JP2004514445A - 新規な網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379 - Google Patents

新規な網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379 Download PDF

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Abstract

本発明は新規なヒト網膜特異的タンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379、並びに、これらのタンパク質をコードする単離された核酸分子に関する。また、これらのヒトタンパク質を製造するための、ベクター、宿主細胞、抗体及び遺伝子組み換え方法が提供される。本発明は更に、網膜変性疾患、例えばAMDの診断及び治療に有用な診断方法及び治療方法に関する。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明はヒト網膜組織における遺伝子発現、特に、加齢関連黄斑変性(AMD)を含む黄斑変性に関わる新しい網膜特異的タンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379、並びに、C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379をコードする遺伝子に関する。
【0002】
(背景技術)
1855年に最初に報告された加齢関連黄斑変性(AMD)は現在では先進国における視覚障害の最も一般的な原因として認識されている。52歳より高齢の人間におけるAMDの罹患率は9%であることがわかっており、これは75歳より高齢の人間では25%を超えるまで増大する。予測される推定値によれば、2020年までに65歳より高齢では7.5百万もの人がAMDによる中枢性視覚消失に罹患すると考えられている。工業国における高齢者の人口増加に従い、それに伴う社会的および経済的なAMDの影響は、予防または治療方法が考案されない限り、来世紀には増加する運命にある。
【0003】
組織学的には、網膜色素上皮(RPE)内の黄色リポフスチン様粒子の漸増蓄積が加齢と共に観察される。これは恐らくはAMDの発症の早期の段階を示しており、その後、視力消失を伴う場合が多い二次的な合併症が起こる。しかしながら、リポフスチン様沈着物は未消化の貪食された光受容体の外側セグメントの膜の残存物を示しており、これは正常な生理学的過程においては基本的にはブルーフ膜を経由して脈絡毛細管板に排出される。経時的には、リポフスチン様粒子の不完全な消化および蓄積はブルーフ膜に影響し、膜の内側のコラーゲン層の異常な肥厚化として電子顕微鏡で観察されるとおり、その進行性の破壊をもたらす。RPEおよびブルーフ膜内の沈着は大部分は脂質よりなるが、その厳密な組成は個体間で異なり、一部の沈着物は更に極性の高いリン脂質であり、一部は非極性の中性脂質を含有することがわかっている。
【0004】
このような結晶腔の組成の個体間の相違はAMDにおける臨床上の異質性の根拠となると考えられる。一部の患者はブルーフ膜を通過する脈絡毛細管板からの血管の内生を伴って来院し、一部の患者はRPE下部の進出による色素上皮剥離を呈しており、更に別の患者集団ではRPEおよび重層する感覚視神経網膜の萎縮性変化による視力消失の緩やかな減少を経験する。共通性はかなり低いが、AMDの滲出性/血管新生性の形態は視力≦20/200の視力消失症の80%を超をしめる。
【0005】
AMDは外因性および内因性の要因により誘発される複雑な疾患である。環境的要因に加えて、遠視、明色の皮膚と虹彩、高い血清中コレステロール濃度、高血圧または喫煙のような数種類の個人的な危険要因が示唆されている。AMDの遺伝的要素は数グループにより明らかにされており、遺伝的素因のある者では疾患は環境/個人的因子によりトリガーされるという仮説が唱えられている。突然変異した場合にAMDへの易罹患性をもたらす可能性のある遺伝子の数は現時点では知られていない。光受容体特異的ATP結合カセット(ABCR)遺伝子がAMDの素因となる遺伝子の最初の例であると考えられるが、試験の設計における方法論的な問題点やデータの解釈により疑問が持たれている。
【0006】
現在広範な研究が進行中であり、その目的はAMDへの易罹患性をもたらす遺伝子の同定にある。しかしながら、70歳代における一般的に遅い発症および臨床上そして恐らくは遺伝的な異質性により、AMDの素因となる遺伝子を同定するために従来の研究方法を適用することが困難となっている。
【0007】
AMDのような黄斑変性の素因となる網膜特異的遺伝子、例えば黄斑変性の発症と相関する遺伝子の変異体や黄斑変性の発症と相関する異常発現を示す遺伝子を得るための従来技術の上記した制約や失敗により、この疾患の過程の全体に渡り、診断上、予後上および治療上で用いることができる遺伝子(マーカー)の必要性が生まれた。このような必要性は、C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379、並びにC7orf9、C12orf7、MPP4およびF379をコードする遺伝子を提供することで、本発明により満足される。C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379をコードする遺伝子は網膜組織中で発現されるが、試験した他の組織中では発現されない。該遺伝子の同定は、ヒト網膜に限定的または優先的に発現される遺伝子のゲノムワイドの同定を目的とし、公的に入手可能なUniGeneのデータセットの発現配列タグ(EST)クラスター内に総括されたインシリコの発現情報を用いた新しいコンピューター支援方法を用いることにより達成された(Shuler,Mol.Med.75(1997),694−698)。網膜において特別にまたは優勢に活性となる遺伝子はこの高度に分化した組織において重要な機能的役割を演じているはずであり、従って、AMDおよび他の網膜変性疾患の病因に関与しているであろう。
【0008】
(発明の開示)
本発明はAMDおよび他の網膜変性疾患の病因に関与していると考えられる遺伝子、C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379の単離に基づいている。C7orf9、C12orf7、MPP4およびF379のクローニングおよび配列決定は、網膜疾患における、考えられるその役割の分析、および、黄斑変性、例えばAMDの診断および予防/治療のための方法の開発を促進するはずである。
【0009】
即ち本発明はC7orf9、C12orf7、MPP4およびF379タンパク質、並びに、該タンパク質をコードする各核酸、更に、C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の発現または活性を阻害することができるアンチセンスRNA、リボザイムおよび阻害剤を提供する。
【0010】
1つの実施態様において、本発明は黄斑変性または該疾患の素因を検出するための診断方法を提供する。
【0011】
別の実施態様において、本発明は黄斑変性の(予防的)治療方法を提供する。
【0012】
最後に、本発明は、プロモーターと作動的に連結されたC7orf9、C12orf7、MPP4およびF379をコードするヌクレオチド配列または上記したアンチセンスRNAまたはリボザイムを含む発現ベクターを治療対象の細胞に導入することを含む遺伝子治療の方法を提供する。
【0013】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は下記分子:
(a)配列番号24、29、31、37または38に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子;
(b)配列番号1、25、30、35または36に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子;
(c)配列番号2〜23、26〜28、32〜34または39〜45に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子;
(d)(a)〜(c)に記載した核酸分子にハイブリダイズする核酸分子;
(e)その核酸配列が、遺伝コードの縮重のため(a)〜(d)に記載した核酸配列から偏移した核酸分子;および、
(f)(a)〜(e)に記載した核酸配列のフラグメント、誘導体または対立遺伝子変異体を示す核酸分子;
よりなる群から選択される網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379もしくはC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の生物学的特性を示すタンパク質をコードする単離された核酸分子に関する。
【0014】
本明細書においては、C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の生物学的特性を示すタンパク質とは、C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の生物学的活性の少なくとも1つを有するタンパク質とする。
【0015】
本明細書においては、「単離された核酸分子」という用語は、それが本来結合している他の核酸、タンパク質、脂質、炭水化物または他の物質を実質的に含有しない核酸分子を包含する。例えば、単離された核酸分子はベクターまたは物質の組成物の部分であり得、或いは、細胞内に含有されるものであってもよく、そして更に、ベクター、組成物または特定の細胞が核酸分子の本来の環境ではないために「単離されている」ことができる。
【0016】
第1の実施態様において、本発明は配列番号3、6、8、11aまたは11bに示すアミノ酸配列を含む網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379をコードする単離された核酸分子を提供する。本発明はまた、配列番号1、25、30、35または36(cDNA)または配列番号2〜23、26〜28、32〜34または39〜45(ゲノムDNA)に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
【0017】
本発明の核酸分子はDNAおよびRNA分子のいずれであってもよい。適当なDNA分子は例えばゲノムまたはcDNA分子である。C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の全体または一部をコードする全ての核酸分子もまた、それらが生物学的に活性であるタンパク質をコードする限りにおいて、包含するものとする。本発明の核酸分子は天然物から単離することができ、または、既知の方法に従って合成することができる。
【0018】
本発明はまた上記した核酸分子にハイブリダイズする核酸分子を提供する。本明細書において「ハイブリダイズする」という用語は、慣習的なハイブリダイゼーション条件下、好ましくは、例えばSambrook等のMolecular Cloning,A laboratory Manual,2nd edition(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されているストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションを意味する。更にまたより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件においてC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379核酸分子にハイブリダイズする核酸分子も包含される。ハイブリダイゼーションおよびシグナル検出のストリンジェンシーの変更は、主に、ホルムアミドの濃度(より低比率のホルムアミドがより低いストリンジェンシーをもたらす)、塩条件または温度の操作を介して達成される。例えば、より低いストリンジェンシーの条件では、一夜のインキュベートを37℃において6X SSPE(20X SSPE=3M NaCl;0.2M NaHPO;0.02M EDTA,pH7.4)、0.5%SDS、30%ホルムアミド、100μg/mlサケ精子ブロッキングDNAを含有する溶液中で行ない、次いで、50℃の1X SSPE、0.1%SDSで洗浄する。更により低いストリンジェンシーを達成するためには、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの後に行なう洗浄をより高い塩濃度(例えば5X SSC)において行なうことができる。上記した条件の変更は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑制するために用いる交互ブロッキング試薬の投入および/または代替を介して行なってよい。特定のブロッキング試薬の投入は適合性の問題から上記したハイブリダイゼーション条件の変更を要する場合がある。
【0019】
本発明の分子とハイブリダイズする核酸分子は例えばヒトの細胞系または組織から作製されたゲノムまたはcDNAライブラリから単離することができる。このような核酸分子を同定及び単離するためには、本発明の分子またはこのような分子の部分、または、これらの分子の逆相補体を、例えば、常法に従ったハイブリダイゼーションにより使用することができる(例えばSambrook等、1989、Molecular Cloning,A laboratory Manual,2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY参照)。ハイブリダイゼーションプローブとしては、例えば、配列番号1、2〜23、25、26〜28、30および32〜34にそれぞれ示すヌクレオチド配列またはそれらの配列の部分を厳密に、または、基本的に有する核酸分子を使用できる。ハイブリダイゼーションプローブとして使用するフラグメントは常套的合成方法により作製できる合成フラグメントであり得、そしてその配列が基本的に本発明の核酸分子の配列に相当する。
【0020】
本発明の核酸分子はまた遺伝コードの結果として縮重している配列を有する分子を包含する。
【0021】
