JP2004515992A - 集積されたマイクロメカニカル音叉共振器を備えるタイムベース - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、タイムベースに関し、すなわち共振器と、その共振器を駆動して振動させ、及びその振動に応答して決められた周波数を有する信号を生成させる集積電子回路とを含む装置に関する。
【0002】
タイムベース、すなわち周波数標準は、腕時計及び他の計時装置から複雑な通信機器に至るまで、広範囲にわたる電子機器に必要とされるものである。このようなタイムベースは通常、水晶共振器とこの水晶共振器を駆動して振動させるための電子回路とを含む発振器で形成されている。より低い周波数を得るために分周チェーンを使用し、発振器によって生成された信号の周波数を分周する。回路の他の部分は、例えば分周チェーンの分周比を調整することによって周波数を調整する働きをする。電子回路の構成要素は、CMOS技術で単一の半導体基板上に集積させることが望ましい。周波数処理に直接関係しない他の機能をも同じ基板に集積することができる。
【0003】
水晶共振器の利点は、良好な温度安定特性とともに良好な周波数安定性と低消費電力とをもたらす高い品質係数Qである。しかしながら、水晶共振器を使用する一般的なタイムベースの欠点は、高精度の周波数を提供するためには2つの構成要素、すなわち水晶共振器と集積電子回路とを必要とするということである。個々の水晶共振器には、多くの場合は不足状況にある基板空間が必要である。例えば、腕時計用途の標準的な水晶共振器には、2×2×6mm3程度の空間が必要である。さらに、この2つの構成要素の組立及び配線による追加の費用が必要となる。しかしながら、特に成長している携帯用電子機器の分野では、空間及び組立コストは重大な問題である。
【0004】
従って、本発明の主要な目的は、集積された共振器を含むタイムベースを提供することによって、上に述べた問題の解決方法を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、単一の基板上に完全に集積することができ、量産に適しており、CMOS技術と互換性のあるタイムベースを提供することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、改善された品質係数Qを有し、これにより周波数安定性により優れ、低消費電力の共振器を含むタイムベースを提供することである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、低価格であり、半導体チップ上で極めて小さな表面積しか必要としないタイムベースを提供することである。
【0008】
従って、共振器と、共振器を駆動して振動させ、その振動に応答して決められた周波数を有する信号を生成させる集積電子回路とを備え、共振器が基板の上に支持され、基板に対して実質的に平行な平面内で第1の振動モードに応じて振動するように適合された集積されたマイクロメカニカル音叉共振器であり、音叉共振器が、基板から実質的に垂直に延びるベース部材と、ベース部材に接続され、平面内に配置された実質的に平行なフォーク状刃の少なくとも第1の組を含むフリースタンディング振動構造体と、フォーク状刃に隣接して配置され、集積電子回路に接続された電極構造体とを備えるタイムベースが提供される。
【0009】
本発明によるタイムベースの利点は、マイクロメカニカル音叉共振器が高い品質係数Qを示すことである。従来の水晶共振器を使用して得られた品質係数と同程度の50,000にも及ぶ品質係数が計測された。
【0010】
品質係数Qは、振動する共振器材料の空気摩擦及び固有損失によって決まる。空気摩擦は、共振器が真空条件下で動作する場合は無視することができる。固有損失は、材料並びに共振器の設計に左右される。水晶又はシリコンのような結晶体で作られた共振器は、高いQ振動が可能であることが知られている。さらに、クランプすなわち共振器部分の機械的支持が動的挙動に強い影響を及ぼす。本発明によれば、音叉共振器は、振動中に構造体全体の重心が静止したままであり、フォーク状刃の撓みモーメントを、ベース部材の比較的小さな領域で相殺することができるように設計され、駆動される。
【0011】
高い品質係数に有利な別の設計機構が従属クレームの目的であり、以下に詳細に説明される。
【0012】
さらに、予め設定した共振周波数では、音叉共振器を形成するために基板上に必要な表面積は、他の共振器に比べて小さい。例えば、32kHzの周波数用に設計された本発明による音叉共振器は、約0.2mm2のチップ面積を必要とし、これは、本出願と同一出願人による、2000年11月1日に出願された同時係属の国際特許出願PCT/CH00/00583に記載されている、シリコンリング共振器で必要とされるチップ面積よりも小さい。
【0013】
本発明の一態様によれば、電子回路は、マイクロメカニカル音叉共振器と共に基板上に集積させることができる。これにより安価なタイムベースがもたらされる。また、ウエーハ・ボンディング技術を用いたバッチ処理において、共振器のウエーハレベルでの真空シールにより安価となる。
【0014】
音叉構造体は、加速度センサ、回転センサ、又は歪みセンサなどの種々の型式のセンサ用途の共振器構造体として提案されてきた。しかしながら、これらのセンサ構造体は、高精度のタイムベースを得るために、高い品質係数を第1の目的とする、本発明のような同様のガイドラインに従って最適化されてはいない。
【0015】
