JP2004512987A - インクジェット印刷画像の色及び安定性を改良したインクと下刷り液の組み合わせ - Google Patents

インクジェット印刷画像の色及び安定性を改良したインクと下刷り液の組み合わせ Download PDF

Info

Publication number
JP2004512987A
JP2004512987A JP2002539445A JP2002539445A JP2004512987A JP 2004512987 A JP2004512987 A JP 2004512987A JP 2002539445 A JP2002539445 A JP 2002539445A JP 2002539445 A JP2002539445 A JP 2002539445A JP 2004512987 A JP2004512987 A JP 2004512987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
dye
ink composition
ink
anionic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002539445A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004512987A5 (ja
JP3980480B2 (ja
Inventor
リー,シャーレイ
バイアーズ,ゲーリー,ダブリュー
カボルノフ,アレクセイ,エス
コワルスキー,マーク,エイチ
チャタージー,アミヤ,ケイ
プラサド,ケシャバ,エイ
シュット,デイビッド,エム
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HP Inc
Original Assignee
Hewlett Packard Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hewlett Packard Co filed Critical Hewlett Packard Co
Publication of JP2004512987A publication Critical patent/JP2004512987A/ja
Publication of JP2004512987A5 publication Critical patent/JP2004512987A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3980480B2 publication Critical patent/JP3980480B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0011Pre-treatment or treatment during printing of the recording material, e.g. heating, irradiating
    • B41M5/0017Application of ink-fixing material, e.g. mordant, precipitating agent, on the substrate prior to printing, e.g. by ink-jet printing, coating or spraying
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/21Ink jet for multi-colour printing
    • B41J2/2107Ink jet for multi-colour printing characterised by the ink properties
    • B41J2/2114Ejecting specialized liquids, e.g. transparent or processing liquids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/54Inks based on two liquids, one liquid being the ink, the other liquid being a reaction solution, a fixer or a treatment solution for the ink

