JP2004502637A - オキシコドンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
コデインからオキシコドン及びその塩を製造する方法であって、コデインをコデイノンに酸化し、強アミン塩基下でコデイノンのジエノールシリルエーテルコンジナーを形成し、過酢酸を使用して該ジエノールシリルエーテルコンジナーを酸化し、得られる14−ヒドロキシコデイノンを水添することを含む前記製造方法。
Description
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、オキシコドンの改良した製造方法に関する。特に、本発明は、反応スキームにおいて、テバインの使用又は合成を必要としない、高収率でオキシコドンを製造する方法に関する。
【0002】
関連技術の背景
Papaver somniferumの鎮痛活性は、非常に古くから知られている。このケシ植物の未熟の実のさく果に由来する乳白色の液体が強い薬理学的特性を有すると長い間理解されてきた。該液体を乾燥し、粉末化した形態のものがアヘンといわれている。アヘンは、Papaver somniferumの未熟の実のさく果から得られる液体を約10%含有する。
19世紀初頭、アヘンは、多数のアルカロイド化合物を含有すると認識されていた。単離された最初のアルカロイドはモルヒネであると、Serturner, 1805に記載されている。コデイン(Robiquet 1832)、パパベリン(Merck 1848)、テバイン、オリパビン(oripavine)及びノスカピン(noscapine)を含む、他のアルカロイドも直単離された。19世紀中頃までに、粗アヘン製剤よりも純粋なアルカロイドを使用することが医療の慣行として確立された。現在では、アヘンは20を超える別個のアルカロイドを含有することが知られている。
【0003】
一般的に、アヘンアルカロイドは以下の5つの別個の化学的な分野に分類することができる:フェナントレン、ベンジルイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、クリプトピン及び種種のもの(Remington’s Pharmaceutical Sciences 433, 1975)。治療上有用な薬剤は、フェナントレン及びベンジルイソキノリン類から主に単離される。主なフェナントレンは、モルヒネ(アヘンの約10%)、コデイン(アヘンの約0.5%)及びテバイン(アヘンの約0.2%)である。主なベンジルイソキノリンは、パパベリン(アヘンの約1.0%)及びノスカピン(アヘンの約6.0%)である。
モルヒネ自身は、部分的に水添されたフェナントレン環系を含む5員環構造を有する。モルヒネの各環は以下に記載されるように命名されている。
【0004】
【化4】
【0005】
モルヒネは、以下に示すA、B、C及びEを含む、当業界においてモルフィナン環構造と呼ばれているものを含む。
【化5】
【0006】
モルヒネ誘導体の置換基の位置番号は、以下に示す2つの一般的命名法に従う:
【化6】
【0007】
以下、2番目(ケミカルアブストラクト)の位置番号を参照して説明する。
モルヒネの最初の全合成は、1952年に発表されている(Gates et al., 74 J. Amer. Chem. Soc., 1109, 1952)。しかしながら、モルヒネの実験室的合成は困難であるため、該薬剤は依然としてアヘンから得られているか又はケシ藁から抽出されている(Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 489, 1990)。天然に発生するアヘンアルカロイドの半合成誘導体が、今日医学界で広く使用されている。構造修飾により変更し得るオピオイドの重要な特性のなかで、様々な種のオピオイドレセプターに対する化合物の親和性、代謝性分解に対する耐性、脂質溶解性及びアゴニスト対アンタゴニスト活性がある。
【0008】
今日、医師の処方箋がなければ入手できない鎮痛性の薬剤であるコデイン、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルフォン、オキシコドン及びオキシモルフォンは全て、モルヒネのコンジナーである。米国で医薬的に使用されているモルヒネの他の構造類縁体は以下の通りである:レボルファノール、ナルメフェン(nalmefene)、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール及びナルブフィン(nalbuphine)。レボルファノール等のモルヒネ類似体の幾つかは、コールタール誘導体から合成可能である非オピエートモルフィナン核を経由して総合的に合成的に製造することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences 1039, 1975)。
【0009】
今日医学界で使用されている多くのモルヒネ構造類似体のなかで、コデインとオキシコドンのいずれもが広く使用されている。
コデインは、3−メチル化モルヒネである。コデインの鎮痛効力は、モルヒネの鎮痛効力の1/7未満である(Foye, Medicinal Chemistry, 254 (1975))。しかしながら、コデインは、モルヒネよりもかなり良好な経口バイオアベイラビリティを有するので(3−メトキシ基は、迅速な初回通過生体内変換からコデインを保護すると考えられている−モルヒネの経口的作用は、主として3−ヒドロキシル基におけるグルクロニド結合により終わる)、両化合物を経口投与したとき、コデインの効力は、体重基準で、モルヒネの効力の4倍よりも小さいにすぎない(Drug Facts & Comparisons 1246, 1996)。アヘンから直接得られるコデインも幾つかあるが、そのような抽出から得られる量は、広範囲なアルカロイドの用途に見合うのに充分ではない。コデインに対するニーズは、モルヒネから化合物を部分合成することにより満たされている(Remington’s Pharmaceutical Sciences 1038, 1975)。
【0010】
オキシコドンは、質的にモルヒネの作用に似た複数の作用を有する半合成起源の白色、無臭の結晶性粉末である。
【化7】
【0011】
治療上価値ある主な作用は、鎮痛及び鎮静である。経口投与したときに、その鎮痛活性の少なくとも1/2が保持される点で、コデイン及びメタドンに似ている。オキシコドンは、鎮痛作用だけでなく、抗不安(anxiolysis)、咳反射の抑制、陶酔及びリラックスする感じを含む他の治療上の効果を生ずる純粋なアゴニストオピオイドである。体重を基準として、オキシコドンの効力は経口的に投与されたときモルヒネのおよそ2倍である(Drug Facts & Comparisons 1246, 1996)。オキシコドンは典型的には、中程度に激しい痛みに対する中程度の軽減に指示されている(Drug Facts & Comparisons 1259, 1996)。
テバインは、モルフィナン環構造も含むが、モルフィナンC環のヒドロキシル基がメトキシ基により置換されており、”C” 環が2つの二重結合△6,7, △8,14を有する点でコデインと異なる(すなわち、テバインは両ヒドロキシル基がメチル化されており、“C”環が2つの二重結合−− △6,7, △8,14を有する)。
【0012】
【化8】
【0013】
テバインは実質的に鎮痛活性に欠けるので、薬理学的効果においてモルフィナン化合物の構造を少し変更した化合物が有する効果を示す(Foye, Medicinal Chemistry, 256 (1975))。
それ自身は医学的有用性に欠けるが、テバインは、オキシコドン(Freund et al., 94 J. Prak. Chemie 135 − 178, 153, 1916; See Physician’s Desk Reference, 2569, 54th Ed. 1999)、ナロキソン、ナルトレキソン及びナルブフィン(U.S. Patent No. 4,795,813、第1欄16−21行参照)を含む多くの有用なオピエート−誘導体(See, Barber et al., 18 J. Med. Chem. 1074−107, 1975)の合成における鍵中間体として著しく重要である。テバインは、天然に発生するモルヒネアルカロイドのうち、唯一の公知のΔ6,8−ジエン化合物である(Seiki, 18 Chem. Pharm. Bull. 671−675, 1970)。
【0014】
オキシコドンは、テバインから以下のようにして製造できる:テバインをギ酸水溶液に溶解させ、30% 過酸化水素により酸化処理をし(Seki, 18 Chem. Pharm. Bull. 671−676, 1970)、アンモニア水で中和して14−ヒドロキシコデイノンを得、パラジウムC触媒により酢酸中で14−ヒドロキシコデイノンを水添する(Remington’s Pharmaceutical Sciences 1041, 1975)。テバインの酸化はまた、酢酸中二クロム酸カリウム(Freund et al., 94 J. Prakt. Chem. 135, 1916)又は過ギ酸(Iljima et al., 60 Helv. Chim. Acta 2135−2137, 1977)を使用しても行うことができる。しかしながら、酢酸−トリフルオロ酢酸混合物中、m−クロロ過安息香酸で酸化することにより収率が向上すると報告されている (Hauser et al., 17 J. Med. Chem. 1117, 1974; See also, U.S. Patent No. 4,795,813 to Schwartz, Col. 1, Lines 22 − 26)。収率はまた、約30psiの圧力下で14−ヒドロキシコデイノンを水添することにより向上させることもできる(Krassnig et al. 329 Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 325 − 326, 1996)。
【0015】
多くの医薬製剤の合成において特に有用であるものの、テバインは、Papaver somniferum中最も量が少ないフェナントレンアルカロイドである。その希少性のため、出発物質として他のより豊富なオピオイド化合物を使用する、この独特のアルカロイドを得る方法が多くの研究者が提案により提案されてきた。
【0016】
Seki(18 Chem. Pharm. Bull. 671−676, 1970)は、天然アルカロイドコデインから得ることができる、コデイノン等のα,β−不飽和ケトンから、テバイン等のΔ6,8−ジエン化合物を製造する方法を開示している。p−トルエンスルホン酸(反応前に脱水したもの)、無水メタノール及び乾燥ベンゼンの混合物にコデイノンを添加し、水を共沸除去しながら該溶液を3時間還流し、希水酸化ナトリウムで洗浄することにより反応混合物を精製してテバインを得ている。報告されている最大収率である26.8%は、p−トルエンスルホン酸とコデイノンとを1.1−.15モル当量で使用したときのものとして報告されている。Eppenbergerら(51 Helv. Chim. Acta 381, 1968)は、ジヒドロコデイノンをテバインに変換する4工程の方法を報告している。該方法によれば収率は同じく27%である。Schwartzら(97 J. Am. Chem. Soc. 1239, 1975)は、鍵工程がレチクリン(reticuline)誘導体をサルタリジン(salutaridine)誘導体に酸化的に結合させるものである、テバインの全合成を示している。しかしながら、dl−テバインの全収率は、イソバニリンを基準としてわずかに1〜2%の範囲であった。有機又は無機酸ハライド或いは酸無水物とのサルタリジノールの反応、それに続く強塩基による処理は、SoharらのU.S. Patent No. 3,894,026においてテバイン製造方法として教示されている。50.3% 程度の収率が報告されている(第4欄29行参照)。Barberら(18 J. Med. Chem. 1074−1077, 1975)は、コデイン及びモルヒネからのテバイン(並びにオリパビン(oripavine))の合成を報告している。Barberらは、コデインのカリウム塩をメチル化してコデインメチルエーテルを得、次いでγ−MnO2で酸化する方法を教示している(Rapoportら, U.S. Patent No. 4,045,440, 1977もまた参照のこと)。これらの著者らは、コデインからのオキシコドンの67%の収率について権利要求している。同様に、欧州特許出願No. EP 0 889 045 A1は、より容易に入手できるモルフィナンコデイン及びモルヒネからテバインを製造する方法を教示している。そのような方法では、出発物質をアルカリ金属又は四級アンモニウムカチオンに変換すること及び該物質を式RXの化合物(式中、Rはアルキル又はアシル基であり、及びXは脱離基である)と反応させることを提供している。
