JP2004504221A - 自動車の風防ガラスのためのワイパー装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、ワイパー装置（１０）を自動車に取り付けできるようにするネジなし固定装置（７２）を備えた、自動車の風防ガラス（３０）のためのワイパー装置（１０）に関する。前記固定装置（７２）は、互いに所定距離に配置された少なくとも３つの固定部材（３２）（３４）（３６）を備え、これら部材のうちの２つ（３２）（３４）は、接続ラインに位置し、第３固定部材（３６）は、接続ラインから所定距離に配置されている。固定装置（７２）は、固定部材（３２）（３４）（３６）が係合できる適当な嵌合装置（６６）（６８）（７０）も備えている。本発明によれば、少なくとも１つの固定部材（３２）（３４）（３６）、およびそれに対応する嵌合装置（６６）の固定方向が、風防ガラス（４８）の横方向面に対してほぼ平行とされており、ワイパー装置が最適に作動する際に生じるモーメントを受けるようになっている。

Description

【０００１】
本発明は、互いに離間する少なくとも３つの固定部材を有し、そのうちの２つが、１つの接続ラインに沿って位置し、第３の部材が、接続ラインから所定位置にあり、更に固定部材が係合できる対応する嵌合装置を備えるネジなし固定装置を有する、自動車の風防ガラスのためのワイパー装置に関する。
【０００２】
この種のワイパー装置は、ドイツ国特許公開第１９８３３４０４号により公知である。この公開特許出願に開示されている風防ガラス用ワイパー装置は、管状支持構造体を備え、この支持構造体には、円筒形取り付けピンとして構成された合計３つの固定部材が設けられている。従って、これらの固定部材は、ワイパー側に設けられており、これらの固定部材は、車体に固定された、すなわち、自動車側に設けられた特殊なホルダーに設けられた嵌合孔に軸方向に挿入されている。
【０００３】
このワイパー装置の揺れが車体に伝達されないようにするために、自動車側に設けられた嵌合孔には、ゴム製のグロメットが設けられており、このグロメットは、ホルダー内の適当な開口部内にセットされている。これら取り付けピン、嵌合孔、およびゴム製グロメットは、共に風防ガラス用ワイパー装置のための固定装置を形成している。
【０００４】
このワイパー装置は、自動車に極めて簡単かつ容易に組みつけることが可能である。しかし、特定の状況の下では、例えばワイパー装置のブレードが、雪によってブロックされ、またはブレードの運動が困難になった場合に、このワイパー装置は、自動車に対して緩んだ状態となる。
【０００５】
従って、本発明の目的は、あらゆる作動条件下で、自動車に対して、ワイパー装置を確実に係止しうるようにした、冒頭に述べたタイプのワイパー装置を提供することにある。
【０００６】
この目的は、請求項１の前文に記載のワイパー装置において、少なくとも１つの固定部材、およびこれに対する嵌合装置の固定装置を、風防ガラスの横方向面とほぼ平行に配向させることによって達成される。
【０００７】
この場合において、「風防ガラスの横方向面」なる用語は、風防ガラスの片側から反対側までの、すなわち、自動車の左から右、または右から左への方向を意味するものである。
【０００８】
公知のワイパー装置の場合、３本の取り付けピンのうちの２本は、風防ガラスの横方向範囲に対して平行に配向されるが、１本の取り付けピンは、風防ガラスの面に対して垂直に配向される。
【０００９】
風防ガラスのワイパーが、例えば雪によってブロックされた場合、またはその運動が妨害された場合に生じるモーメントは、このように配向された取り付けピンによって、適切に吸収することはできない。
【００１０】
ワイパーブレードから周期的な負荷を受けることと関連し、周期的に風防ガラスのワイパーが運動する公知のワイパー装置の場合、上記の結果として、自動車からワイパー装置は、ガタガタと振動を繰り返しながら緩んだ状態となり得る。
【００１１】
本発明が提案する対策は、驚くほど簡単でかつ効果的である。本発明の一部として、少なくとも１つの固定部材の設置方向を、風防ガラスの横方向面とほぼ平行に整合させた場合、ガタガタと振動を繰り返しながら、緩んだ状態とはならないことが判った。
【００１２】
本発明によるこのような極めて簡単な手段により、ネジをワイパー装置に挿入しなくても、設置することができ、かつ作動時に確実に保持されるようにしたワイパー装置が提供される。
【００１３】
