JP2004517120A - 高沸点電解質溶媒 - Google Patents
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Abstract
新規なカーボネート化合物および新規なカーバメート化合物は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、およびそれらの組合せからなる群から選択される基のみに直接結合する少なくとも1種のカーボネートまたはカーバメート部分を含み、該基が1種以上のカテナリーヘテロ原子を任意に含有する。該直接結合基の少なくとも1種は少なくとも1種のスルホニル部分を含む。この化合物は電気化学デバイスに使用される電解質塩用の溶媒として有用である。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は電気化学デバイスに使用される電解質塩用の溶媒として有用な化合物に関し、さらに、そのような化合物の少なくとも1種とそのような塩の少なくとも1種を含む電解質組成物に関する。他の様態において、本発明は電解質組成物を含む電気化学デバイス、および電気化学デバイスを含む物品にも関する。
【0002】
発明の背景
電子デバイスの急速な開発によって、燃料電池、コンデンサー、エレクトロクロミックウィンドウ、電池システムなどの電気化学デバイスに対する市場需要が高まってきた。特に電池システムに対する需要に応じて、実用的で再充電可能なリチウム電池の研究が積極的になされてきた。典型的に、このようなシステムは陰極(アノード)としてのリチウム金属、リチウム化炭素、またはリチウム合金を基盤としている。
【0003】
リチウム電池は、1種以上のリチウム電気化学電池から製造される。このような電池は、電気的および空間的に分離した陽および陰極の間に介在するリチウムイオン導電性非水電解質組成物からなっていた。典型的に、電解質組成物は、リチウム電解質塩の非水非プロトン性有機電解質溶媒(多くの場合、溶媒混合物)溶液である。
【0004】
再充電可能なリチウム電池用の電解質溶媒の選択は、最適な電池性能にとってきわめて重要であり、さまざまな要因を関与している。しかし、長期安定性長期安定性、イオン伝導率、安全性、湿潤性が、高容量市販用には最も重要な選択要因となる傾向にある。
【0005】
長期安定性には、電解質溶媒は電池の使用温度および電圧の範囲にわたって本質的に安定であること、電極材料に対して不活性であるか、または良好なイオン伝導率の保護フィルムを効果的に生成することが必要である。イオン伝導率には、効果的にリチウム電解質塩を溶解しリチウムイオンの移動を易容化する電解質溶媒が必要である。安全性の視点から、低揮発性、低引火性、低可燃性、低毒性という特徴すべてが非常に望ましい。電池の電極とセパレータが電解質溶媒によって急速にかつ完全に湿潤して、迅速な電池製造を容易にし、電池性能を最適化することも望ましい。
【0006】
非プロトン性液体有機化合物が、最も一般的に使用されるリチウム電池用電解質溶媒であった。典型的に、エーテルまたは炭酸エステル(カーボネート)などの化合物は約4.4V未満対Li+/Liで使用する陽極の酸化的安定性、リチウム含有陰極に対する低反応性、およびリチウムイオンとの熱力学的に良好な相互作用(電解質組成物において電解質塩のアニオンとリチウムカチオンの高解離度によって明らかである)という望ましい特性を共有しているので、多用されてきた。
【0007】
リチウム電池に使用するために最も一般的に使用される非プロトン性有機電解質溶媒には、環状エステル(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン)、直鎖状エステル、環状エーテル(例えば、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン)、直鎖状エーテル(例えば、1,2−ジメトキシエタン)、アミド、スルホキシドなどがある。混合溶媒は電解質組成物の特性(伝導性、粘性等)およびリチウムに対する反応性を「調整」できることが多く最適の性能を与えることができるので、好ましいこともある。
【0008】
カルボン酸エステル、スルホキシド、スルホン、スルホンアミドなどの伝統的でない溶媒は、さまざまな成功によって電解質溶媒として使用されてきた。スルホンは、典型的に室温では固体である。しかし、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、エチルメチルスルホンなどのスルホンは、電解質溶媒として使用されてきた。ジメチルスルホンも利用されてきたが、融点が107℃の融点なので、その利用は高温(すなわち、電解質組成物が液状で保たれる温度を超える温度)で使用される電池に制限されてきた。
【0009】
従来リチウム電池電解質溶媒の使用に関して不都合な点は、一般的に低沸点および高引火性または可燃性に関連している。溶媒には、環状カーボネートのエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのように200℃を超える沸点を有するものもある。しかし、電解質溶媒は実質的にそれよりも低い沸点と、100°F未満の引火点を有するものが多い。そのような揮発性溶媒は、例えばショートによって急速に放電した完全または部分充電電池の突発故障の間に発火することがある。さらに、揮発性溶媒は、電解質組成物を調製および貯蔵する際、および製造過程で電池に組成物を添加する際、困難である。従来電解質溶媒に共通の別の問題は、多くの場合、界面エネルギーが高すぎて電池成分を自然に湿潤させることができないことである。
【0010】
従って、当技術分野では、揮発性、引火性、可燃性を(従来溶媒に比較して)低下させかつ効果的に電解質塩を溶解して、電気化学デバイス構成要素を十分に湿潤させ使用温度範囲にわたって十分なイオン伝導率を発揮する安定な電解質組成物を生成する電解質溶媒が必要とされている。
【0011】
発明の概要
簡単に言えば、一様態において、本発明は電解質電気化学デバイスに使用される電解質塩用の溶媒として有用な新規なカーボネート化合物および新規なカーバメート化合物を提供する。この化合物は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、およびそれらの組合せ(例えば、シクロアルキル置換アルキル基)からなる群から選択される基のみに直接結合する少なくとも1種のカーボネートまたはカーバメート部分を含み、該基は1種以上のカテナリーヘテロ原子を任意に含有する。(本明細書で使用されるように、「カテナリーヘテロ原子」という用語は、ヘテロ原子が基の少なくとも2個の炭素原子に結合するように基の1個以上の炭素原子を置換するヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を意味する。)少なくとも1個の直接結合基は少なくとも1種のスルホニル部分を含む。
【0012】
好ましくは、化合物はスルホニル含有ジアルキルカーボネート化合物である。より好ましくは、化合物はそれぞれ約6個以下(最も好ましくは、約4個以下)の炭素原子を有する低級アルキル基を含むスルホニル含有ジアルキルカーボネート化合物である。
【0013】
上記新規な化合物は驚いたことに高沸点で低揮発性であり、従って一般的に従来電解質溶媒より引火性と可燃性が低いことがわかった。さらに、化合物はとても効果的に電解質塩を溶解し、電気化学デバイス構成要素(例えばセパレータ)を十分に湿潤し、使用温度範囲(特定用途に対する所要電力によって、例えば、約20℃〜約80℃、またはそれよりはるかに高温)にわたって電気化学デバイスに使用するために十分なイオン伝導率を発揮する電解質組成物を提供する。また化合物(および化合物を含む電解質組成物)は、従来物質よりも低揮発性、低引火性、低可燃性により貯蔵と操作上において困難性が少ない。
【0014】
化合物は、特に高温電池(例えば、約60℃を超える温度で機能するように設計された電池)での使用に好適である。このような電池では、化合物を含む電解質組成物は、十分な伝導率を発揮し、かつ突発的電池故障の間に発火する可能性が従来電解質組成物よりも少ない。
【0015】
従って、本発明の新規な化合物は、揮発性、引火性、可燃性を(従来溶媒に比較して)低下させかつ効果的に電解質塩を溶解して、電気化学デバイス構成要素を十分に湿潤させ使用温度範囲にわたって十分なイオン伝導率を発揮する安定な電解質組成物を生成する電解質溶媒に対する当技術分野のニーズに応じている。
【0016】
他の様態において、本発明は、(a)少なくとも1種の本発明の化合物、および(b)少なくとも1種の電解質塩を含む電解質組成物;電解質組成物を含む電気化学デバイス;および電気化学デバイスを含む物品も提供する。
【0017】
発明の詳細な説明
電解質溶媒
