JP4290225B2 - Atp結合カセットトランスポーターの核酸配列 - Google Patents

Atp結合カセットトランスポーターの核酸配列 Download PDF

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Description

発明の背景
黄斑変性(macular degeneration)は、米国において約170万人を冒し、そして65歳以上の患者における後天性視覚障害の最も共通な原因である。シュタルガルト病(STGD;マクジックメンデリアンインヘリタンス(McKusick Mendelian Inheritance)(MIM)#248200)は間違いなく最も共通な遺伝性劣性黄斑ジストロフィーであり、そして幼年から若年の発症、中心視野障害、黄斑網膜色素上皮(RPE)および神経上皮の進行性の両側性萎縮により特徴付けられ、また斑紋および/または中央網膜末梢(midretinal periphery)の周囲に分散するオレンジ−イエロー小斑点の頻繁な出現により特徴付けられる(Stargardt,1909;Anderson et al.,1995)。臨床上の同様な網膜疾患(黄色斑眼底(Fundus Flavimaculatus)、1909;FFM,Franceschetti,1963)は、しばしば老年における発症並びに遅い進行を示す(Fishman,1976;Noble and Carr,1979)。連鎖(linkage)の分析から、STGDおよびFFMは、染色体1p13-p21における遺伝子の変異により引き起こされるわずかに異なる臨床上の症状発現を伴う、対立遺伝子常染色体劣性疾患であるらしいと結論された(Gerber et al.,1995;Anderson et al.,1995)。STGD遺伝子は、組換えマーカーDIS435およびDIS236を両側に有する4cM領域に位置し、そしてこの領域の完全な酵母人工染色体(YAC)のコンティグが構築された(Anderson et al.,1995)。最近、ヒト染色体1p上のSTGD/FFM座の位置がSTGDファミリーの独立のセットにおける遺伝連鎖分析により多形性マーカーDIS406とDIS236の間の2cM間隔に純化された(Hoyng et al.,1996)。単一の大きな北アメリカの家系にて同定されたSTGDといくらか類似の臨床上の表現型を伴う常染色体優性疾患が染色体13q34(STGD2;MIM #153900;Zhang et al.,1994)および染色体6q11-q14(STGD3;MIM #600110;Stone et al.,1994)にマップされたが、これらの症状は蛍光眼底血管造影により観察される、疾病に特徴的な暗い脈絡膜(dark choroid)により特徴付けられない(Gass,1987)。
哺乳類のATP結合カセット(ABC)トランスポーターのスーパーファミリーのメンバーは、ヒト疾患表現型の有力な候補として考えられつつある。ABCスーパーファミリーは、広いスペクトルの基質横断膜のエネルギー依存性輸送に関与する膜貫通蛋白質を生成物とする遺伝子を含む(Childs and Ling,1994;Dean and Allikmets,1995)。このスーパーファミリーの多くの疾患原因メンバーは特定の基質の輸送における欠損をもたらす(CFTR,Riordan et al.,1989;ALD,Mosser et al.,1993;SUR,Thomas et al.,1995;PMP70,Shimozawa et al.,1992;TAP2,dela Salle et al.,1994)。真核生物において、ABC遺伝子は、2つの保存されたATP結合ドメイン(ATP)と複数の膜貫通(TM)セグメントを有する2つのドメインを含む4つのドメインを典型的にコードする(Hyde et al.,1990)。ABC遺伝子のATP結合ドメインは90-120アミノ酸により間隔を空けられた特徴的な保存された残基のモチーフ(ウオーカーAおよびBモチーフ)を含む。この保存された空間とウオーカーB部位のすぐ上流の「記号」または「C」モチーフの両者は、ABCスーパーファミリーのメンバーを他のATP結合蛋白質から識別する(Hyde et al.,1990;Michaelis and Berkower,1995)。これらの特徴は、ハイブリダイゼーション、変性PCR、およびDNA配列データベースの検索により新規なABC遺伝子の単離を可能にした(Allikmets et al.,1993,1995;Dean et al.,1994;Luciani et al.,1994)。
ABCスーパーファミリーの21の新規なメンバーの特徴付けは、それらの地図の位置およびそれらの発現パターンを決定することにより、特徴付け並びにこれらの遺伝子に割り当てられた機能の決定を可能にするかもしれない(Allikmets et al.,1996)。多くの公知のABC遺伝子が遺伝性ヒト疾患に関与することは、これらの新しい座の幾つかも特定の遺伝子疾患において変異した蛋白質をコードすることを暗示する。マッピングによる遺伝子の領域上の位置決定にも拘わらず、一つの遺伝子の正確な位置および配列は、それでもなお、約250遺伝子からの特定の遺伝子、4百万から約5百万の塩基対を、領域上位置決定された染色体部位から選択することを必要とする。
上記のとおり前進はしてきたが、劣性黄斑ジストロフィーSTGD/FFMを有する患者における網膜特異性ABCトランスポーター(ABCR)における変異は出願人の知る範囲ではまだ同定されていない。本発明により決定されたとおり、ABCRの発現が光受容体に限定されることは、なぜABCRがまだ配列決定されなかったかについての証拠を提供する。さらに、ABCトランスポーターのABC1スーパーファミリーは酵母において如何なる類似物によっても示されないことから(Michaelis and Berkower,1995)、これらの遺伝子は多細胞生物において特定の機能を実行するために進化したことが暗示され、またなぜABCR遺伝子が同定されにくかったかについての支持も与える。細菌中のABC遺伝子とは異なり、高等真核生物における類似の遺伝子はさほど研究されていない。原核生物が多数のABC遺伝子を含む事実は、このスーパーファミリーの多くの哺乳類のメンバーがまだ同定されていないままであることを暗示する。真核生物のABC遺伝子を研究する仕事はより難しいが、真核生物の系が顕著に高度に複雑なためと、高度に類似の遺伝子さえも機能において明らかに異なるためである。ABC蛋白質は細菌細胞における多くの多様性化合物の主要なトランスポーターであるが、対照的に、真核生物は多くのアミノ酸および糖の輸送のために別の機構を進化させた。真核生物はABC遺伝子の役割を多様化させる別の理由を有し、例えば、イオン輸送、毒素排除およびシグナル分子の分泌等の機能を実施することである。
したがって、変異形態においてはシュタルガルト病および黄斑斑眼底を含む網膜および/または黄斑変性疾患と関連している、該遺伝子の配列の同定の要求が、例えば、そのような疾患に冒された患者への高度化された診断および改良された予後および介入治療を提供するために、残されている。
発明の概要
本発明は、ATP結合カセットトランスポーターをコードする配列を提供する。核酸配列はゲノミック配列である配列番号:1およびcDNA配列である配列番号:2および5を含み、本発明が指向する配列である。
本発明のさらなる側面は、ATP結合カセットトランスポーターポリペプチド類および/または蛋白質を提供する。配列番号:3および6は、ATPカセットトランスポーターをコードするヌクレオチド配列から生成される本発明の新規なポリペプチドである。精製されたATP結合カセットトランスポーターも本発明の範囲内である。
本発明は、ATP結合カセットトランスポーターをコードする核酸配列を含む発現ベクター、ATP結合カセットトランスポーターをコードする核酸配列を発現することのできる形質転換宿主細胞、ATP結合カセットトランスポーターを発現することのできる細胞培養物、およびATP結合カセットトランスポーターを含む蛋白質調製物も提供する。
本発明は、ATP結合カセットトランスポーターを修飾すると推測される因子(agent)を、精製したATP結合カセットトランスポーターと化合し、そしてATP結合カセットトランスポーターに関連した少なくとも一つの特性における変化を観察することからなる、ATP結合カセットトランスポーターを修飾する因子をスクリーニングする方法にも向けられる。本発明は、黄斑変性を有する疑いのある患者から精製したATP結合カセットトランスポーターをATP結合カセットトランスポーターを修飾すると推測される因子と化合し、そしてATP結合カセットトランスポーターに関連した疾患の少なくとも一つの特性における阻害を観察することからなる、黄斑変性を阻害する因子を同定する方法を提供する。さらに、本発明は、精製された野生型のATP結合カセットトランスポーターを黄斑変性疾患を誘導すると推測される因子と化合し、そして黄斑変性に関連した特性の発症を観察することからなる、ATP結合カセットトランスポーターに関連した少なくとも一つの特性の発症を誘導する因子を同定する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1Aおよび1Bは、ABCR遺伝子および増幅産物を示す。図1Aは、ABCR遺伝子の物理的マップを示す。CEPHメガ−YACゲノミックライブラリー(Bellane-Chantelot et al.,1992)からのメガ−YACクローンはSTGDに関しての4cMの必須領域を包含し、黒丸を有する棒により示され、STSsに関して確認された陽性は目印のマッピングにより示される。個々のSTSマーカーおよびそれらの物理的な順序はセントロメア(cen)およびテロメア(1pter)方向を示す矢印と共にYACsの下に示す(Anderson et al.,1995)。STGDと記された水平の両頭の矢印は、歴史上の組換え体により描写された、純化された遺伝子間隔を示す(Anderson et al.,1995)。図1Bは、ゲル上の対角線として示された13の異なるYAC DNA鋳型上のABCRの5’(GGTCTTCGTGTGTGTGGTCATT,配列番号:114、GGTCCAGTTCTTCCAGAG,配列番号:115、標識された5’ABCR)または3’(ATCCTCTGACTCAGCAATCACA,配列番号:116,TTGCAATTACAAATGCAATGG,配列番号:117、標識された3’ABCR)領域からプライマーを用いたPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動の結果を示す。星マークは、YAC680 b 5が5’ABCR PCRに関して陽性であったが3’ABCR PCRに関して陰性であったことを記す。これらのデータはマーカーD1S3361-D1S236により描写された間隔内のABCR遺伝子マップを示唆し、そして白い水平ボックスにより描写されたとおり、テロメアに向かって転写される。
