JP2004520112A - 皮膚に適用するホットメルト接着剤 - Google Patents

皮膚に適用するホットメルト接着剤 Download PDF

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Abstract

高分子量ゴムと、約60質量部より少ない液状希釈剤とを含んでなり、10 rad/s、25 ℃において約15×104ダイン/cm2より小さいG’を有する感圧ホットメルト接着剤組成物は、経皮的薬物送達用途を包含する、接着剤の皮膚適用 (例えば、外科用テープ) に有用である。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、特に皮膚適用ホットメルト感圧接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に適用する接着剤は室温において恒久的に粘着性であり、おだやかな圧力で皮膚に対して接着された物品を保持し、そして疼痛を引き起さずまたは接着剤残留物を付着させずに容易に除去されるべきである。有用な接着剤は、気候が熱いとき、発汗の間、または排液性創傷の環境において、ヒトの皮膚に十分に接着する必要がある。
【0003】
皮膚の毛髪で覆われた領域からの接着物品を痛みなしに除去することは特に困難である。このような領域について、粘弾性損失が最小である柔軟な接着剤を必要とする。ヒドロゲルはこのような目的で効果的に使用されてきているが、それら自身の欠点、例えば、高い価格、特別の包装および湿分 (典型的には全接着剤の約40%) を保持するための剥離層、ならびに湿度の変化に応答しての使用中の性質の変動を有する。
【0004】
普通に譲渡された米国特許第5,559,165号は、ヒドロゲルの好ましい特性を有するが、それらの使用に関連する欠点をもたないホットメルト感圧接着剤を提供することによって、技術水準を改良した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米国特許第5,559,165号はこの技術に対する実質的な寄与を表すが、皮膚適用において使用するためのホットメルト接着剤、特に皮膚から取り除く際に残留物のないホットメルト接着剤の改良および修飾が今だに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、経皮的薬物送達用途を包含する、接着剤の皮膚適用に特に適するホットメルト感圧接着剤を提供する。本発明は、従来この分野において知られておりかつ使用されている慣用のホットメルト感圧接着剤よりも、高い中央ブロックTgおよび少ない量の液状希釈剤、特に液状粘着付与剤を使用して配合されたホットメルト感圧接着剤がすぐれた皮膚接着を与え、かつ皮膚上により残る接着剤残留物が少ないという発見に基づく。
【0007】
本発明の1つの面は、感圧ホットメルト接着剤組成物に関する。この接着剤は、高分子量ゴムと、組成物の全質量に基づいて、約60質量部より少ない、より好ましくは約35〜約55質量部の液状希釈剤とを含んでなる、感圧ホットメルト接着剤組成物に関する。本発明の好ましい接着剤組成物は、約1〜約20質量部の高分子量ゴム状トリブロックまたはラジアルブロックコポリマー、0〜約20質量部の高分子量ジブロックゴム、0〜約10質量部の他の適合性高分子量ポリマー、0〜約30質量部の末端ブロック樹脂、0〜約60質量部より少ない油または他の液状中央ブロック希釈剤、0〜約60質量部の固体状粘着付与剤および0〜約3質量部の酸化防止剤を含んでなる。
【0008】
本発明の他の面は、感圧ホットメルト接着剤と、治療剤とを含んでなる経皮的薬物送達システムに関する。治療剤は、生理学的に活性であるが、薬学的に活性であっても、あるいは薬学的に活性でなくてもよい。1つの態様において、接着剤は生理学的活性剤の担体として働く。
【0009】
本発明のなお他の面は、接着剤層、治療剤および支持層を含んでなる経皮的薬物送達システムに関する。1つの態様において、薬物送達システムは剥離層も含む。薬物送達システムの他の態様において、送達すべき薬物は接着剤の中に混入される。
【0010】
本発明のなお他の面は、感圧ホットメルト接着剤と、生理学的活性剤とを含んでなる経皮的薬物送達システムを患者の体の表面に適用することを含んでなる、患者に治療剤を投与する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書において引用するすべての文献は、それらの全体において引用することによって本明細書の一部とされる。
【0012】
本明細書において使用するとき、用語「感圧接着剤」は、わずかの圧力を加えるとほとんどの支持体に瞬間的に付着し、恒久的に粘着性であり続ける粘弾性材料を意味する。ポリマーがそれ自体感圧接着剤の性質を有するか、あるいは粘着付与剤、可塑剤または他の添加剤と混合することによって感圧接着剤として機能する場合、このポリマーは本明細書において使用する用語の意味の範囲内において感圧接着剤である。
【0013】
好ましい接着剤は、一般に、約−30 ℃〜ほぼ室温、より好ましくは約−30 ℃〜約10 ℃の中央ブロックTgを有する。有用な接着剤は好ましくは10 rad/s (25 ℃) において約15×104ダイン/cm2より小さい、より好ましくは少なくとも約1×104、最も好ましくは約4〜10×104ダイン/cm2のG’ (貯蔵弾性率) を有する。低いG’は、粗い表面、例えば、皮膚を容易に湿す柔軟な接着剤を提供する。また、接着剤は好ましくは約1〜6×104ダイン/cm2のG”(損失弾性率) を有する。G”をこの範囲内に維持すると、適切な保持が保証されると同時に痛みを伴わない除去が保証されることが発見された。除去のとき、接着剤が凝集破壊しないことを保証するために、68.94kPa(10 psi)より大きい引張り強さが必要とされる。
【0014】
本明細書において使用するとき、用語「高分子量ゴム」は、トルエン中で20質量%の濃度で25 ℃において1Pa・s(1,000 cP)以上の粘度を有するゴムである。
【0015】
