JP2004501807A - 弾性物品 - Google Patents
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Abstract
弾性物品は積層構造を持ち、外層がポリウレタン組成物を含んでなり、内層がスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)またはスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体またはそのブレンド物である。この物品は、例えば手袋、コンドーム、泌尿器用被覆材またはカテーテルであってもよく、型をポリウレタンの溶液または懸濁液中へ、次いでSISまたはSBSブロック共重合体の溶液または懸濁液中へ逐次浸漬し、次いでポリウレタンの溶液中へ浸漬して物品の形成中に積層構造を「構築する」ことによって製造することができる。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、弾性物品、特に、しかしこれに限定されるものではないが、手袋およびコンドーム、に関するものであり、またこのような物品の製造方法に関する。
【0002】
(背景技術)
手袋(例えば検査または手術のような医療用途)やコンドームのような一般的な弾性物品が多数存在する。このような物品は、適当な形をした型を弾性材料の溶液または懸濁液に浸漬し、この型を溶液/懸濁液から引き上げ、それから溶液/懸濁液の媒体を蒸発させることによって製造することができる。最終物品を製造するのにひとつ以上の浸漬工程を使用してもよい。
【0003】
弾性物品に求められるものは、必要な弾性特性を有することに加えて、それが接触する物質に対して耐性があることであり、酸化に対して優れた抵抗性があって、合理的な物品寿命があることである。生物医学用途での使用を狙いとした物品の多くはγ−線照射による滅菌が必要とされるので、用いる材料の酸化抵抗性は特に重要である。
【0004】
これまで長年、このような用途に選ばれてきた材料は、これから製造される物品が示す柔らかさ、強度および弾性の優れたバランスのために、加硫天然ゴム(NR)ラテックス(その重合体成分はポリイソプレンである)であった。
【0005】
しかし、NRラテックスの使用は、ラテックス蛋白質および加硫工程に由来する促進剤残留物が存在するため決して理想的なものではなかった。これらの化学薬品はしばしば製造された物品の表面に出てきて使用者の組織に吸収されることが起こり得て、その結果アレルギー反応を引き起こす。蛋白質アレルギーに関しては問題は特に深刻であり、NRラテックスに代わる(蛋白質を含まない)合成物質が火急に求められている。
【0006】
NRラテックスはまた、ポリマー内のシス−1,4−イソプレン反復単位内に存在する不飽和炭素−炭素二重結合のため酸化に対して抵抗力が低い。これは物品を製造するために使用される配合処方の中に抗酸化剤を加えることによってある程度緩和することができるが、抗酸化剤もゴムの表面に染み出してきてアレルギー反応または細胞毒反応を引き起こす。
【0007】
これまで使用されてきたひとつの合成弾性材料はS−EB−S(スチレン/エチレン−ブタジエン/スチレンの3元ブロック共重合体)であり、これは必要とされる弾性特性と酸化に対する優れた抵抗性を備えている(シェル社技術文献「クレイトン・ポリマーズ・フォー・アドヒージブズ・アンド・シーランツ」(Shell technical literature ”Kraton Polymers For Adhesives And Sealants”))。したがって、例えば米国特許出願第5,112,900号明細書(US−A−5,112,900)には、2種類またはそれ以上のS−EB−S3元ブロック共重合体から形成される弾性組成物を記載しており、この組成物は強度、感触および環境に対する抵抗性の組合せに優れている。
【0008】
しかし、S−EB−S共重合体はNBラテックスより一般的に硬質であり、ある種の製品用途に好適なものとするには可塑化を必要とする。したがって、米国特許出願第5,112,900号に開示された組成物は可塑剤として鉱物油を組み込んでいる。医用器具に可塑剤が含有されていると、可塑剤は長時間にわたって移行し、その器具を用いると、心身に有害な副作用を生じる血液障害性(leechable)成分を生じ得るので理想的なものではない。
【0009】
弾性物品として用いられてきた更に別の材料はSIS(スチレン/イソプレン/スチレン共重合体)およびSBS(スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体)であり、これらはいずれも強度、弾性および柔らかさの理想的な組合せを備えている。したがって、例えば欧州特許出願第854174号(EP−A−0 854174)にはSIS−3元共重合体とSBS−3元共重合体の混合物と抗ブロッキング剤からなる粉体を含有しない弾性手袋の形成方法が記載されており、欧州特許出願第931633号(EP−A−0 931633)には、スチレンブロック共重合体またはポリプロロプレンであってもよい合成ゴムからなり、弾性ラテックス塗料を手袋に塗布することによる粉体を含まない手袋の別の作成方法が開示されている。
【0010】
しかし、SISおよびSBS共重合体はその構造内部に炭素−炭素不飽和結合のため、酸化に対する抵抗性が低く、そのためそれから製造される弾性物品の寿命に有害な影響を与える。上記のところで検証した欧州特許明細書はいずれもSISまたはSBS系弾性物品の乏しい経時特性を改良していない。SISまたはSBSのブロック共重合体の製造にはこの問題を多少とも解決するために種々の抗酸化剤が含まれているが、血液障害性(leechable)成分によって引き起こされる副作用の可能性は避けられるべきであるので、このことは生物医学的な用途に対する適合性に反することになる。
【0011】
弾性のある保護用物品を製造するに当たっての更に別の問題は、その物品が、それを製造している型の表面にくっ付くことである。物品は一般的には厚さが50〜250μmのオーダーなので物品を型から剥がすと必ず引き裂けまたは破れてしまう。明らかに、弾性物品中の何らかの不完全さは、たとえ小さくとも、避けなければならない。
【0012】
加えて、NRラテックスおよび弾性SISまたはSBSブロック共重合体は型から剥がした後ブロックする(弾性物品がそれ自身にくっつく傾向)傾向がある。事実、これはSISおよびSBSに関する問題であるので、ある品種では粉体を散布したペレットとして供給される。
【0013】
上記で詳述した問題を克服するために、通常は、粉体が型(手袋製造用の)上に敷かれる凝集沈降物の形態または物品が型(手袋またはコンドーム)から取り出された後はスラリー状態で粉体が用いられる。このような目的で使用することができる粉体の例は沢山あり、例えば型から取り出した後、弾性組成物がそれ自体にくっ付くのを防止したり、物品を型から取り出すのを可能にするための炭酸マグネシウムやコーンスターチが挙げられる。しかしこれらの粉体を使用するとコストや製造工程の複雑性を増し、もし用途が体液と接触することがありうる用途を意図している場合(カテーテル、コンドームおよび手術手袋)は粉体が肉芽腫を引き起こす危険性がある。加えて、粉体の入った物品は混入物の存在を最小限にすることが求められる用途(例えばクリーンルーム環境内での処置のための実験手袋)には使用することができない。
【0014】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする技術的課題)
本発明の目的は上記の問題点を克服しまたは軽減することである。
【0015】
(その解決方法)
本発明の第1の態様では、積層構造を持ち外層がポリウレタン組成物、内層がスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)またはスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体またはそれらの混合物からなる弾性材料を提供する。
【0016】
本明細書で使用している「ポリウレタン」という語はポリウレタンウレアを含んでいる。
この材料は好ましくは内層がSISまたはSBS層またはその混合物で、外層がポリウレタン層からなる3層積層構造であるが、内層にさらに少なくともひとつの層が存在する可能性を排除するものではない。
【0017】
本発明のラミネート材料は酸化に対して優れた抵抗性を持っている。理論によって裏づけされていないが、これはポリウレタン層がSIS/SBS層の酸化に対するバリアーとして、および/またはSIS/SBS層からの抗酸化剤の移行に対するバリアーとして作用することによると信じている。これに加えての利点は、この材料が「ブロッキング」する傾向が少ないことである。これは、ポリウレタンがSIS/SBS層より硬い材料であるという事実による。硬さのこの相違は、ポリウレタンではブロッキングを避けるためのブロッキング剤がポリウレタン層中に少ししか使用されないことを意味し、抗ブロッキング剤がポリウレタン層から移行してくる可能性が少なく、炭酸マグネシウムやコーンスターチのような粉体の必要性が避けられることを意味する。更に、SISまたはSBS層は強度、弾性および柔軟性の特性を備えており、これらの特性は外層ポリウレタン層によって補完されるので、材料は弾性を有する保護物品を製造する際に使用するに著しく好都合である。
【0018】
本発明の第2の態様では、本発明は本発明の第1の点で定義されたような弾性材料からなる弾性物品を提供する。
【0019】
物品は、例えば、手袋、コンドーム、カテーテルまたは泌尿器用被覆材(urinary sheath)であってもよい。手袋は医用であってもよく、例えば医療用の実験または手術用であってもよい。これらの物品のあるものの物理的特性を支配する規格(例えば、外科医用手袋としてはASTM3577)が存在し、他の物品(例えば実験用手袋または泌尿器用被覆材(urinary sheath))はこのような規格に従う必要はないが、優れた弾性特性と血液障害性化学物質を含有しないことは極めて望ましいと考えられる。
【0020】
本発明の第1の態様の積層材料は、本発明の第2の態様による物品の形成過程において製造することができる。したがって例えば、物品は最初適切に形を作った型をポリウレタンの溶液または懸濁液に浸漬し、次いでSISまたはSBSブロック共重合体の溶液または懸濁液に浸漬し、それからポリウレタンの溶液(浸漬と浸漬の間に必要なら乾燥を入れてもよい)に浸漬して物品の製造中に積層構造を「構築する」ようにして製造することができる。
【0021】
しかしまた、本発明の第1の態様の材料をシート等の形で製造し、それを本発明の第2の態様の物品を製造するのに使用してもよい。
好ましくは、SISまたはSBS層は厚さ30〜1000μm、より好ましくは40〜300μm、更に好ましくは50〜200μmである。
好ましくはポリウレタン外層の厚さは2〜100μm、より好ましくは5〜50μm、更に好ましくは10〜20μmである。
【0022】
使用中、ある用途では(例えば外科医用手袋および自己潤滑コンドーム)、「内側の」ポリウレタン層、即ち使用者の皮膚と接している層は、吸収した湿気が速やかに膨潤するようにポリウレタンの外層より薄くてもよい。これらの場合には「内層」は「外層」の厚さの1/3以上であることが好ましい。
【0023】
好ましくは、SIS/SBSブロック共重合体は熱可塑性ABAブロック共重合弾性体である。SIS/SBSブロック共重合体のスチレン含有量は15〜35重量%であることが好ましい。SIS/SBSブロック共重合体の分子量(数平均Mn)は、好ましくは150,000〜300,000、より好ましくは200,000〜250,000である。
【0024】
本発明の用途のためのSISブロック共重合体の特に好ましい例としてはクレイトン(Kraton)D−1161および1107(シェルケミカルズから入手可能;15%の結合スチレンを有するスチレン/イソプレン3元ブロック共重合体)およびベクター(Vector)4113(デクスコ・ポリマーズ(Dexco Polymers)から入手可能)が含まれる。本発明の用途のためのSBSブロック共重合体の別の例はクレイトン D−1184(シェルケミカルズから入手可能;30%の結合スチレンを有するスチレン/イソプレン3元ブロック共重合体)である。
必要なら、SISとSBSのブロック共重合体の混合物も使用してもよい。
【0025】
粉体は可動性となり、浸漬した物品の「粉体を含有しない」という特性を台無しにするのでSIS/SBS溶液または懸濁液の調製中に粉体でないSIS/SBSブロック共重合体品質のものを使用することが重要である。
【0026】
当然のことながら、積層体の弾性且つ可撓性の構造が保持されている限りであるが、積層体の外層用に種々のポリウレタンを用いることができる。したがって、例えば、ポリウレタンは親水性ポリウレタンであってもよいが、より好ましくは親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー(例えば、疎水性ポリウレタン)の混合物からなるかまたは疎水性ポリウレタンからなることが好ましいであろう。積層体の2つの外層のポリウレタン組成は同じであっても異なってもよい。それぞれの外層を構成するポリウレタンの正確な性質は製造された物品の狙いとする用途による。
【0027】
