JP2004519443A - Ccr−3受容体拮抗薬としての置換ピロリジン - Google Patents

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Abstract

本発明は、式(I)〔式中、R1、R2、Ar1〜Ar3、alk1、alk2、XおよびYは、本明細書に示された値を有する〕で示される、特定の2,4−置換ピロリジン誘導体に関する。化合物は、CCR−3受容体拮抗薬として有用であり、そのため、CCR−3受容体拮抗薬の投与によって処置できる疾患、たとえば喘息の処置に用いられる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、CCR−3受容体拮抗薬であり、そのため、それが介在する疾患状態、たとえば喘息を有する哺乳動物の処置に役立つ、一定の2,4−置換ピロリジン誘導体に関する。本発明は、それを含有する医薬組成物、それを製造する方法、およびその使用にも関する。
【0002】
組織好酸球は、喘息、鼻炎、慢性湿疹および寄生生物感染のような、数多くの病理学的状態の特徴である〔Bousquet, J. et al., N. Eng. J. Med., 323: 1033-1039 (1990)およびKay, A.B. & Corrigan, C.J., Br. Med. Bull., 48: 51-64 (1992)を参照されたい〕。喘息では、好酸球の蓄積および活性化が、気管支上皮に対する損傷と、収縮筋メジエーターに対する過敏性とに関連している。RANTES、エオタキシンおよびMCP−3のようなケモカインは、好酸球を活性化することが公知である〔Baggiolini, M. & Dahinden, C.A., Immunol. Today, 15: 127-133 (1994);Rot, A.M. et al., J. Exp. Med., 176, 1489-1495 (1992)およびPonath, P.D. et al., J. Clin. Invest., Vol. 97, #3, 604-612 (1996)を参照されたい〕。しかし、他の白血球細胞型の移動も誘導するRANTESおよびMCP−3とは異なり、エオタキシンは、好酸球に対して選択的に走化性を有する〔Griffith-Johnson, D.A. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 197: 1167 (1993)およびJose, P.J. et al., Biochem. Biophys.Res. Commun. 207: 788 (1994)を参照されたい〕。エオタキシン投与の部位では、皮内または腹腔内投与によってであれ、エアゾル吸入によってであれ、特有の好酸球蓄積が観察された〔Griffith-Johnson, D.A. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 197: 1167 (1993);Jose, P.J. et al., J. Exp. Med., 179: 881-887 (1994);Rothenberg, M.E. et al., J. Exp. Med., 181: 1211 (1995)およびPonath, P.D. et al., J. Clin. Invest., Vol. 97, #3, 604-612 (1996)を参照されたい〕。
【0003】
気管支喘息を包含する、多くの好酸球関連障害を処置するには、デキサメタゾン、メトプレドニソロンおよびヒドロコルチゾンのようなグルココルチコイドが用いられている〔R.P. Schleimer et al., Ann. Rev. Respir. Dis., 141: 559 (1990)〕。グルココルチコイドは、これらの疾患において、IL−5、IL−3が介在する好酸球の生存を阻害すると考えられる。しかし、グルココルチコイドの長期使用は、患者における緑内障、骨粗鬆症および成長遅延のような副作用へと導きかねない〔Hanania, N.A. et al., J. Allergy and Clin. Immunol., Vol. 96, 571-579 (1995)およびSaha, M.T. et al., Acta Paediatrica, Vol. 86, #2, 138-142 (1997)を参照されたい〕。そのため、これらの望ましくない副作用を招くことなしに、好酸球関連疾患を処置する代替手段を有することが望ましい。
【0004】
最近、CCR−3受容体は、好酸球がエオタキシン、RANTESおよびMCP−3に対して応答するのに用いる、主要なケモカイン受容体として特定された。マウスの前βリンパ腫系にトランスフェクションされたとき、CCR−3は、エオタキシン、RANTESおよびMCP−3に結合し、これらの細胞にエオタキシン、RANTESおよびMCP−3への走化性応答を与える〔Ponath, P.D. et al., J. Exp. Med., 183: 2437-2448 (1996)を参照されたい〕。CCR−3受容体は、好酸球、T細胞(サプタイプTh−2)、好塩基球およびマスト細胞の表面で発現され、エオタキシンに対して高度に選択的である。研究により、抗CCR−3モノクローナル抗体を用いた好酸球の前処理は、エオタキシン、RANTESおよびMCP−3に対する好酸球の走化性を完全に阻害することが示されている〔Heath, H. et al., J. Clin. Invest., Vol. 99, #2, 178-184 (1997)を参照されたい〕。出願人らの同時継続出願である、1998年8月14日付け米国特許願第09/134,013号明細書および国際公開特許第00/31032号公報は、エオタキシンのようなケモカインによる好酸球の動員を阻害するCCR−3拮抗薬を開示している。したがって、RANTES、MCP−3およびエオタキシンと結合できるCCR−3受容体の能力を遮断し、それによって好酸球の動員を防止することは、好酸球介在炎症性疾患の処置を与えるはずである。
【0005】
本発明は、CCR−3受容体とのエオタキシンの結合を阻害することができ、そのため好酸球で誘導される疾患、たとえば喘息を有する哺乳動物の処置に役立つ、新規なピロリジン誘導体に関する。
【0006】
したがって、第一の態様では、本発明は、式(I):
【0007】
【化15】
Figure 2004519443
【0008】
〔式中、R1は、水素、C1〜C6アルキル、アシル、ヘテロアルキル、−CONR34(ここで、R3およびR4は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR5(ここで、R5は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、または−SO26(ここで、R6は、C1〜C6アルキルである)であり;
【0009】
alk1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
【0010】
Xは、−NHCO−または−CONH−であり;
【0011】
Yは、1〜3個の炭素原子を有するアルキレン鎖、または炭素原子の1つが、−O−、−NRb−〔ここで、Rbは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕、および−S(O)n−(ここで、nは、0〜2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられた、2もしくは3個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
【0012】
Ar1は、Ar2基に加えて、水素、ハロ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ニトロ、アミド、アミノスルホニルおよびスルホニルアミノからなる群から選択される置換基で置換された、ヘテロアリール基またはフェニル基であり:
【0013】
Ar2は、アリールであり;
【0014】
alk2は、炭素原子の一つが、−CO−、−NRc−〔ここで、Rcは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR1011(ここで、R10およびR11は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR12(ここで、R12は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕、または−S(O)n1−(ここで、n1は、0〜2の整数である)で場合により置き換えられた、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
【0015】
Ar3は、C3〜C7シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである〕
で示される化合物、または薬学的に許容され得るその塩を提供する。
【0016】
また、上記に定義されたとおりの化合物〔下記では、(i)として参照することにする〕のうちで、好ましいのは、下記の化合物である:
【0017】
(ii)Yが、−O−(CH2)−、−O−(CH22−、−O−(CHCH3)−、−NRb−(CH2)−、−NRb−(CH22−、−NRb−(CHCH3)−〔ここで、Rbは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕、−S(O)n−(CH2)−、−S(O)n−(CH22-または−S(O)n−(CHCH3)−(ここで、nは、0〜2の整数である)である、(i)の化合物;
【0018】
(iii)R1が、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−COOR5(ここで、R5は、C1〜C6アルキルである)、または−SO2a(ここで、Raは、C1〜C6アルキルである)である、(ii)の化合物;
【0019】
(iv)R1が、水素、C1〜C6アルキル、アシルまたは−SO2a(ここで、Raは、C1〜C6アルキルである)である、(iii)の化合物;
【0020】
(v)R1が、水素、メチル、アセチル、−COCH2CO2H、−COCH2CO2CH3または−CO2−tert−ブチルである、(iv)の化合物;
【0021】
(vi)Yが、−SCH2−、−OCH2−または−NHCH2−である、(ii)の化合物;
【0022】
(vii)Xが、−CONH−である、(vi)の化合物;
【0023】
(viii)Yが、−SCH2−または−OCH2−である、(vii)の化合物;
【0024】
(ix)Yが、−OCH2−であり、alk1およびalk2が、独立して、1または2個の炭素原子を有するアルキレン鎖である、(viii)の化合物;
【0025】
(x)Ar1が、ヘテロアリール基である、(ii)の化合物;
【0026】
(xi)Ar1が、ピリミジン−2−イルである、(x)の化合物;
【0027】
(xii)Yが、−SCH2−または−OCH2−である、(xi)の化合物;
【0028】
(xiii)Ar2が、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で場合により置換されたアリールである、(xii)の化合物;
【0029】
(xiv)Ar2が、フェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン−2−イルの5位にある、(xiii)の化合物;
【0030】
(xv)alk2が、−CH2−であり、Ar3が、アリールである、(xii)の化合物;
【0031】
(xvi)Ar3が、3,4−ジクロロフェニルである、(xv)の化合物;
【0032】
(xvii)Xが−CONH−のとき、Yが、
【0033】
(a)−(CH2)−、−(CH22−、−(CH23−、−(CHCH3)−、―C(CHCH3)−(CH2)−もしくは−(CH2)−(CHCH3)−であるか;または
【0034】
(b)−(CH2)−O−、−(CH22−O−、−(CHCH3)−O−、−(CH2)−NRb−、−(CH22−NRb−、もしくは−(CHCH3)−NRb−〔ここで、Rbは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕
である、(i)の化合物;
【0035】
(xviii)Ar1が、ヘテロアリール基であり、Ar2が、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で場合により置換されたアリールである、(xvii)の化合物;
【0036】
(xix)Ar1が、ピリミジン−2−イルであり、Ar2が、フェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン−2−イルの5位にある、(xviii)の化合物;
【0037】
(xx)Xが、−CONH−であり、R1が、−COCH2CO2H、−COCH2CO2CH3または−CO2−tert−ブチルである、(xix)の化合物;
【0038】
(xxi)Yおよびalk1が、独立して、メチレンまたはエチレンであり、alk2が、メチレンであり、Ar3が、3,4−ジクロロフェニルである、(xx)の化合物。
【0039】
第二の態様では、本発明は、治療有効量の、式(I)の化合物、または薬学的に許容され得るその塩と、薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0040】
第三の態様では、本発明は、CCR−3受容体拮抗薬の投与によって処置できる、哺乳動物の疾患、たとえば、喘息のような呼吸器系疾患の処置のための式(I)の化合物の使用を提供する。
【0041】
第四の態様では、本発明は、式(I)の化合物を製造する方法を提供する。
【0042】
第五の態様では、本発明は、CCR−3受容体が介在する疾患処置のための、1種以上の式(I)の化合物を含む医薬を製造するための、式(I)の化合物、または薬学的に許容され得るその塩の使用を提供する。
【0043】
別途記述されない限り、本明細書および特許請求の範囲に用いられる以下の用語は、下記に示す意味を有する:
【0044】
「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する一価の直鎖飽和炭化水素の基、または3〜6個の炭素原子を有する一価の分枝鎖飽和炭化水素の基、たとえばメチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−、3−メチルブチル、neo−ペンチルを意味する。
【0045】
別途定義されない限り、「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖飽和炭化水素の基、または3〜6個の炭素原子を有する二価の分枝鎖飽和炭化水素の基、たとえばメチレン、(2−プロピル)メチレン、エチレン、メチルエチレン、(2−プロピル)エチレン、プロピレン、1−または2−メチルプロピレン、1−または2−エチルプロピレン、ペンチレンを意味する。
【0046】
「シクロアルキル」は、3〜7個の環炭素原子を有する一価の飽和環状炭化水素の基、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシルを意味する。
【0047】
「アシル」は、基−C(O)R(ここで、Rは、アルキル、ハロアルキル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、複素環もしくはアリールオキシカルボニルで置換されたアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルである)、たとえばアセチル、トリフルオロアセチル、−C(O)CH2CO2H、−C(O)CH2−CO2CH3、ベンゾイル、テノイルを意味する。
【0048】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、好ましくはフルオロおよびクロロを意味する。
【0049】
「ハロアルキル」は、同じであるか、または異なる1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル、たとえば−CH2Cl、−CF3、−CH2CF3、−CH2CCl3を意味する。
