JP2004509890A - 新規な化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、突然変異体p53蛋白質のアポプトシス誘発機能を再活性化することができる、それぞれ式IおよびIIに相当する新規な化合物を提供する。この再活性化は、突然変異体p53蛋白質に対する配列特異性DNA結合活性および転写トランス活性化機能の回復、並びにp53蛋白質のコンフォメーション依存性エピトープの変調によって与えられる。従って、本発明による物質は、色々なタイプの腫瘍に悩む患者を治療する製剤組成物および方法において使用される。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、突然変異体p53のアポプトシス誘発機能を回復させることができる新規な低分子量化合物に関する。本発明は、また、この新規な化合物を含む製剤組成物、並びにこれら新規化合物を、それらを必要とする哺乳動物に投与することを含む癌の治療方法に関する。
【0002】
(背景)
腫瘍中の最も一般的な突然変異標的はp53遺伝子である。ヒトの全腫瘍のおよそ半分がこの遺伝子中に突然変異を持っているという事実は、腫瘍サプレッサーとしての決定的役割に関して強力な証拠である。p53は細胞周期を停止させ、および/またはDNA損傷、低酸素症および腫瘍遺伝子の活性化を含めて種々のストレス刺激に応答してアポプトシスを誘発する(KoおよびPrives、1996年; Sherr、1998年)。活性化により、p53は、そのDNA結合作因を持つ特異性標的遺伝子の転写トランス活性化(transcriptional transactivation)によりp53依存性生体応答を開始させる。加えて、多面p53蛋白質は、p53結合点を欠くある種特定の遺伝子を抑制することによって、そしてまた転写依存性機構によってアポプトシスを促進することができる(Bennett等、1998年; GottliebおよびOren、1998年; KoおよびPrives、1996年)。ヒトの腫瘍中の非常に多数の突然変異体p53遺伝子の分析は、p53の特異性DNA結合機能を不活性化する突然変異に対する強い選択性を明らかにした;腫瘍中におけるほとんどの突然変異は、特異性DMA結合活性を含んでいるp53のコアドメイン(残基94−292)中に集中発生せしめられる点突然変異である(BeroudおよびSoussi、1998年)。
【0003】
p53誘発細胞周期の停止およびアポプトシスは、共に、p53媒介腫瘍抑制に関係があり得るだろう。p53誘発細胞周期停止は異なる仕方で逆転され得ると思われるが、p53誘発細胞死には不可逆的であるという利点があるだろう。実際、動物の生体内モデル(Symonds等、1994年)およびヒトの腫瘍(Bardeesy等、1995年)から、p53依存性アポプトシスが、特に腫瘍原生信号発生に反応した発生腫瘍の排除において主要な役割を果たすことを示す証拠がある。さらに、p53のアポプトシス誘発能は癌治療の効力を決めることが多い(Lowe等、1994年)。ヒト腫瘍の50%より多くがp53突然変異を伴っているという事実を考慮すると、腫瘍に対する野生型p53媒介増殖抑制の機能を回復させることが極めて望ましいと思われる。このアプローチの利点は、突然変異体p53を持っている腫瘍細胞の選択的排除を可能にするということである。腫瘍細胞は、多分2つの主たる理由から、p53の再活性化に特に敏感である。第一に、腫瘍細胞は腫瘍遺伝子の活性化に因りアポプトシスに対して敏感になる((EvanおよびLittlewood、1998年)で概説されている)。第二に、突然変異体p53蛋白質は、腫瘍細胞中に高いレベルで蓄積する傾向がある。従って、豊富な、そしておそらくは「活性化した」突然変異体p53に対する野生型機能の回復は、すでに敏感になっている腫瘍細胞中で大量のアポプトシス応答を引き起こすと思われ、これに対してp53を低いまたは検出できないレベルで発現させる正常細胞は影響を受けないだろう。p53再活性化の抗癌剤戦略としての実行可能性は、広範囲の突然変異体p53蛋白質が再活性化を受けやすいという事実によって支持される。p53誘発アポプトシスを取り戻すことに基づく治療戦略は、従って、強力、かつ同時に広範に適用可能であろう。
【0004】
これらの知見は、それらを併せ考えると、p53機能の薬理学的回復がその結果として腫瘍細胞を排除させるだろうことを強く示唆している。従って、この分野には、p53機能のそのような回復を可能にする物質および方法を明らかにする必要が存在する。
【0005】
上記の目的に対して、p53は細胞の増殖と死を制御する遺伝子の転写活性化因子として作用する特異性DNA結合蛋白質であることが明らかにされている。かくして、p53蛋白質のアポプトシス誘発能は、その特異性DNA結合機能に依存性である。p53のコアドメイン中に、特異性DNA結合を破壊するアミノ酸置換基を持っている突然変異体p53蛋白質は、細胞中にアポプトシスを誘発させることはできない。従って、上記で定義したそのような物質および方法を得るためには、p53の特異性DNA結合の再活性化が、病的状態の間に腫瘍中にp53依存性アポプトシスを誘発するために不可欠である。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、突然変異体p53蛋白質のアポプトシス誘発機能を再活性化することができる、式IおよびIIにそれぞれ対応する新規な化合物を提供するものである。この再活性化は、突然変異体p53蛋白質に対する配列特異性DNA結合活性および転写トランス活性化機能の回復、およびそのp53蛋白質のコンフォメーション依存性エピトープの変調によって与えられる。よって、本発明による物質は、色々なタイプの腫瘍を患っている患者を治療するための製剤組成物および方法において使用される。
表Iは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、異なるヒト腫瘍細胞株の増殖をいかにして突然変異体p53依存様式で抑制するかを例証する。
表IIは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、コロニーの形成をいかにして突然変異体p53依存様式で阻害するかを説明する。
表IIIは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、いかにして突然変異体p53の転写トランス活性化機能を回復させるかを説明する。
表IVは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、いかにして異なる突然変異体p53蛋白質の配列特異性DNA結合を回復させるかを例証する。
表Vは、MIRA−3およびPRIMA−2が、コロニーの形成をいかにして突然変異体p53依存様式で阻害するかを説明する。
【0007】
定義
本発明においては、次の用語が用いられる:
【0008】
本発明に開示される用語「物質S」または「化合物S」は、共に、以下の式Iによる化合物に関する:
Figure 2004509890
【0009】
但し、上記の式において、RまたはRは同一または異なり、そして水素、C1−15アルキル、C1−15アルケニル、C1−15アルキニル、C1−15アルコキシ、C1−15アルキルアミノ、アリール、C6−15アリールアルキル、C1−15アルキルカルボキシ、C2−15アルキルアルキルカルボキシレート、C1−15アルキルチオ、C1−15アルキルヒドロキシの群から選ばれ、ここで該基は場合によってハロゲンにより置換されていることができる。好ましい化合物は、以下に示される2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オンである。この化合物はPRIMA−1とも称される:
Figure 2004509890
【0010】
式Iによるもう1つの好ましい化合物は、以下に示される9−(アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オン)−6−クロロ−9H−プリンである:
Figure 2004509890
【0011】
本発明に開示される用語「物質F」または「化合物F」は、共に、以下の式IIによる化合物に関する:
Figure 2004509890
【0012】
但し、上記の式において、Rは水素、C1−15アルキル、C1−15アルケニル、C1−15アルキニル、C1−15アルコキシ、C1−15アルキルアミノ、アリール、C6−15アリールアルキル、C1−15アルキルカルボキシ、C2−15アルキルアルキルカルボキシレート、C1−15アルキルチオ、C1−15アルキルヒドロキシの群から選ばれ、ここで該基は場合によってハロゲンにより置換されていることができる。好ましい化合物は、以下に示される1−N−Cl−(プロピオニルオキシメチル)−マレイミドである:
Figure 2004509890
【0013】
この化合物はMIRA−1とも称される。式IIによる他の好ましい化合物は、N−アセチルオキシ−メチル−マレイミドおよびN−ヒドロキシメチル−マレイミドである。
【0014】
用語「ハロゲン」、「ハロ」または「ハリド」(「ハライド」)は、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。用語「立体異性体」は、同じ結合によって結合されている同じ原子からできているが、相互に変換できない異なる三次元構造を有する化合物を意味する。本発明の化合物は遊離形、例えば両性形をしていてもよいし、或いは塩、例えば酸付加塩またはアニオン性塩の形をしていてもよい。遊離形の化合物はこの技術分野で公知の方法で塩の形に転化させることもできるし、その逆も可能である。
【0015】
式Iの化合物の製剤上許容できる塩(水溶性または油溶性若しくは油分散性の生成物の形をしている)には、これら化合物の、例えば無機または有機の酸または塩基から形成される常用の無毒性の塩または四級アンモニウム塩がある。このような酸付加塩の例を挙げると、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パエモエート(paemoate)、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラートおよびウンデカン酸塩がある。塩基の塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような有機塩基との塩並びにアルギニン、リシンのようなアミノ酸との塩等がある。また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルクロリド、ブロミドおよびヨージッドのような低級アルキルハリド;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルスルフェートのようなジアルキルスルフェート;デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロリド、ブロミドおよびヨージッドのような長鎖ハリド、ベンジルおよびフェネチルブロミドのようなアラルキルハリド、その他のような試剤で四級化することができる。
【0016】
本発明で使用される用語「アルキル」は、一般に、外に指摘されなければ、直鎖、分枝鎖およびそれらの環化したもの、特にメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、−CH−t−ブチル、シクロプロピル、n−プロピル、ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシルおよびシクロヘキシルメチルのような部分を包含する。同じことが用語「アルケニル」および「アルキニル」にも当てはまる。用語「アラルキル」が用いられるとき、それはアルキレン橋掛け部分、好ましくはメチレンまたはエチレンに結合されているそのようなアリール部分を包含する。
【0017】
「アリール」は炭素環式および複素環式の両部分を包含し、その内ではフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、インダゾリル、フリルおよびチエニルが主に興味深いものである;これらの部分は、例えば2−、3−または4−ピリジル、2−または3−フリルおよびチエニル、1−、2−または3−インドリル或いは1−および3−インダゾリル、並びにフリルおよびチエニル部分のジヒドロおよびテトラヒドロ類似体のような上記部分の位置異性体を包含する。用語「アリール」には、また、ペンタレニル、インデニル、ナフタレニル、アズレニル、ヘプタレニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセフェナントリレニル、アセアントリレニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニルおよびナフタセニルのような縮合カルボン酸部分も包含される。用語「アリール」には、また、2−または3−ベンゾ[b]チエニル、2−または3−ナフト[2,3−b]チエニル、2−または3−チアントレニル、2H−ピラン−3−(または4−若しくは5−)イル、1−イソベンゾフラニル、2H−クロメニル−3−イル、2−または3−フェノキサチイニル、2−または3−ピロリル、4−または3−ピラゾリル、2−ピラジニル、2−ピリミジニル、3−ピリダジニル、2−インドリジニル、1−イソインドリル、4H−キノリジン−2−イル、3−イソキノリル、2−キノリル、1−フタラジニル、1,8−ナフチリジニル、2−キノキサリニル、2−キナゾリニル、3−シンノリニル、2−プテリジニル、4aH−カルバゾール−2−イル、2−カルバゾリル、ベータ−カルボリン−3−イル、3−フェナントリジニル、2−アクリジニル、2−ペリミジニル、1−フェナジニル、3−イソチアゾリル、2−フェノチアジニル、3−イソオキサゾリル、2−フェノオキサジニル、3−イソクロマニル、7−クロマニル、2−ピロリン−3−イル、2−イミダゾリジニル、2−イミダゾリン−4−イル、2−ピラゾリジニル、3−ピラゾリン−3−イル、2−ピペリジル、2−ピペラジニル、1−インドリニル、1−イソインドリニル、3−モルホリニル、ベンゾ[b]イソキノリニルおよびベンゾ[b]フラニルのような他の複素環式基も包含される;上記複素環式基は、その複素環式部分がそれらの窒素、C1−6アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、メルカプト、ニトロ、カルボキサアルデヒド、カルボキシ、カルボアルコキシおよびカルボキサミドから独立に選ばれる1個、2個または3個の置換基を介して直接結合され得ないことを除けば、それら基の位置異性体を包含する。
【0018】
全ての(C1−15)部分は好ましくは(C1−6)部分であり、そしてC1−6アルキル、C1−6アレニル、C1−6アルコキシおよびヒドロキシC1−6アルキルのような全ての(C1−6)部分は、さらに好ましくは(1−6個の炭素原子の代わりに1−3個の炭素原子を含む)C1−3部分である。
【0019】
「誘導体」は、元の物質Fおよび/またはSの化学構造を変えることによって変更された物質である。上記物質のこのような誘導体は、その物質の本質的活性を基本的に変えずに1個または2個以上の官能基を挿入、削除または置換を伴っていることができる。
【0020】
「官能性類似物質(functional mimetic)」は、FおよびSの断片または活性部分を含まなくてもよいが、物質FおよびSの性質の一部または全部、特にその類似物質に結合することによって突然変異体p53のアポプトシス誘発機能を再活性化する性質を有する物質を意味する。さらに具体的に述べると、好ましい官能性類似物質は、構造の一部分または全部がもう1つの構造によって置換されている化合物であることができる。本発明によるこのような官能性類似物質は、本発明による物質Fおよび/またはS中の活性基の三次元配置によく似ている反応性化学的部分の空間配置を与える。この同様の活性部位幾何配置の結果として、この官能性類似物質は生体系に対して元の分子の生物活性と同様の効果を有する。
【0021】
「官能性部分」は、物質Fおよび/またはS由来でない分子(non−substance F and/or S−derived molecule)、例えば標識、薬物またはキャリアー分子を意味する。
【0022】
本発明で用いられる用語「標識」は、検出可能な信号を与えるために本発明の物質に共有結合かまたは非共有結合のいずれかで結合されている部分を意味する。従って、このような「標識」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的または化学的な手段で検出することができる。例えば、有用な標識に、32−P、蛍光染料、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAで一般に使用される酵素)、ビオチン、ジオキシゲニン(dioxigenin)、または抗血清若しくはモノクローナル抗体が利用できるハプテン類および蛋白質がある(例えば、前記式の物質は、例えば物質に放射性標識を組み込むことによって検出可能にすることができるか、またはその物質に対して特に高められた抗体を検出するために使用することができる)。
【0023】
用語「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子若しくは免疫グロブリン遺伝子類、または分析物(抗原)を特に結合および認識するそれら遺伝子(類)の断片によって実質的にコード化されたポリペプチドを意味する。
【0024】
(発明の詳細な説明)
従って、本発明は、第一の面において、突然変異体p53の野生型コンフォメーション、並びに配列特異性DNA結合、転写トランス活性化、およびアポプトシス誘発機能を回復させる能力がある物質FおよびSに関する。物質Sは2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オン(PRIMA−1)(図1B)、またはその構造の官能性類似物質を含む。物質Fは1−(プロポキシメチル)−マレイミド(MIRA−1)(図1A)、またはその構造の官能性類似物質を含む。かくして、これら物質は式IおよびIIの構造と同一である必要はなく、それらの活性が保存されている限り変種を包含し得ることが理解されるべきである。しかして、この物質は、また、式IおよびIIの構造を有する誘導体またはその活性部分であることもできる。この文脈において、「活性部分」とは、物質Fまたは物質Sの完全な構造よりも少ない基を含むが、突然変異体p53の機能を取り戻す性質を保持している上記物質の一部分を意味する。また、本出願においては、たとえ他の起源のp53分子も考え得るとしても、ヒトp53が特に好ましいことも理解されるべきである。
【0025】
かくして、WO93/24525号明細書は、ヒトp53蛋白質から誘導されたアミノ酸配列がp53の過剰発現を含む疾患の治療において有用であるだろうことを示唆したけれども、低分子量化合物FおよびSに、突然変異体p53蛋白質のアポプトシス誘発機能の再活性化によってそのような効果を発揮する能力があることを特定して述べるのは、本発明が最初である。
【0026】
さらに具体的に述べると、本発明による物質は、突然変異体(欠損性)p53に対して配列特異性DNA結合活性を回復させることによってp53のアポプトシス誘発機能の上記再活性化を与えることができる。かくして、たとえ、WO95/19367号明細書が、DNA結合点に対するp53の結合がアポプトシス調節遺伝子の発現に影響することがあることを示唆していたとしても、物質FおよびSによる突然変異体p53のアポプトシス誘発機能の再活性化が本発明以前に確認されたことはいまだかってなかった。
【0027】
本発明のある好ましい態様においては、前記物質またはその官能性類似物質がその物質のp53再活性化効果を高める官能性部分にカップリングされている。前記のように、このような部分は、例えば標識、薬物またはキャリアー分子であることができる。1つの態様において、官能性部分は本発明の物質にカップリングされているキャリアー分子である。もう1つ別の態様では、官能性部分はp53再活性化性分子である。
【0028】
かくして、1つの態様では、本発明の物質は検出可能な信号を与える標識にカップリングされている。広範囲の標識および結合技術が知られ、かつ科学および特許の両文献で広く報告されている。適した標識に、各種の放射性標識、酵素、基質、補助因子、阻害剤、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子等がある。
【0029】
本発明の物質の製造に関し、例えば1987年3月の文献に一般的方法が見いだされる。一旦合成されると、本発明による分子は、HPLC精製技術または他のクロマトグラフィー技術、ゲル電気泳動法等を含めてこの技術分野の標準的な方法に従って精製することができる;Scopes著・蛋白質の精製(Protein Purification)、Springer−Verlag社、NY州、1982年を一般的に参照されたい。官能性類似物質の製造には、元の物質よりも高い効力および/またはより大きなバイオアベイラビリティーおよび/またはより大きな安定性を持つ新規な組成物の開発技術が、例えば1987年3月の文献に見いだすことができる。
【0030】
WO95/17213号明細書は、p53が行い、それによってp53の転写が活性化され得る同じDNAに結合する分子に関する。かくして、WO95/17213号明細書はp53調節遺伝子の転写の活性化に関するけれども、それは異なる分子の使用によって本発明とは別の他の問題を解決するものである。
【0031】
WO97/14794号明細書およびFoster等による刊行物(1999年)も、潜在性p53の配列特異性DNA結合活性の活性化法の問題に関する。これを達成するために、p53のC−末端調節用ドメインの断片、または低分子量化合物が使用される。しかし、野生型を活性化するためにC−末端調節用ドメイン(WO97/14794号)が使用されたが、本発明が述べる突然変異体p53蛋白質ではなかった。さらに、Foster等の文献(1999年)に記載されるものとは異なる薬理作用団を有する低分子量合成化合物が本発明の基礎をなしている。
【0032】
よって、p53のアポプトシス誘発機能を再活性化するのに使用できる低分子量化合物が確認された。突然変異体p53の機能の回復は、生存細胞において、それら細胞を組織培養培地中で上記物質により処理することによって達成することができる。加えて、物質FおよびSには、p53の配列特異性DNA結合活性を再活性化する能力があることも見いだされた。物質FおよびSは、試験管内におけるp53のDNA結合および生存細胞中おけるp53のトランス活性化機能を回復することが明らかにされる。
【0033】
第二の面において、本発明は、本発明による物質を、上で定義したように製剤上許容できるキャリアーと共に含む製剤組成物に関する。本発明による、本発明に従って使用するための製剤組成物は、上記物質の1つに加えて、製剤上許容できる添加剤、緩衝剤若しくは安定剤、またはこの技術分野の当業者によく知られている、意図した用途に適切な他の任意の材料を含むことができる。このような材料は無毒性でなければならず、また活性成分の効力を妨害すべきでない。この目的に対する技術およびプロトコルの例は、例えば、Osol, A.(編)のRemington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、1980年に見いだすことができる。
【0034】
本発明による組成物は任意の投与ルート用に、例えば経口、静脈内、皮膚若しくは皮下、鼻、筋肉内または腹腔内投与用に調製することができる。キャリアーまたは他の材料の正確な性状は投与ルートに依存する。非経口投与には、発熱性物質を含まず、そして必要なpH、等張性および安定性を有する、非経口投与に許容できる水溶液が用いられる。この技術分野の当業者はふさわしい溶液を調製することが十分にでき、そして数多くの方法が文献に記載されている(薬物を送達する方法の簡潔な概観については、LangerのScience、249:1527−1533(1990)を参照されたい)。防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤および/または他の添加剤を必要に応じて含めることができる。投薬レベルは、この技術分野の当業者であれば、治療されるべき疾患、個々の患者の状態、送達部位、投与方法、その他の因子を考慮して決めることができる。上記の技術およびプロトコルの例は、Osol, A.(編)のRemington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、1980年に見いだすことができる。
【0035】
もう1つの態様において、本発明による組成物は1種または2種以上の追加のp53再活性化剤をさらに含む。
【0036】
本発明の第三の目的は、上記で定義した物質の医薬品としての使用である。特に、本発明は、これら物質の、突然変異体または野生型p53蛋白質を含んでいる、異なる起源のヒトの腫瘍を治療するための医薬品としての使用に関する。従って、本発明は、また、ヒト腫瘍の治療用医薬品の製造における上記で定義した物質の使用に関する。
【0037】
本発明のもう1つの面は、突然変異体p53蛋白質に対して増殖抑制機能を回復する能力のある化合物をスクリーニングする方法であって、本発明による物質が使用される上記の方法である。本発明の物質は、上記の物質、またはp53分子上の同じ部位に結合している化合物の生物活性の1つまたは2つ以上を有する化合物をスクリーニングする方法で使用することができる。従来の方法においては、候補化合物は合成組み合わせライブラリー(synthetic combinatorial library)から選ぶことができる。類似物質のスクリーニング法の例には次のものがある:
【0038】
A.調節可能プロモーターの(例えばテトラサイクリンによる)制御下で突然変異体p53を発現する細胞を96ウエルの微量定量プレートに接種し、続いて低分子量化合物のライブラリーで処理し、そして処理の24−48時間後にWST−1試薬(Roche)を用いて候補化合物による増殖抑制を検出する方法。
【0039】
B.前記物質、および無標識候補化合物のライブラリーを用いて、突然変異体p53に対する増殖抑制機能の回復において上記物質と相乗作用をする候補化合物を見いだす方法。
【0040】
本発明のさらなる面は、突然変異体p53蛋白質の増殖抑制機能を再活性化する能力がある有機化合物を設計する方法であって、本発明による物質が「導出(lead)」化合物として用いられる上記の方法である。その1つの好ましい態様においては、その有機化合物は、好ましくは実質的に同じ活性を示す、式Iまたは/および式IIの三次元構造、或いはこれら構造のより短い断片に似るようにモデル化されている。
【0041】
既知の製剤活性化合物に対する類似物質の設計は、「導出」化合物に基づく医薬の開発に対する既知のアプローチである。このアプローチは、活性な化合物が合成困難であるかまたはその合成コストが高いか、或いは有毒な作用を有するときに、またはその化合物が特定の投与方法に不適当であるときに望ましいかもしれない。類似物質の設計、合成および試験は、一般に、非常に多数の分子を目標の性質のためにランダムスクリーニングすることを避けるために使用される。
【0042】
目標とする所定の性質を有する化合物からの類似物質の設計においては、一般に採用される幾つかの工程がある。まず、目標の性質を決定するに当たって決定的および/または重要である化合物の特定の部分を決める。これは、物質中の側基(side groups)を系統的に変えることによって、例えば各基を順番に置き換えることによって行うことができる。その化合物の活性領域を構成する物質部分が、その「薬理作用団」として知られるものである。
【0043】
薬理作用団を見いだしたら、その構造を、ある範囲のデータ源(分光技術、X線回折データおよびNMR)からのデータを用いて、その物理的性質、例えば立体化学、結合、大きさおよび/または電荷に従ってモデル化する。このモデル化法では、コンピューター解析技術、相似マッピング技術(原子間の結合ではなく薬理作用団の電荷および/または容積をモデル化する)、その他の技術が使用できる。
【0044】
このアプローチのある1つの変形では、配位子およびその結合相手の三次元構造がモデル化される。これは、配位子および/または結合相手が結合すると直ちにコンフォメーションを変え、モデルをしてこれを類似物質の設計において考慮できるようにするときに特に有用である可能性がある。
【0045】
次に、薬理作用団をまねる化学的基をグラフトさせることができるテンプレート分子が選ばれる。テンプレート分子およびその分子に対してグラフトされる化学的基は、普通、その類似物質がその合成が容易であり、薬理上許容できる見込みがあり、そして生体内で分解せず、同時に導出化合物の生物活性を保持しているように選ぶことができる。このアプローチで見いだされる類似物質または類似物質類は、次に、それらが目標の性質を有しているかどうか、またはそれらがどの程度その性質を示すかを見るために、スクリーニングに掛けることができる。生体内または臨床試験用の1種または2種以上の最終類似物質に至るために、さらなる最適化または修飾を行うことができる。
【0046】
この関係において、文献に記載される方法が所望とされる結合活性に関してライブラリーの効率的スクリーニングを可能にする(PluckthunおよびGeの Angew. Chem. Int. Ed. Engl.、30, 296−298(1991);米国特許第5,733,731号、同第5,872,015号および同第5,612,895号明細書を参照されたい)。さらに、三次元データベース比較のためのアルゴリズムが文献において入手できる;例えば、Cooper等のJ. Comput.−Aided Mol. Design、3:253−259(1989)およびその中の引用文献;Brent等のJ. Comput.−Aided Mol. Design、2:311−310(1988)およびその中の引用文献を参照されたい。このようなサーチのための市販ソフトウエアも、カリフォルニア州92714、IrvineのDay Light Information Systems, Inc.およびカリフォルニア州94577、San LeandroのMolecular Design Limited, 2132 Faralton Driveのような売り主から入手できる。
【0047】
最後に、本発明は、また、本発明による物質が用いられる医学的治療法に関する。
【0048】
図面の詳細な説明
図1は、1−(プロポキシメチル)−マレイミド(A)および2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オン(B)の構造式を示す。
【0049】
図2は、物質MIRA−1およびPRIMA−1が突然変異体p53を発現させる細胞の増殖をどのようにして抑制したか、しかしp53の発現を欠く細胞の増殖にはどのようにして影響を及ぼさなかったかを例証するものである。さらに具体的に述べると、図2Aは、MIRA−1およびPRIMA−1化合物が突然変異体p53を発現するSaos−2 His−273細胞の増殖をどのようにして抑制するかを示す。これに対して、p53の発現を欠くSaos−2細胞に対する処理効果はかなり小さかった。このグラフは、突然変異体p53の存在下および非存在下で化合物MIRA−1およびPRIMA−1により処理された細胞の、無処理細胞と比較しての、WST−1細胞増殖試薬の低下百分率として表される生存率間の違いを例証している。WST−1低下の程度は生存細胞の数を反映するもので、ミクロ平板読み取り装置でメーカー(Roche)に従ってλ490nmにおいて測定された。増殖抑制率は無処理細胞と処理細胞との間のλ490nmにおける吸光度の違いとして計算され、無処理対照からのパーセントで表された。増殖抑制率=100%×(対照細胞吸光度−処理細胞吸光度)/対照細胞吸光度。2つの化合物、即ち化合物MIRA−1およびPRIMA−1は突然変異体p53を発現する細胞の増殖を抑制するが、p53の発現を欠く細胞の増殖には影響を及ぼさないことが確認された。図2Bは、PRIMA−1が、ドキシサイクリン依存性プロモーターの制御下で、p53のHis−273およびHis−175突然変異体を発現する3細胞株の増殖を抑制することを示す。これら3細胞株において、PRIMA−1は細胞に対する増殖抑制効果を突然変異体p53依存様式で示す。図2Cは、突然変異体p53の非存在下または存在下におけるPRIMA−1処理Saos−2−His−273細胞の増殖曲線を示す。図2Dは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が突然変異体p53発現性細胞の増殖を支配的に抑制することを示す。化合物MIRA−1およびPRIMA−1のこの増殖を抑制する能力は、異なるp53状態を持つ16細胞系、即ちp53を発現しない細胞(p53なし)、野生型p53を発現する細胞、および異なる突然変異体p53蛋白質を発現する細胞を用いて試験された。実験の設定は、図2Aで説明されるとおりであった。生存率の違いは、独立t−試験によれば統計的に有意であった。
【0050】
図3は、Saos−2−His−273細胞系におけるPRIMA−1およびMIRA−1によるアポプトシスのp53依存誘発性を例証するものである。さらに具体的に述べると、図3Aは、カスパーゼ阻害剤がSaos−2−His−273細胞において化合物PRIMA−1およびMIRA−1による細胞死誘発をいかにして抑制するかを示す。アポプトシスの誘発は、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色されたエタノール固定細胞のFACS分析によって、サブ−G1母集団の百分率として測定された。ドキシサイクリンの非存在下で増殖されたSaos−2−His−273に、化合物PRIMA−1およびMIRA−1(それぞれ25μMおよび100μM)による処理前に、カスパーゼ阻害剤・Z−DEVD−FMKおよびBOC−D−FMK(Enzyme Systems Products、CA州)が5μg/mLの濃度で加えられた。無処理培養物中およびカスパーゼ阻害剤だけで処理された対象培養物中の死亡細胞の百分率が差し引かれた。図3Bは、PRIMA−1で25μMの濃度で48時間処理されたSaos−2−His−273細胞のTUNEL染色を述べるものである。細胞核を染色するのにHoechst染色が用いられた。図3Cは、Saos−2細胞およびSaos−2−His−273細胞における化合物PRIMA−1およびMIRA−1によるアポプトシスの誘発を示す。アポプトシス性細胞(apoptotic cells)の百分率は図Aで説明されたFACS分析によって測定された。上部パネル:アポプトシスは10μMのMIRA−1による処理の48時間後にp53を発現するSaos−2−His−273細胞(ドキシサイクリンなし)中に誘発されたが、p53なしのSaos−2細胞中には誘発されなかった。物質PRIMA−1(50、75および125μM)およびMIRA−1(10μM)。下部パネル:アポプトシスはPRIMA−1(50、75および125μM)で突然変異体p53発現性Saos−2−His−273細胞中に誘発されたが、これに対して、Saos−2細胞にp53の発現がない場合PRIMA−1は効率がはるかに低かった。
【0051】
図4は、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、ELISAを使用するとき、p53本来(野生型)のコンフォメーションをいかにして安定化するかを示す。さらに具体的に述べると、図4Aは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、37℃における30分間のインキュベーションによって、p53蛋白質の加熱不活化によるコンフォメーション依存性PAb1620エピトープをどのように保存するかを例証している。上部パネル:GST−野生型p53蛋白質;中央パネル:GST−His−175突然変異体p53蛋白質;下部パネル:GST−Gln−248突然変異体p53蛋白質。蛋白質プレパラートはPRIMA−1およびMIRA−1の存在下かまたは非存在下のいずれかで加熱され、そしてELISAで分析された。氷上でインキュベートされた対照試料の吸光度を100%として選んだ。図4Bは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、37℃で加熱したときにp53蛋白質中でのPAb240エピトープの出現として測定されるp53蛋白質の変性をいかにして防ぐかを示す。上部パネル:GST−野生型p53蛋白質;下部パネル:GST−His−175突然変異体p53蛋白質。図4Cは、PRIMA−1およびMIRA−1はコンフォメーション依存性エピトープDO−1に影響を及ぼさないことを示す。p53蛋白質の37℃におけるインキュベーションによってDO−1エピトープに変化は観察されなかった。上部パネル:GST−野生型p53蛋白質;下部パネル:GST−Gln−248突然変異体p53蛋白質。
【0052】
図5は、物質PRIMA−1およびFによるGST−野生型p53蛋白質の特異性DNA結合の保存を例証するものである。バンドシフト検定法(band shift assay)は、本質的に前に述べたとおり(Selivanova等、1996年)行われた。GST−野生型p53蛋白質は、物質PRIMA−1およびMIRA−1の存在下または非存在下での37℃における30分間のインキュベーションによって不活性化され、次いでDNA結合について試験された。レイン1および2では、PRIMA−1およびモノクローナル抗体PAb421が加えられた。レイン3:加熱によるwtp53のDNA結合の不活性化。レイン4−7および8−11:化合物MIRA−1およびPRIMA−1の濃度をそれぞれ上げると共にインキュベーションすることによる特異性DNA結合の回復。
【0053】
図6は、His−175 p53突然変異体を発現するSKOV−His−175細胞における野生型p53エピトープPAb1620の回復を示す。p53の野生型コンフォメーションを検出するためにPAb1620マウスモノクローナル抗体が用いられたが、これに対して抗−p53ウサギポリクローナル抗体による染色はp53の総レベルを示す。細胞核はHoechstにより染色された。図6A:PRIMA−1による処理後におけるPAb1620エピトープの出現。図6B:MIRA−1と共にインキュベートした後のPAb1620エピトープの回復。
【0054】
図7は、化合物PRIMA−1およびMIRA−1によるGST−His−175突然変異体p53蛋白質の特異性DNA結合の回復を示す。図7Aのレイン1−3:GST−His−175突然変異体p53はDNAを結合することができない。レイン4−6およびレイン7−9:化合物MIRA−1およびPRIMA−1の濃度(45ng、450ngおよび18μg)をそれぞれ上げると共にインキュベーションすることによる突然変異体p53特異性DNA結合の回復。全ての反応混合物にPAb421抗体が加えられた。図7B:化合物PRIMA−1およびMIRA−1は、バンドシフト検定法で検出されるバーキットリンパ腫BL−60細胞からの細胞抽出物中の内因性Trp−282突然変異体p53の配列特異性DNA結合を回復することができる。レイン1:バーキットリンパ腫BL−60細胞からの細胞抽出物中の内因性Trp−282突然変異体p53はDNAを結合しない。レイン2および9:モノクローナル抗体PAb421および/またはPAb1801は、Trp−282突然変異体p53のDNA結合を回復しない。化合物MIRA−1(レイン3−5および10−12)または化合物PRIMA−1(レイン6−8および13−15)の濃度(90ng、900ngおよび18μg)を上げると共にインキュベーションすると、Trp−282突然変異体p53蛋白質のDNA結合が回復せしめられた。レイン2−8の反応混合物にモノクローナル抗体PAb421が加えられた;PAb1801はレイン9−15の反応混合物に加えられた。
【0055】
図8は、化合物PRIMA−1およびMIRA−1の、突然変異体p53の特異性DNA結合およびアポプトシス誘発機能を回復させる能力間の相関関係を例証するものである。さらに具体的に述べると、KRC/Y腎癌細胞中におけるPhe−176突然変異体p53蛋白質のアポプトシス誘発機能は、FACS分析で測定して、Saos−2−His−273細胞中におけるHis−273突然変異体p53とは対照的に、化合物PRIMA−1およびMIRA−1によっては回復されなかった。アポプトシス性細胞の百分率は図3Aで説明したFACS分析により調べられた。アポプトシスはp53を発現するSaos−2−His−273細胞(ドキシサイクリンなし)中に物質PRIMA−1およびMIRA−1による処理の48時間後に誘発されたが、KRC/Y細胞またはp53なしのSaos−2細胞には誘発されなかった。
【0056】
図9は、PRIMA−1およびMIRA−1による突然変異体p53に対する転写トランス活性化機能の回復を証明するものである。図9A:PRIMA−1およびMIRA−1は、His−273突然変異体p53を持っているA−431細胞中に野生型p53応答性LacZレポーターを誘発した。図9B:PRIMA−1処理SKOV−His−175細胞中における野生型p53応答性EGFPレポーターの突然変異体p53依存性活性化。ドキシサイクリンの非存在下で培養された細胞(突然変異体p53を発現させる)だけがEGFPの発現を示した。図9C:MIRA−1がSKOV−His−175細胞中に野生型p53応答性EGFPレポーターを誘発した。
【0057】
図10は、p53標的遺伝子のp21およびMDM−2の誘発を証明するものである。図10Aは、25μMのPRIMA−1または10μMのMIRA−1で処理されたH1299−His−175細胞中における内因性p21およびMDM−2の誘発を示す。蛋白質の発現はウエスタン法を用いて分析された。図10Bは、H1299−His−175細胞中のp53標的遺伝子が突然変異体p53の存在下でPRIMA−1によってのみ誘発されることを示す。図10Cは、内因性His−273/Ser−309突然変異体p53を持っているPRIMA−1処理SW480結腸癌細胞中でのp53標的遺伝子の誘発を描く。PRIMA−1は、野生型p53を持っているHCT−116結腸癌細胞中に同じp53標的遺伝子を誘発しなかった。
【0058】
図11はPRIMA−1の抗腫瘍活性を説明するものである。SCIDマウスにSaos−2−His−273細胞を注射した。PRIMA−1の静脈内(20または100mg/kg)または腫瘍内(20mg/kg)注射は細胞の注射の3日後に始め、1日につき2回、連続3日間続けた。腫瘍体積は3日に1回、2ヶ月間測定された。
【0059】
図12は、MIRA−1(図12A)およびPRIMA−1(図12B)の構造類似体が突然変異体p53を発現する細胞の増殖をいかにして抑制し、p53の発現のない細胞にいかにして影響を及ぼさなかったかを例証するものである。MIRA−1の類似体:MIRA−2、MIRA−3およびPRIMA−1の類似体:PRIMA−2、PRIMA−3は、処理の48時間後に測定して、突然変異体p53を発現するSaos−2−His−273細胞の増殖を阻害した。このグラフは、化合物PRIMA−2、PRIMA−3およびMIRA−2、MIRA−3は突然変異体p53含有細胞の増殖を元のMIRA−1およびPRIMA−1化合物よりも低い濃度で選択的に抑制したことを示す。実験の設定は図2Aで説明したとおりであった。
【0060】
図13は、PRIMA−1およびMIRA−1の類似体がテトラサイクリン依存性プロモーターの制御下(細胞はドキシサイクリンの存在下では突然変異体p53を発現しない)で異なるp53突然変異体を発現する細胞の増殖をどのように抑制し得るかを示す。図13A:PRIMA−2およびPRIMA−3はSKOV細胞中のHis−175突然変異体p53の増殖抑制機能を回復させた。図13B:PRIMA−3はH1299肺腺癌細胞中のホットスポットp53突然変異体Trp−248を再活性化した。図13C:MIRA−2およびMIRA−3はSKOV細胞中のp53のHis−175突然変異体を再活性化した。図13D:MIRA−2およびMIRA−3はSKOV細胞中のHis−273突然変異体p53の増殖抑制機能を回復させる。図13E:MIRA−3はH1299細胞中のHis−175の増殖抑制機能を回復させた。図13F:PRIMA−3はH1299細胞中のHis−175突然変異体p53の増殖抑制機能を回復させた。図13G:PRIMA−2はSKOV細胞中の突然変異体p53His−273を再活性化した。
【0061】
図14:PRIMA−1およびMIRA−1の類似体によるp53標的遺伝子の誘発。図14A: MIRA−2およびPRIMA−2によるH1299−His−175細胞中におけるp21およびMDM−2の誘発。図14B:PRIMA−3によるSW480−His−273結腸癌細胞中におけるMDM−2の誘発。
【0062】
図15:類似体により誘発される増殖抑制は、p53の転写トランス活性化機能に依存性である。図15A:シクロヘキシミドによる処理は、H1299−His−175をMIRA−3による処理に対して耐性にした。シクロヘキシミドの効果は突然変異体p53の発現のない細胞(dox+)中で著しかったが、その効果は突然変異体p53を発現する細胞(dox−)に比較してかなり小さかった。図15Bは、His−175突然変異体p53のトランス活性化ドメイン中における突然変異がSKOV細胞をPRIMA−2による処理に対して保護したことを示す。
【0063】
図16は、化合物MIRA−2、MIRA−3(図13A)、並びにPRIMA−2およびPRIMA−3(図13B)の構造式を示すものである。
【0064】
実験
以下において本発明は実施例でさらに詳細に説明される。それら実施例はいかなる点でも本発明の範囲を限定しようとするものではない。以下および本明細書の外の場所に与えられる文献は全て、それらを参照することによって本明細書に含まれるものである。
【0065】
材料および方法
プラスミド
GST−ヒト野生型p53融合蛋白質およびGST−ヒト突然変異体p53蛋白質His−175をコード化するプラスミドは以前から記載されていた(Selivanova等、1996年)。p53−EGFPプラスミドは、EGFPコーディング配列の前に13個の合成p53コンセンサスDNA結合点を含んでいる。メーカー(InvitrogenTM Life Technologies、Groningen、オランダ)の推奨により、Lipofectamine 2000を用いて一時的トランスフェクション実験を行った。
【0066】
化学ライブラリー
National Cancer Institute(NCI)、Bethesda、米国から低分子量化合物のライブラリーを得た。さらなる情報については、ウエブサイトhttp://dtp.nci.nih.govを参照されたい。
【0067】
化学ライブラリーのスクリーニングおよび増殖抑制検定
突然変異体His−273 p53の発現をテトラサイクリン依存様式で可能にするコンストラクト(construct)により安定にトランスフェクトしたSaos−2−His−273細胞系をスクリーニングに使用した(Selivanova等、1997年)。p53の発現を、細胞をドキシサイクリン(5μg/mL)と共にインキュベートすることによって阻害した。細胞を、96ウエルの平板中で、3000細胞/ウエルの密度において、ドキシサイクリンあり、またはなしで増殖させ、そして低分子量(LMW)化合物のNCIライブラリーから得た25μMの化合物で処理した。48時間のインキュベーション後に、上記細胞に増殖性細胞試薬WST−1(Roche)を加えた。細胞生存率を反映するWST−1低下の程度を、ミクロ平板読み取り装置でそのメーカー(Roche)に従ってλ490nmにおいて測定した。
【0068】
FACS分析
細胞を12ウエルの平板に30000/cmの密度で入れ、そして化合物で処理した。48時間のインキュベーション後に、細胞をトリプシン処理により採収し、70%エタノールで固定し、RNase A(0.25mg/mL)で処理し、そしてヨウ化プロピジウム(0.02mg/mL)で染色した。試料をBecton Dickinson FACScanで分析した。データをCellQuestソフトウエア・バージョン3.2.1で解析した。
【0069】
コロニー形成検定
細胞を化合物PRIMA−1およびMIRA−1で処理し、そして平板に500細胞/平板で接種した。コロニーをギムザ液で染色し、そして接種14日後に計数した。
【0070】
ルシフェラーゼ検定
ルシフェラーゼレポーター遺伝子(PG−luc)に結合したp53応答性プロモーターコンストラクトを用いるトランス活性化検定を、Dual Luciferase Reporter Assay System(Promega)によりそのメーカーに従って行った。ルシフェラーゼレポータープラスミドPG−luc(2mg)で安定に形質移入されたSaos−2−His−273細胞系を、PRIMA−1およびMIRA−1でそれぞれ50および10μMの濃度において処理した。ルシフェラーゼ活性を、処理後1、3.5および15時間に検定した。
【0071】
DNA結合検定
GST−p53蛋白質を、記載(Selivanova等、1997年)されたように製造した。バンドシフト検定を、本質的に(Selivanova等、1996年)におけるように、100mM、pH7.5のHEPES、50mMのKCl、1mg/mLのBSA、0.1%のTriton X−100、2mMのMgClおよび1mMのDTTを含む結合用緩衝液中で行った。
【0072】
ELISA
20ngのGST−wtp53、GST−mtp53−175およびGST−mtp53−248を37℃で30分間加熱するか、または氷上に保持した。この手順は試験化合物あり、またはなしで行われた。ELISA分析を(Foster等、1999年)が記載するとおりに行った。簡単に述べると、上記処理後に、試料を10mMのDTTが補充されたコーティング緩衝液(150mMのKCl、25mMのHEPES)で希釈した。この混合物全体をELISA平板(MaxiSorp、Nunc)に塗布し、そして+4℃で35分間インキュベートした。それらウエルをコーティング緩衝液で洗浄した。それらウェルを、PBS中5%の脱脂乳により、+4℃で1時間インキュベートすることによって封鎖した。ウェルをPBSで2回洗浄し、続いてコーティング緩衝液中1:250希釈のマウス一次抗体(PAb 1620またはPAb 240)を加えた。試料を+4℃で30分間インキュベートした。ウェルをPBSで2回洗浄した。その後に、二次抗体(ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートされた抗マウス)を試料と共に+4℃で30分間インキュベートした。次に、平板をPBSで5回洗浄し、そしてペルオキシダーゼ基質を加えた。λ405nmにおける吸光度をELISA読み取り装置でモニターした。
【0073】
TUNEL染色、免疫組織染色、lacZ染色、細胞抽出物の調製、細胞抽出物によるELISA、およびウエスタンブロッティングは、標準的な手順に従って行われた。
【0074】
生体内実験
動物研究は全てローカル動物倫理委員会(local animal ethical committee)によって承認され、そして動物の世話は制度上のガイドラインに依った。毒性評価のために、12匹のSCIDマウス(平均体重25g)を4群に分けた。3群は、毎日、1、10および100mg/kgのPBS中PRIMA−1の静脈注射を5日間受けた。対照動物にはPBSを注射した。本発明者らは、マウスの体重を最後の注射後1ヶ月間測定した。PRIMA−1の抗腫瘍活性の評価のために、12匹のSCIDマウスの右側腹部に、その皮下および片側において、90%Matrigel(Becton Dickinson、Le Pont−De−Claix、フランス)中、1×10個のSaos−2−His−273細胞を接種した。3日後にマウスを4群に分けた。2群はPRIMA−1の静脈注射を20mg/kgかまたは100mg/kgのいずれかの用量で受け、1群はPRIMA−1の腫瘍内注射を20mg/kgの用量で受け、そして最後の群は対照として用いられた。注射は1日2回、3日間行われた。2ヶ月の間腫瘍体積を測定した。
【0075】
結果および考察
化合物 PRIMA−1 および MIRA−1 による増殖抑制は突然変異体p53の発現に依存する。
本発明によれば、低分子量化合物のNCIライブラリーは、ヒト腫瘍細胞の増殖を突然変異体p53依存様式で抑制できる化合物についてスクリーンされた。
【0076】
突然変異体His−273 p53の発現をテトラサイクリン依存様式で可能にするコンストラクトにより安定にトランスフェクトされたSaos−2−His−273細胞系をスクリーニングに使用した(Selivanova等、1997年)。細胞を、96ウェルの平板中で、3000細胞/ウェルの密度において、ドキシサイクリンあり、またはなしで増殖させた。処理は、25μMの、低分子量(LMW)化合物のNCIライブラリーからの各化合物の濃度で行われた。48時間のインキュベーション後に、上記細胞に増殖性細胞試薬WST−1(Roche)を加えた。細胞生存率に比例するWST−1低下の程度を、ミクロ平板読み取り装置でそのメーカー(Roche)に従ってλ490nmにおいて測定した。p53を発現するSaos−2−His−273細胞の増殖を抑制することはできるが、突然変異体p53を発現しないSaos−2細胞の増殖には影響を及ぼさない2つの化合物が確認された(図1A)。
【0077】
化合物PRIMA−1およびMIRA−1の、突然変異体p53発現性細胞の増殖を抑制する能力を、コロニー形成検定法を用いてさらに評価した。Saos−2細胞またはSaos−2−His−273細胞を、平板中に接種された、異なる用量の化合物MIRA−1およびPRIMA−1で処理した。細胞をギムザ染色し、そして14日後にコロニーの出現数を数えた。表IIに示されるように、5μMの化合物MIRA−1による処理は、His−273発現性Saos−2細胞により形成されるコロニー数を劇的に減少させた(無処理対照の15%)が、p53を欠くSaos−2細胞を阻害するときの効率はより低かった(48%阻害率)。化合物PRIMA−1による処理は、およそ50−100μMのより高い用量において突然変異体p53依存様式で阻害した。
【0078】
次に、本発明者らは、異なるp53の状態(p53なし、野生型p53、突然変異体p53)を有する一連のヒト腫瘍細胞系を使用して腫瘍細胞を突然変異体p53依存様式で抑制する、化合物PRIMA−1およびMIRA−1の能力を試験した。ヒト細胞系は次のとおりであった。p53なし:Saos−2骨肉腫、K562急性骨髄性白血病、およびHL60前骨髄球白血病。野生型p53発現性細胞:NHF正常ヒト線維芽細胞、HeLa子宮頚癌(HPV E6蛋白質を持ち、p53の分解をもたらす)、U2OS骨肉腫、およびEBV陽性IARC 171リンフォブラストイド( lymphoblastoid)細胞系。突然変異体p53発現性系:バーキットリンパ腫系BL41(Gln−248突然変異体p53);DG75(His−283)、ラジ(Gln−213、His−243)、ラモス(Ramos:Asp−245);BJAB(Arg−193)、並びにドキシサイクリン依存性プロモーターの制御下でp53突然変異体を発現するSaos−2−His−273、SKOV−His−175、SKOV−His−273およびH1299−His−175。さらに、マウスp53なしのJ3D T−細胞リンパ腫系が使用された。表Iに見ることができるように、化合物MIRA−1およびPRIMA−1は、突然変異体p53発現性細胞の増殖を、p53なしの細胞および野生型p53含有細胞より効率的に抑制した。これらの実験からのデータを図2Bに示すグラフにまとめた。細胞系(p53なし、野生型p53および突然変異体p53)の群間における応答性の相違は、独立t−試験によって証明されるように統計上有意であった。
【0079】
図2Cに示されるように、PRIMA−1は突然変異体p53を発現するSaos−2− His−273細胞の増殖を完全に阻害した。突然変異体p53の発現がない状態では、PRIMA−1は小さい増殖速度の低下を引き起こすだけであった。
【0080】
化合物MIRA−1およびPRIMA−1による突然変異体p53に対するアポプトシス誘発機能の回復
化合物MIRA−1およびPRIMA−1により誘発される増殖抑制が、アポプトシスの誘発に起因して起こるのかどうかの問題を扱うために、本発明者らは、カスパーゼ阻害剤がMIRA−1およびPRIMA−1誘発増殖抑制を阻害できるかどうかについて試験した。Saos−2−His−273細胞を、カスパーゼ阻害剤である阻害剤Z−DEVD−FMKおよびBOC−D−FMK(Enzyme Systems Products、CA州)の存在下または非存在下で、化合物MIRA−1およびPRIMA−1により処理した。細胞死の誘発は、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色されたエタノール固定細胞のFACS分析によって、サブ−G1母集団の百分率として測定された。図2Aから明らかなように、カスパーゼ阻害剤は化合物PRIMA−1およびMIRA−1により誘発される細胞死を抑制した。従って、本発明者らは、化合物MIRA−1およびPRIMA−1はアポプトシスを誘発することができると結論する。加えて、アポプトシスの形態が、化合物PRIMA−1による処理後にHoechst染料で染色されたSaos−2−His−273細胞中に検出された。化合物PRIMA−1で処理されたSaos−2−His−273細胞のTUNEL染色もアポプトシスの誘発を確認した(データは示さない)。本発明者らは、また、化合物PRIMA−1およびFによるアポプトシス誘発の速度論にも違いを観察した:PRIMA−1により誘発されたアポプトシスは処理の48時間後に明らかになったが、これに対して化合物MIRA−1はそれよりはるかに早く、処理後6−12時間以内に細胞死を誘発した(データは示さない)。これらの結果は、化合物PRIMA−1およびMIRA−1がアポプトシスを異なる経路で引き起こすことを示唆している。
【0081】
本発明者らは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1により誘発されるアポプトシスが、ドキシサイクリンの存在下または非存在下で増殖したSaos−2−His− 273細胞を使用するとき、p53依存性であるかどうかを調べた。図3Bに示されるように、化合物PRIMA−1およびMIRA−1によるアポプトシスの誘発はp53の発現がある状態でのみ起こった。これらの結果は、それらを併せ考えると、化合物MIRA−1およびPRIMA−1による増殖抑制は突然変異体p53によって媒介されるもので、非特異性細胞毒性には因らないことを明白に示している。
【0082】
化合物MIRA−1およびPRIMA−1によるp53コアドメインのコンフォメーションの変調
突然変異体p53の化合物MIRA−1およびPRIMA−1媒介再活性化の分子機構を洞察するために、本発明者らは、p53のコンフォメーションがこれら化合物によって影響されるかどうかを試験した。p53における点突然変異は、その結果としてp53コアドメイン本来のコンフォメーションを不安定化させ、その結果モノクローナル抗体PAb1620について野生型特異性のコンフォメーション依存性エピトープを損失させ、そしてモノクローナル抗体PAb240で認識される新しいエピトープを出現させることが示された(Cho等、1994年)。加えて、野生型p53の熱変性にも同様な効果がある。それ故、本発明者らは、化合物PRIMA−1およびMIRA−1がp53本来(野生型)のコンフォメーションを安定化することができるかどうかを調べた。図4Aに与えられる結果は、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、37℃で30分間加熱された組換え野生型および突然変異体p53蛋白質のPAb1620抗体の場合に、コンフォメーション依存性エピトープを保存することを証明している。GST−wtp53蛋白質では、化合物PRIMA−1による処理後にPAb1620エピトープを残すときの処理試料と無処理試料との相違は、対t−試験(paired t−test)によれば、p=0.05(n=5)で統計的有意に達した。重要なことであるが、図4Bに与えられる結果は、化合物PRIMA−1およびMIRA−1が、37℃で加熱したときのp53蛋白質におけるPAb240エピトープの出現率として測定されるp53蛋白質の変性を防ぐことができることを証明している。対t−試験によれば、GST−wtp53蛋白質およびGST突然変異体p53−His175蛋白質の場合、対照試料とPRIMA−1処理試料との間のPAb240エピトープの出現率における違いは、それぞれp=0.01およびp=0.1で統計的有意に達した。図4Cは、DO−1抗体で認識されるp53のN−末端における非コンフォメーションエピトープが、化合物MIRA−1およびPRIMA−1と共にインキュベートすることによって影響されないことを示している。かくして、化合物MIRA−1およびPRIMA−1は、突然変異体p53蛋白質本来のコンフォメーションを保存することができる。
【0083】
試験管内および生存細胞中における野生型p53のコンフォメーションの回復
PRIMA−1が突然変異体p53を野生型p53コンフォメーションに転化できるかどうかを試験するために、本発明者らはコンフォメーション特異性抗体PAb1620およびPAb240を用いた。組換えGST−野生型p53蛋白質のPRIMA−1による処理は、PAb1620+画分に40%の増加を、またPAb240+画分に上記に対応する減少をもたらしたが、一方DO−1+画分は不変であった。MIRA−1による同様の実験においては、PAb1620+画分で約40%の増加が、PAb240+画分で〜20%の減少が観察された。本発明者らは、PRIMA−1処理SKOV−His−175細胞からの蛋白質抽出物中におけるPAb1620+p53の画分を、ELISAを用いて測定した。150μMのPRIMA−1による処理後に、PAb1620+画分は146±18%(無処理細胞の値が100%に設定された)に達したが、これに対してDO−1画分は88±9%であった。これは、PRIMA−1が試験管内および生存細胞中の両者において突然変異体p53を野生型コンフォメーションで安定化することができることを証明するものである。
【0084】
さらに、PAb1620による免疫組織染色は、生存細胞中において突然変異体p53を野生型コンフォメーションに転化するPRIMA−1の能力を証明した。図6Aに示されるように、SKOV−His−175細胞のPRIMA−1による処理は、細胞中におけるPAb1620陽性p53の出現と、それに付随する、ポリクローナル抗−p53抗体での染色による総p53レベルの減少をもたらした。同様の効果がMIRA−1により処理された細胞でも観察された(図6B)。
【0085】
化合物MIRA−1およびPRIMA−1は突然変異体p53蛋白質の配列特異性DNA結合を回復できる。
次に、本発明者らは、化合物MIRA−1およびPRIMA−1による突然変異体p53蛋白質のアポプトシス誘発機能の回復がp53の特異性DNA結合活性により生ずるかどうかの問題を扱った。化合物PRIMA−1およびMIRA−1はp53の特異性DNA結合を回復させるのだろうか。本発明者らは、化合物MIRA−1およびPRIMA−1の存在下または非存在下におけるp53蛋白質のDNA結合を、前記(Selivanova等、1996年;Selivanova等、1997年)のバンドシフト検定法で調べた。図5Aに与えられる結果は、化合物MIRA−1およびPRIMA−1が、37℃で30分間インキュベートすることにより不活性化されたGST−野生型p53蛋白質の特異性DNA結合を回復させることができることを証明している。さらに、化合物MIRA−1およびPRIMA−1は、図5Bに示されるように、GST−His−175突然変異体p53蛋白質の特異性DNA結合を回復させることができた。位置175におけるアルギニンの置換は、p53のDNA結合コアドメインの著しい変性を引き起こす。それ故、この突然変異体のDNA結合の回復は例外的に困難な課題と見なされた。His−175 p53突然変異体のDNA結合の回復は、これら確認された化合物の高い効力を証明している。His−175突然変異体は腫瘍原性機能を獲得することが明らかにされたから、この結果は特に重要なことであると思われる。化合物PRIMA−1およびMIRA−1は、また、図6Bに示されるように、バーキットリンパ腫BL−60細胞からの細胞抽出物中の内因性Trp−282突然変異体p53の配列特異性DNA結合を回復させることもできた。
【0086】
本発明者らは、内因性p53蛋白質源として異なるp53突然変異体を持っているヒト腫瘍細胞系の細胞抽出物を使用して、広い一連のホットスポットp53突然変異体の特異性DNA結合特性を回復させる、化合物PRIMA−1およびMIRA−1の能力を試験した。化合物PRIMA−1は、バンドシフト検定法で試験された14種の突然変異体p53蛋白質中13種の特異性DNA結合を、残留DNA結合に関わらず回復させた(表IIIを参照されたい)。化合物MIRA−1は14種の突然変異体p53蛋白質中3種のDNA結合を回復させた(表III)。かくして、化合物MIRA−1およびPRIMA−1は、組換え突然変異体p53蛋白質のDNA結合を回復することができただけでなく、細胞抽出物中における多数の内因性突然変異体p53蛋白質のDNA結合を再活性化した。化合物PRIMA−1の唯一の例外はPhe−176突然変異体で、それはこれら化合物のいずれによっても再活性化されなかった。
【0087】
化合物MIRA−1およびPRIMA−1にKRC/Y細胞中におけるPhe−176突然変異体p53蛋白質の特異性DNA結合を回復させる能力はないという本発明者らの結果を考慮に入れて、本発明者らは、この突然変異体のアポプトシス誘発機能が、化合物MIRA−1およびPRIMA−1によって再活性化され得るかどうかを試験した。KRC/Y細胞をそれぞれ50μMおよび75μM濃度の化合物MIRA−1およびPRIMA−1で処理し、そして前記のFACS分析で死亡細胞の百分率を測定した。図5で証明されるように、KRC/Y細胞中におけるアポプトシスの誘発は、Saos−2− His−273細胞に比較して顕著さがはるかに小さかった。事実、処理に対するKRC/Y細胞の応答性は、p53を発現しないSaos−2細胞のそれと比較できる程度であった。かくして、位置176のCys残基の置換により引き起こされる欠陥は、不可逆的なものであるように見える。このCys残基の置換は、p53コアドメインのDNA結合ループを一緒に保持するZn原子の結合を破壊する。従って、この突然変異体p53蛋白質の変性は、それを回復させるには、おそらくは多過ぎるものである。
【0088】
PRIMA−1誘発アポプトシスはp53のトランス活性化機能に依存する。
PRIMA−1がその効果をp53媒介転写トランス活性化および新規の蛋白質合成によって発揮することをさらに確かめるために、本発明者らはPRIMA−1誘発増殖阻害/アポプトシスに及ぼすシクロヘキシミドの影響を試験した。PRIMA−1の添加前のシクロヘキシミドによるSKOV−His−175細胞の予備処理は、WST−1増殖検定法による細胞生残率に4倍の増加をもたらした。このシクロヘキシミド処理は、SKOV−His−175をMIRA−1に対して同様に耐性にし、その結果細胞生残率に4倍の増加をもたらす。さらに、本発明者らは、不活性化されたトランス活性化ドメインを有するHis−175−22/23突然変異体p53を持っているSKOV細胞の生存率は、PRIMA−1処理後にSKOV−His−175細胞の生存率の少なくとも2倍も高かったことを見いだした。加えて、SKOV−His−175細胞は、SKOV−His−175−22/23細胞と比較して、MIRA−1による処理に対してそれより少なくとも3倍敏感であった。これらの結果を併せ考えると、それら結果は、p53による転写トランス活性化はPRIMA−1およびMIRA−1誘発細胞死にとって決定的であることの説得力のある証拠となる。
【0089】
化合物MIRA−1およびPRIMA−1は生存細胞中の突然変異体p53の転写トランス活性化機能を回復させることができる。
化合物MIRA−1およびPRIMA−1は突然変異体p53の特異性DNA結合を生体内で再活性化できることを確認したが、本発明者らは、化合物MIRA−1およびPRIMA−1が生存細胞中の突然変異体p53の転写トランス活性化機能を回復させることができるかどうかの問題を扱った。p53応答性のPG−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を持っているSaos−2− His−273細胞を化合物MIRA−1およびPRIMA−1で処理し、そしてルシフェラーゼ活性を、Dual Luciferase Reporter Assay System(Promega)を用い、そのメーカーに従って測定した。表IVに示されるように、化合物MIRA−1およびPRIMA−1は、ルシフェラーゼ遺伝子の転写を1.5−2倍刺激した。興味深いことに、ルシフェラーゼ遺伝子発現の誘発の速度論は化合物MIRA−1とPRIMA−1とで異なっていた。化合物MIRA−1が3.5時間経過した後にルシフェラーゼの発現を既に2倍刺激したのに対して、化合物PRIMA−1による2倍の誘発は処理15時間後に達成されたに過ぎなかったのである。ルシフェラーゼ遺伝子発現の誘発の速度論は、化合物MIRA−1およびPRIMA−1による速いおよび遅いアポプトシスの誘発とそれぞれ相関する。
【0090】
内因性His−273突然変異体p53およびトランスフェクトp53応答性lacZレポーターを持っているA431細胞の、50μMのPRIMA−1による20時間の処理は、lacZ陽性細胞の出現をもたらしたが、これに対して無処理細胞は陰性であった(図9A)。同様の結果が5μMのMIRA−1による12時間の処理後に得られた。
【0091】
本発明者らは、また、SKOV−His−175細胞をp53応答性EGFPレポーターにより一時的にトランスフェクトした。図9Bは、PRIMA−1による24時間の処理後に突然変異体p53を発現するSKOV−His−175細胞中におけるEGFP発現の強い誘発を示す。これに対して、ドキシサイクリンの存在下で増殖したSKOV−His−175細胞(p53なし)は、検出可能レベルのEGFPを発現させなかった。EGFPの誘発は、5μMのMIRA−1により24時間処理された細胞でも観察された(図9C)。
【0092】
PRIMA−1およびMIRA−1が突然変異体p53の転写トランス活性化性を取り戻せるという最終確認として、本発明者らは、PRIMA−1またはMIRA−1が2種の古典的p53標的遺伝子であるp21およびMDM2を誘発することができるかどうかを調べた。突然変異体p53を発現するH1299−His−175細胞のPRIMA−1かまたはMIRA−1のいずれかによる処理は、MDM2およびp21の両遺伝子の均質誘発(solid induction)をもたらした(図10A)。重要なことであるが、突然変異体p53の発現がない状態での同じ細胞のPRIMA−1またはMIRA−1化合物による処理は、MDM2の誘発も、p21の誘発ももたらさなかった(図10B)。加えて、この両化合物は、内因性His−273突然変異体p53を持っているSW480結腸癌細胞中にMDM2およびp21を誘発させたが(図10C)、野生型p53を持っているHCT116結腸癌細胞中にはMDM2およびp21蛋白質レベルのいかなる有意な変化も引き起こさなかった。
【0093】
化合物MIRA−1およびPRIMA−1による転写トランス活性化機能の刺激は、バンドシフト実験で得られたデータと相関せしめられ、そして化合物MIRA−1およびPRIMA−1が、p53の特異性DNA結合およびトランス活性化機能の再活性化剤として、試験管内および生体内の両方で作用できることを証明する。
【0094】
生体内におけるPRIMA−1の毒性および抗腫瘍活性
PRIMA−1のマウスへの静脈注射は、無処理対照動物と比較して行動または体重に何らの明白な変化ももたらさなかった。無処理対照マウスの平均体重は20±0.6g(平均±SE、n=3)であり、またPRIMA−1により100mg/kgの最高使用用量で処理されたマウスの平均体重は、1ヶ月の観察後に20±0.2gであった。ヒト腫瘍異種移植に対するPRIMA−1の効果を評価するために、本発明者らは、突然変異体p53を発現するSaos−2−His−273細胞をマウスに接種した。これら動物はPRIMA−1の腫瘍内(20mg/kg)または静脈内(20または100mg/kg)注射を1日2回、3日間受けた。無処理対照群において、59日後の平均腫瘍体積は555.7±284mm(平均±SE、n=3)であった。このとき、PRIMA−1の静脈注射を100mg/kgの用量で受けたマウスは平均腫瘍体積が11.7±8mmであり、また20mg/kgのPRIMA−1 によりi.v.で処理されたマウスは53±48.5mmの平均腫瘍体積を有していた(図5)。20mg/kgのPRIMA−1の腫瘍内注射を受けたマウスの平均腫瘍体積は5.3±2.7mmであった。無処理対照マウスとPRIMA−1で処理されたマウスとの間の腫瘍体積の違いは全て統計的に有意である(20mg/kgの腫瘍内注射の場合、P=0.041;20mg/kgの静脈注射の場合、P=0.066;そして100mg/kgの静脈注射の場合、P=0.045;全観察期間にわたり対t−試験による)。かくして、PRIMA−1は、この動物腫瘍モデルで生体内抗腫瘍活性を有する。
【0095】
突然変異体p53含有細胞の増殖を特異的に抑制することができる、化合物MIRA−1およびPRIMA−1の構造類似体の確認
p53再活性化用化合物PRIMA−1およびMIRA−1の活性基を確認するために、化合物MIRA−1(23種の化合物)およびPRIMA−1(16種の化合物)の一連の構造類似体を試験した。ドキシサイクリンの存在下または非存在下で増殖したSaos−2−His−273細胞、および親Saos−2細胞をそれら構造類似体で処理し、そして前記のように分析した。構造類似体の細胞増殖に対する効果を、2.5〜25μMの範囲の異なる化合物濃度を用いて試験した。突然変異体p53を発現するSaos−2−His−273細胞(tet−)の増殖を抑制できる化合物MIRA−2、MIRA−3、およびPRIMA−2、PRIMA−3が同定された。同時に、これらの同定された類似体は、ドキシサイクリンの存在下では突然変異体p53を発現しないSaos−2−His−273細胞(tet+)、またはp53を欠く親細胞系Saos−2の増殖には影響を及ぼさなかった。これらの構造類似体は元の同定済み化合物よりも高い活性を有してはいなかったけれども、化合物PRIMA−2およびPRIMA−3は突然変異体p53含有細胞の増殖をより低い濃度(それぞれ2.5μMおよび5μM)で選択的に抑制し、そのときその選択的効果を達成するのに化合物PRIMA−1では(10μM)が必要とされた。加えて、化合物MIRA−2およびMIRA−3は細胞の増殖を10μM濃度において突然変異体p53依存様式で抑制したが、これとは対照的にこの選択的効果に化合物MIRA−1は25μM濃度を要した。
【0096】
PRIMA−1およびMIRA−1の構造類似体は異なる起源の腫瘍細胞中における3種のホットスポットp53突然変異体の増殖抑制機能を回復することができる。
本発明者らは、選択された類似体が、細胞系を使用する、異なるp53ホットスポット突然変異体の増殖抑制機能を、His−175およびGln−248 p53突然変異体のドキシサイクリン依存性抑制と共に回復できるかどうかを調べた。p53の発現がある状態またはない状態での類似体による増殖抑制を、図1に記載されるように測定した。図13Aで証明されるように、PRIMA−1の類似体であるPRIMA−2およびPRIMA−3は、SKOV−His−175細胞中のHis−175突然変異体p53に対して増殖抑制機能を回復した。もう1つのホットスポットp53突然変異体であるGln−248のPRIMA−3による再活性化は図13Bに示される。MIRA−1の類似体は、SKOV−His−175細胞中に突然変異体p53依存性増殖抑制を誘発した(図13C)。注目に値するが、増殖のこのp53依存性抑制を達成するのに必要とされるこれら類似体の濃度は、全ての場合に、類似体でより低く、類似体の効力がより高いことを示していた。
【0097】
次に、本発明者らは、PRIMA−1およびMIRA−1の類似体によるp53依存性増殖抑制効果が異なる起源の腫瘍細胞系中で再現され得るかどうかの問題を扱う。本発明者らは、His−273 p53突然変異体を発現する2つの腫瘍細胞系、即ち骨肉腫系Saos−2−His−273および卵巣癌系SKOV−His−273におけるMIRA−1の類似体による増殖阻害を比較し、そして両腫瘍系においてHis−273突然変異体が回復されることを見い出した(図13D)。His−175突然変異体p53発現性H1299−His−175肺癌細胞の増殖もまた、MIRA−3によって突然変異体p53依存様式で阻害された(図13E)。かくして、MIRA−1の類似体による突然変異体p53の再活性化は、腫瘍細胞の起源には左右されない。
【0098】
PRIMA−1の類似体を使用する実験でも同じ結論に達した。PRIMA−2およびPRIMA−3は共にSKOVおよびH1299細胞中のHis−175突然変異体を再活性化した(図13F)。Saos−2およびSKOV細胞の両細胞におけるPRIMA−2によるHis−273突然変異体機能の回復は図13Gに示される。
【0099】
本発明者らは、p53の発現がある、またはない状態での腫瘍細胞の長期生残に対する類似体の効果をコロニー形成検定法で評価した。表Vに示されるように、PRIMA−2およびMIRA−3は、H1299−His−175細胞中におけるコロニーの形成を突然変異体p53依存様式で抑制した。
【0100】
かくして、MIRA−1およびPRIMA−1の類似体は、3種の最も一般的なホットスポットp53突然変異体の増殖抑制機能を、元の化合物より低い濃度で、遺伝子の背景とは無関係に回復することができる。
【0101】
類似体による突然変異体p53の転写トランス活性化機能の取り戻し
突然変異体p53の転写トランス活性化機能に対する類似体の効果を評価するために、本発明者らは、内因性His−273突然変異体p53を発現する結腸癌細胞SW480の類似体による処理後のp53標的遺伝子の発現を試験した。ウェスタンブロッティングを用いて証明されるように、MIRA−2およびMIRA−3のみならずPRIMA−2およびPRIMA−3も、p53標的遺伝子p21およびMDM−2の発現を突然変異体p53依存様式で誘発した(図14)。かくして、PRIMA−1およびMIRA−1の類似体は突然変異体p53の転写トランス活性化機能を回復することができる。
【0102】
本発明者らは、次に、類似体による増殖抑制がp53媒介転写トランス活性化に依存性であるかどうかの問題を扱った。H1299−His−175細胞のシクロヘキシミドによる処理は、MIRA−3による増殖抑制を妨げたが、これは新しい蛋白質合成の必要を示している(図15A)。図15Bに示されるように、PRIMA−2の増殖抑制効果は、位置175に加えて位置22および23に置換を持つ転写欠陥性突然変異体p53を発現するH1299−His175−22/23細胞中で完全に破壊された。これらの結果は、本発明者らをして、類似体の抑制効果には突然変異体p53の転写トランス活性化機能が必要であると結論させるものである。
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1A−Bは化合物PRIMA−1およびMIRA−1の分子構造を示す。
【図2】
図2A−Cは、突然変異体p53を発現させる腫瘍細胞の、本発明による物質MIRA−1およびPRIMA−1による増殖抑制を例証する。
【図3】
図3A、BおよびCは、本発明による物質PRIMA−1およびMIRA−1が、どのようにしてヒト腫瘍細胞中にアポプトシスを突然変異体p53依存様式で誘発するかを例証する。
【図4】
図4A−Cは、本発明による化合物MIRA−1およびPRIMA−1が、どのようにしてp53蛋白質の野生型コンフォメーションを保存するかを説明する。
【図5】
図5は、物質PRIMA−1およびMIRA−1が、野生型p53の配列特異性DNA結合を熱不活性化の際にどのように保存できるかを説明する。
【図6】
図6A−Bは、物質PRIMA−1およびMIRA−1が、細胞中の突然変異体p53蛋白質に対して野生型コンフォメーションを回復させることを例証する。
【図7】
図7A−Bは、本発明による物質MIRA−1およびPRIMA−1が、特異性DNA結合のための突然変異体p53蛋白質をいかにして再活性化するかを例証する。
【図8】
図8は化合物PRIMA−1およびMIRA−1の特異性DNA結合回復能と突然変異体p53のアポプトシス誘発機能との間の相関関係を例証する。
【図9】
図9A−Cは、PRIMA−1およびMIRA−1が、細胞中の突然変異体p53に対していかにして転写トランス活性化機能を回復させるかを示す。
【図10】
図10A−Cは、PRIMA−1およびMIRA−1が、p53標的遺伝子の発現をいかにして突然変異体p53依存様式でトランス活性化するかを示す。
【図11】
図11はPRIMA−1の生体内抗腫瘍活性を例証する。
【図12】
図12A−Bは、物質MIRA−1およびPRIMA−1の構造類似体による、突然変異体p53を発現する腫瘍細胞の増殖抑制を例証する。
【図13】
図13A−Gは、類似体が異なるp53突然変異体の増殖抑制機能を回復できることを示す。
【図14】
図14は、MIRA−2およびPRIMA−2によるH1299細胞中でのp21、MDM−2の誘発、およびPRIMA−3によるSW480細胞中でのMDM−2の誘発を示す。
【図15】
図15は類似体による増殖抑制がp53の転写トランス活性化機能に依存性であることを示す。
【図16】
図16は物質MIRA−1およびPRIMA−1の類似体の分子構造を示す。

Claims (8)

  1. 式I
    Figure 2004509890
    による化合物:但し、上記の式において、RまたはRは同一または異なり、そして水素、C1−15アルキル、C1−15アルケニル、C1−15アルキニル、C1−15アルコキシ、C1−15アルキルアミノ、アリール、C6−15アリールアルキル、C1−15アルキルカルボキシ、C2−15アルキルアルキルカルボキシレート、C1−15アルキルチオ、C1−15アルキルヒドロキシの群から選ばれ、ここで該基は場合によってハロゲンにより置換されていることができる。
  2. 2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オンまたは9−(アザビシクロ[2,2,2]オクタン−3−オン)−6−クロロ−9H−プリンである、請求項1記載の化合物。
  3. 式II
    Figure 2004509890
    による化合物:但し、上記の式において、Rは水素、C1−15アルキル、C1−15アルケニル、C1−15アルキニル、C1−15アルコキシ、C1−15アルキルアミノ、アリール、C6−15アリールアルキル、C1−15アルキルカルボキシ、C2−15アルキルアルキルカルボキシレート、C1−15アルキルチオ、C1−15アルキルヒドロキシの群から選ばれ、ここで該基は場合によってハロゲンにより置換されていることができる。
  4. 1−N−(プロピオニルオキシメチル)−マレイミド、N−アセチルオキシ−メチル−マレイミドまたはN−ヒドロキシメチル−マレイミドである、請求項3記載の化合物。
  5. 医療用途のための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を製剤上許容できるキャリアー、希釈剤および/または賦形剤と共に含む製剤組成物。
  7. 癌腫瘍治療用の製剤組成物を製造するための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
  8. 製剤上有効な量の請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を、該化合物を必要とする哺乳動物に投与することを含む癌の治療方法。
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