JP2004501349A - 子宮内膜症の診断アッセイ - Google Patents
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Abstract
本発明は、患者の子宮内膜症の検出法を提供し、これは浸入性で高価な外科的処置の改良である。本方法は、トムセン−フリーデンライヒ抗原(Tf)と反応する血清サンプル中の自己抗体を検出する免疫アッセイを使用する。Tf様抗原に結合する患者由来の血清サンプル中の自己抗体レベルの増加は、患者の子宮内膜症の指標である。
Description
【0001】
(発明の背景)
子宮内膜症は、子宮外(異所性)部位での子宮内膜細胞の成長によって特徴付けられる、珍らしくない疾患である。これは、生殖年齢の女性の10%が罹患し得る、通常の疾患である(1)。子宮内膜症の病因が謎であるにもかかわらず、明らかに細胞性および体液性免疫機能の変化が発症した疾患の特徴である(2〜4)。
【0002】
子宮内膜抗原に対する自己抗体および補体成分の沈積が多数の研究に記載されており((2)に概説)、多数の血清、腹腔内貯留液、および子宮内膜抗原が記載されている。おそらく、これまでのところ記載された最良に特徴付けられた組織抗原は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン受容体(5)および炭酸脱水酵素6−8のイソ型IおよびIIである。トランスフェリンおよびα2−ヘーレマンス・シュミット糖タンパク質(α2−HSG)に対する抗体もまた記載されており、診断マーカー9、10として提案されている。子宮内膜症、生殖疾患、および他の自己免疫疾患におけるこれら抗体の発現率の測定に関して多数の研究が行われてきたが、関連するエピトープの性質についてはほとんど注目されていなかった。同定された抗原は、全て糖タンパク質である。たった1つの明白な例外(5)を除いて、これらのタンパク質上の炭水化物抗原は評価されていなかった。
【0003】
本発明によれば、驚いたことに、共通の炭水化物部分が異なる上記の子宮内膜抗原上に存在することが見出された。共通の炭水化物部分は、Tf抗原またはTf様抗原とも呼ばれているトムセン−フリーデンライヒ関連抗原、Galβ1−3GalNAcである。本明細書中では、「Tf様抗原」は、Tf抗原をも含むものとする。Tf抗原はシアル酸によってマスクされた、潜在性二糖類構造である。シアル酸部分は、ノイラミニダーゼなどのシアリダーゼによって除去することができる。Tf抗原は、ヒト赤血球上に存在し、上皮組織中の腫瘍関連抗原である。
【0004】
本発明は、Tf様抗原との自己抗体反応性に基づいた診断法を提供する。本診断法は、患者の子宮内膜症の存在判定の一助となり、現在の侵入性の診断法よりも改善されている。
【0005】
(発明の要約)
本発明は、患者の子宮内膜症の診断法を提供する。本発明の1つの実施形態では、患者の子宮内膜症の診断法は、
(a)前記患者から血清サンプルを得て、
(b)前記血清サンプルとトムセン−フリーデンライヒ(Tf)様抗原をインキュベートし、
(c)前記サンプル中のTf様抗原との自己抗原反応性を検出し、
(d)前記血清サンプル中のTf様抗原に対する自己抗原反応性レベルの増加を前記患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0006】
抗体反応性は免疫測定アッセイまたは競合アッセイなどの免疫アッセイによって判定することができる。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、免疫測定アッセイは、
(a)固体支持体上のTf様抗原を固定化し、
(b)患者由来の血清サンプルの一定量を前記固体支持体に結合させたTf様抗原に添加し、インキュベートし、
(c)前記固体支持体に標識抗ヒト免疫グロブリンを添加し、ここで前記抗ヒト免疫グロブリンはシグナル発生系の一部であり、
(d)結合抗体から遊離の標識抗体を分離し、
(e)前記固体支持体を含む溶液によって発生したシグナルを測定し、
(f)シグナル強度の増加を患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態では、競合免疫アッセイは、
(a)一定量のTf様抗原に結合した標識抗体と異なる濃度の患者由来の血清サンプルとのインキュベーションによって反応混合物を調製し、ここで前記標識抗体はシグナル発生系の一部であり、
