JP2004503312A - 容量性マイクロマシン超音波振動子 - Google Patents

容量性マイクロマシン超音波振動子 Download PDF

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Abstract

複数の容量性マイクロマシン超音波振動子(cMUT)によって超音波振動子が形成される。容量性マイクロマシン超音波振動子のそれぞれは荷電振動板を有し、この荷電隔膜板は逆に荷電された基板に容量性をもって対抗する。この振動板は、バイアス荷電によって基板へ向けて広がる。この基板は、振動板の移動中心においてセルの荷電が最大密度となるように振動板中心へ対して隆起した中心部を有する。高調波動作のために、セルに給与される駆動パルスは、高調波帯域における送信信号の汚染を低減するために、装置の非線形動作に鑑みて予め歪められる。cMUTセルは、従来通りの半導体プロセスによって加工され得るため、バイアス荷電レギュレータなどの補助振動子回路と一体化され得る。cMUTセルは、更に、マイクロステレオリソグラフィによっても加工され得るため、セルは多様なポリマ及び他の物質を用いて形成され得る。

Description

【0001】
本発明は、医療用超音波画像化システムに係り、特にそのようなシステム向けの容量性マイクロマシン超音波振動子に関する。
【0002】
医学的画像化に用いられる超音波振動子は、高品質な診断用画像の生成をもたらす多くの特性、例えば広帯域幅及び超音波周波数における低レベル音響信号に対する高感度など、を有する。従来、これら特性を有し、よって超音波振動子に対して用いられてきた圧電性物質は、PZT及びPVDFから成り、PZTから成るのが最も好ましい。しかし、PZT振動子は、ソフトウェア及び半導体集約的な超音波システムの他の部分を製造するための加工技術と異なる独自のセラミック製造工程を必要とする。超音波システムの他の部分を加工するのに用いられるのと同じプロセスによって超音波振動子を製造できるようにすることが製造の観点から望ましい。
【0003】
最近の開発は、医療用超音波振動子を半導体プロセスによって製造することができる見通しをもたらしてきた。これら開発は、容量性マイクロマシン超音波振動子(capacitive micromachined ultrasonic transducer:cMUT)を作成してきた。これら振動子は、受信した超音波信号の音振動を被変調静電容量へ変換する電力を有する小さな振動板のような装置である。送信のために、容量性電荷が変調され、この装置の振動板を振動させ、よって音波を送信する。これら装置は半導体プロセスによって製造されるため、この装置は10〜200ミクロンのレンジの寸法を有する。しかし、このような装置の多くを一体にグループ化し、単一の振動子素子として調和して作動させることも可能である。
【0004】
cMUTは非常に小さいため、組み立てられたcMUTは、受信された音響信号に対して可能な限り大きい応答を有することが望ましい。cMUTは、受信信号に対して可能な限り大きい容量性振動を示すことが望ましい。容量性振動を増やす1つの方法は、cMUT振動板の中心においてのみ電極を用い、cMUT振動板の中心にのみ容量性電荷が位置するようにすることである。しかし、この構成は、電極への非常に小さな導電路の仕様を必要とする。小さいとこれら導電路のインピーダンスが向上し、よってcMUTの応答が制限される。cMUTの容量性振動をこのような高インピーダンス導電路を用いずに増やすことができるのが望ましい。
【0005】
cMUT振動子の利点の1つは、それらは半導体製造プロセスを用いて製造することができるという点である。従って、cMUTは振動子のベースにシリコン及びグラス基板を用いて製造されてきた。これら基板は送信面に対抗する振動子背面を構成する。振動子は、そのエネルギのほとんどを、振動子背面から感知し得る音響エネルギを放射状に発することなく、或いは横のカップリングを通じて隣接振動子内へ発することなく、送信面から送信されるように意図されているため、通常、この望まれない音響エネルギを制振若しくは減衰させるための背面層が振動子に適用される。従って、この望まれないエネルギ結合を低減若しくは除去するのにより良く適した物質を用いてcMUTを製造することができることが望ましい。
【0006】
cMUTは、対応する二次信号振動を生じさせる荷電されたcMUT振動板の非線形電気機械応答のために送信信号に対して非線形応答を示すことが判っている。このような非線形応答は、送信信号の歪みをもたらす。この歪みは、望まれない干渉として受信エコー信号に現れ得る、望まれる送信パルスの高調波帯域における信号成分として現れ得る。このような歪みが受信エコー信号を汚染することを防ぐことが望ましい。