ラミネートの外層の少なくとも1つ(およびより好ましくは両方)のポリウレタン組成物は親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー、特に疎水性ポリウレタンとの混合物からなることが好ましい。親水性ポリウレタンと疎水性ポリウレタンの混合物を用いることにより水によって湿り得る組成物であり、また親水性ポリウレタンそのものに較べてアルコール溶媒に対するより大きい抵抗性を有する組成物となる。したがって、水による湿気付与は手袋をこのように着用することを可能にするので、この組成物は、一般に濡れたまたは湿り気のある手(外科医がこすり洗いした直後の手)に着用する必要のある手術用手袋の製造に使用するに特に好適である。更に、手袋を着用している外科医がこすり洗いの一環として手または手袋の外側にアルコール系の消毒剤を付けるのであれば組成物のこのようなアルコール抵抗性が重要であろう。
【0028】
親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー(好ましくは疎水性ポリウレタン)との混合物からなるこのような組成物については、組成物は親水性ポリウレタンが20〜60重量%および疎水性ポリマーが40〜80重量%を含んでなることが好ましい。親水性ポリウレタン約30重量%と疎水性ポリウレタン70重量%を含んでなる組成物が特に好適である。
【0029】
あるいはまた、外層の一方または両方が単独のポリウレタンとして疎水性ポリウレタンを含んでもよい。このような層は乾いた手に着用されるべき手袋の内層として好適である。疎水性ポリウレタンはアルコール溶媒に対して抵抗性を備えているので有用である。
【0030】
アルコール溶媒に対する抵抗性が重要でない場合は、一方または両方の層に単独のポリウレタンとして親水性ポリウレタンを含んでもよい。この例としては外側面が親水性ポリウレタンを含んでなり、内層が親水性ポリウレタンと疎水性ポリウレタンのブレンド物または疎水性ポリウレタン単独のどちらでもよい自己潤滑性コンドームが挙げられるであろう。
【0031】
前記したように、本発明による物品は適当な形の型を、先ずポリウレタン含有溶液または懸濁液に、次いでSISまたはSBSを含有する溶液または懸濁液に逐次浸漬し、それからポリウレタン含有溶液または懸濁液に浸漬する浸漬方法によって製造することができる。
【0032】
「浸漬」用のポリウレタンは溶液として存在することが好ましく、特に極性溶媒中に溶液として存在することが好ましい。好ましい極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルミアミド、ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、オレイン酸アミドまたはこれらの混合物が例示できる。ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0033】
ポリウレタン溶液は、ポリウレタンを5〜20重量%(例えば8〜15重量%)含有することが好ましい。また、溶液は、ブロック防止剤として働き、粒子であるけれどもポリウレタンのフィルム構造中にトラップされ、粉体を含まない仕上がりとする沈降シリカ、シリカによって生じる表面摩擦を低減しそれ自身でブロック防止剤として作用するオレアミド、エルカミド、ステアラミド、ベヘナミド(behanemide)、エチレンビスオレアミド、エチレンビスエルカミドおよびエチレンビスステアラミド脂肪酸アミド、のような添加剤を更に含んでもよい。オレアミド(オレイン酸アミド)は最も好ましい脂肪酸アミドである。沈降シリカは、用いるとすれば一般には溶液中に5〜10%(ポリウレタンに対する重量%)の量で含有され、脂肪酸アミドまたは脂肪酸アミドの混合物は、用いるとすれば1〜10%(ポリウレタンに対する重量%)の量で含有される。加えてカルナバワックス(Carnuba wax)(マイケルマン社(Michelman Inc.)から「ミーワックス(Miwax)411」として入手可能)のような硬質の疎水性ワックスを抗ブロッキング性を付与するためにポリウレタン溶液に組み込んでもよい。硬質疎水性ワックスは、用いるとすれば、一般に、溶液中に5〜10%(ポリウレタンに対する重量%)の量で含有される。好ましい浸漬溶液は次の組成を持つものである:
ポリウレタン 15重量%
ジメチルホルムアミド 85重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタンに対する重量%)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタンに対する重量%)
【0034】
本発明のある態様では、最初の浸漬溶液と最後の浸漬溶液が異なる組成を有する場合によい結果が得られるであろう。
【0035】
特に好ましい最初の浸漬溶液は次の組成を持つものである:
ポリウレタン 12重量%
ジメチルホルムアミド 88重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタンに対する重量%)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタンに対する重量%)
特に好ましい最後の浸漬溶液は次の組成を持つものである:
ポリウレタン 8重量%
ジメチルホルムアミド 92重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタンに対する重量%)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタンに対する重量%)
【0036】
沈降シリカ、脂肪酸アミドおよび硬質疎水性ワックスを含む群から選ばれる1種以上の添加剤が存在することにより、浸漬工程を型へのくっ付きを防止するための粉体(例えば炭酸マグネシウムまたはコーンスターチ)を使用することなく行うことができる。
【0037】
また、SISまたはSBSは、好ましくは溶液の形で用いられ、テトラヒドロフランのような溶媒も用いることができるが、より好ましくは芳香族溶媒中で、更に好ましくはトルエンまたはキシレン中での溶液の形で用いられる。この「浸漬」溶液は、例えば、SISまたはSBSブロック共重合体を好ましくは20〜45重量%、より好ましくは24〜35重量%含んでもよい。
【0038】
SIS/SBS溶液が芳香族溶媒系であり、ポリウレタン含有溶液が疎水性ポリウレタンを含有するなら、SIS/SBS溶液は、芳香族溶媒と混和性のある比較的極性の液体を含有することが一般には好ましいであろう。SIS/SBS溶液中にこのような極性液体を使用することにより、恐らくSIS/SBS溶液の芳香族溶媒と疎水性ポリウレタンとの間の非相溶性によって生じるであろう最終物品のまだら模様を防止しまたは妨げることが見出された。極性液体はSIS/SBS溶液中に溶液に対して5〜20重量%の量で組み込まれてもよい。このような極性液体の特に好ましい例としては、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミドのようなN,N−ジメチルアミド類、例えばブタン−2−オンのようなケトン類、または例えばプロパン−2−オールのようなアルコール類が例示できる。
【0039】
SIS/SBS溶液は、例えば、次のものからなってもよい:
SIS 28重量%
トルエン 60重量%
ジメチルアセトアミド 12重量%
【0040】
型に塗布される第1の(ポリウレタン)層は比較的薄い(例えば20〜30μm以下)であることが一般には好ましい。このような厚さは、第1の層を形成するためのポリウレタン溶液から型を比較的ゆっくり引き上げて得ることができる。
【0041】
以下の例では、記述されている数値はポリウレタンおよび上記で引用したSIS/SBS溶液への物品の浸漬に関係する。溶液粘度の相当する大きな変動を伴う溶液内のポリマー含有量の大きな変動は浸漬速度に顕著な影響を与えるであろう。同様に乾燥温度および時間は上記の溶媒に関係する。したがって、下記に引用する数値は単に、引用した好ましい配合処方から浸漬された手袋のための製造パラメータを示すためのものである。特に、浸漬される物品の全体の寸法、重量および形は採用する最終条件を支配するであろう。
【0042】
第1の浸漬工程では、型は好ましくは液体媒体から0.05〜5mm/秒、特に好ましくは0.2〜1mm/秒で取り出す。第2の浸漬工程では、型は好ましくは液体媒体から0.5〜10mm/秒、特に好ましくは2〜5mm/秒で取り出す。第3の浸漬工程では、型は好ましくは液体媒体から0.2〜15mm/秒、特に好ましくは0.5〜5mm/秒で取り出す。
【0043】
型は、好ましくは各浸漬工程ごとに乾燥する。乾燥は好ましくは80〜130℃で行う。
【0044】
第1の浸漬工程の後、乾燥は3〜20分間行うのが好ましく、8〜12分間行うのが特に好ましい。第2の浸漬工程の後、乾燥は5〜25分間行うのが好ましく、10〜15分間行うのが特に好ましい。第3の浸漬工程の後、乾燥は3〜20分間行うのが好ましく、8〜12分間行うのが特に好ましい。
【0045】
浸漬した物品を製造するのに使用される型のタイプは製造される物品の性質に依存する。
【0046】
したがって、手袋用には、型はビスク(焼かれているがうわぐすりのかかっていない磁器の型)またはうわぐすりのかかったセラミック仕上げのいずれかの磁器であり、所望であれば表面仕上げは型をサンドブラストで荒らすかまたは粗面仕上げに吹き付けて荒らしてもよい。コンドームの場合には型としては好ましくはガラスである。泌尿器用被覆材の場合は、型はセラミック、ステンレススチール、アルミニウムまたはガラスであってもよい。
【0047】
本発明で使用する親水性ポリウレタンは一般に、ポリ(エチレンオキサイド)(エチレングリコール)単位を組み込んだソフトブロックを有している。ポリウレタンの骨格内にこのような基を持つことにより水に結合する能力が付与され、ポリマーが膨潤し水蒸気を透過することができるようになる。好適な親水性ポリウレタンはハードブロックとソフトブロックを含んでなり、ソフトブロックは、好ましくは少なくとも400の分子量、好ましくは400〜8000の分子量を持つポリ(エチレンオキサイド)単位を含んでいる。また、一般に親水性ポリウレタン中のポリ(エチレンオキサイド)単位の全含有量は、ソフトブロックを形成するために使用されるポリオール混合物中、少なくとも10重量%であろう。
【0048】
本発明で使用する親水性ポリウレタンは、有機ジイソシアネート(OCN−R−NCO)とこのようなイソシアネート基と反応し得る2個の活性水素置換基を有する適当な化学種の反応を経由して形成される逐次成長ポリマーであってもよい。好適なポリウレタンは脂肪族または芳香族ジイソシアネートとポリ(エチレンオキサイド)単位を含み活性な水素種(例えばOHまたはNH2)を含む末端基を有する比較的低分子量のポリマー(MWが400〜8,000、好ましくは1,000〜2,000)とそれぞれn+1:nのモル比でプレポリマーを形成する初期反応によって形成してもよい。
【0049】
このようなジイソシアネートの代表的な例としては次のものが含まれる:
(1)ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートおよびそれらの混合物。
【0050】
使用できる比較的低分子量ポリマーの代表的な例としては次のものが含まれる:
(2)末端にヒドロキシル基またはアミン官能基を有するポリエチレングリコール、エチレングリコールと末端にヒドロキシル基またはアミン官能基またはその混合物を有する疎水性ポリオール(例えばプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体。
【0051】
(2)で列挙した低分子量ポリマー(またはそれらの混合物)はジイソシアネートと反応してプレポリマーを形成するために個別に用いてもよい。これに代わるものとして、例えば上記(2)に例示した低分子量ポリマーは、ポリ(エチレンオキサイド)単位を含まない低分子量(例えば、250〜8000、好ましくは1000〜2000)のポリオールと更に組合せて用いてもよい。
【0052】
このような更なるポリマーの例としては以下のものが含まれる:
(3)ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエチレンアジペートポリオール、ポリテトラメチレンアジペートポリオール、ポリエチレンテトラメチレンアジペートポリオール、ポリヘキサメチレンアジペートポリオール、ポリエチレンヘキサメチレンアジペートポリオール、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリエチレンヘキサメチレンカーボネートグリコール、およびこれらの混合物。この定義のためには、ポリオールという用語は末端ヒドロキシル官能基を含有するポリエステル材料を言い、グリコール材料は末端ヒドロキシル官能基を含有するポリエーテル(またはポリカーボネート)材料を言う。上記の例の各々において、末端ヒドロキシル官能基は末端アミン官能基で置き換えてもよい。
【0053】
次いでプレポリマーは、活性水素種(例えばOHまたはNH2)を有する2官能基を含有する低分子量脂肪族化合物とジイソシアネートとのプレポリマー分子当たりx:x−1の割合での反応によって伸長される。活性水素種を有する2官能基を含んでなるこのような低分子量脂肪族化合物は、ジオールでも、ジアミンでもまたはアルカノールアミンでもよく、それぞれの例としては次のものが例示できる:
(4)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、およびこれらの混合物。
(5)エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミンまたはこれらの混合物。