(b)遊離自己抗体から結合標識抗体を分離し、
(c)前記反応混合物中の標識抗体によって発生したシグナルを測定し、
(d)患者由来の血清サンプルの添加後のシグナル強度の減少を患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態では、競合免疫アッセイは、
(a)Tf様抗原に結合した第1の抗体と、異なる濃度の患者由来の血清サンプルとのインキュベーションによって反応混合物を調製し、
(b)前記反応混合物に一定量の第二の抗体を添加し、ここで前記第二の抗体は前記第1の抗体の重鎖の定常領域を認識し、前記第二の抗体は標識化されており、且つシグナル発生系の一部であり、
(c)結合抗体から遊離の標識第二抗体を分離し、
(d)前記反応混合物中の前記第二抗体によって発生したシグナルを測定し、
(e)シグナル強度レベルの減少を患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0010】
抗体が酵素標識されている場合には、追加の段階として酵素標識抗体と反応する固体支持体に基質を添加しさらにインキュベーションを行う段階を、発生したシグナルの測定前に追加する。
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は、患者の子宮内膜症を検出するための診断法を提供する。本診断法は、トムセン−フリーデンライヒ(Tf)抗原(Tf様抗原をも含む)と反応する患者の血清中の自己抗体の存在を検出する免疫学的検定法に基づく。本明細書中では、「Tf様抗原」は、Tf抗原をも含むものとする。Tf様抗原に結合する自己抗体の正常な血清レベルと比較する場合、Tf様抗原に結合する血清サンプル中の自己抗体レベルの増加は、患者の子宮内膜症の診断と相関する。
【0012】
血液サンプルは、静脈穿刺または他の適切な手段によって、都合よく採取することができる。血清サンプルは、周知の方法を使用して血液サンプルから調製することができる。
【0013】
本発明の方法に使用することができる多数の異なる型の免疫アッセイが存在する。周知の免疫アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、蛍光免疫吸着アッセイ(FIA)、化学結合免疫吸着アッセイ(CLIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、および免疫ブロット法など)を、Tf様抗原と反応する血清サンプル中の自己抗体レベルの検出に適応させることができる。使用することができる異なる免疫アッセイの概説については、「免疫アッセイハンドブック」、David Wild編、Stockton Press、New York、1994を参照のこと。好ましくは、固相分離を使用する競合免疫アッセイまたは抗体試験用の免疫測定アッセイを使用する。「免疫アッセイハンドブック」、第2章を参照のこと。
【0014】
典型的なアッセイでは、試薬には、患者由来の血清サンプル、検出すべき自己抗体(血清サンプル中に含まれる)、Tf様抗原、および検出可能なシグナル発生手段が含まれる。
【0015】
したがって、本発明の1つの実施形態では、患者の子宮内膜症の診断法は、抗体試験のための免疫測定アッセイを使用する。この実施形態では、Tf様抗原を、ビーズ、プレート、スライド、またはマイクロタイター皿などの固体支持体または表面に固定する。患者由来の血清サンプルの一定量を固体支持体に添加し、液相中でTf様抗原とインキュベートする。Tf様抗原に反応する血清中に存在するヒト自己抗体中の定常領域を認識する抗体を添加する。この抗体は、抗ヒト免疫グロブリンであり、シグナル発生系の一部でもある。IgA、IgG、またはIgM重鎖定常領域に特異的な抗ヒト免疫グロブリンを使用することができる。液相からの固体支持体の分離後、支持相を検出可能なシグナルの有無を試験する。固体支持体上のシグナルの存在は、血清サンプル中に存在するTf様抗原に対する自己抗体が固体支持体上のTf様抗原に結合したことを示す。
【0016】
シグナル発生系は、1つまたは複数の成分からなり、その少なくとも1つの成分は標識であり、この標識は、結合および/または非結合標識の量、すなわちTf様抗原に結合または非結合している標識の量をあらわす検出可能なシグナルを発生する。標識は、シグナルを発生するか、誘発されてシグナルを発生できる分子である。標識の例には、蛍光発生物質、酵素、化学発光物質、光増感物質、または懸濁可能な粒子が含まれる。シグナルは、酵素活性、発光、または光吸収によって検出し、またこれによって測定することもできる。放射標識もまた使用することができ、シンチレーションカウンターを使用して放射能レベルを検出および測定をすることができる。
