JP2004510071A - ニードル織機および製織法およびこれらにより製織される織物 - Google Patents

ニードル織機および製織法およびこれらにより製織される織物 Download PDF

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Abstract

【課題】管状の織物の製造に関する技術的な困難性を克服できる織機と製織法を提供する。
【解決手段】管状の織物を織る方法で、その方法が、経糸の第1層、第2層、第3層、第4層の積層を作るための工程と、前記層に形成される杼口から横入れして、前記経糸の層の片側から第1針および第2針に挿入される第1緯糸および第2緯糸によって行なう織るための工程と、各緯糸を前記経糸の層の所定の対に通すための工程と、前記層の反対側の緯糸ループを、第1層と第2層、第3層と第4層で一緒に編んで、対の耳を作るための工程とからなる。この方法によって作る管状織物を提供する。このような織物を織るためのニードル織機も提供する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管状の織物、特に、医療用の二又管状グラフトを製造できるニードル織機に関し、また、製織法とそれによって製造される管状織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
二又の織りグラフト(graft)は大動脈や腸骨動脈のバイパスで用いられている。
【0003】
このグラフトは、従来、各紡糸ヘッドに複数のシャトルを使ったシャトル織機で織られてきた。シャトル織機は杼口(つまり、織り操作中経糸を分離することによって形成される開口)に通されるシャトル(糸内蔵キャリア)によって、緯糸を挿入する。シャトルはよこ入れ運動を何度もすることで十分な緯糸を供給する。シャトル織機での製織はいくつかの問題を抱えているが、今までで最も重要な欠点は産量が少ないことである。10%程度という、低い総産量はシャトル製織では珍しいことではなく、サイズが大きくなるとこの数字はさらに低くなる。この問題は、シャトル織機が本質的に製織の高速化に限界のある機械であるということから生じる。シャトル織機の欠点は主に、ボート型のシャトルを経糸に貫通するには大型の杼口が必要であることによる。つまり、シャトルを通せるように糸の間を十分な間隔にするには、経糸を比較的大きく分離開口させる必要がある。このため経糸ではピーク張力が高くなり、それが転じてニードルワイヤから経糸の端にダートが移る。大型の杼口も経糸の端を大きく切らせたり、織り糸を大きく毛羽立たせる原因となっている。そして、この問題点に満足のいく解決策はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
その後、ほぼすべての織物については、シャトル織機による製織に代えて、ニードル織機による製織、ニッティング、またはフェルティングなどの代替法がかなり行なわれてきた。
【0005】
しかしながら、ニッティングもフェルティングも十分な密度で安定した品質のグラフトは提供できず、また、技術的に困難であるとの理由によってニードル織機による製織が使用できなかったため、現在まで、二又の管状医療用グラフトの製造に用いられたのはシャトル織機による製織だけであった。
【0006】
ニードル織機とは、緯糸を固定給糸装置から引き出し、二本取りの形で糸を引っかけた緯糸挿入針(つまり、緯糸が緯糸挿入針の前縁から二本入る)を杼口に通すシャトルレス織機である。緯糸は編みの作用によるか、または別の給糸装置から止め糸を入れて反対の耳に保持される。簡単な(二又に分かれていない)管状医療用グラフトはニードル織機技術を使って生産できるが、技術的に困難であるため、この従来のニードル織機技術は二又に分かれた管状医療用グラフトでは上手く用いられてこなかった。
【0007】
そこで、本発明は、この技術的な困難性を克服できる織機と製織法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため、本発明は管状織物の製織法を提供し、その方法は、経糸の第1層、第2層、第3層、第4層を作るための工程と、前記層に形成される杼口から横入れし、前記経糸の層の片側から第1針および第2針に挿入された第1緯糸および第2緯糸で行なう織るための工程と、各緯糸を前記経糸の層の所定の対から交互に挿入するための工程と、前記層の反対側の緯糸ループを、第1層と第2層、第3層と第4層とで、一緒に編んで一対の耳を形成するための工程とからなる。
【0009】
第1操作モードでは、第1緯糸を経糸の第1層および第2層の積層に交互に挿入し、第2緯糸を経糸の第3層および第4層の積層に交互に挿入して、2つの重ね合わせた管を作る。
【0010】
第2操作モードでは、第1緯糸を経糸の第1層および第4層に交互に挿入して、第2緯糸を経糸の第2層および第3層に交互に挿入して、C字形に折りたたまれた1つの管を作る。
【0011】
本発明はさらに、二又に分かれた管状織物の製織法を提供し、その方法は、前記第1操作モードで1対の管を織るための工程と、その前か後に、同じ経糸と緯糸を使って上記第2操作モードで1つの管を織るための工程とからなる。
【0012】
緯糸ループは互いに編みこんでも、とじ糸と一緒に編みこんでもよい。
【0013】
好ましくは管状織物は外科用グラフトまたは獣医用グラフトであり、より好ましくは二又に分かれて形成される、大動脈グラフトもしくは腸骨グラフトである。
【0014】
