JP2004519204A - 抗高血圧ペプチドの生成のための乳漿タンパク質の酵素処理、得られた産物、および哺乳動物における高血圧の処置 - Google Patents
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Abstract
乳漿タンパク質濃縮物の酵素的消化物が、動物プロテアーゼ、細菌プロテアーゼおよび真菌プロテアーゼを用いて調製され、抗高血圧活性について評価される。ACE阻害活性および高血圧活性は、ブタトリプシンを用いて調製された乳漿タンパク質単離物の加水分解産物を用いて得られた。ACE抑制組成物を調製するためのプロセスは、以下の工程を包含する:乳漿タンパク質単離物およびタンパク質分解酵素の水溶液を調製する工程;哺乳動物において増加したACE抑制活性を有する加水分解産物を提供するためにこの乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下でこの溶液を維持する工程;およびこの溶液からこの加水分解産物を回収する工程。
Description
【0001】
(発明の背景)
本発明は、1つの局面において、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を抑制するための方法、この目的のための組成物およびこの組成物を調製するための方法(特に乳漿タンパク質の酵素的変換による)に関する。
【0002】
別の局面において、本発明は、乳漿タンパク質の酵素的変換によって得られた特定の加水分解産物を用いて、哺乳動物における高血圧を減少するための方法に関する。
【0003】
高血圧は、先進工業国におけるヒトの死の最も重要な原因であることが報告されている(例えば、Laragh,J.H.,1979.L’hypertension.Recherche,105(10):1068−1076を参照のこと)。成人の死亡のほぼ30%が、高血圧または高血圧の腎臓合併症、冠動脈合併症もしくは神経性合併症に由来する。高血圧の原因となる生理学的機構の解明は、製薬産業が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害物質を提案することを導いた。ACEは、アンギオテンシンIのアンギオテンシンII(強力な血管収縮薬)への分解を触媒する。
【0004】
ブラジルのヘビ毒において見出されたペプチドは、ACEの阻害のための最も効果的な天然物質であると確認されている(例えば、Ferreira,S.H.,Bartelt,D.C.,Greene,L.J.,1970.Isolation of bradykinin−potentiating peptides from Bothrops jararaca venom.Biochemistry,9(13):2583−2593を参照のこと)。天然ペプチドの阻害効果は、ACEの活性部位におけるそれらの結合に関連している(Maubois,J.L.Leonil,J.,Trouve,R.,Bouhallab,S.,1991.Les peptides du lait a activite physiologique III.Peptides du lait a effet cardiovasculaire:activites antithromobotique et antihypertensive.Lait,71:249−255)。
【0005】
これらの種々の生理活性ペプチドの構造−機能研究によって、これらが、しばしば、それらのC末端配列においてPro−Pro、Ala−ProまたはAla−Hypを有することを示唆されている(例えば、Maruyama,S.,Suzuki,H.,1982.A peptide inhibitor of angiotensin I converting enzyme in the tryptic hydrolysate of casein. Agric.Biol.Chem.,46(5):1393−1394;およびOshima,G.,Shimabukuro,H.,Nagasawa,K.1979. Peptide inhibitors of angiotensin I−converting enxyme in digests of gelatin by bacterial collagenase. Biochim.Biophys.Acta,566:128−137.)。プロリンの発生率はまた、食品タンパク質に由来するペプチドのACE阻害活性に寄与し得る(例えば、Kohmura,M.,Nio,N.,Kudo,K.,Minoshima,Y.,Munekata,E.,Ariyoshi,Y.1989.Inhibition of angiotensin−converting enzyme by synthetic peptides of human β−casein.Agric.Biol.Chem.,53(8):2107−2114)。
【0006】
MaruyamaおよびSuzuki[前出]は、トリプシンカゼイン加水分解産物由来のペプチドにおけるこのようなアミノ酸配列を証明した。著者らは、xs1カゼイン(ウシ、改変体B)由来のペプチドf23−34が、77μMのIC50値(50%のACE活性を阻害するのに必要な濃度)によって推定されるACE阻害活性を有することを示した。多数の他の研究が、この研究に続き、そしてカゼイン加水分解産物における他のACE阻害ペプチドを明らかにした。最近の総説において、Nakanoは、18個の別個の乳タンパク質由来のペプチド配列(酸乳において見出され、そしてACE阻害活性を有することが示されている)の存在を報告した(Nakano,T.1998,Milk derived peptides and hypertension reduction. Int.Dairy J.,8:375−381)。
【0007】
しかし、乳漿タンパク質加水分解産物の間のACE阻害活性の存在を報告する研究はほどんどない。Abubakarらは、7つの異なる酵素:トリプシン、プロテアーゼ−K、アクチナーゼ−E(actinase−E)、サーモリシン(thermolysin)、パパインおよびキモトリプシンを使用して、乳漿タンパク質加水分解産物におけるACE阻害活性を決定した。酵素の特異性が、加水分解産物の得られたACE阻害活性に著しい効果を与え、そして生物学的活性が、主要な乳漿タンパク質(β−lg、α−la、BSA、Ig)に由来し、カゼインマクロペプチドに由来しないことを示した(Abubakar,A.,Saito,T.,Aimar,M.V.,Itoh,T.1996.New derivation of the inhibitory activity against angiotensin converting enzyme(ACE)from sweet cheese whey. Tohoku J.Agric.Res.,47(1−2):1−8.)。Abubakarらのより最近の研究は、9つのペプチド配列(すなわち、β2−マイクログロブリン(f18−20)、β−ラクトグロブリン(f78−80)、血清アルブミン(f221−222)、β−カゼイン(f59−61、f59−64、f62−63、f80−90、f157−158、f205−206))の同定を可能にし、この中で、β−ラクトグロブリン(f78−80)は、自然発生高血圧ラットにおいて最も強力な高血圧活性を示した(Abubakar,A.,Saito,T.,Kitazawa,H.,Kawai,Y.,Itoh,T.,1998,Structural analysis of new antihypertensive peptides derived from cheese whey protein by proteinase K digenstion. J.Dairy Sci.,12:3131−3138.)。最後に、Mullalyらは、ウシβ−ラクトグロブリンを用いて調製したトリプシン加水分解産物からRP−HPLCを使用して単離したペプチド画分は、0.006μmol/LのIC50を有するカプトプリル(高血圧処置において一般に使用される市販の薬物)と比較して、159.8μmol/LのIC50値を有したことを実証した(Mullally,M.M.,Meisel,H.,FitzGerald,R.J.,1997.Identification of a novel angiotensin−I−converting enzyme inhibitory peptide corresponding to a tryptic fragment of bovine β−lactoglobulin.FEBS Letterrs,402:99−101.)。質量分析法は、β−ラクトグロブリンのトリプシン加水分解産物におけるACE阻害活性を担うβ−ラクトグロブリンに由来するペプチドf142−148の同定を可能にする。化学的合成によって得られた同じペプチド配列は、42.6μmol/LのIC50を示した。
【0008】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)を抑制する分野において改善を提供すること、および高血圧およびその症状を処置し得るさらなる物質(特に、食品項目において含まれるような簡単なレジメンの一部として容易に使用され得る物質)を同定すること、が望ましい。
【0009】
(発明の要旨)
本発明の目的は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を抑制する分野において改善を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、アンギオテンシン変換酵素を抑制するための方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、アンギオテンシン変換酵素を抑制するために有効な組成物を提供することである。
【0012】
本発明のなお別の目的は、アンギオテンシン変換酵素を抑制するために(特に乳漿タンパク質の酵素的変換によって)効果的な組成物を調製するための方法を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、哺乳動物における高血圧の分野において改善を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、哺乳動物において、高血圧に関連する心拍数および血圧を減少させるための方法を提供することである。
【0015】
これらおよび他の目的は、本発明のひとつの局面によって、乳漿タンパク質加水分解産物の加水分解によるACE抑制組成物の生成を可能にする改善、ACE抑制組成物の回収、およびACE抑制組成物の使用のためのレジメンによって達成される。
【0016】
ACE抑制組成物を調製するためのプロセスは、以下の工程を包含する:乳漿タンパク質単離物およびタンパク質分解酵素の水溶液を調製する工程;哺乳動物において増加したACE抑制活性を有する加水分解産物を提供するためにこの乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下でこの溶液を維持する工程;およびこの溶液からこの加水分解産物を回収する工程。タンパク質分解酵素は、必要に応じて、好ましくは加熱によって不活化される。好ましくは、加水分解産物は、ACE活性を抑制するのに有効な量および間隔で、哺乳動物(例えば、ヒトまたはイヌまたはネコのような家庭のペット)に経口投与する工程を包含するレジメンにおける使用のために乾燥される。
【0017】
他の目的は、以下の工程によって得られる有効量の高血圧減少組成物をヒトまたは他の哺乳動物に経口投与する工程を伴う哺乳動物処置レジメンによって、本発明の別の局面によって達成される:乳漿タンパク質単離物およびタンパク質分解酵素の水溶液を調製する工程;哺乳動物において高血圧を減少する能力を有する加水分解産物を提供するためにこの乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下でこの溶液を維持する工程;およびこの溶液からこの加水分解産物を回収する工程。タンパク質分解酵素は、必要に応じて、好ましくは加熱によって不活化される。好ましくは、加水分解産物は、哺乳動物における高血圧を減少させるのに有効な量および間隔で、哺乳動物(例えば、ヒトまたはイヌまたはネコのような家庭のペット)に経口投与する工程を包含するレジメンにおける使用のために乾燥される。本発明の好ましい局面の多くは、以下に記載される。
