JP2004516607A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 水酸化ニッケルの作製方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化ニッケル正電池電極材料を作製する方法であって
a)活性正電池電極材料として使用される水酸化ニッケル材料の品質に有害な影響を及ぼす不純物を含有する出発次ニッケルをニッケル源として供給する工程と、
b)前記二次ニッケルを溶液に処方する工程と、
c)前記溶液に、低減された不純物を有する沈殿ニッケル塩を与えるのに有効な量の炭酸塩沈殿助剤を加える工程と、
d)前記溶液から前記沈殿ニッケル塩を分離する工程と、
e)分離された前記ニッケル塩をニッケル塩溶液に溶解する工程と、
f)ニッケル塩沈殿物が沈殿するように前記ニッケル塩溶液の一部を蒸発により濃縮する工程と、
g)前記ニッケル塩沈殿物を前記活性水酸化ニッケル正電池電極材料に転換する工程
含む方法。
【請求項2】
前記出発二次ニッケル溶液、ニッケル電気精錬処理、ニッケル無電解めっき処理又はニッケル電気めっき処理からの使用済み溶液であ、請求項の方法。
【請求項3】
前記出発二次ニッケル塩溶液、少なくとも100g/lのニッケルを含、請求項2の方法。
【請求項4】
前記ニッケル塩沈殿物を前記活性水酸化ニッケル正電池電極材料に転換する工程沈殿反応を含、請求項の方法。
【請求項5】
前記ニッケル塩沈殿物を前記水酸化ニッケル活性正電池電極材料に転換する工程は、
前記ニッケル塩溶液と、
アンモニウムイオンと、
水酸化物イオンと、
Al、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、La及び他の希土類元素、Mg、Mn、Ru、Sb、Sn、Ti、Zn、Ba、Si、並びにSrからなる群から選択される任意添加変性剤と
を同時に組み合わせることを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記ニッケル塩沈殿物を前記活性水酸化ニッケル正電池電極材料に転換する工程は、連続攪拌沈殿反応である、請求項1の方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
本発明は、同時継続米国特許出願:“Nickel Hydroxide Positive Electrode Material Exhibiting Improved Conductivity and Engineered Activation Energy”と題する1998年8月17日フィエロ他による出願の出願番号第09/135,477号;及び“Composite Positive Electrode Material and Method for Making Same”と題する1998年8月17日フェトセンコ他による出願の出願番号第09/135,460号;及び“Structurally Modified Nickel Hydroxide Material and Method For Making Same”と題する1998年9月15日オブシンスキー他による出願の出願番号第09/153,692号の一部継続出願であり、開示内容は此処に引用して取り入れてある。
【0002】
(技術分野)
本発明は、アルカリ再充電可能電池用の高密度水酸化ニッケルの作製方法に関する。特に、本発明は、低原価二次ニッケル源から電池電極用水酸化ニッケルを作製する方法に関する。
【0003】
(背景技術)
電池に対する需要は過去十年にわたって劇的に拡大し、驚くべき速度で成長を続けている。高エネルギー密度及び大容量を有する再充電可能電池が特に望まれている。広く使われている二つの型の電池は、Ni−Cd(ニッケル・カドミウム)型と更に望ましいNi−MH(ニッケル・金属水酸化物)型である。両種の電池とも正電極と負電極を備えている。どちらの型の電池においても、正電極は主として水酸化ニッケル活性材料から作製される。
【0004】
Ni−MH電池は、可逆的電気化学的水素貯蔵が可能な負電極を用いる。Ni−MH電池は、通常、水酸化ニッケル材料で作られた正電極を採用する。負及び正電極は、アルカリ性電解液中に一定間隔離して配置される。Ni−MH電池に電位を印加すると、負電極のNi−MH材料は、水素の電気化学的吸収及び水酸基イオンの電気化学的放出により式1に示すように充電される。
【0005】
【化1】
Figure 2004516607
負電極反応は可逆的である。放電に際しては、貯蔵された水素が解放されて水を形成し、電子を放出する。
【0006】
Ni−MH電池の水酸化ニッケル正電極で起こる反応は、式2に示される。
【0007】
【化2】
Figure 2004516607
電池用正電極材料としての水酸化ニッケル、Ni(OH)の使用は、一般的に知られている。例えば、開示内容が此処に引用して取り入れてある、“Enhanced Nickel Hydroxide Positive Electrode Materials For Alkaline Rechargeable Electrochemical Cells”と題し、1996年6月4日オブシンスキー他に対して発行された米国特許番号第5,523,182号を参照のこと。
【0008】
正電極の幾つかの形態が現在存在し、焼結され、発泡体化され、乃至はペースト状にされた電極型式を包含している。正電極を作る方法はこの技術分野で一般に知られており、例えばオブシンスキー他に対して発行され開示内容を引用して此処に取り入れてある、560mAh/ccを超える容量が報告された米国特許番号第5,344,728号を参照のこと。使用される特定の処理法が電極の性能に重大な影響を及ぼすことがありうる。例えば、従来法による焼結電極は、通常約480〜500mAh/ccのエネルギー密度を有する。焼結正電極は、ニッケルめっきした鋼基材にニッケル粉懸濁液を塗布し、続いて高温で焼結することにより形成される。この処理はニッケルの個々の粒子を接触点で融合させ、約80%が空間で20%が固体金属である多孔質材料をもたらす。この焼結材料は次いで、硝酸ニッケルの酸性溶液に浸し、続いてアルカリ金属水酸化物との反応により水酸化ニッケルに転換することによって、活性金属で充填される。充填後、材料は電気化学的形成処理を受ける。
