味する。「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味する。「R」は保持因子(retention factor)を意味する。「Rt」は保持時間を意味する。「δ」はテトラメチルシランからの下部領域の1/100万分の1を意味する。「THF」はテトラヒドロフランを意味する。「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味する。「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味する。「aq」は水性を意味する。「EtOAc」は酢酸エチルを意味する。「iPrOAc」は酢酸イソプロピルを意味する。「MeOH」はメタノールを意味する。「MTBE」はtert−ブチルメチルエテルを意味する。「RT」は室温を意味する。「K」は酵素−アンタゴニスト複合体の解離定数を意味し、リガンド結合の指標として役立つ。「ID50」および「ID100」、それぞれ、生理的応答において50%および100%の減少を生じる投与治療薬剤の用量を意味する。
製造例1
[3S,4aR,6S,8aR]−6−メチリジン−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸の製造
Figure 2004520335
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(12.4g,34.6mmol)のTHF(25mL)中のスラリーを、窒素雰囲気下で−10〜−12℃まで冷却し、攪拌しながらシリンジを用いてヘキサメチルジシラジドナトリウム(sodium hexamethyldisilazide)(THF中1M溶液、35mL)で6〜8分間、処理する。次いで、反応混合物を−10℃〜−12℃で20分間攪拌し、3〜4分かけてDMF(20mL)中に溶解した[3S,4aR,6S,8aR]−6−オキソ−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(10.0g,26.6mmol)[これは、予め、ヘキサメチルジシラジドナトリウム(THF中1M溶液、27mL)で0℃〜3℃で処理されており、10分間攪拌している]にカニューレを介して加え、窒素雰囲気下0〜3℃まで冷却する。続いて、ヴィティヒ試薬を入れたフラスコをTHF(3mL)でリンスし、これを反応混合物に加える。次いで、反応混合物を5分間0〜3℃で攪拌し、室温まで昇温させ、さらに3時間攪拌する。酢酸エチル(100mL)および水(50mL)を攪拌しながら加え、次いで層を分離する。有機層を水(50mL)で抽出し、合わせた水性部分を塩化メチレン(5×75mL)で洗浄する。次いで、水性部分を6M HCl(15mL)で処理し、塩化メチレン(3×50mL)で抽出する。有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して表題化合物を黄色油状物として得る(6.59g,98%)。
[3S,4aR,6S,8aR]−6−メチリデン−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸の別の製造方法
THF(150mL)およびDMF(25mL)中[3S,4aR,6S,8aR]−6−オキソ−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(50.0g,0.133mol,1.0当量)およびメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(66.4g,0.186mol,1.4当量)のスラリーを窒素雰囲気下で機械的に攪拌し、−10℃まで冷却する。tert−ブトキシドカリウム溶液(THF中1.7M、187mL、0.319mol、2.4当量)を10分かけて滴下する。この添加の間、穏やかに発熱し、その結果、反応温度が6℃まで上昇する。スラリーを室温まで昇温させ、2.5時間攪拌する(TLCによるとこの時点で完了)。反応系を水(250mL)およびEtOAc(250mL)間で分配し、層を分離する。有機相を水(2×100mL)で抽出し、水性部分を合わせ、ジクロロメタン(5×300mL)で洗浄する。6M HCl溶液(50mL)を加えることにより水溶液を酸性にし、ジクロロメタン(3×150mL)で抽出する。この最後の3回の有機抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して表題化合物を黄色フィルムとして得た(36.17g)。プロトンNMRによる生成物の推定有効量(potency)は、修正収率に関しては89重量%(残りは残留溶媒)である(32.2g、95.6%)。
製造例2
[3S,4aR,6S,8aR]−6−メチリジン−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチルの製造
Figure 2004520335
