JP2004504132A - 密閉された反応容器におけるガス混合装置およびガス混合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、密閉された混合反応容器におけるガス混合装置およびガス混合方法に関するものである。反応容器は、とりわけ、オートクレーブを指していて、これはガスを高い効率でプロセスケミカルとして用いるものであり、反応溶液中には粉状固体が大量に含まれている。その目的とするところは、反応容器の中心に位置する回転式攪拌装置を使用して、反応容器内に、溶液面の上層からガスを吸気する気流を生成することである。そして上記のガスを反応容器中にくまなく攪拌することである。本発明による混合装置は少なくとも2つの攪拌器を含み、これらは同一のシャフトにそれぞれ高さを変えて配置されている。上側の攪拌器は、シャフトに取り付けられた中央プレートを備えている。このプレートには、実質的に鉛直に上下方向に延びている内翼と、中央プレートから外側に向けられた外翼とが設けられていて、外翼は、水平方向に対して傾斜している。下側の攪拌器は、シャフトに取り付けられた中央プレートを備えている。このプレートの外側端部には、鉛直方向に延びた攪拌翼が設けられている。
【0002】
オートクレーブは通常、水平であり、多くの場合、複数の区画に仕切られていて、気流遮断壁は設けられていない。ガスの供給は、通常、空気、酸素(酸化用)または水素(還元用)を、強力な分散混合装置の有効範囲まで供給することによって行なわれる。オートクレーブなどの密閉された反応容器では、しばしば、溶液面の上層からガスを溶液内に戻すことが必要とされる。ガスとして空気を用いている場合には、この処理は得策とは言えない。この場合、大量の窒素が層を形成しているだけだからである。しかしガスとして純粋な酸素および水素の両方を用いている場合には、溶液面の上層から吸気を行なえば、残留したガスも再び利用可能である。
【0003】
溶液面の上層からガスを吸気してこれを分散させるパイプがあり、これは自動吸気クロスパイプとして知られている。このパイプでは、管孔シャフトの底端部におけるガススペースは通常、4本のパイプに分岐し、上端部で開口している。この回転式クロスパイプによってガススペースに真空が生成され、これによってガスが流出し、気泡となって反応容器の溶液スペースに分散する。ここで留意すべき点は、溶液の温度が高い場合は、蒸気圧も高まることとなるため、吸気の効果が弱まることである。しかし、この種のクロスパイプ構造は、ガスをそれ以上溶液内に分散させることはできない。まして、(濃度の高い)固体懸濁液を流動状態に保つことなどできない。
【0004】
ダウンドラフト原理によって溶液面からガスを吸気することも、以前から知られている。米国特許第4,454,077号には、双頭ネジに類似した攪拌装置を使用してガスを吸い出し、中央パイプを通して降下させる装置が記載されている。その装置はさらに、上方および下方に気流遮断壁を含んでいる。米国特許第4,328,175号には、これと類似の装置が記載されている。ただし中央パイプの上端部の形状は円錐形である。
【0005】
このように、攪拌器のシャフトの所に強力な中央の渦を発生させることによってガスを攪拌器へ運ぶこと、すなわち溶液へのガスの吸気を強化することが知られている。この強力で、多くの場合広範囲にわたるガス渦により、ガスは溶液面から、混合すべき液体内または溶液内に、時として過分なほど効率的に運ばれる。ただし、ガスの割合がある値となるときには、攪拌装置によるガス搬送力は弱まる。これは攪拌器が「巨大な気泡中で」回転するからである。そして搬送力が弱まると渦の勢いも弱まり、溶液面から溶液中へのガスの吸気量も減少する。しかし、上述のように生成された渦は制御不能であり、これがガス攪拌装置にまで到達すると、搬送力に大きな変化を生じる結果、装置に損傷を与えることとなる。さらに悪いことに、攪拌器も、とりわけ粉状固体の溶液濃度が高いために非効率的になることから、それ以上粉状固体を攪拌することができなくなってしまう。
