JP2004506480A - 脚補綴内装置 - Google Patents

Abstract

ピボット軸により脚補綴に接続する脚補綴用装置であり、第１手段により、義足の足を脚補綴に対して、足と脚補綴が互いに或る特定の角度を成す原位置から、制限された範囲で回転できるようにし、第２手段により原位置における義足と補綴の間の角度を無段階に調節できるようにしている。

Description

【０００１】
技術分野
本発明は、請求項１の前文による脚補綴内装置に関する。より詳細には、本発明は、義足の脚補綴にピボット接続した足を装備し、足と脚補綴間の角度位置を所望の角度位置に調節可能にした脚補綴内装置に関する。
【０００２】
発明の背景
義足装着者の間では、下り坂の歩行が問題であることはよく知られている。義足装着者が足の角度を調節できなければ、急な下り坂を歩行する際には踵だけで地面に接触することになる。足の角度がある特定の角度値を超えると、特定の筋群が欠損しているために膝の崩れに抵抗するのが困難になる。したがって、義足装着者は、下り坂では横歩きを選択することが多くなる。
【０００３】
高さ調節の可能な足を持たない義足装着者は、違う踵高さの靴に履き替えるのが問題であり、靴なしでの歩行を選択する方が手っ取り早いことになる。足の高さを個々に適応させることができれば、背痛及び股関節の疲労の問題を軽減させることができる。
【０００４】
上記の問題を解決するために、足と脚補綴間の角度が調節可能な補綴装置が開発されている。例えば、ＳＥ５１１７５０には、脚補綴にピボット接続する足を装備し、その足と脚補綴間の角度位置を調節可能な脚補綴内装置が開示されている。切断部位が足の直ぐ上であるユーザ用の義足の有用性を高めるためには、調節機構を含む補綴装置は簡素な構造にすることが必要である。ＳＥ５１１７５０では、調節機構を曲線シリンダーの形状に設計し曲線状のピストン部品を配置することにより簡素化を達成している。しかしながら、複雑な幾何学形状のために、この形式の補綴は製作が複雑で高価である。
【０００５】
発明の要約
本発明の１つの目的は、ピボットを介し脚補綴に接続される足を装備し、その足と補綴間の角度位置を所望の角度位置に調節可能であり、補綴の調節機構を簡素に設置できる脚補綴内装置を提供することにある。本発明のさらなる目的は、製作費を低減できる簡単な幾何学形状の調節機構を利用でき、その足と脚補綴間の角度を調節できる脚補綴内装置を提供することにある。
【０００６】
これらの目的は、請求項１の特徴部に記載の脚補綴内装置により達成された。この装置には、前記脚補綴と前記足にピボット接続されるレバーアームを装備してある。即ち、このレバーアームは、一方では、レバーアームと足の間で制限された範囲の角度調節ができる第１部材と協働し、他方では、原位置調節のためにレバーアームと脚補綴の間で角度調節ができる第２部材と協働するように配置して、補綴を簡素な構造にすると共に、調節手段を構成する調節機構を簡素な幾何学形状に構成することができる。この簡素な幾何学構造は、脚補綴と足の間の角度調節を、レバーアームを介し伝達することにより実現される。
好適な実施形態は、対応する請求項に記述される。
【０００７】
好適な実施形態
図１において、１は補綴装置全体を示している。この補綴装置は、脚補綴２と足３より成る。脚補綴２は、ピボット軸４を介して足に接続されている。脚補綴は、当業者には公知のように、例えば、ソケット６に取り付けられる管状の下脚部５として構成され、このソケットは、ピボット軸４に接続されるか或いはピボット軸４より構成されている。足３は、当業者には公知の方法で構成されており、足の扁平部７より成り、好ましくは、足状の外装を装備する。足３は、ピボット軸４に接続した取り付け板８を装備するのが好ましい。この取り付け板８は、当業者には公知の任意の方法で、例えば、ねじ又はリベット９で足に固定する。足３と脚補綴２は、ピボット軸４を介し互いに回転可能に接続されている。
【０００８】
