JP2004501480A - 混合反応物燃料セル - Google Patents
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Abstract
電気化学的手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池であり、それは、少なくとも1つのセルと、セル内のすくなくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、電極間でイオンを移送するためのイオン伝導性電解質部材とから構成され、燃料、酸化剤および電解質部材が混合物として供給されることを特徴とする。
【選択図】図2
【選択図】図2
Description
【0001】
本発明は電気化学的システムに関し、特に、混合反応物、すなわち燃料セルまたは電池内で相互に直接接触する反応物を用いた燃料セルまたは電池に関する。
【0002】
全般的に、当業者にとって「燃料セル」なる用語は、要求に応じて反応物(燃料と酸化剤)が供給される、電力を発生する電気化学的装置を意味することは理解されよう。「電池」なる用語は、全般的に、要求に応じて反応物を連続的に供給するのではなくて、電気化学的に空になることができる自給式の、電力を発生する電気化学的システムを意味することは理解されよう。電池は、もちろん、充電によって補充できる。「燃料セル」および「電池」の新規な定義を与えることが本明細書の目的ではなく、電池内に含まれた自動車用または移動可能な反応物を有することが電池についての本発明の範囲である。
【0003】
従来の燃料セルまたは電池は、化学反応物を相互に物理的に分けて保持するように機能する電解質のまわりに挟み込まれた2つの電極からなる。燃料セルの一般的なタイプの一つにおいて、反応物は水素と酸素である。酸素は一方の電極を通過し、水素は他方を通過し、電気と水と熱を発生する。このようなタイプの燃料セルでは、水素燃料は燃料セルの陽極に供給される。酸素、または空気、は陰極の範囲内で燃料セルに供給される。陽極では、水素原子は、通常、触媒の助けを借りて陽子と電子に分裂される。陽子は、イオン伝導体であるが、陽子の通過に対して非常に高い抵抗を有し、それ故、電子的な絶縁体として扱われる電解質を通過する。それ故、陽子は陰極への外部通路を取りそして陰極に到達する前に有効な仕事を遂行するために負荷を通過する。陰極では、電解質を通って搬送された陽子が水を形成するように酸素および電子と結合される。
【0004】
燃料セルは有効なエネルギ変換のために熱的な燃焼というよりも電気化学に基づくものであり、作動温度および変換効率は、燃料セルシステムからの放射が最もクリーンな燃料燃焼システムからの放射であってさえもそれよりも極めて小さいので、より高いものである。これらは燃料セルがなぜ魅力的であるかの2つの理由である。しかしながら、燃料セルの電気が高コストであることは、燃焼によって電気を発生するときのコストが相対的に安価であることにより、より重要な問題である。燃料セルは、低騒音および広範な負荷能力のような追加の利点を提供するものではあるが、これまでの燃料セル産業科学における主要な試みは、コスト、重量および容積について従来の電力発生システムと競争するより安価なシステムの開発を企図するものである。
【0005】
燃料セル産業科学で報告された業績のほとんどは、上述したような燃料と酸化剤の分離供給が燃料セルの異なった区画に分配される従来の配列に基づくものである。しかしながら、非常に少数の研究者、多数の研究者については後述する、は混合反応物を用いることの可能性について探求した。混合された反応物間で直接反応することは熱力学的に有利であるが、いくつかの理由で有効に抑制または防止でき、それはセル設計者によって開発できる。例えば、反応は、直接反応のための高活性化エネルギおよび/または反応のための低速運動(slow kinetics)および/または化学種(species)の低速拡散によって有効に防止される。触媒反応電極或いはその他の選択的な接近法を選択的に採用することにより、反応物混合物での起こり得る程度の反応が無視される一方、還元反応を陰極でそして酸化反応を陽極で助長することができる。
【0006】
混合反応物燃料セルの分野における初期の技術は、チャールズ・アイロード(Charles Eyraud)、ジャニー・レノアー(Janine Lenoir)およびミシェル・ゲリー(Michel G▲e▼ry)によってシアーズ(Se▲a▼nce)、1961年3月13日、に発表されている。この文献に発表された単一セルは、その上に吸収された水分子を有する多孔性(porous)アルミナ薄膜を使用しており、それは所定の温度および圧力条件下で、フィルム電解質として作用させることができる。陰極は、例えば、銅またはニッケルの多孔性金属シートである。陽極は白金またはパラジウムの真空蒸着層である。湿潤空気(すなわち燃料ではない)において、ニッケルの酸化は多孔性Ni−Al2O3−Pdエレメントの電極を横切る電位差に現れることが発表されている。供給気体混合物に組み込まれた燃料を用いたときのこの装置の性能は、多孔性アルミナエレメントを通る燃料と酸化剤の混合物の拡散特性によって制限される。多孔性アルミナに吸収された固定水フィルム電解質のイオン伝導性を増強する手段としてアルミナまたは気体混合物内にアンモニアのようなイオン化可能な成分を追加しようとしている。これらの概念(concept)は時間を掛けるだけの価値があるとは思われない。
【0007】
C.K.ダイアー(C.K.Dyer)は、ネイチャー(Nature)、343巻(1990年)、547〜547頁に、エネルギ変換のための薄厚フィルム電気化学装置を記載している。ダイヤーの装置は酸化剤と燃料の混合物を用いた作動が可能である固体電解質燃料セルである。これは透過性触媒反応電極と非透過性触媒反応電極を備え、この2つの電極は電子絶縁性であるがイオン伝導性の気体透過性固体電解質によって分離されている。この固体電解質燃料セルは気体燃料/酸化剤混合物で作動する。この混合物は多孔性電解質を介して一方の電極にのみ供給され、他方の電極には拡散される。濃度勾配が異なった拡散移動を通して確立される。この装置は単一セル形態でのみ述べられている。
【0008】
モズリー(Mosely)およびウイリアム(Williams)は、ネイチャー、346巻(1990年)、23頁に、還元性気体を検知するためのセンサにAu/Pt電極を使用することを発表している。彼等のシステムにおいて、電極を分ける基質(substrate)の表面における大気水吸収が固定フィルム電解質として作用する。彼等はまた白金電極が一酸化炭素のような目標気体の電気化学的燃焼を支持できることを主張している。彼等の装置は、室温で作動しそして検体(燃料)気体(analyte gas)を酸化剤から分離する必要なしに機能する便利な特質を発揮している。この装置はセンサとして作動することに重点が置かれており、電力発生のための使用については考慮されていない。
【0009】
W.バン・グールは、フィリップ・リサーチ・レポート(Philips Res. Repts.)、20巻(1965年)、81〜93頁に、燃料セルおよび不均一系触媒作用における表面搬送の使用の可能性を論じている。開示された一つの装置において、両電極は燃料気体および酸素の混合物と接触しており、イオンは電極間で基質表面を横切って移動し、そして分離を達成するように選択的(selective)化学吸着が用いられている。このタイプの燃料セル装置は、電解質幾何学(geometry)によって高抵抗を生じるので、電力発生にとって固有的に不適当であり、一般的にセンサーへの応用にのみ適用可能である。選択的電極、特に選択的化学吸着によって作動する電極はこのタイプの燃料セル装置において有用であると言われている。
【0010】
燃料と空気の均一な混合物で作動する固体酸化物燃料セルを見直すことが、ソリッド・ステート・イオニクス(Solid State Ionics)、82巻(1995年)、1〜4頁に記載されている。
【0011】
ヒビノおよびイワハラ(Hibino and Iwahara)は、メタンの部分的酸化を用いる、簡略化された固体酸化物燃料セルシステムを、ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)、(1993年)、1131〜1134頁に記載している。互換性のある燃料セルシステムが提案されており、それは高温で働きそしてエネルギ源としてメタン+空気混合物を用いている。Y2O3添加(Y2O3−doped)ジルコニア(YSZ)ディスクが固体電解質として用いられる。ニッケル−YSZセルメット(80:20重量%)が1400℃で固体電解質ディスクの一方の面に焼結され、次いでAu金属が900℃で固体電解質ディスクの他方の面に適用される。これらの電極は周囲の燃料+空気混合物がそれらを通過して拡散することができるように十分に多孔性であることが報告されている。このシステムに基づく初期の設計では電力出力の見地から不満足なものであると認識されていた。
【0012】
より最近では(サイエンス(Science)、288巻(2000年)、2031〜2033頁)、ヒビノは、炭化水素−空気混合物を用いる低作動温度の固体酸化物燃料セルを発表しているが、固体電解質としてサマリア添加(samaria−doped)酸化セリウム(SDC)を用いている。SDCは酸化雰囲気雰囲気中でYSZよりもより一層高いイオン伝導性を有することが報告されている。また、このシステムは電極に貴金属を使用しておらず、それ故、製造コストが相対的に低くなる。
【0013】
同様な系列において、ゲーデッケマイヤー(G▲o▼dickemeier)他は、エレクトロケミカル・ソサイエティ(Elecrochem. Soc.)の192回総会およびインターナショナル・ソサイエティ・オブ・エレクトロケム(Int. Soc. Of Electrochem)の48回総会、フランス国パリ、1997年、の会報において、反応−選択電極を有する固体酸化物燃料セルを発表した。彼等は、固体酸化物燃料セルが燃料気体と空気の均一な混合物で作動される装置を発表している。電圧は、燃料の酸化のために選択的である陽極と、その上でのみ酸素の還元を発生できる陰極の間に発生される。燃料気体がメタンである場合、陰極はメタンの燃焼に挿入される。
【0014】
ウォルフ・フィールスティッヒ(Wolf Vielstich)、ボン大学物理化学研究所、の電気化学的エネルギ生産のための燃料セル、近代的方法(Fuel Cells, Modern Processes for the Electrochemical Production of Energy)(D.J.G.アイブス(Ives)訳、ロンドン大学バークベック・カレッジ、のワイリー・インターサイエンス(Wiley−Interscience) ISBN 0 471 906956)には、374および375頁に、セルが放射線分解で再生される酸水素セルとして述べられている。水は化学的核反応体によって水素と酸素に分解される。生成気体、水素と酸素の混合物、は2つの気体拡散電極からなる電解質セルに送られる。混合燃料気体は最初にセルの陰極側に導かれそして選択的反応の結果として減少される。残留気体、水素が豊富である、は次にセルの陽極側に送られる。この装置において、混合燃料の利用は2段工程で起こる。液体電解質が電極間に拘束される一方、反応物気体は電極の外面に供給される。
【0015】
ズー(Zhu)他は、ジャーナル・オブ・パワーソース(Journal of Power Sources)、79巻(1999年)、30〜36頁に「非通常型」燃料セルシステムと称されるものが記載されており、それは混合反応物で作動する単一チャンバシステムを含んでいる。通常の固体電解質が使用されそして導電性と、所要の機能を得るためのその他の電解質および/または電極の特性とに合わせる手段としてドーピング(doping)が論議されている。
【0016】
上述した各々の混合反応物システムによるものとすることができる重要な利点の一つは、排除されるべき複雑なマニホルディングを混合反応物の使用が許容することである。燃料セルのそれぞれのチャンバへの燃料および酸素の分離給送を分配するように構成されるべき錯綜した通路はもはやいかなる必要性もない。それ故、燃料セルの問題となるシール要求は容易にされる。加えて、軽減されたシール要求および無マニホルディングを有する装置は従来の燃料セルのように空間を浪費することはない。基本設備はセル内またはるを横切って一方から他方へ燃料+酸素を異動することを依然として要求されるが、一般的に言って、混合反応物システムを使用することはセル設計においてより大きな融通性を許容する。混合反応物技術は、放射線分解、電気分解または光分解システムから発生される気体混合物に適用できる。放射線分解で発生される廃ガスを利用するシステムの例は上述されている。
【0017】
