JP2004505615A - 蛋白質の単離と精製の方法、得られた蛋白質 - Google Patents

蛋白質の単離と精製の方法、得られた蛋白質 Download PDF

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Abstract

本発明は、対象蛋白質を、具体的には植物抽出物のような複合媒体から、単離し精製する方法を目的とする。この方法は、精製すべき対象蛋白質とこれを吸着させることができる固体担体とを含存する溶液を含む複合媒体を、この溶液状態の蛋白質を沈殿させることのできる薬品の存在下に置く工程を含むことを特徴とする。したがって、対象蛋白質は、自然に沈殿しうる溶液中で、多量のマクロ凝結体を形成することなく、部分的に凝集され、固体担体に吸着される。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前記蛋白質を部分凝集させる工程および吸着させる工程を含む、溶液状の対象蛋白質を単離し精製する方法であって、特に脂質および/または蛋白質化合物および/または多糖類および/または色素および/またはポリフェノールを含む複合媒体から単離し精製する方法に関する。
【0002】
蛋白質の単離精製の技術は、一般に分離する蛋白質を可溶化する工程と、それに続く、精製すべき対象蛋白質を出発媒体から分離することを目的とした、1つまたは複数の連続した工程を含む。
精製すべき対象蛋白質は、可溶化している媒体から沈殿により分離することができる。この種の方法では、当業者は、対象蛋白質を含む分子マクロ凝集体を形成できるような濃度に調整した、蛋白質を沈殿させる化合物を加えることもできる。これら分子マクロ凝集体は、溶液内部で自然に沈殿するサイズの分子集合体である。一般に、分子マクロ凝結体を含む固体画分は、可溶画分から遠心分離により分離し、次いで対象蛋白質を含む不溶性沈渣を回収する。
【0003】
このような蛋白質の沈殿による分離技術は、特に出願DE 1 642 654、特許US 4,742,159、US−5,169,936、US 4,624,918、US 4,470,969、US 4,343,735に記載されている。
具体的には、出願DE 1.642.654は、Rhizopus arrhizus細胞培地からのリパーゼ抽出に関する。リパーゼは、硫酸アンモニウム溶液など有機溶媒中または濃縮塩溶液中での不溶化により分離することができると述べられている。
【0004】
他の蛋白質分離方法は、様々な固体担体上で濾過する1つまたは複数の工程を含み、これらの濾過は、精製すべき蛋白質を、主に機械的サイズ排除作用により、多く保持するためのものである。
現在の技術記載の濾過担体のうち、ヒトの尿中に存在するエリトロポエチン、あるいは細菌の細胞溶解産物に存在するB型肝炎表面抗原(HbS)などの蛋白質の精製法では、珪藻土が用いられている(FR 2.467.214およびEP 0 480 525参照)。
【0005】
対象蛋白質は、クロマトグラフィの担体上にこの媒体を通すことにより、可溶化される媒体から単離することもできる。担体は、特に対象蛋白質を保持し、類似しない蛋白質など好ましくない物質の大部分を排除するためのものである。
従来用いられたクロマトグラフィの方法には、特に排除クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、または逆相クロマトグラフィがあげられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
現在の技術記載の蛋白質精製技術では、調査対象蛋白質を単離するために、互いに異なる複数の工程を実施しなければならない。工程ごとに、非常に異なり、しかも相容れない「ツール」を用いるからである(例えば、不溶性沈殿物を得た後、クロマトグラフィを行うなど)。
【0007】
さらに、尿のようなある種の自然流体など蛋白質および/または二次代謝物を余り含まない媒体中、および/または細菌培地または真核細胞系統の媒体中で、これらの蛋白質が可溶性の形で分泌される場合、これらの技術を用いると、しばしば望ましい蛋白質を、高純度で、経済的に満足のいく収率で得ることができる。
【0008】
しかし、多種の二次代謝物を含み、その中で対象蛋白質が可溶の形で存在する出発媒体が、多くの好ましくない蛋白質、ならびに脂質または多糖類の性質をもった化合物、ポリフェノール、あるいはキサントフィル色素など脂肪鎖に結合した芳香構造から構成されるある種の色素を含む場合、対象蛋白質の精製は、調整がより微妙で、より困難になる。
【0009】
対象蛋白質を、トウモロコシやタバコにみられるように、脂質含有量の多い植物、糖質含有量の多い植物、あるいはポリフェノール含有量の多い植物の植物性物質から精製する場合がそうである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の技術にあった欠点を効果的に緩和することができ、特にこの新しい精製法は、自然な沈殿による沈殿物が生成されるような蛋白質の完全な不溶化を含まず、対象蛋白質を部分凝集させる工程および固体媒体上に吸着させる工程のみを含む。
【0011】
この負担のかからない方法は、従来の技術に記載の技術とは異なり、連続的に、つまり精製工程で中断なく実施できるので、複合媒体から蛋白質を精製する際、特に工業レベルで非常によい結果が得られる。このように、本発明の方法は、対象蛋白質精製をより少ない工程で可能にするという長所がある。さらに、この方法は、蛋白質、脂質、多糖類、その他の誘導体を含む、いわゆる複合媒体から蛋白質を精製するのに適合しているため、分子の精製に非常に早く介入することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい方法によれば、望ましくない蛋白質が意外にも約97%排除され、選択的に、出発複合媒体中に存在する脂質の約70%、でんぷんの99%以上が排除されることが明らかになった。
【0013】
(発明の概要)
本発明は、対象蛋白質を単離し精製する方法を目的とし、この方法は、前記蛋白質を同時に部分凝集し固体担体上に吸着する工程を含む。前記部分凝集工程は、前記溶液に沈殿剤を導入することを含む。沈殿剤は、溶液中に懸濁物の状態にあり、自然に沈殿せず(マイクロ凝結体)、前記固体媒体上に吸着した、小さなサイズの前記蛋白質の分子集合体を生成する。本発明の方法は、複合媒体から対象蛋白質を精製する際、有利に働く。
【0014】
本発明の単離および精製の方法は、精製すべき対象蛋白質および吸着を可能にすることのできる固体担体を含む複合媒体を、この溶液状態の蛋白質を沈殿させる薬品の存在するところに入れると、対象蛋白質が、溶液中で多量のマクロ凝結体が形成されることなく、沈殿し、固体担体に吸着する工程を含むことを特徴とする。本発明による方法は特に、吸着反応速度がマイクロ凝結体形成には有利であり、マクロ凝結体形成には不利であるという意味で、部分凝集工程の反応速度が、吸着工程の反応速度によって改変されることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の目的は、上記方法によって単離され精製されることを特徴とする対象蛋白質にある。好ましくは、本発明の方法を実施することによって得られる蛋白質は、多細胞生物の動物、植物、菌類、細菌類から発現する組換え蛋白質であり、後者から精製される。