【0009】
これよりも格段に高い充填率を達成するためには、現在の動向は焼結正極から離れてペースト状電極に向かっている。ペースト状電極は、導電性網状物又は基板、最も一般的なのは発泡体ニッケルであるが、と接触している水酸化ニッケル粒子から成っている。これら電極は数種の変形物があり、黒鉛を微小導電体として使うプラスチック結合ニッケル電極、並びに高多孔質導電性ニッケル繊維又はニッケル発泡体支持物に装着した球状水酸化ニッケル粒子を使うペースト状ニッケル/繊維電極を包含する。
【0010】
低原価、大容量水酸化ニッケルの生産は、Ni−MH電池の将来の商用化に対し決定的に重要なものである。電極形成と同様、水酸化ニッケルの性質は、使用される製造法に依存して広範囲に差が生ずる。一般に、水酸化ニッケルは、ニッケル塩と水酸化物塩とを混合し次いで水酸化ニッケルを沈殿させるという、沈殿法により製造される。活性水酸化ニッケル材料は、大きな容量と長いサイクルライフを有することが好ましく、開示内容が引用して此処に取り入れてある、オブシンスキー他による米国特許番号第5,348,822号を参照のこと。
【0011】
電池電極での使用に適した水酸化ニッケルは、1.4〜1.7g/cmの見掛け密度、1.8〜2.3g/cmタップ密度、及び約5〜50μの寸法範囲を具備すべきであるということを発見した。活性水酸化ニッケル粒子は形状が球形で、高いタップ密度と狭い寸法分布を有することが好ましい。好ましくは、平均粒径は約10μmであり、タップ密度は約2.2g/ccであるべきである。この種の水酸化ニッケルで作製したペーストは、良好な流動性と均一性を有し、従って大容量、均一充填度の電極を組み立てることができる。この種の水酸化ニッケルの使用は、電極の活性材料および放電容量の利用率も改善する。もし工程が注意深く制御されないと、沈殿物は不規則な形状及び/又は低いタップ密度を持つことになる。例えば、反応速度が速すぎると、形成される沈殿物は細かすぎ且つ密度は低すぎる可能性がある。低い密度の細かい粉体は、より永い濾過又は洗浄時間を必要とし、表面への水の吸着を増加させる。更に、沈殿した粒子が広すぎる寸法分布(1から数百ミクロンに及ぶ)を有する場合、水酸化ニッケルは使えるようにするために粉砕処理を必要とすることがある。低密度水酸化ニッケルで形成した電極は、大容量及び高エネルギー密度に欠けることになる。これら及びその他の理由により、不規則な形状及び/又は低い密度を有する活性粉体は、大容量電池電極材料としての用途には決して望ましいものではない。
【0012】
高密度で殆ど球状の水酸化ニッケルを得るために、粒子は、注意深く制御された処理条件の下でゆっくりと成長させられる。溶液中に供給されるニッケル塩はアンモニウム・イオンと化合する。ニッケル塩は、アンモニア水と錯塩を形成しそれに苛性アルカリを添加する。水酸化ニッケルは、それによりニッケルアンモニウム錯塩の分解により徐々に沈殿する。反応速度を制御するのが難しいので、生産工程における重要段階を分離する方法が前記の困難性を克服するために導入された。例えば、開示内容が此処に引用して取り入れてある、“Method for Preparing High Density Nickel Hydroxide Used for Alkali Rechargeable Batteries”と題し、1996年3月12日シン氏に対して発行された米国特許番号第5,498,403号は、分離又は隔離アミン反応装置を用いて硫酸ニッケル溶液からニッケル水酸化物を調製する方法を開示している。硫酸ニッケルは、隔離アミン反応装置内で水酸化アンモニウムと混合されてニッケルアンモニウム錯塩を形成する。ニッケルアンモニウム錯塩は、反応装置から移されて第二の混合容器又は反応装置に送られ、そこで水酸化ナトリウムの溶液と組み合わされて水酸化ニッケルを得る。このような方法は、非常に高純度の原材料源即ち以下の明細書で一次ニッケルと呼んでいるものに強く依存している。
【0013】
従って、今日の正電極材料を作製するための全ての処理法は、ニッケル塩出発溶液の生産に、上述したように高価で良質な高純度の一次ニッケルを利用してきたという事実に注目しなければならない。現代の処理技術及び自動化が電池電極材料の生産における労務費を削減したので、一次ニッケル及びそれに伴う塩類の原価が、活性電極材料、電池電極、及び電極が内蔵される電池の原価を決定する上で重要な因子となり、最終水酸化ニッケルの直接製造原価の60%もの大きさを占めている。
【0014】
活性材料の生産に用いられる一次ニッケルは、通常は硫化ニッケル及び酸化ニッケルの鉱石から得られ、電気的処理法により精錬される。硫化ニッケル鉱石は浮遊選鉱法によって精製され、焙焼されて酸化ニッケルになる。酸化ニッケル鉱石は通常は、アンモニアによる浸出などの湿式冶金精錬法により精製される。精製されたニッケル鉱石は、一次ニッケルとして市場に流通させるために普通はニッケル正極に鋳造される。次いで、高純度一次ニッケルは硫酸塩溶液などの溶液に溶解され、しばしばニッケル電気めっき及び無電解ニッケルめっきが最終用途となる高純度硫酸ニッケル水溶液として販売される。
【0015】
地球の殻内に存在するニッケルの推定量平均は、Handbook of Chemistry and Physics、第78版、1997−1998年の14−14頁に報告されているように、約0.0084重量%に過ぎない。ニッケルはステンレス鋼の生産を含め多くのものに使われるので、ニッケルの需要は非常に大きく、それがニッケルを比較的高価な金属にしている。一次ニッケルは上場取引商品であるけれども、激しい市場の価格変動に曝されている。例えば、1999年6月1日から2000年6月1日迄の期間に、ニッケルの価格はロンドン金属取引所で報告されているように2.16$/ポンドの底値と4.77$/ポンドの高値を示す劇的な不安定性を経験した。ニッケルの上昇する価格を相殺する又は防御する手段として、多くの水酸化ニッケルの大手生産者は、ニッケル鉱山の所有権を買うことまでしている。高騰するニッケルの価格に対応できない水酸化ニッケルの小さな生産者は、不利な競争にとり残されてきた。