【0050】
「モノアルキルアミノ」は、基−NHR(ここで、Rは、アルキルである)、たとえばメチルアミノ、エチルアミノ、(1−メチルエチル)アミノを意味する。
【0051】
「ジアルキルアミノ」は、基−NRR′(ここで、RおよびR′は、独立して、アルキルである)を意味する。代表的な例は、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ(1−メチルエチル)アミノを包含するが、これらに限定されない。
【0052】
「スルホニルアミノ」は、基−NHSO2R(ここで、Rは、水素またはアルキルである)を意味する。代表的な例は、−NHSO2CH3を包含するが、これらに限定されない。
【0053】
「アミノスルホニル」は、基−SO2NHR(ここで、Rは、アルキルである)を意味する。代表的な例は、−SO2NH2、−SO2NHCH3を包含するが、これらに限定されない。
【0054】
「アルキルスルホニル」は、基−SO2R(ここで、Rは、アルキルである)を意味する。代表的な例は、メチルスルホニル、エチルスルホニルを包含するが、これらに限定されない。
【0055】
「アリール」は、6〜10個の環原子を有する一価の単環式もしくは二環式芳香族炭化水素の基を意味する。アリール環は、場合により、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシルアミノ、ヒドロキシル、アルキルスルホニル、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、−NR′R″(ここで、R′は、水素またはアルキルであり、R″は、水素、アルキル、アシル、アルキルスルホニルである)、および−COOR(ここで、Rは、水素またはアルキルである)からなる群から選択される1個以上の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。より具体的には、用語「アリール」は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、および2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、メトキシフェニル、2,3−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニルのような、それらの誘導体を包含するが、これらに限定されない。
【0056】
「ヘテロアリール」は、N、OまたはSからなる群から選択される1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を含み、残余の環原子はCである、5〜10個の環原子を有する一価の単環式もしくは二環式芳香族の基を意味する。この芳香族の基は、場合により、フェニルと縮合し、場合により、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシルおよび−COOR(ここで、Rは、水素またはアルキルである)からなる群から選択される1または2個の置換基で置換されている。より具体的には、用語「ヘテロアリール」は、ピリジル、ピロリル、チオフェン、ピラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、チアジアゾリル、インドリル、カルバゾリル、アザインドリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノキサリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾピラニル、およびそれらの誘導体を包含するが、これらに限定されない。
【0057】
「複素環」または「ヘテロシクリル」は、1または2個の環原子が、N、OまたはS(O)n(ここで、nは、0〜2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残余の環原子はCであって、1または2個のC原子は、場合により、カルボニル基で置き換えられていてもよい、3〜8個の環原子を有する飽和もしくは不飽和環の基を意味する。ヘテロシクロ環は、場合により、独立して、アルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−COOR(ここで、Rは、水素またはアルキルである)または−XR(Xは、Oであり、Rは、水素またはアルキルである)から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい。代表的な例は、テトラヒドロピラニル、ピペリジノ、ピペラジノ、ピロリジノを包含するが、これらに限定されない。
【0058】
「ヘテロアルキル」は、N、OまたはS(O)n(ここで、nは、0〜2の整数である)から選択されるヘテロ原子を含む置換基を有する、上記に定義されたとおりのアルキル基を意味する。代表的な置換基は、−NRab、−ORaまたは−S(O)nc〔式中、nは、0〜2の整数であり、Raは、水素、アルキル、ハロアルキルまたは−COR(ここで、Rは、アルキル、ヒドロキシルまたはアルコキシである)であり、Rbは、水素またはアルキルであり、Rcは、水素、アルキル、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノである〕を包含する。代表的な例は、2−メトキシエチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、−アミノエチル、2−ジメチルアミノエチルを包含するが、これらに限定されない。
【0059】
「ヒドロキシアルキル」は、1もしくは2個のヒドロキシル基で置換された(但し、2個のヒドロキシル基が存在する場合、それらは同じ炭素原子にともには存在しない)、2〜6個の炭素原子を有する一価の直鎖炭化水素の基、または3〜6個の炭素原子を有する一価の分枝鎖炭化水素の基を意味する。代表的な例は、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピル、好ましくは2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピルおよび1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルを包含するが、これらに限定されない。ヒドロキシアルキルは、ヘテロアルキル基の一部分である。
【0060】
「アラルキル」(アリールアルキル)は、基−Rab(ここで、Raは、アルキレン基であり、Rbは、上記に定義されたとおりのアリール基である)、たとえばベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチルを意味する。
【0061】
「アルコキシ」は、基−OR(ここで、Rは、それぞれ上記に定義されたとおりのアルキルである)、たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシを意味する。
【0062】
「場合による」または「場合により」は、その後に記載される事象または状況が、生じ得るが、生じなくてもよく、記載が、該事象または状況が生じる場合と、生じない場合とを包含することを意味する。たとえば、「アルキル基で場合によりモノ−またはジ−置換されたヘテロシクロ基」は、アルキルが存在し得るが、存在しなくてもよく、記載が、ヘテロシクロ基がアルキル基でモノ−またはジ−置換されている状況と、ヘテロシクロ基が、アルキル基で置換されていない状況とを包含する。
【0063】
「アミノ保護基」は、合成手順の際に、窒素原子を望ましくない反応から保護するよう意図された有機の基、たとえばベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、トリフルオロアセチルを意味する。
【0064】
同じ分子式を有するが、その原子の結合の性質もしくは順序、または空間内でのその原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。空間内でのその原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオマー」と呼ばれ、互いに重ね合わせられない鏡像であるものは、「鏡像異性体」と呼ばれる。ある化合物が、不斉中心を有するとき、たとえば、ある炭素原子が、異なる4種類の基に結合されているならば、1対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対的な立体配置によって特徴付けることができ、カーン−プレローグのR−およびS−配列決定規則によってか、または分子が偏光面を回転する仕方によって記載され、右旋性もしくは左旋性として(すなわち、それぞれ(+)または(−)−異性体として)指定することができる。キラルな化合物は、個々の鏡像異性体としてか、またはその混合物として存在することができる。等比率の鏡像異性体を含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0065】
本発明の化合物は、1個以上の不斉中心を有することがあり;そのため、そのような化合物は、個々の(R)−もしくは(S)−立体異性体としてか、またはその混合物として生成され得る。たとえば、式(I)の化合物のR1置換基がアルキルならば、それに結合している炭素は、不斉中心であり、式(I)の化合物は、(R)−または(S)−立体異性体として存在することができる。別途指示されない限り、本明細書および特許請求の範囲中の特定の化合物の記載または指名は、個々の鏡像異性体と、その混合物、ラセミ混合物その他とを包含するものとする。立体化学の決定、および立体異性体の分割の方法は、当技術において周知である〔Advanced Organic Chemistry, 4th ed., J. March, John Wiley and Sons, New York, 1992の第4章中の考察を参照されたい〕。
【0066】
「薬学的に許容され得る賦形剤」は、概して安全かつ無害であり、生物学的にも、別途にも望ましくないことのない、医薬組成物を製造するのに有用な賦形剤を意味し、獣医学における使用ばかりでなく、ヒトの製剤における使用にも許容され得る賦形剤を包含する。本明細書および特許請求の範囲に用いられる限りでの「薬学的に許容され得る賦形剤」は、単数および複数双方のそのような賦形剤を包含する。
【0067】
ある化合物の「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容されることができ、親化合物の望ましい薬理学的活性を保有している塩を意味する。そのような塩は下記を包含する:
【0068】
(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸で形成されるか;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ〔2.2.2〕オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4′−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸のような、有機酸で形成される酸付加塩;あるいは
【0069】
(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、たとえばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンで置き換えられたときか;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンのような有機塩基と配位させたときに形成される塩。
【0070】
「離脱基」は、合成有機化学においてそれに慣用的に付随する意味、すなわち、求核基で置き換え得る原子または基を意味し、ハロゲン、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、エステル、またはアミノ、たとえばクロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロスルホニルオキシ、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミノを包含する。
【0071】
「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグを哺乳動物である対象に投与したとき、in vivoで式(I)による活性親薬物を放出する、いかなる化合物も意味する。式(I)の化合物のプロドラッグは、式(I)の化合物に存在する官能基を、その修飾がin vivoで切断されて、親化合物を放出するように修飾することによって製造される。プロドラッグは、化合物(I)のヒドロキシル、スルフヒドリルまたはアミノ基が、それぞれ遊離のヒドロキシル、アミノまたはスルフヒドリル基を再生成するようにin vivoで切断され得る、いかなる基にも結合された、式(I)の化合物を包含する。別途指示されない限り、本明細書および特許請求の範囲中の特定の化合物の記載は、式(I)の化合物のプロドラッグを包含するものとする。プロドラッグの例は、式(I)の化合物のヒドロキシル官能基のエステル(たとえば、酢酸エステル、ギ酸エステルおよび安息香酸エステル誘導体)、カルバマート(たとえば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)を包含するが、これらに限定されない。
【0072】
疾患の「処置すること」または「処置」は、下記を包含する:
(1)疾患を予防すること、すなわち、疾患にさらされているか、またはその素因があり得るが、未だ疾患の症状を経験もしくは顕示していない哺乳動物に、疾患の臨床的症状が発現しないようにすること、
【0073】
(2)疾患を抑制すること、すなわち、疾患もしくはその臨床的症状の発現を止めるか、または軽減すること、あるいは
【0074】
(3)疾患を取り除くこと、すなわち、疾患またはその臨床的症状の退行を生起すること。
【0075】
「治療有効量」は、疾患を処置するために哺乳動物に投与したとき、疾患に対するそのような処置を実施するのに充分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患、およびその重篤さ、ならびに処置しようとする哺乳動物の年齢、体重等々に応じて変動することになる。
【0076】
本願に用いられる命名法は、一般的には、IUPACの勧告に基づく。
【0077】
ピロリジン環は、下記のとおり数字付けされ:
【0078】
【化16】
Figure 2004519443
【0079】
本発明の化合物は、下記のとおり命名される:
【0080】
Ar3が、3,4−ジクロロフェニルであり、alk2が、−CH2−であり、R1が、水素であり、alk1が、−(CH22−であり、Xが、−CONH−であり、Yが、−(CH22−であり、Ar1が、ピリミジン−2−イルであり、Ar2が、4−メトキシフェニルであり、ピリミジン環の5位にある、式(I)の化合物は、N−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−3−〔5−(4−メトキシフェニル)ピリミジン−2−イル〕プロピオンアミドと命名される。
【0081】
Ar3が、3,4−ジクロロフェニルであり、alk2が、−CH2−であり、R1が、メチルであり、alk1が、−(CH22−であり、Xが、−CONH−であり、Yが、−SCH2−であり、Ar1が、ピリミジン−2−イルであり、Ar2が、3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン環の5位にある、式(I)の化合物は、N−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドと命名される。
【0082】
Ar3が、3,4−ジメトキシフェニルであり、alk2が、−CH2−であり、R1が、メチルであり、alk1が、−(CH22−であり、Xが、−CONH−であり、Yが、−OCH2−であり、Ar1が、ピリミジン−2−イルであり、Ar2が、3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン環の5位にある、式(I)の化合物は、N−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルオキシ〕アセトアミドと命名される。