【0017】
上述の方法は全て、合成及び半合成方法によりテバインの供給量を増やす様に工夫されているが、モルヒネやコデインに比べてテバインが比較的高価であるという事実が残っている。
他の治療上有用なオピオイドを形成するのに出発物質としてテバインを使用することはまた、それが比較的希少であることとは無関係な欠点、すなわちテバインが公知の痙攣薬であり、ストリキニーネ様痙攣を引き起こし得る欠点(低投与量においても)(Foye, Principles of Medicinal Chemistry 255, 1975; The Merck Index, 9203 (11th Edition), 1989)も有することになる。それ故、いかなる合成スキームにおいてもテバインを使用することは、有意な危険性を含み、多くの注意を払うことを要する。テバインが比較的高価であること、及びその毒性潜在性を考慮すると、別の合成方法を開発して、テバインから現在合成されている多くのオピオイドコンジナーを、より安価でより毒性の低い物質から製造し得るのが好ましい。
【0018】
U.S. Patent No. 2,654,756には、テバインからコデイノン、ジヒドロコデイノン及びジヒドロモルヒネを合成するよりも、コデインをこれらの化合物に変換する方法が開示されている。変換は、 アルミニウムアルコキシドの存在下、あるケトンを使用する酸化により行われている。同様に、テバイン中間体を使用することなく、コデインからナロキソン、ナルトレキソン及びナルブフィン(オピオイドアンタゴニスト)等の14−ヒドロキシモルフィナンを製造す方法もまた、開示されている(Schwarz, U.S. Patent No. 4,472,253、及びSchwartz and Wallace, 24 J. Med. Chem. 1525−1528, 1981参照)。しかしながら、今日までに、テバインが有するものを超える有意に向上した毒性及び費用プロファイルを有する、容易に入手できる出発物質からオキシコドンを製造する経済的な方法は提案されていない。
【0019】
発明の簡単な概要
本発明は、反応スキームにおいてテバイン中間体を使用することを必要としない、高収率でオキシコドンを製造する改良方法を提供する。開示した方法は、コデイン又はモルヒネ等のモルフィナン様環構造を有する化合物を、オキシコドン合成用の出発物質として使用する。本発明の方法は以下の工程を使用する:出発物質をモルフィノン(morphinone)環構造を有する化合物に変更する工程、オルガノシリル化合物と該出発物質とを反応させることにより、モルフィナン様環構造のC環においてジエノールシリルエーテルを製造する工程、該シリルエーテルを酸化する工程、及びC環における不飽和を水添する工程。ジエノールシリルエーテルの形成は、C環の効率的なジエノール化により促進される。これは、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)等の強アミン塩基の存在下、α,β−不飽和ケトン及びオルガノクロロシラン反応体を反応させることにより提供される。オルガノシリル反応体、例えば、トリオルガノシリルクロリドはケイ素原子において立体障害があるのが好ましい。
【0020】
本発明の態様は、2つの酸化工程を使用する、コデインからオキシコドンを製造する方法を含む。ここで、一の酸化工程はヒドロキシル基をケトンに酸化する工程を含み、もう一つの酸化工程はジエノールシリルエーテルの酸化的ヒドロキシル化を含む。特に、オキシコドン遊離塩基は、強アミン塩基(好ましくはジアザビシクロ塩基)の存在下、コディエノン(codienone)のジエノールシリルエーテル誘導体を形成し、該シリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成し、及びモルフィナンC環不飽和を水添してオキシコドンを形成することにより、商業的に妥当な収率で製造される。
【0021】
本発明の一態様において、コデイン遊離塩基からオキシコドンを合成する改良方法を提供する。この態様において、標準的な酸化剤、例えばMnO2、Na2WO4/H2O2、Pd(OAc)2/O2等及び/又は標準的な酸化方法、例えばSwern/Moffat−type酸化(DMSOベース酸化)、Oppenauer−type酸化(アルミニウムアルコキシド及びシクロヘキサン又は他のケトンを使用する)を使用して酸化することにより、コデイン遊離塩基をコデイノンに変換する。好ましい酸化剤はBaMnO4及びOppenauer酸化を含む。次いで、コデイノンを、ハロゲン等の効果的な脱離基を有するオルガノシリル化合物と反応させる。得られるジエノールシリルエーテル誘導体を次いで酸化剤により酸化して14−ヒドロキシコデイノンを得る。過酢酸溶液を使用すると、モルフィノンC環のジエノールシリルエーテルを効率的に14−ヒドロキシコデイノンに酸化できることが分かった。続いて、C環における不飽和を水添するが、例えば、酢酸中触媒移動(catalytic transfer)水添又は加圧接触水添により達成できる。このような方法により製造されるオキシコドンは、およそ80%の高収率で得られることが分かった。
【0022】
本発明の新規な点の一つは、商業的に有用な量の、モルフィナン環構造を有する治療上使用されるオピオイドアルカロイドを、テバイン中間体によらず、強アミン塩基、好ましくはDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)等のジアザビシクロ塩基の存在下(ジエノールシリルエーテル誘導体のエノール化及び促進を向上させるため)、モルフィノン環構造を有する化合物とオルガノシリル反応体とを反応させ、次いでジエノールシリルエーテル基を酸化することにより得ることができることを発見したことである。
【0023】
発明の詳細な説明及び好ましい態様
コデイン及びモルヒネ(2つとも比較的安価なオピオイドアルカロイドである)からオキシコドンを製造するための多くの反応スキーム設計による相当な実験の後、本発明者らは、産業上許容できる収率のオキシコドンを提供するオキシコドンの製造に関する独自の反応スキームを発見した。本発明により、オキシコドンの製造に関連する従来技術の多くの問題点が解消し、比較的高価で、希少な有毒アルカロイドであるテバインを使用しないオキシコドン製造の合成スキームを提供する。
【0024】
本発明者らは、α,β−不飽和ケトン構造を有するモルフィノン化合物のC環のエノール化は、DBU又はDBN及び同様のジアザビシクロ塩基等の強アミン塩基にさらすことにより有意に増強されることを発見した。ジエノールシリルエーテルの形成(該環を有するケトンと有効な脱離基を有するオルガノシリル化合物とを反応させることによる)は、強アミン塩基の存在下、反応を行うことにより非常に向上した。本発明者らはさらに、コデイノンのジエノールシリルエーテル(6位において形成されるシリルエーテル(ケミカルアブストラクト置換基−位置番号付けによる))を使用して、シリルエーテルを酸化することにより14−ヒドロキシコデイノンを直接形成することができることを発見した。好ましい態様において、酸化は室温において約3時間行われる。コデイノンのジエノールシリルエーテルは、トルエン又は他の同様の溶媒に溶解させることができる。酸化は、過酢酸又は他の過酸を使用して比較的高収率で効果的に行うことができる。14−ヒドロキシコデイノンを水添することにより、オキシコドンを得る。好ましい水添反応は、パラジウム−炭素触媒と共に水素ガス又はNaH2PO2を使用するものであり、14−ヒドロキシコデイノンは、酢酸水溶液等の弱い酸性溶液に溶解する。
【0025】
本発明の一態様によるコデインのオキシコドンへの変換において形成される中間体化合物等のコデイノンジエノールシリルエーテルは、Jen−Sen Dungの継続中の欧州特許出願 No. EP 0 889 045 A1に開示されている。しかしながら、該公報は、本発明の非自明性に関して示唆するものではない。
テバインが高価であり比較的希少なものであることを認識して、EP 0 889 045 A1(上述)には、テバイン及びその類縁体の製造方法が教示されている。コデイノン tert−ブチルジメチルシリルジエノールエーテル(実施例6)を開示しているが、該特許は、記載されている方法により合成されるテバインからのみオキシコドンを製造する方法を教示するものである(例えば、開示の概要、第1欄25−52行、第5欄24−29行、実施例8参照)。テバイン中間体を合成せずに、tert−ブチルジメチルシリルジエノールエーテルを使用してオキシコドンを製造できる事実については全く認識されていない。さらに、該特許では、モルフィノン環のオルガノシリルジエノールエーテルを商業的に有用な収率で製造する方法を教示するのに失敗している。該文献は、記載されている方法により製造されたコデイン tert−ブチルジメチルシリルジエノールエーテルは、わずか23%の回収された固形状塊を含有する(従って、比較的微量成分の固形状塊を含有する)ことに注目している。EP 0 889 045 A1は、エーテルが形成されるとき反応混合物中に強アミン塩基(該文献により教示されているテトラヒドロフランも)が存在することにより、収率が有意に増強されることについては開示も暗示もしていない。
【0026】
本発明により、商業的に有用な収率、典型的には50%を超える収率、より典型的には80%を超える収率で、コデイノン(酸化によりコデインから容易に得られる化合物)からオキシコドンを提供する。コデイノンは、モルヒネから天然に発生し得るか又は半合成により得られるアルカロイドである、コデインから容易に合成される。コデイノンのオルガノシリルジエノールエーテル接合体へ高度に変換し得る強アミン塩基の存在下、オルガノシリル化合物を反応させることによるものであることが分かった。強アミン塩基は、モルフィノン環構造の”C”環においてα,β不飽和を有する化合物であるコデイノンを強くエノール化する傾向にある一方、オルガノシリル基がエノール形をとると考えられる。コデイノンのオルガノシリルエーテル形はまた、ハロゲン等の効果的な脱離基を有するオルガノシリル化合物を使用することにより、及び、立体的にバルキーなシリコーン基を使用すると促進される。得られるコデイノンのジエノールシリルエーテル形を、多くの標準的な酸化剤を使用して14−ヒドロキシコデイノンを酸化したところ、過酢酸による酸化が極めて効率的であり、約80%収率を得ることが分かった。次いで、C環のα,β−不飽和を水添するよう、14−ヒドロキシコデイノンを接触水添により水添する。酢酸水溶液中での触媒移動水添方法は、R. Krassnigらによって報告されている方法と、ほぼ同じ収率で、同じような不純物パターンで製造することが分かった。
【0027】
本発明の一観点において、以下の工程を含むコデイノンからオキシコドンを製造する方法を開示する:(a) コデイノンのC環の6位においてジエノールオルガノシリルエーテルを製造し、それによりコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;(b)該ジエノールオルガノシリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成する工程;(c)14−ヒドロキシコデイノンのC環における不飽和を水添してオキシコドンを製造する工程。
【0028】
コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーは、以下の式を有するオルガノシリル化合物とコデイノンとを反応させることにより形成するのが好ましい:
R3 3SiX
(式中、R3はアルキル又はアリールであり、3つのR3 基は同じでも異なっていてもよく、及びXはイミダゾール、メシレート、トシレート又はハロゲン等の脱離基である)。オルガノシリル化合物は、例えばDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN (1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)といったジアザビシクロ塩基等の強アミン塩基の存在下、コデイノンと反応させるのが好ましい。ジエノールオルガノシリルエーテルの酸化は、コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを過酢酸により、好ましくはトルエン等の有機溶媒の存在下、処理することにより行うことができる。
【0029】
本発明の別の観点において、以下の式を有する基から選ばれるジエノールシリルエーテルを酸化する方法を開示する:
【化9】
【0030】