【0018】
本発明の好ましい局面の多くは、以下に記載される。
【0019】
(発明の詳細な説明)
乳漿タンパク質単離物(WPI)は、種々のプロセス(これには、単離物の意図された機能性について選択された陽イオン樹脂および/または陰イオン樹脂を用いるイオン交換処理が挙げられる)によってチーズ乳漿の商業規模の分画から入手し得る(Pearce,R.J.,1992,Whey protein recovery and whey protein fractionation,Whey and Lactose Processing,JG Zadow,編,Elsevier,London,271−316)。イオン交換処理から生じる商業的なWPI製品(例えば、BiPROTM(Davisco Foods International,Inc.,LeSueur,MN))は、高タンパク質含量(>94% w/w)、低灰分含量(<3%)、微量の脂肪およびラクトース(<1%)によって特徴付けられる。代表的なWPIのタンパク質分布は、55〜65%のβ−ラクトグロブリン、17〜25% α−ラクトアルブミン、4〜7%のウシ血清アルブミン、7〜11%の免疫グロブリンおよび1%未満の他のものを示す。
【0020】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物は、本発明の使用のための乳漿タンパク質単離物の好ましい供給源であり、11000W.78th Street,Suite 210,Eden Prairie,Minnesota 55344にオフィスを置くDavisco Foods International,Inc.から入手可能である。好ましいBiPROTM乳漿タンパク質単離物は、1.14のPDCAAS(Protein Digestibility Corrected Amino Acid Score)を有する。脂肪およびラクトースレベルは、1%未満である。BiPROTM乳漿タンパク質単離物は、イオン交換技術によって調製され、そして約55〜65%(w/w)のβ−ラクトグロブリンを含む。好ましくは、本発明に従って使用される乳漿タンパク質単離物は、少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%のβ−ラクトグロブリンを含み、残りは、α−ラクトアルブミン、血清アルブミンおよび免疫グロブリンを上記の範囲で含む。BiPROTMは、本質的に非変性であり、そしてpH2.0〜9.0にわたって完全に可溶性であり、そして以下の分析を有する。
【0021】
【表1】
*全ての結果は、注意書きがある以外、「AS IS」基本を報告する。
Examination of Dairy Products,第16版の標準方法。
【0022】
記載されるように、BiPROTM以外の乳漿タンパク質単離物が使用され得、そして好ましくは、上記の代表的な範囲の値から0〜25%(例えば、5〜10%、またはそれより下)で変化する上記と類似の分析を有する場合、使用され得る。濃縮および噴霧乾燥のために一次的な機能タンパク質(β−ラクトグロブリンおよびα−ラクトアルブミン)を選択する選択的イオン交換プロセスを介して、類似の特性を有する適切な乳漿タンパク質単離物が、生成され得る。このようなプロセスは、Jowettらの米国特許第4,154,675号およびPhillipsらの米国特許第4,218,490号に記載される。適切に生成された場合、より低いタンパク質含量(例えば、35%の低さ)を有する乳漿タンパク質画分が、使用され得る。さらに、イオン交換分離によって生成されたβ−lgもまた使用され得るが、BiPROTM乳漿タンパク質単離物ほど好ましくない。
【0023】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物のより詳細な分析に関して、各100グラムの乳漿タンパク質単離物について、以下のものが見出される:
成分
カロリー 374
総脂肪からのカロリー 3
総脂肪(g) 0.3
飽和脂肪(g) 0.2
コレステロール(mg) 10
ナトリウム(mg) 600
カリウム(mg) 120
総炭水化物(g) 0
食物繊維(g) 0
糖(g) 0
タンパク質(g) 93
ビタミンA(IU) 20
ビタミンC(mg) 2.0
カルシウム(mg) 120
鉄(mg) 5
リン(mg) 25
マグネシウム(mg) 15
灰分(g) 2
水分(g) 5。
【0024】
そして、好ましいBiPROTM乳漿タンパク質単離物のアミノ酸プロフィールを提供するために、サンプルを、五酸化リンおよび水酸化ナトリウムに対してデシケーター中で24時間の乾燥に供した。乾燥サンプルを、アルゴン雰囲気下、HCl蒸気(1% フェノールおよび0.5% 亜硫酸ナトリウムを含む、6N HCl)中で加水分解した。摂氏110度での20時間の加水分解後、サンプルを、200μlのBeckman Na−Sサンプル緩衝液に溶解した。この酸加水分解方法は、トリプトファンを破壊する。
【0025】
分析を、Beckman 6300 Amino Acid Analyzer上で実行した。ノルロイシンを、内部標準として使用した。分析によって、以下のものが示された。
【0026】
【表2】
さらに、BiPROTM以外の乳漿タンパク質単離物が使用される場合、それらは好ましくは、上記の値から0〜25%(例えば、5〜10%)またはそれより下で変化する、上記の分析に類似の分析を有する。
【0027】
BiPROTMおよび市販のβ−lgリッチな製品の酵素消化を、動物、細菌および真菌プロテアーゼを用いて調製して、抗高血圧活性を有するペプチド混合物の調製のためにこれらの市販の物質の潜在性を決定した。この作業の目的は、他の市販の乳漿タンパク質加水分解産物と比較して、イオン交換クロマトグラフィーによって得られた乳漿タンパク質分離物からの酵素加水分解によって生成された種々の加水分解産物のACE阻害活性を決定することであった。
【0028】
(ACE阻害のための材料および方法)
乳漿タンパク質加水分解産物であるWPH 917(84.5% タンパク質 w/w)を、New Zealand Milk Product Inc.(Santa Rosa,USA)から入手した。乳漿タンパク質加水分解産物であるLE80GF(80.0% w/w)を、DMV International(New−York,USA)から入手した。乳漿タンパク質単離物(BiPROTM)およびβ−ラクトグロブリンリッチな製品は、Davisco Foods International(Le Sueur,MN,USA)から入手した。β−lg由来のペプチドf−142−148のモデルである生成したペプチド配列Ala−Leu−Pro−Met−His−Ile−Argは、Service de sequence de peptides de l’Est du Quebec(Ste−Foy,Qc,Canada)によって化学的に合成した。HEPESナトリウム塩、ヒプリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン、およびアンギオテンシン変換酵素(ウサギ肺由来)を、Sigma Chemical Co.(St.Louis,USA)から購入した。使用した他の製品の全ては、分析等級であった。
【0029】
乳漿タンパク質(BiPROTMまたはβ−lg)を、20% W/Vに溶解し、NaOHおよびKOH 4Nの混合物を用いすることによって、pH8.0またはpH8.5に調整し、そして使用した酵素の最適温度に対応する40℃と50℃との間の温度に維持した。表1は、本研究のための酵素加水分解の調製に使用した酵素の特徴を報告する。BiPROTMおよびβ−lgリッチな製品を、601および605の調製のために利用したが、BiproTMは、603Kのためのみに使用した。タンパク質溶液を、AS−601について1:800の酵素:基質比、AS−603Kについて1:50の酵素:基質比、そしてAS−605Kについて1:100の酵素:基質比で、プロテアーゼを用いてインキュベートした。酵素加水分解を、AS−601について5.5〜6.5%の加水分解の程度(DH)までpH−stat条件下で実行し、AS−603Kについて11.0〜12.5%のDHまでpH−statおよび浸透圧測定方法の組合わせ下で実行し、そしてAS−605Kについて19.5〜20.5%のDHまでpH−statおよび浸透圧測定方法の組合わせ下で実行した。加水分解反応を、プレート熱交換器において熱処置(75〜85℃を15秒間)によって選択されたDH値で停止して、酵素を不活化し、そして続いて冷却してさらなる処理まで5〜10℃で保存した。生じた加水分解産物を、さらに、噴霧乾燥し、粉末成分として取り扱った。画分を、分子量に基づいて採取し得、そして相対的な活性について試験し、最も活性な画分を選択した。
【0030】
BiPROTM乳漿タンパク質加水分解産物から調製されたAS−601K生成物およびAS−603K生成物についての代表的な分析を、以下に提供する。
【0031】
【表3】
*全ての結果は、注意書きがある以外、「AS IS」基本を報告する。
**Examination of Dairy Products,第16版の標準方法。
***0.45μ濾液中の総可溶性ペプチドのパーセント。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
(ACE阻害活性の決定)
ACE阻害活性を、CushmanおよびCheungの方法(Cushman,D.N.,Cheung,H.S.1971 Spectrophotometric assay and properties of the angiotensin converting enzyme of rabbit lung.Biochemical Pharmacology,20:1637−1648)に従って分光測定法的アッセイによってインビトロで測定した。この方法に従って、馬尿酸は、ヒプリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン(hippuryl−L−histidyl−L−leucine:HHL)から、ACEの酵素反応によって遊離される。酢酸エチルによる抽出および加熱エバポレーションによる酢酸エチルの除去の後、馬尿酸は、脱イオン水中に溶解される。
【0034】
表2は、このアッセイのために用いた実験条件をまとめる。228nmでの馬尿酸溶液の吸光度を、分光測定法によって決定した。
【0035】
【表6】
阻害活性を、以下の方程式に従って算出した:
阻害活性(%)=[(Aコントロール−Aサンプル)/(Aコントロール−Aブランク)]×100[1]
ここで、Aは、吸光度を表す。サンプル濃度(mg粉末ml−1)のlog10に対する阻害活性(%)のプロットを、BiPROTM、AS−601(BiPROTMβ−lg)、商業的な加水分解産物(WPH 917、LE80GF)およびβ−lgからの合成ペプチド(f142−148)についての6つの異なる濃度のサンプルを用いて作成した。各濃度を三連で試験し、そして平均値をこれらの曲線にプロットした。IC50値(ACE活性の50%阻害を与えるインヒビター濃度として定義される、mg粉末ml−1の形で表現される)を、これらの曲線の線形回帰方程式を用いて算出した。
【0036】
研究中の全ての加水分解産物に対応する線形回帰方程式を表3に報告する。これらのデータは、加水分解されていないBiPROTMが、研究中の他の全ての産物と比較して非常に低いACE阻害活性(IC50380mg粉末ml−1)を有することを示す。最大のACE阻害活性は、β−lgの合成ペプチドf142−148を用いて得られ、β−lgの合成ペプチドf142−148についての50%の阻害は、最低濃度(IC500.04mg粉末ml−1)で既に得られた。研究中の加水分解産物のACE阻害効果は、以下の順序に従った:AS−603K(BiPROTM)>AS−605K(BiPROTM)>AS−601(BiPROTM)>AS−605K(β−lg)>AS−601(β−lg)>LE80GF>WPH 917。
【0037】
以下の通りの表3は、研究中の加水分解産物と比較して、合成ペプチドβ−lg(f142−148)を用いて得られたACE阻害活性曲線の線形回帰方程式(y=m lnX+b)を表す。
【0038】
【表7】