【0017】
抗ヒト免疫グロブリンの標識に使用することができる酵素の例には、β−D−ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびグルコース−6−リン酸脱水素酵素(「G6PDH」)が含まれる。抗ヒト免疫グロブリンの標識に使用することができる蛍光物質の例には、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン化合物、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、およびフルオレスカミンが含まれる。化学発光物質には、例えば、イソルミノールが含まれる。
【0018】
遊離標識抗体を結合抗体から分離し、必要ならば、標識(例えば酵素)が反応する適切な基質を添加して、インキュベートする。
【0019】
好ましい実施形態では、抗ヒト免疫グロブリンは、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼのいずれかで標識した酵素である。
【0020】
反応の際に現れる色彩、蛍光、発光、または放射能の量(使用したシグナル発生系に依存する)は、Tf様抗原と反応する患者の血清中の自己抗体の量に比例する。光学密度の定量化は、分光光度法を使用して行うことができる。放射標識シグナルの定量化は、シンチレーション計数法によって行いうる。
【0021】
正常な血清レベルを超えるTf様抗原に反応する自己抗体レベルの増加は、患者の子宮内膜症診断に相関する。
【0022】
本発明の別の実施形態では、患者の子宮内膜症の診断法は、既知の抗体と患者の自己抗体とがTf結合を競合する、競合免疫アッセイを使用する。この実施形態では、Tf様抗原に結合することが知られている一定量の標識抗体を、異なる濃度の患者由来の血清サンプルとインキュベートする。例えば、Tfに結合することが公知のマウスモノクローナル抗体49H.8(Rahman and Longenecker、1982、J.Immun.,129(5):2021〜4)を使用しうる。Tf様抗原に結合し、競合免疫アッセイに使用することができる他のモノクローナル抗体には、155H7および170H82(Longenecker等、1987、J.Nat.Cancer Inst.,78(3):489〜96)、A78−G/A7(Karsten等、1995、Hybridoma,14(1):37〜44)、HB−T1(DAKO Co.)、RS1−114およびAHB−25B(Stein等、1989、Cancer Res.,49(1):32〜7)、HT8(Metcalfe等、1984、Br.J.Cancer,49(3):337〜42)、161H4(Longenecker等、1987)、HH8(Clausen等、1988)、ならびにBW835(Hanish等、1995、Cancer Res.,55(18):4036〜40)が含まれる。上記のように、抗体を、蛍光発生物質、酵素、化学発光物質、光増感物質、懸濁可能な粒子、または放射性同位元素で標識することができる。好ましくは、公知の抗体は酵素標識されている。インキュベーション後、結合した標識抗体を、遊離の自己抗体から分離する。使用するシグナル発生系によっては、必要ならば、標識抗体と反応する適切な基質を添加してインキュベートする。次いで、サンプルが発生したシグナルを測定する。血清サンプルの添加前と添加後、または実験サンプルと対照サンプルとの間の添加による、光学密度または放射能の減少は、血清サンプル中の自己抗体がTfに結合したことを示す。健常者由来の実験血清サンプルと比較した場合の光学密度または放射標識シグナルの減少は、患者の子宮内膜症診断に相関する。
【0023】