本発明の新規な化合物は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、またはシクロアルケニル基、またはそれらの組合せ(例えば、シクロアルキル含有アルキル基、シクロアルキル含有アルケニル基、シクロアルケニル含有アルキル基、シクロアルケニル含有アルケニル基で、環状部分はアルキルまたはアルケニル基内の場所によって1価か2価である)のみに直接結合している少なくとも1種の(好ましくは、1種だけの)カーボネートまたはカーバメート部分(好ましくは、カーボネート)を含む。(従って、カーボネートまたはカーバメート部分はアリール基またはアリール含有基以外の基のみに直接結合している。)好ましくは、カーボネートまたはカーバメート部分はアルキル基だけに結合している。直接結合基の少なくとも1種(好ましくは、1種だけ)は少なくとも1種のスルホニル部分(好ましくは、1種だけのそのような部分)を含む。直接結合基は1種以上のカテナリーヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄原子)を任意に含有してもよいが、好ましい化合物はスルホニル部分の硫黄原子以外にカテナリーヘテロ原子を含有しない。好ましくは、直接結合基それぞれが約6個以下の炭素原子(より好ましくは、約4個以下)を有し、その結果化合物中の炭素原子数に対する酸素原子数の割合は、約0.4〜約1(より好ましくは約0.66〜約1、最も好ましくは約0.83〜約1)の範囲にある。
【0018】
本発明の新規な化合物の好ましい種類は下記の一般式(I):
H(CH2)mSO2(CH2)nQ(R)p (I)
[式中、Qはカーボネート部分−O−C(O)−O−、またはカーバメート部分−O−C(O)−N−(好ましくは、カーボネート部分)であり;各Rは独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、およびそれらの組合せ(好ましくは、アルキル基)からなる群から選択される基であり、該基は1種以上のカテナリーヘテロ原子を任意に含有し;mは1〜約4の整数であり;nは1〜約4の整数であり;Qがカーボネート部分のときpは整数1で、Qがカーバメート部分のとき整数2である。好ましくは、Rはカテナリーヘテロ原子を含有せず、Rは約6個以下の炭素原子(より好ましくは、約4個以下の炭素原子)を有し、mとnの合計は約6以下(より好ましくは、約4以下)である]によって表すことができるものである。
【0019】
本発明の化合物の代表例には、
【化2】
【化3】
などがある。
【0020】
好ましい化合物には、
【化4】
などがある。
【0021】
より好ましい化合物には、
【化5】
などがある。
【0022】
本発明の化合物は、(a)少なくとも1種のスルホニル部分を含むアルコール、および(b)アルコールと反応して縮合反応(例えば、鉱酸の脱離反応)を経由してカーボネート(炭酸エステル)またはカーバメート(カルバミン酸エステル)を生成するアルコール反応性化合物(例えば、炭酸ハロゲン化物またはカルバミン酸ハロゲン化物)を(好ましくは、塩基または水素イオン受容体の存在下、および任意で有機溶媒中で)結合させることによって調製することができる。この種の反応は有機化学においては公知であり、例えば、Jerry MarchによりAdvanced Organic Chemistry、4版、392頁、John Wiley&Sons、New York(1992)に記載されている。
【0023】
好ましくは、塩基または水素イオン受容体(より好ましくは、アミンなどの有機塩基)を縮合反応中に生成される鉱酸を中和するために用いる。有用な有機塩基の例として、ヘテロ環状芳香族アミン(例えば、ピリジン)およびアルキルアミン(例えば、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン)などがある。当業者はそのような縮合反応に有用な有機塩基の種類と制限を理解できよう。
【0024】
本発明の化合物を調製するために使用可能なアルコールには、少なくとも1種のスルホニル部分を含み妨害官能基を含まない1級、2級、3級アルコール(好ましくは1級または2級;より好ましくは1級)(例えば、アルコール反応性化合物と反応することによってアルコールの反応を妨害する1級アミン、チオール、カルボン酸基;またはアルコール自身のヒドロキシル基と反応できるイソシアネート、カルボン酸、ハロゲン化アシル、エステル基などの基)などがある。
好適なアルコールの代表例には:
【化6】
など、およびそれらの混合物がある。
【0025】
アルコール反応性化合物として使用に好適な化合物は、縮合反応でアルコールのヒドロキシル基と反応し、小分子(例えば、塩化水素酸などの鉱酸)の脱離によりカーボネートまたはカーバメートを生成するヒドロキシル反応性官能基(例えば、酸ハライド基)を含む。化合物と2種以上のそのようなヒドロキシル反応性官能基との反応生成物が本発明の範囲内であることは理解されているが、化合物が1種のそのようなヒドロキシル反応性官能基を有することが好ましい。アルコール反応性化合物は、ヒドロキシル反応性官能基と反応可能な他の官能基(例えば、アルコール、アミン、チオール、またはカルボン酸基など)を含まない。
【0026】
好適なアルコール反応性化合物には、蟻酸誘導体(例えば、エチルクロロホルメート、メチルクロロホルメートなどのアルキルハロホルメート;アルケニルハロホルメート;シクロアルキルハロホルメート;シクロアルケニルハロホルメート)、およびそのような蟻酸誘導体と等電子の窒素含有化合物(例えば、ジメチルクロロカーバメートなどのアルキルハロカーバメート;アルケニルハロカーバメート;シクロアルキルハロカーバメート;シクロアルケニルハロカーバメート)などがある。好適なアルコール反応性化合物の代表例には:
【化7】
【0027】
必要に応じて、1種以上のスルホニル部分を含有するアルコール反応性化合物を利用することができる。例えば、スルホニル含有アルコールはホスゲンと反応してスルホニル含有クロロホルメートを生成し、続いてスルホニル含有クロロホルメートとアルコールとの反応が行われる。この2段階方法は両段階で同一のアルコールを使用するか、または異なる2つのアルコールを使用して行うことができる。この方法は、例えば以下に示すように:
【化8】
少なくとも2種のスルホニル部分を含む対称カーボネート化合物の調製方法として好ましい。
【0028】
2つの反応剤(アルコールとアルコール反応性化合物)は反応容器にどんな順序で添加してもよい。縮合反応は密閉または非密閉の反応容器が利用されるかどうかによって、どんな温度範囲で行ってもよい。しかし、一般的に沸点が低いほうの反応剤の沸点より低い温度(例えば、約−10℃〜約50℃の温度;より好ましくは、約0℃〜約25℃)で開放容器内で反応を行うのが好ましい。
【0029】
必要に応じて、反応は比較的極性有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、グライム、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等、およびそれらの混合物などの溶媒)中で行うことができる。好ましくは、有機溶媒は使用されないが、反応は過剰の塩基存在下で行われる。所望の生成物は結果として得られる反応混合物を水(または、塩基が利用されていたなら鉱酸水溶液)に添加し、その後生成物を微極性溶媒(例えば、ジクロロメタン)で抽出することによって単離することができる。
【0030】
本発明の化合物の好ましい調製方法は、1)反応容器内でアルコールを約5%〜約100%モル過剰の有機アミンと約0℃で結合させる工程;2)アルコール反応性化合物を、結果として得られる反応混合物の温度を約0℃に維持できるような速度で反応容器に添加する工程;3)反応混合物を室温にまで温める工程;4)反応混合物を鉱酸水溶液に添加する工程;5)生成物が可溶な溶媒で所望の生成物を抽出する工程;6)結果として得られる生成物溶液を従来固体乾燥剤(例えば、無水硫酸ナトリウム)で乾燥させる工程;7)溶媒を蒸発除去し生成物を単離する工程を含む。単離された生成物はその後必要に応じて、当業者には公知のクロマトグラフィ、蒸留、晶出などの従来法によって精製する。
【0031】
本発明の化合物の代替調製方法にはエステル交換反応があり、例えばJerry MarchによるAdvanced Organic Chemistry、第4版、397〜398頁、John Wiley&Sons、New York(1992)に記載がある。この方法は、(a)上記のように、少なくとも1種のスルホニル部分を含むアルコール(この場合には好ましくない3級アルコールを除く)と(b)カーボネート化合物(好ましくは、対称カーボネート化合物)を加熱しながら強酸、強塩基、または高原子価初期遷移金属錯体(例えば、Ti(IV)プロポキサイド)などの触媒存在下に結合させることを含む。この方法は例えば下記に示すように:
【化9】
2種以上のスルホニル部分を含む対称カーボネート化合物を調製するためにも使用することができる。
【0032】
電解質組成物
本発明の化合物は、(a)少なくとも1種の本発明の化合物;および(b)少なくとも1種の電解質塩を含む電解質組成物を調製するために利用することができる。本発明電解質組成物の調製に使用するために好適な電解質塩には、少なくとも1種のカチオンと少なくとも1種の弱配位アニオンを含み、少なくとも選択される本発明の化合物(または1種以上の他の本発明の化合物または1種以上の従来電解質溶媒とのブレンド)に部分的に溶解し、かつ少なくとも部分的に解離して導電性電解質組成物を生成する塩がある。好ましくは、塩は使用電圧範囲にわたって安定であり、非腐食性であり、熱と加水分解に対して安定である。
【0033】
好適なカチオンには、アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIB族金属、IIIB族金属、遷移金属、希土類金属、アンモニウム(例えば、テトラアルキルアンモニウムまたはトリアルキルアンモニウム)カチオン、ならびにプロトンがある。電池用途に好ましいカチオンには、アルカリ金属およびアルカリ土類金属カチオンがある。