別の実施態様において本発明は、本発明のタンパク質をコードする上記した核酸分子のフラグメント、誘導体および対立遺伝子変異体を含む核酸分子を提供する。「フラグメント」とは、前記タンパク質の1つをコードするのに十分長い核酸分子の部分を指すものとする。これらのフラグメントは本発明の核酸分子の転写物に特異的にハイブリダイズする核酸分子を含む。このような核酸分子は例えば診断アッセイおよび/または診断キット中のプローブまたはプライマーとして使用することができ、そして、好ましくは、少なくとも15、好ましくは少なくとも50ヌクレオチドの長さを有するオリゴヌクレオチドである。
【0022】
本発明の核酸分子およびオリゴヌクレオチドはまた例えばPCR反応のプライマーとして使用することができる。
【0023】
ここで「誘導体」という用語は、これらの分子の配列が、1個所または数カ所において上記した核酸分子の配列とは異なるが、これらの配列と高い水準の相同性を有することを意味する。本明細書においては相同性とは、少なくとも40%の配列同一性、特に少なくとも60%、好ましくは80%を超える、とりわけ好ましくは90%を超える同一性を意味する。核酸分子によりコードされるこれらのタンパク質は配列24、29および31にそれぞれ示したアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは85%、特に好ましくは90%、95%、97%および99%を超える配列同一性を有する。上記した核酸分子の偏移は、欠失、置換、挿入または組み換えによりもたらされたものであってよい。
【0024】
上記した分子と相同であり、これらの分子の誘導体となる核酸分子は、通常は同じ生物学的機能を有する修飾を呈するこれらの分子の変異型である。それらは天然の変異型、例えば他の生物由来の配列、天然に存在するか特定の突然変異誘発により導入された突然変異型であることができる。更にまた変異型は合成により作製された配列であることができる。対立遺伝子変異体は天然に存在する変異体であるか。合成により作製された変異体であるか、組み換えDNA法により作製された変異体であることができる。
【0025】
一般的に常套的分子生物学的方法を用いることにより、本発明の核酸分子に種々の突然変異を導入することができる(例えばSambrook等、1989、Molecular Cloning,A laboratory Manual,2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY参照)。その結果、修飾された可能性のある生物学的特性を有するC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質またはC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379関連タンパク質が合成される。1つの可能性は、コードDNA配列の5’または3’末端からの連続欠失により核酸分子が生成され、それに応じて短くなったタンパク質が合成されることになるような、欠失突然変異体の生成である。別の可能性は、アミノ酸配列の修飾が例えば酵素活性または酵素の調節に影響するような位置における点突然変異の導入である。この方法により、例えば変更されたK値を有する、または、例えばアロステリック調節または共有結合修飾に関する細胞に通常存在する調節機序の対象とはもはやならないような突然変異タンパク質が生成される場合がある。このような突然変異タンパク質もまた治療上有用なC7orf9、C12orf7、MPP4およびF379の各々の阻害剤(拮抗剤)として価値あるものである。
【0026】
遺伝子工学を用いた原核細胞における操作のためには、本発明の核酸分子またはその分子の部分をプラスミドに導入してDNA配列の組み換えにより突然変異誘発を行なうか配列の修飾を行なうことができる。常法(Sambrook等、1989、Molecular Cloning,A laboratory Manual,2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY、USAを参照)により、塩基を交換し、天然または合成の配列を付加することができる。DNAフラグメントを相互に連結するためには、アダプターまたはリンカーをフラグメントに付加することができる。更にまた、適当な切断部位を与える、または、余分なDNAまたは切断部位を除去するような操作を行なうこともできる。挿入、欠失または置換が可能である場合は、in vitroの突然変異誘発、プライマー修復、制限酵素処理またはライゲーションを行なうことができる。分析方法としては、通常は配列分析、制限酵素分析および他の生化学的または分子生物学的な方法が用いられる。
【0027】
本発明の核酸分子の種々の変異体によりコードされるタンパク質は、酵素活性、分子量、免疫学的反応性またはコンホメーションまたは物理学的特性(例えば電気泳動における移動度、クロマトグラフィー挙動、沈降係数、溶解度、分光分析特性、安定性、最適pH、最適温度)のような、特定の共通の特性を示す。
【0028】
本発明は更に、本発明の核酸分子を含有するベクターに関する。好ましくは、それらはプラスミド、コスミド、ウィルス、バクテリオファージおよび遺伝子工学分野で通常使用されている他のベクターである。本発明において使用するのに適するベクターとしては、限定するものではないが、例えば細菌における発現のためのT7−系発現ベクター、哺乳類細胞における発現のためのpMSXND発現ベクターおよび昆虫細胞における発現のためのバキュロウィルス由来ベクターが挙げられる。好ましくは、本発明の核酸分子が本発明の組み替えベクターの調節エレメントと作動的に連結し、原核細胞または真核細胞内において転写されるRNAの転写または合成を保証する。転写されるべきヌクレオチド配列はT7、メタロチオネインIまたはポリヘドリンプロモーターのようなプロモーターに作動的に連結させることができる。
【0029】
更に別の実施態様において、本発明は本発明の核酸分子またはベクターを一過性にまたは安定して含有する組み換え宿主細胞に関する。宿主細胞はin vitroでの組み換えDNAを取り込むことができ、そして適宜、本発明の核酸分子によりコードされるタンパク質を合成することができる生物である。好ましくは、これらの細胞は原核細胞または真核細胞、例えば哺乳類細胞、細菌細胞、昆虫細胞または酵母細胞である。本発明の宿主細胞は好ましくは、導入された本発明の核酸分子が形質転換された細胞に対して異種である、即ち、これらの細胞中には天然には存在しないか、または、相当する天然の配列の場合とは異なるゲノム中の場所に局在する、という事実を特徴とする。
【0030】
本発明の更に別の実施態様はヒト網膜特異的タンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の生物学的特性を示し、そして本発明の核酸分子によりコードされている単離されたタンパク質、並びに、例えば本発明の宿主細胞をタンパク質合成可能な条件下に培養し、その後タンパク質を培養された細胞および/または培地から単離することができる、前記タンパク質の作製方法に関する。組み換えにより作製されたタンパク質の単離および精製はプリペラティブクロマトグラフィーおよび例えば抗C7orf9、抗MPP4、抗C12orf7および抗F379抗体をそれぞれ用いるようなモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを含む親和性および免疫学的な分離方法を含む、常法により行なってよい。
【0031】
本明細書において、「単離されたタンパク質」という用語は、それが本来結合している他のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物または他の物質を実質的に含有しないタンパク質を包含する。しかしながらこのようなタンパク質は組み換えにより作製されたタンパク質を含むのみならず、天然のタンパク質、合成により製造されたタンパク質、または、これらの方法の組み合わせにより製造されたタンパク質も包含する。このようなタンパク質を調製するための方法は当該分野でよく知られている。本発明のタンパク質は好ましくは実質的に精製された形態である。分泌タンパク質を包含するC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質の組み換えにより作製された型はSmith and Johnson,Gene 67:31−40(1988)に記載される1工程方法により実質的に精製することができる。
【0032】
更に別の好ましい実施態様において、本発明は上記した核酸分子またはその相補鎖と特異的にハイブリダイズする少なくとも15ヌクレオチド長の核酸分子に関する。特異的ハイブリダイゼーションは、好ましくはストリンジェントな条件下に行ない、そしてタンパク質をコードしない、または、実質的に異なるタンパク質をコードしているヌクレオチド配列との交差ハイブリダイゼーションは全く無いか極めて少ない。このような核酸分子はプローブとして、そして/または遺伝子発現の制御のために使用してよい。核酸プローブ法は当業者のよく知るものであり、このようなプローブの長さが多様であることは周知のとおりである。好ましいものは17〜35ヌクレオチド長の核酸プローブである。当然ながら、100まで、またはこれより多いヌクレオチド長の核酸を用いてもよい。本発明の核酸プローブは種々の用途のために有用である。他方これらは本発明の核酸分子の増幅のため、または、該核酸分子内の突然変異の検出のためのPCRプライマーとして使用してよい。或いは、ゲノムDNAライブラリの相同性検索により本発明の核酸分子にハイブリダイズするポリヌクレオチドを同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用してもよい。上記した核酸分子に相補的な本発明のこの好ましい実施態様の核酸分子はまた、例えばアンチセンスまたは三重螺旋作用によるこのような核酸分子を含む遺伝子の発現の抑制のため、または、本発明の核酸分子を含む遺伝子のmRNA前駆体を特異的に切断する適切なリボザイムの構築のため(例えばEP−B10291533、EP−A10321201、EP−A20360257参照)にも使用してよい。適切な標的部位および相当するリボザイムの選択は、例えばSteinecke,Ribozymes,Methods in Cell Biology 50,Galbraith等編、Academic Press,Inc.(1995),449−460に記載のとおり行なうことができる。アンチセンス法に関する標準的な方法も報告されている(Melani,Cancer Res.51(1991),2897−1901)。前記核酸分子は化学的に合成し、細胞内の該核酸分子の転写を可能にするキメラ遺伝子を含む適切なベクターにより形質導入してよい。このような核酸分子はまた上記したリボザイム配列を含んでいてもよい。
【0033】
即ち、本発明はまた、(i)本発明の核酸分子から転写されたmRNAまたはその部分に相補的であり、そして該mRNAに選択的に結合することができることを特徴とするアンチセンスRNA配列であって、前記核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を抑制することができるアンチセンスRNA配列、および(ii)本発明の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、そして該mRNAと選択的に結合し、そしてこれを切断することができ、これにより前記核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を阻害することを特徴とするリボザイムに関する。好ましくは、本発明のアンチセンスRNAおよびリボザイムは前記mRNAのコード領域、例えばコード領域の5’部分に相補的である。本発明の核酸分子の配列を提供された当業者であれば、上記したアンチセンスRNAまたはリボザイムを製造し、利用することができる。
【0034】
本発明の核酸分子は「遺伝子ターゲティング」および/または「遺伝子置換」のため、突然変異遺伝子の修復のため、または、相同組み換えにより突然変異遺伝子を作り出すために使用でき、例えばMouellic,PNAS USA 87(1990),4712−4716;Joyner,Gene Targeting,A Practical Approach,Oxford University Pressを参照して行なうことができる。
【0035】
更にまた、当業者の知るとおり、生物、特に哺乳類、好ましくはヒトに由来する試料中の本発明の核酸分子の存在を検出するため等の特定の用途のために、適切なマーカーを用いてこのような核酸プローブを標識することも可能である。Pharmacia Biotech(Piscataway NJ)、Promega(Madison WI)およびUS Biochemical Corp(Cleveland OH)のような多くの会社がこのような操作のための市販キットおよびプロトコールを供給している。適当なレポーター分子または標識には、放射性核種、酵素、蛍光、化学ルミネセンスまたは発色性の試薬、並びに基質、コファクター、阻害剤、磁性粒子等が包含される。このような標識を使用することを記載している特許には米国特許US−A−3,817,837;US−A−3,850,752,US−A−3,939,350;US−A−3,996,345;US−A−4,227,437;US−A−4,275,149およびUS−A−4,366,241が包含される。更にまた、組み換え免疫グロブリンも、引用によって本明細書に援用されるUS−A−4,816,567に記載のとおり製造してよい。
【0036】
更にまた、いわゆる「ペプチド核酸」(PNA)法を用いて本発明の核酸分子の発現を検出または抑制することができる。例えば、相補的な、並びに種々の1重鎖のRNAまたはDNA核酸分子へのPNAの結合は熱変性およびBIAcore表面相互作用法(Jenzen,Biochemistry 36(1997),5072−5077)を用いて系統的に調べることができる。更にまた、上記した核酸分子並びにそれより誘導されるPNAは、Gotoh,Rinsho Byori 45(1997),224−228を参照しながら、BIAcoreのような親和性センサーを用いて、試料由来の核酸とのハイブリダイゼーションにより点突然変異を検出するために用いることができる。ペプチド核酸(PNA)オリゴマーアレイ上でのハイブリダイゼーションにを使用したDNAのスクリーニングは従来技術、例えばWeiler,Nucleic Acids Research 25(1997),2792−2799に記載されている。PNAの合成は当該分野で知られた方法、例えば、Koch,J.Pept.Res.49(1997),80−88;Finn,Nucleic Acids Research 24(1996),3357−3363に記載のとおり行なうことができる。例えば制限酵素または核酸オリゴヌクレオチド合成用の鋳型として等のPNAの別の考えられる用途は当業者の知るとおりであり、例えばVeselkov,Nature 379(1996),214およびBohler,Nature 376 (1995),578−581に記載されている。
【0037】
更に別の実施態様において、本発明は、上記したアンチセンスRNAまたはリボザイムと同様の目的、即ち、生物学的に活性なC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379分子の低減または排除を達成する、C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の阻害剤に関する。このような阻害剤は例えばアンタゴニストとして作用する相当するタンパク質または突然変異タンパク質の構造的類縁体であることができる。更にまた、このような阻害剤は、組み換えにより作製されたタンパク質を使用することにより同定される分子を含み、例えば、組み換えにより作製されたタンパク質を用いて、例えば、適切な条件下にタンパク質に結合する潜在的阻害剤の能力を調べることにより、阻害剤を選別および同定することができる。阻害剤は例えば、C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379がネイティブな立体配座となることができる適切な条件下で阻害剤候補をタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379とともにインキュベートする被験混合物を調製することにより同定することができる。このようなin vitroの試験系は当該分野でよく知られた方法に従って確立することができる。阻害剤は例えば、まず組み換えにより作製されたC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質に結合する合成または天然の何れかの分子を選別することにより、そして次に第2段階において、生物学的活性の少なくとも1つの抑制により反映されるC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質の抑制を調べる試験において上記選択された分子を試験することにより同定することができる。このようなC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質に結合する分子の選別は、例えば、合成および/または天然の分子のライブラリから候補分子を選別する事により容易に大スケールで行なうことができる。このような阻害剤は例えば合成有機化合物、天然の醗酵生成物、微生物、植物または動物から抽出された物質、またはペプチドである。阻害剤の別の例は特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体である。更にまた、本発明の核酸配列およびコードされるタンパク質は黄斑変性の発症および進行に関与する他の因子を発見するために用いることもできる。本発明のタンパク質は、例えば、タンパク質/タンパク質相互作用に基づくスクリーニング方法、例えば2ハイブリッド系を用いて、黄斑変性に伴う他の(未関連の)タンパク質を発見するために用いることができる。
【0038】
黄斑変性、例えばAMDは、(i)C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379をコードする遺伝子の異常発現、(ii)低減されたまたは消失した生物学的活性を示すタンパク質の生成をもたらすC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379をコードする遺伝子内の突然変異、または、(iii)転座、逆位等による染色体位置の相違によるものと推定される。即ち、本発明の核酸分子はまた、例えば正常個体で得られた結果と罹患個体(または疾患のキャリア)で得られた結果とを比較することにより上記相違を検出するための試薬として多くの方法で用いられる。
【0039】
即ち、本発明はまた、網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379、またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードする核酸を含有すると考えられる標的試料を、C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379、並びに/またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードする核酸と反応する試薬と接触させること、および、C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379タンパク質、並びに/またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードする核酸を検出することを含む、黄斑変性または黄斑変性の素因、好ましくはAMD、を診断するための方法であって、C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379をコードする核酸内の突然変異、染色体転位、または、C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379タンパク質、並びに/またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードするmRNAの異常濃度の存在が黄斑変性または黄斑変性の素因を示す上記方法を提供する。
【0040】
標的細胞成分、例えば生物学的液体または組織中の、例えばC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379をコードする核酸は、in situで直接、例えばin situハイブリダイゼーションにより検出することができ、或いは、当業者の知る一般的な方法により他の細胞成分から単離した後にプローブに接触させてもよい。検出方法としては、ノーザンブロット分析、RNase保護、in situ法、例えばin situハイブリダイゼーション、in vitro増幅法(PCR、RT−PCR、LCR、QRNAレプリカーゼまたはRNA−転写/増幅(TAS,3SR)、EP−B10237362に開示されているリバースドットブロット))、イムノアッセイ、ウエスタンブロットまたは当業者の知る他の検出方法があげられる。in vitro増幅法により得られる産物は、例えば産物をアガロースゲル上で分離することにより、そして、その後臭化エチジウムで染色することにより、確立された方法に従って検出することができる。或いは、増幅産物は増幅のための標識プライマーまたは標識dNTPを用いて検出することができる。
【0041】
配列番号1、2〜23、25、26〜28、30、32〜34、35、36または39〜45に示す配列からPCRプライマー(好ましくは15〜25bp)を調製することにより配列を染色体にマッピングすることができる。プライマーがゲノムDNAの1つの予測されたエクソンを超えて広がらないようにコンピューター分析を用いてプライマーを選択することができる。次にこれらのプライマーを個体別ヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングに供する。ヒトC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379核酸分子を含有するハイブリッドのみが増幅されたフラグメントを生じる。同様に、体細胞ハイブリッドは特定の染色体にポリヌクレオチドをマッピングする迅速なPCR法を提供する。一のサーマルサイクラーを用いて一日当たり3個以上のクローンを割りつけることができる。更にまた、C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379遺伝子のサブローカリゼーションを特異的染色体フラグメントのパネルを用いて行なうことができる。使用することができるその他の遺伝子マッピング方法としては、in situハイブリダイゼーション、標識されたフロー分類された染色体の予備スクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリを構築するためのハイブリダイゼーションによる予備選択が挙げられる。C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379遺伝子の厳密な染色体位置はまた分裂中期の染色体スプレッドの蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて行なうこともできる。この方法は500または600塩基もの短いポリヌクレオチドを使用するが、1000〜4000bpのポリヌクレオチドが好ましい。この方法については、Verma等のHuman Chromosomes:a Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New York(1988)を参考にすることができる。染色体マッピングのためには、本発明の核酸分子は、(その単一の染色体または染色体上の単一の部位をマークするために)個別に、または、(複数の部位および/または複数の染色体をマークするために)パネルとして、使用することができる。好ましい核酸分子はcDNAの非コード領域に相当するが、その理由はコード配列は遺伝子ファミリー内部で保存されている可能性がより高く、染色体マッピングの間の交差ハイブリダイゼーションの可能性がより高くなるためである。遺伝子が厳密な染色体位置にマッピングされた後は、遺伝子の物理的位置は連鎖分析に用いることができる。連鎖分析により染色体の位置と疾患の発生との間の同時遺伝性を明らかにできる。即ち、同時遺伝性が明らかになった後、罹患個体と未罹患個体との間でC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379遺伝子および相当する遺伝子に相違を調べることができる。第1に、欠失や転座のような染色体の目視可能な構造的変化を染色体スプレッドにおいて、または、PCRにより調べる。構造的変化が存在しない場合は、点突然変異の存在が確認される。一部または全ての罹患個体において突然変異が観察されるが、正常個体では観察されない場合は、突然変異が疾患を誘発することを示している。しかしながら、突然変異と多型を区別するためには、数人の正常個体に由来するC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379ポリペプチドおよび相当する遺伝子の完全な配列決定が必要であると考えられる。新しい多型が同定されれば、この多型ポリペプチドを用いて更に連鎖分析を行なうことができる。
【0042】
更にまた、未罹患個体と比較した場合の罹患個体における遺伝子の発現の増大または低減を、本発明の核酸分子を用いて調べることができる。網膜組織におけるC7orf9、C12orf7、MPP4およびF379それぞれの発現は、伝統的な免疫組織学的方法で調べることができる(Jalkanen等、J.Cell.Biol.101(1985),976−985; Jalkanen等、J.Cell.Biol.105(1987),3087−3096;Sobol等、Clin.Immunopathol.24(1982),139−144;Sobol等、Cancer 65(1985),2005−2010)。タンパク質遺伝子発現の検出に有用な他の抗体を用いた方法としては、イムノアッセイ、例えば酵素結合免疫吸着試験(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)が挙げられる。適当な抗体試験の標識は当該分野で知られており、酵素標識、例えばグルコースオキシダーゼ、および放射性同位体、例えばヨウ素(125I,121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、重水素(H)、インジウム(112In)およびテクネチウム(99mTc)、および蛍光標識、例えばフルオレセインまたはローダミン、および、ビオチンを挙げることができる。生物学的試料中のC7orf9、C12orf7、MPP4およびF379を試験するほかに、タンパク質はまた画像化によりin vivoで検出することもできる。タンパク質のin vivo画像化のための抗体標識またはマーカーには、X線写真、NMRまたはESRにより検出可能なものが含まれる。X線写真の場合は、適当な標識としては、検出可能な放射線を発生するが検査対象に対して有害とならない、バリウムまたはセシウムのような放射性同位体が挙げられる。NMRおよびESRに適するマーカーとしては、該当するハイブリドーマに対する栄養の標識により抗体内にとり込まれる重水素のような検出可能な特徴的スピンを有するものが包含される。放射性同位体(例えば131I、112In、99mTc)、放射線非透過性物質、または、核磁気共鳴により検出可能な物質のような適切な検出可能な画像化物質で標識されたタンパク質特異的抗体または抗体フラグメントを、哺乳類に(例えば非経腸、皮下または腹腔内に)導入する。当業者の知るとおり、治療対象の体格および使用する画像化システムにより診断用画像を得るために必要な画像化部分の量が決定される。ヒト対象の場合の放射性同位体物質の場合は、注射すべき放射能の量は通常は99mTc約5〜20マイクロキュリーの範囲である。標識された抗体または抗体フラグメントはその後、特異的タンパク質を含有する細胞の位置に優先的に蓄積する。
【0043】
C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379タンパク質の濃度もまた診断と関連する。標的がタンパク質である場合は、試薬は典型的には、抗C7orf9、抗C12orf7、抗MPP4または抗F379抗体プローブである。「抗体」という用語は好ましくは、異なるエピトープ特異性を有するプールされたモノクローナル抗体、並びに、個別のモノクローナル抗体調製物より本質的には構成される抗体に関する。モノクローナル抗体は当業者のよく知る方法により本発明のタンパク質のフラグメントを含有する抗原から調製する(例えばKohler等、Nature 256(1975),495参照)。本明細書において、「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(Mab)という用語は、タンパク質に特異的に結合することができるインタクトの分子並びに抗体フラグメント(例えばFabおよびF(ab’)2フラグメント)を包含するものとする。FabおよびF(ab’)2フラグメントはインタクトの抗体のFcフラグメントを欠いており、循環系からより迅速に排出され、そして、インタクトの抗体よりも非特異的な組織結合が少ない。(Wahl等、J.Nucl.Med.24:316−325(1983)。)即ち、これらのフラグメント並びにFABまたは他の免疫グロブリン発現ライブラリの産物が好ましい。更にまた、本発明の抗体には、キメラ、一重鎖またはヒト化された抗体が包含される。
【0044】
プローブは例えば放射性同位体、バイオルミネセンス化合物、ケモルミネセンス化合物、蛍光化合物、金属キレートまたは酵素で検出可能に標識することができる。生物分子を標識するために種々の方法が利用でき、これらは当業者が知るものであり、本発明の範囲内に包含される。このような方法は例えば、Tijssen,”Practice and theory of enzyme immuno assays”,Burden,RH and von Knippenburg(Eds),Volume 15(1985),”Basic methods in molecular biology”;Davis LG,Dibmer MD;Battey Elsevier(1990),Mayer等,(Eds)”Immunochemical methods in cell and molecular biology”,Academic Press,London(1987)または”Methods in Enzymology”シリーズ、Academic Press,Inc.に記載されている。当業者の知るとおり種々多様な標識および標識方法が存在する。一般的に使用されている標識は、特に、蛍光色素(例えばフルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド等)、酵素類(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、放射性同位体(例えば32Pまたは125I)、ビオチン、ジゴキシゲニン、コロイド状金属、ケモ−またはバイオルミネセンス化合物(例えばジオキセタン、ルミノールまたはアクリジニウム)である。標識方法、例えば酵素またはビオチニル基の共有結合、ヨウ素化、リン酸化、ビオチニル化、ランダムプライミング、ニックトランスレーション、テーリング(末端トランスフェラーゼの使用)は当該分野でよく知られている。検出方法としては、例えばオートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡観察、直接または間接の酵素反応等が挙げられるが、これに限らない。
【0045】
上記した変化(変化した発現、染色体転位、または、突然変異)の何れも診断または予後のマーカーとして使用することができる。
【0046】
本発明はまた、C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の発現を低減、抑制または増大させる、または、生物学的活性のあるC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379タンパク質の発現をもたらす試薬の治療有効量を哺乳類の治療対象に投与することを含む黄斑変性または黄斑変性の素因、好ましくはAMDを治療するための方法に関する。本方法はまた出生前診断も含む。
【0047】
このような試薬の例は本発明の核酸分子、上記したアンチセンスRNA、リボザイムまたは阻害剤、例えば特異的抗体である。例えば、タンパク質に対する抗体の投与により当該タンパク質に結合してその過剰生産を低減することができる。
【0048】
即ち、核酸分子を用いることにより、三重螺旋の形成またはアンチセンスDNAまたはRNAを介した遺伝子発現の制御が可能になる。これらの方法は共にDNAまたはRNAへの核酸分子の結合に依存している。このような方法のためには、好ましいポリヌクレオチドは通常は20〜40塩基長であり、転写に関与する遺伝子の領域 (三重らせん−Lee,Nucl.Acids Res.6(1979),3073;Cooney,Science 241(1988),456;およびDervan,Science 251(1991),1360)またはmRNAそのもの(アンチセンス−Okano,J.Neurochem.56(1991),560;Oligodeoxy−nucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988))の何れかと相補的である。三重らせんの形成は最適にはDNAからのRNA転写のシャットオフをもたらすが、アンチセンスRNAハイブリダイゼーションはmRNA分子からポリペプチドへの翻訳をブロックする。これらの方法は共にモデル系では有効であり、本明細書に記載した情報を用いて疾患治療を意図したアンチセンスまたは三重らせんポリヌクレオチドを設計することができる。更にまた、遺伝子発現の低減または抑制は上記したリボザイムを用いることにより、または、疾患におけるC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379機能を抑制する遺伝子治療によりC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の優性陰性突然変異株を作製することにより、達成することができる。最後に、黄斑変性がC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の過剰発現によるものである場合、上記したC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379タンパク質の阻害剤、例えば抗C7orf9、抗C12orf7、抗MPP4または抗F379抗体を投与することができる。このような抗体はタンパク質と結合し、その過剰発現を低減することができる。
【0049】
疾患がC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の低下した発現によるものである場合、治療効果はC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379をコードする核酸分子またはタンパク質そのものを投与することにより得ることができる。
【0050】
本発明の核酸分子はまた遺伝子治療において有用である。遺伝子治療の1つの目的は遺伝子的欠損を是正することを意図して欠損遺伝子を有する生物に正常な遺伝子を挿入することである。本発明の核酸分子は高精度な方法でこのような遺伝子欠損をターゲティングする手段を提供する。もう1つの目的は宿主ゲノム内に存在していなかった新しい遺伝子を挿入することにより宿主細胞において新しい特性を生成することである。
【0051】
投与に際しては、上記した試薬を好ましくは安定な製薬用の担体と組み合わせる。適当な製薬用担体の例は当該分野でよく知られており、リン酸塩緩衝食塩水、水、乳液、例えば水中油型エマルジョン、種々の湿潤剤、滅菌溶液等が包含される。このような担体は、常法で調合することができ、そして適当な用量で治療対象に投与することができる。適当な組成物の投与は例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所または皮内投与のような種々の方法により行なってよい。投与経路は当然ながら、例えば医薬組成物中に含有される化合物の種類により変化する。用法は担当医師および他の臨床要因に応じて決定する。医療分野で周知のとおり、各患者に対する用量は多くの要因、例えば患者の体格、体表面積、年齢、性別、投与する特定の化合物、投与の時間および経路、疾患の種類および段階、全身状態および併用薬等により変動する。
【0052】
本発明の核酸分子、本発明のアンチセンスRNAまたはリボザイムの送達は直接投与によるか、または、好ましくはこれらの化合物を含有するキメラウィルスのような組み換え発現ベクターまたはコロイド状分散系を用いることにより行なうことができる。これらの核酸を所望の標的に送達することにより、C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の細胞内発現、ひいては、C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の濃度を増大または減少させることができる。
【0053】
標的部位への直接の適用は、例えば弾丸送達により、コロイド状分散系として、または、動脈内の部位に対してカテーテルにより行なうことができる。上記した核酸の送達のために使用することができるコロイド状分散系としては、大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズおよび脂質系システム、例えば水中油型エマルジョン、(混合)ミセル、リポソームおよびリポプレックスが挙げられる。好ましいコロイド状システムはリポソームである。リポソームの組成は通常はリン脂質およびステロイド、特にコレステロールの組み合わせである。当業者は所望の核酸分子の送達のために適するリポソームを選択できる。網膜組織のみに送達するために、臓器特異的または細胞特異的なリポソームを用いることができる。リポソームのターゲティングは一般的に知られた方法を適用することにより当業者が実施することができる。このターゲティングには、受動的ターゲティング(洞様毛細血管を含む臓器におけるRESの細胞に分布しようとするリポソームの本来の傾向を利用)または能動的ターゲティング(例えばリポソームをよく知られた方法で、特異的リガンド、例えば抗体、受容体、糖、糖脂質、タンパク質等とカップリングさせることによる)が含まれる。本発明においては、特異的細胞−表面リガンドを介して特異的腫瘍にリポソームをターゲティングするためにはモノクローナル抗体が好ましく用いられる。
【0054】
遺伝子治療に有用な好ましい組み換えベクターはウィルスベクター、例えばアデノウィルス、ヘルペスウィルス、ワクシニアまたはより好ましくはレトロウィルスのようなRNAウィルスである。更に好ましくは、レトロウィルスはマウスまたはトリのレトロウィルスの誘導体である。本発明において使用できるこのようなレトロウィルスベクタの例は、モロニーマウス白血病ウィルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウィルス(HaMuSV)、マウス乳腺腫瘍ウィルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウィルス(RSV)である。最も好ましくは、マウスベクターと比較してより広い宿主範囲を与えるテナガザル白血病ウィルス(GaLV)のような非ヒト霊長類レトロウィルスベクタ−を用いる。組み換えレトロウィルスは欠損があるため、感染性粒子を作製するためには補助が必要である。このような補助は例えばLTR内部で調節配列の制御下、レトロウィルスの構造遺伝子全てをコードするプラスミドを含むヘルパー細胞系統を用いることにより得ることができる。適当なヘルパー細胞系統は当該分野でよく知られている。このようなベクターは更に形質導入された細胞を同定できるような選択性マーカーをコードする遺伝子を含むことができる。更にまた、レトロウィルスベクタはそれらが標的特異的となるように修飾されることができる。このことは、例えば糖、糖脂質またはタンパク質、好ましくは抗体をコードするポリヌクレオチドを挿入することにより達成することができる。標的特異的ベクターを作製するための別の方法は当業者の知るとおりである。in vitroまたはin vivo遺伝子治療のための別の適当なベクターおよび方法は文献に記載されており、当業者の知るものであり、例えばWO94/29469またはWO97/00957を参照できる。
【0055】
標的臓器のみでの発現を達成するためには、例えばアンチセンスRNAまたはリボザイムをコードする核酸を組織特異的プロモーターに作動可能に連結し、遺伝子治療に用いることもできる。このようなプロモーターは当業者のよく知るものである(例えばZimmermann等、(1994),Neuron 12,11−24;Vidal等、(1990)EMBO J.9,833−840;Mayford等、(1995),Cell 81,891−904;Pinkert等、(1987)Genes & Dev.1,268−76参照)。
【0056】
診断研究に用いるためのキットもまた本発明により提供される。このようなキットは黄斑変性または黄斑変性の素因の検出のために有用であり、上記した核酸分子、ベクター、タンパク質、抗体または化合物の少なくとも1つおよび場合により適当な検出手段を含む。
【0057】
本実施態様においては、上記のとおり同定された核酸分子、タンパク質、抗体または化合物は好ましくは上記したとおり検出可能に標識されている。
【0058】
更にまた、上記した化合物等は固相に結合させてもよい。固相は当該分野で知られるとおりであり、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラスおよび/またはシリコンチップおよび表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シート、動物の赤血球、または赤血球影、デュラサイトおよび反応容器のウェル壁、プラスチックチューブまたは他の試験管を含む。固相上に核酸、(ポリ)ペプチド、タンパク質、抗体等を固定化するための適当な方法は、例えばイオン性、疎水性、共有結合性の相互作用等を包含するがこれに限らない。固相は上記した領域を誘引して固定化する1つ以上の別の受容体を保有することができる。この受容体は試薬そのものに対し、または、捕獲試薬にコンジュゲートした荷電物質に対して逆に荷電しているか、または受容体は固相上に固定化(結合)され、そして上記した試薬を固定化することができる何れかの特異的な結合相手であることができる。
【0059】
好ましくは該キットは抗C7orf9、抗C12orf7、抗MPP4または抗F379抗体またはそのフラグメントおよび/またはC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379特異的な核酸プローブを含む。
【0060】
一般的に使用されている検出試験は放射性同位体または非放射性同位体による方法を含む。これらには、とりわけ、RIA(放射性同位体試験)およびIRMA(免疫ラジオムノメトリック試験)、EIA(酵素免疫試験)、ELISA(酵素結合免疫試験)、FIA(蛍光免疫試験)、およびCLIA(ケモルミネセンス免疫試験)が包含される。当該分野で使用されている他の検出方法はトレーサー分子を利用しないものである。このような方法の1つのプロトタイプはある分子が少なくとも2つの粒子に結合する性質に基づいた凝集試験である。
【0061】
臨床上および/または学術的な標本中の(ポリ)ペプチド、ポリヌクレオチド等の診断および定量のためには、上記したような免疫学的方法並びに分子生物学的方法、例えば当該分野でよく知られた核酸ハイブリダイゼーション試験、PCR試験またはDNA酵素免疫試験(Mantero等、Clinical Chemistry 37,(1991),422−429)が有用である。試料中の核酸分子の検出を可能とする別の診断方法は例えばリガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸ハイブリダイゼーションと組み合わせたサザンブロッティング、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)またはリプレゼンタティブディファレンス分析(RDA)を含む。このような方法は例えば、治療対象の細胞からmRNAを獲得し、その獲得されたmRNAを安定な条件下(上述)本発明の核酸分子と特異的にハイブリダイズできる核酸分子を含むプローブ/プライマーと接触させ、そして、プローブ/プライマーにハイブリダイズしたmRNAの存在を検出および/または濃度を測定することを含む、本発明のタンパク質をコードするmRNAの存在の検出により、本発明の核酸分子の発現を測定するために有用である。このような方法は当該分野で知られており、過度の実験を行なうことなく実施できる。上記した方法はまた、突然変異または染色体再編成の検出のために用いることもできる。
【0062】
本発明のキットは例えば1種以上の本発明のプローブ(試薬)を充填した容器1個以上を含んでいてよい。キットの容器には医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を管轄する当局により指定された形式の告知文を付すことができ、該告知文はヒトへの投与に関する製造、使用または販売の当局による許可を反映する。
【0063】
本発明の核酸分子の提供により、例えば上記したタンパク質の濃度の低下したトランスジェニックな非ヒト動物を作製できる可能性が生じる。これを達成するための手法は当業者の知るとおりである。即ち、本発明はまた、生殖細胞、胚細胞、幹細胞または卵細胞、またはこれらから誘導した細胞内に本発明の核酸分子またはベクターを導入することを包含するトランスジェニックな非ヒト動物、好ましくはトランスジェニックなマウスの製造方法に関する。非ヒト動物は非トランスジェニックな健常動物であることができ、或いは、C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質の少なくとも1つの突然変異により誘発された障害を有していてよい。このようなトランスジェニックな動物は例えば上記したC7orf9、C12orf7、MPP4およびF379タンパク質の突然変異型を用いた薬剤の薬理学的試験のために適している。トランスジェニックな胚の作製およびこれらのスクリーニングは、例えばA.L.Joyner編、Gene Targeting,A Practical Approach(1993),Oxford University Pressに記載されている。胚の胚膜のDNAを例えば上述した適切なプローブを用いたサザンブロットにより分析することができる。
【0064】
本発明はまた、本発明の、または、上記した方法により得られた核酸分子またはベクターを含むトランスジェニックなマウス、ラット、ハムスター、イヌ、サル、ウサギ、ブタ等のようなトランスジェニックな非ヒト動物に関し、ここで好ましくは該核酸分子またはベクターが、好ましくは該核酸分子またはベクターの存在が本発明のC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379タンパク質の発現をもたらすように、該非ヒト動物のゲノム内に安定に組み込まれている。前記動物はC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質またはこれらの突然変異型の1つまたは数個をコードする同じか異なる核酸分子の1つまたは数個のコピーを有してよい。この動物にはAMDのような疾患を研究するための研究モデルを含む多くの用途があり、従って、例えばこのような疾患の治療法の開発における新しい価値ある動物となる。従って、この場合、哺乳類は好ましくは非ヒト、例えばマウスまたはラットのような実験動物である。
【0065】
トランスジェニックな非ヒト動物はまた、例えば以下の特徴:
(a)C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379をコードする内因性遺伝子の破壊;
(b)本発明の核酸分子を含む転写物に対するアンチセンスRNAおよび/またはリボザイム少なくとも1つの発現;
(c)本発明の核酸分子の翻訳不能なmRNAの発現;
(d)本発明の抗体の発現;または、
(e)C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379をコードする遺伝子の機能的または非機能的コピーの取り込み;
の少なくとも1つをもたらす外来性DNAの安定な、または一過性の存在により、野生型動物と比較してC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の発現の不全を呈してよい。
【0066】
好ましくは、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は上記した核酸分子をコードするC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の不活性化された型少なくとも1つを含む。この実施態様により、例えば、疾患の臨床徴候の発症に対するC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質の種々の突然変異型の作用を研究することができる。トランスジェニック動物に関して前述した用途は全て、2つ、3つまたはそれ以上のトランスジーンを有する動物に適用することもできる。トランスジェニックな動物の発達および/または寿命の特定の段階においてC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質の発現を不活性化することが望ましい場合がある。このことは例えば、前述したとおりC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質をコードするmRNAに対するアンチセンスまたはリボザイム等の発現を起こさせる組織特異的、発達性、および/または細胞調節性および/または誘導性のプロモーターを用いることにより、達成することができる。適当な誘導系は例えばGossen and Bujard(Proc.Natl.Acad.Sci.89 USA(1992),5547−5551)およびGossen等、(Trends Biotech.12(1994),58−62)に記載されるテトラサイクリン調節遺伝子発現である。同様に、突然変異C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379タンパク質の発現はこのような調節エレメントにより制御してよい。
【0067】
(実施例)
以下の実施例は本発明を説明するものであり、これを限定する意図はない。このような実施例は使用してよい典型的なものであって、当業者の知る他の方法も代替として使用してよい。
【0068】
実施例1:MPP4
(A)MPP4cDNAの単離
National Center for Biotechnology Information(NCBI),National Institutes of Health(NIH),Bethesda,Maryland(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)の公的に利用できるUniGeneのデータセット、リリース番号113(2000年6月)を検索することにより、網膜cDNAライブラリから排他的に誘導したESTよりなるヒトESTクラスター、または、全体の30%を超える網膜ESTの部分により定義される網膜ESTの増量されたESTクラスターを選別した。これらの基準に合致する1241エントリー中の1つであるHs.60673は、Soares網膜N2b4HRcDNAライブラリから単離された2個のほぼ同じcDNAクローン(ze39a04,ze32b03)の5’および3’末端から生じるEST配列を含んでいた(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/GenbankOverview.html.)。オリゴヌクレオチドA128F(5’−CTC ACA TCC TTC TCA GCG−3’)およびA128R(5’−GTG GAA TGT CAG GGA AAT C−3’)を用いてcDNAクローンの5’読み枠内の配列にプライミングしながら逆転写(RT)−PCRを行なうことにより網膜RNA中の193bpは増幅されたが、試験した種々の他の成熟ヒト組織中では増幅されなかった。
【0069】
Hs.60673由来のEST配列を保有するゲノムクローンNH0309N08(GenBank受託番号AC007279)の配列の検討により、網膜cDNAクローン由来の別のESTとの明らかなアライメントが判明した(ze27h05,ze30f10,zf58a06,ys72e09)。この別のcDNAの配列の情報に基づき、オリゴヌクレオチドプライマーA128F3(5’−TGA CTG CCT CCA GGA ATT−3’)、A128aF(5’−TTA CGA AAT GAA TGG GCG−3’)、A128aR(5’−AGG CTC TAG GTC CAT GAC−3’)およびA128R3 (5’−ATG TGA AAT CTG CGA AAG G−3’)を設計し、RT−PCR試験において網膜RNAを増幅するために用いた。RT−PCRフラグメントはABI PRISM Ready Reaction Sequencing Kit(Perkin Elmer,Norwalk,USA)を用いてABI310自動シーケンサー(Perkin Elmer,Norwalk,USA)上でウォーキングプライマー法により完全に配列決定した。重複する1375bpのA128F3/A128aR−および786bpのA128aF/R3−増幅cDNAフラグメント並びにcDNAクローンze27h05の5’末端配列の414bpおよび3’末端配列の42bpの組み立てにより、ヌクレオチド位置2416bpに保存されたポリアデニル化シグナルを有する2435bpの転写物が得られた。この完全長転写物は、不完全にスプライシングされたmRNAの前駆体分子から誘導されている可能性が最も高いcDNAクローンze39a04およびze32b03(Hs.60673)の5’末端EST配列は含んでいない点に留意しなければならない。
【0070】
完全長2435bpcDNAは69ヌクレオチド下流から始まる第1の潜在的インフレーム翻訳開始コドンATGを有する1980bpのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む(配列1参照)。従って、ORFから予測されるタンパク質は637アミノ酸残基よりなり、分子量計算値は72.8kDa、等電点は5.4であった。
【0071】
(B)発現分析
オリゴヌクレオチドプライマーA128F4(5’−CGT GCC ATG ACT GAG TAC−3’)およびA128aR(前記した配列)を用いたRT−PCR分析によってヒト網膜中の844bpの産物が同定された。小脳、脳幹、肝臓、肺、心臓、胸腺、胎盤、子宮、前立腺、網膜色素上皮(rpe)および腎臓にはPCR増幅は観察されなかった。グアニジウムチオシアネート法(Chomczynski and Sacchi,Anal.Biochem.162(1987),156−159)を用いて単離した全RNAを用いたノーザンブロット分析を行った。側頭皮質、筋肉、網膜および肝臓に由来する全RNA10μgを含有する各レーンをホルムアルデヒドの存在下、電気泳動により分離した。プライマー対A128F6(5’−AAC TGC AGT GGG TAC CAG−3’)/A126R6(前記した配列)を用いたゲノムDNAのPCR増幅により3’未翻訳領域(UTR)から327bpのDNAフラグメントが得られ、これをプローブとして用いて0.5mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2;7% SDS,1mM EDTA、58℃のフィルターハイブリダイゼーションを行なった(Church and Gilbert,PNAS USA 81(1984),1991〜1995)。単一の3.8kbの転写物が網膜のみに発見された。我々の発現分析の結果によれば、MPP4はヒト網膜に特異的である証拠が得られた(図1)。
【0072】
(C)MPP4のゲノム構造および染色体位置
MPP4のエクソン/イントロン構成を調べるために、2435bpのcDNA配列をNCBIのBLASTNプログラムを用いてゲノムクローンのNH0309N08の最終配列にアライメントさせた(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi−bin/BLAST/nph−blast?form=1)。これにより15bp〜493bpに渡る合計22個のエクソンが同定された。推定翻訳開始コドンATGはエクソン2に位置し、終止コドンTGAはエクソン22に位置している。
【0073】
ゲノムクローンNH0309N08はGenebridge4放射線照射ハイブリッドパネルをスクリーニングすることにより染色体2q31−2q33上のD2S115−D2S307区間にマッピングされているDNAマーカーStSG2739およびsts−AA015777を含んでいる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/seq/ctg.cgi?tabview=M&BP=1000&CTC=Hs2_2229&ORG=Hs)。
【0074】
(D)ヌクレオチドおよびタンパク質のデータベース分析
データベース中の相同なヌクレオチド配列を発見するために、MPP4の完全長cDNA配列をNCBIのBLASTINプログラムを用いてホモロジーサーチに付した。注釈づけコード配列の全1325bp並びにrDLG6に対するラットmRNAの5’UTRの250bpと大きな配列同一性(85%)が確認された(Gen Bank 受託番号 AB030499)。ヒトMPP4遺伝子の完全長cDNA転写物は既知のrDLG6cDNAとの比較において5’方向に253bp伸長している。ラットにおいて報告されているORFと比較して、これはヒトMPP4ORFを伸張させたものであり、更にN末端の151アミノ酸に達している。更にまた、ヒト転写物はエクソン12〜15および伸長したエクソン17に相当するコード領域における93bpおよび39bpの2つの挿入部を示しており、更に44アミノ酸の付加が起こっている。免疫学的分析によれば、rDLG6は主に脳において発現されるが、ラット眼における発現試験は行わなかった。
【0075】
既知タンパク質とのMPP4の推定タンパク質配列の配列アライメントをBaylor College of MedicineのBLASTPおよびBEAUTYプログラムを用いて行なった(http://dot.imgen.bcm.tmc.edu:9331/seq−search/protein−search.html)。
【0076】
European Bioinfomatics Institute(http://www.ebi.ac.uk/interpro/interproscan/ipsearch.html)のInter Proにおけるシグニチャー認識法のための組込みツールを用いて特異的モチーフがあるかどうかについてもタンパク質を分析した。ヒトMPP4タンパク質の637アミノ酸はラットrDLG6の441アミノ酸と75%同一であり、そしてrDLG6に類似し、MPP4はタンパク質のN末端、中央srcホモロジー3(SH3)モチーフにおける1つのPSD95/SAP90−Dlg−ZO−1(PDZ)ドメインおよびC末端グアニレートキナーゼ様(GUK)ドメインを有するMAGUKタンパク質スーパーファミリーの特徴的なコア構造を示す(Anderson,1996,(Curr.Biol.6(1996),382−384)。種々のモチーフの各々はタンパク質−タンパク質相互作用に関与していると考えられている(Anderson 1996)。更にまた、MAGUKタンパク質CASK/LIN−2のGUKドメインはラット脳において転写を調節することが最近わかった。MAGUKタンパク質のうち、ヒトMPP4はDanio rerioのp55−関連MAGUKタンパク質DLG3(39%、受託番号AAD39392)、Mus musculusのdiscs large相同体3(Drosophila)(37%、受託番号NP_031889)およびHomo sapiensのMPP3(以前はDLG3と称していた)(36%、受託番号NP_001923)と最も類似していた。局所的配列比較によれば、MAGUKファミリーメンバーのPDZ、SH3およびGUKドメインと30〜50%の同一性があった。
【0077】
遍在性MAGUKタンパク質は種々の動物細胞の原形質膜に局在しており、そこで相互作用のシグナリング並びに膜の特殊構造を確立し維持することに寄与していると考えられる。MAGUKタンパク質の基本的役割の1つは上皮(例えばZO−1,ZO−2,ZO−3)、中隔接合部(例えばDrosophila melanogaster dlg−1)およびシナプス(例えばDLG1,PSD−95/SAP90/DLG4)のような特定の部位に膜貫通タンパク質を局在化させる能力である。例えば、MPP1、即ちヒト赤血球のパルミトイル化された末梢膜リンタンパク質は、皮質アクチン細胞骨格に膜貫通タンパク質を連結させ、これにより細胞の形状を調節している。シグナリング経路における重要な役割の証拠は、当初は無脊椎動物におけるMAGUKタンパク質の研究により得られていた。Caenorhabditis elegansのLin−2は外陰細胞誘導をもたらすシグナル増幅に関与していることがわかっており、そして、Drosophila dlg−1における特定の突然変異は恐らくは増殖抑制シグナルの欠損による制御不能な細胞増殖を誘発する。
【0078】
MAGUKタンパク質の既知機能の大部分は、膜貫通タンパク質および他のシグナル伝達タンパク質の原形質側のカルボキシ最末端に結合する80〜100アミノ酸のPDZドメインにより、配列および構造依存的に媒介される。最近の研究によればPDZドメイン5個を有するタンパク質であるINADがDrosophila melanogasterの視覚伝達の本質的要素であることがわかった。これは超分子シグナリング複合体への光伝達カスケードの最低7個のタンパク質を統括している。このシグナルプレックスは光応答の終了を誘発し、光伝達カスケードの急速な活性化および増幅を促進していると考えられる。PDZ含有スカホールドタンパク質はまた急速な活性化および不活性化並びに厳密な調節を同じく要する脊椎動物の光伝達のシグナリング経路も統括していると考えられる。網膜機能のためのPDZ含有タンパク質の重要性は、聴覚の消失と網膜の変性を特徴とする遺伝的知覚疾患であるアッシャー症候群USH1Cの患者において突然変異しているPDZドメイン含有タンパク質ハルモニンがより最近発見されたことによって明らかになった。
【0079】
実施例2:C7orf9
(A)C7orf9cDNAの単離
公的に利用できるUniGeneのデータセット、リリース番号113を検索することにより、網膜DNAライブラリから排他的に誘導したESTよりなるヒトESTクラスター、または、全体の30%を超える網膜ESTの部分により定義される網膜ESTの増量されたESTクラスターを選別した。これらの基準に合致する1241エントリー中の1つであるHs.60473はSoares網膜N2b4HRcDNAライブラリより単離した2種のcDNAクローン(ze34f06,ze37g05)の3’末端由来の高品質EST配列の約350bpを含有していた。dbESTデータベース(http://www2.ncbi.nlm.nih.gov/dbST/dbset_query.html)から得られるcDNAクローンの5’末端の約280bpの高品質EST配列は相当する3’末端ESTと重複していない。
【0080】
この遺伝子を与えるcDNAクローンを更に単離するために、プライマーA129F(5’−TCT GAG CCT AGA GGA TAC C−3’)およびA129R(5’−GAT CTC AGA GGC AGG TTG−3’)を用いたゲノムDNAのPCR増幅により得られた放射標識199bpDNAフラグメントを用いて網膜ラムダTriplEx2cDNAライブラリをスクリーニングした。0.5〜1.6kbの範囲のインサートを有する14種の陽性クローンを単離し、ABI PRISM Ready Reaction Sequencing Kit(Perkin Elmer,Norwalk,USA)を用いてABI310自動シーケンサー(Perkin Elmer,Norwalk,USA)上でウォーキングプライマー法により配列決定した。
【0081】
cDNAの完全な5’末端を単離するために、5’−RACE(cDNA末端高速増幅)法を用いた(Frohman等、PNAS USA 85(1988),8998−9002)。第1鎖cDNA合成は遺伝子特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドA129Rを用いてプライミングした。cDNA合成の後、第1鎖産物を未取り込みdNTPおよび残りのプライマーA129Rから単離精製した。次にホモポリマー尾部を末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびdCTPを用いてcDNAの3’末端に付加した。PCR増幅はTaqDNAポリメラーゼ、cDNA分子内に位置する部位にアニーリングするnested遺伝子特異的プライマーA129R5(5’−TGC TGT GAA GAT TGG AGA TC−3’)およびLife Technologies,Rockville,USAより入手したデオキシイノシン含有短縮アンカープライマーAAP(5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT ACG GGI IGG GII GGG IIG−3’)を用いて行なった。特異的cDNA産物の量を増大させるために、元のPCRを、GIBCO Life Technologiesより入手した短縮ユニバーサル増幅プライマーAUAP(5’−GGC CAC GCG TCG ACT AGT AC−3’)、および、第2のnested遺伝子特異的プライマーA129R4(5’−AGC TTG AAG TGG CTA AAG TC−3’)を用いて再増幅した。プライマーA129R4を用いて得られたPCR産物の配列決定によれば、より上流の配列は認められず、同定されたcDNA配列が転写物の転写開始部位から始まる完全な5’配列を含んでいることが示唆された。
【0082】
cDNA配列の組み立てにより47ヌクレオチド下流から始まる第1の潜在的インフレームの翻訳開始コドンATGを有する638bpのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む1190bpのcDNAが得られた(配列番号26〜28)。コードされた推定タンパク質は196アミノ酸残基よりなり、分子量計算値は22.3kDa、等電点は9.26であった。
【0083】
14種の異なるcDNA配列の比較によれば、推定タンパク質配列のコドン32におけるイソロイシンからメチオニンへのアミノ酸置換を起こす143bp位の一塩基多型(C/G)が存在していた。
【0084】
(B)発現分析
オリゴヌクレオチドプライマー対A129F/A129RおよびA129F3(5’−TGA TCT CCA ATC TTC ACA GC−3’)/A129Rを用いた逆転写PCR分析によれば、ヒト網膜のみに特異的な199bpおよび244bpのcDNAフラグメントが確認された(図2)。ヒト小脳、肝臓、肺、心臓、胎盤、胸腺および腎臓にはPCR増幅は観察されなかった。ノーザンブロット分析は実施例1に記載の通り実施した。5’領域から得た244bpのcDNAフラグメントをプローブとして用いて、0.5mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2;7% SDS,1mM EDTA、58℃のフィルターハイブリダイゼーションを行なった。約0.85および1.20kbの2種の転写物が網膜のみに確認された(図2)。
【0085】
(C)C7orf9のゲノム構造および染色体位置
C7orf9のエクソン/イントロン構成を調べるために、1190bpのcDNA配列をNCBIのBLASTNプログラムを用いてゲノムBACクローンCTB−136N17(GenBank受託番号AC004129)の完全配列にアライメントさせた。合計3個のエクソンが同定され、推定翻訳開始コドンATGはエクソン1に位置し、終止コドンTAAはエクソン3に位置していた(配列番号26〜28)。
【0086】
BACクローンCTB−136N17のこのゲノム配列はGenebridge4放射線照射ハイブリッドパネルをスクリーニングすることにより染色体7p15−p21上のD7S2493−D7S529区間にマッピングされているDNAマーカーstSG51683を含んでいる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/seq)。
【0087】
(D)ヌクレオチドおよびタンパク質のデータベース分析
C7orf9のcDNA配列をBaylor College of Medicine(BCM)のBLASTNプログラムを用いてホモロジーサーチに付したところ、C7orf9のコード領域とRFアミド関連ペプチド前駆体のヒトmRNA(GenBank受託番号AB040290)との間には100%の配列同一性が確認された。従って、C7orf9の推定翻訳産物はRFアミド関連ペプチド前駆体(GenBank受託番号BAB17674)と同一である。European Bioinfomatics InstituteのInterProにおけるシグニチャー認識法のための組込みツールを用いた特異的モチーフに関する分析によれば、アミノ酸99〜109および138〜148はFARP(FMRFアミド関連ペプチドファミリー)シグニチャーに高い同様性を示すことがわかった。RFアミド関連ペプチドは前駆体タンパク質の翻訳後プロセシングにより生成し、神経ホルモン機能、筋肉収縮および心興奮における役割を有することがわかっている。
【0088】
実施例3:F379
(A)F379cDNAの単離
公的に利用できるUniGeneのデータセット、リリース番号113を検索することにより、網膜cDNAライブラリから排他的に誘導したESTよりなるヒトESTクラスター、または、全体の30%を超える網膜ESTの部分により定義される網膜ESTの増量されたESTクラスターを選別した。これらの基準に合致する1241エントリー中の1つであるHs.35493はSoares網膜N2b4HRcDNAライブラリ(ys82h08.r1,ys82h08.s1,ys66e12.r1,ys66e12.s1,ys84g04.r1,ze40c03.r1,ys84c02.r1,ze42b07.s1,ze42b07.r1)、Nathansヒト網膜cDNAランダムプライミングサブライブラリ(39a12)、Soares松果体N3HPGcDNAライブラリ(zf67e04.r1,zf67e04.s1,yt90d11.r1,yt90dl1.s1,yt84g01.r1,yt84g01.s1,yt83g01.s1,zf82e10.s1,zf82e10.r1,zf86d08.s1)、Soares胎児心NbHH18WcDNAライブラリ(zd74d06.r1,zd7406.s1)およびSoares精巣NHT(ot33d09.s1)から単離される15cDNAクローンの5’および/または3’末端由来の22EST配列を含んでいた(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/GenbankOverview.html)。F379の完全長cDNAを同定するためにラムダTriplEx2およびラムダ−gt10中に構築したヒト網膜ライブラリをスクリーニングした。各cDNAライブラリについて、プライマー対A071F(5’−TGT GCC AGG AAA GGA AGG−3’)およびA071R(5’−TAG TCA GCA GCA TCG GGG G−3’)を用いた網膜cDNAのPCR増幅により得られたアルファ32P−dCTP標識328bpフラグメントを用いて約5X10個のプラークをプローブした。3個の陽性クローンを2回スクリーニングの後にラムダTriplEx2網膜cDNAライブラリから単離し、SMARTTMライブラリキットマニュアル(Clontech,Palo Alto,USA)の指示に従ってファージベクターからプラスミドとして切り出した。ラムダ−gt10cDNAライブラリの場合は、PCR増幅により1つのクローンを単離した。プライマーA071F(前述)およびラムダ−gt10F(5’−AGC AAG TTC AGC CTG GTT AAG−3’)を用いて陽性クローンを含有する混合ファージ溶解物からクローンを増幅した。更に、F379cDNAの750bpをプライマー対A071F(前述)およびA071R2(5’−ATG TTC AGT CAG GCA GGG−3’)を用いて網膜cDNAから増幅した。全てのcDNAライブラリクローンおよびPCR産物をABI PRISM Ready Reaction Sequencing Kitを用いてABI310自動シーケンサー(Perkin Elmer,Norwalk,USA)上で配列決定した。
【0089】
F379の1188bpの完全長コンセンサスcDNA配列(配列番号7)はcDNAライブラリクローン、PCR産物およびHs.35493のESTのDNA配列のコンパイレーションから調べた。これらの配列をF379のコンセンサスcDNA配列にアライメントすることにより、1塩基対変異があることが判明した。この1塩基対変化を表1に総括する。完全長コンセンサスcDNAは完全長コンセンサスcDNAの5’側最末端から347塩基に始まる85アミノ酸(配列番号31)の推定オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいた。cDNA内の1塩基変化は終止コドンを導入することにより推定ORFをトランケートしておらず、むしろ、変異はアミノ酸置換を誘発するか、または推定ORFには影響しない(表1)。ORFはAluとMIRの反復エレメントを含んでおり、これらは共に68アミノ酸に相当する。予測されたタンパク質は分子量計算値9.2kDa、等電点は6.81であった。
【表1】
Figure 2004514445
1塩基対変異は推定PRFの外側に位置する。
【0090】
(B)発現分析
cDNAクローンの5’読み枠内の配列にプライミングしながらオリゴヌクレオチドA071FおよびA071Rを用いて逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を行なう事により、ヒト網膜RNAから328bpの転写物が増幅できたが、子宮、小脳、心臓、肝臓または肺のRNAからは増幅できなかった。更にまた実施例1に記載のとおりノーザンブロット分析を行なった。プライマー対A071F3(5’−TTC TTG TCG GAT GCC CTC−3’)およびA071R2(前記)を用いてゲノムDNAのPCR増幅により遺伝子の3’領域由来の219bpのDNAフラグメントを得た。このDNAフラグメントをプローブとして用いて、0.5mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2;7% SDS,1mM EDTA、58℃のフィルターハイブリダイゼーションを行なった。約1.1kbの単一の転写物が網膜のみに確認された。発現分析の結果によれば、F379は網膜のみに存在していることがわかった(図3)。更にまた、ノーザンブロットにより検出された転写物の大きさは完全長cDNAコンセンサス配列の大きさと相関している(1188bp)。
【0091】
(C)F379のゲノム構造および染色体位置
F379のエクソン/イントロン構成を調べるために、1188bpのcDNA配列をNCBIのBLASTINプログラムを用いて最終または非最終のゲノム配列にアライメントさせた。F379の完全なcDNA配列が染色体19(LLNLR−222A1)、染色体22(RP11−395L14)、染色体2(RP11−559H14)、染色体21(RP11−34P13)、染色体10(RP11−438F6)、染色体12(RP11−598F7)および染色体9(RP11−142M1)を含む種々の染色体に由来するゲノムクローンにアライメントされた。部分的アライメントもまた染色体15(15qtel_c184at3)、染色体12(12PTEL057,12PTEL055,RPCI11−55L14)および染色体19(CTD−2102P23)由来のゲノムクローンに確認された。これらのアライメントにより205bp〜621bpに渡る3個のエクソンが同定された。推定翻訳開始コドンATGはエクソン1に位置し、終止コドンTGAはエクソン3に位置する。
【0092】
2つの異なるヒト/げっ歯類体細胞ハイブリッドDNAマッピングパネルのPCRに基づいたスクリーニングによれば、やはり、F379のマルチコピー性が示された。市販のヒト/げっ歯類体細胞ハイブリッドマッピングパネル(Mapping Panel 2,Coriell Institute for Medical Research,Camden,USA)をプライマーセットA071F(前記)およびA071R(前記)を用いてスクリーニングし、細胞系統DNA含有染色体2、3、6、9、12、15、19および20の328bp産物を得た。この結果に基づいて、遺伝子名D2F379S1E、D3F379S2E、D6F379S3E、D9F379S4E、D12F379S5E、D15F379S6E、D19F379S7EおよびD20F379S8Eをゲノムデータベース(http://www.gdb.org/)によりそれぞれ染色体2、3、6、9、12、15、19および20に割りつけた。F379のマルチ染色体位置は2つの相補配列を有するBACクローン(RP11−395L14およびLLNLR−222A1、上記参照)と重複するコスミドクローンF7501のものと合致していた。このコスミドは、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)分析により明らかにされているとおり(Trask等、Hum.Mol.Genet.9(1998),1329−1349)1q,2q13−14,3q,5q,6p,6q,8p,9p,9q,11p,12p,15q,19p,19p,20pおよび20qに存在するサブテロメアブロックの一部であることがわかっている。
【0093】
(D)ヌクレオチドおよびタンパク質のデータベース分析
完全なコンセンサスcDNAの配列の配列アライメントをNCBIのBLASTNプログラムを用いて行なった。上記したESTおよびゲノム配列およびAluまたはMIRリピートエレメントへのマッチの他は、検索された遺伝子への有意なマッチは観察されなかった。
【0094】
既知タンパク質への推定ORFの照合をNCBIのBLASTPプログラムを用いて行なった。他のタンパク質への配列アライメントはAluリピートによりコードされるアミノ酸の領域に局在していた。他の有意なマッチは観察されなかった。タンパク質はまたEuropean Bioinfomatics InstituteのInterProにおけるシグニチャー認識法のための組込みツールを用いた特異的モチーフに付いて分析した(http://www.enzim.hu/hmmtop/)。モチーフやパターンは認められなかった。ORFはHMMTOPプログラム(http://www.enzim.hu/hmmtop/)やTMHMMプログラム(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM−1.0/)による分析では予測された膜貫通領域を有していない。NetOGlyc2.0Prediction Server(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetOGlyc/)により測定したところ、アミノ酸23および27に2つの潜在的GalNAcO−グリコシル化部位がある。N−グリコシル化部位は90%の同様性でPROSITE SCANプログラムを用いてアミノ酸51において予測された(http://pbil.ibcp.fr/cgi−in/npsa_automat.pl?page=npsa_prosite.html)。
【0095】
実施例4:C12orf7
(A)C12orf7cDNAの単離
公的に利用できるUniGeneのデータセット、リリース番号113を検索することにより、網膜cDNAライブラリから排他的に誘導したESTよりなるヒトESTクラスター、または、全体の30%を超える網膜ESTの部分により定義される網膜ESTの増量されたESTクラスターを選別した。これらの基準に合致する1241エントリー中の1つであるHs.28411は10個のEST配列を含んでいた。8個のESTはSoares網膜N2b4HRcDNAライブラリより単離した4種のcDNAクローン(zf50g06,ze44g08,yt72c07,zf52h05)の5’および3’末端を示し、2個はSoares胎盤Nb2HPcDNAライブラリより単離した2種のcDNAクローン(yi08f03.s1,yi75a07.s1)の3’末端であった。
【0096】
C12orf7の完全長cDNA転写物を同定するために、プライマー対A038F3(5’−CGG AAC CGC TGT GAG TGC−3’)およびA038F(5’−TAG GCA GAG GTG GAT GGG−3’)を用いたcDNAクローンzf50g06クローンのPCR増幅により得られたアルファ32P−dCTP標識863bpフラグメントを用いてラムダ−gt10網膜cDNAライブラリをプローブした。ABI310自動シーケンサー(Perkin Elmer,Norwalk,USA)上のABI PRISM Ready Reaction Sequencing Kitを用いてウォーキングプライマー法により11個の陽性クローンのインサートを配列決定した。
【0097】
11個のcDNA配列のコンパイレーションにより2種の異なるcDNA分子種が判明した。1つのcDNA分子は1428bpよりなり、2つ目のcDNA配列はヌクレオチド位置549に30bpのインサートを含んでいる。cDNAの完全な5’末端を単離するために5’−RACE(cDNA末端高速増幅)法を実施例2に記載したとおり用いたが、ただしここでは第1鎖cDNA合成は遺伝子特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドA038Fを用いてプライミングし、PCR増幅は遺伝子特異的プライマーA038R3(5’−GGC CAC TCG GGC TTG TAG−3’)および第2のnested遺伝子特異的プライマーA038R4(5’−GTG CAA TGC CAG CTC TTC−3’)を用いて行なった。プライマーA038R4を用いて得られたPCR産物の配列決定により、更に86bpの5’配列が判明した。5’−RACE配列およびcDNAクローンから得られたcDNA配列の組み立てにより、1514(配列番号35)および1544bpの転写物(配列番号36)が得られた。
【0098】
cDNA配列の比較により、配列番号35および36の40bp(A/T)と88bp(C/T)の位置に2つの一塩基多型の存在が判明した。
【0099】
両方のcDNA変異体は345アミノ酸(aa)(配列番号37)および355aa(配列番号38)のタンパク質をコードする同じ推定オープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいる。推定タンパク質はcDNA配列の5’側最末端の154ヌクレオチド下流に位置する同じ潜在的インフレーム開始コドンATGを共有している。推定タンパク質配列No.11aおよびNo.11bは分子量計算値37.1kDおよび38.0kDを有し、等電点はそれぞれ5.59および5.49であった。
【0100】
(B)発現分析
オリゴヌクレオチドA038FおよびA038R(5’−TGC CAA GCT GTT AGT GCC−3’)を用いてcDNA配列の3’末端をプライミングした逆転写PCRでは、ヒト網膜RNAの231bpのcDNAフラグメントが増幅され、ヒト脳、心臓、肝臓、肺または子宮のRNAでは増幅されなかった。プライマーA038F4(5’−CAT GCT ACC ACG GCT TCC−3’)およびA038R3を用いたRT−PCRではヒト網膜RNAからは379bpと409bpのフラグメントが増幅されたが、ヒト小脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、胎盤または胸腺のRNAからは増幅されなかった(図4の実施例)。
【0101】
(C)C12orf7のゲノム構造および染色体位置
C12orf7のエクソン/イントロン構成を調べるために、cDNA配列をNCBIのBLASTNプログラムを用いてクローンRP11−1100L3(GenBank受託番号AC025259)の非最終のゲノム配列にアライメントさせた。143bp〜477bpに渡る6個のエクソンが同定された(配列番号39〜45)。推定翻訳開始コドンATGはエクソン2に位置し、終止コドンTAAはエクソン6に位置する。cDNA配列No.10b中のインサートは代替スプライスドナーコンセンサス配列を用いて作製したエクソン4の30bp伸長物として同定された。両方のスプライスドナー部位は同様のスプライシングスコアを有している。
【0102】
Genebridge4パネルを用いた放射線照射ハイブリッドマッピングによれば、Hs.28411は染色体12q11.1−13.2上のマーカーD12S333−D12S325の間に局在化されている(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/sts/sts.cgi?uid=92710)。更にまた、ゲノムクローンRP11−1100L3は染色体12にマッピングされている(GenBank受託番号AC025259)。
【0103】
(D)ヌクレオチドおよびタンパク質のデータベース分析