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

カチオン性下刷り液とアニオン性インク組成物の組み合わせ。これらは共同して、インクジェット印刷イメージにおける改良されたカラー品質とイメージ安定性を達成する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット印刷に下刷り液を使用することに関し、より詳細には、一緒に組み合わせられることで印刷画像の色と安定性の双方における改良を達成する、インク及び下刷り液の化学組成に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット印刷システムの利用は、近年、劇的に増大した。この増大の要因は、目立ったコスト低減と相俟っての、印刷分解能及び総合的印刷品質の実質的な改善によるものと考えてよい。今日のインクジェットプリンタは、商業用、業務用、及び家庭用などの多くの用途に関して、ほんの数年前に入手可能であった相当品と比較して、完全に一桁低い費用で満足のいく印刷品質を提供している。これらの最近の成功にも関わらず、消費者に対するコストをさらに低減しながら、インクジェット印刷品質の改良を計るべく、研究開発努力が鋭意続けられている。
【0003】
インクジェット画像は、「プリントヘッド」として知られている液滴発生装置から、精密なドットパターンが印刷媒体上に射出される時に形成される。インクジェット記録に通常使用されるインクは、一般に、主たる水性液体中に、水溶性有機溶媒(湿潤剤等)、界面活性剤、及び着色剤を含む。「普通紙」上で記録を行う場合、堆積された着色剤は、幾らかの移動性を保っており、これは(用紙の浸透度に起因して)好ましくないブリード、エッジ尖鋭度、ヒゲ、及び劣等な光学濃度/彩度となって現れ得る。これらの特徴は、文字及び図形の品質に悪影響を及ぼす。
【0004】
水系インクは蒸発速度が遅く、それらは主として紙中への吸収によって乾燥する。インクの吸収時間は、インク滴サイズ、紙のメッシュサイズ、インク粘度、及び紙上のインク拡散率(即ち、紙の表面張力からインクの表面張力と紙−インク界面の界面張力を引いたもの)のような、多くの因子に左右される。特に高スループットのプリンタにとっては、インク乾燥時間を減ずることにはかなりの重要性がある。しかし、乾燥時間の短縮は通常、画像品質を犠牲にして得られる。しかして、インクに界面活性剤を加えると、浸透時間を著しく減ずることができる。しかし、着色剤が垂直方向及び横方向に紙に浸透するため、画像の光学濃度/彩度及びエッジ尖鋭度を低下させると同時に、最終的には裏抜け(ストライクスルー)の問題を生ずる。それ故、紙上で着色剤とインクビヒクルを分離して、染料が表面に留まる一方でビヒクルが急速に吸収されるようにすることが望ましい。これを達成するべく種々の解決策が採用されてきた。差別的な染料の溶解度、即ちインクには溶解するが紙上で不溶性である染料の利用が行われたが、成功は限られていた。こうした手法は、特に紙に浸透するにつれて生ずるインクのpH変化といった、染料の溶解度その他の化学特性の変化を利用する。しかし染料の溶解度はまた、水その他の溶媒が媒体から蒸発する際にも変化する。こうした手法の別の欠点は、インク中での溶解度限界に近い染料を必要とすることである。インクがその溶解度限界に近い場合、主としてデキャップやコゲーションに起因する信頼性の問題が必ず引き起こされる。インクジェットプリンタでは、インク滴の重量をより低くすることが要求されるので、こうした信頼性の問題は、在来の手法で解決することがより困難になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題に対処するために、着色剤の移動を低減させる成分を含んだ「定着」液を、インクの堆積に先立って紙上へ堆積させる方法が提案されている。提案によれば、画像形成のためのインクのこうした「下刷り」は、酸、塩、及び有機対イオンと高分子電解質を含む組成物を利用する。下刷りは、インクを適用する直前に、紙上に透明な液体を適用することと定義される。この着想は、耐水性を改良するため、インクの前に「別の反応性成分」を適用することにある。「反応性成分」は、インク中に存在する反応物と反応して、着色剤と結合してそれを耐水性にするポリマーを生ずる。二官能性塩化アシルや二官能性アミンが、反応対として考えられる。しかし、塩化アシルは極めて反応性であり、非水系のインクビヒクルを必要とする。反応対の別の例には、アルミニウム塩の存在下におけるカルボキシメチルセルロースがあり、これらは共同してゲルを形成する。この反応は、最初の反応より温和であるが、多価イオンの存在が無くともカルボキシメチルセルロース溶液の粘度が高いという欠点がある。これは、インクジェットでの使用を困難にする。
【0006】
その他の開示において、下刷りの着想はさらに発展されている。アニオン染料の下刷り用のポリアリルアミンのような、カチオン性「液体組成物」を用いることが、染料ベースの系と全体として広く反応する定着剤を得るために提案されている。この定着剤は、耐水性、エッジ尖鋭度及びブリードを適度に改良するが、本発明で達成されるように、彩度及び/又は光学濃度を改良することはない。
【0007】
顔料用の下刷り液の広範な種類がまた開示されており、それにはポリマーラテックス、シリカ、アルミナ及び酸化チタン粒子、ポリマー樹脂、緩衝液、及び無機塩が含まれる。これらの下刷り液は全て、種々のメカニズムによって顔料の分散を不安定にする。結果として、顔料は紙の表面で実質的に沈殿し、一方でビヒクルは急速に吸収される。
【0008】
水溶性染料と下刷り用定着剤を使用する、別の系も提案されている。その定着剤は、配位子で錯化した金属イオン(結合した配位子を有する金属イオン)を含有する。この系に使用されるインクはアニオン成分を含むが、それは染料そのものでもよい。インクはまた、インク中に高分子粘度調節剤を含んでいてもよい。開示されている特定の高分子粘度調節剤は、アセチレングリコールのエチレンオキシド付加物であり、これは天然ポリマーであって、本発明と異なり定着剤と強く相互作用しない。
【0009】
開示されている別の系は、分散された顔料着色剤を使用し、インク中にグリコールエーテル共溶媒を必要とする。これは、水溶性染料着色剤を使用し共溶媒の制限がほとんど無い本発明の系とは異なる。
【0010】
開示されているさらに別の系は、分散顔料(顔料と顔料分散用の水溶性樹脂)を使用する。これは、水溶性ポリマーを水溶性染料系において「バインダー」として使用しうることを教示するものではない。実際にもバインダー様のポリマーが、高い粘度、不十分な射出安定度を有し、詰まりを生じて望ましくないものとして参照されている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも1つのカチオン成分を含有する下刷り用定着液を含む少なくとも1つのプリントヘッド部分と、少なくとも1つのアニオン成分を含有するインク組成物を含む少なくとも1つのプリントヘッド部分とを有し、このインク組成物と定着液が共に混合されて混合物を形成した場合に、その混合物がアモルファス粘性流体であり、この粘性流体がインク組成物より大きな粘度を有する、インクジェット印刷装置に関する。
【0012】
本発明はまた、少なくとも1つのアニオン成分を含む染料型インクジェットインク組成物にも関連しており、この場合に、インク組成物と少なくとも1つのカチオン成分を含有する定着液を共に混合して混合物を形成したとき、その混合物はアモルファス粘性流体であり、この粘性流体はインクより大きい粘度を有する。
【0013】
さらに本発明は、少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用定着液にも関連しており、この場合に、定着液と少なくとも1つのアニオン成分を含有するインクジェットインク組成物を共に混合して混合物を形成したとき、その混合物はアモルファス粘性流体であり、この粘性流体はインクより大きい粘度を有する。
【0014】
さらにまた本発明は、インクジェット印刷方法にも関連し、この方法は、
a) 少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用定着液を媒体上の所定個所に射出するステップと、
b) 少なくとも1つのアニオン成分を含むインク組成物を媒体上の上記所定個所に射出するステップとを包含し、この場合に、インク組成物と定着液が共に混合されて混合物が形成されたとき、その混合物はアモルファス粘性流体であり、この粘性流体がインク組成物より大きい粘度を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本明細書に記載の発明は、限定するものではないが、例えばカリフォルニア州パロアルトのヒューレット・パッカード社で製造されたHP DeskJet(登録商標)プリンタのような市販のインクジェットプリンタを使って、インクジェット画像を印刷するためのインクジェットインクを対象としている。このインクは、ある範囲の印刷媒体、限定するものではないが例えば特に、オフィス及び家庭用コンピュータで従来から使われている8.5×11インチ、重量20ポンドの印刷用紙上に、凝集が殆ど又は全くなく、優れた耐水性を示し、乾燥時間が短縮された、写真に近い画像を生成することを可能にする。
【0016】
より詳細には、本発明は、インクジェット印刷物のカラー印刷品質及び永続性の改良に関連する。これは特に、染料型インクの良好なエッジ尖鋭度、最少のストライクスルー、急速な乾燥時間、及び優れた耐水性を維持しながら、インクジェット印刷画像のカラー及びブラックにおいて良好な彩度/光学濃度を得るという問題に焦点を絞ることによって達成される。本発明者らは、アニオン成分を含むインク層がカチオン成分を含む下刷り用定着液層の上に印刷される場合、これら2つの層の逆に帯電した成分相互間の反応を調節して、一次色に関するより高い彩度のみならず、二次色(一次色の混合)の著しく高い彩度や合成ブラックの著しく高い光学濃度をも達成しうることを見出した。これらの予期せぬ結果は恐らく、本発明のインクと定着層の間でのアニオン/カチオン相互作用でもって、急速な着色剤の沈殿ではなしに、着色剤のゲル化及び着色剤の不動化が達成されるという事実に起因している。こうした着色剤のゲル化及び着色剤の不動化は、より暗い「くすんだ」色を生ずる急速な着色剤沈殿の場合よりも、著しく高い色値を生ずる。また、ゲル化プロセスは、分散された顔料系を下刷りするときに典型的に見られる沈殿ほど速くないため、インクのドットゲインはより大きく、より広い空間に及ぶ。従って、必要とされるインクはより少ない。
多価塩による染料の下刷り
市販の殆どの水溶性染料は、その染料を水溶性にするための、スルホネートやカルボキシレートのようなアニオン基を含む。これらの基は多くの場合、下刷り液とインクが紙に適用された後、紙の上面での定着剤による染料の沈殿に対する反応部位として機能する。通常、下刷りは、インク画像を所定の画素位置に印刷する前に、液体を紙上の同じ画素位置に印刷することによって行われる。かくして例えば、スルホネート染料D−SO Naを二価のM2+ 塩の定着液で下刷りして用いると、次の反応が起こり得る(例示のためにこの染料のナトリウム塩を使用するが、他の塩も考慮してよい)。
【0017】
【化1】
Figure 2004512987
【0018】
水溶液中のイオン性の反応は、活性化エネルギーが低く、拡散方向に進行する。これは、式(1)及び(2)の平衡がより右の方へシフトするときに最速の沈殿が達成されることを意味する。この右方シフトは、結晶性沈殿物(D−SO 2+とD−SO 2+の溶解度に依存する。これらの溶解度値は、結晶性沈殿物に対する溶液中のイオンの自由エネルギーによって制御される。最速の沈殿は、スルホネート基について溶解度が最も低い金属塩について予想される。従って塩化バリウムは、それがスルホネート基と反応する際により低い溶解度を有するため、沈殿に関して塩化カルシウムよりも効率的であると予想される。また、対イオンの価が大きいほど、塩(B)がスルホネートで沈殿して反応生成物を形成する可能性が高い。従って、三価又は四価の金属についてはタイプ(B)の錯体がより好ましいが、それは疎水性染料の尾部と接触して、尾部の水との接触が低減されるからである。
