JP4778659B2 - 燃料電池及びその発電方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料電池、特に直接メタノール形燃料電池に関し、より詳細には、クロスオーバーが改善された燃料電池、特に直接メタノール形燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
直接メタノール形燃料電池(DMFC)は比較的低温(常温〜120℃)で運転する発電装置である。この燃料電池は、古くより研究されているように、メタノール燃料を直接アノードに供給するため、アルコールから水素を取り出すための改質器が不要となり、装置自体が小型化ならびに安価にできるだけでなく全体の運転手段も簡素化できる。液体燃料は水素ガスを燃料として使用する場合に比べて可燃物としての安全性及び小型化容易の面からおおきな期待がよせられている。
【0003】
この電池のアノードでメタノールが酸化される反応は、完全に6電子酸化される場合、次式で表されるように水分子の関与が必要不可欠である。
CHOH+HO→CO+6H+6e (1)
すなわち、メタノールを二酸化炭素にまで完全酸化するための酸素源として水分子が欠かせない。(1)式によれば、メタノール1分子に対して水1分子が反応に必要であり、この組成が最良の燃料組成比と考えられる。
しかし、(1)式で生成したプロトンが電解質膜中をカソードに向って移動するためには、プロトンが水和するための水分子の供給が、望ましくはアノード側から必要である。さらに、現時点で最高性能を有する電解質膜を用いた場合でも、メタノールを初めとする各種燃料が膜内を透過し、燃料電池の出力特性を大きく低下させる現象が問題となっている(クロスオーバー)。従って、現実問題として、燃料極に常時接するメタノール濃度は、せいぜい1.5mol/リットル程度にせざるを得ない。
【0004】
この問題を解決するため、様々な方法が提案されている。例えば、アノードとカソードとの間の電解質膜やその構造を改良する方法がとられている(特開平11−26005、特開2002−83612等)。また、液体燃料を一旦気化器や加熱器を用いて気化してアノードに供給する方法が提案されている(例えば、特開2001−93541)。しかし、気相での高濃度燃料の供給は不可能であり、また気化器を加熱するエネルギーが必要だったり、加熱しない気化器の場合は燃料がアノードに達するまでの時間を要したりする等の不具合を生ずる。また、アノードに導電性の多孔性材料層を設けこの層に燃料の酸化を促進する触媒を担持することが提案されている(特表2000−502205)が、かなり複雑な構造となり、コストも高くなると思われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このように液体燃料を直接アノードに供給する燃料電池、特に直接メタノール形燃料電池でありながら、付随するクロスオーバーの問題を解消し、高出力を実現でき、さらには出力変動にも即座に追随できる燃料電池、特に直接メタノール形燃料電池を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、液体燃料を直接アノードに供給する燃料電池、特に直接メタノール形燃料電池でありながら、付随するクロスオーバーの問題の原因を解析した結果、アノード表面が常に湿潤している状態を回避することのできる燃料及び水の供給構造を採ることで、クロスオーバーを起こさず高濃度燃料を供給できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、アノード、カソード及びこれらに挟持された電解質を含む燃料電池であって、該アノードに燃料を含む貯蔵液が接することなく、アノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段を備えたことを特徴とする燃料電池である。ここで、アノード、カソード及び電解質は通常燃料電池に用いるものを用いればよく、例えば、アノードとカソードとして白金等の金属、電解質としてDuPont社製ナフィオン(登録商標)等のプロトン導電性固体高分子電解質を用いることができる。
【0007】
通常の燃料電池は、燃料と水から成る貯蔵液が、直接又は流路等を介して、アノードに接触する方式になっている。その結果、この貯蔵液が常時アノード表面を湿潤することとなる。このような構造を採るかぎり、クロスオーバーの問題を回避するためには貯蔵液中の燃料(メタノール)の濃度を下げざるを得ず、その結果高出力が得られない。