(6)エタノールアミン。
【0054】
上記の方法に代わるものとして、プレポリマーはジイソシアネート(例えば(1)に列挙したもの)のn+1モルと(3)に記載したポリエーテルグリコールnモルとの反応によって製造することができる。次いでこの反応の生成物を更に上記(2)で例示したポリ(エチレンオキサイド)単位を含有するヒドロキシルまたはアミン末端の低分子量ポリマーの2モルとさせる(即ち、1モルのプレポリマーを2モルのポリ(エチレンオキサイド)含有ポリマーと反応させる)。
【0055】
次いでプレポリマーの延長反応を、例えば上記(4)〜(6)の化合物によって例示されている2個の活性水素置換基を有する低分子量脂肪族化合物とジイソシアネート(例えば上記(1)に例示されている)のプレポリマー1分子当たりx:x+1モルの比率によって成し遂げる。
【0056】
親水性ポリウレタンは一般にハードブロック含量が18〜35%であろう。一般にハードブロックは芳香族ジイソシアネートとブタンジオールから誘導されるであろう。ソフトブロックは芳香族ジイソシアネートと上記タイプのポリエチレンオキサイドから誘導されるであろう。ポリエチレンオキサイドはアミン基によってキャップされていてもよい。
【0057】
2種類のこのような例は本明細書の中で実施例として引用されるであろう。ハイフィル1(Hyphil 1)は芳香族ポリエーテル−ウレタンであり、親水性および疎水性の両方のポリオール(親水性ポリオールは分子量が2,000、疎水性ポリオールは分子量が1,000)からなるソフト構造とともに18〜23%のハードブロック含量を有している。ハイフィル2(Hyphil 2)は芳香族ポリエーテル−ウレタンであり、親水性および疎水性の両方のポリオール(どちらも分子量が2,000)からなるソフト構造とともに20〜24%のハードブロック含量を有している。
【0058】
親水性ポリウレタンとの混合において用いられる疎水性ポリマーは例えば疎水性ポリウレタンであってもよい。疎水性ポリウレタンはソフトブロック構造中にエチレングリコール単位を全く含まないであろう。物質のソフトブロック中にポリエチレングリコールの長い鎖が存在しない場合には、短いエチレングリコール単位(上記した)は認め得る程度の親水性特性を有する物質を生じないでポリウレタンのハードブロック中に組み込まれてもよい。
【0059】
本発明で用いる疎水性ポリウレタンは、有機ジイソシアネート(例えば上記(1)に列挙された化合物)のn+1モルと、疎水性残基と例えば上記(3)で列挙されている化合物によって例示される2個の活性水素置換基を有する化合物のnモルとからのプレポリマーの第1段の形成によって製造してもよい。
【0060】
次いでプレポリマーを、活性水素種(例えば、OHまたはNH2)(例えば上記(4)〜(6)に例示されている)を有する2官能基を含有する低分子量脂肪族化合物とジイソシアネート(上記(1)に例示)とモル比x:x−1の割合で反応によって伸長することができる。
【0061】
疎水性ポリウレタンは、例えば、好ましくはハードブロック含量20〜45%、より好ましくは25〜35%であってもよい。ハードブロックは芳香族ジイソシアネートとブタンジオールとの反応によって合成することもできる。ソフトブロックは芳香族ジイソシアネートとポリテトラメチレンジオールから合成してもよい。
【0062】
このような1例をこの明細書に実施例として引用している。ハイフォブ1(Hyphob 1)はハードブロック含量26〜29%を有する芳香族ポリエーテル−ウレタンである。この物質は分子量2,000のポリオールに基づいている。
【0063】
上記で述べてきたように、ポリマーは「ツーショット」反応(即ち、プレポリマー形成段階が鎖伸長前の第1の段階で行われるなら、第2段階で完成する)によって製造される。これに代えて反応はバルクの「ワンショット」反応で行ってもよい(即ち、すべての反応薬剤が唯一の単一ステージ反応で混合される)。
【0064】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに記載する。
実施例 1
下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて手袋を作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0065】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0066】
市販のビスク仕上げ磁製型をポリウレタン液体媒体に浸漬し、0.25mm/秒のゆっくりした速度で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してから2mm/秒でSIS液体媒体中へ浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ80℃で13分間乾燥した。
温かい型を再度ポリウレタン溶液中へ浸漬し、2mm/秒の速度で引き上げ80℃で更に9分間乾燥した。
仕上がった手袋は見かけ上全く欠陥はなく、非ブロッキング性を有し、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても影響を受けなかった。
手袋は外科医用手袋として好適であると考えられた。
【0067】
実施例 2
下記のポリウレタンとスチレン共重合体配合処方を用いて手袋を作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0068】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0069】
市販のビスク仕上げ手術用手袋型をポリウレタン中に浸漬し、0.75mm/秒のゆっくりした速度で引き上げた。
被覆した型を80℃で5分間乾燥し、室温に冷却してからクレイトン1161溶液に浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ80℃で11分間乾燥した。
被覆した温かい型を再度ポリウレタン溶液中へ浸漬し、0.75mm/秒の速度で引き上げ80℃で5分間乾燥した。
乾燥した手袋を60℃の水に5分間曝し、手で取り外して常套の回転式ドライヤー中で乾燥した。
手袋は非ブロッキング性を有し、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても分離する形跡はなかった。仕上がって手袋は指先に見かけ上の欠陥は示さなかった。しかし、手袋内部に取り込まれた小さな泡の形跡が、主に指の側面に沿ってあった。
手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると判断された。
【0070】
実施例 3
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0071】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0072】
市販のビスク仕上げ手術用手袋型をポリウレタンに浸漬し、0.25mm/秒のゆっくりした速度で引き上げた。
被覆した型を80℃で5分間乾燥し、室温に冷却してからクレイトン1161溶液中に浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ80℃で11分間乾燥した。
被覆した温かい型を再度ポリウレタン溶液中へ浸漬し、0.75mm/秒の速度で引き上げ80℃で5分間乾燥した。
乾燥した手袋は60℃で5分間水の中に曝したのち、手で剥がして通常の回転式乾燥機中で乾燥した。
得られた手袋は非ブロッキング性を有し、乾燥した手に対して優れた着用性を備えており、手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間浸漬しても品質低下や層剥離の兆しはなかった。しかし、出来あがった手袋は指のところに、クレイトン層を塗布した際に最初のポリウレタン層が膨潤したことによる不規則な斑点模様があった。
手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると見なされた。
【0073】
実施例 4
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0074】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0075】
手袋を実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は非ブロッキング性を有し、乾燥した手に対して優れた着用性を備えていた。手袋は、また、皮膚に対して心地よい「シルキー」感を備えており、イソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間浸漬しても層剥離の兆しはなかった。しかし、出来あがった手袋は指のところに、クレイトン層を塗布した際に最初のポリウレタン層が膨潤したことによる不規則な斑点模様があった。
手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると見なされた。
【0076】
実施例 5
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0077】
手袋を実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は、トルエン中での親水性ポリウレタンのわずかな膨潤に起因する上の欠陥は全くなかった。手袋は非ブロッキング性であり、乾燥した手に対しても湿った手に対しても良好な着用性を備えていた。しかし、イソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝すと剥離の兆しを示した。
この手袋は、外観は重要であると見なされるが、実験過程においてアルコール系試薬の使用が考えられない場合の実験用手袋として使用するには好適であると判断された。同様に、アルコール系試薬が使用されるはずがないのであれば、この手袋は外科医用手袋としても好適であると判断された。
【0078】
実施例 6
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0079】
手袋を実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は、見掛け上の欠陥はなく、非ブロッキング性で乾燥した手に対して合理的な着用性を持っていた。しかし、得られた手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間浸漬したのち部分的な剥離を示した。
この手袋は、外観は重要であると考えられるが、実験過程においてアルコール系試薬の使用が考えられない場合の実験用手袋として使用するには好適であると見なされた。同様に、アルコール系試薬が使用されるはずがないのであれば、この手袋は外科医用手袋としても好適であると見なされた。
【0080】
実施例 7
次のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0081】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0082】
手袋は実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は、外観上の欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手に対しても湿った手に対しても優れた着用性を持っていた。しかし、得られた手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝すと部分的な剥離を示した。
この手袋は、外観は重要であると見なされるが、実験過程においてアルコール系試薬の使用が考えられない場合の実験用手袋として使用するには好適であると判断された。同様に、アルコール系試薬が使用されるはずがないのであれば、この手袋は外科用手袋としても好適であると見なされた。
【0083】
実施例 8
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0084】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0085】
手袋は実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は非ブロッキング性で、乾燥した手に対しても湿った手に対しても優れた着用性を持っていた。また、手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても剥離の形跡を示さなかった。しかし仕上げた手袋は指先に斑点が見られた。
この手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない実験用手袋の場合には、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると見なされた。
【0086】
実施例 9
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔第1の層用のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0087】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0088】