(式中、R1はアルキル又はアシルの群から選ばれ、R2は低級アルキル、アリル又はシクロアルキル置換低級アルキルの群から選ばれ、及びR3はアルキル又はアリール基であり、3つのR3基は同じでも異なっていてもよい)。ここで該方法は、(a)ジエノールシリルエーテル化合物と過酢酸とを酸化させる工程及び(b)その後遊離塩基として生成物を単離する処理工程を含む。
本発明のさらに別の観点において、以下の式を有する基から選ばれるジエノールシリルエーテルを形成する方法を開示する:
【0031】
【化10】
【0032】
(式中、R1はアルキル又はアシルの群から選ばれ、R2は低級アルキル、アリル又はシクロアルキル置換低級アルキルの群から選ばれ、及びR3はアルキル又はアリール基であり、3つのR3基は同じでも異なっていてもよい)。ここで、該方法は、以下の式を有する基から選ばれるモルフィナン−6−オンと;
【0033】
【化11】
【0034】
以下の式を有するオルガノシリル化合物とを、
R3 3SiX
(式中、R3はアルキル又はアリール基であり、3つのR3基は同じでも異なっていてもよく、Xはイミダゾール、メシレート、トシレート又はハロゲン等の脱離基である)、強アミン塩基の存在下反応させる工程を含む。強アミン塩基は、ジアザビシクロ塩基であり得、具体的にはDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)及びDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)からなる群から選ばれ得る。Xはクロリドであるのが好ましい。
【0035】
本発明のさらに別の観点は、以下の工程を含むコデインからオキシコドンを製造する方法を含む:(a)コデインからコデイノンへ酸化する工程;(b)コデイノンのC環の6位においてジエノールオルガノシリルエーテルを製造し、それによりコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;(c)ジエノールオルガノシリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成する工程;(d)14−ヒドロキシコデイノンのC環における不飽和を水添してオキシコドンを製造する工程。この態様のコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーは、オルガノシリルハライドとコデイノンとを反応させることにより、好ましくは式:R3 3SiCl(式中、R3は上に定義したとおりである)を有するオルガノシリルハライドを反応させることにより形成することができる。オルガノシリルクロリドは、強アミン塩基の存在下、コデイノンと反応させるのが好ましい。強アミン塩基は、ジアザビシクロ塩基で有り得、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)からなる群から選ばれ得る。ジエノールオルガノシリルエーテルの酸化は、コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを過酢酸で処理することにより行うことができる(この反応は、トルエン等の有機溶媒の存在下で行うことができる)。
【0036】
コデインからオキシコドンを形成する本発明の好ましい方法は、基本的に以下の4工程を含む:(1)コデインからコデイノンへ酸化する工程;(2)コデイノンのオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;(3)シリルエーテルを14−ヒドロキシコデイノンに酸化する工程;及び(4)部分的に不飽和の非芳香族C環を水添してオキシコドンを製造する工程。以下にその概略を示したようにその詳細を説明する。
【0037】
【化12】
【0038】
コデインからコデイノンへの酸化は、当業者に公知の以下の多くの方法により行うことができる:CrO3/TBHP酸化、二クロム酸酸化、Na2WO4/過酸化物酸化、BaFeO4酸化、含水ZrO2/ケトン酸化、CrO2を使用する酸化、二酸化マンガンを使用するHighet酸化(Highet et al., 77 J. Am. Chem. Soc. 4399, 1955)、アルミニウムイソプロポキシド及びシクロヘキサノンを使用するOppenauer酸化(See, U.S. Patent No. 2,654,756 to Homeyer et al.)、タングステン酸ナトリウム活性化過酸化物酸化 (Sato et al., 119 J. Am. Chem. Soc. 12386, 1997)、Swern/Moffatt型(DMSOベース)酸化、パラジウムアセテート触媒有酸素性酸化及びマンガン酸バリウム酸化(See, Nishimura et al., 39 Tet. Let. 6011)。
【0039】
当業者には理解されるように、いかなる酸化方法に関しても、反応体の濃度、反応混合物の酸性度、溶媒和剤の存在又は不存在等の反応条件の調節は、酸化生成物の収率に影響を与え得る。例えば、マンガン酸バリウム酸化に関し、反応混合物を約0℃に維持し、溶媒の極性を調節して収率を向上させるのが好ましい。Oppenauer酸化に関し、トルエンを反応スキームに添加すること、並びに触媒量のアルミニウムイソプロポキシドを添加する前にコデイン/トルエン溶液から水を共沸除去すること、及びアルミニウムイソプロポキシドを添加している間及びその後に留出物を捕集することにより収率を上げることができる。Swern/Moffatt型酸化におけるように多くの可能性のある反応体の間で選択し得、オキサリルクロリド、TsCl、P2O5、TFAA、Ac2O、PySO3、Ts2O、SOCl2、DCC、DIPC、シアヌール酸クロリド、ClSO2NCO、(MeSO2)2O、Cl2、温風等を含む、DMSO中の多くの活性化剤を使用することができる。
【0040】
コデイノンのジエノールシリルエーテルの形成
オルガノシリル化合物 R3 3SiXと反応させることにより、コデイノンを変性して6位(ケミカルアブストラクト命名)においてシリルエーテルを形成することができる。好ましいオルガノシリル化合物は、ケイ素原子において立体障害があり、脱離基として塩素を有するものであることが分かった。エノール化コデイノンは、tert−ブチルジメチルクロロシラン又はトリエチルクロロシラン等のトリアルキルクロロシランにより効率的に捕捉された。しかしながら、トリメチルシリルエーテルは、迅速に加水分解されることが分かった。コデイノンのエノール化、及びジエノールシリルエーテルの形成は、DBU又はDBN等の強アミン塩基の存在により促進されることが分かった。LDA、DABCO、DIPEA、TEA、イミダゾール、N−メチルモルホリン、HMDS−Li塩、ヘキサメチルジシラザン及びアルミニウムイソプロポキシド等の他の塩基では、所望量のジエノールシリルエーテルが得られなかった。
【0041】
コデインのジエノールシリルエーテルの 14− ヒドロキシコデイノンへの酸化
コデイノンのジエノールシリルエーテルから14−ヒドロキシコデイノンへの酸化は、当業界において公知の多くの酸化剤及び方法を使用して行うことができる。例えば、ジエノールシリルエーテルは、Swernにより報告されている方法に従って、過酸化水素−遊離過ギ酸混合物中で、MnO2又は過ギ酸を使用して酸化することができる(D. Swern, Organic Reactions VII, 378, 1953)。しかしながら、好ましい酸化方法は、無水酢酸、過酸化水素及び触媒量の硫酸から製造される過酢酸を使用するものであることが分かった。過酢酸溶液のエージング及び無水酢酸による処理は、おそらくはあらゆる遊離の過酸化水素を除くことにより最適な酸化(ヒドロキシル化)を向上させることが分かった。25日経過するまでの無水過酢酸がもっとも効果的であることが分かった。14−ヒドロキシコデイノンの収率はまた、混合物中の酸化剤のモル比及び%により影響されることが分かった。最適な酸化条件は、種々のオルガノシリルエーテルにより変わり得る。例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)が存在すると、コデイノンのトリエチルシリルジエノレートの酸化を向上させることが分かった。14−ヒドロキシコデイノンの単離は、亜硫酸水素ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理し、酢酸溶媒及びジシロキサン又はシラノール及びN−オキシド等の中性の副生物を除去(減圧下)し、酸/塩基処理方法により、消費された過酢酸を失活することを含み得る。コデイノンのt−ブチルジメチルシリルジエノレート又はトリエチルシリルジエノレートの酸化により、同様の収率の14−ヒドロキシコデイノン(又はその酸塩)を提供し得る。過酢酸によるコデインのトリエチルシリルジエノールエーテル及びt−ブチルジメチルシリルエーテルの酸化は、約80%を超える収率で14−ヒドロキシコデイノンを製造することが分かった。
【0042】
14− ヒドロキシコデイノンからオキシコドンへの水添
14−ヒドロキシコデイノンを、C環中のα,β−不飽和を水添することにより、オキシコドンに変換した。水添は、14−ヒドロキシコデイノンのオキシコドンへの水添について公知のあらゆる方法を使用して行うことができる。例えば、ジフェニルシラン及びPd(Ph3P)/ZnCl2を使用して14−ヒドロキシコデイノンを還元することができ、同様に酢酸水溶液中Pd/C触媒と結合した次亜燐酸ナトリウムにより、及びPd/C触媒移動水添により還元することができる。
以下の実施例により、本発明の様々な態様を具体的に説明する。しかしながら、以下の実施例により請求の範囲をいかなるようにも限定して解釈すべきではない。
【0043】
【実施例】
実施例 1
コデインからコデイノンを形成する
コデインサルフェート三水和物を酸化することによりコデイノンを製造した。コデインサルフェート三水和物(10.4g)、脱イオン水(20g)及びイソプロピルアセテート(87.2g)を含有する反応混合物を周囲温度において調製した。該反応混合物を撹拌し、得られた混合物を約20±5℃に冷却した。濃水酸化アンモニウム(18.0 g)を数回に分けて添加し、該混合物を撹拌しながら約20±5℃において維持した。約15分間撹拌し続け、次いで少量の水層を取り、pH値をチェックした。pH値は、11.0〜12.0に維持されているのが有利であり得る。さらに、該水層を分離し、イソプロピルアセテート(35g)で再抽出した。一緒にした有機層(イソプロピルアセテート)を、温度NMT 45℃においてほぼ乾燥状態まで減圧下で濃縮した。残りのイソプロピルアセテート溶媒を、18gのトルエンを添加することにより除去した。次いで減圧下で濃縮処理を繰り返した。さらに、温度NMT 45℃においてトルエン(177g)及びシクロヘキサノン(47.4g)の混合物中に溶解させたコデイン遊離塩基を、マグネチックスターラ、熱電対、冷却器を備えたディーン−スタークトラップ、エキステンダー(高さ約4インチ)を備えた追加ロート及び窒素入口アダプタを備えた反応フラスコに移した。該混合物を、窒素雰囲気下、沸点(約116〜118℃)まで加熱し、26g(30ml)の留出物をディーン−スタークトラップに捕集した。次いで、アルミニウムイソプロポキシド(3.5g)の35.5g(41ml)トルエン溶液を、追加ロートに添加した。加熱速度を調節し、アルミニウムイソプロポキシド/トルエン溶液を、全容量を10−20分(ディーン−スタークトラップにおいて、ほぼ同じ容量(41ml)の留出物が捕集される時間)かけて添加するような速度で反応混合物に添加した。添加完了後、同じような留出速度で、57g(66ml)の留出物がディーン−スタークトラップにおいて捕集されるよう、留出物を捕集し続けた。熱源を除いて該混合物を周囲温度まで約30分かけて(窒素雰囲気下)冷却した。バッチから少量のサンプルを取り、飽和重炭酸ナトリウム溶液及びエチルアセテートにより抽出し、有機層を濃縮し、HPLC移動層に再溶解し、該サンプルをHPLCで分析することにより、反応が完了しているか調べた。コデインの領域%が3.5A%未満のとき、反応が完了したものとした。
【0044】