本発明においては、このようなアノードに燃料を含む貯蔵液が接するような構造を採らず、アノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段を備えた構造とした点に特徴がある。このアノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段は、燃料及び水を注射するための注射器から成り、注射速度が可変であることが好ましい。
【0008】
また、燃料と水とを混合して一つの供給手段により供給してもよいし、燃料と水とを別々の供給手段により独立に供給してもよい。後者は、燃料と水との比を変えられるため、そのような必要のある場合には好ましいといえる。この場合、アノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段は、燃料又は水を注射するための2種の注射器から成り、各注射速度が独立に可変であることが好ましい。
ここで注射器として、例えば、電磁弁、送液ポンプ、加圧装置、注射器(例えば、インクジェットプリンターヘッド(ピエゾ方式、サーマル方式など))、表面弾性波素子などを組み合わせたものを用いることができる。
このような構造を採ることにより、必要量の燃料及び/又は水のみをアノード表面に供給することを可能とし、その結果、クロスオーバーを起こさず高濃度燃料を供給することを可能とし、更に燃料電池の運転状況に応じて燃料及び水を適切な比率及び流量で供給することを可能にした。
【0009】
このアノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段は、燃料電池の作動状況を検出しつつ所望の運転状況を作り出すように制御されることが好ましい。このような作動状況検出手段として、電池ユニットの電圧及び電流計測手段や、アノード表面の燃料と水の比率検出センサー、あるいは、固体電解質中の燃料と水の比率検出センサー等を用いて行うことができる。更に、MPU演算素子などを用いることにより、燃料と水を運転状況に応じて適切な比率と流量でアノードに供給することが好ましい。
【0010】
また本発明は、上記のいずれかの燃料電池を発電する方法であって、前記アノードの表面に、アノード表面が常に湿潤しない量の燃料と水を、燃料の供給速度が燃料が消費される速度とほぼ同じとなるように、液相供給する段階を含む燃料電池を発電する方法である。燃料電池の運転状況により、この供給速度を変えることが好ましく、特に燃料及び水の供給速度を独立して変えることがより好ましい。
このような方法により、燃料電池の運転状況に応じて、そのアノード表面に制御された比率と流量で燃料と水を供給することができる。既述のように、アノード表面が常に湿潤する量の燃料と水を供給すると、クロスオーバーの問題が生じてしまうため、その供給は、アノードの表面に、アノード表面が常に湿潤しない量の燃料と水を、燃料の供給速度が燃料が消費される速度とほぼ同じとなるように、供給する。このような供給速度は、言い換えると、クロスオーバーを生じない量の燃料及び水をアノード表面に供給するような供給速度である。
【0011】
更に、このような方法を用いることにより、発電量が多い場合には水の供給速度に対する燃料の供給速度の比を高くし、発電量が少ない場合には水の供給速度に対する燃料の供給速度の比を低くすることにより、必要とされる発電量に応じて適切な量の燃料と水を供給することができる。このような燃料と水の適切な供給速度は、燃料電池の構成や運転状況に依るため、燃料電池を運転しつつ、燃料電池の運転状態や問題をフィードバックすることによって最適値を把握することができる。
【0012】
また、燃料電池を急停止する場合には、燃料と水の混合物の供給をいきなり止めると、アノードの材料が劣化する。これを防止するために、水のみをアノードに供給すると、アノード表面はクロスオーバーの起きない燃料低濃度状態になり、急停止に耐えられる。即ち、発電を止める場合には、燃料の供給を止め、水のみを供給することが好ましい。
一方、停止状態から急速に運転開始する場合には、燃料のみを供給することで燃料高濃度状態を実現することができる。
また、定常状態に移行する場合には燃料と水の比率を一定組成にすればよい。
【0013】