ここにおいて使用する高度に粘性のトリブロックコポリマーの場合において、それらはいっそう一般的立体配置A−B−Aを有し、ここでポリマーブロックAは、ホモポリマーとして20 ℃以上のガラス転移温度を有する、非エラストマーのポリマーブロックであるが、エラストマーのポリマーブロックBは部分的にまたは実質的に水素化されることができるイソプレンまたはブタジエンまたはそれらの混合物である。さらに、コポリマーは直鎖状または分枝鎖状であることができる。典型的な分枝鎖状構造は、中心ハブから外方に放射することができるか、あるいはそうでなければ一緒に連結することができる、少なくとも3つの分枝鎖を有する弾性部分を含有する。トリブロック成分の量は好ましくは約1〜約20質量部、より好ましくは約3〜約8質量部である。
【0016】
非エラストマーのブロックは、ビニルモノマー、例えば、ビニルアレン、ビニルピリジン、ビニルハライドおよびビニルカルボキシレート、ならびにアクリルモノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸のエステル、およびその他のホモポリマーまたはコポリマーを含んでなることができる。モノビニル芳香族炭化水素は、特にベンゼン系列、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルビニルベンゼンならびに2環式モノビニル化合物、例えば、ビニルナフタレンおよびその他の炭化水素を包含する。他の非エラストマーのポリマーブロックは、α−オレフィン、アルキレンオキシド、アセタール、ウレタン、およびその他から由来することができる。スチレンは好ましい。
【0017】
コポリマーの残部を構成するエラストマーのブロック成分は、例えば、米国特許第3,700,633号において教示されているように、水素化することができるイソプレンまたはブタジエンである。このブタジエンの水素化は部分的であるか、あるいは実質的に完結することができる。選択した条件を使用して、例えば、エラストマーのブタジエンを水素化するが、ビニルアレンポリマーブロックをそのように変性しないことができる。ポリマー連鎖に沿って実質的に均一に水素化し、それらのエラストマーおよび非エラストマーの両方のブロックを実際的に同一程度に、部分的にまたは実質的に完全に、水素化するように条件を選択することができる。高分子量ポリマーについていっそう重大な問題である、加工の間の分解を最小にするために、水素化されたポリマーは好ましい。
【0018】
本発明の高い粘度のトリブロックコポリマーは、ほぼ5:95以下〜約40:60以上の、広い範囲の非エラストマーの末端ブロック/エラストマーの中心ブロックの比を有することができる。本発明の新規な性質の1または2以上を達成するために利用できる、高い粘度のトリブロックコポリマーの例は、シェル・ケミカル・カンパニー (Shell Chemical Company)およびペクテン・ケミカル・カンパニー (Pecten Chemical Company) から商品名Kraton G 1651、Kraton G 1654、Kraton G 4600、Kraton G 4609およびその他で入手可能であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー (SEBS) である。また、(SEBS) ポリマーの他の銘柄は、このようなSEBSポリマーが必要な高い粘度を示すかぎり、本発明において利用できる。このようなSEBSポリマーは (高い粘度の) Kraton G 1855Xであり、これは0.92の比重、25 ℃においてトルエン中の25質量%の固形分溶液中で40Pa・s(40,000 cps)または25 ℃においてトルエン中の20質量%の固形分溶液中で約8〜約20Pa・s(約8,000〜約20,000 cps)のブルックフィールド粘度を有する。前に記載したように、典型的な比の値はKraton G 1651、1654、4600、および4609についてほぼ約33:67であり、そしてKraton G 1855Xについてほぼ約27:73であるが、これらの比は典型的な製品の規格値から広く変化することができる。
【0019】
接着剤はさらに20質量部までの、好ましくは3〜8質量部の一般的A−B立体配置 (ここでAおよびBは前に定義したとおりである) の高分子量 (すなわち、25 ℃、トルエン中20%において>1Pa・s(1,000 cps)の粘度) ジブロックポリマーを含有することが好ましい。両方共スチレン−エチレン−プロピレンのジブロックポリマーであるKraton G 1701XまたはG 1702Xは好ましい。Kraton G 1702Xは最も好ましい。接着剤配合物は多少のジブロックポリマーを含有することが好ましいが、ジブロックはこの系と適合性である他の高分子量ポリマーと完全にまたは一部分置換することができる。例えば、ポリイソブチレン (例えば、Vistanex、エクソンから)、ポリイソプレン (例えば、クラレから)、またはスチレン/ブタジエンコポリマー (例えば、Plioflex、グッドイヤーから) を約2〜10質量部の量で使用することができる。
【0020】
後述するように、1または2以上のブロックポリマーの特定ブロック (ドメイン) に関連させ、それに応じてそれらの部分の挙動を変更させるために、種々の添加剤が知られている。詳しくは、ポリマーの中央ブロックの部分またはドメイン (すなわち、「B−ブロック」) はほぼ室温より低いTgを有することが必要である。他の中央ブロックと適合性の成分、例えば、可塑化油および粘着付与剤を添加するとき、これらの成分はBドメインと結合してBドメインを膨潤させ、一般にそれらのTgを変化させる。大部分の感圧接着剤用途について、約0 ℃〜約25 ℃の範囲、好ましくは約15 ℃のTgは望ましい;しかしながら、本発明において使用するために、−30 ℃〜約10 ℃、より好ましくは約−20 ℃〜約0 ℃の中央ブロックTgが必要である。
【0021】