【0019】
以上の記述は、スルホネート、カルボキシレート、サルフェート、及びホスフェートといった染料種に同様に当てはまる。より特殊な金属塩、BaX、SrX、CaX、ZnX、MgX、AlX、TiXも該当する。その他の多価塩も考慮してよい。
【0020】
金属塩での染料種の沈殿は、改良されたカラーの不動性(即ち、ブリード制御、エッジ尖鋭度及び耐水性)をもたらすとはいえ、インク中の水性染料と定着剤中の多価塩との反応における重大な問題として、染料の急速な沈殿及び/又は結晶化が、染料の適切な混合を妨げ、それにより彩度及び/又は光学濃度の著しい損失を生じ、また全体に「くすんだ」外観をもたらすことがある。
下刷り用定着液に関する問題の克服
より高い色値に必要な着色剤のゲル化及び着色剤の不動化を達成するため、本発明者らは下刷り方法に関して実験した。これは、下刷り用定着液に予め入れられた剤との相互作用を通して、着色剤が不動化、即ち「固定化」されることに基づく。他の場合に、不動化試薬が存在しなければ、定着液は、その後付着されるインクの浸透を促進するように作用する。これは特に、不動化剤と出合うまで紙を浸透する水溶性染料のような、流動性の着色剤に当てはまる。しかしながら、水溶性染料と不動化剤との反応によって生ずる染料−染料の会合(凝集)は、曇った色又は「くすみ」として知覚される、付加的な望ましくないスペクトル吸着特性をもたらすことがある。これは殆どの場合、適切に混合する時間を与えない、インク中の水溶性染料の急速な結晶化/沈殿に起因する。換言すれば、水溶性染料の急速な結晶化/沈殿は、「固定された」、即ち耐水性ではあるがカラーインクジェット印刷にとって極めて望ましい彩度/光学濃度特性に乏しい色をもたらす。
インク中のアニオン性バインダーによる染料/塩の相互作用の修正
本発明者らが見出したのは、下刷り用定着液中の不動化剤と特に反応性がある水溶性染料型インクには、定着液中の不動化剤に加えて、アニオン性バインダー成分を含有させる必要があるということである。そうでなしに、インク中のアニオン性バインダーが欠けていると、インク以前に付着された下刷り用定着剤が、光学濃度/彩度の低下を現実に引き起こす。何故なら、それは紙を予め濡らしてインクの浸透を助長し、染料の色の混合を妨げる急速な結晶化/沈殿を生ずるからである。定着剤中の不動化剤によって耐水性が改良されるとはいえ、彩度及び/又は光学濃度の低下には異論がある。
【0021】
本発明者らが見出したのは、染料の混合を妨害し、従って二次色及びブラックに相当の「くすみ」をもたらす染料の色の急速な結晶化及び/又は沈殿という問題を克服するための有効な手法が、アニオン性のポリマーバインダー、例えば、スチレンマレイン酸無水物系のポリマーの添加にあるということである。そのようなアニオン性ポリマーは、下刷り液中の塩と結合する傾向がある。この結合は、塩による染料の急速な結晶化/沈殿を抑制する傾向があり、かくしてカラー染料の印刷における彩度を改良し、ブラック染料の印刷における光学濃度を改良する。しかしながら、本発明者らがまた見出したことは、結晶化/沈殿を抑制し過ぎると、結合によってカラーの不動性の低下(即ち耐水性及びエッジ尖鋭度の低下とブリードの増大)を生ずる傾向があるということである。
カチオン界面活性剤/ポリマーとアニオン性染料の反応
2つの反対の電荷を帯びた疎水性種が溶液中で互いに接近すると、それらは錯体を形成する傾向がある。正及び負に帯電した基は互いに引き合い、一方、それまでの対イオンは本体から離れて溶液中に留まる。この挙動は、凝集して二層(ラメラ相とベシクル)になる反対方向に帯電した界面活性剤と、錯体及び沈殿物を生成する反対方向に帯電したポリマー−界面活性剤の対について十分実証されている。この効果は、会合する分子が互いの電荷を直接中和し、対イオンが溶液中に放出されるという事実によって補完される。これらの対イオンは、通常はこうした会合に対抗する、エントロピーの損失を補う。
【0022】
従って、反対方向に帯電した疎水性ポリマー及び/又は界面活性剤を添加することにより、アニオン性染料が水溶液から沈殿することを期待できる。
【0023】
可能性のある界面活性剤の候補は、四置換アンモニウム塩R、四置換ホスホニウム塩R、四置換アルソニウム塩RAsであり、ここでRはH、アルキル、又はその他の有機ラジカルである。この目的に特に有益なのは、極めて低い臨界ミセル濃度を有する界面活性剤である。それらは低い臨界ミセル濃度によって、実験的な時間尺度ではインク−空気界面に吸着せず、従って、インク浸透剤として作用しない。そのような極めて低い臨界ミセル濃度を達成するには、界面活性剤は一般に、少なくとも20の炭素原子を有さねばならない。
【0024】
さらにより有益なのは、ジドデシルジメチルアンモニウム、ジテトラデシルジメチルアンモニウム、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、又はジオクタデシルジメチルアンモニウム塩のような、二つの尾部を有しベシクルを形成する界面活性剤である。これらの界面活性剤はラメラ相を室温で形成し、これはベシクルと呼ばれる閉じた二層構造中に分散可能である。ベシクルは、界面活性剤モノマー又はミセルよりも有効な沈殿剤であると予想される。
【0025】
可能性のあるポリマー/界面活性剤の候補は、R、R、RAs基を含む高分子電解質であり、ここでRはH、アルキル、又はその他の有機置換基である。特に有益なのは、繰り返し単位当りに多数の官能基を有するポリマー、例えば、プロトン化エチレンイミンである。下刷りに向くポリマー/界面活性剤を選択する際、分子量の大きな高分子電解質は非常に粘性が高くなりインクジェットへの使用が容易でないため、分子量を考慮しそれを低く(1000−10000の範囲に)維持することが重要である。
【0026】
現在開発中の多くの染料はアミン官能性であり、それによって溶液中でアニオン性となり、またプロトン化が可能になる。これは双性イオン性染料と呼ばれ、それらは耐水性になる性質を有することが知られている。こうした染料は、インク(pH=8.50)から紙(典型的には相当低い)へのpH降下を利用できるよう用いられる。
【0027】
それ故、染料分子上に、スルホネート、カルボキシレート、サルフェート及びホスフェートといった、どのようなアニオン性置換基が存在するかに依存して、染料の溶解度を微調整することが可能である。この手段により、媒体上のインクジェット印刷画像の耐水性と、彩度/光学濃度の間のバランスについて、ある程度の制御を達成することができる。
【0028】
本発明者らは、これらのアニオン性染料を、カチオン性ポリマー及び/又は界面活性剤を含む下刷り液と組み合わせて用いた。本発明者らが見出したのは、この組み合わせが染料を紙媒体の表面上で、僅かに粘性があり、アモルファスで部分的にゲル化した状態で固定する傾向があることである。その最適な状態において、この部分的にゲル化した状態は、十分な耐水性、エッジ尖鋭度及びブリード制御性と、合理的に許容できる(最適ではないとしても)彩度及び/又は光学濃度を、両方とも有する。アニオン性インク組成物とカチオン性ポリマー/界面活性剤のこの組み合わせは、アニオン性水溶性インク染料の沈殿を十分に遅らせ、優れているとは云わないまでも許容できる彩度/光学濃度を得ることができると思われる。同時に、これは染料及び/又は染料混合物の十分な層化を達成してそれらを紙の表面上に固定し、かくして低いストライクスルー、良好な乾燥時間、良好な耐水性及び良好なカラー対カラーのブリード制御を達成する。
【0029】
カルシウムその他のカチオン性金属が下刷り液に存在する場合、これらもまた、染料分子及びバインダーの双方で、インクのアニオン成分と結合する。しかしながら、これらのカチオン性金属をインク中に添加すると、アニオン成分とカチオン性ポリマー/界面活性剤との結合の効果を変化させることができる。染料によっては、下刷り液中にこれらのカチオン性金属が存在すると、良好なカラー不動化(即ち、耐水性、ブリード制御等)から離れて画像安定性の低下という犠牲の下に、カラー品質の向上の方向へとバランスがシフトすることがある。一方、他の染料ではそれとは逆の傾向が見られ、良好な不動化によるカラー安定性の向上には、カラー品質(即ち、彩度、色相、及び光学濃度)の低下が伴う。
良好なカラー品質と画像安定度の両方の達成
1つの実施態様において本発明は、少なくとも1つのアニオン成分を含む染料型インクジェットインク組成物に関し、そこではインク組成物と少なくとも1つのカチオン成分を含む定着液が共に混合されて混合物を形成する場合、その混合物はアモルファス粘性流体であり、この粘性流体はインクより大きい粘度を有する。
【0030】
上述の発明のさらに好ましい実施態様において、アニオン成分は少なくとも1つのアニオン性バインダーを含み、このバインダーは少なくとも1つの錯形成部分を有するポリマーを含んでよい。少なくとも1つの錯形成部分は、エチレンジアミン四酢酸、アセチルアセトナート、アクリレート及び無水マレイン酸から成る群から選択してよい。
【0031】
少なくとも1つの錯形成部分を有するポリマーは、スチレンなどのポリマーを包含する。最も好ましい実施態様において、アニオン性バインダーは、加水分解されたスチレンマレイン酸無水物を含んでいてよい。
【0032】
上述の発明の別のより好ましい実施態様において、少なくとも1つの染料は、アニオン官能基を含む。この染料は、非極性基を有するスルホン化染料、プロトン化可能基を有する染料、カルボキシレート基を有する染料、及びホスフェート基を有する染料から成る群から選択してもよい。
【0033】
上述の発明のさらに別のより好ましい実施態様において、インク組成物はさらに、無機塩及び低級アルコールから成る群から選択してよい低分子量の親水性化合物を含む。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用定着液にも関連している。この定着液と少なくとも1つのアニオン成分を含有するインクジェットインク組成物が共に混合されて混合物を形成する場合、その混合物はアモルファス粘性流体であり、この粘性流体はインクより大きい粘度を有する。
【0035】
上述の発明の好ましい実施態様において、少なくとも1つのカチオン成分はカチオン性ポリマーを含んで良く、このポリマーは、R、R及びRAsから成る群から選択された高分子電解質であってよい。ここでRはH、アルキル又はその他の有機置換基である。さらにこの高分子電解質は、分枝ポリマー鎖を含んでいてもよい。カチオン性ポリマーは、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、及びマグネシウムイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む溶液であってよく、またそれらは、四置換アンモニウム塩であってもよい。
【0036】
上述の発明の別の好ましい実施態様において、少なくとも1つのカチオン成分は、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを包む。
【0037】
本発明の重要な目標は、通常量のインクを用いて、染料系インクにより高いカラー品質(即ち、より十分な彩度及び/又は光学濃度)を達成し、その一方で良好なカラー不動性(即ち、低いストライクスルー、良好な乾燥時間、耐水性及びカラー対カラーのブリード制御性)を簡単な手法で維持し、また潜在的にインクの調合を単純化することである。
【0038】
さらに、この目標から得られるものとして、本発明はまた、より少量のインクが使用された場合でも、十分な(最適ではないとしても)カラー不動性及びカラー品質という結果を達成し、かくして、インクの再充填が行われるまでのインクジェットの動作期間を長くすることができる。こうした属性を制御することによって、土台となるプリンタがより高速となることが可能となり、また高い永続性を持つ印刷物が得られる。