Yoshino他による米国特許第5,747,691号は、例えば、単一の結晶シリコン基板で作られた音叉型振動要素を記載している。音叉の刃は、外力が加わったときに振動に対して垂直にアームが撓むことが可能であるように、厚みのある領域と薄い領域とを有する。共振要素は、センサ用途に対して最適化されている。
【0016】
Fitzpatrick他に付与された英国特許第2,300,047号には、三次元動作の検知を提供するための音叉センサ組立体が記載されている。
【0017】
さらに別の文献は、例えば、Jensen他のWO91/03716、Greenwood他に付与されたGB2,162,314、Norling他に付与されたUS4,912,990、又はBeeby他の「Journal of Microelectromechanical Systems」、Vol.9、No.1、pp.104ff.の論文などは、両頭の音叉形態のマイクロマシニングされたシリコン共振歪みゲージが記載されている。
【0018】
しかしながら、上に例示した文献のいずれにも、周波数標準すなわちタイムベースとして動作する当該型式の音叉共振器を振動回路に使用することが示唆され、又は提案されていない。さらに、これらの文献に開示された音叉共振器の多くの設計機構は、周波数安定性と低消費電力が不可欠である計時装置用途に関して好適ではない。
【0019】
非等方性エッチングされた振動音叉構造体が、発明者らによって既に開示されている。しかしながら、構造体の非等方性エッチングは、必然的にフォーク状刃を異なる長さとし、その結果当該音叉共振器の品質係数の低下をもたらす。このような非等方性エッチングされた音叉共振器の製造方法及び欠点は、「Proc. of Eurosensors Xll」、Vol.1(1998)、pp381−384で公開された、M.Giousouf他による、又は、「Sensors and Actuators 76(1999)」、pp416−424で公開された、M.Giousouf他による、両方とも「Structuring of Convex Comers using a Reoxidation Process−Application to a Tuning Fork Resonator made from (110)−Silicon」と題された論文に詳細に説明されている。高精度のタイムベースを形成するためには、この型式の共振構造体は不適当であることは当業者には容易に理解されるであろう。この構造体に関して真空の条件でほぼ1,000のQ係数が計測されたが、これは周波数標準としての用途には未だはるかに低すぎる。
【0020】
本発明による音叉共振器は、消費電力が低く、チップに対する所要面積が非常に少なくてすみ、高い品質係数Qを有する振動をもたらすように最適化される。共振器は、1Vの低電圧で駆動することができ、これにより携帯用電子機器の電源としてバッテリを使用することができる。さらに、技術プロセスの変化に対する許容誤差を拡張することにより、当該共振器の量産を容易にする設計機構が提示される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、タイムベースによって生成された信号の周波数に対する温度の影響を補償するために、温度計測回路を基板に集積することができる。本発明の音叉共振器は、実質的に線型の温度特性を示す利点を有するので、このような共振器の温度依存性を容易に補償することができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様によれば、温度補償を可能にするための第2のマイクロメカニカル音叉共振器を同一基板上に形成することができる。本発明の別の態様によれば、温度補正はまた、別々の共振周波数を有し、同時に2つの振動モードで動作する単一のマイクロメカニカル音叉共振器を使用することによって達成される。
【0023】
本発明の他の態様、特徴、及び利点は、添付図面を参照しながら、これに限定されるものではないが、実施例及び実施形態の以下の詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0024】
図1に本発明によるタイムベースの平面図を概略的に示す。ここには、共振器4と、その共振器を駆動して振動させ、及び決められた周波数を有する信号を振動に応答して発生させる集積電子回路3とを含む、全体が参照符号1で示す集積されたタイムベースが示されている。集積電子回路3は、当業者によって容易に設計することができるので、詳細は示されていない。集積電子回路3と共振器4を一緒に同一の基板2上に実装し且つ集積するのが好ましい。好適な基板材料はシリコンであるが、同様に本発明のタイムベースを実施するのに適した、当業者に公知の他の類似の材料を使用することができる。
【0025】
本発明によれば、共振器4は、モノリシックのマイクロメカニカル音叉共振器の形態で実装される。共振器4は、基板2上に支持されて、基板2に対して平行な平面内で振動するようにされている。音叉共振器4は、基板2から垂直に延びるベース部材5と、基板2に平行に配置された1組の略平行なフォーク状刃7、8を含む、ベース部材5に接続され全体が符号6で示されたフリースタンディング振動構造体とを備える。音叉共振器4と基板2との間の唯一の機械的連結が音叉ベース部材5であり、可動刃7、8がフリーとなっていることは留意する価値がある。
【0026】
音叉共振器4は、以下で詳細に説明されるように、音叉共振器4を駆動して振動させ、この振動を検知するための電極構造体9をさらに備える。
【0027】