[3S,4aR,6S,8aR]−6−メチリジン−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(6.59g、26.0mmol、製造例1で製造)をアセトニトリル(26mL)に溶解し、トリエチルアミン(7.25mL,52mmol)およびブロモエタン(5.82mL,78mmol)で処理する。反応系を50℃で約3時間加熱し、冷却し、50:50 酢酸エチル/ヘプタン(100ml)および1N HCL(75mL)で分配する。有機相を単離し、水(3×30mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(30mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して粗表題化合物を琥珀色の油状物として得る。この粗物質を10%酢酸エチル/ヘプタン(15mL)に溶解し、シリカゲルのプラグ(10%酢酸エチル/ヘプタン中10g)にかける。プラグを、10%酢酸エチル/ヘプタン(10mL)、15%酢酸エチル、/ヘプタン(15mL)および25%酢酸エチル/ヘプタン(90mL)で溶出する。溶出液を合わせ、減圧下で濃縮して精製表題化合物を無色の油状物として得る(6.84g,91%)。
製造例3
[3S,4aR,6S,8aR]−6−(ヒドロキシメチル)−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチルの製造
Figure 2004520335
[3S,4aR,6S,8aR]−6−メチリジン−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル(2.0g,7.11mmol、製造例2で製造)を、窒素雰囲気下で攪拌しながらTHF(10mL)およびヘプタン(2mL)に溶解し、約−15℃まで冷却する。1MBH・THFのTHF溶液(3.91mL,3.91mmol)を5〜7分かけて滴下し、反応系を約2〜4時間、−10〜―14℃で攪拌する。反応系をエタノール(1.25mL)で2分かけて処理し、次いで20℃まで昇温させる。次いで、反応系を、1M LiOH溶液(3.91mL)でゆっくりと処理し、続いて30%Hをゆっくりと添加(反応系の温度が30℃未満を維持するような速度で1.2mLを添加)する。反応混合物を室温で30〜45分間攪拌し、ついで酢酸エチル(12mL)と10%重亜硫酸ナトリウム溶液(14mL)の間で分配する。有機層を10%重亜硫酸ナトリウム溶液(16mL)、ブライン(8mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して表題化合物を無色油状物として得る(2.01g)。
実施例1
3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・D−(−)−マンデル酸
Figure 2004520335
A.以下の式:
Figure 2004520335
により表される化合物の製造
[3S,4aR,6S,8aR]−6−(ヒドロキシメチル)−2−(メトキシカルボニル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル(37.5g,0.125mol)およびトリエチルアミン(35.0mL,0.25mol)のEtOAc(94mL)溶液を、0〜2℃に維持したp−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(28.6g,0.125mol)のEtOAc(94mL)溶液に滴下する(滴下時間:30分)。反応系を室温まで昇温させ、約2.5時間攪拌し、次いで水(100mL)、1M HCl(100mL)およびブライン(20mL)の添加によりクエンチする。層を分離し、有機相を1M NaHCO溶液(150mL)、ブライン(150mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させる。減圧下での濃縮により表題化合物を油状物として得る(58.9g,97%)。H NMR(CDCl)δ8.41(2H,d),8.05(2H,d),4.38(t,1H),4.17(m,2H),3.97m,2H),3.69(s,3H),3.39(m,2H),2.12(m,1H),1.85(m,3H),1.55(m,5H),1.25(m,5H)。
B.以下の式:
Figure 2004520335
により表される化合物の製造
アンバーライト(Amberlite)IRA67樹脂(334.7g)を水(約680mL)で処理し、攪拌する。混合物をろ過し、ろ過ケークを、洗浄物中の水含量が5重量未満になるまでアセトンで洗浄する。このろ過ケークをヒドロキシプロリンエチルエステルHCl(72.7g,0.372mol)およびアセトン(700mL)と合わせ、混合物を室温で約1〜2時間攪拌する。混合物をろ過し、ろ過ケークをアセトン(300mL)で洗浄する。このヒドロキシプロリンエチルエステルのろ過溶液を直接用いる。アンバーライトIRA 67樹脂(465g)の水(約900mL)中スラリーを攪拌し、次いで混合物をろ過する。ろ過ケークを、洗浄物中の水含量が5重量未満になるまでアセトンで洗浄する。このろ過ケークを、上記由来のヒドロキシプロリンエチルエステル溶液および上記工程A由来の化合物(100g,0.206mol)のEtOAc(約150mL)溶液と合わせ、混合物を加熱還流する。約24時間後、反応物を冷却し、ろ過する。ろ過ケークをジクロロメタン(約300mL)で洗浄し、合わせたろ液を減圧下で濃縮して残渣をジクロロメタンから数回濃縮して表題化合物を油状物として得、これを次の工程に直接用いる。
C.以下の式:
Figure 2004520335
により表される化合物の製造