研究中の全てのサンプルについて算出されたIC50の値を、表4に列挙する。BiPROTMのサンプルはより低いACE阻害活性(376mg粉末ml− 1のIC50を有する)を示し、一方、β−lgの合成ペプチドf142−148は最も低い値を示した(0.04mg粉末ml−1)。BiPROTMから誘導された加水分解産物またはβ−lgリッチな産物は全て、他の商業的加水分解産物(0.96および1.30mg粉末ml−1)より低いIC50値(0.29〜0.90mg粉末ml−1)を与えた。また、BiPROTMから誘導された加水分解産物は、β−lgリッチな産物から誘導された加水分解産物よりも低いIC50値を導いた(例えば、AS−601BiPRO TM=0.45mg粉末ml−1 対 AS−601β−lg=0.90mg粉末ml−1)。
【0039】
【表8】
(考察)
本発明者らの観察は、イオン交換クロマトグラフィーから流出された乳漿タンパク質(例えば、BiPROTM乳漿タンパク質単離物)の酵素的加水分解が、他の乳漿タンパク質供給源を用いて調製された商業的な加水分解産物と比較して優れたACE阻害活性を有する加水分解産物を生成することを示す。さらに、BiPROTM乳漿タンパク質単離物は、BiproTM乳漿タンパク質単離物から調製されたAS−601、AS−603Kおよび605Kについて得られた、より低いIC50値(表4)によって示されるように、抗高血圧活性を有する加水分解産物の調製のために、β−lgリッチな産物よりも良好な基質であるようである。この観察は予想外であった。なぜなら、β−lgリッチな産物(特に、トリプシンによって遊離されるフラグメントβ−lg 142−148)は、ACE阻害ペプチドを産生する、より高い可能性を提供すると仮定されていたからである(Mullally,M.M.,Meisel,H.,FitzGerald,R.J.,1997.Identification of a novel angiotensin−I−converting enzyme inhibitory peptide corresponding to a tryptic fragment of bovine β−lactoglobulin.FEBS Letters,402:99−101)。実際、最低のIC50(0.29mg粉末ml−1)を有する加水分解産物は、細菌性プロテアーゼ(AS603K)を用いた加水分解によって入手され、そしてトリプシン(AS−601)を用いた加水分解によっては入手されなかった。全体的に見て、本発明者らの結果は、BiPROTM乳漿タンパク質単離物を基質として用いた場合の相乗効果の発生を示唆するが、この現象についての説明は明らかではない。
【0040】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物および同様に調製された他の単離物は、酵素的加水分解の間の、非常に強いACE阻害活性を有するペプチドの産生の前駆体であり得る、主なタンパク質の組成(β−lg、α−laなど)および微量タンパク質(ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ(lactoperoxydase)、免疫グロブリン)またはペプチド性フラグメント(カゼインマクロペプチド(caseinomacropeptide)、プロテオース、ペプトンなど)の含量に関する比較のために好ましい。これらの微量タンパク質のいくつかは、異なる分画条件の結果として、β−lgリッチな産物中では、より低い濃度であり得る。
【0041】
また、BiPROTM乳漿タンパク質単離物(601、605Kおよび603K)からの酵素的加水分解産物の調製のために用いられた酵素(それぞれ、Trypsin VI、P Amano 6およびMultifect)が、非常に異なる特異性を有することが強調されなければならない。トリプシンは、ArgおよびLysの近傍のペプチド結合のみを切断することが公知であり、一方、他の2つの酵素は、ずっと広い特異性を有し、そしてより多数のより短いペプチドを生じる。Abubakarら(前出)による近年の研究は、トリペプチドのような短い分子およびジペプチドでさえも、抗高血圧効果を有し得ることを示唆する。β−lgのフラグメント142−148およびフラグメント78−80が、全ての乳漿タンパク質加水分解産物の抗高血圧特性を担う唯一のACEインヒビターではないことが明らかである。
【0042】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物が用いられた場合の乳漿タンパク質加水分解産物のACE阻害能力に対する相乗効果はまた、(特に、二価カチオン(例えば、カルシウム(15〜20meq/kg)またはマグネシウム(<1meq/kg))に関する)その低い鉱物含量に起因し得る。これらの物理化学的条件は、ペプチド−ペプチド相互作用の発生を妨害し得、それゆえ、加水分解産物の高いACE阻害能力を保ち得る。この仮説は、BiPROTM乳漿タンパク質単離物の鉱物組成を、より低いACE阻害能力を示した、β−lgリッチな産物の鉱物組成と比較することによってさらに調査される。
【0043】
この研究は、BiPROTMの酵素的加水分解が、得られる加水分解産物のACE阻害能力に関する相乗効果を導くことを示した。相乗作用は微量なタンパク質またはフラグメントの存在に関連してイオン交換プロセスによってもたらされる独特の組成上の特徴から生じ得るようである。
【0044】
(哺乳動物における高血圧の処置のための材料および方法)
BiPROTM乳漿タンパク質単離物の酵素消化物を、動物性プロテアーゼ、細菌性プロテアーゼおよび真菌性プロテアーゼを用いて、抗高血圧活性を有するペプチド混合物の調製についてのこれらの商業的基質の能力を決定するために、調製した。本研究の主な目的は、いくつかの特定の乳漿タンパク質加水分解産物の抗高血圧効果を調査することであった。以下は、抗高血圧効果を特徴付け、そして各溶解産物についての用量応答曲線を確立するために、意識のある自然高血圧ラット(SHR)において実施されてきた実験をまとめる。SHRは、本態性高血圧の遺伝的モデルと考えられ、そして一般に、高血圧の発達および確立を理解し、かつ新たに合成された抗高血圧薬物の血圧降下効果を決定するために用いられている。さらに、SHRにおいて実施された以前の研究では、本発明者らは、アンギオテンシンI変換酵素(ACE)インヒビターであるCaptoprilの静脈内注射が、腎臓、上腸間膜および後ろ四半部の血管床における顕著な血管拡張を伴って、血圧の顕著な低下を引き起こすことを見出した(未公開データ)。それゆえ、SHRは、ACE阻害に対して非常に反応性であるようであり、次いで、特定の乳漿タンパク質加水分解産物が顕著な抗高血圧特性を示すか否かを決定する際に、非常に有用な情報を提供するはずである。
【0045】
3つの乳漿タンパク質加水分解産物(すなわち、601、603Kおよび605K)ならびにコントロールであるリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)および未処理のBiPRO乳漿タンパク質単離物を調べた。平均および相性の動脈血圧および心拍数に対する各乳漿タンパク質の効果を、意識のある非拘束雄性SHRにおいて調査した。本研究において、これらの動物を、長期に装置に取り付け、一方の脈管内カテーテルを左大腿動脈に移植して、血圧および心拍数の連続記録を可能にした。この技術は、本発明者らの研究室において非常によく開発されており、そして慣用的に行われている(Bachelard,H.およびG.Drolet,Cardiovascular responses to paraventricular(PVN)injections of opioid agonists in conscious rats,Abstract Society for Neuroscience.18:1175,1992;Bachelard,H.およびM.Pitre,Regional haemodynamic effects of μ−,δ−,κ−opioid agonists microinjected into the hypothalamic paraventricular nuclei of conscious,unrestrained rats,Br.J.Pharmacol,115:613−621,1995;Pitre,M.,H.Gaudreault,M.Santure,A.Nadeau,およびH.Bachelard.Isradipine and insulin sensitivity in hypertensive rats,Am.J.Physiol.,39:E1038−E1048,1999;Pitre,M.,A.NateauおよびH.Bachelard,Insulin sensitivity and hemodynamic responses to insulin in Wistar−Kyoto and spontaneously hypertensive rats,Am.J.Physiol.271:E658−E668,1996)。この実験アプローチは、意識のあるラットにおける乳漿タンパク質に対する血行力学応答を調査するための強力なツールを構成する。収縮期血圧を測定するために他者によって一般的に用いられている非侵襲性技術である尾部カフ血圧計は、動物にはストレスが多く(ラットは、測定の間、拘束装置(restrainer)中に固定されなければならない)、そして大きな変動性を免れない。それゆえ、意識のある動物における血圧測定における固有の変動性、およびSHRラットはストレスの多い刺激に非常に反応性であることが公知であることを考慮して、本発明者らは、(特に、定常ベースライン測定値を確立する際の)尾部カフ技術を用いて行われた測定にはいくらかの不確実さが存在すると考えた。対照的に、血圧を直接的かつ連続的に記録することによって、この変動性を考慮し、そしてより信頼性のある血圧測定を行うことがより容易である。さらに、本発明者らのラットを、実験の数日前にこのシステムに充分に適応させ、そして血圧の直接的な測定を、この動物に何の痛みもストレスも引き起こすことなく行った。それゆえ、意識のある非拘束動物における血圧および心拍数の直接的かつ連続的な記録は、他の非侵襲性技術に対する明確な利点を表す。
【0046】
乳漿タンパク質単離物(BiPROTM)を、Davisco Foods International(Le Sueur,MN,USA)から入手した。Sigma Chemical Co.(St.Louis,USA)からHEPES Sodium塩、Hippuryl−L−Histidyl−L−Leucine、およびAngiotensin Converting Enzyme(ウサギ肺由来)を、購入した。用いた全ての他の製品は分析等級であった。
【0047】
乳漿タンパク質(BiPROTM)を、20%W/Vで溶解して、4NのNaOHおよびKOHの混合物を用いて、pH8.0または8.5に調整し、そして用いた酵素の至適温度に相当する40℃〜50℃の間の温度で維持した。表1は、この研究のための酵素加水分解産物の調製のために用いた酵素の特徴を報告する。BiPROTMの乳漿タンパク質単離物を601、603K、および605Kの調製に利用した。このタンパク質溶液を、プロテアーゼとともに、酵素:基質の比が、601については1:800、603Kについては1:50、そして605Kについては1:100で、インキュベートした。この酵素加水分解を、601については、4.5〜6.5%の加水分解(DH)の程度まで、pHスタット条件下で、そして603Kについては、7.0〜10.0%のDHまでpHスタットおよび浸透圧法の組み合わせ下で、そして605Kについては、13.0〜17.0%のDHまで、実施した。この加水分解反応を、プレート熱交換機における熱処理(75〜85℃、15秒)の方法で、選択したDH値に停止させ、酵素を不活性化し、そして続いて冷却してさらなる処理まで5〜10℃で保存した。得られた加水分解産物をさらに噴霧乾燥して、粉末成分として取り扱った。分子量に基づいて画分をとり、そして選択した最も活性な画分を用いて、相対活性を試験し得る。
【0048】
BiPROTM乳漿タンパク質加水分解から調製した601Kおよび603K生成物についての代表的な分析物を以下に示す。
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】
【表11】
(降圧活性の決定−方法)
