JP2004519402A - 高nDを持つ眼用セグメントガラス - Google Patents
高nDを持つ眼用セグメントガラス Download PDFInfo
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- C03C3/072—Glass compositions containing silica with less than 40% silica by weight containing lead containing boron
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Abstract
本発明は、重量パーセントで表して、20〜<27%のSiO2、5〜11%のB2O3、2〜8%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜5%のK2O、7〜15%のBaO、0〜11%のCaO、7〜12%のLa2O3、7〜20%のPbO、7〜14%のTiO2、0〜5%のZrO2、および8<〜16%のNb2O5の酸化物を含み、Li2O+Na2O+K2O>6%、BaO+CaO+La2O3>27%、およびTiO2+Nb2O5+PbO>29%である組成を持つ非常に高い屈折率(1.78<n≦1.83)のガラス、多焦点矯正レンズのためのセグメントの製造へのその使用、およびそのようなセグメントを少なくとも1つ構造に組み込んだ多焦点矯正レンズに関する。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は非常に高い屈折率の無機ガラスに関し、より詳しくは、その屈折率は、1.78より大きく、1.83以下である。このガラスは、特に、光学ガラスまたは眼用ガラスとしての興味深い用途を持ち、より詳しくは、多焦点矯正レンズの製造に関係するセグメントの製造に適している。本発明のガラス中に少なくとも1つのセグメントを組み込んだ多焦点矯正レンズは、本発明の不可欠な要素を構成する。
【0002】
発明の背景
多焦点レンズは、ガラス製の主要レンズおよびその上に融着されたガラス製の1つ以上のセグメントから構成される。これらのセグメントは、主要レンズの屈折率よりも高い屈折率を持ち、これにより、矯正力の高い区域を得ることができる。このセグメントは通常、ガラス全体を、主要レンズを構成するガラスの軟化点に近い温度まで上昇させる熱処理中に、主要レンズにしっかりと結合される。
【0003】
その結果、セグメントガラスは、主要レンズのガラスのものに近い粘度特性を有さなければならない。それらのガラスは、近い熱膨張特性も有さなければならず、したがって、生じた結合は、非常に低い歪みレベルである。
【0004】
本発明の目的は、コーニング・エス・エー(Corning S.A.)社により製造されている眼用ガラスであって、1.6の屈折率および41のアッベ数を持ち、以下の物理的特性:
− 熱膨張係数:100×10−7/K(25から300℃);
− 軟化点:610℃;
− 歪み点:460℃;および
− アニール点:490℃;
を持つ眼用ガラスに特に融着可能である、1.78から1.83(1.78<n≦1.83)の範囲の屈折率を持つガラスを得ることにあった。
【0005】
この眼用ガラスは、8008のコード名を持つ。このガラスは米国特許第4540672号に記載されたものである。
【0006】
コード名8008のガラスに融着可能にするために、目的のガラスは、少なくとも、約90から110×10−7/Kの熱膨張係数および約570から620℃の範囲の軟化点を有さなければならないことが実験的に決定された。
【0007】
本発明の範囲内で解決すべき技術的問題は、実際に、以下の仕様:
− 非常に高い屈折率:1.78<n≦1.83;
− 30より大きいアッベ数;
− 熱膨張係数:90から110×10−7/K(25から300℃まで)の範囲;
− 軟化点:570から620℃の範囲;
− コード名8008のガラスに融着可能である;
− 良好な化学的耐久性(すなわち、良好な耐酸性;それゆえ、前記ガラス、したがって、このガラス製のレンズに様々な表面処理を施すことが可能である);