【0083】
Ar3が、3,4−ジクロロフェニルであり、alk2が、−CH2−であり、R1が、メチルであり、alk1が、−(CH22−であり、Xが、−CONH−であり、Yが、−NHCH2−であり、Ar1が、ピリミジン−2−イルであり、Ar2が、3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン環の5位にある、式(I)の化合物は、N−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルアミノ〕アセトアミドと命名される。
【0084】
Ar3が、3,4−ジクロロフェニルであり、alk2が、−CH2−であり、R1が、アセチルであり、alk1が、−(CH22−であり、Xが、−CONH−であり、Yが、−SCH2−であり、Ar1が、ピリミジン−2−イルであり、Ar2が、3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン環の5位にある、式(I)の化合物は、N−〔1−アセチル−4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドと命名される。
【0085】
Ar3が、3,4−ジクロロフェニルであり、alk2が、−CH2−であり、R1が、水素であり、alk1が、−(CH2)−であり、Xが、−CONH−であり、Yが、−CH2NH−であり、Ar1が、ピリミジニルであり、Ar2が、4−メトキシフェニルであり、ピリミジン環の5位にある、式(I)の化合物は、1−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルメチル〕−3−(4−メトキシフェニルピリミジン−2−イルメチル)尿素と命名される。
【0086】
本発明の代表的な化合物は、下記のとおりである:
I.式(I)の代表的な化合物:
【0087】
【表1】
Figure 2004519443
Figure 2004519443
【0088】
本発明の最も広い定義を、発明の要約に説明したが、式(I)の一定の化合物が好ましい。
【0089】
(A)式(I)の化合物の好適な一群は、式(I′):
【0090】
【化17】
Figure 2004519443
【0091】
〔式中、R1は、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、−CONR34(ここで、R3およびR4は、独立して、水素またはアルキルである)、−COOR5(ここで、R5は、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、または−SO26(ここで、R6は、アルキルである)であり;
【0092】
alk1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
【0093】
Xは、−NHCO−または−CONH−であり;
【0094】
Yは、−O−(CH2)−、−O−(CH22−、−O−(CHCH3)−、−NRb−(CH2)−、−NRb−(CH22−、−NRb−(CHCH3)−〔ここで、Rbは、水素、アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはアルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアラルキルである〕、−S(O)n−(CH2)−、−S(O)n−(CH22-または−S(O)n−(CHCH3)−(ここで、nは、0〜2の整数である)であり;
【0095】
Ar1は、Ar2基に加えて、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、ニトロ、アミド、アミノスルホニルおよびスルホニルアミノからなる群から選択される置換基で置換された、ヘテロアリール基またはフェニル基であり:
【0096】
Ar2は、アリールであり;
【0097】
alk2は、炭素原子の1つが、場合により、−CO−、−NRc−〔ここで、Rcは、水素、アルキル、アシル、−CONR1011(ここで、R10およびR11は、独立して、水素またはアルキルである)、−COOR12(ここで、R12は、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアラルキルである〕、または−S(O)n1−(ここで、n1が、0〜2の整数である)で置き換えられた、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
【0098】
Ar3は、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである〕で示される化合物、あるいは薬学的に許容され得るその塩で表される。
【0099】
好ましくは、R1は、水素、アルキル、アシルまたは−SO2a(ここで、Raはアルキルである)である。より好ましくは、R1は、水素、メチル、エチル、アセチル、トリフルオロアセチル、−COCH2CO2H、−COCH2CO2R′(ここで、R′は、アルキルまたは−SO2CH3である)である。さらに好ましくは、R1は、水素、メチル、アセチル、−COCH2CO2H、−COCH2CO2CH3、−CO2−tert−ブチルである。
【0100】
好ましくは、alk1は、1〜3個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;より好ましくは、メチル、エチルまたはn−プロピル、さらに好ましくは、メチルまたはエチルである。
【0101】
好ましくは、Xは、−CONH−である。
【0102】
好ましくは、Yは、−SCH2−、−OCH2−または−NHCH2−である。より好ましくは、Yは、−SCH2−または−OCH2−である。
【0103】
好ましくは、Ar1は、ヘテロアリール基である。より好ましくは、Ar1は、ピリジルまたはピリミジニルである。より好ましくは、Ar1は、ピリジン−2−イルまたはピリミジン−2−イルである。さらに好ましくは、ピリミジン−2−イルである。
【0104】
好ましくは、Ar2は、アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で場合により置換された、アリールである。より好ましくは、Ar2は、フェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン−2−イルまたはピリジン−2−イルの環の5位にある。
【0105】
好ましくは、alk2は、1〜3個の炭素原子を有するアルキレン基、より好ましくは−CH2−である。
【0106】
好ましくは、Ar3は、アリールである。より好ましくは、Ar3は、場合により1または2個のハロ基で置換されたフェニルである。さらに好ましくは、Ar3は、3,4−ジクロロフェニルである。
【0107】
好ましくは、Xは、−CONH−であり、Yは、−SCH2−または−OCH2−である。
【0108】
好ましくは、Xは、−CONH−であり、Yは、−SCH2−または−OCH2−であり、Ar1は、ピリジルまたはピリミジニルである。より好ましくは、Ar1は、ピリジン−2−イルまたはピリミジン−2−イルである。さらに好ましくは、ピリミジン−2−イルである。
【0109】
(B)式(I)のもう一つの好適化合物は、式(I″):
【0110】
【化18】
Figure 2004519443
【0111】
〔式中、R1は、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、−CONR34(ここで、R3およびR4は、独立して、水素またはアルキルである)、−COOR5(ここで、R5は、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、または−SO26(ここで、R6は、アルキルである)であり;
【0112】
alk1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
【0113】
Xは、−NHCO−または−CONH−であり;
【0114】
Yは、Xが−CONH−であるときに
(i)−(CH2)−、−(CH22−、−(CH23−、−(CHCH3)−、−(CHCH3)−(CH2)−もしくは−(CH2)−(CHCH3)−であるか;または
【0115】
(ii)−(CH2)−O−、−(CH22−O−、−(CHCH3)−O−、−(CH2)−NRb−、−(CH22−NRb−、もしくは−(CHCH3)−NRb−〔ここで、Rbは、水素、アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはアルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアラルキルである〕であり;
【0116】
Ar1は、Ar2基に加えて、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、ニトロ、アミド、アミノスルホニルおよびスルホニルアミノからなる群から選択される置換基で置換された、ヘテロアリール基またはフェニル基であり:
【0117】
Ar2は、アリールであり、
【0118】
alk2は、炭素原子の1つが、場合により、−CO−、−NRc−〔ここで、Rcは、水素、アルキル、アシル、−CONR1011(ここで、R10およびR11は、独立して、水素またはアルキルである)、−COOR12(ここで、R12は、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアラルキルである〕、または−S(O)n1−(ここで、n1が、0〜2の整数である)で置き換えられた、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
【0119】
Ar3は、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである〕で示される化合物、あるいは薬学的に許容され得るその塩で表される。
【0120】
好ましくは、R1は、水素、アルキル、アシルまたは−SO2a(ここで、Raは、アルキルである)である。より好ましくは、R1は、水素、メチル、エチル、アセチル、トリフルオロアセチル、−COCH2CO2H、−COCH2CO2R′(ここで、R′は、アルキルまたは−SO2CH3である)である。さらに好ましくは、R1は、水素、メチル、アセチル、−COCH2CO2H、−COCH2CO2CH3、−CO2−tert−ブチルである。
【0121】
好ましくは、alk1は、1〜3個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;より好ましくは、メチル、エチルまたはn−プロピル、さらに好ましくは、メチルまたはエチルである。
【0122】
好ましくは、Xは、−CONH−である。
【0123】
好ましくは、Yは、−CH2−または−(CH22−である。
【0124】
好ましくは、Yは、Xが−CONH−のとき、−(CH2)−NRb−または−(CH22−NRb−〔ここで、Rbは、水素、アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはアルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアラルキルである〕である。
【0125】
好ましくは、Ar1は、ヘテロアリール基である。より好ましくは、Ar1は、ピリジルまたはピリミジニルである。より好ましくは、Ar1は、ピリジン−2−イルまたはピリミジン−2−イルである。さらに好ましくは、ピリミジン−2−イルである。
【0126】
好ましくは、Ar2は、アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で場合により置換された、アリールである。より好ましくは、Ar2は、フェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン−2−イルまたはピリジン−2−イルの環の5位にある。
【0127】
好ましくは、alk2は、1〜3個の炭素原子を有するアルキレン基、より好ましくは−CH2−または−(CH22−である。
【0128】
好ましくは、Ar3は、アリールである。より好ましくは、Ar3は、場合により1または2個のハロ基で置換されたフェニルである。さらに好ましくは、Ar3は、3,4−ジクロロフェニルである。
【0129】
好ましくは、Xは、−CONH−であり、Yは、−(CH22−である。
【0130】
好ましくは、Xは、−CONH−であり、Yは、−(CH22−NH−または−CH2−NH−である。
【0131】
好ましくは、Xは、−CONH−であり、Yは、−(CH22−であり、Ar1は、ピリジルまたはピリミジニルである。より好ましくは、Ar1は、ピリジン−2−イルまたはピリミジン−2−イルである。さらに好ましくは、ピリミジン−2−イルである。
【0132】
本発明の化合物は、当業者に公知の数多くの方法で製造することができる。好適な方法は、以下に記載する一般的な合成手順を包含するが、これらに限定されない。
【0133】
これらの化合物を製造するのに用いられる、出発原料および試薬は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee, Wisconsin、米国)、Bachem(Torrance, California、米国)、Emka-Chemie、またはSigma(St. Louis, Missouri、米国)、Maybridge(配給元:Ryan Scientific, P.O.Box 6496, Columbia, SC92960)、Bionet Research Ltd.(Cornwall PL32 9QZ、英国)、Menai Organics Ltd.(Gwynedd, N. Wales、英国)、Butt Park, Ltd.(配給元:Interchim, Montlucon, Cedex、フランス国)のような商業的供給者から入手できるか、またはFieser's Reagents for Organic Synthesis, Vols. 1-17 (John Wiley and Sons, 1991);Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Vols. 1-5 and Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989)、Organic Reactions, Vols. 1-40 (John Wiley and Sons, 1991)、March's Advanced Organic Chemistry (John Wiley and Sons, 1992)、およびLarock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989)のような参考書に説明されている手順に従って、当業者に公知の方法によって製造される。これらのスキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法の単なる例示にすぎず、これらのスキームへの様々な変更を加えることができ、かつ本開示を参照する当業者に示唆されると思われる。
【0134】
これらの反応の出発原料および中間体は、所望であれば、濾過、蒸留、晶出、クロマトグラフィーなどを包含するが、これらに限定されない、慣用の手法を用いて単離かつ精製されてよい。そのような原料は、物理定数およびスペクトルデータを包含する、慣用の手段を用いて、特徴付けてもよい。
【0135】
Xが、−CONH−であり、alk1が、−CH2−であり、その他の基が、前記に定義されたとおりであり、ピロリジン環のC2およびC4炭素原子における立体化学が(2S,4R)である、式(I)の化合物は、下記のスキームIに記載されて図解されたとおりに製造することができる。
【0136】
【化19】
Figure 2004519443
【0137】