全ての外科手順および実験手順は、動物取り扱いガイドライン制度(institutional animal care guideline)に従った。雄性SHRラット(20〜24週齢でかつ300〜350g重量)をCharles River Canadaから購入した。このラットを、ケタミン−キシラジン(それぞれ、100mg/kgおよび10mg/kg)の混合物で麻酔し(必要に応じてi.p.で追加した)、そして左の大腿動脈を介して遠位腹部大動脈にカテーテルを1本埋め込んだ(血圧および心拍数の測定のため)。次いで、このカテーテルは、皮下にトンネルされ、頸の後ろで現れ、そしてラットによってカスタムメイドされた装具に接着された可撓性の防御スプリングを通過させられた。このラットにAmpicillin(150mg/kg)およびAnafen(5mg/kg)のs.c.注射をして、住処のケージに戻した。この外科工程の少なくとも4日後に実験を始めた。
【0052】
実験を通じて、Biopac Data AcquisitionおよびAnalysisシステム(Model MP100、AcqKowledge software バージョン3.1)を用いて、3つの変数(心拍、ならびに位相性および平均の動脈血圧)を記録した。選択した時点で、心拍、位相性動脈血圧、および平均動脈血圧を測定し、加水分解産物またはBiPRO乳漿タンパク質単離物の効果の完全なプロフィールを示した。これは前処理した基準値に関連していた。このラットは意識があり、抑制されておらず、そして実験の間、水および食物に自由に近づけた。
【0053】
(実験プロトコール)
BiPRO乳漿タンパク質単離物、または特定の乳漿タンパク質加水分解産物(601、603K、605K)の経口投与によって誘発された心臓血管系の変化を、意識があり拘束されてないSHRで評価した。このラットを4日続けて用い、この間、それらのラットに、胃内挿管によって、漸増する用量の特定の加水分解産物(601、603K、605K)またはBiPROのうち1つだけを投与した。凍結乾燥した乳漿タンパク質加水分解産物の粉末を、0.2mM PBS(pH7.2)に溶解し(同じビヒクルである0.2mM PBSをコントロール投与に用いた)、そして0.5mlの容量で与えた。全ての溶液は新たに準備した。従って、血圧および心拍数の基準測定直後の典型的な日には、ラットにはビヒクル(1日目にコントロールPBS)、または単離された用量の測定の加水分解産物(2日目、30mg/kg、3日目、75mg/kg、そして4日目150mg/kg)、またはBiPRO乳漿タンパク質単離物(2日目、30mg/kg、3日目、75mg/kg、そして4日目150mg/kg)を投与した。PBS、BiPro乳漿タンパク質単離物、または乳漿タンパク質加水分解産物の単回経口投与の、血圧および心拍への影響を7時間をこえて評価した。
【0054】
(結果)
連続して4日間、いずれかの介入の前に、毎朝測定した心臓血管測定値の安静時の値を図2に示す。理解されるとおり、1日目、2日目、3日目および4日目に測定した基準平均動脈血圧と心拍数との間に有意な差異はない。
【0055】
【表12】
値は、平均±SEMであり、nは、ラットの数である。(グループは、ビヒクル(PBS)、601、603K、605KまたはBiPro乳漿タンパク質単離物の単回経口投与の、意識下、非拘束SHRにおける、血圧および心拍への影響を評価するために用いたグループを示す)。MAP(平均動脈血圧);HR(心拍数);bpm(1分あたりの拍動)。
【0056】
(加水分解産物601に対する心臓血管系の反応)
図1は、意識下、非拘束の高血圧自然発症ラット(SHR)における、0.2mM PBS(n=36)、または加水分解産物601の0.5mlの、30mg/kg(n=9)、75mg/kg(n=8)、または150mg/kg(n=7)の用量の、経口投与後の、心拍数および平均動脈血圧の変化を示す。各ポイントは、垂直線によって示される標準誤差をともなう平均を示す。*P<0.05は、ビヒクル対処理群(ANOVA、その後のフィッシャー試験)。HRは心拍数;bpmは1分あたりの拍動;MAPは、平均動脈血圧である。心拍数の有意な(4時間、6時間および7時間で)低下を誘発した(6時間で最大−77±14bpm)75mg/kg用量を除いて、本発明者らは、30mg/kgおよび150mg/kgの用量で、PBSと加水分解産物601との胃内投与によって起きた心拍数反応の間に、有意な差異を見出さなかった。しかし、本発明者らは、加水分解産物601の異なる用量の胃内投与後には、PBSのコントロール投与に比べて、平均動脈血圧の有意な低下を観察した。
【0057】
従って、本発明者らは、30mg/kgの用量での加水分解産物の投与後6時間で有意な降圧効果(−27±6mmHg)を観察した。本発明者らは、75mg/kgの加水分解産物の用量で、PBSのコントロール投与の効果と比べて、顕著でかつ長期の降圧効果(1〜7時間で有意)を観察した。平均動脈血圧の最大低下(−39±6mmHg)を、投与後6時間で達成した。150mg/kgの加水分解産物の胃内投与後、同様の降圧効果(1および3〜7時間で有意)をまた観察した。平均動脈血圧の最大低下(−32±7mmHg)を、投与後6時間で達成した。
【0058】
(BiPROおよび加水分解産物603K、605Kに対する心臓血管反応) 図2〜4は、0.2mM PBS(n=36)、または加水分解産物603(図2)もしくは605K(図3)、またはBiPRO乳漿タンパク質分解物(図4)の0.5mlの、30mg/kg、75mg/kg、または150mg/kgの用量での、経口投与後の、心拍数および平均動脈血圧の変化を示す。本発明者らは、PBSおよび加水分解産物603K、もしくは605K、またはBiPRO乳漿タンパク質単離物の試験した異なる用量での胃内投与によって起きた心拍数または平均動脈圧の反応の間に、有意な差異を見出さなかった。
【0059】
(結論)
本発明の結果は以下を示す:
意識下、非拘束SHRにおける加水分解産物601の単回経口投与(75mg/kgまたは150mg/kgの用量)は、投与後1〜7時間、平均動脈血圧を有意に低下する。
【0060】
血圧は、投与後24時間で最初のレベルに戻る。
【0061】
逆に、加水分解産物603Kおよび605KならびにコントロールのBiPRO乳漿タンパク質単離物は、(試験した用量のいずれにおいても)本研究におけるSHRラットの平均動脈血圧を変化しなかった。
【0062】
記した加水分解産物601での処置に適切なレジメンは、2〜24時間の間隔で、75〜150mg/kg以上の用量の経口投与を含む。より広範には、この投薬量および間隔は、経時的な処置によって示されるように、50〜500%まで上昇または減少し得る。
【0063】
上記の説明は、本発明を実施する当業者に利用可能であると解釈される。この説明を読み取れば、当業者には明白となる全ての可能性のある改変およびバリエーションを詳細に説明することは意図していない。しかし、このような改変およびバリエーションの全てが、上記の説明にみられ、そしてさもなければ添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内に含まれると解釈される。この特許請求の範囲は、文脈が特に逆を意味しない限り、本発明について意図される目的に合致するのに有効である任意の配列または順序で、示される構成要素および工程を包含することを意味する。
【0064】
図1〜4は、上に詳細に議論する抗高血圧(antihypersion)処置についての実験室試験の結果を要約する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=9のラット)、75mg/kg(n=8)または150mg/kg(n=7)の用量での601の単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。*P<0.05 対ビヒクル処理群、フィッシャーの検定に従う分散分析。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
【図2】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=10のラット)、75mg/kg(n=10)または150mg/kg(n=10)の用量での603Kの単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。*P<0.05 対ビヒクル処理群、フィッシャーの検定に従う分散分析。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
【図3】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=8のラット)、75mg/kg(n=8)または150mg/kg(n=8)の用量での605Kの単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
【図4】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=8のラット)、75mg/kg(n=8)または150mg/kg(n=8)の用量でのBiPROの単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
(発明の背景)
本発明は、1つの局面において、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を抑制するための方法、この目的のための組成物およびこの組成物を調製するための方法(特に乳漿タンパク質の酵素的変換による)に関する。
【0002】
別の局面において、本発明は、乳漿タンパク質の酵素的変換によって得られた特定の加水分解産物を用いて、哺乳動物における高血圧を減少するための方法に関する。
【0003】
高血圧は、先進工業国におけるヒトの死の最も重要な原因であることが報告されている(例えば、Laragh,J.H.,1979.L’hypertension.Recherche,105(10):1068−1076を参照のこと)。成人の死亡のほぼ30%が、高血圧または高血圧の腎臓合併症、冠動脈合併症もしくは神経性合併症に由来する。高血圧の原因となる生理学的機構の解明は、製薬産業が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害物質を提案することを導いた。ACEは、アンギオテンシンIのアンギオテンシンII(強力な血管収縮薬)への分解を触媒する。
【0004】
ブラジルのヘビ毒において見出されたペプチドは、ACEの阻害のための最も効果的な天然物質であると確認されている(例えば、Ferreira,S.H.,Bartelt,D.C.,Greene,L.J.,1970.Isolation of bradykinin−potentiating peptides from Bothrops jararaca venom.Biochemistry,9(13):2583−2593を参照のこと)。天然ペプチドの阻害効果は、ACEの活性部位におけるそれらの結合に関連している(Maubois,J.L.Leonil,J.,Trouve,R.,Bouhallab,S.,1991.Les peptides du lait a activite physiologique III.Peptides du lait a effet cardiovasculaire:activites antithromobotique et antihypertensive.Lait,71:249−255)。
【0005】
これらの種々の生理活性ペプチドの構造−機能研究によって、これらが、しばしば、それらのC末端配列においてPro−Pro、Ala−ProまたはAla−Hypを有することを示唆されている(例えば、Maruyama,S.,Suzuki,H.,1982.A peptide inhibitor of angiotensin I converting enzyme in the tryptic hydrolysate of casein. Agric.Biol.Chem.,46(5):1393−1394;およびOshima,G.,Shimabukuro,H.,Nagasawa,K.1979. Peptide inhibitors of angiotensin I−converting enxyme in digests of gelatin by bacterial collagenase. Biochim.Biophys.Acta,566:128−137.)。プロリンの発生率はまた、食品タンパク質に由来するペプチドのACE阻害活性に寄与し得る(例えば、Kohmura,M.,Nio,N.,Kudo,K.,Minoshima,Y.,Munekata,E.,Ariyoshi,Y.1989.Inhibition of angiotensin−converting enzyme by synthetic peptides of human β−casein.Agric.Biol.Chem.,53(8):2107−2114)。