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0089】
市販のビスク仕上げ磁製型を第1のポリウレタン配合処方中に浸漬し、0.75mm/秒で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS溶液に2.55mm/秒で浸漬した。型は2.5mm/秒の速度で引き上げ100℃で13分間乾燥した。
温かい型を最後のポリウレタン配合処方中へ浸漬し、1mm/秒の速度で引き上げ100℃で更に9分間乾燥した。
手袋を60℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。手袋は剥がす際に反転し、再度反転してから従来の回転式乾燥機中で乾燥した。
手袋は、指および手のひらの部分の一枚の厚さが180ミクロンであった。出来あがった手袋は見かけ上欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋の外側表面はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても影響がなかった。
手袋は、アルコール系試薬がその外側表面としか接触しないときには、外科医用手袋として好適であると考えられた。
【0090】
実施例 10
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔第1の層用のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0091】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0092】
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0093】
市販のビスク仕上げ磁製型を第1のポリウレタン配合処方中に2.5mm/秒で浸漬し、3.3mm/秒で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS溶液に2.55mm/秒で浸漬した。型は4.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で15分間乾燥した。
温かい型を最後のポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で浸漬し、3.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で更に9分間乾燥した。
手袋を45℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。手袋は剥がす際に反転し、次に再反転してから通常の回転乾燥機中で乾燥した。
手袋は、指および手のひらの部分の一枚の厚さは160ミクロンであった。出来あがった手袋は見かけ上欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋の外側表面はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間曝すと影響を受け、層剥離の形跡を示した。
【0094】
この方法で作成した手袋から切り出したサンプルの引っ張り特性を2型ダンベル(BS903:パートA2 1995に準ずる)を用いて引張速度500mm/分で測定した。5回試験結果の平均値を下記に示す。
この手袋はアルコール系試薬が短期間手袋の外側表面とのみ接触するような状況でのみ使用される場合に使用可能な手袋として好適であると判断された。
【0095】
実施例 11
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔第1の層用のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0096】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0097】
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0098】
市販のビスク仕上げ磁製型を第1のポリウレタン配合処方中に2.5mm/秒で浸漬し、3.3mm/秒で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS溶液に2.55mm/秒で浸漬した。型は4.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で15分間乾燥した。
温かい型を最後のポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で浸漬し、3.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で更に9分間乾燥した。
手袋を45℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。手袋は剥がす際に反転し、次に再反転してから通常の回転乾燥機中で乾燥した。
手袋は、指および手のひらの部分の一枚の厚さは160ミクロンであった。出来あがった手袋は見かけ上欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋の外側表面はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間曝しても影響を受けなかった。
【0099】
この方法で作成した手袋から切り出したサンプルの引っ張り特性を2型ダンベル(BS903:パートA2 1995に準ずる)を用いて引張速度500mm/分で測定した。5回の試験結果の平均値を下記に示す。
この手袋は、アルコール系試薬が手袋の外側表面とのみ接する状況で用いられるときには、外科医が使用できる手袋として好適であると見なされた。
【0100】
実施例 12
コンドームを下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0101】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0102】
市販のガラス製コンドーム型をポリウレタン配合処方中に2.5mm/秒で浸漬し、0.25mm/秒でゆっくり引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS液体媒体中へ2.5mm/秒で浸漬した。型は1mm/秒の速度で引き上げ100℃で13分間乾燥した。
温かい型をポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で再度浸漬し、0.28mm/秒の速度で引き上げ100℃で9分間乾燥した。
コンドームを60℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。コンドームは粉体を使用しないで従来の回転乾燥機中で乾燥した。
仕上がったコンドームは、一枚の厚さは80ミクロンであり、水を含んだ時ぬるぬるした感触があった。コンドームはそれ自己潤滑性表面を有するコンドームとして好適であると見なされた。
【0103】
実施例 13
泌尿器用被覆材を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0104】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0105】
市販のステンレススチール製型をポリウレタン液体媒体中に2.5mm/秒で浸漬し、0.5mm/秒の速度でゆっくり引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS液体媒体中へ2.5mm/秒で浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ100℃で11分間乾燥した。
温かい型をポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で再度浸漬し、1mm/秒の速度で引き上げ100℃で9分間乾燥した。
泌尿器用被覆材を60℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。泌尿器用被覆材は粉体を使用しないで従来の回転乾燥機中で乾燥した。
仕上がった泌尿器用被覆材は、一枚の厚さは100ミクロンであり、水を含んだ時ぬるぬるした感触があった。泌尿器用被覆材は尿管カテーテル被覆材として好適であると見なされた。
【0106】
比較例 1
手袋を下記のスチレンブロック共重合体配合処方を用いて作成した:
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0107】
市販のビスク仕上げ磁製手袋型をSIS液体媒体中に2.5mm/秒で浸漬し、2mm/秒で引き上げた。被覆した型を100℃で13分間乾燥し、60℃で5分間水の中に曝した。
手袋を型から剥がすに際して、手袋表面がくっ付き、更なる加工を妨げた。
【0108】
比較例 2
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0109】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0110】
市販のビスク仕上げ手術用手袋型をSIS液体媒体中に2.5mm/秒で浸漬し、2mm/秒で引き上げた。被覆した型を100℃で13分間乾燥した。
暖かい型を2.5mm/秒でポリウレタン配合処方中に浸漬し、1mm/秒で引き上げ、型を100℃で更に9分間乾燥した。手袋は60℃の水に曝し型から剥がした。
手袋を型から剥がすに際して、手袋表面がくっ付き、更なる加工を妨げた。
(技術分野)
本発明は、弾性物品、特に、しかしこれに限定されるものではないが、手袋およびコンドーム、に関するものであり、またこのような物品の製造方法に関する。
【0002】
(背景技術)
手袋(例えば検査または手術のような医療用途)やコンドームのような一般的な弾性物品が多数存在する。このような物品は、適当な形をした型を弾性材料の溶液または懸濁液に浸漬し、この型を溶液/懸濁液から引き上げ、それから溶液/懸濁液の媒体を蒸発させることによって製造することができる。最終物品を製造するのにひとつ以上の浸漬工程を使用してもよい。
【0003】
弾性物品に求められるものは、必要な弾性特性を有することに加えて、それが接触する物質に対して耐性があることであり、酸化に対して優れた抵抗性があって、合理的な物品寿命があることである。生物医学用途での使用を狙いとした物品の多くはγ−線照射による滅菌が必要とされるので、用いる材料の酸化抵抗性は特に重要である。
【0004】
これまで長年、このような用途に選ばれてきた材料は、これから製造される物品が示す柔らかさ、強度および弾性の優れたバランスのために、加硫天然ゴム(NR)ラテックス(その重合体成分はポリイソプレンである)であった。
【0005】
しかし、NRラテックスの使用は、ラテックス蛋白質および加硫工程に由来する促進剤残留物が存在するため決して理想的なものではなかった。これらの化学薬品はしばしば製造された物品の表面に出てきて使用者の組織に吸収されることが起こり得て、その結果アレルギー反応を引き起こす。蛋白質アレルギーに関しては問題は特に深刻であり、NRラテックスに代わる(蛋白質を含まない)合成物質が火急に求められている。
【0006】
NRラテックスはまた、ポリマー内のシス−1,4−イソプレン反復単位内に存在する不飽和炭素−炭素二重結合のため酸化に対して抵抗力が低い。これは物品を製造するために使用される配合処方の中に抗酸化剤を加えることによってある程度緩和することができるが、抗酸化剤もゴムの表面に染み出してきてアレルギー反応または細胞毒反応を引き起こす。
【0007】
これまで使用されてきたひとつの合成弾性材料はS−EB−S(スチレン/エチレン−ブタジエン/スチレンの3元ブロック共重合体)であり、これは必要とされる弾性特性と酸化に対する優れた抵抗性を備えている(シェル社技術文献「クレイトン・ポリマーズ・フォー・アドヒージブズ・アンド・シーランツ」(Shell technical literature ”Kraton Polymers For Adhesives And Sealants”))。したがって、例えば米国特許出願第5,112,900号明細書(US−A−5,112,900)には、2種類またはそれ以上のS−EB−S3元ブロック共重合体から形成される弾性組成物を記載しており、この組成物は強度、感触および環境に対する抵抗性の組合せに優れている。
【0008】
しかし、S−EB−S共重合体はNBラテックスより一般的に硬質であり、ある種の製品用途に好適なものとするには可塑化を必要とする。したがって、米国特許出願第5,112,900号に開示された組成物は可塑剤として鉱物油を組み込んでいる。医用器具に可塑剤が含有されていると、可塑剤は長時間にわたって移行し、その器具を用いると、心身に有害な副作用を生じる血液障害性(leechable)成分を生じ得るので理想的なものではない。
【0009】
弾性物品として用いられてきた更に別の材料はSIS(スチレン/イソプレン/スチレン共重合体)およびSBS(スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体)であり、これらはいずれも強度、弾性および柔らかさの理想的な組合せを備えている。したがって、例えば欧州特許出願第854174号(EP−A−0 854174)にはSIS−3元共重合体とSBS−3元共重合体の混合物と抗ブロッキング剤からなる粉体を含有しない弾性手袋の形成方法が記載されており、欧州特許出願第931633号(EP−A−0 931633)には、スチレンブロック共重合体またはポリプロロプレンであってもよい合成ゴムからなり、弾性ラテックス塗料を手袋に塗布することによる粉体を含まない手袋の別の作成方法が開示されている。