ジクロロメタン(約230mL)を五酸化リン(117.2g,0.825mol)で処理し、混合物を約−10℃まで冷却する。ジメチルスルホキシド(96.8g,1.24mol)を反応系の温度が約−10℃を維持するような速度で混合物に加える。反応系を−10℃で攪拌し、反応系の温度が約−10℃未満を維持する速度で上記工程B由来の化合物のジクロロメタン(約230mL)溶液で処理する。反応系を、約20〜22℃まで、数(4〜5)時間かけて昇温させ、一晩攪拌し、次いで約0℃まで冷却し、反応系の温度が約5℃未満を維持するような速度でトリエチルアミン(83.5g,0.825mol)で処理する。反応系を室温まで昇温させ、1時間攪拌する。反応系を0.1M HCl溶液(約460mL、予め約0〜5℃に冷却)に反応系の温度が約10℃未満を維持するような速度で添加する。追加のジクロロメタン(約460mL)を加え、混合物を簡単に攪拌し、層を分離する。水性部分をジクロロメタン(約460mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を1M NaHCO(約460mL)で洗浄する。層を分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。粗生成物をシリカゲル60およびトルエン中35%EtOAcを用いるクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を油状物として得る(36.9g,504476から41%)。H NMR(CDCl)δ4.39(t,1H),4.18(m,4H),3.72(m,1H),3.70(s,3H),3.40(m,3H),3.00(d,1H),2.40−2.69(m,4H),2.08(m,1H),1.45−1.95(m,9H),1.30(m,6H),1.10(m,1H)。
D.以下の式:
Figure 2004520335
により表される化合物の製造
上記工程C由来の化合物(8.98g,0.0205mol)およびエタノール(0.227mL,0.0039mol)の1,2−ジクロロエタン(43mL)溶液をDeoxofluor([ビス(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄三フッ化物6.5mL,0.0353mol)で処理し、反応系を室温で約21時間攪拌する。反応系をNaHCOの飽和水(60mL)溶液で処理し、次いで、混合物を15分間攪拌する。層を分離し、水性部分をトルエン(約45mL)で抽出する。層を分離し、トルエンおよび1,2−ジクロロエタン溶液を合わせ、NaSOで乾燥させる。乾燥剤をろ過し、ろ過ケークをトルエン(約30mL)で洗浄する。ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を50:50 トルエン:ヘプタン(約17mL)に溶解し、次いで、溶液をシリカゲル60カラム(50:50 トルエン:ヘプタン中43g)にかける。カラムを、50:50 トルエン:ヘプタン(約230mL)、トルエン(約430mL)、トルエン中10%EtOAc(約240mL)およびトルエン中20%EtOAc(約86mL)で溶出する。純粋な化合物を含有する溶出物の画分を合わせ、減圧下で濃縮し、表題化合物をシロップとして得る(5.79g,61%)。H NMR(CDCl)δ4.35(m,1H),4.20(m,4H),3.70(s,3H),3.40(m,4H),2.78(m,1H),2.40−2.65(m,3H),2.30(m,1H),2.15(m,1H),1.70−1.95(m,4H),1.45−1.65(m,4H),1.30(m,6H),1.10(m,2H)。
E.3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル(遊離塩基)の製造
Figure 2004520335
3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・D−(−)−マンデル酸塩の製造
Figure 2004520335
上記工程Dの化合物(9.7g,0.021mol)の、ジクロロメタン(約70mL)およびトルエン(約30mL)の溶液を0〜5℃に冷却し、ヨードトリメチルシラン(12.7g,0.063mol)を滴下して処理する。反応系を室温まで昇温させ、約16時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。残渣をMTBE(メチルt−ブチルエーテル)から数回濃縮し、次いでMTBE(約70mL)およびトルエン(約30mL)に溶解し、飽和NaHCO(約100mL)、1Nチオ硫酸ナトリウム(約100mL)および水(約100mL)で洗浄する。有機層を減圧下で濃縮し、残渣をMTBEから数回濃縮し、次いでトルエン(約22mL)に溶解し、次いでD−(−)−マンデル酸(2.75g,0.181mol)のMTBE(約33mL)溶液で処理する。混合物を室温で約2時間攪拌し、次いで約−15℃まで冷却し、約2時間攪拌する。D−(−)−マンデル酸塩をろ過により回収し、冷MTBE(約73mL、約−15℃)で洗浄し、結晶固体になるまで乾燥させる(8.25g,71%)。H NMR(DMSOd)δ7.16−7.38(m,5H),4.72(s,1H),4.12(m,4H),3.65(m,1H),3.51(m,1H),3.33(m,1H),2.25−2.91(m,8H),1.85(m,2H),1.70(m,2H),1.34−1.86(m,5H),1.15−1.38(m,7H),0.81(m,1H)。
実施例2
3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・1,5−ナフタレンジスルホン酸の製造