【0006】
MaruyamaおよびSuzuki[前出]は、トリプシンカゼイン加水分解産物由来のペプチドにおけるこのようなアミノ酸配列を証明した。著者らは、xs1カゼイン(ウシ、改変体B)由来のペプチドf23−34が、77μMのIC50値(50%のACE活性を阻害するのに必要な濃度)によって推定されるACE阻害活性を有することを示した。多数の他の研究が、この研究に続き、そしてカゼイン加水分解産物における他のACE阻害ペプチドを明らかにした。最近の総説において、Nakanoは、18個の別個の乳タンパク質由来のペプチド配列(酸乳において見出され、そしてACE阻害活性を有することが示されている)の存在を報告した(Nakano,T.1998,Milk derived peptides and hypertension reduction. Int.Dairy J.,8:375−381)。
【0007】
しかし、乳漿タンパク質加水分解産物の間のACE阻害活性の存在を報告する研究はほどんどない。Abubakarらは、7つの異なる酵素:トリプシン、プロテアーゼ−K、アクチナーゼ−E(actinase−E)、サーモリシン(thermolysin)、パパインおよびキモトリプシンを使用して、乳漿タンパク質加水分解産物におけるACE阻害活性を決定した。酵素の特異性が、加水分解産物の得られたACE阻害活性に著しい効果を与え、そして生物学的活性が、主要な乳漿タンパク質(β−lg、α−la、BSA、Ig)に由来し、カゼインマクロペプチドに由来しないことを示した(Abubakar,A.,Saito,T.,Aimar,M.V.,Itoh,T.1996.New derivation of the inhibitory activity against angiotensin converting enzyme(ACE)from sweet cheese whey. Tohoku J.Agric.Res.,47(1−2):1−8.)。Abubakarらのより最近の研究は、9つのペプチド配列(すなわち、β2−マイクログロブリン(f18−20)、β−ラクトグロブリン(f78−80)、血清アルブミン(f221−222)、β−カゼイン(f59−61、f59−64、f62−63、f80−90、f157−158、f205−206))の同定を可能にし、この中で、β−ラクトグロブリン(f78−80)は、自然発生高血圧ラットにおいて最も強力な高血圧活性を示した(Abubakar,A.,Saito,T.,Kitazawa,H.,Kawai,Y.,Itoh,T.,1998,Structural analysis of new antihypertensive peptides derived from cheese whey protein by proteinase K digenstion. J.Dairy Sci.,12:3131−3138.)。最後に、Mullalyらは、ウシβ−ラクトグロブリンを用いて調製したトリプシン加水分解産物からRP−HPLCを使用して単離したペプチド画分は、0.006μmol/LのIC50を有するカプトプリル(高血圧処置において一般に使用される市販の薬物)と比較して、159.8μmol/LのIC50値を有したことを実証した(Mullally,M.M.,Meisel,H.,FitzGerald,R.J.,1997.Identification of a novel angiotensin−I−converting enzyme inhibitory peptide corresponding to a tryptic fragment of bovine β−lactoglobulin.FEBS Letterrs,402:99−101.)。質量分析法は、β−ラクトグロブリンのトリプシン加水分解産物におけるACE阻害活性を担うβ−ラクトグロブリンに由来するペプチドf142−148の同定を可能にする。化学的合成によって得られた同じペプチド配列は、42.6μmol/LのIC50を示した。
【0008】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)を抑制する分野において改善を提供すること、および高血圧およびその症状を処置し得るさらなる物質(特に、食品項目において含まれるような簡単なレジメンの一部として容易に使用され得る物質)を同定すること、が望ましい。
【0009】
(発明の要旨)
本発明の目的は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を抑制する分野において改善を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、アンギオテンシン変換酵素を抑制するための方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、アンギオテンシン変換酵素を抑制するために有効な組成物を提供することである。
【0012】
本発明のなお別の目的は、アンギオテンシン変換酵素を抑制するために(特に乳漿タンパク質の酵素的変換によって)効果的な組成物を調製するための方法を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、哺乳動物における高血圧の分野において改善を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、哺乳動物において、高血圧に関連する心拍数および血圧を減少させるための方法を提供することである。
【0015】
これらおよび他の目的は、本発明のひとつの局面によって、乳漿タンパク質加水分解産物の加水分解によるACE抑制組成物の生成を可能にする改善、ACE抑制組成物の回収、およびACE抑制組成物の使用のためのレジメンによって達成される。
【0016】
ACE抑制組成物を調製するためのプロセスは、以下の工程を包含する:乳漿タンパク質単離物およびタンパク質分解酵素の水溶液を調製する工程;哺乳動物において増加したACE抑制活性を有する加水分解産物を提供するためにこの乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下でこの溶液を維持する工程;およびこの溶液からこの加水分解産物を回収する工程。タンパク質分解酵素は、必要に応じて、好ましくは加熱によって不活化される。好ましくは、加水分解産物は、ACE活性を抑制するのに有効な量および間隔で、哺乳動物(例えば、ヒトまたはイヌまたはネコのような家庭のペット)に経口投与する工程を包含するレジメンにおける使用のために乾燥される。
【0017】
他の目的は、以下の工程によって得られる有効量の高血圧減少組成物をヒトまたは他の哺乳動物に経口投与する工程を伴う哺乳動物処置レジメンによって、本発明の別の局面によって達成される:乳漿タンパク質単離物およびタンパク質分解酵素の水溶液を調製する工程;哺乳動物において高血圧を減少する能力を有する加水分解産物を提供するためにこの乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下でこの溶液を維持する工程;およびこの溶液からこの加水分解産物を回収する工程。タンパク質分解酵素は、必要に応じて、好ましくは加熱によって不活化される。好ましくは、加水分解産物は、哺乳動物における高血圧を減少させるのに有効な量および間隔で、哺乳動物(例えば、ヒトまたはイヌまたはネコのような家庭のペット)に経口投与する工程を包含するレジメンにおける使用のために乾燥される。本発明の好ましい局面の多くは、以下に記載される。
【0018】
本発明の好ましい局面の多くは、以下に記載される。
【0019】
(発明の詳細な説明)
乳漿タンパク質単離物(WPI)は、種々のプロセス(これには、単離物の意図された機能性について選択された陽イオン樹脂および/または陰イオン樹脂を用いるイオン交換処理が挙げられる)によってチーズ乳漿の商業規模の分画から入手し得る(Pearce,R.J.,1992,Whey protein recovery and whey protein fractionation,Whey and Lactose Processing,JG Zadow,編,Elsevier,London,271−316)。イオン交換処理から生じる商業的なWPI製品(例えば、BiPROTM(Davisco Foods International,Inc.,LeSueur,MN))は、高タンパク質含量(>94% w/w)、低灰分含量(<3%)、微量の脂肪およびラクトース(<1%)によって特徴付けられる。代表的なWPIのタンパク質分布は、55〜65%のβ−ラクトグロブリン、17〜25% α−ラクトアルブミン、4〜7%のウシ血清アルブミン、7〜11%の免疫グロブリンおよび1%未満の他のものを示す。
【0020】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物は、本発明の使用のための乳漿タンパク質単離物の好ましい供給源であり、11000W.78th Street,Suite 210,Eden Prairie,Minnesota 55344にオフィスを置くDavisco Foods International,Inc.から入手可能である。好ましいBiPROTM乳漿タンパク質単離物は、1.14のPDCAAS(Protein Digestibility Corrected Amino Acid Score)を有する。脂肪およびラクトースレベルは、1%未満である。BiPROTM乳漿タンパク質単離物は、イオン交換技術によって調製され、そして約55〜65%(w/w)のβ−ラクトグロブリンを含む。好ましくは、本発明に従って使用される乳漿タンパク質単離物は、少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%のβ−ラクトグロブリンを含み、残りは、α−ラクトアルブミン、血清アルブミンおよび免疫グロブリンを上記の範囲で含む。BiPROTMは、本質的に非変性であり、そしてpH2.0〜9.0にわたって完全に可溶性であり、そして以下の分析を有する。
【0021】
【表1】
*全ての結果は、注意書きがある以外、「AS IS」基本を報告する。
Examination of Dairy Products,第16版の標準方法。
【0022】
記載されるように、BiPROTM以外の乳漿タンパク質単離物が使用され得、そして好ましくは、上記の代表的な範囲の値から0〜25%(例えば、5〜10%、またはそれより下)で変化する上記と類似の分析を有する場合、使用され得る。濃縮および噴霧乾燥のために一次的な機能タンパク質(β−ラクトグロブリンおよびα−ラクトアルブミン)を選択する選択的イオン交換プロセスを介して、類似の特性を有する適切な乳漿タンパク質単離物が、生成され得る。このようなプロセスは、Jowettらの米国特許第4,154,675号およびPhillipsらの米国特許第4,218,490号に記載される。適切に生成された場合、より低いタンパク質含量(例えば、35%の低さ)を有する乳漿タンパク質画分が、使用され得る。さらに、イオン交換分離によって生成されたβ−lgもまた使用され得るが、BiPROTM乳漿タンパク質単離物ほど好ましくない。
【0023】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物のより詳細な分析に関して、各100グラムの乳漿タンパク質単離物について、以下のものが見出される:
成分
カロリー 374
総脂肪からのカロリー 3
総脂肪(g) 0.3
飽和脂肪(g) 0.2
コレステロール(mg) 10
ナトリウム(mg) 600
カリウム(mg) 120
総炭水化物(g) 0
食物繊維(g) 0
糖(g) 0
タンパク質(g) 93