競合免疫アッセイの好ましい実施形態では、2つの抗体を使用する間接的方法を使用する。第1の抗体は、標識されていないこと以外は、上の段落に記載のTf様抗原特異的抗体である。第1の抗体を、種々異なる濃度の患者由来の血清サンプルとインキュベートする。一定量の第2の抗体を次にサンプルに添加する。第2の抗体は、第1の抗体の重鎖の定常領域を認識する。例えば、第2の抗体は、Tf様抗原に反応するマウス免疫グロブリン(抗マウス免疫グロブリン)の重鎖の定常領域を認識する抗体であり得る。第2の抗体を、上記の蛍光標識体、化学発光体、または放射性同位元素で標識する。遊離の第2の抗体を、結合抗体から分離する。酵素標識抗体を使用する場合、酵素標識に反応する適切な基質を添加してインキュベートする。血清サンプルの添加前と添加後、または添加による実験サンプルを対照サンプルと比較しての、光学密度または放射能の減少は、血清サンプル中の自己抗体がTfに結合したことを示す。健常者由来の実験血清サンプルと比較した場合の光学密度または放射能の減少は、患者の子宮内膜症診断に相関する。
【0024】
周知の方法を使用した本発明の方法のために、酵素をTf様抗原反応性抗体に共有結合することができる。多数の周知の結合法が存在する。例えば、グルタルアルデヒドを使用して、アルカリホスファターゼおよびホースラディッシュ・ペルオキシダーゼを抗体に結合させることができる。ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼを、過ヨウ素酸塩を使用して結合させることもできる。酵素結合抗体用の市販のキットも広範に販売されている。酵素結合抗ヒトおよび抗マウス免疫グロブリン特異的抗体は、複数の販売者から市販されている。
【0025】
酵素結合抗体の代わりに、ビオチン標識抗体を使用することができる。このような場合、市販のストレプトアビジン−ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ検出システムを使用して、結合抗体を検出する。
【0026】
酵素標識抗体は、基質の種類によってそれぞれ異なるシグナル発生源をつくる。シグナル発生には、反応混合物への基質の添加を行う。通常のペルオキシダーゼ基質としては、ABTS(登録商標)(2,2’−アジノビス(エチルベンゾチアゾリン−6−スルホナート))、OPD(O−フェニレンジアミン)およびTMB(3,3’、5,5’−テトラメチルベンジジン)が含められる。これらの基質は、過酸化水素の存在が必要である。p−ニトロフェニルホスフェートは、普通に使用されるアルカリホスファターゼ基質である。インキュベーション中、酵素は基質の一部を徐々にその最終生成物に変化させる。インキュベーション後、酵素活性を停止させる停止試薬が添加される。シグナル強度は、通常分光光度計を使用して光学密度の測定によって決定される。
【0027】
アルカリホスファターゼ標識抗体は、蛍光測定法によっても測定することができる。したがって、本発明の免疫アッセイでは、基質4−メチルウンベリフェリルホスフェート(4−UMP)を使用することができる。4−UMPはアルカリホスファターゼによる脱リン酸化により、4−メチルウンベリフェロン(4−MU)という蛍光標識体が形成される。入射光は365nmであり、放射光は448nmである。
【0028】
本発明の方法で使用するために、Tf様抗原を、種々の供給源から得ることができる。例えばTf様抗原は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能な腺癌細胞株LS174Tなどの腫瘍細胞株の培養に使用した、馴化培養培地から精製することができる。移行性上皮癌株細胞もまた、Tf様抗原の供給源としての機能を果たしうる。Tf様抗原は、MAb49H.8−CnBr活性化セファロースカラムを使用したアフィニティークロマトグラフィーによって、このような馴化培養培地から精製することができる。それ以上に精製するにはゲル濾過を使用することもできる。Tf様抗原をまたそれ以上に精製するには不溶化落花生凝集素(PNA)またはその他のレクチンを使用したレクチンアフィニティークロマトグラフィーを使用することができる。PNAは、カリフォルニア州サンマテオのE−Y Laboratoriesから入手することができる。
【0029】
IgA、ヘモペキシン、およびα−2−ヘーレマンス・シュミットなどのTf様抗原を含む精製血清タンパク質もまた、抗原として使用することができる。Tf様抗原の好ましい供給源は、ウシ血清アルブミンと共有結合した市販の合成Tf様抗原である。最近Dahlenborg等による、1997、In.J.Cancer 70:63〜71に記載のように、BioCarbなどのTf様抗原およびその糖形態が市販されている。あるいはTf様抗原は、市販業者からカスタム合成によって得ることができる。Tf様抗原と反応するモノクローナル抗体を容易に利用することができる。
