JP2004517845A - 免疫調整剤としてのキンマ(piperbetle)の葉の抽出物 - Google Patents

免疫調整剤としてのキンマ(piperbetle)の葉の抽出物 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒト末梢血単核細胞からINF―γを誘導する方法に関する。前記方法は、以下のステップを含む。
キンマ葉の水性抽出物を調製するステップ。
ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)を調製するステップ。
hPBMCをキンマ葉抽出物と18〜48時間インキュベーションするステップ。
サイトカイン特異的RT―PCRのために、または、細胞内サイトカインタンパク質を検出するフローサイトメトリーのためにRNAを抽出するステップ。
RNAを用いてRT―PCRを行い、IFN―γ特異的既知プライマーを使用してPCR産物を得るステップ。
IFN―γ特異的バンドに反映される、IFN―γの増加のステップ。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト末梢血T細胞からINF―γ(インターフェロンγ)産生を誘導するキンマ葉(betelleaf)抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツでは、イラクサ(stingingnettle)の葉の抽出物は、リウマチ性疾患のアジュバント療法として登録されている。全血培養系において、イラクサ抽出物IDS23(商品名:Rheuma―Hek)は、リポポリサッカライドに刺激された単球サイトカイン発現を抑制し、免疫調整効果(IDS23(イラクサ葉抽出物)の、インビトロにおけるTヘルパーサイトカインの発現に対する抗リウマチ効果)を示す。
【0003】
本願出願人は、インビトロにおけるキンマ葉(betelleaf)抽出物の、フィトヘムアグルチニン(PHA)に刺激された末梢血単核細胞(PBMC)に対する影響を調べた。キンマの葉は、強い刺激の芳香性の風味を有し、広く咀嚼剤(masticatory)として使用される。一般に、成長は止まったがまだもろくなっていない、成熟期のまたは成熟期を過ぎたキンマの葉は、咀嚼(chewing)に用いられる。咀嚼目的の基礎的な調製品は、消石灰とカテキューが塗られたキンマの葉と、そこに加えられるビンロウの実を削り落としたもの(scrapingsofarecanut)を含み、お好みで、例えば、ココナッツシェービング(shavings)、クローブ、カルダモン、フェンネル、粉化甘草、ナツメグ、さらにタバコ等のフレーバリング(flavorings)が使用される。ところによっては、調製されたパン(pan)は、銀箔や金箔で覆われる。前記調製品は、咀嚼剤として、多くの特性について効果がある、すなわち、芳香性であり、消化を助け、刺激性であり、駆風を助ける、と考えられる。医薬としては、前記調整品は、カタルや肺疾患において有効であり、湿布としても使用できる。キンマをビンロウの実およびその他の添加剤と咀嚼することによる効果は、唾液腺の興奮(excitation)と口の粘膜の刺激(irritation)である。産生される赤の着色は、ビンロウの実の色素であり、それ自身が消石灰とカテキューにおけるアルカリ作用下にあることを明らかに示す。軽度の刺激が産生されると、心地よい香りを与えるとともに、温かみや安らぎを知覚させることとなる。前記(キンマの)葉の芳香性の評価を決定付ける最も重要な因子は、存在するエッセンシャルオイルの量と、とりわけ、前記エッセンシャルオイルの性質である。異なる地方からのキンマの葉は、匂いの点でも味の点でも異なる。最も刺激があるのは、サーンチー(Sanchi)型であるが、最もまろやかで甘味があるのはマドラス産である。キンマの葉は、エッセンシャルオイルを含み、その含有量は、葉の多様性に応じて、0.7%〜2.6%の範囲で変化する。前記オイルは、フェノールやテルペンを含む。フェノールオイルの割合が高いほど、その品質は向上する。オイゲノールの異性体で、シャビベトール(chavibetol;キンマフェノール;4―allyl―2―hydroxy―1―methoxybenzene)と名づけられたものは、キンマオイルの特徴的な構成成分と考えられる。しかしながら、インド産の試料には、前記シャビベトールが含まれていない。インド型のキンマオイルは、フェノール類を大部分を占める構成成分として含む。