ビタミンA(IU) 20
ビタミンC(mg) 2.0
カルシウム(mg) 120
鉄(mg) 5
リン(mg) 25
マグネシウム(mg) 15
灰分(g) 2
水分(g) 5。
【0024】
そして、好ましいBiPROTM乳漿タンパク質単離物のアミノ酸プロフィールを提供するために、サンプルを、五酸化リンおよび水酸化ナトリウムに対してデシケーター中で24時間の乾燥に供した。乾燥サンプルを、アルゴン雰囲気下、HCl蒸気(1% フェノールおよび0.5% 亜硫酸ナトリウムを含む、6N HCl)中で加水分解した。摂氏110度での20時間の加水分解後、サンプルを、200μlのBeckman Na−Sサンプル緩衝液に溶解した。この酸加水分解方法は、トリプトファンを破壊する。
【0025】
分析を、Beckman 6300 Amino Acid Analyzer上で実行した。ノルロイシンを、内部標準として使用した。分析によって、以下のものが示された。
【0026】
【表2】
さらに、BiPROTM以外の乳漿タンパク質単離物が使用される場合、それらは好ましくは、上記の値から0〜25%(例えば、5〜10%)またはそれより下で変化する、上記の分析に類似の分析を有する。
【0027】
BiPROTMおよび市販のβ−lgリッチな製品の酵素消化を、動物、細菌および真菌プロテアーゼを用いて調製して、抗高血圧活性を有するペプチド混合物の調製のためにこれらの市販の物質の潜在性を決定した。この作業の目的は、他の市販の乳漿タンパク質加水分解産物と比較して、イオン交換クロマトグラフィーによって得られた乳漿タンパク質分離物からの酵素加水分解によって生成された種々の加水分解産物のACE阻害活性を決定することであった。
【0028】
(ACE阻害のための材料および方法)
乳漿タンパク質加水分解産物であるWPH 917(84.5% タンパク質 w/w)を、New Zealand Milk Product Inc.(Santa Rosa,USA)から入手した。乳漿タンパク質加水分解産物であるLE80GF(80.0% w/w)を、DMV International(New−York,USA)から入手した。乳漿タンパク質単離物(BiPROTM)およびβ−ラクトグロブリンリッチな製品は、Davisco Foods International(Le Sueur,MN,USA)から入手した。β−lg由来のペプチドf−142−148のモデルである生成したペプチド配列Ala−Leu−Pro−Met−His−Ile−Argは、Service de sequence de peptides de l’Est du Quebec(Ste−Foy,Qc,Canada)によって化学的に合成した。HEPESナトリウム塩、ヒプリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン、およびアンギオテンシン変換酵素(ウサギ肺由来)を、Sigma Chemical Co.(St.Louis,USA)から購入した。使用した他の製品の全ては、分析等級であった。
【0029】
乳漿タンパク質(BiPROTMまたはβ−lg)を、20% W/Vに溶解し、NaOHおよびKOH 4Nの混合物を用いすることによって、pH8.0またはpH8.5に調整し、そして使用した酵素の最適温度に対応する40℃と50℃との間の温度に維持した。表1は、本研究のための酵素加水分解の調製に使用した酵素の特徴を報告する。BiPROTMおよびβ−lgリッチな製品を、601および605の調製のために利用したが、BiproTMは、603Kのためのみに使用した。タンパク質溶液を、AS−601について1:800の酵素:基質比、AS−603Kについて1:50の酵素:基質比、そしてAS−605Kについて1:100の酵素:基質比で、プロテアーゼを用いてインキュベートした。酵素加水分解を、AS−601について5.5〜6.5%の加水分解の程度(DH)までpH−stat条件下で実行し、AS−603Kについて11.0〜12.5%のDHまでpH−statおよび浸透圧測定方法の組合わせ下で実行し、そしてAS−605Kについて19.5〜20.5%のDHまでpH−statおよび浸透圧測定方法の組合わせ下で実行した。加水分解反応を、プレート熱交換器において熱処置(75〜85℃を15秒間)によって選択されたDH値で停止して、酵素を不活化し、そして続いて冷却してさらなる処理まで5〜10℃で保存した。生じた加水分解産物を、さらに、噴霧乾燥し、粉末成分として取り扱った。画分を、分子量に基づいて採取し得、そして相対的な活性について試験し、最も活性な画分を選択した。
【0030】
BiPROTM乳漿タンパク質加水分解産物から調製されたAS−601K生成物およびAS−603K生成物についての代表的な分析を、以下に提供する。
【0031】
【表3】
*全ての結果は、注意書きがある以外、「AS IS」基本を報告する。
**Examination of Dairy Products,第16版の標準方法。
***0.45μ濾液中の総可溶性ペプチドのパーセント。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
(ACE阻害活性の決定)
ACE阻害活性を、CushmanおよびCheungの方法(Cushman,D.N.,Cheung,H.S.1971 Spectrophotometric assay and properties of the angiotensin converting enzyme of rabbit lung.Biochemical Pharmacology,20:1637−1648)に従って分光測定法的アッセイによってインビトロで測定した。この方法に従って、馬尿酸は、ヒプリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン(hippuryl−L−histidyl−L−leucine:HHL)から、ACEの酵素反応によって遊離される。酢酸エチルによる抽出および加熱エバポレーションによる酢酸エチルの除去の後、馬尿酸は、脱イオン水中に溶解される。
【0034】
表2は、このアッセイのために用いた実験条件をまとめる。228nmでの馬尿酸溶液の吸光度を、分光測定法によって決定した。
【0035】
【表6】
阻害活性を、以下の方程式に従って算出した:
阻害活性(%)=[(Aコントロール−Aサンプル)/(Aコントロール−Aブランク)]×100[1]
ここで、Aは、吸光度を表す。サンプル濃度(mg粉末ml−1)のlog10に対する阻害活性(%)のプロットを、BiPROTM、AS−601(BiPROTMβ−lg)、商業的な加水分解産物(WPH 917、LE80GF)およびβ−lgからの合成ペプチド(f142−148)についての6つの異なる濃度のサンプルを用いて作成した。各濃度を三連で試験し、そして平均値をこれらの曲線にプロットした。IC50値(ACE活性の50%阻害を与えるインヒビター濃度として定義される、mg粉末ml−1の形で表現される)を、これらの曲線の線形回帰方程式を用いて算出した。
【0036】
研究中の全ての加水分解産物に対応する線形回帰方程式を表3に報告する。これらのデータは、加水分解されていないBiPROTMが、研究中の他の全ての産物と比較して非常に低いACE阻害活性(IC50380mg粉末ml−1)を有することを示す。最大のACE阻害活性は、β−lgの合成ペプチドf142−148を用いて得られ、β−lgの合成ペプチドf142−148についての50%の阻害は、最低濃度(IC500.04mg粉末ml−1)で既に得られた。研究中の加水分解産物のACE阻害効果は、以下の順序に従った:AS−603K(BiPROTM)>AS−605K(BiPROTM)>AS−601(BiPROTM)>AS−605K(β−lg)>AS−601(β−lg)>LE80GF>WPH 917。
【0037】
以下の通りの表3は、研究中の加水分解産物と比較して、合成ペプチドβ−lg(f142−148)を用いて得られたACE阻害活性曲線の線形回帰方程式(y=m lnX+b)を表す。
【0038】
【表7】
研究中の全てのサンプルについて算出されたIC50の値を、表4に列挙する。BiPROTMのサンプルはより低いACE阻害活性(376mg粉末ml− 1のIC50を有する)を示し、一方、β−lgの合成ペプチドf142−148は最も低い値を示した(0.04mg粉末ml−1)。BiPROTMから誘導された加水分解産物またはβ−lgリッチな産物は全て、他の商業的加水分解産物(0.96および1.30mg粉末ml−1)より低いIC50値(0.29〜0.90mg粉末ml−1)を与えた。また、BiPROTMから誘導された加水分解産物は、β−lgリッチな産物から誘導された加水分解産物よりも低いIC50値を導いた(例えば、AS−601BiPRO TM=0.45mg粉末ml−1 対 AS−601β−lg=0.90mg粉末ml−1)。
【0039】
【表8】
(考察)
本発明者らの観察は、イオン交換クロマトグラフィーから流出された乳漿タンパク質(例えば、BiPROTM乳漿タンパク質単離物)の酵素的加水分解が、他の乳漿タンパク質供給源を用いて調製された商業的な加水分解産物と比較して優れたACE阻害活性を有する加水分解産物を生成することを示す。さらに、BiPROTM乳漿タンパク質単離物は、BiproTM乳漿タンパク質単離物から調製されたAS−601、AS−603Kおよび605Kについて得られた、より低いIC50値(表4)によって示されるように、抗高血圧活性を有する加水分解産物の調製のために、β−lgリッチな産物よりも良好な基質であるようである。この観察は予想外であった。なぜなら、β−lgリッチな産物(特に、トリプシンによって遊離されるフラグメントβ−lg 142−148)は、ACE阻害ペプチドを産生する、より高い可能性を提供すると仮定されていたからである(Mullally,M.M.,Meisel,H.,FitzGerald,R.J.,1997.Identification of a novel angiotensin−I−converting enzyme inhibitory peptide corresponding to a tryptic fragment of bovine β−lactoglobulin.FEBS Letters,402:99−101)。実際、最低のIC50(0.29mg粉末ml−1)を有する加水分解産物は、細菌性プロテアーゼ(AS603K)を用いた加水分解によって入手され、そしてトリプシン(AS−601)を用いた加水分解によっては入手されなかった。全体的に見て、本発明者らの結果は、BiPROTM乳漿タンパク質単離物を基質として用いた場合の相乗効果の発生を示唆するが、この現象についての説明は明らかではない。
【0040】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物および同様に調製された他の単離物は、酵素的加水分解の間の、非常に強いACE阻害活性を有するペプチドの産生の前駆体であり得る、主なタンパク質の組成(β−lg、α−laなど)および微量タンパク質(ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ(lactoperoxydase)、免疫グロブリン)またはペプチド性フラグメント(カゼインマクロペプチド(caseinomacropeptide)、プロテオース、ペプトンなど)の含量に関する比較のために好ましい。これらの微量タンパク質のいくつかは、異なる分画条件の結果として、β−lgリッチな産物中では、より低い濃度であり得る。
【0041】
また、BiPROTM乳漿タンパク質単離物(601、605Kおよび603K)からの酵素的加水分解産物の調製のために用いられた酵素(それぞれ、Trypsin VI、P Amano 6およびMultifect)が、非常に異なる特異性を有することが強調されなければならない。トリプシンは、ArgおよびLysの近傍のペプチド結合のみを切断することが公知であり、一方、他の2つの酵素は、ずっと広い特異性を有し、そしてより多数のより短いペプチドを生じる。Abubakarら(前出)による近年の研究は、トリペプチドのような短い分子およびジペプチドでさえも、抗高血圧効果を有し得ることを示唆する。β−lgのフラグメント142−148およびフラグメント78−80が、全ての乳漿タンパク質加水分解産物の抗高血圧特性を担う唯一のACEインヒビターではないことが明らかである。
