JP5326231B2 - 新規ジャカリン誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、血液・組織液中の免疫グロブリンA(IgA)中の糖鎖の種類を認識して結合するジャカリン及び/又はその誘導体に関するものである。本発明は、認識させる糖鎖を利用した蛋白質変性法を用いることで製造することができ、IgA腎症患者の血液又は組織液中の糖鎖不全IgA1に特異的に結合することで、糖鎖不全IgA1の検出を可能にし、IgA腎症の発症または予後を診断する用途に好適に用いられる。
IgA腎症とは腎糸球体メサンギウム領域へのIgA(主としてIgA1)と補体C3の顆粒状沈着の病理学的所見を特徴とする疾患であり、発症患者の約50%に血清IgA濃度の高値が認められ、血流中にはIgA型免疫複合体が存在することが報告されている。この状態が長年に渡り続くことでIgAが腎糸球体に沈着し、そのため腎臓機能が消失するとされる(非特許文献1)。
IgA腎症は1969年Bergerらにより提唱された疾患概念であるが、その後40年近くを経た現在でも本疾患の成因は不明な点が多い。臨床的にも蛋白尿、血尿以外には臨床症状に乏しく、病気の進行に気づきにくい疾患でもあり、診断方法も腎生検による方法以外は一般的な方法が無いため、その発見が遅れる場合が多い。
IgA腎症の発症機序については十分に解明されていないが、報告されている機序としては体内に進入した外来抗原が契機となり主に上気道、消化管系の粘膜下リンパ球や形質細胞で粘膜免疫に関与するIgAが産生され、メサンギウム細胞表面のIgA結合関連レセプターへIgAが選択的に会合し(非特許文献2)、それに伴う炎症の惹起が提案されている。病理学的には、IgA沈着後の糸球体傷害の主要なメカニズムとして、メサンギウム細胞の増殖およびそれに引き続く細胞外基質蛋白の糸球体内蓄積に起因する硬化性病変であると考えられており、この過程では血小板由来成長因子(PDGF)と形質転換成長因子(TGF−β)の関与も重要と考えられているが詳細は不明である。
IgAはIgA1とIgA2と呼ばれる2つのサブタイプに分類され、IgA1はヒンジ部と呼ばれる領域に5つの酸素(O)結合型糖鎖が結合しており、一方、IgA2のヒンジ部には、このO結合型糖鎖は存在しないことが知られている。
IgA腎症患者の糸球体メサンギウム細胞に沈着しているIgAは、主にIgA1であることが知られている。このIgA1の由来が上気道、消化管系の粘膜下リンパ球あるいは形質細胞で産生されたものか、骨髄で産生されたものなのかに関しては未だ明確な結論がない。しかしながら体内で生産されるIgAのほとんどは粘膜組織のIgA型形質細胞で作られる実態から、IgA腎症患者のIgA1も粘膜下での産生の可能性が高いと考えられている。
また正常型のIgA1には、通常ヒンジ部にO結合型のシアル酸-ガラクトースβ1−3結合Nアセチルガラクトサミンの糖鎖が存在するが、IgA腎症患者血液中のIgA1は、その糖鎖末端分子であるシアル酸が存在しないアシアロ型の割合が高いとされる(非特許文献3)。特にこうした糖鎖異常型のIgA1同士は凝集しやすい性質を有していることも報告され、更にはメサンギウム細胞表面レセプターへの高い結合性と、それにより生じる細胞周期への影響も指摘され始めている(非特許文献4)。また、IgA腎症患者の抗体産生細胞であるB細胞では、IgA1ヒンジ部O結合型糖鎖の産生においてN−アセチルガラクトサミンへのガラクトースの結合を担う酵素の活性が、健常者に比較して低下しているとの報告もある。
こうしたIgA1の糖鎖異常に関する知見を利用したIgA腎症の診断方法が公開されている。例えば田中、錦戸、比企らによるIgA腎症患者血漿中のIgA1のヒンジ部の糖鎖結合数が非IgA腎症患者血漿中のIgA1より多いことを利用したIgA腎症の診断方法(特許文献1)の発明、比企、田中、錦戸らによるIgA1分子間の結合能の差を検出することによるIgA腎症の診断方法(特許文献2)の発明がある。また該公報等における発明の実施例として血清・血液および組織液中からIgA1を分離する材料として、レクチンの一種であるジャカリンをアガロースに固定したジャカリン−アガロースを用いており、その分離方法は、Roque−Barreriaらのジャカリンを用いる方法(非特許文献5)に基づいている。しかしながら以上の方法は、糖鎖のタイプを直接的に検出する方法ではない。
特開平10−111291号公報 特開平9−311132号公報 Conley, M.E.ら、Journal of Clinical Investigation、66巻、1432頁、1980年 Y.Wangら、 Clin Exp Immunol、 136巻、168−175頁、2004年 Iwase, Hitooら、Journal of Biochemistry、120巻、 92頁、1996年 Y.Wangら、 Clin Exp Immunol、 136巻,168−175頁、2004年 Journal ofImmunology、134巻、1740−1743頁、1985年