【0010】
しかし、SISおよびSBS共重合体はその構造内部に炭素−炭素不飽和結合のため、酸化に対する抵抗性が低く、そのためそれから製造される弾性物品の寿命に有害な影響を与える。上記のところで検証した欧州特許明細書はいずれもSISまたはSBS系弾性物品の乏しい経時特性を改良していない。SISまたはSBSのブロック共重合体の製造にはこの問題を多少とも解決するために種々の抗酸化剤が含まれているが、血液障害性(leechable)成分によって引き起こされる副作用の可能性は避けられるべきであるので、このことは生物医学的な用途に対する適合性に反することになる。
【0011】
弾性のある保護用物品を製造するに当たっての更に別の問題は、その物品が、それを製造している型の表面にくっ付くことである。物品は一般的には厚さが50〜250μmのオーダーなので物品を型から剥がすと必ず引き裂けまたは破れてしまう。明らかに、弾性物品中の何らかの不完全さは、たとえ小さくとも、避けなければならない。
【0012】
加えて、NRラテックスおよび弾性SISまたはSBSブロック共重合体は型から剥がした後ブロックする(弾性物品がそれ自身にくっつく傾向)傾向がある。事実、これはSISおよびSBSに関する問題であるので、ある品種では粉体を散布したペレットとして供給される。
【0013】
上記で詳述した問題を克服するために、通常は、粉体が型(手袋製造用の)上に敷かれる凝集沈降物の形態または物品が型(手袋またはコンドーム)から取り出された後はスラリー状態で粉体が用いられる。このような目的で使用することができる粉体の例は沢山あり、例えば型から取り出した後、弾性組成物がそれ自体にくっ付くのを防止したり、物品を型から取り出すのを可能にするための炭酸マグネシウムやコーンスターチが挙げられる。しかしこれらの粉体を使用するとコストや製造工程の複雑性を増し、もし用途が体液と接触することがありうる用途を意図している場合(カテーテル、コンドームおよび手術手袋)は粉体が肉芽腫を引き起こす危険性がある。加えて、粉体の入った物品は混入物の存在を最小限にすることが求められる用途(例えばクリーンルーム環境内での処置のための実験手袋)には使用することができない。
【0014】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする技術的課題)
本発明の目的は上記の問題点を克服しまたは軽減することである。
【0015】
(その解決方法)
本発明の第1の態様では、積層構造を持ち外層がポリウレタン組成物、内層がスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)またはスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体またはそれらの混合物からなる弾性材料を提供する。
【0016】
本明細書で使用している「ポリウレタン」という語はポリウレタンウレアを含んでいる。
この材料は好ましくは内層がSISまたはSBS層またはその混合物で、外層がポリウレタン層からなる3層積層構造であるが、内層にさらに少なくともひとつの層が存在する可能性を排除するものではない。
【0017】
本発明のラミネート材料は酸化に対して優れた抵抗性を持っている。理論によって裏づけされていないが、これはポリウレタン層がSIS/SBS層の酸化に対するバリアーとして、および/またはSIS/SBS層からの抗酸化剤の移行に対するバリアーとして作用することによると信じている。これに加えての利点は、この材料が「ブロッキング」する傾向が少ないことである。これは、ポリウレタンがSIS/SBS層より硬い材料であるという事実による。硬さのこの相違は、ポリウレタンではブロッキングを避けるためのブロッキング剤がポリウレタン層中に少ししか使用されないことを意味し、抗ブロッキング剤がポリウレタン層から移行してくる可能性が少なく、炭酸マグネシウムやコーンスターチのような粉体の必要性が避けられることを意味する。更に、SISまたはSBS層は強度、弾性および柔軟性の特性を備えており、これらの特性は外層ポリウレタン層によって補完されるので、材料は弾性を有する保護物品を製造する際に使用するに著しく好都合である。
【0018】
本発明の第2の態様では、本発明は本発明の第1の点で定義されたような弾性材料からなる弾性物品を提供する。
【0019】
物品は、例えば、手袋、コンドーム、カテーテルまたは泌尿器用被覆材(urinary sheath)であってもよい。手袋は医用であってもよく、例えば医療用の実験または手術用であってもよい。これらの物品のあるものの物理的特性を支配する規格(例えば、外科医用手袋としてはASTM3577)が存在し、他の物品(例えば実験用手袋または泌尿器用被覆材(urinary sheath))はこのような規格に従う必要はないが、優れた弾性特性と血液障害性化学物質を含有しないことは極めて望ましいと考えられる。
【0020】
本発明の第1の態様の積層材料は、本発明の第2の態様による物品の形成過程において製造することができる。したがって例えば、物品は最初適切に形を作った型をポリウレタンの溶液または懸濁液に浸漬し、次いでSISまたはSBSブロック共重合体の溶液または懸濁液に浸漬し、それからポリウレタンの溶液(浸漬と浸漬の間に必要なら乾燥を入れてもよい)に浸漬して物品の製造中に積層構造を「構築する」ようにして製造することができる。
【0021】
しかしまた、本発明の第1の態様の材料をシート等の形で製造し、それを本発明の第2の態様の物品を製造するのに使用してもよい。
好ましくは、SISまたはSBS層は厚さ30〜1000μm、より好ましくは40〜300μm、更に好ましくは50〜200μmである。
好ましくはポリウレタン外層の厚さは2〜100μm、より好ましくは5〜50μm、更に好ましくは10〜20μmである。
【0022】
使用中、ある用途では(例えば外科医用手袋および自己潤滑コンドーム)、「内側の」ポリウレタン層、即ち使用者の皮膚と接している層は、吸収した湿気が速やかに膨潤するようにポリウレタンの外層より薄くてもよい。これらの場合には「内層」は「外層」の厚さの1/3以上であることが好ましい。
【0023】
好ましくは、SIS/SBSブロック共重合体は熱可塑性ABAブロック共重合弾性体である。SIS/SBSブロック共重合体のスチレン含有量は15〜35重量%であることが好ましい。SIS/SBSブロック共重合体の分子量(数平均Mn)は、好ましくは150,000〜300,000、より好ましくは200,000〜250,000である。
【0024】
本発明の用途のためのSISブロック共重合体の特に好ましい例としてはクレイトン(Kraton)D−1161および1107(シェルケミカルズから入手可能;15%の結合スチレンを有するスチレン/イソプレン3元ブロック共重合体)およびベクター(Vector)4113(デクスコ・ポリマーズ(Dexco Polymers)から入手可能)が含まれる。本発明の用途のためのSBSブロック共重合体の別の例はクレイトン D−1184(シェルケミカルズから入手可能;30%の結合スチレンを有するスチレン/イソプレン3元ブロック共重合体)である。
必要なら、SISとSBSのブロック共重合体の混合物も使用してもよい。
【0025】
粉体は可動性となり、浸漬した物品の「粉体を含有しない」という特性を台無しにするのでSIS/SBS溶液または懸濁液の調製中に粉体でないSIS/SBSブロック共重合体品質のものを使用することが重要である。
【0026】
当然のことながら、積層体の弾性且つ可撓性の構造が保持されている限りであるが、積層体の外層用に種々のポリウレタンを用いることができる。したがって、例えば、ポリウレタンは親水性ポリウレタンであってもよいが、より好ましくは親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー(例えば、疎水性ポリウレタン)の混合物からなるかまたは疎水性ポリウレタンからなることが好ましいであろう。積層体の2つの外層のポリウレタン組成は同じであっても異なってもよい。それぞれの外層を構成するポリウレタンの正確な性質は製造された物品の狙いとする用途による。
【0027】
ラミネートの外層の少なくとも1つ(およびより好ましくは両方)のポリウレタン組成物は親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー、特に疎水性ポリウレタンとの混合物からなることが好ましい。親水性ポリウレタンと疎水性ポリウレタンの混合物を用いることにより水によって湿り得る組成物であり、また親水性ポリウレタンそのものに較べてアルコール溶媒に対するより大きい抵抗性を有する組成物となる。したがって、水による湿気付与は手袋をこのように着用することを可能にするので、この組成物は、一般に濡れたまたは湿り気のある手(外科医がこすり洗いした直後の手)に着用する必要のある手術用手袋の製造に使用するに特に好適である。更に、手袋を着用している外科医がこすり洗いの一環として手または手袋の外側にアルコール系の消毒剤を付けるのであれば組成物のこのようなアルコール抵抗性が重要であろう。
【0028】
親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー(好ましくは疎水性ポリウレタン)との混合物からなるこのような組成物については、組成物は親水性ポリウレタンが20〜60重量%および疎水性ポリマーが40〜80重量%を含んでなることが好ましい。親水性ポリウレタン約30重量%と疎水性ポリウレタン70重量%を含んでなる組成物が特に好適である。
【0029】
あるいはまた、外層の一方または両方が単独のポリウレタンとして疎水性ポリウレタンを含んでもよい。このような層は乾いた手に着用されるべき手袋の内層として好適である。疎水性ポリウレタンはアルコール溶媒に対して抵抗性を備えているので有用である。
【0030】
アルコール溶媒に対する抵抗性が重要でない場合は、一方または両方の層に単独のポリウレタンとして親水性ポリウレタンを含んでもよい。この例としては外側面が親水性ポリウレタンを含んでなり、内層が親水性ポリウレタンと疎水性ポリウレタンのブレンド物または疎水性ポリウレタン単独のどちらでもよい自己潤滑性コンドームが挙げられるであろう。
【0031】
前記したように、本発明による物品は適当な形の型を、先ずポリウレタン含有溶液または懸濁液に、次いでSISまたはSBSを含有する溶液または懸濁液に逐次浸漬し、それからポリウレタン含有溶液または懸濁液に浸漬する浸漬方法によって製造することができる。
【0032】
「浸漬」用のポリウレタンは溶液として存在することが好ましく、特に極性溶媒中に溶液として存在することが好ましい。好ましい極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルミアミド、ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、オレイン酸アミドまたはこれらの混合物が例示できる。ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0033】
ポリウレタン溶液は、ポリウレタンを5〜20重量%(例えば8〜15重量%)含有することが好ましい。また、溶液は、ブロック防止剤として働き、粒子であるけれどもポリウレタンのフィルム構造中にトラップされ、粉体を含まない仕上がりとする沈降シリカ、シリカによって生じる表面摩擦を低減しそれ自身でブロック防止剤として作用するオレアミド、エルカミド、ステアラミド、ベヘナミド(behanemide)、エチレンビスオレアミド、エチレンビスエルカミドおよびエチレンビスステアラミド脂肪酸アミド、のような添加剤を更に含んでもよい。オレアミド(オレイン酸アミド)は最も好ましい脂肪酸アミドである。沈降シリカは、用いるとすれば一般には溶液中に5〜10%(ポリウレタンに対する重量%)の量で含有され、脂肪酸アミドまたは脂肪酸アミドの混合物は、用いるとすれば1〜10%(ポリウレタンに対する重量%)の量で含有される。加えてカルナバワックス(Carnuba wax)(マイケルマン社(Michelman Inc.)から「ミーワックス(Miwax)411」として入手可能)のような硬質の疎水性ワックスを抗ブロッキング性を付与するためにポリウレタン溶液に組み込んでもよい。硬質疎水性ワックスは、用いるとすれば、一般に、溶液中に5〜10%(ポリウレタンに対する重量%)の量で含有される。好ましい浸漬溶液は次の組成を持つものである:
ポリウレタン 15重量%
ジメチルホルムアミド 85重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタンに対する重量%)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタンに対する重量%)
【0034】
本発明のある態様では、最初の浸漬溶液と最後の浸漬溶液が異なる組成を有する場合によい結果が得られるであろう。
【0035】
特に好ましい最初の浸漬溶液は次の組成を持つものである:
ポリウレタン 12重量%