次いで、19.5gの酒石酸カリウムナトリウム四水和物を、130.5gの脱イオン水に20±5℃で溶解することにより、13 wt.%ロッシェル塩の水溶液を調製した。該ロッシェル塩水溶液(90ml)を、周囲温度において一度に反応混合物に添加し、バッチを約10分間撹拌し、濾過した。両層を取っておいた。有機層を、60mlのロッシェル塩水溶液で洗浄した(両層を取っておいた)。有機層を、30ml塩水と30ml 5%重炭酸ナトリウム溶液との混合物で洗浄した(両層を取っておいた)。次いで、全水層を一緒にして43g(50ml)のトルエンで抽出した。水層を捨てた。次いで、有機層を一緒にし、温度NMT 55℃において、減圧下、ほぼ乾燥状態まで濃縮した。22グラム(25ml)のトルエンを添加し、得られた有機層を減圧下で2倍以上濃縮し、残りのシクロヘキサノンを除去した。続いて、11.8g(15ml)の2−プロパノールを添加し、混合物を窒素雰囲気下において少なくとも8時間0〜5℃においてスラリー状にした。次いで、固体を濾過し、フラスコ/湿った塊を、冷却した(約5℃)回収した濾液ですすいだ。フラスコ中に固体が残っていなくなるまで繰り返しすすいだ。次いで、冷却した湿った塊を、冷却した(5〜10℃)2−プロパノール(12g, 15ml)ですすぎ、フィルター乾燥した。湿った塊をヘプタン(6.8g, 10ml)ですすぎ、フィルター乾燥した。得られた固体を温度NMT 50℃において一定重量まで減圧乾燥した。収量5.2〜6.45g (65.4〜81.2%)のオフホワイトの固体を、HPLC純度約96A%〜99.3A%で得た。化合物を冷暗所で保存した。
【0045】
実施例 2
コデイノンのジエノールシリルエーテルの製造
トルエン(104g)と共にコデイノン(6.0g)を、メカニカルスターラー、熱電対、冷却器を備えたディーン−スタークトラップ、及び窒素入口アダプターを備えた反応フラスコに添加した。バッチを還流温度まで加熱し、約27.7g(32ml)の留出物をディーン−スタークトラップ中に捕集した。次いで、内容物を窒素雰囲気下で20±5℃に冷却した。DBU(4.22g)のトルエン(3g)溶液を、一度に添加した。続いて、t−BDMSiC1(4.22g)のトルエン(5g)溶液を同様に一度に添加した。バッチをゆっくりと58±3℃まで温め、この温度で約2時間撹拌した。少量のサンプルをバッチから取り、それをエチルアセテートと飽和重炭酸ナトリウム溶液との混合物で抽出し、有機層をTLCプレート上に点状に置き、その後、ジクロロメタンとメタノールとの9:1混合物に3〜4滴の濃水酸化アンモニウムを添加した移動層で抽出することにより、反応が完了しているか判断した。反応が完了していないと判断した場合、58±3℃においてさらに2時間撹拌し続け、TLCチェックをもう一度行った。又は、約5〜10%超のDBU及びtBDMSiC1を反応混合物に同じ温度で添加することにより、反応を完了させた。次いで、内容物を20±5℃に冷却し、5%重炭酸ナトリウム溶液(80ml)と60ml水との混合物を一度に添加した。約10分間撹拌続けた。次いで、水層を分離して捨てた。有機層を、50ml塩水と50ml飽和塩化アンモニウム溶液の混合物で洗浄した(水層を捨てた)。有機層を温度NMT 50℃において、減圧下、ほぼ乾燥状態まで濃縮し、33.2gのトルエンで残渣を希釈して20 wt.%のストック溶液とした。収量はほぼ定量的であった。ストック溶液は、周囲温度、窒素雰囲気下で、少なくとも6月間安定であることが分かった。
【0046】
実施例 3
過酢酸溶液の調製
14−ヒドロキシコデイノンを、コデイノンのジエノールシリルエーテルから、過酢酸溶液製剤を使用する酸化的ヒドロキシル化により合成した。過酢酸溶液は以下のようにして製造した:
Cat. H2SO4
(CH3CO)2O + 30% H2O2 + HOAc → AcOH 及び Ac2O 中 9.0 wt.% AcO3H
RT
【0047】
無水酢酸(80.0g)及び濃硫酸(0.15g又は約6滴)を、周囲温度において、メカニカルスターラー、熱電対、窒素入口アダプター及び追加ロートを備えた清浄な乾燥した丸底フラスコ(3首, 250ml)に添加した。該混合物を、窒素雰囲気下、約10±3℃に冷却した。追加ロートを通して、14.0gの30%過酸化水素水溶液をゆっくりと添加した。過酸化水素の添加は、内容物の温度をNMT 27℃に一定に維持するよう滴下して行った(過酢酸の形成及び無水酢酸の加水分解は非常に発熱性であり、冷却が絶対的に不可欠であるが、バッチを過冷却することは推奨されない)。添加完了後、バッチを、約30分間、10±3℃の浴中で撹拌した。次いで、酢酸(10.0g)を追加ロートを通して添加し、バッチをゆっくりと25±5℃まで温めた。さらに、該バッチをさらに1時間撹拌した(予期せぬ発熱を避ける様、その間ずっと、バッチは水浴中に保存すべきである)。
【0048】
実施例 4
コデイノンジエノールシリルエーテルからの 14− ヒドロキシコデイノンの製造
周囲温度(22±5℃)の過酢酸溶液(9.0wt.% 過酢酸 107.7g)を、メカニカルスターラー及び熱電対、窒素入口アダプター及び追加ロートを備えた反応フラスコ(3首, 500ml)に追加した。コデイノンのジエノールシリルエーテル(41.7g)の20wt.%ストック溶液を、約5分間かけて追加ロートを通して添加し、内容物の温度をNMT 28℃に維持した。該バッチを少なくとも3時間22±5℃において撹拌した。反応が完了したか試験するために、少量のサンプルをバッチから取り、飽和重炭酸ナトリウム溶液で冷却し、エチルアセテートで抽出した。EtOAc層をTLCプレート上に点状に置き、続いてコデイノンの出発ジエノールシリルエーテルが消失しているかチェックした。TLC移動層は、ジクロロメタンとメタノールの95:5溶液に、3〜5滴の濃水酸化アンモニウムを加えた混合物である。反応が完了していないと判断したとき、該混合物を同じ温度でさらに2時間撹拌し、次いで、TLCにより再度分析した。また、反応の完了を、10gの過酢酸(9.0 wt.%)を添加し、さらに1時間撹拌することにより促進した(次いで、TLCを使用してもう一度分析した)。
【0049】
反応が完了したことを確認した後、20.0gの10 wt.%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を一度に添加し、得られた混合物を周囲温度において10分間撹拌した。次いで、バッチを減圧下、温度 NMT 45℃で乾燥状態まで濃縮した。続いて、水(180g)、トルエン(69g)、エチルアセテート(36g)を添加し、約10分間激しく撹拌した。
【0050】
得られた層を分離し、水層をフラスコに保存した。有機層を26mlの2.5%HCl溶液で3回洗浄した。次いで、一緒にした水層を、(水で)湿らせたハイフロ−スーパーセル(hyflo−supercel)フィルターエイドのパッドを通して濾過した。続いて、EtOAc(85g)を濾液に添加し、水層のpHを約11に調整する量の濃水酸化アンモニウムを添加した。該混合物を約60℃において10分間撹拌し、層を分離して保存した。水層をEtOAc(50g)で洗浄し、捨てた。一緒にした有機層を減圧下、温度 NMT 50℃において乾燥状態まで濃縮した。残渣に、2−プロパノール(13g)を添加し、得られた混合物を5〜10℃において少なくとも5時間撹拌した。固体を濾過し、フラスコと固体を、冷却した(5℃)濾液ですすぎ、続いて冷却した(5〜10℃)2−プロパノール(10g)及びヘプタン(8g)ですすいだ。次いで、固体を、温度 NMT 50℃において一定重量まで減圧乾燥した。収量3.50〜4.96g(55%−78%)の14−ヒドロキシコデイノン遊離塩基を、96A%を超える純度で得た。
【0051】
実施例 5
接触水添による 14− ヒドロキシコデイノンからのオキシコドンの製造
14−ヒドロキシコデイノン(4.98g)及び酢酸(155g)を、水素入口及び出口コネクターを備えたParrシェーカーに添加した。該混合物を約5分間振り動かし、周囲温度において14−ヒドロキシコデイノンを完全に溶解させた。次いで、該系を除去し、Parrシェーカーを窒素で満たした。窒素雰囲気下、一度に、10% Pd/C(50%水潤, 4.0g)を添加した。次いで、該系を除去し、約38psiの圧力まで水素ガスで満たした。次いで、供給タンクからの水素入口を閉じ、初期の圧力38psiにおいて約3時間(周囲温度)において、該混合物を振り動かした。3時間振り動かした後、該系を除去し、窒素で満たした。内容物を、ハイフロ−スーパーセル濾過パッド(3g, 水で湿らせたもの)で濾過した。次いで、Parrビンと湿った塊とを酢酸(2×21g)ですすいだ。濾液を、減圧下、温度 NMT 50℃において、減圧状態まで濃縮した。次いで、残渣を脱イオン水(50g)に溶解させ、20% KOH水溶液及び濃水酸化アンモニウム(4g)を使用して、pHを約11.0〜12.0に調整した。次いで、該混合物をエチルアセテートで抽出し(4×135g)、一緒にした有機層を減圧下、乾燥状態まで濃縮した。HPLC純度が85A%を超える収量3.51〜4.26g(70.0〜85.0%収率)の粗オキシコドンを得た。
【0052】
実施例 6
触媒移動水添法による 14− ヒドロキシコデイノンからのオキシコドンの製造
14−ヒドロキシコデイノン(4.98g)及び酢酸(137g)を、メカニカルスターラー、追加ロート、熱電対及び窒素入口アダプターを備えた反応フラスコ(3首, 250ml)に添加した。該系を除去し、フラスコを窒素で満たした。続いて、5% Pd/C (50% 水潤, 3.0 g)を、窒素雰囲気下、一度に添加した。該混合物を、周囲温度(22±5℃)において約5分間撹拌しながら、次亜燐酸ナトリウム(6.0g)の脱イオン水(25g)溶液を調製した。該次亜燐酸ナトリウム水溶液を追加ロートに移し、約30分かけて、内容物の温度を約22±5℃に維持しながら反応混合物に添加した。次いで、該混合物を約45℃に温め、約1時間撹拌した。
【0053】
反応が完了したか確認するために、少量のサンプルをバッチから取り、該サンプルを、シリンジフィルターにより、エチルアセテートと飽和重炭酸ナトリウム溶液の混合物中に濾過した。抽出後、有機層を乾燥状態まで濃縮し、残渣をHPLC移動層により溶解させた。14−ヒドロキシコデイノンの消失を確認した。反応が完了していないと判断した場合、バッチをさらに2時間45℃において撹拌し、HPLCチェックをもう一度行った。
【0054】
反応が完了したことを確認した後、窒素雰囲気下、バッチを周囲温度(22±5℃)まで冷却し、ハイフロ−スーパーセル濾過パッド(3.0g, 水で湿らせたもの)で内容物を濾過した。フラスコと湿った塊を酢酸(20g)ですすいだ。濾液を、減圧下、温度 NMT 50℃において、ほぼ乾燥状態まで濃縮した。 残渣を脱イオン水(50g)により溶解させ、20% KOH水溶液と濃水酸化アンモニウム(約4g)により、pHを11.0〜12.0に調整した。次いで、該混合物をエチルアセテートで抽出し(4×135g)、一緒にした有機層を減圧下で乾燥状態まで濃縮した。85A%を超えるHPLC純度を有する粗オキシコドンを、収率70.0〜85.0%(3.51〜4.26g収量)で得た。
好ましい態様について本発明を説明してきたが、当業者であれば、添付の請求の範囲に規定される本発明の趣旨又は範囲から離れることなく、種々の変更及び/又は改変を行うことができることを容易に理解するであろう。
発明の属する技術分野
本発明は、オキシコドンの改良した製造方法に関する。特に、本発明は、反応スキームにおいて、テバインの使用又は合成を必要としない、高収率でオキシコドンを製造する方法に関する。
【0002】
関連技術の背景
Papaver somniferumの鎮痛活性は、非常に古くから知られている。このケシ植物の未熟の実のさく果に由来する乳白色の液体が強い薬理学的特性を有すると長い間理解されてきた。該液体を乾燥し、粉末化した形態のものがアヘンといわれている。アヘンは、Papaver somniferumの未熟の実のさく果から得られる液体を約10%含有する。
19世紀初頭、アヘンは、多数のアルカロイド化合物を含有すると認識されていた。単離された最初のアルカロイドはモルヒネであると、Serturner, 1805に記載されている。コデイン(Robiquet 1832)、パパベリン(Merck 1848)、テバイン、オリパビン(oripavine)及びノスカピン(noscapine)を含む、他のアルカロイドも直単離された。19世紀中頃までに、粗アヘン製剤よりも純粋なアルカロイドを使用することが医療の慣行として確立された。現在では、アヘンは20を超える別個のアルカロイドを含有することが知られている。
【0003】
一般的に、アヘンアルカロイドは以下の5つの別個の化学的な分野に分類することができる:フェナントレン、ベンジルイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、クリプトピン及び種種のもの(Remington’s Pharmaceutical Sciences 433, 1975)。治療上有用な薬剤は、フェナントレン及びベンジルイソキノリン類から主に単離される。主なフェナントレンは、モルヒネ(アヘンの約10%)、コデイン(アヘンの約0.5%)及びテバイン(アヘンの約0.2%)である。主なベンジルイソキノリンは、パパベリン(アヘンの約1.0%)及びノスカピン(アヘンの約6.0%)である。
モルヒネ自身は、部分的に水添されたフェナントレン環系を含む5員環構造を有する。モルヒネの各環は以下に記載されるように命名されている。