【0016】
従って、高純度のニッケルから水酸化ニッケルを生産する今日の方法は、一次ニッケルの市場価格によって動かされないようなニッケルの独立した材料源を欠くものである。
【0017】
電池電極用の水酸化ニッケルの生産に現在使われていない一つの特別なニッケル源は、二次ニッケル又はニッケル副産物である。二次ニッケルは、一次ニッケル又は高純度ニッケルの生産に無関係な処理又は廃液の何れかから得られるニッケル、又はニッケルの電気めっき又は無電解めっきで用いられる使用済み又は未使用溶液からのニッケルである。二次ニッケルを特徴付ける一つの方法は、その使用来歴によるものである。例えば開示内容を此処に引用して取り入れてある米国特許番号第5,861,131号に見るように、ニッケルを精製するための諸方法が現在あるけれども、このような方法は電池電極材料に用いられる水酸化ニッケルの生産に適した二次ニッケル源を提供しない。加えて、背景となる技術が、活性電池電極材料、特に水酸化ニッケル生産で使用するための二次ニッケル又はニッケル副産物の利用に付いて教示乃至は示唆していない。これらの二次ニッケル源は完全に廃棄物として分類することは出来ず、二次ニッケルを使用する費用によって活性材料の総原価を劇的に低減する。
【0018】
従って、電池電極及び電極材料生産用の一次ニッケルの代替品に対する、永い間捜し求められてきたが現在未だ達成されていない必要性が存在する。
【0019】
(発明の要約)
本発明は、とりわけ、新規な出発材料を用いて水酸化ニッケルを作製する方法を提供することによって、上述の問題その他の解決をはかろうとしている。未使用及び使用済み溶液の両者を含むニッケル電気めっき及び無電解めっき液、並びに金属イオンを含む種々の型の廃液は、一般に知られてはいるが、活性電池電極材料を生産するのにこれまで用いられたことはなかった。従って、本発明は、、その金属を活性正電極材料の生産に用いることによって、二次金属又は金属廃液の新しい用途を提供する。
【0020】
電池電極材料は、一つ以上の変性剤又は変性剤元素を含む殆ど球形で高密度の水酸化ニッケル材料又はオキシ水酸化ニッケル材料であることが好ましい。好ましい変性剤元素は、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Ru、Sb、Sn、Sr、Ti、及びZnから成る群から選ばれるものを含む。特に、Co、Zn、Ca、Mg、Cu、Al及びLiの変性剤は、より好ましいものである。
一般的に、本発明は、二次ニッケルまたはニッケルが副産物である二次ニッケル源から水酸化ニッケル電池電極材料を作製する方法を提供する。
【0021】
この方法は、ニッケル源として二次ニッケルを供給する工程、二次ニッケルを溶液にする工程、ニッケル塩を沈殿させるのに効果的な量だけ溶液に沈殿助剤を添加する工程、ニッケル塩を溶液から分離する工程、分離されたニッケル塩をニッケル塩溶液に溶解する工程、ニッケル塩溶液の一部を蒸発してニッケル塩沈殿物を沈殿させる工程、並びに、ニッケル塩沈殿物を活性正電極材料に転換する工程を含んでいる。
【0022】
本発明の第二の態様は、二次ニッケル源を利用するためには、沈殿処理が水酸化ニッケル最終製品の究極の適用性を決定するものであるということを認めることである。従って、前駆アミン初期反応を備えた普通の二基反応器に代って、単一沈殿反応が二次ニッケルの利用を可能とする。
【0023】
本発明の第三の態様は、二次ニッケル源の利用は妥協を許さない命題である必要はなく、且つ水酸化ニッケルの特定の最終組成は二次ニッケル源に対して多少の許容範囲を有するということを認めることである。従ってこの方法は、「手を加えない」二次ニッケル源が、不純物及び組成上の困難な点が存在しても少なくとも部分的には代用使用可能なことを認めるものである。一次及び二次ニッケルを用いた、溶液を混合する新規な手法が開示されている。
【0024】
本発明の第四の態様は、電池としての最終利用目的のためペースト装着や容量などのある種の性能特性が要求されるということを認めることである。この場合、一次ニッケルから作製した水酸化ニッケルと二次ニッケルから作製した水酸化ニッケルとを一緒に調合する、新規な手法が開示されている。
【0025】
更に本発明のもう一つの態様は、「仕様から外れた水酸化ニッケル」を新しい水酸化ニッケルを作製するのに適した硫酸ニッケル溶液中へ再生して戻すことである。「仕様外れの水酸化ニッケル」は、反応器始動時の廃材、化学組成の変更時に形成された過渡的材料、又は停電や装置故障など生産上の問題の結果生じた材料などである。
【0026】
本発明に従って生産された水酸化ニッケル材料は、活性正電極材料としての用途に適した形状、粒径、タップ密度、及び結晶性を具備する粒子を提供する。本発明のより完全な理解のために、以下の詳細な説明並びに添付されている図面が参照される。
【0027】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
図1は、一次又は二次ニッケル源から水酸化ニッケルを前駆アミン反応器無しで作製するのに用いられる新規な沈殿処理法を例示しており、その詳細は以下に詳しく説明される。単一反応器系は、単一反応器系が改善された工程管理を提供し、未成熟沈殿を回避し、且つ未知の溶解物質に対するより大きな許容性を与えるので、本発明を実施するのに好ましいものである。
【0028】
さて、図4を参照すると、100で表わされているのは、本発明に従って未知の溶解物質を含む出発二次金属源から、水酸化ニッケル活性材量を作製する方法の工程フローチャートである。二次金属源は、電気鍍金および無電解ニッケルめっきの際に金属源の利用に有害な影響を及ぼすような不純物を少なくともひとつ含んだ、二次ニッケル源であることが好ましい。二次ニッケル源は、また、直接水酸化ニッケル製造工程に用いられた場合、電池電極材料としての用途には適さない品質のものであってもよい。
【0029】