ジメチルホルムアミド 88重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタンに対する重量%)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタンに対する重量%)
特に好ましい最後の浸漬溶液は次の組成を持つものである:
ポリウレタン 8重量%
ジメチルホルムアミド 92重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタンに対する重量%)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタンに対する重量%)
【0036】
沈降シリカ、脂肪酸アミドおよび硬質疎水性ワックスを含む群から選ばれる1種以上の添加剤が存在することにより、浸漬工程を型へのくっ付きを防止するための粉体(例えば炭酸マグネシウムまたはコーンスターチ)を使用することなく行うことができる。
【0037】
また、SISまたはSBSは、好ましくは溶液の形で用いられ、テトラヒドロフランのような溶媒も用いることができるが、より好ましくは芳香族溶媒中で、更に好ましくはトルエンまたはキシレン中での溶液の形で用いられる。この「浸漬」溶液は、例えば、SISまたはSBSブロック共重合体を好ましくは20〜45重量%、より好ましくは24〜35重量%含んでもよい。
【0038】
SIS/SBS溶液が芳香族溶媒系であり、ポリウレタン含有溶液が疎水性ポリウレタンを含有するなら、SIS/SBS溶液は、芳香族溶媒と混和性のある比較的極性の液体を含有することが一般には好ましいであろう。SIS/SBS溶液中にこのような極性液体を使用することにより、恐らくSIS/SBS溶液の芳香族溶媒と疎水性ポリウレタンとの間の非相溶性によって生じるであろう最終物品のまだら模様を防止しまたは妨げることが見出された。極性液体はSIS/SBS溶液中に溶液に対して5〜20重量%の量で組み込まれてもよい。このような極性液体の特に好ましい例としては、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミドのようなN,N−ジメチルアミド類、例えばブタン−2−オンのようなケトン類、または例えばプロパン−2−オールのようなアルコール類が例示できる。
【0039】
SIS/SBS溶液は、例えば、次のものからなってもよい:
SIS 28重量%
トルエン 60重量%
ジメチルアセトアミド 12重量%
【0040】
型に塗布される第1の(ポリウレタン)層は比較的薄い(例えば20〜30μm以下)であることが一般には好ましい。このような厚さは、第1の層を形成するためのポリウレタン溶液から型を比較的ゆっくり引き上げて得ることができる。
【0041】
以下の例では、記述されている数値はポリウレタンおよび上記で引用したSIS/SBS溶液への物品の浸漬に関係する。溶液粘度の相当する大きな変動を伴う溶液内のポリマー含有量の大きな変動は浸漬速度に顕著な影響を与えるであろう。同様に乾燥温度および時間は上記の溶媒に関係する。したがって、下記に引用する数値は単に、引用した好ましい配合処方から浸漬された手袋のための製造パラメータを示すためのものである。特に、浸漬される物品の全体の寸法、重量および形は採用する最終条件を支配するであろう。
【0042】
第1の浸漬工程では、型は好ましくは液体媒体から0.05〜5mm/秒、特に好ましくは0.2〜1mm/秒で取り出す。第2の浸漬工程では、型は好ましくは液体媒体から0.5〜10mm/秒、特に好ましくは2〜5mm/秒で取り出す。第3の浸漬工程では、型は好ましくは液体媒体から0.2〜15mm/秒、特に好ましくは0.5〜5mm/秒で取り出す。
【0043】
型は、好ましくは各浸漬工程ごとに乾燥する。乾燥は好ましくは80〜130℃で行う。
【0044】
第1の浸漬工程の後、乾燥は3〜20分間行うのが好ましく、8〜12分間行うのが特に好ましい。第2の浸漬工程の後、乾燥は5〜25分間行うのが好ましく、10〜15分間行うのが特に好ましい。第3の浸漬工程の後、乾燥は3〜20分間行うのが好ましく、8〜12分間行うのが特に好ましい。
【0045】
浸漬した物品を製造するのに使用される型のタイプは製造される物品の性質に依存する。
【0046】
したがって、手袋用には、型はビスク(焼かれているがうわぐすりのかかっていない磁器の型)またはうわぐすりのかかったセラミック仕上げのいずれかの磁器であり、所望であれば表面仕上げは型をサンドブラストで荒らすかまたは粗面仕上げに吹き付けて荒らしてもよい。コンドームの場合には型としては好ましくはガラスである。泌尿器用被覆材の場合は、型はセラミック、ステンレススチール、アルミニウムまたはガラスであってもよい。
【0047】
本発明で使用する親水性ポリウレタンは一般に、ポリ(エチレンオキサイド)(エチレングリコール)単位を組み込んだソフトブロックを有している。ポリウレタンの骨格内にこのような基を持つことにより水に結合する能力が付与され、ポリマーが膨潤し水蒸気を透過することができるようになる。好適な親水性ポリウレタンはハードブロックとソフトブロックを含んでなり、ソフトブロックは、好ましくは少なくとも400の分子量、好ましくは400〜8000の分子量を持つポリ(エチレンオキサイド)単位を含んでいる。また、一般に親水性ポリウレタン中のポリ(エチレンオキサイド)単位の全含有量は、ソフトブロックを形成するために使用されるポリオール混合物中、少なくとも10重量%であろう。
【0048】
本発明で使用する親水性ポリウレタンは、有機ジイソシアネート(OCN−R−NCO)とこのようなイソシアネート基と反応し得る2個の活性水素置換基を有する適当な化学種の反応を経由して形成される逐次成長ポリマーであってもよい。好適なポリウレタンは脂肪族または芳香族ジイソシアネートとポリ(エチレンオキサイド)単位を含み活性な水素種(例えばOHまたはNH2)を含む末端基を有する比較的低分子量のポリマー(MWが400〜8,000、好ましくは1,000〜2,000)とそれぞれn+1:nのモル比でプレポリマーを形成する初期反応によって形成してもよい。
【0049】
このようなジイソシアネートの代表的な例としては次のものが含まれる:
(1)ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートおよびそれらの混合物。
【0050】
使用できる比較的低分子量ポリマーの代表的な例としては次のものが含まれる:
(2)末端にヒドロキシル基またはアミン官能基を有するポリエチレングリコール、エチレングリコールと末端にヒドロキシル基またはアミン官能基またはその混合物を有する疎水性ポリオール(例えばプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール)のブロック共重合体。
【0051】
(2)で列挙した低分子量ポリマー(またはそれらの混合物)はジイソシアネートと反応してプレポリマーを形成するために個別に用いてもよい。これに代わるものとして、例えば上記(2)に例示した低分子量ポリマーは、ポリ(エチレンオキサイド)単位を含まない低分子量(例えば、250〜8000、好ましくは1000〜2000)のポリオールと更に組合せて用いてもよい。
【0052】
このような更なるポリマーの例としては以下のものが含まれる:
(3)ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエチレンアジペートポリオール、ポリテトラメチレンアジペートポリオール、ポリエチレンテトラメチレンアジペートポリオール、ポリヘキサメチレンアジペートポリオール、ポリエチレンヘキサメチレンアジペートポリオール、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリエチレンヘキサメチレンカーボネートグリコール、およびこれらの混合物。この定義のためには、ポリオールという用語は末端ヒドロキシル官能基を含有するポリエステル材料を言い、グリコール材料は末端ヒドロキシル官能基を含有するポリエーテル(またはポリカーボネート)材料を言う。上記の例の各々において、末端ヒドロキシル官能基は末端アミン官能基で置き換えてもよい。
【0053】
次いでプレポリマーは、活性水素種(例えばOHまたはNH2)を有する2官能基を含有する低分子量脂肪族化合物とジイソシアネートとのプレポリマー分子当たりx:x−1の割合での反応によって伸長される。活性水素種を有する2官能基を含んでなるこのような低分子量脂肪族化合物は、ジオールでも、ジアミンでもまたはアルカノールアミンでもよく、それぞれの例としては次のものが例示できる:
(4)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、およびこれらの混合物。
(5)エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミンまたはこれらの混合物。
(6)エタノールアミン。
【0054】
上記の方法に代わるものとして、プレポリマーはジイソシアネート(例えば(1)に列挙したもの)のn+1モルと(3)に記載したポリエーテルグリコールnモルとの反応によって製造することができる。次いでこの反応の生成物を更に上記(2)で例示したポリ(エチレンオキサイド)単位を含有するヒドロキシルまたはアミン末端の低分子量ポリマーの2モルとさせる(即ち、1モルのプレポリマーを2モルのポリ(エチレンオキサイド)含有ポリマーと反応させる)。
【0055】
次いでプレポリマーの延長反応を、例えば上記(4)〜(6)の化合物によって例示されている2個の活性水素置換基を有する低分子量脂肪族化合物とジイソシアネート(例えば上記(1)に例示されている)のプレポリマー1分子当たりx:x+1モルの比率によって成し遂げる。
【0056】
親水性ポリウレタンは一般にハードブロック含量が18〜35%であろう。一般にハードブロックは芳香族ジイソシアネートとブタンジオールから誘導されるであろう。ソフトブロックは芳香族ジイソシアネートと上記タイプのポリエチレンオキサイドから誘導されるであろう。ポリエチレンオキサイドはアミン基によってキャップされていてもよい。
【0057】
2種類のこのような例は本明細書の中で実施例として引用されるであろう。ハイフィル1(Hyphil 1)は芳香族ポリエーテル−ウレタンであり、親水性および疎水性の両方のポリオール(親水性ポリオールは分子量が2,000、疎水性ポリオールは分子量が1,000)からなるソフト構造とともに18〜23%のハードブロック含量を有している。ハイフィル2(Hyphil 2)は芳香族ポリエーテル−ウレタンであり、親水性および疎水性の両方のポリオール(どちらも分子量が2,000)からなるソフト構造とともに20〜24%のハードブロック含量を有している。
【0058】
親水性ポリウレタンとの混合において用いられる疎水性ポリマーは例えば疎水性ポリウレタンであってもよい。疎水性ポリウレタンはソフトブロック構造中にエチレングリコール単位を全く含まないであろう。物質のソフトブロック中にポリエチレングリコールの長い鎖が存在しない場合には、短いエチレングリコール単位(上記した)は認め得る程度の親水性特性を有する物質を生じないでポリウレタンのハードブロック中に組み込まれてもよい。
【0059】
本発明で用いる疎水性ポリウレタンは、有機ジイソシアネート(例えば上記(1)に列挙された化合物)のn+1モルと、疎水性残基と例えば上記(3)で列挙されている化合物によって例示される2個の活性水素置換基を有する化合物のnモルとからのプレポリマーの第1段の形成によって製造してもよい。
【0060】
次いでプレポリマーを、活性水素種(例えば、OHまたはNH2)(例えば上記(4)〜(6)に例示されている)を有する2官能基を含有する低分子量脂肪族化合物とジイソシアネート(上記(1)に例示)とモル比x:x−1の割合で反応によって伸長することができる。
【0061】
疎水性ポリウレタンは、例えば、好ましくはハードブロック含量20〜45%、より好ましくは25〜35%であってもよい。ハードブロックは芳香族ジイソシアネートとブタンジオールとの反応によって合成することもできる。ソフトブロックは芳香族ジイソシアネートとポリテトラメチレンジオールから合成してもよい。
【0062】
このような1例をこの明細書に実施例として引用している。ハイフォブ1(Hyphob 1)はハードブロック含量26〜29%を有する芳香族ポリエーテル−ウレタンである。この物質は分子量2,000のポリオールに基づいている。
【0063】
上記で述べてきたように、ポリマーは「ツーショット」反応(即ち、プレポリマー形成段階が鎖伸長前の第1の段階で行われるなら、第2段階で完成する)によって製造される。これに代えて反応はバルクの「ワンショット」反応で行ってもよい(即ち、すべての反応薬剤が唯一の単一ステージ反応で混合される)。
【0064】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに記載する。
実施例 1
下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて手袋を作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0065】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0066】
市販のビスク仕上げ磁製型をポリウレタン液体媒体に浸漬し、0.25mm/秒のゆっくりした速度で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してから2mm/秒でSIS液体媒体中へ浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ80℃で13分間乾燥した。
