JP2004507587A - 多糖のニトロ誘導体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、組織および器官流体との高い適合性を示す新たなクラスの化合物を提供する。係る新たな化合物は、糖構造に共有結合したニトロ基を含む多糖である。特に、本発明は、糖構造に共有結合したニトロ基−ONO2を含む、必須にウロン酸および/またはヘキソサミンの単位からなる多糖を提供する。好ましくは、本発明に係る多糖は、主にウロン酸とヘキソサミンとからなる二糖繰り返し単位からなる。特に、これらの化合物は、治療に有効なレベルで生物学的流体/組織中にNOを放出することができる。生物活性NOは、生物学的ターゲットに選択的に放出されて、全身的な望ましくない事象の危険性を避けることができる。また、本発明に係る化合物は、ヘパリンの治療的使用に典型的に関与する副作用を顕著に低減する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウロン酸とヘキソサミン残基からなる繰り返し単位を含む多糖のニトロ誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
NOが、種々の生理学的および病理学的状態において重要な役割を演じ、治療学的応用の可能性を開くことを示す、文献上の多量の証拠が存在する。NOは、心臓血管系、中枢神経系、および免疫系のような種々の生物学的系において生化学的シグナルを伝達するメッセンジャー分子として作用する。しかしながら、その有益な効果にも関わらず、高濃度のNO、またはその非制御条件下での投与は、有害な影響を示し得る(例えば、低血圧、タキフィラキシー、頭痛、細胞毒性など)。それゆえ、制御された量のNOを組織に運ぶ一方で、より安全なプロフィールを有する新たな薬剤を開発することが強く求められている。
【0003】
ヘパリンは、抗凝固および抗血栓薬として多年にわたり臨床的に使用されている。それにも関わらず、入院および通院患者の現行の治療には、出血、骨粗鬆症、および血小板減少症を含む有害な影響の考慮すべきリスクがある。
【0004】
ヘパリンとNO−放出化合物とを含む組成物は、心臓血管疾患の治療の臨床的診療において用いられている。
更に、最近、J.E.Saavedraら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 10(2000) 751−753は、酸化窒素を生成するヘパリン/ジアゼニウムジオラート複合物について記載している。しかしながら、これらの化合物の合成は非常に複雑である。さらに、ヘパリン鎖に導入された特定のNO放出基は種々の欠点を有し、結果的に、これは薬学的応用に適していない。
アルギン硝酸エステルの調製と、セルロイドの製造におけるその使用が、GB417556に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
本発明は、組織および器官流体との高い適合性を示す新たなクラスの化合物を提供する。係る新たな化合物は、糖構造に共有結合したニトロ基を含む多糖である。特に、本発明は、糖構造に共有結合したニトロ基−ONO2を含む、必須にウロン酸および/またはヘキソサミンの単位からなる多糖を提供する。好ましくは、本発明に係る多糖は、主にウロン酸とヘキソサミンとからなる二糖繰り返し単位からなる。
【0006】
本発明の好ましい実施態様では、これらの化合物は、治療に有効なレベルで生物学的流体/組織中にNOを放出することができる。生物活性NOは、生物学的ターゲットに選択的に放出されて、全身的な望ましくない事象の危険性を避けることができる。
本発明の他の好ましい実施態様では、本発明に係る化合物が、ヘパリンの治療的使用に典型的に関与する副作用を顕著に低減する。
【0007】
特に好ましい実施態様では、両方の効果が同時に存在する。
この結果は、本質的にウロン酸およびまたはヘキソサミンの単位からなる多糖を、−ONO2基を含む置換基を用いて官能化することにより達成された。これらの置換基は、共有結合を介して糖構造に結合される。本発明に係る多糖は、好ましくは2から100単位の間の多数の糖単位からなる。それゆえ、当業者には、多糖の定義の範囲内に二糖およびオリゴ糖が含まれることが明らかである。実際に、二糖およびオリゴ糖のニトロ誘導体は、より高い分子量を有する多糖のニトロ誘導体と同じ利点を示す。二糖の場合、二つの糖の少なくとも一方がウロン酸またはヘキソサミンのいずれかである。好ましくは、本発明に係る二糖は、ウロン酸単位およびヘキソサミン単位からなる。
【0008】
本発明に係る多糖は、主に、略図1に記載された単位からなる天然グリコサミノグリカン(GAG)から調製されることが好ましい。
【化1】
略図1:天然グリコサミノグリカンの一般的な構造
上記略図中、Ch−4Sはコンドロイチン4スルファート(コンドロイチンC)を示し、かつnは通常10から50の間であり;Ch−6Sはコンドロイチン6スルファート(コンドロイチンA)を示し、かつnは通常10から50の間であり;HAはヒアルロン酸を示し、かつnは通常10から250の間であり;DeSはデルマタンスルファート(コンドロイチンB)を示し、かつnは通常10から100の間であり;HSはヘパランスルファートを示し、かつnは通常8から50の間であり;そしてHEPはヘパリンを示し、かつnは通常8から35を示す。
【0009】
これらのGAGは、本発明に係るニトロ誘導体の調製における出発物質として直接用いることができ、また、これらは当該技術分野で周知の技術に従って化学的に変性させることもできる。
【0010】
例えば、WO99/27976(Baxter)に記載されているように、ヘキソサミノ残基のN−アセチルまたはN−スルファート基は、脱硫酸化または脱アセチル化反応を介してアミノ基へと転換することができ;フリーのアミノ基はN−アセチル化またはN−硫酸化することができ;ウロン酸のスルファート基は脱硫酸化反応を介してエポキシ基を生じることができ;フリーのアミノ基とエポキシ基はポリマー支持体に多糖を固定するために用いることができる。
【0011】
また、ヘキソサミンの6位の脱硫酸化によるCH2OH基の生成も知られており;さらに、別の反応位置が脱アミノ反応を介して生成されて解重合をもたらし;このようにして、さらなる反応により新たなCH2OHまたは新たなアミノ基を生じる末端CHOを示す二糖およびオリゴ糖が得られる。
【化2】
【0012】
解重合反応を、例えば、リアーゼまたはヒドロラーゼを用いた酵素的加水分解、鉱酸(例えば硫酸または塩酸)を用いた化学的解重合、またはスミスの解体反応によって、ヘキソサミン環を変性することなく起こすこともできる。別の可能な化学変性は、ピリジン−三酸化硫黄のアダクトを用いた(K.Nagasawa;H.Uchiyama;N.Wajima,Carbohydr.Res.158(1986),183−190; A.Ogamo,A.Metori;H.Uchiyama;K.Nagasawa,Carbohydr.Res.193(1989),165−172; R.N.Rey;K.G.Ludwig−Baxter;A.S.Perlin,Carbohydr.Res.210(1991),299−310)、または硫酸とクロロスルホン酸の混合物を用いた(Naggiら,Biochem.Pharmacol.36,1895−1900,1987)、超硫酸化(supersulfation)である。
【0013】
上記方法に従って得られる天然GAGとそれらの誘導体は、他と比較しても、内皮、血小板および白血球に対して非常に高い親和性を示す。ニトロ基のようなNOを放出することができる基のキャリアーとしてのそれらの使用は、選択的使用を可能にし、結果として、活性成分の低減された投与を可能にする。好ましい多糖はヘパリン、ヘパランスルファート、コンドロイチンA、BおよびC、並びにこれらの脱硫酸化誘導体である。最も好ましくはヘパリンである。
【0014】
ニトロ化は、約500(二糖)から約30000(高分子量多糖)の間の分子量の多糖の糖単位の種々の位置において起こることができる。ニトロ含有基の導入に好ましい位置は、ヘキソサミンの6位のCH2OH、ヘキソサミンとウロン酸の3位のCHOH、ウロン酸の6位のカルボキシ基、(脱硫酸化)ウロン酸の2位のCHOH、および脱硫酸化または脱アセチル化ヘキソサミンのNH2である。
【0015】
ニトロ基は、直接的に(例えば、糖単位の炭素のニトロ化を介して)、または多糖単位とニトロ基との間のスペーサーとして作用する二価の基を介して、糖構造に共有結合することができる。適切なスペーサーは、C2−C20脂肪族または芳香族炭化水素、エーテル、ポリエーテル、カルボン酸またはその誘導体などから誘導された二価の基である。
【0016】
以下において、ヘパリンのニトロ誘導体について言及するが、当業者には、類推によって、上記のGAGまたはそれらの誘導体のような、必須にウロン酸および/またはヘキソサミンの単位からなる他のあらゆる多糖のニトロ誘導体を調製可能であることが明らかである。
本発明に係るニトロ誘導体は、チャージした種、すなわちニトロソニウム(NO+)またはニトロキシル(NO−)、または中性種、すなわち酸化窒素(NO)として酸化窒素を付与、転移、または放出する化合物、および/またはin vivoにおけるNOまたはEDRF(内皮由来血管弛緩因子)の内因的産生を刺激する化合物と組み合わせて任意に用いることができる。
【0017】
本発明に係るニトロ誘導体の調製の第一の経路は、ニトロ化混合物による直接的ニトロ化である。この反応は、種々の基質に対して実施することができる。例えば、ヘパリンナトリウム塩、6−O−脱硫酸化ヘパリンおよびN−脱アセチル化ヘパリンを用いることができる。この反応は、好ましくは、ニトロ化混合物を最初に調製し、これに予め乾燥したヘパリンを攪拌しながら少量添加することによって実施される。ニトロ化混合物の例は、硫酸−硝酸、リン酸−硝酸、酢酸無水物−硝酸、亜酸化窒素−硫酸である。好ましい混合物は、硫酸−硝酸混合物であって、スルホ−ニトロ混合物(sulfo−nitric mixture)とも呼ばれるもの、および酢酸無水物−硝酸混合物である。
【0018】