を満たすガラスを提供することにあった。
【0008】
従来技術
従来技術によれば、1.79より大きい屈折率を持ち、セグメントガラスとして使用できるガラスがいくつか既に知られている。
【0009】
しかしながら、上述した仕様を持つものは知られていない。
【0010】
同じ用途に使用されるが、より低い屈折率:1.70≦n≦1.78を持つガラスが、2つの特許出願、仏国特許出願公開第2762837号および同第2769618号の各明細書に記載されている。これらのガラスは、重量で表して、以下の組成を持つ:
【化1】
これらのガラスは、熱膨張、軟化点、化学的耐久性およびコード名8008のガラスとの相溶性の観点から前記仕様を満たすが、要求される屈折率を得ることができない。
【0011】
従来技術のこれらのガラスは、それぞれ、本発明のガラスのものよりも高いシリカ含有量および低いニオブ含有量を持つ。さらに、仏国特許出願公開第2769618号によるガラスは、本発明のガラスよりも高い鉛含有量を持つ。
【0012】
米国特許第4351906号明細書において、1.745から1.771の範囲の屈折率を有する光学ガラスが記載されている。それらのガラスは、重量で表して、以下の組成を持つ:
【化2】
上述した仕様に関して、これらのガラスは、それぞれ、低すぎる(1.745から1.771の範囲)屈折率および高すぎる(640℃〜700℃)軟化点を持つ。これらのガラスは、コード名8008のガラスには融着できない。
【0013】
それゆえ、上述した仕様を満たすために、独自の解決策(独自のガラス組成物)を提案する。本発明の新規のガラスは、良好どころか優れた化学的耐久性と共に、非常に高い屈折率(1.78<n≦1.83)を示す点で注目に値する。これらの2つのタイプの特性を併せ持つガラスを開発することは、分かりきったことではなかった。
【0014】
発明の概要
したがって、重量百分率で表して、以下の酸化物組成を持つ新規なガラスを提案する:
【化3】
発明の説明
本発明のガラスは、上記に指定した量の上述した酸化物から実質的に得られる。もちろん、他の酸化物が存在する(下記参照)ことが排除されるものではないが、いずれの場合にも、それら他の酸化物は有意の量では存在せず(常に5重量%以下)、求められている特性に著しい影響は与えない。それらの酸化物は、調節のためのみに存在する。
【0015】
随意的成分(Na2O、K2O、CaO、ZrO2)に関して、全ての有用な目的にとって、それらが著しい影響を作用させ始める最小存在量は一般に、約0.5%である。したがって、本発明のガラスはそれらの成分を含有してはならない、もしくは、含有するとしても、一般に、0.5%(重量%)の最小量だけである。
【0016】
本発明の内容に関して、重量百分率で表して、以下の酸化物組成を持つガラスが好ましい:
【化4】
本発明のこれらの好ましいガラスは、特に、高い屈折率を持つ眼用ガラスにとって、非常に興味深い、非常に良好な化学的耐久性を有する。この組成範囲に属すガラスの全ては、標準化試験「A.O.テスト」(当業者に馴染みがあり、本明細書の実施例の箇所にも出てくる)で、0.2mg/cm2未満の重量減少を持つ。
【0017】
重量百分率で表した酸化物組成を持つ本発明のガラスがより好ましい:
【化5】
以下の実施例3のガラスが、これらの特に好ましいガラスの内の1つである。重量百分率で表したそのガラスの組成が表1に示されている。
【0018】
本発明のガラスの高い屈折率(1.78<n≦1.83)は、主に、TiO2、Nb2O5およびPbOの高含有量のために得られる。この理由のために、組成中のこれら3つの酸化物の合計は29%より多くなければらない。さらに、表記の比率で用いられるTiO2により、良好な化学的耐久性を得ることができる。PbOにより、ガラスの軟化点を低下させることができる。Nb2O5に関して、良好な透過および失透の特性を得るために、これは多量に用いられる。
【0019】
酸化物BaO、CaOおよびLa2O3は、アッベ数を低下させずに、屈折率および粘度を調節するために用いられる。これが、組成中のこれら3つの酸化物の合計が27%より大きくなければならない理由である。
【0020】