少なくとも１つの固定部材、および対応する支持装置の設置方向は、少なくとも１つの他の固定部材、および対応する支持装置の設置方向とは異なっていることが、特に好ましい。この種のワイパー装置を用いると、生じる力およびモーメントは、特に良好かつ確実に吸収される。
【００１４】
風防ガラスの延長線とほぼ平行に整合した上記設置方向とは別に、またはこの設置方向と組み合わせて、冒頭に記載のタイプのワイパー装置はすべての固定部材と、それに対応する嵌合装置の設置方向が互いに異なるようにも構成することができる。
【００１５】
このタイプのワイパー装置の場合、１つの固定部材、およびそれに対応する嵌合装置の設置方向は、必ずしも風防ガラスの横方向面とほぼ平行に整合させなくてもよい。この場合、特に異なる軸線を中心として作用する作動中に生じるモーメントを、確実に吸収できるように設置方向が異なっていることが重要である。このタイプのワイパー装置は、作動中も確実に係止される。
【００１６】
固定装置が、基本的には、デカルト座標系を形成するような別の変形例が特に好ましい。このデカルト座標系は、例えば第１固定部材と、これに対応する嵌合装置の固定装置が、ほぼ風防ガラスの横方向面とほぼ平行に配向され、第２固定部材と、それに対応する嵌合装置の固定装置が、風防ガラスの横方向面とほぼ平行に配向され、第３固定部材と、それに対応する嵌合装置の固定装置が、風防ガラスの面とほぼ垂直に配向されることを意味する。
【００１７】
この種のワイパー装置は、組み立てのための作業者、および自動化された組み立てのためのロボットに対して、固定装置を容易に認識できるので、組み立て時の利点は大きい。
【００１８】
別の変形例として、少なくとも２つの固定部材と、それに対応する嵌合装置の設置方向を、逆向きにかつ互いにほぼ平行に整合させるようにすることができる。
【００１９】
第３固定部材と、それに対応する嵌合装置の設置方向が、上記設置方向に対して垂直である場合、このタイプのワイパー装置は、第３固定部材、およびそれに対応する嵌合装置の軸線を中心に回転運動させることによって設置できる。
【００２０】
本発明は、すべての固定部材、およびそれに対応する嵌合装置の設置方向が、基本的には互いに平行となっている、冒頭に記載のタイプのワイパー装置にも関する。
【００２１】
このタイプのワイパー装置の場合でも、ワイパー装置が、自動車に対して、ガタガタした振動を繰り返しながら緩んだ状態とならないように固定される。その理由は、恐らくは、実際には、明らかに頻繁には生じない，ガタガタした振動を繰り返しながら、緩む状態を防止するには、このタイプの装置では、ワイパーが適当に空間運動できるようになっていなければならないためである。
【００２２】
設置方向が、風防ガラス面とほぼ垂直とされる場合、設置方向がほぼ平行なワイパー装置は、特に設置が簡単である。
【００２３】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施例について、詳細に説明する。
【００２４】
図１の自動車用ワイパー装置は、１０で示されている。このワイパー装置は、管状支持構造体１２を備え、この支持構造体は、両端において、ベアリングハウジング１４または１６を支持している。
【００２５】
各ベアリングハウジング１４または１６内には、風防ガラス用ワイパーアームを受けるためのワイパーシャフト１８または２０が、軸方向に固定されており、シャフトが回転できるように支持されている。
【００２６】
支持構造体のほぼ中心部分には、接続リンク２４上で作動する駆動ユニット２２が当接している。リンク２４の一端は、関節接続された状態で、クランク２６に接続されており、このクランク２６は、ワイパーシャフト１８に剛性的に結合されている。接続リンク２４の他端は、関節接続された状態でクランク２８に接続されており、このクランク２８は、他のワイパーシャフト２０に剛性的に結合されている。
【００２７】
ネジなしプラグイン接続手段によって、風防ガラスワイパー装置１０を車体の風防ガラス３０（図２および図３参照）の下方に、取り付けることができる。
【００２８】
この目的のために、各ベアリングハウジング１４、１６は、円筒形取り付けピン３２、３４を支持している。図１内の左側取り付けピン３２は、ベアリングハウジング１４から、ワイパーシャフト１８に対して直角に延び、支持構造体の長手方向延長線とほぼ平行な方向に延びている。
【００２９】
図１に示された右側取り付けピン３４は、取り付けピン３２の整合方向に対して、垂直方向にベアリングハウジング１６からワイパーシャフト２０に対して直角に延びている。
【００３０】
別の取り付けピンが３６で示されており、この取り付けピンは、支持構造体１２と反対の、駆動装置２２の側において、スペース部品３７に剛性的に取り付けられている。