【0016】
有利には、植物性物質から発現する組換え蛋白質、特に採油植物、蛋白質の豊富な植物、多糖類および/またはポリフェノールおよび/または色素、特に脂肪鎖色素に富んだ植物である。
【0017】
本発明は、この方法によって得られた対象蛋白質を含む組成物、好ましくは、胃液リパーゼ、特にイヌ胃液リパーゼ、とりわけ好ましくは、イヌ組換え胃液リパーゼにも関する。イヌ組換え胃液リパーゼは、前記組成物が、望ましくなく、かつ/または副作用の原因となる酵素、特に、プロテアーゼとアミラーゼが完全に欠失していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、抽出または組換え胃液リパーゼ、特に上記のようなイヌ組換え胃液リパーゼを薬剤として許容される賦形剤とともに含むことを特徴とする薬剤組成物に関する。
【0019】
本発明による薬剤組成物の特定の実施形態によると、このような組成物は、イヌ組換え胃液リパーゼを1日10,000UI/kgを患者に投与できるように、あるいはイヌ組換え胃液リパーゼを1日4g投与できるように適合されている。
【0020】
このような薬剤組成物は、液体、固体、粉末のいずれの形状でもよく、さらに当業者に周知の、薬剤として許容される賦形剤を含んでいてもよい。
【0021】
したがって、本発明は、特に慢性または急性の膵炎、および嚢胞性線維症、膵臓癌、膵臓手術の結果生じた膵臓および外分泌系障害の治療、および高齢者や未成年児童の栄養失調治療のための薬剤製造に用いられる、抽出または組換え胃液リパーゼ、特に前述のイヌの組換えリパーゼにも関する。
【0022】
本発明は、以下の表および図により示されているが、それによって限定されるものではない。
【0023】
【発明の実施の形態】
したがって、本発明者は、溶液状態の対象蛋白質を、特に複合媒体から媒体に沈殿剤と吸着する固体担体を加えることによって、精製する方法を明らかにした。この方法により、溶液中に蛋白質のマクロ凝結体を多量に形成せずに、精製すべき蛋白質を直接固体担体に吸着させることができるようになった。
【0024】
沈殿剤は、固体担体の導入と同時に、あるいは多少の時間をおいて加えることができる。
【0025】
複合媒体、特に脂質および/または多糖類および/またはポリフェノールおよび/または脂質鎖の色素を含む媒体では、クロマトグラフィによる従来の精製工程は非常に効果が少なかった。さらに具体的には、本発明者は、このような溶液では、精製すべき対象蛋白質は、テストした様々なクロマトグラフィ担体によって選択的に保持されないことに気づいた。
【0026】
複合媒体からクロマトグラフィの担体上に精製すべき蛋白質が固定できないことは、同時に現れることのある2つの現象で説明できる。
【0027】
一方では、複合溶液の望ましくない化合物が、クロマトグラフィ担体に吸着して、部位の大部分を飽和し、対象蛋白質の固定にそれが利用できなくなる。
【0028】
他方では、多糖類や脂質のようなある種の化合物が、精製すべき蛋白質の分子を囲むことがあり、精製すべき蛋白質とクロマトグラフィ担体との接触を完全に妨害する。
【0029】
水溶液では、可溶化した蛋白質は非常に水和しやすい、すなわち蛋白質の表面に存在するイオン群が、弱い結合(水素結合、ファンデアワールス結合)を介して、多量の水分子を引きつけ固定する。
【0030】
硫酸アンモニウムなど蛋白質を沈殿させる薬品を、対象蛋白質を含む溶液に加えると、沈殿剤のイオンは水分子を引きつけ、最初から溶液にあった蛋白質に接近できないようにする。
【0031】
溶液の蛋白質分子と隣接している水分子との間に弱い結合が十分な数ない場合は、蛋白質の分子は互いに相互作用する傾向があり、凝集し始める。これまで、沈殿剤の濃度は、蛋白質分子に隣接している水分子との弱い結合が非常に少なくなるように、最初溶液状態だった蛋白質分子が相互作用して、溶液に自然に沈殿し、一般的に遠心分離により、沈渣中に組み込まれて検出される固体画分の形で回収できるサイズのマクロ凝結体を形成するように調整されていた。
【0032】
本発明者が、ある蛋白質、イヌ胃液リパーゼを、沈殿により硫酸アンモニウムで複合媒体、すなわち植物抽出物から分離しようと試みたとき、予期しない現象が観察された。硫酸アンモニウムを加えたことにより不溶性になった画分を遠心分離すると、三相溶液が得られたのである。この三相溶液は、遠心分離後沈渣で見つかった1つの固相と、はっきりした界面のない2つの水相を含み、精製すべき蛋白質は上の親油性水相の内部に検出された。上の水相と下の水相の間でのはっきりした界面の不在は、精製すべき蛋白質を含む、上の液体画分の回収が困難になる、もしくは納得のいくあるいは十分な収率では不可能になる性質のものであった。いかなる場合にも、精製すべき蛋白質を含む上の水相の回収は、精製すべき蛋白質の大きな損失をもたらし、このような精製法の経済的利益を大幅に減少させた。
【0033】
したがって、本発明者は、複合媒体から対象蛋白質を単離する、効果的で実用的な方法を探した。
【0034】
このような理由から、本発明の第一の目的は、固体担体上で前記蛋白質を部分凝集する工程と吸着する工程を含む、溶液状態の対象蛋白質を単離し精製する方法に関する。前記部分凝集工程は、前記溶液に沈殿剤を導入することを含む。沈殿剤は、小さなサイズで自然に沈殿せず前記固体担体上に吸着される、前記蛋白質の分子集合体を生成する。
【0035】
実際に、上記に述べた沈殿の方法とは異なり、本発明の方法は、精製すべき対象蛋白質、および好ましくは対象蛋白質と相互作用しうる特異的なリガンドのグラフト化されていない固体担体溶液を含む溶液を含む媒体に、沈殿剤を加える工程を含む。
【0036】
この方法では、沈殿剤の存在下で、対象蛋白質が小さなサイズの分子集合体(マイクロ凝結体)を形成し始めると、すぐに担体上に吸着されると本発明者は考えている。特に、前記担体は、溶液の蛋白質のマイクロ凝結体、もしくはデカンテーションされ得る固体画分(マクロ凝結体)の形成前に溶液から単離された分子までも吸着しながら、この蛋白質が迅速に出ていくように有利に働くようである。
【0037】
このように、本発明者によれば、本発明の方法は、前記蛋白質の分子集合体が、溶液中に懸濁物として残っている、小さいサイズの蛋白質凝結体(マイクロ凝結体)から実質的に形成されることを特徴とする。
【0038】
また、前記蛋白質の部分凝集と吸着は同時である。実際に、本発明者は、対象蛋白質を含む溶液中に沈殿剤と同時に固体担体が存在すると、吸着により溶液の蛋白質分子(すでに形成されたマイクロ凝結体および/または単離した分子)がすぐに出られるように、蛋白質の凝集反応の反応速度が改変されると推測する。この反応速度の改変は、結果として、大きな分子凝結体の形成(マクロ凝結体)にとって不利であり、したがって部分凝集工程によって望ましい精製を実現する。