【0034】
好適な弱配位アニオンには、NO3 −;Br−;I−;BF4 −;PF6 −;AsF6 −;ClO4 −;SbF6 −;HSO4 −;H2PO4 −;アルカン、アリール、アルカリールスルホネートなどの有機アニオン;フッ化および非フッ化テトラアリールボレート;カルボラン、およびメタロカルボランアニオンを含むハロゲン−、アルキル−、またはハロアルキル−置換カルボランアニオン;テフレート(例えば、−OTeF5、−B(OTeF5)4、−Pd(OTeF5)4);パーフルオロアルカンスルホネート、シアノパーフルオロアルカンスルホニルアミド、ビス(シアノ)パーフルオロアルカンスルホニルメチド、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド等のフルオロ有機アニオン等がある。電池用途に好ましいアニオンには、フルオロ無機アニオン(例えば、BF4 −、PF6 −、AsF6 −)、フルオロ有機アニオン(例えば、パーフルオロアルカンスルホネート、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド)などがある。
【0035】
フルオロ有機アニオンは、完全フッ素化、すなわちパーフルオロ化しても、または(その有機部分内で)部分フッ素化することができる。好ましくは、フルオロ有機アニオンは少なくとも約80%フッ素化されている(すなわち、アニオンの炭素に結合した置換基の少なくとも約80%がフッ素原子である)。より好ましくは、アニオンはパーフルオロ化している(すなわち、完全フッ素化され、炭素に結合した置換基はすべてフッ素原子である)。アニオンは、好ましいパーフルオロ化アニオンを含めて、例えば、窒素、酸素、または硫黄などの1種以上のカテナリーヘテロ原子を含有することができる。
【0036】
好ましいフルオロ有機アニオンには、パーフルオロアルカンスルホネート、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチドなどがある。パーフルオロアルカンスルホネート、およびビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドはより好ましいアニオンであり、パーフルオロアルカンスルホネートが最も好ましい。
【0037】
電池用途に好ましい塩は、リチウム塩である。より好ましいのは、リチウムヘキサフルオロホスフェート、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムパークロレート、リチウムヘキサフルオロアルセネート、リチウムトリフルオロメタンスルホネート、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、またはそれらの混合物である。
【0038】
本発明電解質組成物は、少なくとも1種の本発明の化合物を、望ましい使用温度で本発明の化合物に少なくとも部分的に溶解するような少なくとも1種の電解質塩と結合させることによって調製することができる。1種以上の従来電解質溶媒(例えば、プロピレンカーボネートまたはジメトキシエタン)、または他の従来添加物(例えば、界面活性剤)も必要に応じて共存することができる。電解質塩は広い範囲の他の濃度で使用できるが、好ましくは電解質組成物の伝導率が最大値またはその付近であるような濃度(典型的には、例えばリチウム電池用電解質に対してLi+モル濃度約0.5〜2.0M、好ましくは約1.0M)で使用される。
【0039】
電気化学デバイス
本発明電解質組成物は、例えば、燃料電池、電池、コンデンサー、エレクトロクロミックウィンドウなどのデバイスを含む電気化学デバイスで、電解質として使用することができる。そのようなデバイスは、典型的に少なくとも1種の第1電極、少なくとも1種の第2電極、少なくとも1種のセパレータ、本発明電解質組成物を含む。
【0040】
例えば、リチウム電池の電極は、一般的に金属箔、または高分子質バインダーになるカーボンブラックまたはグラファイト導電性希釈剤とブレンドされた活性物質の粒子からなる。典型的なバインダーには、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ターポリマー、乳化スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などがあり、バインダーは架橋することができる。バインダーはまた、例えば有機化合物の熱分解によって生成した固体炭素マトリックスでもよい。一般的に、金属箔または複合電極材料は、塗布、注入、プレス、押出などさまざまなプロセスを使用して、エキスパンデッドメタルスクリーン、または金属箔(好ましくはアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼)集電器に塗布する。
【0041】
好適な第1電極の例として、リチウム金属、アルミニウム、リチウム金属合金、金属ナトリウム、白金とパラジウムおよびその合金、グラファイト、コーク、炭素、ピッチなどの炭素系物質、遷移金属酸化物(例えば、LiTi5O12、LiWO2)、リチウム化酸化スズが挙げられる。リチウムイオン電池の場合、リチウムは炭素(すなわち、リチウム化炭素を与えるため)、または他の元素(ケイ素、ホウ素、窒素など)と合金した炭素などのホスト物質、導電性ポリマー、または挿入可能な無機ホスト(LixTi5O12)に挿入することができる。第1電極を含む物質は、箔(例えば、ニッケル、銅)上にバッキングしながら運ばれるか、エキスパンデッドメタルスクリーンにプレスされ、さまざまな他の金属と合金化することもできる。
【0042】
活性第2電極材料は、一般的にLi/Li+に対して完全充電状態で少なくとも約3.0ボルトのデバイス電圧を提供する。好適な第2電極材料には、グラファイト;炭素;アルミニウム;MnO2;白金、パラジウム、およびその合金;LiとLiCoO2、LiNiO2、LiV3O8 、LiMn2O4等などの遷移金属を含む複合酸化物;V2O5;V6O13;Ba2SmNiO5;SmMnO3;Sm3Fe5O12;EuFeO3;EuFe5O12;EuMnO3;LaNiO3;La2CoO4、LaMnO3(これらの物質の充電形および放電形を含む);ルテニウムまたはタングステンの酸化物;インジウムスズ酸化物;ポリピロール、ポリスルフィド、ポリビニルフェロセンなどの導電性高分子などがある。一次電池では、第2電極はフッ素化炭素(例えば(CF)n)、SO2Cl2、Ag2V4O11、Ag2CrO4、硫黄、ポリスルフィド、O2またはSO2電極でもよい。
【0043】
リチウム電池は、一般的に第1および第2電極間の短絡を避けるためにセパレータを含む。セパレータは、所定の長さと幅、および約1.0ミル(0.025mm)未満の厚さの微孔ポリマー(典型的にはポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの組合せ)の単層または多層シートからなることが多い。例えば、米国特許第3,351,495号(Larsenら)、同第4,539,256号(Shipmanら)、同第4,731,304号(Lundquistら)、同第5,565,281号(Yuら)を参照。このような微孔膜の孔径は典型的に直径約5ミクロンで、イオンの輸送には十分大きいが、電極が直接または粒子の通過、または電極上に形成することがある樹枝状結晶によって接触するのを避けるためには十分小さい。
【0044】
本発明電気化学デバイスは、コンピュータ、電動工具、自動車、通信機器等さまざまな電子物品に使用することができる。
【0045】
本発明の目的と利点を下記の実施例によってさらに説明するが、実施例に列挙されている具体的な物質および量、および他の条件、詳細等は本発明を限定するものとみなされるべきではない。下記の実施例では、調製された化合物の構造は核磁気共鳴分光法、赤外分光法、質量分析法を用いて決定された。カラムクロマトグラフィはアセトニトリル1部容量と、クロロホルム2部容量との混合物を用いてシリカゲル上で行われた。
【0046】
実施例
実施例1
2−(メチルスルホニル)エチルメチルカーボネートの調製
電磁攪拌棒、ゴムセプタム、ホースアダプタを装備した容量100mlの三つ口丸底フラスコを乾燥窒素でパージし、9.82g(0.0791モル)の2−(メチルスルホニル)エタノール(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)と25mlの無水ピリジンをシリンジで注入した。結果として得られた混合物を氷水浴中で15分間冷却した。混合物に、メチルクロロホルメート(8.30g;0.088モル)をシリンジで20分かけて滴下した。次いで、氷水浴をはずして、混合物を室温で攪拌した。4時間後、結果として得られた明黄色混合物を分液漏斗中の120mlの氷冷した10%HCl水溶液に注ぎ、結果として得られた溶液を40mlずつのCH2Cl2で4回抽出した。結果として得られた有機抽出液を合わせてNa2SO4で乾燥した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下溶媒除去すると、透明明黄色液体が残った。カラムクロマトグラフィで精製して、透明浅黄色油状の2−(メチルスルホニル)エチルメチルカーボネートが11.7g(81%収率)得られ、室温では固化した。油状部分はジエチルエーテルで再結晶し、白色針状物質(融点47〜48.5℃)を得た。
【0047】
実施例2
2−(メチルスルホニル)エチルエチルカーボネートの調製