二次ニッケル源は、原材料源として高純度ニッケルの代りをつとめるのは驚くべきことで、このようなニッケルは二次ニッケルと呼ばれる。二次ニッケルはニッケルが副産物として乃至は金属処理液や金属廃液からの廃棄金属として供給されるようなすべてのニッケル金属か、ニッケル合金か又はその他のニッケルを含む材料かの何れかとして定義される。一方、一次ニッケルは、一般的にニッケル鉱石及びから得られる高純度ニッケルである。一次ニッケルは、流通のためにしばしば電気分解法により精製されるか又は単一の結晶陽極に鋳造され、例えば、無電解処理法でなく電気処理法によって精製される。一次ニッケルは、0.05重量%未満の金属不純物を有する試薬級純度のニッケルのようなの高純度ニッケルである。一方で、二次ニッケルは、金属めっき浴、めっき廃液、金属電気精錬操作、電気めっき操作、ニッケルめっき液、ニッケル電気めっき操作、無電解ニッケルめっき操作、銅精錬操作、銅めっき操作、又はそれら何れかの組合せなどの、金属処理液からの残留、使用済み又は廃棄ニッケルとして供給されることが好ましい。二次ニッケルは、使用済み又は未使用溶液であってもよい。従って、二次ニッケルを特徴付ける一つの方法は、水酸化ニッケルの作製以外の処理用に初めは調整されたものである、又は工業用生産処理からの使用済み材料である、といった使用来歴からである。
【0030】
二次ニッケル源は、ニッケルをどのような適切な形態においてでも供給できる。例えば、二次ニッケル源は、ニッケルを固体又は溶液の何れの形でも供給できる。二次ニッケル源のニッケルは、硫酸ニッケル固体又は硫酸ニッケル溶液として供給されることが好ましい。ニッケルは、窒化ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、等として供給されてもよい。ニッケルが固体のニッケル塩として供給される場合は、ニッケル塩は硫酸塩溶液に転換されることが好ましい。ニッケル塩の硫酸ニッケル溶液への変換は、適切な方法、例えば、アンモニウム抽出、沈殿、及び濃硫酸での再溶解によって達成することが出来る。硫酸ニッケル出発溶液は、活性水酸化ニッケル材料の生産に直ちに使用できる形態のニッケルを提供する。
【0031】
二次ニッケル出発源は、有機材料および無機材料の両者を含んだ広い範囲の不純物を含んでいる。望ましくない不純物とは、変性剤と異なり、元素の性質又は過剰な濃度に起因して正電極の適正な機能や構造を妨げるような不純物である。二次ニッケル又はニッケル源は、Fe、Cu、Mn、Pb、Ca、Mg、Naから成る元素群から選ばれた少なくとも一つの不純物元素を含むことがある。これらの不純物は、例えば電気めっき操作中のような通常又は異常生産工程において、多くの源からニッケル溶液に入ってくる可能性がある。望ましくない不純物は、水酸化ニッケルの適正な沈殿のような水酸化ニッケル形成工程そのものを妨げ得る元素又は化合物を含むこともある。例えば、高濃度の不純物は、低エネルギー密度、小容量、低タップ密度、小表面積、劣悪な粒形、又は貧弱な結晶性などをもたらす可能性がある。何れにせよ、出発二次ニッケル源が不純物を含有している場合は、高純度ニッケルで痕跡元素として報告されるものより多く、例えば0.05重量%より大きく、より好ましくは0.4重量%以上、例えば4重量%以上、6重量%以上、8重量%以上、10重量%以上、又は12重量%以上などである。このような高い濃度の不純物を含有する二次ニッケル源は、今まで水酸化ニッケル出発材料として用いられたことはなかった。
【0032】
とりわけ、ナトリウムが全溶解金属の9%を超える濃度で出発二次ニッケル源内に存在する場合、二次ニッケル又はニッケル源は、水酸化ニッケル粉体の生産品質に影響する可能性があるということが見出されている。例えば、ナトリウムが出発二次硫酸ニッケル中に4g/lを越える量で存在する場合、その二次ニッケル源から生産された水酸化ニッケルは、貧弱な結晶性と低いタップ密度を有するということが見出されている。
【0033】
二次ニッケル源は、最終の活性生産物に有益又は無害である少量の元素を更に含有することがある。有益な元素は種々の変性剤元素を含む。これらの元素は、9重量%未満の少量で存在し、米国特許出願第5,348,822号及び同時係属米国特許の出願番号第09/135,477号と第09/135,460号で詳しく説明されているように、Co、Zn、Mg、Ca、Mn、Cu、などを含む。
【0034】
例えば、市販の硫酸ニッケルは固体で、溶解金属0.05%未満の高純度水準を有する。以下は、硫酸ニッケル溶液の形態における一次ニッケルのg/λで表わしたICP法による分析結果である。
【0035】
Ni:151.1
Co:0.0
Cd:0.0
Zn:0.0
Fe:0.0
Cu:0.0
Mn:0.0
Pb:0.0
Ca:0.0
Mg:0.0
Na:0.03
二次ニッケルは高純度ではなく、実際には二次ニッケルは複数の不純物を含んでいる。以下は、ニッケルめっき操業からの使用済み硫酸ニッケル溶液の形態におけるg/lで表わしたICP法による分析結果である。
【0036】
Ni:136.7
Co:0.0
Cd:0.0
Zn:0.0
Fe:0.36
Cu:0.12
Mn:0.08
Pb:0.0
Ca:0.85
Mg:0.22
Na:16
出発二次ニッケルがどのような形で供給されるかに関係なく、即ち二次ニッケルが固体であろうと又は溶液中に存在しようと、二次ニッケルは最終的にはニッケル塩溶液に転換されるか又はニッケル塩溶液として供給される。ニッケル塩溶液は、少なくとも100g/lニッケルから最大溶解度水準までのニッケル濃度を有することが好ましい。ニッケル塩溶液は、硫酸ニッケル溶液であることが好ましい。ニッケルが僅か100g/lから140g/lの程度で存在する低含有度のニッケルが、本発明の単一反応器系を用いて優れた水酸化ニッケル材料を形成できることを見出した。
【0037】