温かい型を再度ポリウレタン溶液中へ浸漬し、2mm/秒の速度で引き上げ80℃で更に9分間乾燥した。
仕上がった手袋は見かけ上全く欠陥はなく、非ブロッキング性を有し、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても影響を受けなかった。
手袋は外科医用手袋として好適であると考えられた。
【0067】
実施例 2
下記のポリウレタンとスチレン共重合体配合処方を用いて手袋を作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0068】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0069】
市販のビスク仕上げ手術用手袋型をポリウレタン中に浸漬し、0.75mm/秒のゆっくりした速度で引き上げた。
被覆した型を80℃で5分間乾燥し、室温に冷却してからクレイトン1161溶液に浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ80℃で11分間乾燥した。
被覆した温かい型を再度ポリウレタン溶液中へ浸漬し、0.75mm/秒の速度で引き上げ80℃で5分間乾燥した。
乾燥した手袋を60℃の水に5分間曝し、手で取り外して常套の回転式ドライヤー中で乾燥した。
手袋は非ブロッキング性を有し、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても分離する形跡はなかった。仕上がって手袋は指先に見かけ上の欠陥は示さなかった。しかし、手袋内部に取り込まれた小さな泡の形跡が、主に指の側面に沿ってあった。
手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると判断された。
【0070】
実施例 3
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0071】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0072】
市販のビスク仕上げ手術用手袋型をポリウレタンに浸漬し、0.25mm/秒のゆっくりした速度で引き上げた。
被覆した型を80℃で5分間乾燥し、室温に冷却してからクレイトン1161溶液中に浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ80℃で11分間乾燥した。
被覆した温かい型を再度ポリウレタン溶液中へ浸漬し、0.75mm/秒の速度で引き上げ80℃で5分間乾燥した。
乾燥した手袋は60℃で5分間水の中に曝したのち、手で剥がして通常の回転式乾燥機中で乾燥した。
得られた手袋は非ブロッキング性を有し、乾燥した手に対して優れた着用性を備えており、手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間浸漬しても品質低下や層剥離の兆しはなかった。しかし、出来あがった手袋は指のところに、クレイトン層を塗布した際に最初のポリウレタン層が膨潤したことによる不規則な斑点模様があった。
手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると見なされた。
【0073】
実施例 4
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0074】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0075】
手袋を実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は非ブロッキング性を有し、乾燥した手に対して優れた着用性を備えていた。手袋は、また、皮膚に対して心地よい「シルキー」感を備えており、イソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間浸漬しても層剥離の兆しはなかった。しかし、出来あがった手袋は指のところに、クレイトン層を塗布した際に最初のポリウレタン層が膨潤したことによる不規則な斑点模様があった。
手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると見なされた。
【0076】
実施例 5
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0077】
手袋を実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は、トルエン中での親水性ポリウレタンのわずかな膨潤に起因する上の欠陥は全くなかった。手袋は非ブロッキング性であり、乾燥した手に対しても湿った手に対しても良好な着用性を備えていた。しかし、イソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝すと剥離の兆しを示した。
この手袋は、外観は重要であると見なされるが、実験過程においてアルコール系試薬の使用が考えられない場合の実験用手袋として使用するには好適であると判断された。同様に、アルコール系試薬が使用されるはずがないのであれば、この手袋は外科医用手袋としても好適であると判断された。
【0078】
実施例 6
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0079】
手袋を実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は、見掛け上の欠陥はなく、非ブロッキング性で乾燥した手に対して合理的な着用性を持っていた。しかし、得られた手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間浸漬したのち部分的な剥離を示した。
この手袋は、外観は重要であると考えられるが、実験過程においてアルコール系試薬の使用が考えられない場合の実験用手袋として使用するには好適であると見なされた。同様に、アルコール系試薬が使用されるはずがないのであれば、この手袋は外科医用手袋としても好適であると見なされた。
【0080】
実施例 7
次のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0081】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0082】
手袋は実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は、外観上の欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手に対しても湿った手に対しても優れた着用性を持っていた。しかし、得られた手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝すと部分的な剥離を示した。
この手袋は、外観は重要であると見なされるが、実験過程においてアルコール系試薬の使用が考えられない場合の実験用手袋として使用するには好適であると判断された。同様に、アルコール系試薬が使用されるはずがないのであれば、この手袋は外科用手袋としても好適であると見なされた。
【0083】
実施例 8
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0084】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0085】
手袋は実施例2に記載したと同じ方法によって作成した。
得られた手袋は非ブロッキング性で、乾燥した手に対しても湿った手に対しても優れた着用性を持っていた。また、手袋はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても剥離の形跡を示さなかった。しかし仕上げた手袋は指先に斑点が見られた。
この手袋は、小さな見かけの欠陥は手袋の性能を損なうとは考えられない実験用手袋の場合には、アルコール系試薬の使用を含む粉体を用いていない実験用手袋として好適であると見なされた。
【0086】
実施例 9
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔第1の層用のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0087】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0088】
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0089】
市販のビスク仕上げ磁製型を第1のポリウレタン配合処方中に浸漬し、0.75mm/秒で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS溶液に2.55mm/秒で浸漬した。型は2.5mm/秒の速度で引き上げ100℃で13分間乾燥した。
温かい型を最後のポリウレタン配合処方中へ浸漬し、1mm/秒の速度で引き上げ100℃で更に9分間乾燥した。
手袋を60℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。手袋は剥がす際に反転し、再度反転してから従来の回転式乾燥機中で乾燥した。
手袋は、指および手のひらの部分の一枚の厚さが180ミクロンであった。出来あがった手袋は見かけ上欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋の外側表面はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に曝しても影響がなかった。
手袋は、アルコール系試薬がその外側表面としか接触しないときには、外科医用手袋として好適であると考えられた。
【0090】
実施例 10
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔第1の層用のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0091】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0092】
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0093】
市販のビスク仕上げ磁製型を第1のポリウレタン配合処方中に2.5mm/秒で浸漬し、3.3mm/秒で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS溶液に2.55mm/秒で浸漬した。型は4.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で15分間乾燥した。
温かい型を最後のポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で浸漬し、3.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で更に9分間乾燥した。
手袋を45℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。手袋は剥がす際に反転し、次に再反転してから通常の回転乾燥機中で乾燥した。
手袋は、指および手のひらの部分の一枚の厚さは160ミクロンであった。出来あがった手袋は見かけ上欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋の外側表面はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間曝すと影響を受け、層剥離の形跡を示した。
【0094】
この方法で作成した手袋から切り出したサンプルの引っ張り特性を2型ダンベル(BS903:パートA2 1995に準ずる)を用いて引張速度500mm/分で測定した。5回試験結果の平均値を下記に示す。
この手袋はアルコール系試薬が短期間手袋の外側表面とのみ接触するような状況でのみ使用される場合に使用可能な手袋として好適であると判断された。
【0095】
実施例 11
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔第1の層用のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0096】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0097】
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0098】
市販のビスク仕上げ磁製型を第1のポリウレタン配合処方中に2.5mm/秒で浸漬し、3.3mm/秒で引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS溶液に2.55mm/秒で浸漬した。型は4.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で15分間乾燥した。
温かい型を最後のポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で浸漬し、3.3mm/秒の速度で引き上げ100℃で更に9分間乾燥した。