混合反応物燃料セルの不利な点は、従来の対応するものに比較すると、燃料効率およびセル電圧(渦流燃料−酸素反応)の見地から総体的により低い性能を示すことである。過流反応と共に作用する問題はより良い選択的電極の開発によって解消することができる。従来の電極材料を用いると、混合反応物燃料セルの能力は、燃料と酸化剤が分離供給状態に維持される従来システムの性能より劣る。しかしながら、その他の性能はコストと電力密度が非常に増強されるように判断される。混合反応物燃料セルの関心は、ある種の反応物混合物が爆発のリスクを付随的に有することである。しかしながら上述したように、混合反応物は熱力学的に有利であるので必ずしも反応を単純に受けることはない。
【0018】
周知の燃料セルのその他の制限は、電気化学反応が3つの相間の接点でだけ生じることである。換言すると、電気化学反応は反応物と電解質が相互に出会う触媒の位置に制限される。この後者の問題は混合反応物燃料セルにおける制限であるだけではなくて、従来の燃料セルの不利な点でもある。
【0019】
それ故、本発明の目的は、前述した不利な点を改善した燃料セルまたは電池を提供することにある。特に、本発明の目的は、複雑なマニホルディングを排除し、有効なシールを提供することに共同する問題を軽減する燃料セルまたは電池を提供することにある。本発明の目的はまた、占有空間をより有効に使用させる燃料セルまたは電池を提供することにある。本発明の別の目的は、その使用または応用性において融通性があり、周囲環境から容易に利用できる反応物として混合された燃料と酸化剤を使用することが可能であるか、或いは放射線分解、電気分解または光分解システムで製造される気体を用いることが可能である燃料セルまたは電池を提供することにある。本発明の更に別の目的は、総合性能を向上することによって燃料を完全に利用してしまわないように補充することにある。本発明の更に別の目的は、要求次第で高電力レベルを引き出すことができる燃料セルまたは電池を提供することにある。
【0020】
第1の観点において、本発明は電気化学的手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池であり、それは、
少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間でイオンを搬送するためのイオン伝導性電解質部材と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として与えられる
ことを特徴とするものである。
【0021】
燃料/酸化剤/電解質部材が混合状態で与えられることは重要である。好ましくは、混合物は流体、この用語は液体、気体、溶液およびプラズマ(plasmas)さえも含む、である。混合物は固体化または固定化されたものでもよい。例えば、混合物は随意にゲル化、さもなければ基体に結合または含ませ得る。混合物の成分は相互内で高拡散率を有するのが好ましい。
【0022】
より好ましくは、燃料は流体形態(前述のように)の酸化可能な成分である。酸化可能であるということは、燃料が互換性のある酸化形態を形成するように電子を与えることができることを意味するように用いられる。好適な燃料の例では水素、メタンやプロパンのような炭化水素、C1〜C4のアルコール、特にメタノールおよび/またはエタノール、水素化ホウ素ナトリウム、アンモニア、ヒドラジンおよび溶解または溶融された形態の金属塩を含む。
【0023】
最も好ましくは、酸化剤は流体形態で還元可能な成分である。すなわち、酸化剤は電子受容体として動く。好適な酸化剤材料の例は酸素、空気、過酸化水素、金属塩を含む−特に金属塩はクロム酸塩、バナジン酸塩、マンガン酸塩またはその類似物、および酸を含む。酸素は、例えば水に酸素を溶解したもの、酸性溶液または過フルオロカーボン(perfluorocarbons)に酸素を溶解したもののような溶解された状態で供給し得る。
【0024】
電解質もまた流体形態の成分であり、そしてイオン的/電気的な移送可能性を有し、それにより電子よりはむしろイオンを伝導する。好適な電解質のための材料は酸性化された過フルオロカーボン、プラズマ、水性システム、水、溶融された塩、酸およびアルカリを含む。
【0025】
燃料または酸化剤が電解質として作るまたは動くことができることは可能である。換言すると、電解質は混合物中に分離成分でなければならないというものではない。同様に、燃料と酸化剤もまた混合物中に分離成分でなければならないというものではない。しかしながら、混合物は酸化剤と燃料と電解質の機能がそれに帰する3つの機能性を有することが極めて重要である。
【0026】
本明細書における「電極」の用語は電気触媒および電子的伝導媒体を含むものとして理解され、電気触媒はその中またはその上に組み込まれるかまたはそれが電気触媒自体である。
【0027】
上述したタイプの混合反応物システムと同様に慣用の燃料セルよりも本発明が優れている重要な利点は、反応物混合物における電解質機能の結合が電極で有効な活性面を非常に増加することである。慣例的に、電極の活性面領域を増やす方法は小さな電気触媒分子を増加して提供することであった。3つの機能性を有する反応物混合物を多孔性電極の本体を通過させることにより、本発明は電極の活性面を効果的に最大限に増加する。
【0028】
また、慣用の固体電解質は高価であり、それ故、本発明は燃料セルのコストのかかる部品の一つを排除することを許容している。それ故、製造コストを低減することができる。更に、慣用の燃料セルで用いられている固体電解質は慎重な水管理が要求される。水和重合(hydrated polymeric)電解質薄膜は、例えば、水管理が最大限に利用されていないと、乾燥または氾濫を受け易い。流体電解質は一般的に固体電解質よりも高い伝導率を有する。加えて、流体電解質はイオンの移送をより一層強めるように攪拌することができる。かくして、伝統的な電解質およびそれに付随する欠点をなしにする燃料セルを構成することに多くの利点があることが理解できた。
【0029】
別の利点は、すでに燃料+酸化剤、例えばメタンからなる埋立(land−fill)気体+空気の混合物からなる周囲環境製品の使用を行うことが可能となり得る。
【0030】
非流体システムにおいて質量の輸送が制限されるが、本発明による燃料セルのためのいくつかの適用例は条件付の混合物を使用することで利益を受ける。例えば、電池代替物として使用予定の小型の燃料セルおよび/または固体部品の燃料セルにおいて、カートリッジ/カセットまたはその他の簡単に扱える形態として混合物を補充することは有利である。このような補充は、プリンター装置における消耗されたインクカートリッジの交換、或いは煙草のライターまたは加熱式の巻き毛用こての燃料補給に類似するものである。
【0031】
燃料セルまたは電池の補充は、物理的手段によって混合物を補充すると説明された上述の例示に限定されるものではない。混合物の補充は互換的に熱的、化学的または電気的な手段によって行うことができる。このこともまた、再生または復活されるべき混合物の個々の成分について本発明の範囲内である。このような補充は物理的、熱的、化学的または電気的な手段である。
【0032】
本発明による燃料セルの作動温度範囲は0℃から1000℃またはそれ以上である。混合物にプラズマ成分を用いるこれらのシステムは、プラズマ温度を測定することが困難であるので、作動温度の用語で分類分けすることが困難である。
【0033】
本発明による燃料セルまたは電池は、電極へまたはそこからの化学種の搬送を強めるようにシステム内に乱流を発生するための、バフルや攪拌器(stirrer)のような手段を備える。1つまたはそれ以上の電極は燃料か酸化剤化学種かのいずれか吸収するというより蓄えることが可能である。
【0034】
好ましくは、燃料セルまたは電池の自己放電に対する安定性を提供するように、反応物間の反応のための高活性化エネルギが利用される。互換的、または追加的に、自己放電に対する安定性を提供するように、反応物間の反応のための低速運動が利用できる。また、自己放電に対する安定性を提供するように、反応物の拡散のための低速運動が利用できる。
【0035】
酸素保有液体(過フルオロカーボンのような)は、酸素を溶解させられるかまたは燃料および酸素を共に溶解させられるように用いられる。燃料セルまたは電池の酸化剤成分は、過フルオロカーボンのような適当な液体に気体(酸素のような)を溶解させることにより再補充される。
【0036】
本発明はまた、混合しない形態(immiscible phase)または部分的に混合しない形態であるかまたはその形態を含む反応物の安定した組合せの単一供給で作動する燃料セルまたは電池を意図している。このような装置の例は、混合物が安定した乳剤からなる反応物/電解質手段である。本発明による燃料セルまたは電池は、装置内で自然に分離する、混合しない形態または部分的に混合しない形態であるかまたはその形態を含む反応物の組合せを単一供給することで作動する。互換的に、燃料セルおよび電池は、混合しない形態または部分的に混合しない形態であるかまたはその形態を含む酸化剤および還元剤を分離供給することで作動し、それにもかかわらず、分離供給される酸化剤および還元剤の少なくとも一方と選択的に結合される電解質手段の存在下で装置内で接触することになる。前述したように、酸化剤および/または還元剤は別々の電解質成分を必要としないので電解質機能を有する。
【0037】
乱流は混合しない形態または部分的に混合しない形態間での接触を増加するように使用できる。好ましくは、電解質は、上述したように、3つの形態の触媒/電解質/反応物の境界でのみ電気化学的反応が発生できるので、双方の形態で相当な程度で存在する。それ故、混合しない形態または部分的に混合しない形態の一方が電解質の不足であると、電気化学的反応のための機会は制限されそして燃料セルまたは電池の性能は危うくされる。また、乱流は電解質が不十分な形態と電解質が豊富な形態と関係するセル電極の間で接触する面領域を増加するように使用できる。
【0038】
本発明による燃料セルまたは電池は、主セル反応のための面としてもそして追加の出力電圧および/またはより高い固有エネルギ密度を有するセルを提供する二次的セル反応をのための電解質としても電極材料を利用し得る。本発明による燃料セルまたは電池はまた、装置が電気を発生しないとき、混合物の安定性を強めるようにNEMCA(触媒活性の非ファラデー電気化学的修正;Nonfaradaic Electrochemical Modification of Catalytic Activity)または同様な効果を利用し得る。NEMCA効果は電気触媒の活性がその表面電荷によって修正されることを認められている。
【0039】
本発明による燃料セルまたは電池は不均化反応が可能な成分を含む反応物を供給することを含み得る。このようなシステムは選択的に充填可能である。例えば、反応物は、炭素と二酸化炭素を不均化反応させ、加熱により一酸化炭素に再生できる一酸化炭素を含み得る。別の例はマンガンイオンの溶液であり、そこにおいて不均化反応成分もまた電解質である。
【0040】
第2の観点において、本発明は、電気化学的手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池であり、それは、
少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間でイオンを搬送するためのアルカリ性電解質と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として与えられ、前記燃料は炭素または炭素質化学種である
ことを特徴とするものである。
【0041】
これまで、炭素質化学種が白金触媒を急速にだめにしてその性能を激しく減衰させるので、一定の炭素質化学種の存在下で慣用の白金陽極触媒を有する、陽子交換薄膜やアルカリ性電解質に基づくもののような、低温燃料セルを作動することはできないと考えられていた。しかしながら、本発明によれば、電解質密度を維持することを提供される重要な崩壊(degradation)なしに期間を延ばすために単一白金触媒電極を用いてメタノールのような炭化水素燃料、またはCO/CO2含有燃料でアルカリ性燃料セルを直接作動する実証された可能性を有する。理論によって結び付けられる願望なしに、このような白金触媒に触媒毒を生じさせない作動を可能にするメカニズムは、電解質によって炭素質化学種を洗浄する効果であると理解されている。本発明によってこの概念に与えられる利点は、電解質が燃料/酸化剤/電解質混合物の一部を形成し、それ故、触媒の触媒毒発生なしに連続的に作動できる密度でセルに供給されることである。
【0042】
加えて、空気のような酸化剤の連続投入は、空気陰極(典型的にニッケル上にマンガンに基づく)は液体の混合物、燃料およびアルカリ性電解質溶液に直接浸漬されたとき、このようなアルカリ性燃料セルの作動を維持できる。
【0043】
本発明の第3の観点は、電気化学的手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池であり、それは、
少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間にイオンを伝えるためのイオン伝導性電解質部材と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として存在し、そして前記電極はそれらの電位の力で選択する、それらと共作用される電気触媒を有する