【0039】
「マイクロ凝結体」という表現は、精製すべき対象蛋白質を含む分子集合体で、サイズがこの後者が溶液中に懸濁物として残るほど小さいものを指す。したがって、この分子凝結体は、自然に沈殿することができない。
【0040】
本発明の方法は、沈殿により蛋白質を精製する方法に比べてかなり多くの長所をもつ。一方では、対象蛋白質を担体上に、ただ1つの工程で吸着させることができ、工業プロセス、特に連続工業プロセスに組み込むことができる。他方では、精製すべき蛋白質を含む媒体に加えた沈殿剤の濃度を最適に調整し、特に、溶液中の対象蛋白質を、固体担体上で吸着しながら「析出させる」ために必要な沈殿剤の量を減量することができる。
【0041】
このようにして吸着された蛋白質はまた、そのあと沈殿剤がなくても、従来の技術により固体担体から容易に脱着させることができ、回収、または、場合によっては、クロマトグラフィなどによる他の精製工程にかけることができる。
【0042】
本発明の方法により精製できる対象蛋白質
本発明による方法は、特に複合媒体、すなわち蛋白質化合物、すなわち対象蛋白質に類似しない蛋白質または蛋白質の一部、多糖類、脂質化合物、ポリフェノールおよび/または色素、特にキサントフィルのような脂肪鎖色素を単独または組合せで含む媒体からの蛋白質の精製に適合する。したがって、本発明の方法は、動物、細菌、ウイルス、または菌類由来の材料から、有利には、胎児の血清、血漿などの生物材料あるいは植物材料、とりわけ採油植物、蛋白質の豊富な植物、多糖類に富んだ植物、あるいは色素に富んだ植物などの、脂質、多糖類、ポリフェノールおよび/または脂肪鎖色素からの、蛋白質の精製に用いられる。
【0043】
非常に好ましくは、本発明の方法は、組換え胃液リパーゼ、特に、トウモロコシ、タバコ、トマト、アブラナ、ダイズ、コメ、ジャガイモ、ニンジン、コムギ、オオムギ、ヒマワリ、レタス、あるいはエンバクなどの形質転換植物で発現させたイヌ組換え胃液リパーゼを精製するために用いられる。
【0044】
本発明による方法の有利な一実施形態では、参照によりその内容が本願に組み込まれる、WO 96/33277として公開された特許出願の教示に従って、イヌ組換え胃液リパーゼを形質転換植物で発現させる。
【0045】
とりわけ、本発明による方法により単離されたようなイヌ組換え胃液リパーゼは、吸収ピークの総面積に対する、230nmでの紫外線吸収ピーク面積が、最低でも90%、好ましくは最低92%、非常に好ましくは最低95%の純度である。
【0046】
しかし、本発明の方法は、イヌ組換え胃液リパーゼの単離に限定されない。また、本発明の他の目的は、前記方法によって精製された対象蛋白質に関する。イヌ胃液リパーゼに加えて、複数の対象蛋白質のタイプ、具体的には、抽出または組換え胃液リパーゼが、実際様々な複合媒体から、この方法により等価な純度で分離することができる。精製すべき蛋白質の特性のいくつかは、分子量、表面特性、および等電点を含む、本発明の方法のパラメータを調整するために、当業者が考慮に入れることができる。
【0047】
a)分子量
行った研究の結果から、まず非常に異なる分子量の蛋白質が、本発明の方法によって単離し精製できることが示された。例として、約20から200kDの間の分子量の蛋白質は、この蛋白質のあった溶液中に最適濃度の硫酸アンモニウムを導入した後、珪藻土へ吸着させることによって分離できた。しかし、これまで得られた予備結果から、分離すべき蛋白質の分子量と沈殿剤濃度の間の直接比例関係は示唆されなかった。
【0048】
b)表面特性および等電点
沈殿すべき蛋白質の表面特性は、その可溶性に非常に強い影響をもつ。実際、蛋白質表面に固定された水分子の分離が容易なほど、蛋白質を部分的に凝集させるのも容易になる。したがって、本発明の方法によって、対象蛋白質の精製を実施しなければならない場合、当業者にとって、通常、対象蛋白質の表面にある疎水基、親水基の存在を考慮することが重要である。例えば、蛋白質の表面に親水基が存在する場合、全体的に、部分凝集させるための沈殿剤の濃度は、この後者の塩基の可溶性を弱くする疎水基をもっている場合より、高くならなければならない。精製すべき蛋白質の他の特性のうちで、本発明の方法のパラメータを調整する当業者が見なければならない特性は、対象蛋白質の等電点である。実際、この特性も溶液中の蛋白質の可溶性に影響を与えているようなので、本発明の方法の実施時には、考慮に入れなければならない。
【0049】
前記特性は、精製すべき対象蛋白質の可溶性の全体的な評価を可能にし、この方法のパラメータはこの後、単離すべき蛋白質の仮定された可溶性に応じて、より精密に、より速く調整される。
【0050】
本発明の方法の主要なパラメータ
a)沈殿剤
本発明の方法によれば、複数のタイプの異なる沈殿剤を用いることができる。当業者は有機塩、無機塩、あるいはポリアルキレングリコール型化合物、好ましくはポリエチレングリコールのうちから選択することができる。有機塩の例としては酢酸アンモニウムがあり、無機塩の例としては硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムがある。コスモトロピック塩(sel cosmotropique)、および多価アルコール、炭水化物、およびメチルペンタンジオール(MPD)などの化合物も本発明による方法に用いることができる。
【0051】
本願の図1、2、3に示されているように、トウモロコシ中で発現させたイヌ組換え胃液リパーゼは、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールといった、3つの異なる沈殿剤を用いて精製することができた。単離するために使用する蛋白質の沈殿に、より適した沈殿剤の選択は、当業者により容易に行われる。
【0052】
関連する媒体から意味のある量の蛋白質を単離するために必要な沈殿剤濃度に関して、現在まで行われてきた試験は、用いられた沈殿剤に応じてこの濃度が変動することを示しているようである。例として、本発明者は、トウモロコシの種やタバコの葉などの植物材料からイヌ組換え胃液リパーゼを均質に精製するため、本発明による方法を用いた。この複合溶液(抽出植物)からのイヌ組換え胃液リパーゼの精製では、硫酸アンモニウム濃度が、重量/容積で10から60%の間、好ましくは重量/容積で15から45%の間、さらに好ましくは15から30%にあるとき、最大のリパーゼ濃度を回収できた。ただし、この濃度は、硫酸ナトリウムを用いたときにはより低い。この後者の場合には、硫酸ナトリウム濃度は、好ましくは10から30重量/容積%の間で変動する。ポリエチレングリコール(PEG 4000)を用いる場合には、最適濃度は、20から40重量/容積%の間、好ましくは25から35%の間にある。
【0053】
使用する沈殿剤濃度は、その性質自体に依存するが、ある程度は、本発明の方法で使用する吸着固体担体の性質と濃度に依存する。
【0054】
b)吸着担体