可能な解重合反応を制限するのであれば、この反応を、好ましくは、例えば、アイスバスまたは冷凍混合物を用いて低温に温度調節する。スルホ−ニトロ混合物の場合、硫酸と硝酸との間のモル比は広範囲にわたるものとすることができ、かつ、好ましくは5:1から1:2、さらに好ましくは3:1から1:1.25の間に含まれる。ニトロヘパリンの分子量は、使用する反応条件に従って変化することができるが、好ましくは500から20000、最も好ましくは500から12000の間に含まれる。糖単位当たりのニトロ基の量も顕著に多様であるが、糖単位とニトロ基との間の当量比は、好ましくは40:1から2:3、さらに好ましくは20:1から2:3、最も好ましくは10:1から1:1の間に含まれる。
【0019】
本発明に係る多糖のニトロ誘導体の合成の別の合成経路は、ハロアシル化(haloacylation)後のニトロ化によるものである。この場合、N−脱硫酸化ヘキソサミンを含む多糖を最初に調製することが可能である。次いで、このN−脱硫酸化ヘキソサミンを、ヨード酢酸無水物のようなハロ無水物と反応させて、ヘキソサミンの2位に対応するアミドを得る。このヨウ素原子を、次いで、適切な硝酸塩と反応させてニトロ基で置換する。適切な反応条件を用いることにより、N−脱硫酸化の量、すなわちその結果として、導入されるニトロ基の量を調節することが可能である。適切な硝酸塩の例は、AgNO3およびNBu4NO3である。ω−ハロカルボン酸の無水物のようなヨード酢酸無水物とは異なる無水物を用いて、このようにして、異なるスペーサー基を有するニトロ誘導体を得ることも可能である。好ましいハロゲンは、ヨウ素と臭素である。より好ましくはヨウ素である。出発物質がヘパリンとヨード酢酸無水物である場合、反応スキームは以下の通りである。
【化3】
【0020】
脱硫酸化ヘキソサミンの6位をアシル化することも可能である。この場合、式X−(CH2)n−COY[ここで、Xは塩素、臭素、ヨウ素またはトシル;好ましくはXは臭素であり;Yは塩素、メルカプトチアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾキサゾール、p−ニトロフェノールである]の化合物を用いることが好ましい。ヘパリンの反応スキームは以下の通りである。
【化4】
【0021】
実験セクション
ブタの腸管粘膜由来のヘパリンナトリウム塩(HEP)を、Laboratorio Derivati Organiciから入手した。分析的特徴は以下の通りである:
元素分析:C:21.26%;N:2.07%;
糖当たりのN原子:0.5。
【0022】
合成1
50%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP1)の調製
過剰のピリジンを、予めAmberlite IR 120(H+)のカラムから溶出した、2gのHEPの水溶液に添加した。この溶液を、減圧下で蒸発させ;得られたヘパリンのピリジン塩を100mlのDMSO/メタノール95:5混合物に溶解させ、20℃で2時間攪拌し、約50%の脱硫酸化度を得た。
次いで、この溶液を等量の蒸留水で希釈した。pHを水酸化ナトリウム1Mを添加することにより約10に調節し、この溶液を膜(カットオフ1000−2000D)中で蒸留水に対して透析した。最終産物を、減圧下で蒸発させて単離した。
UV:[C]=0.73mg/ml;abs=1.469;λ=195nm。
【0023】
合成2
100%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP2)の調製
2時間の代わりに8時間HEPを反応させて、合成1を繰り返した。100%のN−脱硫酸化ヘパリンを得た。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=0.355;λ=195nm。
【0024】
合成3
N−および100%の6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP3)の調製
過剰のピリジンを、予めAmberlite IR 120(H+)のカラムから溶出した、5gのHEPの水溶液に添加した。この溶液を、減圧下で蒸発させ;得られたヘパリンのピリジン塩を500mlのDMSO/メタノール90:10混合物に溶解させ、65℃で8時間攪拌した。次いで、この溶液を等量の蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウム1Mを添加することにより中和し、限外濾過を介して精製した。最終産物を、減圧下で蒸発させることにより単離した。
【0025】
合成4
6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP4)の調製
N−およびO−脱硫酸化ヘパリン(HEP3)のN−再硫酸化を介して、6−O−脱硫酸化ヘパリンを調製した。
予め炭酸水素ナトリウムで飽和させ、55℃に温度調節した4gのHEP3の水溶液に、9.6gの三酸化硫黄トリメチルアミン複合体(TMA−SO3)を添加した。20時間後、9.6gのTMA−SO3を添加し、この混合物を55℃で7時間攪拌した。次いで、この混合物をエタノールに注ぎ、4℃で15−20時間後に、粉砕したガラスフィルターで濾過した。沈殿を水に溶解し、膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。この水溶液を減圧下で蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=1.1mg/ml;abs=1.976;λ=195nm。
0.11mg/ml;abs=0.206;λ=195nm。
【0026】
合成5
N−アセチル化ヘパリン(HEP5)の調製
N−アセチル化ヘパリンを、100%のN−脱硫酸化ヘパリン(HEP2)のN−アセチル化により調製した。
600mgのHEP2を6mlの蒸留水に溶解させ;この溶液を0℃まで冷却し、炭酸水素ナトリウムで飽和させ;500μlの酢酸無水物をこの溶液に添加し、この混合物を0℃で2時間攪拌した。反応中に、pHを炭酸水素ナトリウムを添加することにより約8に調節および維持した。次いで、得られた溶液を、膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で蒸発させた。
【0027】
合成6
100%N−脱硫酸化した超硫酸化ヘパリン(HEP6)の調製
Naggiら,Biochem.Pharmacol.36,1895−1900,1987に記載されている方法に従って調製した超硫酸化(supersulfated)ヘパリンを出発物質として用いて、合成2を繰り返した。得られた産物を、合成5に記載されているようにアセチル化した。
元素分析:C:15.34%;N:1.28%;
糖当たりのN原子:0.5
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=0.830;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.7。
【0028】
合成7
100%N−アセチル化した脱硫酸化ヘパリン(HEP7)の調製
N−アセチル化したほぼ完全にO−脱硫酸化したヘパリンを、ほぼ完全にN,O−脱硫酸化ヘパリンのアセチル化により調製した。
過剰のピリジンを、予めAmberlite IR 120(H+)のカラムから溶出した、3gのHEPの水溶液に添加した。この溶液を、減圧下で蒸発させ;得られたヘパリンのピリジン塩を150mlのDMSO/メタノール90:10混合物に溶解させ、100℃で24時間攪拌し、完全なN−脱硫酸化およびほぼ完全なO−脱硫酸化を得た。
次いで、この溶液を等量の蒸留水で希釈した。pHを水酸化ナトリウム1Mを添加することにより約9に調節し、この溶液を膜(カットオフ1000−2000D)中で蒸留水に対して透析した。最終産物を、減圧下で蒸発させて単離した。
得られた産物を、合成5に記載したようにアセチル化した。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.660;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0029】
合成8
100%N−アセチル化した50%6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP8)の調製 このヘパリン誘導体を、8時間の代わりに6時間HEPを反応させて、合成3に記載されている方法に従って、50%6−O−脱硫酸化ヘパリンをアセチル化することにより調製した。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.356;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0030】
【実施例】
実施例1
スルホ−ニトロ混合物を用いたヘパリン(HEP)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、20mlの硫酸(96%)に10mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEPを1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/CO2の槽中で冷却した500mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、1000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.513;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.8。
【0031】
実施例2
スルホ−ニトロ混合物を用いたヘパリン(HEP)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、20mlの硫酸(96%)に10mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEPを1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/CO2の槽中で冷却した300mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、1000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:17.10%;N:4.01%;