また、他の特徴として、本発明は管状織物を織るためのニードル織機にあり、そのニードル織機は、経糸を重ね合わせた第1層、第2層、第3層、第4層に配置するための経糸配置手段と、前記経糸層のそれぞれに杼口を作るための杼口形成手段と、前記経糸層の片側から、第1緯糸および第2緯糸を挿入するための第1緯糸挿入針および第2緯糸挿入針と、経糸の第1層および第2層と第3層および第4層でそれぞれ形成される緯糸ループを一緒に編み込むための、経糸の層の反対側にある上下の耳編み手段と、第1緯糸を経糸の第1層と第2層とに交互に通し、第2緯糸を経糸の第3層と第4層とを交互に通すことによって2つの重ね合わせた管を形成する第1モードと、第1緯糸を経糸の第1層と第4層とを交互に通し、第2緯糸を経糸の第2層と第3層とに交互に通すことによって、C字形に折りたたまれる1つの管を形成する第2モードの2つのモードの一方で選択的にニードル織機を動作させることのできる制御手段とからなる。
【0015】
好適な形態では、第1経糸挿入針および第2緯糸挿入針が経糸層の間の間隔と同じような間隔をあけて積重ねて配置され、制御手段が緯糸挿入針と経糸層に相対的な縦の動きを生じさせるように操作できる。
【0016】
ある好適な形態では、第1緯糸挿入針が経糸の第1層および第2層に交互に並び、第2緯糸挿入針が経糸の第3層および第4層と交互に並んで、前記第2モードで操作するとき、緯糸が前記相対的な動きと同期して第1および第2挿入針とで入れ替わる。
【0017】
また好ましくは、第1緯糸は第1ウェフトセレクタを通過し、第2緯糸は前記第1ウェフトセレクタよりも経糸層の近くに位置する第2ウェフトセレクタを通過する。
【0018】
注意するべきことは、織機は普通、固有の「上」「下」を有するように(自然の重力で決まる)緯糸が経糸の縦の延長線を横切る方向に実質的に水平な層を形成するので、その結果、複数の経糸の積層は自動的にその相対的な配置に対して「上」「下」を有する。しかし、本発明に従ったニードル織機の操作は重力とは独立しているため、「上」「下」という言葉は特に決まった使われ方をしない。
【0019】
また、本発明のニードル織機は、特に、医療用および獣医用のグラフトの製造に適し、特に、血管グラフトに適する。ニードル織機は二又の管状グラフトにも利用できる。
【0020】
ただし、本発明のニードル織機は二又の管状グラフトを織るだけに限定されない。ニードル織機の第2操作モードにあれば、ニードル織機はテーパ状の管状グラフト、特にテーパが管状グラフトの両横の端から左右対称に傾斜するテーパ状の管状グラフトを織ることもできる。さらに、ニードル織機の第1操作モードにあれば、ニードル織機は比較的細い2つの管状グラフトを同時に織るため、比較的細い1つの管状グラフトを織るのと比べ、生産量が二倍になる。
【0021】
望ましくは、前述した方法はミュラーシステムIIの耳(緯糸をとじ糸と織り交ぜる場合)、またはミュラーシステムIIIの耳(緯糸ととじ糸を一度に織り交ぜる場合)を使用する。ミュラーシステムIIの耳では織端がより細く、かさ高が小さくなり、ミュラーシステムIIIの耳では厚みがでるが、伝染防止性が高まる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1aおよび図1bは、二又の管状グラフトのそれぞれ脚部と本体の断面図で、織り方向を横に切断する断面図である。図2は、図1bの本体を織るときに使う2本の緯糸の交換を図示する。図3は、緯糸針の停止点または停止点の非常に近くで、緯糸を交換するのに適した針を図示する。図4は、正確に配置しないと、緯糸が互いにどのようにキャッチするかを図示している。図5は、織物を針の間隔と同じ量だけ離すために使う2枚の板を図示する。図6aから図6fは、血管のグラフトの脚部をニードル織機織りする連続ステップを図示する。図7aから図7gは、血管のグラフトの本体をニードル織機織りする連続ステップを図示する。図8aは、ニードル織機用の従来の設計の杼口を示す。図8bは、4層グラフトの形の単体で製造するために、本発明の二本取りニードル織機の操作ができる改良型の杼口を示す。
【0023】
注意するべきことは、断面図では、グラフトは板で平らに保持されるはずではあるが、分かりやすくするために、グラフトを布の各厚さが見分けられるように示している。
【0024】
まず、図1aと図1bに示すように、二又の管状グラフトを、片方の脚部2をもう一方の脚部3の上に平らに織るように折り重ね(図1a)、本体4をその中央に沿って折りたたむ(図1b)ようにして織り、4層のグラフトを形成する。図1aに示すような脚部2、3の製織は簡単で、標準的な製織技術でも達成できるが、本体4の織り込みには多くの問題がある。
【0025】
本発明の解決法は、本体4を2本の緯糸5、6で織ることで(図2)、1本の緯糸5を4層のグラフトの上層7と下層8を交互に織りながら、もう1つの緯糸6が2つの中央の層10、9を交互に織る。こうするには2本の緯糸5、6が互いに入れ替われなければならない。周知の方法では、こうするには3本の緯糸が必要であろう。1本目の緯糸が本体用で、2本目の緯糸が二又に分かれたグラフトの片方の脚部用で、3本目の緯糸が二又に分かれたグラフトのもう一方の脚部用であるが、これら緯糸は本発明で思い描くような方法で入れ替わらないだろう。
【0026】
進入口で取り替えた緯糸をキャッチするために2本に分岐した緯糸針が試されたが、緯糸針に対してこのように広い前縁に杼口を作れなかった。そのため、それぞれ図3に図示するような針11の形で、杼口からでるとき、緯糸挿入針の停止点または停止点の非常に近くで緯糸5、6を交換するように配置した2本の緯糸挿入針を試した。こうするには、上部の緯糸挿入針が通常のやり方のものよりも上からではなく、下から緯糸を受けなければならない。これを図7aから7gを参照してさらに詳しく説明する。市販されている緯糸挿入針を改良して提供する緯糸挿入針11の重要な特徴は、蟻溝17を杼口を貫通する動作の間に緯糸(図3には図示せず)を運べるような形状と寸法にした針11の自由端19にある。