図2は、成体ラット中のABCR転写物の大きさと組織分配を示す。示された組織からの全RNAのブロットを、1.6kbのマウスAbcrプローブ(上部)およびリボソーム蛋白質(底部;Kuwano et al.,1985)とハイブリダイズさせた。ABCRプローブは、網膜のみに見いだされる約8kbの優勢な転写物を明らかにした。28Sおよび18SリボソームRNAsの移動度は右に示される。B,脳;H,心臓;K,腎臓;Li,肝臓;Lu,肺;R,網膜;S,脾臓。
図3A−Hは、ゲノミックABCR配列、配列番号:1内のABCRコーディング領域の配列を示す。ABCRのcDNAの配列、配列番号:2を、推定される蛋白質配列と共に示す。1文字のアミノ酸コードの配列番号:3を下に示す。スプライス部位はシンボル|により示す。
図4A−Dは、ABCR蛋白質、配列番号:3の、他のABC1サブファミリーメンバーとのアラインメントを示す。ABCRの推定されたアミノ酸配列は、同じサブファミリーのメンバーである公知のヒトおよびマウス蛋白質に並べて示す。Abc1,マウスAbc1,Abc2,マウスAbc2,およびABCC,ヒトABC遺伝子。ウオーカーAおよびBモチーフ並びに記号モチーフCはそれぞれ、下線を引かれて文字A,BおよびCにより示される。
図5は、マウス染色体3の一部を示すジャクソンBSSバッククロスからのAbcrの位置を示す。マップはセントロメアから上部に向かって描写される。3cMのスケールバーも示される。同じ位置に対する座のマッピングはアルファベットの順序で掲載される。
図6は、家系のAR293中のABCR遺伝子のエクソン49中のSSCP変種の分離を示す。SSCPバンドの配列分析は、野生型配列(バンド1および3)および変異型配列(バンド2および4)の存在を明らかにした。DNA配列決定は15塩基対の欠損を明らかにしたが、冒された子供(レーン2および3)は同型接合(homozygous)である。ハプロタイプの分析は、2人の冒された患者におけるSTGD座における同型接合を証明した。
図7A−Hは、光受容体細胞へのABCR転写物の局在化を示す。インサイチュハイブリダイゼーションをジゴキシゲニン標識リボプローブを用いて実施し、そしてアルカリホスファターゼ結合抗ジゴキシゲニン抗体を用いて視覚化した。図7A−Dは色素を有するマウス(C57/B16)からの網膜および脈絡膜のハイブリダイゼーション結果を示し;図7Eおよび7Fはアルビノラットからの網膜および脈絡膜のハイブリダイゼーション結果を示し;そして図7Gおよび7Hはカニクイザルからの網膜のハイブリダイゼーション結果を示す。図7A,7E,および7Gはマウスabcrアンチセンスプローブからの結果を示し;図7Bはマウスabcrセンスプローブからの結果を示し;図7Cはカニクイザルロドプシンのアンチセンスプローブからの結果を示し;そして図7D,7F,および7Hはマウスの青色の錐体(blue cone)色素のアンチセンスプローブからの結果を示す。ABCR転写物は光受容体細胞層の内部色素に局在化され、パターンはロドプシン転写物の分配と適合するが円錐体視覚化色素転写物の分配とは識別される。ハイブリダイゼーションはRPEまたは脈絡膜においては観察されず、アルビノラットの目で最も鮮明に観察された(図7Eの矢印の頭)。図7Bに示される網膜の層は:OS,外部セグメント;IS,内部セグメント;ONL,バイブ核層;OPL,外部網状層;INL,内部核層;IPL,内部網状層;GCL,ガングリオン細胞層。
図8は、pGEM(登録商標)-Tベクターマップを提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、ATP結合カセットトランスポーターをコードする核酸および蛋白質配列に向けられる。本発明のATP結合カセットトランスポーターは網膜特異的ATP結合カセットトランスポーター(ABCR)であり;より特定すれば、ABCRは網膜細胞、好ましくは光受容体細胞から単離してよい。本発明はABCRのヌクレオチド配列を提供し、ゲノミック配列、配列番号:1、およびcDNA配列、配列番号:2および5を含む。ABCRに関しての新規なポリペプチド配列、配列番号:3および6はそれぞれ配列番号:2および5の転写産物であり、これらも本発明に含まれる。
配列番号:1は、ABCRのヒトゲノミックDNA配列を提供する。配列番号:2および5はヒトABCRの野生型のcDNA配列を提供し、それぞれ転写産物、配列番号:3および6をもたらす。あらゆる特定の操作理論に捕らわれることを意図しないが、配列番号:2および5はABCRのcDNAのアイソオームであると信じられる。配列番号:2と5の違いは、配列番号:5の塩基4352と4253の間に付加された、配列番号:2において加えられた配列により説明される。この違いは、別のエクソン30、配列番号:4が排除された場合のABCRの未完成転写物の別のスプライシングにより生じると考えられる。この別のエクソンは付加的な38アミノ酸、配列番号:11をコードする。
本発明の範囲内の核酸は、cDNA,RNA,ゲノミックDNA,配列内の断片または部分、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。ABCRをコードする配列は、アミノ酸、ポリペプチド、および蛋白質配列も含む。本発明の核酸およびポリペプチド配列のバリエーションは本発明の範囲内であり、そしてN末端およびC末端伸長、転写および翻訳修飾、およびcDNA中の修飾を含むことにより、転写および翻訳効率を促進および改良する。さらに、変化した配列が実質的にABCRと同じであるように、変化した配列が実質同じ野生型活性を保持する、本明細書にて同定された野生型配列内の変化も、本発明の範囲内であると考えられる。ABCR配列に対する実質類似性、例えば疎水性、親水性、塩基性、および酸性の残基における類似性を許容するミスマッチ、挿入、および欠失は、本開示を一度備えた当業者には公知である。さらに、単離され、または精製された本発明の配列は、天然、組換え、合成、またはそれらの組み合わせであったよい。本発明のABCR配列に関連した野生型活性は、中でも、ATP結合カセットトランスポーターをコードする配列のすべてまたは一部、あるいはそれに実質類似の配列を含む。
ゲノミックの配列番号:1、およびcDNAの配列番号:2および5の配列は図3A−Hにおいて同定されてABCRをコードし、それらの特定の変異は網膜または黄斑変性として公知の網膜疾患のクラスに必須である。黄斑変性は、黄斑ジストロフィー、末梢網膜の様々な変化、中心視野障害、黄斑網膜色素上皮(RPE)および神経上皮の進行性の両側性萎縮、斑紋および/または中央網膜末梢(midretinal periphery)の周囲に分散するオレンジ−イエロー小斑点の頻繁な出現、およびリポフシン−様物質の網膜下沈着により特徴付けられる。網膜および黄斑変性疾患は、限定されないが、シュタルガルト病、黄色斑眼底(Fundus Flavimaculatus)、老年性黄斑変性を含み、そして様々に呼ばれる色素性網膜炎、組み合わされた桿状体と錐体のジストロフィー、錐体ジストロフィーおよび変性、パターンジストロフィー、標的黄斑症、および様々な他の網膜変性疾患、薬剤、毒素、環境の影響等により誘導される幾つかを含むかも知れない。シュタルガルト病は幼年から若年で発症する黄斑および網膜ジストロフィーにより特徴付けされる常染色体劣性網膜疾患である。黄色斑眼底はしばしば老年の発症および遅い進行を示す。幾つかの環境傷害および因子の毒性は同様な網膜変性を創製するかもしれない。連鎖の分析から、STGDおよびFFMは、わずかに異なる臨床上の症状発現を伴う、対立遺伝子常染色体劣性疾患であるらしいことを明らかにする。ABCR遺伝子の同定は、ABCR内の異なる変異がこれらの臨床上の現象に必須であるかもしれないことを暗示する。
本発明は、ATP結合カセットトランスポーターを修飾すると推測される因子と精製されたATP結合カセットトランスポーターを化合して、そしてATP結合カセットトランスポーターに関連する少なくとも一つの特性における変化を観察することからなる、ATP結合カセットトランスポーターを修飾する因子のスクリーニング方法にも向けられる。
「修飾」およびそのバリエーションは、限定されないが、阻害する、抑圧する、遅延させる(delay)、遅滞させる(retard)、おそくする(slow)、延期する(suspend)、妨害する、および制限する、並びに誘導する、奨励する(encourage)、刺激する(provoke)、および引き起こす(cause)を含む。修飾は、黄斑変性が妨げられるか、停止するか、またはブロックされるように完全な阻害として定義してもよい。修飾は、特定の環境において、直接または間接に、黄斑変性を阻害するかまたは実質阻害するか、あるいは黄斑変性を誘導するかまたは実質誘導してよい。
黄斑変性を阻害する因子を同定する方法は、本発明により具体化され、そして黄斑変性を有する疑いのある患者から精製したATP結合カセットトランスポーターをATP結合カセットトランスポーターと相互作用すると推測される因子を化合して、そしてATP結合カセットトランスポーターと関連する疾患の少なくとも一つの特性における阻害を観察することからなる。したがって、そのような方法は、黄斑変性を例えばヒト患者において誘導するかまたは妨害するために機能する。さらに、本発明は、精製した野生型ATP結合カセットトランスポーターを黄斑変性疾患を誘導すると推測される因子と化合し、そして黄斑変性に関連する特性の発症を観察することからなる、ATP結合カセットトランスポーターに関連する少なくとも一つの特性の発症を誘導する因子を同定する方法を提供する。即ち、そのような方法は、黄斑変性の原因となる因子を決定するために実験室動物を用いる方法を提供する。ATP結合カセットトランスポーターは核酸の形態で本明細書に同定された方法において、例えば限定されないが配列番号:1、2および5、または例えばアミノ酸として配列番号:3および6に関して提供してよい。したがって、転写および翻訳の阻害剤は別々に同定されてよい。黄斑変性に関連する特性は、中心視野障害、黄斑網膜色素上皮(RPE)および神経上皮の進行性の両側性萎縮、斑紋および/または中央網膜末梢(midretinal periphery)の周囲に分散するオレンジ−イエロー小斑点の頻繁な出現を含み、そして限定されないがこれらである。したがって、上記特性の一つまたはそれ以上を観察することは黄斑変性を誘導する因子の同定をもたらし、一方少なくとも一つの特性の低下および阻害は黄斑変性を阻害する因子の同定をもたらす。