手袋を45℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。手袋は剥がす際に反転し、次に再反転してから通常の回転乾燥機中で乾燥した。
手袋は、指および手のひらの部分の一枚の厚さは160ミクロンであった。出来あがった手袋は見かけ上欠陥がなく、非ブロッキング性で、乾燥した手および湿った手に対して優れた着用性を備えていた。手袋の外側表面はイソプロピルアルコール/水の70:30混合物に2分間曝しても影響を受けなかった。
【0099】
この方法で作成した手袋から切り出したサンプルの引っ張り特性を2型ダンベル(BS903:パートA2 1995に準ずる)を用いて引張速度500mm/分で測定した。5回の試験結果の平均値を下記に示す。
この手袋は、アルコール系試薬が手袋の外側表面とのみ接する状況で用いられるときには、外科医が使用できる手袋として好適であると見なされた。
【0100】
実施例 12
コンドームを下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0101】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0102】
市販のガラス製コンドーム型をポリウレタン配合処方中に2.5mm/秒で浸漬し、0.25mm/秒でゆっくり引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS液体媒体中へ2.5mm/秒で浸漬した。型は1mm/秒の速度で引き上げ100℃で13分間乾燥した。
温かい型をポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で再度浸漬し、0.28mm/秒の速度で引き上げ100℃で9分間乾燥した。
コンドームを60℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。コンドームは粉体を使用しないで従来の回転乾燥機中で乾燥した。
仕上がったコンドームは、一枚の厚さは80ミクロンであり、水を含んだ時ぬるぬるした感触があった。コンドームはそれ自己潤滑性表面を有するコンドームとして好適であると見なされた。
【0103】
実施例 13
泌尿器用被覆材を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔ポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0104】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
【0105】
市販のステンレススチール製型をポリウレタン液体媒体中に2.5mm/秒で浸漬し、0.5mm/秒の速度でゆっくり引き上げた。
被覆した型を80℃で9分間乾燥し、室温に冷却してからSIS液体媒体中へ2.5mm/秒で浸漬した。型は2mm/秒の速度で引き上げ100℃で11分間乾燥した。
温かい型をポリウレタン配合処方中へ2.5mm/秒の速度で再度浸漬し、1mm/秒の速度で引き上げ100℃で9分間乾燥した。
泌尿器用被覆材を60℃の水に5分間曝したのち、手で型から取り外した。泌尿器用被覆材は粉体を使用しないで従来の回転乾燥機中で乾燥した。
仕上がった泌尿器用被覆材は、一枚の厚さは100ミクロンであり、水を含んだ時ぬるぬるした感触があった。泌尿器用被覆材は尿管カテーテル被覆材として好適であると見なされた。
【0106】
比較例 1
手袋を下記のスチレンブロック共重合体配合処方を用いて作成した:
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0107】
市販のビスク仕上げ磁製手袋型をSIS液体媒体中に2.5mm/秒で浸漬し、2mm/秒で引き上げた。被覆した型を100℃で13分間乾燥し、60℃で5分間水の中に曝した。
手袋を型から剥がすに際して、手袋表面がくっ付き、更なる加工を妨げた。
【0108】
比較例 2
手袋を下記のポリウレタンとスチレンブロック共重合体の配合処方を用いて作成した:
〔最終層のポリウレタン液体媒体配合処方〕
【0109】
〔スチレンブロック共重合体液体媒体配合処方〕
実施例3と同じ。
【0110】
市販のビスク仕上げ手術用手袋型をSIS液体媒体中に2.5mm/秒で浸漬し、2mm/秒で引き上げた。被覆した型を100℃で13分間乾燥した。
暖かい型を2.5mm/秒でポリウレタン配合処方中に浸漬し、1mm/秒で引き上げ、型を100℃で更に9分間乾燥した。手袋は60℃の水に曝し型から剥がした。
手袋を型から剥がすに際して、手袋表面がくっ付き、更なる加工を妨げた。
Claims (52)
- 積層構造を持ち外層がポリウレタン組成物を含んでなり、内層がスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)またはスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体またはそのブレンド物であり、外層が2〜100μmの厚さを有することを特徴とする弾性材料。
- 材料が、内層がSISまたはSBS層、またはそのブレンド物で外層がポリウレタン層を含んでなる3層積層構造である請求項1に記載の弾性材料。
- SISまたはSBS層が30〜1,000μmの厚さを持つ請求項1または2に記載の弾性材料。
- SISまたはSBS層が40〜300μmの厚さを持つ請求項3に記載の弾性材料。
- SISまたはSBS層が50〜200μmの厚さを持つ請求項4に記載の弾性材料。
- ポリウレタン外層が5〜50μm、好ましくは10〜20μmの厚さを持つ請求項1〜5のいずれかに記載の弾性材料。
- ポリウレタン層のひとつの厚さの他方のこのような層の厚さに対する比が3:1〜1:3の範囲にある請求項1〜6のいずれかに記載の弾性材料。
- SIS/SBSが、15〜35重量%のスチレン含量を有する熱可塑性ABAブロック共重合弾性体であり、数平均分子量が150,000〜300,000である請求項1〜7のいずれかに記載の弾性材料。
- SIS/SBSの数平均分子量が200,000〜250,000である請求項8に記載の弾性材料。
- 提供される積層体の外層に用いられるポリウレタンが、親水性ポリウレタン、親水性ポリウレタンと疎水性ポリマーの混合物または疎水性ポリウレタンである請求項1〜9のいずれかに記載の弾性材料。
- 積層体の外層の少なくともひとつのポリウレタン組成物が親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー好ましくは疎水性ポリウレタンとの混合物からなる請求項10に記載の弾性材料。
- 積層構造を持ち外層がポリウレタン組成物を含んでなり、内層がスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)またはスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体またはそのブレンド物であり、積層体の外層の少なくともひとつのポリウレタン組成物が親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー好ましくは疎水性ポリウレタンとの混合物からなる弾性材料。
- ポリウレタン外層が2〜100μmの厚さを有する請求項12に記載の弾性材料。
- 親水性ポリウレタンと疎水性ポリマー(好ましくは疎水性ポリウレタン)の混合物が、親水性ポリウレタン20〜60重量%と疎水性ポリマー40〜80重量%を含んでなる請求項11〜13のいずれかに記載の弾性材料。
- 混合物が親水性ポリウレタン約30重量%と疎水性ポリウレタン約70重量%とを含んでなる請求項14に記載の弾性材料。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の弾性材料を含んでなる弾性物品。
- 手袋、コンドーム、カテーテルまたは泌尿器用被覆材(urinary sheath)である請求項16に記載の弾性物品。
- 弾性材料が物品の形成中にその場で製造される請求項16または17に記載の弾性物品。
- 適切な形状を有する型を先ずポリウレタンの溶液または懸濁液中に、次いでSISまたはSBSブロック共重合体の溶液または懸濁液中に浸漬し、浸漬工程と浸漬工程の間に必要に応じて乾燥を組み込んでもよく、続いてポリウレタンの溶液中に浸漬して物品の形成中に積層構造を「構築する」ことによって製造される請求項16または17に記載の弾性物品。
- 物品が、適切な形状を有する型を先ずポリウレタン含有溶液または懸濁液中に、第2にSISまたはSBS含有溶液または懸濁液中に、第3にポリウレタン含有溶液または懸濁液中に逐次浸漬する浸漬工程によって製造されることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の弾性物品の製造方法。
- 浸漬用のポリウレタンが溶液の形で存在する請求項20に記載の方法。
- ポリウレタン溶液用の溶媒が極性のポリウレタン溶媒である請求項21に記載の方法。
- 極性溶媒がテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、オレイン酸アミドまたはこれの混合物を含む群から選ばれる請求項22に記載の方法。
- 溶媒がジメチルホルムアミドである請求項23に記載の方法。
- ポリウレタン溶液がポリウレタンを5〜20重量%含んでなる請求項21〜24のいずれかに記載の方法。
- 溶液が沈降シリカを含む請求項20〜25のいずれかに記載の方法。
- 沈降シリカがポリウレタン含量の5〜10重量%の量で溶液中に存在する請求項26に記載の方法。
- 溶液が脂肪酸アミドを含む請求項20〜27のいずれかに記載の方法。
- 脂肪酸アミドがポリウレタン含量の1〜10重量%の量で溶液中に存在する請求項26に記載の方法。
- 溶液が硬質の疎水性ワックス物質を含む請求項20〜29のいずれかに記載の方法。
- 硬質の疎水性ワックス物質がポリウレタン含量の5〜10重量%の量で溶液中に存在する請求項30に記載の方法。
- 浸漬溶液が
ポリウレタン 15重量%
ジメチルホルムアミド 85重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタン重量に対して)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタン重量に対して)
の組成を有する請求項20〜31のいずれかに記載の方法。 - 第1のポリウレタン含有溶液または懸濁液が
ポリウレタン 12重量%
ジメチルホルムアミド 88重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタン重量に対して)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタン重量に対して)
の組成を有する請求項20〜31のいずれかに記載の方法。 - 第3の浸漬工程において、ポリウレタン含有溶液または懸濁液が
ポリウレタン 8重量%
ジメチルホルムアミド 92重量%
沈降シリカ 9重量%(ポリウレタン重量に対して)
オレイン酸アミド 5重量%(ポリウレタン重量に対して)
の組成を有する請求項20〜31のいずれかまたは33に記載の方法。 - SISまたはSBSが溶液の形で用いられる請求項20〜34のいずれかに記載の方法。
- 浸漬溶液がSISまたはSBSブロック共重合体を20〜45重量%含有する請求項35に記載の方法。
- 浸漬溶液がSISまたはSBSブロック共重合体を24〜35重量%含有する請求項36に記載の方法。
- SISまたはSBS溶液用の溶媒が芳香族溶媒である請求項36に記載の方法。
- 溶媒がトルエンまたはキシレンである請求項38に記載の方法。
- ポリウレタン含有溶液が親水性ポリウレタンを含有し、SIS/SBS溶液が芳香族溶媒と混和性のある極性液体を含む請求項38または39に記載の方法。
- 極性液体が、溶液重量を基準にして5〜20重量%の量でSIS/SBS中に組み込まれている請求項40に記載の方法。
- 極性液体がN,N−ジメチルアミド類、例えばジメチルアセタミドまたはジメチルホルムアミド、ケトン類、例えばブタン−2−オン、およびアルコール類、例えばプロパン−2−オールを含む群から選ばれる請求項40または41に記載の方法。
- 浸漬溶液が
SIS 28重量%
トルエン 60重量%
ジメチルアセタミド 12重量%
からなる請求項38〜42のいずれかに記載の方法。 - 溶液用の溶媒がTHFである請求項35〜37のいずれかに記載の方法。
- 型に塗布される第1のポリウレタン層が厚さ30ミクロン未満である請求項20〜44のいずれかに記載の方法。
- 上記厚さが、型をポリウレタン溶液から0.2〜1mm/秒で引き上げることによって達成される請求項45に記載の方法。
- 第1の浸漬工程において、型が液体媒体から0.05〜5mm/秒で引き上げられる請求項20〜46のいずれかに記載の方法。
- 第1の浸漬工程において、型が液体媒体から0.2〜1mm/秒で引き上げられる請求項47に記載の方法。
- 第2の浸漬工程において、型が液体媒体から0.5〜10mm/秒で引き上げられる請求項20〜48のいずれかに記載の方法。
- 第2の浸漬工程において、型が液体媒体から2〜5mm/秒で引き上げられる請求項49に記載の方法。
- 第3の浸漬工程において、型が液体媒体から0.2〜15mm/秒で引き上げられる請求項20〜50のいずれかに記載の方法。
- 第3の浸漬工程において、型が液体媒体から0.5〜5mm/秒で引き上げられる請求項50に記載の方法。
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