【0039】
本発明の上記目標を達成するために、インクジェットインクに在来から使用される任意の水性染料を用いることができるが、好ましい実施態様においては、アニオン及び/又は双性イオン染料のような特別な染料着色剤を使用し、より優れた色性能属性を得る。カラー品質とカラー不動性の両方を最適化するために、好ましい実施態様は、アニオン性染料着色剤に加えて、アニオン性ポリマーバインダー、例えば(限定するものではないが)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アセチルアセトナート、無水マレイン酸及び種々のアクリレートのような、錯形成部分を含むポリマーを包含する。
【0040】
使用されるインクの染料及びバインダー成分の他に、本発明者らが見いだしたところによれば、染料型インクの下刷りは複雑な作業であり、好ましい実施態様では、高分子電解質、界面活性剤、酸及び塩を含む「カクテル」が用いられるということである。
【0041】
それ故、本発明はさらに、a)少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用定着液を媒体上のある画素位置に射出するステップと、b)媒体のその画素位置に、少なくとも1つのアニオン成分を含むインク組成物を射出するステップとを包含し、インク組成物と定着液を一緒に混合して混合物を形成する場合に、その混合物がアモルファス粘性流体であり、この粘性流体がインク組成物より大きい粘度を有する、インクジェット印刷方法にも関連する。
【0042】
上記の発明のより好ましい実施態様において、アニオン成分は少なくとも1つのアニオン性バインダーを含み、このバインダーは少なくとも1つの錯形成部分を有するポリマーを含みうる。この少なくとも1つの錯形成部分は、エチレンジアミン四酢酸、アセチルアセトナート、アセチラート、無水マレイン酸及びアクリレートから成る群から選択することができる。少なくとも1つの錯形成部分を含むポリマーは、スチレンなどのポリマーを含む。最も好ましい実施態様において、アニオン性バインダーは、加水分解されたスチレンマレイン酸無水物を含んでいてよい。
【0043】
上記の発明のさらに好ましい別の実施態様において、少なくとも1つの染料は、アニオン性官能基を含む。この染料は、非極性基を有するスルホン化染料、プロトン化可能基を有する染料、カルボキシレート基を有する染料及びホスフェート基を有する染料から成る群から選択することができる。
【0044】
上述の発明のさらに別のより好ましい実施態様において、インク組成物はさらに低分子量の親水性化合物を含み、これは無機塩及び低級アルコールから成る群から選択してよい。
【0045】
別の実施態様において、本発明は、少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用定着液に関連しており、この定着液と少なくとも1つのアニオン成分を含有するインクジェットインク組成物が一緒に混合して混合物を形成される場合、その混合物はアモルファス粘性流体であり、この粘性流体はインクより大きい粘度を有する。
【0046】
上述の発明の好ましい実施態様において、少なくとも1つのカチオン成分はカチオン性ポリマーからなる。これは、R、R及びRAsから成る群から選択された高分子電解質であってよく、ここでRはH、アルキル又はその他の有機置換基である。さらにまた、この高分子電解質は分枝ポリマー鎖を含んでいてもよい。カチオン性ポリマーは、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン及びチタニウムイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む溶液であってよく、またそれらは四置換アンモニウム塩であってもよい。
【0047】
上述の発明の別の好ましい実施態様において、少なくとも1つのカチオン成分は、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを包含する。
【0048】
良好なカラー不動性と優れたカラー品質の両者という上記目的は、本発明によれば、下刷り用定着液と染料型インクの組み合わせが一緒になって、急速に形成される結晶性沈殿物ではなしに、粘性のあるアモルファスゲルを印刷媒体上に形成する時に達成される。
【0049】
こうした粘性のあるアモルファスゲルによって、紙の表面上に層を形成する一方で、染料には良好に混合するのに十分な時間が与えられ、かくして良好な彩度及び/又は光学濃度が達成され、紙中への染料の浸透が防がれる。染料についてのかかるアモルファスゲル形成/層化は、インク/下刷り液の組み合わせからの水分がビヒクルの拡散/浸透圧効果によって紙中へと急速に浸透するのと同時に生ずる。
【0050】
換言すれば、本発明のインク/下刷り液の組み合わせに必要な条件は、着色剤の拡散及び浸透に対するビヒクルの浸透制御を維持することである。従って、上述した粘性のあるアモルファス混合物を生成するための染料型インクと下刷り液との間の反応は、印刷媒体の表面上に染料着色剤を適切に層化するために、紙中へのインクの浸透速度より速い時間尺度で起こらなければならない。下刷り液はまた、インクビヒクルを紙中へ「搬送」して、より速い浸透時間を可能にするよう、界面活性剤を含んでもよい。この手法によって、着色剤を層化して紙の表面上に集中させ、彩度及び/又は光学濃度を高めることができ、インクと下刷り液が結合して粘性のあるアモルファスゲル錯体を形成した後に、インク(ビヒクル)の大部分を媒体中へと浸透させることが可能となる。これは拡散/浸透圧効果の組み合わせによって達成することができるが、これはインクビヒクルが無機塩及び低級アルコールのような低分子量の親水性化合物を高濃度で含有する場合に増強される。
本発明の好ましい実施態様の構成及び作用
1つの実施態様において本発明は、少なくとも1つのカチオン成分を含有する下刷り用定着液を含む少なくとも1つのプリントヘッド部分と、少なくとも1つのアニオン成分を含有するインク組成物を含む少なくとも1つのプリントヘッド部分とから構成されたインクジェット印刷装置に関し、ここでインク組成物と定着液が共に混合されて混合物が形成される場合、その混合物はアモルファス粘性流体であり、この粘性流体はインクより大きい粘度を有する。上述の発明のより好ましい実施態様において、インクのアニオン成分は少なくとも1つのアニオン性バインダーを含んでいてよく、このバインダーは、少なくとも1つの錯形成部分を含有しうるポリマーを含むことができる。この錯形成部分は、エチレンジアミン四酢酸、アセチルアセトナート、無水マレイン酸、及びアクリレートから成る群から選択してよい。このポリマーはスチレンからなるもので構わない。最も好ましい実施態様において、アニオン性バインダーは、加水分解されたスチレンマレイン酸無水物を含有する。
【0051】
上述の発明の別のより好ましい実施態様において、アニオン成分は、アニオン性官能基を有する染料を含む。この染料は、非極性基を有するスルホン化染料、プロトン化可能基を有する染料、カルボキシレート基を有する染料及びホスフェート基を有する染料から成る群から選択してよい。
【0052】
上述の発明のさらに別のより好ましい実施態様において、インク組成物はさらに、低分子量の親水性化合物を含む。これらの化合物は、無機塩及び低級アルコールから成る群から選択することができる。
【0053】
上述の発明のさらに別の好ましい実施態様において、少なくとも1つのカチオン成分はカチオン性ポリマーを含む。こうしたカチオン性ポリマーは、RN+、R及びRAsから成る群から選択された高分子電解質であってよく、ここでRはH、アルキル又はその他の有機置換基である。上述の発明の最も好ましい実施態様において、高分子電解質は、分枝ポリマー鎖を含む。
【0054】
別の好ましい実施態様において、カチオン性ポリマーは、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、及びマグネシウムイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む溶液であってよい。さらに別の好ましい実施態様において、カチオン性ポリマーは四置換アンモニウム塩である。
【0055】
さらに、別のより好ましい実施態様において、少なくとも1つのカチオン成分は、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、及びマグネシウムイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む。
【0056】
本発明の好ましい非限定の実施態様において、プリントキャリッジが用紙を走査する際にカラーインクペンに先立つ定着液用ペンが必要であり、それにより、カラーインクを堆積する約30から100ミリ秒前に、定着液を堆積させることができる。これは、限定するものではないが、4スロット全てにHP2000(登録商標)カラーペン(公称液滴重量8ng)を使用するHP2000(登録商標)プリンタによって達成することができる。定着液用ペンの液滴重量はカラーペンと釣り合うので、定着剤の画素密度は、一次色の容積密度と一致する。典型的な実験においては、定着液用ペンがカラーペンに先立つ単方向印刷を利用して、診断用印刷物を印刷する。例えば、赤い色合いを印刷するには、定着液用ペンが所要量の定着液を堆積させ、その後マゼンタペン、次いでイエローペンが続く。多重パスが用いられる場合は、同じ工程を後続のパスで繰り返す。
逆の電荷を有する界面活性剤、ポリマー及び金属塩によるインク/着色剤のゲル化と染料の不動化
本発明の最も好ましい実施態様において、最適な高いカラー品質(彩度/光学濃度)及び着色剤の不動化を達成するには、4つの条件がある。
1.インクは定着剤の直後に(即ち同一パスで)堆積される。
2.在来の(高スルホン化)染料は容易に定着しないので、カスタム(特注)のアニオン(好ましくは、カルボキシル化、双性イオン、又はスルホン化)染料を使用する。
3.加水分解されたスチレンマレイン酸無水物のようなアニオン性バインダーは、色の彩度を単純なカスタム染料/定着剤の手法以上にさえ高める。他のアニオンバインダーもまた有効である。
4.最適の結果を達成するためには、定着剤は界面活性剤(拡散用)、多価金属塩(バインダーのゲル化)、及びカチオン性ポリマー(着色剤の不動化)を含まなければならない。
【0057】
定着剤は、カチオン材料からなる一様な液体フィルムを生成する。これは定着液中に存在するカチオン性界面活性剤によって、着色剤ビヒクルを紙に浸透させるが、アニオン性バインダーと着色剤は浸透させない。これはまた、表面におけるインクの混合を可能にし、二次色及び合成ブラックの「純粋な」(高彩度/光学濃度)フィルムを生じさせる。また、紙の表面で生ずる混合/ゲル化過程は、下刷り成分がインク中の分散着色剤と混合するときに典型的に生ずる沈殿ほど速くはない。紙上でのインクのドットゲインは比較的広範囲にわたり、より大きな空間をカバーする。それ故、良好なカラー品質の印刷像を得るのに、より少量のインクで間に合う。
界面活性剤