表記の比率で用いられる、アルカリ金属酸化物(Li2O、必要に応じてNa2Oおよび必要に応じてK2O)およびB2O3により、求められている膨張およぴ粘度の特性を得ることができる。特に、Li2Oは、軟化点を非常に強力に低下させる。
【0021】
本発明のガラスの化学的耐久性は、そのSiO2含有量に実質的に依存することが観察された。これが、この元素の含有量が少なくとも20%である理由である。SiO2が24%を超えると、屈折率を維持するのが比較的難しくなる。
【0022】
ZrO2は、高い屈折率を得るのに都合よく寄与するが、この元素の含有量が高すぎると、前記ガラスを非常に急速に失透させてしまう。
【0023】
上述したように、本発明のガラスの特性を調節するために、Al2O3、ZnO、MgOおよびSrOのような他の酸化物を加えても差し支えない。それらの合計量は、5%(重量)を超えてはならない。
【0024】
所望であれば、漂白剤を加えても差し支えない。従来の着色元素、例えば、遷移金属酸化物や希土類酸化物を加えることにより、ガラスを着色することもできる。
【0025】
As2O3やSb2O3のような従来の仕上げ剤、フッ化物、臭化物、または塩化物を、それらの総含有量が1%(重量)を超えないという条件で、加えることもできる。
【0026】
本発明のガラスの製造には特に難しいことはない。どのような異例の条件や方策も必要としない。この製造は、当業者の範囲内である。
【0027】
溶融すべき充填剤の調製に、酸化物、炭酸塩および硝酸塩のような従来の出発材料を使用しても差し支えない。出発材料の純度について、光学ガラスを得るための通常の対策で十分である(当然、光学品質のガラスを得ることが望ましい場合)。
【0028】
別の目的によれば、本発明は、非常に屈折率の高い、多焦点矯正レンズのセグメントを製造するための、上記の独自の組成を持つガラスの使用に関する。言い換えれば、本発明の別の目的は、それ自体知られている様式で、屈折率n1のガラス製の主要レンズおよびこの主要レンズにしっかりと結合される、より高い屈折率n2(n2>n1)のガラス製の少なくとも1つのセグメントを有してなる多焦点矯正レンズにあり、このセグメントは特徴的に、本発明の独自のガラス製である。本発明の多焦点矯正レンズは、概して、構造中にこのタイプのセグメントを1つだけ有する。しかしながら、このようなセグメントが複数存在することが除外されるものではない。
【0029】
本明細書の冒頭に示したように、本発明のガラスは、最も具体的に、以下の特徴:
− 熱膨張係数:100×10−7/K(25から300℃);
− 軟化点:610℃;
を持つガラス(コード名8008)に融着されるように開発されたものである。
【0030】
ここに再度記載した2つの特徴は、融着を可能かつ効率的にする主な特徴である。
【0031】
したがって、本発明は、より具体的には、第2の目的の内容において、主要レンズが前記ガラス(上述した特徴を持つ)製であり、セグメントが本発明のガラス製である、多焦点矯正レンズに関する。
【0032】
特定の実施の形態
本発明を、以下の実施例1、2および3により、完全に非限定的様式で説明する。実施例3のガラスが、特に好ましい本発明のガラスである。
【0033】
以下の特定の実施方法によれば、組成が以下の表に与えられている本発明のガラスを調製した。それらの組成は重量百分率で表されている。
【0034】
各々の場合、4,000gの出発材料を、白金坩堝中において1,250℃で1時間に亘り溶融した。次いで、ガラスを、2cmの厚さの棒材に作製した。
【0035】
アニーリングは、60℃/時間の冷却速度で行った。
【0036】
この実施方法は研究所の規模で行った。本発明のガラスは、従来の溶融および成形方法を用いて、工業的に製造してもよいのは当然である。
【0037】
以下の表1には、得られたガラスの物理的特徴が記載されている。これらの特徴の測定は、従来の方法により行った。
【0038】
測定した屈折率は、スペクトル光線「d」により与えられる。
【0039】
膨張係数は、25から300℃の範囲で測定した。膨張係数は、10−7/Kの倍数で表されている。
【0040】
軟化点またはリトルトン点は、ガラスの粘度が106.5Pa・s(107.5ポアズ)である温度である。