Figure 2004520335
1,5−ナフタレンジスルホン酸テトラヒドレート(1.1g,3.05mmol)の還流エタノール(約5mL)溶液を、3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル(上記実施例1工程E由来の遊離塩基ジエステル化合物)(1.2g,3.0mmol)のエタノール(約5mL)溶液で処理し、混合物を結晶が形成し始めるまで加熱還流する(約5分)。反応系を冷却し、室温に約3日間静置する。生成物をろ過により回収し、エタノール(3×5mL)で洗浄し、乾燥させる(2.0g,96%)。生成物は、水またはメタノールから再結晶することができる。
実施例3
3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(カルボン酸)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸2塩酸塩の製造
Figure 2004520335
3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(カルボン酸)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(遊離塩基)の製造
Figure 2004520335
上記実施例1工程D由来の化合物(16.3g,0.0353mol)および6M HCl(170mL)の混合物を加熱還流し、反応系由来の蒸留物(約15mL)を3時間かけて回収する。反応系を冷却し、ジクロロメタン(2×50mL)で洗浄し、次いで活性炭(約8g)で処理し、次いで、60℃で30分間攪拌する。混合物を冷却し、Hyfloのパッドでろ過する。ろ過ケークを水(約50mL)で洗浄し、水性ろ液を合わせ、減圧下で固体になるまで濃縮する(14.2g)。この固体(8.61g,得た重量の61%)を2−プロパノールから濃縮し、次いで2−プロパノール(約43mL)で処理し、混合物を50℃で1時間加熱する。混合物を約0℃まで冷却し、30分間攪拌する。固体をろ過により回収し、冷2−プロパノール(20mL)で洗浄し、白色粉末まで乾燥させる(7.5g)。これは表題化合物の2塩酸塩である。この粉末(2.5g,得た重量の33.3%)を1N NaOH溶液(11.9mL)で処理し、次いで、溶液を減圧下で濃縮する。残渣をEtOHから濃縮し、次いで50:50 EtOH:EtOAcで処理する。混合物を約35℃まで昇温させ、次いで室温まで冷却し、1時間攪拌し、次いでろ過する。ろ過ケークを50:50 EtOH:EtOAc(5mL)で洗浄し、合わせたろ液を泡状物まで濃縮する。泡状物をEtOAcから濃縮し、次いでEtOAc(10mL)で処理し、攪拌する。表題化合物の遊離塩基をろ過により回収し、粉末まで乾燥させる(1.96g、修正有効量(potency corrected))。遊離塩基に関する収率計算値:1.96g÷0.333÷0.61=9.65gまたは79%。H NMR(DO+DCl)δ4.55(t,1H),4.07(m,1H),3.83(m,1H),3.65(m,1H),3.25(m,1H),2.95(m,4H),2.59(m,1H),1.89(m,3H),1.77(m,1H),1.65(m,1H),1.46(m,3H),1.35(d,1H),1.20(m,1H),0.84(m,1H)。
実施例4
iGluR受容体サブタイプが神経性タンパク質管外遊出(偏頭痛の機能的特徴)を媒介していることを確立するために、パネル化合物のiGluR受容体に対する結合親和性を、標準的方法を用いて最初に測定する。例えば、iGluR受容体アンタゴニストに作用する化合物の活性は、クローニングし、発現させたヒトiGIuR受容体での放射標識リガンド結合研究(Korczakら、1994,Recept.Channels 3;41−49)、および単離したばかりの(acutely isolated)ラット後根神経節ニューロンでの電流の全細胞電位クランプ電気生理学的記録(Bleakmanら、1996,Mol.Pharmacol.49;581−585)により測定することができる。次いで、iGluR受容体サブタイプに作用する化合物の選択性を、iGluR受容体でのアンタゴニスト活性を他のAMPAおよびカイニン酸受容体でのアンタゴニスト活性と比較することにより決定することができる。このような比較研究に有用な方法としては、ヒトGluR、GluR、GluRおよびGluR受容体での受容体−リガンド結合研究および機能的活性の全細胞電位クランプ電気生理学的記録(Fletcherら、1995,Recept.Channels 3;21−31)、ヒトGluR受容体での受容体−リガンド結合研究および機能的活性の全細胞電位クランプ電気生理学的記録(Hooら、Recept.Channels 2;327−338)ならびに単離したばかりの小脳プルキンエニューロンにおけるAMPA受容体(Bleakmanら、1996,Mol.Pharmacol.49;581−585)およびAMPA受容体を発現する他の組織(FletcherおよびLodge,1996,Pharmacol.Ther.70;65−89)での機能的活性の全細胞電位クランプ電気生理学的記録が挙げられる
A.iGluR5アンタゴニスト結合親和性プロフィール