また、鳥居、太田らによるIgA腎症関連抗体を検出する方法(特許文献3)の発明や、小久保、新井、戸潤らによるIgA1のヒンジ部コアペプチドを認識する抗体を検出する診断法の発明(特許文献4)、芝、井上、吉田らの尿中のアルブミン分解物を検出することでIgAを診断する方法の発明(特許文献5)など、多くの方法が考案されているが、何れもIgA1自体の糖鎖タイプを検出する方法ではない。
特開2007−10540号公報 WO99/50663公報 特開2002−296276号公報
IgA腎症に対するIgAの関与については、上述したようにIgAあるいは糖鎖異常型IgA1が、IgA腎症患者血液・組織液中に高濃度で存在することで、腎糸球体に沈着し、それが直接または間接原因となり糸球体腎炎を引き起こすと考えられる。
また本発明者らは、血液中のIgA濃度を調節することで、病気の進行を制御することを目的とする血液浄化用吸着材として、ジャカリン及び/又はその誘導体が水不溶性担体に固定化された材料が好適であることを見いだしている(特許文献6)。また、血液中のIgA濃度調節によりIgA腎症の予防あるいは治療法に、ジャックフルーツ種子抽出物あるいはその中に含まれるジャカリン及び/又はその誘導体を含有する食品添加剤が好適であることを見いだしている(特許文献7)しかしながら、これらの方法はIgA1全体を対象にした方法であり、糖鎖不全IgA1のみを対象にした方法ではなかった。
特願2003−124036 特願2004−270140
IgA腎症の成因が今なお明確に解明されていない現状では、IgA腎症の予防または治療に関しては特に効果的な方法はないが、抗炎症作用と免疫抑制作用を期する点から主に副腎皮質ステロイド療法が有望と考えられている。しかしながら、上述したようにIgA腎症は自覚症状に乏しく、病気の進行に気づきにくい疾患でもあり、尿検査や腎生検による方法以外は一般的な方法が無いため、その発見が遅れ治療効果が失われる場合が多い。従って、病態を正確に把握し、適切な治療方法を選択するためにも、また早期に発見し予防するためにも、簡便迅速で正確な診断方法が切望されている。
本発明は、IgA腎症患者血液中のIgA1のヒンジ部O結合型糖鎖不全のタイプと組成比を直接検出することで、IgA腎症患者の病態を診断することのできる物質を提供することにある。
本発明者らは研究を重ねた結果、IgA1の糖鎖全般を認識できるジャカリン及び/又はその誘導体を改質することで、特定の糖鎖にのみ結合性がある熱変性処理されたジャカリンを創製し、発明を完成させた。
すなわち、本発明はIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を認識する熱変性処理されたジャカリンを含むことを特徴とし、更には、該熱変性処理されたジャカリンが、認識する単糖を含む糖鎖と混合し変性させることで得られる複数分子よりなる複合体であって、その分子量が20〜800KDaであることを特徴とする。また認識する糖鎖はシアル酸、ガラクトース、N―アセチルガラクトサミンが糖鎖末端に露出しているIgA1であり、単独種あるいは複数種を任意に認識可能であることを特徴とする。
さらに本発明は、前記の糖鎖認識ジャカリンをIgA腎症患者に経口投与することによって、該患者の血液及び/又は組織液中から糖鎖不全IgA1を除去することを特徴とする食品を提供する。
本発明のIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を認識するジャカリン及び/又はジャカリン誘導体は、血中、体液IgA1の糖鎖タイプを検出することによりIgA腎症の予防、あるいは予後の診断に効果を有する。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではなく、その要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
本発明に使用するジャカリンとは桑科の果実であるジャックフルーツ(Artocarpus heterophyllus:和名パラミツ)の種子に含まれる植物レクチンの一種であり、抽出・精製して得られるものである。ジャックフルーツはインドやタイが原産で熱帯地方に広く分布し、果実自体は大きい物で40―50Kgに達する物もある。果実は特に限定されるものではないが、おもにジャックフルーツがその名前の由来であることからも、最も多く含まれ、また抽出も容易である。通常、ジャカリンはジャックフルーツの種子タンパク質の50%以上を占めているとされる(非特許文献6)。同族植物にはパンノキ、コパラミツなどがあり、これらの種子からの抽出も可能である。