本発明の実施において、液状希釈剤の量は約60質量部より少ない。他の好ましい態様において、液状希釈剤の大部分は油である。好ましくは、使用する任意の液状希釈剤は油状希釈剤である。有用な希釈剤は特性が主として脂肪族であり、ポリマーの中央ブロックと適合性である。これらの材料中には下記のものが含まれる:可塑剤、例えば、パラフィン系およびナフテン系石油、高度に精製された無芳香族パラフィン系およびナフテン系食品および技術的銘柄のホワイトペトリウム鉱油、および液状粘着付与剤、例えば、ポリブテン、ポリプロペン、ポリテルペンなどの合成液状オリゴマー。合成系列のプロセス油は、中〜高分子量の恒久的に流動性の液体のモノオレフィン、イソパラフィンまたはパラフィンである、高粘度のオリゴマーである。液状可塑化または粘着付与希釈剤は、ポリテルペン、例えば、Wingtack 10 (グッドイヤーから入手可能である)、およびC5供給流に基づくEscorez2520 (エクソンケミカルから入手可能である) を包含する。他の液状希釈剤は、LIR 50として入手可能な (クラレから) ポリイソプレン、名称Indopolで入手可能なAmocoのポリブテンを包含するであろう。ホワイトパラフィン系油は最も好ましい。
【0022】
60質量部まで、好ましくは30〜50質量部の中央ブロックと適合性である固体状粘着付与剤 (すなわち、25 ℃以上の環球式軟化点を有するもの) も存在することができる。適当な粘着付与剤は任意の適合性樹脂またはそれらの混合物、例えば、下記のものを包含する: (1) 天然または変性ロジン、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、および重合ロジン; (2) 天然または変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル、例えば、淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、および重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステル; (3) 天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー、例えば、スチレン/テルペンおよびα−メチルスチレン/テルペン; (4) ASTM法E28,58Tにより測定して、約80〜150 ℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂;後者のポリテルペン樹脂は一般にテルペン炭化水素、例えば、ピネンとして知られている二環式モノテルペンをフリーデル−クラフツ触媒の存在下に適度に低い温度において重合することによって得られる;また、水素化ポリテルペン樹脂が包含される; (5) フェノール変性テルペン樹脂およびそれらの水素化誘導体、例えば、二環式テルペンおよびフェノールの酸性媒質中の縮合から生ずる樹脂生成物; (6) 約70〜135 ℃の環球式軟化点を有する脂肪族石油炭化水素;後者の樹脂は主としてオレフィンおよびジオレフィンから成るモノマーの重合から生ずる;また、水素化脂肪族石油炭化水素樹脂が包含される; (7) 脂肪族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;および (8) 脂肪族/芳香族または脂環族/芳香族のコポリマーおよびそれらの水素化誘導体。
【0023】
本発明において使用するために好ましい粘着付与剤は、ポリテルペン、例えば、Plocolyte A125 (ハーキュレスから);脂肪族樹脂、例えば、Wingtack 95 (グッドイヤーから);脂環族樹脂、例えば、Eastotac H100 (イーストマンから);および脂肪族/芳香族または脂環族/芳香族樹脂、例えば、ECR 149BまたはECR 179A (エクソンケミカルから) を包含する。脂肪族または脂環族樹脂は最も好ましいが、ロジン樹脂またはフェノール変性ポリテルペンは最も好ましくない。
特定の粘着付与剤の好ましさまたは選択は、大部分、使用する特定のコポリマーに依存する。
【0024】
さらに、接着剤の中に30質量部までの末端ブロック樹脂を混入することが望ましいことがある。末端ブロック樹脂は、接着剤を冷却した後、ゴムの非エラストマードメインの中に優勢に存在する樹脂である。このような樹脂の代表例は、混合C9石油蒸留流に基づく主として芳香族の樹脂、例えば、Picco材料 (ハーキュレスから入手可能である)、または芳香族モノマーの純粋なまたは混合したモノマー流に基づく樹脂、例えば、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、クマロンまたはインデンのホモポリマーまたはコポリマーである。商品名Kristalexで入手可能なα−メチルスチレンに基づく樹脂 (ハーキュレスから) は好ましい。存在する場合、末端ブロック樹脂は一般に5〜30質量部、好ましくは20質量部より少ない量で使用される。
【0025】
必要に応じて、0〜5質量%のワックス成分、例えば、記号A−Cで入手可能なポリエチレン (アライド−シグナルから) も存在することができる。使用する場合、ワックスは一般に少なくとも2質量部の量で存在する。
【0026】
最後に、ゴムに基づく感圧接着剤の製造において使用する酸化防止剤は典型的には約3質量部までの量で使用される。本発明において使用する適用可能な安定剤または酸化防止剤の例は、高分子量ヒンダードフェノールおよび多官能価フェノール、例えば、硫黄およびリンを含有するフェノールである。ヒンダードフェノールは当業者によく知られており、フェノール性ヒドロキシル基に密に近接して立体的に嵩高の残基も含有するフェノール系化合物として特徴づけることができる。特に、t−ブチル基は一般にベンゼン環上にフェノール性ヒドロキシル基に関して少なくとも1つのオルト位に置換されている。これらの立体的に嵩高の置換されたラジカルがヒドロキシル基付近に存在すると、そのストレッチ頻度および、結局、その反応性が遅延される;こうして、この立体的障害はフェノール化合物にその安定化特性を与える。代表的ヒンダードフェノールは次の通りである:1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル) ベンゼン;ペンタエリトリチルテトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル) プロピオネート;4,4’−メチレンビス (2,6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス (6−t−ブチル−o−クレゾール);2,6−t−ブチルフェノール;6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス (n−オクチルチオ)−1,2,5−トリアジン;ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート;2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート;およびソルビトールヘキサ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]。