ことを特徴とするものである。
【0044】
それにより触媒が化学的または物理的特性というよりも、或いはこれらに加えて、それらの電気的ポテンシャルのおかげで選択的にすることができるという現象は、NEMCA(触媒活性の非ファラデー電気化学的修正)効果として知られている。本発明は、単一チャンバ燃料セルの陽極および陰極のために同様なNEMCA触媒を使用する。相対的に正の電位のとき、触媒は還元反応に有利であり、相対的に負の電位にある間、酸化反応に有利である。いったん燃料セルが作動すると、電気化学的反応がそれぞれの電極、およびそれ故のそれらの選択性にバイアス(bias)を維持する傾向にある。バイアスは無作為な不安定の正のフィードバックを通して、或いは外部電位の簡単な適用によって最初に確立される。
【0045】
この装置の利点は、陽極が陰極になる、或いはその逆になるように、外部電位の簡単な適用によって、作動中に極性が逆転することである。外部電位は、例えば、外部電源により、或いは燃料セル自体によって充電されたコンデンサの使用により適用され得る。この利益は燃料セルの性能を大きく改善できることであり、より高い電流密度、セル電圧および改善された燃料利用として証明される。
【0046】
一般に、燃料セルは、本発明のこの観点によって解消できる、その性能に影響する2つの不利な点を被る。最初に、反応物は電極の近くで空にされることになる。第2に、触媒は作動中に触媒毒の影響を受けることになり、それにより電流が相対的に短時間、ことによると数分程度の短さ、流れた後にそれの最初の性能は非常に大きく減退される。通常状態で燃料セルの極性を反転することは上述の問題を共に解くことができ、そしてセル成極作用(polarisation)によって電力ロスを減少することにより改善された電流および電圧特性をもたらすことができる。
【0047】
いかなる燃料セルの通常の作動下でも、陽極に局部的にある燃料は酸化される一方、陰極に局部的にある酸化剤は減少し、これらの反応物化学種をそれぞれの電極で共に空にさせ、結果としてセル性能を少しずつ劣化する。前述した工程と同様に、本説明で述べられるような混合反応物燃料セルにおいて、非反応酸化剤は陽極に局部的にあってできる限り増進させる。同様に、陰極には非反応燃料があり、また蓄積し得る。しかしながら、極性の反転が課せられるとすぐに、これらの燃料および酸化剤の局部的集中は電気化学的反応に従事することができ、それにより即時に起こるセル性能を非常に改善する。同時に、すなわち電極の極性が反転されるとすぐに、それまで消耗された反応物の局部的集中を補給する機会が与えられる。混合反応物セルのジオメトリ(geometry)および性質に都合のよい最適な速度で電極の極性を定期的に切り替えることにより、セルの全体性能を瞬間的なピーク性能に近づけて維持することが可能となる。
【0048】
本発明による燃料セルまたは電池について3つの主な適用形態がある。まず、自動車用、最終的には内燃機関に代わって自動車に載せるために使用され得る。すでに、いくつかのハイブリッドシステムが実用され、そこにおいてエンジン燃焼の化石燃料は燃料セルによって補われる。典型的に、水素燃料セルが使用され−水素は自動車に蓄えられるかまたはリフォーマ(reformer)によって作られる。ここで述べるような混合反応物システムを供給する代わりにメタノールのような液体燃料を使用できる。このことはより高いピーク電流を分配する利点を有する。しかしながら、燃料セルは、現在、単位出力当りのコストの見地から見ると内燃機関と競争することができない。典型的に、内燃機関の出力コストは1kw当たり30ドルから40ドルである。電流設備よりも大きな空間を占有する大きな燃料貯蔵および流体管理システムが必要な場合、燃料セルは内燃機関を置き換えるように用いることが成功しそうにないので、大きさについての考慮もまた考えに入れなければならない。
【0049】
本発明による燃料セルの別の適用形態は、熱電力結合発生(combined heat and power generation)のような、固定された設備のためのものである。中心的に発生された電力を分配するための基本設備は既に存在しているが、熱を分配することは相対的にまれである。燃料セルの一つの利点は、それらが熱と電力を組み合わせて発生するための住宅向けの適用形態で使用することの可能性を有しているので縮小されたときに等しく効率的であることである。
【0050】
本発明による燃料セルのための別の適用形態は、慣用の電池との交換または支持のためのものである。上述したように、本発明による燃料セルは、機械的というより化学的または電気的に補充でき、それ故補給を非常に迅速に行うことができる。また、例えば、メタノールに基づくシステムのエネルギ密度は、慣用の電池よりも優れており、それ故、ポータブル電子装置への燃料セルの適用にとって大きな可能性がある。このことは、マニホルディングの要求が除かれたときに燃料セルをより小型に作成できるので、とりわけ確かである。また、酸化剤はそのシステム内にあり、それ故、空気電極または空気に露呈する必要がない。かくして、電極を乾燥させるというような水管理の問題はそれにより解消される。
【0051】
図面を参照して、本発明について特に例示としてのみを説明する。
【0052】
まず、図1を参照すると、従来の燃料セル10の構造が模式的に示されており、燃料セル10は、イオンの通過を許容するが電子の搬送を妨げる電解質媒体13によって分離された陽極11および陰極12から構成される。電解質媒体13を内包するチャンバの外方にはそれぞれの陽極および陰極気体空間21、22がある。陽極気体空間21は、酸素のような酸化剤の供給路を受容するための入口31を有する。陰極気体空間22は、水素のような燃料の供給路を受容するための入口32と、未使用燃料および電気化学反応の副産物を取り除くための出口42とを有する。
【0053】
それぞれの気体空間および供給路は相互に絶縁されていなければならず、図1の模式的な表示からは明らかではないが、従来の原則によって構成された燃料セルアセンブリは複雑で込み入ったマニホルディングを伴う。シールの要求が求められ、潜在的に最も有効な空間はセルの電力出力に寄与しない構成部品で占拠される。
【0054】
実 験 例
実験はアルカリ性燃料セルを用いて行われた。電流−電圧プロットは、燃料としてメタノールまたは水素化ホウ素ナトリウムを、電解質として水酸化カリウムを、酸化剤として気体状および溶解された酸素を共に用いた燃料セルについて得られたものである。混合反応物概念は静止および流過(flow−through)の両モードと比較のための「従来」の分離反応物燃料セルのモードで試験された。
【0055】
実験対照として選ばれた従来型セルは、本発明による燃料セルと比較し易いものを選択した。直接メタノール(direct methanol)セルの形状である従来型セルの性能は、最も良好な気体燃料式ポリマー電解質媒体の燃料セルに比較すると非常にこじんまりとしているが、新規な混合反応物燃料セルの最大限利用の設計を越えるものではない。
【0056】
驚くことに、混合反応物セルは従来の分離反応物セルよりも僅少大きな電力を発する。このことは陽極の両側に燃料を有しそして空気中よりむしろ水性溶液に溶解された酸素を使用することによるとされた。
【0057】
補足の実験は「流過」燃料セルの概念もまた有効であることを証明した。コンパクトな混合反応物セルが作成され、それは燃料の混合物がそこを通過する電極のスタック(stack)と酸化剤と注入される電解質とから構成された。驚くことに、セルを電気的に直列に接続した単一セルの場合よりも高い電圧を得ることができることが証明された。この理由はまだ完全には解明されていない。
【0058】
外径5cmのパースペクス(perspex)管の部分間に電極を装着することによりプロトタイプの燃料セルが組み立てられた。陰極は、PTFEバインダでニッケル網状体上の炭素支持体上に設けられたマンガンである。陽極は、PTFEバインダをまた用いてニッケル網状体上の炭素支持体上に設けられた白金である。これらの電極材料、並びにそれらが使用されるアルカリ性システムは、主として、容易に利用できそしてコンパクトな混合反応物の体裁に容易に適合できるように選択された。
【0059】
燃料セル装置は、パースペクス管間に挟み込まれた電極を示すことを上述で模式的に説明されている。管は気体と液体のための入口および出口を有し、Oリングのシールを用いて共に締結された。
【0060】
チャンバ1は、1MのKOHに溶解されたCH3OH(5体積%)かNaBH4(密度を変化する)かのいずれかであり、電解質としてもまた作用する燃料を含む。チャンバ2は電解質かまたは燃料と電解質の混合物かのいずれかを含む。チャンバ3は空気か電解質か燃料と電解質かのいずれかを含む。酸素は燃料または電解質を空気で泡立てる(bubbling)ことにより溶解される。
【0061】
電圧対電流曲線は燃料セルに可変抵抗を接続することによって得られた。抵抗を変えた後、測定前の1分間、電流および電圧が安定になることを許容した。いくつかの実験、特に電極間が小さな間隔である場合において、電流および電位(I and V)は時間と共に急速に減少した。
【0062】
後述する説明は実施された実験および得られたセル性能を概括する。
【0063】
1. 実 験 デ ー タ
1.1 初期実験
初期実験において、電極は4cm離された。第1実験において、セル1はKOHにMeOHを含み、セル2はKOHを含みそしてセル3は空気を含んでいた。第2実験においてKOH中のMeOHは電解質として使用された。2つの実験間に、空気陰極がO2還元へと選択されてMeOH酸化を生じなかったことを示唆する小さな差異が見られた。
【0064】
一組の実験の終り頃には、KOHおよびMeOHは、O2がセルを通り陰極と接触して泡立たされて3つのすべての区画で使用された。結果は、空気陰極の実験報告とは反対に、空気陰極が用いられるときよりも非常に悪いものであった。このことは、陰極に裏打ちしたPTFEの影響か或いは、より起こりえるものとしては、なんらかの老化の影響 − 電極の性能が時間と共に低下するらしい − かのいずれかを生じると思われる。
【0065】
第1組の実験において、初期オープン回路電圧は0.586Vであった。第1実験の後にオープン回路電圧を測定したところ、0.537Vであった。
【0066】
1.2 第2燃料セル実験
この実験の目的は溶解された酸素を用いた燃料セルを比較することであり、その一つは電解質としてMeOH/KOHを有し、他方は電解質としてKOHを有していた。電流計はA規格に基づくものを使用し、それ故、測定分解能は0.001Aである。
【0067】
1.3 電極の間隔変化の影響
3つのすべての区画は1MのKOHに5%MeOHを含み、空気をチャンバ3に泡立たせた。第1実験(新しい電極を使用)は電極間に4cmの隙間を用いた。オープン回路電圧は0.66Vであり、1分間隔で計測した。第2実験は電極間に1.5cmの隙間を使用した。この組の実験の後にセルはオープン回路状態に戻されそして電圧は15分以上0.59V増加した0.537Vであった。
【0068】
電極間の電解質におけるイオンの流れに対する抵抗を少なくするので、セルの電極間をより小さな間隔にすることでより良好な性能が期待された。その代わり、支配的な影響は燃料の消費(或いは電解質からK2CO3を形成すること)であり、その結果、セルから引き出される電力を時間中に低下する − このことはセルから引き出される電流を抵抗が増加されたように減少させる − ことになると思われた。
【0069】
1.4 第1スタック実験
5つの陽極と5つの陰極のスタックが組み立てられ、蠕動ポンプによって、0.104gのNaBHを含有する1MのKOH、300mlが供給された。第2セル以降は最良(第1電極が使用される前のみ可能?)であるが、後述するように、性能は少しずつ低下した。オープン回路電圧(Vopen circuit)は0.874Vであった。
【0070】
20オームの抵抗で、セルから引き出される電圧および電流は時間の関数として測定され、時間に対する発生電力のプロットが図8に示されている。42分後、流量は0.5rmp(0.032ml/s)から1.0rpm(0.064ml/s)と2倍になり、セルからの電力出力もほぼ2倍にした。
【0071】
スタックのオープン回路電圧は下表に示すように変化した。燃料は底部でスタックに入り、そしてある種の逆反応によって燃料を消費することによりスタックを通して上がる電圧が徐々に減少することが解明された。最下方のセルのより劣った性能は、実験に使用されるその他のすべての電極が新しいものであるという事実によるものであろう。
─────────────────────────────
電 極 オープン回路電圧/V
─────────────────────────────
5(頂部) 0.303
4 0.455
3 0.616
2 0.812
1(底部) 0.350(古いため?)