精製しようとする蛋白質を吸着させるために、複数のタイプの固体担体を用いることができる。一般的には、吸着担体は、対象蛋白質と相互作用しうる特異的なリガンドの人工的にグラフト化されていない固体担体である。特異的なリガンドとは、希望する蛋白質とアフィニティ結合、疎水性や電子供与体―受容体といったタイプの結合が可能なリガンド全体を指す。したがって、固体担体は、とりわけ有機または無機担体のうちから選択される。無機担体の例として、微孔性ガラス、シリカゲルなどシリカベースの担体、または金属酸化物、珪藻土、アルミナ、パーライト、およびセラミックまたはゼオライトをベースとした担体がある。有機担体の例としては、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレンジビニルベンゼン、メタクリラート、ナイロン、またはセルロースをベースとした担体がある。図4に示すように、複数のタイプの担体、特に親水性の高いものは、硫酸アンモニウムの存在下で組換え胃液リパーゼを吸着するために効果的に用いられる。珪藻土、アルミナ、セファデックス樹脂G25という、3種の異なる担体利用が研究された。図4に示しているように、これらの担体はそれぞれ、主として、硫酸アンモニウム存在下での胃液リパーゼ吸着実験で同じような挙動を示した。
【0055】
本発明による好ましい固体担体は、珪藻土から構成される。硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、またはポリエチレングリコール条件下で用いた場合、珪藻土は、この3条件下では、複合溶液中に存在するほとんどの組換え胃液リパーゼを吸着できた。
【0056】
精製すべき蛋白質の最適濃度の吸着に必要な固体担体量に関して、この量はむろん、用いられた固体担体の性質に応じて変動しうる。当業者は、例えば精製すべき蛋白質の予備校正を、固体担体の様々な濃度に行うことによって、固体担体の最適量を容易に確認することができる。
【0057】
さらに具体的には、珪藻土に関して、溶液状態で存在する蛋白質の許容濃度の精製が可能な最適量は、1から30重量/容積%、より好ましくは1から3重量/容積%に位置する。好ましくは、珪藻土はフレームフィルタタイプのフィルタに含まれる。このタイプのフィルタ使用により、特に連続精製の方法が開発できる。このコンテキストでは、適合濃度の沈殿剤は、珪藻土を導入することによってほとんど同時に(対象蛋白質が精製される)複合媒体に導入され溶解する。珪藻土は、蛋白質を最大限に吸収するのに十分な時間、複合媒体に懸濁物として維持される。懸濁物は次に、必要に応じて珪藻土のプリコートを含むフレームフィルタに通す。
【0058】
本発明の方法の基本パラメータを調整しても蛋白質を単離できないときは、特に沈殿剤および固体担体、特に界面活性剤などの特殊な試薬の使用を含む、先験的に選択できるパラメータの選択および濃度、あるいはpHの調整などを考慮しなければならない。
【0059】
しかし、当業者は、複合媒体に適切な単離条件を用意するため、界面活性剤あるいはpHの変動を利用してもよい。
【0060】
本発明の方法の任意選択の追加パラメータ
a)界面活性剤の使用
本発明の方法での界面活性剤の使用は、一般に任意選択であるが、方法の選択性を改変する上で興味深く有用である可能性がある。実際に、界面活性剤は複合媒体に存在する分子間の相互作用を改変し、必要ないくつかの蛋白質の固体担体への吸着に影響する可能性がある。複数のタイプの界面活性剤を使用してもよい。例として、トリトン型界面活性剤X100およびツイン型界面活性剤20があげられる。
【0061】
本発明の方法の好ましい実施形態では、複合媒体からイヌ胃液リパーゼを精製する場合、蛋白質を珪藻土に吸着させ、次に界面活性剤の存在下で酸性のグリシンバッファ(50mM)で洗浄する。本発明のこの実施形態で好ましい界面活性剤は、トリトン型界面活性剤X100あるいはBRIJ 35など、荷電されていない界面活性剤である。
【0062】
b)pHの影響
pHは、本発明の方法のいくつかの好ましい実施形態を行う上で重要なパラメータになることがある。実際に、この溶液状態の蛋白質の可溶化条件を改変するために、対象蛋白質が単離される複合媒体のpHを改変することが可能である。
【0063】
本発明の方法の枠内で用いられるpH値は重要で、一般に2から10である。例として、組換え胃液リパーゼはpH 3で単離され、トリプシンおよびIgGはpH 7で単離された。蛋白質が単離される複合混合物の場合でも、同様のpH値が予想される。例として、ウシの胎児の血清中に存在する蛋白質の単離は、pH 7で行われた(図5)。これに対して、トウモロコシの浸軟物中に存在する蛋白質の単離は、pH 3で行われた。
【0064】
より一般的には、当業者は、方法の重要なパラメータ(沈殿剤、固体担体のタイプおよび濃度)、および場合によってはより選択的なパラメータ(追加の試薬を加えること、pH)が最適条件に達するまで1つずつ変更できるような、予備試験を行うとよい。
【0065】
また、本発明の方法は、固体担体に対象蛋白質を吸着する工程に関する。この工程は沈殿剤なしで行われる。
【0066】
洗浄後、吸着した蛋白質は、溶離により、沈殿剤を含まない酸性のバッファに脱着する。脱着の溶出液は全部回収される。
【0067】
本発明の具体的な一実施形態では、任意選択で、次に脱着の溶液を濾過する工程を行う。濾過膜のプレートは、有利には、保持限界5から40マイクロメートルであり、非常に好ましくは10マイクロメートルである。
【0068】
吸着工程および脱着工程が実施された後、脱着工程の溶出液、または任意の微細濾過(filtration fine)工程の濾液を、精製された最終生成物を得るために、後続の1つまたは複数の精製工程にかけることが好ましいが、必ずしも必要というではない。当業者によって実施が可能である、後続の様々な精製工程のうちいくつかは、下記に記載されている。
【0069】
後続の任意選択の精製工程
後続の精製工程は、精製すべき対象蛋白質の性質(陽または陰に荷電している、親水性または疎水性、ヒスチジンに富んでいるなど)に応じて、当業者が選択する。
【0070】
a)クロマトグラフィ
脱着工程の溶出液、または任意の微細濾過工程の濾過液は、例えば、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、固定化金属イオン上のアフィニティクロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィあるいは高速液体クロマトグラフィ(HPLC)など1つまたは複数のクロマトグラフィの工程を通過することができる。この工程は、交互に陽イオン交換クロマトグラフィ担体に、固体担体から脱着された対象蛋白質を通す工程を含むことができる。
【0071】