ジャカリンはIgAの糖鎖を認識するレクチンタンパク質として知られ、その認識糖鎖は1種類に限定されないが、O結合型で正常型IgA1の糖鎖構造であるシアル酸β1―3結合ガラクトースβ1―3結合N―アセチルガラクトサミン、あるいはガラクトースβ1―3N―アセチルガラクトサミン(異常型糖鎖)が高親和性構造として知られている。(非特許文献7)このため、正常型と糖鎖不全型の両方に対する結合性を有しているのが特徴である。
S. Kabirら、Comparative Immunology, Microbiology and Infectious Diseases、16巻、153頁、1993年 S. Kabirら、Journal of Immunological Methods 212巻、193−211頁、1998年
ヒト血清タンパク質の中でO結合型の糖鎖、すなわちタンパク質分子中のアミノ酸であるセリンまたはトレオニンの水酸基に結合しているガラクトースβ1-3結合Nアセチルガラクトース糖鎖を持つものは少なく、そのほとんどはアスパラギンのアミノ基に結合するN結合型である。IgA1分子は正常型、異常型の何れもO結合型の糖鎖を有しており、ジャカリンに特異的に認識され結合すると考えられている。
ジャカリンは4つのα鎖と呼ばれる分子量約15kDaのサブユニット構造と4つのβ鎖と呼ばれる分子量約2.1kDaから成り立つ分子量約65kDaの糖タンパク質である。本発明におけるジャカリンは、ジャックフルーツの種子を低温で水抽出し、該抽出物を精製することにより得られるが、この際、ジャックフルーツの種子を細かく粉砕後、水抽出する方法が一般的に用いられるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、種子を水溶液中で圧搾する方法等も用いられる。又、精製は、一般的には、水抽出物を濾過することによって水不溶物と分離した後、透析をすることによって低分子量分子を除去することでなされる。
こうしたジャカリンはそのままでは、上述したようにIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を全て認識するため、一部改質する必要がある。具体的には、ジャカリン及び/又はジャカリン誘導体を界面活性剤および糖鎖と水中で混合し、ジャカリンたんぱく質の変性温度(50℃)以上に加熱して変性させることにより得られる。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、リン脂質、脂肪酸、エチレングリコール多価アルコール等が好適に用いられる。その際に混合する糖鎖はIgA1に存在する組み合わせで、具体的には単糖であるシアル酸、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、二糖であるシアル酸β1−3ガラクトース、ガラクトースβ1−3N―アセチルガラクトサミン、三糖であるシアル酸β1―3ガラクトースβ1−3N―アセチルガラクトサミンから選ばれた1種類以上を利用する。
また変性させるための方法は50℃以上で5分間以上の加熱が必要であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。更に温度が高くても時間が長くても良い。温度が高いとジャカリン誘導体の複合化が起こり、分子量が大きくなり、時間が長い場合は組成的にはあまり変化が見られない。分子量の影響は、大きすぎると不溶性になり扱いにくくなるため、好ましくは20〜800kDa程度が好適で、糖鎖の認識性もこの間であれば大きな差は見られないからである。
本発明のIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を認識するジャカリン及び/又はジャカリン誘導体は、多くの診断に用いられている免疫学的検出方法を応用することにより、容易にIgA1糖鎖タイプ検出キットを作成することが出来る。ここでいう免疫学的方法とは、例えばELISA法、FACS、イムノクロマト、イムノ凝集法などが挙げられる。又、本発明において被検液とは血液、血清、血漿、唾液、尿、組織液、組織抽出液、細胞培養上清液などが挙げられる。
まずIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を認識するジャカリン及び/又はジャカリン誘導体を不溶性支持体に固定化する。結合は通常30分〜48時間程度の反応時間で十分である。不溶性支持体とは例えばマイクロタイタープレートあるいはラテックス粒子などである。被検液中のたんぱく質の非特異的吸着を防ぐ目的として添加剤として、例えばウシ血清アルブミン、ゼラチンまたはスキムミルク等を添加して、不溶性支持体に結合させる。