ヒトiGluR受容体で安定にトランスフェクトした細胞株(HEK293細胞)を用いる。増加濃度のアンタゴニストによる[H]AMPAの置換を、iGluR、iGluR、iGluRおよびiGluR発現細胞で測定し、他方、[H]カイニン酸(KA)の置換をiGluR、iGluR、iGluRおよびKA2−発現細胞で測定する。推定アンタゴニスト結合活性(K)(μM)を、例えば、式Iまたは式Iaの化合物に関して測定する。選択性に関する指標として、iGluR AMPA受容体サブタイプへの結合親和性対iGluRカイニン酸受容体サブタイプへの結合親和性の比(iGluRでのK/iGluRでのK)もまた、測定される。本発明により提供される化合物は、iGluRに対して、iGluRに対するよりも高い結合親和性(より低いK)をしめし、好ましくは、iGluRに対するよりもiGluRに対して少なくとも10倍高い、より好ましくは少なくとも100倍高い結合親和性を示す。
実施例5
以下の動物モデルを、式Iまたは式Iaの化合物のタンパク質管外遊出阻害能力を測定するために使用することができる(偏頭痛のニューロンメカニズムの代表的な機能アッセイ)。
硬膜タンパク質管外遊出の動物モデル
A. Harlan Sprague−Dawleyラット(225〜325g)またはモルモット(Charles River Laboratoriesより)(225〜325g)をペントバルビタール酸ナトリウムを腹膜内投与(それぞれ、65mg/kgまたは45mg/kg)して麻酔し、ラットに関しては約3.5mmまたはモルモットに関しては約4.0mmに設定した切断バーを有する定位フレーム(David Kopf Instruments)に配置する。正中線矢状(sagital)頭皮切開の後、頭蓋骨を通して両側に2対の穴をドリルで開ける(ラットにおいては後方6mm、側面2.0および4.0mm、モルモットにおいては後方4mm、側面3.2および5.2mm、全てブレグマを基準として座標付する)。1対のステンレス鋼刺激電極(先端部を除いて絶縁されている)(Rhodes Medical Systems,Inc.)を、硬膜から9mm(ラット)または10.5mm(モルモット)の深さまで両方の大脳半球の穴を通して降下させる。
B. 大腿静脈を露出させ、一定投与量の試験化合物を、1ml/Kgの投与容量で静脈内(i.v.)注射するか、あるいは試験化合物を2.0ml/Kgの容量で胃管栄養法により経口投与(p.o.)する。i.v.注射の約7分後、さらに、Evans Blue(蛍光色素、用量50mg/Kg)を静脈内注射する。Evans Blueは血液中のタンパク質と複合体を形成し、タンパク質管外遊出についてのマーカーとして機能する。試験化合物の注射から正確に10分後、左三叉神経節を3分間、Model 273 定電圧(potentiostat)/定電流(galvanostat)(EG&G Princeton Applied Research)を用いて1.0mAの電流強度(5Hz,4m秒の持続時間)で刺激する。
C. 刺激15分後、生理食塩水20mLを用いて動物を放血により安楽死させる。頭骨の頂点を取り除いて硬膜の回収を簡単にする。膜サンプルを両方の半球から取り出し、水でリンスし、顕微鏡スライド上で平らに広げる。一旦乾燥させ、組織を70%グリセロール/水溶液とともにカバーガラスをかける。
D. 回折格子モノクロメーター(grating monchromator)および分光光度計を備えた蛍光顕微鏡(Zeiss)を用いて各サンプル中のEvans Blue色素の量を定量する。約535nmの励起波長を用い、600nmでの放出強度を測定する。顕微鏡に電動ステージを取り付け、そしてまたパーソナルコンピューターを連結する。これにより、各硬膜サンプルでの25点(500mmステップ)での蛍光測定における、コンピューター制御による該ステージの動きが容易となる。測定値の平均及び標準偏差をコンピューターにより測定する。
E. 三叉神経節の電気刺激により誘発される管外遊出は、同側性効果を有する(すなわち、三叉神経節が刺激された硬膜の側でのみ生じる)。それゆえ、硬膜の他方(刺激されていない)半分をコントロールとして使用することができる。刺激側からの硬膜への管外遊出量の、非刺激側での管外遊出量と比較しての割合(「管外遊出割合」)を計算する。生理食塩水のみを投与したコントロール動物は、ラットにおいて約2.0、およびモルモットにおいて約1.8の管外遊出割合を生じる。反対に、刺激側から硬膜への管外遊出を完全に阻害する化合物は約1.0の管外遊出割合を生じる。
F. 式Iおよび式Iaの各化合物について用量応答曲線を作製することができ、次いで管外遊出を50%(ID50)または100%(ID100)阻害する用量を概算することができる。化合物3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・二塩酸塩は、ラットに経口投与すると約0.01ng/KgのID100を生じる。

Claims (23)

  1. 式:
    Figure 2004520335
    により表される化合物の製薬上許容される塩、またはそのプロドラッグであって、製薬上許容される塩がD−(−)マンデル酸塩または1,5−ナフタレン二スルホン酸塩からなる群から選択される、塩またはプロドラッグ。
  2. 前記塩がD−(−)−マンデル酸塩である、請求項1に記載の製薬上許容される塩。
  3. 前記塩が1,5−ナフタレン二スルホン酸塩である、請求項1に記載の製薬上許容される塩。
  4. 3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(カルボン酸)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸・D−(−)−マンデル酸である化合物。