─────────────────────────────
【0072】
全スタックが並列に接続されたとき、0.476Vのオープン回路電圧が得られ、そしてセルの性能は劣っていた。この実験の後、中間の3つのセルが並列に接続され、そしてセル部品の漸次な低減を表すオープン回路電圧は0.288Vであった。
【0073】
1.5 混合反応物の概念を検証するための繰返し実験
セルは少しずつ劣化することを示唆しているので、混合反応物の概念を検証するための実験は核実験において新しい電極を使用して繰り返された。第1実験において、区画1はMeOH/KOHで満たされ、セル2はKOHで満たされそしてセル3は空気で満たされた。新しい溶液と電極を使用する第2実験では、混合されたMeOH/KOHが使用され、空気が陰極区画を通って泡立てられた。相変わらず、測定は1分間隔で行われた。
【0074】
今回その結果は、陽極の両側のメタノールによっておよび/または空気中に比較して溶液中のO2のより高い活性によって混合反応物セルが分離区画よりもよく仕事をした(図9)ことを示した。
【0075】
1.6 第2スタック実験
この実験の目的は、燃料の超過およびより高い流量を与えられたスタックの各セルから同様な性能が得られるか、そして個々のセルを直列と並列とに接続したときの効果を検証することにある。
【0076】
19.08gのH2Oが、0.32cm3s−1の流量に相当する5rpmで60秒間分配された。
【0077】
5つのセルが垂直方向に積み重ねられて組み立てられた。最初に、下方の3つのセルは直列に接続され、5rpmで得られたオープン回路電圧は1.57Vであった。次いでこの3つのセルの各々は分離して接続され、それらは0.79V(セル1)、0.83Vおよび0.83Vのオープン回路電圧を生じた。再びセル1および2が順次に直列に接続されたとき、1.20Vのオープン回路電圧が得られた。3つのセルが再び直列に接続されたとき、1.41Vの電圧が得られ、コンポーネントが時間と共に劣化することを示唆している。
【0078】
同じ3つのセルをまた並列に接続し、20Wの抵抗における電流と電圧を測定したところ、以下のようになった。
【0079】
比較すると、セル3が40Wの抵抗に接続されたときの電圧は並列に接続された3つのセルの場合と同様な0.75Vであった。そのときの電流は13.4mAであった。再び、並列に接続された3つのセルが個々のセルのいずれよりもより大きな電力を生じるにもかかわらず、流れる電流は個別に作動するいずれかのセルによって発生されるものの3倍にはならない。
【0080】
この非理想的な動作はセルの最大限利用によるものとは言えず、また予知しない電気化学的な効果を表しているとも思われない。
【0081】
2. 実 験 結 果 の 解 析
2.1 混合反応物の効果
チャンバ1にCH3OH/KOHを、チャンバ2にKOHを、そしてチャンバ3に空気を含む参照セルについて電流に対する電圧曲線を測定した。電圧−電流曲線はまた溶解されたO2を有するCH3OH/KOHを3つのチャンバすべてに含むセルについても得られた。これらの標準的な成極(polarisation)結果を図9に示す。
【0082】
これらのアルカリ燃料セルからの電力は低い(直接メタノールについて述べたように)にもかかわらず、上記の結果は本発明の概念 − すなわち、混合反応物セルから電力を得ることができる − を証明している。更に、混合反応物セルは分離された燃料、電解質および酸化剤を有するセル(0.35ボルトで1.86mA/cm2、ピーク電力=8.4mW)よりも良好に作動する。このことは陽極の両側にメタノールを有することにいくぶんかは帰すことができるが、水に溶解された酸素が空気中の酸素の活性(0.21)よりも高い活性(0.25)を有する[より適切には拡散制限負荷モード(diffusion limited load mode)以外のオープン回路で]という事実に帰することもできる。向上された性能はすべて液体モードで作動することにより各電極の活性面領域が増加することに帰せられることをこれらの観察は確証している。
【0083】
2.2 電極間隔の効果
電極はいずれの燃料セルにおいても電気化学回路に抵抗を与える。セルからの電流が低下したとき、この抵抗はセルにとって電圧降下、或いは成極、を結果として生じる。電解質の厚さを、すなわち電極間の間隔を小さくすることは、それに相応した改善をセルの性能に与える。
【0084】
本発明による燃料セルの1つの利点は、セルの酸化剤から燃料を分けるのに必要な1つ或いはそれ以上の薄膜/構成部品を無用にすることであり、それにより電極は一般的なセルの場合よりも共により接近して配置できる。実験は、この効果を調べるために電極間の間隔を4cmから約1.5mmに変更した混合反応物(CH3OH/KOH/O2)セルを使用して行われた。その結果は図6に示されている。
【0085】
驚くことに、電極間間隔を40mmから1.5mmに小さくすることは、電流の臨界レベルが低下されるまで、セル性能に対して最小限度の影響でしかなかった。この臨界点では、セルからの電力出力は時間依存法(time−depemdent way)で突然低下した。
【0086】
最小限度の効果の範囲は、試験セルの性能が電解質抵抗とは違う要因によって支配されていることを示唆している。これらの要因は、例えば、電極の成極(すなわち、選択された電気触媒の効果)を含むことができる。
【0087】
高電流での突然の電力の急落は電極間の少ない液体量内で反応物が枯渇することに原因がある。寄与(contribution)もまた電極へのK2CO3の形成(すなわち、電極の封鎖)に起因するものであり得るが、メタノールと電極の間のこの反応は突発的であるよりも段階的であるべきである。
【0088】
メタノールをNaBH4燃料と交換し、アルカリ電解質と反応しない後者の実験は、K2CO3の形成がこの場合は重要な要因ではないことを示す、同様な機能を示した。
【0089】
より高い燃料濃度を使用しそして本発明のシステムを流れる反応物混合物と電解質の流れを導入した更なる実験は、突然の電力の急落を回避できる − すなわち、燃料の枯渇が大概の原因であった − ことを証明した。
【0090】
2.3 燃料セルの小型スタック
1.5mmの厚さのゴム製ガスケット/スペーサ(隣接する電極が触れるのを防止するように「車輪部」に残された4本の「スポーク」を有する環状体)によって各電極を分離した、5対の電極からなるスタックが構成された。蠕動ポンプを用いて反応物混合物がゆっくりとスタックを通ることができるように多数のピンホールが電極に形成された。
【0091】
2.3.i 低燃料濃度および反応物流量
0.032cm3/秒でスタックを流れる、0.01モル/dm3の濃度のNaBH4を燃料として使用すると、反応物の入口に最も近いスタックのセルから良好な結果が得られたが、スタックの個々のセルの性能(電圧および電流)は、スタック内の位置が入口から離れるに従って着実に減少した。この作用はオープン回路状態(すなわち電流が引き出されていない)と電流が引き出されているときとで共に見られた。
【0092】
オープン回路作用は、電子が外部回路を通って運ばれない場合に、燃料と酸化剤の間の直接バックグラウンド反応(direct background reaction)が非常に発生されそうであることを証明した。この反応はいずれかの電極で発生できるが、白金製電極で発生しがちである。このことは、本発明の燃料セル概念の基礎となりそして本概念を非常にスマートに証明する電気触媒選択の重要性を、非常に強く、支持している。
【0093】
スタックのセルから電力が引き出されるとき、ほぼ安定段階になるまで時間と共に著しく減少した。このことは、前述の実験で述べたように、燃料が補充されるよりもより早い率で消費されることを示唆している。
【0094】
「安定段階」では、流量が2倍になると電力はほぼ2倍発生され、反応物の供給によって性能が左右される結果を再び支持する。
【0095】
2.3.ii 高燃料濃度および反応物流量
より高い(5×)濃度(0.05M)および非常に高い(10×)流量(0.32cm3/秒)でNaBH4燃料が使用されたとき、スタックのセルの各々から同様な性能が得られた(前もって、性能は流れの方向へスタックにそって減少した。)。この結果は、燃料と溶解された酸素との間のバックグラウンド反応の効果が2つの構成要素間の電気化学的「燃料セル」反応よりも重要ではないことを立証している。加えて、より低い流量および濃度に比較して(0.29ボルトで0.74mA/cm2;20W抵抗での電力=2.58mW)、それに比例してより高くなる電力出力(0.70ボルトで1.58mA/cm2;20W抵抗での電力=13.2mW)はまた反応物の流れと電力出力との間の関係を強めている。
【0096】
2.3.iii 並列スタック性能
5−セルスタックのセルを前述した高濃度/高流量モードで使用して、個々のセルの性能を並列(multiple)接続セルと比較した。スタックの中央の3つのセルは並列および直列モードで電気的に接続された。
【0097】
本発明の燃料セル概念の早期の解析から、並列モードだけが液体電解質+燃料+酸化剤の組合せの実行可能な作動モードであると初めは考えられていた。並列作動において燃料セルスタックは、個々のセルの合計に等しい全体的セル領域(そしてそれ故、全電流)を有する単一セル(すなわち、単一セル電圧)として作動すると通常期待されている。3つの中央のセルについて陽極を陽極にそして陰極を陰極に接続された本発明のセルスタックの試験において、20Wの負荷へ適用されたものは個々のセル性能の3倍に満たないものでしかなかった(下表参照)。
【0098】
並列接続スタックの性能における相対的な低下は完全には理解されていない。一つの付随的な要因は並列接続セルの電気抵抗が高すぎることであろう。単一セルそしてより直接的には並列性能を比較すると、単一セル(セル3)の電圧は、セルへの抵抗負荷を40Wに増やすことにより上昇される。0.75V(並列に接続された3つのセルからと同じ)の新しい単一セル電圧を用いると、その結果生じる電流は13.4mAであった。また、並列に接続された3つのセルは個々のセルのいずれよりも大きな電力を与えるが、並列スタックの電流出力は依然として予期した半分程度であった。この作用を理解するためには更に実験が必要である。
【0099】
2.3.iv 直列接続スタック作用
3つの中央のセルの電気的接続はそれらを直列に接続するように配列し直された。本システムの初期の解析によれば、直列に接続されたとき、このタイプのスタックの外方の電極を除くすべては短い回路であるべきでありそしてそれ故、単一セルでないと同様な電圧および電流を与えない。
【0100】
驚くことに、下表に示すように、3つのセルが直列に接続されたとき、単一セルの場合よりも高い電圧(オープン回路)が得られた。直列電圧は個々に作動する3つのセルからの電圧の合計よりも低いが、この結果は、本発明のシステムが基本的概念において予想されるものよりも複雑な作用の徴候を現すことを示唆している。単一直列接続のスタックから大きな電力を引き出せることは可能であろう。
【0101】
本発明は特に特定の実施例を参照して上述されたが、請求の範囲から逸脱することなしに変更および変形が可能であることは当業者にとって理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の燃料セルの模式的な図である。
【図2】本発明の第1の実施例による燃料セルの模式的な斜視図である。
【図3】4cm離間された電極を有するプロトタイプの3チャンバ・セルの電流対電圧の曲線を示すグラフである。
【図4】溶解された酸素を用いる燃料セルと比較した電流対電圧のグラフである。
【図5】異なった電極間隔での性能変化を示すプロットである。
【図6】5つの陽極と陰極を有するプロトタイプのスタックの電流対電圧の曲線を示す図である。
【図7】互換的なスタックの時間に対する発生電力のプロットである。
【図8】従来の燃料セルと本発明によって構成された燃料セルの性能を比較したグラフである。
【符号の説明】
10 燃料セル 11 陽極
12 陰極 13 電解質媒体
21 陽極気体空間 22 陰極気体空間
31 (酸化剤の)入口 32 (燃料の)入口
42 (副産物の)出口
本発明は電気化学的システムに関し、特に、混合反応物、すなわち燃料セルまたは電池内で相互に直接接触する反応物を用いた燃料セルまたは電池に関する。
【0002】