本発明の好適な実施形態によれば、櫛形構造体71、81がフォーク状刃7、8にそれぞれ形成される。これらの櫛形構造体71、81は、音叉共振器の電極構造体9の一部を形成し、各々が各フォーク状刃7、8の側部から略垂直に延びる、第1の電極部材72、82を含む。図1においては、これらの電極部材72、82はフォーク状刃7、8の外側、すなわちフォーク状刃の間に存在する間隙から離れた位置に形成されている。或いは櫛形構造体を、フォーク状刃7、8の内側に形成してもよい。この選択肢では、両フォーク状刃の間に(各フォーク状刃7、8に隣接して)、1つ又は2つの電極を収容するための広い間隙が必要である。間隙がより広くなると、刃間の結合が低下し、望ましい逆位相振動(図5b)の品質係数Qが低下する。
【0028】
電極構造体9は、図1の実施例においてそれぞれ参照符号91、92で示された第1及び第2の櫛形電極構造体をさらに備え、これらは、櫛形構造体71、81とかみ合うように、基板2上でフォーク状刃7、8に隣接して配置されている。より詳細には、第1の櫛形構造体91は第2の電極部材93を含み、第1の電極部材72が第2の電極部材93と隣接するように櫛形構造体71とかみ合い、第2の櫛形構造体92は第2の電極部材94を含み、第1の電極部材82が第2の電極部材94と隣接するように櫛形構造体81とかみ合う。
【0029】
フォーク状刃7、8及び電極構造体91、92の両方に形成された櫛形構造体が必ずしも必要でないことは理解されるであろう。しかしながら、かみ合う櫛形構造体を使用すると、低消費電力で高い位相シフトが得られることから特に有利である。さらに、このような櫛形構造体を使用する場合には、共振周波数の印加電圧への依存性が大幅に低減される。
【0030】
第1の変形形態によれば、第1の櫛形電極構造体91は、音叉共振器4を電気的に駆動して振動させる働きをし、音叉共振器の反対側に配置された第2の櫛形電極構造体92は、共振器の振動を容量的に検知する働きをする。従って、導体11、12、13はそれぞれ、第1の櫛形電極構造体91、第2の櫛形電極構造体92、及びベース部材5を介して音叉4、それぞれを音叉を共振させるように駆動する振動回路(図示せず)を備えた集積電子回路3に接続する働きをする。結果として得られる高度に安定した周波数信号は、例えば、より低い周波数の信号を得るために発生信号の周波数を分周器で分周することにより、集積回路3を使用してさらに処理することができる。
【0031】
1つの電極構造体、すなわち電極構造体91だけが駆動電極として使用されるにもかかわらず、一方のフォーク状刃で誘起された振動が、ベース部材5を介して他方のフォーク状刃へ伝達されるので、フォーク状刃は両方とも駆動されて振動する点に留意されたい。
【0032】
また、共振器は本質的に2つの平面内基本振動モードを有することも留意されたい。第1の振動モードは、両方の刃が同じ方向に振動する、2つのフォーク状刃の非対称振動である。第2の振動モードは、両方の刃が反対の方向に振動する、2つのフォーク状刃の対称振動である。この2つの平面内振動モードは図5a及び図5bに概略的に示され、ここでは説明のために振動の振幅が誇張されている。「逆位相」振動モードとして説明されることができる第2の振動モードは、共振構造体の重心が実質的に静止したままであるので、第1の振動モードよりも好適であることが理解されるであろう。第2の振動モードとは反対に、非対称振動モードは高いエネルギー損失を生じ、その結果著しい振動減衰を招くことになる。
【0033】
別の変形形態によれば、第1及び第2の櫛形電極構造体91、92が共に接続され、両構造体とも駆動電極として使用される。それによれば、図5bに示されるようにフォーク状刃7、8が逆位相振動で励振されるので好ましい。この場合には、共振器の振動の検知は、インピーダンスを計測し、共振時のインピーダンスのずれを検知することによって行なわれるのが有利である。
【0034】
共振器の構造は、広範な種々の技術プロセスによって得ることができる。シリコンの表面マイクロマシニング、並びにバルクマイクロマシニングを行なった表面の組み合わせを使用することができる。図2、3、4は、3つの別々のマイクロマシニング技術に従って得られた共振構造の3つの例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。同様に、本発明の音叉共振器を実施するために好適な、当業者に良く知られた他の方法を使用してもよい。図2a、3a、4a及び図2b、3b、4bは、それぞれ線A−A’及び線B−B’に沿った図2、3、4の共振器の断面図である。
【0035】
図2は好適な基板2の上に表面マイクロマシニング技術を用いて作られた音叉共振器4を概略的に示しており、この基板はシリコンウエーハであるのが好ましい。この第1の方法によれば、例えば酸化シリコンのような、いわゆる犠牲層の上にポリシリコン層を堆積させる。このポリシリコン層を構造化した後に、犠牲層を部分的に取り除き、フォーク状刃を解放して共振器構造体を形成する。
【0036】
図2、2a、及び2bに示された実施例をさらに詳細に参照すれば、第1の絶縁酸化層20を、例えば半導体基板2上に堆積させる。ポリシリコンなどの第1の導電性材料層30は、第1の酸化層20上に堆積させることができる。構造化した後に、この第1の導電性材料層30は、図に示すように導体11、12、13を、それぞれ第1の電極構造体91、第2の電極構造体92、ベース部材5に対して形成する。或いは、導体11、12、13は、基板内又は基板上に不純物添加領域又は金属被膜領域であってもよい。次いで、別の酸化層22を、第1の酸化層20及び構造化された層30の上に堆積させる。この第2の酸化層22は、第2の酸化層22内に開口を形成するために選択的にエッチング処理されることにより、下にある導電性材料層30と電気的に接触することが可能になる。次に、ポリシリコンなどの第2の導電性材料層32を、第2の(犠牲)酸化層22の上、並びに酸化層22内でエッチング処理された接続開口内に堆積させる。