【0041】
耐久性は、眼用用途に通常用いられているテスト、すなわち、A.O.テストにより評価した。このテストは、表面が研磨されている試料を10分間に亘り、25℃に維持されている10重量%の塩酸溶液中に浸漬し、試料を取り出し、試料の重量減少を測定する各工程を有してなる。次いで、この重量減少を表面単位当たりに換算する。本発明の好ましい分野のガラスは、0.2mg/cm2未満の重量減少を有する。
【0042】
【表1】
発明の分野
本発明は非常に高い屈折率の無機ガラスに関し、より詳しくは、その屈折率は、1.78より大きく、1.83以下である。このガラスは、特に、光学ガラスまたは眼用ガラスとしての興味深い用途を持ち、より詳しくは、多焦点矯正レンズの製造に関係するセグメントの製造に適している。本発明のガラス中に少なくとも1つのセグメントを組み込んだ多焦点矯正レンズは、本発明の不可欠な要素を構成する。
【0002】
発明の背景
多焦点レンズは、ガラス製の主要レンズおよびその上に融着されたガラス製の1つ以上のセグメントから構成される。これらのセグメントは、主要レンズの屈折率よりも高い屈折率を持ち、これにより、矯正力の高い区域を得ることができる。このセグメントは通常、ガラス全体を、主要レンズを構成するガラスの軟化点に近い温度まで上昇させる熱処理中に、主要レンズにしっかりと結合される。
【0003】
その結果、セグメントガラスは、主要レンズのガラスのものに近い粘度特性を有さなければならない。それらのガラスは、近い熱膨張特性も有さなければならず、したがって、生じた結合は、非常に低い歪みレベルである。
【0004】
本発明の目的は、コーニング・エス・エー(Corning S.A.)社により製造されている眼用ガラスであって、1.6の屈折率および41のアッベ数を持ち、以下の物理的特性:
− 熱膨張係数:100×10−7/K(25から300℃);
− 軟化点:610℃;
− 歪み点:460℃;および
− アニール点:490℃;
を持つ眼用ガラスに特に融着可能である、1.78から1.83(1.78<n≦1.83)の範囲の屈折率を持つガラスを得ることにあった。
【0005】
この眼用ガラスは、8008のコード名を持つ。このガラスは米国特許第4540672号に記載されたものである。
【0006】
コード名8008のガラスに融着可能にするために、目的のガラスは、少なくとも、約90から110×10−7/Kの熱膨張係数および約570から620℃の範囲の軟化点を有さなければならないことが実験的に決定された。
【0007】
本発明の範囲内で解決すべき技術的問題は、実際に、以下の仕様:
− 非常に高い屈折率:1.78<n≦1.83;
− 30より大きいアッベ数;
− 熱膨張係数:90から110×10−7/K(25から300℃まで)の範囲;
− 軟化点:570から620℃の範囲;
− コード名8008のガラスに融着可能である;
− 良好な化学的耐久性(すなわち、良好な耐酸性;それゆえ、前記ガラス、したがって、このガラス製のレンズに様々な表面処理を施すことが可能である);
を満たすガラスを提供することにあった。
【0008】
従来技術
従来技術によれば、1.79より大きい屈折率を持ち、セグメントガラスとして使用できるガラスがいくつか既に知られている。
【0009】
しかしながら、上述した仕様を持つものは知られていない。
【0010】
同じ用途に使用されるが、より低い屈折率:1.70≦n≦1.78を持つガラスが、2つの特許出願、仏国特許出願公開第2762837号および同第2769618号の各明細書に記載されている。これらのガラスは、重量で表して、以下の組成を持つ:
【化1】
これらのガラスは、熱膨張、軟化点、化学的耐久性およびコード名8008のガラスとの相溶性の観点から前記仕様を満たすが、要求される屈折率を得ることができない。
【0011】
従来技術のこれらのガラスは、それぞれ、本発明のガラスのものよりも高いシリカ含有量および低いニオブ含有量を持つ。さらに、仏国特許出願公開第2769618号によるガラスは、本発明のガラスよりも高い鉛含有量を持つ。
【0012】
米国特許第4351906号明細書において、1.745から1.771の範囲の屈折率を有する光学ガラスが記載されている。それらのガラスは、重量で表して、以下の組成を持つ:
【化2】
上述した仕様に関して、これらのガラスは、それぞれ、低すぎる(1.745から1.771の範囲)屈折率および高すぎる(640℃〜700℃)軟化点を持つ。これらのガラスは、コード名8008のガラスには融着できない。
【0013】
それゆえ、上述した仕様を満たすために、独自の解決策(独自のガラス組成物)を提案する。本発明の新規のガラスは、良好どころか優れた化学的耐久性と共に、非常に高い屈折率(1.78<n≦1.83)を示す点で注目に値する。これらの2つのタイプの特性を併せ持つガラスを開発することは、分かりきったことではなかった。
【0014】
発明の概要
したがって、重量百分率で表して、以下の酸化物組成を持つ新規なガラスを提案する:
【化3】
発明の説明
本発明のガラスは、上記に指定した量の上述した酸化物から実質的に得られる。もちろん、他の酸化物が存在する(下記参照)ことが排除されるものではないが、いずれの場合にも、それら他の酸化物は有意の量では存在せず(常に5重量%以下)、求められている特性に著しい影響は与えない。それらの酸化物は、調節のためのみに存在する。
【0015】
随意的成分(Na2O、K2O、CaO、ZrO2)に関して、全ての有用な目的にとって、それらが著しい影響を作用させ始める最小存在量は一般に、約0.5%である。したがって、本発明のガラスはそれらの成分を含有してはならない、もしくは、含有するとしても、一般に、0.5%(重量%)の最小量だけである。
【0016】
本発明の内容に関して、重量百分率で表して、以下の酸化物組成を持つガラスが好ましい:
【化4】
本発明のこれらの好ましいガラスは、特に、高い屈折率を持つ眼用ガラスにとって、非常に興味深い、非常に良好な化学的耐久性を有する。この組成範囲に属すガラスの全ては、標準化試験「A.O.テスト」(当業者に馴染みがあり、本明細書の実施例の箇所にも出てくる)で、0.2mg/cm2未満の重量減少を持つ。
【0017】
重量百分率で表した酸化物組成を持つ本発明のガラスがより好ましい:
【化5】
以下の実施例3のガラスが、これらの特に好ましいガラスの内の1つである。重量百分率で表したそのガラスの組成が表1に示されている。
【0018】
本発明のガラスの高い屈折率(1.78<n≦1.83)は、主に、TiO2、Nb2O5およびPbOの高含有量のために得られる。この理由のために、組成中のこれら3つの酸化物の合計は29%より多くなければらない。さらに、表記の比率で用いられるTiO2により、良好な化学的耐久性を得ることができる。PbOにより、ガラスの軟化点を低下させることができる。Nb2O5に関して、良好な透過および失透の特性を得るために、これは多量に用いられる。
【0019】
酸化物BaO、CaOおよびLa2O3は、アッベ数を低下させずに、屈折率および粘度を調節するために用いられる。これが、組成中のこれら3つの酸化物の合計が27%より大きくなければならない理由である。
【0020】
表記の比率で用いられる、アルカリ金属酸化物(Li2O、必要に応じてNa2Oおよび必要に応じてK2O)およびB2O3により、求められている膨張およぴ粘度の特性を得ることができる。特に、Li2Oは、軟化点を非常に強力に低下させる。
【0021】
本発明のガラスの化学的耐久性は、そのSiO2含有量に実質的に依存することが観察された。これが、この元素の含有量が少なくとも20%である理由である。SiO2が24%を超えると、屈折率を維持するのが比較的難しくなる。
【0022】
ZrO2は、高い屈折率を得るのに都合よく寄与するが、この元素の含有量が高すぎると、前記ガラスを非常に急速に失透させてしまう。
【0023】
上述したように、本発明のガラスの特性を調節するために、Al2O3、ZnO、MgOおよびSrOのような他の酸化物を加えても差し支えない。それらの合計量は、5%(重量)を超えてはならない。
【0024】
所望であれば、漂白剤を加えても差し支えない。従来の着色元素、例えば、遷移金属酸化物や希土類酸化物を加えることにより、ガラスを着色することもできる。
【0025】