全般的に、当業者にとって「燃料セル」なる用語は、要求に応じて反応物(燃料と酸化剤)が供給される、電力を発生する電気化学的装置を意味することは理解されよう。「電池」なる用語は、全般的に、要求に応じて反応物を連続的に供給するのではなくて、電気化学的に空になることができる自給式の、電力を発生する電気化学的システムを意味することは理解されよう。電池は、もちろん、充電によって補充できる。「燃料セル」および「電池」の新規な定義を与えることが本明細書の目的ではなく、電池内に含まれた自動車用または移動可能な反応物を有することが電池についての本発明の範囲である。
【0003】
従来の燃料セルまたは電池は、化学反応物を相互に物理的に分けて保持するように機能する電解質のまわりに挟み込まれた2つの電極からなる。燃料セルの一般的なタイプの一つにおいて、反応物は水素と酸素である。酸素は一方の電極を通過し、水素は他方を通過し、電気と水と熱を発生する。このようなタイプの燃料セルでは、水素燃料は燃料セルの陽極に供給される。酸素、または空気、は陰極の範囲内で燃料セルに供給される。陽極では、水素原子は、通常、触媒の助けを借りて陽子と電子に分裂される。陽子は、イオン伝導体であるが、陽子の通過に対して非常に高い抵抗を有し、それ故、電子的な絶縁体として扱われる電解質を通過する。それ故、陽子は陰極への外部通路を取りそして陰極に到達する前に有効な仕事を遂行するために負荷を通過する。陰極では、電解質を通って搬送された陽子が水を形成するように酸素および電子と結合される。
【0004】
燃料セルは有効なエネルギ変換のために熱的な燃焼というよりも電気化学に基づくものであり、作動温度および変換効率は、燃料セルシステムからの放射が最もクリーンな燃料燃焼システムからの放射であってさえもそれよりも極めて小さいので、より高いものである。これらは燃料セルがなぜ魅力的であるかの2つの理由である。しかしながら、燃料セルの電気が高コストであることは、燃焼によって電気を発生するときのコストが相対的に安価であることにより、より重要な問題である。燃料セルは、低騒音および広範な負荷能力のような追加の利点を提供するものではあるが、これまでの燃料セル産業科学における主要な試みは、コスト、重量および容積について従来の電力発生システムと競争するより安価なシステムの開発を企図するものである。
【0005】
燃料セル産業科学で報告された業績のほとんどは、上述したような燃料と酸化剤の分離供給が燃料セルの異なった区画に分配される従来の配列に基づくものである。しかしながら、非常に少数の研究者、多数の研究者については後述する、は混合反応物を用いることの可能性について探求した。混合された反応物間で直接反応することは熱力学的に有利であるが、いくつかの理由で有効に抑制または防止でき、それはセル設計者によって開発できる。例えば、反応は、直接反応のための高活性化エネルギおよび/または反応のための低速運動(slow kinetics)および/または化学種(species)の低速拡散によって有効に防止される。触媒反応電極或いはその他の選択的な接近法を選択的に採用することにより、反応物混合物での起こり得る程度の反応が無視される一方、還元反応を陰極でそして酸化反応を陽極で助長することができる。
【0006】
混合反応物燃料セルの分野における初期の技術は、チャールズ・アイロード(Charles Eyraud)、ジャニー・レノアー(Janine Lenoir)およびミシェル・ゲリー(Michel G▲e▼ry)によってシアーズ(Se▲a▼nce)、1961年3月13日、に発表されている。この文献に発表された単一セルは、その上に吸収された水分子を有する多孔性(porous)アルミナ薄膜を使用しており、それは所定の温度および圧力条件下で、フィルム電解質として作用させることができる。陰極は、例えば、銅またはニッケルの多孔性金属シートである。陽極は白金またはパラジウムの真空蒸着層である。湿潤空気(すなわち燃料ではない)において、ニッケルの酸化は多孔性Ni−Al2O3−Pdエレメントの電極を横切る電位差に現れることが発表されている。供給気体混合物に組み込まれた燃料を用いたときのこの装置の性能は、多孔性アルミナエレメントを通る燃料と酸化剤の混合物の拡散特性によって制限される。多孔性アルミナに吸収された固定水フィルム電解質のイオン伝導性を増強する手段としてアルミナまたは気体混合物内にアンモニアのようなイオン化可能な成分を追加しようとしている。これらの概念(concept)は時間を掛けるだけの価値があるとは思われない。
【0007】
C.K.ダイアー(C.K.Dyer)は、ネイチャー(Nature)、343巻(1990年)、547〜547頁に、エネルギ変換のための薄厚フィルム電気化学装置を記載している。ダイヤーの装置は酸化剤と燃料の混合物を用いた作動が可能である固体電解質燃料セルである。これは透過性触媒反応電極と非透過性触媒反応電極を備え、この2つの電極は電子絶縁性であるがイオン伝導性の気体透過性固体電解質によって分離されている。この固体電解質燃料セルは気体燃料/酸化剤混合物で作動する。この混合物は多孔性電解質を介して一方の電極にのみ供給され、他方の電極には拡散される。濃度勾配が異なった拡散移動を通して確立される。この装置は単一セル形態でのみ述べられている。
【0008】
モズリー(Mosely)およびウイリアム(Williams)は、ネイチャー、346巻(1990年)、23頁に、還元性気体を検知するためのセンサにAu/Pt電極を使用することを発表している。彼等のシステムにおいて、電極を分ける基質(substrate)の表面における大気水吸収が固定フィルム電解質として作用する。彼等はまた白金電極が一酸化炭素のような目標気体の電気化学的燃焼を支持できることを主張している。彼等の装置は、室温で作動しそして検体(燃料)気体(analyte gas)を酸化剤から分離する必要なしに機能する便利な特質を発揮している。この装置はセンサとして作動することに重点が置かれており、電力発生のための使用については考慮されていない。
【0009】
W.バン・グールは、フィリップ・リサーチ・レポート(Philips Res. Repts.)、20巻(1965年)、81〜93頁に、燃料セルおよび不均一系触媒作用における表面搬送の使用の可能性を論じている。開示された一つの装置において、両電極は燃料気体および酸素の混合物と接触しており、イオンは電極間で基質表面を横切って移動し、そして分離を達成するように選択的(selective)化学吸着が用いられている。このタイプの燃料セル装置は、電解質幾何学(geometry)によって高抵抗を生じるので、電力発生にとって固有的に不適当であり、一般的にセンサーへの応用にのみ適用可能である。選択的電極、特に選択的化学吸着によって作動する電極はこのタイプの燃料セル装置において有用であると言われている。
【0010】
燃料と空気の均一な混合物で作動する固体酸化物燃料セルを見直すことが、ソリッド・ステート・イオニクス(Solid State Ionics)、82巻(1995年)、1〜4頁に記載されている。
【0011】
ヒビノおよびイワハラ(Hibino and Iwahara)は、メタンの部分的酸化を用いる、簡略化された固体酸化物燃料セルシステムを、ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)、(1993年)、1131〜1134頁に記載している。互換性のある燃料セルシステムが提案されており、それは高温で働きそしてエネルギ源としてメタン+空気混合物を用いている。Y2O3添加(Y2O3−doped)ジルコニア(YSZ)ディスクが固体電解質として用いられる。ニッケル−YSZセルメット(80:20重量%)が1400℃で固体電解質ディスクの一方の面に焼結され、次いでAu金属が900℃で固体電解質ディスクの他方の面に適用される。これらの電極は周囲の燃料+空気混合物がそれらを通過して拡散することができるように十分に多孔性であることが報告されている。このシステムに基づく初期の設計では電力出力の見地から不満足なものであると認識されていた。
【0012】
より最近では(サイエンス(Science)、288巻(2000年)、2031〜2033頁)、ヒビノは、炭化水素−空気混合物を用いる低作動温度の固体酸化物燃料セルを発表しているが、固体電解質としてサマリア添加(samaria−doped)酸化セリウム(SDC)を用いている。SDCは酸化雰囲気雰囲気中でYSZよりもより一層高いイオン伝導性を有することが報告されている。また、このシステムは電極に貴金属を使用しておらず、それ故、製造コストが相対的に低くなる。
【0013】
同様な系列において、ゲーデッケマイヤー(G▲o▼dickemeier)他は、エレクトロケミカル・ソサイエティ(Elecrochem. Soc.)の192回総会およびインターナショナル・ソサイエティ・オブ・エレクトロケム(Int. Soc. Of Electrochem)の48回総会、フランス国パリ、1997年、の会報において、反応−選択電極を有する固体酸化物燃料セルを発表した。彼等は、固体酸化物燃料セルが燃料気体と空気の均一な混合物で作動される装置を発表している。電圧は、燃料の酸化のために選択的である陽極と、その上でのみ酸素の還元を発生できる陰極の間に発生される。燃料気体がメタンである場合、陰極はメタンの燃焼に挿入される。
【0014】
ウォルフ・フィールスティッヒ(Wolf Vielstich)、ボン大学物理化学研究所、の電気化学的エネルギ生産のための燃料セル、近代的方法(Fuel Cells, Modern Processes for the Electrochemical Production of Energy)(D.J.G.アイブス(Ives)訳、ロンドン大学バークベック・カレッジ、のワイリー・インターサイエンス(Wiley−Interscience) ISBN 0 471 906956)には、374および375頁に、セルが放射線分解で再生される酸水素セルとして述べられている。水は化学的核反応体によって水素と酸素に分解される。生成気体、水素と酸素の混合物、は2つの気体拡散電極からなる電解質セルに送られる。混合燃料気体は最初にセルの陰極側に導かれそして選択的反応の結果として減少される。残留気体、水素が豊富である、は次にセルの陽極側に送られる。この装置において、混合燃料の利用は2段工程で起こる。液体電解質が電極間に拘束される一方、反応物気体は電極の外面に供給される。
【0015】
ズー(Zhu)他は、ジャーナル・オブ・パワーソース(Journal of Power Sources)、79巻(1999年)、30〜36頁に「非通常型」燃料セルシステムと称されるものが記載されており、それは混合反応物で作動する単一チャンバシステムを含んでいる。通常の固体電解質が使用されそして導電性と、所要の機能を得るためのその他の電解質および/または電極の特性とに合わせる手段としてドーピング(doping)が論議されている。
【0016】
上述した各々の混合反応物システムによるものとすることができる重要な利点の一つは、排除されるべき複雑なマニホルディングを混合反応物の使用が許容することである。燃料セルのそれぞれのチャンバへの燃料および酸素の分離給送を分配するように構成されるべき錯綜した通路はもはやいかなる必要性もない。それ故、燃料セルの問題となるシール要求は容易にされる。加えて、軽減されたシール要求および無マニホルディングを有する装置は従来の燃料セルのように空間を浪費することはない。基本設備はセル内またはるを横切って一方から他方へ燃料+酸素を異動することを依然として要求されるが、一般的に言って、混合反応物システムを使用することはセル設計においてより大きな融通性を許容する。混合反応物技術は、放射線分解、電気分解または光分解システムから発生される気体混合物に適用できる。放射線分解で発生される廃ガスを利用するシステムの例は上述されている。
【0017】
混合反応物燃料セルの不利な点は、従来の対応するものに比較すると、燃料効率およびセル電圧(渦流燃料−酸素反応)の見地から総体的により低い性能を示すことである。過流反応と共に作用する問題はより良い選択的電極の開発によって解消することができる。従来の電極材料を用いると、混合反応物燃料セルの能力は、燃料と酸化剤が分離供給状態に維持される従来システムの性能より劣る。しかしながら、その他の性能はコストと電力密度が非常に増強されるように判断される。混合反応物燃料セルの関心は、ある種の反応物混合物が爆発のリスクを付随的に有することである。しかしながら上述したように、混合反応物は熱力学的に有利であるので必ずしも反応を単純に受けることはない。
【0018】
周知の燃料セルのその他の制限は、電気化学反応が3つの相間の接点でだけ生じることである。換言すると、電気化学反応は反応物と電解質が相互に出会う触媒の位置に制限される。この後者の問題は混合反応物燃料セルにおける制限であるだけではなくて、従来の燃料セルの不利な点でもある。
【0019】