【0037】
最後に、第2の導電性材料層32をパターン形成及びエッチング処理して、共振器4の構造体、すなわちベース部材5と、フォーク状刃7、8と、電極構造体91、92とを形成する。層32を構造化した後に、犠牲層22を部分的に取り除き、フォーク状刃7、8を解放する。図2a及び図2bに示されるように、犠牲層22はまた、ベース部材5と電極構造体91、92の下で、少なくとも部分的に取り除かれることになることが理解されるであろう。しかしながら、ベース部材5及び電極構造体91、92は、酸化層22のエッチングされていない部分22aと、共振器4及び電極構造体91、92を下にある導体11、12、13に接続する導電性材料32aとによって依然として支持されている。
【0038】
図3は、例えばいわゆるシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板において埋め込み酸化層を使用する、多少異なる方法で作られた音叉共振器4を概略的に示す。シリコン最上層が構造化された後で、フォーク状刃を解放するために酸化層が部分的に取り除かれる。
【0039】
図3、3a、3bをより詳細に参照すると、参照符号35で示されるシリコン最上層は、共振器4及び電極構造体91、92を形成するように構造化される。また、任意選択的ではあるが、導体11、12、13を層35内に形成することができる。シリコン最上層35が構造化された後に、シリコン層35のエッチング処理後に露出した下にある絶縁層25をエッチングして、フォーク状刃7、8を解放する。図に概略的に示されているように、ベース部材5及び電極構造体91、92(並びに導体11、12、13)は、フォーク状刃7、8よりも大きな表面積を有するように設計されなければならず、その結果、図3a及び図3bの断面図に示されるように、絶縁層25の部分は、エッチング処理の後も依然として残り、下にある絶縁層35を引き続き支持することになる。
【0040】
図4は、例えばSOI基板において埋め込み酸化層を同様に使用する、第3の方法で作られた音叉共振器4を概略的に示す。この場合は、シリコン最上層の構造化の後に、基板の後部をエッチングして、フォーク状刃を解放することが可能になるウインドウを開口する。
【0041】
図4、4a、4bをより詳細に参照すると、シリコン最上層35は、共振器4及び電極構造体91、92を形成するように構造化される。このステップは、図3に示された第2の方法に従って実施されたステップと同じである。しかしながらこの後に、例えばKOH又はTMAHなどの化学エッチング液を使用して、ウインドウ27を基板2の後部でエッチングする。次に、開口26が絶縁層25内でエッチングされ、これによりフォーク状刃7、8が解放される。これには、フォーク状刃が基板にくっつく恐れがない(周波数が低い程、より長い刃を形成できる)という利点があるが、共振器を真空下で動作させるために、共振器キャビティを基板の両面(上面と下面)でシールする必要があるという欠点を有する。
【0042】
共振器構造体のチップレベルでの真空シールは、当業者にはよく知られた、陽極接合又はシリコン/シリコン接合などの、バッチ処理技術によって行うことができる。上述の全ての製造技術においては、別の導電性層又は非導電性層を形成するステップを追加することができることは理解されるであろう。さらに、図3及び図4の共振器構造体に関して、シリコン層35内の導体11、12、13は、構造体のそれぞれの部分に接続された別の導電層によって、又はこの部分に直接ワイヤーボンディングされることよって、置き換えることができる。
【0043】
既に述べたように、共振器の刃は、好ましくは電極の櫛形構造体とかみ合う櫛形構造体を備える。図6aは、設計の第1の変形形態による、共振器のフォーク状刃7の自由端7aの部分詳細図である。この場合、第1のフォーク状刃7及び電極構造体91の第1及び第2の電極部材72、93(並びに図6aに図示されていない電極部材82、94)は、それぞれ円弧形状を有する。円弧の半径は、全振動周期中にフォーク状刃の曲がりライン上の定点の動きに従うように選定され、従って、フォーク状刃7(又は8)上、又は電極構造体91(又は92)上の円弧位置の関数である。
【0044】
図6bは、隣接する電極部材間の距離がフォーク状刃の長さに応じて変化する、櫛形構造体設計の別の変形形態の部分詳細図である。より詳細には、隣接する電極間の距離は、フォーク状刃の自由端で短くなっている。隣接する電極間の距離が小さい程、容量結合が局部的に増大し、その結果、刃の対応する部分への静電気力が大きくなる。櫛形構造体をこのような方法で設計することにより、図5に示された好ましい対称性の平面内基本振動モードにとって有利とすることができ、第1高調波における音叉の振動を回避することができる。別の変形形態(図示せず)においては、所望の振動モードで励振させるために、電極部材の長さは、フォーク状刃の長さに応じて変えることができる。上述のように、第1の変形形態の動作によれば、図1の実施形態に示された櫛形電極構造体91は、音叉共振器を静電的に駆動して振動させる働きをし、反対側の櫛形電極構造体92は、この機械的振動を容量的に検知する働きをする。電極構造体91に交流電圧信号が印加され、その結果、第1のフォーク状刃7に静電気力が発生して、これを振動させ、その振動が他方の刃8に伝達される。この第2の刃8の振動は、共振器が動作すると、対向する電極構造体92の組に交流信号を誘起する。電極構造体91及び92は、完全に交換可能であることは理解されるであろう。