キンマオイルは、ジフテリアにおけるうがい薬または吸入による局所適用として、さまざまな呼吸性カタルの治療に使用されてきた。キンマオイルは、駆風特性を有し、哺乳類の中枢神経系にさまざまな作用を及ぼす。致死量のキンマオイルは、深い昏睡を引き起こし、数時間内に死に至らしめる。前記キンマの葉のエッセンシャルオイルや抽出物は、いくつかのグラム陽性およびグラム陰性バクテリアに対して活性を有する。前記バクテリアとしては、例えば、ミクロコッカスピオジェネスバーアルバス(Micrococcuspyogenesvar.albus)、ミクロコッカスピオジェネスバーアウレウス(Micrococcuspyogenesvar.aureu)、バシルスサブチリス(Bacillussubtilis)、バシルスメガテリウム(B.megaterium)、デプロコッカスニューモニア(Diplococcuspneumoniae)、ストレプトコッカスピオジェネス(Streptococcuspyogenes)、エセリシアコリ(Escherichiacoli)、サルモネラチホーザ(Salmonellatyphosa)、ビブリオコーマ(Vibriocomma)、シゲラデセントリア(Shigelladysenteriae)、プロテウスブルガリス(Proteusvulgaris)、シュードモナスソラナサエラム(Pseudomonassolanacaerum)、サルシナルーテ(Sarcinalutea)、エルウィニアカロトボーラ(Erwiniacarotovora)等があげられる。前記オイルは、原虫パラマエシウムサウダタム(Paramaeciumcaudatum)に対して約5分で致死となることが知られている(WealthofIndia,Vol.8pp.84―94)。前記オイルは、コレラ菌(Vibriocholerae)、サルモネラチホサム(Salmonellatyphosum)、シゲラフレクスネリ(Shigellaflexneri)、エセリシアコリ(Escherichiacoli)の生育を阻害する。前記キンマの葉の蒸気蒸留は、結核菌(Mycobacteriumtuberculosis)に対して活性を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主要な目的は、ヒト末梢血単核細胞からインターフェロンγ(IFNγ)を誘導する方法を提供することである。
【0005】
本発明のその他の目的は、キンマの葉(betelleaf)の抽出物を、ヒト末梢血T細胞からIFNγ産生を誘導するために使用することに関する。
【0006】
本発明のその他の目的は、Th型の免疫調整剤として有用なキンマ葉抽出物を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、ヒト末梢血単核細胞からIFNγを誘導する方法を提供する。本発明は、また、ヒト末梢血T細胞からIFNγ産生を誘導するための、キンマの葉(betelleaf)の抽出物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
したがって、本発明は、ヒト末梢血単核細胞からINFγを誘導する方法であって、前記方法が、キンマ葉の水抽出物を調製し、ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)を調製し、前記hPBMCを前記キンマ葉抽出物とともに18〜48時間インキュベートし、サイトカインに特異的なRT―PCR用または細胞内サイトカインタンパク質を検出するためのフローサイトメトリー用のRNAを抽出し、既知のIFNγ特異的プライマーを使用して前記RNAのRT―PCRを行いPCR産物を得て、IFNγ特異的バンドに反映されるようにIFNγを増量することを含む方法である。
【0009】
もう一方の、ヒト末梢血単核細胞から産生されるIFNγを誘導する方法は、前記インキュベートした細胞を、細胞内IFNγ染色に供し、フローサイトメーターで染色された細胞を解析し、IFNγ陽性細胞を少なくとも7倍増加することを含む方法である。
【0010】
キンマ葉抽出物をTh型の免疫調整剤として使用する方法は、下記(a)および(b)を含む。
(a)被検者に、少なくとも、5〜10mg/ml/kg体重のキンマ葉抽出物を投与すること。
(b)前記抽出物を、経口または筋肉内経路で、一日一回、少なくとも一ヶ月間投与すること。
【0011】