それ故、本発明の目的は、前述した不利な点を改善した燃料セルまたは電池を提供することにある。特に、本発明の目的は、複雑なマニホルディングを排除し、有効なシールを提供することに共同する問題を軽減する燃料セルまたは電池を提供することにある。本発明の目的はまた、占有空間をより有効に使用させる燃料セルまたは電池を提供することにある。本発明の別の目的は、その使用または応用性において融通性があり、周囲環境から容易に利用できる反応物として混合された燃料と酸化剤を使用することが可能であるか、或いは放射線分解、電気分解または光分解システムで製造される気体を用いることが可能である燃料セルまたは電池を提供することにある。本発明の更に別の目的は、総合性能を向上することによって燃料を完全に利用してしまわないように補充することにある。本発明の更に別の目的は、要求次第で高電力レベルを引き出すことができる燃料セルまたは電池を提供することにある。
【0020】
第1の観点において、本発明は電気化学的手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池であり、それは、
少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間でイオンを搬送するためのイオン伝導性電解質部材と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として与えられる
ことを特徴とするものである。
【0021】
燃料/酸化剤/電解質部材が混合状態で与えられることは重要である。好ましくは、混合物は流体、この用語は液体、気体、溶液およびプラズマ(plasmas)さえも含む、である。混合物は固体化または固定化されたものでもよい。例えば、混合物は随意にゲル化、さもなければ基体に結合または含ませ得る。混合物の成分は相互内で高拡散率を有するのが好ましい。
【0022】
より好ましくは、燃料は流体形態(前述のように)の酸化可能な成分である。酸化可能であるということは、燃料が互換性のある酸化形態を形成するように電子を与えることができることを意味するように用いられる。好適な燃料の例では水素、メタンやプロパンのような炭化水素、C1〜C4のアルコール、特にメタノールおよび/またはエタノール、水素化ホウ素ナトリウム、アンモニア、ヒドラジンおよび溶解または溶融された形態の金属塩を含む。
【0023】
最も好ましくは、酸化剤は流体形態で還元可能な成分である。すなわち、酸化剤は電子受容体として動く。好適な酸化剤材料の例は酸素、空気、過酸化水素、金属塩を含む−特に金属塩はクロム酸塩、バナジン酸塩、マンガン酸塩またはその類似物、および酸を含む。酸素は、例えば水に酸素を溶解したもの、酸性溶液または過フルオロカーボン(perfluorocarbons)に酸素を溶解したもののような溶解された状態で供給し得る。
【0024】
電解質もまた流体形態の成分であり、そしてイオン的/電気的な移送可能性を有し、それにより電子よりはむしろイオンを伝導する。好適な電解質のための材料は酸性化された過フルオロカーボン、プラズマ、水性システム、水、溶融された塩、酸およびアルカリを含む。
【0025】
燃料または酸化剤が電解質として作るまたは動くことができることは可能である。換言すると、電解質は混合物中に分離成分でなければならないというものではない。同様に、燃料と酸化剤もまた混合物中に分離成分でなければならないというものではない。しかしながら、混合物は酸化剤と燃料と電解質の機能がそれに帰する3つの機能性を有することが極めて重要である。
【0026】
本明細書における「電極」の用語は電気触媒および電子的伝導媒体を含むものとして理解され、電気触媒はその中またはその上に組み込まれるかまたはそれが電気触媒自体である。
【0027】
上述したタイプの混合反応物システムと同様に慣用の燃料セルよりも本発明が優れている重要な利点は、反応物混合物における電解質機能の結合が電極で有効な活性面を非常に増加することである。慣例的に、電極の活性面領域を増やす方法は小さな電気触媒分子を増加して提供することであった。3つの機能性を有する反応物混合物を多孔性電極の本体を通過させることにより、本発明は電極の活性面を効果的に最大限に増加する。
【0028】
また、慣用の固体電解質は高価であり、それ故、本発明は燃料セルのコストのかかる部品の一つを排除することを許容している。それ故、製造コストを低減することができる。更に、慣用の燃料セルで用いられている固体電解質は慎重な水管理が要求される。水和重合(hydrated polymeric)電解質薄膜は、例えば、水管理が最大限に利用されていないと、乾燥または氾濫を受け易い。流体電解質は一般的に固体電解質よりも高い伝導率を有する。加えて、流体電解質はイオンの移送をより一層強めるように攪拌することができる。かくして、伝統的な電解質およびそれに付随する欠点をなしにする燃料セルを構成することに多くの利点があることが理解できた。
【0029】
別の利点は、すでに燃料+酸化剤、例えばメタンからなる埋立(land−fill)気体+空気の混合物からなる周囲環境製品の使用を行うことが可能となり得る。
【0030】
非流体システムにおいて質量の輸送が制限されるが、本発明による燃料セルのためのいくつかの適用例は条件付の混合物を使用することで利益を受ける。例えば、電池代替物として使用予定の小型の燃料セルおよび/または固体部品の燃料セルにおいて、カートリッジ/カセットまたはその他の簡単に扱える形態として混合物を補充することは有利である。このような補充は、プリンター装置における消耗されたインクカートリッジの交換、或いは煙草のライターまたは加熱式の巻き毛用こての燃料補給に類似するものである。
【0031】
燃料セルまたは電池の補充は、物理的手段によって混合物を補充すると説明された上述の例示に限定されるものではない。混合物の補充は互換的に熱的、化学的または電気的な手段によって行うことができる。このこともまた、再生または復活されるべき混合物の個々の成分について本発明の範囲内である。このような補充は物理的、熱的、化学的または電気的な手段である。
【0032】
本発明による燃料セルの作動温度範囲は0℃から1000℃またはそれ以上である。混合物にプラズマ成分を用いるこれらのシステムは、プラズマ温度を測定することが困難であるので、作動温度の用語で分類分けすることが困難である。
【0033】
本発明による燃料セルまたは電池は、電極へまたはそこからの化学種の搬送を強めるようにシステム内に乱流を発生するための、バフルや攪拌器(stirrer)のような手段を備える。1つまたはそれ以上の電極は燃料か酸化剤化学種かのいずれか吸収するというより蓄えることが可能である。
【0034】
好ましくは、燃料セルまたは電池の自己放電に対する安定性を提供するように、反応物間の反応のための高活性化エネルギが利用される。互換的、または追加的に、自己放電に対する安定性を提供するように、反応物間の反応のための低速運動が利用できる。また、自己放電に対する安定性を提供するように、反応物の拡散のための低速運動が利用できる。
【0035】
酸素保有液体(過フルオロカーボンのような)は、酸素を溶解させられるかまたは燃料および酸素を共に溶解させられるように用いられる。燃料セルまたは電池の酸化剤成分は、過フルオロカーボンのような適当な液体に気体(酸素のような)を溶解させることにより再補充される。
【0036】
本発明はまた、混合しない形態(immiscible phase)または部分的に混合しない形態であるかまたはその形態を含む反応物の安定した組合せの単一供給で作動する燃料セルまたは電池を意図している。このような装置の例は、混合物が安定した乳剤からなる反応物/電解質手段である。本発明による燃料セルまたは電池は、装置内で自然に分離する、混合しない形態または部分的に混合しない形態であるかまたはその形態を含む反応物の組合せを単一供給することで作動する。互換的に、燃料セルおよび電池は、混合しない形態または部分的に混合しない形態であるかまたはその形態を含む酸化剤および還元剤を分離供給することで作動し、それにもかかわらず、分離供給される酸化剤および還元剤の少なくとも一方と選択的に結合される電解質手段の存在下で装置内で接触することになる。前述したように、酸化剤および/または還元剤は別々の電解質成分を必要としないので電解質機能を有する。
【0037】
乱流は混合しない形態または部分的に混合しない形態間での接触を増加するように使用できる。好ましくは、電解質は、上述したように、3つの形態の触媒/電解質/反応物の境界でのみ電気化学的反応が発生できるので、双方の形態で相当な程度で存在する。それ故、混合しない形態または部分的に混合しない形態の一方が電解質の不足であると、電気化学的反応のための機会は制限されそして燃料セルまたは電池の性能は危うくされる。また、乱流は電解質が不十分な形態と電解質が豊富な形態と関係するセル電極の間で接触する面領域を増加するように使用できる。
【0038】
本発明による燃料セルまたは電池は、主セル反応のための面としてもそして追加の出力電圧および/またはより高い固有エネルギ密度を有するセルを提供する二次的セル反応をのための電解質としても電極材料を利用し得る。本発明による燃料セルまたは電池はまた、装置が電気を発生しないとき、混合物の安定性を強めるようにNEMCA(触媒活性の非ファラデー電気化学的修正;Nonfaradaic Electrochemical Modification of Catalytic Activity)または同様な効果を利用し得る。NEMCA効果は電気触媒の活性がその表面電荷によって修正されることを認められている。
【0039】
本発明による燃料セルまたは電池は不均化反応が可能な成分を含む反応物を供給することを含み得る。このようなシステムは選択的に充填可能である。例えば、反応物は、炭素と二酸化炭素を不均化反応させ、加熱により一酸化炭素に再生できる一酸化炭素を含み得る。別の例はマンガンイオンの溶液であり、そこにおいて不均化反応成分もまた電解質である。
【0040】
第2の観点において、本発明は、電気化学的手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池であり、それは、
少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間でイオンを搬送するためのアルカリ性電解質と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として与えられ、前記燃料は炭素または炭素質化学種である
ことを特徴とするものである。
【0041】
これまで、炭素質化学種が白金触媒を急速にだめにしてその性能を激しく減衰させるので、一定の炭素質化学種の存在下で慣用の白金陽極触媒を有する、陽子交換薄膜やアルカリ性電解質に基づくもののような、低温燃料セルを作動することはできないと考えられていた。しかしながら、本発明によれば、電解質密度を維持することを提供される重要な崩壊(degradation)なしに期間を延ばすために単一白金触媒電極を用いてメタノールのような炭化水素燃料、またはCO/CO2含有燃料でアルカリ性燃料セルを直接作動する実証された可能性を有する。理論によって結び付けられる願望なしに、このような白金触媒に触媒毒を生じさせない作動を可能にするメカニズムは、電解質によって炭素質化学種を洗浄する効果であると理解されている。本発明によってこの概念に与えられる利点は、電解質が燃料/酸化剤/電解質混合物の一部を形成し、それ故、触媒の触媒毒発生なしに連続的に作動できる密度でセルに供給されることである。
【0042】
加えて、空気のような酸化剤の連続投入は、空気陰極(典型的にニッケル上にマンガンに基づく)は液体の混合物、燃料およびアルカリ性電解質溶液に直接浸漬されたとき、このようなアルカリ性燃料セルの作動を維持できる。
【0043】
本発明の第3の観点は、電気化学的手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池であり、それは、
少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間にイオンを伝えるためのイオン伝導性電解質部材と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として存在し、そして前記電極はそれらの電位の力で選択する、それらと共作用される電気触媒を有する
ことを特徴とするものである。
【0044】