通常は、アノードを水平に置きその表面に燃料及び水を供給すれば自然に拡散されるが、燃料及び水をアノードの表面に均一に拡散するための適当な補助手段を用いてもよい。例えば、より均一に拡散するためや表面が大きい場合には、上記燃料及び水の供給手段を複数用いてもよい。更に、燃料及び水をアノードの表面により均一に拡散するために液体燃料吸収板を用いて行ってもよく、これは多孔性材料、例えば、ガラス繊維マット、炭素発泡体、膨張ポリテトラフルオロエチレン、網状化金属等、から成ることが好ましい。
また、燃料としては、C1〜C4までの低級アルコール、グリコール又はエーテル等、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、2級ブタノール、3級ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができるが、メタノールが好ましく用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明を限定することを意図するものではない。
本発明の燃料電池の一例を図1及び2に示す。この燃料電池はアノード(燃料極)2、カソード(空気極)3及びこれらに挟持された固体電解質膜1から成り、アノード2上には、燃料及び水を均一に拡散させるための液体燃料吸収板7が接して配されている。アノード表面で燃料と水の均一性が確保されていれば、この液体燃料吸収板7はなくともよい。燃料と水とは混合して一つの供給手段4(図1)により供給してもよいし、燃料と水とを別々に2つの供給手段(燃料供給手段9と水供給手段10、図2)により独立に供給してもよい。一定の燃料と水との比で供給する場合には前者の方法でよく、この場合には、この比を一定にしたまま燃料と水の供給速度のみを変えることができる。後者の場合には、それぞれ独立した供給速度で燃料又は水を供給することができる。この燃料供給手段9と水供給手段10又は燃料と水の混合液の供給手段4により、燃料と水は設定された比率及び供給速度でアノード2又は液体燃料吸収板7上に供給される。このような供給方法により、アノードの表面に、アノード表面が常に湿潤しない量の燃料と水を、燃料の供給速度が燃料が消費される速度とほぼ同じとなるように、供給することができる。そのため、このアノード7上でクロスオーバーを防止することができ、また運転状況に応じた燃料を供給することができる。
【0015】
本発明の燃料電池の別の態様を図3に示す。この燃料電池20は、ユニットセル(MEA)が複数層(図3では3層)積層されて成り、各ユニットセルはアノード(燃料極)12、カソード(空気極)14及びこれらに挟持された固体電解質膜13の三層から成り、更に、アノード12には液体燃料吸収板11が接し、カソード14には空気流路15が接するように配されている。燃料と水は燃料収容部16と水収容部とに別々に貯蔵されており、これらは燃料水供給手段17から別々にエアギャップを介して液体燃料吸収板11に供給され、液体燃料(燃料と水)は液体燃料吸収板11により、直ちにアノード12表面に均一に拡散して行き届く。なお、3つのセルユニットはバイポーラ板を初めとする公知の手段で直列又は並列に接続してもよい。
【0016】
本発明の燃料電池の別の態様を図4に示す。この燃料電池20は、上記図4の燃料電池を改良したものであり、複数の水収容部と燃料収容部16及び燃料水供給手段17をひとつにまとめたものである。
本発明の燃料電池の更に別の態様を図5に示す。一枚の固体電解質膜13に4組のアノード(燃料極)12とカソード(空気極)14が固体電解質膜13を挟むように配されたいわゆる平面スタックセルが、液体燃料吸収板11を共有して、その上下に2枚配された構造をしている。上記と同様に燃料と水は燃料水供給手段17から液体燃料吸収板11に供給され、液体燃料(燃料と水)はアノード12表面に均一に拡散される。なお、8つのセルユニットは公知の手段で直列又は並列に接続してもよい。
【0017】
本発明の燃料電池のまた別の態様を図6に示す。燃料電池本体30が円筒形をしており、そこには複数個のセルユニット21が配され、直列又は並列に接続されている。セルユニット21の構造を図7に示す。燃料24と水25は混合され燃料水供給手段26により、燃料と水の混合物27として円筒状の燃料電池本体30の内壁に吹き付けられる。この内壁にはセルユニット21のアノード32が露出するか、又はアノード上に接して配された液体燃料吸収板34が露出しており、これらに供給された液体燃料はアノードに均一に分散される。