【0027】
緯糸挿入針11の直径と長さは標準的なものであり、織りループ自体と合うように決められる。本発明での使用に適するような緯糸挿入針11の改良は、針11の曲率の半径と、溝17を形成する歯18、18’の深さと間隔に関係する。本質的に曲率の半径を大きくして、針が従来の針と比較して曲げが少なくなるようにする。本質的に、緯糸挿入針の形状は、自由端19と溝17ができるだけ近くなるようにするが、各横入れサイクルの終わりでウェフトセレクタに触れないように変える。
【0028】
従来の針の適切な形状を、比較のために図3の点線で示している。さらに、歯18、18’の間隔を従来の針の間隔よりも大きくして、緯糸を交換しやすくし、溝17の深さを大きくして、緯糸が溝17の内部にしっかりと留まるようにする。
【0029】
本体4の緯糸5、6が図4に図示するような断面になるように経糸への進入点で互いにキャッチさせるのが現実的に可能である。発明のこの実施例での解決法は、本体4の内側の層を織り込んでいる緯糸6が、必ず、織る布の近くのウェフトセレクタに位置するようにすることである。
【0030】
上下の層7、8を織る緯糸5は、脚部を織っているときに必要な糸と比べて、本体を織っているとき緯糸を少なくする必要があり、それに対応して第2緯糸6は糸を増やす必要がある。半強制緯糸送り(強制緯糸送りと比べて)でこの多様な要求事項に対応できる。
【0031】
本発明のこの実施形態の二本取りニードル織機で織るとき、機械的な理由のために、耳編み針14、16(図2、4および5)の間には少なくとも5ミリメートルの縦のすき間が必要であり、緯糸挿入針(図2、4および5には図示せず)の間にも同様なすき間が必要である。このようなすき間は、特にグラフトの本体を織るときには、管の進入点(つまり、緯糸挿入針が進入するところ)に擦り切れる部分を生じさせるようになるだろう。第1の板12(図5)が、進入点のすき間を最小に閉じることでこの問題をほとんど解決する。グラフトの本体を織る最悪の場合でも擦り切れる部分がないようにするためには、表5(付表1)に示すような経糸のドラフトを再設計する必要がある。
【0032】
普通、二本取りニードル織機で織るとき、布の縦の位置が常に一定になるように杼口を作っている、中、上の2つの層は上部緯糸で作られ、常に上側に引っ張られ、下部緯糸で作られる下の2つの層は下側に引っ張られる。これは脚部を織る場合で、安定して織るには重要である。しかし、本体を織るには、緯糸は定期的にその位置を交換するので、布を一定の高さに保つには、第2板13を挿入する(図5)。
【0033】
2枚の板12、13を配置するとともに、杼口とヘドルワイヤを改良して、緯糸をきれいに通過できるようにする。図8aには従来のニードル織機の杼口設計の概略図を示し、図8bには本体を作るおよび/または脚部を同時に織るときに本発明の操作ができるのに適した改良を示す。図8a、8bでは、杼口は上部の経糸14と下部の経糸15で描かれる隙間である。図8bの改良した杼口設計では、各緯糸が上下両方の経糸をもっており、経糸は個別のビーム16、16’をもつ。織る布は2つの別々の層7、8として作られる。緯糸挿入針11の布の落下地点での位置を、はっきりさせるために示している。注意するべきことは、杼口の上部経糸14、14’の長さは同じ杼口の下部経糸15、15’の長さと同じでなければならないが、図8bの改良型の設計では、経糸14、14’両方が同じ長さである必要はない。
【0034】
ここで、グラフトの脚部2、3(図1a)をニードル織機で織る詳細を図6aから図6fを参照して説明し、その後グラフトの本体4(図1b)をニードル織機で織る詳細を7aから図7gを参照して説明する。
【0035】
その操作を、経糸を4層で配置するとか、ニードル織機の動きのサイクルの所定の瞬間に2本の緯糸を2本の緯糸挿入針の間で入れ替えるための装備など、本質的には様々な点でミュラーニードル織機を改良したニードル織機を詳しく説明していく。明確にするために、図6aから図7gでは、発明の製織法を説明するために不可欠なニードル織機の部分のみを図示しており、ニードル織機の大きい部品は図では省略している。
【0036】
図6aから図7gのそれぞれは、管状織物の織り方向を横に切断した断面であり、図面の表面に縦に下行している。本発明のこの説明のために、「上」とは個々の図の上に向かう方向であり、「下」とは個々の図の下に向かう方向であり、相対的な言葉の「上部」および「下部」とはそれに従って解釈する。それに対応して、「左」および「右」という言葉は個々の図で同じ方向に一貫している。
【0037】
図6aから図7gに図示される連続ステップのそれぞれで、経糸をお互い別々の4つの層に分け、経糸の層を積層し、この4つの層のそれぞれが、次にともにその層の杼口を形成する2つの従属層に縦に再分割される(これら従属層のそれぞれは横断面から見て経糸の列で、厳密には点または小さな円の列で描くべきであるが、簡単にするために経糸の各従属層は1本の連続した実線で描いている)。詳述しようとするニードル織機の動きの円の適切な瞬間に、各経糸の層の2つの従属層が、各緯糸をその層の経糸にうまく織り交ぜるような相互に入れ替わる位置をそれぞれもつ(図面では、経糸を4層に配置するためのニードル織機の部品と、これらの層のそれぞれで杼口を形成する部品は図示していない)。注意するべきことは、各経糸層の2つの従属層は定期的にそれぞれの位置を相互に取り替えるが、全体としての層は積層の内部でその相対的な位置は変わらない。
【0038】