補綴１は、さらに、脚補綴２と足３に旋回可能に接続されたレバーアーム１０より成る。本発明の好適な１つの実施形態において、このレバーアーム１０は、前記ピボット軸４と共通の軸に支持されている。これは、当業者には公知の任意の方法で、例えば、脚補綴２と足の取り付け板８とレバーアーム１０を、挿入口１１ａ−ｃにおいて各々、軸１２に回転可能に接続する構造により実現できる。このレバーアーム１０は、好ましくは足の扁平部７と略並行に延伸し、又、ピボット軸４から足の後方踵領域１４に延伸する第１端１３と、足３内でピボット軸から前方に延伸する第２端１５を有する。本発明の好適な実施形態において、この第１端１３は、脚補綴２に対し足３を原位置から制限された範囲内で回転できるように適応させた第１手段１６と協働するように配置し、第２端１５は、原位置における足と脚補綴間の角度を無段階に調節できるように配置した第２手段１７と協働するように配置してある。これは、第１手段１６と第２手段１７が、レバーアーム１０と協働することにより脚補綴と足の間の自由な回転を制限することを意味する。
【０００９】
このレバーアーム１０は、足の偏平部に向き合う下部の第１端１３を面取りして、足の扁平部に衝突することなく図示のように時計回りに回転できるようするのが好ましい。同様に、レバーアーム１０の対抗端１５には、レバーアームが第２手段１７に衝突することなく図示のように時計回りに回転できるように窪みをつける。このように、レバーアームは、レバーアームにピボット軸２９を装着するために突出可能な部分を有する略菱形の断面を持たせるのが好ましい。好適な実施形態において、補綴装置１は、下脚管５の対称軸の両対向側に配置した２組のレバーアームを有する構造になっている。レバーアームの第１端１３は、下脚管５の方向に面した上端に弾性要素１６との協働を可能にする手段を装備している。１本のレバーアーム１０を使用する場合、この手段は、図中で垂直及び内部に延伸している突出部より成り、弾性要素１６の上面と接触する。２本のレバーアームを使用する場合、この突出部は、両レバーアームを接続する。
【００１０】
本発明の好適な実施形態において、第２手段１７は、レバーアーム１０と脚補綴２の間の回転が可能な第１状態と、レバーアーム１０と脚補綴２の間の回転が不可能な接続が生じる第２状態を取るように配置してある。これは、第２手段１７を、脚補綴に対し変位可能な要素１８とその変位可能な要素を所望の変位位置に保持する部材１９，２０及び２１より構成することにより達成するのが好ましい。好適な実施形態において、この変位可能な要素１８は、外側に突出するリングフランジ２２と２３を有するピストン１８より成り、脚補綴２に取り付けたシリンダー２４内で変位可能である。変位可能な要素をシリンダー２４内の所望の変位位置に保持する部材１９，２０及び２１は、さらに、ピストンのリングフランジ間の空間を２室２０及び２１に分割するシリンダー２４内環状壁２５と、開の状態で２室２０及び２１間で媒体の流れを許し、閉状態で媒体の流れを阻止する二方弁１９より構成されている。この二方弁１９は、公知のように、補綴の外部から制御棒２６ａを用い第１位置と第２位置の間で調節可能である。二方弁は、好ましくは、２つの開口を持つ回転可能な円筒バルブボディよりなり、バルブ開の位置で、開口が互いに対向しシリンダー壁の穴を介して各々の室２０，２１と連通する。２つのリングフランジは、環状壁２５内の入り口を通り延伸する長手方向軸３１により支持されている。この入り口は、好ましくは、環状壁２５の入り口からの作動油のオーバーフローを防止するシールリング３２を用いて密封する。シリンダー２４とピストン１８は、ピボット軸４の上方の脚補綴内に配置される。
【００１１】