電磁攪拌棒、ゴムセプタム、ホースアダプタを装備した容量100mlの三つ口丸底フラスコを乾燥窒素でパージし、9.61g(0.0774モル)の2−(メチルスルホニル)エタノール(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)と25mlの無水ピリジンをシリンジで注入した。結果として得られた混合物を氷水浴中で15分間冷却した。混合物に、エチルクロロホルメート(9.48g;0.087モル)をシリンジで20分かけて滴下した。それから、氷水浴をはずして、混合物を室温で攪拌した。5時間後、結果として得られた明黄色混合物を分液漏斗中の120mlの氷冷した10%HCl水溶液に注ぎ、結果として得られた溶液を50mlずつのCH2Cl2で4回抽出した。結果として得られた有機抽出液を合わせて、60mlの飽和食塩水で洗浄し、それからNa2SO4で乾燥した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下溶媒除去すると、透明明黄色液体が残った。カラムクロマトグラフィで精製して、透明無色油状の2−(メチルスルホニル)エチルエチルカーボネートが14.62g(96%収率)得られた。結果として得られた精製液体の一部を8.5×10−3mmHgで真空蒸留すると、透明な油状物質(沸点121〜124℃)が得られた。
【0048】
実施例3
3−(メチルスルホニル)プロピルメチルカーボネートの調製
電磁攪拌棒とマントルヒーターを装備し、大気に開放した容量250mlの丸底フラスコに、24.74g(0.233モル)の3−メチルチオ−1−プロパノール(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)、24mlのH2Oと0.0300gのタングステン酸二ナトリウム二水和物を仕込んだ。40分かけて、56.96gの30%H2O2(過酸化水素)水溶液を結果として得られた混合物にピペットで滴下した。発熱反応であったので、H2O2の滴下中結果として得られた混合物を時々冷却した。その後、混合物を60〜70℃に3.5時間加熱し、それから過酸化物の試験(Merck過酸化物試験紙)を行うと陰性であった。追加のH2O2溶液(2.0g)を混合物に添加し、混合物をもう1時間攪拌した。少量残った混合物中の過剰のH2O2を、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加することによって分解した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下水を除去すると、わずかに濁った無色の液体が得られた。10−C3mmHgで真空蒸留して精製すると、透明無色液体の3−(メチルスルホニル)−1−プロパノールが19.12g(59.4%収率、沸点136〜139℃)得られた。
【0049】
電磁攪拌棒、ゴムセプタム、ホースアダプタを装備した容量100mlの三つ口丸底フラスコを乾燥窒素でパージし、17.53g(0.127モル)の3−(メチルスルホニル)−1−プロパノールと19mlの無水ピリジンシリンジで注入した。結果として得られた混合物を氷水浴中で冷却した。混合物に、メチルクロロホルメート(13.3g;0.141モル)をシリンジで45分かけて滴下した。それから、氷水浴をはずして、混合物を室温で攪拌した。3.5時間後、結果として得られた白色不透明混合物を分液漏斗中の120mlの氷冷した10%HCl水溶液に注ぎ、結果として得られた溶液を50mlずつのCH2Cl2で4回抽出した。結果として得られた有機抽出液を合わせて、Na2SO4で乾燥した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下溶媒除去すると、透明浅黄色液体が残り、冷却すると固化した。結果として得られた固体をt−ブチルメチルエーテルで再結晶することにより精製すると、17.6gの白色針状物質(融点55〜56.5℃)が得られ、また濾液を濃縮すると、第2次結晶(1.9g、融点55〜57℃)が得られ、全量で19.5g(78%収率)の3−(メチルスルホニル)プロピルメチルカーボネートが得られた。
【0050】
実施例4
エチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネートを含む電解質組成物の調製 本質的に実施例2に記載の手順に従って調製したエチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネート6.15gに、0.96g(6.15ミリモル)のリチウムトリフルオロメタンスルホネート(Fluorad(登録商標)FC−122、3M社)を溶解することによって、電解質組成物を調製した。結果として得られた電解質溶液を直径15mmの試験管に移した。セル定数1.0のYSI(登録商標)伝導率セル(Yellow Springs Instrument Co.,Inc.(Yellow Springs、OH)製造;VWR Scientific Productsから入手)を試験管に挿入した。Solartron(登録商標)モデル1260インピーダンスアナライザと、Solartron(登録商標)モデル1287電気化学インターフェース(Solartron Instruments(Houston、TX)から入手)を使用して、電解質溶液のインピーダンスを26℃で測定した。電解質溶液のインピーダンスは38,500オームであることがわかったが、これは伝導率2.6×10−5S/cmに相応する。その後、試験管を固体アルミニウムブロックヒータの中に置き、Omega(登録商標)モデルCN76000温度コントローラを50℃に設定して、サーモスタット制御した。溶液のインピーダンスを再測定すると、11,600オームであったが、これは伝導率8.6×10−5S/cmに相応する。
【0051】
実施例5
エチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネートを含む電解質組成物の調製 本質的に実施例2に記載の手順に従って調製したエチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネート4.09gに、1.175g(4.09ミリモル)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Fluorad(登録商標)HQ−115、3M社)を溶解することによって、電解質組成物を調製した。結果として得られた電解質溶液を直径15mmの試験管に移した。セル定数1.0のYSI(登録商標)伝導率セル(Yellow Springs Instrument Co.,Inc.(Yellow Springs、OH)製造;VWR Scientific Productsから入手)を試験管に挿入した。Solartron(登録商標)モデル1260インピーダンスアナライザと、Solartron(登録商標)モデル1287電気化学インターフェース(Solartron Instruments(Houston、TX)から入手)を使用して、電解質溶液のインピーダンスを26℃で測定した。電解質溶液のインピーダンスは9,600オームであることがわかったが、これは伝導率1.0×10−4S/cmに相応する。
【0052】
実施例6
実施例4の電解質組成物を含む電気化学セルの調製
MnO2(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI、<10ミクロン、18時間加熱炉内で400℃に加熱)を、Vulcan(登録商標)VXC−72導電性炭素(Cabot Corporation)、およびポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)のN−メチルピロリドン溶液と結合させて、電極を作成した。MnO2、Vulcan(登録商標)VXC−72導電性炭素、PVDFの重量比は、90:5:5であった。結果として得られた懸濁液を1ミクロン厚のステンレス鋼箔上に、湿潤厚0.254mm(0.010インチ)で塗布した。結果として得られた塗布箔をオーブン中80℃で20分間乾燥し、さらに真空オーブン中120℃で12時間乾燥した。電気化学セル(2325コインセル)を、一電極として塗布箔、対極としてリチウム金属、電解質として実施例4の電解質組成物とともに組立てた。Cotran(登録商標)9711微孔ポリ(エチレン)(3M社)の一層をセパレータ物質として使用した。セルを閉じる前に、電極とセパレータが電解質組成物で完全に湿潤したことを観察した。結果として得られた電気化学セルの開路電圧は、3.1V〜3.5Vであった。電気化学セルをMaccor(登録商標)シリーズ2000電池試験機(Maccor Inc.、Tulsa、OK)で0.5Vに放電した。
【0053】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には本発明のさまざまな修正および変更が明らかとなるであろう。
発明の分野
本発明は電気化学デバイスに使用される電解質塩用の溶媒として有用な化合物に関し、さらに、そのような化合物の少なくとも1種とそのような塩の少なくとも1種を含む電解質組成物に関する。他の様態において、本発明は電解質組成物を含む電気化学デバイス、および電気化学デバイスを含む物品にも関する。
【0002】
発明の背景