本発明の一実施態様として、本発明は、Th型の免疫調整剤として有用な医薬組成物を提供し、前記組成物は、添加剤とともに、もしくは、添加剤と結合させて、有効量の水性または凍結乾燥したキンマ葉抽出物を含む。
【0012】
本発明のその他の実施態様として、前記添加剤は、キンマ葉抽出物の活性を妨げないように選択される。
【0013】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記添加剤は、例えば、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン由来ゼラチンペースト等の栄養素、および/または、薬学上許容される担体、賦形剤、希釈剤もしくは溶剤から選択される。
【0014】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記水溶性抽出物、凍結乾燥産物または前記組成物は、経口または筋肉内注射で投与される。
【0015】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記経口経路は、カプセル、シロップ、濃縮物、パウダーまたは顆粒の剤形をとる。
【0016】
本発明のさらにその他の実施態様として、キンマ葉抽出物の前記添加剤に対する割合は、10―1:1―10の範囲である。
【0017】
本発明のさらにその他の実施態様として、キンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物は、5〜10mg/kg体重の投与量レベルで、少なくとも一日一回、一ヶ月間投与される。
【0018】
本発明は、さらなる実施態様として、Th型の免疫調整を付与するため被検者を処置する方法であって、薬学上有効量のキンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物を、前記被検者に投与することを含む方法である。
【0019】
本発明のさらにその他の実施態様として、添加剤は、凍結乾燥キンマ葉抽出物の活性を妨げないように選択される。
【0020】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記添加剤は、例えば、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン由来ゼラチンペースト等の栄養素、および/または、薬学上許容される担体、賦形剤、希釈剤もしくは溶剤から選択される。
【0021】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記水溶性抽出物、凍結乾燥産物または前記組成物は、経口または筋肉内注射で投与される。
【0022】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記経口経路は、カプセル、シロップ、濃縮物、パウダーまたは顆粒の剤形をとる。
【0023】
本発明のさらにその他の実施態様として、キンマ葉抽出物の前記添加剤に対する割合は、10―1:1―10の範囲である。
【0024】
本発明のさらにその他の実施態様として、キンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物は、5〜10mg/kg体重の投与量レベルで、少なくとも一日一回、一ヶ月間投与される。
【0025】
本発明は、さらなる実施態様として、適切な担体/添加剤と共同したキンマ葉抽出物を、Th型免疫調整剤として利用する。
【0026】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記添加剤は、凍結乾燥キンマ葉抽出物の活性を妨げないように選択される。
【0027】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記添加剤は、例えば、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン由来ゼラチンペースト等の栄養素、および/または、薬学上許容される担体、賦形剤、希釈剤もしくは溶剤から選択される。
【0028】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記水溶性抽出物、凍結乾燥産物または前記組成物は、経口または筋肉内注射で投与される。
【0029】
本発明のさらにその他の実施態様として、前記経口経路は、カプセル、シロップ、濃縮物、パウダーまたは顆粒の剤形をとる。