As2O3やSb2O3のような従来の仕上げ剤、フッ化物、臭化物、または塩化物を、それらの総含有量が1%(重量)を超えないという条件で、加えることもできる。
【0026】
本発明のガラスの製造には特に難しいことはない。どのような異例の条件や方策も必要としない。この製造は、当業者の範囲内である。
【0027】
溶融すべき充填剤の調製に、酸化物、炭酸塩および硝酸塩のような従来の出発材料を使用しても差し支えない。出発材料の純度について、光学ガラスを得るための通常の対策で十分である(当然、光学品質のガラスを得ることが望ましい場合)。
【0028】
別の目的によれば、本発明は、非常に屈折率の高い、多焦点矯正レンズのセグメントを製造するための、上記の独自の組成を持つガラスの使用に関する。言い換えれば、本発明の別の目的は、それ自体知られている様式で、屈折率n1のガラス製の主要レンズおよびこの主要レンズにしっかりと結合される、より高い屈折率n2(n2>n1)のガラス製の少なくとも1つのセグメントを有してなる多焦点矯正レンズにあり、このセグメントは特徴的に、本発明の独自のガラス製である。本発明の多焦点矯正レンズは、概して、構造中にこのタイプのセグメントを1つだけ有する。しかしながら、このようなセグメントが複数存在することが除外されるものではない。
【0029】
本明細書の冒頭に示したように、本発明のガラスは、最も具体的に、以下の特徴:
− 熱膨張係数:100×10−7/K(25から300℃);
− 軟化点:610℃;
を持つガラス(コード名8008)に融着されるように開発されたものである。
【0030】
ここに再度記載した2つの特徴は、融着を可能かつ効率的にする主な特徴である。
【0031】
したがって、本発明は、より具体的には、第2の目的の内容において、主要レンズが前記ガラス(上述した特徴を持つ)製であり、セグメントが本発明のガラス製である、多焦点矯正レンズに関する。
【0032】
特定の実施の形態
本発明を、以下の実施例1、2および3により、完全に非限定的様式で説明する。実施例3のガラスが、特に好ましい本発明のガラスである。
【0033】
以下の特定の実施方法によれば、組成が以下の表に与えられている本発明のガラスを調製した。それらの組成は重量百分率で表されている。
【0034】
各々の場合、4,000gの出発材料を、白金坩堝中において1,250℃で1時間に亘り溶融した。次いで、ガラスを、2cmの厚さの棒材に作製した。
【0035】
アニーリングは、60℃/時間の冷却速度で行った。
【0036】
この実施方法は研究所の規模で行った。本発明のガラスは、従来の溶融および成形方法を用いて、工業的に製造してもよいのは当然である。
【0037】
以下の表1には、得られたガラスの物理的特徴が記載されている。これらの特徴の測定は、従来の方法により行った。
【0038】
測定した屈折率は、スペクトル光線「d」により与えられる。
【0039】
膨張係数は、25から300℃の範囲で測定した。膨張係数は、10−7/Kの倍数で表されている。
【0040】
軟化点またはリトルトン点は、ガラスの粘度が106.5Pa・s(107.5ポアズ)である温度である。
【0041】
耐久性は、眼用用途に通常用いられているテスト、すなわち、A.O.テストにより評価した。このテストは、表面が研磨されている試料を10分間に亘り、25℃に維持されている10重量%の塩酸溶液中に浸漬し、試料を取り出し、試料の重量減少を測定する各工程を有してなる。次いで、この重量減少を表面単位当たりに換算する。本発明の好ましい分野のガラスは、0.2mg/cm2未満の重量減少を有する。
【0042】
【表1】
Claims (13)
- 少なくとも1.78の屈折率を持ち、酸化物基準の重量パーセントで表して、20〜<27%のSiO2、5〜11%のB2O3、2〜8%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜5%のK2O、7〜15%のBaO、0〜11%のCaO、7〜12%のLa2O3、7〜20%のPbO、7〜14%のTiO2、0〜5%のZrO2、および8<〜16%のNb2O5から実質的になり、Li2O+Na2O+K2O>6%、BaO+CaO+La2O3>27%、およびTiO2+Nb2O5+PbO>29%である組成を持つことを特徴とする眼用ガラス。