【0006】
液面の上層からガスを吸気する方法は、米国特許第5549854号から知られている。この方法では回転式攪拌装置を動力源として用いている。また、調節可能な特殊な気流遮断壁を用いている。この方法では、吸気渦を制御可能であり、この制御された吸気渦によれば、ガスが直ちに攪拌装置へ運ばれることはない。
【0007】
密閉された酸化用または還元用反応容器において、十分な量のガスを、とりわけ固体の濃度が高い(>50%)固体懸濁液中に取り込むためには、通常、反応容器の下部の主として攪拌装置の下にある溶液スペースに、ガスを進入させる必要がある。しばしば、このガスは、反応容器の中心軸に向かうパイプを通って、溶液面から下方へ攪拌器およびその下端部まで到達し、攪拌器の下で転向する。これが、ガスを反応容器の下部へ取り込み攪拌器を用いて分散させるために試みられている方法である。
【0008】
オートクレーブでは、反応容器は特に、特殊な物質、主としてチタニウムに沿って並べる必要がある。この物質は、例えばガス供給パイプとして利用可能である。しかし溶接などのチタニウム処理は、通常より困難である。また、チタニウムは通常の材料より高額である。こうした要因により、攪拌およびガス分散の必要性は、相当に高くなっている。攪拌器によれば、強力な流れが実現される。なぜなら、スラリが大量の固体を含んでいるからである。しかしこれらの流れがガスパイプに衝突する場合、最悪の場合にはガスパイプを磨耗させてしまう。これは、ガスがガス分散用の攪拌装置に接触すらすることなく上昇してしまうことを意味する。したがって、ガスの分散効率は相当に悪化する。
【0009】
オートクレーブは、これに作られた開口の大きさを拡大することによって、壁の厚さをも増してしまうという事実でも知られている。壁の厚さが増すことは、直ちにコスト高を招く。この理由により、攪拌装置用の反応容器蓋に作られる開口は、通常、直径がおよそ600〜800mmである。攪拌器の保守/交換作業にとって非常に重要なことは、攪拌器をまっすぐに開口から吊り上げることによって、この保守/交換作業が実行可能であるということである。すなわち、通常、攪拌器の大きさは、オートクレーブの開口の大きさによって決定される。仮に上記作業に大きな軸動力(kW/m3)が必要とされるならば、大きな軸動力を必要とする/もたらす攪拌器を使用するだけの価値がある。攪拌器によってもたらされる軸動力は、無論、回転速度を高めることによって増大可能である。しかし、同時に、攪拌器の先端の速度も高まることを忘れてはならない。回転速度が顕著に高まる(>6m/s)と、攪拌器にも深刻な磨耗が生じ始めてしまう。
【0010】
本発明は密閉された反応容器における混合装置およびガス混合方法に関するものである。反応容器は、とりわけ、オートクレーブを指していて、これはガスを高い効率でプロセスケミカルとして用いるものであり、反応溶液中には粉状固体が大量に含まれている。その目的とするところは、反応容器の中心に位置する回転式攪拌装置を使用して、反応容器内に、溶液面の上層からガスを吸気する気流を生成することである。本発明による混合装置は少なくとも2つの攪拌器を含み、これらは同一のシャフトにそれぞれ高さを変えて配置されている。上側の攪拌器は、シャフトに取り付けられた中央プレートを備えている。このプレートには、中央プレートから実質的に鉛直に上下方向に延びている内翼と、外側に向けられた外翼とが設けられていて、外翼は、水平方向に対して傾斜している。下側の攪拌器は、シャフトに取り付けられた中央プレートを備えている。この中央プレートの外側端部には、鉛直方向に延びた攪拌翼が設けられている。本発明の実質的な構成要素は、添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。
【0011】