【0027】
前述したように、所望の中央ブロックTg、G’およびG”値を得るために特定の原料を配合する種々の方法が存在する。その上、接着剤が意図する特定の最終用途もまた材料および究極的Tg、G’およびG”値に影響を与えるであろう。一般に、トリブロックゴムは接着剤をゼラチン質固体に固化させるが、ジブロックゴムは配合物の粘着性を改良することが発見された。末端ブロック樹脂は接着剤に強さを与えるが、溶融したとき、ゴムおよびブロックの自己結合を減少させることによって溶融物の粘度を低下させる。接着剤を配合するとき、主として液状の希釈剤を使用して配合物のマトリックス (中央ブロック部分) のTgを低くする。低いTgはポリマーの緩和時間を速くし、これにより接着剤を除去する時の疼痛を低くする。
【0028】
上記パラメーターをガイドラインとして使用して、約10部のポリマーから特に好ましい接着剤を製造し、トリブロックおよびジブロック、好ましくはそれぞれKraton G 1651およびKraton G 1702を等しく分割できることが発見された。これらのゴムを5〜30部、好ましくは10〜20部の末端ブロック樹脂、最も好ましくはKristalex α−メチルスチレン樹脂と組み合わせて使用する。生成物の残部は希釈剤および粘着付与剤である。残部のブレンドTgを低下させると、接着剤は低い粘着性および低い剥離力を示す。特に好ましいホットメルト接着剤組成物は、3〜8部のトリブロックポリマー、3〜8部のジブロック、5〜30部の末端ブロック樹脂を含んでなり、残部 (100部とする量) は油または固体状粘着付与剤を含んでなる。
【0029】
得られるホットメルト接着剤は、小孔シール、接着テープおよび包帯、創傷ドレナージ接着シール、創傷包帯として、ヒトの皮膚に接着し、湿潤環境においてさえ接着性を維持する他の製品およびその他のための接着剤として有用である。本発明の接着剤は、経皮的適用において使用するために特に適する。本発明の感圧接着剤は、治療的に有効量の生成物を患者の皮膚に送達するために、例えば、皮膚の刺激を治癒するために、または患者の皮膚を通して治療的に有効量の薬物を送達するために、経皮的薬物送達装置の中に組込むことができる。
【0030】
経皮的という用語は、局所的適用により薬物を投与するための入口として皮膚を使用することを意味する。局所的に投与された薬物は、皮膚の中に入りおよび/または皮膚を通過する。皮膚、真皮および表皮という用語は本明細書において互換的に使用される。こうして「経皮的」は、局所的に、すなわち、表面においてまたは皮膚内で作用する薬物の局所的投与、例えば、アクネを治療するために使用する斑点パッチ、および皮膚を通して拡散し、血流の中に入ることによって、全身的に作用する薬物の局所的投与を意味する。
【0031】
患者という用語は、本明細書において、動物、ヒトおよび非ヒトの両方を包含するために使用する。ヒトの患者は成人、子供および乳児を包含する。非ヒトの患者はコンパニオン動物、例えば、イヌ、ネコおよびウマおよび家畜、例えば、畜牛およびブタを包含する。農学的および園芸的適用も包含される。
【0032】
本発明の接着剤は、液体貯蔵所パッチおよびマトリックスパッチの製造における使用に意図される。マトリックスパッチは、液体貯蔵所パッチよりも製造が容易であり、着用に快適でありかつ便利であるので、特に好ましい態様である。
【0033】
本発明の経皮的薬物送達装置は、送達すべき薬物をその中に混入する担体 (例えば、液体、ゲルもしくは固体状マトリックスまたは感圧接着剤)、遠位の支持層および近位の剥離層を含んでなる。患者が接着剤から剥離層をはがし、パッチを適用するとき、薬物は角質層 (外側皮膚層) の中に分配され、表皮および真皮を通して浸透する。
【0034】
本発明をマトリックス型パッチによりいっそう詳しく説明するが、液体貯蔵型システムを包含する、Fisher他、「Chemistry in Britain」January 1991、pp. 43−46 (その開示は引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されている型のパッチは本発明に含まれる。薬物を含有するポリマー相が感圧接着剤に積層されているか、あるいはオーバーレイ接着剤とともに使用するか、あるいは接着剤それ自体である態様が包含される。
【0035】
本発明によるマトリックスパッチ装置は、ポリマーの担体中で薬物組成物の単位投与形態である。この装置の個々の層は、実質的に薬物不透過性の遠位の支持層、前述の薬物含有ポリマー担体層 (本明細書において担体とも呼ぶ) および、経皮的適用前に、実質的に薬物不透過性の近位剥離層またはライナーを含む。
【0036】
皮膚と接触しない担体の部分は支持体で被覆されている。遠位の支持層は、使用時に、環境に面するパッチの側面、すなわち、皮膚に対して遠位の側面を定める。支持体は、環境への薬物の損失を防止する不透過性層を提供することによって、担体および担体の中に含有される成分 (薬物を包含する) を環境から保護する働きをする。こうして、選択した材料は薬物に対して実質的に不透過性であるべきである。好都合には、光に対する暴露による分解から薬物を保護するように、支持体の材料は不透明であることができる。支持体が相対的に高い蒸気伝搬速度を有することは望ましいことがある。なぜなら、これは装置下の皮膚上の湿気の蓄積を減少させ、生ずる皮膚の浸軟量を相応して減少させるからである。逆に、薬物の流れを増強するために、閉塞性の支持体を選択することができる。さらに、支持層は装置の他の層に結合し、それらを支持することができ、なお装置を使用する人の動きに順応するように柔軟であるべきである。なぜなら、剛性の支持層は機械的刺激を引き起こすことがあるからである。長期 (例えば、1日を超える期間) の着用の間の被覆された皮膚の健康を維持するために、また、支持層は比較的高い酸素透過率を有することが望ましい。支持層は薬物および賦形剤を包含する、担体の成分と接触するので、支持層が構造的完全性および順応性を保持するように、支持層はこのような成分に対して安定であることが重要である。また、支持層は担体から薬物または賦形剤を吸収しないことが重要である。ある種の貯蔵所型薬物送達装置の製造と関連して、また、支持層は種々の他のポリマー支持体に対して比較的低い温度においてヒートシール性であることが望ましい。