  5. 3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(カルボン酸)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸・1,5−ナフタレン二スルホン酸である化合物。
  6. 式:
    Figure 2004520335
    [式中、RおよびRは、各々独立して、水素、(C−C20)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルアリール、(C−C)アルキル(C−C10)シクロアルキル、(C−C)アルキル−N,N−C−Cジアルキルアミン、(C−C)アルキル−ピロリジン、(C−C)アルキル−ピペリジン、または(C−C)アルキル−モルホリンを表す。ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素以外である。]
    により表される化合物の製薬上許容される塩であって、製薬上許容される塩がD−(−)マンデル酸塩または1,5−ナフタレン二スルホン酸塩からなる群から選択される、製薬上許容される塩。
  7. およびRが各々独立して(C−C20)アルキルである、請求項6に記載の製薬上許容される塩。
  8. およびRが各々独立して(C−C)アルキルである、請求項7に記載の製薬上許容される塩。
  9. 前記塩がD−(−)−マンデル酸塩である、請求項8に記載の製薬上許容される塩。
  10. 前記塩が1,5−ナフタレン二スルホン酸塩である、請求項8に記載の製薬上許容される塩。
  11. 3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・D−(−)−マンデル酸である、化合物。
  12. 3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・1,5−ナフタレン二スルホン酸である、化合物。
  13. 請求項1に記載の製薬上許容される塩を有効量で、製薬上許容されるキャリア、希釈剤または賦形剤と共に含有する医薬組成物。
  14. 請求項6に記載の製薬上許容される塩を有効量で、製薬上許容されるキャリア、希釈剤または賦形剤と共に含有する医薬組成物。
  15. 偏頭痛の治療のための医薬の製造のための、請求項1に記載の製薬上許容される塩の使用。
  16. 製薬上許容される塩が[3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(カルボン酸)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸・D−(−)−マンデル酸である、請求項15に記載の方法。
  17. 製薬上許容される塩が[3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(カルボン酸)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸・1,5−ナフタレン二スルホン酸である、請求項15に記載の方法。
  18. 偏頭痛の治療のための医薬の製造のための、請求項6に記載の製薬上許容される塩の使用。
  19. 製薬上許容される塩が[3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・D−マンデル酸である、請求項18に記載の方法。
  20. 製薬上許容される塩が[3S,4aR,6S,8aR]−6−(((2S)−2−(エトキシカルボニル)−4,4−ジフルオロピロリジニル)メチル)−1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸エチル・1,5−ナフタレン二スルホン酸である、請求項18に記載の方法。
  21. 偏頭痛の治療のための請求項1に記載の製薬上許容される塩の使用。
  22. 偏頭痛の治療のための請求項6に記載の製薬上許容される塩の使用。
  23. 以下の式:
    Figure 2004520335
    [式中、R およびR は、各々独立して、水素、(C −C 20 )アルキル、(C −C )アルケニル、(C −C )アルキルアリール、(C −C )アルキル(C −C 10 )シクロアルキル、(C −C )アルキル−N,N−C −C ジアルキルアミン、(C −C )アルキル−ピロリジン、(C −C )アルキル−ピペリジン、または(C −C )アルキルモルホリンであるが、ただし、R およびR のうちの少なくとも1つは水素以外である]
    により表される化合物の製造方法であって、構造式(2):
    Figure 2004520335
    [式中、R は上記定義に従い、Pgは適切な窒素保護基であり、LgOは適切な脱離基である]
    により表される化合物を、適切な溶媒中で適切な塩基と合わせ、続いて構造式(3):
    Figure 2004520335
    [式中、R は上記定義に従う]
    により表される化合物を加え、続いて構造式(5):
    Figure 2004520335
    により表される化合物へと酸化し、続いてハロゲン化し、窒素保護基を除去することを包含する、方法。
JP2002554680A 2001-01-05 2001-12-20 興奮性アミノ酸レセプターアンタゴニスト Pending JP2004520335A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US26001401P 2001-01-05 2001-01-05