本発明の実施に際して適切に用いられる界面活性剤は、カチオン性、アニオン性及び非イオン性界面活性剤を包含する。アニオン性界面活性剤の例には、スルホコハク酸塩(CYTECから入手できるAerosol OT、A196、AY及びGP)及びスルホン酸塩(CYTECから入手できるAerosol DPOS−45 OS、WITCOから入手できるWitconate C−50H、DOWから入手できるDowfax 8390)のようなスルホネート界面活性剤、及びフルオロ界面活性剤(3Mから入手できるFluorad FC99C)が含まれる。非イオン性界面活性剤の例には、フルオロ界面活性剤(3Mから入手できるFluorad FC170C)、アルコキシレート界面活性剤(Union Carbideから入手できるTergitolシリーズ15S−5、15S−7、及び15S−9)、及びオルガノシリコーン界面活性剤(WITCOから入手できるSilwet L−77及びL−76−9)が含まれる。これらの界面活性剤は、優れた画像品質を実現するために必要なドットの拡がりを、普通紙上、及び写真ベース光沢紙のような特殊媒体上に形成することができる。カチオン性界面活性剤の例を見付ける必要がある。定着液に使用してよいカチオン性界面活性剤には、ベタイン(例えばHart Product Corp.から入手できるHartofol CB−45、McIntyre Group Ltd.から入手できるMackam OCT−50、味の素から入手できるAmisoftシリーズ)、四級アンモニウム化合物(例えばAmercholから入手できるGlucquatシリーズ、Lonzaから入手できるBardac及びBarquatシリーズ)、カチオン性アミンオキシド(例えばRhone−Poulencから入手できるRhodamoxシリーズ、Lonzaから入手できるBarloxシリーズ)及びイミダゾリン界面活性剤(例えば、Rhone−Poulencから入手できるMiramineシリーズ、Lonzaから入手できるUnamineシリーズ)が含まれる。
着色剤
本発明によって調製されるインクは、少なくとも1つの着色剤、好ましくは少なくとも1つの染料を含有する。従来の組成物及び本発明の組成物のビヒクルに添加される染料の量は、機能的な選択となる傾向があり、またビヒクル中の染料の溶解度と染料の色強度に大きく依存する。染料の典型的な量は、インク組成物の約0.1wt%から約10wt%の間、好ましくは約0.1wt%から5wt%の間である。本発明の組成物では染料は、好ましくはブラックではなくカラーであるが、インクジェットプリンタ用のインクに使用される染料はどれも用いることができる。説明のための適当な染料には、ダイレクトブルー199(Projet Cyan SpecialとしてAveciaから入手可能)、アシッドブルー9、ダイレクトレッド9、ダイレクトレッド227、マゼンタ377(スイス国セアシュー1700フリブール、リュドインダストリのIlford AGから入手可能)、アシッドイエロー23、ダイレクトイエロー132、ダイレクトイエロー86、イエロー104(Ilford AG)、ダイレクトイエロー4(BASF)、イエローPJY H−3BNA(Avecia)、ダイレクトイエロー50(Avecia)がある。より好ましくは、ダイレクトブルー199、マゼンタ377、及びダイレクトイエロー132が、シアン、マゼンタ、及びイエロー着色剤として用いられる。
その他の成分
本発明のインクは任意に、インクジェットインク調合の分野においてよく知られているような、緩衝剤、金属キレート化剤、および殺生物剤のような化合物を含有することができる。
緩衝剤
本発明の実施に際してpHを調節するのに任意に用いられる緩衝剤は、有機系の生物学的緩衝剤又は無機系緩衝剤であってよいが、好ましくは有機系である。また使用される緩衝剤は、本発明の実施に際して約3から約9の、好ましくは約4から約6の、最も好ましくは約4から約5のpHを与える必要がある。好んで採用される緩衝剤の例には、コハク酸、Aldrich Chemical(ウィスコンシン州ミルウォーキー)のような会社から入手できる、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、4−モルホリンエタンスルホン酸(MES)、および4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)などがある。最も好ましくは、本発明の実施に際してコハク酸を用いる。
【0058】
本発明のインクは任意に、0から約1.5wt%の緩衝剤を含有する。より好ましくは、インクは約0.1から約0.5wt%の緩衝剤を含有し、約0.1から約0.3wt%の濃度が最も好ましい。
金属キレート化剤
本発明の実施に際して任意に用いられる金属キレート化剤は、インク中に存在することがある遷移金属のカチオンを結合するのに使用される。好ましく用いられる金属キレート化剤の例には、EDTA、ジエチレンテトラミン五酢酸(PTPA)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン五酢酸(CDTA)、(エチレンジオキシ)ジエチレンジニトリロ五酢酸(EGTA)、マロン酸、サリチル酸、又は遷移金属のカチオンを結合できるその他のキレート化剤がある。より好ましくは、EDTA及びDTPAであり、そして最も好ましくは2ナトリウム塩の形のEDTAが本発明の実施に際して用いられる。
【0059】
本発明のインクは任意に、0から約1.5wt%の金属キレート化剤を含有する。より好ましくは、このインクは約0.1から約0.5wt%の金属キレート化剤を含有し、約0.1から約0.3wt%の濃度が最も好ましい。
殺生物剤
インクジェットインクに通常用いられる殺生物剤は、どれも本発明の実施に際して任意に用いてよい。それらには例えば、Huls America(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から入手できるNuosept 95、Zeneca(デラウェア州ウィルミントン)から入手できるProxel GXL、及び商標Ucarcide 250を付してUnion Carbide Company(ニュージャージー州ボンドブルック)から販売されているグルタルアルデヒドがある。Proxel GXLが好ましい殺生物剤である。
【0060】
本発明のインクは任意に、0から約1.5wt%の殺生物剤を含有する。より好ましくはこのインクは、約0.1から約0.5wt%の殺生物剤を含有し、約0.1から約0.3wt%の濃度が最も好ましい。
【0061】
本明細書における濃度は全て、別途指示されない限り、全インク組成物中の重量パーセントである。全ての成分の純度は、インクジェットインクとして通常の商用に供される純度である。
【0062】
【実施例】
実施例1
カスタムに合成した染料を含有するインクを、Ca2+を有するプロトン化ポリエチレンイミン(PEI)含有液体で下刷りした。その下刷り液の組成は次の通りであった。
PEI(BASF製Lupasol FG)     3.5%
テトラエチレングリコール             6.0%
2−ピロリジノン                 4.0%
1,5−ペンタンジオール            10.0%
Tergitol 15−S−5          1.25%
Bioterge PS−8S           0.7%
Ca(NO・4HO              3.5%
Tinulux BBS(固形分14%)      0.7%
水                        100%となる量
pHはHNOを用いて4.0に調節した。
【0063】
下刷りテストは、HP DeskJet 2000プリンタを使用して、1:1v/vの処方、即ち、8pLの定着液対8pLのカラーインク(下記調合)で実施した。
1,5−ペンタンジオール            10.0%
2−ピロリジノン                10.0%
Tergitol 15−S−5          1.5%
Dowfax 8390              1.0%
バインダー                    4.0%
着色剤**                     3−4%
水                        100%となる量
pHはNaOHを用いて8.0に調節した。
【0064】
使用バインダは次の通りであった。なし(参照用には水を使用、IV−1)、SMA−1000HのLi塩(IV−2)、SMA−2000HのLi塩(IV−3)及びSMA−3000HのLi塩(IV−4)。(SMA−x000Hについて、000Hという表示の前の数字は、ポリマー中の無水マレイン酸分子に対するスチレン分子の比を表す。従って、SMA−1000Hは無水マレイン酸に対するスチレンの比1:1を示し、一方、SMA−3000Hは3:1のスチレン対無水マレイン酸比を示す。)
**着色剤充填量は次の通り
C−1(シアン)      4.0%
M−1(マゼンタ)     3.0%
Y−1(イエロー)     3.0%
であった(これらの染料の構造は以下に示す)。
【0065】
バインダーを使用した時(バインダーを含んでいない対照用ビヒクルと比較した場合、図1から3参照)、3色の全てについて彩度の増加があり、バインダーを含む印刷インクとバインダーを含まない印刷インクについて、耐久性の変化は僅かであるか、又はなかった。言及すべきことは、PEIの下刷り液が全ての場合において、印刷染料の耐水性を現実に高めたが、添加されたバインダーは、この特性をそれ以上には顕著に高めなかったことである。
【0066】
【化2】
Figure 2004512987
【0067】
【化3】
Figure 2004512987
【0068】
【化4】
Figure 2004512987
【0069】
【表1】
Figure 2004512987
【0070】
注、一次色及び二次色については彩度の値を記録した。合成ブラックについては、測定された光学濃度値を記録した。
【0071】
表1及び図4から分かるように、二次色及び合成ブラックに関して、バインダーの使用には明白な大きな効果がある。
実施例2
カスタムに合成した染料を含有するインクを、プロトン化ポリエチレンイミン(PEI)含有液体で下刷りした。その下刷り液の組成は次の通りであった。
PEI(Aldrich製、MW2000)     5.0%
1,5−ペンタンジオール            10.0%
2−ピロリジノン                 5.0%
Proxel GXL               0.2%
Tergitol 15−S−5          0.5%
水                        100%となる量
pHはHNOを用いて4.0に調節した。
【0072】
下刷りテストは、HP DeskJet 2000プリンタを使用して、1:1v/vの処方、即ち、8pLの定着液対8pLのカラーインク(下記調合)で実施した。
1,5−ペンタンジオール            10.0%
2−ピロリジノン                10.0%
Tergitol 15−S−5          1.5%
Dowfax 8390              1.0%
バインダー                    4.0%
着色剤**                     3−4%
水                        100%となる量
pHはNaOHを用いて8.0に調節した。
【0073】
使用バインダは次の通りであった。なし(参照用には水を使用、IV−1)、SMA−1000HのLi塩(IV−2)、SMA−2000HのLi塩(IV−3)及びSMA−3000HのLi塩(IV−4)。
【0074】
**着色剤充填量は次の通り
C−1(シアン)      4.0%
M−1(マゼンタ)     3.0%
Y−1(イエロー)     3.0%
であった。
【0075】
印刷濃度が高かったことを除き、バインダーを使用した時(バインダーを含んでいない参照用ビヒクルと比較した場合、図5から7参照)、3色の全てについて彩度の増加があり、バインダーを含む印刷インクとバインダーを含まない印刷インクについて、耐久性の変化は僅かであるか、又はなかった。言及すべきことは、PEIの下刷り液が全ての場合において、印刷染料の耐水性を現実に高めたが、添加されたバインダーは、この特性をそれ以上には顕著に高めなかったことである。
【0076】
【表2】
Figure 2004512987
【0077】
注、一次色及び二次色については彩度の値を記録した。合成ブラックについては、測定された光学濃度値を記録した。