【0004】
【化4】
【0005】
モルヒネは、以下に示すA、B、C及びEを含む、当業界においてモルフィナン環構造と呼ばれているものを含む。
【化5】
【0006】
モルヒネ誘導体の置換基の位置番号は、以下に示す2つの一般的命名法に従う:
【化6】
【0007】
以下、2番目(ケミカルアブストラクト)の位置番号を参照して説明する。
モルヒネの最初の全合成は、1952年に発表されている(Gates et al., 74 J. Amer. Chem. Soc., 1109, 1952)。しかしながら、モルヒネの実験室的合成は困難であるため、該薬剤は依然としてアヘンから得られているか又はケシ藁から抽出されている(Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 489, 1990)。天然に発生するアヘンアルカロイドの半合成誘導体が、今日医学界で広く使用されている。構造修飾により変更し得るオピオイドの重要な特性のなかで、様々な種のオピオイドレセプターに対する化合物の親和性、代謝性分解に対する耐性、脂質溶解性及びアゴニスト対アンタゴニスト活性がある。
【0008】
今日、医師の処方箋がなければ入手できない鎮痛性の薬剤であるコデイン、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルフォン、オキシコドン及びオキシモルフォンは全て、モルヒネのコンジナーである。米国で医薬的に使用されているモルヒネの他の構造類縁体は以下の通りである:レボルファノール、ナルメフェン(nalmefene)、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール及びナルブフィン(nalbuphine)。レボルファノール等のモルヒネ類似体の幾つかは、コールタール誘導体から合成可能である非オピエートモルフィナン核を経由して総合的に合成的に製造することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences 1039, 1975)。
【0009】
今日医学界で使用されている多くのモルヒネ構造類似体のなかで、コデインとオキシコドンのいずれもが広く使用されている。
コデインは、3−メチル化モルヒネである。コデインの鎮痛効力は、モルヒネの鎮痛効力の1/7未満である(Foye, Medicinal Chemistry, 254 (1975))。しかしながら、コデインは、モルヒネよりもかなり良好な経口バイオアベイラビリティを有するので(3−メトキシ基は、迅速な初回通過生体内変換からコデインを保護すると考えられている−モルヒネの経口的作用は、主として3−ヒドロキシル基におけるグルクロニド結合により終わる)、両化合物を経口投与したとき、コデインの効力は、体重基準で、モルヒネの効力の4倍よりも小さいにすぎない(Drug Facts & Comparisons 1246, 1996)。アヘンから直接得られるコデインも幾つかあるが、そのような抽出から得られる量は、広範囲なアルカロイドの用途に見合うのに充分ではない。コデインに対するニーズは、モルヒネから化合物を部分合成することにより満たされている(Remington’s Pharmaceutical Sciences 1038, 1975)。
【0010】
オキシコドンは、質的にモルヒネの作用に似た複数の作用を有する半合成起源の白色、無臭の結晶性粉末である。
【化7】
【0011】
治療上価値ある主な作用は、鎮痛及び鎮静である。経口投与したときに、その鎮痛活性の少なくとも1/2が保持される点で、コデイン及びメタドンに似ている。オキシコドンは、鎮痛作用だけでなく、抗不安(anxiolysis)、咳反射の抑制、陶酔及びリラックスする感じを含む他の治療上の効果を生ずる純粋なアゴニストオピオイドである。体重を基準として、オキシコドンの効力は経口的に投与されたときモルヒネのおよそ2倍である(Drug Facts & Comparisons 1246, 1996)。オキシコドンは典型的には、中程度に激しい痛みに対する中程度の軽減に指示されている(Drug Facts & Comparisons 1259, 1996)。
テバインは、モルフィナン環構造も含むが、モルフィナンC環のヒドロキシル基がメトキシ基により置換されており、”C” 環が2つの二重結合△6,7, △8,14を有する点でコデインと異なる(すなわち、テバインは両ヒドロキシル基がメチル化されており、“C”環が2つの二重結合−− △6,7, △8,14を有する)。
【0012】
【化8】
【0013】
テバインは実質的に鎮痛活性に欠けるので、薬理学的効果においてモルフィナン化合物の構造を少し変更した化合物が有する効果を示す(Foye, Medicinal Chemistry, 256 (1975))。
それ自身は医学的有用性に欠けるが、テバインは、オキシコドン(Freund et al., 94 J. Prak. Chemie 135 − 178, 153, 1916; See Physician’s Desk Reference, 2569, 54th Ed. 1999)、ナロキソン、ナルトレキソン及びナルブフィン(U.S. Patent No. 4,795,813、第1欄16−21行参照)を含む多くの有用なオピエート−誘導体(See, Barber et al., 18 J. Med. Chem. 1074−107, 1975)の合成における鍵中間体として著しく重要である。テバインは、天然に発生するモルヒネアルカロイドのうち、唯一の公知のΔ6,8−ジエン化合物である(Seiki, 18 Chem. Pharm. Bull. 671−675, 1970)。
【0014】
オキシコドンは、テバインから以下のようにして製造できる:テバインをギ酸水溶液に溶解させ、30% 過酸化水素により酸化処理をし(Seki, 18 Chem. Pharm. Bull. 671−676, 1970)、アンモニア水で中和して14−ヒドロキシコデイノンを得、パラジウムC触媒により酢酸中で14−ヒドロキシコデイノンを水添する(Remington’s Pharmaceutical Sciences 1041, 1975)。テバインの酸化はまた、酢酸中二クロム酸カリウム(Freund et al., 94 J. Prakt. Chem. 135, 1916)又は過ギ酸(Iljima et al., 60 Helv. Chim. Acta 2135−2137, 1977)を使用しても行うことができる。しかしながら、酢酸−トリフルオロ酢酸混合物中、m−クロロ過安息香酸で酸化することにより収率が向上すると報告されている (Hauser et al., 17 J. Med. Chem. 1117, 1974; See also, U.S. Patent No. 4,795,813 to Schwartz, Col. 1, Lines 22 − 26)。収率はまた、約30psiの圧力下で14−ヒドロキシコデイノンを水添することにより向上させることもできる(Krassnig et al. 329 Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 325 − 326, 1996)。
【0015】
多くの医薬製剤の合成において特に有用であるものの、テバインは、Papaver somniferum中最も量が少ないフェナントレンアルカロイドである。その希少性のため、出発物質として他のより豊富なオピオイド化合物を使用する、この独特のアルカロイドを得る方法が多くの研究者が提案により提案されてきた。
【0016】
Seki(18 Chem. Pharm. Bull. 671−676, 1970)は、天然アルカロイドコデインから得ることができる、コデイノン等のα,β−不飽和ケトンから、テバイン等のΔ6,8−ジエン化合物を製造する方法を開示している。p−トルエンスルホン酸(反応前に脱水したもの)、無水メタノール及び乾燥ベンゼンの混合物にコデイノンを添加し、水を共沸除去しながら該溶液を3時間還流し、希水酸化ナトリウムで洗浄することにより反応混合物を精製してテバインを得ている。報告されている最大収率である26.8%は、p−トルエンスルホン酸とコデイノンとを1.1−.15モル当量で使用したときのものとして報告されている。Eppenbergerら(51 Helv. Chim. Acta 381, 1968)は、ジヒドロコデイノンをテバインに変換する4工程の方法を報告している。該方法によれば収率は同じく27%である。Schwartzら(97 J. Am. Chem. Soc. 1239, 1975)は、鍵工程がレチクリン(reticuline)誘導体をサルタリジン(salutaridine)誘導体に酸化的に結合させるものである、テバインの全合成を示している。しかしながら、dl−テバインの全収率は、イソバニリンを基準としてわずかに1〜2%の範囲であった。有機又は無機酸ハライド或いは酸無水物とのサルタリジノールの反応、それに続く強塩基による処理は、SoharらのU.S. Patent No. 3,894,026においてテバイン製造方法として教示されている。50.3% 程度の収率が報告されている(第4欄29行参照)。Barberら(18 J. Med. Chem. 1074−1077, 1975)は、コデイン及びモルヒネからのテバイン(並びにオリパビン(oripavine))の合成を報告している。Barberらは、コデインのカリウム塩をメチル化してコデインメチルエーテルを得、次いでγ−MnO2で酸化する方法を教示している(Rapoportら, U.S. Patent No. 4,045,440, 1977もまた参照のこと)。これらの著者らは、コデインからのオキシコドンの67%の収率について権利要求している。同様に、欧州特許出願No. EP 0 889 045 A1は、より容易に入手できるモルフィナンコデイン及びモルヒネからテバインを製造する方法を教示している。そのような方法では、出発物質をアルカリ金属又は四級アンモニウムカチオンに変換すること及び該物質を式RXの化合物(式中、Rはアルキル又はアシル基であり、及びXは脱離基である)と反応させることを提供している。
【0017】
上述の方法は全て、合成及び半合成方法によりテバインの供給量を増やす様に工夫されているが、モルヒネやコデインに比べてテバインが比較的高価であるという事実が残っている。
他の治療上有用なオピオイドを形成するのに出発物質としてテバインを使用することはまた、それが比較的希少であることとは無関係な欠点、すなわちテバインが公知の痙攣薬であり、ストリキニーネ様痙攣を引き起こし得る欠点(低投与量においても)(Foye, Principles of Medicinal Chemistry 255, 1975; The Merck Index, 9203 (11th Edition), 1989)も有することになる。それ故、いかなる合成スキームにおいてもテバインを使用することは、有意な危険性を含み、多くの注意を払うことを要する。テバインが比較的高価であること、及びその毒性潜在性を考慮すると、別の合成方法を開発して、テバインから現在合成されている多くのオピオイドコンジナーを、より安価でより毒性の低い物質から製造し得るのが好ましい。
【0018】
U.S. Patent No. 2,654,756には、テバインからコデイノン、ジヒドロコデイノン及びジヒドロモルヒネを合成するよりも、コデインをこれらの化合物に変換する方法が開示されている。変換は、 アルミニウムアルコキシドの存在下、あるケトンを使用する酸化により行われている。同様に、テバイン中間体を使用することなく、コデインからナロキソン、ナルトレキソン及びナルブフィン(オピオイドアンタゴニスト)等の14−ヒドロキシモルフィナンを製造す方法もまた、開示されている(Schwarz, U.S. Patent No. 4,472,253、及びSchwartz and Wallace, 24 J. Med. Chem. 1525−1528, 1981参照)。しかしながら、今日までに、テバインが有するものを超える有意に向上した毒性及び費用プロファイルを有する、容易に入手できる出発物質からオキシコドンを製造する経済的な方法は提案されていない。
【0019】
発明の簡単な概要