ジ−tert−ブチルジカルボナートによる(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルの処理は、(S)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを与える。この反応は、塩化メチレン、クロロホルム、エーテルのような不活性有機溶媒中で、トリエチルアミンおよびジメチルアミノピリジンのような有機アミンの存在下、室温で実施される。当業者は、ベンジルオキシカルボニルのようなその他の適切な窒素保護基を用い得ることを認識するであろう。
【0138】
式:Ar3−alk2−LG(ここで、Ar3およびalk2は、前記に定義されたとおりであり、LGは、ハロ、トシラート、メシラート、トリフラートのような適切な離脱基である)のハロゲン化アラルキル/ハロゲン化ヘテロアラルキルによるの処理は、4−置換(S)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを与える。この反応は、LiHDMSのような強塩基の存在下、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルのようなエーテル溶液中で実施される。反応は、初めに約−78℃で実施され、次いで環境温度にまで暖められる。式:Ar3−alk2−LGのハロゲン化アラルキル/ハロゲン化ヘテロアラルキルは、商業的に入手できるか、または当技術の方法によって製造することができる。たとえば、塩化ベンジル、3,4−ジクロロベンジルブロミドおよび3−クロロベンジルクロリドは、商業的に入手可能である。その他は、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、3−フェニルプロパノールのような商業的に入手できるアルコールから、PBr3、POCl3のようなハロゲン化剤でそれらを処理することによって、製造することができる。これに代えて、アルコールを、当技術に周知の方法によってメシル、トシルまたはトリフラートへと変換することができ、上記の反応に、ハロゲン化アルキルに代えて用いることができる。
【0139】
テトラヒドロフランのようなエーテル溶液中のボランのような適切な還元剤による、化合物のエステルおよびアミド基の40℃前後での還元は、対応する式の(2S,4R)−4−(アラルキルまたはヘテロアラルキル)−2−ヒドロキシメチル−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジンを与える。のヒドロキシル基は、当技術に周知の方法によって、メシラート、トシラートのような適切な離脱基へと変換する。この反応は、を、それぞれ、メタンスルホニルクロリドまたはp−トルエンスルホニルクロリドで、トリエチルアミン、ピリジンのような塩基の存在下、塩化メチレンのような不活性溶媒中で処理することによって実施される。
【0140】
そうして、アジ化物イオンによる化合物のメシラート/トシラート基の置換、その後の、得られた式の(2S,4R)−4−(アラルキルまたはヘテロアラルキル)−2−アジドメチル−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジンのアジド基の還元は、式の(2S,4R)−4−(アラルキルまたはヘテロアラルキル)−2−アミノメチル−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジンを与える。をアジ化ナトリウムとともに、ジメチルホルムアミドのような極性有機溶媒中で加熱すると、メシラート基の置換が生じる。
【0141】
のアジド基のアミノ基への還元は、酸化白金のような適切な触媒を用いて、接触水素化反応の条件下で実施される。反応は、酢酸エチル中で、大気圧および環境温度で実施される。
【0142】
次いで、化合物を、Ar1、Ar2およびYが前記に定義されたとおりである式の酸によって、Xが−CONH−である式(I)の化合物へと変換する。この反応は、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、ジエチルアザカルボジイミド(DEAD)のようなカップリング剤の存在下、場合により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物のような触媒の存在下で実施される。反応は、塩化メチレン、テトラヒドロフランのような溶媒中で、環境温度で実施される。これに代えて、カップリング反応を、を、酸塩化物のような酸ハロゲン化物へと変換し、次いで、トリエチルアミン、ピリジンのような塩基の存在下でと反応させることによって実施することもできる。
【0143】
の酸は、商業的に入手できるか、または当技術に周知の方法によって製造することができる。たとえば、2−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル)酢酸、2−(3−メチル−2−N−フェニルピラゾール−4−イル)酢酸、2−(2−ピラジン−2−イルチアゾール−4−イル)酢酸、2−〔2−(ピリミジン−2−イル)−6−トリフルオロメチルピリミジン−4−イルスルファニル〕酢酸、2−〔6−(4−クロロフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕酢酸、2−(3−フェニルピラゾール−1−イル)酢酸および2−メチル−2−(4−チオフェノイルフェニル)酢酸は、商業的に入手可能である。
【0144】
その他は、当技術に周知の方法によって製造することができる。たとえば、3−〔4−(4−メトキシフェニル)ピリミジン−2−イル〕プロパン酸は、ナトリウムエトキシドの溶液(エタノール中21%wt/vol、10ml、30mmol、3当量)を、無水エタノール(40ml)中の過塩素酸2−(4−メトキシフェニル)トリメチニウム(3.3g、9.8mmol)〔Jutz, C.; Kirchlechner, R.; Seidel, H., Chem. Ber., 102, 2301 (1969)を参照されたい〕および4−アミジノブタン酸一塩酸塩(1.5g、9.8mmol)〔McElvain, S.M.; Schroeder, J.P.; J. Am. Chem. Soc., 71, 40 (1949)を参照されたい〕の懸濁液に加え、反応混合物を、還流にて12時間加熱することによって製造することができる。この懸濁液を濃縮し、水で希釈し、エーテルで洗浄する。次いで、水相を、クエン酸(10g)で酸性にする。沈澱を、濾過し、水およびエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥して、3−〔4−(4−メトキシフェニル)ピリミジン−2−イル〕プロパン酸を得る。
【0145】
3−〔5−(4−ニトロフェニル)ピリミジン−2−イル〕プロパン酸を、下記のとおりに製造する:オキシ塩化リン(83ml、0.79mol)を、乾燥した冷ジメチルホルムアミド(100ml)に、N2下で、温度が5℃を超えないような速度で徐々に加える。添加を完了した後、4−ニトロフェニル酢酸(48g、0.26mol)を、一部分ずつ加え、反応混合物を、1時間にわたって85℃に加熱する。反応混合物を、冷却し、次いで氷上に注ぐ。固体の過塩素酸ナトリウム一水和物(37g、0.26mol)を加えて、過塩素酸塩として生成物の沈澱を開始させる。固体の濾過、次いで冷水、メタノールおよびエーテルでの洗浄によって、過塩素酸2−(4−ニトロフェニル)トリメチニウムを得る。
【0146】
ナトリウムエトキシドの溶液(エタノール中21%wt/vol、60ml、180mmol、3当量)を、エタノール(300ml)中の過塩素酸2−(4−ニトロフェニル)トリメチニウム(20.8g、60mmol)および4−アミジノプロピオン酸一塩酸塩(9.1g、60mmol)の懸濁液に、一部分ずつ加える。懸濁液を、室温で終夜加熱する。得られた懸濁液を、濾過し、エタノール、冷HCl、水およびエーテルで洗浄し、次いで、高真空下で乾燥して、3−〔5−(4−ニトロフェニル)ピリミジン−2−イル〕プロパン酸を得て、これを、標準的な接触水素化の条件下で水素化して、3−〔5−(4−アミノフェニル)ピリミジン−2−イル〕プロピオン酸を得ることができる。
【0147】
2−〔5−(4−メトキシフェニル)ピリミジン−2−イルアミノ〕酢酸(150mg)は、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(2.7M、3.8ml、10mmol、2.9当量)を、脱水エタノール(20ml)中の2−(4−メトキシフェニル)トリメチニウム過塩素酸塩(1.1g、3.4mmol)およびグアニジン酢酸(0.48g、4.0mmol、1.2当量)の懸濁液に加えることによって製造される。反応混合物を、室温で30分間、次いで還流温度で3時間撹拌する。冷却後、ナトリウム塩を濾過し、ケーキを水20mlに溶解し、次いで1M塩酸で酸性化する。水層を、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下での溶媒の除去によって、位置異性体の1:1未満混合物を含有する固体を得る。2成分を、逆相クロマトグラフィーを用いて分離して、2−〔5−(4−メトキシフェニル)ピリミジン−2−イルアミノ〕酢酸および位置異性体を得る。
【0148】
2−(5−フェニルピリミジン−2−イルオキシ)酢酸およびその誘導体は、5−ブロモ−2−クロロピリミジン〔国際公開公報WO 00/31032(その開示は、その全体として本明細書に組み込まれる)に記載されたとおりに製造〕をグリコール酸メチルと反応させて、5−ブロモピリミジン−2−イルオキシ酢酸メチルを得ることによって製造することができる。WO 00/31032の例8、工程5に記載された反応条件下での、フェニルボロン酸との5−ブロモピリミジン−2−イルオキシ酢酸メチルのカップリング、次いでエステル基の塩基性加水分解によって、2−(5−フェニルピリミジン−2−イルオキシ)酢酸を得る。
【0149】
そうして、BOC基の脱保護は、R1が水素である式(I)の化合物を与える。脱保護は、酸性加水分解の反応条件下で実施される。適切な酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸である。
【0150】
そうして、R1が水素である式(I)の化合物を、当技術に周知の方法によって、R1が水素以外である、その他の式(I)の化合物へと変換することができる。
【0151】
1が水素である式(I)の化合物を、トリエチルアミン、ピリジンのような非求核性塩基の存在下、塩化メチレン、テトラヒドロフランのような適切な有機溶媒中で、一般式:R′C(O)Halのハロゲン化アシル、または一般式:R′SO2Halのハロゲン化スルホニルで処理して、R1がアシルまたはスルホニルである、対応する式(I)の化合物を得ることができる。塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化トリフルオロアセチルおよびモノメトキシマロニルクロリドのようなハロゲン化アシルは、商業的に入手可能である。塩化メタンスルホニルのようなハロゲン化スルホニルは、商業的に入手可能である。
【0152】
Ar1またはAr3基にたとえばアルコキシ置換基を有する、式(I)の化合物は、当技術に周知の条件下でのアルコキシ基の脱アルキル化によって、ヒドロキシル基を有する対応する式(I)の化合物へと変換することができる。同様に、Ar1またはAr3基にたとえばニトロ置換基を有する、式(I)の化合物は、標準的な接触水素化の反応条件下で、対応するアミノ基を有する式(I)の化合物へと変換することができる。
【0153】
加えて、(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル1に代えて、(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを出発原料として用いて、ピロリジン環に(2R,4S)の立体化学を有する式(I)の化合物が得られる。
【0154】
Xが、−CONH−であり、alk1が、−(CH22−であり、その他の基が前記に定義されたとおりであり、ピロリジン環のC2およびC4炭素原子における立体化学が(2S,4R)である、式(I)の化合物は、下記のスキームIIに図解かつ記載されたとおりに製造することができる。
【0155】
【化20】
Figure 2004519443
【0156】
Xが、−CONH−であり、alk1が、−(CH22−であり、その他の基が前記に定義されたとおりである、式(I)の化合物は、式の化合物から、初めに、70〜90℃のジメチルスルホキシド中で、それをシアン化ナトリウムまたはカリウムと反応させることによって、式10のシアノ誘導体へと変換することによって製造することができる。次いで、テトラヒドロフラン中での、ジボランのような適切な還元剤によるシアノ基の還元は、式11のアミノエチル誘導体を与える。次いで、化合物11を、上記のスキームIに記載したとおりに、Xが−CONH−である式(I)の化合物へと変換する。ここでも、(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルに代えて、(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを出発原料として置き換えることが、ピロリジン環に(2R,4S)の立体化学を有する式(I)の化合物を与える。スキームIIでは、tert−ブトキシカルボニルは、ベンジルオキシカルボニルのような、他の適切な窒素保護基であることができる。
【0157】
Xが、−CONH−であり、R1が、アルキルであり、alk1が、−(CH2)−であり、その他の基が前記に定義されたとおりであり、ピロリジン環のC2およびC4炭素原子における立体化学が、(2S,4S)または(2S,4R)のいずれかである、式(I)の化合物は、下記のスキームIIIに図解かつ記載されたとおりに製造することができる。
【0158】
【化21】
Figure 2004519443
【0159】
上記の水素化ナトリウムのような強塩基の存在下での、化合物3におけるtert−ブトキシカルボニル基の除去は、式12の化合物を与える。tert−ブトキシカルボニルは、ベンジルオキシカルボニルのようなその他の適切な窒素保護基であることができる。式:R1LG(ここで、LGは、クロロ、ブロモまたはヨードである)のハロゲン化アルキルによる12のアルキル化は、式13aおよび13bのジアステレオマーの混合物を与える。ジアステレオマーは、所望であれば、下記の例4に記載されたとおりのカラムクロマトグラフィーによって分離することができる。メタノール中、室温でのアンモニアによる13aまたは13bの処理は、それぞれ、式14aまたは14bの対応する2−アミド−5−オキソピロリジン誘導体を与える。
【0160】
14aまたは14bの2−アミド基の還元は、それぞれ、式15aまたは15bの対応する2−アミノメチルピロリジン誘導体を与え、次いでこれを、上記のスキームIに詳しく記載されたとおりに、式(I)の化合物へと変換する。アミド基の還元は、テトラヒドロフラン中のジボランとともに14aまたは14bを加熱することによって実施される。
【0161】
(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルに代えて(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを出発原料として置き換えて、15aおよび15bの鏡像異性体が生成物として得られる。
【0162】
これに代えて、ピロリジン環が(2S,4S)の立体化学を有する、すなわち、ピロリジン環のC2およびC4位の基が互いにシンである、式(I)の化合物は、Esquerra, J. et al., Tetrahedron, 49, 8665 (1993)に記載されたとおり、シアン化カリウムの存在下、ジメチルホルムアミド中で化合物を加熱することによって製造することができる。この反応は、のC4炭素におけるラセミ化を引き起こし、こうして、−CO2Etおよび−alk2−Ar3基が互いにシンすなわちトランスである、式の化合物を与える。これらのジアステレオマーは、上記のとおり、分離し、次いで式(I)の化合物へと変換することができる。
【0163】