【0030】
本発明のさらにその他の実施態様として、キンマ葉抽出物の前記添加剤に対する割合は、10―1:1―10の範囲である。
【0031】
本発明のさらにその他の実施態様として、キンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物は、5〜10mg/kg体重の投与量レベルで、少なくとも一日一回、一ヶ月間投与される。
【0032】
本発明は、さらなる実施態様として、キンマ葉抽出物の調製に関し、下記(1)〜(3)のステップを含む。
(1)新鮮なキンマの葉を洗浄し、混合ブレンダーでホモジェナイズするステップ。
(2)超音波槽内で、それぞれ15分間の2〜3バーストにより、超音波破砕を行い、その抽出物をフィルターに通し、必要に応じて、少なくとも一回以上、抽出を繰り返し、そして、乾燥するステップ。
(3)前記抽出物を、凍結乾燥し、半固体の塊を得るステップ。
【0033】
本発明のさらなる実施態様として、前記凍結乾燥抽出物は、従来公知の方法により、前記含水抽出物をフリーズドライすることで得られる。
【0034】
その他の実施態様として、前記水性抽出物は、以下の型のキンマ葉(Piperbetel)から調製される。すなわち、野生型、クライマー(Climber)型、バングラ(Bangla)型、およびスイート(Sweet)型である。
【0035】
以下、実施例により、さらに、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例1】
【0036】
キンマ(Piperbetle)の新鮮な葉34.14gを、滅菌水で十分に洗浄し、混合ブレンダーを用いて、100mlのガラス蒸留水とともにホモジェナイズし、そして、超音波槽内で、それぞれ15分間のバーストを3バーストして、超音波破砕した。その抽出物をフィルター(商品名:ワットマンNo.1フィルター紙)でろ過し、そのろ液を回収した。この抽出の工程を3回繰り返した。それらをまとめた抽出物を、凍結乾燥し、重量1.17gの半固体塊を得た。これは、次に、生物活性テストに使用した。
【実施例2】
【0037】
キンマ(Piperbetle)の新鮮な葉21.68gを、混合ブレンダーを用いて、60mlの蒸留水とともにホモジェナイズし、そして、超音波槽内で、それぞれ15分間のバーストを2バーストして、超音波破砕した。抽出は、オーバーナイトまたは16時間行い、フィルター(商品名:ワットマンNo.1フィルター紙)でろ過するこどで、水中に抽出された物質を分離した。この抽出処理方法は、3回繰り返した。それらをまとめた抽出物を、瞬間蒸発器を用いて、減圧下45℃の条件で乾燥し、その残存物質を、高真空下のデシケーター内でさらに乾燥し、重量0.59gの半固体塊を得た。これは、次に、生物活性テストに使用した。
【0038】
(物質の特性)
実施例1および2で得られた生物学的に活性な物質は、以下の(1)〜(3)の特性を有する。
(1)上述のようにしてえら得た乾燥半固体は、黒ずんだ色の物質であり、水およびジメチルスルフォキシドに可溶であった。
(2)前記活性物質の薄層クロマトグラフィーは、n―ブタノール、酢酸、水が、それぞれ、9:5:7の割合である溶媒系において、Rが、0.75、0.64、0.50、0.40、および0.33である5つのスポットを示す。
(3)前記活性物質を、IntersilODS―3(4.6x250mm)分析カラムを使用したHPLCで解析したところ、メタノールと水の割合が、4:1である溶媒系、流速1.0ml/分、検出が217nmという条件下において、11のピークが観測された。そのリテンション時間は、2.69、4.27、5.95、6.97、7.49、9.39、11.20、12.40、15.53、18.90、および21.49分である。
【実施例3】
【0039】
1.ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の調製
へパリン添加全血(正常個体より採取)を、フィコールハイパック(FicollHypaque)濃度勾配遠心分離にかけ、境界面の細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、10%のウシ胎児血清(FBS)を補給したRPMI―1640培地にリサスペンドした。
【0040】
2.ヒトPBMCとキンマ葉抽出物とのインキュベーション