特に図6aを参照して、経糸は互いに別々で等間隔に重ね合わせた4つの層、つまり上部の外側の層22、上部の内側の層24、下部の内側の層26、下部の外側の層28の積層20に配置される。これら4つの層のそれぞれは杼口形成手段(図示せず)で各対の従属層に再分割され、各対の従属層内の他方の従属層に対するその従属層の縦の位置が、杼口形成手段でニードル織機の動きのサイクルの適切な瞬間に互いに入れ替わって、以下説明するように、第1緯糸30または第2緯糸32を織り込みサイクルの適切な段階で織りこむことができる。
【0039】
積層20の左側には一対の可動な緯糸挿入針、つまり上部の緯糸挿入針34と下部の緯糸挿入針36があり、それぞれ図3に図示する1本の針11と実質的に同一である。
【0040】
針34、36はそれぞれ第1および第2緯糸30、32にそれぞれかみ合って、各緯糸を4つの経糸層22、24、26、28の所定の1つの従属層の間に形成される杼口に挿入される(以下詳述するとおり)。針34、36は相互に機械的につながって、横方向に連動して動く。ニードル織機がその第1操作モードで動いて、グラフトの脚部2、3を織るとき(図6aから図6fに詳しく描かれるように)、第1緯糸30は連続的に上部緯糸挿入針34とかみ合ったままであり、第2緯糸32は連続的に下部緯糸挿入針36にかみ合ったままである。しかし、ニードル織機がその第2操作モードで動いてグラフトの本体4を織るとき(図7aから図7gに詳しく描かれるように)、第1緯糸30は織り込みサイクルの様々な部分で、上部の緯糸挿入針34とかみ合うか(図7a、図7b、図7cおよび図7g)、あるいは下部の緯糸挿入針36とかみ合い(図7d、図7e、および図7f)、同時に第2緯糸32は現在第1緯糸30を運んでいない緯糸挿入針34と緯糸挿入針36のどちらかによって運ばれる(図面では、第1緯糸30および第2緯糸32を上部緯糸挿入針34と下部緯糸挿入針36とに入れ替えるための手段は図示していない)。積層20の右側には、図2、図4および図5を参照して、以前に説明した対の耳編み針、つまり上部の耳編み針14と下部の耳編み針16がある。ニードル織機の操作の両方のモードの間、緯糸30、32のいずれかに上部の緯糸挿入針34が2つの上部の経糸層22、24のいずれかの各杼口を通って通過するとき、上部の耳編み針14が動作して、2つの上部の緯糸層22、24の右端で隣接する耳を一緒に編む。またニードル織機の操作の両モード中、緯糸30と32に下部緯糸挿入針36が2つの下部経糸層26、28のいずれかの各杼口を通って通過するとき、下部の耳編み針16が動作して、2つの下部の経糸層26、28の右端で隣接する耳を一緒に結合する。
【0041】
常時、耳編み針14と16は経糸層の積層20に対して同じ高さに維持される。
【0042】
図6aには全部品と材料の参照番号が含まれているが、これら参照番号は分かりやすくするために、ある図を理解するために1つ以上の参照番号が必要または便利だと考えられる場合を除き、図6bから図7gでは省略している。
【0043】
図6aに戻ると、これは緯糸挿入針34、36が経糸層の積層20から左側に横方向に引き込まれるところを示しており、上部の針34が上部の内側の層24の2つの従属層の間の杼口から第1緯糸30を引きずり出し、下部の針36が下部の外側の層28の2つの従属層の間の杼口から第2緯糸32を引きずり出している(図6aの配置がどのようになるかの説明については、後の図6fの図を参照すること)。図6aは、耳編み針14、16が経糸層の積層20から右側に横方向に引き込まれるところを示しており、直前に耳を編んでいた上部耳編み針14が2つの上部の層22、24の隣接する右端と結合し、直前に耳を編んでいた下部の耳編み針16が2つの下部の層26、28の隣接する右端を結合する。層24、28を編んだ後は、糸層の積層を整列しなおして、層22、26を織る。
【0044】
ここで図6bを参照すると、これは図6aを参照して前述した以前に完了した段階の直後の第1モードのニードル織機の操作段階を図示している。図6bに示すように、緯糸挿入針34、36は両方とも完全に右側に動いており、上部針34を上部外側経糸22の2つの従属層の間に形成される杼口に貫通させ、下部針36を下部の内側の経糸の層26の2つの従属層の間に形成される杼口に貫通させている。それによって上部の針34は第1緯糸30を右側に、上部の外側の層22の杼口から層22の右側まで運び、そこで緯糸30は上部の耳編み針14で編まれるとともに、隣接する上部の内側の層24の右端が共通の耳でこれら2つの端部と結合する。また、下部の針36は第2緯糸32を右側に、下部の内側の層26の杼口から層26の右側まで運び、そこで緯糸32は下部の耳編み針16で接合されるとともに、隣接する下部の外側の層28の右端が共通の耳でこれら2つの端部と結合する。
【0045】
図6bの織りおよび耳編み段階の後、緯糸挿入針34、36は、図6cに図示するように層22、26から完全に左側に引き離されて、織られた第1緯糸30を上部外側の層22に残し、織られた第2緯糸32を下部内側の層26に残す。同時に、耳編み針14、16が完全に右側に引き離されて、新たに編まれる耳から離れる。
【0046】
ここで図6dに移ると、これは全部上側に移動した積層20を示している。この積層の移動は上部の内側の層24を上部の緯糸挿入針34と同じ高さにし、下部の外側の層28を下部の緯糸挿入針36と同じ高さにして、ニードル織機の第1操作モードの次の段階に必要な配列を作る。積層の必要な移動は適切な手順ならどんなものでも達成できる。
【0047】
図6eはニードル織機の第1操作モードの次の段階を示しており、緯糸挿入針34、36の両方とも完全に右側に移動していて、上部の針34を上部の内側の層24の2つの従属層の間に形成される杼口に貫通させ、下部の針36を下部の外側経糸層28の2つの従属層の間に形成される杼口に貫通させている。それによって上部の針34は第1緯糸30を右側に、上部の内側の層24の杼口から層24の右側に運び、そこで緯糸30が上部の耳編み針14で編まれるとともに、隣接する上部の外側の層22の右端が共通の耳でこれら2つの端部と結合する。また、それによって下部の針36は第2緯糸32を右側に、下部の外側の層28の杼口から層28の右側まで運び、そこで緯糸32が下部の耳編み針16で編まれるとともに、隣接する下部の内側の層26の右端が共通の耳でこれら2つの端部と結合する。