オートクレーブなどの密閉された反応容器のシャフト付近にある中心渦を制御可能とする、本発明によって開発された方法によれば、それぞれ別々の機能を有する少なくとも2つの攪拌装置を用い、それらを同一のシャフトの上下に配置して取り付ける。ガス混合装置は従来技術の方法における欠点を解消可能としつつ、主として最上部の攪拌装置を用いることによって、ガスを液体内に吸気するガス渦の効率性をも保つものである。この装置は問題となっているガス渦を形成して吸気されたガスを小さな気泡に分散させる用途と、その小さな気泡を下方に圧迫し、シャフトを取り巻く広範な流れにおいて、固体懸濁液中にまんべんなく、下側の攪拌装置まで分布させる用途と、両方の用途に使用される。最下部の攪拌器は、上部の攪拌装置に比較して、著しく大きなエネルギーを有する。このエネルギーによって、下方に引き込まれた気泡はさらに細かく分散され、これによってガスと液体との接触面が増大し、そのため、従来の方法に比較して反応がより迅速かつ完全に生じる。残留したエネルギーは、大量のスラリ分に含まれる固体粒子を反応容器の容量全体にわたって攪拌し分散させるために使用される。
【0012】
両方の攪拌器、とりわけ下側のものは、したがって、通常のものより高い軸動力を有するように開発されている。従来技術におけるほとんどの反応容器では、スラリに含まれるガスは、その大きな容積の一部しか分散せず、したがって攪拌器の軸動力を減退させていた。
【0013】
本発明の思想を以下、簡潔に述べる。最上部の攪拌装置は、その攪拌器の上の溶液中で複数のじょうご形のガス渦を形成し、固体懸濁液面の上層のガスを吸気する。これらガスポケットは、さらに攪拌器によって吸気され、中央のほとんど直立した攪拌器の内翼によって、小さな気泡に分散される。このようにして形成された気泡は横方向に移動し、中央のシャフトから離れ、他方の攪拌翼、すなわち外翼に向かって移動する。外翼は水平方向に対して適切な角度だけ傾斜していて、その角度は好ましくは45度である。溶液に混合された気泡は、これらの外翼によってさらに拡散するが、同時に、下方に向かって最下部の攪拌装置まで圧迫される。
【0014】
最下部の攪拌装置は、上部のものと比較すると、より一層大きな軸動力を有する。これにより、多量の攪拌エネルギーを喪失することなく、非常に細かい状態で最下部まで到来した気泡を分散させることが可能である。細分化された気泡を流域に沿って横方向そして上方向に拡散させるだけでなく、下側の攪拌器は、一様な溶液となるよう、溶液スペース全体にわたって粉状固体を飛散させる十分な攪拌力を有している。したがって、本発明による方法全体によれば、高い溶液濃度にも拘らず、液面から十分な量のガスを吸気することができ、2段階方式で効率的な分散が可能であり、相当量の攪拌エネルギーが得られ、反応容器全体にわたって一様な固体懸濁液を得ることができる。
【0015】
本発明による装置を、以下、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、密閉されていて直立した反応容器1を示し、これは円筒部2と、密閉された下部3と、蓋部4とを含む。蓋部には開口5が設けられていて、これは通常、攪拌器の直径と同じ大きさを有する。言うまでもなく開口は作業中、密閉されている。大きなガス渦が反応容器における攪拌によって生成されるが、これに対して、主として4つの標準的な遮断壁6が障害物となる。反応容器は固体粒子7を含む溶液で満たされている。溶液面の上層8はガススペース9であり、ここにはガス供給パイプ10によってガスが充満していて、ここから攪拌器11は円錐状のガス構体12を溶液面に取得する。通常の4枚翼の攪拌器は、シャフト13の底端部に固定されていて、攪拌翼の傾斜角度は、個別に調節可能である。一般的に、傾斜角度は45度である。
【0017】
図2は図1に示すものと類似した反応容器を示す。図1と異なるのは、攪拌器11が溶液面8の付近まで上昇している点である。攪拌器11によって得られる円錐状のガス構体12は、攪拌器によって気泡14に分散され、いくらか下方に圧迫されるが、鉛直下向きには移動しない。なぜなら、攪拌器シャフトに向かう流れはそれほど強力でないからであり、そのため、固体15の懸濁液はそのままの状態に保たれる。図2の攪拌器は図1の攪拌器と同種のものである。