電子デバイスの急速な開発によって、燃料電池、コンデンサー、エレクトロクロミックウィンドウ、電池システムなどの電気化学デバイスに対する市場需要が高まってきた。特に電池システムに対する需要に応じて、実用的で再充電可能なリチウム電池の研究が積極的になされてきた。典型的に、このようなシステムは陰極(アノード)としてのリチウム金属、リチウム化炭素、またはリチウム合金を基盤としている。
【0003】
リチウム電池は、1種以上のリチウム電気化学電池から製造される。このような電池は、電気的および空間的に分離した陽および陰極の間に介在するリチウムイオン導電性非水電解質組成物からなっていた。典型的に、電解質組成物は、リチウム電解質塩の非水非プロトン性有機電解質溶媒(多くの場合、溶媒混合物)溶液である。
【0004】
再充電可能なリチウム電池用の電解質溶媒の選択は、最適な電池性能にとってきわめて重要であり、さまざまな要因を関与している。しかし、長期安定性長期安定性、イオン伝導率、安全性、湿潤性が、高容量市販用には最も重要な選択要因となる傾向にある。
【0005】
長期安定性には、電解質溶媒は電池の使用温度および電圧の範囲にわたって本質的に安定であること、電極材料に対して不活性であるか、または良好なイオン伝導率の保護フィルムを効果的に生成することが必要である。イオン伝導率には、効果的にリチウム電解質塩を溶解しリチウムイオンの移動を易容化する電解質溶媒が必要である。安全性の視点から、低揮発性、低引火性、低可燃性、低毒性という特徴すべてが非常に望ましい。電池の電極とセパレータが電解質溶媒によって急速にかつ完全に湿潤して、迅速な電池製造を容易にし、電池性能を最適化することも望ましい。
【0006】
非プロトン性液体有機化合物が、最も一般的に使用されるリチウム電池用電解質溶媒であった。典型的に、エーテルまたは炭酸エステル(カーボネート)などの化合物は約4.4V未満対Li+/Liで使用する陽極の酸化的安定性、リチウム含有陰極に対する低反応性、およびリチウムイオンとの熱力学的に良好な相互作用(電解質組成物において電解質塩のアニオンとリチウムカチオンの高解離度によって明らかである)という望ましい特性を共有しているので、多用されてきた。
【0007】
リチウム電池に使用するために最も一般的に使用される非プロトン性有機電解質溶媒には、環状エステル(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン)、直鎖状エステル、環状エーテル(例えば、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン)、直鎖状エーテル(例えば、1,2−ジメトキシエタン)、アミド、スルホキシドなどがある。混合溶媒は電解質組成物の特性(伝導性、粘性等)およびリチウムに対する反応性を「調整」できることが多く最適の性能を与えることができるので、好ましいこともある。
【0008】
カルボン酸エステル、スルホキシド、スルホン、スルホンアミドなどの伝統的でない溶媒は、さまざまな成功によって電解質溶媒として使用されてきた。スルホンは、典型的に室温では固体である。しかし、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、エチルメチルスルホンなどのスルホンは、電解質溶媒として使用されてきた。ジメチルスルホンも利用されてきたが、融点が107℃の融点なので、その利用は高温(すなわち、電解質組成物が液状で保たれる温度を超える温度)で使用される電池に制限されてきた。
【0009】
従来リチウム電池電解質溶媒の使用に関して不都合な点は、一般的に低沸点および高引火性または可燃性に関連している。溶媒には、環状カーボネートのエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのように200℃を超える沸点を有するものもある。しかし、電解質溶媒は実質的にそれよりも低い沸点と、100°F未満の引火点を有するものが多い。そのような揮発性溶媒は、例えばショートによって急速に放電した完全または部分充電電池の突発故障の間に発火することがある。さらに、揮発性溶媒は、電解質組成物を調製および貯蔵する際、および製造過程で電池に組成物を添加する際、困難である。従来電解質溶媒に共通の別の問題は、多くの場合、界面エネルギーが高すぎて電池成分を自然に湿潤させることができないことである。
【0010】
従って、当技術分野では、揮発性、引火性、可燃性を(従来溶媒に比較して)低下させかつ効果的に電解質塩を溶解して、電気化学デバイス構成要素を十分に湿潤させ使用温度範囲にわたって十分なイオン伝導率を発揮する安定な電解質組成物を生成する電解質溶媒が必要とされている。
【0011】
発明の概要
簡単に言えば、一様態において、本発明は電解質電気化学デバイスに使用される電解質塩用の溶媒として有用な新規なカーボネート化合物および新規なカーバメート化合物を提供する。この化合物は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、およびそれらの組合せ(例えば、シクロアルキル置換アルキル基)からなる群から選択される基のみに直接結合する少なくとも1種のカーボネートまたはカーバメート部分を含み、該基は1種以上のカテナリーヘテロ原子を任意に含有する。(本明細書で使用されるように、「カテナリーヘテロ原子」という用語は、ヘテロ原子が基の少なくとも2個の炭素原子に結合するように基の1個以上の炭素原子を置換するヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を意味する。)少なくとも1個の直接結合基は少なくとも1種のスルホニル部分を含む。
【0012】
好ましくは、化合物はスルホニル含有ジアルキルカーボネート化合物である。より好ましくは、化合物はそれぞれ約6個以下(最も好ましくは、約4個以下)の炭素原子を有する低級アルキル基を含むスルホニル含有ジアルキルカーボネート化合物である。
【0013】
上記新規な化合物は驚いたことに高沸点で低揮発性であり、従って一般的に従来電解質溶媒より引火性と可燃性が低いことがわかった。さらに、化合物はとても効果的に電解質塩を溶解し、電気化学デバイス構成要素(例えばセパレータ)を十分に湿潤し、使用温度範囲(特定用途に対する所要電力によって、例えば、約20℃〜約80℃、またはそれよりはるかに高温)にわたって電気化学デバイスに使用するために十分なイオン伝導率を発揮する電解質組成物を提供する。また化合物(および化合物を含む電解質組成物)は、従来物質よりも低揮発性、低引火性、低可燃性により貯蔵と操作上において困難性が少ない。
【0014】
化合物は、特に高温電池(例えば、約60℃を超える温度で機能するように設計された電池)での使用に好適である。このような電池では、化合物を含む電解質組成物は、十分な伝導率を発揮し、かつ突発的電池故障の間に発火する可能性が従来電解質組成物よりも少ない。
【0015】
従って、本発明の新規な化合物は、揮発性、引火性、可燃性を(従来溶媒に比較して)低下させかつ効果的に電解質塩を溶解して、電気化学デバイス構成要素を十分に湿潤させ使用温度範囲にわたって十分なイオン伝導率を発揮する安定な電解質組成物を生成する電解質溶媒に対する当技術分野のニーズに応じている。
【0016】
他の様態において、本発明は、(a)少なくとも1種の本発明の化合物、および(b)少なくとも1種の電解質塩を含む電解質組成物;電解質組成物を含む電気化学デバイス;および電気化学デバイスを含む物品も提供する。
【0017】
発明の詳細な説明
電解質溶媒
本発明の新規な化合物は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、またはシクロアルケニル基、またはそれらの組合せ(例えば、シクロアルキル含有アルキル基、シクロアルキル含有アルケニル基、シクロアルケニル含有アルキル基、シクロアルケニル含有アルケニル基で、環状部分はアルキルまたはアルケニル基内の場所によって1価か2価である)のみに直接結合している少なくとも1種の(好ましくは、1種だけの)カーボネートまたはカーバメート部分(好ましくは、カーボネート)を含む。(従って、カーボネートまたはカーバメート部分はアリール基またはアリール含有基以外の基のみに直接結合している。)好ましくは、カーボネートまたはカーバメート部分はアルキル基だけに結合している。直接結合基の少なくとも1種(好ましくは、1種だけ)は少なくとも1種のスルホニル部分(好ましくは、1種だけのそのような部分)を含む。直接結合基は1種以上のカテナリーヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄原子)を任意に含有してもよいが、好ましい化合物はスルホニル部分の硫黄原子以外にカテナリーヘテロ原子を含有しない。好ましくは、直接結合基それぞれが約6個以下の炭素原子(より好ましくは、約4個以下)を有し、その結果化合物中の炭素原子数に対する酸素原子数の割合は、約0.4〜約1(より好ましくは約0.66〜約1、最も好ましくは約0.83〜約1)の範囲にある。
【0018】
本発明の新規な化合物の好ましい種類は下記の一般式(I):
H(CH2)mSO2(CH2)nQ(R)p (I)
[式中、Qはカーボネート部分−O−C(O)−O−、またはカーバメート部分−O−C(O)−N−(好ましくは、カーボネート部分)であり;各Rは独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、およびそれらの組合せ(好ましくは、アルキル基)からなる群から選択される基であり、該基は1種以上のカテナリーヘテロ原子を任意に含有し;mは1〜約4の整数であり;nは1〜約4の整数であり;Qがカーボネート部分のときpは整数1で、Qがカーバメート部分のとき整数2である。好ましくは、Rはカテナリーヘテロ原子を含有せず、Rは約6個以下の炭素原子(より好ましくは、約4個以下の炭素原子)を有し、mとnの合計は約6以下(より好ましくは、約4以下)である]によって表すことができるものである。