補綴装置１とその補綴装置１に含まれている上述の第２手段１７のような調節機構の構造を簡素にするために、シリンダーは、その対称軸２７が脚方向の補綴の長手軸２８と角度を成すように配置することが好ましい。即ち、脚補綴２が直立位置にあるときは、その対称軸２７は、足の偏平部７を横切るか、或いは、足の扁平部７のつま先部に接近させることが好ましい。好適な実施例において、この対称軸２７は、脚補綴が足の踵部１４に向って後方に最大限まで回転した角位置を取るときに、レバーアーム１０と略並行になる。この位置におけるレバーアーム１０と脚補綴と第２手段１７を図２ｃに示す。この設計により、非常に簡素な構造の補綴が実現される。本発明の好適な実施形態において、足３に対する脚補綴２の後方への最大回転角度は、２５度である。この場合、対称軸２７と長手軸２８間の角度は、６５度である。
【００１２】
本発明の好適な実施形態において、レバーアーム１０の第２端１５は、両端を旋回可能に支持されたリンク２６を介して第２手段に接続されている。リンク２６は、両端を第１ピボット軸２９及び第２ピボット軸３０で各々旋回可能に支持されるが、第１ピボット軸２９は、レバーアームの第２端に配置し、第２ピボット軸３０は、ピストン１８の延伸上に配置するのが好ましい。レバーアーム１０とリンク２６の長さは、脚補綴２を、補綴が前方に最大角度（１つの実施例においては、垂直位置から前方に約１０度の角度）で傾斜した図２ａに示す第１限度位置から、補綴が後方に最大角度（１つの実施例においては、垂直位置から前方に約２５度の角度）で傾斜する図２ｃに示す第２限度位置まで、シリンダー２４内でピストン１８が固定されず又はリンク２６がシリンダー２４に対して固定されることなく、調節できるように適応させる。
【００１３】
第１手段１６は、脚補綴２に対し足３を、補綴と足が互いに或る特定の角度を成す原位置からの制限された回転を可能にするように配置されており、好適な実施例においては、可撓体であり、好ましくは例えばゴムのような弾性要素とする。この弾性要素１６は、レバーアーム１０の第１端１３に接続して設置し、前記ピボット軸から足３の踵部４に向かって後方に延伸している。本発明の１つの実施例において、弾性要素は、弾性要素の可撓性を調節可能にする手段を装備している。これらの手段は、弾性要素を所望の剛さに予め加圧するネジとして設計することができる。
【００１４】
図２ａは、レバーアーム１０と脚補綴２間の角度位置を、前方最大傾斜位置（１つの実施例において１０度）に調節する調節機構を示している。図２ｂは、レバーアーム１０と脚補綴２の間の角度位置を、直立位置に調節する調節機構を示している。図２ｃは、レバーアーム１０と脚補綴２間の角度位置を、後方最大傾斜位置（１つの実施例において２５度）に調節する調節機構を示している。尚、図２ａ〜２ｃの他の詳細部分は、図１と共通であるので説明を省略する。
【００１５】
図３には、歩行時に踵へ荷重を掛けた脚補綴装置を示している。歩行時に踵の衝撃によりゴム要素１６が、圧縮される。地面を蹴る脚に掛かる体重が移動する時に、踵に作用する上向きの力により、図３に矢印で示すモーメントが生じ、弾性要素内の弾性力に抗して、足の扁平部が地面と接触するまで足を下方に回転させる。弾性要素１６は、緩衝器として働き、踵が地面と衝突する時に生じる力を吸収する。その他の詳部は図１と共通なので説明を省くが、ここでは、二方弁が閉の状態で示されており、即ち、２つの室２０と２１の間の通路は閉じられ、弁の２つの開口は閉鎖位置にあって、シリンダー壁の前記穴とは向き合っていない。
【００１６】
弾性部材は、拡張状態を取ろうとするので、無負荷状態の足は、設定原位置に戻る。
足と脚補綴の間の原位置角度を変更し、それにより、足と脚補綴間の原位置を変更したい場合、二方弁１９を開放して室２０と２１間に作動油のオーバーフローを生じさせる。これにより、ピストン１８が、シリンダー２４に対し無段階に変位でき、脚補綴２とレバーアーム１０間の角度位置を変更できる。所望の角度位置が得られたら、弁を閉じてレバーアーム１０と脚補綴２を互に回転不能に接続させる。
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で変更することが出来る。
【図面の簡単な説明】
下記の添付図面を参照し本発明の実施形態につき以下に詳述する。