最終濃度12.5mg/mlのキンマ葉抽出物が存在するまたは存在しない24ウェルプレート中で、5μg/mlのフィトヘムアグルチニン(PHA)を含むトータル2mlのRPMI+10%FBS培地を使用して、5.0×10細胞のPBMCを、37℃、5%CO下で一晩(18時間)培養した。インキュベーション時間の最後に、PBMCをPBSで2回洗浄し、サイトカイン特異的RT―PCRに使用するトータルRNAの抽出、または、単一細胞レベルの細胞内サイトカインを測定するためのフローサイトメトリーに使用した。
【0041】
3.RNA調製とRT―PCR
培養したPBMC由来のトータル細胞RNAを、商品名Trizol(GibcoBRL社製)により抽出した。5×10の細胞を上述のように18時間培養し、回収し、1mlTrizolにリサスペンドした。cDNAの合成とPCRは、2μgのRNAと10μMの各プライマーを使用して、トータル容量25μlの登録商標OnestepRT―PCRsystem(GibcoBRL社製)を用いて、一本のチューブで行った。ヒトIFNγおよびヒトIL―4のプライマー配列は、以下のとおりである。
IFNγセンス :5´TCTGCATCGTTTTGGGTTCT3´ (配列番号1)
IFNγアンチセンス:5´CAGCTTTTCGAAGTCATCTC3´ (配列番号2)
IL−4センス :5´CCTCTGTTCTTCCTGCTAGC3´ (配列番号3)
IL−4アンチセンス:5´CCGTTTCAGGAATCGGATCA3´ (配列番号4)
増幅とcDNA合成は、製造業者のプロトコールに記載のとおり行った。PCR産物は、エチヂウムブロマイドを含む1.2%アガロースゲルを使用して、電気泳動を行い、紫外線照射装置下で写真を撮影した。分子量マーカー(123bpラダー:GibcoBRL社製)は、全てのゲルのに含ませた(J.Rheumatol.1999:26:2517―2522)。
【0042】
4.フローサイトメトリー
細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで10分処理して透過性を付与し、続けて、0.1%サポニンとともに10分間インキュベーションした。その後、細胞を、洗浄バッファー(1%アルブミン、0.1%サポニン、および0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS)で洗浄し、その透過性が向上した細胞に対し、FITCもしくはPE標識のコントロールモノクローナル抗体(mAb)、FITC標識抗ヒトIFNγ抗体、またはPE標識抗ヒトIL―4抗体を用いて、暗闇、室温で、20分間処理した。細胞は、その後、洗浄バッファーで一度、そしてPBSで一度洗浄し、1%パラホルムアルデヒドを含むPBSにリサスペンドして、フローサイトメトリー解析を行った。
【0043】
(結果:キンマ葉抽出物のThサイトカイン発現への影響)
RT―PCRで測定された結果を図1に示す。図1に示すように、キンマ葉抽出物が、正常ヒト個体の末梢血単核細胞において、IFNγのmRNA発現を増加するが、IL―4のmRNA発現には影響を及ぼさないことは、明らかである。いいかえると、図1に示される出願人のデータは、キンマ葉抽出物が、IFNγ特異的mRNAの合成を著しく増加させ、IL―4mRNA合成には、ほとんど影響を及ぼさないことを示す。
【0044】
PBMCによるIFNγ合成は、図2に示すフローサイトメトリーのドットプロットからも明らかなように、タンパク質レベルでも検出可能である。PBMCをPHAとインキュベーションした場合、IFNγ陽性のPBMCは、たった0.9%であった(図2A)。それに対して、PBMCをPHAおよびキンマ葉抽出物とインキュベートした場合、7.1%のPBMCが、細胞内IFNγを示した(図2B)。対照的に、IL―4産生細胞のパーセントは、PBMCをキンマ葉抽出物とインキュベートしても、認め得るほどの変化はなかった(図2CおよびD)。
【0045】
(考察)