本発明は、反応スキームにおいてテバイン中間体を使用することを必要としない、高収率でオキシコドンを製造する改良方法を提供する。開示した方法は、コデイン又はモルヒネ等のモルフィナン様環構造を有する化合物を、オキシコドン合成用の出発物質として使用する。本発明の方法は以下の工程を使用する:出発物質をモルフィノン(morphinone)環構造を有する化合物に変更する工程、オルガノシリル化合物と該出発物質とを反応させることにより、モルフィナン様環構造のC環においてジエノールシリルエーテルを製造する工程、該シリルエーテルを酸化する工程、及びC環における不飽和を水添する工程。ジエノールシリルエーテルの形成は、C環の効率的なジエノール化により促進される。これは、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)等の強アミン塩基の存在下、α,β−不飽和ケトン及びオルガノクロロシラン反応体を反応させることにより提供される。オルガノシリル反応体、例えば、トリオルガノシリルクロリドはケイ素原子において立体障害があるのが好ましい。
【0020】
本発明の態様は、2つの酸化工程を使用する、コデインからオキシコドンを製造する方法を含む。ここで、一の酸化工程はヒドロキシル基をケトンに酸化する工程を含み、もう一つの酸化工程はジエノールシリルエーテルの酸化的ヒドロキシル化を含む。特に、オキシコドン遊離塩基は、強アミン塩基(好ましくはジアザビシクロ塩基)の存在下、コディエノン(codienone)のジエノールシリルエーテル誘導体を形成し、該シリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成し、及びモルフィナンC環不飽和を水添してオキシコドンを形成することにより、商業的に妥当な収率で製造される。
【0021】
本発明の一態様において、コデイン遊離塩基からオキシコドンを合成する改良方法を提供する。この態様において、標準的な酸化剤、例えばMnO2、Na2WO4/H2O2、Pd(OAc)2/O2等及び/又は標準的な酸化方法、例えばSwern/Moffat−type酸化(DMSOベース酸化)、Oppenauer−type酸化(アルミニウムアルコキシド及びシクロヘキサン又は他のケトンを使用する)を使用して酸化することにより、コデイン遊離塩基をコデイノンに変換する。好ましい酸化剤はBaMnO4及びOppenauer酸化を含む。次いで、コデイノンを、ハロゲン等の効果的な脱離基を有するオルガノシリル化合物と反応させる。得られるジエノールシリルエーテル誘導体を次いで酸化剤により酸化して14−ヒドロキシコデイノンを得る。過酢酸溶液を使用すると、モルフィノンC環のジエノールシリルエーテルを効率的に14−ヒドロキシコデイノンに酸化できることが分かった。続いて、C環における不飽和を水添するが、例えば、酢酸中触媒移動(catalytic transfer)水添又は加圧接触水添により達成できる。このような方法により製造されるオキシコドンは、およそ80%の高収率で得られることが分かった。
【0022】
本発明の新規な点の一つは、商業的に有用な量の、モルフィナン環構造を有する治療上使用されるオピオイドアルカロイドを、テバイン中間体によらず、強アミン塩基、好ましくはDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)等のジアザビシクロ塩基の存在下(ジエノールシリルエーテル誘導体のエノール化及び促進を向上させるため)、モルフィノン環構造を有する化合物とオルガノシリル反応体とを反応させ、次いでジエノールシリルエーテル基を酸化することにより得ることができることを発見したことである。
【0023】
発明の詳細な説明及び好ましい態様
コデイン及びモルヒネ(2つとも比較的安価なオピオイドアルカロイドである)からオキシコドンを製造するための多くの反応スキーム設計による相当な実験の後、本発明者らは、産業上許容できる収率のオキシコドンを提供するオキシコドンの製造に関する独自の反応スキームを発見した。本発明により、オキシコドンの製造に関連する従来技術の多くの問題点が解消し、比較的高価で、希少な有毒アルカロイドであるテバインを使用しないオキシコドン製造の合成スキームを提供する。
【0024】
本発明者らは、α,β−不飽和ケトン構造を有するモルフィノン化合物のC環のエノール化は、DBU又はDBN及び同様のジアザビシクロ塩基等の強アミン塩基にさらすことにより有意に増強されることを発見した。ジエノールシリルエーテルの形成(該環を有するケトンと有効な脱離基を有するオルガノシリル化合物とを反応させることによる)は、強アミン塩基の存在下、反応を行うことにより非常に向上した。本発明者らはさらに、コデイノンのジエノールシリルエーテル(6位において形成されるシリルエーテル(ケミカルアブストラクト置換基−位置番号付けによる))を使用して、シリルエーテルを酸化することにより14−ヒドロキシコデイノンを直接形成することができることを発見した。好ましい態様において、酸化は室温において約3時間行われる。コデイノンのジエノールシリルエーテルは、トルエン又は他の同様の溶媒に溶解させることができる。酸化は、過酢酸又は他の過酸を使用して比較的高収率で効果的に行うことができる。14−ヒドロキシコデイノンを水添することにより、オキシコドンを得る。好ましい水添反応は、パラジウム−炭素触媒と共に水素ガス又はNaH2PO2を使用するものであり、14−ヒドロキシコデイノンは、酢酸水溶液等の弱い酸性溶液に溶解する。
【0025】
本発明の一態様によるコデインのオキシコドンへの変換において形成される中間体化合物等のコデイノンジエノールシリルエーテルは、Jen−Sen Dungの継続中の欧州特許出願 No. EP 0 889 045 A1に開示されている。しかしながら、該公報は、本発明の非自明性に関して示唆するものではない。
テバインが高価であり比較的希少なものであることを認識して、EP 0 889 045 A1(上述)には、テバイン及びその類縁体の製造方法が教示されている。コデイノン tert−ブチルジメチルシリルジエノールエーテル(実施例6)を開示しているが、該特許は、記載されている方法により合成されるテバインからのみオキシコドンを製造する方法を教示するものである(例えば、開示の概要、第1欄25−52行、第5欄24−29行、実施例8参照)。テバイン中間体を合成せずに、tert−ブチルジメチルシリルジエノールエーテルを使用してオキシコドンを製造できる事実については全く認識されていない。さらに、該特許では、モルフィノン環のオルガノシリルジエノールエーテルを商業的に有用な収率で製造する方法を教示するのに失敗している。該文献は、記載されている方法により製造されたコデイン tert−ブチルジメチルシリルジエノールエーテルは、わずか23%の回収された固形状塊を含有する(従って、比較的微量成分の固形状塊を含有する)ことに注目している。EP 0 889 045 A1は、エーテルが形成されるとき反応混合物中に強アミン塩基(該文献により教示されているテトラヒドロフランも)が存在することにより、収率が有意に増強されることについては開示も暗示もしていない。
【0026】
本発明により、商業的に有用な収率、典型的には50%を超える収率、より典型的には80%を超える収率で、コデイノン(酸化によりコデインから容易に得られる化合物)からオキシコドンを提供する。コデイノンは、モルヒネから天然に発生し得るか又は半合成により得られるアルカロイドである、コデインから容易に合成される。コデイノンのオルガノシリルジエノールエーテル接合体へ高度に変換し得る強アミン塩基の存在下、オルガノシリル化合物を反応させることによるものであることが分かった。強アミン塩基は、モルフィノン環構造の”C”環においてα,β不飽和を有する化合物であるコデイノンを強くエノール化する傾向にある一方、オルガノシリル基がエノール形をとると考えられる。コデイノンのオルガノシリルエーテル形はまた、ハロゲン等の効果的な脱離基を有するオルガノシリル化合物を使用することにより、及び、立体的にバルキーなシリコーン基を使用すると促進される。得られるコデイノンのジエノールシリルエーテル形を、多くの標準的な酸化剤を使用して14−ヒドロキシコデイノンを酸化したところ、過酢酸による酸化が極めて効率的であり、約80%収率を得ることが分かった。次いで、C環のα,β−不飽和を水添するよう、14−ヒドロキシコデイノンを接触水添により水添する。酢酸水溶液中での触媒移動水添方法は、R. Krassnigらによって報告されている方法と、ほぼ同じ収率で、同じような不純物パターンで製造することが分かった。
【0027】
本発明の一観点において、以下の工程を含むコデイノンからオキシコドンを製造する方法を開示する:(a) コデイノンのC環の6位においてジエノールオルガノシリルエーテルを製造し、それによりコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;(b)該ジエノールオルガノシリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成する工程;(c)14−ヒドロキシコデイノンのC環における不飽和を水添してオキシコドンを製造する工程。
【0028】
コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーは、以下の式を有するオルガノシリル化合物とコデイノンとを反応させることにより形成するのが好ましい:
R3 3SiX
(式中、R3はアルキル又はアリールであり、3つのR3 基は同じでも異なっていてもよく、及びXはイミダゾール、メシレート、トシレート又はハロゲン等の脱離基である)。オルガノシリル化合物は、例えばDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN (1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)といったジアザビシクロ塩基等の強アミン塩基の存在下、コデイノンと反応させるのが好ましい。ジエノールオルガノシリルエーテルの酸化は、コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを過酢酸により、好ましくはトルエン等の有機溶媒の存在下、処理することにより行うことができる。
【0029】
本発明の別の観点において、以下の式を有する基から選ばれるジエノールシリルエーテルを酸化する方法を開示する:
【化9】
【0030】
(式中、R1はアルキル又はアシルの群から選ばれ、R2は低級アルキル、アリル又はシクロアルキル置換低級アルキルの群から選ばれ、及びR3はアルキル又はアリール基であり、3つのR3基は同じでも異なっていてもよい)。ここで該方法は、(a)ジエノールシリルエーテル化合物と過酢酸とを酸化させる工程及び(b)その後遊離塩基として生成物を単離する処理工程を含む。
本発明のさらに別の観点において、以下の式を有する基から選ばれるジエノールシリルエーテルを形成する方法を開示する:
【0031】
【化10】
【0032】
(式中、R1はアルキル又はアシルの群から選ばれ、R2は低級アルキル、アリル又はシクロアルキル置換低級アルキルの群から選ばれ、及びR3はアルキル又はアリール基であり、3つのR3基は同じでも異なっていてもよい)。ここで、該方法は、以下の式を有する基から選ばれるモルフィナン−6−オンと;
【0033】
【化11】
【0034】
以下の式を有するオルガノシリル化合物とを、
R3 3SiX
(式中、R3はアルキル又はアリール基であり、3つのR3基は同じでも異なっていてもよく、Xはイミダゾール、メシレート、トシレート又はハロゲン等の脱離基である)、強アミン塩基の存在下反応させる工程を含む。強アミン塩基は、ジアザビシクロ塩基であり得、具体的にはDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)及びDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)からなる群から選ばれ得る。Xはクロリドであるのが好ましい。
【0035】
本発明のさらに別の観点は、以下の工程を含むコデインからオキシコドンを製造する方法を含む:(a)コデインからコデイノンへ酸化する工程;(b)コデイノンのC環の6位においてジエノールオルガノシリルエーテルを製造し、それによりコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;(c)ジエノールオルガノシリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成する工程;(d)14−ヒドロキシコデイノンのC環における不飽和を水添してオキシコドンを製造する工程。この態様のコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーは、オルガノシリルハライドとコデイノンとを反応させることにより、好ましくは式:R3 3SiCl(式中、R3は上に定義したとおりである)を有するオルガノシリルハライドを反応させることにより形成することができる。オルガノシリルクロリドは、強アミン塩基の存在下、コデイノンと反応させるのが好ましい。強アミン塩基は、ジアザビシクロ塩基で有り得、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)からなる群から選ばれ得る。ジエノールオルガノシリルエーテルの酸化は、コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを過酢酸で処理することにより行うことができる(この反応は、トルエン等の有機溶媒の存在下で行うことができる)。