それにより触媒が化学的または物理的特性というよりも、或いはこれらに加えて、それらの電気的ポテンシャルのおかげで選択的にすることができるという現象は、NEMCA(触媒活性の非ファラデー電気化学的修正)効果として知られている。本発明は、単一チャンバ燃料セルの陽極および陰極のために同様なNEMCA触媒を使用する。相対的に正の電位のとき、触媒は還元反応に有利であり、相対的に負の電位にある間、酸化反応に有利である。いったん燃料セルが作動すると、電気化学的反応がそれぞれの電極、およびそれ故のそれらの選択性にバイアス(bias)を維持する傾向にある。バイアスは無作為な不安定の正のフィードバックを通して、或いは外部電位の簡単な適用によって最初に確立される。
【0045】
この装置の利点は、陽極が陰極になる、或いはその逆になるように、外部電位の簡単な適用によって、作動中に極性が逆転することである。外部電位は、例えば、外部電源により、或いは燃料セル自体によって充電されたコンデンサの使用により適用され得る。この利益は燃料セルの性能を大きく改善できることであり、より高い電流密度、セル電圧および改善された燃料利用として証明される。
【0046】
一般に、燃料セルは、本発明のこの観点によって解消できる、その性能に影響する2つの不利な点を被る。最初に、反応物は電極の近くで空にされることになる。第2に、触媒は作動中に触媒毒の影響を受けることになり、それにより電流が相対的に短時間、ことによると数分程度の短さ、流れた後にそれの最初の性能は非常に大きく減退される。通常状態で燃料セルの極性を反転することは上述の問題を共に解くことができ、そしてセル成極作用(polarisation)によって電力ロスを減少することにより改善された電流および電圧特性をもたらすことができる。
【0047】
いかなる燃料セルの通常の作動下でも、陽極に局部的にある燃料は酸化される一方、陰極に局部的にある酸化剤は減少し、これらの反応物化学種をそれぞれの電極で共に空にさせ、結果としてセル性能を少しずつ劣化する。前述した工程と同様に、本説明で述べられるような混合反応物燃料セルにおいて、非反応酸化剤は陽極に局部的にあってできる限り増進させる。同様に、陰極には非反応燃料があり、また蓄積し得る。しかしながら、極性の反転が課せられるとすぐに、これらの燃料および酸化剤の局部的集中は電気化学的反応に従事することができ、それにより即時に起こるセル性能を非常に改善する。同時に、すなわち電極の極性が反転されるとすぐに、それまで消耗された反応物の局部的集中を補給する機会が与えられる。混合反応物セルのジオメトリ(geometry)および性質に都合のよい最適な速度で電極の極性を定期的に切り替えることにより、セルの全体性能を瞬間的なピーク性能に近づけて維持することが可能となる。
【0048】
本発明による燃料セルまたは電池について3つの主な適用形態がある。まず、自動車用、最終的には内燃機関に代わって自動車に載せるために使用され得る。すでに、いくつかのハイブリッドシステムが実用され、そこにおいてエンジン燃焼の化石燃料は燃料セルによって補われる。典型的に、水素燃料セルが使用され−水素は自動車に蓄えられるかまたはリフォーマ(reformer)によって作られる。ここで述べるような混合反応物システムを供給する代わりにメタノールのような液体燃料を使用できる。このことはより高いピーク電流を分配する利点を有する。しかしながら、燃料セルは、現在、単位出力当りのコストの見地から見ると内燃機関と競争することができない。典型的に、内燃機関の出力コストは1kw当たり30ドルから40ドルである。電流設備よりも大きな空間を占有する大きな燃料貯蔵および流体管理システムが必要な場合、燃料セルは内燃機関を置き換えるように用いることが成功しそうにないので、大きさについての考慮もまた考えに入れなければならない。
【0049】
本発明による燃料セルの別の適用形態は、熱電力結合発生(combined heat and power generation)のような、固定された設備のためのものである。中心的に発生された電力を分配するための基本設備は既に存在しているが、熱を分配することは相対的にまれである。燃料セルの一つの利点は、それらが熱と電力を組み合わせて発生するための住宅向けの適用形態で使用することの可能性を有しているので縮小されたときに等しく効率的であることである。
【0050】
本発明による燃料セルのための別の適用形態は、慣用の電池との交換または支持のためのものである。上述したように、本発明による燃料セルは、機械的というより化学的または電気的に補充でき、それ故補給を非常に迅速に行うことができる。また、例えば、メタノールに基づくシステムのエネルギ密度は、慣用の電池よりも優れており、それ故、ポータブル電子装置への燃料セルの適用にとって大きな可能性がある。このことは、マニホルディングの要求が除かれたときに燃料セルをより小型に作成できるので、とりわけ確かである。また、酸化剤はそのシステム内にあり、それ故、空気電極または空気に露呈する必要がない。かくして、電極を乾燥させるというような水管理の問題はそれにより解消される。
【0051】
図面を参照して、本発明について特に例示としてのみを説明する。
【0052】
まず、図1を参照すると、従来の燃料セル10の構造が模式的に示されており、燃料セル10は、イオンの通過を許容するが電子の搬送を妨げる電解質媒体13によって分離された陽極11および陰極12から構成される。電解質媒体13を内包するチャンバの外方にはそれぞれの陽極および陰極気体空間21、22がある。陽極気体空間21は、酸素のような酸化剤の供給路を受容するための入口31を有する。陰極気体空間22は、水素のような燃料の供給路を受容するための入口32と、未使用燃料および電気化学反応の副産物を取り除くための出口42とを有する。
【0053】
それぞれの気体空間および供給路は相互に絶縁されていなければならず、図1の模式的な表示からは明らかではないが、従来の原則によって構成された燃料セルアセンブリは複雑で込み入ったマニホルディングを伴う。シールの要求が求められ、潜在的に最も有効な空間はセルの電力出力に寄与しない構成部品で占拠される。
【0054】
実 験 例
実験はアルカリ性燃料セルを用いて行われた。電流−電圧プロットは、燃料としてメタノールまたは水素化ホウ素ナトリウムを、電解質として水酸化カリウムを、酸化剤として気体状および溶解された酸素を共に用いた燃料セルについて得られたものである。混合反応物概念は静止および流過(flow−through)の両モードと比較のための「従来」の分離反応物燃料セルのモードで試験された。
【0055】
実験対照として選ばれた従来型セルは、本発明による燃料セルと比較し易いものを選択した。直接メタノール(direct methanol)セルの形状である従来型セルの性能は、最も良好な気体燃料式ポリマー電解質媒体の燃料セルに比較すると非常にこじんまりとしているが、新規な混合反応物燃料セルの最大限利用の設計を越えるものではない。
【0056】
驚くことに、混合反応物セルは従来の分離反応物セルよりも僅少大きな電力を発する。このことは陽極の両側に燃料を有しそして空気中よりむしろ水性溶液に溶解された酸素を使用することによるとされた。
【0057】
補足の実験は「流過」燃料セルの概念もまた有効であることを証明した。コンパクトな混合反応物セルが作成され、それは燃料の混合物がそこを通過する電極のスタック(stack)と酸化剤と注入される電解質とから構成された。驚くことに、セルを電気的に直列に接続した単一セルの場合よりも高い電圧を得ることができることが証明された。この理由はまだ完全には解明されていない。
【0058】
外径5cmのパースペクス(perspex)管の部分間に電極を装着することによりプロトタイプの燃料セルが組み立てられた。陰極は、PTFEバインダでニッケル網状体上の炭素支持体上に設けられたマンガンである。陽極は、PTFEバインダをまた用いてニッケル網状体上の炭素支持体上に設けられた白金である。これらの電極材料、並びにそれらが使用されるアルカリ性システムは、主として、容易に利用できそしてコンパクトな混合反応物の体裁に容易に適合できるように選択された。
【0059】
燃料セル装置は、パースペクス管間に挟み込まれた電極を示すことを上述で模式的に説明されている。管は気体と液体のための入口および出口を有し、Oリングのシールを用いて共に締結された。
【0060】
チャンバ1は、1MのKOHに溶解されたCH3OH(5体積%)かNaBH4(密度を変化する)かのいずれかであり、電解質としてもまた作用する燃料を含む。チャンバ2は電解質かまたは燃料と電解質の混合物かのいずれかを含む。チャンバ3は空気か電解質か燃料と電解質かのいずれかを含む。酸素は燃料または電解質を空気で泡立てる(bubbling)ことにより溶解される。
【0061】
電圧対電流曲線は燃料セルに可変抵抗を接続することによって得られた。抵抗を変えた後、測定前の1分間、電流および電圧が安定になることを許容した。いくつかの実験、特に電極間が小さな間隔である場合において、電流および電位(I and V)は時間と共に急速に減少した。
【0062】
後述する説明は実施された実験および得られたセル性能を概括する。
【0063】
1. 実 験 デ ー タ
1.1 初期実験
初期実験において、電極は4cm離された。第1実験において、セル1はKOHにMeOHを含み、セル2はKOHを含みそしてセル3は空気を含んでいた。第2実験においてKOH中のMeOHは電解質として使用された。2つの実験間に、空気陰極がO2還元へと選択されてMeOH酸化を生じなかったことを示唆する小さな差異が見られた。
【0064】
一組の実験の終り頃には、KOHおよびMeOHは、O2がセルを通り陰極と接触して泡立たされて3つのすべての区画で使用された。結果は、空気陰極の実験報告とは反対に、空気陰極が用いられるときよりも非常に悪いものであった。このことは、陰極に裏打ちしたPTFEの影響か或いは、より起こりえるものとしては、なんらかの老化の影響 − 電極の性能が時間と共に低下するらしい − かのいずれかを生じると思われる。
【0065】
第1組の実験において、初期オープン回路電圧は0.586Vであった。第1実験の後にオープン回路電圧を測定したところ、0.537Vであった。
【0066】
1.2 第2燃料セル実験
この実験の目的は溶解された酸素を用いた燃料セルを比較することであり、その一つは電解質としてMeOH/KOHを有し、他方は電解質としてKOHを有していた。電流計はA規格に基づくものを使用し、それ故、測定分解能は0.001Aである。
【0067】
1.3 電極の間隔変化の影響
3つのすべての区画は1MのKOHに5%MeOHを含み、空気をチャンバ3に泡立たせた。第1実験(新しい電極を使用)は電極間に4cmの隙間を用いた。オープン回路電圧は0.66Vであり、1分間隔で計測した。第2実験は電極間に1.5cmの隙間を使用した。この組の実験の後にセルはオープン回路状態に戻されそして電圧は15分以上0.59V増加した0.537Vであった。
【0068】
電極間の電解質におけるイオンの流れに対する抵抗を少なくするので、セルの電極間をより小さな間隔にすることでより良好な性能が期待された。その代わり、支配的な影響は燃料の消費(或いは電解質からK2CO3を形成すること)であり、その結果、セルから引き出される電力を時間中に低下する − このことはセルから引き出される電流を抵抗が増加されたように減少させる − ことになると思われた。
【0069】
1.4 第1スタック実験
5つの陽極と5つの陰極のスタックが組み立てられ、蠕動ポンプによって、0.104gのNaBHを含有する1MのKOH、300mlが供給された。第2セル以降は最良(第1電極が使用される前のみ可能?)であるが、後述するように、性能は少しずつ低下した。オープン回路電圧(Vopen circuit)は0.874Vであった。
【0070】
20オームの抵抗で、セルから引き出される電圧および電流は時間の関数として測定され、時間に対する発生電力のプロットが図8に示されている。42分後、流量は0.5rmp(0.032ml/s)から1.0rpm(0.064ml/s)と2倍になり、セルからの電力出力もほぼ2倍にした。
【0071】
スタックのオープン回路電圧は下表に示すように変化した。燃料は底部でスタックに入り、そしてある種の逆反応によって燃料を消費することによりスタックを通して上がる電圧が徐々に減少することが解明された。最下方のセルのより劣った性能は、実験に使用されるその他のすべての電極が新しいものであるという事実によるものであろう。
─────────────────────────────
電 極 オープン回路電圧/V
─────────────────────────────
5(頂部) 0.303
4 0.455
3 0.616
2 0.812
1(底部) 0.350(古いため?)