T細胞は、そのサイトカインのパターンによって、Th表現型とTh表現型とに、さらに細かく分類され、細胞媒介性および体液性免疫応答を制御する(Mossmann,T.R.,Coffman,RL.「ThとTh細胞:異なるパターンのリンホカイン分泌が、異なる機能特性を導く(ThandTh:differentpatternsoflymphokinesecretionsleaddifferentfunctionalproperties.)」AnnualRev.Immunol.1989,7;145―73)。炎症性免疫応答は、本質的には、Th細胞集団が、IL2およびIFN―γの産生を通して、細胞性免疫を向上させることに媒介される(TrinchieriG.「Th細胞の発生におけるインターロイキン―12およびその役割(Interlenkin―12anditsroleingenerationofThcells)」ImmunolToday1993;14:335―8;Germann,T.,Szeliga,J.,Hess,H.etal.「DBA/1マウスにインターロイキン―12をII型コラーゲンと組合せて投与すると重篤な関節炎を誘導する(Administrationofinterlenkin―12incombinationwithtype―IIcollageninducesseverearthritisinDBA/1mice)」ProcNatlAcadSci.USA1995;92:4823―7)。
【0046】
したがって、我々の結果は、キンマ葉抽出物が、Th型応答を向上させ、細胞性免疫を向上させることを示唆する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、キンマ葉抽出物が、正常個体の末梢血単核細胞(PBMC)において発現するIFN―γmRNAを増加させることを示すRT―PCRの結果の一例を示す。
【図2】図2は、キンマ葉抽出物が、正常個体のPBMCにおけるIFN―γ発現をタンパク質レベルで増加させることを示すフローサイトメトリー測定の結果の一例を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0048】
配列番号1 RT―PCR用プライマー INF―γ センス
配列番号2 RT―PCR用プライマー INF―γ アンチセンス
配列番号3 RT―PCR用プライマー IL―4 センス
配列番号4 RT―PCR用プライマー IL―4 アンチセンス

Claims (28)

  1. ヒト末梢血単核細胞からIFNγを誘導する方法であって、下記(a)から(f)のステップを含む方法。
    (a)キンマ葉(betelleaf)を調製するステップ。
    (b)ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)を調製するステップ。
    (c)hPBMCをキンマ葉抽出物と18〜48時間インキュベーションするステップ。
    (d)サイトカイン特異的RT―PCRのため、または、細胞内サイトカインタンパク質を検出するフローサイトメトリーのため、RNAを抽出するステップ。
    (e)RNAを使用してRT―PCRを行い、IFNγ特異的既知プライマーを使用してPCR産物を得るステップ。
    (f)IFNγ特異的バンドに反映される、IFNγの増加のステップ。
  2. ヒト末梢血単核細胞からIFNγを誘導する方法であって、さらに、下記(a)から(c)の代替ステップを含む方法。
    (a)IFNγの細胞内染色のために細胞をインキュベートするステップ。
    (b)フローサイトメーターで、染色した細胞を解析するステップ。
    (c)IFNγ陽性細胞の少なくとも7倍の増加のステップ。
  3. 下記(a)から(c)を含むキンマ葉抽出物をTh型免疫調整剤として使用する方法。
    (a)被検者に、少なくとも、5〜10mg/ml/kg体重のキンマ葉抽出物のジュースを投与すること。
    (b)抽出物を、少なくとも一日一回、少なくとも一ヶ月間投与すること。
    (c)前記抽出物を、経口または筋肉内経路で投与すること。
  4. Th型免疫調整剤として有用な医薬組成物であって、添加剤とともに、もしくは、添加剤と結合して、有効量のキンマ葉水性抽出物または凍結乾燥キンマ葉抽出物を含む組成物。
  5. 前記凍結乾燥抽出物が、従来の方法で、前記水性抽出物をフリーズドライして得られる請求項4に記載の組成物。
  6. 前記添加剤が、キンマ葉抽出物の活性を妨げないように選択される請求項4に記載の組成物。
  7. 前記添加剤が、例えば、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン由来ゼラチンペースト等の栄養素、および/または、薬学上許容される担体、賦形剤、希釈剤もしくは溶剤から選択される請求項4に記載の組成物。
  8. 前記水溶性抽出物、凍結乾燥産物または前記組成物が、経口または筋肉内注射で投与される請求項4に記載の組成物。