【0007】
cMUT振動子は、通常、二次でない動作範囲を振動子に持たせるバイアス電圧で作動される。このバイアス電圧は、振動子静電容量を短絡させずに高振動子感度を維持するように慎重に制御されなければならない。給与バイアスを振動子の短絡を生じさせ得る長期的影響の存在が安定した状態に維持することができるのが望ましい。
【0008】
本発明の原理によれば、cMUT振動子は、改善された信号応答と共に説明される。この改善された応答は、給与信号及び受信信号に対して最も感度の良いセル振動板の部分の近傍にセルの電荷を集中させるcMUTセルの非平面フロアによって生じる。cMUT振動子に対する製造プロセスは、ポリマ材を用いたマイクロステレオリソグラフィ技術によってこの振動を製造することができるようにすることが望ましい。オペレーション中、cMUTはバイアス電圧ではなく、制御されたバイアス電荷によってバイアスされる。高調波帯域の望まれない信号成分の送信は、振動子の非線形応答を弱める予め歪められた送信信号を用いることによって最小化される。
【0009】
最初に図1を参照する。図1には典型的なcMUT振動子セル10の横断面が示されている。cMUT振動子セル10は、シリコンなどの導電性基板12上に複数の類似した隣接するセルと共に製造される。例えば窒化珪素から成る膜若しくは振動板14は、基板の上方に例えばシリコン酸化物若しくは窒化珪素から成る絶縁支持16によって支持される。振動板と基板との間の空洞18は、空気若しくは気体で満たされていてもよく、或いは全部若しくは一部が真空であってもよい。金などの導電性膜若しくは層20は、振動板上の電極を構成し、同様の膜若しくは層22は基板上の電極を構成する。これら2つの電極は、誘電性空洞18によって分離され、基板上に電極を形成する。音響信号が振動板を振動させると、静電容量の振動が検知され、よって音響波を振動させる。逆に、給与される交流信号は静電容量を変調し、振動板を動かし、よって音響信号を送信する。
【0010】
典型的なcMUTはミクロンサイズの寸法であるため、多くのcMUTセルは、通常、接近して製造され、単一の振動子素子を形成する。個々のセルは丸くても、長方形でも、他の周辺形状でもよい。好ましい実施形態において、個々のセルは、振動子素子のcMUTセルの密集度を高めるために六角形である。cMUTセルは異なる寸法でもよいため、振動子素子は振動子に広帯域特性を与えるような異なるセルサイズの組成特性を有し得る。
【0011】
cMUTは元来二次装置であるため、音響信号は、通常、給与信号の高調波である。すなわち、音響信号は給与された電気信号周波数の2倍の周波数である。この二次作用を防ぐために、2つの電極にバイアス電圧が掛けられ、振動板はクーロン力によって基板へ引き付けられる。これを図2に概略的に示す。DCバイアス電圧Vが、バイアス端子24へ掛けられると共に、誘導インピーダンスなどの交流信号に対する高インピーダンスZを有するパスによって、振動板電極へ連結される。信号端子26からの交流信号は、振動板電極と静電的に連結される。振動板14上の正の電荷は、基板12上の負の電荷に引き付けられるため、振動板を広げる。本装置は、このようにバイアスが掛けられた状態で連続的に作動されるとき、二次作用をわずかしか示さない。
【0012】
cMUTは、振動板が広がり、この容量性装置の2つの正反対に電荷されたプレートが可能な限り接近した時に最も感度が良くなることが判っている。2つのプレートの接近は、cMUTによる音響信号エネルギと電気信号エネルギとの間により強力な結合をもたらす。よって、振動板14と基板12との間の誘電空間32が信号条件を操作しながら維持され得る程度に小さくなるまで、バイアス電圧Vを増やすことが望ましい。組み立てられた実施形態において、この空間は1ミクロン以下のオーダーとなり得る。しかし、掛けられるバイアス電圧が大きすぎると、振動板は基板と接触し、2つのプレートがバンデルワールズ力によって互いに押し付け合うため、本装置を短絡させる。このスタックは、本装置に対するバイアス電圧を選ぶことによって回避されるべきである。
【0013】
振動板がバイアスされ、非常に小さなサブミクロンの誘電空間が生じたときであっても、cMUTの感度は望まれるものより小さくなり得る。これは、振動板の中心における電荷は反対の電荷に比較的接近しており、この反対の電荷に対して大幅に移動するのに対し、振動板が支持16によって支持されている振動板周辺34における電荷はほとんど動かず、よって本装置による信号の振動にほとんど関与しない、という事実によるものである。この不一致を除去する1つの方法は、支持16まで延びない小さな振動板電極を用いることである。これは、振動板の動き及びそれに伴う本装置による変換に強く関与する本装置の中心に振動板電極上の電荷を制限する。バイアス電圧を振動板電極へ給与し、交流を電極へ連結する1以上の導体が存在しなければならない。これら導体は、非常に薄くなければならず、交流信号に望ましくないほど大きなインピーダンスを掛ける寸法を有するため、本装置の感度が制限される。