【0042】
BiPROTM乳漿タンパク質単離物が用いられた場合の乳漿タンパク質加水分解産物のACE阻害能力に対する相乗効果はまた、(特に、二価カチオン(例えば、カルシウム(15〜20meq/kg)またはマグネシウム(<1meq/kg))に関する)その低い鉱物含量に起因し得る。これらの物理化学的条件は、ペプチド−ペプチド相互作用の発生を妨害し得、それゆえ、加水分解産物の高いACE阻害能力を保ち得る。この仮説は、BiPROTM乳漿タンパク質単離物の鉱物組成を、より低いACE阻害能力を示した、β−lgリッチな産物の鉱物組成と比較することによってさらに調査される。
【0043】
この研究は、BiPROTMの酵素的加水分解が、得られる加水分解産物のACE阻害能力に関する相乗効果を導くことを示した。相乗作用は微量なタンパク質またはフラグメントの存在に関連してイオン交換プロセスによってもたらされる独特の組成上の特徴から生じ得るようである。
【0044】
(哺乳動物における高血圧の処置のための材料および方法)
BiPROTM乳漿タンパク質単離物の酵素消化物を、動物性プロテアーゼ、細菌性プロテアーゼおよび真菌性プロテアーゼを用いて、抗高血圧活性を有するペプチド混合物の調製についてのこれらの商業的基質の能力を決定するために、調製した。本研究の主な目的は、いくつかの特定の乳漿タンパク質加水分解産物の抗高血圧効果を調査することであった。以下は、抗高血圧効果を特徴付け、そして各溶解産物についての用量応答曲線を確立するために、意識のある自然高血圧ラット(SHR)において実施されてきた実験をまとめる。SHRは、本態性高血圧の遺伝的モデルと考えられ、そして一般に、高血圧の発達および確立を理解し、かつ新たに合成された抗高血圧薬物の血圧降下効果を決定するために用いられている。さらに、SHRにおいて実施された以前の研究では、本発明者らは、アンギオテンシンI変換酵素(ACE)インヒビターであるCaptoprilの静脈内注射が、腎臓、上腸間膜および後ろ四半部の血管床における顕著な血管拡張を伴って、血圧の顕著な低下を引き起こすことを見出した(未公開データ)。それゆえ、SHRは、ACE阻害に対して非常に反応性であるようであり、次いで、特定の乳漿タンパク質加水分解産物が顕著な抗高血圧特性を示すか否かを決定する際に、非常に有用な情報を提供するはずである。
【0045】
3つの乳漿タンパク質加水分解産物(すなわち、601、603Kおよび605K)ならびにコントロールであるリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)および未処理のBiPRO乳漿タンパク質単離物を調べた。平均および相性の動脈血圧および心拍数に対する各乳漿タンパク質の効果を、意識のある非拘束雄性SHRにおいて調査した。本研究において、これらの動物を、長期に装置に取り付け、一方の脈管内カテーテルを左大腿動脈に移植して、血圧および心拍数の連続記録を可能にした。この技術は、本発明者らの研究室において非常によく開発されており、そして慣用的に行われている(Bachelard,H.およびG.Drolet,Cardiovascular responses to paraventricular(PVN)injections of opioid agonists in conscious rats,Abstract Society for Neuroscience.18:1175,1992;Bachelard,H.およびM.Pitre,Regional haemodynamic effects of μ−,δ−,κ−opioid agonists microinjected into the hypothalamic paraventricular nuclei of conscious,unrestrained rats,Br.J.Pharmacol,115:613−621,1995;Pitre,M.,H.Gaudreault,M.Santure,A.Nadeau,およびH.Bachelard.Isradipine and insulin sensitivity in hypertensive rats,Am.J.Physiol.,39:E1038−E1048,1999;Pitre,M.,A.NateauおよびH.Bachelard,Insulin sensitivity and hemodynamic responses to insulin in Wistar−Kyoto and spontaneously hypertensive rats,Am.J.Physiol.271:E658−E668,1996)。この実験アプローチは、意識のあるラットにおける乳漿タンパク質に対する血行力学応答を調査するための強力なツールを構成する。収縮期血圧を測定するために他者によって一般的に用いられている非侵襲性技術である尾部カフ血圧計は、動物にはストレスが多く(ラットは、測定の間、拘束装置(restrainer)中に固定されなければならない)、そして大きな変動性を免れない。それゆえ、意識のある動物における血圧測定における固有の変動性、およびSHRラットはストレスの多い刺激に非常に反応性であることが公知であることを考慮して、本発明者らは、(特に、定常ベースライン測定値を確立する際の)尾部カフ技術を用いて行われた測定にはいくらかの不確実さが存在すると考えた。対照的に、血圧を直接的かつ連続的に記録することによって、この変動性を考慮し、そしてより信頼性のある血圧測定を行うことがより容易である。さらに、本発明者らのラットを、実験の数日前にこのシステムに充分に適応させ、そして血圧の直接的な測定を、この動物に何の痛みもストレスも引き起こすことなく行った。それゆえ、意識のある非拘束動物における血圧および心拍数の直接的かつ連続的な記録は、他の非侵襲性技術に対する明確な利点を表す。
【0046】
乳漿タンパク質単離物(BiPROTM)を、Davisco Foods International(Le Sueur,MN,USA)から入手した。Sigma Chemical Co.(St.Louis,USA)からHEPES Sodium塩、Hippuryl−L−Histidyl−L−Leucine、およびAngiotensin Converting Enzyme(ウサギ肺由来)を、購入した。用いた全ての他の製品は分析等級であった。
【0047】
乳漿タンパク質(BiPROTM)を、20%W/Vで溶解して、4NのNaOHおよびKOHの混合物を用いて、pH8.0または8.5に調整し、そして用いた酵素の至適温度に相当する40℃〜50℃の間の温度で維持した。表1は、この研究のための酵素加水分解産物の調製のために用いた酵素の特徴を報告する。BiPROTMの乳漿タンパク質単離物を601、603K、および605Kの調製に利用した。このタンパク質溶液を、プロテアーゼとともに、酵素:基質の比が、601については1:800、603Kについては1:50、そして605Kについては1:100で、インキュベートした。この酵素加水分解を、601については、4.5〜6.5%の加水分解(DH)の程度まで、pHスタット条件下で、そして603Kについては、7.0〜10.0%のDHまでpHスタットおよび浸透圧法の組み合わせ下で、そして605Kについては、13.0〜17.0%のDHまで、実施した。この加水分解反応を、プレート熱交換機における熱処理(75〜85℃、15秒)の方法で、選択したDH値に停止させ、酵素を不活性化し、そして続いて冷却してさらなる処理まで5〜10℃で保存した。得られた加水分解産物をさらに噴霧乾燥して、粉末成分として取り扱った。分子量に基づいて画分をとり、そして選択した最も活性な画分を用いて、相対活性を試験し得る。
【0048】
BiPROTM乳漿タンパク質加水分解から調製した601Kおよび603K生成物についての代表的な分析物を以下に示す。
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】
【表11】
(降圧活性の決定−方法)
全ての外科手順および実験手順は、動物取り扱いガイドライン制度(institutional animal care guideline)に従った。雄性SHRラット(20〜24週齢でかつ300〜350g重量)をCharles River Canadaから購入した。このラットを、ケタミン−キシラジン(それぞれ、100mg/kgおよび10mg/kg)の混合物で麻酔し(必要に応じてi.p.で追加した)、そして左の大腿動脈を介して遠位腹部大動脈にカテーテルを1本埋め込んだ(血圧および心拍数の測定のため)。次いで、このカテーテルは、皮下にトンネルされ、頸の後ろで現れ、そしてラットによってカスタムメイドされた装具に接着された可撓性の防御スプリングを通過させられた。このラットにAmpicillin(150mg/kg)およびAnafen(5mg/kg)のs.c.注射をして、住処のケージに戻した。この外科工程の少なくとも4日後に実験を始めた。
【0052】
実験を通じて、Biopac Data AcquisitionおよびAnalysisシステム(Model MP100、AcqKowledge software バージョン3.1)を用いて、3つの変数(心拍、ならびに位相性および平均の動脈血圧)を記録した。選択した時点で、心拍、位相性動脈血圧、および平均動脈血圧を測定し、加水分解産物またはBiPRO乳漿タンパク質単離物の効果の完全なプロフィールを示した。これは前処理した基準値に関連していた。このラットは意識があり、抑制されておらず、そして実験の間、水および食物に自由に近づけた。
【0053】
(実験プロトコール)
BiPRO乳漿タンパク質単離物、または特定の乳漿タンパク質加水分解産物(601、603K、605K)の経口投与によって誘発された心臓血管系の変化を、意識があり拘束されてないSHRで評価した。このラットを4日続けて用い、この間、それらのラットに、胃内挿管によって、漸増する用量の特定の加水分解産物(601、603K、605K)またはBiPROのうち1つだけを投与した。凍結乾燥した乳漿タンパク質加水分解産物の粉末を、0.2mM PBS(pH7.2)に溶解し(同じビヒクルである0.2mM PBSをコントロール投与に用いた)、そして0.5mlの容量で与えた。全ての溶液は新たに準備した。従って、血圧および心拍数の基準測定直後の典型的な日には、ラットにはビヒクル(1日目にコントロールPBS)、または単離された用量の測定の加水分解産物(2日目、30mg/kg、3日目、75mg/kg、そして4日目150mg/kg)、またはBiPRO乳漿タンパク質単離物(2日目、30mg/kg、3日目、75mg/kg、そして4日目150mg/kg)を投与した。PBS、BiPro乳漿タンパク質単離物、または乳漿タンパク質加水分解産物の単回経口投与の、血圧および心拍への影響を7時間をこえて評価した。
【0054】
(結果)
連続して4日間、いずれかの介入の前に、毎朝測定した心臓血管測定値の安静時の値を図2に示す。理解されるとおり、1日目、2日目、3日目および4日目に測定した基準平均動脈血圧と心拍数との間に有意な差異はない。
【0055】
【表12】
値は、平均±SEMであり、nは、ラットの数である。(グループは、ビヒクル(PBS)、601、603K、605KまたはBiPro乳漿タンパク質単離物の単回経口投与の、意識下、非拘束SHRにおける、血圧および心拍への影響を評価するために用いたグループを示す)。MAP(平均動脈血圧);HR(心拍数);bpm(1分あたりの拍動)。
【0056】
(加水分解産物601に対する心臓血管系の反応)
図1は、意識下、非拘束の高血圧自然発症ラット(SHR)における、0.2mM PBS(n=36)、または加水分解産物601の0.5mlの、30mg/kg(n=9)、75mg/kg(n=8)、または150mg/kg(n=7)の用量の、経口投与後の、心拍数および平均動脈血圧の変化を示す。各ポイントは、垂直線によって示される標準誤差をともなう平均を示す。*P<0.05は、ビヒクル対処理群(ANOVA、その後のフィッシャー試験)。HRは心拍数;bpmは1分あたりの拍動;MAPは、平均動脈血圧である。心拍数の有意な(4時間、6時間および7時間で)低下を誘発した(6時間で最大−77±14bpm)75mg/kg用量を除いて、本発明者らは、30mg/kgおよび150mg/kgの用量で、PBSと加水分解産物601との胃内投与によって起きた心拍数反応の間に、有意な差異を見出さなかった。しかし、本発明者らは、加水分解産物601の異なる用量の胃内投与後には、PBSのコントロール投与に比べて、平均動脈血圧の有意な低下を観察した。