Xが、−CONH−であり、R1が、メチル、または別のアルキル基であり、alk1が、−(CH22−であり、その他の基が前記に定義されたとおりであり、ピロリジン環のC2およびC4炭素原子における立体化学が(2S,4R)である、式(I)の化合物は、下記のスキームIVに図解かつ記載されたとおりに製造することができる。
【0164】
【化22】
Figure 2004519443
【0165】
テトラヒドロフラン中の過剰なジボランとともに化合物を長時間加熱し、次いで、メタノール中の塩酸とともに加熱することによって、式16のN−メチル−2−ヒドロキシメチルピロリジン誘導体を得る。次いで、化合物16を、Xが、−CONH−であり、alk1が、−(CH22−であり、その他の基が前記に定義されたとおりであり、ピロリジン環における立体化学が、上記のスキームIIに記載されたとおりに(2S,4R)である、式(I)の化合物へと変換する。スキームIIでは、tert−ブトキシカルボニルは、ベンジルオキシカルボニルのような他の適切な窒素保護基であることができる。
【0166】
本発明の化合物は、CCR−3受容体拮抗薬であり、RANTES、エオタキシン、MCP−2、MCP−3およびMCP−4のような、CCR−3ケモカインによって好酸球動員を阻害する。本発明の化合物、およびそれを含有する組成物は、炎症性またはアレルギー性疾患のような好酸球で誘導される疾患であって、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎(たとえば慢性好酸球性肺炎)のような呼吸器アレルギー性疾患;炎症性腸疾患(たとえば、クローン病および潰瘍性大腸炎);ならびに乾癬、および皮膚炎や湿疹のような炎症性皮膚病を包含するものの処置に役立つ。
【0167】
加えて、CCR−3受容体は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の病態形成に役割を果たすことが、最近発見された。したがって、本発明の化合物、およびそれを含有する組成物は、AIDSの処置にも役立つ。
【0168】
本発明の化合物のCCR−3拮抗活性を、例9、10および11にさらに詳述されるとおり、リガンド結合および走化性アッセイのようなin vitroアッセイによって測定した。in vivo活性は、例12にさらに詳述されるとおり、Balb/cマウスモデルにおける卵アルブミン誘導喘息で検定した。
【0169】
一般に、本発明の化合物は、類似の効用に役立つ薬剤に関して許容された投与様式のいずれかによって、治療有効量にて投与されることになる。本発明の化合物、すなわち活性成分の実際の量は、処置しようとする疾患の重篤さ、対象の年齢および相対的健康さ、用いられる化合物の効力、投与の経路およびその形態、ならびにその他の因子のような、無数の因子に依存することになる。
【0170】
式(I)の化合物の治療有効量は、1日につき受容者の体重1kgあたり約0.01〜20mg;好ましくは約0.1〜10mg/kgにわたり得る。したがって、70kgの人物に対する投与については、投与量範囲は、最も好ましくは、1日につき約7mg〜0.7gであろう。
【0171】
一般に、本発明の化合物は、医薬組成物として、下記の経路のいずれか一つによって投与されることになる:経口、吸入(たとえば鼻内または経口吸入)または非経口(たとえば筋内、静脈内または皮下)投与。投与の好適な方式は、苦痛の程度に応じて調整することができる、好都合な日次投与量方式を用いた、経口投与である。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固形剤、粉剤、徐放性処方物、溶液、懸濁液、リポソーム、エリキシル剤、またはその他適切ないかなる組成物の形態もとることができる。本発明の化合物の投与のもう一つの好適な方式は、吸入である。これは、喘息のような疾患、およびその他の類似または関連する呼吸路障害の処置のために、治療剤を呼吸路に直接送達するのに効果的な手段である〔米国特許第5,607,915号明細書を参照されたい〕。
【0172】
処方物の選択は、薬物投与の様式、および薬物物質のバイオアベイラビリティのような様々な因子に依存する。吸入による送達のためには、化合物を、液体溶液もしくは懸濁液、エアゾル噴射剤、または乾燥粉末として処方し、投与に適したディスペンサーに装荷することができる。3種類の薬学的吸入装置、すなわちネブライザー吸入器、定量噴霧式吸入器(MDI)およびドライパウダー吸入器(DPI)がある。ネブライザー装置は、高速度の空気流を生成して、それが(液体形態に処方された)治療剤をミストとして噴霧させ、それが患者の呼吸路内に搬送される。MDIは、代表的には、処方物が圧搾気体とともに梱包されている。始動すると、装置は、計測された量の治療剤を圧搾気体によって放出し、こうして一定量の薬剤を投与する信頼できる方法を与える。DPIは、治療剤を自由に流動する粉末の形態で投与して、それが、装置によって、呼吸の際に患者の吸息気流中に分散されことができる。自由流動粉末を達成するには、治療剤を、賦形剤、たとえば乳糖とともに処方する。計測された量の治療剤は、カプセル形態で貯蔵され、各始動によって患者に分与される。
【0173】
最近、バイオアベイラビリティは、表面積を増加させる、すなわち粒度を減少させることによって増大させることができるという原理に基づいて、特に不充分なバイオアベイラビリティを示す薬物のための製剤処方物が開発されている。たとえば、米国特許第4,107,288号明細書は、高分子の架橋結合した基質に活性材料を担持させた、10〜1,000nmの粒度範囲の粒子を有する製剤処方物を記載している。米国特許第5,145,684号明細書は、薬物物質を、表面改質剤の存在下でナノ粒子(400nmの平均粒度)へと微粉化し、次いで液体媒体中に分散させて、著しく高いバイオアベイラビリティを示す製剤処方物を与える、製剤処方物の製造を記載している。
【0174】
組成物は、一般的には、少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤と組み合わせた式(I)の化合物で構成される。許容され得る賦形剤は、無害であり、投与を助け、式(I)の化合物の治療上の利点に不都合に作用しない。そのような賦形剤は、当業者には一般的に利用できる、いかなる固体、液体、半固体、またはエアゾル組成物の場合は気体の賦形剤であってもよい。
【0175】
固体の製剤賦形剤は、澱粉、セルロース、タルク、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、コムギ粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳などを包含する。液体および半固体の賦形剤は、グリセリン、プロピレングリコール、水、エタノール、および石油、動物、植物または合成起源のものを包含する様々な油、たとえば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等々から選ばれてよい。好適な液体担体、特に注射できる溶液に好適なそれは、水、生理食塩水、水性デキストロースおよびグリコールを包含する。
【0176】
圧搾気体は、本発明の化合物をエアゾル形態中に分散させるのに用い得る。この目的に適した不活性気体は、窒素、二酸化炭素等である。
【0177】
非経口または経口送達用薬物のリポソーム処方物のためには、薬物および脂質を、適切な有機溶媒、たとえばtert−ブタノール、シクロヘキサン(1%エタノール)に溶解する。溶液を凍結乾燥し、脂質混合物を、水性緩衝液に懸濁させ、リポソームを形成させる。必要ならば、リポソームの大きさは、超音波処理によって削減することができる〔Frank Szoka, Jr. & Demetrios Papahadjopoulos, ″Comparative Properties and Methods of Preparation of Lipid Vesicles (Liposomes)″, Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9:467-508 (1980)およびD.D. Lasic, ″Novel Applications of Liposomes″, Trends in Biotech., 16:467-608 (1998)を参照されたい〕。
【0178】
その他の適切な製剤賦形剤およびその処方は、E.W. Martin編、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、(Mack Publishing Company, 18th ed., 1990)に記載されている。
【0179】
処方物中の化合物の濃度は、当業者が用いる全範囲内で変動させることができる。代表的には、処方物は、重量%(wt%)ベースで、処方物全体を基準にして約0.01〜99.99重量%の式(I)の化合物を含有することになり、残余は、1種以上の適切な製剤賦形剤である。好ましくは、化合物は、約1〜80重量%の濃度で存在する。式(I)の化合物を含有する代表的な製剤処方物を、例8に記載する。
【0180】
〔実施例〕
例1
N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドの合成
【0181】
【化23】
Figure 2004519443
【0182】
工程1
塩化メチレン(250ml)中の(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(25.5g、162mmol)の溶液に、BOC無水物(36.5g、167mmol)、トリエチルアミン(24.8ml、178.4mmol)およびDMAP(2.0g、16.2mmol)を順に加え、混合物を、20℃で16時間撹拌した。溶媒を、減圧下での蒸発によって除去し、得られたスラリーを、EtOAcに再溶解し、水洗し、次いでNa2SO4で乾燥した。蒸発させて乾燥し、次いで、50%EtOAc−ヘキサンで溶離する、シリカゲルの濾過クロマトグラフィーによって精製して、(S)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(38.3g、149.2mmol)を油状物として得たが、これは、放置すると結晶化した。
【0183】
工程2
無水THF(100ml)中の(S)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(5.0g、19.4mmol)の溶液を、N2下で撹拌しつつ、−78℃に冷却し、その後、THF中のリチウムヘキサメチルジシラジドの1.0M溶液(21.4ml、21.4mmol)を、注射筒によって3分間にわたって加えた。12分間撹拌した後、HMPA(3.7ml、21.4mmol)を、注射筒によって混合物に加え、さらに5分後、THF(10ml)中の3,4−ジクロロベンジルブロミド(5.1g、21.4mmol)の溶液を、添加漏斗によって3分間にわたって加えた。−78℃での撹拌を1時間継続し、その後、飽和NH4Cl水溶液(10ml)を加え、混合物を、室温まで暖まるに任せた。EtOAcとH2Oとの間の標準的な後処理によって、油状物を得たが、これは固化した。精製は、アセトン−ヘキサンからの2回の連続再結晶によって達成して、(2S,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(5.68g、13.6mmol)を、白色の結晶性生成物として得た。
【0184】
工程3
直前に蒸留したTHF(10ml)中の(2S,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(1.92g、4.61mmol)の溶液に、THF中のBH3の1.0M溶液(46ml、46mmol)を加え、混合物を、40℃で3.5時間暖めた。次いで、混合物を氷中で冷却し、過剰なBH3を、メタノールを注意深く加えることによって分解し、減圧下の蒸発によって濃縮して、清澄な油状物(3.02g)を得た。40%EtOAc−ヘキサンで溶離する、シリカゲルのクロマトグラフィーによる精製よって、純粋な(2S,4R)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン(0.99g、2.75mmol)を得た。
【0185】
工程4
塩化メチレン(30ml)中の(2S,4R)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン(1.38g、3.82mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.78ml、5.72mmol)、次いで塩化メタンスルホニル(0.36ml、4.58mmol)を加え、混合物を20℃で9時間撹拌した。次いで、減圧下での蒸発によって、ほとんどのCH2Cl2を除去し、残渣を、酢酸エチルで希釈し、NaHCO3水溶液、次いで水で洗浄した。Na2SO4による乾燥、次いで減圧下での蒸発によって、粗(2S,4R)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−(メタンスルホニルオキシメチル)ピロリジン1.70gを得て、これを、さらに精製せずに用いた。
【0186】
工程5
シアン化ナトリウム(4.3g、87.4mmol)を、無水DMSO(120ml)中の粗(2S,4R)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−(メタンスルホニルオキシメチル)ピロリジン(7.7g、17.5mmol)の溶液に加え、混合物を、撹拌しつつ80℃で3.5時間加熱した。反応混合物を、冷却し、EtOAcとNa2CO3水溶液との間で後処理した。生成物の真空乾燥によって、(2S,4R)−2−(シアノメチル)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン6.34g(17.2mmol)をコハク色の油状物として得た。
【0187】
工程6
無水THF(65ml)中の(2S,4R)−2−(シアノメチル)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン(6.34g、17.2mmol)の溶液に、THF中のBH3の1.0M溶液(110ml、110mmol)を加え、混合物を、45℃で1.5時間暖めた。次いで、混合物を氷中で冷却し、水を発泡が停止するまで滴加することによって、反応停止させた。冷混合物を、2N HClで酸性化し、次いで、さらに100mlの1NHClを加え、次いで、混合物を6℃で16時間貯蔵した。清澄な溶液を、Na2CO3水溶液で塩基性にさせ、次いで、得られた乳濁液を、CH2Cl2で抽出し、次いで、後処理の完了によって、粗生成物7.3gを得た。0.5%の濃NH4OH、およびCH2Cl2中10〜15%のCH3OHで溶離する、シリカゲルのクロマトグラフィーによる精製によって、純粋な(2S,4R)−2−(アミノエチル)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン(4.40g、11.8mmol)を清澄な油状物として得た。
【0188】
工程7
DMF(45ml)中のクロロメチレンジメチルアンモニウムクロリド(フィルスマイヤー塩;25.0g、195.3mmol;Aldrich)のスラリーを、氷冷しつつ15分間撹拌した後、3,4−ジメトキシフェニル酢酸(12.8g、65.1mmol)を、10分間にわたって一部分ずつ加えた。反応を、さらに10分間、0℃で撹拌し、次いで、温度を65℃に上昇させた。20分後、温度を85℃に上昇させ1時間、次いで、混合物を冷えるに任せた。混合物を、氷水(200ml)に注ぎ込み、過塩素酸ナトリウム(9.2g、65.1mmol)を加え、混合物を、塩が溶解し、生成物の晶出が開始するまで、0℃で撹拌した。0℃で16時間放置した後、生成物を、濾過によって捕集し、少量の氷水および冷エタノール、次いでエチルエーテルで洗浄した。真空乾燥によって、生成物である過塩素酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)トリメチニウム(17.4g、48.0mmol)を乳白色の固体として得た。
【0189】
工程8