【0078】
初期観察からは、実施例2に使用した下刷り液は、実施例1で使用した下刷り液ほど色空間を効果的に高めたとは見えないが、前者の下刷り液にはカルシウム(Ca2+)塩が使用されていないことを指摘すべきであろう。Ca2+塩は染料の凝集を助け、かくして染料の有効色を減ずる。従って、実施例1においてアニオン性バインダーを使用すると、Ca2+塩によって生ずる凝集量が低減されるため、さらに有利になる。これら2種の下刷り液及び印刷の色に及ぼすそれらの効果の直接的な比較を図8に示す。
実施例3
カスタムに合成した染料を含有するインクを、Ca2+を有するプロトン化ポリエチレンイミン(PEI)含有液体で下刷りした。その下刷り液の組成は次の通りであった。
PEI(BASF製Lupasol FG)     3.5%
テトラエチレングリコール             6.0%
2−ピロリジノン                 4.0%
1,5−ペンタンジオール            10.0%
Tergitol 15−S−5          1.25%
Bioterge PS−8S           0.7%
Ca(NO・4HO              3.5%
Tinulux BBS(固形分14%)      0.7%
水                        100%となる量
pHはHNOを用いて4.0に調節した。
【0079】
下刷りテストは、HP DeskJet 2000プリンタを使用して、1:1v/vの処方、即ち、8pLの定着液対8pLのカラーインク(下記調合)で実施した。
1,5−ペンタンジオール              10.0%
2−ピロリジノン                   10.0%
Tergitol 15−S−5            1.5%
Dowfax 8390                1.0%
バインダー                      4.0%
着色剤**                       3−4%
水                        100%となる量
pHはNaOHを用いて8.0に調節した。
【0080】
使用バインダは次の通りであった。なし(参照用には水を使用、IV−1)、SMA−1000HのLi塩(IV−2)、SMA−2000HのLi塩(IV−3)及びSMA−3000HのLi塩(IV−4)。
【0081】
**着色剤充填量は次の通り
C−2(シアン)      4.0%
M−2(マゼンタ)     3.0%
Y−2(イエロー)     3.0%
であった(これらの染料の構造は下記に示す)。
【0082】
バインダーを使用した時、シアンとマゼンタ染料に関して極く僅かな彩度増加があった。増加がほとんど無い理由は、シアンとマゼンタ染料がカルボキシル化され、これらの染料と下刷り液との相互作用が、バインダーと下刷り液との相互作用と同一の時間尺度で生ずるという事実によるものと推定される。相互作用の動力学のため、バインダー/下刷り液の相互作用が染料/下刷り液の相互作用より速くは起こらないという理由から増加が無いのであろう。PEIを下刷り液として使用する場合に印刷材料の耐水性が生ずるとはいえ、バインダーを含む印刷インクとバインダーを含まない印刷インク(IV−1)について、耐久性の変化は殆ど又は全く無かった。
【0083】
カルボキシル化染料でない、印刷されたイエロー染料(Y−2)の彩度には上昇が見られる。各着色剤について、バインダー含有インクの相互作用の図を図9から11に示す。
【0084】
【化5】
Figure 2004512987
【0085】
【化6】
Figure 2004512987
【0086】
【化7】
Figure 2004512987
【0087】
表3のデータと図12の合成ブラックのグラフの検討から、インクビヒクル組成物に対するバインダーの添加によって、イエロー染料では実際に彩度が高められていることが示される。しかし、シアンとマゼンタ染料ではそうではない。この場合にも、これは恐らく、バインダーと同一の時間尺度で下刷り液と相互作用する、シアン及びマゼンタ染料上のカルボキシル置換基のためであろう。この競合的な相互作用は、非カルボキシル化染料で見られる有益な彩度の向上を妨げる。
【0088】
【表3】
Figure 2004512987
【0089】
注、一次色及び二次色については彩度の値を記録した。合成ブラックについては、測定された光学濃度値を記録した。
実施例4
カスタムに合成した染料を含有するインクを、プロトン化ポリエチレンイミン(PEI)含有液体で下刷りした。その下刷り液の組成は次の通りであった。
PEI(Aldrich製、MW2000)     5.0%
1,5−ペンタンジオール            10.0%
2−ピロリジノン                 5.0%
Proxel GXL               0.2%
Tergitol 15−S−5          0.5%
水                        100%となる量
pHはHNOを用いて4.0に調節した。
【0090】
下刷りテストは、HP DeskJet 2000プリンタを使用して、1:1v/vの処方、即ち、8pLの定着液対8pLのカラーインク(下記調合)で実施した。
1,5−ペンタンジオール            10.0%
2−ピロリジノン                10.0%
Tergitol 15−S−5          1.5%
Dowfax 8390              1.0%
バインダー                    4.0%
着色剤**                     3−4%
水                        100%となる量
pHはNaOHを用いて8.0に調節した。
【0091】
使用バインダは次の通りであった。なし(参照用には水を使用、IV−1)、SMA−1000HのLi塩(IV−2)、SMA−2000HのLi塩(IV−3)及びSMA−3000HのLi塩(IV−4)。
【0092】
**着色剤充填量は次の通り
C−2(シアン)      4.0%
M−2(マゼンタ)     3.0%
Y−2(イエロー)     3.0%
であった。
【0093】
実施例3におけるように、バインダー使用時に、シアン及びマゼンタ染料に関しての彩度増加は極く僅かであった。
【0094】
カルボキシル化染料でない、印刷されたイエロー染料(Y−2)の彩度には上昇が見られる。各着色剤について、バインダー含有インクの相互作用の図を図9から11に示す。
【0095】
【表4】
Figure 2004512987
【0096】
注、一次色及び二次色については彩度の値を記録した。合成ブラックについては、測定された光学濃度値を記録した。
実施例5
種々の水性インクに及ぼす下刷りされた「定着液」の効果をテストするために、種々の実験を実施した。定着液の組成の非限定的な例は、5%の2−ピロリドン、8%の1,5−ペンタンジオール、0.45%のTergitol 15−S−7、2%のポリエチレンイミド(PEI)(Lupasol FG又はLupasol G20WF(水を含まないもの)、BASFの登録商標)、2%のCa(NO・4HO、100%となるバランス量の水である。
【0097】
こうした幾つかの「定着液」の1つを紙の特定の画素位置に下刷りし、次いで在来の幾つかの異なる水性インクの1つを、先に下刷りした画素位置の上に印刷した。対照として、下刷りされた「定着液」のない画素位置上にも、水性インクを印刷した。着色された印刷画像の彩度と、ブラックで印刷された画像の光学濃度を測定した。これらの結果を、マゼンタ、レッド(マゼンタとイエロー)、シアン、グリーン(シアンとイエロー)及びブラックについての表に収集した。(使用したブラック染料は、Aveciaの登録商標である、Pro−Jet Black286とPro−Jet Black287の組み合わせであった)。
【0098】
【表5】
Figure 2004512987
【0099】
【表6】
Figure 2004512987
【0100】
【表7】
Figure 2004512987
【0101】
【表8】
Figure 2004512987
【0102】
【表9】
Figure 2004512987
【0103】
以上においては本発明を、明確さ及び理解のためにある程度詳細に記述してきたが、この開示を読んだ当業者には、形態及び詳細事項における種々の変更を、本発明の範囲から逸脱することなく行い得るとことが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
実施例1のC−1シアンインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図2】
実施例1のM−1マゼンタインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図3】
実施例1のY−1イエローインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図4】
合成ブラックマトリックスにおけるC−1、M−1及びY−1インクのスペクトルの反射スペクトルを比較するグラフである。IV−1はバインダーなしのインクであり、それに対してIV−2はSMA−1000Hを含有し、IV−3はSMA−2000Hを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。注として、反射スペクトルの値が低いほど吸光度は大きく、その着色剤はより有効である。
【図5】
実施例2のC−1シアンインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図6】
実施例2のM−1マゼンタインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図7】
実施例2のY−1イエローインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図8】
実施例1で用いた下刷り液(P R2)と実施例2で用いた下刷り液(P UP)を比較するグラフである。P UPにはCa2+が使われていないため、バインダーと下刷り液との相互作用の効果はより明確である。
【図9】
実施例3のC−2シアンインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図10】
実施例3のM−2マゼンタインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図11】
実施例3のY−2イエローインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図12】
合成ブラックマトリックスにおけるC−2、M−2及びY−2インクのスペクトルの反射スペクトルを比較するグラフである。IV−1はバインダーなしのインクであり、それに対してIV−2はSMA−1000Hを含有し、IV−3はSMA−2000Hを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。注として、反射スペクトルの値が低いほど吸光度は大きく、その着色剤はより有効である。
【図13】
実施例4のC−2シアンインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図14】
実施例4のM−2マゼンタインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。
【図15】
実施例4のY−2イエローインク(種々のバインダーを含有する)と下刷り液との相互作用を比較するグラフである。IV−1は対照用のバインダー組成物を含有し、IV−2はSMA−1000Hバインダーを含有し、IV−3はSMA−2000Hバインダーを含有し、IV−4はSMA−3000Hバインダーを含有する。