  9. 経口経路が、カプセル、シロップ、濃縮物、パウダーまたは顆粒の剤形をとる請求項4に記載の組成物。
  10. キンマ葉抽出物の前記添加剤に対する割合が、10―1:1―10の範囲である請求項4に記載の組成物。
  11. キンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物が、5〜10mg/kg体重の投与量レベルで、少なくとも一日一回、一ヶ月間投与される請求項4に記載の組成物。
  12. 前記凍結乾燥キンマ葉抽出物が、下記(i)〜(iii)の特性を有する請求項4に記載の組成物。
    (i)乾燥試料が、黒ずんだ色の物質であり、水およびジメチルスルフォキシドに可溶である。
    (ii)前記活性物質の薄層クロマトグラフィーが、n―ブタノール、酢酸、水が、それぞれ、9:5:7の割合である溶媒系において、Rが、0.75、0.64、0.50、0.40、および0.33である5つのスポットを示す。
    (iii)IntersilODS―3(4.6x250mm)分析カラムを使用したHPLCで、前記活性物質を解析すると、メタノールと水の割合が、4:1である溶媒系、流速1.0ml/分、検出が217nmという条件下において、リテンション時間が、2.69、4.27、5.95、6.97、7.49、9.39、11.20、12.40、15.53、18.90、および21.49分である11のピークが観測される。
  13. キンマ葉抽出物もしくはその凍結乾燥抽出物、または有効量のキンマ葉抽出物を含む組成物の、ヒト末梢血単核細胞からIFNγを誘導するための、または、Th型免疫調整剤としての使用。
  14. 前記組成物が、薬学上許容される添加剤と結合した、または組み合さったキンマ葉抽出物を含む請求項13に記載の使用。
  15. 前記添加剤が、凍結乾燥キンマ葉抽出物の活性を妨げないように選択される請求項13に記載の使用。
  16. 前記添加剤が、例えば、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン由来ゼラチンペースト等の栄養素、および/または、薬学上許容される担体、賦形剤、希釈剤もしくは溶剤から選択される請求項13に記載の使用。
  17. 前記水溶性抽出物、凍結乾燥産物または前記組成物が、経口または筋肉内注射で投与される請求項13に記載の使用。
  18. 経口経路が、カプセル、シロップ、濃縮物、パウダーまたは顆粒の剤形をとる請求項13に記載の使用。
  19. キンマ葉抽出物の前記添加剤に対する割合が、10―1:1―10の範囲である請求項13に記載の使用。
  20. 前記キンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物が、5〜10mg/kg体重の投与量レベルで、少なくとも一日一回、一ヶ月間投与される請求項13に記載の使用。
  21. Th型の免疫調整を付与するための被検者の処置方法であって、薬学上有効量のキンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物を、前記被検者に投与することを含む方法。
  22. 前記組成物が、薬学上許容される添加剤と結合した、または組み合さったキンマ葉抽出物を含む請求項21に記載の方法。
  23. 前記添加剤が、凍結乾燥キンマ葉抽出物の活性を妨げないように選択される請求項21に記載の方法。
  24. 前記添加剤が、例えば、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸カルシウム、デンプン由来ゼラチンペースト等の栄養素、および/または、薬学上許容される担体、賦形剤、希釈剤もしくは溶剤から選択される請求項21に記載の方法。
  25. 前記水溶性抽出物、凍結乾燥産物または前記組成物が、経口または筋肉内注射で投与される請求項21に記載の方法。
  26. 前記経口経路が、カプセル、シロップ、濃縮物、パウダーまたは顆粒の剤形をとる請求項21に記載の方法。
  27. キンマ葉抽出物の前記添加剤に対する割合が、10―1:1―10の範囲である請求項21に記載の方法。
  28. 前記キンマ葉抽出物、凍結乾燥抽出物、または前記キンマ葉抽出物を含む組成物が、5〜10mg/kg体重の投与量レベルで、少なくとも一日一回、一ヶ月間投与される請求項21に記載の方法。
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