【0045】
共振器を駆動して振動させることに利用される静電駆動原理によれば、電極に印加された電圧と音叉の刃に生じる力との間には、放物線の関係がある。従って、実質的に線形の力−電圧関係を得るために、交流電圧に直流定電圧を加えることが望ましい。図7はこの放物線関係と、交流電圧Uacの振幅が直流定電圧Udcよりもはるかに小さい場合の、交流電圧Uacに直流定電圧Udcを加えることによる力−電圧関係の線形化を概略的に示している。
【0046】
図1に示された概略図には、音叉型の第1の電極構造体91、第2の電極構造体92、及びベース部材5にそれぞれが接続された3つの信号ライン、すなわち導体11から13が示されている。
【0047】
第1の変形形態によれば、導体13を使用して、ベース部材5を介して音叉共振器に直流電圧成分を印加することができ、一方、交流電圧成分は、導体11を介して第1の電極構造体91に印加され、導体12は、第2の電極構造体92上に誘起される発生信号を検知するために使用される。第2の変形形態によれば、交流駆動電圧成分及び直流電圧成分は、導体11を介して第1の電極構造体91に重畳することができ、一方、音叉共振器は、導体13を介して、例えば接地などの固定電位に接続される。導体12はこの場合、信号の検知に使用される。この場合も電極構造体91と92は交換可能であり、第2の電極構造体92を、共振器を駆動して振動させるために使用することができ、第1の電極構造体91は、検知のために使用されることが同様に理解されるであろう。
【0048】
或いは、電極構造体9を駆動のためだけに使用することができ、検知は、共振時のインピーダンス変化を検出することによって行ってもよい。例えば、電極構造体91及び92は共に接続されてもよく、又は電極構造体を1つだけ使用して共振器を駆動して振動させてもよい。第1の変形形態によれば、交流駆動電圧は電極構造体の組に印加され、直流電圧成分は音叉に印加される。別の変形形態によれば、交流と直流駆動電圧の和を電極構造体の組に印加することができ、音叉はこの場合、例えば接地などの固定電位に接続される。
【0049】
他の多くの電極構成を使用して、共振器を駆動して振動させ、その結果として発生する動きを検知することができることは当業者には明らかであろう。従って、図1に示す構成は、本発明を限定するものとみなすべきではない。例えば、フォーク状刃の間の間隙は、駆動用電極構造体として又は検知用電極構造体としていずれにも使用することができる電極構造体をその刃の間に収容できるように大きくすることができる。
【0050】
図8aから8cは、衝撃に際して共振器のフォーク状刃が電極にくっつく(その結果離れなくなる)のを防ぐように意図された、3つの別々の有効な設計機構を示している。図8aの第1の変形形態によれば、電極部材72の少なくとも1つ72*(電極部材82に対しても同様に適用)を他のものより長く作ることができ、これにより櫛形構造体71と櫛形構造体91とが(又は81と93が)、互いに機械的に接触するときの力を低減させることができる。電極部材93(又は第2のフォーク状刃に対する94)の1つが他のものより長い場合、同じ効果が得られることは明白である。
【0051】
或いは、図8bに示すように、電極部材72の先端72a、及び/又は電極部材93の先端93aは、フォーク状刃がくっつくのを防ぐために、先端が鋭い形状、又は少なくとも好適に小さな表面積であるように設計することができる。同様のことが第2のフォーク状刃8及び第2の電極構造体92にも適用されるのは明白である。
【0052】
最後に図8cの変形形態に示されるように、基板2上に配置された停止構造体28をフォーク状刃7の自由端7aの位置に形成することができ、この自由端7aには、停止用構造体28と協働する延長部78が備えられている。この停止構造体28は、フォーク状刃7の角度方向の動きを制限し、これにより例えば機械的衝撃のため過度の角度方向の動きが生じて、刃が電極構造体91にくっつくのを防ぐように設計されている。この場合もまた、同様のことが第2のフォーク状刃8にも適用されるのは明らかである。
【0053】
上述の特徴の全ては、効果的なくっつくことに対する防止機構を得るために好適な方法で組み合わせることができる。
【0054】
図9及び9aは、図2、2a、及び2bに示されたマイクロメカニカル音叉共振器4を改良したものである。図9aは図9の線A−A’に沿った断面図である。導電性パターン31が、フリースタンディング振動構造体6すなわちフォーク状刃7及び8の少なくとも一部の下で、基板2の表面上(又は下)に(この場合第1の酸化層20の上面に)形成される。この導電性パターン31の形状は、基板2の表面上のフリースタンディング振動構造体6の突出部となる。この導電性パターン31は、第1の導電性材料層30の外で導体11、12、13と同時に形成することができる。さらに、導電性パターン31は、ベース部材5に接続された導体13と電気的に直接接触することができ、これにより導電性パターン31とフリースタンディング振動構造体6とを同電位とすることができる。或いは、導電性パターン31はステップを追加して例えば金属の外に形成してもよい。
【0055】