【0019】
本発明の化合物の代表例には、
【化2】
【化3】
などがある。
【0020】
好ましい化合物には、
【化4】
などがある。
【0021】
より好ましい化合物には、
【化5】
などがある。
【0022】
本発明の化合物は、(a)少なくとも1種のスルホニル部分を含むアルコール、および(b)アルコールと反応して縮合反応(例えば、鉱酸の脱離反応)を経由してカーボネート(炭酸エステル)またはカーバメート(カルバミン酸エステル)を生成するアルコール反応性化合物(例えば、炭酸ハロゲン化物またはカルバミン酸ハロゲン化物)を(好ましくは、塩基または水素イオン受容体の存在下、および任意で有機溶媒中で)結合させることによって調製することができる。この種の反応は有機化学においては公知であり、例えば、Jerry MarchによりAdvanced Organic Chemistry、4版、392頁、John Wiley&Sons、New York(1992)に記載されている。
【0023】
好ましくは、塩基または水素イオン受容体(より好ましくは、アミンなどの有機塩基)を縮合反応中に生成される鉱酸を中和するために用いる。有用な有機塩基の例として、ヘテロ環状芳香族アミン(例えば、ピリジン)およびアルキルアミン(例えば、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン)などがある。当業者はそのような縮合反応に有用な有機塩基の種類と制限を理解できよう。
【0024】
本発明の化合物を調製するために使用可能なアルコールには、少なくとも1種のスルホニル部分を含み妨害官能基を含まない1級、2級、3級アルコール(好ましくは1級または2級;より好ましくは1級)(例えば、アルコール反応性化合物と反応することによってアルコールの反応を妨害する1級アミン、チオール、カルボン酸基;またはアルコール自身のヒドロキシル基と反応できるイソシアネート、カルボン酸、ハロゲン化アシル、エステル基などの基)などがある。
好適なアルコールの代表例には:
【化6】
など、およびそれらの混合物がある。
【0025】
アルコール反応性化合物として使用に好適な化合物は、縮合反応でアルコールのヒドロキシル基と反応し、小分子(例えば、塩化水素酸などの鉱酸)の脱離によりカーボネートまたはカーバメートを生成するヒドロキシル反応性官能基(例えば、酸ハライド基)を含む。化合物と2種以上のそのようなヒドロキシル反応性官能基との反応生成物が本発明の範囲内であることは理解されているが、化合物が1種のそのようなヒドロキシル反応性官能基を有することが好ましい。アルコール反応性化合物は、ヒドロキシル反応性官能基と反応可能な他の官能基(例えば、アルコール、アミン、チオール、またはカルボン酸基など)を含まない。
【0026】
好適なアルコール反応性化合物には、蟻酸誘導体(例えば、エチルクロロホルメート、メチルクロロホルメートなどのアルキルハロホルメート;アルケニルハロホルメート;シクロアルキルハロホルメート;シクロアルケニルハロホルメート)、およびそのような蟻酸誘導体と等電子の窒素含有化合物(例えば、ジメチルクロロカーバメートなどのアルキルハロカーバメート;アルケニルハロカーバメート;シクロアルキルハロカーバメート;シクロアルケニルハロカーバメート)などがある。好適なアルコール反応性化合物の代表例には:
【化7】
【0027】
必要に応じて、1種以上のスルホニル部分を含有するアルコール反応性化合物を利用することができる。例えば、スルホニル含有アルコールはホスゲンと反応してスルホニル含有クロロホルメートを生成し、続いてスルホニル含有クロロホルメートとアルコールとの反応が行われる。この2段階方法は両段階で同一のアルコールを使用するか、または異なる2つのアルコールを使用して行うことができる。この方法は、例えば以下に示すように:
【化8】
少なくとも2種のスルホニル部分を含む対称カーボネート化合物の調製方法として好ましい。
【0028】
2つの反応剤(アルコールとアルコール反応性化合物)は反応容器にどんな順序で添加してもよい。縮合反応は密閉または非密閉の反応容器が利用されるかどうかによって、どんな温度範囲で行ってもよい。しかし、一般的に沸点が低いほうの反応剤の沸点より低い温度(例えば、約−10℃〜約50℃の温度;より好ましくは、約0℃〜約25℃)で開放容器内で反応を行うのが好ましい。
【0029】
必要に応じて、反応は比較的極性有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、グライム、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等、およびそれらの混合物などの溶媒)中で行うことができる。好ましくは、有機溶媒は使用されないが、反応は過剰の塩基存在下で行われる。所望の生成物は結果として得られる反応混合物を水(または、塩基が利用されていたなら鉱酸水溶液)に添加し、その後生成物を微極性溶媒(例えば、ジクロロメタン)で抽出することによって単離することができる。
【0030】
本発明の化合物の好ましい調製方法は、1)反応容器内でアルコールを約5%〜約100%モル過剰の有機アミンと約0℃で結合させる工程;2)アルコール反応性化合物を、結果として得られる反応混合物の温度を約0℃に維持できるような速度で反応容器に添加する工程;3)反応混合物を室温にまで温める工程;4)反応混合物を鉱酸水溶液に添加する工程;5)生成物が可溶な溶媒で所望の生成物を抽出する工程;6)結果として得られる生成物溶液を従来固体乾燥剤(例えば、無水硫酸ナトリウム)で乾燥させる工程;7)溶媒を蒸発除去し生成物を単離する工程を含む。単離された生成物はその後必要に応じて、当業者には公知のクロマトグラフィ、蒸留、晶出などの従来法によって精製する。
【0031】
本発明の化合物の代替調製方法にはエステル交換反応があり、例えばJerry MarchによるAdvanced Organic Chemistry、第4版、397〜398頁、John Wiley&Sons、New York(1992)に記載がある。この方法は、(a)上記のように、少なくとも1種のスルホニル部分を含むアルコール(この場合には好ましくない3級アルコールを除く)と(b)カーボネート化合物(好ましくは、対称カーボネート化合物)を加熱しながら強酸、強塩基、または高原子価初期遷移金属錯体(例えば、Ti(IV)プロポキサイド)などの触媒存在下に結合させることを含む。この方法は例えば下記に示すように:
【化9】
2種以上のスルホニル部分を含む対称カーボネート化合物を調製するためにも使用することができる。
【0032】
電解質組成物
本発明の化合物は、(a)少なくとも1種の本発明の化合物;および(b)少なくとも1種の電解質塩を含む電解質組成物を調製するために利用することができる。本発明電解質組成物の調製に使用するために好適な電解質塩には、少なくとも1種のカチオンと少なくとも1種の弱配位アニオンを含み、少なくとも選択される本発明の化合物(または1種以上の他の本発明の化合物または1種以上の従来電解質溶媒とのブレンド)に部分的に溶解し、かつ少なくとも部分的に解離して導電性電解質組成物を生成する塩がある。好ましくは、塩は使用電圧範囲にわたって安定であり、非腐食性であり、熱と加水分解に対して安定である。
【0033】
好適なカチオンには、アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIB族金属、IIIB族金属、遷移金属、希土類金属、アンモニウム(例えば、テトラアルキルアンモニウムまたはトリアルキルアンモニウム)カチオン、ならびにプロトンがある。電池用途に好ましいカチオンには、アルカリ金属およびアルカリ土類金属カチオンがある。
【0034】
好適な弱配位アニオンには、NO3 −;Br−;I−;BF4 −;PF6 −;AsF6 −;ClO4 −;SbF6 −;HSO4 −;H2PO4 −;アルカン、アリール、アルカリールスルホネートなどの有機アニオン;フッ化および非フッ化テトラアリールボレート;カルボラン、およびメタロカルボランアニオンを含むハロゲン−、アルキル−、またはハロアルキル−置換カルボランアニオン;テフレート(例えば、−OTeF5、−B(OTeF5)4、−Pd(OTeF5)4);パーフルオロアルカンスルホネート、シアノパーフルオロアルカンスルホニルアミド、ビス(シアノ)パーフルオロアルカンスルホニルメチド、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド等のフルオロ有機アニオン等がある。電池用途に好ましいアニオンには、フルオロ無機アニオン(例えば、BF4 −、PF6 −、AsF6 −)、フルオロ有機アニオン(例えば、パーフルオロアルカンスルホネート、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド)などがある。
【0035】