【0014】
本発明の一態様の原理によれば、cMUT装置の感度は、小さい電極若しくはそのような電極への高インピーダンスなパスを用いることなく、改善される。これは、非平面構造を用いて、支持空間44の誘電空間42に対する比を高めることによって為される。図3に概略的に示す実施形態において、この非平面基板は、基板12上の隆起エリア若しくは台28を有する。別の方法として、非平面基板は、本装置の中心にピークがくるようにテーパが付けられてもよい。振動板電極は、引き続き振動板全体を覆うか、或いは比較的幅広く低インピーダンスの導体によって電気的に接続されるため、高インピーダンス導体の結合問題を防ぐことができる。2つの電極の間隔が装置中心で狭いため、図3に狭い間隔の正の電荷で示したように、電荷密度は装置中心において最大となる。cMUT装置の容量性プレートは、バイアス端子23に連結された電荷源30によって電荷蓄積される。従って、振動板によって受信された音響振動は、装置静電容量の比較的大きい変調を生じさせ、よって振動子結合の度合が比較的高くなり、高効率なcMUT装置を提供する。
【0015】
セルの非平面フロアは、セルが製造される際に隆起したエリアを有する基板を用いて開始することによって、或いは振動板と基板との間に空洞18が形成された時に基板上に隆起した中心を残すことによって、或いはセル製造中に隆起したエリアを堆積させることによって、形成され得る。後者の方法を用いたプロセスを図4a〜4jに示す。cMUT装置の製造は、高度に導電性を有するように処理され、よってキャパシタンスの一方のプレートとして機能するシリコン基板50からスタートする(図4a)。強い導電性の、又は高い誘電率の物質の層52をシリコン基板50上に堆積させる(図4b)。この物質は、チタン酸ストロンチウムなどの高誘電率を示す物質であることが好ましい。或いは、例えば、金、プラチナ、若しくはドープ処理シリコンなどのシリコンと良好に接触する超硬合金でもよい。フォトレジスト膜(図示せず)が導電層52の表面に付けられる。このレジスト膜はリソグラフィックにより、又はEビームによりパターニングされる。次いで、この導電層は基板上に隆起したエリア28を形成するためにエッチングされ、レジストは除去される(図4c)。次いで、2つの酸化物層54a、54bが基板上に置かれる。第一の酸化物層54aは熱膨張し、熱酸化はシリコンを消費するため、この処理により隆起エリアは更に高くなる(図4d)。次いで、第二の酸化物層54bを第一層54a及び台28の上に堆積させる。この第二層54bの厚さは、振動板と台との間のバイアスされない誘電空間を決定する。別のレジスト膜層(図示せず)をシリコン酸化物層54b上に付け、リソグラフィックで若しくはEビームでパターニングし、エッチングして円、四角、六角形、若しくは他の形状のチャネル56を形成し、酸化物層を成形された二酸化珪素の島58へ分離し(図4e)、レジストを除去する。このチャネル加工は、振動子の個々のcMUTセルの形状を規定する。次いで、窒化珪素膜60を二酸化珪素層上に堆積させる(図4f)。レジスト膜を窒化珪素膜上に付け、リソグラフィックで若しくはEビームでパターニングし、エッチングして上の二酸化珪素層54bまで下方に延びるアパーチャ62を形成する(図4g)。次いで、レジストが除去される。
【0016】
アパーチャ62の目的は、下層の二酸化珪素膜54までフッ化水素酸などのエッチング液にさらすことであり、エッチング液はこのアパーチャを通り、下の酸化物層を削り取り、空洞18を形成する(図4h)。これは、該振動板の下に導電性の台28を有する窒化珪素支持66によって支持された窒化珪素振動板60を残す。この窒化珪素及びシリコン基板はエッチングを止め、cMUTセルの空洞18のサイズ及び形状を規定する。最終工程は、導電性膜70を窒化珪素振動板の上部表面へ、及び導電性膜72を窒化珪素振動板の下部表面へ付けることによって電極を形成することである(図4i)。導電性膜70を形成する前に、アパーチャ62をシールする層68を形成するために更に窒化珪素を堆積させる構造としてもよい。この窒化珪素堆積は真空下で実行され得るため、下層となる空洞18を低圧とし得る。別の方法として、アパーチャを開口したまま残し、cMUT振動板を大気圧で作動させることもできる。このようなcMUT装置の振動子素子の平面図を図4jに示す。暗線で描かれた六角形18’が本装置の空洞18を規定し、セルは共通の六角形にパターニングされた支持16を共有し、台28はセルと同じ六角形を共有する。連続した電極70は図4jの全cMUTセル上に横たわる。