本発明による具体的な例として、イヌ組換え胃液リパーゼを精製するために、脱着溶液は必要であれば、イオン強度を減少し、イオン交換体への対象物質の吸着が有利になるようにまず希釈する。次に、溶液は任意選択で微細濾過工程にかけ、陽イオン交換クロマトグラフィ(BIOSEPRA製SセラミックHyper D型)のカラムに充填する。充填したカラムは、続けて2回の洗浄を行う。1回目の洗浄は、カラムに吸着する可能性のある脂質を除去するため、界面活性剤(トリトンX100、1mM)の存在下でpH 3のグリシンバッファ(50mM)で行い、2回目の洗浄は残留した界面活性剤を除去するため、pH 3のグリシンバッファ(50mM)で行う。最後に、カラムを、pH 4のアセタート/酢酸バッファ(50mM)で溶離させ、この具体的な条件では、前もって透析や透析濾過を行わなくても、他のカラムに直接溶出液を充填することができる。
【0072】
陽イオン交換クロマトグラフィのカラムから出た溶出液は、次に固定化金属イオン上のアフィニティ樹脂クロマトグラフィ(IMAC)のカラムに充填できる。好ましくは、クロマトグラフィゲルは、銅(Cu II)で充填する。カラムは、充填バッファと同様のバッファで洗浄し、適切なpHの酢酸アンモニウムの存在下でグリシンバッファ(10mM)で溶離する。
【0073】
13%の炭水化物を含む49kDaの糖蛋白質からなり、14個のヒスチジン残渣をもつ、イヌ胃液リパーゼ精製の具体的な例では、この構造的特徴は本発明のクロマトグラフィの具体的な工程の1つで有効に利用された。実際に、この蛋白質の表面に曝露されたヒスチジン残渣は、ニッケル(Ni II)または銅(Cu II)のイオンなどのクロマトグラフィ担体上の、いくつかの固定化金属イオンの配位結合によって固定する特性をもつ。固定化金属イオンを含む、このようなクロマトグラフィ担体は、例えば前に述べ、実施例1および2で使用したIMACタイプのカラムである。
【0074】
したがって、イヌ組換え胃液リパーゼの精製には、pH 3の酢酸アンモニウムの存在下で、グリシンバッファを用いてIMACクロマトグラフィのカラムで溶離を行う。従来の塩化ナトリウムバッファの存在下でよりも、この揮発性化合物の存在下での方が、塩濃度が低いため、精製された組換え胃液リパーゼの酵素活性が影響されにくいという意味で、溶離バッファ中に酢酸ナトリウムがあることは有利であり、イヌ組換え胃液リパーゼを含む溶出物の後続の凍結乾燥にも有利な条件となる。
【0075】
溶離は強い酸性にされ、これはおそらく組換え胃液リパーゼと、担体とが相互作用している部位の異常に低い4以下のpKaに起因している。
【0076】
b)濾過
このようにして精製された蛋白質は、次に、特に蛋白質溶液を濃縮するためだけでなく、凍結乾燥の後続工程に必要な安定性の物理化学的条件下に対象蛋白質をおくためにも、追加の限外濾過および/または透析濾過の1つまたは複数の工程にかけることができる。
【0077】
限外濾過および/または透析濾過の工程は、フロンタル、タンジェンシャル、スパイラルのいずれでもよい。
【0078】
本発明の方法の具体的な一実施形態では、カットオフ閾値30kDaのポリエーテルスルホンタイプ膜を用いたフロンタル限外濾過工程であり、10以上のファクタで溶出物を濃縮することができる。これにより生じた濾液は、次に、塩濃縮のファクタ100で濾液を希釈する工程と、精製された組換え蛋白質の変性がない場合に相当する値にpHを調整することのできる工程という、2つの透析濾過工程にかけられる。
【0079】
限外濾過され透析濾過された溶液は、さらに存在する可能性のある細菌を除外するため、細孔の平均直径0.22μmの濾紙で、追加の濾過工程にかけることができる。
【0080】
本発明による方法は、精製された蛋白質溶液を乾燥する工程も含む。したがって、この乾燥工程は、特に当業者によく周知の技術、すなわち精製された蛋白質の凍結乾燥または噴霧により実施される。
【0081】
植物からの蛋白質精製(予備工程)
本発明による精製方法により、トウモロコシ、タバコ、トマト、アブラナ、ダイズ、コメ、ジャガイモ、あるいはニンジンなどの植物中の対象蛋白質を、有利に単離できる。
【0082】
具体的には、本発明の方法は、特に植物で発現させた組換え蛋白質の精製に適合している。このような理由から、本発明は、最初に種を粉砕する工程、または葉を裁刻する工程を、次に濾過または遠心分離によって清澄化する工程を含むことを特徴とする方法にも関する。
【0083】
本発明の実施前に検討すべき主要な予備工程は、下記に記載されている。
a)抽出
好ましくは、本発明による精製の方法は、天然の植物材料、具体的には精製しようとする対象組換え蛋白質を発現させる形質転換植物由来の植物材料から蛋白質の大部分を抽出することからなる最初の工程を含むことができる。
トウモロコシの場合、蛋白質抽出は、直径1から3mmの格子で粉砕した種から得た、種の粉砕物から行う。
タバコの葉からの抽出の場合、葉は任意選択で凍結乾燥された後、粉末が得られるまで粉砕される。
【0084】
b)浸軟
植物材料の、この最初の処理に由来する粉末は、界面活性剤の存在する酸性バッファ中で浸軟され、このバッファには、EDTAなどのキレート生成剤を、任意選択で追加する。
あらゆるタイプの界面活性剤が、出発粉砕物中、具体的には上記に記載の植物材料粉末中に存在する、対象蛋白質の大部分を可溶化させるため、浸軟工程に利用できる。
有利には、荷電していない界面活性剤、すなわち対象蛋白質精製の最終段階で、クロマトグラフィ担体上に固定されない界面活性剤を使用する。
したがって、トリトンX100またはBRIJ 35のような界面活性剤を、好ましくは、臨界ミセル濃度(CMC)の10倍に相当する濃度で用いることが好ましい。
したがって、トリトンX100WPを、浸軟工程中に、0.5mMから2mMの間の濃度、好ましくは1mMの濃度で用いることが好ましい。
浸軟工程は、5から20時間の間の長さ、好ましくは約15時間、例えば16時間の長さである。浸軟工程の間、pHは有利には2.5から4の間、好ましくは3に調整する。
【0085】
c)清澄化
浸軟工程後に、最初の植物材料由来の残滓、凝結体など大きいサイズの不溶性粒子を除外するため、清澄化する工程を行うことができる。清澄化は、当業者によく周知のあらゆる技術により実施できる。
好ましくは、濾過、デカンテーション、あるいは遠心分離による清澄化を用いる。
遠心分離によって清澄化を行う場合には、有利には、加速度8000から15000g好ましくは10,000gで、3から10分の間の時間、非常に好ましくは5分間、天然抽出物を遠心分離する。
これら予備工程が終わった後、対象蛋白質は、本発明の方法の主要なパラメータを用いて、抽出物の上清画分から単離される。
【0086】
【実施例】
実施例1:トウモロコシの種からイヌ組換え胃液リパーゼを精製する方法
A)試薬
1)化学薬品
イヌ組換え胃液リパーゼ(psl rDGL)の精製方法に用いられた様々な化学薬品は、最低限分析等級のものである。薬品のリストを下記に詳しく示す。
【0087】
【表1】
Figure 2004505615
【0088】
2)バッファ溶液
使用されたバッファを、次の表に列挙する。
【0089】
【表2】
Figure 2004505615
【0090】
B)蛋白質の定量