糖当たりのN原子:1.2
糖当たりのONO2:0.7
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.586;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.5。
MW:9150。
【0032】
実施例3
スルホ−ニトロ混合物を用いたヘパリン(HEP)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、13.8mlの硫酸(98%)に16.3mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEPを1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/N2の槽中で冷却した500mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、1000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.073mg/ml;abs=1.358;λ=195nm。
MW:8000。
【0033】
実施例4
スルホ−ニトロ混合物を用いた6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP4)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、20mlの硫酸(98%)に10mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEP4を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/N2の槽中で冷却した500mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:20.61%;N:3.86%;
糖当たりのN原子:1
糖当たりのONO2:0.5
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.176;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.0。
MW:22400。
【0034】
実施例5
スルホ−ニトロ混合物を用いた6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP4)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、13.8mlの硫酸(98%)に16.3mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEP4を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で95分間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/N2の槽中で冷却した300mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、2000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:14.18%;N:3.42%;
糖当たりのN原子:1.25
糖当たりのONO2:0.75
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.489;λ=195nm。
【0035】
実施例6
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化ヘパリン(HEP5)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、2.64mlの硫酸(98%)に1.32mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、132mgのHEP5を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で2時間攪拌し、アセトン/N2槽中で冷却した後に、炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:21.89%;N:4.95%;
糖当たりのN:1.15
糖当たりのONO2:0.65
UV:[C]=0.05mg/ml;abs=1.574;λ=195nm。
MW:15700。
【0036】
実施例7
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化した脱硫酸化ヘパリン(HEP7)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、4.8mlの硫酸(96%)に2.4mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、240mgのHEP7を2時間15分にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間、室温で10分間攪拌した。アセトン/N2槽中で冷却した後に、炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:25.90%;N:6.27%;
糖当たりのN:1.45
糖当たりのONO2:0.45
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.960;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
MW:13500。
【0037】
実施例8
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化した50%6−O−ヘパリン(HEP8)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、10mlの硫酸(96%)に5mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、500mgのHEP8を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間、室温で10分間攪拌した。アセトン/N2槽中で冷却した後に、この混合物を炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。得られた固体を、ゲルクロマトグラフィーを介して精製した。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:17.16%;N:3.42%;
糖当たりのN:1.2
糖当たりのONO2:0.2
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.429;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
MW:12100。
【0038】
実施例9
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化ヘパリン(HEP5)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、4.23mlの硫酸(96%)に4.89mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、300mgのHEP5を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間攪拌し、アセトン/N2槽中で冷却した後に、炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:22.58%;N:4.91%;
糖当たりのN:1.2
糖当たりのONO2:0.2
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.9。
【0039】
実施例10
ニトロ酢酸混合物を用いたN−アセチル化ヘパリン(HEP5)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
ニトロ酢酸混合物を、攪拌しながら、28mlの硝酸(90%)に18.5mlの酢酸無水物を45分間にわたって滴下することにより調製し、N2/アセトン槽において−20℃で冷却した。最後に、250mgのHEP5を加えた。温度が安定したら、N2/アセトン槽をアイスバスに交換し;この混合物を3.5時間0℃で攪拌し、30分間室温で攪拌した。この混合物を700mlの冷却した蒸留水に注ぎ、NaOH 1Mを用いて中和した。得られた水溶液を、バイオコンセントレータMini−Plate(10000D)で処理して、凍結乾燥した。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:23.74%;N:5.01%;
糖当たりのN:1.25
糖当たりのONO2:0.75
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0040】
実施例11
50%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP1)のN−ヨードアシル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
386mgのジヨード酢酸無水物を200mgのHEP1の水溶液に添加し、0℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで飽和させた。この混合物を0℃で2時間攪拌し、次いで約80時間4℃にて放置した。次いで、得られた溶液を膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この溶液に4℃で、255mgの硝酸カルシウムと612mgの硝酸銀を加えた。この混合物をこの条件で48時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約70時間冷却した。この沈殿を濾過し、アセトンとジエチルエーテルを用いて洗浄した。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.073mg/ml;abs=0.954;λ=195nm。
元素分析:C:19.63%;N:1.83%;
糖当たりのN:0.56
糖当たりのONO2:0.06
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0041】
実施例12
100%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP2)のN−ヨードアセチル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
193mgのジヨード酢酸無水物を100mgのHEP2の水溶液2mlに添加し、4℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで約48時間飽和させた。この溶液を凍結乾燥させた。得られた固体を6mlの水に懸濁し、中和した。128mgの硝酸カルシウムと306mgの硝酸銀を、この溶液に4℃で添加した。この混合物をこの条件で24時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物を13C NMR分光法で分析した。CH3I基の存在が1.2ppmのシグナルで示された。4mlの水に可溶化したこのサンプルを、128mgの硝酸カルシウムと306mgの硝酸銀を用いて4℃でさらに処理した。この混合物をこの条件で48時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.1mg/ml;abs=1.062;λ=195nm。
元素分析:C:20.22%;N:1.89%;
糖当たりのN:0.56
糖当たりのONO2:0.06
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0042】
実施例13
50%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP1)のN−ヨードアセチル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
386mgのジヨード酢酸無水物を200mgのHEP1の水溶液3mlに添加し、4℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで約72時間飽和させた。この溶液をエタノール(15ml)に注ぎ、4℃で冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
得られた固体を6mlの水に懸濁し、中和した。255mgの硝酸カルシウムと612mgの硝酸銀を、この溶液に4℃で添加した。この混合物をこの条件で48時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物を13C NMR分光法で分析した。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.1mg/ml;abs=1.092;λ=195nm。
元素分析:C:20.25%;N:2.10%;
糖当たりのN:0.62
糖当たりのONO2:0.12
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.2。
【0043】
実施例14
N−脱硫酸化した超硫酸化ヘパリン(HEP6)のN−ヨードアセチル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
276mgのジヨード酢酸無水物を200mgのHEP6の水溶液3mlに添加し、4℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで約48時間飽和させた。この溶液を1000Dの膜中において蒸留水に対して透析し、この水溶液を凍結乾燥した。
得られた固体を6mlの水に懸濁した。163mgの硝酸カルシウムと391mgの硝酸銀を、この溶液に4℃で添加した。この混合物をこの条件で24時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.1mg/ml;abs=0.913;λ=195nm。
元素分析:C:17.10%;N:1.53%;
糖当たりのN:0.55
糖当たりのONO2:0.05
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0044】
薬理学的研究
ニトロヘパリンを、標準的なヘパリン(Liquemin−Roche)と比較した。
凝固アッセイ
50μlの試験ヘパリン溶液を、健康なドナー血漿の450μlのプール(少なくとも10)に添加した。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)およびトロンビン凝固時間(TcT)を、Momi Sら,Haematologica 2001;86:297−302に記載されているようにして自動凝固計(coagulometer)(ACL300R、Istrumentation Laboratory,Milan)を用いた標準アッセイにより測定した。
最大収集時間をaPTTについて249s、TcTについて167sに設定した。
【0045】
全血凝集アッセイ
Chrono−Log全血血小板凝集計(mod.540,Chrono−Log Corp.,Havertown,Pa,USA)を用いて、Gresele Pら Thromb Haemost 1986;55:12−18に記載されているインピーダンス法を用いて、血小板凝集を全血において調べた。
クエン酸塩添加全血のサンプル(1ml)を用いて、連続的攪拌の下で、および血小板アゴニストで刺激した後に、血液に浸された二つの鋭敏な電極間の電気的インピーダンスの変化を測定した。始めは、血小板の単層が電極を被覆する。凝集剤の存在が、さらなる血小板を凝集させ、単層に付着させ、電極間のインピーダンスを増加させる。インピーダンスの変化を記録し、凝集と相関させる。
【0046】
10μlの試験ヘパリン溶液またはビヒクル(水)を、クエン酸塩添加生理溶液で1:2に希釈した1mlのクエン酸塩添加血液に加え、37℃で2分間インキュベートした。凝集剤ADP(半最大(sub maximal)効果を得るために2から10μM)を添加し、凝集曲線を10分間にわたって記録した。得られた最大振幅を測定し、ヘパリンとのプレインキュベーション後の凝集の最大振幅の増加を試験化合物の前凝集(proaggregatory)活性の指標とした。
【0047】
血小板に富む血漿(PRP)の凝集研究
血液を、健康なドナーから1/10v:vクエン酸三ナトリウム(3.8%)に回収した。血液を、室温で180xgで15分間遠心した。血小板に富む血漿を分離し、PRPでの血小板カウントを、自己由来の血小板に乏しい血漿(PPP)で2.5x108/mlに調節した。
PRPを37℃で2分または10分間にわたりニトロヘパリンでインキュベートし、その後ADP(半閾値または閾値)または閾値凝集濃度の安定なトロンボキサンアナログU46619で刺激した。アゴニストの閾値量は、3分以内に最大凝集の60%を与えるインデューサーの最少量として定義した(投与量−応答曲線から同定)。試験化合物の前凝集(pro−aggregatory)効果を示すために半閾値量を用い、一方、試験化合物の阻害効果を識別することを目的とする実験で閾値量を用いた(Vezza Rら, Blood 1993;82:2704−2713)。
【0048】
ゲル濾過血小板の凝集研究
ゲル濾過した血小板を用いた実験では、5mlのPRPをカラム(Sepharose 2B)に通し;血小板を約7つのフラクションに溶出した。これらは、その濁度により識別できる。血小板カウントを108/ml3に調節した。
【0049】
酸化窒素(NO)の役割についての実験
血小板の阻害作用におけるNOの役割を識別することを目的とする実験のために、ゲル濾過ヒト血小板を、試験化合物と2分間プレインキュベートし、U46619で刺激した。
【0050】
ビヒクル、標準ヘパリン(Liquemin(登録商標))、およびNO−ヘパリン処理したヒトの血漿における活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)およびトロンビン凝固時間(TcT)
【表1】
値は平均±標準誤差(s.e.m)として表示されている。
【0051】
PRP(血小板に富む血漿)におけるADPおよびU46619誘導ヒト血小板凝集に対するビヒクル、標準ヘパリン(Liquemin(登録商標))、およびNO−ヘパリンの効果
【表2】
PRP凝集は、半閾値量の凝集剤ADP、または閾値量のトロンボキサン安定アナログU46619の添加により得られた。値は、コントロール(ビヒクル)の凝集のパーセントとして平均として表されている。
n.a.:評価せず
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウロン酸とヘキソサミン残基からなる繰り返し単位を含む多糖のニトロ誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
NOが、種々の生理学的および病理学的状態において重要な役割を演じ、治療学的応用の可能性を開くことを示す、文献上の多量の証拠が存在する。NOは、心臓血管系、中枢神経系、および免疫系のような種々の生物学的系において生化学的シグナルを伝達するメッセンジャー分子として作用する。しかしながら、その有益な効果にも関わらず、高濃度のNO、またはその非制御条件下での投与は、有害な影響を示し得る(例えば、低血圧、タキフィラキシー、頭痛、細胞毒性など)。それゆえ、制御された量のNOを組織に運ぶ一方で、より安全なプロフィールを有する新たな薬剤を開発することが強く求められている。
【0003】
ヘパリンは、抗凝固および抗血栓薬として多年にわたり臨床的に使用されている。それにも関わらず、入院および通院患者の現行の治療には、出血、骨粗鬆症、および血小板減少症を含む有害な影響の考慮すべきリスクがある。
【0004】
ヘパリンとNO−放出化合物とを含む組成物は、心臓血管疾患の治療の臨床的診療において用いられている。
更に、最近、J.E.Saavedraら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 10(2000) 751−753は、酸化窒素を生成するヘパリン/ジアゼニウムジオラート複合物について記載している。しかしながら、これらの化合物の合成は非常に複雑である。さらに、ヘパリン鎖に導入された特定のNO放出基は種々の欠点を有し、結果的に、これは薬学的応用に適していない。
アルギン硝酸エステルの調製と、セルロイドの製造におけるその使用が、GB417556に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
本発明は、組織および器官流体との高い適合性を示す新たなクラスの化合物を提供する。係る新たな化合物は、糖構造に共有結合したニトロ基を含む多糖である。特に、本発明は、糖構造に共有結合したニトロ基−ONO2を含む、必須にウロン酸および/またはヘキソサミンの単位からなる多糖を提供する。好ましくは、本発明に係る多糖は、主にウロン酸とヘキソサミンとからなる二糖繰り返し単位からなる。
【0006】
本発明の好ましい実施態様では、これらの化合物は、治療に有効なレベルで生物学的流体/組織中にNOを放出することができる。生物活性NOは、生物学的ターゲットに選択的に放出されて、全身的な望ましくない事象の危険性を避けることができる。
本発明の他の好ましい実施態様では、本発明に係る化合物が、ヘパリンの治療的使用に典型的に関与する副作用を顕著に低減する。
【0007】
特に好ましい実施態様では、両方の効果が同時に存在する。
この結果は、本質的にウロン酸およびまたはヘキソサミンの単位からなる多糖を、−ONO2基を含む置換基を用いて官能化することにより達成された。これらの置換基は、共有結合を介して糖構造に結合される。本発明に係る多糖は、好ましくは2から100単位の間の多数の糖単位からなる。それゆえ、当業者には、多糖の定義の範囲内に二糖およびオリゴ糖が含まれることが明らかである。実際に、二糖およびオリゴ糖のニトロ誘導体は、より高い分子量を有する多糖のニトロ誘導体と同じ利点を示す。二糖の場合、二つの糖の少なくとも一方がウロン酸またはヘキソサミンのいずれかである。好ましくは、本発明に係る二糖は、ウロン酸単位およびヘキソサミン単位からなる。
【0008】
本発明に係る多糖は、主に、略図1に記載された単位からなる天然グリコサミノグリカン(GAG)から調製されることが好ましい。
【化1】
略図1:天然グリコサミノグリカンの一般的な構造
上記略図中、Ch−4Sはコンドロイチン4スルファート(コンドロイチンC)を示し、かつnは通常10から50の間であり;Ch−6Sはコンドロイチン6スルファート(コンドロイチンA)を示し、かつnは通常10から50の間であり;HAはヒアルロン酸を示し、かつnは通常10から250の間であり;DeSはデルマタンスルファート(コンドロイチンB)を示し、かつnは通常10から100の間であり;HSはヘパランスルファートを示し、かつnは通常8から50の間であり;そしてHEPはヘパリンを示し、かつnは通常8から35を示す。
【0009】
これらのGAGは、本発明に係るニトロ誘導体の調製における出発物質として直接用いることができ、また、これらは当該技術分野で周知の技術に従って化学的に変性させることもできる。
【0010】
例えば、WO99/27976(Baxter)に記載されているように、ヘキソサミノ残基のN−アセチルまたはN−スルファート基は、脱硫酸化または脱アセチル化反応を介してアミノ基へと転換することができ;フリーのアミノ基はN−アセチル化またはN−硫酸化することができ;ウロン酸のスルファート基は脱硫酸化反応を介してエポキシ基を生じることができ;フリーのアミノ基とエポキシ基はポリマー支持体に多糖を固定するために用いることができる。
【0011】
また、ヘキソサミンの6位の脱硫酸化によるCH2OH基の生成も知られており;さらに、別の反応位置が脱アミノ反応を介して生成されて解重合をもたらし;このようにして、さらなる反応により新たなCH2OHまたは新たなアミノ基を生じる末端CHOを示す二糖およびオリゴ糖が得られる。
【化2】
【0012】
解重合反応を、例えば、リアーゼまたはヒドロラーゼを用いた酵素的加水分解、鉱酸(例えば硫酸または塩酸)を用いた化学的解重合、またはスミスの解体反応によって、ヘキソサミン環を変性することなく起こすこともできる。別の可能な化学変性は、ピリジン−三酸化硫黄のアダクトを用いた(K.Nagasawa;H.Uchiyama;N.Wajima,Carbohydr.Res.158(1986),183−190; A.Ogamo,A.Metori;H.Uchiyama;K.Nagasawa,Carbohydr.Res.193(1989),165−172; R.N.Rey;K.G.Ludwig−Baxter;A.S.Perlin,Carbohydr.Res.210(1991),299−310)、または硫酸とクロロスルホン酸の混合物を用いた(Naggiら,Biochem.Pharmacol.36,1895−1900,1987)、超硫酸化(supersulfation)である。
【0013】
上記方法に従って得られる天然GAGとそれらの誘導体は、他と比較しても、内皮、血小板および白血球に対して非常に高い親和性を示す。ニトロ基のようなNOを放出することができる基のキャリアーとしてのそれらの使用は、選択的使用を可能にし、結果として、活性成分の低減された投与を可能にする。好ましい多糖はヘパリン、ヘパランスルファート、コンドロイチンA、BおよびC、並びにこれらの脱硫酸化誘導体である。最も好ましくはヘパリンである。
【0014】
ニトロ化は、約500(二糖)から約30000(高分子量多糖)の間の分子量の多糖の糖単位の種々の位置において起こることができる。ニトロ含有基の導入に好ましい位置は、ヘキソサミンの6位のCH2OH、ヘキソサミンとウロン酸の3位のCHOH、ウロン酸の6位のカルボキシ基、(脱硫酸化)ウロン酸の2位のCHOH、および脱硫酸化または脱アセチル化ヘキソサミンのNH2である。
【0015】
ニトロ基は、直接的に(例えば、糖単位の炭素のニトロ化を介して)、または多糖単位とニトロ基との間のスペーサーとして作用する二価の基を介して、糖構造に共有結合することができる。適切なスペーサーは、C2−C20脂肪族または芳香族炭化水素、エーテル、ポリエーテル、カルボン酸またはその誘導体などから誘導された二価の基である。
【0016】
以下において、ヘパリンのニトロ誘導体について言及するが、当業者には、類推によって、上記のGAGまたはそれらの誘導体のような、必須にウロン酸および/またはヘキソサミンの単位からなる他のあらゆる多糖のニトロ誘導体を調製可能であることが明らかである。
本発明に係るニトロ誘導体は、チャージした種、すなわちニトロソニウム(NO+)またはニトロキシル(NO−)、または中性種、すなわち酸化窒素(NO)として酸化窒素を付与、転移、または放出する化合物、および/またはin vivoにおけるNOまたはEDRF(内皮由来血管弛緩因子)の内因的産生を刺激する化合物と組み合わせて任意に用いることができる。
【0017】
本発明に係るニトロ誘導体の調製の第一の経路は、ニトロ化混合物による直接的ニトロ化である。この反応は、種々の基質に対して実施することができる。例えば、ヘパリンナトリウム塩、6−O−脱硫酸化ヘパリンおよびN−脱アセチル化ヘパリンを用いることができる。この反応は、好ましくは、ニトロ化混合物を最初に調製し、これに予め乾燥したヘパリンを攪拌しながら少量添加することによって実施される。ニトロ化混合物の例は、硫酸−硝酸、リン酸−硝酸、酢酸無水物−硝酸、亜酸化窒素−硫酸である。好ましい混合物は、硫酸−硝酸混合物であって、スルホ−ニトロ混合物(sulfo−nitric mixture)とも呼ばれるもの、および酢酸無水物−硝酸混合物である。
【0018】
可能な解重合反応を制限するのであれば、この反応を、好ましくは、例えば、アイスバスまたは冷凍混合物を用いて低温に温度調節する。スルホ−ニトロ混合物の場合、硫酸と硝酸との間のモル比は広範囲にわたるものとすることができ、かつ、好ましくは5:1から1:2、さらに好ましくは3:1から1:1.25の間に含まれる。ニトロヘパリンの分子量は、使用する反応条件に従って変化することができるが、好ましくは500から20000、最も好ましくは500から12000の間に含まれる。糖単位当たりのニトロ基の量も顕著に多様であるが、糖単位とニトロ基との間の当量比は、好ましくは40:1から2:3、さらに好ましくは20:1から2:3、最も好ましくは10:1から1:1の間に含まれる。
【0019】
本発明に係る多糖のニトロ誘導体の合成の別の合成経路は、ハロアシル化(haloacylation)後のニトロ化によるものである。この場合、N−脱硫酸化ヘキソサミンを含む多糖を最初に調製することが可能である。次いで、このN−脱硫酸化ヘキソサミンを、ヨード酢酸無水物のようなハロ無水物と反応させて、ヘキソサミンの2位に対応するアミドを得る。このヨウ素原子を、次いで、適切な硝酸塩と反応させてニトロ基で置換する。適切な反応条件を用いることにより、N−脱硫酸化の量、すなわちその結果として、導入されるニトロ基の量を調節することが可能である。適切な硝酸塩の例は、AgNO3およびNBu4NO3である。ω−ハロカルボン酸の無水物のようなヨード酢酸無水物とは異なる無水物を用いて、このようにして、異なるスペーサー基を有するニトロ誘導体を得ることも可能である。好ましいハロゲンは、ヨウ素と臭素である。より好ましくはヨウ素である。出発物質がヘパリンとヨード酢酸無水物である場合、反応スキームは以下の通りである。
【化3】
【0020】
脱硫酸化ヘキソサミンの6位をアシル化することも可能である。この場合、式X−(CH2)n−COY[ここで、Xは塩素、臭素、ヨウ素またはトシル;好ましくはXは臭素であり;Yは塩素、メルカプトチアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾキサゾール、p−ニトロフェノールである]の化合物を用いることが好ましい。ヘパリンの反応スキームは以下の通りである。
【化4】
【0021】
実験セクション
ブタの腸管粘膜由来のヘパリンナトリウム塩(HEP)を、Laboratorio Derivati Organiciから入手した。分析的特徴は以下の通りである:
元素分析:C:21.26%;N:2.07%;
糖当たりのN原子:0.5。
【0022】
合成1
50%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP1)の調製
過剰のピリジンを、予めAmberlite IR 120(H+)のカラムから溶出した、2gのHEPの水溶液に添加した。この溶液を、減圧下で蒸発させ;得られたヘパリンのピリジン塩を100mlのDMSO/メタノール95:5混合物に溶解させ、20℃で2時間攪拌し、約50%の脱硫酸化度を得た。
次いで、この溶液を等量の蒸留水で希釈した。pHを水酸化ナトリウム1Mを添加することにより約10に調節し、この溶液を膜(カットオフ1000−2000D)中で蒸留水に対して透析した。最終産物を、減圧下で蒸発させて単離した。
UV:[C]=0.73mg/ml;abs=1.469;λ=195nm。
【0023】
合成2
100%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP2)の調製
2時間の代わりに8時間HEPを反応させて、合成1を繰り返した。100%のN−脱硫酸化ヘパリンを得た。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=0.355;λ=195nm。
【0024】
合成3
N−および100%の6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP3)の調製
過剰のピリジンを、予めAmberlite IR 120(H+)のカラムから溶出した、5gのHEPの水溶液に添加した。この溶液を、減圧下で蒸発させ;得られたヘパリンのピリジン塩を500mlのDMSO/メタノール90:10混合物に溶解させ、65℃で8時間攪拌した。次いで、この溶液を等量の蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウム1Mを添加することにより中和し、限外濾過を介して精製した。最終産物を、減圧下で蒸発させることにより単離した。
【0025】
合成4
6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP4)の調製
N−およびO−脱硫酸化ヘパリン(HEP3)のN−再硫酸化を介して、6−O−脱硫酸化ヘパリンを調製した。
予め炭酸水素ナトリウムで飽和させ、55℃に温度調節した4gのHEP3の水溶液に、9.6gの三酸化硫黄トリメチルアミン複合体(TMA−SO3)を添加した。20時間後、9.6gのTMA−SO3を添加し、この混合物を55℃で7時間攪拌した。次いで、この混合物をエタノールに注ぎ、4℃で15−20時間後に、粉砕したガラスフィルターで濾過した。沈殿を水に溶解し、膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。この水溶液を減圧下で蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=1.1mg/ml;abs=1.976;λ=195nm。
0.11mg/ml;abs=0.206;λ=195nm。
【0026】
合成5
N−アセチル化ヘパリン(HEP5)の調製
N−アセチル化ヘパリンを、100%のN−脱硫酸化ヘパリン(HEP2)のN−アセチル化により調製した。
600mgのHEP2を6mlの蒸留水に溶解させ;この溶液を0℃まで冷却し、炭酸水素ナトリウムで飽和させ;500μlの酢酸無水物をこの溶液に添加し、この混合物を0℃で2時間攪拌した。反応中に、pHを炭酸水素ナトリウムを添加することにより約8に調節および維持した。次いで、得られた溶液を、膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で蒸発させた。
【0027】
合成6
100%N−脱硫酸化した超硫酸化ヘパリン(HEP6)の調製
Naggiら,Biochem.Pharmacol.36,1895−1900,1987に記載されている方法に従って調製した超硫酸化(supersulfated)ヘパリンを出発物質として用いて、合成2を繰り返した。得られた産物を、合成5に記載されているようにアセチル化した。
元素分析:C:15.34%;N:1.28%;
糖当たりのN原子:0.5
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=0.830;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.7。
【0028】
合成7
100%N−アセチル化した脱硫酸化ヘパリン(HEP7)の調製
N−アセチル化したほぼ完全にO−脱硫酸化したヘパリンを、ほぼ完全にN,O−脱硫酸化ヘパリンのアセチル化により調製した。
過剰のピリジンを、予めAmberlite IR 120(H+)のカラムから溶出した、3gのHEPの水溶液に添加した。この溶液を、減圧下で蒸発させ;得られたヘパリンのピリジン塩を150mlのDMSO/メタノール90:10混合物に溶解させ、100℃で24時間攪拌し、完全なN−脱硫酸化およびほぼ完全なO−脱硫酸化を得た。
次いで、この溶液を等量の蒸留水で希釈した。pHを水酸化ナトリウム1Mを添加することにより約9に調節し、この溶液を膜(カットオフ1000−2000D)中で蒸留水に対して透析した。最終産物を、減圧下で蒸発させて単離した。
得られた産物を、合成5に記載したようにアセチル化した。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.660;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0029】
合成8
100%N−アセチル化した50%6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP8)の調製 このヘパリン誘導体を、8時間の代わりに6時間HEPを反応させて、合成3に記載されている方法に従って、50%6−O−脱硫酸化ヘパリンをアセチル化することにより調製した。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.356;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0030】
【実施例】
実施例1
スルホ−ニトロ混合物を用いたヘパリン(HEP)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、20mlの硫酸(96%)に10mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEPを1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/CO2の槽中で冷却した500mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、1000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.513;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.8。
【0031】
実施例2
スルホ−ニトロ混合物を用いたヘパリン(HEP)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、20mlの硫酸(96%)に10mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEPを1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/CO2の槽中で冷却した300mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、1000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:17.10%;N:4.01%;
糖当たりのN原子:1.2
糖当たりのONO2:0.7
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.586;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.5。
MW:9150。
【0032】
実施例3
スルホ−ニトロ混合物を用いたヘパリン(HEP)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、13.8mlの硫酸(98%)に16.3mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEPを1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/N2の槽中で冷却した500mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、1000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.073mg/ml;abs=1.358;λ=195nm。
MW:8000。
【0033】
実施例4
スルホ−ニトロ混合物を用いた6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP4)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、20mlの硫酸(98%)に10mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEP4を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で1時間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/N2の槽中で冷却した500mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:20.61%;N:3.86%;
糖当たりのN原子:1
糖当たりのONO2:0.5
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.176;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=3.0。
MW:22400。
【0034】
実施例5
スルホ−ニトロ混合物を用いた6−O−脱硫酸化ヘパリン(HEP4)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホ−ニトロ混合物を、攪拌しながら、13.8mlの硫酸(98%)に16.3mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスを用いて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、1gのHEP4を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を室温で95分間攪拌した。
最後に、この混合物を、アセトン/N2の槽中で冷却した300mlのジエチルエーテルに注いだ。この冷却混合物を減圧下で粉砕ガラスフィルターにて濾過した。粘着性の固形分がフィルターに残存し、これを冷却したエーテルで洗浄し、次いで、炭酸水素ナトリウムの水溶液で洗浄することによりこのフィルターから回収した。得られた溶液(pH8)を減圧下で濃縮し、2000Dの膜において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:14.18%;N:3.42%;
糖当たりのN原子:1.25
糖当たりのONO2:0.75
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.489;λ=195nm。
【0035】
実施例6
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化ヘパリン(HEP5)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、2.64mlの硫酸(98%)に1.32mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、132mgのHEP5を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で2時間攪拌し、アセトン/N2槽中で冷却した後に、炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:21.89%;N:4.95%;
糖当たりのN:1.15
糖当たりのONO2:0.65
UV:[C]=0.05mg/ml;abs=1.574;λ=195nm。
MW:15700。
【0036】
実施例7
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化した脱硫酸化ヘパリン(HEP7)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、4.8mlの硫酸(96%)に2.4mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、240mgのHEP7を2時間15分にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間、室温で10分間攪拌した。アセトン/N2槽中で冷却した後に、炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:25.90%;N:6.27%;
糖当たりのN:1.45
糖当たりのONO2:0.45
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.960;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
MW:13500。
【0037】
実施例8
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化した50%6−O−ヘパリン(HEP8)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、10mlの硫酸(96%)に5mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、500mgのHEP8を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間、室温で10分間攪拌した。アセトン/N2槽中で冷却した後に、この混合物を炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。得られた固体を、ゲルクロマトグラフィーを介して精製した。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:17.16%;N:3.42%;
糖当たりのN:1.2
糖当たりのONO2:0.2
UV:[C]=0.11mg/ml;abs=1.429;λ=195nm。
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
MW:12100。
【0038】
実施例9
スルホ−ニトロ混合物を用いたN−アセチル化ヘパリン(HEP5)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
スルホニトロ混合物を、攪拌しながら、4.23mlの硫酸(96%)に4.89mlの硝酸(90%)を滴下することにより調製し、アイスバスにおいて0℃で冷却した。蒸気が観察されなくなったら、300mgのHEP5を1時間にわたって分配して加えた。次いで、この混合物を0℃で1時間攪拌し、アセトン/N2槽中で冷却した後に、炭酸水素ナトリウムで飽和させた水溶液に注いだ。別の塩基性溶液を、pH7となるまで添加し、次いでこの溶液を凍結および凍結乾燥させた。固体を膜(カットオフ1000D)において蒸留水に対して透析した。
この水溶液を減圧下で室温において蒸発させた。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:22.58%;N:4.91%;
糖当たりのN:1.2
糖当たりのONO2:0.2
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.9。
【0039】
実施例10
ニトロ酢酸混合物を用いたN−アセチル化ヘパリン(HEP5)のニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
ニトロ酢酸混合物を、攪拌しながら、28mlの硝酸(90%)に18.5mlの酢酸無水物を45分間にわたって滴下することにより調製し、N2/アセトン槽において−20℃で冷却した。最後に、250mgのHEP5を加えた。温度が安定したら、N2/アセトン槽をアイスバスに交換し;この混合物を3.5時間0℃で攪拌し、30分間室温で攪拌した。この混合物を700mlの冷却した蒸留水に注ぎ、NaOH 1Mを用いて中和した。得られた水溶液を、バイオコンセントレータMini−Plate(10000D)で処理して、凍結乾燥した。
この産物は以下の特徴を有する。
元素分析:C:23.74%;N:5.01%;
糖当たりのN:1.25
糖当たりのONO2:0.75
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0040】
実施例11
50%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP1)のN−ヨードアシル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
386mgのジヨード酢酸無水物を200mgのHEP1の水溶液に添加し、0℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで飽和させた。この混合物を0℃で2時間攪拌し、次いで約80時間4℃にて放置した。次いで、得られた溶液を膜(カットオフ2000−1000D)において蒸留水に対して透析した。
この溶液に4℃で、255mgの硝酸カルシウムと612mgの硝酸銀を加えた。この混合物をこの条件で48時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約70時間冷却した。この沈殿を濾過し、アセトンとジエチルエーテルを用いて洗浄した。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.073mg/ml;abs=0.954;λ=195nm。
元素分析:C:19.63%;N:1.83%;
糖当たりのN:0.56
糖当たりのONO2:0.06
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0041】
実施例12
100%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP2)のN−ヨードアセチル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
193mgのジヨード酢酸無水物を100mgのHEP2の水溶液2mlに添加し、4℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで約48時間飽和させた。この溶液を凍結乾燥させた。得られた固体を6mlの水に懸濁し、中和した。128mgの硝酸カルシウムと306mgの硝酸銀を、この溶液に4℃で添加した。この混合物をこの条件で24時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物を13C NMR分光法で分析した。CH3I基の存在が1.2ppmのシグナルで示された。4mlの水に可溶化したこのサンプルを、128mgの硝酸カルシウムと306mgの硝酸銀を用いて4℃でさらに処理した。この混合物をこの条件で48時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.1mg/ml;abs=1.062;λ=195nm。
元素分析:C:20.22%;N:1.89%;
糖当たりのN:0.56
糖当たりのONO2:0.06
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0042】
実施例13
50%N−脱硫酸化ヘパリン(HEP1)のN−ヨードアセチル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
386mgのジヨード酢酸無水物を200mgのHEP1の水溶液3mlに添加し、4℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで約72時間飽和させた。この溶液をエタノール(15ml)に注ぎ、4℃で冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
得られた固体を6mlの水に懸濁し、中和した。255mgの硝酸カルシウムと612mgの硝酸銀を、この溶液に4℃で添加した。この混合物をこの条件で48時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物を13C NMR分光法で分析した。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.1mg/ml;abs=1.092;λ=195nm。
元素分析:C:20.25%;N:2.10%;
糖当たりのN:0.62
糖当たりのONO2:0.12
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.2。
【0043】
実施例14
N−脱硫酸化した超硫酸化ヘパリン(HEP6)のN−ヨードアセチル化およびニトロ化を介したニトロヘパリンの調製
276mgのジヨード酢酸無水物を200mgのHEP6の水溶液3mlに添加し、4℃で冷却し、炭酸水素ナトリウムで約48時間飽和させた。この溶液を1000Dの膜中において蒸留水に対して透析し、この水溶液を凍結乾燥した。
得られた固体を6mlの水に懸濁した。163mgの硝酸カルシウムと391mgの硝酸銀を、この溶液に4℃で添加した。この混合物をこの条件で24時間攪拌し、次いで、減圧下で粉砕したガラスフィルターで濾過した。過剰の硝酸銀を、塩化ナトリウムの添加により塩化銀を沈殿させることによって取り除いた。この溶液を、エタノールに注ぎ、4℃で約18時間冷却した。この沈殿を濾過し、水で可溶化し、この溶液を凍結乾燥させた。
この産物は以下の特徴を有する。
UV:[C]=0.1mg/ml;abs=0.913;λ=195nm。
元素分析:C:17.10%;N:1.53%;
糖当たりのN:0.55
糖当たりのONO2:0.05
電気伝導度滴定:SO3 −/COO−=1.1。
【0044】
薬理学的研究
ニトロヘパリンを、標準的なヘパリン(Liquemin−Roche)と比較した。
凝固アッセイ
50μlの試験ヘパリン溶液を、健康なドナー血漿の450μlのプール(少なくとも10)に添加した。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)およびトロンビン凝固時間(TcT)を、Momi Sら,Haematologica 2001;86:297−302に記載されているようにして自動凝固計(coagulometer)(ACL300R、Istrumentation Laboratory,Milan)を用いた標準アッセイにより測定した。
最大収集時間をaPTTについて249s、TcTについて167sに設定した。
【0045】
全血凝集アッセイ
Chrono−Log全血血小板凝集計(mod.540,Chrono−Log Corp.,Havertown,Pa,USA)を用いて、Gresele Pら Thromb Haemost 1986;55:12−18に記載されているインピーダンス法を用いて、血小板凝集を全血において調べた。
クエン酸塩添加全血のサンプル(1ml)を用いて、連続的攪拌の下で、および血小板アゴニストで刺激した後に、血液に浸された二つの鋭敏な電極間の電気的インピーダンスの変化を測定した。始めは、血小板の単層が電極を被覆する。凝集剤の存在が、さらなる血小板を凝集させ、単層に付着させ、電極間のインピーダンスを増加させる。インピーダンスの変化を記録し、凝集と相関させる。
【0046】
10μlの試験ヘパリン溶液またはビヒクル(水)を、クエン酸塩添加生理溶液で1:2に希釈した1mlのクエン酸塩添加血液に加え、37℃で2分間インキュベートした。凝集剤ADP(半最大(sub maximal)効果を得るために2から10μM)を添加し、凝集曲線を10分間にわたって記録した。得られた最大振幅を測定し、ヘパリンとのプレインキュベーション後の凝集の最大振幅の増加を試験化合物の前凝集(proaggregatory)活性の指標とした。
【0047】
血小板に富む血漿(PRP)の凝集研究
血液を、健康なドナーから1/10v:vクエン酸三ナトリウム(3.8%)に回収した。血液を、室温で180xgで15分間遠心した。血小板に富む血漿を分離し、PRPでの血小板カウントを、自己由来の血小板に乏しい血漿(PPP)で2.5x108/mlに調節した。
PRPを37℃で2分または10分間にわたりニトロヘパリンでインキュベートし、その後ADP(半閾値または閾値)または閾値凝集濃度の安定なトロンボキサンアナログU46619で刺激した。アゴニストの閾値量は、3分以内に最大凝集の60%を与えるインデューサーの最少量として定義した(投与量−応答曲線から同定)。試験化合物の前凝集(pro−aggregatory)効果を示すために半閾値量を用い、一方、試験化合物の阻害効果を識別することを目的とする実験で閾値量を用いた(Vezza Rら, Blood 1993;82:2704−2713)。
【0048】
ゲル濾過血小板の凝集研究
ゲル濾過した血小板を用いた実験では、5mlのPRPをカラム(Sepharose 2B)に通し;血小板を約7つのフラクションに溶出した。これらは、その濁度により識別できる。血小板カウントを108/ml3に調節した。
【0049】
酸化窒素(NO)の役割についての実験
血小板の阻害作用におけるNOの役割を識別することを目的とする実験のために、ゲル濾過ヒト血小板を、試験化合物と2分間プレインキュベートし、U46619で刺激した。
【0050】
ビヒクル、標準ヘパリン(Liquemin(登録商標))、およびNO−ヘパリン処理したヒトの血漿における活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)およびトロンビン凝固時間(TcT)
【表1】
値は平均±標準誤差(s.e.m)として表示されている。
【0051】
PRP(血小板に富む血漿)におけるADPおよびU46619誘導ヒト血小板凝集に対するビヒクル、標準ヘパリン(Liquemin(登録商標))、およびNO−ヘパリンの効果
【表2】
PRP凝集は、半閾値量の凝集剤ADP、または閾値量のトロンボキサン安定アナログU46619の添加により得られた。値は、コントロール(ビヒクル)の凝集のパーセントとして平均として表されている。
n.a.:評価せず
Claims (13)
- 糖構造に共有結合したニトロ基−ONO2を含むことを特徴とする、必須にウロン酸とヘキソサミンの単位からなる多糖。
- 主にウロン酸とヘキソサミンからなる二糖繰り返し単位からなる、請求項1記載の多糖。
- 糖単位の総数が2から100の間である、請求項1または2記載の多糖。
- 糖単位の総数が2(二糖)であり、かつ、その二つの糖の少なくとも一方がウロン酸またはヘキソサミン単位のいずれかである、請求項1記載の多糖。
- ウロン酸およびヘキソサミン単位からなる請求項4記載の二糖。
- 糖単位の総数が4から70の間である、請求項3記載の多糖。
- 糖単位とニトロ基との間の当量比が20:1から2:3である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の多糖。
- 糖単位とニトロ基との間の当量比が10:1から1:1の間である、請求項7記載の多糖。
- ニトロ基が、以下の位置:
ヘキソサミンの6位のCH2OH、ヘキソサミンとウロン酸の3位のCHOH、ウロン酸の6位のカルボキシ基、(脱硫酸化)ウロン酸の2位のCHOH、および脱硫酸化または脱アセチル化ヘキソサミンのNH2
の一つの反応により導入される、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の多糖。 - 500から21000Dの間の分子量を備えたヘパリンまたは解重合ヘパリンである、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の多糖。
- ニトロ基が、ニトロ化混合物を用いた直接的ニトロ化により導入される、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の多糖。
- ニトロ基が、ポリマー鎖とニトロ基との間のスペーサーとして作用する二価の基Rを介して糖構造に共有結合し、ここでRが、C2−C20脂肪族または芳香族炭化水素、エーテル、ポリエーテル、カルボン酸またはその誘導体である、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の多糖。
- 医薬として使用するための、糖構造に共有結合したニトロ基−ONO2を含む、必須にウロン酸および/またはヘキソサミンの単位からなる多糖。
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