次いで、被検液を反応させ不溶性支持体にIgA1を結合させた後、未反応物を洗浄する。その後、標識酵素複合体抗IgA1抗体を加え不溶性支持体に結合したIgA1に反応させる。標識酵素には通常ELISA法にて使用される、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファダーゼ、グルコースオキシダーゼまたはβガラクトシダーゼなどで良い。結合は通常30分〜48時間程度の反応時間で十分である。その後未反応物を洗浄する。
更に、標識酵素による反応を利用した発色を起こさせるために基質を添加し反応させる。反応は酵素の種類にもよるが、5〜60分程度で反応が完結する程度の濃度で添加する。発色は吸光光度計にて吸光度として任意の波長で検出することで、IgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖が検出されたことになる。基質は用いた酵素がペルオキシダーゼの場合には、オルトフェニレンジアミンを用い、波長409nmでの吸光度で測定できる。アルカリフォスファダーゼを用いる場合は、基質にはパラニトロフェニルニンを用い、405nmでの吸光度で測定が可能になる。
また別の例としては、不溶性支持体に抗IgA1抗体を固定化し、その状態に被検液を反応させ、まず全てのIgA1を結合させた状態にし、次に酵素標識したIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を認識するジャカリン及び/又はジャカリン誘導体を反応させ、結合しないものを全て洗浄し、その後は上述と同様に基質を加え、加えたジャカリン及び/又はジャカリン誘導体の認識糖鎖構造を有するIgA1を被検液から検出することが出来る。
以上の例は、使用例の一部であって通常の酵素免疫法を利用した診断法に用いられている一般的な方法であり、この方法に限定されるものでもない。
以下実施例をもって本発明を詳細に説明するが、以下によって示される方法は、作用確認において用いたものであり、これに限定されるものではない。
(1)ジャカリンの抽出・精製
ジャックフルーツの種子(100g)を果肉から分離し、種子を覆う皮の部分を除き、フードプロセッサー等で細かく粉砕する。脱イオン水を加えて撹拌しジャカリン粗精製溶液を得る。不溶部分を濾過により除き、更に遠心分離(3000rpm、10分)し、上清部分を回収した。更に孔サイズ0.22マイクロメートルのメンブレンフィルター(ミリポア社製)で滅菌濾過し、濾液を凍結乾燥した(10g)。乾燥粉末10gを脱イオン水に溶解し、その溶液を再生セルロース系透析膜からなるチューブにいれ(除去分子量10kDa:スペクトラポア社製)、脱イオン水に対して4℃で48時間以上透析を行い、その後凍結乾燥して精製ジャカリン3gを得た。(回収率30%)
(2)IgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖末端ガラクトース認識性のジャカリン及び/又はジャカリン誘導体の作成
上述のようにして作成した精製ジャカリン200mgとガラクトース0.18gを0.05M リン酸塩緩衝液(pH=7.5)20mlに溶解し、更にドデシル硫酸ナトリウムを0.2g加え混合した後、50℃で30分間加熱処理を行った。更に孔サイズ0.22マイクロメートルのメンブレンフィルター(ミリポア社製)で滅菌濾過し、その溶液を再生セルロース系透析膜からなるチューブにいれ(除去分子量10kDa:スペクトラポア社製)、脱イオン水に対して4℃で48時間以上透析を行い、その後凍結乾燥してIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖末端ガラクトース認識性のジャカリン及び/又はジャカリン誘導体を得た。回収率はほぼ100%であった。
(3)IgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖末端N−アセチルガラクトサミン認識性のジャカリン及び/又はジャカリン誘導体の作成
次に、精製ジャカリン200mgとN−アセチルガラクトサミン0.22gを0.05Mリン酸塩緩衝液(pH=7.5)20mlに溶解し、更にドデシル硫酸ナトリウムを0.2g加え混合した後、50℃で30分間加熱処理を行った。更に孔サイズ0.22マイクロメートルのメンブレンフィルター(ミリポア社製)で滅菌濾過し、その溶液を再生セルロース系透析膜からなるチューブにいれ(除去分子量10kDa:スペクトラポア社製)、脱イオン水に対して4℃で48時間以上透析を行い、その後凍結乾燥してIgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖末端N−アセチルガラクトサミン認識性のジャカリン及び/又はジャカリン誘導体を得た。回収率はほぼ100%であった。