【0037】
薬物送達装置において使用され、本発明の実施において使用できる支持層は、変性を含むか、あるいは含まない、金属箔、金属化ポリフォイル、ポリテトラフルオロエチレン (商品名TEFLON) 型材料またはそれらの同等物を含有する複合箔またはフィルム、ポリエーテルブロックアミドコポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、シリコーンエラストマー、ゴムをベースとするポリイソブチレンスチレン、スチレン−ブタジエンおよびスチレン−イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリエステル、および経皮的薬物送達技術において使用される他のこのような材料を包含する。熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン、およびポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートは特に好ましい。
【0038】
近位剥離ライナーまたは剥離可能なフィルムは、装置を使用するまで装置の皮膚に面する側すなわち近位側を被覆する。このような用途に、典型的にはシリコーン被覆フィルムが使用される。装置の使用直前に、近位剥離ライナーを除去して薬物を含有するポリマー層を暴露させて皮膚表面と接触させ、接着させる。こうして、近位剥離ライナーは装置から除去されるように適合され、最小の力で接着剤表面から剥離されるべきである。
【0039】
1つの態様において、第1パッチの剥離ライナーもまた第2パッチの支持層として働く。この設計により、積み重ねたフォーマットでの製作が可能となり、この方法で患者に投薬することができる。廃棄のために過剰の廃棄物を発生させずに、第1パッチを除去し、皮膚に適用する。
【0040】
薬物を含有するポリマー層は好ましくは本発明の感圧皮膚接触接着剤であり、これは反応性水素部分を含有する官能基を欠如し、貯蔵時に新しい官能基を形成しない、薬学上許容される物質である。本発明の接着剤は、経皮的パッチの担体接触接着剤またはオーバーレイ接触接着剤として使用するかどうかにかかわらず、非限定的であり、適用が容易であり、そして除去が容易である。
【0041】
用語「薬物」は、ここでその最も広い意味において、いくつかの療法的利益を生成することを意図する、任意の物質を意味すると解釈すべきである。この物質は薬学的に活性であるか、あるいは活性でないことができるが、それはヒトの体に対してある影響を有するという意味において「生物活性」であろう。この物質は、病理学的、すなわち、疾患の状態であるか、あるいはないことができる症状を治療または変更するために使用することができる。「薬物」、「生物活性剤」、「製剤」、「薬剤」、「治療剤」、「生理学的物質」、および「医薬物質」は本明細書において互換的に使用し、症状または疾患の診断、治癒、軽減、阻止、治療または予防において使用するための、または体の構造または機能に影響を与えるための物質を包含する。例えば、軟化または湿潤させる、機能を有する皮膚健康剤もまたこの用語に包含される。用語「治療」は、症状の予防、変更、治癒およびコントロールを包含するために広く使用される。
【0042】
薬物は本発明の薬物送達装置の中に治療的に有効量、すなわち、所望の治療結果を生ずるために有効な量で存在して、本発明の製剤を適用する症状の治療を生ずる。薬物の有効量は、無毒であるが、特定の期間にわたって選択した作用を提供するために十分な薬物の量を意味する。治療的有効量を構成する量は、装置の中に組込まれた特定の薬物、治療すべき症状、選択した薬物とともに共投与する薬物、治療の所望の期間、装置を配置すべき皮膚の表面積、および薬物送達装置の他の成分に従い変化する。このような量は、訓練した実施者により容易に決定される。
【0043】
本発明の担体の中に添加することができる薬物は、皮膚に投与したとき、局所的または全身的作用を引き起こすことができる物質を包含する。理解されるように、本発明は、従来慣用のアクリル接着剤を使用する治療経路により投与することができなかった、反応性官能基を含有する薬物の投与を可能とするが、本発明はこれらの薬物に限定されない。また、本発明の接着剤を使用して、慣用のアクリル接着剤、ポリイソブチレンをベースとする接着剤またはシリコーン接着剤を使用する治療経路を介して従来投与された他の薬物を、単独でまたは他の薬物と組み合わせて、投与することができる。
【0044】
本発明の送達装置を使用する治療領域、および本発明の装置の中に組込むことができる薬学的生成物の例は次の治療を包含する:失禁 (オキシブチニン)、中枢神経系の症状 (メチルファニデート)、ホルモン療法および産児制限 (エストラジオール、テストステロン、プロゲスチン、プロゲステロン、レボノゲストレル)、心臓血管系 (ニトログリセリン、クロニジン) および強心薬 (例えば、ジギタリス、ジゴキシン)、疼痛管理または抗炎症 (フェンタニル、リドカイン、ジクロフェナク、フルビプロフェン)、化粧品 (ベンゾペルオキシド、サリチル酸、ビタミンC、ビタミンE、芳香族油)、制吐剤 (スコパラミン)、禁煙 (ニコチン)、抗炎症症状、ステロイド (例えば、ハイドロコーチゾン、プレドニソロン、トリアムシノロン) および非ステロイド (例えば、ナプロキセン、ピロキシカム) の両方の治療、抗菌 (例えば、ペニシリン、例えば、ペニシリンV、セファロスポリン、例えばセファレキシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、スルファチアゾール、ニトロフラントイン、およびキノロン、例えば、ノルフロキサシン、フルメクインおよびイバフロキサシン)、抗原虫薬 (例えば、メトロニダゾール)、抗真菌剤 (例えば、ニスタチン)、カルシウムチャンネル遮断薬 (例えば、ニフェジピン、ジチアゼム)、気管支拡張薬 (例えば、テオフィリン、ピルブテロール、サルメテロール、イソプロテレノール)、酵素インヒビター、例えばコラゲナーゼインヒビター、プロテアーゼインヒビター、エステラーゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、およびアンギオテンシン変換酵素インヒビター (例えば、カプトプリル、リシノプリル)、他の抗高血圧薬 (例えば、プロパノロール)、ロイコトリエンアンタゴニスト、抗潰瘍薬、例えば、H2アンタゴニスト、抗ウイルスおよび/または免疫調節剤 (例えば、1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−1H−[4,5−c]キノリン−4−アミン、およびアシクロビル)、局所麻酔薬 (例えば、ベンゾカイン、プロポフォル)、鎮咳薬 (例えば、コデイン、デキストロメトルファン)、抗ヒスタミン剤 (例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、テルフェナジン)、麻酔性鎮痛薬 (例えば、モルヒネ、フェンタニル)、心臓活性生成物、例えば、アトリオペプチド、抗痙攣薬 (例えば、カルバマジン)、免疫抑制薬 (例えば、サイクロスポリン)、精神療法薬 (例えば、ジアゼパム)、鎮静薬 (例えば、フェノバルビタール)、抗凝固薬 (例えば、ヘパリン)、鎮痛薬 (例えば、アセトアミノフェン)、抗片頭痛薬 (例えば、エルゴタミン、メラトリン、スマトリプタン)、抗不整脈薬 (例えば、フレカルニド)、鎮吐薬 (例えば、メタクロプロミド、オンダセトロン)、抗癌剤 (例えば、メトトレキセート)、神経学的物質、例えば、抗不安薬、止血薬、抗肥満薬、およびその他、ならびにそれらの薬学上許容される塩、エステル、溶媒和物およびキレート化物。
【0045】
また、本発明の経皮的薬物送達装置を使用して獣医学の薬物を好都合に適用することができる。獣医学的適用において使用することもできる、多数の前述の薬物に加えて、追加の例は、例えば、ジクラズリルおよびルフェヌロンである。
【0046】
農学および園芸上の薬物は、例えば、ラン科の植物の成長ホルモンを包含する。
理解されるように、獣医学および園芸上の適用における経皮的薬物送達は、食物/灌注水中の投与よりも、いっそう正確な投与を可能とし、廃棄物の量を少なくする。
【0047】
皮膚は体の中への外来物質の進入に対する実質的な障壁を示す。この分野において認識されているように、皮膚を通過する、すなわち、皮膚に浸透する速度を増強する賦形剤を担体の中に混入することによって、皮膚を通る薬物の経皮的薬物送達に対する障壁を克服または減少することができる。浸透増強剤はこの分野においてよく知られている。用語「増強」、「浸透増強」および「透過増強」は、生物学的膜、例えば、皮膚の透過性を増加して、膜を通して薬物が透過する速度を増加し、薬物送達を加速することを意味する。これらの物質は普通に浸透増強剤、加速剤、アジュバントおよび吸収促進剤と呼ばれ、集合的に「増強剤」と呼ばれる。
【0048】
本発明の薬物送達システムは、薬物に加えて、有効量の浸透増強剤を好都合に含有することもできる。浸透増強剤の有効量は、膜透過性、薬物の投与速度および量を選択的に増加させる量を意味する。
【0049】
増強剤のいくつかの例は次の通りである:多価アルコール、例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール;油、例えば、オリーブ油、スクアレン、およびラノリン;ポリエチレングリコールエーテルおよび脂肪族エーテル、例えば、セチルエーテルおよびオレイルエーテル;脂肪酸エステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル;脂肪酸アルコール、例えば、オレイルアルコール;尿素および尿素誘導体、例えば、アラントイン;極性溶媒、例えば、ジメチルデシルホスホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミド、ジデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、およびジメチルホルムアミド;サリチル酸;アミノ酸;ニコチン酸ベンジル;胆汁酸;および高分子量脂肪族界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸塩。他の物質の例は次の通りである:オレイン酸およびリノレン酸、アスコルビン酸、パンテロールブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレアミド、ポリオキシエチレン (4) ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン (2) オレイルエーテルおよびポリオキシエチレン (10) ラウリルエーテル (ICI America, Inc. から商標Brij 30、93および97で販売されている)、およびポリソルベート20 (ICI America, Inc. から商標Tween 20で販売されている)。
【0050】
いくつかの薬物は、接着剤を構成するポリマーの中にある程度に可溶性であるので、接着剤において可塑剤として機能する。薬物または増強剤が配合された接着剤の接着特性を変更するとき、一般に接着剤を再配合して補償することが必要である。ポリマー系の中に十分に可溶性ではない薬物分子について、薬物の補助溶媒を添加することができる。補助溶媒、例えば、レシチン、レチノール誘導体、トコフェロール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、プロピレングリコール、飽和および不飽和脂肪酸、鉱油、アルコール、ブチルベンジルフタレートおよびその他は、接着剤担体中の薬物の溶解度に依存して有用である。