【0017】
台28が導電性物質から形成されるとき、スタック問題が低減する。これは、容量性プレートを接触した状態に維持する電荷が正反対に電荷されたプレートが互いに接触しようとするときに導電性物質によって素早く分散されるためである。他方、バイアス電荷の放電はバイアスが再度確立されるまでセルを動作できないようにする。この状況は、台に対して高誘電性の物質を用いることによって回避される。スタックの可能性を提示し続けているが、対抗するプレートは一瞬だけ触れるか又は跳ね返るため、スタックは起きない。或いは、振動板物質のねじれによってバンデルワールズ力が打ち負け、セルは動作し続けることができる。なぜなら、バイアス電荷は高誘電性の台が振動板と接触しても分散しないからである。
【0018】
従来の方法と異なり、電極70は、各振動板上の小さいな電極エリアへの高抵抗導電路を作成するためにエッチングされない。電極層は、複数のcMUTセルの振動板を覆う連続層として、或いはそれぞれがセルの振動板の大部分を覆い、好ましくはセル支持まで延びる個別の電極エリアとして形成され得る。この個別の電極エリアは、低インピーダンス導体によって信号及び/若しくはバイアス回路へ電気的に接続される。この導体は電極と同じ導電層から構成されてもよい。この低インピーダンス電極及び導体は、ウェハ上の各容量性cMUTセルの効率的な結合を提供する。台28は、セルの基板フロアから数ミクロン伸びていてもよい。バイアス電圧Vが本装置に掛けられ、振動板が台28へ引き付けられると、振動板と台との間の空間42は約0.25μmのオーダーとなり、セル中心に高電荷密度を生成し、給与信号に対する良好な感度及び結合を提供する。
【0019】
上記例ではcMUTセル及び台はいずれも六角形で示したが、いずれも異なる形状でもよい。台は、丸くてもよく(円、楕円など)、長方形(正方形)でもよく、他の多角形でもよい。台は、支持形状によって規定される空洞と同じ形状を共有してもよく、自身の形状を有してもよい。円形の台を有する六角形セルはこの変形例の1つである。
【0020】
本cMUT装置によって形成される電気回路は単なる大きな可変キャパシタンスであることが望ましい。窒化珪素などの絶縁物質を振動板に対して用いることは、事実上cMUT回路に小さな直列キャパシタンスを作成することになる。これは、振動板に高導電性物質を用いることによって回避することができる。これを実現するための1つの方法は、窒化珪素膜(図4f)の水平方向の最上層をプラズマエッチングで削り取り、チャネル56を絶縁窒化珪素支持で満たされたままにしておくことである。次いで、ドープ処理されたポリシリコンなどの高導電性物質、又はニッケルやチタンなどの高強度超硬合金をウェハ上に堆積させ、振動板物質を形成する。よって、層60は、絶縁窒化珪素によって酸化物の島58の上方で支持された導電性振動板層を有し、仕上がったcMUTセルは、台28に対抗する導電性振動板を有する。
【0021】
台を振動板14の下面中心から吊り下げてセルの平面フロアと対抗させることによって、支持間隔44の誘電間隔に対する比を改善させることができることも明らかである。すなわち、振動板は、セルのフロアというよりむしろ非平面構造となる。この振動板上の追加的マスは振動板の周波数更にはcMUT振動子の作動周波数を下げ、本装置の可変性をサスペンションに用いられる多くの物質に対して感知し得るようにする。
【0022】
金やアルミニウムなどの様々な導電性を有する膜及び堆積物がcMUTの電極に対して用いられ得る。基板の下面へ付けられる代わりに、電極72は犠牲層54の堆積に先立って上面へ付けられることも可能である。ポリシリコンも犠牲層に適した物質である。ガラスなどの他の物質も基板に用いられ得る。この場合、基板電極は基板上面に付けられる。本発明の実施形態を構成するのに用いられ得る半導体プロセス及び物質の詳細は、ここに参考文献として組み込まれる米国特許第5,982,709号及び第6,004,832号に記載されている。
【0023】
セル10は標準的な半導体プロセスによって製造することができるため、cMUTに対する他の関連するエレクトロニクスも同時にシリコン基板上に製造することができる。増幅器や高圧ドライバなどの振動子素子用の送信若しくは受信エレクトロニクスはcMUTセルと同じ基板上に製造することができる。
【0024】