(4)熱変性ジャカリン及び/又はジャカリン誘導体の作成−1
次に、精製ジャカリン100mgを0.05Mリン酸塩緩衝液(pH=7.5)10mlに溶解し、ドデシル硫酸ナトリウムを0.1g加え混合した後、50℃で30分間加熱処理を行う。更に孔サイズ0.22マイクロメートルのメンブレンフィルター(ミリポア社製)で滅菌濾過し、その溶液を再生セルロース系透析膜からなるチューブにいれ(除去分子量10kDa:スペクトラポア社製)、脱イオン水に対して4℃で48時間以上透析を行い、その後凍結乾燥して熱変性ジャカリン及び/又はジャカリン誘導体を得た。回収率はほぼ100%であった。
(5)熱変性ジャカリン及び/又はジャカリン誘導体の作成−2
次に、精製ジャカリン100mgを0.05Mリン酸塩緩衝液(pH=7.5)10mlに溶解し、ドデシル硫酸ナトリウムを0.1g加え混合した後、90℃で90分間加熱処理を行う。更に孔サイズ0.22マイクロメートルのメンブレンフィルター(ミリポア社製)で滅菌濾過し、その溶液を再生セルロース系透析膜からなるチューブにいれ(除去分子量10kDa:スペクトラポア社製)、脱イオン水に対して4℃で48時間以上透析を行い、その後凍結乾燥して熱変性ジャカリン及び/又はジャカリン誘導体を得た。回収率はほぼ100%であった。
(6)ジャカリン誘導体の分子量分布測定
上述の方法で作成したジャカリン誘導体の平均分子量はHPLCにより測定した。測定条件は、東ソー3000SWカラムを用い、0.1M塩化ナトリウムを含む0.1Mリン酸塩緩衝液(pH=7)を溶出液とし、カラム温度25℃で、試料体積20μl、試料濃度5mg/ml、流速0.1ml/分、検出は紫外線である280mmの吸収で行った。バイオラット社製の分子量マーカーを用いて溶出時間から相対分子量を算出した。得られたクロマトグラムから数平均分子量とその分布を算出した。結果を(表1)に示す。加熱変性する前の精製ジャカリンの分子量が15kDa程度であるのに対し、熱変性処理を行うことで数分子が複合体を形成した大きさの分子量に増加することがわかる。またその組成比率も概ね4種類の大きさの分布に分類できる。加熱時に同時に処理した糖鎖の種類にはあまり影響せずに、加熱の温度や時間に依存していることがわかる。
Figure 0005326231
(7)IgA1固定化カラムの作成
CNBr活性化セファロース4B(アマシャム・ファルマシア社製)1.67gを1mM塩酸水溶液で浸し活性化させる。このときゲル体積は5mlになる。そこに正常IgA1(CALBIOCHEM社製)500μgを0.1M塩化ナトリウムを含む炭酸塩緩衝液(pH=8.3)10mlに溶解した溶液を加え、ローテーター(アズワン社製)で2時間回転攪拌し反応させる。その後、0.2Mグリシン溶液に置換し更に2時間回転攪拌させ、未反応の活性化部分をブロックする。反応後のゲルは0.1MTris−HCl緩衝液(pH=7.5)および1M塩化ナトリウムを含む0.1MTris−HCl緩衝液にて洗浄する。その後0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH=5.0)に置換し一晩冷蔵庫で静置した。直径10mmのC−カラム(アマシャム・ファルマシア社製)に、0.05Mリン酸塩緩衝液(pH=7.5)で置換した上述のIgA1固定化ゲルを充填し、IgA1固定化カラムとした。
(8)アシアロ型糖鎖およびアガラクト型糖鎖を有したIgA1固定化カラムの作成
CNBr活性化セファロース4B(アマシャム・ファルマシア社製)3.34gを1mM塩酸水溶液で浸し活性化させる。このときゲル体積は10mlになる。そこに正常IgA1(CALBIOCHEM社製)1000μgを0.1M塩化ナトリウムを含む炭酸塩緩衝液(pH=8.3)20mlに溶解した溶液を加え、ローテーターで2時間回転攪拌し反応させる。その後、0.2Mグリシン溶液に置換し更に2時間回転攪拌させ、未反応の活性化部分をブロックする。反応後のゲルは0.1MTris−HCl緩衝液(pH=7.5)および1M塩化ナトリウムを含む0.1MTris−HCl緩衝液にて洗浄する。その後0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH=5.0)に置換し一晩冷蔵庫で静置した。2本の直径10mmのC−カラム(アマシャム・ファルマシア社製)に、0.05Mリン酸塩緩衝液(pH=7.5)で置換した上述のIgA1固定化ゲルを5mlずつ充填した。