【0018】
図3は図1に示すものと類似した反応容器を示す。図1と異なるのは、2つの攪拌器がある点である。底に近い下側の攪拌器16と、溶液面8に近い上側の攪拌器17とは、同一のシャフトに取り付けられている。攪拌器11によって得られる円錐状のガス構体12は、攪拌器によって気泡14に分散され、攪拌器16に向かっていくらか下方に圧迫される。下側の攪拌器の役割は、気泡をさらに一様に細かい気泡18に分散させ、その細分化された気泡を溶液中に拡散することであり、底方向への流れを発生させてさらに固体懸濁液を生成することである。図3の攪拌器は両方とも、図1に示したものと同様の、攪拌翼を有する攪拌器である。
【0019】
図4に示す反応容器1はオートクレーブなどの密閉された反応容器 であり、これは前出の各図と同様である。図3と異なるのは、下側の攪拌器16が本発明による下側の攪拌器19に置換されている点、ならびに、上側の攪拌器17が本発明による上側の攪拌器20に置換されている点である。上側の攪拌器20は図5Aに詳細に示し、下側の攪拌器19は図5Bに詳細に示す。多くの小さな円錐状のガス構体12が上側の攪拌器20によって溶液面8に得られ、これらガス構体12は直立した内翼21によって分散される。小さなガス構体は、本発明により、図3に示すものよりはるかに小さな気泡14となる。
【0020】
上側の攪拌器20の外翼22は、そのように形成された気泡を拡散し、下側の攪拌器19に向かって押し落とす。攪拌器19は気泡を受けて、それらをさらに、本発明に基づいて形成された鉛直方向の攪拌翼24によって、極めて細かい気泡23に分散する。同様の、強力な流れをもたらす攪拌翼が、これらの細かい気泡を周囲の溶液に拡散し、同時に、固体粒子7を浮遊させる。
【0021】
本発明によるこの攪拌器の組み合わせは、理想的な機能を果たす。なぜなら、それら攪拌器の小さめの大きさにも拘らず(大きさは開口5が許容する範囲に制限されている)、攪拌器は両方とも、通常の場合に比較して相当に大きな攪拌エネルギーを発生してガスの分散および固体の浮遊を実現し、ガス量が増大しても、エネルギーの損失は非常に緩やかにしか起こらないからである。これらはすべて、分散と気泡の拡散方法とが効率的だからである。
【0022】
必要に応じて、攪拌器は複数設けてよいが、その場合、最上部の攪拌器は、上側の攪拌器として説明したものと同様とし、最下部の攪拌器は、下側の攪拌器として説明したものと同様とする。中間の攪拌器は、必要に応じて、例えば本発明による攪拌器から選択すればよい。
【0023】
図5Aは本発明による上側の攪拌器20を詳細に示していて、同図では、特殊形状を有し鉛直方向に延びている6つの内翼21を、環状の中央プレート25に取り付けると好ましい。中央プレートは、図4に示すように、攪拌器シャフト13に、対称的に取り付けられている。内翼21は中央プレート25の内側部分に放射状に取り付けられていて、中央プレートの上下に延びている。これら内翼は(正面図に示すように)、それらの中心点の前後で、中央プレートに取り付けられている。各内翼の外エッジ26は鉛直であり、中央プレートより下の内エッジ27も鉛直である。中央プレートより上の内翼の内エッジは、外エッジに向かって先細りしていて、円弧状である。これら鉛直方向の内翼の目的は、ガスを分散させ、形成された気泡を外翼22に向かって搬送することである。
【0024】
上側の攪拌器20の外翼22は基本的に長方形であり、中央プレート25の外エッジに取り付けられている。これら外翼は水平方向に対して傾斜している。外翼の数は鉛直方向の内翼の数と同一であり、外翼は、中央プレートのうち、鉛直方向の内翼と対応する位置に固定されている。外翼の傾斜角度は水平方向に対して30〜60度であり、望ましくは45度である。これら外翼の目的は、下側の攪拌器に向かう下方向の流れを発生させ、気泡を外方向および下方向に分布させることである。
【0025】