【0048】
図6eの織端の耳編み段階の後、緯糸挿入針34、36が図6fに図示するように、層24、28から完全に左側に引き離されて、第1緯糸30が上部内側の層24に織りこまれ、第2緯糸32が下部外側の層28に織りこまれる。同時に、耳編み針14、16が右側に完全に引き離されて、新たに編まれる耳から離れる。
【0049】
図6fに図示する段階の後、積層20は全部下側に移動する。これは図6dを参照して説明した積層20の上側への移動と正反対で、図6aに示す配列を作るので、ニードル織機の第1操作モードのニードル織機の動きの完全なサイクルを完了する。
【0050】
注意するべきことは、筬打ち(つまり、新たに織る緯糸を打ち込む)が前述した段階のシーケンスの適切な時点で起こる(例えば、図6cで示す段階および/または図6fで示す段階)。筬打ちするために適切ならどのような手段を採用してもよいが、このような手段は図面では省略している。
【0051】
緯糸30、32を適切に送り出しながら、図6aから図6fを参照して前述した操作のサイクルを適当な回数繰返し、このニードル織機の第1操作モードで編まれる2つの管(図1aの2と3)の針挿入領域から巻いて進める。所定の長さの2つの管が織れたら、ニードル織機の操作をニードル織機の第2操作モードに切り替える。ここで図7aから図7gを参照して説明する。
【0052】
ニードル織機の第2操作モードで、グラフトの本体4(図1b)として機能する1つの管が織られることになる。2つの管を1つの管に替えたり、1つの管から2つの管に交互に替えたりすると、それぞれニードル織機の操作で製造される織物に各分岐部が形成される。各分岐部は、ニードル織機で編む普通の連続的な交互の1つ/2つの管形成で縦を切断するときの合成グラフトのY字合流部である。
【0053】
図7aは、経糸層の積層20から左側に横方向に引き込まれた緯糸挿入針34および36を図示しており、上部針34が下部の外側の層28の2つの従属層の間の杼口から第1緯糸30を引きずり出し、下部針36が上部内側の層24の2つの従属層の間の杼口から第2緯糸32を引きずり出している(図7aの配列がどのようになるのかの説明は、後の図7gの図を参照すること)。図7aはまた、経糸層の積層20から右側に横方向に引き込まれる耳編み針14、16を示しており、直前に耳を編んだ上部耳編み針14が2つの上部の層22、24の隣接する右端を結合し、直前に耳を編んだ編んだ下部耳編み針16が2つの下部の層26、28の隣接する右端を結合する。
【0054】
図7aの配列は、ニードル織機の第1操作モードでは(図6aから図6f)、第1緯糸30が2つの上部の層22、24に交互に織りこまれた一方、第2緯糸32が2つの下部の層26、28に交互に織りこまれたが、ニードル織機の第2操作モードでは(図7aから図7g)、第1緯糸30が2つの外側の層22、28に交互に織りこまれる一方、第2緯糸32が2つの内側の層24、26に交互に織りこまれることを除いて、図6aの配列に対応する(ニードル織機の第2操作モードでは、ニードル織機の第1操作モードと同じように、各耳が2つの上部の層22、24を互いに結合し、2つの下部の層26、28を互いに結合し続ける)。
【0055】
ここで図7bと図7cを参照すると、ニードル織機の第2操作モードのこれらの段階(これは図7aに図示した段階から連続して続く)は、図7aに示す始めの構成が(図6aと比較して)違う点を除き、図6bと図6cに図示したニードル織機の第1操作モードの同じ段階に対応する。
【0056】
図7dに図示するニードル織機の第2操作モードの次の段階は、ニードル織機の第1操作モードと比べ、第2モードに最も有意な違いの1つ、つまりニードル織機の操作の次の段階の準備のために、緯糸挿入針34、36の間で緯糸30、32の入替えを表している。図7a、図7bおよび図7cに示す段階では、第1緯糸30は上部の緯糸挿入針34で運ばせ、第2緯糸32を下部の緯糸挿入針36で運ばせていたが(つまり、ニードル織機の第1操作モードを通して行い、図6aから図6fで示すように)、図7d、図7eおよび図7fで示す次の段階は、第1緯糸30を下部の緯糸挿入針36で運ばせ、第2緯糸32を上部の緯糸挿入針34で運ばせなければならない。緯糸の切替えは図7dで示す段階で起こり、入れ替えはウェフトセレクタ(図示せず)で行い、第2緯糸32のウェフトセレクタは第1緯糸30のウェフトセレクタよりも積層20に横方向に近い位置にあるようにして、図4を参照して前述した、望ましくない緯糸のもつれを避けるようにする。緯糸の選択はそれぞれ各緯糸のヘドルワイヤ配列からなり、緯糸がウェフトセレクタの目を通過する。ウェフトセレクタは緯糸を挿入する方向を横切る方向に独立して移動できる。そのため、上部の緯糸挿入針34に挿入するべき糸を運ぶウェフトセレクタは、上部の緯糸挿入針34が完全に引っ込む瞬間で、サイクルの次の挿入の前に、上側に動く(図7に図示するように)。ウェフトセレクタが上側に移動すると、糸は下部緯糸挿入針36から、上部の緯糸挿入針34の上に持ち上がって、糸が針34の溝17に落ちるとともに、針が次の挿入サイクルを開始する。同時に下部の緯糸挿入針36に挿入するべき糸を運ぶウェフトセレクタがその糸を下側に移動させて、下部緯糸挿入針36の溝17に正確に配置しやすくする。ニードル織機の第2操作モードでは、このウェフトセレクタは始め、挿入サイクルの終わりに緯糸を上部の緯糸挿入針から単に持ち上げるような位置にある。緯糸の位置が入れ替わると同時に、積層20が全部上側に移動する。