導電性パターン31を接続してフリースタンディング振動構造体6と同電位にすると、音叉共振器4と基板2の表面との間で基板2に対して垂直に働く力を抑制し、印加電圧に依存しない共振周波数をもたらすことになる。このような導電性パターン31により、刃7、8が基板へくっつくことがより一層防止される。同様の導電性パターンは、図3、3a、3b、又は図4、4a、及び4bに示された共振器のような、別の方法を用いて作られた共振器に対しても追加できることは容易に理解されるであろう。
【0056】
音叉共振器の共振周波数は、ヤング率E、密度ρの材料で作られ、長さl、幅wを有する音叉の共振周波数の次式、いわゆる「Karolus」の式から分かるように、デバイスの幾何学的な寸法、すなわちフォーク状刃の長さと幅を変えることによって、広い範囲にわたって調節することができる。
【数1】
上式でcは、音叉の動作の正確な形状及びモードに依存する定数である。
【0057】
このような音叉共振器を量産するためには、各チップの共振周波数を小さな許容範囲内に維持することが重要である。上式から容易に分かるように、音叉共振器の共振周波数は、音叉の厚みには依存しない。従って、例えばポリシリコン表面マイクロマシニング技術を使用して作った音叉の共振周波数は、堆積したポリシリコン層の厚みには依存せず、結果としてプロセスの堅牢性が大幅に高められることになる。
【0058】
プロセスパラメータの僅かな変化による共振周波数の許容誤差は、音叉の寸法を注意深く定めることによって大幅に低減することができる。特に、図10に概略的に示すように、共振周波数のプロセスパラメータに対する依存性を低減するために、フォーク状刃7、8内に開口65を形成することができる。実際、例えばエッチング過剰のために、処理後の刃7、8の幅が所望の幅よりも小さい場合は、音叉の共振周波数は突出周波数より低くなる。しかし、同時にフォーク状刃7、8内に形成された開口65がより大きい場合、これによりフォーク状刃7、8の質量が小さくなり、共振周波数の低下を補償する(共振周波数の上式は、図10に示すような開口を備えた音叉に対しては当てはまらないことは指摘されるべきである)。エッチング過剰が発生した場合、櫛形構造体71、81の電極部材72、82は、音叉の共振周波数に対して開口65と同じ効果を有する。
【0059】
音叉共振器の品質要因に影響を及ぼさずに、共振周波数に対してより強い影響力を与えるために、開口65は、刃7、8の自由端7a、8aの近くに形成される。
【0060】
本発明によるマイクロメカニカル音叉共振器に必要な表面積は得られる共振周波数に対して極めて小さい。例えば32kHzの幾分低い周波数用に設計された本発明による音叉共振器には、約0.2mm2の表面積が必要である。通常の構造では、このような低周波数を得るためには比較的大きな表面積が必要である。予め設定した幾何学的レイアウトでは、寸法と周波数とは反比例の関係にあり、すなわち幾何学的寸法が大きい程周波数が低くなる。
【0061】
音叉共振器の共振周波数は、0℃から60℃までの温度範囲で近似的に温度の一次関数である。65kHzの共振周波数において、観測された共振周波数の熱係数は−30ppm/℃の程度であった。従って、タイムベースによって生成された信号の周波数を適切に調整することによって、周波数の変化を補償するために使用できる出力信号を有する温度計測回路を、同一の基板に組み込むのが望ましい。
【0062】
この効果のために、本発明によるタイムベースは、集積された温度計測回路(図示せず)を有利に備えることができる。このような温度計測回路の例は、論文「Smart Temperature Sensor in CMOS Technology」、P. Krumenacher及びH. Ogueyによる、「Sensors and Actuators」、A21−A23(1990年)、636頁から638頁に掲載されている。本論文で、温度補償は、例えば当業者にはよく知られた抑制方法を使用して、分周チェーンの分周比に作用することによって実現される。
【0063】
或いは、異なる共振周波数を有する2つの音叉共振器を同一のチップ上に集積することができ、このような構成により、2つの共振器の周波数の差異を計測することでチップ温度を正確に決めることが可能になる(両方の音叉共振器は同じ材料で作られるので、同じ温度係数を有する)。有利には、図11に示されるように、別々の共振周波数を有する2つの音叉共振器4及び4*は、チップ上の所要表面積を低減するために、同一のベース部材5を共有することができる。
【0064】
本発明による集積されたタイムベースを使用する利点は2つある。第1に、音叉共振器の温度依存性は線型であり、温度補償に必要な電子信号の処理が容易である。第2に、より重要なことであるが、音叉共振器が小形でモノリシックに集積化されることにより、チップのサイズが僅かに増えるだけで追加の外部接続もなしに第2の共振器を備えることが可能となる。
【0065】
或いは、本発明の特に有利な実施形態によれば、同時に2つの振動モードで動作する単一の音叉共振器を使用することが可能となる。この2つのモードの第1は、上述の平面内振動モード(図5b)である。第2の振動モードは、フォーク状刃7、8が基板平面に対して実質的に垂直の振動をする垂直振動モードとすることができる。この垂直振動モードは、音叉刃の下の基板上の別の電極を使用して、静電的に励振し、容量的に検知することができる。この2つのモードは、温度に直接関連する周波数差を計測することによって温度補償を実現することができるように、異なる周波数を有するように選択される。垂直振動モード及び平面内振動モード用の異なる共振周波数は、フォーク状刃の長方形の断面を選択することによって、得ることができる。
【0066】