【0051】
経皮的パッチ装置の配合成分は、また、粘度が調節された組成物、賦形剤、希釈剤、皮膚柔軟化剤、可塑剤、抗刺激剤、不透明剤、充填剤、例えば、粘土およびシリカ、色素およびそれらの混合物、保存薬、ならびに特定の適用に対して適当であり、かつ適用部位において皮膚に接着させるために適合した、真皮、例えば、皮膚と薬物移動関係でポリマー層中に薬物組成物を維持するために配合される他の成分または添加剤を含むことができる。
【0052】
本発明の装置を皮膚上に配置し、意図する治療効果を達成または維持するために十分な時間の間とどめる。当業者は,本発明の装置のフラックス速度および治療すべき症状を考慮して、十分な時間を構成する時間を選択することができる。
【0053】
本発明の経皮的送達装置は、物品、例えば、テープ、パッチ、シート、包帯の形態または当業者に知られている他の形態で製造することができる。投与システムは任意の所望の単位形態で製造することができる。円形の形態は皮膚から容易に分離する角を含有しないので、好都合である。製造された投与形態は、種々の形態を有することに加えて、種々の大きさを有することができる。
【0054】
一般に、装置は皮膚を通して前もって選択した量の薬物を送達するために適当な大きさのパッチの形態であろう。1〜200 cm2の範囲の表面積が考えられ、好ましい大きさは5、10、15、20、25および30 cm2である。厚さは広い範囲にわたって変化することができ、典型的には約25.4〜約127.0μm(約1〜約5 mil)、好ましくは76.2〜101.6μm(3〜4 mil)である。好ましくは、本発明は、5 cm2の表面積および約76.2〜101.6μm(約3〜4 mil)の厚さを有する投与システムを使用して効能を提供するために十分な薬学的に活性な薬物を含有する。
【0055】
パッチの設計および治療すべき症状に依存して、パッチは1時間またはそれ以上まで、約1週間まで皮膚上に残留するであろう。好ましい態様において、パッチは皮膚の適用部位に約24時間の間止まり、毎日交換するように設計される。好ましくは、パッチは皮膚の前に使用した位置と異なる部位に配置されるであろう。
【0056】
適当な担体を支持層に適用する慣用法を使用することによって、本発明の薬物送達装置を製造することができる。例えば、溶媒中の接着剤の溶液を薬物および賦形剤と混合して均質な溶液または懸濁液を形成することによって被覆配合物を調製し;よく知られているナイフまたはバーまたは押出ダイの被覆法を使用して、この配合物を支持体 (支持または剥離ライナー) に適用し;被覆された支持体を乾燥して溶媒を除去し、暴露された表面を剥離ライナーまたは支持層に積層することによって、マトリックス装置を製造することができる。
【0057】
下記の実施例により、本発明を説明する。これらの実施例は例示を目的とし、いかなる方法においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0058】
下記の例において、特記しない限り、すべての部は質量により、そしてすべての温度はセ氏である。
ブルックフィールド粘度計により#27スピンドルを使用して、すべての粘度を測定した。

【0059】
シグマブレードを有する600 gのブラベンダーミキサー中で、本明細書に記載するすべての配合物を調製した。ゴムおよび配合物中のほぼ半分の油を約162.8℃(約325 °F)に予熱したボールに添加した。いったん均質になったとき、固体状粘着付与剤を添加し、次いで追加の油を添加した。配合物を表1に示し、ここで
Septon 4055は、スチレン末端ブロックおよび水素化イソプレン/ブタジエンの中央ブロックを有するSEBPSポリマー (クラレから入手可能である) である。30 ℃、トルエン中で5質量%において、それは5.8Pa・s(5800 cP)の粘度を示す。
【0060】
Kraton G 1702は、スチレンおよび水素化イソプレンジブロックコポリマー (Shell Chemicalから入手可能である) である。25 ℃、トルエン中で10質量%において、それは3.18Pa・s(3180 cP)の粘度を示す。
【0061】
Kristalex 3085および5140は、それぞれ85 ℃および140 ℃の軟化点を有するα−メチルスチレン/スチレン末端ブロック樹脂 (Herculesから入手可能である) である。
【0062】
Regalite R−10は、10 ℃の軟化点を有する脂肪族液状樹脂 (Herculesから入手可能である) である。
【0063】
Luminol T350は、パラフィン系ホワイトオイル (Petrocanadaから入手可能である) である。
【0064】
Kaydolは、ナフテン系ホワイトオイル (Witcoから入手可能である) である。
Escorez5340、5400および5415は、それぞれ140 ℃、103 ℃および118 ℃の軟化点を有する脂環族樹脂 (Exxon Chemicalから入手可能である) である。
【0065】
Irganox 1010は、ヒンダードフェノール酸化防止剤 (Ciba−Geigyから入手可能である) である。
【0066】
【表1】
Figure 2004520112
【0067】
試験手順
レオメトリックス・ダイナミック・メカニカル・アナライザー (Rheometrics Dynamic Mechanical Analyzer) (RDA 700型) を使用して、温度に対して弾性 (G’) および損失 (G”) 弾性率を測定した。計器をリオス (Rhios) ソフトウェアバージョン4.3.2でコントロールした。約2 mmのギャップで分離された直径8 mmの平行なプレートを使用した。試料を負荷し、次いで約−100 ℃に冷却し、時間プログラムを開始した。プログラム試験は5 ℃の間隔で温度を増加させ、次いで各温度において10秒のソーク時間を用いた。試料を含有する対流炉を窒素で連続的にフラッシュした。頻度を10 rad/sに維持した。試験開始時における初期ひずみは0.05%であった (プレートの外側へりにおいて)。ソフトウェアにおける自己ひずみ (autostrain) オプションを使用して、試験を通じて正確に測定可能なトルクを維持した。ソフトウェアが許容する最大の加えられるひずみが80%であるように、オプションを適合させた。下記の手順を使用して正当化される場合、自己ひずみプログラムは各温度増分においてひずみを調節した。トルクが200 g−cm以下である場合、ひずみを現在の値の25%だけ増加させた。トルクが1200 g−cm以上である場合、ひずみを現在の値の25%だけ減少させた。200〜1200 g−cmのトルクにおいて、その温度増分においてひずみの変化はなかった。トルクおよびひずみのデータからソフトウェアにより、剪断貯蔵または弾性モジュラス (G’) および剪断損失モジュラス (G”) を計算する。また、tanデルタとして知られている、それらの比、G’/G”を計算した。