DMF(60ml)中の過塩素酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)トリメチニウム(17.4g、47.9mmol)、および無水EtOH(160ml)中のチオ尿素(5.11g、67.1mmol)のスラリーに、エタノール中のナトリウムエトキシドの溶液(2.7M、43ml、115mmol)を加え、混合物、75℃で3時間加熱した。混合物を冷却し、酢酸で中和し、氷水に注ぎ込んだ。得られた微細な沈澱の濾過、水洗および真空乾燥によって、5−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−チオールピリミジン(11.5g、46.3mmol)を黄色の固体として得た。
【0190】
工程9
DMF(60ml)中の5−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−チオールピリミジン(2.49g、10.0mmol)のスラリーに、水素化ナトリウムの油中60%懸濁液(0.42g、10.5mmol)を加えた。20℃で1時間撹拌した後、ブロモ酢酸エチル(1.8g、11.0mmol)を加え、撹拌を、20時間継続した。混合物を水に注ぎ込み、EtOAcで抽出して、粗生成物を得た。25%アセトン−ヘキサンで溶離するクロマトグラフィーによる精製によって、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イル〕酢酸エチルを黄色の油状物として得た(2.83g、8.46mmol)。
【0191】
工程10
EtOH(40ml)中の〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イル〕チオ酢酸エチル(2.83g、8.46mmol)の溶液に、水(8ml)中のLiOH・H2O(0.53g、12.7mmol)の溶液を加えた。20℃で2時間撹拌した後、得られたスラリーを、水で希釈し、次いで2N HCl水溶液で酸性化した。得られた混合物を、EtOAcで抽出して、生成物を単離した。次いで、EtOAc−ヘキサンからの晶出によって、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イル〕酢酸(2.23g、7.28mmol)を微細な黄色の針状物として得た。
【0192】
工程11
CH2Cl2(120ml)中の(2S,4R)−2−(2−アミノエチル)−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン(4.4g、11.8mmol)の溶液に、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルチオ酢酸(4.3g、14.1mmol)(上記の工程7〜10に記載したとおりに製造)、EDCI(3.4g、17.7mmol)およびHOBT(0.4g、2.8mmol)を順に加えた。反応混合物を、20℃で2時間撹拌し、その後CH2Cl2とNaHCO3水溶液との間での後処理し、次いで、50%アセトン−ヘキサンで溶離する、シリカゲルのクロマトグラフィーによる精製によって、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド(5.5g、8.3mmol)を得た。
【0193】
例2
N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド塩酸塩の合成
【0194】
【化24】
Figure 2004519443
【0195】
工程1
N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド塩酸塩(5.5g、8.3mmol)を、CH2Cl2溶液(3ml)中でトリフルオロ酢酸(0.25ml)と16時間撹拌することによって脱保護した。CH2Cl2とNa2CO3水溶液との間の後処理によって、遊離アミンを油状物として得た。生成物を、EtOAc中3%のイソプロピルアミンおよび15%のメタノールで溶離する、シリカゲルのクロマトグラフィーによって精製し、次いで、生成物を、1当量のHCl/Et2Oによる処理によって、HCl塩へと変換した。生成物を、減圧下で乾燥して、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド塩酸塩(4.33g、7.24mmol)を黄色の個体として得た。融点:100.5〜102.1℃、質量スペクトル:561(MH+)。
【0196】
上記の例1および2に記載したとおりに進めるが、(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルに置き換えて、N−(2R,4S)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド塩酸塩を得た。
【0197】
上記の例1および2に記載したとおりに進めるが、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルチオ酢酸を5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルチオプロピオン酸に置き換えて、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−3−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イル〕プロピオンアミド塩酸塩を得た。
【0198】
上記の例1および2に記載したとおりに進めるが、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルチオ酢酸を5−(フェニル)ピリミジン−2−イルチオ酢酸に置き換えて、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド塩酸塩を得た。
【0199】
上記の例1および2に記載したとおりに進めるが、5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルチオ酢酸を5−(フェニル)ピリミジン−2−イルチオ酢酸に置き換え、(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルに置き換えて、N−(2R,4S)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド塩酸塩を得た。
【0200】
例3
N−(2R,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルメチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドの合成
【0201】
【化25】
Figure 2004519443
【0202】
工程1
(2R,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル〔上記の例1、工程1および2に記載されたとおりに、しかし(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルに置き換えて製造〕(1.0g、2.4mmol)のエタノール溶液に、エーテル中の1N HCl(12ml、12mmol)を加えた。反応混合物を、55℃で6時間撹拌した。反応混合物を、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(50%ヘキサン/50%EtOAc)によって、(2R,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(543mg、1.72mmol)を得た。
【0203】
工程2
(2R,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(685mg、2.17mmol)のTHF溶液を、室温でTHF中で撹拌中の60%NaH(130mg、3.25mmol)の混合物に加えた。1時間後、ヨウ化メチル(0.27ml、4.34mmol)を加えた。6時間後、反応混合物を、NH4Cl溶液の添加によって反応停止した。次いで、反応混合物を、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(60%ヘキサン/40%EtOAc)によって、より極性が低いアンチ異性体である(2R,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(216g、0.66mmol)と、より極性に富むシン異性体である(2R,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(130mg、0.4mmol)とを得た。
【0204】
工程3
異性体である(2R,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(910mg、2.76mmol)に、メタノール中2.0MのNH330mlを加えた。反応混合物を、室温で120時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、白色固体を得た。この固体を、エーテルに懸濁させ、濾取して、異性体の(2R,4R)−5−アミノカルボニル−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリドン(659mg、2.19mmol)を得た〔MS:301〕。
【0205】
工程4
(2R,4R)−5−アミノカルボニル−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン(620mg、2.06mmol)に、1.0M BH3/THF(14.4ml、14.4mmol)を加え、混合物を、70℃で3.5時間撹拌し、20℃で15時間撹拌し、次いで濃縮した。濃縮した反応混合物に、メタノール、次いで6N HCl7mlを徐々に加えた。次いで、この混合物を、55℃で1時間撹拌し、室温まで冷却し、水で希釈し、1N NaOH水溶液で塩基性化し、生成物をEtOAc中に抽出した。水層を濃縮し、得られた固体をEtOAcで洗浄することによって、さらに生成物が得られた。併せた有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、(2R,4R)−2−アミノメチル−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(353ml、1.29mmol)を得た。
【0206】
工程5
(2R,4R)−2−アミノメチル−4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(例3、4に記載したとおりに製造)(40mg、0.15mmol)のCH2Cl2溶液に、5−フェニルピリミジン−2−イルチオ酢酸(40mg、0.16mmol)、EDCI(36mg、0.19mmol)およびHOBT(2mg、0.015mmol)を加えた。反応混合物を、室温で16時間撹拌し、EtOAcで希釈し、NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95%CH2Cl2/5%MeOH)によって、塩酸N−(2R,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルメチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド(47mg、0.098mmol)を得た。質量スペクトル:502(MH+)。
【0207】
上記の例3工程1に記載したとおりに進めるが、(2R,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを(2S,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルに置き換え、次いで、上記の例3、工程2に記載したとおりにメチル化して、(2S,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルをクロマトグラフィー後に得た。次いで、上記の例3に記載したとおりに工程3〜5を追うことによって、(2S,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル−1−メチル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチルを、N−(2S,4S)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルメチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドへと変換した。
【0208】
例4
N−(2R,4S)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルメチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドの合成
【0209】
【化26】
Figure 2004519443
【0210】
工程1
MeOH中2.0MのNH3(10ml、20mmol)中の(2R,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(上記の例3に記載したとおりに製造)(216mg、0.65mmol)の溶液を、室温で96時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮乾固して、(2R,4S)−5−アミノカルボニル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン(196mg、0.65mmol)を得た。
【0211】
工程2
(2R,4S)−5−アミノカルボニル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチル−2−ピロリドン(196mg、0.65mmol)に、THF中1.0MのBH3の溶液(5ml、5mmol)を加えた。反応混合物、70℃で3.5時間撹拌し、その後減圧下で濃縮した。メタノール、次いで6N HCl5mlを徐々に加え、混合物を70℃で1時間加熱した。反応混合物を、室温まで冷却し、1N NaOHで塩基性化し、生成物をEtOAc中に抽出した。水層を濃縮乾固し、得られた固体をEtOAcで洗浄した。併せた抽出液を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95%CH2Cl2/4%MeOH/1%NH4OH)によって、(2R,4S)−2−アミノメチル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(117mg、0.43mmol)を得た。
【0212】
工程3
CH2Cl2(5ml)中の(2R,4S)−2−アミノメチル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(24mg、0.088mmol)の溶液に、5−フェニルピリミジン−2−イルチオ酢酸(24mg、0.097mmol)、EDCI(21mg、0.11mmol)およびHOBT(1mg、0.009mmol)を加えた。反応混合物を、室温で2時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、NaHCO3で洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、N−(2R,4S)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルメチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド(30mg、0.06mmol)を得た。質量スペクトル:502(MH+)。
【0213】
例4に記載したとおりに進めるが、(2R,4S)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボキシラートを(2S,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボキシラート(上記の例3に記載したとおりに製造)に置き換えて、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルメチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドを得た。