【0018】
【発明の効果】
本発明の燃料電池は、様々な利点を有する。即ち、必要量の燃料が適宜アノードに供給されるため、高濃度燃料を供給してもクロスオーバーを生じない。更に、高濃度燃料が供給され得るので、高出力を取り出すことができる。また、燃料と水が運転状況に応じて適切な比率でアノードに供給されるので、急激な出力変動にも追随できる(例えば、ノートパソコンの使用モード/スリープモード;携帯電話の待機モード/トークモード)。更に、気化器を使用するものではないため、余分なスペースや加熱源を必要としない。
【0019】
【実施例】
実施例1
市販のダイレクトメタノール燃料電池(H−TEC社製)の膜電極構造体(MEA)を取り出して、図1のように改造した。即ち、アノード上に厚さ2mmのG4号ガラスフィルターを密着させ、燃料揮発防止のためにその上を直径5mmの穴をあけたポリエチレンテレフタレートフィルムで覆って、単セルとして、試験に用いた。このセルのアノード端子とカソード端子を電気化学計測装置(ガルバノスタット:北斗電工社製HA301)に接続した。シリンジ(室町機械製:KDS)に、メタノール:水が30:70の体積比(メタノール濃度7.4Mに相当する。)の混合液を入れて、ガラスフィルター上へ注入した。
電流値(I)を一定にして、クロスオーバーを起こさない液体燃料混合液の供給速度を見極めながら、この供給速度を変化させて、最高出力(I×V)が取り出せるときの電圧(V)を記録した。また、電流値を変化させてその時々の得られた電圧をプロットした。その結果を図8に示す。
その結果、後述の比較例1や2を上回る電流−電圧特性が観察された。
【0020】
実施例2
実施例1と同じセルと装置を用いて、メタノールと水の混合比率(体積比)を45:55(メタノール濃度11Mに相当する。)とした以外は、実施例1と同様にして電池セルの電流−電圧特性を測定した。測定結果を図8に示す。本実施例においても後述の比較例1や2を上回る電流−電圧特性が観察された。
【0021】
比較例1
実施例1で改造して用いたダイレクトメタノール燃料電池用膜電極構造体(MEA)を改造せずそのまま用いて、0.5〜10Mの濃度のメタノール水溶液を使用して発電し、この電池セルの電流−電圧特性を、電気化学計測装置(ガルバノスタット)を用いて測定した。用いた燃料電池の構造を図9に示し、測定結果を図10に示す。メタノール濃度が0.5Mから5Mまでは、濃度の増加とともに電流−電圧特性も出力増加を示す。しかし、メタノール濃度が7M以上では、出力低下が観測され、メタノールが固体電解質膜をクロスオーバーしたことを示す。
【0022】
比較例2
比較例1で用いたセルと装置から燃料と水の混合液6を抜き取り、変わりにメタノールと水を各々含む洗気瓶に乾燥窒素ガスを通気したメタノールと水の飽和気体を400ミリリットル/分と100ミリリットル/分の割合で混合しながら燃料極に導いた。実施例1と同様に、電池セルの電流−電圧特性を測定した。この測定結果を図8に示す。この比較例では非常に低い出力しか得ることができなかった。気相燃料供給では、燃料極に高濃度燃料を送ることができないためと考えられる。
【0023】
図8の結果から、メタノールと水の供給速度を調整することにより、比較例1でクロスオーバーを起こした燃料濃度よりも高い燃料濃度での運転が可能になり、その結果、比較例1や2よりも高い電流−電圧特性を得ることができた。すなわち、本発明の液体燃料供給方式を用いると、高濃度メタノール水溶液の供給を行ってもクロスオーバーを生ずることなく、高出力を得ることができることが示された。
【0024】
実施例3
実施例1と同様の燃料電池を用い、その燃料電池の構造を、図2に示すように、燃料と水を独立して供給できるよう変更した。即ち、2個のシリンジ(室町機械製:KDS)を用意し、一方にメタノールを入れ、他方に水を入れて、メタノールと水の混合比率を下記のように代えて供給しながら、20mAの定電流出力下で電池セルの電圧変動を記録した。測定結果を図11に示す。図中の矢印の記号は下記の比率の液体燃料を注入した時点を示す。
A;メタノール:水(体積比)=30:70(メタノール濃度7.4Mに相当)
B;メタノール:水(体積比)=0:100
C;メタノール:水(体積比)=2:98(メタノール濃度0.5Mに相当)