ニッケル塩溶液は、望ましくない不純物を除去してニッケル塩沈殿物を得るために、少なくとも一回の沈殿過程を通すのが好ましい。沈殿反応は、適切な沈殿助剤でさえあれば何によっても達成できる。好ましくは、沈殿助剤は炭酸塩溶液である。炭酸塩は、炭酸ニッケルを沈殿させるのに有効な量が添加される。それであるから、炭酸塩は、ニッケル塩溶液に過剰に添加するのが好ましい。炭酸塩は、炭酸ソーダ、炭酸カリウム、重炭酸ソーダ、重炭酸カリウム、上述のものの組合せ、又は類似物などの、炭酸ニッケル固体を沈殿できる炭酸塩であれば如何なるものでもよい。炭酸塩は、炭酸ソーダ溶液であることが好ましい。過剰量の炭酸ソーダがニッケル塩溶液へ添加されることにより、炭酸ニッケルは、種々の有機物、無機物、窒素含有化合物、及び表面活性材と大量の銅とナトリウムを置き去りにして、直ちに沈殿する。本発明によって、別工程を追加する費用があるにもかかわらず、原材料費の節約が追加処理工程を相殺して余りがあることが見出された。従って、本発明は、二次ニッケルの不純物を活性電池材料で使用出来るのに十分な量に低減させるための電気分解を使用しない手段又は処理法を用いて、二次ニッケルから水酸化ニッケルを作製する方法を提供する。
【0038】
ニッケル塩沈殿物は、濾過又はデカンテーションにより炭酸塩溶液から分離され、洗浄して更なる不純物が除去される。濾過は、重力濾過、真空濾過など周知の濾過法の何れをも包含している。洗浄は、水及び/又はエタノール、トルエン、アセトン、などのその他溶媒を用いて沈殿物を洗うことを包含している。ニッケル塩沈殿物を出発溶液から分離することにより、水及び/又はその他溶媒に容易に溶解する種々の不純物を置き去りにする。
【0039】
ニッケル塩沈殿物は、次いで溶液中に再溶解され、活性正電極材料の作製に使用するのに適した品質を有する硫酸ニッケル出発塩として、再沈殿される。好ましくは、ニッケル塩沈殿物は、硫酸中に溶解されて硫酸ニッケル溶液を形成し、次いで濃縮・沈殿工程により沈殿させられる。硫酸は、50%から99%の濃度範囲を有する濃硫酸であることが好ましい。濃縮・沈殿工程は、濃縮・沈殿工程の無い硫酸ニッケルに比べて、より優れた硫酸ニッケルを提供する。例えば、上で形成された炭酸ニッケル沈殿物は、硫酸に溶解されて硫酸ニッケル溶液を形成することが出来る。硫酸/硫酸ニッケル溶液は、次いで水で希釈される。水は硫酸ニッケル溶液から蒸発され、硫酸ニッケル固体が沈殿する。硫酸ニッケル固体は硫酸塩溶液から、例えば濾過、デカンテーション、などの何れかの適切な分離処理法により分離される。この硫酸ニッケル固体は、次いで水に再溶解して、水酸化ニッケル出発溶液としての用途に適した硫酸ニッケル水溶液を形成することが出来る。
【0040】
硫酸ニッケル出発水溶液は、高品質水酸化ニッケル材料を形成するのに用いられる。図1及び4に示すように、水酸化ニッケル材料は、二次ニッケル源から作製した硫酸ニッケル出発溶液と水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムとを、単一反応容器中で同時に化合させて水酸化ニッケル粒子を形成させることによって、調製されるのが好ましい。化合した溶液は、連続的に高速で撹拌又は揺動さられるのが好ましい。生成するや否や水酸化ニッケルを直ちに沈殿するような温度とpHで水酸化ニッケルの微粒子は成長させられる。本発明に従って生産された水酸化ニッケル材料は、高密度で、均質、球状の、120オングストローム未満の微細結晶粒径を持つ粒子を有する。これは粒子が一般に120オングストロームを超える微細結晶粒径を有する先行技術による材料とはっきりとした対照をなしている。より正確には、水酸化ニッケル材料の粒子の微細結晶粒径は、50〜150オングストローム、より好ましくは60〜103オングストローム、最も好ましくは70〜100オングストロームの範囲で製造される。これらの材料は優れた容量を提供し、従って高品質水酸化ニッケル材料と呼ばれる。
【0041】
本発明の第二の態様は、二次ニッケル源を利用するためには、沈殿処理そのものが高品質水酸化ニッケル最終製品の終極の生成を左右するものであるということを認めることである。単一沈殿反応器は、普通の前駆アミン初期反応器を有する二基反応器系と違って、変性された二次ニッケル源の使用を可能にする。本発明者等は、前駆アミン反応器又は前駆アミン過程は、市販の高純度硫酸ニッケルに見られるよりも多量の不純物を含有する二次ニッケル源を取り扱うのには特に望ましくないものであると信じている。
【0042】
さて、更に詳細に説明すると、上ではでは簡単に説明したように、本発明は、二次ニッケル源を用いて活性正電極材料を作製する処理法を提供し、その処理法が図1に示されている。処理法は、単一反応器(10)内でMeNO、MeSO(3)、NHOH(5)及びNaOH(7)を組合せること、20〜100℃(より好ましくは40〜80℃で、最も好ましくは50〜70℃)の一定温度に反応器を保つこと、混合物を400〜1000rpm(より好ましくは500〜900rpmで、最も好ましくは700〜800rpm)の速度で撹拌(9)すること、撹拌している混合物のpH(11)を9〜13(より好ましくは10〜12に、最も好ましくは10.5〜12.0に)に制御すること並びに液相及び気相両方のアンモニアの濃度を制御する工程を含んで構成されている。上述したMe又は金属組合せは、Ni及び最終の変性されたニッケル水酸化物材料内に取り込まれる種々の金属変性剤の一つ(又は複数)、及び不純物を含む。更に追加される変性剤は、Al、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、La(及び他の希土類金属)、Mg、Mn、Ru、Sb、Sn、Ti、Zn、Ba、Si及びSrから成る群から選ぶことが出来る。
【0043】
MeSO溶液は、3〜30重量%、より好ましくは5〜25%、最も好ましくは7〜12%の硫酸ニッケルとしてのニッケルを、望みの一つ(又は複数)の変性剤を含んだ他の硫酸塩溶液と混合して処方される。全体として、反応器に加えられる金属硫酸塩溶液は、0.05〜3M、より好ましくは0.5〜3M、最も好ましくは1〜3Mである。反応器に加えられるNHOH溶液は、1〜15M、より好ましくは5〜15M、最も好ましくは10〜15M溶液である。反応器に加えられるNaOH溶液は、5〜50重量%、より好ましくは8〜40重量%、最も好ましくは15〜30重量%である。脱イオン水が全ての必要な溶解又は希釈において使用されるのが好ましい。
【0044】