【0214】
例5
N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドの合成
【0215】
【化27】
Figure 2004519443
【0216】
工程1
(2S,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−tert−ブトキシカルボニル−2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル(上記の例2に記載したとおりに製造)(1g、2.4mmol)に、1.0M BH3/THF(36ml、36mmol)を加え、反応混合物を、70℃で50時間撹拌し、次いで濃縮した。MeOH、次いでエーテル中1.0MのHCl(36ml)を反応混合物に徐々に加え、次いで、70℃に1時間加熱した。次いで、この混合物を、濃縮し、EtOAcで希釈し、次いでNaHCO3水溶液で洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95%CH2Cl2/4%MeOH/1%NH4OH)によって、(2S,4R)−2−ヒドロキシメチル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(216mg、0.79mmol)を得た。
【0217】
工程2
CH2Cl2(10ml)中の(2S,4R)−2−ヒドロキシメチル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(212mg、0.77mmol)の室温溶液に、トリエチルアミン(0.161ml、1.61mmol)、次いで塩化メタンスルホニル(0.072ml、0.93mmol)を加えた。3.5時間後、反応混合物を、EtOAcで希釈し、NaHCO3水溶液で2回洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、(2S,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−2−(メタンスルホニルオキシメチル)−1−メチルピロリジン(211mg、0.6mmol)を得た。
【0218】
工程3
DMSO中の(2S,4R)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−2−(メタンスルホニルオキシメチル−1−メチルピロリジン(211mg、0.6mmol)の溶液に、シアン化ナトリウム(176mg、3.6mmol)を加え、混合物を70℃で21時間加熱した。反応混合物を、EtOAcで希釈し、NaHCO3水溶液で3回洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(60%EtOAc/40%ヘキサン)によって、(2S,4R)−2−シアノメチル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(104mg、0.37mmol)を得た。
【0219】
工程4
THF(50ml)中の(2S,4R)−2−シアノメチル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(793mg、2.8mmol)の溶液に、1.0MBH3/THF(19.6ml、19.6mmol)を加えた。反応混合物を、70℃で4時間加熱し、次いで濃縮した。MeOH、次いで6N HCl0mlを徐々に加え、混合物を70℃で1時間加熱した。反応混合物を、室温まで冷却し、1N NaOHで塩基性化し、EtOAcで抽出した。生成物を含有する水層を、濃縮乾固した。得られた固体を、EtOAcを用いて粉砕し、濾過によって固体を除去した。EtOAc抽出物を濃縮して、(2S,4R)−2−(2−アミノエチル)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(425mg、1.5mmol)を得た。
【0220】
工程5
CH2Cl2(5ml)中の(2S,4R)−2−(2−アミノエチル)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン(50mg、0.17mmol)の溶液に、5−フェニルピリミジン−2−イルチオ酢酸(47mg、0.19mmol)、EDCI(42mg、0.22mmol)およびHOBT(2.3mg、0.017mmol)を加えた。反応混合物を、室温で72時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、NaHCO3水溶液で2回洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95%CH2Cl2/4%MeOH/1%NH4OH)によって、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−メチルピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(フェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド(60mg、0.12mmol)を得た。質量スペクトル:516(MH+)。
【0221】
例6
N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−(メトキシカルボニルメチルカルボニル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドの合成
【0222】
【化28】
Figure 2004519443
【0223】
CH2Cl2(5ml)中のN−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド(上記の例1に記載したとおりに製造)(95mg、0.16mmol)の氷冷溶液に、トリエチルアミン(1.0ml)、モノメトキシマロニルクロリド(24mg、0.19mmol)、およびDMAPの結晶を加えた。混合物を、暖まるに任せ、20℃で1時間撹拌し、次いで0℃で16時間貯蔵した。EtOAcと水との間での分配、水洗、有機層の乾燥および蒸発によって、橙色の残渣を得て、これを、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。60%アセトン−ヘキサンによる溶離によって、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−(メトキシカルボニル−メチルカルボニル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド46mg(0.07mmol)を得た。質量スペクトル:661(MH+)。
【0224】
上記の例6に記載されたとおりに進めるが、モノメトキシマロニルクロリドを塩化アセチルに置き換えて、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−(アセチル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドを得た。
【0225】
上記の例6に記載したとおりに進めるが、モノメトキシマロニルクロリドを塩化メタンスルホニルに置き換えて、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−(メタンスルホニル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドを得た。
【0226】
例7
N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−(カルボキシルメチルカルボニル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミドの合成
【0227】
【化29】
Figure 2004519443
【0228】
CH3OH中のN−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−(メトキシカルボニル−メチルカルボニル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド(上記の例6に従って製造)(40mg、0.06mmol)の溶液に、直前に調製したLiOHの1N水溶液0.3mlを加えた。溶液を、N2下、20℃で16時間撹拌した後、水に注ぎ込み、次いで、混合物を希H2SO4水溶液で酸性化し、EtOAcで抽出した。次いで、有機層の乾燥および蒸発によって、N−(2S,4R)−〔4−(3,4−ジクロロベンジル)−1−(カルボキシルメチルカルボニル)ピロリジン−2−イルエチル〕−2−〔5−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリミジン−2−イルスルファニル〕アセトアミド33mg(0.05mmol)を、無定形の白色泡状物として得た。質量スペクトル:647(MH+)。
【0229】
例8
処方例
下記は、式(I)の化合物を含有する代表的な製剤処方物である。
【0230】
錠剤処方物
下記の成分を充分に混合し、一本線刻錠剤へと打錠した。
【0231】
【表2】
Figure 2004519443
【0232】
カプセル剤処方物
下記の成分を充分に混合し、硬質ゼラチンカプセル剤中に装荷した。
【0233】
【表3】
Figure 2004519443
【0234】
懸濁液処方物
下記の成分を混合して、経口投与用懸濁液を形成した。
【0235】
【表4】
Figure 2004519443
【0236】
注射可能処方物
下記の成分を混合して、注射可能処方物を形成した。
【0237】
【表5】
Figure 2004519443
【0238】
リポソーム処方物
下記の成分を混合して、リポソーム処方物を形成した。
【0239】
【表6】
Figure 2004519443
【0240】
サンプルを凍結乾燥し、終夜凍結乾燥した。サンプルを、0.9%生理食塩水溶液1mlで再構成した。リポソームの大きさは、超音波処理によって減ずることができた。
【0241】
例9
CCR−3受容体結合アッセイ:in vivo
本発明の化合物のCCR−3拮抗活性を、CCR−3L1.2というトランスフェクタント細胞に対する125Iエオタキシンの結合を阻害できる能力によって決定した〔Ponath, P.D. et al., J. Exp. Med., Vol. 183, 2437-2448 (1996)を参照されたい〕。
【0242】
アッセイを、Costarの96穴ポリプロピレン丸底プレートで実施した。試験化合物を、DMSOに溶解し、次いで結合用緩衝液(50mMHEPES、1mMCaCl2、5mMMgCl2、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.02%アジ化ナトリウム、pH=7.24)で、DMSOの最終濃度が2%になるように希釈した。試験溶液、またはDMSOを含む緩衝液のみ(対照サンプル)25μlを、各ウェルに加え、次いで125I−エオタキシン25μl(NEX314, New England Nuclear, Boston, MA)(100pmol)、および結合緩衝液25μl中に1.5x105個のCCR−3L1.2トランスフェクション細胞を加えた。最終反応容量は、75μlであった。
【0243】
反応混合物を室温で1時間インキュベートした後、反応混合物を、ポリエチレンイミン処理したPackard Unifilter GF/Cというフィルタープレート(Packard, Chicago, IL)越しに濾過することによって、反応を終結した。フィルターを、10mMHEPESおよび0.5M塩化ナトリウムを含有する氷冷洗浄緩衝液(pH7.2)で4回洗浄し、65℃で約10分間乾燥した。25μl/ウェルのMicroscint-20(登録商標)シンチレーション液(Packard)を加え、フィルターに保持された放射能を、Packard TopCount(登録商標)を用いることによって測定した。
【0244】
本発明の化合物は、このアッセイで活性を有した。
【0245】
本発明の表1における化合物についてのIC50値(CCR−3L1.2トランスフェクション細胞に対する125Iエオタキシンの結合を50%減少させるのに要する、試験化合物の濃度)は、0.02〜200μMであった。一定の具体的な化合物の活性を下記に示す。
【0246】
【表7】
Figure 2004519443
【0247】
例10
CCR−3L1.2トランスフェクション細胞のエオタキシン介在走化性の阻害−in vitroアッセイ
本発明の化合物のCCR−3拮抗活性を、Ponath, P.D. et al., J. Clin. Invest., 97:604-612 (1996)に記載された方法の僅かな変法を用いて、CCR−3L1.2トランスフェクタント細胞のエオタキシン介在走化性の阻害を測定することによって決定した。アッセイを、24穴走化性プレート(Costar Corp., Cambridge, MA)で実施した。CCR−3L1.2トランスフェクタント細胞を、RPMI1640、10%Hyclone(登録商標)ウシ胎児血清、55mM2−メルカプトエタノール、およびGeneticin 418(0.8mg/ml)を含有する培地で増殖させた。アッセイの18〜24時間前に、トランスフェクションした細胞を、5mM/1x106細胞/mlの最終濃度のn−酪酸で処理し、単離し、等部のRPMI1640とメジウム199(M199)とを0.5%ウシ血清アルブミンとともに含有するアッセイ培地に1x107細胞/mlで再懸濁させた。
【0248】
リン酸緩衝生理食塩水に1mg/mlで懸濁させたヒトエオタキシンを、底部チャンバーに100nmの最終濃度で加えた。3ミクロンの孔径を有するトランスウェル培養インサート(Costar Corp., Cambridge, MA)を、各ウェルに挿入し、L1.2細胞(1x106)を頂部チャンバーに100μlの最終濃度で加えた。DMSO中の試験化合物を、頂部と底部双方のチャンバーに、DMSOの最終量が0.5%になるように加えた。アッセイは、2セットの対照に対して実施した。正の対照は、頂部チャンバーに試験化合物が皆無であって、細胞を含有し、底部チャンバーにエオタキシンのみを含んだ。負の対照は、頂部チャンバーに試験化合物が皆無であって、細胞を含有し、底部チャンバーにはエオタキシンも試験化合物も含まなかった。プレートは、37℃でインキュベートした。4時間後、インサートをチャンバーから取り出し、底部チャンバーに移動していた細胞を、細胞懸濁液500μlを底部チャンバーから1.2ml入りCluster管(Costar)へとピペットで吸い出し、30秒間のFACSにてそれを計数することによって計測した。
【0249】
本発明の代表的な化合物についてのIC50値(CCR−3L1.2トランスフェクション細胞のエオタキシン介在走化性を50%減少させるのに要する、試験化合物の濃度)は、0.006〜1.1μMであった。
【0250】
例11
ヒト好酸球のエオタキシン介在走化性の阻害−in vitroアッセイ
ヒト好酸球のエオタキシン介在走化性を阻害できる本発明の化合物の能力を、Carr, M.W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:3652-3656 (1994)に記載された方法の僅かな変法を用いて評価した。実験は、24穴走化性プレート(Costar Corp., Cambridge, MA)を用いて実施した。好酸球は、国際公開公報WO 96/22371に記載された手順を用いて、血液から単離した。用いた内皮細胞は、European Collection of Animal Cell Cultures (Porton Down, Salisbury、英国)から得た、内皮細胞系ECV 304であった。内皮細胞を、3.0μMの孔径を有する、直径6.5mmのBicoat(登録商標)トランスウェル組織培養インサート(Costar Corp., Cambridge, MA)上で培養した。ECV 304細胞のための培地は、M199、10%ウシ胎児血清、L−グルタミンおよび抗生物質からなった。アッセイ用培地は、0.5%BSAとともに等部のRPMI1640およびM199からなった。アッセイの24時間前に、2x105個のECV 304細胞を、24穴走化性プレートの各インサート上に播種し、37℃でインキュベートした。アッセイ用培地に希釈した20nMのエオタキシンを、底部チャンバーに加えた。底部チャンバーの最終容量は、600μlであった。内皮被覆した組織培養インサートを、各ウェルに挿入した。アッセイ用緩衝液100μlに懸濁させた106個の好酸球を、頂部チャンバーに加えた。DMSOに溶解した試験化合物を、頂部と底部双方のチャンバーに、各ウェル内のDMSOの最終量が0.5%になるように加えた。アッセイは、2セットの対照に対して実施した。正の対照は、細胞を頂部チャンバーに、エオタキシンを底部チャンバーに含有した。負の対照は、細胞を頂部チャンバーに含有し、底部チャンバーにはアッセイ用緩衝液のみを含有した。プレートを、5%CO2/95%空気中に、37℃で1〜1.5時間インキュベートした。