蛋白質は、ビシンコニン酸(BCA)法(Smith et al., Anal. Biochem. (1985), 150/76−85)により定量する。標準蛋白質は、Sigma製BSAの標準溶液1mg/mLである。吸収測定は、540nmの干渉フィルタを備えたLabsystem製IEMS/MFリーダ付き96穴マイクロプレートで行う。各ロットの分析数:4。
【0091】
C)組換え胃液リパーゼ活性の定量
リパーゼ活性の定量は、Mettler製DL25質量分析器、またはMetrohm製Titrino 718質量分析器を用い、pH 5.0、37℃で、トリブチリンを用いて滴定する(Gargouri et al. Gastroenterology (1986), 91 919−925)。各ロットの分析数:4。
【0092】
D)精製方法の検定
この方法は、トリブチリンでの活性の定量、BCAによる蛋白質の定量、カラムC4(VYRAC、カラムC4、300オングストローム、250mm x 4mm)上の逆相クロマトグラフィ分析による純度の推定により、様々な工程で検査する。
クロマトグラフィによる精製工程中、蛋白質は280nmで検出される。
【0093】
E)粉砕
トウモロコシ700kgは、Forplex型のインパクトクラッシャーで粉砕する。
クラッシャーは液体窒素で冷却する。したがって、粉の温度は20℃を超えない。
【0094】
F)浸軟
初期に保持される最適条件は以下の通りである。
浸軟1:
植物/バッファ比:1 + 8(粉1kgに対してバッファ8リットル)
浸軟時間:10時間
温度:20
浸軟2:
植物/バッファ比:1 + 2
浸軟時間:2時間
温度:20±2℃
浸軟3:
植物/バッファ比:1 + 4
浸軟時間:8時間
温度:20±2℃
操作方式:
粉は、前もってpH 2.5の浸軟バッファで充填した、10 800リットルのステンレス槽内に手動で導入する。
全体を撹拌する。このとき、浸軟物1のpHが3.0±0.1でなければ、塩酸でこのpHを調整する必要がある。
したがって、1回目および2回目のデカンテーションで得られた沈殿物を、再度浸軟にかけられる。
浸軟2および3のために加える浸軟バッファの体積は、最初用いた粉の量から算出する。
【0095】
上記に記載の形態の変形形態として、次のような方法で実施することも可能であり、リパーゼ抽出量を維持しながらこの工程の時間を短縮することができる。
操作方式:
浸軟1:5時間、その後デカンテーション1(約15時間)
デカンテーション1から沈殿物が出現すると、浸軟2を実施する。
浸軟2:2時間(デカンテーション1終了時からカウントダウンを開始)、その後デカンテーション2(約6時間)。
デカンテーション2から沈殿物が出現すると、浸軟3を実施する。
浸軟3:8時間(デカンテーション2終了時からカウントダウンを開始)、その後デカンテーション3(約10時間)。
【0096】
G)デカンテーション
操作方式:
各浸軟後、得られた浸軟物をローブ形ポンプ(pompe a lobes)で、平均流量400L/時の遠心分離デカンターに移す。
天然抽出物をステンレス槽に集める。これを約4℃で保存する。天然抽出物2は天然抽出物1に混ぜる。同様に、天然抽出物3を天然抽出物1と2に混ぜ、撹拌した10 800Lのステンレス槽内に最終天然抽出物EBを生成する。
【0097】
H)前精製
1)硫酸アンモニウムによる処理および珪藻土への吸着
操作方式:
珪藻土1.5%(p/v)溶解後、硫酸アンモニウム0.164kg/Lを加える(Clarcel DIC B、天然抽出物体積に対するClarcelの重量で)。
全体を槽内で30±5分間、室温で撹拌する。
【0098】
2)濾過、洗浄、珪藻土からの脱着
操作方式:
濾過
吸着後、撹拌を1時間停止する。
吸着後、Clarcel 10kgでできたプリコートをすでに含む濾紙で、懸濁物を濾過する。
得られた濾液(リパーゼを含まない)は除外する。
洗浄
次に、堆積(alluvionnage)に使用したClarcel 1kgに対して、約7容の洗浄バッファを用いて、濾過ケークの洗浄を行う。
Clarcelケークは、このとき脱水される。
脱着
脱着は、沖積に使用したClarcel 1kgに対して、約17容の脱着バッファで行う。
Clarcelケークはこのとき、モノプレートフィルタの撹拌を作動することによって、懸濁物の形にされる。30分間撹拌した後、懸濁物を濾過する。
得られた濾液を集める。
【0099】
I)濾過
2つのタイプの濾過をテストした。
1)濾過
操作方式:
脱着画分を、平均細孔10μmのSeitzの40x40cm K300プレート(珪藻土およびパーライトを含むセルロースプレート)上で濾過する。
得られた濾液を槽に集める。
この工程の変形形態によると、下記に記載の方法で行うこともでき、閉塞、画分の不透明性、操作時間など技術的な問題を軽減することができる。
【0100】
2)脱着/濾過
操作方式:
Clarcel DIC Bを脱着バッファによって懸濁状態に戻し(17容/Clarcel重量)、30±5分間撹拌する。
濾紙K 300を備えたマルチプレートフィルタを用意する。
懸濁状態のClarcelをこのマルチプレートフィルタで濾過する。濾過終了時に、2容の脱着バッファで流す。
溶液を集める。
【0101】
J)限外濾過
操作方式:
濾液は限外濾過システムによって濃縮する。限外濾過システムは、膜のカットオフ閾値が30kdのポリスルホンカートリッジを備えている。
残留物は約4倍濃縮される。
【0102】
K)希釈
約4℃で保存した残留物をホモジナイズし、平衡バッファSCHDと等しい、または+1mS大きい伝導率が得られるように希釈バッファで希釈する。
【0103】
L)SCHDクロマトグラフィ
SCHDクロマトグラフィは、陽イオン交換クロマトグラフィS−Ceramic−HyperD(Biosepra)である。この樹脂のマトリクスは、シリカセラミックおよび硫酸基のグラフト化されたデキストランからなる。粒の粒度は60μmである。
クロマトグラフィは室温で行う。
【0104】
M)IMACクロマトグラフィ
IMACクロマトグラフィは、イミノ二酢酸残基(フラクトゲルEMDキレート650M,MERCK)のグラフト化されたポリメタクリラートからなるマトリクスの樹脂で行われる。この基は金属イオン、特に銅の固定に有利であり、この金属イオンがその自由な配合部位によってリパーゼを固定する。
粒の粒度は40から90μmである。
クロマトグラフィは室温で行う。
【0105】
N)透析濾過
得られた画分は、1容の画分に対して2容の透析濾過バッファですぐに希釈し、次にポリエーテルスルホンカートリッジ装備の限外濾過システムMillipore HUF/50を用いて、蛋白質濃度6から7mg/mLが得られるまで濃縮する。膜のカットオフ閾値は30kdである。温度は17℃から19℃である。
次に、ある一定の濃度の蛋白質を、透析濾過バッファと同じ伝導率およびpHが得られるまで、透析濾過する。
【0106】
O)凍結乾燥
透析濾過した生成物は、後記の方法によって、そのまま、または容器内で凍結乾燥する。