好適には垂直振動モードは、刃が反対方向に振動するフォーク状刃の非対称垂直振動モードで構成すべきである。実際、ベース5上の両フォーク状刃によって振動中に作用する力は、非対称垂直振動の場合は互いに相殺されるが、これに対してフォーク状刃が同一方向に垂直振動する場合は合算されて、エネルギー損失が増大することになり、その結果、品質係数が低下する。しかしながら垂直振動モードはまた、フォーク状刃の対称垂直振動を構成することもできる。
【0067】
図12、12a、12bは、フォーク状刃が反対方向に垂直振動することが可能な電極構成の概略図である。図に示されるように、2組の電極100及び120が、フォーク状刃7、8の下の表面上、又は表面領域内に配置されている。第1の電極の組100は、フォーク状刃7、8を駆動して垂直振動させ、第2の電極の組120は、この垂直振動を検知する。駆動電極の組100は、フォーク状刃7、8の自由端部の下に配置され、一方検知電極の組120は、フォーク状刃7、8の下のベース部材5と駆動電極の組100との間に配置されている。しかしながら、電極100と120は完全に交換可能であることは理解されるであろう。
【0068】
より詳細には、図に示されるように、フォーク状刃が互いに反対方向に振動するように該フォーク状刃を駆動して振動させるために、駆動電極の組100を図のように各々のフォーク状刃7、8の下に配置された2つの電極に分割して、この2つの電極に逆の位相信号を供給することが好ましい。同様に検知電極の組120を2つの電極の組に分割し、2つの電極に逆位相の信号を供給することは明らかである。
【0069】
本発明をある特定の実施形態に関して説明したが、これらの実施形態は本発明を限定するものではないことは理解すべきである。実際、添付の請求項の精神及びその範囲を逸脱することなく、種々の変更及び/又は改良ができることは当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロメカニカル音叉共振器と集積電子回路とを備える本発明によるタイムベースを概略的に示す平面図である。
【図2】シリコン表面マイクロマシニング技術によって実施したマイクロメカニカル音叉共振器を備える、図1のタイムベースの第1の実施形態の平面図と、その実施形態のA−A’線に沿った断面図(a)と、B−B’線に沿った断面図(b)である。
【図3】シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板のような、埋め込み酸化層を有する基板を使用して作られたマイクロメカニカル音叉共振器を備える、図1のタイムベースの第2の実施形態の平面図と、その実施形態のA−A’線に沿った断面図(a)と、B−B’線に沿った断面図(b)である。
【図4】フォーク状刃を解放するために、埋め込み酸化層を有する基板を使用し、基板の後部をエッチングすることによって作られたマイクロメカニカル音叉共振器を備えた、図1のタイムベースの第3の実施形態の平面図と、その実施形態のA−A’線に沿った断面図(a)と、B−B’線に沿った断面図(b)である。
【図5】フォーク状刃が、非対称すなわち「同位相」の様態で振動する第1の平面内振動モードを示す図(a)と、フォーク状刃が、対称すなわち「逆位相」の様態で振動する第2の平面内振動モードを示す図(b)である。
【図6】櫛型形状の電極構造設計の実施例を示す部分平面図である。
【図7】電極に印加された電圧と、結果としてフォーク刃に発生する静電気力との間の関係を示す図である。
【図8】音叉の刃が電極構造体にくっつくことを防ぐように意図された設計の部分平面図である。
【図9】図2に示す第1の実施形態の改良を示す平面図とその線A−A’に沿った断面図(a)である。
【図10】開口を有する共振器のフォーク刃の部分を示す。
【図11】同じベース部材を共有し、2つの別々の共振周波数を示すように設計された2つの音叉共振器を示す。
【図12】フォーク状刃が基板平面に対して反対方向に垂直振動する、第2の振動モードを示す平面図と、その線A−A’に沿った断面図(a)と、線B−B’に沿った断面図(b)である。
Claims (19)
- 共振器(4)と、
該共振器(4)を駆動して振動させ、決められた周波数を有する信号を該振動に応答して生成させる集積電子回路(3)と、
を備え、
前記共振器が基板(2)の上に支持され、該基板(2)に対して実質的に平行な平面内で第1の振動モードに応じて振動するように適合された集積されたマイクロメカニカル音叉共振器(4)であり、
該音叉共振器(4)が、
前記基板(2)から実質的に垂直に延びるベース部材(5)と、
前記ベース部材(5)に接続され、前記平面内に配置された実質的に平行なフォーク状刃(7、8)の少なくとも第1の組を含むフリースタンディング振動構造体(6)と、
前記フォーク状刃(7、8)に隣接して配置され、前記集積電子回路(3)に接続された電極構造体(9)と、
を備えることを特徴とするタイムベース。 - 前記電子回路(3)が、前記マイクロメカニカル音叉共振器(4)と共に前記基板(2)上に集積されることを特徴とする請求項1に記載のタイムベース。
- 前記フォーク状刃(7、8)の各々が、前記平面内に配置され、前記フォーク状刃(7、8)の第1の側部から実質的に垂直に延びる第1の電極部材(72、82)を含む櫛形構造体(71、81)を備え、前記電極構造体(9)が、前記フォーク状刃(7、8)の櫛形構造体(71、81)とかみ合い、前記第1の電極部材(72、82)に隣接する第2の電極部材(93、94)を含む少なくとも1つの櫛形電極構造体(91、92)を備えることを特徴とする請求項1に記載のタイムベース。