中央ブロックTgをtanデルタの最大として取った。
【0068】
厚さ約0.318cm(0.125”)、長さ約6.35cm(2.5”)のイヌの骨の形状を有する部分上で2.54cm×2.54cm(1”×1”)の末端テープおよび1.27cm×1.27cm(0.5”×0.5”)の中心ギャップ部分を使用して、引張り強さを測定した。インストロン上で空気グリップにより50.8cm(20”)/分の速度において、これらを引いた。強さを試験間の最大ストレスとして取った。
【0069】
38.1μm(1.5 mil)のポリエステル支持フィルム上に、厚さ50.8μm(2 mil)の接着剤の引落しを実施した。これらを使用してループ粘着試験を実施し、ここでステンレス鋼プレート上においてTMIループ粘着テスターを使用した。
【0070】
2 kgのローラーの2回通過により、幅1インチの接着剤ストリップを磨いたステンレス鋼に結合させることによって、剥離試験を実施した。20分の滞留時間後、接着剤ストリップをインストロン上で5.08cm(2インチ)/分の速度で引き、平均剥離力を記録した。
【0071】
剥離試験後、ゴーストはステンレス鋼プレート上に接着剤が残した残留物から成る。これらの決定は定量的である。
【0072】
生ずる配合物の接着性質を表2に示す。
【0073】
【表2】
Figure 2004520112
【0074】
比較例1が証明するように、高いレベルの液状粘着付与剤および好ましい範囲外のG’およびG”を有する接着剤は、皮膚接触適用のためには剥離が高過ぎ(好ましい剥離値は1000グラムより低くなくてはならない) および大量の残留物を示す。
【0075】
比較例2および3が証明するように、接着剤は先行技術の米国特許第5,559,165号に正確に対応する。比較例2において、液状希釈剤の大部分は油よりむしろ粘着付与剤である。比較例2および3は、大量の残留物およびすぐれた剥離および粘着または最小量の残留物および低過ぎる剥離および粘着を示す。
【0076】
本発明に従い調製した、実施例4および5の接着剤は、すぐれた剥離 (>100グラム) および粘着 (>20オンス/平方インチ) を示し、すぐれた凝着力を示し、最小量の残留物を残す。
【0077】
当業者に明らかなように、本発明の精神および範囲から逸脱しないで、本発明の種々の変更および変化が可能である。本明細書に記載する特定の態様は例示のためのみに提供され、そして本発明は、添付された特許請求の範囲が規定する同等の態様のすべての範囲とともに、このような特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (20)

  1. 高分子量ゴムと、約60質量部より少ない液状希釈剤とを含んでなり、10 rad/s、25 ℃において約15×104ダイン/cm2より小さいG’を有する感圧ホットメルト接着剤組成物。
  2. 約1〜約20質量部のゴム状トリブロックまたはラジアルブロックコポリマー、0〜約20質量部の高分子量ジブロックゴム、0〜約10質量部の他の適合性高分子量ポリマー、0〜約30質量部の末端ブロック樹脂、0〜約60質量部より少ない油または他の液状中央ブロック希釈剤、0〜約50質量部の固体状粘着付与剤および0〜約3質量部の酸化防止剤を含んでなる、請求項1に記載の接着剤。
  3. 約100グラムより大きい剥離力を有する請求項1に記載の接着剤。
  4. 約100〜約500グラムの剥離力を有する請求項3に記載の接着剤。
  5. 約−30 ℃〜約10 ℃の中央ブロックTgを有する請求項1に記載の接着剤。
  6. トリブロックコポリマーがスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンである請求項2に記載の接着剤。
  7. トリブロックコポリマーがスチレン−エチレン−ブチレン−プロピレン−スチレンである請求項2に記載の接着剤。
  8. A−Bジブロックポリマーを含有する請求項2に記載の接着剤。
  9. ジブロックポリマーがスチレン−エチレン−プロピレン−ジブロックポリマーである、請求項8に記載の接着剤。
  10. 末端ブロック樹脂を含有する請求項2に記載の接着剤。
  11. 末端ブロック樹脂がビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、クマロンもしくはインデンのホモポリマーまたはコポリマーである、請求項10に記載の接着剤。
  12. 液状希釈剤が約35〜約55質量部の量で存在する、請求項1に記載の接着剤。
  13. 液状希釈剤が油である、請求項1に記載の接着剤。
  14. 治療剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の接着剤。
  15. 治療剤が薬理学的活性剤である、請求項14に記載の接着剤。
  16. 請求項14に記載の接着剤を含んでなる経皮的薬物送達システム。
  17. 接着剤が治療剤の担体として働く、請求項16に記載の経皮的薬物送達システム。
  18. 接着剤層と、支持層とを含んでなる、請求項16に記載の経皮的薬物送達システム。
  19. 剥離層をさらに含んでなる請求項18に記載の経皮的薬物送達システム。
  20. 請求項14に記載の接着剤と、治療剤とを含んでなる経皮的薬物送達システムを患者の体の表面に適用することを含んでなる、患者に治療剤を投与する方法。
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