Claims (49)

  1. 少なくとも1つのカチオン成分を含有する下刷り用定着液を含む少なくとも1つのプリントヘッド部分と、少なくとも1つのアニオン成分を含有するインク組成物を含む少なくとも1つのプリントヘッド部分とを有し、
    前記インク組成物が媒体上で、その媒体上に印刷された定着液の上に印刷された場合に、前記インク組成物と前記定着液が共同して前記インク組成物より大きな粘度を有するアモルファス粘性流体を形成する、インクジェット印刷装置。
  2. 前記アニオン成分が少なくとも1つのアニオン性バインダーを含む、請求項1の装置。
  3. 前記少なくとも1つのアニオン性バインダーが、少なくとも1つの錯形成部分を有するポリマーを含む、請求項2の装置。
  4. 前記少なくとも1つの錯形成部分が、エチレンジアミン四酢酸、アセチルアセトナート、無水マレイン酸、アクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項3の装置。
  5. 前記ポリマーがスチレンを含む、請求項3の装置。
  6. 前記アニオン性バインダーが、加水分解されたスチレンマレイン酸無水物を含む、請求項4の装置。
  7. 前記アニオン成分が、アニオン性官能基を有する染料を含む、請求項1の装置。
  8. 前記アニオン性官能基を有する染料が、非極性基を有するスルホン化染料、プロトン化可能基を有する染料、カルボキシレート基を有する染料、及びホスフェート基を有する染料から成る群から選択される、請求項7の装置。
  9. 前記インク組成物がさらに、低分子量の親水性化合物を含む、請求項1の装置。
  10. 前記低分子量の親水性化合物が、無機塩と低級アルコールから成る群から選択される、請求項9の装置。
  11. 前記少なくとも1つのカチオン成分がカチオン性ポリマーを含む、請求項1の装置。
  12. 前記カチオン性ポリマーが、R、R、及びRAsから成る群から選択された高分子電解質であり、ここでRはH、アルキル又は他の有機置換基であってよい、請求項11の装置。
  13. 前記高分子電解質が分岐鎖又は直鎖のポリマー鎖を含む、請求項12の装置。
  14. 前記カチオン性ポリマーが、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む溶液である、請求項11の装置。
  15. 前記カチオン性ポリマーが四置換アンモニウム塩である、請求項12の装置。
  16. 前記少なくとも1つのカチオン成分が、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む、請求項1の装置。
  17. 少なくとも1つのアニオン成分を含む染料型インクジェットインク組成物であって、
    前記インク組成物が、媒体上で少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用定着液上に印刷された場合に、印刷されたインク組成物と前記下刷り用定着液が共同してアモルファス粘性流体を前記媒体上に形成し、この混合物が前記インク組成物より大きな粘度を有するアモルファス粘性流体であり、前記インク組成物が媒体上で下刷り用定着液上に印刷された場合に、前記インク組成物と定着液が共同して前記インク組成物より大きな粘度を有するアモルファス粘性流体を形成する、インクジェットインク組成物。
  18. 前記アニオン成分が、少なくとも1つのアニオン性バインダーを含む、請求項17のインクジェットインク組成物。
  19. 前記少なくとも1つのアニオン性バインダーが、少なくとも1つの錯形成部分を有するポリマーを含む、請求項18のインクジェットインク組成物。
  20. 前記少なくとも1つの錯形成部分が、エチレンジアミン四酢酸、アセチルアセトナート、無水マレイン酸、アクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項19のインクジェットインク組成物。
  21. 前記ポリマーがスチレンを含む、請求項19のインクジェットインク組成物。
  22. 前記アニオン性バインダーが、加水分解されたスチレンマレイン酸無水物を含む、請求項20のインクジェットインク組成物。
  23. 前記少なくとも1つの染料がアニオン性官能基を含む、請求項17のインクジェットインク組成物。
  24. 前記アニオン性官能基を有する少なくとも1つの染料が、非極性基を有するスルホン化染料、プロトン化可能基を有する染料、カルボキシレート基を有する染料、及びホスフェート基を有する染料から成る群から選択される、請求項23のインクジェットインク組成物。
  25. 前記インク組成物がさらに、低分子量の親水性化合物を含む、請求項17のインクジェットインク組成物。
  26. 前記低分子量の親水性化合物が、無機塩と低級アルコールから成る群から選択される、請求項25のインクジェットインク組成物。
  27. 少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用の定着液であって、
    少なくとも1つのアニオン成分を含むインクジェットインク組成物が、前記定着液で下刷りされた媒体の部分上に印刷された場合に、前記インク組成物と前記定着液が共同してアモルファス粘性流体を形成し、このアモルファス粘性流体が前記インク組成物より大きな粘度を有する、下刷り用定着液。
  28. 前記少なくとも1つのカチオン成分がカチオン性ポリマーを含む、請求項27の下刷り用定着液。
  29. 前記カチオン性ポリマーが、R、R、及びRAsから成る群から選択された高分子電解質であり、ここでRはH、アルキル又は他の有機置換基であってよい、請求項28の下刷り用定着液。
  30. 前記高分子電解質が分岐ポリマー鎖を含む、請求項29の下刷り用定着液。
  31. 前記カチオン性ポリマーが、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む溶液である、請求項28の下刷り用定着液。
  32. 前記カチオン性ポリマーが四置換アンモニウム塩である、請求項29の下刷り用定着液。
  33. 前記少なくとも1つのカチオン成分が、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む、請求項27の下刷り用定着液。
  34. インクジェット印刷方法であって、
    a) 少なくとも1つのカチオン成分を含む下刷り用定着液を媒体上の所定個所に射出するステップと、
    b) 少なくとも1つのアニオン成分を含むインク組成物を前記媒体上の前記個所に射出するステップとを含み、
    前記インク組成物と前記定着液が共同してアモルファス粘性流体を形成し、この粘性流体が前記インク組成物より大きい粘度を有する、方法。
  35. 前記アニオン成分が少なくとも1つのアニオン性バインダーを含む、請求項34の方法。
  36. 前記少なくとも1つのアニオン性バインダーが、少なくとも1つの錯形成部分を有するポリマーを含む、請求項35の方法。
  37. 前記少なくとも1つの錯形成部分が、エチレンジアミン四酢酸、アセチルアセトナート、無水マレイン酸、アクリレート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項36の方法。
  38. 前記ポリマーがスチレンを含む、請求項36の方法。
  39. 前記アニオン性バインダーが、加水分解されたスチレンマレイン酸無水物を含む、請求項37の方法。
  40. 前記少なくとも1つのアニオン成分がアニオン性官能基を有する染料を含む、請求項34の方法。
  41. 前記アニオン性官能基を有する染料が、非極性基を有するスルホン化染料、プロトン化可能基を有する染料、カルボキシレート基を有する染料、及びホスフェート基を有する染料から成る群から選択される、請求項40の方法。
  42. 前記インク組成物がさらに、低分子量の親水性化合物を含む、請求項34の方法。
  43. 前記低分子量の親水性化合物が、無機塩と低級アルコールから成る群から選択される、請求項42の方法。
  44. 前記少なくとも1つのカチオン成分がカチオン性ポリマーを含む、請求項34の方法。
  45. 前記カチオン性ポリマーが、R、R、及びRAsから成る群から選択された高分子電解質であり、ここでRはH、アルキル又は他の有機置換基であってよい、請求項44の方法。
  46. 前記高分子電解質が分岐ポリマー鎖を含む、請求項45の方法。
  47. 前記カチオン性ポリマーが、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む溶液である、請求項44の方法。
  48. 前記カチオン性ポリマーが四置換アンモニウム塩である、請求項45の方法。
  49. 前記少なくとも1つのカチオン成分が、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、及びチタンイオンから成る群から選択された非高分子のカチオンを含む、請求項34の方法。
JP2002539445A 2000-10-30 2001-10-16 染料型インクジェットインク組成物と下刷り用定着液の組み合わせ Expired - Fee Related JP3980480B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/702,185 US6740689B1 (en) 2000-10-30 2000-10-30 Ink and underprinting fluid combinations with improved inkjet print image color and stability
PCT/US2001/032375 WO2002036696A2 (en) 2000-10-30 2001-10-16 Ink and underprinting fluid combinations with improved inkjet print image color and stability