シュタルガルト病ファミリーにおけるABCRの変異分析は、即ち、54の単一アミノ酸置換、蛋白質の初期における末端削除をもたらす5つのナンセンス変異、蛋白質の初期における末端削除をもたらす6つのフレームシフト変異、蛋白質からのアミノ酸残基の損失をもたらす3つのインフレーム欠失、そして未完成のRNA転写物の不正確なプロセシングをもたらす6つのスプライス部位変異を含むはるか74の変異を明らかにした。表2参照。ABCRにおける変異に関する群(compound)の異型接合(heterozygotes)は42のファミリーにおいて見いだされた。同型接合(homozygous)変異は近親系統図を有する3つのファミリーにおいて同定された。したがって、野生型ABCRに関連しない活性をもたらす野生型ABCR内の変異は、本明細書においては、黄斑変性に関連する配列と呼ばれる。そのような変異はミスセンス変異、欠失、挿入、疎水性、親水性、酸性および塩基性における実質的な相違を含む。網膜または黄斑変性に関連する特性は限定されないが上記特性を含む。
野生型ABCRにおける変異は黄斑変性を検出する方法を提供する。網膜または黄斑変性は、患者組織サンプルからなる患者の核酸を含むサンプルを得て;該患者核酸から網膜特異的ATP結合カセット受容体特異的核酸を増幅することにより試験断片を生成し;対照組織サンプルから対照核酸を含むサンプルを得て;野生型網膜特異的ATP結合カセット受容体をコードする対照核酸を増幅することにより対照断片を生成し;試験断片を対照断片と比較することにより試験断片中の配列の相違(試験断片中の相違は黄斑変性を示す)の存在を検出することにより検出してよい。限定されないが、上記同定された変異各々を含む試験断片中の変異は、黄斑変性の証拠を提供するかもしれない。
精製されたABCR蛋白質も本発明により提供される。精製されたABCR蛋白質は、配列番号:3および6により提供されるとおりのアミノ酸配列を有してよい。
本発明は、哺乳類から選られたABCR配列に向けられ、限定されないがハムスター、ラット、およびマウスを含む齧歯目;ロゴモルファ(Logomorpha)目例えばウサギ;より特定すればネコおよびイヌを含む食肉目;いっそうより特定すればウシおよびブタを含む偶蹄目;およびウマを含む奇蹄目;そして最も特定すれば霊長目、オマキザル(Ceboids)およびシモイズ(Simoids)(サル)および類人(Anthropoids)(ヒトおよび類人猿)を含む。最も好ましい態様の哺乳類はヒトである。
一般に、本発明の配列は、ABCRをコードする核酸配列を含む発現ベクターにより形質転換された宿主細胞中で生産してよい。形質転換された細胞はABCRをコードする核酸配列が発現される条件下で培養される。蛋白質が蓄積するのに適切な長さの時間後に、蛋白質を形質転換細胞から精製してよい。
ABCRをコードする遺伝子はcDNAライブラリーから得てよい。適切なライブラリーはクロンテック(Clontech),Palo Alto,CAのような商業上の供給源から得ることができる。ライブラリーは以下の非限定例を用いて製造してもよい:ハムスター−インスリン分泌腫瘍(HIT)、マウスαTC-6、およびラットインスリノーマ(RIN)細胞。陽性クローンは次にDNA配列決定に供することによりABCRをコードするDNA配列の存在を決定する。DNA配列決定はSanger et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci,U.S.A.,1977,74,5463の鎖停止方法を用いて達成される。次に、ABCRをコードするDNAは宿主細胞の後期発現のために発現ベクターに挿入される。
発現ベクターおよび宿主細胞はABCRを合成することができる発現系を形成するように選択される。限定されないがバキュロウイルスを含むベクターを本発明に用いてよい。本発明の使用に適した宿主細胞はABCRを安定に含んで発現するように形質転換することができる原核生物および真核生物細胞であってよい。例えば、組換え蛋白質をコードする核酸は原核生物および真核生物細胞中で発現させてよく、組換え蛋白質の生産のために最も共通に用いられる細菌宿主細菌である大腸菌を含む。他の微生物株も、しかしながら使用してよく、例えばバチルスサチルス、および他の腸内細菌科例えばサルモネラティフィミリウムまたはセラチアマルセシーンス、様々な種のシュードモナス、または他の細菌株である。
好ましい真核生物系は酵母、例えばサッカロミセスセレビシエである。酵母の人工染色体(YAC)系はABCR遺伝子配列またはゲノミッククローンの大きなサイズを収容することができる。YAC系の原理はDNAの慣用的クローニングにおいて用いられるのと同様である。大きな断片のcDNAをYACベクターの2つの「アーム」に連結して、連結した混合物を次に形質転換により酵母に導入する。YACベクターのアームの各々は選択可能なマーカー並びに酵母中でテロメアとして機能する適切に配置した配列を有する。さらに、2つのアームのうちの一つはセントロメアおよび複製起点(ARS要素−自律複製配列とも呼ばれる)として機能する2つの小さな断片を有する。人工染色体を取り込んで安定に保持した酵母形質転換体は、YACアームの一つまたは両方の選択のために必要な成分を含む寒天プレート上にコロニーとして同定される。YACベクターはゲノミックDNAの挿入物を有する形質転換体の迅速な同定を可能にするようにデザインされる。クローニング部位へのゲノミックDNAの挿入はサプレッサーtRNA遺伝子を分断して、アンバーade2遺伝子を有する酵母株により白より赤のコロニーの形成をもたらす。
YACベクター中にクローン化するためには、試験生物からのゲノミックDNAを、その平均サイズが数百万塩基対であるように相対的にほとんど切られないようにする条件下で調製する。次に、cDNAは、自己連結を防ぐように調製された、YACベクターのアームに連結する。EcoRIによる部分消化の別法として、稀な切断部位の制限酵素、例えばNotIまたはMluIを用いて完成するように消化されたゲノミックDNAを受容するようにYACベクターを用いてよい。
さらに、昆虫細胞、例えばスポドプテラフルギペルダ(Spodoptera frugiperda);ニワトリ細胞例えばE3C/OおよびSL-29;哺乳類細胞、例えばヒーラ(HeLa)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS-7またはMDCK細胞等を用いてもよい。上記リストはほんの例示であり、いかなる点においても本発明の核酸の発現に適切な宿主細胞の種類を限定することを意図しない。
本明細書において用いるとおり、発現ベクターは、ABCRをコードする核酸配列を含むように操作されうるあらゆる種類のベクターを意味し、例えば、プラスミド発現ベクター、ウイルスベクター、および酵母発現ベクターである。発現ベクターの選択は、ABCRをコードする核酸の発現がもたらされるような所望の宿主細胞との適合性に基づく。プラスミド発現ベクターは、少なくとも一つの発現制御要素、例えばプロモーターに操作可能なように連結された本発明の核酸配列を含む。一般に、プラスミドベクターは、レプリコンおよび宿主細胞に適合性の種に由来する制御配列を含む。本発明の核酸配列を含むプラスミドの選択を促進するためには、プラスミドベクターは選択可能なマーカー例えば抗生物質耐性をコードする遺伝子を含んでもよい。適切な例は、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、またはカナマイシン耐性を含む。
適切な発現ベクター、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御要素は当業界において知られており、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Mannual,second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)に見いだされてよく、その全体を引用により編入する。
ABCRをコードするDNA配列を含む形質転換細胞は、次に、宿主のための適切な培地中で成長させてよい。次に、細胞は生成物の蓄積が所望のレベルに達するまで成長させ、そのときに、細胞を回収して慣用の技術に従い蛋白質を精製する。適切な精製方法は、限定されないが、SDS PAGE電気泳動、フェニルボレート−アガロース、反応性グリーン19-アガロース、コンカナバリンAセファロース、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、電気泳動、透析および当業界の他の精製方法を含む。
宿主細胞によるABCRの精製されたかまたは未精製の蛋白質調製物が、したがって、生産されるが、ABCRと他の物質、例えば蛋白質の精製程度に依存して、宿主細胞成分および/または細胞媒体を含む。
本発明はトランスジェニックな非ヒト動物も含み、限定されないが哺乳類、例えば限定されないがマウス、ラット、またはハムスターを含み、動物または動物の祖先に導入された、実質ABCR活性を保持するABCEまたはその断片をコードする配列を含む。該配列は野生型または変異体であってよく、そして胚形成期または成体期において動物に導入してよい。該配列は活性化表体を染色体上で取り込むように動物のゲノムに取り込んでよい。トランスジェニック非ヒト動物はABCR配列を含む生殖細胞および体細胞を有する。生殖細胞は自然に起こるように遺伝子をトランスフェクトされてよく、トランスジェニック動物は活性化をもたらす位置において遺伝子が染色体に組込まれるように選択される。他の活性化方法は、胚に導入される前に遺伝子またはその制御配列を修飾することを含む。胚は遺伝子を含むベクターを用いてトランスフェクトさせてよい。