【0251】
底部チャンバーから移動していた細胞を、フローサイトメトリーを用いて計測した。底部チャンバーからの細胞懸濁液500μlを管に入れ、1セット30秒の時間に事象を把握することによって、相対細胞数を得た。
【0252】
本発明の化合物は、このアッセイで活性を有した。
【0253】
例12
卵アルブミン感作balb/cマウスの肺への好酸球の流れのCCR−3拮抗薬による阻害−in vivoアッセイ
本発明の化合物の肺への白血球浸潤を阻害できる能力を、卵アルブミン(OA)感作したbalb/cマウスの、エアゾルによる抗原チャレンジ後の気管支肺胞洗浄(BAL)液中への好酸球蓄積の阻害を測定することによって決定した。略述すると、体重20〜25gのオスのbalb/cマウスを、1日目および14日目にOA(水酸化アルミニウム溶液0.2ml中10μg)で腹腔内投与で感作した。1週間後に、マウスを10群に分割した。試験化合物、またはビヒクル(対照群)もしくは抗エオタキシン抗体(正の対照群)のみを、腹腔内、皮下または経口のいずれかで投与した。1時間後、マウスを、プレキシガラス箱に入れ、PARISTAR(登録商標)ネブライザー(PARI, Richmond, VA)が発生させるOAエアゾルに曝露した。感作またはチャレンジさせなかったマウスを、負の対照として含めた。24または72時間後に、マウスを麻酔(ウレタン、約1g/kg、腹腔内)し、気管カニューレ(PE60管材)を挿入し、PBS0.3mlで4回肺を洗浄した。BAL液を、プラスチック管に移し入れ、氷上に保った。BAL液の20μlのアリコート中の総白血球を、Coulter Counter(登録商標)(Coulter, Miami, FL)によって測定した。修正ライト染色(Diff-Quick(登録商標))で染色したCytospin(登録商標)プレパラートについての白血球像を、標準的な形態学的基準を用いた光学顕微鏡測定によって作成した。
【0254】
本発明の化合物は、このアッセイで活性を有した。このアッセイにおける本発明の化合物のID50は、30〜50mg/kgであった。
【0255】
ここまで、発明を、明晰および理解を目的に、図解および実施例を用いて多少とも詳しく記載した。当業者には、添付の特許請求の範囲の対象範囲内で、変化および変更を実施し得ることは明白であると思われる。したがって、上記の記載は、例示的であって、限定的でないことが意図されることを理解しなければならない。そのため、本発明の対象範囲は、上記の記載を参照して決定されてはならず、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価体の全対象範囲とともに参照して決定されなければならない。
【0256】
本願に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物は、あらゆる目的のために、引用によって、あたかも個々の特許、特許出願または刊行物のそれぞれが、個々にその旨表示されているかのように、その全体として本願に組み込まれる。

Claims (34)

  1. 式(I):
    Figure 2004519443
    〔式中、R1は、水素、C1〜C6アルキル、アシル、ヘテロアルキル、−CONR34(ここで、R3およびR4は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR5(ここで、R5は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、または−SO26(ここで、R6は、C1〜C6アルキルである)であり;
    alk1は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
    Xは、−NHCO−または−CONH−であり;
    Yは、1〜3個の炭素原子を有するアルキレン鎖、または炭素原子の1つが、−O−、−NRb−〔ここで、Rbは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕、および−S(O)n−(ここで、nは、0〜2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられた、2もしくは3個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり;
    Ar1は、Ar2基に加えて、水素、ハロ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ニトロ、アミド、アミノスルホニルおよびスルホニルアミノからなる群から選択される基で置換された、ヘテロアリール基またはフェニル基であり:
    Ar2は、アリールであり;
    alk2は、炭素原子の一つが、場合により、−CO−、−NRc−〔ここで、Rcは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR1011(ここで、R10およびR11は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR12(ここで、R12は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕、または−S(O)n1−(ここで、n1は、0〜2の整数である)で置き換えられた、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基であり;
    Ar3は、C3〜C7シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである〕
    で示される化合物、または薬学的に許容され得るその塩。
  2. Yが、−O−(CH2)−、−O−(CH22−、−O−(CHCH3)−、−NRb−(CH2)−、−NRb−(CH22−、−NRb−(CHCH3)−〔ここで、Rbは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕、−S(O)n−(CH2)−、−S(O)n−(CH22-または−S(O)n−(CHCH3)−(ここで、nは0〜2の整数である)である、請求項1記載の化合物。
  3. 1が、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−COOR5(ここで、R5は、C1〜C6アルキルである)、または−SO2a(ここで、Raは、C1〜C6アルキルである)である、請求項2記載の化合物。
  4. 1が、水素、C1〜C6アルキル、アシルまたは−SO2a(ここで、Raは、C1〜C6アルキルである)である、請求項3記載の化合物。
  5. 1が、水素、メチル、アセチル、−COCH2CO2H、−COCH2CO2CH3または−CO2−tert−ブチルである、請求項4記載の化合物。
  6. Yが、−SCH2−、−OCH2−または−NHCH2−である、請求項2記載の化合物。
  7. Xが、−CONH−である、請求項6記載の化合物。
  8. Yが、−SCH2−または−OCH2−である、請求項7記載の化合物。
  9. Yが、−OCH2−であり、alk1およびalk2が、独立して、1または2個の炭素原子を有するアルキレン鎖である、請求項8記載の化合物。
  10. Ar1が、ヘテロアリール基である、請求項2記載の化合物。
  11. Ar1が、ピリミジン−2−イルである、請求項10記載の化合物。
  12. Yが、−SCH2−または−OCH2−である、請求項11記載の化合物。
  13. Ar2が、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で場合により置換されたアリールである、請求項12記載の化合物。
  14. Ar2が、フェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン−2−イルの5位にある、請求項13記載の化合物。
  15. alk2が、−CH2−であり、Ar3が、アリールである、請求項12記載の化合物。
  16. Ar3が、3,4−ジクロロフェニルである、請求項15記載の化合物。
  17. Xが、−CONH−のとき、Yが、
    (i)−(CH2)−、−(CH22−、−(CH23−、−(CHCH3)−、−(CHCH3)−(CH2)−もしくは−(CH2)−(CHCH3)−であるか;または
    (ii)−(CH2)−O−、−(CH22−O−、−(CHCH3)−O−、−(CH2)−NRb−、−(CH22−NRb−、もしくは−(CHCH3)−NRb−〔ここで、Rbは、水素、C1〜C6アルキル、アシル、−CONR78(ここで、R7およびR8は、独立して、水素またはC1〜C6アルキルである)、−COOR9(ここで、R9は、水素、C1〜C6アルキルまたはヘテロアルキルである)、アリールまたはアリールC1〜C6アルキルである〕
    である、請求項1記載の化合物。
  18. Ar1が、ヘテロアリール基であり、Ar2が、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で場合により置換されたアリールである、請求項17記載の化合物。
  19. Ar1が、ピリミジン−2−イルであり、Ar2が、フェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルであり、ピリミジン−2−イルの5位にある、請求項18記載の化合物。
  20. Xが、−CONH−であり、R1が、−COCH2CO2H、−COCH2CO2CH3または−CO2−tert−ブチルである、請求項19記載の化合物。
  21. Yおよびalk1が、独立して、メチレンまたはエチレンであり、alk2が、メチレンであり、Ar3が、3,4−ジクロロフェニルである、請求項20記載の化合物。
  22. 式(II):
    Figure 2004519443
    〔式中、R11は、水素またはC1〜C6アルコキシであり;
    12は、C1〜C6アルコキシであり;
    13は、水素またはC1〜C6アルキルである〕
    で示される中間体。
  23. 11およびR12が、C1〜C6アルコキシである、請求項22記載の中間体。
  24. 11およびR12が、メトキシであり、フェニル環の3および4位にある、請求項23記載の中間体。
  25. 式(I)の化合物を製造する方法であって、
    (i)式7:
    Figure 2004519443
    〔式中、Proは、保護基であり、alk2およびAr3は、請求項1に定義されたとおりである〕
    を有する化合物を、式8:
    Figure 2004519443
    〔式中、Ar1、Ar2およびYは、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物とカップリングさせ;
    (ii)保護基を除去して、式(Ib):
    Figure 2004519443
    〔式中、R1は、水素であり、Ar1、Ar2、alk2およびAr3は、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物を得て;
    (iii)一般式R1C(O)Halで示される酸ハロゲン化物、または一般式R1SO2Halで示されるハロゲン化スルホニル(式中、Halは、ハロゲンである)を用いて、R1が、アシルまたはスルホニルである、式(I)の化合物へと変換する
    ことを含む方法。
  26. 式(I)の化合物を製造する方法であって、
    (i)式10:
    Figure 2004519443
    〔式中、Proは、保護基であり、alk2およびAr3は、請求項1に定義されたとおりである〕
    を有する化合物のシアノ基を還元し;
    (ii)式8:
    Figure 2004519443
    〔式中、Ar1、Ar2およびYは、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物とカップリングさせ;
    (iii)保護基を除去して、式(Ic):
    Figure 2004519443
    〔式中、R1は、水素であり、Ar1、Ar2、alk2およびAr3は、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物を得て;
    (iv)酸ハロゲン化物R1C(O)Halまたはハロゲン化スルホニルR1SO2Hal(式中、Halは、ハロゲンである)を用いて、R1が、アシルまたはスルホニル基である、式(I)の化合物へと変換する
    ことを含む方法。
  27. 式(I)の化合物を製造する方法であって、
    (i)式15aまたは15b:
    Figure 2004519443
    〔式中、R1は、アルキルであり、alk2およびAr3は、請求項1に定義されたとおりである〕
    を有する化合物を、式8:
    Figure 2004519443
    〔式中、Ar1、Ar2およびYは、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物とカップリングさせて、式(Ia)または(Ib):
    Figure 2004519443
    〔式中、R1は、アルキルであり、Ar1、Ar2、alk2およびAr3は、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物を得る
    ことを含む方法。
  28. 式(I)の化合物を製造する方法であって、
    (i)式16:
    Figure 2004519443
    〔式中、R1は、アルキルであり、alk2およびAr3は、請求項1に定義されたとおりである〕
    を有する化合物をメシル化し;
    (ii)シアン化物へと変換し、次いで還元し;そして
    (iii)式8:
    Figure 2004519443
    〔式中、Ar1、Ar2およびYは、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物とカップリングさせて、式(Ic):
    Figure 2004519443
    〔式中、R1は、アルキルであり、Ar1、Ar2、alk2、Ar3およびYは、請求項1に定義されたとおりである〕
    で示される化合物を得る
    ことを含む方法。
  29. 治療有効量の、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬組成物。
  30. 疾患の処置に用いるための、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
  31. 疾患が、CCR−3受容体拮抗薬の投与によって処置できる、請求項30記載の化合物。
  32. 疾患が喘息である、請求項31記載の化合物。
  33. CCR−3受容体拮抗薬の投与によって処置できる疾患の処置のための、1種以上の式(I)の化合物を含む医薬を製造するための、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  34. 本出願に記載された限りの発明、特に新規な化合物、中間体、使用および方法に関する発明。
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