- 前記電極部材(72、82、93、94)が円弧形状であることを特徴とする請求項3に記載のタイムベース。
- 隣接する前記電極部材(72、82、93、94)間の距離が、前記フォーク状刃(7、8)の自由端(7a、7b)でより短くなるように、前記フォーク状刃(7、8)の長さに沿って変化していることを特徴とする請求項3に記載のタイムベース。
- 前記フォーク状刃(7、8)の動きを制限し、衝撃が加えられた場合に前記刃が前記電極構造体(9)にくっつくことを防止するために、前記フォーク状刃(7、8)の各々の自由端(7a、7b)に隣接して、停止構造体(28)が前記基板(2)上に形成されることを特徴とする請求項3に記載のタイムベース。
- 衝撃が加えられたときに、前記フォーク状刃(7、8)が前記電極構造体(9)にくっつくのを防ぐために、前記電極部材(72、82、93、94)の先端(72a、93a)が、鋭い形状、又は少なくとも好適に小さな表面積であることを特徴とする請求項3に記載のタイムベース。
- 衝撃が加えられたときに、前記フォーク状刃(7、8)が前記電極構造体(9)にくっつくのを防ぐために、前記電極部材(72、82、93、94)の少なくとも1つ(72*)が他のものより長いことを特徴とする請求項3に記載のタイムベース。
- 前記電極構造体が、
前記音叉共振器(4)を駆動して振動させる、前記フォーク状刃(7、8)の第1の刃(7)に隣接する第1の電極構造体(91)と、
前記音叉共振器(4)の振動から生じる信号を検知する、前記フォーク状刃(7、8)の他方の刃(8)に隣接する第2の電極構造体(92)と、
を備え、
前記フリースタンディング振動構造体(6)が、前記ベース部材(5)を介して固定電位に接続され、
直流定電圧成分(Udc)が、前記第1の電極構造体(91)又は前記フリースタンディング振動構造体(6)の一方又は両方に印加されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のタイムベース。 - 前記電極構造体(9)が、前記音叉共振器(4)を駆動して振動させるための、前記フォーク状刃(7、8)の一方又は両方に隣接して配置された少なくとも1つの電極構造体を備え、
前記フリースタンディング振動構造体(6)が、前記ベース部材(5)を介して固定電位に接続され、
前記少なくとも1つの電極構造体(91、92)又は前記フリースタンディング振動構造体(6)の一方又は両方に直流定電圧成分(Udc)が印加され、共振時のインピーダンス変化を検出することによって検知が行われることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のタイムベース。 - 前記第1の振動モードは、フォーク状刃(7、8)の両方が反対方向に振動する、対称振動モードであることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のタイムベース。
- 実質的に前記フリースタンディング振動構造体(6)の形状を有する導電性パターン(31)が、前記フリースタンディング振動構造体(6)の少なくとも一部の下で、前記基板(2)の表面上に形成され、前記フリースタンディング振動構造体(6)と前記導電性パターンとが同電圧になることを特徴とする請求項1に記載のタイムベース。
- 前記音叉共振器(4)の共振周波数に対する、エッチング不足又はエッチング過剰の影響を実質的に補償するために、前記フォーク状刃(7、8)に開口(65)が形成されることを特徴とする請求項1に記載のタイムベース。
- 前記タイムベースによって生成された信号の周波数に対して、温度の影響を補償することを意図する集積された温度計測回路をさらに備えることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のタイムベース。
- 前記基板の上に支持され、第1の共振器の共振周波数とは異なる共振周波数で振動するように適合された、第2のマイクロメカニカル音叉共振器(4*)をさらに備え、前記タイムベースによって生成された信号の周波数に対して温度の影響を補償するために、両方の共振周波数間の温度依存周波数の差を使用することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載のタイムベース。
- 前記第1及び第2の音叉共振器(4、4*)が同一のベース部材(5)を共用することを特徴とする請求項15に記載のタイムベース。
- 前記第1の振動モードの共振周波数とは異なる共振周波数を有する第2の振動モードを駆動し且つ検知するように、前記フリースタンディング振動構造体(6)下に電極(100、120)が配置され、前記タイムベースによって生成された信号の周波数に対する温度の影響を補償するために、両方の振動モードの共振周波数間の温度依存周波数の差を使用することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載のタイムベース。
- 前記第2の振動モードは、フォーク状刃(7、8)の両方が前記基板(2)に対して実質的に垂直な、反対方向に振動する垂直振動モードであることを特徴とする請求項17に記載のタイムベース。
- 前記基板(2)及び前記音叉共振器(4)が、シリコン材料で作られることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のタイムベース。
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