cMUTセルの列は、マイクロステレオリソグラフィなどの他のプロセスによって製造されてもよい。このプロセスにおいて、cMUT構造は、レーザーアブレーションを通じて複数の物質層を堆積させることによって組み立てられる。このプロセスの利点は、cMUTセルを基板の幅広い範囲に幅広いセル構成物質を用いて組み立てることができる点である。このようなプロセスにおいては、シリコンやガラスよりも超音波に対する吸収性がより高く、よってより良い音響裏層をcMUTセルに形成する、例えばポリマ、ブラスチック、及び弾性化合物などの基板材料を採用することも可能である。これら基板材料は、基板を横方向に通り、振動子の背面から出る、望まれない音響カップリングを低減する。シリコン若しくはガラスよりも超音波に対する吸収性の高いポリマ基板90を図5に示す。導電膜(図示せず)が基板90の上面に付けられ、cMUTセルの下部電極を形成する。次いで、このcMUTセルの構造は、基板上に一層ずつ組み立てられる。例えば、キャリア86はcMUTの構造のために除去される物質の層84を持っている。セルのフロア上に台を作るために、物質84は金やアルミニウムなどの導電性物質である。レーザービーム80は、物質84が堆積されるべきところからキャリアのエリアへ向けられる。キャリア86は、該レーザービームの周波数に対してトランスペアレントであるため、該レーザーのエネルギは基板に対抗するキャリア側面上の物質を除去する。YAGレーザーなどの赤外線レーザーを用いる場合、キャリアは例えばテフロン(R)である。導電性物質84の連続層は、基板上へ除去され、台が所望の高さに組み立てられるまで台の層92、94を堆積させる。振動板のための支持96は絶縁性であり、所望場所のポリマ若しくはプラスチックの層を除去することによって形成することができる。振動板用の膜は、セル上に重ねられ、支持96の上面上にレーザーによって溶接され得る。この堆積され得る層の厚さはレーザー・パワーと物質種類とによって決定される。例えば、金属、セラミック、及びプラスチックは約1μm以下の層として堆積する。エキシマー・レーザーなどの紫外線波長レーザー、又は可視波長において作動するレーザーもキャリア物質を合わせて選択することによりこのプロセスに用いることができる。
【0025】
前述のように、本装置の二次オペレーションを防ぎ、より大きい容量性感度のために本装置の正反対に荷電されたベースへ近い位置へ振動板を広げるために、バイアス電圧VがcMUTに掛けられる。しかし、cMUTセルのキャパシタンスは経時変化し得ると共に、1つの列内でセル毎に異なり得る。更には列毎に異なり得る。キャパシタンスが変化すると、本装置はバイアス電圧源からより多くの若しくはより少ない電荷を引き出す。これは、cMUTの可変容量性プレートの分離を引き起こし得る。前述のように、ベース及び振動板プレートが互いに接触すると、それらはスタックし、セルを作動不能にし得る。その上、この分離が最適な値に維持されなければ、本装置の性能は劣化する。本発明の別の態様によれば、cMUTセルをバイアスするのにバイアス電圧の代わりにバイアス電荷が用いられる。バイアス電荷は、例えば既知時間の間、電流源をセルへ連結させることによって掛けることができる。cMUTセル用のバイアス電荷源の好ましい実施形態を図6に概略的に示す。この実施形態において、電流はcMUTセルへ選択的に掛けられると共に、セルのバイアス電荷を適応的に調整及び維持するためにセルのキャパシタンス(若しくはサセプタンス)が測定される。電界効果トランジスタ104は、バイアス電荷を振動板電極14へ掛けるように調節される。信号源102からの小さい交流信号がcMUTセルに掛けられる。この小さい交流信号は、例えば10kHzの周波数を有する。本cMUT装置上での結果として生成される交流電圧は、キャパシタンス・メータ若しくはレギュレータ100によって感知される。この感知された交流電圧は、本cMUTの静電容量を計算するのに用いられる。この電界効果トランジスタに掛けられる制御信号は、装置上の電荷を維持若しくは調整するために上記感知された静電容量に応じて調整され、この工程はcMUTが所望静電容量すなわち適切なバイアス電荷を示すまで繰り返される。キャパシタンス・メータ100のオペレーションを図6aにより詳細に示す。小さい交流電流iが端子106及び108を通って接続された(図示しない)cMUTセルへ掛けられる。この交流電流によってセルにわたって展開された交流電圧の直交成分は、電圧メータvによって測定される。この測定結果は、セルの容量性プレートを荷電若しくは放電するのに適応的に用いられる。
【0026】