【００３１】
従って、３つの取り付けピン３２、３４および３６のいずれも、デカルト座標系の定義において、互いに垂直になっている。これら取り付けピン３２と３４と３６とは、三角形の頂点にあり、適当な支持ベースを形成している。
【００３２】
図２から判るように、自動車の構造的金属パネル３８には、２つのホルダー４０と４２とが、スポット溶接されている。図２における左ホルダー４０は、構造的パネル３８にほぼ垂直となっている取り付け部分４４を備え、この取り付け部分には、円形の孔４６が設けられている。
【００３３】
従って、この取り付け部分４４の面は、風防ガラス３０の面に対して垂直であり、この取り付け部分４４に対する法線は、風防ガラスの横方向面４８に対して平行に延びている。
【００３４】
同様に、図２に示された右側ホルダー４２も、取り付け部分５０を備え、この取り付け部分も、同じように、風防ガラス３０の面に対して垂直に位置しているが、この部分の法線は、風防ガラスの長手方向面５２に平行に整合している。
【００３５】
従って、自動車を見た時の風防ガラスの横方向面４８は、自動車の片側から反対側に延びるが、自動車を見た時の風防ガラスの長手方向面５２は前方から後方に延びている。風防ガラス３０の横方向面に対して垂直に延びる取り付け部分５０には、細長い孔が設けられている。
【００３６】
自動車の構造的金属パネル３８には、別のホルダー５４が設けられており、このホルダーも、同じようにこの構造的金属パネル３８にスポット溶接されている。このホルダー５４は、横断面が台形であり、構造的金属パネル３８に平行な取り付け部分５６を有し、前記取り付け部分には、孔５８が設けられている。風防ガラス３０の平面に対して取り付け部分５６は、全般的にほぼ平行となっている。
【００３７】
嵌合開口部６６、６８および７０が設けられている対応するゴム製グロメット６０、６２および６４は、ホルダー４０の取り付け部分４４内の孔４６内、ホルダー４２の孔５６内およびアタッチメント５４の取り付け部分５６内の孔５８に、それぞれ挿入されている。
【００３８】
嵌合開口部６６、６８および７０（嵌合開口部６８は公差を補償するための細長い孔としても構成されている）の直径は、取り付けピン３２、３４および３６のすべてが、嵌合開口部６６、６８および７０内に圧嵌めされるような寸法になっている。
【００３９】
取り付けピン３２、３４および３６と嵌合開口部６６、６８および７０を備えるゴムグロメット６０、６２および６４とは、風防ガラスワイパー装置１０を自動車（符号なし）に取り付けるための固定装置７２を形成している。
【００４０】
組み立ては、次のようにして行われる。
まず最初に、矢印７４が示す設置方向に、ゴム製グロメット６０内の嵌合開口部６６内に取り付けピン３２を挿入する。ストッパーまで取り付けピン３２を完全に嵌合開口部６６内に挿入するとすぐに、風防ガラスワイパー装置１０の旋回運動により、矢印７６が示す設置方向にゴム製グロメット６２内の嵌合開口部６８内に取り付けピン３４を挿入できる。旋回運動のための回転軸線は、ゴム製グロメット６０の領域にある。
【００４１】
最後に、風防ガラス用ワイパー装置１０を傾斜運動させることにより、矢印７８が示す設置方向に、ゴム製グロメット６４内の嵌合開口部７０内に取り付けピン３６を挿入する。この傾斜運動は、ゴム製グロメット６０または６２をほぼ貫通する軸線を中心に行われる。
【００４２】
このようにして、自動車に対する風防ガラス用ワイパー装置のネジなしの組み立てが保証される。風防ガラスワイパー装置１０の作動中に生じ得るすべてのモーメントは、設置方向７４、７６および７８のデカルト座標系の配置により安全に吸収される。
【００４３】
図４〜図１１には、設置方向の可能な組み合わせのいくつかの例が示されている。各ケースにおける設置方向は、矢印で示されており、円は、紙面に垂直な設置方向に対応している。更に、組み立て中のシーケンスは、固定ポイントごとに番号で示されている。
【００４４】
図４に示された装置（支持構造体、駆動装置などは詳細には示されていないが、これらが構成するユニットには符号８０を付してある）は、図１〜図３に示された実施例に対応する。
【００４５】
図５に示されたユニットは、図１〜図４に示された風防ガラスワイパー装置と同じように組み立てられ、特に右側走行用（左ハンドル）自動車に使用するのに適している。
【００４６】
図６〜図８、図１０、ならびに図１１に示されたフロントガラスワイパーシステム１０は、コンパクトであるので、後部ウィンドーワイパーで使用するのに適している。
【００４７】