上で述べたように、反応器内の混合物のpHは制御されねばならない。pHの制御は、如何なる適切な方法によって達成されても良いが、必要に応じて塩基を添加しして達成するのが好ましい。KOH又はNaOHなどの塩基の添加が好ましい。最も好ましくは、20〜60重量%KOH又はNaOHが用いられる。反応器内の混合物の温度は、上述の温度に維持されなければならない。反応器内に導入された混合物の成分間の最適な接触を確保するためには、混合又は攪拌を絶えず行わなければ成らない。混合は、撹拌、かきまぜ、渦流、超音波などの適切な如何なる方法によっても行われるが、上に述べたような攪拌速度を達成しなければならない。
【0045】
カルシウムを効率よく本発明の改質水酸化ニッケル材料内へ取り込むためには、カルシウムは金属硫酸塩溶液(MeSO)の一部ではないのが好ましく、むしろカルシウムは別個の溶液として調合され、別個の供給液流を用いて導入されるべきである。好ましくは、供給液流はCaCl又は硝酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのその他の可溶性溶液であり、Caは独立に反応器内に導入することが出来る。別個の溶液は、活性材料内部へ付与されるのが望ましいその他の不溶性材料に対しても用いることが出来る。反応装置内に導入されるCa塩溶液は、0.005〜20重量%、より好ましくは0.005〜2.0重量%、最も好ましくは0.005〜1.0重量%である。従って、本発明の好ましい実施態様においては、硝酸塩を含まない活性正極材料を生産することのできる新規な連続沈殿処理法が提供される。
【0046】
各成分の添加及び生成懸濁液(沈殿した水酸化ニッケル材料を含む)の抽出は、懸濁液が最大量の沈殿物と最少量の未反応成分を含むように、適当な速度で注意深く制御される。上述のような連続処理作業条件は、99.98%という注目すべき高い歩留をもたらした。この処理法は幾つかの点で新規なものである。第一に、連続撹拌タンク反応器(CSTR)の概念を水酸化ニッケルの製造に適用するのは完全に新規なことである。先行技術参考文献(現代自動車社の特許番号第5,498,403号参照のこと)には、前駆アミン錯塩の形成を伴う直列接続の二基の反応器を採用する必要性が示されている。二基反応器手法は、高密度球状水酸化ニッケル粒子を達成するためには不可欠であると考えられてきた。しかし本発明者等は、実際に二基の反応器が多数の不利な点を有すし、前駆アミン錯塩生成反応と本来の水酸化ニッケル沈殿反応という、二つの大幅に異なる反応速度のバランスをとることには甚だしい困難を生ずると信じている。二基反応器手法の欠点は、以下を含む:
・ 第一反応器における未熟成沈殿により低いタップ密度と制御出来ない粒径をもたらすこと。
【0047】
・ 第一反応器において非常に過剰なアンモニアを使用しなければ成らないことによる低い歩留。
【0048】
・ 希薄な硫酸塩溶液が必要なことによる過度の排出液量。
【0049】
・ 二つの反応速度を平衡させるという自動制御の立場からの複雑さ。
【0050】
・ ニッケル・アンモニア錯塩を分解するのに必要な高いpH(>12)に起因する第二反応器内での腐食による機器の早期故障。
【0051】
沈殿反応を遅らせ且つ高密度粒子を形成させるのにニッケル・アンモニウム錯塩を沈殿前に確実に形成するためには、先行技術の二基−反応器手法もまた水酸化ニッケル生産にとって不可欠であると考えられていた。高電力密度を目標とすることは電池としての使用上強調しすぎることはないので、活性材料の装着が正極全体及び電池装置全体のエネルギー密度にとって必須である。ニッケル・アンモニウム錯塩の注意深い形成をしないで高密度球状水酸化ニッケルを沈殿させる全ての周知の試みは商業的に実用可能な高密度材料を達成するのに失敗している結果として、必然的に二基反応器製造法が世界的に使用されるようになった。
本発明者等は、CSTR手法が処理工程を非常に簡単化することを見出している。本発明者等は、ニッケル・アンモニウム錯塩は同時に生成され且つ破壊されてもよいこと、ニッケル・アンモニウム錯塩の短壽命は普通他で考えられているような問題事項ではないことを理解した。それ故、前に述べた反応物濃度、並びに温度、混合、pH、及び成分濃度の反応器条件のもとでは、ニッケル・アンモニウム錯塩の生成及びそれに続いて直ちに水酸化ニッケルが沈殿することは同時に起こり得る。本発明者等は更に、単一反応器CSTR処理が以下のものを含む多くの利点を伴って使用できることを確認している:
・ 高濃度反応溶液の使用により排出液流の量を効果的に低減する。
【0052】
・ より低いpHの使用、それによる機器及び工程管理の寿命と信頼性の向上。
【0053】
・ 二基反応器を「バランス」させる必要性の排除、結果として処理工程の単純性の向上。
【0054】
懸濁液が反応器から抽出されると、直ちに濾過されて液体から沈殿物を分離する。液体は再循環され、沈殿物は処理されて本発明の変性水酸化ニッケルを生成する。
【0055】
このようにして、未熟成沈殿及び工程不良なしで、三変性剤、四変性剤、又はそれ以上を含む水酸化ニッケル材料の製造が可能である。これらの変性剤は、Al、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、In、La、Mg、Mn、Ru、Sb、Sn、Ti、Y、及びZnから成る群から選ばれるのが好ましい。好ましい多元素変質剤は、以下のものから選択された基本組成を有する水酸化ニッケルを形成するのに用いられる:
・ (NiCo)(OH)
・ (NiCoZn)(OH)
・ (NiCoZnMgCa)(OH)
・ (NiCoZnMnMgCa)(OH)
・ (NiCoZnMgCaCuMn)(OH)
これらの変性剤は、出発二次ニッケルと一緒に供給されることも、工程中の別々の段階で添加されることも可能である。組成的変性剤は、正電極の、当該電極作製技術分野における当業者が周知している諸性質を改善するのに十分な量を添加される。このように、上述の変性剤を少量含有している二次ニッケル又はニッケル源は、電池電極用水酸化ニッケル材料を調製するのに特に有用である。種々の組成を持ち、且つ本発明に適用可能な水酸化ニッケル材料の例は、開示内容が此処に引用して取り入れてある、米国特許番号第5,523,182号、第5,348,822号、第5,344,728号、及び第6,019,955号を含む上述のものや、表に出ていない他のものを含んでいる。