PCT/US2001/044715 WO2002053561A1 (en) 2001-01-05 2001-12-20 Excitatory amino acid receptor antagonists

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004520335A JP2004520335A (ja) 2004-07-08
JP2004520335A5 true JP2004520335A5 (ja) 2005-12-22

Family

ID=22987455

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002554680A Pending JP2004520335A (ja) 2001-01-05 2001-12-20 興奮性アミノ酸レセプターアンタゴニスト

Country Status (23)

Country Link
EP (1) EP1351955A1 (ja)
JP (1) JP2004520335A (ja)
KR (1) KR20030066797A (ja)
CN (1) CN1484642A (ja)
AR (1) AR035679A1 (ja)
BR (1) BR0116672A (ja)
CA (1) CA2431545A1 (ja)
CZ (1) CZ20031856A3 (ja)
DZ (1) DZ3460A1 (ja)
EA (1) EA200300770A1 (ja)
EC (1) ECSP034682A (ja)
HR (1) HRP20030544A2 (ja)
HU (1) HUP0302528A2 (ja)
IL (1) IL156138A0 (ja)
MX (1) MXPA03005981A (ja)
NO (1) NO20032973D0 (ja)
NZ (1) NZ525821A (ja)
PE (1) PE20020792A1 (ja)
PL (1) PL361934A1 (ja)
SK (1) SK8242003A3 (ja)
TW (1) TW591023B (ja)
WO (1) WO2002053561A1 (ja)
ZA (1) ZA200304311B (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5284957A (en) * 1992-09-03 1994-02-08 Eli Lilly And Company Excitatory amino acid receptor antagonists
JP2002505254A (ja) * 1998-02-06 2002-02-19 スミスクライン・ビーチャム・パブリック・リミテッド・カンパニー パロキセチン塩
GB9908175D0 (en) * 1999-04-09 1999-06-02 Lilly Co Eli Method of treating neurological disorders
DE60032905T2 (de) * 1999-07-06 2007-10-18 Eli Lilly And Co., Indianapolis Selektive iglur5 rezeptorantagonisten zur behandlung der migräne

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7157582B2 (en) Selective iGluR5 receptor antagonists
US6579886B2 (en) Selective iglur5 receptor antagonists
JP2004520335A5 (ja)
JP4132049B2 (ja) 興奮性アミノ酸レセプターアンタゴニスト
JP2004520335A (ja) 興奮性アミノ酸レセプターアンタゴニスト
US20040082606A1 (en) Excitatory amino acid receptor antagonists
US6855725B2 (en) Excitatory amino acid receptor antagonists
US6924294B2 (en) Excitatory amino acid receptor antagonists
JP2004522804A5 (ja)
EP1351689A2 (en) Derivatives of the (3s, 4ar, 6s, 8ar) 6-phenylamino-1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a-decahydroisoquinoline-3-carboxylic acid as excitatory amino acid receptor antagonists for the treatment of neurological disorders and neurodegenerative diseases
AU2002227021A1 (en) Excitatory amino acid receptor antagonists
ZA200109747B (en) Selective iGluR5 receptor antagonists for the treatment of migraine.