さらに、トランスジェニック非動物はABCRが抑圧されるように操作されてよい。本発明の目的のためには、ABCRの抑圧は、限定されないが、ABCRを発現させない戦略を含む。そのような戦略は限定されないが、蛋白質の合成阻害、前mRNAプロセシング、またはDNA複製を含む。上記戦略の各々はABCR遺伝子発現のアンチセンス阻害により達成してよい。アンチセンス配列を細胞内に移入するための多くの技術は当業者に知られており、限定されないが、マイクロインジェクション、ウイルス介在移入、体細胞形質転換、トランス遺伝子組込み(transgene integration)等を含み、Pinkert,Carl,Transgenic Animal Technology,1994,Academic Press,Inc.,San Diego,CAに記載されているとおであって、その全体を引用により編入する。
さらに、トランスジェニック非ヒト動物は、ABCRがノックアウトされるように製造してよい。本発明の目的には、ノックアウトは、限定されないがABCR遺伝子を破壊することまたは無効にすることを含む。ノックアウトは、例えばABCRのアンチセンス配列内で実施してよい。ABCR遺伝子はABCR配列のすべてまたは一部に関するアンチセンス配列、例えば配列番号:2のすべてまたは一部に関するアンチセンス配列の注入によりノックアウトしてよい。ABCRを無効にしたら、黄斑変性に対するABCRの相関を試験してよい。ABCRに影響する変異をコードする配列は、網膜および黄斑の変性に関連する特性における変化により表される様々な網膜および黄斑変性における変化に関して試験してよい。
ABCRのノックアウトは、相同組換えにより合成DNAを動物の染色体に挿入することにより操作されてよい。この方法において、標的DNAおよび挿入DNAを周囲に有する配列は同一であり、標的DNAと挿入DNAとの間に鎖交換および乗り換えを起こさせる。挿入される配列は典型的には選択可能なマーカー、例えば薬剤耐性に関する遺伝子である。相同組換えのこの過程において、標的配列は挿入配列に置き換わり、即ち、標的遺伝子を破壊してそれを機能させなくする。この非機能遺伝子は該遺伝子の無効な対立遺伝子(null allele)と呼ぶ。
ノックアウトマウスを創製するためには、挿入DNAおよび周辺配列を含むDNA構築物を作成する。このDNA構築物は、組換えのために多能性胚幹細胞成分中にトランスフェクトされる。同一の周辺配列は互いに並べられ、そして標的配列が挿入配列に置き換わるように染色体組換えが起き、Bradley,A.,Production and Analysis of Chimeric Mice,in Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells - A Practical Approach,1987,E.Roberson,Editor,IRC Press,pages 113-151に記載されるとおりである。幹細胞は胚に注入され、次にメスの動物に移植されて生まれさせる。その動物は注入された幹細胞に由来する生殖細胞を含んでよく、そして次の交配は破壊された遺伝子に関して動物の異型接合(heterozygous)および同型接合(homozygous)を生じてよい。
トランスジェニックな非ヒト動物は黄斑変性に必要な付加的な変異を同定する核酸の変化を試験するのにも有用であってよい。トランスジェニックな非ヒト動物は組換えABCRを含んでよい。
本発明は、遺伝子治療にも向けられる。本発明の目的のためには、遺伝子治療は疾患または傷害の治療処置のための細胞への新規な遺伝情報の移入および安定な挿入を意味する。外来配列または遺伝子は、細胞集団にわたって新規な配列または遺伝子を拡大するように、増殖する細胞に移入される。配列は、ABCRのすべてまたは一部のアンチセンス配列、例えば配列番号:1、2、および5として同定される配列のすべてまたは一部に対するアンチセンス配列を含む。遺伝子の移入の公知の方法は、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム、染色体移入、トランスフェクション技術、カルシウム−沈殿トランスフェクション技術等を含む。本件の場合、黄斑変性は遺伝子機能の損失から、変異例えば遺伝子機能の獲得の結果として、または遺伝子の過剰なコピー、例えば野生型遺伝子の3コピー、または例えばプロモーターにおける変異の結果過剰発現された遺伝子の結果としてもたらされてよい。発現は、制御要素例えばプロモーターを活性化または不活性化することにより変更してよい。変異は、変異配列を野生型配列に置き換えるか、またはアンチセンス配列を挿入して、過剰発現された配列または制御配列に結合させることにより、修正してよい。
外来遺伝子を細胞に導入するための莫大な方法が当業界において知られており、本発明の態様に従って、遺伝子治療の目的のために組換え細胞を構築するのに用いてよい。用いられる技術は外来遺伝子配列の幹細胞への安定な移入を提供するべきであり、その結果、外来遺伝子配列が遺伝して、幹細胞の子孫により発現可能となり、そしてその結果受容細胞の必要な発生および生理機能が破壊されない。用いてよい技術は限定されないが、染色体移入(例えば、細胞融合、染色体介在遺伝子移入、マイクロ細胞介在遺伝子移入)、物理的な方法(例えば、トランスフェクション、スフェロプラスト融合、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソームキャリアー)、ウイルスベクター移入(例えば、組換えDNAウイルス、組換えRNAウイルス)等を含む(Cline,M.J.,1985,Pharmac.Ther.29:69-92に記載されており、その全体を引用により編入する)。
用語「精製された」は、本発明の核酸配列の状態を記載するために用いる場合、ABCRまたは非組換え細胞中の核酸と通常は関連する他の物質をコードしない核酸を実質含まない核酸配列、即ちその「天然状態」を意味する。
用語「精製された」または「精製された形態の」は、ABCR核酸、ポリペプチド、またはアミノ酸の状態を記載するために用いる場合、その天然状態において通常は関連する細胞性物質または他の物質を、少なくともある程度、実質含まない配列を意味する。好ましくは、配列は少なくとも約25%から約100%の純度(均一性)を有する。より好ましくは、当業界において公知の標準技術に従って精製される場合、純度は少なくとも約50%である。
本発明の方法によれば、患者の網膜または黄斑変性を検出するための方法が提供され、患者の組織サンプルを試験のために得ることを含む。この組織サンプルをは固体または流体でよく、体液サンプルは限定されないが血液、皮膚、血清、唾液、痰、粘液、骨髄、尿、リンパ液および涙液および糞便を含む。さらに、羊水または絨毛膜からの組織サンプルは、本発明により子宮内での網膜または黄斑変性の検出のために提供されてよい。
試験断片は、本明細書においては網膜または黄斑変性を有する疑いのある患者からのABCR特異核酸を含む増幅サンプルとして定義される。対照断片は、網膜または黄斑変性を有する疑いのない人からの正常または野生型のABCR特異核酸を含む増幅サンプルである。
核酸を増幅する方法は、対のうちの少なくとも一つのプライマーが配列番号:12−113かならる群から選択されるプライマー対を用いる、ポリメラーゼチェインリアクションであってよい。ポリメラーゼチェインリアクションを増幅方法に選択する場合、対の一方のプライマーが配列番号:12−113かならる群から選択されるように対のプライマーを用いてよい。
核酸、例えばDNA(限定されないが例えばゲノムDNAおよびcDNA)および/またはRNA(限定されないが例えばmRNA)は患者サンプルから得られる。好ましくはRNAを得る。
核酸抽出に続いて、当業界において公知のあらゆる技術により同じものを増幅する。増幅工程は、エクソンまたはコーディング配列を増幅するために、周辺のイントロンゲノミック配列上において、ABCRを特異的に発現する核酸または配列の一部に相補な少なくとも一つのプライマー配列の使用を含む。この増幅方法に有用なプライマー配列は限定されないが配列番号:12−113を含み、増幅方法に使用してよい。約10ヌクレオチドから約35ヌクレオチド、より好ましくは約15ヌクレオチドから約30ヌクレオチド、特に好ましくは約17ヌクレオチドから約25ヌクレオチドのあらゆるプライマー配列を本発明の方法の増幅工程に用いてよい。さらに、ミスマッチ配列は実質相補であり、そして即ち同定されるべき配列とハイブリダイズできるように、本発明の方法を達成する上記配列中のミスマッチも本発明の範囲内である。配列番号:12−113への実質類似性を許容するミスマッチは、例えば限定されないが同様な疎水性、親水性、塩基性および酸性を有する配列であり、本開示を一度備えた当業者には公知である。プライマーは未修飾でも修飾されていてもよい。プライマーは当業界において公知のあらゆる方法、例えば標準ホスホロアミダイト化学により製造されてよい。前掲のSambrook et al.を参照されたい。
核酸を増幅する方法は、対のプライマーを用いるポリメラーゼチェインリアクションであってよく、但し、対のうちの少なくとも一方のプライマーは配列番号:12−113からなる群から選択される。ポリメラーゼチェインリアクションを増幅方法に選択した場合、対のうちの少なくとも一方のプライマーが配列番号:12−113からなる群から選択されるように、プライマー対を用いてよい。
増幅方法が2つのプライマーの使用を含む場合、第1のプライマーおよび第2のプライマーは、例えばポリメラーゼチェインリアクションにおいて、第1のプライマーおよび第2のプライマーの一方が配列番号:12−113からなる群から選択されてよい。互いに対して示された対の間の核酸を複製および増幅し、そしてABCRに特異的なあらゆるプライマー対を、本発明の方法に従って用いてよい。