【0036】
コデインからオキシコドンを形成する本発明の好ましい方法は、基本的に以下の4工程を含む:(1)コデインからコデイノンへ酸化する工程;(2)コデイノンのオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;(3)シリルエーテルを14−ヒドロキシコデイノンに酸化する工程;及び(4)部分的に不飽和の非芳香族C環を水添してオキシコドンを製造する工程。以下にその概略を示したようにその詳細を説明する。
【0037】
【化12】
【0038】
コデインからコデイノンへの酸化は、当業者に公知の以下の多くの方法により行うことができる:CrO3/TBHP酸化、二クロム酸酸化、Na2WO4/過酸化物酸化、BaFeO4酸化、含水ZrO2/ケトン酸化、CrO2を使用する酸化、二酸化マンガンを使用するHighet酸化(Highet et al., 77 J. Am. Chem. Soc. 4399, 1955)、アルミニウムイソプロポキシド及びシクロヘキサノンを使用するOppenauer酸化(See, U.S. Patent No. 2,654,756 to Homeyer et al.)、タングステン酸ナトリウム活性化過酸化物酸化 (Sato et al., 119 J. Am. Chem. Soc. 12386, 1997)、Swern/Moffatt型(DMSOベース)酸化、パラジウムアセテート触媒有酸素性酸化及びマンガン酸バリウム酸化(See, Nishimura et al., 39 Tet. Let. 6011)。
【0039】
当業者には理解されるように、いかなる酸化方法に関しても、反応体の濃度、反応混合物の酸性度、溶媒和剤の存在又は不存在等の反応条件の調節は、酸化生成物の収率に影響を与え得る。例えば、マンガン酸バリウム酸化に関し、反応混合物を約0℃に維持し、溶媒の極性を調節して収率を向上させるのが好ましい。Oppenauer酸化に関し、トルエンを反応スキームに添加すること、並びに触媒量のアルミニウムイソプロポキシドを添加する前にコデイン/トルエン溶液から水を共沸除去すること、及びアルミニウムイソプロポキシドを添加している間及びその後に留出物を捕集することにより収率を上げることができる。Swern/Moffatt型酸化におけるように多くの可能性のある反応体の間で選択し得、オキサリルクロリド、TsCl、P2O5、TFAA、Ac2O、PySO3、Ts2O、SOCl2、DCC、DIPC、シアヌール酸クロリド、ClSO2NCO、(MeSO2)2O、Cl2、温風等を含む、DMSO中の多くの活性化剤を使用することができる。
【0040】
コデイノンのジエノールシリルエーテルの形成
オルガノシリル化合物 R3 3SiXと反応させることにより、コデイノンを変性して6位(ケミカルアブストラクト命名)においてシリルエーテルを形成することができる。好ましいオルガノシリル化合物は、ケイ素原子において立体障害があり、脱離基として塩素を有するものであることが分かった。エノール化コデイノンは、tert−ブチルジメチルクロロシラン又はトリエチルクロロシラン等のトリアルキルクロロシランにより効率的に捕捉された。しかしながら、トリメチルシリルエーテルは、迅速に加水分解されることが分かった。コデイノンのエノール化、及びジエノールシリルエーテルの形成は、DBU又はDBN等の強アミン塩基の存在により促進されることが分かった。LDA、DABCO、DIPEA、TEA、イミダゾール、N−メチルモルホリン、HMDS−Li塩、ヘキサメチルジシラザン及びアルミニウムイソプロポキシド等の他の塩基では、所望量のジエノールシリルエーテルが得られなかった。
【0041】
コデインのジエノールシリルエーテルの 14− ヒドロキシコデイノンへの酸化
コデイノンのジエノールシリルエーテルから14−ヒドロキシコデイノンへの酸化は、当業界において公知の多くの酸化剤及び方法を使用して行うことができる。例えば、ジエノールシリルエーテルは、Swernにより報告されている方法に従って、過酸化水素−遊離過ギ酸混合物中で、MnO2又は過ギ酸を使用して酸化することができる(D. Swern, Organic Reactions VII, 378, 1953)。しかしながら、好ましい酸化方法は、無水酢酸、過酸化水素及び触媒量の硫酸から製造される過酢酸を使用するものであることが分かった。過酢酸溶液のエージング及び無水酢酸による処理は、おそらくはあらゆる遊離の過酸化水素を除くことにより最適な酸化(ヒドロキシル化)を向上させることが分かった。25日経過するまでの無水過酢酸がもっとも効果的であることが分かった。14−ヒドロキシコデイノンの収率はまた、混合物中の酸化剤のモル比及び%により影響されることが分かった。最適な酸化条件は、種々のオルガノシリルエーテルにより変わり得る。例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)が存在すると、コデイノンのトリエチルシリルジエノレートの酸化を向上させることが分かった。14−ヒドロキシコデイノンの単離は、亜硫酸水素ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理し、酢酸溶媒及びジシロキサン又はシラノール及びN−オキシド等の中性の副生物を除去(減圧下)し、酸/塩基処理方法により、消費された過酢酸を失活することを含み得る。コデイノンのt−ブチルジメチルシリルジエノレート又はトリエチルシリルジエノレートの酸化により、同様の収率の14−ヒドロキシコデイノン(又はその酸塩)を提供し得る。過酢酸によるコデインのトリエチルシリルジエノールエーテル及びt−ブチルジメチルシリルエーテルの酸化は、約80%を超える収率で14−ヒドロキシコデイノンを製造することが分かった。
【0042】
14− ヒドロキシコデイノンからオキシコドンへの水添
14−ヒドロキシコデイノンを、C環中のα,β−不飽和を水添することにより、オキシコドンに変換した。水添は、14−ヒドロキシコデイノンのオキシコドンへの水添について公知のあらゆる方法を使用して行うことができる。例えば、ジフェニルシラン及びPd(Ph3P)/ZnCl2を使用して14−ヒドロキシコデイノンを還元することができ、同様に酢酸水溶液中Pd/C触媒と結合した次亜燐酸ナトリウムにより、及びPd/C触媒移動水添により還元することができる。
以下の実施例により、本発明の様々な態様を具体的に説明する。しかしながら、以下の実施例により請求の範囲をいかなるようにも限定して解釈すべきではない。
【0043】
【実施例】
実施例 1
コデインからコデイノンを形成する
コデインサルフェート三水和物を酸化することによりコデイノンを製造した。コデインサルフェート三水和物(10.4g)、脱イオン水(20g)及びイソプロピルアセテート(87.2g)を含有する反応混合物を周囲温度において調製した。該反応混合物を撹拌し、得られた混合物を約20±5℃に冷却した。濃水酸化アンモニウム(18.0 g)を数回に分けて添加し、該混合物を撹拌しながら約20±5℃において維持した。約15分間撹拌し続け、次いで少量の水層を取り、pH値をチェックした。pH値は、11.0〜12.0に維持されているのが有利であり得る。さらに、該水層を分離し、イソプロピルアセテート(35g)で再抽出した。一緒にした有機層(イソプロピルアセテート)を、温度NMT 45℃においてほぼ乾燥状態まで減圧下で濃縮した。残りのイソプロピルアセテート溶媒を、18gのトルエンを添加することにより除去した。次いで減圧下で濃縮処理を繰り返した。さらに、温度NMT 45℃においてトルエン(177g)及びシクロヘキサノン(47.4g)の混合物中に溶解させたコデイン遊離塩基を、マグネチックスターラ、熱電対、冷却器を備えたディーン−スタークトラップ、エキステンダー(高さ約4インチ)を備えた追加ロート及び窒素入口アダプタを備えた反応フラスコに移した。該混合物を、窒素雰囲気下、沸点(約116〜118℃)まで加熱し、26g(30ml)の留出物をディーン−スタークトラップに捕集した。次いで、アルミニウムイソプロポキシド(3.5g)の35.5g(41ml)トルエン溶液を、追加ロートに添加した。加熱速度を調節し、アルミニウムイソプロポキシド/トルエン溶液を、全容量を10−20分(ディーン−スタークトラップにおいて、ほぼ同じ容量(41ml)の留出物が捕集される時間)かけて添加するような速度で反応混合物に添加した。添加完了後、同じような留出速度で、57g(66ml)の留出物がディーン−スタークトラップにおいて捕集されるよう、留出物を捕集し続けた。熱源を除いて該混合物を周囲温度まで約30分かけて(窒素雰囲気下)冷却した。バッチから少量のサンプルを取り、飽和重炭酸ナトリウム溶液及びエチルアセテートにより抽出し、有機層を濃縮し、HPLC移動層に再溶解し、該サンプルをHPLCで分析することにより、反応が完了しているか調べた。コデインの領域%が3.5A%未満のとき、反応が完了したものとした。
【0044】
次いで、19.5gの酒石酸カリウムナトリウム四水和物を、130.5gの脱イオン水に20±5℃で溶解することにより、13 wt.%ロッシェル塩の水溶液を調製した。該ロッシェル塩水溶液(90ml)を、周囲温度において一度に反応混合物に添加し、バッチを約10分間撹拌し、濾過した。両層を取っておいた。有機層を、60mlのロッシェル塩水溶液で洗浄した(両層を取っておいた)。有機層を、30ml塩水と30ml 5%重炭酸ナトリウム溶液との混合物で洗浄した(両層を取っておいた)。次いで、全水層を一緒にして43g(50ml)のトルエンで抽出した。水層を捨てた。次いで、有機層を一緒にし、温度NMT 55℃において、減圧下、ほぼ乾燥状態まで濃縮した。22グラム(25ml)のトルエンを添加し、得られた有機層を減圧下で2倍以上濃縮し、残りのシクロヘキサノンを除去した。続いて、11.8g(15ml)の2−プロパノールを添加し、混合物を窒素雰囲気下において少なくとも8時間0〜5℃においてスラリー状にした。次いで、固体を濾過し、フラスコ/湿った塊を、冷却した(約5℃)回収した濾液ですすいだ。フラスコ中に固体が残っていなくなるまで繰り返しすすいだ。次いで、冷却した湿った塊を、冷却した(5〜10℃)2−プロパノール(12g, 15ml)ですすぎ、フィルター乾燥した。湿った塊をヘプタン(6.8g, 10ml)ですすぎ、フィルター乾燥した。得られた固体を温度NMT 50℃において一定重量まで減圧乾燥した。収量5.2〜6.45g (65.4〜81.2%)のオフホワイトの固体を、HPLC純度約96A%〜99.3A%で得た。化合物を冷暗所で保存した。
【0045】
実施例 2
コデイノンのジエノールシリルエーテルの製造
トルエン(104g)と共にコデイノン(6.0g)を、メカニカルスターラー、熱電対、冷却器を備えたディーン−スタークトラップ、及び窒素入口アダプターを備えた反応フラスコに添加した。バッチを還流温度まで加熱し、約27.7g(32ml)の留出物をディーン−スタークトラップ中に捕集した。次いで、内容物を窒素雰囲気下で20±5℃に冷却した。DBU(4.22g)のトルエン(3g)溶液を、一度に添加した。続いて、t−BDMSiC1(4.22g)のトルエン(5g)溶液を同様に一度に添加した。バッチをゆっくりと58±3℃まで温め、この温度で約2時間撹拌した。少量のサンプルをバッチから取り、それをエチルアセテートと飽和重炭酸ナトリウム溶液との混合物で抽出し、有機層をTLCプレート上に点状に置き、その後、ジクロロメタンとメタノールとの9:1混合物に3〜4滴の濃水酸化アンモニウムを添加した移動層で抽出することにより、反応が完了しているか判断した。反応が完了していないと判断した場合、58±3℃においてさらに2時間撹拌し続け、TLCチェックをもう一度行った。又は、約5〜10%超のDBU及びtBDMSiC1を反応混合物に同じ温度で添加することにより、反応を完了させた。次いで、内容物を20±5℃に冷却し、5%重炭酸ナトリウム溶液(80ml)と60ml水との混合物を一度に添加した。約10分間撹拌続けた。次いで、水層を分離して捨てた。有機層を、50ml塩水と50ml飽和塩化アンモニウム溶液の混合物で洗浄した(水層を捨てた)。有機層を温度NMT 50℃において、減圧下、ほぼ乾燥状態まで濃縮し、33.2gのトルエンで残渣を希釈して20 wt.%のストック溶液とした。収量はほぼ定量的であった。ストック溶液は、周囲温度、窒素雰囲気下で、少なくとも6月間安定であることが分かった。