D;メタノール:水(体積比)=0.5:99.5(メタノール濃度0.12Mに相当)
この結果から、本発明の液体燃料供給方式を用いると、急激な負荷変動に対しても、出力を追随させうることが分かる。このような液体燃料供給方式による、負荷変動に対応できる燃料電池システムが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の一実施形態を示す断面図である。燃料と水とを混合して注入する。
【図2】本発明の燃料電池の一実施形態を示す断面図である。燃料と水とを独立して注入する。濃色は燃料を表し、無色は水を表す。
【図3】本発明の燃料電池の一実施形態を示す断面図である。濃色は燃料を表し、無色は水を表す。
【図4】本発明の燃料電池の一実施形態を示す断面図である。濃色は燃料を表し、無色は水を表す。
【図5】本発明の燃料電池の一実施形態を示す断面図である。濃色は燃料を表し、無色は水を表す。
【図6】本発明の一実施形態を示す図である。濃色は燃料を表し、無色は水を表す。
【図7】図6のセルの一部21を示す断面図である。
【図8】実施例1,2と比較例2の電流−電圧特性を示す図である。
【図9】比較例1で用いた従来のダイレクトメタノール燃料電池セルを示す図である。
【図10】比較例1の燃料電池セル(図9)の電流−電圧特性を示す図である。
【図11】実施例3の電圧−時間特性を示す図である。
【符号の説明】
1、13、31 固体電解質膜
2、12、32 燃料極
3、14、33 空気極
4 燃料と水の混合液の供給手段
5 燃料容器
6、27 燃料と水の混合液
7、11、34 液体燃料吸収板
8 燃料揮発防止カバー
9 燃料供給手段
10 水供給手段
15 空気流路
16 燃料収容部
17、26 燃料水供給手段
20、30 燃料電池本体
21 燃料電池セルの一部
23a 燃料収容部
23b 水収容部
24 燃料
25 水

Claims (11)

  1. アノード、カソード及びこれらに挟持された電解質を含む燃料電池であって、エアギャップを介して該アノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段と、該燃料及び水をアノードの表面に均一に拡散する手段とを備え、該燃料及び水の液相供給手段を該拡散する手段に向けて配置し、かつ該液相供給手段が燃料及び水を注射するための注射器から成り、注射速度が可変であることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記アノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段が、燃料及び水を独立して供給することのできる請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記アノードの表面に燃料及び水を液相供給する手段が、燃料又は水を注射するための2種の注射器から成り、各注射速度が独立に可変である請求項に記載の燃料電池。
  4. 前記注射器が、電磁弁、送液ポンプ、加圧装置、ピエゾ方式若しくはサーマル方式のプリンターヘッド又は表面弾性波素子からなる請求項1〜のいずれか一項に記載の燃料電池。
  5. 前記燃料及び水をアノードの表面に均一に拡散する手段が多孔性材料層である請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池。
  6. 前記燃料がメタノールである請求項1〜のいずれか一項に記載の燃料電池。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の燃料電池を用いる発電方法であって、前記アノードの表面に、クロスオーバーを生じない量の燃料と水を、燃料の供給速度が、燃料が消費される速度とほぼ同じとなるように、液相供給する段階を含む燃料電池の発電方法。
  8. 前記燃料の供給速度を変える請求項に記載の方法。
  9. 燃料及び水の供給速度を独立して変える請求項に記載の方法。
  10. 発電量が多い場合には水の供給速度に対する燃料の供給速度の比を高くし、発電量が少ない場合には水の供給速度に対する燃料の供給速度の比を低くする請求項に記載の方法。
  11. 発電を止める場合には、燃料の供給を止め、水のみを供給する請求項9又は10に記載の方法。
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