一方のカラムにはアシアロ型糖鎖を調整するために、ノイラミニダーゼ(300mU:生化学工業社製)を加え、もう一方のカラムにはアガラクト型糖鎖を調整するために、ノイラミニダーゼ(300mU:生化学工業社製)とβ―ガラクトシダーゼ(100mU:CALBIOCHEM社製)の混合液を添加し、この2本のカラムを4℃で一晩静置して反応させた。ノイラミニダーゼは正常糖鎖の末端構造であるシアル酸を分解する酵素で、β―ガラクトシダーゼは、ノイラミニダーゼにより切断後に新たに末端構造となるガラクトース残基を認識して切断する分解性酵素である。酵素反応終了後、各カラムに1M塩化ナトリウムを含む0.1MTris−HCl緩衝液を50ml流し、更に0.05Mリン酸塩緩衝液(pH=7.5)を50ml流すことでカラムを洗浄し、それぞれをアシアロ型糖鎖およびアガラクト型糖鎖を有したIgA1固定化カラムとした。
(9)糖鎖認識能の測定
上述のようにして作製したカラムに対し、作製したジャカリン及び/又はジャカリン誘導体溶液を流し吸着させることで、各種糖鎖構造を有するIgA1に対する親和性を検討した。0.1MTris−HCl緩衝液(pH=7.5)を用い、各カラムに一定速度で送液可能なポンプ(東ソー社製)を接続し、上述のジャカリン誘導体を5mg/mlの濃度で500μl添加した。流速を0.1ml/minに設定し、検出は280nmの紫外線吸収測定装置(日立製作所社製)により行った。完全に非吸着成分が流出したのを確認後、溶出液として0.5Mガラクトースを含む0.1MTris−HCl緩衝液(pH=7.5)を用い、流速0.1ml/minで流し、カラムに吸着している成分を流出させた。以上の操作で得られたクロマトグラムの面積比より、カラムに吸着した成分と非吸着成分の組成比を計算した。得られた組成比より各試料の糖鎖認識能の基準として以下の式を用いて評価した。
認識係数=[(吸着成分比率%)−(実施例4の試料の吸着成分比率%)]/[実施例1の吸着成分比率%]−(実施例4の試料の吸着成分比率%)]
ここで示した認識係数とは(1)の未処理ジャカリンが認識する能力を1と換算した場合の、ジャカリン誘導体の各種糖鎖型IgA1の認識能力の相対値を意味する。また(4)のジャカリン誘導体は熱処理をしただけの状態なのでブランクとして差し引いて換算した。結果を(表2)に示した。この結果はガラクトースやN−アセチルガラクトサミンと共に熱変性させることで、認識サイトをマスキング(保護作用)する効果を証明している。例えば正常IgA1は実施例1のジャカリンを1とした場合、(2)および(3)のジャカリン誘導体には認識されにくいが、糖鎖不全IgA1は逆に認識係数が高いため、認識されやすいことを示している。特にこうした効果はジャカリン誘導体の凝集性にも大きく関与していると思われる。即ち、この結果から、ある分画から更に認識能の高い分子の精製が、更に認識係数を上げる方法として効果的であることは明らかである。また以上の糖鎖認識能の差は、IgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖検出法として利用可能である。
Figure 0005326231

Claims (6)

  1. IgA1ヒンジ部のO結合型糖鎖を認識する熱変性処理されたジャカリンであって、前記熱変性処理されたジャカリンが、ジャカリンと、ドデシル硫酸ナトリウムに加え、ガラクトースと、N−アセチルガラクトサミンの何れか一方又は両方を水中で混合し、50℃〜90℃、30分〜90分で熱変性させることによって得られ、
    前記熱変性処理されたジャカリンの平均分子量が20〜800kDaであることを特徴とする熱変性処理されたジャカリン。
  2. 前記O結合型糖鎖を構成する単糖に少なくとも、シアル酸、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミンの何れかが含まれることを特徴とする請求項1に記載の熱変性処理されたジャカリン。
  3. 請求項1,2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むIgA1の糖鎖検出用腎症診断用器材。
  4. 請求項1、2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むIgA腎症改善用食品。
  5. 請求項1、2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むアレルギー症改善用薬剤。
  6. 請求項1、2の何れか1項に記載の前記熱変性処理されたジャカリンを含むアレルギー症改善用食品。
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