- 重量パーセントで表して、20〜23%のSiO2、5〜9%のB2O3、3〜7%のLi2O、0〜5%のNa2O、9〜12%のBaO、5〜11%のCaO、7〜11%のLa2O3、8〜13%のPbO、8〜12%のTiO2、2〜5%のZrO2、および9〜15%のNb2O5を含む酸化物の組成を持つことを特徴とする請求項1記載のガラス。
- 重量パーセントで表して、21〜23%のSiO2、6.8〜7.8%のB2O3、5.1〜6.1%のLi2O、0.2〜2.2%のNa2O、8.7〜9.7%のCaO、10.2〜11.2%のBaO、8.7〜10.7%のPbO、3.6〜4.6%のZrO2、8〜10%のTiO2、12.4〜13.4%のNb2O5、および7.8〜8.8%のLa2O3を含む酸化物の組成を持つことを特徴とする請求項1または2記載のガラス。
- 酸化物基準の重量パーセントで表して、22.0%のSiO2、7.3%のB2O3、5.6%のLi2O、1.2%のNa2O、9.2%のCaO、10.7%のBaO、9.7%のPbO、4.1%のZrO2、9.0%のTiO2、12.9%のNb2O5、および8.3%のLa2O3からなることを特徴とする請求項3記載のガラス。
- 多焦点眼用レンズのためのセグメントであって、90×10−7/Kから110×10−7/Kの範囲の熱膨張係数、570〜620℃の軟化点、1.78〜1.83の屈折率、および酸化物基準の重量パーセントで表した、請求項1記載の組成を有することを特徴とするセグメント。
- 20〜23%のSiO2、5〜9%のB2O3、3〜7%のLi2O、0〜5%のNa2O、9〜12%のBaO、5〜11%のCaO、7〜11%のLa2O3、8〜13%のPbO、8〜12%のTiO2、2〜5%のZrO2、および9〜15%のNb2O5を含む組成を持つことを特徴とする請求項5記載のセグメント。
- 21〜23%のSiO2、6.8〜7.8%のB2O3、5.1〜6.1%のLi2O、0.2〜2.2%のNa2O、8.7〜9.7%のCaO、10.2〜11.2%のBaO、8.7〜10.7%のPbO、3.6〜4.6%のZrO2、8〜10%のTiO2、12.4〜13.4%のNb2O5、および7.8〜8.8%のLa2O3を含む組成を持つことを特徴とする請求項5記載のセグメント。
- 22.0%のSiO2、7.3%のB2O3、5.6%のLi2O、1.2%のNa2O、9.2%のCaO、10.7%のBaO、9.7%のPbO、4.1%のZrO2、9.0%のTiO2、12.9%のNb2O5、および8.3%のLa2O3を含む組成を持つことを特徴とする請求項5記載のセグメント。
- 主要レンズおよび該主要レンズに融着される、請求項5記載のセグメントから構成される多焦点レンズ。
- 前記セグメントが、20〜23%のSiO2、5〜9%のB2O3、3〜7%のLi2O、0〜5%のNa2O、9〜12%のBaO、5〜11%のCaO、7〜11%のLa2O3、8〜13%のPbO、8〜12%のTiO2、2〜5%のZrO2、および9〜15%のNb2O5を含む組成を持つことを特徴とする請求項9記載の多焦点レンズ。
- 前記セグメントが、21〜23%のSiO2、6.8〜7.8%のB2O3、5.1〜6.1%のLi2O、0.2〜2.2%のNa2O、8.7〜9.7%のCaO、10.2〜11.2%のBaO、8.7〜10.7%のPbO、3.6〜4.6%のZrO2、8〜10%のTiO2、12.4〜13.4%のNb2O5、および7.8〜8.8%のLa2O3を含む組成を持つことを特徴とする請求項9記載の多焦点レンズ。
- 前記セグメントが、22.0%のSiO2、7.3%のB2O3、5.6%のLi2O、1.2%のNa2O、9.2%のCaO、10.7%のBaO、9.7%のPbO、4.1%のZrO2、9.0%のTiO2、12.9%のNb2O5、および8.3%のLa2O3を含む組成を持つことを特徴とする請求項9記載の多焦点レンズ。
- 前記主要レンズが、約100×10−7/Kの熱膨張係数および約610℃の軟化点を有することを特徴とする請求項9記載の多焦点レンズ。
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