図5Bに示す攪拌器は本発明による下側の攪拌器19であり、同図では、特殊形状を有し鉛直方向に延びている6つの攪拌翼24を、円形の中央プレート28に取り付けると好ましい。
【0026】
これら鉛直方向の攪拌翼は、図5Aに示す上側の攪拌器20の内翼21と上下が反対であるが、他の点では同一の形状を有する。これらの攪拌翼は中央プレート28の外エッジに放射状に取り付けられ、プレートの上下に延びている。これらの攪拌翼は(正面図に示すように)、それらの中心点の前後で、中央プレートに取り付けられている。各攪拌翼の外エッジ29は基本的に鉛直であり、内エッジ30の上部も鉛直であるが、内エッジの下部は、外エッジに向かって先細りしていて、円弧状である。
【0027】
本発明を以下の実施例によって、さらに詳細に説明する。
【0028】
実施例1
4つのすべてのケース(図1ないし図4に示す反応容器および攪拌器)について、溶液面からガス(空気)を吸気する力を、溶液面(水面)の上昇、すなわち空気含有量(%)を測定することによって、調査した。各攪拌器の直径は、ほぼ同じである。つまり反応容器に対する攪拌器の直径の比は、0.39であった。図6は攪拌器の先端の回転速度の関数としての試験結果を示す。この試験結果によれば、様々な攪拌器方式におけるガス吸気効率の違いが明確になる。すなわち、最低のものから最高のものまで、図1、図2、図3、図4という順序付けができる。
【0029】
実施例2
上記と同一の4つのケース(図1ないし図4に示す反応容器および攪拌器)について、溶液面から吸気されたガス(空気)に対する耐力を、軸動力Pi(kW)を測定することによって、調査した。軸動力Piは、通常のガスを含まない溶液における軸動力Poと比較した。図7はその結果を、攪拌器によって吸気された空気の量(空気含有量)の関数として示すものである。これによれば、図1および図2のケースでは吸気された空気の量は、全く存在しないか、あるいは非常に少なく、図3および図4のケースと比較することすらできなかった。またこの試験結果によれば、様々な攪拌器について、それらの効率性が保たれる耐久力の違いが明確になる。すなわち、最低のものから最高のものまで、図1、図2、図3、図4という順序付けができる。
【0030】
実施例3
上記と同一の4つのケース(図1ないし図4に示す反応容器および攪拌器)について、ガス(空気)が溶液面から吸気されている最中に重量のある粉状固体を浮遊させる能力の試験を行なった。この試験は、すべての固体粉末を反応容器の底で十分に動かす場合に攪拌器の先端が必要とする回転速度と、これに対応する軸動力/溶液容量(kW/m3)とを測定することにより、実行した。この試験結果は下の表に示す。
上表は、以下の事柄を示す。すなわち、1つの攪拌器を使用し、その攪拌器が低い位置にある場合(図1)、固体の攪拌は極めて大きな軸動力を用いれば可能であるが、空気を溶液面から吸気することができない。攪拌器が高い位置にある場合(図2)、空気はある程度吸気可能であるが、固体を良好に浮遊させることはできない。2つの攪拌器を使用した従来技術の場合(図3)、溶液面からの空気の吸気が行なわれ、固体も浮遊させることが可能である。しかし、本発明による方法(図4)を用いれば、2倍もの空気を吸気可能であり、固体も、より効率的に浮遊させることができる。この効果は、より多くの固体が加えられれば、さらに顕著になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の最も簡素な形式の一例を示す鉛直方向の断面図である。同図では、固体を攪拌することが重視されている。また同図では、溶液面からのガスの吸気は、大して効率的ではない。
【図2】従来技術の他の簡素な形式を示す鉛直方向の断面図である。同図では、溶液面からのガスの吸気が重視されているが、固体の攪拌についてはなおざりになっている。
【図3】従来技術をより進歩させた形式を示す鉛直方向の断面図である。同図では固体の攪拌と溶液面からのガスの吸気との両方が重視されている。
【図4】本発明の実施例を示す鉛直方向の断面図である。同図では固体の攪拌と溶液面からのガスの吸気との両方を、とりわけ重視している。