【0057】
従って、本発明者らは、30mg/kgの用量での加水分解産物の投与後6時間で有意な降圧効果(−27±6mmHg)を観察した。本発明者らは、75mg/kgの加水分解産物の用量で、PBSのコントロール投与の効果と比べて、顕著でかつ長期の降圧効果(1〜7時間で有意)を観察した。平均動脈血圧の最大低下(−39±6mmHg)を、投与後6時間で達成した。150mg/kgの加水分解産物の胃内投与後、同様の降圧効果(1および3〜7時間で有意)をまた観察した。平均動脈血圧の最大低下(−32±7mmHg)を、投与後6時間で達成した。
【0058】
(BiPROおよび加水分解産物603K、605Kに対する心臓血管反応) 図2〜4は、0.2mM PBS(n=36)、または加水分解産物603(図2)もしくは605K(図3)、またはBiPRO乳漿タンパク質分解物(図4)の0.5mlの、30mg/kg、75mg/kg、または150mg/kgの用量での、経口投与後の、心拍数および平均動脈血圧の変化を示す。本発明者らは、PBSおよび加水分解産物603K、もしくは605K、またはBiPRO乳漿タンパク質単離物の試験した異なる用量での胃内投与によって起きた心拍数または平均動脈圧の反応の間に、有意な差異を見出さなかった。
【0059】
(結論)
本発明の結果は以下を示す:
意識下、非拘束SHRにおける加水分解産物601の単回経口投与(75mg/kgまたは150mg/kgの用量)は、投与後1〜7時間、平均動脈血圧を有意に低下する。
【0060】
血圧は、投与後24時間で最初のレベルに戻る。
【0061】
逆に、加水分解産物603Kおよび605KならびにコントロールのBiPRO乳漿タンパク質単離物は、(試験した用量のいずれにおいても)本研究におけるSHRラットの平均動脈血圧を変化しなかった。
【0062】
記した加水分解産物601での処置に適切なレジメンは、2〜24時間の間隔で、75〜150mg/kg以上の用量の経口投与を含む。より広範には、この投薬量および間隔は、経時的な処置によって示されるように、50〜500%まで上昇または減少し得る。
【0063】
上記の説明は、本発明を実施する当業者に利用可能であると解釈される。この説明を読み取れば、当業者には明白となる全ての可能性のある改変およびバリエーションを詳細に説明することは意図していない。しかし、このような改変およびバリエーションの全てが、上記の説明にみられ、そしてさもなければ添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内に含まれると解釈される。この特許請求の範囲は、文脈が特に逆を意味しない限り、本発明について意図される目的に合致するのに有効である任意の配列または順序で、示される構成要素および工程を包含することを意味する。
【0064】
図1〜4は、上に詳細に議論する抗高血圧(antihypersion)処置についての実験室試験の結果を要約する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=9のラット)、75mg/kg(n=8)または150mg/kg(n=7)の用量での601の単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。*P<0.05 対ビヒクル処理群、フィッシャーの検定に従う分散分析。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
【図2】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=10のラット)、75mg/kg(n=10)または150mg/kg(n=10)の用量での603Kの単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。*P<0.05 対ビヒクル処理群、フィッシャーの検定に従う分散分析。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
【図3】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=8のラット)、75mg/kg(n=8)または150mg/kg(n=8)の用量での605Kの単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
【図4】
意識のある抑制されていない自発的に高血圧のラット(SHR)における、ビヒクル(0.2mM PBS(pH7.2);O、n=36のラット)または30mg/kg(n=8のラット)、75mg/kg(n=8)または150mg/kg(n=8)の用量でのBiPROの単一経口投与(時間0)によって誘発された、熱速度(A)および平均動脈血圧(B)における変化。各点は、平均を示し、標準誤差は、垂直の線によって示す。HR、熱速度;bpm、1分間あたりの脈拍;MAP、平均動脈血圧。
Claims (35)
- アンギオテンシン変換酵素抑制組成物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
乳漿タンパク質画分およびトリプシンを含むタンパク質分解酵素を含む水溶液を調製する工程;ならびに
哺乳動物において増加したアンギオテンシン変換酵素抑制活性を有する加水分解産物を提供するために該乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下で該溶液を維持する工程、
を包含する、プロセス。 - アンギオテンシン変換酵素抑制組成物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
乳漿タンパク質画分およびタンパク質分解酵素を含む水溶液を調製する工程であって、該乳漿タンパク質画分が97.8%±0.4%から5〜10%以下変化するタンパク質含量を有する、工程;ならびに
哺乳動物において増加したアンギオテンシン変換酵素抑制活性を有する加水分解産物を提供するために該乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下で該溶液を維持する工程、
を包含する、プロセス。 - 前記乳漿タンパク質画分が、イオン交換プロセスによって調製される、請求項1〜2のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、3%未満の灰分含量を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、15〜20meq/kgのカルシウムの鉱物含量を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、1meq/kg未満のマグネシウムの鉱物含量を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、乳漿タンパク質単離物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、少なくとも35%のタンパク質含量を有する、請求項1に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、97.8±0.4%から0〜25%変化するタンパク質含量を有する、請求項1に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、97.8±0.4%から5〜10%変化するタンパク質含量を有する、請求項1に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、97.8±0.4%から5%未満変化するタンパク質含量を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記乳漿タンパク質画分が、97.8±0.4%のタンパク質含量を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記タンパク質分解酵素がトリプシンを含む、請求項2〜14のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記タンパク質分解酵素が、哺乳動物供給源、家禽供給源または魚供給源由来のトリプシンを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記タンパク質分解酵素が、ブタトリプシンを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセス。
- タンパク質分解酵素を不活化する酵素をさらに包含する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記タンパク質分解酵素が、加水分解後の加熱によって不活化される、請求項1〜18のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記溶液から前記加水分解産物を回収する工程をさらに包含する、請求項1〜19のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記加水分解産物を濃縮する工程をさらに包含する、請求項1〜20のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記加水分解産物を乾燥する工程をさらに包含する、請求項1〜21のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記加水分解産物が噴霧乾燥されている、請求項1〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記加水分解産物を凍結乾燥する工程をさらに包含する、請求項1〜21のいずれか1項に記載のプロセス。
- 前記加水分解産物が、3〜20%の程度の加水分解によって特徴付けられる、請求項1〜24のいずれか1項に記載のプロセス。
- ACE抑制組成物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
乳漿タンパク質単離物およびタンパク質分解酵素の水溶液を調製する工程;
哺乳動物において増加したACE抑制活性を有する加水分解産物を提供するために該乳漿タンパク質単離物を部分的に加水分解するのに効果的な条件下で該溶液を維持する工程;および
該溶液から該加水分解産物を回収する工程、
を包含する、プロセス。 - 請求項1〜27のいずれか1項に従って調製されるような加水分解産物。
- アンギオテンシン変換酵素(ACE)を抑制するための哺乳動物の処置のための組成物であって、該組成物が、ACE活性を抑制するのに有効な量で請求項1〜28のいずれか1項に記載の加水分解産物を含み、そして該処置が、ACE活性を抑制するのに有効な間隔で該哺乳動物に該組成物を経口投与する工程を包含する、組成物。
- 高血圧の症状を減少させるための哺乳動物の処置のための組成物であって、該組成物が、高血圧の症状を減少させるのに有効な量で請求項1〜28のいずれか1項に記載の加水分解産物を含み、そして該処置が、高血圧の症状を減少させるのに有効な間隔で該哺乳動物に該組成物を経口投与する工程を包含する、組成物。
- 前記組成物が、75〜150mg/kgの用量で前記加水分解産物を含み、そして2〜24時間の間隔で経口投与される、請求項29〜30のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記組成物が、60〜600mg/kgの用量で前記加水分解産物を含み、そして2〜24時間の間隔で経口投与される、請求項29〜30のいずれか1項に記載の組成物。
- 医学的治療における使用のための、請求項1〜28のいずれか1項に記載されるような加水分解産物。
- 哺乳動物におけるアンギオテンシン変換酵素を抑制するために有用な医薬を調製するための、請求項1〜28のいずれか1項に記載されるような加水分解産物の使用。
- 哺乳動物における高血圧を処置するために有用な医薬を調製するための、請求項1〜28のいずれか1項に記載されるような加水分解産物の使用。
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