─────────────────────────────
【0072】
全スタックが並列に接続されたとき、0.476Vのオープン回路電圧が得られ、そしてセルの性能は劣っていた。この実験の後、中間の3つのセルが並列に接続され、そしてセル部品の漸次な低減を表すオープン回路電圧は0.288Vであった。
【0073】
1.5 混合反応物の概念を検証するための繰返し実験
セルは少しずつ劣化することを示唆しているので、混合反応物の概念を検証するための実験は核実験において新しい電極を使用して繰り返された。第1実験において、区画1はMeOH/KOHで満たされ、セル2はKOHで満たされそしてセル3は空気で満たされた。新しい溶液と電極を使用する第2実験では、混合されたMeOH/KOHが使用され、空気が陰極区画を通って泡立てられた。相変わらず、測定は1分間隔で行われた。
【0074】
今回その結果は、陽極の両側のメタノールによっておよび/または空気中に比較して溶液中のO2のより高い活性によって混合反応物セルが分離区画よりもよく仕事をした(図9)ことを示した。
【0075】
1.6 第2スタック実験
この実験の目的は、燃料の超過およびより高い流量を与えられたスタックの各セルから同様な性能が得られるか、そして個々のセルを直列と並列とに接続したときの効果を検証することにある。
【0076】
19.08gのH2Oが、0.32cm3s−1の流量に相当する5rpmで60秒間分配された。
【0077】
5つのセルが垂直方向に積み重ねられて組み立てられた。最初に、下方の3つのセルは直列に接続され、5rpmで得られたオープン回路電圧は1.57Vであった。次いでこの3つのセルの各々は分離して接続され、それらは0.79V(セル1)、0.83Vおよび0.83Vのオープン回路電圧を生じた。再びセル1および2が順次に直列に接続されたとき、1.20Vのオープン回路電圧が得られた。3つのセルが再び直列に接続されたとき、1.41Vの電圧が得られ、コンポーネントが時間と共に劣化することを示唆している。
【0078】
同じ3つのセルをまた並列に接続し、20Wの抵抗における電流と電圧を測定したところ、以下のようになった。
【0079】
比較すると、セル3が40Wの抵抗に接続されたときの電圧は並列に接続された3つのセルの場合と同様な0.75Vであった。そのときの電流は13.4mAであった。再び、並列に接続された3つのセルが個々のセルのいずれよりもより大きな電力を生じるにもかかわらず、流れる電流は個別に作動するいずれかのセルによって発生されるものの3倍にはならない。
【0080】
この非理想的な動作はセルの最大限利用によるものとは言えず、また予知しない電気化学的な効果を表しているとも思われない。
【0081】
2. 実 験 結 果 の 解 析
2.1 混合反応物の効果
チャンバ1にCH3OH/KOHを、チャンバ2にKOHを、そしてチャンバ3に空気を含む参照セルについて電流に対する電圧曲線を測定した。電圧−電流曲線はまた溶解されたO2を有するCH3OH/KOHを3つのチャンバすべてに含むセルについても得られた。これらの標準的な成極(polarisation)結果を図9に示す。
【0082】
これらのアルカリ燃料セルからの電力は低い(直接メタノールについて述べたように)にもかかわらず、上記の結果は本発明の概念 − すなわち、混合反応物セルから電力を得ることができる − を証明している。更に、混合反応物セルは分離された燃料、電解質および酸化剤を有するセル(0.35ボルトで1.86mA/cm2、ピーク電力=8.4mW)よりも良好に作動する。このことは陽極の両側にメタノールを有することにいくぶんかは帰すことができるが、水に溶解された酸素が空気中の酸素の活性(0.21)よりも高い活性(0.25)を有する[より適切には拡散制限負荷モード(diffusion limited load mode)以外のオープン回路で]という事実に帰することもできる。向上された性能はすべて液体モードで作動することにより各電極の活性面領域が増加することに帰せられることをこれらの観察は確証している。
【0083】
2.2 電極間隔の効果
電極はいずれの燃料セルにおいても電気化学回路に抵抗を与える。セルからの電流が低下したとき、この抵抗はセルにとって電圧降下、或いは成極、を結果として生じる。電解質の厚さを、すなわち電極間の間隔を小さくすることは、それに相応した改善をセルの性能に与える。
【0084】
本発明による燃料セルの1つの利点は、セルの酸化剤から燃料を分けるのに必要な1つ或いはそれ以上の薄膜/構成部品を無用にすることであり、それにより電極は一般的なセルの場合よりも共により接近して配置できる。実験は、この効果を調べるために電極間の間隔を4cmから約1.5mmに変更した混合反応物(CH3OH/KOH/O2)セルを使用して行われた。その結果は図6に示されている。
【0085】
驚くことに、電極間間隔を40mmから1.5mmに小さくすることは、電流の臨界レベルが低下されるまで、セル性能に対して最小限度の影響でしかなかった。この臨界点では、セルからの電力出力は時間依存法(time−depemdent way)で突然低下した。
【0086】
最小限度の効果の範囲は、試験セルの性能が電解質抵抗とは違う要因によって支配されていることを示唆している。これらの要因は、例えば、電極の成極(すなわち、選択された電気触媒の効果)を含むことができる。
【0087】
高電流での突然の電力の急落は電極間の少ない液体量内で反応物が枯渇することに原因がある。寄与(contribution)もまた電極へのK2CO3の形成(すなわち、電極の封鎖)に起因するものであり得るが、メタノールと電極の間のこの反応は突発的であるよりも段階的であるべきである。
【0088】
メタノールをNaBH4燃料と交換し、アルカリ電解質と反応しない後者の実験は、K2CO3の形成がこの場合は重要な要因ではないことを示す、同様な機能を示した。
【0089】
より高い燃料濃度を使用しそして本発明のシステムを流れる反応物混合物と電解質の流れを導入した更なる実験は、突然の電力の急落を回避できる − すなわち、燃料の枯渇が大概の原因であった − ことを証明した。
【0090】
2.3 燃料セルの小型スタック
1.5mmの厚さのゴム製ガスケット/スペーサ(隣接する電極が触れるのを防止するように「車輪部」に残された4本の「スポーク」を有する環状体)によって各電極を分離した、5対の電極からなるスタックが構成された。蠕動ポンプを用いて反応物混合物がゆっくりとスタックを通ることができるように多数のピンホールが電極に形成された。
【0091】
2.3.i 低燃料濃度および反応物流量
0.032cm3/秒でスタックを流れる、0.01モル/dm3の濃度のNaBH4を燃料として使用すると、反応物の入口に最も近いスタックのセルから良好な結果が得られたが、スタックの個々のセルの性能(電圧および電流)は、スタック内の位置が入口から離れるに従って着実に減少した。この作用はオープン回路状態(すなわち電流が引き出されていない)と電流が引き出されているときとで共に見られた。
【0092】
オープン回路作用は、電子が外部回路を通って運ばれない場合に、燃料と酸化剤の間の直接バックグラウンド反応(direct background reaction)が非常に発生されそうであることを証明した。この反応はいずれかの電極で発生できるが、白金製電極で発生しがちである。このことは、本発明の燃料セル概念の基礎となりそして本概念を非常にスマートに証明する電気触媒選択の重要性を、非常に強く、支持している。
【0093】
スタックのセルから電力が引き出されるとき、ほぼ安定段階になるまで時間と共に著しく減少した。このことは、前述の実験で述べたように、燃料が補充されるよりもより早い率で消費されることを示唆している。
【0094】
「安定段階」では、流量が2倍になると電力はほぼ2倍発生され、反応物の供給によって性能が左右される結果を再び支持する。
【0095】
2.3.ii 高燃料濃度および反応物流量
より高い(5×)濃度(0.05M)および非常に高い(10×)流量(0.32cm3/秒)でNaBH4燃料が使用されたとき、スタックのセルの各々から同様な性能が得られた(前もって、性能は流れの方向へスタックにそって減少した。)。この結果は、燃料と溶解された酸素との間のバックグラウンド反応の効果が2つの構成要素間の電気化学的「燃料セル」反応よりも重要ではないことを立証している。加えて、より低い流量および濃度に比較して(0.29ボルトで0.74mA/cm2;20W抵抗での電力=2.58mW)、それに比例してより高くなる電力出力(0.70ボルトで1.58mA/cm2;20W抵抗での電力=13.2mW)はまた反応物の流れと電力出力との間の関係を強めている。
【0096】
2.3.iii 並列スタック性能
5−セルスタックのセルを前述した高濃度/高流量モードで使用して、個々のセルの性能を並列(multiple)接続セルと比較した。スタックの中央の3つのセルは並列および直列モードで電気的に接続された。
【0097】
本発明の燃料セル概念の早期の解析から、並列モードだけが液体電解質+燃料+酸化剤の組合せの実行可能な作動モードであると初めは考えられていた。並列作動において燃料セルスタックは、個々のセルの合計に等しい全体的セル領域(そしてそれ故、全電流)を有する単一セル(すなわち、単一セル電圧)として作動すると通常期待されている。3つの中央のセルについて陽極を陽極にそして陰極を陰極に接続された本発明のセルスタックの試験において、20Wの負荷へ適用されたものは個々のセル性能の3倍に満たないものでしかなかった(下表参照)。
【0098】
並列接続スタックの性能における相対的な低下は完全には理解されていない。一つの付随的な要因は並列接続セルの電気抵抗が高すぎることであろう。単一セルそしてより直接的には並列性能を比較すると、単一セル(セル3)の電圧は、セルへの抵抗負荷を40Wに増やすことにより上昇される。0.75V(並列に接続された3つのセルからと同じ)の新しい単一セル電圧を用いると、その結果生じる電流は13.4mAであった。また、並列に接続された3つのセルは個々のセルのいずれよりも大きな電力を与えるが、並列スタックの電流出力は依然として予期した半分程度であった。この作用を理解するためには更に実験が必要である。
【0099】
2.3.iv 直列接続スタック作用
3つの中央のセルの電気的接続はそれらを直列に接続するように配列し直された。本システムの初期の解析によれば、直列に接続されたとき、このタイプのスタックの外方の電極を除くすべては短い回路であるべきでありそしてそれ故、単一セルでないと同様な電圧および電流を与えない。
【0100】
驚くことに、下表に示すように、3つのセルが直列に接続されたとき、単一セルの場合よりも高い電圧(オープン回路)が得られた。直列電圧は個々に作動する3つのセルからの電圧の合計よりも低いが、この結果は、本発明のシステムが基本的概念において予想されるものよりも複雑な作用の徴候を現すことを示唆している。単一直列接続のスタックから大きな電力を引き出せることは可能であろう。
【0101】
本発明は特に特定の実施例を参照して上述されたが、請求の範囲から逸脱することなしに変更および変形が可能であることは当業者にとって理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の燃料セルの模式的な図である。
【図2】本発明の第1の実施例による燃料セルの模式的な斜視図である。
【図3】4cm離間された電極を有するプロトタイプの3チャンバ・セルの電流対電圧の曲線を示すグラフである。
【図4】溶解された酸素を用いる燃料セルと比較した電流対電圧のグラフである。
【図5】異なった電極間隔での性能変化を示すプロットである。
【図6】5つの陽極と陰極を有するプロトタイプのスタックの電流対電圧の曲線を示す図である。
【図7】互換的なスタックの時間に対する発生電力のプロットである。
【図8】従来の燃料セルと本発明によって構成された燃料セルの性能を比較したグラフである。
【符号の説明】
10 燃料セル 11 陽極
12 陰極 13 電解質媒体
21 陽極気体空間 22 陰極気体空間
31 (酸化剤の)入口 32 (燃料の)入口
42 (副産物の)出口
Claims (29)
- 少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間にイオンを伝えるためのイオン伝導性電解質部材と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として存在する
ことを特徴とする電気化学的な手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池。 - 少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間にイオンを伝えるためのアルカリ性電解質と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として存在し、そして前記燃料は炭素または炭素質化学種(carbonaceous species)である
ことを特徴とする電気化学的な手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池。 - 少なくとも1つのセルと、
前記セル内の少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極と、
電極間にイオンを伝えるためのイオン伝導性電解質部材と
から構成され、
燃料、酸化剤および前記電解質部材は混合物として存在し、そして前記電極はそれらの電位の力で選択する、それらと共作用される電気触媒を有する
ことを特徴とする電気化学的な手段によって実用的な電力を供給するための燃料セルまたは電池。 - 1つまたはそれ以上の反応物を電気的、熱的、化学的または物理的に再生または復活できる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- システム内の乱流が電極間の化学種伝導(species transport)を強めるように用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 電極の一方または両方は燃料または酸化剤化学種(oxidant species)のいずれかを吸収および蓄積することができる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 系統連系(interconnect)は導電性および/またはイオン的に絶縁性の反応物混合物によって少なくとも部分的に代用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 反応物間での反応のための高活性化エネルギが装置の自己放電に対する安定性を提供するように利用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 反応物間での反応のための低速運動(slow kinetics)が装置の自己放電に対する安定性を提供するように利用される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 反応物の拡散のための低速運動が装置の自己放電に対する安定性を提供するように利用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 反応物間の拡散障壁または部分的な障壁が装置の自己放電に対する安定性を提供するように利用される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 酸素帯同液体が酸素を溶解させる、または酸素を少なくとも1つの別の混合物の成分と共に溶解させるように用いられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 酸素成分は酸素帯同気体を所望の液体に溶解させることにより再充填される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 混合しない形態(immiscible phase)または部分的に混合しない形態にあるまたは該形態に含まれる安定した組合せの反応物を供給するときに作動する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 混合しない形態または部分的に混合しない形態は装置内で自然に分離する、請求項14に記載の燃料セルまたは電池。
- 装置内で接触することになる混合しない形態または部分的に混合しない形態である、または該形態に含まれる酸素と還元剤を分けて供給するときに作動する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 主セル反応のための表面としてそして副セル反応のための反応物として電極材料を共に利用し、それにより追加の出力電圧および/またはより高い固有のエネルギ密度を有する総合セルを提供する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 装置が電気を発生していないときに混合物の安定性を強めるようにNEMCAまたは同様な効果を利用する少なくとも1つの触媒を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 混合物は不均化反応が可能な成分である、または該成分を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 再充填可能である、請求項19に記載の燃料セルまたは電池。
- 燃料は水素、炭化水素、C1〜C4のアルコール、水素化ホウ素ナトリウム、アンモニア、ヒドラジンおよび溶融または溶解形態の金属塩から選択される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 酸化剤は酸素、空気、過酸化水素、金属塩および酸から選択される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 酸化剤はクロム酸塩、バナジン酸塩、マンガン酸塩またはそれらの組合せから選択される、請求項22に記載の燃料セルまたは電池。
- 電解質は水、水性溶液、酸性化された過フルオロカーボン(perflorocarbons)、プラズマ、溶融塩、酸およびアルカリから選択される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 燃料および/または酸化剤は電解質を形成する、または電解質として働く、請求項1〜22のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 並列に接続された電極の列から構成される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 電極は小さな隙間または機能的に挿入された多孔性の薄膜或いは多孔性の電解質薄膜により分けられる、請求項26に記載の燃料セルまたは電池。
- 直列に接続された電極の列から構成される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の燃料セルまたは電池。
- 陽極は小さな隙間またはまたは機能的に挿入された多孔性薄膜或いは多孔性の電解質薄膜によってその直近に隣接した陰極から分けられる、請求項28に記載の燃料セルまたは電池。
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