cMUTキャパシタンスは、cMUT振動子の使用中、キャパシタンス・レギュレータ100によって周期的に監視されることが好ましい。二極ゲート回路によって振動板電極14が必要に応じて荷電若しくは放電されることが好ましい。好ましい実施形態において、バイアス荷電回路は、半導体製造プロセスによって製造され得る要素から構成され、cMUTと同じウェハ上へ一体化されるため、cMUTセル及びそれらのバイアス荷電源は一体として製造され、同じ場所に配置される。図7aは、cMUTの振動板14の変位dの変化を掛けられたバイアス電荷若しくは得られた電圧Vの関数として表す典型的な曲線110を示す。プロット起点周辺で発生する装置の二次動作を回避するために、バイアス電圧Vは本装置の通常の動作点112を起点の一面へシフトさせる。図7bにおいて、バイアスされた動作点112周辺の曲線110の一部がより詳細に示されている。曲線110は、本装置について望ましい線形特性である直線120に接するように示されている。しかし、曲線110は線形的ではない。v及びvで示される線は、音響パルス若しくは音響波を送信するためにcMUTに掛けられる交流駆動信号のピークをマークしている。図に示すように、非線形曲線110は、通常の動作点より上の曲線110の部分113においてはより大きい傾きを有し、通常の動作点112より下の部分111ではより小さい傾きを有する。これは、cMUTがピークv及びvを有する送信信号によって駆動される時、振動板は非線形に動くことを意味する。
【0027】
この非戦形成の効果は図8a及び8bを参照することによって明らかにされる。図8aは、cMUTに対して駆動信号として用いられる正弦波波形130を示す。この波形は、ピークv及びvを有することが分かる。この波形130が非線形cMUTを駆動するのに用いられると、得られる圧力波形132は図8bに示す特性を有する。最初の正の半円は、所望レベルv’を越えた正の行き過ぎ量を示し、二番目の負の半円は所望レベルv’を下回る負の行き過ぎ量を示す。なぜなら、圧力波形は本装置の非線形性によって歪められるからである。本発明の別の態様によれば、圧力波形の非線形性は、図9aに示すように、掛けられる駆動信号140を予め歪めておくことによって克服することができる。正弦波圧力の送信について、最初の半円は所望レベルvhを下回り、正弦波よりも丸い。二番目の半円は所望レベルvlを上回り、正弦波よりも鋭いピークを示す。この駆動信号140をcMUTへ掛けると、図9bに示す正弦圧力波142が生成される。
【0028】
cMUT振動子が高調波動作に対して用いられる場合、この非線形効果を低減若しくは除去することは重要である。コントラスト高調波及び組織高調波のいずれの動作においても、送信信号の高調波帯域に最小限のスペクトラム成分を有する(好ましくはスペクトラム成分を全く有しない)基本的周波数波形を送信することが望ましい。コントラスト高調波動作中に探される高調波信号のみがコントラスト造影剤の非線形効果によって元に戻され、組織高調波動作中に探された高調波信号のみが送信媒体による圧力波の歪みによって生成される。高調波帯域における送信された信号成分は上記所望信号を汚染する。よって、cMUT装置の非線形性能の原因となる駆動波形を予め歪めることによって、cMUTから非線形歪みが大幅に少なく、よって送信パルスの高調波スペクトラムを汚染するアーティファクトが少ない送信圧力波形が生成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】cMUTセルの横断面図である。
【図2】cMUTセルの振動板へのバイアスを示す図である。
【図3】本発明の原理に係るcMUTセルの構成を示す図である。
【図4a】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4b】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4c】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4d】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4e】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4f】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4g】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4h】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4i】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図4j】本発明の原理に係るcMUT振動子の製造を示す図である。
【図5】マイクロステレオリソグラフィによるcMUT振動子の製造を示す図である。
【図6】cMUT振動子に対するバイアス電荷の生成及び維持を示す図である。
【図6a】cMUT振動子に対するバイアス電荷の生成及び維持を示す図である。