Wheaton製5mL血清バイアル内に1mLのアリコート画分で溶液を分配した後、栓(グレーブチル)を閉めずにバイアルに載せ、密栓箱に入れる。容器を入れた、密栓箱を、棚を前もって−45℃の温度に設定した凍結乾燥機に入れる。この凍結段階を大気圧で3時間維持する。次に、圧力を0.15mbarまで下げ、棚の温度を+30℃に上げ、真空状態(1μbar)に戻す指示により−10℃の値にする。循環電流制御器を5%に設定し、温度上昇速度が1時間あたり5℃になるようにする。凍結乾燥開始後62から64時間で、試薬の温度が安定し、凍結乾燥の操作が終了する。真空状態はこのとき、細孔の平均直径0.2μmの濾紙で濾過された窒素Cにより破壊され、容器は栓をした後、アルミニウムカプセルで固定する。
【0107】
実施例2:形質転換したタバコの葉からイヌ組換え胃液リパーゼを精製する方法
材料、化学薬品、バッファ溶液、濾紙、クロマトグラフィ担体は、実施例1に記載のものと同様である。
A)葉の裁刻、清澄化、硫酸アンモニウムの存在下での珪藻土への吸着
凍結乾燥した葉を、粉末が得られるまで(waring Blender)を用いて裁刻する。
粉末は、HCl 1M(NaCl 30mL/乾燥重量g)でpHを3に維持しながら、NaCl 0.2M中で、15分間低速撹拌下で浸軟する。
ホモジナイズした生成物を、15分間、+4℃、10,000gで遠心分離する。得られた上清をMiraclothで濾過する。
ホモジナイズした生成物を、濾過し、珪藻土に、その後飽和度40%の硫酸アンモニウムに接触させる。45分間撹拌する。
混合液を、3Ch Whatman 20μm濾紙で濾過し、残留したケークを、グリシン洗浄バッファ/HCl 10mM − NaCl 0.2M − pH 3 40%硫酸アンモニウム(1/5体積HF+)で再び採取し、5分間撹拌する。
ホモジナイズした生成物を、3Chr Whatman 20μm濾紙で濾過し、ケークはグリシン溶離バッファ/HCl 10mM pH 3 − NaCl 0.2M(出発土1g/溶離バッファ15mL)で回収する。混合液を5分間撹拌した後、3 Chr Whatman 20μm濾紙で濾過する。
【0108】
B)陽イオン交換樹脂クロマトグラフィ
工程A)からの濾液を、0.45μmで濾過する。試料を次に、伝導率をカラムの平衡バッファの伝導率に合わせて調整できるように、pH 3のクエン酸リン酸バッファ(約1/9の)で希釈する。
クロマトグラフィは、5℃で、次の表に記載の条件で進行する。
陽イオン交換樹脂クロマトグラフィのプロトコル
【0109】
【表3】
Figure 2004505615
【0110】
クエン酸リン酸バッファは、クエン酸+第二リン酸ナトリウムからできている。
平衡バッファ:リン酸35%とクエン酸63%。
洗浄バッファ:リン酸63%とクエン酸28%。
【0111】
C)IMAC − Cu II樹脂クロマトグラフィ
この工程は実施例1の工程M)と同様である。
限外濾過、透析濾過、凍結乾燥の工程は、実施例1に記載の工程N)およびO)と同様である。
表1は、トウモロコシ中で発現した組換え胃液リパーゼの珪藻土への吸着現象における硫酸アンモニウム量の影響の粗データを示す表である。
表2は、トウモロコシ中で発現した組換え胃液リパーゼの珪藻土への吸着現象における硫酸ナトリウム量の影響の粗データを示す表である。
【0112】
【表4】
Figure 2004505615
【0113】
【表5】
Figure 2004505615

【図面の簡単な説明】
【図1】トウモロコシ中で発現した組換え胃液リパーゼの珪藻土への吸着現象における硫酸アンモニウム量の影響を示す図である。
【図2】トウモロコシ中で発現した組換え胃液リパーゼの珪藻土への吸着現象における硫酸ナトリウム量の影響を示す図である。
【図3】トウモロコシ中で発現した組換え胃液リパーゼの珪藻土への吸着現象におけるポリエチレングリコール(PEG 4000)量の影響を示す図である。
【図4】硫酸アンモニウム条件下での組換え胃液リパーゼ吸着の固体担体タイプによる影響を示す図である。
【図5】珪藻土への吸着現象における様々な型の蛋白質への硫酸アンモニウム量の影響を示す図である。
【図6】トウモロコシの種または凍結乾燥したタバコの葉からの本発明の方法によるイヌ組換え胃液リパーゼの精製の一般的な概略図である。
本発明の方法の連続する工程は、図6にまとめて示されており、図の説明は本文に組み込まれている。

Claims (45)

  1. 溶液状態の対象蛋白質を単離し精製する方法であって、前記蛋白質を部分凝集させる工程および固体担体に吸着させる工程を含み、前記部分凝集工程が、小さいサイズで、自然に沈殿する可能性がなく、前記固体担体に吸着されている、前記蛋白質の分子集合体を生成する沈殿剤を前記溶液に導入することを含む方法。
  2. 前記蛋白質の分子集合体が、溶液中に懸濁物として残留する小さいサイズの蛋白質凝結体から実質的に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記蛋白質の部分凝集と吸着が、同時であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 部分凝集工程の反応速度が、吸着工程の反応速度によって改変されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 吸着の反応速度が、マイクロ凝結体形成には有利であり、マクロ凝結体形成には不利であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 対象蛋白質が、複合媒体から単離され、かつ/または精製されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 媒体が、前記蛋白質、ならびに蛋白質化合物、脂質化合物、多糖類化合物、ポリフェノール、あるいは色素の、それぞれ単独または組合せのうちから選択した少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 前記吸着担体を導入するのと同時に、またはその後に、前記蛋白質を含む溶液中に沈殿剤を加えることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 沈殿剤が、ポリアルキレングリコールタイプの化合物または多価アルコールまたは糖質、または有機または無機の沈殿性の塩であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. ポリアルキレングリコール化合物が、1種のポリエチレングリコールからなることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 有機の沈殿性の塩が、酢酸アンモニウムであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  12. 無機の沈殿性の塩が、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  13. 硫酸アンモニウム濃度が10から60重量/容積%、特に15から45重量/容積%にあることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  14. 吸着担体が、対象蛋白質と相互作用しうる、特異的なリガンドのグラフト化されていない固体担体であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
  15. 固体担体が、有機担体または無機担体のうちから選択されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 無機固体担体が、シリカ、アルミナ、または金属酸化物、または珪藻土をベースとした担体のうちから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 有機固体担体が、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリエチレンジビニルベンゼン、ナイロン、またはメタクリラートをベースとした担体のうちから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  18. 沈殿剤がない場合に対象蛋白質が固体担体から脱着する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 脱着した蛋白質をクロマトグラフィ担体上で精製する、1つまたは複数の工程を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. クロマトグラフィ担体が、イオン交換クロマトグラフィ担体、サイズ排除クロマトグラフィ担体、疎水性相互作用クロマトグラフィ担体、固定化金属イオン上のアフィニティクロマトグラフィ担体、アフィニティクロマトグラフィ担体、または高速液体クロマトグラフィ(HPLC)担体であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 固体担体から脱着した対象蛋白質を、陽イオン交換クロマトグラフィ担体上に通す工程を含むことを特徴とする、請求項19または20に記載の方法。
  22. 請求項19乃至21のいずれか一項に記載のクロマトグラフィ工程からの溶出物を、固定化金属イオン上のアフィニティクロマトグラフィ(IMAC)における工程を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  23. IMACのクロマトグラフィ担体が、Cu IIイオンをベースとするものであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
  24. クロマトグラフィ工程の後に、1つまたは複数の、限外濾過工程または透析濾過工程が続くことを特徴とする、請求項19乃至23のいずれか一項に記載の方法。
  25. さらに、精製された蛋白質を凍結乾燥または噴霧乾燥する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 対象蛋白質が、動物、細菌、菌類、またはウイルス由来の材料に最初から含まれることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 対象蛋白質が、植物材料に最初から含まれることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の方法。
  28. 植物材料が、採油植物、蛋白質の豊富な植物、および/または多糖類および/またはポリフェノールおよび/または色素に富んだ植物であることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
  29. 植物材料が、トウモロコシ、タバコ、トマト、アブラナ、ダイズ、コメ、ジャガイモ、ニンジン、コムギ、オオムギ、ヒマワリ、レタス、またはエンバクのうちから選択されることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
  30. 最初に種を粉砕する工程または葉を裁刻する工程、それに続いて濾過または遠心分離によって清澄化する工程を含むことを特徴とする、請求項27乃至29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 対象蛋白質が、組換え胃液リパーゼであることを特徴とする、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 対象蛋白質が、イヌ組換え胃液リパーゼであることを特徴とする、請求項1乃至30のいずれか任意に記載の方法。
  33. 請求項1乃至32のいずれか一項に記載の方法によって精製されたような蛋白質。
  34. 請求項1乃至32のいずれか一項に記載の方法によって精製された、抽出または組換え胃液リパーゼ。
  35. 請求項1から32のいずれか一項に記載の方法によって精製された、イヌ組換え胃液リパーゼ。
  36. 請求項35に記載の精製したイヌ組換え胃液リパーゼであって、プロテアーゼおよび/またはアミラーゼのないことを特徴とするイヌ組換え胃液リパーゼ。
  37. 請求項34に記載の精製した抽出または組換え胃液リパーゼであって、純度が、その蛋白質を含む媒体に存在する蛋白質重量の90%以上、好ましくは92%以上、非常に好ましくは95%以上ある抽出または組換え胃液リパーゼ。
  38. 請求項35乃至36のいずれか一項に記載の精製したイヌ組換え胃液リパーゼであって、純度が、その蛋白質を含む媒体に存在する蛋白質重量の90%以上、好ましくは92%以上、非常に好ましくは95%以上あるイヌ組換え胃液リパーゼ。
  39. 請求項34乃至38のいずれか一項に記載の対象蛋白質を含む組成物。
  40. 請求項34に記載の対象蛋白質を、薬剤として許容される賦形剤とともに含む薬剤組成物。
  41. 請求項35乃至38のいずれか一項に記載の抽出または組換え胃液リパーゼを、薬剤として許容される賦形剤とともに含む薬剤組成物。
  42. 特に慢性または急性の膵炎、嚢胞性繊維症、膵臓癌、膵臓手術による膵臓・外分泌系障害のうちから選択された病気の治療、および高齢者または未成年児童の栄養失調治療のための薬剤を製造するための、請求項34乃至38のいずれか一項に定義されたような抽出または組換え胃液リパーゼの使用。
  43. 特に慢性または急性の膵炎、嚢胞性繊維症、膵臓癌、膵臓手術による膵臓・外分泌系障害の治療のための薬剤を製造するための、請求項35、36、38のいずれか一項に記載の、イヌ組換え胃液リパーゼの使用。
  44. 膵臓癌治療のための薬剤を製造するための、請求項35、36、38のいずれか一項に記載の、イヌ組換え胃液リパーゼの使用。
  45. 膵臓手術のための薬剤を製造するための、請求項35、36、38のいずれか一項に記載の、イヌ組換え胃液リパーゼの使用。
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