図９に示された風防ガラスワイパーシステム１０の場合、取り付けピン３６を中心とする旋回運動により取り付けが行われる。
【図面の簡単な説明】
【図１】
固定装置の固定部材を備える風防ガラスワイパー装置の斜視図である。
【図２】
図１からのワイパー装置のための固定装置のための支持装置を示す。
【図３】
図２からのＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図である。
【図４】
図１〜図３のワイパー装置の設置方向の略図である。
【図５】
設置方向を配向させる第２の可能性を示す、図４と類似する図である。
【図６】
設置方向を配向させる第３の可能性を示す、図４に類似する図である。
【図７】
設置方向を配向させる第４の可能性を示す、図４に類似する図である。
【図８】
設置方向を配向させる第５の可能性を示す、図４に類似する図である。
【図９】
設置方向を配向させる第６の可能性を示す、図４に類似する図である。
【図１０】
設置方向を配向させる第７の可能性を示す、図４に類似する図である。
【図１１】
設置方向を配向させる第８の可能性を示す、図４に類似する図である。
【符号の説明】
１０　　ワイパー装置
１２　　支持構造体
１４、１６　　ベアリングハウジング
１８、２０　　ワイパーシャフト
２２　　駆動ユニット
２４　　リンク
２６　　クランク
３２、３４、３６　　取り付けピン
３８　　金属パネル
４０、４２　　ホルダー
４４　　取り付け部分
４６　　円形孔
４８　　横方向面
５０　　取り付け部分
５２　　長手方向面
５４　　ホルダー
５６　　取り付け部分
５８　　孔
６０、６２、６４　　ゴム製グロメット
６６、６８、７０　　嵌合開口部
７４、７６、７８　　設置方向

Claims (7)

1. 互いに離間した少なくとも３つの固定部材（３２）（３４）（３６）を有し、これら固定部材のうちの２つ（３２）（３４）が１本の接続ライン上にあり、第３の固定部材（３６）が接続ラインから所定の距離にあり、かつネジを用いないで前記固定部材（３２）（３４）（３６）が係合できる対応する嵌合装置（６６）（６８）（７０）を備える固定装置（７２）を有する自動車の風防ガラス（３０）のためのワイパー装置（１０）において、
   少なくとも１つの固定部材（６６）の設置方向（７４）が、前記風防ガラス（４８）の横方向面とほぼ平行であることを特徴とするワイパー装置。
2. 少なくとも１つの固定部材（３２）、およびそれに対応する嵌合装置（６６）の設置方向（７４）が、少なくとも１つの他の固定部材（３４）（３６）およびそれに対応する嵌合装置（６８）（７０）の設置方向（７６）（７８）と異なっている、請求項１記載のワイパー装置。
3. 互いに離間する少なくとも３つの固定部材（３２）（３４）（３６）を有し、これら固定部材のうちの２つ（３２）（３４）が、１本の接続ライン上にあり、第３の固定部材（３６）が、接続ラインから所定距離にあり、かつネジを用いないで前記固定部材（３２）（３４）（３６）が係合できる対応する嵌合装置（６６）（６８）（７０）を備える固定装置（７２）を有し、すべての固定部材（３２）（３４）（３６）、およびそれに対応する嵌合装置（６６）（６８）（７０）の設置方向（７４）（７６）（７８）が、互いに異なっている車両の風防ガラス（３０）のためのワイパー装置（１０）。
4. 第１固定部材（３２）およびそれに対応する嵌合装置（６６）の設置方向（７４）が、風防ガラス（４８）の横方向面とほぼ平行に配向されており、第２固定部材（３４）およびそれに対応する嵌合装置（６８）の設置方向が、風防ガラス（５２）の長手方向面とほぼ平行に配向されており、第３固定部材（３６）およびそれに対応する嵌合装置（７０）の設置方向（７８）が、風防ガラスの面に対してほぼ垂直である、請求項１〜３のいずれかに記載のワイパー装置。
5. 固定部材のうちの少なくとも２つ、およびそれに対応する嵌合装置の設置方向が、互いに逆方向でかつほぼ平行である、請求項１〜４のいずれかに記載のワイパー装置。
6. 互いに離間した少なくとも３つの固定部材を有し、これら固定部材のうちの２つが１本の接続ライン上にあり、第３の固定部材が接続ラインから所定距離にあり、かつネジを用いないで、前記固定部材が係合できる対応する嵌合装置を備える固定装置を有する自動車の風防ガラス（３０）のためのワイパー装置（１０）において、
   すべての固定部材、およびそれに対応する嵌合装置の設置方向が、互いにほぼ平行となっていることを特徴とするワイパー装置。
7. 設置方向が、風防ガラスの平面とほぼ平行である、請求項６記載のワイパー装置。