【0057】
図7dに示す緯糸の入れ替えの後、ニードル織機の第2操作モードの次の段階を図7eに示すが、これは図7eでは上部の内側の層24に織りこまれるのが第2緯糸32で、下部の外側の層28に織りこまれるのが第1緯糸30であることを除けば、図6eで示す第1モードの段階に対応する(耳編みは前の通り続いている)。図7eの段階の最後に、図7fに示すように様々な針がすべて側方に引き込まれる(これは図6fに対応する)。
【0058】
ニードル織機の第2操作モードの最終段階を図7gに示す。ここでは第1緯糸30および第2緯糸32は、再び、緯糸挿入針34および緯糸挿入針36の間で入れ替えられて、第1緯糸30が上部の緯糸挿入針34に戻り、第2緯糸32が下部の緯糸挿入針36に戻る。同時に、積層20が全部、図7dの上側への移動と反対になるように下降する。図7gを参照して説明したこれらの動きで、ニードル織機の構成が図7aの始めの構成に戻り、それによってニードル織機の第2操作モードを構成する段階のサイクル、つまり折りたたみ二重構成で1つの管を織るサイクル(図1bで前に詳述したとおり)を完了する。
【0059】
緯糸30、32を適当に送り出しながら、図7aから図7gを参照して前述した操作のサイクルを適切な回数繰返し、このニードル織機の第2操作モードで織る折りたたみ一重管の針挿入領域(図1bの4)から巻きを進める。所定の長さの折りたたみ一重管を織ったら、ニードル織機をニードル織機の第1操作モードに戻す(図6aから図6fを参照して前述したとおり)。
【0060】
針の交代をさせる駆動/制御装置は、市販される二本取りニードル織機を備えた標準的な機器である。1つの管から2つの脚部の製織への切替え、またその反対の切替えは市販の二本取りニードル織機の制御装置をプログラミングすることで、簡単に制御される。
【0061】
前述したニードル織機と製織法の改良と変形は、発明の範囲を逸脱することなく採用できる。例えば、2本の緯糸挿入針34、36の各位置をニードル織機の操作中互いに入れ替えることができれば、ニードル織機の第2操作モード(図7aから図7g)は、緯糸挿入針34、36の間で緯糸30、32を入れ替えなくても、図7dと図7gの段階で針の位置を入れ替えることによって行なうことができよう。
<例1:リスク評価>
現在、二又に分かれたグラフトはミュラーシャトル織機で製造されている。これらの織機は比較的低速であって、信頼性に欠けることがあり、それで製造されるグラフトは汚れがちである。そこで、ミュラーニードル織機による二又のグラフトの製造を目的とする。この織機は以下のような多数の利点を提供できる。
(1)二又に分かれたグラフトの製造にかかる時間が短縮される。
(2)信頼性が高まり、製造中、問題があれば、運転を中止して新しいグラフトをすぐに製造できる。これは新しいグラフトの製造を始める前に、欠陥のあるグラフトの製造を完了しなければならないシャトル織機とは違う。
(3)汚れが少ないグラフトを製造する。
【0062】
異なる織機で製織されることに加え、ニードル織機で製造するグラフトは、他の織りグラフトで用いているミュラーシステムIIIの耳ではなく、ミュラーシステムIIの耳で製造する。ミュラーシステムIIの耳は、ミュラーシステムIIIの織端よりも薄く、かさ高が小さい。
【0063】
ミュラーシステムII−−緯糸をとじ糸と織り交ぜる。この種の耳はより薄い織端をもち、かさ高が小さくなる。
【0064】
ミュラーシステムIII−−耳は緯糸ととじ糸を一度に織り交ぜる。この種の耳はより厚みがあり、伝染に強い。
【0065】
以下のことを観察するために試験を実施した。
(1)ニードル織機で製造するグラフトが、シャトル織機で製造するものと同じだけ血液を漏らさなかったか。
(2)ミュラーシステムIIの耳でグラフトから血液が漏れるか。
(3)ニードル織機で製造するグラフトは、シャトル織機で製造するものとは異なる物理特性をもっているか。
(4)ミュラーシステムIIの耳はミュラーシステムIIIの耳よりも弱いか。
評価:
(1)ミュラーニードル織機で製造し、ゲル密封したグラフトについて、血液のベンチ試験を行なった。ミュラーシステムIIの織端が悪影響を受けないように、耳部分には特に注意を払った。実施した試験は、抗凝血処理した動物の血液を流体として用いる以外は、ISO 7198のパラグラフ8.2.3と同様である。簡単にいうと、調整された空気源で120mmHgに維持した血液の容器にグラフを付けた。血液をグラフトに流し込み、漏れを記入する。放置する容量が小さいため、(容量の測定ではなく)漏れの観察に依拠する。この結果を例2に示す。
(2)ニードル織機で製造したグラフトに物理的な試験を行なった。この試験は例3に詳述するようにISO 7198に従って行なった。この結果をシャトル織機で製造したグラフトの以前の結果と比較した。ここでも破裂強さと透水性について、グラフトの耳部分には、特に注意を払った。この結果を例3に示す。
(3)耳の引張り強さを判定した。これはグラフトを2cmの断片に切って行った。さらにグラフトを縦方向に切断して、耳をファブリックの中央に置くようにした。それから引張り強さをISO 7198のパラグラフ8.3.2に従って試験した。ニードル織機とシャトル織機の結果を例3に示す。
結果:
(1)血液試験の結果から、改良はグラフトの血液取扱特性には影響しないことが分かった。
(2)物理的な試験に関する報告を例3に添付する。この結果から、ニードル織機で製造したグラフトはシャトル織機のグラフトよりも薄く、縦方向に強く、空隙率が低いことが分かった。シャトル織機のグラフトは破裂強さが高い。