【0046】
実施例 3
過酢酸溶液の調製
14−ヒドロキシコデイノンを、コデイノンのジエノールシリルエーテルから、過酢酸溶液製剤を使用する酸化的ヒドロキシル化により合成した。過酢酸溶液は以下のようにして製造した:
Cat. H2SO4
(CH3CO)2O + 30% H2O2 + HOAc → AcOH 及び Ac2O 中 9.0 wt.% AcO3H
RT
【0047】
無水酢酸(80.0g)及び濃硫酸(0.15g又は約6滴)を、周囲温度において、メカニカルスターラー、熱電対、窒素入口アダプター及び追加ロートを備えた清浄な乾燥した丸底フラスコ(3首, 250ml)に添加した。該混合物を、窒素雰囲気下、約10±3℃に冷却した。追加ロートを通して、14.0gの30%過酸化水素水溶液をゆっくりと添加した。過酸化水素の添加は、内容物の温度をNMT 27℃に一定に維持するよう滴下して行った(過酢酸の形成及び無水酢酸の加水分解は非常に発熱性であり、冷却が絶対的に不可欠であるが、バッチを過冷却することは推奨されない)。添加完了後、バッチを、約30分間、10±3℃の浴中で撹拌した。次いで、酢酸(10.0g)を追加ロートを通して添加し、バッチをゆっくりと25±5℃まで温めた。さらに、該バッチをさらに1時間撹拌した(予期せぬ発熱を避ける様、その間ずっと、バッチは水浴中に保存すべきである)。
【0048】
実施例 4
コデイノンジエノールシリルエーテルからの 14− ヒドロキシコデイノンの製造
周囲温度(22±5℃)の過酢酸溶液(9.0wt.% 過酢酸 107.7g)を、メカニカルスターラー及び熱電対、窒素入口アダプター及び追加ロートを備えた反応フラスコ(3首, 500ml)に追加した。コデイノンのジエノールシリルエーテル(41.7g)の20wt.%ストック溶液を、約5分間かけて追加ロートを通して添加し、内容物の温度をNMT 28℃に維持した。該バッチを少なくとも3時間22±5℃において撹拌した。反応が完了したか試験するために、少量のサンプルをバッチから取り、飽和重炭酸ナトリウム溶液で冷却し、エチルアセテートで抽出した。EtOAc層をTLCプレート上に点状に置き、続いてコデイノンの出発ジエノールシリルエーテルが消失しているかチェックした。TLC移動層は、ジクロロメタンとメタノールの95:5溶液に、3〜5滴の濃水酸化アンモニウムを加えた混合物である。反応が完了していないと判断したとき、該混合物を同じ温度でさらに2時間撹拌し、次いで、TLCにより再度分析した。また、反応の完了を、10gの過酢酸(9.0 wt.%)を添加し、さらに1時間撹拌することにより促進した(次いで、TLCを使用してもう一度分析した)。
【0049】
反応が完了したことを確認した後、20.0gの10 wt.%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を一度に添加し、得られた混合物を周囲温度において10分間撹拌した。次いで、バッチを減圧下、温度 NMT 45℃で乾燥状態まで濃縮した。続いて、水(180g)、トルエン(69g)、エチルアセテート(36g)を添加し、約10分間激しく撹拌した。
【0050】
得られた層を分離し、水層をフラスコに保存した。有機層を26mlの2.5%HCl溶液で3回洗浄した。次いで、一緒にした水層を、(水で)湿らせたハイフロ−スーパーセル(hyflo−supercel)フィルターエイドのパッドを通して濾過した。続いて、EtOAc(85g)を濾液に添加し、水層のpHを約11に調整する量の濃水酸化アンモニウムを添加した。該混合物を約60℃において10分間撹拌し、層を分離して保存した。水層をEtOAc(50g)で洗浄し、捨てた。一緒にした有機層を減圧下、温度 NMT 50℃において乾燥状態まで濃縮した。残渣に、2−プロパノール(13g)を添加し、得られた混合物を5〜10℃において少なくとも5時間撹拌した。固体を濾過し、フラスコと固体を、冷却した(5℃)濾液ですすぎ、続いて冷却した(5〜10℃)2−プロパノール(10g)及びヘプタン(8g)ですすいだ。次いで、固体を、温度 NMT 50℃において一定重量まで減圧乾燥した。収量3.50〜4.96g(55%−78%)の14−ヒドロキシコデイノン遊離塩基を、96A%を超える純度で得た。
【0051】
実施例 5
接触水添による 14− ヒドロキシコデイノンからのオキシコドンの製造
14−ヒドロキシコデイノン(4.98g)及び酢酸(155g)を、水素入口及び出口コネクターを備えたParrシェーカーに添加した。該混合物を約5分間振り動かし、周囲温度において14−ヒドロキシコデイノンを完全に溶解させた。次いで、該系を除去し、Parrシェーカーを窒素で満たした。窒素雰囲気下、一度に、10% Pd/C(50%水潤, 4.0g)を添加した。次いで、該系を除去し、約38psiの圧力まで水素ガスで満たした。次いで、供給タンクからの水素入口を閉じ、初期の圧力38psiにおいて約3時間(周囲温度)において、該混合物を振り動かした。3時間振り動かした後、該系を除去し、窒素で満たした。内容物を、ハイフロ−スーパーセル濾過パッド(3g, 水で湿らせたもの)で濾過した。次いで、Parrビンと湿った塊とを酢酸(2×21g)ですすいだ。濾液を、減圧下、温度 NMT 50℃において、減圧状態まで濃縮した。次いで、残渣を脱イオン水(50g)に溶解させ、20% KOH水溶液及び濃水酸化アンモニウム(4g)を使用して、pHを約11.0〜12.0に調整した。次いで、該混合物をエチルアセテートで抽出し(4×135g)、一緒にした有機層を減圧下、乾燥状態まで濃縮した。HPLC純度が85A%を超える収量3.51〜4.26g(70.0〜85.0%収率)の粗オキシコドンを得た。
【0052】
実施例 6
触媒移動水添法による 14− ヒドロキシコデイノンからのオキシコドンの製造
14−ヒドロキシコデイノン(4.98g)及び酢酸(137g)を、メカニカルスターラー、追加ロート、熱電対及び窒素入口アダプターを備えた反応フラスコ(3首, 250ml)に添加した。該系を除去し、フラスコを窒素で満たした。続いて、5% Pd/C (50% 水潤, 3.0 g)を、窒素雰囲気下、一度に添加した。該混合物を、周囲温度(22±5℃)において約5分間撹拌しながら、次亜燐酸ナトリウム(6.0g)の脱イオン水(25g)溶液を調製した。該次亜燐酸ナトリウム水溶液を追加ロートに移し、約30分かけて、内容物の温度を約22±5℃に維持しながら反応混合物に添加した。次いで、該混合物を約45℃に温め、約1時間撹拌した。
【0053】
反応が完了したか確認するために、少量のサンプルをバッチから取り、該サンプルを、シリンジフィルターにより、エチルアセテートと飽和重炭酸ナトリウム溶液の混合物中に濾過した。抽出後、有機層を乾燥状態まで濃縮し、残渣をHPLC移動層により溶解させた。14−ヒドロキシコデイノンの消失を確認した。反応が完了していないと判断した場合、バッチをさらに2時間45℃において撹拌し、HPLCチェックをもう一度行った。
【0054】
反応が完了したことを確認した後、窒素雰囲気下、バッチを周囲温度(22±5℃)まで冷却し、ハイフロ−スーパーセル濾過パッド(3.0g, 水で湿らせたもの)で内容物を濾過した。フラスコと湿った塊を酢酸(20g)ですすいだ。濾液を、減圧下、温度 NMT 50℃において、ほぼ乾燥状態まで濃縮した。 残渣を脱イオン水(50g)により溶解させ、20% KOH水溶液と濃水酸化アンモニウム(約4g)により、pHを11.0〜12.0に調整した。次いで、該混合物をエチルアセテートで抽出し(4×135g)、一緒にした有機層を減圧下で乾燥状態まで濃縮した。85A%を超えるHPLC純度を有する粗オキシコドンを、収率70.0〜85.0%(3.51〜4.26g収量)で得た。
好ましい態様について本発明を説明してきたが、当業者であれば、添付の請求の範囲に規定される本発明の趣旨又は範囲から離れることなく、種々の変更及び/又は改変を行うことができることを容易に理解するであろう。
Claims (26)
- コデイノンからオキシコドンを製造する方法であって、
(a)コデイノンのC環の6位においてジエノールオルガノシリルエーテルを製造し、それによりコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;
(b)該ジエノールオルガノシリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成する工程;及び
(c)14−ヒドロキシコデイノンのC環中の不飽和を水添してオキシコドンを製造する工程;
を含む前記製造方法。 - コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーが、オルガノシリル化合物とコデイノンとの反応により形成される請求項1記載の方法。
- オルガノシリル化合物が以下の式を有する請求項2記載の方法:
R3 3SiX
(式中、R3はアルキル又はアリール基であり、3つのR3基は同じでも異なっていてもよく、及びXはイミダゾール、メシレート、トシレート又はハロゲンから選ばれる脱離基である。) - R3がC1C4アルキル又はフェニルからなる群から選ばれ、及びXがクロロである請求項3記載の方法。
- オルガノシリルハライドが、強アミン塩基の存在下、コデイノンと反応する請求項2記載の方法。
- 強アミン塩基が、DBU (1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN (1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)である請求項5記載の方法。
- ジエノールオルガノシリルエーテルの酸化が、コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを過酢酸で処理することにより行われる請求項1記載の方法。
- 過酢酸による処理が、有機溶媒の存在下で行われる請求項7記載の方法。
- 有機溶媒がトルエンである請求項8記載の方法。
- コデイノンから14−ヒドロキシコデイノンを製造する方法であって、強アミン塩基の存在下、オルガノシリルハライドを反応させ、得られた生成物を過酢酸により酸化することを含む前記製造方法。
- 強アミン塩基が、ジアザビシクロ塩基である請求項10記載の方法。
- 強アミン塩基が、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)である請求項11記載の方法。
- 強アミン塩基がジアザビシクロ塩基である請求項14記載の方法。
- ジアザビシクロ塩基が、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)である請求項15記載の方法。
- R3が、C1−C4アルキル又はフェニルである請求項14記載の方法。
- Xがクロリドである請求項14記載の方法。
- コデインからオキシコドンを製造する方法であって、
(a) コデインをコデイノンに酸化する工程;
(b) コデイノンのC環の6位においてジエノールオルガノシリルエーテルを製造し、それによりコデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを形成する工程;
(c) 該ジエノールオルガノシリルエーテルを酸化して14−ヒドロキシコデイノンを形成する工程;及び
(d) 14−ヒドロキシコデイノンのC環中の不飽和を水添してオキシコドンを製造する工程;
を含む前記製造方法。 - コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーが、オルガノシリルハライドとコデイノンとを反応させることにより形成される請求項19記載の方法。
- オルガノシリルハライドが、以下の式を有する請求項20記載の方法:
R3 3SiCl
(式中、R3はC1−C4アルキル又はフェニルである。) - オルガノシリルハライドが、強アミン塩基の存在下、コデイノンと反応する請求項20記載の方法。
- 強アミン塩基が、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0.]ウンデセ−7−エン)又はDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)である請求項22記載の方法。
- ジエノールオルガノシリルエーテルの酸化が、コデイノンのジエノールオルガノシリルエーテルコンジナーを過酢酸で処理することにより行われる請求項19記載の方法。
- 過酢酸による処理が、有機溶媒の存在下で行われる請求項24記載の方法。
- 有機溶媒がトルエンである請求項25記載の方法。
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