フルオロ有機アニオンは、完全フッ素化、すなわちパーフルオロ化しても、または(その有機部分内で)部分フッ素化することができる。好ましくは、フルオロ有機アニオンは少なくとも約80%フッ素化されている(すなわち、アニオンの炭素に結合した置換基の少なくとも約80%がフッ素原子である)。より好ましくは、アニオンはパーフルオロ化している(すなわち、完全フッ素化され、炭素に結合した置換基はすべてフッ素原子である)。アニオンは、好ましいパーフルオロ化アニオンを含めて、例えば、窒素、酸素、または硫黄などの1種以上のカテナリーヘテロ原子を含有することができる。
【0036】
好ましいフルオロ有機アニオンには、パーフルオロアルカンスルホネート、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチドなどがある。パーフルオロアルカンスルホネート、およびビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドはより好ましいアニオンであり、パーフルオロアルカンスルホネートが最も好ましい。
【0037】
電池用途に好ましい塩は、リチウム塩である。より好ましいのは、リチウムヘキサフルオロホスフェート、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムパークロレート、リチウムヘキサフルオロアルセネート、リチウムトリフルオロメタンスルホネート、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、またはそれらの混合物である。
【0038】
本発明電解質組成物は、少なくとも1種の本発明の化合物を、望ましい使用温度で本発明の化合物に少なくとも部分的に溶解するような少なくとも1種の電解質塩と結合させることによって調製することができる。1種以上の従来電解質溶媒(例えば、プロピレンカーボネートまたはジメトキシエタン)、または他の従来添加物(例えば、界面活性剤)も必要に応じて共存することができる。電解質塩は広い範囲の他の濃度で使用できるが、好ましくは電解質組成物の伝導率が最大値またはその付近であるような濃度(典型的には、例えばリチウム電池用電解質に対してLi+モル濃度約0.5〜2.0M、好ましくは約1.0M)で使用される。
【0039】
電気化学デバイス
本発明電解質組成物は、例えば、燃料電池、電池、コンデンサー、エレクトロクロミックウィンドウなどのデバイスを含む電気化学デバイスで、電解質として使用することができる。そのようなデバイスは、典型的に少なくとも1種の第1電極、少なくとも1種の第2電極、少なくとも1種のセパレータ、本発明電解質組成物を含む。
【0040】
例えば、リチウム電池の電極は、一般的に金属箔、または高分子質バインダーになるカーボンブラックまたはグラファイト導電性希釈剤とブレンドされた活性物質の粒子からなる。典型的なバインダーには、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ターポリマー、乳化スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などがあり、バインダーは架橋することができる。バインダーはまた、例えば有機化合物の熱分解によって生成した固体炭素マトリックスでもよい。一般的に、金属箔または複合電極材料は、塗布、注入、プレス、押出などさまざまなプロセスを使用して、エキスパンデッドメタルスクリーン、または金属箔(好ましくはアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼)集電器に塗布する。
【0041】
好適な第1電極の例として、リチウム金属、アルミニウム、リチウム金属合金、金属ナトリウム、白金とパラジウムおよびその合金、グラファイト、コーク、炭素、ピッチなどの炭素系物質、遷移金属酸化物(例えば、LiTi5O12、LiWO2)、リチウム化酸化スズが挙げられる。リチウムイオン電池の場合、リチウムは炭素(すなわち、リチウム化炭素を与えるため)、または他の元素(ケイ素、ホウ素、窒素など)と合金した炭素などのホスト物質、導電性ポリマー、または挿入可能な無機ホスト(LixTi5O12)に挿入することができる。第1電極を含む物質は、箔(例えば、ニッケル、銅)上にバッキングしながら運ばれるか、エキスパンデッドメタルスクリーンにプレスされ、さまざまな他の金属と合金化することもできる。
【0042】
活性第2電極材料は、一般的にLi/Li+に対して完全充電状態で少なくとも約3.0ボルトのデバイス電圧を提供する。好適な第2電極材料には、グラファイト;炭素;アルミニウム;MnO2;白金、パラジウム、およびその合金;LiとLiCoO2、LiNiO2、LiV3O8 、LiMn2O4等などの遷移金属を含む複合酸化物;V2O5;V6O13;Ba2SmNiO5;SmMnO3;Sm3Fe5O12;EuFeO3;EuFe5O12;EuMnO3;LaNiO3;La2CoO4、LaMnO3(これらの物質の充電形および放電形を含む);ルテニウムまたはタングステンの酸化物;インジウムスズ酸化物;ポリピロール、ポリスルフィド、ポリビニルフェロセンなどの導電性高分子などがある。一次電池では、第2電極はフッ素化炭素(例えば(CF)n)、SO2Cl2、Ag2V4O11、Ag2CrO4、硫黄、ポリスルフィド、O2またはSO2電極でもよい。
【0043】
リチウム電池は、一般的に第1および第2電極間の短絡を避けるためにセパレータを含む。セパレータは、所定の長さと幅、および約1.0ミル(0.025mm)未満の厚さの微孔ポリマー(典型的にはポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの組合せ)の単層または多層シートからなることが多い。例えば、米国特許第3,351,495号(Larsenら)、同第4,539,256号(Shipmanら)、同第4,731,304号(Lundquistら)、同第5,565,281号(Yuら)を参照。このような微孔膜の孔径は典型的に直径約5ミクロンで、イオンの輸送には十分大きいが、電極が直接または粒子の通過、または電極上に形成することがある樹枝状結晶によって接触するのを避けるためには十分小さい。
【0044】
本発明電気化学デバイスは、コンピュータ、電動工具、自動車、通信機器等さまざまな電子物品に使用することができる。
【0045】
本発明の目的と利点を下記の実施例によってさらに説明するが、実施例に列挙されている具体的な物質および量、および他の条件、詳細等は本発明を限定するものとみなされるべきではない。下記の実施例では、調製された化合物の構造は核磁気共鳴分光法、赤外分光法、質量分析法を用いて決定された。カラムクロマトグラフィはアセトニトリル1部容量と、クロロホルム2部容量との混合物を用いてシリカゲル上で行われた。
【0046】
実施例
実施例1
2−(メチルスルホニル)エチルメチルカーボネートの調製
電磁攪拌棒、ゴムセプタム、ホースアダプタを装備した容量100mlの三つ口丸底フラスコを乾燥窒素でパージし、9.82g(0.0791モル)の2−(メチルスルホニル)エタノール(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)と25mlの無水ピリジンをシリンジで注入した。結果として得られた混合物を氷水浴中で15分間冷却した。混合物に、メチルクロロホルメート(8.30g;0.088モル)をシリンジで20分かけて滴下した。次いで、氷水浴をはずして、混合物を室温で攪拌した。4時間後、結果として得られた明黄色混合物を分液漏斗中の120mlの氷冷した10%HCl水溶液に注ぎ、結果として得られた溶液を40mlずつのCH2Cl2で4回抽出した。結果として得られた有機抽出液を合わせてNa2SO4で乾燥した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下溶媒除去すると、透明明黄色液体が残った。カラムクロマトグラフィで精製して、透明浅黄色油状の2−(メチルスルホニル)エチルメチルカーボネートが11.7g(81%収率)得られ、室温では固化した。油状部分はジエチルエーテルで再結晶し、白色針状物質(融点47〜48.5℃)を得た。
【0047】
実施例2
2−(メチルスルホニル)エチルエチルカーボネートの調製
電磁攪拌棒、ゴムセプタム、ホースアダプタを装備した容量100mlの三つ口丸底フラスコを乾燥窒素でパージし、9.61g(0.0774モル)の2−(メチルスルホニル)エタノール(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)と25mlの無水ピリジンをシリンジで注入した。結果として得られた混合物を氷水浴中で15分間冷却した。混合物に、エチルクロロホルメート(9.48g;0.087モル)をシリンジで20分かけて滴下した。それから、氷水浴をはずして、混合物を室温で攪拌した。5時間後、結果として得られた明黄色混合物を分液漏斗中の120mlの氷冷した10%HCl水溶液に注ぎ、結果として得られた溶液を50mlずつのCH2Cl2で4回抽出した。結果として得られた有機抽出液を合わせて、60mlの飽和食塩水で洗浄し、それからNa2SO4で乾燥した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下溶媒除去すると、透明明黄色液体が残った。カラムクロマトグラフィで精製して、透明無色油状の2−(メチルスルホニル)エチルエチルカーボネートが14.62g(96%収率)得られた。結果として得られた精製液体の一部を8.5×10−3mmHgで真空蒸留すると、透明な油状物質(沸点121〜124℃)が得られた。