多くの鋳型依存性方法が、サンプル中に存在する標的配列を増幅するのに利用可能である。最もよく知られた増幅方法の一つはポリメラーゼチェインリアクション(PCR)であり、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号、並びにInnis et al.,PCR Protocols,Academic Press,Inc.,San Diego,CA,1990に詳細に記載されており、各々の全ては引用により編入される。簡単にいえば、PCRにおいては、標的配列の相補鎖の反対の領域に相補な2つのプライマー配列を用意する。過剰なデオキシヌクレオチド3リン酸をDNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)と共に反応混合物に加える。標的配列がサンプル中に存在するなら、両プライマーは標的に結合してポリメラーゼはヌクレオチド上を標的配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合物の温度を上昇させて低下させることにより、伸長したプライマーは標的から解離して、反応生成物を形成し、過剰なプライマーは標的および反応生成物に結合して反応が繰り返される。あるいは、逆転写酵素PCRの増幅方法を実施して、増幅されたmRNAの量を定量してもよい。ポリメラーゼチェインリアクションの方法論は当業界においてよく知られている。
増幅のための他の方法はライゲースチェインリアクションであり(LCRと呼ばれる)、EPA No.320,308に開示されており、その全体を引用により編入する。LCRにおいては、2つの相補なプローブ対を用意し、そして標的配列の存在下で各対が境を接するように標的の反対の相補鎖に結合する。ライゲースの存在下で、2つのプローブ対は連結して単一のユニットを形成する。温度循環により、PCRにおけるように、結合した連結ユニットは標的から解離して、次に過剰プローブ対の連結のための「標的配列」として作用する。その全体を引用により編入する米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合させるためのLCRと同様な別の増幅方法を記載する。
その全体を引用により編入するPCT出願No.PCT/US87/00880に記載されたQベータレプリカーゼも、本発明のさらに他の増幅方法として用いてよい。この方法において、標的の配列の相補な領域を有するRNAの複製配列をRNAポリメラーゼの存在下でサンプルに加える。ポリメラーゼは、次に検出されうる複製配列を複写する。
制限エンドヌクレアーゼおよびライゲースを用いてヌクレオチド5’[アルファ−チオ]3リン酸を制限部位の一方の鎖に含む標的分子の増幅を達成する等温増幅方法(その全体を引用により編入するWalker,G.T.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)1992,89:392-396)も、本発明の核酸の増幅に有用であってよい。
鎖置換増幅(SDA)は核酸の等温増幅を実施する別の方法であり、鎖置換と合成(即ち、ニックトランスレーション)の複数循環を含む。リペアチェインリアクション(RCR)と呼ばれる同様な方法は、本発明に有用であってよい別の増幅方法であり、増幅のために標的化された領域にわたっていくつかのプローブをアニーリングさせ、次に4塩基のうちの2つのみが存在するリペア反応を行うことを含む。他の2つの塩基は容易な検出のためのビオチン化誘導体として添加できる。同様なアプローチはSDAにおいて用いられる。
ABCR特異的な核酸は、循環プローブ反応(CPR)を用いて検出することもできる。CPRにおいては、非ABCR特異的DNAの3’および5’配列並びにABCR特異的RNAの中央を有するプローブを、サンプル中に存在するDNAにハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションしたら、反応物はRNaseHで処理して、明らかな生成物として同定されたプローブの産物は消化後に放出されるシグナルを生じる。オリジナルの鋳型を別の循環プローブにアニールさせて、反応を繰り返す。即ち、CPRは、ABCR特異的に発現された核酸にプローブをハイブリダイゼーションすることにより生じたシグナルを増幅することを含む。
各々の全体を引用により編入する英国出願第2 202 328およびPCT出願No.PCT/US89/01025に記載されたさらに別の増幅方法は、本発明に従って用いてよい。前者の出願においては、「修飾した」プライマーをPCR様に用いて、鋳型および酵素依存性合成する。プライマーは、取得用モイエティ(例えば、ビオチン)および/または検出モイエティ(例えば、酵素)により標識することにより修飾してよい。後者の出願においては、過剰な標識プローブをサンプルに加える。標的配列の存在下で、プローブは結合して触媒作用により分解される。分解後、標的配列は完全なまま解放されて、過剰プローブにより結合される。標的プローブの分解は標的配列の存在のシグナルを発する。
他の核酸増幅方法は、転写に基づく増幅系(transacription-based amplification system)(TAS)(Kwoh D.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)1989,86:1173,Gingeras T.R.,et al.,PCT出願WO 88/10315、各々の全体を引用により編入する)を含み、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRを含む。NASBAにおいては、標準のフェノール/クロロホルム抽出、臨床サンプルの熱変性、溶解バッファーによる処理およびDNAおよびRNAの単離のためのミニスピンカラムまたは塩化グアニジニウムによるRNA抽出により、核酸は増幅のために調製できる。これらの増幅技術はABCR特異的配列を有するプライマーをアニーリングすることを含む。重合後に、DNA/RNAハイブリッドをRNaseHにより消化するが、二本鎖DNA分子は再び熱変性する。いずれの場合も、第2のABCR特異的プライマーの付加に続き重合することにより、一本鎖DNAは完全に二本鎖に作成される。次に、二本鎖DNA分子は、ポリメラーゼ、例えばT7またはSP6により増やされて転写される。等温循環反応においては、RNAsは二本鎖DNAに逆転写されて、ポリメラーゼ、例えばT7またはSP6により再度転写される。その結果の生成物は、末端削除されているにしろ完全であるにしろ、ABCR特異的配列を示す。
その全体を引用により編入するDavey,C.,et al.,欧州特許出願公開No.329,822は、本発明に従って用いてよい、臨床上合成された一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(「dsDNA」)を含む核酸増幅方法を開示する。ssRNAは第1プライマーオリゴヌクレオチドのための第1の鋳型であり、逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)により伸長合成される。次に、RNAは、リボヌクレアーゼH(RNaseH、DNAまたはRNAの何れかの二重鎖中のRNAに特異的なRNase)の作用により、その結果生じるDNA:RNA二重鎖から除去される。その結果のssDNAは第2プライマーの第2の鋳型であり、その鋳型に対して相同な5’にRNAポリメラーゼプロモーター(T7 RNAポリメラーゼにより例示される)の配列も含む。次に、このプライマーをDNAポリメラーゼ(大腸菌DNAポリメラーゼIの大きい「クレノー」断片により例示される)により伸長合成して、プライマーの間にオリジナルのRNAの配列と同一の配列並びに一方の末端にプロモーター配列を付加的に有する二本鎖DNA(「dsDNA」)分子をもたらす。このプロモーター配列を用いて適切なRNAポリメラーゼによりDNAのRNAコピーを多く作成することができる。これらのコピーは次に、十分にシフトする増幅に導くサイクルを再度始めることができる。酵素の正確な選択により、この増幅は各サイクルにおける酵素の付加無しに等温で実施できる。この方法の臨床上の性質のため、出発の配列はDNAまたはRNAの何れかの形態になるように選択することができる。
その全体を引用により編入するMiller,H.I.,et al.,PCT出願WO 89/06700は、標的一本鎖DNA(「ssDNA」)にプロモーター/プライマー配列をハイブリダイゼーションさせ、次に該配列の多数のRNAコピーを転写することに基づく核酸配列増幅スキムを開示する。このスキムは循環性ではなく:即ち、新たな鋳型は結果的に生じるRNA転写物からは生成されない。他の増幅方法は、Frohman,M.A.,In:PCR Protocols:A Guide to Methods and Amplifications 1990,Academic Press,N.Y.により開示された「同類(race)」および「ワンサイドPCR」(Ohara,O.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)1989,86:5673-5677)を含み、全ての文献はその全体を引用により編入する。
結果として生じる「ジ−オリゴヌクレオチド」の配列を有する核酸の存在下で2つ(またはそれ以上)のオリゴヌクレオチドのライゲーションに基づき、それによりジ−オリゴヌクレオチドを増幅する方法(Wu,D.Y.et al.,Genomics 1989,4:560、その全体を引用により編入する)も、本発明の増幅工程において使用してよい。
試験断片および対照断片は、当業者には公知のあらゆる増幅方法により増幅してよく、上記増幅方法を含むが限定されない。本発明の目的のためには、患者および野生型ABCRをコードする配列の増幅は、配列の一部、例えば限定されないが配列番号:1のABCR配列の一部の増幅を含み、例えば約10ヌクレオチドから約1,000ヌクレオチド、より好ましくは約10ヌクレオチドから約100ヌクレオチドの長さの、配列番号:1内の如何なるところかで生じる少なくとも10ヌクレオチドを有する配列であり、但し配列の相違がABCR試験断片内に生じることが分かっている。即ち、例えば、患者サンプルおよび対照サンプルのABCRをコードする配列の一部を増幅することにより、これら2つの配列間の配列の相違を検出してよい。