【0056】
本発明に特に適用性のある水酸化ニッケルのその他の例として、 “Composite Positive Electrode Material and Method for Making Same”と題する1998年8月17日出願の、同様に委託された同時係属出願中の米国特許出願番号第09/135,460号参照のこと。其処に開示されているのは、電気化学的電池用の複合正電極材料である。その複合材料は高純度ニッケルを用いて形成され、少なくとも部分的に粒子内に埋め込まれた導電性材料を具備する水酸化ニッケル粉体粒子が製造される。複合材料は、複合沈殿物を形成する、金属イオン溶液、苛性アルカリ溶液、及び導電性金属材料を組み合わせることによって形成される。組合せ工程は、金属イオン溶液と導電性金属とを混合して懸濁液を形成すること、並びに苛性アルカリを添加して複合正電極材料を沈殿させることから構成される。
【0057】
(実施例1)
タンク12からのNaOH、タンク14からのMeSO(二次NiSO、CoSO、MgSO及びZnSOから成る)、タンク16からのNHOH、及びタンク18からのCa(NOが反応器10内へ導入された。成分が導入されると、プロペラ20を用いて約850rpmで連続的に撹拌され、反応器の内容物は約50℃に保たれた。混合物のpHは約12に維持された。得られた変性水酸化ニッケルの沈殿物は、図2に示されており、下記の目標金属組成を有していた。
【0058】
Ni91Co4.5Zn4.5 (1)
この工程が、修正された諸量の前駆体成分を用いて繰り返され、下記の原子%での目標金属組成を有する変性水酸化ニッケルを得た。
【0059】
Ni91CoZn0.5Mg0.5Ca (2)
Ni93.5CoZn0.5Mg0.5Ca0.5 (3)
Ni91CoZnMgCaCu (4)
Ni95CoZn0.5Mg0.5Ca (5)
Ni90.5CoZnMgCa2.0Cu1.5Al1.0 (6)
Ni86CoZnMg0.5Ca0.5 (7)
Ni93CoZn0.5Mg0.5Ca (8)
本発明の方法において、或る種の予想されない工程パラメーターについて特段の注意を払わなければならない。例えば、反応器内のアンモニアの液体飽和状態に対するその蒸気又は上部空間飽和状態は重要である。本発明者等は、反応器内のアンモニア濃度が、結晶性及びタップ密度の点で、結果的に得られる粉体の最終特性に著しく影響することを見出した。水酸化アンモニウムは、連続的に反応器内へ計量して供給されるが、それは過剰に存在するので、アンモニアの一部を反応器の上部空間を経由して排除しなければならない。本発明者等は、液体の上面での「皮殻」形成を避けるために注意しなければならないことを見出したが、これは空気に曝された液体表面を不注意に過熱してしまうことを避けることある。本発明者等は出入する空気流の空気流量及び湿度を制御する。発明者等は、100kg/日の反応容器において、相対湿度が約65%未満で約50ft/分以上の空気流量が適切であることを測定した。適切に管理すれば、適切な密度と結晶性の程度とを有する本発明の材料は、大量生産において一貫して得られる。一方、もしも上部空間飽和又はアンモニアの濃度が無視されると、低品質の水酸化ニッケル材料が生産される確率が大きくなる。
【0060】
(Ni91Co4.4Zn4.5)(OH)の目標組成を有する水酸化ニッケル材料が、本発明の方法に従って、上述の単一反応器系を用い、一つの試料は一次硫酸ニッケル、もう一つは二次硫酸ニッケルを用いて生産された。活性材料は、この技術分野でよく知られた方法で密閉型単二電池に形成され、室温でc/5の放電率で容量を調べた。結果は、下の表1に纏められている。
【0061】
【表1】
Figure 2004516607
表1の結果は、二次ニッケルで作成された水酸化ニッケル材料が、c/5放電率で重大な容量低下を示さないことを示す。
【0062】
本発明は、一つ以上の混合工程を必要に応じて含むことがある。混合操作は、出発硫酸ニッケル溶液、中間溶液、又は最終水酸化ニッケル製品の組成を改善するために用ることが出来る。必要に応じて採用される混合工程は、原料混合工程で出発二次ニッケル源を混合すること、中間容液を混合すること、及び/又は最終水酸化ニッケルを混合することを含む。本発明は、二次ニッケル源の広い範囲を包含するので、二次ニッケル中に存在する不純物には無関係に、混合操作は水酸化ニッケルを特別な用途の注文に合わせて仕立てる手段を提供する。
【0063】
例えば、原料混合工程は、一次又は、もう一つ他の二次ニッケルなどその他の高純度ニッケルと、二次ニッケルとを混合することを含んでいる。二次ニッケルから供給されより高純度のニッケルと混合されたニッケルは、出発二次ニッケルとは異なる組成を有する中間純度のニッケル源を提供する。原材料混合は、湿式混合法、乾式混合法又はその両方を含むことがある。乾式混合法は、第一純度を有する第一の二次ニッケル源金属粉体と第二純度を有する第二のニッケル源とを組合せることにより達成される。また湿式混合法も、ニッケル出発材料を生産するのに用いられる。湿式混合法は、第一純度を有する二次ニッケル溶液と第二純度を有するニッケル溶液とを組合せることにより達成され、等級別純度を有するニッケル溶液を提供する。例えば二次ニッケルは、硫酸ニッケル溶液の形で供給されることがある。二次硫酸ニッケル溶液は、高純度の硫酸ニッケル溶液と混合されて、全ニッケル溶液中の不純物濃度を、活性正電極材料を作製するのに適した水準まで低減させることが出来る。
【0064】
同様に、本作製方法は中間混合工程を含むことができる。中間混合工程は、原料混合の方法に似た方法で中間溶液または固体について遂行され、その溶液または固体を高純度の中間溶液と混合することによるものである。図3に示されているのは、一次硫酸ニッケル溶液と二次硫酸ニッケル溶液の50/50混合物で作製されたNi93CoZn0.5Mg0.5Caの目標金属組成を有する水酸化ニッケル材料の一例である。従って、原料混合は、出発ニッケル源中の不純物水準を低減するのに用いられるのに対して、一方中間混合工程は、MeSOを水酸化ニッケル生産工程内へ供給する直前に、硫酸ニッケルの不純物を低減するのに用いることが出来る。