【0048】
実施例3
3−(メチルスルホニル)プロピルメチルカーボネートの調製
電磁攪拌棒とマントルヒーターを装備し、大気に開放した容量250mlの丸底フラスコに、24.74g(0.233モル)の3−メチルチオ−1−プロパノール(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)、24mlのH2Oと0.0300gのタングステン酸二ナトリウム二水和物を仕込んだ。40分かけて、56.96gの30%H2O2(過酸化水素)水溶液を結果として得られた混合物にピペットで滴下した。発熱反応であったので、H2O2の滴下中結果として得られた混合物を時々冷却した。その後、混合物を60〜70℃に3.5時間加熱し、それから過酸化物の試験(Merck過酸化物試験紙)を行うと陰性であった。追加のH2O2溶液(2.0g)を混合物に添加し、混合物をもう1時間攪拌した。少量残った混合物中の過剰のH2O2を、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加することによって分解した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下水を除去すると、わずかに濁った無色の液体が得られた。10−C3mmHgで真空蒸留して精製すると、透明無色液体の3−(メチルスルホニル)−1−プロパノールが19.12g(59.4%収率、沸点136〜139℃)得られた。
【0049】
電磁攪拌棒、ゴムセプタム、ホースアダプタを装備した容量100mlの三つ口丸底フラスコを乾燥窒素でパージし、17.53g(0.127モル)の3−(メチルスルホニル)−1−プロパノールと19mlの無水ピリジンシリンジで注入した。結果として得られた混合物を氷水浴中で冷却した。混合物に、メチルクロロホルメート(13.3g;0.141モル)をシリンジで45分かけて滴下した。それから、氷水浴をはずして、混合物を室温で攪拌した。3.5時間後、結果として得られた白色不透明混合物を分液漏斗中の120mlの氷冷した10%HCl水溶液に注ぎ、結果として得られた溶液を50mlずつのCH2Cl2で4回抽出した。結果として得られた有機抽出液を合わせて、Na2SO4で乾燥した。ロータリーエバポレータを用いて減圧下溶媒除去すると、透明浅黄色液体が残り、冷却すると固化した。結果として得られた固体をt−ブチルメチルエーテルで再結晶することにより精製すると、17.6gの白色針状物質(融点55〜56.5℃)が得られ、また濾液を濃縮すると、第2次結晶(1.9g、融点55〜57℃)が得られ、全量で19.5g(78%収率)の3−(メチルスルホニル)プロピルメチルカーボネートが得られた。
【0050】
実施例4
エチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネートを含む電解質組成物の調製 本質的に実施例2に記載の手順に従って調製したエチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネート6.15gに、0.96g(6.15ミリモル)のリチウムトリフルオロメタンスルホネート(Fluorad(登録商標)FC−122、3M社)を溶解することによって、電解質組成物を調製した。結果として得られた電解質溶液を直径15mmの試験管に移した。セル定数1.0のYSI(登録商標)伝導率セル(Yellow Springs Instrument Co.,Inc.(Yellow Springs、OH)製造;VWR Scientific Productsから入手)を試験管に挿入した。Solartron(登録商標)モデル1260インピーダンスアナライザと、Solartron(登録商標)モデル1287電気化学インターフェース(Solartron Instruments(Houston、TX)から入手)を使用して、電解質溶液のインピーダンスを26℃で測定した。電解質溶液のインピーダンスは38,500オームであることがわかったが、これは伝導率2.6×10−5S/cmに相応する。その後、試験管を固体アルミニウムブロックヒータの中に置き、Omega(登録商標)モデルCN76000温度コントローラを50℃に設定して、サーモスタット制御した。溶液のインピーダンスを再測定すると、11,600オームであったが、これは伝導率8.6×10−5S/cmに相応する。
【0051】
実施例5
エチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネートを含む電解質組成物の調製 本質的に実施例2に記載の手順に従って調製したエチル2−(メチルスルホニル)エチルカーボネート4.09gに、1.175g(4.09ミリモル)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Fluorad(登録商標)HQ−115、3M社)を溶解することによって、電解質組成物を調製した。結果として得られた電解質溶液を直径15mmの試験管に移した。セル定数1.0のYSI(登録商標)伝導率セル(Yellow Springs Instrument Co.,Inc.(Yellow Springs、OH)製造;VWR Scientific Productsから入手)を試験管に挿入した。Solartron(登録商標)モデル1260インピーダンスアナライザと、Solartron(登録商標)モデル1287電気化学インターフェース(Solartron Instruments(Houston、TX)から入手)を使用して、電解質溶液のインピーダンスを26℃で測定した。電解質溶液のインピーダンスは9,600オームであることがわかったが、これは伝導率1.0×10−4S/cmに相応する。
【0052】
実施例6
実施例4の電解質組成物を含む電気化学セルの調製
MnO2(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI、<10ミクロン、18時間加熱炉内で400℃に加熱)を、Vulcan(登録商標)VXC−72導電性炭素(Cabot Corporation)、およびポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)のN−メチルピロリドン溶液と結合させて、電極を作成した。MnO2、Vulcan(登録商標)VXC−72導電性炭素、PVDFの重量比は、90:5:5であった。結果として得られた懸濁液を1ミクロン厚のステンレス鋼箔上に、湿潤厚0.254mm(0.010インチ)で塗布した。結果として得られた塗布箔をオーブン中80℃で20分間乾燥し、さらに真空オーブン中120℃で12時間乾燥した。電気化学セル(2325コインセル)を、一電極として塗布箔、対極としてリチウム金属、電解質として実施例4の電解質組成物とともに組立てた。Cotran(登録商標)9711微孔ポリ(エチレン)(3M社)の一層をセパレータ物質として使用した。セルを閉じる前に、電極とセパレータが電解質組成物で完全に湿潤したことを観察した。結果として得られた電気化学セルの開路電圧は、3.1V〜3.5Vであった。電気化学セルをMaccor(登録商標)シリーズ2000電池試験機(Maccor Inc.、Tulsa、OK)で0.5Vに放電した。
【0053】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には本発明のさまざまな修正および変更が明らかとなるであろう。
Claims (10)
- アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、およびそれらの組合せからなる群から選択された直接結合基のみに直接結合する少なくとも1種のカーボネートまたはカーバメート部分を含む化合物であって、前記基が1種以上のカテナリーヘテロ原子を任意に含有し、かつ少なくとも1種の前記直接結合基が少なくとも1種のスルホニル部分を含む化合物。
- 前記カーボネートまたはカーバメート部分がカーボネート部分であり、前記化合物が唯一の前記カーボネート部分を含む、請求項1に記載の化合物。
- 前記直接結合基がアルキル基であり、前記直接結合基が少なくとも1種の前記スルホニル部分の硫黄原子以外のカテナリーヘテロ原子を含有せず、唯一の前記直接結合基が少なくとも1種の前記スルホニル部分を含み、前記少なくとも1種の直接結合基が唯一の前記スルホニル部分を含み、前記直接結合基がそれぞれ約6個以下の炭素原子を含有する、請求項1に記載の化合物。
- 炭素原子数に対する酸素原子数の比が約0.4〜約1の範囲になるような酸素含有量と炭素含有量を有する、請求項1に記載の化合物。
- 前記各Rがカテナリーヘテロ原子を含有しない、請求項5に記載の化合物。
- 下記の一般式I:
H(CH2)mSO2(CH2)nQ(R)p (I)
[式中、Qはカーボネート、O−C(O)−O−であり、Rが、約6個以下の炭素原子を含有し、かつ1種以上のカテナリーヘテロ原子を任意に含有するアルキル基であり、mは1〜約4の整数であり、nは1〜約4の整数であり、pは整数1であり、mとnの合計が約6以下である]で表される化合物。 - (a)少なくとも1種の請求項1、5または7のいずれか一項に記載の化合物、および(b)少なくとも1種の電解質塩を含む組成物。
- 請求項8に記載の組成物を含む電気化学デバイス。
- 請求項9に記載の電気化学デバイスを含む物品。
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