(3)例3の表4は耳の引張り強さを比較している。この結果から、ミュラーシステムIIの耳はミュラーシステムIIIよりもわずかに弱いことが分かった。
結論:
血液試験の結果から、ニードル織機のグラフトはシャトル織機のグラフトと同様、うまく機能することが分かった。
【0066】
物理的な試験からは、ニードル織機で織ったグラフトはシャトル織機で織ったグラフトよりも破裂強さが低いことが分かった。しかしこの破裂強さの低さは、二又のグラフトに設定した限界値をはるかに超えていた。ミュラーシステムIIの耳の引張り強さはミュラーシステムIIIの耳よりもわずかに低かった。有意ではあるが、この違いはグラフトの臨床的な性能に影響するほど高くない。ニードル織機で織ったグラフトは、シャトル織機で織ったグラフトよりも薄く、縦方向に強く、水空隙率が低い。
【0067】
この改良で証明される他のリスクを特定し、試験で処理して、改良の利点の方がはるかに勝っていることが分かった。
<例2:血液のベンチ試験の結果>
方法:
同じバッチから取り出した、内径が18×9mmのニードル織機で織った二又のグラフト7枚を、抗凝血処理した動物の血液を試験液として使用したことを除き、ISO 7198のパラグラフ8.2.3に従って血液試験した。これらグラフトはすべてミュラーシステムIIの耳を使ってミュラーニードル織機で製造した。これらグラフトのカタログ番号は731809で、バッチ番号は29784であった。さらにこれらグラフトの結果をミュラーシャトル織機で製造し、1997年8月に血液試験した同等のグラフトと比較した。試験したグラフトは次の通りであった。
【0068】
カタログ番号:732211、バッチ番号25630、25682
カタログ番号:732010、バッチ番号24517B
カタログ番号:731407、バッチ番号25034/A、24505/1A
結果:
[ニードル織機]
最初の加圧−−グラフトのいずれも漏れなかった。
【0069】
最初の引張り−−グラフトのうち2枚が漏れなかった。他の5枚のうち3枚は二又に分かれた分岐部で小さなスポット漏れがあり、残りの2枚は分岐部のすぐ下の脚部で漏れた。
【0070】
2回目の引張り−−グラフトのうち1枚が漏れず、残りの6枚のグラフトは二又に分かれたの分岐部で小さな漏れがあった。
【0071】
総体的な性能−−グラフトはすべて非常にうまく機能した。漏れは発生したが、非常に小さく、急激に密封された。各グラフトから失われた血液の総量は少なすぎて、正確に測定できなかった。
[シャトル織機]
最初の加圧−−グラフトのうち4枚が漏れず、残りはグラフトの脚部と本体に極小さなスポット漏れがあった。
【0072】
最初の引張り−−グラフトのうち2枚が漏れず、残りの3枚に分岐部に小さな漏れがあった。
【0073】
2回目の引張り−−グラフトのうち2枚は分岐部が漏れただけだが、残りの3枚は1〜3ヶ所の小さなスポット漏れがあり、これは主にグラフトの脚部であった。
【0074】
総体的な性能−−グラフトは非常に上手く機能した。小さなスポット漏れだけがグラフトの脚部に発生し、急激に密封された。グラフトから失われた血液の総量は無視できるものであった。
結論:
ミュラーニードル織機で製造したグラフトは、ミュラーシャトル織機で製造したものと同様上手く機能した。ミュラーシステムIIの耳も非常に上手く機能し、グラフトから血液が失われなかった。
<例3:ミュラーニードル織機とシャトル織機で製造した二又に分かれたグラフトの物理特性>
導入:
ミュラーニードル織機(ミュラーシステムIIIの耳)で製造した二又のグラフトの物理特性を、ミュラーシャトル織機(ミュラーシステムIIIの耳)で製造した二又のグラフトのものと比較した。
方法:
二又のグラフトをISO 7198の以下の仕様に従って試験した。
【0075】
8.2.2−−Buxton & Cooleyタイプのリグで水空隙率の判定
8.3.3.2−−製品の破裂強さの測定:本体、縫い目/黒線、分岐部
8.5−−弛緩した内径の測定
8.2.3−−グラフト全体の空隙率試験
8.8−−縫合線の維持力
8.3.2−−縦の引張り強さ
8.7.4.2−−壁の厚さ
 試験液を8%のグリセリン含有のプロパノール溶液に代えた。
試験:
以下のグラフトを試験した。
【0076】
バッチ29878から9枚のグラフトを用意した。これらはミュラーニードル織機で製造した18mm×9mmの二又のグラフトであった。ミュラーニードル織機で製造した9枚の18mm×9mmのグラフト(バッチ29784)のグラフト全体の空隙率も試験した。シャトル織機で製造した二又に分かれたグラフトの物理的な試験はすでに行なっており、その結果をニードル織機のグラフトと比較するために使った。
結果:
【0077】
【表1】
Figure 2004510071
【0078】
シャトル織機で手に入る破裂強さのデータは全体の平均だけであった。
【0079】
【表2】
Figure 2004510071
【0080】
ミュラーシャトル織機で製造したグラフトの透水性の値は、全体の平均だけであった。
【0081】
【表3】
Figure 2004510071
【0082】
二又に分かれたグラフトの全体の空隙率の試験は1996年11月に行なった。
【0083】
【表4】
Figure 2004510071
【0084】
結論:
結果の統計分析(研究者のtテスト)から、縫合線の維持力を除き、ニードル織機とシャトル織機のグラフトの物理的なパラメータは違っていることが分かる。ニードル織機のグラフトは有意に透水性が低く、縦の引張り強さが高く、壁の厚さが薄い。これら特徴はグラフトの性能を高めるであろう。
【0085】
しかし、ニードル織機のグラフトは耳では破裂強さと引張り強さが弱い。破裂強さが弱くはあるが、それでも設定した性能の限界値内に十分おさまっていた。
【0086】
システムIIとシステムIIIの耳の引張り強さの差は有意ではあるが、非常に小さい。耳の強さは、破裂強さ、縦の引張り強さおよびグラフトの血液取扱について重要な要因である。これらパラメータのいずれもマイナスの影響をもっていないため、耳の強さがわずかに低くても、グラフトの臨床的な性能には影響しない。
【0087】
【表5】(付表1)
Figure 2004510071

【図面の簡単な説明】
【図1】aは二又に分かれた管状グラフトの脚部の断面図であり、bは二又に分かれた管状グラフトの本体の断面図
【図2】図1bの本体を織るときに使う2本の緯糸の交換を示す図
【図3】緯糸針の停止点または停止点の非常に近くで、緯糸を交換するのに適した針を示す図
【図4】正確に配置しない場合に緯糸が互いにどのようにキャッチするかを示す図
【図5】織物を針の間隔と同じ量だけ離すために使う2枚の板を示す図
【図6】血管グラフトの脚部をニードル織機織りする連続ステップを示す図
【図7】血管グラフトの本体をニードル織機織りする連続ステップを示す図
【図8】aはニードル織機用の従来の設計の杼口を示す図であり、bは本発明の二本取りニードル織機の操作ができる改良型の杼口を示す図
【符号の説明】
22 (経糸の上部の外側の)層(第1層)
24 (経糸の上部の内側の)層(第2層)
26 (経糸の下部の内側の)層(第3層)
28 (経糸の下部の外側の)層(第4層)
30 (第1)経糸
32 (第2)経糸
34 (上部の緯糸挿入)針
36 (下部の緯糸挿入)針

Claims (14)

  1. 管状織物の製織法であって、その方法が、
    経糸の第1層、第2層、第3層、第4層の積層を作るための工程と、
    前記層で形成される杼口から横入れし、前記経糸の層の片側から第1針および第2針を挿入する第1緯糸および第2緯糸で行なう織るための工程と、
    各緯糸を前記経糸の層の選択的な対に交互に挿入するための工程と、
    前記層の反対側の緯糸ループを、第1層と第2層、第3層と第4層とで一緒に編み、対の耳を作るための工程と、
    からなることを特徴とする製織法。
  2. 請求項1に記載の方法において、第1緯糸を経糸の第1層および第2層に交互に挿入し、第2緯糸を経糸の第3層および第4層に交互に挿入して、2つの重ね合わせた管を作ることを特徴とする製織法。
  3. 請求項1に記載の方法において、第1緯糸を経糸の第1層および第4層に交互に挿入し、第2緯糸を経糸の第2層および第3層に交互に挿入して、C字形に折りたたまれた1つの管を作ることを特徴とする製織法。
  4. 二又に分かれた管状織物の製織法であって、その方法が、請求項2の方法で対の管を織るための工程と、その後か前に同じ経糸と緯糸を使って請求項3の方法で1つの管を織るための工程とからなることを特徴とする製織法。
  5. 前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法において、緯糸ループを互いに編むことを特徴とする製織法。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法において、緯糸ループをとじ糸と一緒に編むことを特徴とする製織法。
  7. 前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、管状織物が外科用グラフトまたは獣医用グラフトであることを特徴とする製織法。
  8. 請求項7に記載の方法において、管状織物が二又に分かれた、大動脈グラフトまたは腸骨グラフトであることを特徴とする製織法。
  9. 請求項1乃至6のいずれかの方法で製造される管状織物。
  10. 請求項1から6のいずれかの方法で製造されるグラフト。
  11. 管状織物を織るためのニードル織機であって、そのニードル織機が、
    経糸を重ね合わせた第1層、第2層、第3層、第4層の経糸層に配置するための経糸配置手段と、
    前記経糸層のそれぞれに杼口を形成するための杼口形成手段と、
    前記経糸層の片側から第1緯糸および第2緯糸を挿入するための第1緯糸挿入針および第2緯糸挿入針と、
    経糸の第1層および第2層と、第3層および第4層でそれぞれ形成される緯糸ループを一緒に編むための、経糸層の反対側にある上下の耳編み手段と、
    第1緯糸を経糸の第1層および第2層に交互に通し、第2緯糸を経糸の第3層および第4層に交互に通すことによって、2つの重ね合わせた管を形成する第1モードと、第1緯糸を経糸の第1層および第4層に交互に通し、第2緯糸を経糸の第2層および第3層に交互に通すことによって、C字形に折りたたまれた1つの管を形成する第2モードの2つのモードの一方でニードル織機を選択的に操作させることのできる制御手段と、
    からなることを特徴とするニードル織機。
  12. 請求項11に記載のニードル織機において、第1緯糸挿入針および第2緯糸挿入針が、経糸層の間の間隔と同様の間隔に積重ねて配置され、制御手段が緯糸挿入針と経糸層との総体的な縦の動きを生じさせることのできることを特徴とするニードル織機。
  13. 請求項12に記載のニードル織機において、第1緯糸挿入針が経糸の第1層および第2層と交互に並び、第2緯糸挿入針が経糸の第3層および第4層と交互に並び、前記第2モードで操作しているとき、経糸が前記総体的な動きと同期して第1緯糸挿入針および第2緯糸挿入針の間で入れ替わることを特徴とするニードル織機。
  14. 請求項13に記載のニードル織機において、第1緯糸が第1ウェフトセレクタを通過し、第2緯糸が前記第1ウェフトセレクタよりも経糸層の近くに位置する第2ウェフトセレクタを通過することを特徴とするニードル織機。
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