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004512987A true JP2004512987A (ja) 2004-04-30
JP2004512987A5 JP2004512987A5 (ja) 2005-12-22
JP3980480B2 JP3980480B2 (ja) 2007-09-26

Family

ID=24820183

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002539445A Expired - Fee Related JP3980480B2 (ja) 2000-10-30 2001-10-16 染料型インクジェットインク組成物と下刷り用定着液の組み合わせ

Country Status (8)

Country Link
US (2) US6740689B1 (ja)
EP (1) EP1332189B1 (ja)
JP (1) JP3980480B2 (ja)
CN (2) CN100519187C (ja)
AU (1) AU2002213311A1 (ja)
DE (1) DE60135570D1 (ja)
TW (1) TW538103B (ja)
WO (1) WO2002036696A2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008513571A (ja) * 2004-09-17 2008-05-01 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. 染料系インク
US11065885B2 (en) 2018-12-20 2021-07-20 Seiko Epson Corporation Recording method, ink set, and printing apparatus
WO2023145181A1 (ja) * 2022-01-28 2023-08-03 サカタインクス株式会社 インクセット、及び印刷物
EP4375343A1 (en) 2022-11-25 2024-05-29 Canon Kabushiki Kaisha Reaction liquid and ink jet recording method

Families Citing this family (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040024083A1 (en) * 2002-07-30 2004-02-05 Lee Melissa D. Fluid set for ink-jet printers
US7157504B2 (en) * 2002-09-30 2007-01-02 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Ink-jet printing methods and systems providing improved image durability
US6998429B2 (en) * 2003-01-28 2006-02-14 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Dissolving complexes of anionic dye/cationic polymeric fixer
US7122077B2 (en) * 2003-03-28 2006-10-17 E. I. Du Pont De Nemours And Company Inkjet ink set and method of using same
US7417079B2 (en) * 2003-07-28 2008-08-26 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Use of styrene-maleic anhydride copolymer to control black-to-color bleed
US8946320B2 (en) * 2004-03-22 2015-02-03 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Ink system containing polymer binders
CN101052690B (zh) * 2004-09-17 2011-07-27 惠普开发有限公司 基于染料的油墨
US7478902B2 (en) * 2004-11-04 2009-01-20 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Inkjet compositions
US7622513B2 (en) * 2004-12-01 2009-11-24 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Inkjet printing system that provides improved mottle
US7666255B2 (en) * 2005-03-09 2010-02-23 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Ink-jet inks having surfactants below the critical micelle concentration and associated methods
JP4969578B2 (ja) * 2005-09-15 2012-07-04 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー ホワイトインクおよびカラーインクを用いた、織物のデジタル印刷
WO2007101102A2 (en) * 2006-02-24 2007-09-07 Arkwright, Inc. Fast drying ink jet recording medium having an anionic surface layer and a cationic under layer
US20070219290A1 (en) * 2006-03-17 2007-09-20 George Sarkisian Inkjet ink system
US7744205B2 (en) * 2006-03-17 2010-06-29 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Solvent/latex binder system for heated inkjet printing
US7722179B2 (en) * 2006-03-30 2010-05-25 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Slow-penetrating inkjet fixer composition and methods and systems for making and using same
US20080092309A1 (en) * 2006-09-15 2008-04-24 Ellis Scott W Fabric pretreatment for inkjet printing
JP5610768B2 (ja) 2006-10-31 2014-10-22 センシエント・カラーズ・インコーポレーテッド 変性顔料並びにそれを製造及び使用する方法
US7572326B2 (en) 2007-04-18 2009-08-11 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fixer fluid and inkjet ink sets including the same
JP5020700B2 (ja) * 2007-05-11 2012-09-05 キヤノン株式会社 インクジェット記録用インクタンク
JP5706159B2 (ja) 2007-08-23 2015-04-22 センシエント カラーズ エルエルシー 自己分散型顔料ならびにその製造方法および使用
JP5270205B2 (ja) * 2008-03-24 2013-08-21 株式会社Dnpファインケミカル インクジェット記録用油性緑色インク組成物およびインクジェット記録用油性インクセット
JP2012523479A (ja) 2009-04-07 2012-10-04 センシエント カラーズ エルエルシー 自己分散性粒子並びにその製造方法及び使用方法
US9493685B2 (en) 2010-06-14 2016-11-15 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Pre-treatment composition
US9278515B2 (en) 2010-06-14 2016-03-08 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Printing method
US8814318B2 (en) 2010-06-14 2014-08-26 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Printing method with pre-treatment composition
US9683113B2 (en) 2010-08-25 2017-06-20 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Pigment particles containing a vinyl group and encapsulated by a cross-linked polymer
JP2012224658A (ja) * 2011-04-15 2012-11-15 Konica Minolta Ij Technologies Inc インクジェットインク及びインクジェット記録方法
IN2014DN03110A (ja) * 2011-10-25 2015-05-15 Hewlett Packard Development Co
WO2014056950A1 (en) * 2012-10-09 2014-04-17 Zamtec Ltd Method of high-speed printing for improving optical density in pigment-based inks
JP5982254B2 (ja) * 2012-10-25 2016-08-31 富士フイルム株式会社 印字方法
US9988540B2 (en) 2016-04-01 2018-06-05 Eastman Kodak Company Aqueous particle-free color inkjet ink composition
GB2595435A (en) 2020-03-06 2021-12-01 Domino Uk Ltd Ink composition for inkjet printing

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4694302A (en) 1986-06-06 1987-09-15 Hewlett-Packard Company Reactive ink-jet printing
US5196056A (en) * 1990-10-31 1993-03-23 Hewlett-Packard Company Ink jet composition with reduced bleed
EP0587164B1 (en) 1992-09-10 1998-12-23 Canon Kabushiki Kaisha Method and apparatus for ink jet recording
US5700314A (en) * 1994-03-30 1997-12-23 Canon Kabushiki Kaisha Image forming method, and ink set and ink-jet machinery used therein
US5549740A (en) 1994-07-11 1996-08-27 Canon Kabushiki Kaisha Liquid composition, ink set and image forming method and apparatus using the composition and ink set
JPH0881611A (ja) 1994-07-11 1996-03-26 Canon Inc 液体組成物、インクセット及びこれを用いた画像形成方法と装置
US5792249A (en) 1995-01-25 1998-08-11 Canon Kabushiki Kaisha Liquid composition, ink set, image-forming method and apparatus using the same
EP0735120A3 (en) * 1995-03-28 1997-02-05 Videojet Systems Int Ink for inkjet recording
US5746818A (en) 1995-08-31 1998-05-05 Seiko Epson Corporation Pigment ink composition capable of forming image having no significant bleeding or feathering
US6004389A (en) * 1995-08-31 1999-12-21 Seiko Epson Corporation Pigment ink composition capable of forming image having no significant bleeding or feathering
US6080229A (en) * 1996-04-16 2000-06-27 Seiko Epson Corporation Reaction solution for ink jet recording method using two liquids
US5889083A (en) * 1996-09-06 1999-03-30 Videojet Systems International, Inc. Aqueous jet ink compositions
JP4114227B2 (ja) * 1998-02-17 2008-07-09 コニカミノルタホールディングス株式会社 インクジェット用液体組成物、画像形成用インクセット及び画像形成方法
US6299675B1 (en) * 1998-05-28 2001-10-09 Canon Kabushiki Kaisha Printing method, image forming process, ink, ink set, recording unit, image forming apparatus and print
US6261350B1 (en) * 1999-08-17 2001-07-17 Hewlett-Packard Company Increasing chroma and edge acuity of dye-based inks by underprinting using vesicle technique
US6460989B1 (en) * 1999-11-12 2002-10-08 Canon Kabushiki Kaisha Ink set, formation of colored area on recording medium, and ink-jet recording apparatus
US6450632B1 (en) * 2000-10-12 2002-09-17 Hewlett-Packard Company Underprinting fluid compositions to improve inkjet printer image color and stability

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008513571A (ja) * 2004-09-17 2008-05-01 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. 染料系インク
US11065885B2 (en) 2018-12-20 2021-07-20 Seiko Epson Corporation Recording method, ink set, and printing apparatus
WO2023145181A1 (ja) * 2022-01-28 2023-08-03 サカタインクス株式会社 インクセット、及び印刷物
EP4375343A1 (en) 2022-11-25 2024-05-29 Canon Kabushiki Kaisha Reaction liquid and ink jet recording method

Also Published As

Publication number Publication date
CN1636042A (zh) 2005-07-06
CN1328333C (zh) 2007-07-25
TW538103B (en) 2003-06-21
US7066590B2 (en) 2006-06-27
WO2002036696A2 (en) 2002-05-10
DE60135570D1 (de) 2008-10-09
US6740689B1 (en) 2004-05-25
CN100519187C (zh) 2009-07-29
WO2002036696A3 (en) 2002-08-15
JP3980480B2 (ja) 2007-09-26
EP1332189B1 (en) 2008-08-27
CN1899820A (zh) 2007-01-24
EP1332189A2 (en) 2003-08-06
US20040189775A1 (en) 2004-09-30
AU2002213311A1 (en) 2002-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3980480B2 (ja) 染料型インクジェットインク組成物と下刷り用定着液の組み合わせ
US6450632B1 (en) Underprinting fluid compositions to improve inkjet printer image color and stability
US6053969A (en) Dye set for improved color quality for ink-jet printers
US6929362B2 (en) Ink set and image forming process, and water-based ink used therein
US5626655A (en) Use of co-surfactants to adjust properties of ink-jet inks
US6719420B2 (en) Liquid composition, ink set, method for forming colored portion on recording medium, and ink-jet recording apparatus
US6039796A (en) Ink jet recording ink and method
US6261349B1 (en) Image recording method image recording apparatus and image recording acceleration liquid
AU785169B2 (en) Liquid composition, ink set, method of forming colored portion in recording medium and ink-jet recording apparatus
US6863391B2 (en) Liquid composition, ink set, method of forming a colored section on recording medium and ink-jet recording apparatus
EP0952195B1 (en) Ink set for improved print quality
US5882390A (en) Recording ink composition and recording method using the same
US6075069A (en) Color ink jet recording method
US7427130B2 (en) Image forming process and image forming apparatus and ink set therefor
AU784409B2 (en) Method of measuring liquid composition, liquid composition, ink set, method for forming colored portion on recording medium, and ink-jet recording apparatus
US5730790A (en) Black to color bleed control using cationic surfactants
JPH11172174A (ja) インクジェットインク
JP3559762B2 (ja) 液体組成物、及び、それを用いたインクセット及び画像形成方法
JP2023171600A (ja) オフセット媒体上に印刷するためのインク液セット
TW200401812A (en) Fluid set for ink-jet printers
JP2000026778A (ja) インキジェット印刷用インキ
JP5271468B2 (ja) インクジェット印刷用インクセット
JP2001348518A (ja) インクジェット用インクおよびこれを用いたインクセット、並びにインクジェット記録方法
JP3717036B2 (ja) にじみのない画像を形成可能なインクジェット記録方法
JP2003039811A (ja) 液体組成物、インクセット及び被記録媒体に着色部を形成する方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041018

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060404

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20060704

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20060711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061031

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070131

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070501

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070529

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070627

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110706

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120706

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120706

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees