JP2004506549A - 成形法 - Google Patents

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Abstract

高密度複合材料製品を成形する方法であって、該製品は、完成したとき、繊維強化プラスチック材料の対向する二つの外側スキンと該スキンの間にあるポリマーモルタルコアとを有する。この方法は、(a)型(10)キャビティと、ポリマーモルタルを該キャビティに導入することのできる射出口(15)とを定める、開くことのできる型を準備し、(b)該型を開いて、前記キャビティ内に前記対向外側スキンを形成するそれぞれの繊維強化材層(22、24)を配置し、(c)前記型(10)を閉じて、前記射出口(15)から、前記キャビティ内、該キャビティ内に配置された繊維強化材の層(22、24)の間に、高密度粒状骨材を加えた樹脂材料から成るポリマーモルタルを射出し、(d)射出されたポリマーモルタルに、該ポリマーモルタルから樹脂が分離されて前記層に浸透するのを確実にするのに十分な圧力を加える、ことによって、実施される。前記繊維強化材の層の網目の寸法が平均として前記高密度粒状骨材の平均寸法よりも小さく、そのため、該強化材が前記層に浸透する樹脂から骨材をろ過し、したがって骨材がポリマーモルタルコア内に留まり、スキンにおいて大きな繊維/樹脂比が実現される。

Description

【0001】
本発明は、間隔をとって配置された繊維強化プラスチックスキンを有する複合材料製品を成形する方法に関する。
【0002】
繊維強化プラスチック(FRP)製品の製造方法には多くのものがあり、これらはいろいろな機械的および物理的性質を与える。FRP製品を製造する通常の方法は手積み法であり、この方法では、繊維強化材の層が型の内部または周囲に積層され、工程中に、各層に対して、プラスチック樹脂が、必要な厚さが得られるまで、含浸させられる。非常にしばしば、最初のステップとして、適当なプラスチック材料から成るゲルコート層が型に付着させられ、そのあと、通常はマットの形の繊維強化材の層がこのゲルコート上に作りつけられる。この方法は多くの利点たとえば低金型費を有し、したがって単品または小さな製造ロットの製造に適している。
【0003】
FRP製品の製造においては、強化材の繊維を整列させて一方向強化または単一方向に偏った強化がなされるようにすることができる。そのため、この方法は、使用に際してある一つの方向に他の方向に比して大きな力が加わる各種製品の製造に特に適している。たとえば、この方法は、パイプ、パイプセグメント、または横にかける構造要素の製造に使用することができる。
【0004】
手積み法の欠点は、最終製品の品質が作業者の技量に強く依存するということである。そのため、確実な品質管理が難しく、したがって機械的性質が製造ロットごとに大きく変化しうる。さらに、目標は、樹脂によって完全に“濡れた”強化材の各層を得ることであるが、これを手操作で実現することは非常に難しく、割合に小さな繊維/樹脂比しか得られない。手積み法のさらなる問題は、層におけるエアポケットの繊維/樹脂閉じ込めが少ないということであり、そのため最終製品の強度が低下する。
【0005】
間隔をとって配置され、間にコアを有する二つのFRPスキンを有するように製造された複合材料製品が、各種産業において、使用されている。たとえば、建築要素、パイプ、およびパイプセグメントを、ポリマーモルタルマトリックスコアを使用して、そのように製造することが知られている。ポリマーモルタルマトリックスコアは、レジンエキステンダーとして作用する充填材、または樹脂を増量しかつ硬化樹脂系の機械的性質を改良するように作用する骨材、を加えられた樹脂材料から成る。充填材と骨材との両方を、マトリックスに使用することができ、またこれらはポリマーモルタルマトリックス内に含まれる樹脂材料の密度よりも大きな密度を有することができる。充填材、骨材、または充填材と骨材との両方の使用により、複合材料FRPの製品のコストを有意に低下させることができ、その一方で良好な機械的性質を実現することができる。外側スキンは複合材料製品の強度を高めるように設計することができる。これらのスキンは荷重のかかる条件下で最大の力にさらされうるからである。
【0006】
そのような複合材料製品が手操作法によって製造される場合、寸法制御が非常に難しく、またコアは、FRP層の第二のスキンを付着させる前に、十分に硬化させなければならない。これは、製造工程を長びかせ、したがって最終製品の均一性を低下させうる。また、骨材を使用する場合、樹脂の密度と骨材の密度との違いのため、樹脂が十分に硬化する前に、骨材が重力の作用下で樹脂中を移動する傾向が生じ、したがって一つの製品内でコアの性質に違いが生じる。
【0007】
複合材料FRP製品の製造のための他の公知の方法としては、樹脂トランスファー成形および圧縮成形がある。後者の方法においては、非常に良好な機械的性質を得ることができるが、操業費用が非常に大きく、また金型費が大きいため、長い連続生産に対してのみ適当である。樹脂トランスファー成形は、割合に小さなバッチ生産に使用でき、手積み法に比して良い製品が製造されるが、この方法では、大きなまたは厚い積層材の製造は難しい。また、大きな繊維/樹脂比の実現も難しく、また高濃度の充填材を使用することもできないため、割合に小さな剛性しか得られない。
【0008】
軽量のサンドイッチタイプの複合材料の製造法も周知である。これらの方法は、射出または予備成形したシンタクチックフォームまたは通常の吹込み発泡(blown−foamed)コアを使用し、これらのコアは外側繊維強化層または予備成形スキンと結合して軽量複合材料を形成する。たとえばUS−4025686−A号明細書に記載されているこれらの公知の方法は、低密度の充填材、たとえば中空微小ガラス球、エポキシまたはフェノール材料だけを、流体樹脂(添加剤および硬化剤とともに)に使用して、強化スキンの間に、成形性、硬化性、軽量シンタクチックフォームコアを生成させるのに、適している。多くの軽量複合材料の場合、構造中への空気閉じ込めは、許容され、または成形製品全体のさらなる軽量化のために望ましくさえありうる(簡単なフォームコアの場合)が、これは、最大の強度と剛性とが求められる建築その他の厳しい構造用途での使用を意図する高密度の高強度複合材料の場合には、正しくない。その場合、空気閉じ込めを防止して、最大限可能な、樹脂による外側層の濡れと、可能な最大密度のコア構造とが確実に得られるようにしなければならない。
【0009】
本発明の目的は、複合材料製品のための前記公知の方法に伴う欠点を除去し、それによって、簡単で、割合に低費用、かつ効率的なやり方であるが、良好な寸法許容差、均一性、および高い強度を有する高品質製品を与えるやり方で、割合に高強度で高密度の複合材料製品を製造することができるようにすることである。
【0010】
本発明によれば、
繊維強化プラスチック材料の対向する二つの外側スキンと該スキンの間にあるポリマーモルタルコアとを有する複合材料製品を成形する方法であって、
−型キャビティと、ポリマーモルタルマトリックスを該キャビティに導入することのできる射出口とを定める、開くことのできる型を準備し、
−前記型を開いて、前記キャビティ内に前記対向外側スキンを形成するそれぞれの繊維強化材層を配置し、
−前記型を閉じて、前記射出口から、前記キャビティ内、該キャビティ内に配置された繊維強化材の層の間に、ポリマーモルタルマトリックスを射出し、
−射出されたポリマーモルタルマトリックスに、前記層への樹脂浸透を確実にするのに十分な圧力を加える、
各ステップから成り、
このとき、射出されるポリマーモルタルマトリックスが、粒状の骨材を加えた樹脂材料を含み、該骨材の密度がポリマーモルタルマトリックスに含まれる前記樹脂材料の密度よりも大きく、また、前記繊維強化材の層の網目が平均として前記骨材の平均粒径よりも小さく、それによって、該強化材がポリマーモルタルマトリックスから粒状骨材をろ過して樹脂材料のみが前記層に浸透できるようにする、
ことを特徴とする方法、
が提供される。
【0011】
容易にわかるであろうが、この成形法は、二つの外側スキンを形成する層の通常の手積みを行う必要なしで、骨材の加えられたポリマーモルタルコアを有する複合材料製品の製造を可能にする。本発明の方法によれば、繊維強化材は型内に手操作で配置されるが、このとき樹脂含浸は行われない。樹脂含浸はコアが形成されるのと同時に、同じ樹脂によって行われ、完成品の均一性が保証される。
【0012】
骨材は、通常0.05〜5mmの範囲の粒径を有し、ポリマーモルタルマトリックスの樹脂材料に比して高密度の粒状材料である。たとえば、骨材は一般に鉱物骨材または他の割合に高密度の粒状材料から成ることができ、粒子の密度はポリマーモルタルマトリックスに含まれる樹脂材料の密度よりも大きい。たとえば、代表的なポリエステル樹脂は、比重(s.g.)約1.1を有する。鉱物骨材は一般に1.5〜1.75の乾燥かさ比重と2.7〜3.4の粒子比重とを有しうる。石炭燃焼副生物骨材は、新たに形成された球体(cenosphere)と発生した他の軽量誘導材料を除いて、一般に0.6〜1.1の乾燥かさ比重を有し、また1.6〜2.1の粒子比重を有しうる。リサイクルされた破砕ガラス骨材は、一般に1.2〜1.6の乾燥かさ比重と2.2〜2.9の粒子比重とを有しうる。
【0013】
ある種の用途においては、たとえばポリマーモルタルマトリックスに特別の機械的性質を与えるために、前記範囲の外にある粒径を有する骨材を使用するのが有効でありうる。その場合、特別な寸法の繊維を有するかまたは改変された構造を有する繊維強化材を使用する必要がありうる。小さな粒子の骨材を使用する場合、特にそうである。
【0014】
さらに、前記粒径範囲内(またはそれより大)の骨材を使用する場合、ポリマーモルタルマトリックスは、充填材をも含むことができる。その場合、好ましくは、充填材の平均粒径が十分に小さくて、樹脂材料および小粒の充填材のみが前記強化材層を通り抜けられるようにする。たとえば、セラミック充填材を使用することができる。小粒の充填材の代わりに、またはそれに加えて、チョップトストランドまたは他の繊維性充填材たとえば微小繊維(micro−fibre)をポリマーモルタルに添加することができる。
【0015】
好ましくは、この方法は、射出口から型キャビティ内、強化材の層の間に、ポリマーモルタルマトリックスを射出すると同時に、型キャビティから空気を抜取ることによって実施される。空気の抜取りは、ポリマーモルタルの射出に先立って開始することができ、その場合、より低い射出圧が使用できる。たとえば、射出口は型キャビティの両端の中間に配置することができ、空気は型キャビティの両端から抜取ることができる。キャビティ内の圧力を低下させ、同時に圧力下で樹脂を射出することにより、強化材の全領域にわたって、強化材への強力な浸透が実現される。負圧の使用により、樹脂材料をポリマーモルタルコアから分離し、該樹脂材料が前記強化材層に急速浸透するのを保証するのに必要な型キャビティ内の圧力も低くなる。これによってまた、高速硬化樹脂の使用が可能になり、したがって骨材の移動が起りうる時間が短くなり、より均一なコアマトリックスが得られる。さらに、製造工程のサイクル時間が短縮されて、費用が低下する。
【0016】
好ましくは、この方法は、3barよりも低い射出圧を、型キャビティ内の圧力低下と組合せて使用して、実施する。これにより、この工程のための成形型の費用が節約される。型を、負圧を使用しない場合に必要なものよりも低い内部圧力に耐えるように、設計し、製造することができるからである。たとえば、型はFRPで作ることができ、しかもこの方法の実施に十分な強度を有する。費用節約は、また、射出圧の低下によってももたらされる。低い圧力のシステムは、高い圧力で材料を射出するように設計されたものよりも費用がかからないからである。負圧の使用のさらなる利点は、完全に閉じた射出システムを作ることができ、揮発物質の環境への放出をよりよく制御することができる、ということである。
【0017】
射出されるポリマーモルタルは、FRPを使用する複合材料製品の製造に普通に使用される樹脂のうち任意のものを含むことができる。たとえば、この樹脂は、エポキシ、アクリル、フェノールホルムアルデヒド、ビニルエステル、およびポリエステル樹脂から成るグループから、ポリマーモルタルの射出後の妥当な時間範囲内の樹脂の硬化を保証する適当な活性剤とともに、選択することができる。
【0018】
ポリマーモルタルに加えるのに使用される高密度の粒状骨材は、好ましくは、樹脂系の価格に比して割合に安価なものとする。たとえば、鉱物骨材たとえば砂を使用することができ、またリサイクルまたは廃棄材料たとえば石炭燃焼副生物、または破砕リサイクルガラスを使用することができる。ポリマーモルタルを骨材と混合して、射出準備をする場合、好ましくは真空下で実施し、モルタル中への空気取込みまたは連行(entrainment)が起らないようにする。さらに、樹脂のこぼれと蒸気の大気への逃散との両方を制御することにより、環境汚染を最小限に抑えることができる。
【0019】
部分真空(すなわち、減圧)下でポリマーモルタルを混合し、それからポリマーモルタルを射出する一方で型から空気を抜取ることにより、全工程を閉じた条件下で実施することができ、環境汚染の可能性をさらに低下させる一方で、ポリマーモルタルマトリックス全体にわたる良好な均一性を有する高品質の再現性のある製品が与えられる。
【0020】
適当な繊維強化材の選択は製造すべき製品の性質とその意図する用途とによる。一般に、繊維強化材は、少なくとも一つのガラス繊維、合成繊維(たとえば、テリレン)、天然繊維(たとえば、黄麻、麻、またはコイアから作られるもの)、または炭素繊維を含み、場合によってはこれらの混合物を含む。強化材は、単純な一方向繊維と、型キャビティ内での取扱いおよび配置において強化材に安定性を付与するのに十分な量の交差繊維とから成ることができ、またはより複雑な繊維マトリックス、たとえば方向の偏った繊維マット、二方向マット、織ったマット、または多方向チョップトストランドマット、から成ることができる。すべてのそのようなケースにおいて、強化材は個々の強化材繊維の間の間隙が網目を形成し、樹脂材料は該網目を通過するが、骨材は通過せず、したがって強化材マットへの樹脂含浸が可能になるように、構成される。
【0021】
射出されるポリマーモルタルマトリックスのための射出口は、キャビティの側壁から該キャビティ内に突出るようにして、樹脂が、あらかじめキャビティ内に配置した強化材の二つの層の間のスペースに確実に供給されるようにすることができる。あるいは、射出口を型の内表面と同高とすることができ、射出口領域で強化材に適当な開口を備え、樹脂が二つのスキンを構成する層の間を流れることができるようにする。さらに、骨材を加えたポリマーモルタルが最初にこれらの層の間を流れることを保証するために、二つのスキンを構成する層の間、少なくとも射出口の近くに、スペーサーを備えて、二つの層が離れているように保持し、必要なスペースへの樹脂の射出が保証されるようにすることができる。
【0022】
代替法においては、型を閉じてポリマーモルタルマトリックスを射出する前に、強化材を、たとえば接着剤または接着テープを使用して、型キャビティの側壁に軽く止めることができる。この場合、強化材の層の間にスペーサーを配置しなくてもよい。
【0023】
複合材料製品のための公知の製造方法におけると同様に、本発明を実施する前に、前記のように、まずゲルコートまたは他の外層(たとえば、耐食層)を、型キャビティの少なくとも一つの表面に付着させることができる。そのようなゲルコートまたは他の外層は、完成製品に特定の性質、たとえば複合材料製品に接触しうる液体の該製品への浸透に抵抗する障壁層、を備えるために設計することができる。
【0024】
本発明の製造方法は、二つの主要表面がその寸法に比して割合に小さな距離だけ離して配置保持されている複合材料製品に対して特に適当である。たとえば、そのような製品の例としては、たとえば、建築用パネルおよびクラッドを挙げることができる。あるいは、主要表面は弓形とすることができ、その場合、成形製品はパイプの表面のセグメントを形成することができ、したがって複数のセグメントを集成して、円形、卵形、または他の形の断面の完全パイプを作ることができる。さらに、この方法は、適当な形状の型を用いて、完全なパイプ形材または円筒形製品を成形するのに使用することができる。そのようなパイプ、または成形パイプセグメントから作られるパイプは、下水管その他の土木地下構造物たとえば通路、導管、排水溝、トンネル、その他のライニングに特別の用途を見出しうる。
【0025】
以下、単なる例として、本発明の一つの特定の実施形態を、添付の図面を参照しつつ、詳しく説明する。
【0026】
まず、図1〜3には、弓形の硬質内側部分11と軟質外側部分12とを有する二つ割り型10が示されている。軟質外側部分12は、矢印Aで示すように、内側部分の封止面13に向って引下げて、気密の型キャビティが形成されるようにすることができる。内側部分11は、電気めっき軟鋼で作られており、したがって良好な耐久性と欠陥のない高品質の仕上がりとを保証し、またゲルコート層またはその他のある種の障壁層を受けるのに適している。軟質外側部分12は、曲げたときに傷(distress)や割れが発生しない適当に薄い電気めっき被覆を有するステンレス鋼シートまたは軟鋼シートで作られている。
【0027】
図2に示すように、外側部分12には、二つの長いへりに沿って、真空孔14が備えてあり、これらの真空孔は、使用に際して、低圧発生源に接続され、型キャビティから空気を抜取るようになっている。さらなる真空孔を、必要に応じて、たとえば内側の型キャビティへりに沿って備えることができる。ポリマーモルタル樹脂射出口15が、外側部分12を貫通するように、大体該部分の中央領域に備えてある。
【0028】
内側部分11の弓形表面を、離型剤で被覆し、それから、必要な場合には、ゲルコートまたは他の障壁層20(図4)を、該表面上に付着させる。特別な構造の耐食層21を、連続フィラメントマット、チョップトストランドマット、およびガラスまたは合成繊維表面組織で作って、障壁層20の下に樹脂に富む障壁層が確実に形成されるようにすることができる。これは、完成複合材料製品が水性流体または流出液に接触させられるものである場合に必要となりうる。そのような層21の厚さと組成は、完成製品において必要な耐食性レベルを実現するために、調節することができる。
【0029】
次に、繊維強化材の層22を、型内に配置して、完成製品に必要な機械的性質が与えられるようにする。したがって、強化材における繊維の配列、繊維の密度、その他は、意図する最終製品を考慮して選択する。たとえば、円周方向に最大強度が必要なパイプまたはパイプセグメントの場合のように、一つの方向に特別な強度が必要な場合には、一方向または方向の偏った繊維から成るマットをその方向に配置することができる。
【0030】
意図する最終製品用途に応じて、繊維強化材は、機械的接合または接着接合された、ランダム方向配置チョップトファイバーのマット、織られた一または二方向マット、連続フィラメントを巻いた(continuous filament wound)マット、もしくはその他の適当な繊維強化材、またはこれらの組合せ、から成るようにすることができる。すべてのそのような場合において、強化材は、樹脂材料が通過できる網目を形成する個々の強化繊維の間に間隙を有し、強化材への含浸が行われうるようにする。
【0031】
必要な層20、21、および22を硬質内側部分11に接するように配置して内側スキンができるようにしたあと、スペーサー23(図3および4)を、これらの層の中央領域に、外側部分が配置されたときに射出口15のまわりにくるように配置する。これらのスペーサーは、好ましくは、開放コイルばねの形を有するが、小さな単純ブロックを使用することもできる。そのあと、内側スキンの形成のために内側部分11に対して配置される層に関して前述したものと同様の考慮をして、外側スキンの形成のために、強化材の層24が配置される。必要であれば、最後に、他の障壁層25を層24に重ねて配置することができる。
【0032】
外側部分12を内側部分に重なるように引張って気密シールが形成されるようにして、型を閉じる。このとき、射出口15は、外側スキンを形成する強化材層を貫通するように配置される。これらの層には、射出口にぴったり合う適当な貫通孔が開けられる。
【0033】
樹脂を高密度の粒状骨材たとえば砂と樹脂硬化のための活性剤とともに、減圧下で混合して、適当なポリマーモルタル系を得る。真空孔14により、型キャビティから空気を抜取り、次にポリマーモルタルを、加圧下で、射出口15から、型内の、内側および外側スキンを形成する強化材層21、22、と24との間に導入し、その間、空気を真空孔14から抜取り続ける。樹脂は、層21,22と24を外側に押して、型面に押付けるように作用し、これらの層のストランドの間にしみ出て、ストランドを濡らす。正の射出圧と負の抜取り圧との比率は、実質的にすべての空気が型から抜取られて非常に強力な浸透と強化材の濡れとが与えられることを考慮したうえで、射出時間が最小になるように、決めることができる。さらに、樹脂は、型に過大な圧力が加わらないようにしたうえで、製品の外側端まで引込むことができる。これは、コンピュータ制御または手動バルブ操作システム(図示せず)によって実現できる。真空により助けられる樹脂移動システムにより、サイクル時間が短縮されて、積層材の迅速な硬化が可能になり、硬化時間が長い場合にポリマーモルタルコア内での高密度の粒状骨材の沈降の結果として発生しうる従来の成層の問題が大幅に軽減される。
【0034】
二つのスキンを形成する強化材層および耐食層を作るのに使用される繊維マットの平均厚と網目の大きさ、および骨材の平均メッシュは、繊維マットが骨材に対するフィルターとして作用して、骨材が強化材層内に移動するのを実質的に抑えるように選択すべきである。そのようにすれば、樹脂と小粒子充填材のみがポリマーモルタルコアから分離されて、強化材層に浸透してこれを濡らし、骨材は、コア26内、内側強化材層22と外側強化材層24との間に残留する。これにより、割合に低費用のコアのみを使用する一方で、これらの層において、大きな繊維/樹脂比、したがってまたすぐれた機械的性質が実現される。
【0035】
次に、特定の実施形態によるパイプセグメント製造工程を説明する。ポリマーモルタルマトリックスを、比重1.1のイソフタル(isophthalic)ポリエステル樹脂から製造した。平均粒径約0.35mmを有する、約45wt%の特別品質の(specially−graded)ケイ砂を含む骨材を、樹脂に混合した。マトリックスを、減圧条件下でマトリックスへの空気閉じこめがないようにして、混合容器内で製造し、混合容器から抜取った空気を捕集して、ろ過とスクラビングによって清浄化してから、大気中に排出した。
【0036】
パイプセグメント製造型は、約1500mm×1571mmの寸法の型キャビティを有し、壁の間隔が35mmであって、壁の平均半径が1017mmである。型キャビティに離型剤を塗布してから、ゲルコートを二つの主要領域に付着させ、強化チョップトストランドマットをゲルコート層の強化に使用した。二層の、一方向ガラス強化繊維マットを、キャビティ内、一つの主要領域に隣接するように配置し、別のそのような二つの層を、他の主要領域に隣接するように配置した。層の対を離して保つために、射出口の近くにばねを使用した。
【0037】
型を閉じたあと、キャビティから空気を抜き、キャビティ内の圧力を約0.7barに低下させた。射出ステップの開始の直前に、促進剤をマトリックスに添加し、約30℃の周囲温度において、15分のゲル化時間と約60分の硬化時間を与えた。次に、製造したポリマーモルタルを、2.5barの圧力下で射出し、この間、型キャビティからの空気抜取りを続けた。ポリマーモルタル製造の場合と同様に、型キャビティから抜取った空気は、捕集し、ろ過とスクラビングによって清浄化してから、大気中に排出した。
【0038】
型から取りだした最終製品は、約157kgの総重量と比重1.9とを有していた。この製品は、その主要表面に関して良好な仕上がりを示し、また割合に大きな強度を有していた。外側層は良好な樹脂浸透と濡れとを示し、これらの層には骨材は含まれていなかった。
【0039】
本発明の実施に必要な金型費は、圧縮システムに比して、割合に小さい。また、ポリマーモルタルマトリックス中の大きな骨材含有量が得られ、したがって原料費が節約される。大きくて、また特に厚い複合材料製品を、正の射出圧と負の抜取り圧とを制御して加えることにより、製造することができる。割合に大量の高密度粒状骨材と充填材との使用により、厚い積層材の成形が容易になる。これは、硬化時に起る発熱反応による割れの量を少なくする、充填材と骨材によって与えられる‘ヒートシンク’効果によるものである。
【0040】
さらに、繊維強化材を、完成複合材料製品の機械的性質および耐食性を最適化するように、選択、配置することができる。したがって、本発明の方法は、ダクト、溝、パイプ、またはパイプセグメントの製造に特に適当である。
【0041】
軟質の外側型部分の代りに、硬質の外側部分を使用することができる。その他の型を、たとえば、パイプまたは円筒全体から成る形材の製造に使用することができる。硬質型、または型部分により、非常に高い寸法精度の実現が可能である。その場合、別々の生産操業における品質管理を、確実かつ再現性の高いものとすることができる。代替型を、特に成形工程中に必要な力が割合に小さいことを考慮し、また特に空気がポリマーモルタルの射出と同時に型から抜取られる場合、FRP材料で作ることができる。この場合には特に、適当な離型剤を型の表面に塗布して、ポリマーモルタル中の樹脂材料自身が型の表面に接着しないようにしなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用する型の端面図である。
【図2】図1の型の模式等角投影図である。
【図3】型の垂直断面図である。
【図4】本発明の方法によって製造される製品の断面図である。
【符号の説明】
10 二つ割り型
11 硬質内側部分
12 軟質外側部分
13 封止面
14 真空孔
15 射出口
20 障壁層
21 耐食層
22 繊維強化材の層
23 スペーサー
24 強化材の層
25 障壁層
26 コア
A 12の引下げ方向を示す矢印

Claims (18)

  1. 繊維強化プラスチック材料の対向する二つの外側スキンと該スキンの間にあるポリマーモルタルコアとを有する複合材料製品を成形する方法であって、
    型キャビティと、ポリマーモルタルマトリックスを該キャビティに導入することのできる射出口とを定める、開くことのできる型を準備し、
    前記型を開いて、前記キャビティ内に前記対向外側スキンを形成するそれぞれの繊維強化材層を配置し、
    前記型を閉じて、前記射出口から、前記キャビティ内、該キャビティ内に配置された繊維強化材の層の間に、ポリマーモルタルマトリックスを射出し、
    射出されたポリマーモルタルマトリックスに、前記層への樹脂浸透を確実にするのに十分な圧力を加える、
    各ステップから成り、
    このとき、射出されるポリマーモルタルマトリックスが、粒状の骨材を加えた樹脂材料を含み、該骨材の密度がポリマーモルタルマトリックスに含まれる前記樹脂材料の密度よりも大きく、また、前記繊維強化材の層の網目が平均として前記骨材の平均粒径よりも小さく、それによって、該強化材がポリマーモルタルマトリックスから粒状骨材をろ過して樹脂材料のみが前記層に浸透できるようにする、
    ことを特徴とする方法。
  2. 射出されるポリマーモルタルマトリックスが、粒状骨材および粒状充填材の加えられた樹脂材料を含み、該充填材の密度がポリマーモルタルマトリックスに含まれる樹脂材料の密度よりも大きく、該充填材の平均粒径が、該樹脂材料と小さな粒子の充填材のみが前記強化材層に浸透するのに十分な小ささである請求項1に記載の方法。
  3. 空気が、前記型キャビティへのポリマーモルタルの射出と少なくとも同時に前記型キャビティから抜取られることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. ポリマーモルタル射出圧と型キャビティから空気を抜取るための負圧とを、一緒に制御し、ポリマーモルタル射出と強化材の濡れとを最適化することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 射出されるポリマーモルタルマトリックスが、エポキシ、アクリル、フェノールホルムアルデヒド、ビニルエステル、およびポリエステル樹脂から成るグループから選択される樹脂を、適当な活性剤とともに含むことを特徴とする請求項1から請求項4の中のいずれか1つに記載の方法。
  6. ポリマーモルタルに加えるのに使用される高密度の粒状骨材が、粒状鉱物、粒状石炭燃焼副生物、粒状リサイクル破砕ガラス、および粒状金属から成るグループから選択されることを特徴とする請求項1から請求項5の中のいずれか1つに記載の方法。
  7. 前記繊維強化材が、ガラス、合成プラスチックもしくは炭素繊維、または天然繊維、またはこれらの繊維の混合物から成ることを特徴とする請求項1から請求項6の中のいずれか1つに記載の方法。
  8. 前記繊維強化材が、主として、一方向繊維を、該強化材の取扱い時に該一方向繊維に安定性を付与するのに十分なさらなる繊維とともに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記繊維強化材がマットの形であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. スペーサーが、強化材の二つの層の間、少なくとも射出口の近くに配置されて、内側スキンと外側スキンを形成するこれらの層を離して保持し、またポリマーモルタルが確実にこれらの層の間に射出されるようにすることを特徴とする請求項1から請求項9の中のいずれか1つに記載の方法。
  11. 強化材のそれぞれの層が、これらの層と型キャビティの壁との間で作用する接着系によって型の内表面に接触させて保持されることを特徴とする請求項1から請求項9の中のいずれか1つに記載の方法。
  12. 前記射出口が、型キャビティ内に、該射出口が貫通して開口しているキャビティの壁と同高に配置されているか、または該壁から突出てキャビティの対向内壁間の中途に配置されている出口オリフィスを有することを特徴とする請求項1から請求項11のうちのいずれか1つに記載の方法。
  13. 型キャビティの少なくとも一つの表面が、繊維強化材の配置に先立って、付着させられたゲルコートまたは障壁層を有することを特徴とする請求項1から請求項12の中のいずれか1つに記載の方法。
  14. 前記キャビティが、対向する二つの主要表面と該二つの主要表面周縁の間かつまわりに延びる四つの端面とを定め、このとき成形される複合材料製品が実質的にシート状の形であることを特徴とする請求項1から請求項13の中のいずれか1つに記載の方法。
  15. 二つの主要表面が弓形であって、このとき、成形される製品がパイプまたは円筒の表面のセグメントを形成することを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 成形される製品がパイプ形材または円筒を形成することを特徴とする請求項1から請求項13の中のいずれか1つに記載の方法。
  17. ポリマーモルタルマトリックスが、混合容器中で、該混合容器から空気を抜取ることによる減圧下で製造され、空気が、型キャビティへのポリマーモルタルの射出と少なくとも同時に、型キャビティから抜取られることを特徴とする請求項1から請求項16の中のいずれか1つに記載の方法。
  18. 前記混合容器および型キャビティから抜取られる空気が、大気中への排出の前に、捕集され、清浄化されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
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