【図１】図１は、本発明による補綴装置を示す側面図である。
【図２】図２ａ−２ｃは、脚補綴装置とレバーアーム間の角度位置が異なった角度位置に調節された本発明による装置の側面図である。
【図３】図３は、踵への負荷状態における補綴装置を示す図である。

Claims (10)

1. ピボット軸（４）を介し脚補綴（２）に接続した足（３）を装備し、前記脚補綴と前記足が互いに特定の角度を成す原位置から前記足を前記脚補綴に対し制限された回転を可能にするために第１手段（１６）を配設し、原位置における前記足と前記脚補綴間の角度を無段階に調節できるように第２手段（１７）を配設した脚補綴内装置において、前記装置は、前記脚補綴（２）と前記足（３）に対し旋回可能に支持されたレバーアーム（１０）より成り、該レバーアーム（１０）を、一方で前記第１手段（１６）と協働するように配置して、該第１手段との協働により前記レバーアームと前記足の間の制限された角度調節を可能にし、他方で、第２手段（１７）と協働するように配置して、前記原位置を調節する期間前記レバーアームと前記脚補綴の調節を可能にし、前記第２手段（１７）は、前記レバーアーム（１０）と前記脚補綴（２）間の回転が可能な第１位置と、前記レバーアーム（１０）と前記脚補綴（２）間の回転が不可能な第２位置を取るように配設したことを特徴とする脚補綴内装置。
2. 前記第２手段（１７）は、脚補綴に対し変位可能な要素（１８）と変位可能な該要素を所望の変位位置に保持する部材より成ることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 前記変位可能な要素は、前記脚補綴に取り付けたシリンダー（２４）内で変位可能な、外向きリングフランジ（２２，２３）付のピストン（１８）より成り、該ピストンを前記シリンダーに対し所望の変位位置に保持するための前記部材は、前記ピストンのフランジ間の空間を２室（２０，２１）に分割するシリンダー内環状壁（２５）と、開状態で前記２室（２０，２１）間の媒質の流れを可能にし、閉状態でその流れを阻止する二方弁（１９）より成ることを特徴とする請求項２に記載の装置。
4. 前記シリンダーは、前記脚補綴の長手軸（２８）と角度を成す対称軸（２７）を有することを特徴とする請求項３に記載の装置。
5. 前記第２手段（１７）は、前記脚補綴が前記足のつま先部分に向かって最大限前方に回転できる第１角度位置と、前記脚補綴が前記足の踵部分に向かって最大限後方に回転できる第２角度位置との間で、前記原位置の調節を可能にすることを特徴とする請求項４に記載の装置。
6. 前記対称軸（２７）は、前記脚補綴が第２角度位置をとる時に前記レバーアーム（１０）と略平行に配置されていることを特徴とする請求項５に記載の装置。
7. 前記レバーアーム（１０）は、前記足（３）を前記脚補綴（２）に接続している前記ピボット軸（４）と共通の軸により支持されていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の装置。
8. 前記レバーアームは、前記ピボット軸（４）から前記足の踵領域（１４）に向かって後方に延伸している第１端（１３）と前記ピボット軸から前記足の前方領域に向かって前方に延伸している第２端（１５）を有し、前記第１端が前記第１手段（１６）と協働し、前記第２端が前記第２手段（１７）と協働するように配置されたことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１項に記載の装置。
9. 前記第２端（１５）は、両端を旋回可能に支持されているリンク（２６）を介し前記第２手段と結合されていることを特徴とする請求項８に記載の装置。
10. 前記第１手段（１６）は、前記足と前記レバーアームの第１端（１３）の間に配設された可撓体より成り、該可撓体は、前記レバーアームがその第１端において前記足に向って回転することによって圧縮されるように適応されたことを特徴とする請求項８又は９に記載の装置。