試験断片および対照断片の増幅に続き、試験断片と対照断片の増幅産物間の比較を実施する。限定されないがトランジション、トランスバージョン、および制限消化パターンの変化等の配列の変化は、対照断片と試験断片の比較により検出してよい。
あるいは、増幅産物の在否を検出してよい。核酸は不連続の断片の大きさを変更するように断片化される。例えば、DNA断片は、限定されないがアガロースゲルマトリックスを用いた電気泳動等の方法により分子サイズに従って分離してよい。次に、ゲルをサザンハイブリダイゼーションにより分析する。簡単にいえば、ゲル中のDNAをハイブリダイゼーション基質またはマトリックス、限定されないがニトロセルロースシートおよびナイロン膜等に転写する。ABCR変異をコードする標識プローブを選択されたハイブリダイゼーション条件下でマトリックスに適用して、マトリックス上において局在化された相同DNAとハイブリダイズさせる。プローブは安定な二重鎖を形成することができる長さであってよい。プローブは約200から約10,000ヌクレオチドの長さ、好ましくは約500ヌクレオチドの長さ、そしてより好ましくは約2,454ヌクレオチドの長さの範囲のサイズを有してよい。プローブに実質類似性を許容するミスマッチは、限定されないが類似の疎水性、親水性、塩基性、および酸性を有する配列等であり、本開示を一度備えた当業者には公知である。視覚化および検出のための様々な標識は当業者には知られており、限定されないが蛍光染色、エチジウムブロマイド染色、例えばアビジン/ビオチン、放射性標識、例えば32P標識等である。好ましくは、産物、例えばPCR産物は、アガロースゲル上を泳動させ、エチジウムブロマイド等の染色剤を用いて視覚化する。前掲のSambrook et al.を参照されたい。次に、マトリックスをオートラジオグラフィーにより分析して、プローブにハイブリダイズする特定の断片を局在化してよい。さらに別の方法は、配列の相違を同定するための試験断片と対照断片の配列決定である。核酸配列決定方法は当業者には知られており、限定されないがMaxam and Gilbert,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1977,74,560-564およびSanger,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1977,74,5463-5467の方法を含む。
ABCRの配列の全てまたは一部を含む薬学組成物は、網膜または黄斑変性を有する疑いのある患者に送達してよい。配列はアンチセンス配列である。本発明の組成物は、単独で投与するか、あるいは薬学キャリアーとの混合物中で投与してよい。薬学上受容可能なキャリアーは投与ルートおよび標準の薬学上の実施に関して選択してよい。投薬量は配列のみのおおよその量であり、体重および患者の症状に関して設定される。キャリアーに対する活性成分の比率は、中でも化学的性質、可溶性および配列の安定性並びに意図する投薬量に自然と依存する。
本発明の配列は、単一または他の化合物と組み合わせて本発明の方法において用いてよく、限定されないが本発明の他の上記配列を含む。本発明の方法は、他の処置と共に、例えば限定されないが抗体と共に使用してよい。インビボの適用のためには、投与される量は、患者の年齢、体重、および臨床上の症状等の因子にも依存する。本発明の組成物は適切なルートで投与されてよく、点眼液、接種および注入、例えば静脈内、眼内、経口、腹腔内、筋肉内、皮下、局所、および上皮または粘膜皮膚内層(linings)、例えば結膜、鼻内、口腔、膣内、および胃腸を通した吸収により投与してよい。
組成物の投与の様式は化合物が送達される器官の部位を決定する。例えば、局所投与はクリーム、軟膏、ゲル、オイル、エマルジョン、ペースト、ローション等において投与してよい。非経口投与に関しては、組成物は、滅菌水性または非水性溶液の形態で使用してよく、他の溶質、例えば十分な塩、グルコースまたはデキストランを含むことにより溶液を等張にしてよい。非水性溶液は、例えばオイルを含む。経口様式の投与に関しては、本発明をタブレット、カプセル、ロゼンジ、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル、、水性溶液および懸濁液等の形態で使用してよい。様々な崩壊剤(disintegrant)、例えばスターチ、および潤滑剤を用いてよい。カプセルの形態における経口投与に関しては、有用な希釈剤はラクトースおよび高分子量のポリエチレングリコールである。水性懸濁液が携行しように求められる場合、特定の加糖剤および/または風味剤を添加してよい。
ABCR配列に相補な少なくとも一つのプライマーおよび増幅したDNAを視覚化する手段を一つまたは複数のコンテナー中に含む網膜または黄斑変性検出診断キットも本発明の範囲内である。あるいは、キットは2つのプライマーを含んでよい。何れかの場合において、プライマーは例えば配列番号:12−113からなる群から選択されてよい。診断キットはプライマー対を含んでよく、対の内の一方のプライマーはABCR遺伝子領域に相補であり、プライマー対の一方は配列番号:12−113からなる群から選択されてよく、増幅産物に特異的なプローブ、および増幅されたDNAを視覚化する手段、および任意に一つまたは複数のサイズマーカー並びに陽性および陰性対照を含んでよい。本発明の診断キットは、一つまたは複数の蛍光染色剤、例えばエチジウムブロマイド、32P、およびビオチンを、増幅DNAを視覚化または検出するための手段として含んでよい。任意に、キットは一つまたは複数のサイズマーカー、陽性および陰性対照、制限酵素、および/または増幅産物に特異的なプローブを含んでよい。
以下の実施例は例示であって、本発明の限定を意味しない。
実施例
STGDの候補遺伝子としてのABCRの同定
ABCスーパーファミリーの21の新規なヒト遺伝子の一つは以後ABCR(網膜特異的ABCトランスポーター)と呼ぶが(Allikmets et al.,1996)、5,000のヒト網膜cDNAクローンから得られた発現配列タグ(ESTs)から同定され(Wang,Y.,Macke,J.P.,Abella,B.S.,Andreasson,K.,Worley,P.,Gilbert,D.J.,Copeland,N.G.,Jenkins,N.A.,and Nathans,J.(1996))、そしてI.M.A.G.E.協会によりヒト網膜cDNAクローンから得られたTSTsから同定された(Lennon et al.,1996)。ABCRは以前に記載されたマウスおよびヒトのABC1およびABC2遺伝子に密接に関連する(Luciani et al.,1994;Allikmets et al.,1995)。ABCRが疾患を引き起こすかもしれないか否かを決定するために、該遺伝子を全ゲノム放射ハイブリッドパネルにマップした(GeneBridge 4;Research Genetics,Huntsville,AL)。ABCRはヒト染色体1p13-p21領域にマップされ、ミクロサテライトマーカーDIS236およびDIS188に近かった。遺伝子の位置をさらに決定するために、PCRプライマー、仮想3’非翻訳領域からの配列番号:7の5’ATCCTCTGACTCAGCAATCACAのための3’UTR、配列番号:8の5’TTGCAATTACAAATGCAATGGのための3’UTR-Revを用いることにより、これらの無名の(anonymous)マーカーの間の以前に記載されたコンティグからYACsをスクリーンした(Anderson et al.,1995)。少なくとも12のYACsがABCR遺伝子の3’末端を含み、924_e_9,759_d_7,775_c_2,782_b_4,982_g_5,775_b_2,765_a_3,751_f_2,848_e_3,943_h_8,934_g_7,および944_b_12(図1)を含む。これらのYACsはマーカーDIS3361およびDIS236の間のSTGD遺伝子を含む領域を描写する(Anderson et al.,1995)。
ABCR遺伝子の発現
さらなるサポートは、ABCRが発現の研究並びにESTsデータベースの検索からSTGD遺伝子の候補であることを示唆する。
dbEST(Boguski et al.,1993)のデータベースの研究は、NCBIファイルのサーバー上でBLASTにより実施した(Altschul et al.,1990)。アミノ酸アラインメントはPILEUP(Feng and Doolittle,1987)により製作した。配列はGenetics Computer Groupパッケージ(Devereaux et al.,1984)のプログラムをVAXコンピューターで分析した。
ヒトABCR遺伝子のマウスのオルソログ(ortholog)に相当するクローンはマウス網膜cDNAライブラリーから単離されて、末端配列決定した。マウスABCR遺伝子の染色体の位置は、ジャクソンBSSとして知られる、ジャクソンラボラトリー(Bar Harbor,ME)相互特異性バッククロスマッピングパネル(C57BL/6JEi X SPRET/Ei)F1 X SPRET/Ei(Rowe et al.,1994)上で決定した。マッピングは、配列番号:9のプライマーMABCR1F 5’ATC CAT ACC CTT CCC ACT CC、および配列番号:10のMABCR1R 5’GCA GCA GAA GAT AAG CAC ACCを用いてSSCP分析により実施した。Abcrの対立遺伝子パターンは、ジャクソンBSSクロスにおいて以前にマップされた250の他の座と比較した(http://www.jax.org)。
プローブとして使用したDNA断片は、1%低融点温度アガロースゲル上で精製した。プローブの配列は、配列番号:1および図3A−Hのゲノミック配列内に位置する。DNAは直接アガロース内でランダムプライムドDNA標識キット(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim),インディアナポリス、IN)により標識し、そして複数の組織のノーザンブロットおよびマスターブロット(クロンテック(Clontech),パロアルト、CA)に対して、製造者の支持書どおりにハイブリダイズさせた。各ブロットは様々なヒト組織からの2μgのポリA+RNAを含んだ。全RNAを成体ラット組織からグアニジニウムチオシアネート法を用いて単離し(Chomczynski and Saachi,1987)、そしてホルムアルデヒドの存在下でアガロース電気泳動により解析した(Sambrook et al.,1989)。マウスABCR遺伝子とのハイブリダイゼーションは、50%ホルムアミド、5×SSC中で42℃において実施し、フィルターを0.1×SSC中で68℃において洗浄した。
3’ABCRのcDNAプローブの複数組織ノーザンブロットおよびマスターブロット(Clontech,パロアルト、CA)へのハイブリダイゼーションは、試験された50の非網膜胎生および成体組織の何れにおいても遺伝子は検出可能なほど発現されなかったことを示し、ESTデータベース中のABCRの全12クローンが網膜cDNAライブラリーを起源としたとの観察と一致する。さらに、発症したマウスの目および成人ヒト網膜の両者からのcDNAライブラリーのABCRクローンを用いたスクリーニングは、ライブラリー中の全cDNAクローンのABCRクローンの見積もられた0.1%−1%の頻度を明らかにした。ラットの網膜および他の組織からの全RNAを含むノーザンブロットへのABCRプローブのハイブリダイゼーションは、この遺伝子の発現が唯一網膜特異的であることを示した(図2)。転写物のサイズは8kbと見積もられる。
ABCRのcDNAの配列およびエクソン/イントロンの構造
網膜cDNAに由来し、そしてマウスAbc1遺伝子に高い類似性を有したいくつかのESTsを用いることにより、ABCRのcDNA配列の殆どのアッセンブリーを促進した。網膜cDNAクローンをRT-PCRに連結し、そして3’および5’プローブと共に5’RACEを用いたヒト網膜cDNAライブラリーの繰り返しのスクリーニングを用いることにより、この遺伝子の末端配列を特徴付けた。
ABCR配列を含むcDNAクローンをヒト網膜cDNAライブラリー(Nathans et al.,1986)から得て、全配列決定をした。プライマーを遺伝子の5’および3’領域からのcDNAクローンの配列からデザインして、RT-PCRにより同定されたcDNAクローンを網膜QUICK-クローンcDNAと連結するのに用いた(プロメガ、マジソン、WI)。マウスABCRのcDNAクローンは、発症したマウスの目のcDNAライブラリー(H.Sun,A.Lanahan,and J.Nathans、未公表)のスクリーニングにより得た。pGEM-TベクターはpGEM-5Zf(+)DNAをEcoRVにより切断し、そして両方の末端に3’末端チミジンを付加することにより製造した。挿入部位におけるこれらの単一の3’-Tオーバーハングは、多くの温度安定性ポリメラーゼによるPCR産物の3’末端への単一のデオキシアデノシンの非鋳型依存性付加のために、PCR産物の連結の効率を大きく改善する。pGEM-5Zf(+)ベクターは、繊維状ファージf1の複製開始点を含み、そしてssDNAを生成するのに用いることができる。該プラスミドは、酵素βガラクトシダーゼのαペプチドコード領域内の複数クローニング領域を周囲に有するT7およびSP6 RNAポリメラーゼプロモーターも含む。αペプチドの挿入性不活性化により、組換えクローンがインディケータープレート上でのカラースクリーニングにより直接同定されるのを可能にする。ABCR遺伝子の様々な領域のcDNAクローンをプローブとして用いることにより、ラムダFIX II内のヒトゲノミックライブラリー(#946203、ストラタジーン、ラジョラ、CA)をスクリーニングした。オーバーラップするファージクローンはEcoRIとBamHIの消化によりマップした。全部で6.9kbのABCR配列が集約され(図3A−H)、6540bp(2180アミノ酸)のオープンリーディングフレームをもたらす。
バクテリオファージラムダのヒトゲノミックライブラリーのcDNAプローブを用いたスクリーニングは、約100kbの間隔のコンティグを生じ、そして大多数のABCRコーディング領域を含む。この遺伝子の全部で51のエクソンのエクソン/イントロン構造は、ゲノミッククローンおよびcDNAクローンを直接配列決定することにより特徴付けした。イントロンのサイズはゲノミックファージクローンを鋳型として、隣接するエクソンからプライマーを用いて産物の大きさから見積もった。
ABCRのcDNA配列のためのプライマーは、PRIMERプログラム(Lincoln et al.,1991)によりデザインした。ABCRのcDNAクローンおよびゲノミッククローンの両方は配列決定の鋳型となった。配列決定はTaqダイデオキシターミネーターサイクルシークエンシングキット(アプライドバイオシステムズ、フォスターシティ、CA)を用いて、製造者の支持書に従い実施した。配列決定反応は、ABI373A自動化シークエンサー上で解析した。イントロンの位置はゲノミックとcDNA配列の間の比較により決定した。個々のエクソンの増幅のためのプライマーはスプライス部位からの隣接のイントロン配列20−50bpからデザインされ、表1に記載される。
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表1において、「F」はフォワード、即ち5’から3’を示し、そして「R」はリバース、即ち3’から5’を示す。PCR条件は、95℃8分間;62℃20秒間、72℃30秒間5サイクル;60℃20秒間、72℃30秒間35サイクル;72℃5分間(aは94℃5分間で実施した);94℃40秒間;60℃30秒間;72℃20秒間5サイクル;94℃40秒間;56℃30秒間;72℃20秒間35サイクル;そして72℃5分間であった。
エクソンの増幅は、製造者(パーキンエルマー、フォスターシティ、CA)により供給された1×PCRバッファー中の25μlの体積のAmpliTaqゴールドポリメラーゼで実施した。サンプルは95℃において10分間加熱し、そして96℃20秒間;58℃30秒間;72℃30秒間の35−40サイクルで増幅した。PCR産物は、1−1.5%アガロースゲル上で分析して、幾つかについては適切な制限酵素で消化することにより、それらの配列を確認した。プライマー配列および特定の反応条件は、表1に記載される。ABCRのcDNAの配列は、受託番号#U88667によりGenBankに寄託された。
ABCスーパーファミリーメンバーに対する相同性
BLASTの研究は、ABCRがマウスAbc1およびAbc2遺伝子(Luciani et al.,1994)並びに染色体16p13.3にマップされた別のヒト遺伝子(ABCC)(Klugbauer and Hofmann,1996)にもっとも密接に関連することを明らかにした。これらの遺伝子、並びにABCRおよびC,elegansからの遺伝子(GenBank #Z29117)は、多細胞生物に特異的であって酵母に現われない遺伝子のサブファミリーを形成する(Michaelis and Berkower,1995;Allikmets et al.,1996)。ABCRのcDNA配列とAbc1,Abc2およびABCC遺伝子とのアラインメントは、予測されたとおり、ATP結合カセット中の高い相同性を明らかにした。マウスAbc1に対するABCR遺伝子の予測されたアミノ酸同一性は、ATP結合ドメイン中で70%であり;疎水性膜スパニングセグメント中でさえ相同性は55%と85%の間であった(図4A−D)。図3A−HおよびA−Dに示された仮想ABCRイニシエーターメチオニンは、Abc1の5’末端のメチオニンコドンに相当する(Luciani et al.,1994)。
ABCRは、ハイドロパシープロットにより予測されるとおり(データは示さず)、各々が6つの膜スパニング疎水性セグメントを有する2つの膜貫通ドメイン(TM)からなる典型的な完全長のABCトランスポーターの組成、および2つの高度に保存されたATP結合ドメインを示した(図3A−HおよびA−D)。さらに、第1ATPドメインと第2TMドメインの間に位置し、このサブファミリーに特異的なHHI疎水性ドメイン(Luciani et al.,1994)は、マウスAbc1遺伝子との間に予測された57%アミノ酸同一(42のアミノ酸のうち24)を示した。
ABCRのマウスオルソログを特徴付けするために、発症したマウス目ライブラリーからのcDNAクローンを単離した。マウスcDNAの部分パネルを利用してPCRプライマーをマップして内部特異的バッククロスマッピングパネル中にマウスAbcr遺伝子をマップした(ジャクソンBSS)。Abcrの対立遺伝子パターンはジャクソンBSSクロスにおいて以前にマップされた2450の他の座と比較され;交差(linkage)が染色体3の遠位末端に見いだされた(図5)。AbcrとD13Mit13の間に組換え体は観察されなかった。マウスゲノムのこの領域はヒト染色体1p13-p21とシンテェニック(synthenic)である。ここまでは、目の疾患の表現型はマウス染色体3のこの領域にマップされなかった。
STGD患者における群(compound)の異型接合および同型接合変異
STGD/FFMを有する145の北アメリカの家族および3のサウジアラビアの家族を試験した。これらのうち、少なくとも4家族は、患者が実のいとこ(first cousins)である同族の家族であった。サウジアラビアの同族家族を含む、シュタルガルト病の臨床診断および血管造影診断の特徴決定のための入り口の基準(entry criteria)、これら家族の確認(ascertainment)、およびそれらの収集のための方法論は、Anderson et al.,1995;Anderson,1996に提供されたとおりであった。
ABCR遺伝子の変異分析は、厳格に定義された基準により以前に確認され且つ染色体1pにリンクすることが示された、上記145のSTGD家族において遂行された(Anderson et al.,1995;Anderson,1996)。これまで、全51エクソンが変異分析に用いられた。
変異は、組み合わされたSSCP(Orita et al.,1989)と二重鎖分析(White et al.,1992)により、最適化された条件下で(Glavac and Dean,1993)検出した。ゲノミックDNAサンプル(50ng)は、AmpliTaqゴールドポリメラーゼにより、[α-32P]dCTPを含む、製造者(パーキンエルマー、フォスターシティ、CA)により供給された1×PCRバッファー中で増幅した。サンプルを95℃において10分間加熱して、96℃20秒間;58℃30秒間;そして72℃30秒間の35−40サイクルで増幅した。生成物は1:3停止溶液中に希釈し、95℃において5分間変性し、氷中に5分間冷却し、そしてゲル上にのせた。ゲルの処方は、6%アクリルアミド:Bis(2.6%架橋)、10%グリセロール、室温において、12W;および10%アクリルアミド:Bis(1.5%架橋)、4℃において、70Wを含む。ゲルは2−16時間泳動し(3000Vh/100bp)、乾燥し、そしてX線フィルムに2−12時間露光した。幾つかのエクソンは、MDEアクリルアミドを用いたSSCP(FMCバイオプロダクツ、ロックランド、ME)により、10%グリセロールの存在下および不在下において、18時間、室温にてα-32P-dCTP標識DNAを用いて分析した。ゲルの底においてヘテロ二本鎖を二本鎖DNAから同定し、そしてSSCPsは一本鎖領域から同定した。変化を示すサンプルを他の家族のメンバーと比較することにより、対立遺伝子の分離を評価して、そしてコーカサスまたはサウジアラビアの住民からの少なくとも40の非関連対照サンプルと比較することにより、STGDと非関連の多型性から変異を識別した。SSCPまたはヘテロ二本鎖変種を有するPCR産物を25μlの体積で得て、1%アガロースゲル上で分離し、そしてDNA精製キット(PGCサイエンティフィック、フレデリック、MD)により単離した。配列決定はABIシークエンサー上で染色プライマーおよび染色ターミネーター化学の両方を用いて実施した。
幾つかの変異はヘテロ二本鎖分析プロトコルにより同定した(Roa et al.,1993)。等量の対照および患者PCR産物を0.2mlチューブ中で混合した。正常な人のPCR産物の2倍の体積を陰性対照として用い、そして患者BAB731からのMPZエクソン3を陽性対照として用いた(Roa et al.,1996)。サンプルは95℃において2分間変性して、1℃/分で35℃まで冷却した。サンプルは1.0mm厚の40cmMDEゲルにのせて(FMCバイオプロダクツ、ロックランド、ME)、600-800Vにて15-20時間電気泳動し、そしてエチジウムブロマイドにより視覚化した。変種のバンドを示すサンプルはビオチン化フォワードプライマーおよびリバースプライマーにより再度増幅し、そしてストレプトアビジン結合ビーズ上に固定化した(Warner et al.,1996)。その結果の単一バンドを、シークエナーゼを用いたダイデオキシ配列決定法により配列決定した(アマーシャム、アーリントンハイツ、IL)。
全部で75の変異が同定され、ほとんどが保存されたアミノ酸内でのミスセンス変異を示した。しかしながら、フレームシフトを示す幾つかの挿入および欠失も見られた(表2)。2つの変異の配列を図6Aおよび図6Bに示す。2つのミスセンスの変化(D847H,R943Q)も少なくとも一人の対照の人に見いだされ、それらが中立な(neutral)多型であることが示唆された。残りの変異は黄斑変性を有する患者において見いだされ、そして少なくとも220の非関連正常対照(440染色体)中には見いだされず、これらの変化が疾患病因変異を示し多型性ではないとの解釈と一致する。変異の一つ5892+1 G→Tは、冒された子供たちのうちの一人がフランキングマーカーDIS236の組換え体である家族AR144において生じる(Anderson et al.,1995)。この変異は、しかしながら、両方の子供のみならず父親にも存在した。したがって、ABCR遺伝子はシュタルガルト病の座に関して非組換え体である。
これらの変異はABCR遺伝子のコーディング配列にわたって散在するが(表2つのおよび図3A−Hを参照されたい)、ATP結合ドメインの保存領域における群が注目される。同型接合変異は3つのほぼ同族の家族、2つのサウジアラビアおよび一つの北アメリカ、において検出され(Anderson et al.,1995)、各々は冒された人のみが同一の疾患対立遺伝子を遺伝で受け継いだ(表2;図6C)。2つの疾患対立遺伝子が異なる親から冒された子のみに伝達された、42の群の異型接合家族が同定された(表2)。
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変異は標準命名法にしたがって命名される。「エクソン」と付された列はABCRの51のエクソンのそれが変異を含む。「家族番号」と付された列は変異を示したシュタルガルト病の家族の数を示す。「ヌクレオチド」と付された列はインシエーターATG内のAから始まる塩基数を示し、野生型配列および変化した塩基を示す矢印が続くが、delはABCR遺伝子中の特定の位置における選択された塩基の欠失を示し;insは特定の位置における選択された塩基の挿入を示し;スプライスドナー部位変異は特定のエクソンの最後の塩基の数により示され、変異が起きたイントロン中へのプラスサインおよび塩基数が続く。「アミノ酸」と付された列は、アミノ酸の変化を特定の変異の原因として示し;fsは末端削除された蛋白質を導くフレームシフト変異を示し;spliceはスプライスドナー部位変異を示し;delは特定のアミノ酸のインフレーム欠失を示す。
変異は標準命名法にしたがい命名された。エクソンはイニシエーターATG内のAから始まるヌクレオチド位置より数える。
インサイチュハイブリダイゼーション
STGDは網膜色素上皮(RPE)内のリポフシン様物質の重厚な蓄積により組織学上特徴付けされる。この特徴は、STGDがRPE貯蔵疾患を表すとの示唆に通じた(Blacharski et al.,1988)。したがって、興味を引くのは、ABCR転写物が網膜に豊富なことが見いだされたことであった。高い解析によりABCR遺伝子発現部位を同定して該遺伝子がRPE中でも発現しているか否かを決定するために、マウス、ラット、ウシ、およびカニクイザルの接眼レンズ組織へのインサイチュハイブリダイゼーションによりABCR転写物の分配を視覚化した。
ジゴキシゲニン標識したリボプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションを、Schaeren-Wiemers and Gerfin-Moser,1993に記載されたとおりに実施した。マウスとラットに関しては、未固定の目全体を冷凍して切片化し、カニクイザルの網膜は、記載されたとおりに(Zhou et al.,1996)、パラホルムアルデヒドを用いて心臓懽流により得た。1%Triton X-100、1X PBS中における30分間の追加インキュベーションを、アセチル化工程の直後に、固定されたサルの網膜切片に適用した。プローブ合成の鋳型は、(1)マウスAbcrコーディング領域の3’末端を含む1.6kb断片、(2)マウス青色錐体色素をコードする完全長のcDNAクローン(Chiu et al.,1994)、および(3)133から254をコードするカニクイザルロドプシンコーディング領域であった(Nickells,R.W.,Burgoyne,C.F.,Quigley,H.A.,and Zack,D.J.(1995))。
この分析は、ABCR転写物が光受容体細胞中に独占的に存在することを示した(図7)。ABCR転写物は主に杆体内部セグメントに局在し、ロドプシン遺伝子転写物のそれと密接に適合する分配である。興味深いのは、青色錐体色素プローブを用いて得られたハイブリダイゼーションパターンとの比較により判定されるとおり、ABCRのハイブリダイゼーションが錐体の光受容体においては検出可能なレベルで観察されなかった(図7Aと図7D、図7Eと図7F並びに図7Gと図7Hを比較されたい)。メラニン顆粒が色素化動物のRPEにおいて弱いハイブリダイゼーションシグナルを失わせるかもしれないため、ABCR転写物の分配をアルビノラットとアルビノマウスの両者においても試験した。これらの実験において、ABCRハイブリダイゼーションシグナルは光受容体内部セグメントにおいて観察され、そしてRPEには明白に不在であった(図7E)。霊長類を含むこれらの哺乳類の各々におけるABCR転写物が光受容体特異的であるなら、ABCR転写物の分配はヒト網膜においてもこのパターンに適合する可能性が高い。
本明細書において引用されたかまたは記載された各特許、特許出願および出版物の開示は、それらの全体を引用により編入する。
本明細書において示されそして記載された修飾に加えて本発明の様々な修飾は前記記載から当業者には明らかである。そのような修飾が請求の範囲内に含まれることも意図される。
文献
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Claims (8)

  1. 網膜特異的ATP結合カセットトランスポーターをコードする単離された核酸配列であって、配列番号:4を含む核酸配列
  2. ATP結合カセットトランスポーターが、図3A−H:
    Figure 0004290225
    Figure 0004290225
    Figure 0004290225
    の配列のナンバリングの818(GまたはE)、863(GまたはA)、931(VまたはM)、1028(AまたはV)、1072(VまたはA)、1087(EまたはK)、2027(LまたはF)、2038(RまたはW)、2050(VまたはL)、2077(RまたはW)、および2106(RまたはC)からなる群から選択されるアミノ酸を含む、請求項1記載の核酸配列
  3. 図3A−H:
    Figure 0004290225
    Figure 0004290225
    の配列のナンバリングの2453(GまたはA)、2588(GまたはC)、2791(GまたはA)、3083(CまたはT)、3215(TまたはC)、3259(GまたはA)、6079(CまたはT)、6112(CまたはT)、6148(GまたはC)、6229(CまたはT)、および6316(CまたはT)からなる群から選択されるヌクレオチドを含む、請求項1記載の核酸配列
  4. フレームシフトをもたらすヌクレオチドを含む、請求項1記載の核酸配列
  5. 請求項1乃至4の何れか1項記載の核酸配列を含むベクター。
  6. 請求項1乃至4の何れか1項記載の核酸配列を組換え発現することができる宿主細胞。
  7. 請求項1乃至4の何れか1項記載の核酸配列を組換え発現することができる細胞培養物。
  8. 請求項5記載の発現ベクターで細胞を形質転換することにより得られる細胞培養物。
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