【図7a】cMUT振動子の非線形特性を示す図である。
【図7b】cMUT振動子の非線形特性を示す図である。
【図8a】送信波形への非線形特定の影響を示す図である。
【図8b】送信波形への非線形特定の影響を示す図である。
【図9a】予め歪められた送信信号を用いることによって得られる送信波形を示す図である。
【図9b】予め歪められた送信信号を用いることによって得られる送信波形を示す図である。

Claims (11)

  1. 第一の電荷を保持するベースプレートと、
    該ベースプレート上に配置された底及び上端を有する支持と、
    第二の電荷を保持し、前記ベースプレートと容量性関係を持ちながら前記支持の上端によって支持される振動板と、を有し、
    前記ベースプレートは、前記支持と前記ベースプレートとの交点よりも前記支持の上端の高さへより近いところまで伸びた隆起領域を有する容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  2. 請求項1記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    クーロン引力によって前記振動板を前記ベースプレートへ向けて広げるために前記プレートに結合されたバイアス電位源を更に有することを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子。
  3. 請求項2記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    前記振動板は、前記支持によって周辺が支持され、
    前記隆起領域は、前記振動板の中央領域に対向することを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    前記隆起領域は、前記ベースプレート上に配置された台を有することを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    前記ベースプレートは、前記第一の電荷を保持する第一の導電性電極を有し、
    前記振動板は、前記第二の電荷を保持する第二の導電性電極を有することを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    共通のベースプレート上に配置された複数のセルを更に有し、
    前記複数のセルは超音波振動子素子を有することを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  7. 請求項6記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    前記振動板は、第二の電荷を保持する導電性電極を有し、
    前記導電性電極は単一の振動子素子として作動する複数のセル上に広がることを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    前記セルは基板上に製造され、
    同じ基板上に製造され、前記セルに結合された信号増幅器を更に有することを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  9. 請求項1記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    第一の電荷を保持するベースプレートと、
    該ベースプレート上に配置された底及び上端を有する支持と、
    第二の電荷を保持し、前記ベースプレートと容量性関係を持ちながら前記支持の上端によって支持される振動板と、を有し、
    前記振動板は下方へ伸びる領域を有し、この領域は該振動板を該領域無しの場合よりも前記ベースプレート近くへ広げることを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  10. 請求項9記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    前記下方へ伸びる領域は、前記振動板の下方へ面した側面の中心から吊り下がっていることを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
  11. 請求項9記載の容量性マイクロマシン超音波振動子セルであって、
    前記下方へ伸びる領域は、前記ベースプレートに対向する前記振動板の面から下方へ伸びる台を有することを特徴とする容量性マイクロマシン超音波振動子セル。
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