【図5A】本発明による上側の攪拌器の鉛直方向の断面図である。同図では、液面からのガスの吸気と、分散に必要なエネルギーの確保と、溶液中に生成された気泡の攪拌と、それら気泡を下方に圧迫することとを重視している。
【図5B】図5Bは本発明による下側の攪拌器の鉛直方向の断面図である。同図では、固体の攪拌と、溶液面からのガスの吸気に必要な攪拌エネルギーを得ることとの両方を重視している。
【図6】様々な攪拌器の先端部の回転速度の関数としてガスの空気含有量を示すグラフである。
【図7】様々な攪拌器における軸動力の比を空気含有量の関数として示すグラフである。
Claims (10)
- 溶液面の上層からガスを吸気し、該ガスを遮断壁(6)を備えた密閉された鉛直方向の反応容器(1)に混合する混合装置であって、該混合装置は少なくとも2つの攪拌器を含み、該攪拌器は同一のシャフト(13)にそれぞれ高さを変えて配置されている混合装置において、上側の攪拌器(20)は攪拌器シャフト(13)に取り付けられた中央プレート(25)を備え、該中央プレートには中央プレートから実質的に鉛直に上下方向に延びている内翼(21)と、中央プレートから外側に向けられた外翼(22)とが設けられていて、該外翼は、水平方向に対して傾斜していて、下側の攪拌器(19)は、シャフト(13)に取り付けられた中央プレート(28)を備えていて、該プレートの外側端部には、鉛直方向に延びた攪拌翼(24)が設けられていることを特徴とする混合装置。
- 請求項1に記載の混合装置において、前記上側の攪拌器(20)の内翼(21)は、円形の中央プレート(25)の内側部分に放射状に取り付けられていることを特徴とする混合装置。
- 請求項1に記載の混合装置において、前記上側の攪拌器(20)の内翼の外エッジ(26)と、中央プレート(25)より下の内エッジ(27)とは、鉛直であることを特徴とする混合装置。
- 請求項1に記載の混合装置において、前記上側の攪拌器(20)の内翼の中央プレート(25)より上の内エッジ(27)は、外方向に向かって先細りになっていることを特徴とする混合装置。
- 請求項1に記載の混合装置において、前記上側の攪拌器(20)の外翼は、水平方向に対して30〜60度の角度で傾斜していることを特徴とする混合装置。
- 請求項1に記載の混合装置において、前記下側の攪拌器(19)の鉛直方向の攪拌翼(24)は、前記中央プレート(28)の外エッジに放射状に取り付けられていて、該プレートの上下に延びていることを特徴とする混合装置。
- 請求項1に記載の混合装置において、前記下側の攪拌器(19)の鉛直方向の攪拌翼の外エッジ(29)と、内エッジ(30)の上部とは、実質的に鉛直であることを特徴とする混合装置。
- 請求項1に記載の混合装置において、前記下側の攪拌器(19)の鉛直方向の攪拌翼の中央プレートより下の内エッジ(30)は、外方向に向かって先細りになっていることを特徴とする混合装置。
- 溶液面の上層から該溶液中にガスを吸気し、該ガスを遮断壁(6)を備えた密閉された鉛直方向の反応容器内で該溶液および固体と混合する方法であって、同一のシャフト(13)にそれぞれ高さを変えて配置された少なくとも2つの攪拌器を使用して前記混合を行う混合方法において、直線状の攪拌翼を備えた上側の攪拌装置によって、ガスを前記溶液中に吸気するガス渦を形成し、該ガスを液体中で小さな気泡に分散させ、該攪拌装置に含まれ水平方向に対して傾斜した外側翼によって、前記気泡を、前記反応容器中の固体懸濁液に分布させ、同時に下方に圧迫し、これによって、前記下側の攪拌装置により該気泡をより細かい気泡に分散させ、該気泡を横方向そして上方向に拡散させ、固体を溶液中に浮遊させておくことを特徴とする混合方法。
- 請求項9に記載の方法において、最下部の攪拌装置は、最上部の攪拌装置より大きな軸動力を有することを特徴とする混合方法。
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