既知ヌクレオチド配列に対するC12orf7cDNA配列の配列アライメントをBCMのBLASTNプログラムを用いて行なった。既知遺伝子配列への有意なマッチは認められなかった。LINE/L1リピートが1281−1403bp(配列番号5)および1311−1433bp(配列番号36)の位置の3’未翻訳領域中に確認された。
【0104】
BCMのBLASTPおよびBEAUTYプログラムを用いてタンパク質データベースに対するC7orf9の推定翻訳産物の比較を行なった(http://dot.imgen.bcm.tmc.edu:9331/seq−search/protein−search.html)。タンパク質はまたEuropean Bioinfomatics InstituteのInterProにおけるシグニチャー認識法のための組込みツールを用いてモチーフおよびパターンに付いて分析した(http://www.ebi.ac.uk/interpro/interproscan/ipsearch.html)。より長いタンパク質イソフォーム(配列番号38)内の112−144aaおよび147−179aaの位置に2個のアンキリンリピートが確認されたのに対し、より短いタンパク質イソフォーム(配列番号37)の112−144aaの位置には僅か1個のみアンキリンが確認された。約33残基のアンキリンドメインは多くの機能的に関連のないタンパク質に確認され、タンパク質−タンパク質相互作用において役割を果たしていることがわかっている。既知のタンパク質配列との有意な相同性は観察されなかった。HMMTOPプログラム(http://www.enzim.hu/hmmtop/)やTMHMMプログラム(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM−1.0/)では膜貫通領域は予測されなかった。
【0105】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1はMPP4の発現分析を示す。(A)3’UTRから始まるMPP4特異的プローブによりプローブされたノーザンブロットである。(B)MPP4遺伝子のエクソン19および20にそれぞれ位置するオリゴヌクレオチドプライマー対A128aF/A128aRを用いたヒト組織におけるRT−PCR分析である。ベータグルクロニダーゼ遺伝子を対照として用いることによりRNAの品質および同等の負荷量を確保した。
【図2】図2はC7orf9の発現を示す。(A)遺伝子の5’末端から始まるC7orf9特異的プローブによりプローブされたノーザンブロットである。(B)C7orf9遺伝子のエクソン1および2にそれぞれ位置するオリゴヌクレオチドプライマー対A129F3/A129Rを用いたヒト組織におけるRT−PCR分析である。
【図3】図3はF379の発現を示す。(A)遺伝子の3’末端から始まるF379特異的プローブによりプローブされたノーザンブロットである。(B)F379遺伝子のエクソン1に位置するオリゴヌクレオチドプライマー対A071F/A071Rを用いたヒト組織におけるRT−PCR分析である。
【図4】図4はC12orf7の発現を示す。C12orf7遺伝子のエクソン3および5に位置するオリゴヌクレオチドプライマー対A038F4/038R3を用いたヒト組織におけるRT−PCR分析である。
【図5】図5は配列番号1である。MPP4cDNAのヌクレオチド配列を示す。
【図6a】図6aは配列番号2〜5である。MPP4遺伝子のエクソン1〜4のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。
【図6b】図6bは配列番号6〜9である。MPP4遺伝子のエクソン5〜8のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。
【図6c】図6cは配列番号10〜14である。MPP4遺伝子のエクソン9〜13のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。
【図6d】図6dは配列番号15〜19である。MPP4遺伝子のエクソン14〜18のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。
【図6e】図6eは配列番号20〜23である。MPP4遺伝子のエクソン19〜22のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。
【図7】図7は配列番号24〜25である。予測されるMPP4タンパク質のアミノ酸配列;およびC7orf9cDNAのヌクレオチド配列を示す。
【図8】図8は配列番号26〜28である。C7orf9遺伝子のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。
【図9】図9は配列番号29〜31である。予測されるC7orf9タンパク質のアミノ酸配列を示し;F379cDNAのコンセンサスヌクレオチド配列を示し;そして、予測されるF379タンパク質のコンセンサスアミノ酸配列を示す。
【図10】図10は配列番号32〜34である。F379遺伝子のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す(ゲノムクローンRP11−395L14へのアライメントに基づく)。
【図11】図11は配列番号35〜36である。C12orf7cDNA変異体のヌクレオチド配列;および、C12orf7cDNA変異体2のヌクレオチド配列を示す。
【図12】図12は配列番号37〜43である。C12orf7タンパク質(変異体1)の推定アミノ酸配列を示し;そしてC12orf7タンパク質(変異体2)の推定アミノ酸配列を示し;そしてC12orf7遺伝子のエクソン1〜4変異体2のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。
【図13】図13は配列番号44〜55である。C12orf7遺伝子のエクソン5、6のエクソン/イントロン構成体のヌクレオチド配列を示す。

Claims (31)

  1. 下記分子:
    (a)配列番号24、29、31、37または38に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸分子;
    (b)配列番号2〜23、26〜28、32〜34、35または36に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子;
    (c)配列番号1、25、30または39〜45に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子;
    (d)(a)〜(c)に記載した核酸分子にハイブリダイズする核酸分子;
    (e) その核酸配列が、遺伝コードの縮重のため(a)〜(d)に記載した核酸配列から偏移した核酸分子;および、
    (f)(a)〜(e)に記載した核酸配列のフラグメント、誘導体または対立遺伝子変異体を示す核酸分子;
    よりなる群から選択される網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4若しくはF379、又はC7orf9、C12orf7、MPP4若しくはF379の生物学的特性を示すタンパク質をコードする単離された核酸分子。
  2. 請求項1記載の核酸分子を含有する組み換えベクター。
  3. 原核および/または真核の宿主細胞内において、翻訳可能なRNAの転写および合成を可能にするように、前記核酸分子が調節エレメントに作動的に連結された、請求項2記載の組み換えベクター。
  4. 請求項3記載の組み換えベクターを含む組み換え宿主細胞。
  5. 哺乳類細胞、細菌細胞、昆虫細胞または酵母細胞である請求項4記載の組み換え宿主細胞。
  6. 請求項1記載の核酸分子によりコードされている、網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の生物学的特性を示す単離されたタンパク質。
  7. 請求項6記載の単離されたタンパク質を発現する組み換え宿主細胞。
  8. 網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379の生物学的特性を示す単離されたタンパク質の調製方法であって、下記工程:
    (a)前記タンパク質が発現される条件下で請求項6の組み換え宿主細胞を培養すること;および、
    (b)前記タンパク質を回収すること;
    を含む上記方法。
  9. 請求項8記載の方法により作製されたタンパク質。
  10. 請求項1の核酸分子と、または、その相補鎖と特異的にハイブリダイズする少なくとも15ヌクレオチド長の核酸分子。
  11. 請求項1の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、該mRNAまたはその一部と選択的に結合することができることを特徴とするアンチセンスRNAであり、その配列は前記核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を阻害することができる、請求項10記載の核酸分子。
  12. 請求項1の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、該mRNAまたはその一部と選択的に結合し、そしてこれを分解することができ、これにより前記核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を阻害することを特徴とするリボザイムである、請求項10記載の核酸分子。
  13. 請求項6のタンパク質の活性を抑制することができることを特徴とする阻害剤。
  14. 網膜特異的ヒトタンパク質C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379、またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードする核酸を含有すると考えられる標的試料を、C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379タンパク質、並びに/またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードする核酸と反応する試薬と接触させること、および、C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379タンパク質、並びに/またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードする核酸を検出することを含む、黄斑変性または黄斑変性の素因を診断するための方法であって、C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードする核酸内の突然変異、染色体転位、または、C7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379タンパク質、並びに/またはC7orf9、C12orf7、MPP4および/若しくはF379をコードするmRNAの異常濃度の存在が黄斑変性または黄斑変性の素因を示す上記方法。
  15. 黄斑変性がAMDである、請求項14記載の方法。
  16. 前記試薬がC7orf9、C12orf7、MPP4またはF379に特異的な核酸プローブである、請求項14記載の方法。
  17. 前記試薬が抗C7orf9、抗C12orf7、抗MPP4または抗F379抗体である、請求項14記載の方法。
  18. 前記試薬が検出可能に標識されている、請求項14記載の方法。
  19. 標識が放射性同位体、バイオルミネセンス化合物、ケモルミネセンス化合物、蛍光化合物、金属キレートまたは酵素よりなる群から選択される、請求項18記載の方法。
  20. C7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379の発現を低減、抑制または増大させる、或いは、生物学的に活性なC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379タンパク質の発現をもたらす試薬の治療有効量を哺乳類の治療対象に投与することを含む、黄斑変性または黄斑変性の素因を治療するための方法。
  21. 黄斑変性がAMDである、請求項20記載の方法。
  22. 前記試薬が、請求項1記載の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、そして該mRNAまたはその一部に選択的に結合できることを特徴とするアンチセンスRNAを含むヌクレオチド配列であり、該配列は前記核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を阻害することができる、請求項20記載の方法。
  23. 試薬が、請求項1記載の核酸分子から転写されたmRNAまたはその一部に相補的であり、そして該mRNAまたはその一部に選択的に結合し、そしてこれを分解することができ、これにより前記核酸分子によりコードされるタンパク質の合成を阻害することを特徴とするリボザイムを含むヌクレオチド配列である、請求項20記載の方法。
  24. 試薬がC7orf9、C12orf7、MPP4および/またはF379タンパク質の阻害剤である、請求項20記載の方法。
  25. 前記阻害剤が抗C7orf9、抗C12orf7、抗MPP4または抗F379抗体またはそれらのフラグメントである、請求項24記載の方法。
  26. 前記試薬が請求項2の組み換えベクターである、請求項20記載の方法。
  27. 前記試薬が請求項6の単離されたタンパク質である、請求項20記載の方法。
  28. 抗C7orf9、抗C12orf7、抗MPP4若しくは抗F379抗体またはそれらのフラグメント、および/またはC7orf9、C12orf7、MPP4若しくはF379特異的核酸プローブを含有する、黄斑変性または黄斑変性の素因の検出のために有用な診断キット。
  29. 請求項1の核酸分子の少なくとも1つを含むトランスジェニック非ヒト動物。
  30. C7orf9、C12orf7、MPP4またはF379をコードする核酸分子の不活性型の少なくとも1つを含むトランスジェニック非ヒト動物。
  31. マウスまたはラットである、請求項30記載のトランスジェニック非ヒト動物。
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