【0065】
本作製方法は、同様に最終製品混合工程を含むこともできる。最終製品混合工程は、電気化学的電池内の使用に適している向上した水酸化ニッケル材料を提供する。最終製品混合のための工程は乾式混合処理法であることが好ましく、本発明の方法に従って作製され且つ第一純度を有する第一水酸化ニッケル粉体が、第一水酸化ニッケルとは異なる組成を有する一つ以上の水酸化ニッケル材料の粉体と組合される。好ましくは、形成された水酸化ニッケル粉体の全体の組成は、混合工程なしで形成された水酸化ニッケル材料のそれよりも低い不純物濃度を有する。最終製品混合は、それ故、非混合活性正電極材料よりも著しく向上した表面積、タップ密度、及び結晶性を有する活性正電極材料を提供することが出来る。
【0066】
(Ni91Co4.5Zn4.5)(OH)の目標組成を有する水酸化ニッケル材料が、本発明の方法に従って上述の単一反応器系を用いて生産され、一つの試料は一次硫酸ニッケルを用いて作製し、もう一つは二次硫酸ニッケル原料混合物を用いて作製した。原料混合物を用いて作製された水酸化ニッケルは、50/50の二次硫酸ニッケル/一次硫酸ニッケル混合物を水酸化ニッケルの作成に用いた。それぞれの処理法で生産された活性材料は、この技術分野で周知の方法で密封型単二電池に形成された。各単二電池は室温でc/5放電率における容量を試験し、混合した最終製品を非混合水酸化ニッケルと比較した。結果は表2に一覧表にしてある。
【0067】
【表2】
Figure 2004516607
表2の結果は、調合二次ニッケルを用いて作製された水酸化ニッケル材料が、c/5放電率で著しくは容量が減少していないことを示している。
【0068】
二次ニッケル源を用いた水酸化ニッケル材料の従来の調製法では、不純物が電池電極の性能及び活性正電極材料に及ぼす影響のために、現在まで可能とは考えられていなかった。事実、従来法を用いた二次ニッケル源による水酸化ニッケル材料の作製は、電池電極での使用に適した水酸化ニッケル材料を提供するのに通常失敗している。
【0069】
(実施例)
水酸化ニッケル材料の四つの試料を二次ニッケル源から調製した。試料1は、上述の明細書で説明したように、同時混合/沈殿反応を用いて調製した。試料2は、試料1と同じ方法に炭酸塩沈殿工程を加えて調製した。試料3〜4は、上述の明細書で説明したような蒸発/沈殿工程を追加して、試料2の炭酸塩沈殿工程を含む上記の方法に従って調製した。試料2、3及び4について得られた結果の要約は、表3に一覧表にしてある。
【0070】
(試料1)
高い水準のカルシウム(2g/l)及びナトリウム(15g/l)を含有する二次硫酸ニッケル溶液が、水酸化ニッケル材料(試料1)を作製するのに用いられた。水酸化ニッケル材料は、沈殿反応を利用して調製された。多量のナトリウムとカルシウムを含む二次硫酸ニッケル溶液を用いて調製された水酸化ニッケルは、低いタップ密度(<2g/cc)を有し標準以下のものであることが分かった。BET表面積はこれらの粉体では大きい(>30m/g)ことが分かった。この特定の硫酸ニッケル容液を用いて調製した水酸化ニッケルは、電池用途には不適であった。
【0071】
(試料2)
高水準のカルシウム及びナトリウムを含有する二次硫酸ニッケルは、上記試料1におけるのと同じ方法を用いて水酸化ニッケル材料(試料2)の生産に使用されたが、上述の明細書に説明したように、更に炭酸塩沈殿反応、水洗、引き続く硫酸ニッケル溶液への転換を含むものであった。硫酸ニッケルへの転換後は、最終ニッケル溶液中のカルシウム濃度は約0.4g/lであることが分かった。しかし、ナトリウムはそれでも14g/lという多量であった。この二次硫酸ニッケル溶液を用いて調製した水酸化ニッケルは、低タップ密度(1.24g/cc)及び大表面積(>30m/g)を有する粉体を産出した。このような粉体は電池用途には不適であった。
【0072】
(試料3〜4)
高水準のカルシウム及びナトリウムを含有する二次硫酸ニッケルは、試料2におけるのと同じ方法を用いて水酸化ニッケル材料(試料3〜4)の生産に使用されたが、上述の明細書に説明したように、更に凝集/沈殿工程を含むものであった。この場合、炭酸ニッケルが硫酸ニッケルに転換された後で、硫酸ニッケルの結晶は溶液から分離され、水に再溶解して硫酸ニッケル溶液を形成した。硫酸ニッケル出発溶液中のカルシウム及びナトリウムの水準は、試料3及び4についてそれぞれ0.4g/l、3.9g/l、及び0.0、2.2g/lであることが分かった。水酸化ニッケル粉体が各硫酸ニッケル出発溶液から調製された。試料3及び4は、電池の正電極材料としての用途に適した、タップ密度(〜2g/cc)並びに表面積(〜25m/g)を示した。
【0073】
【表3】
Figure 2004516607
表3の結果が示すように、炭酸塩添加及び濃縮/沈殿工程無しで二次ニッケルを用いて調製した活性材料は、電池電極材料としての使用に適した水酸化ニッケル材料の生産に失敗した。本願方法に従って二次ニッケルを用いて生産した水酸化ニッケル材料は、電池電極材料としての使用に適した表面積、タップ密度、及び結晶性を有する粒子を生産する。
【0074】
発明は、図面及び先の説明において詳細に例示したが、それは本来例示的なものであって限定的なものではないと考えるべきである。好ましい実施態様のみが提示され且つ完全に説明されたこと、並びに発明の範囲内に入る全ての変更と修正が保護されるのを希求していること、とを了解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の好ましい態様に従った水酸化ニッケル調製装置の概略図である。
【図2】
二次ニッケルを用いて、本発明の方法により調製された水酸化ニッケルの拡大図である。
【図3】
原材料を50%混合したものを用いて、本発明の方法により調製された水酸化ニッケルの拡大図である。
【図4】
本発明に従って水酸化ニッケルを調製する方法の工程フローチャートである。
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