【0030】
MAb49.H(イソ型IgM)を、Rahman等、(1982)J.Immunol.,129:2021〜2024およびLongenecker等、(1984)Int.J.Cancer 33:123〜129によって報告されているように、調製および精製することができる。これらの論文および本出願で引用した他の論文の開示は、それらが全文提示されていると同様にみなして本明細書中の一部とみなすべきである。
【0031】
本発明の方法を実施するために、関連する免疫アッセイを標準化しなければならない。Tf様抗原は通常、糖タンパク質と会合しているので、天然では不均一である。このような不均一性の原因としては、シアリル化を含み得る。このために、1アンプルの国際標準(IS)または国際基準調製(IRP)を得るべきである。国立生物学的製剤研究所(NIBSC、Blanche Lane、South Mimmus、Potters Bar、Herts EN63QG)は、このようなTf様抗原のサンプルを調製し、その国際単位(IU)を指定することができる。また今後の多数のキャリブレータに標準値を与えるために、複数の二次標準のセットも調製しなければならない。
【0032】
本発明の免疫アッセイは、未知のサンプルに数値または濃度を指定するためのキャリブレータの使用を必要とする。通常は未知のサンプルをプロットする前に、約6つのキャリブレータの組をプロットして、検量線を作成する。未知サンプルの濃度は補間法により決定する。最良の方法としてはコンピュータプログラムによる補間を行う。較正に関する考察については、「免疫アッセイハンドブック」、第2章を参照のこと。
【0033】
本発明はまた、患者の子宮内膜症を緩和、予防、および/または回復させるための治療を提供する。本発明のこの実施形態では、Tf様抗原またはそのアナログを患者に注射する。注射したTf様抗原またはそのアナログは、自己抗体結合で、子宮内膜症患者に存在するTf様抗原と競合する。
【0034】
以下の実施例により、本発明をさらに例示する。
【0035】
(実施例1)
材料と方法
組織ホモジネートの調製
新鮮な異所性および正常の子宮内膜、腹腔内貯留液、および血清を、インフォームドコンセントを行った子宮摘出患者から得た。新鮮な組織(1〜2グラム)に、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Boehringer Mannheim社、インディアナ州インディアナポリス)を含む10mlの氷冷PBSを添加し、調製中全体を通じて4℃に維持した。組織をポリトロンホモジナイザー(Brinkman社製、スイス ルツェルン)で1分間ホモジナイズし、続いて13000gで10分間遠心分離した。上清を回収し、Branson250ソニフィアー(コネチカット州ダンベリー)を使用して、超音波処理した。組織ホモジネートを、0.22mmで濾過し、20℃で保存した。
【0036】
血清の調製
末梢静脈血(60ml)を健常なボランティアから、ガラス製のバキュテイナーチューブ(添加剤なし)に採取し、4時間室温で凝固させた。次いで、血清を滅菌チューブに取り出し、4℃で30分間12000gの遠心分離により脱脂した。
【0037】
組織自己抗原の精製
ホモジナイズ後、組織抗原をプロテインG FPLCカラム(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)に通し、IgGを除去した。プロテインGカラムに保持されなかったタンパク質を、50mMリン酸ナトリウム(pH8.0)で平衡化した陰イオン交換カラム(MonoQ FPLC、Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)にかけた。結合したタンパク質は、0〜0.5M NaClの線形勾配をかけた同一の緩衝液中で、その後1M NaClまでの段階勾配をかけた同一の緩衝液を使用し、カラムから溶出させた。目的のタンパク質は全て1M NaCl勾配の前に溶出した。
【0038】
血清自己抗原の精製
α2−HSGを、上記の組織抗原について記載の陰イオン交換クロマトグラフィーにより、HiPrep16/10QXLカラムを使用して、正常な全ヒト血清から精製した。この部分精製α2−HSGは、いくつかの実験で試験中に示される通りに使用された。さらなる精製を第2の陰イオン交換カラム(MonoQ)にて、20mMピペラジン緩衝液(pH5.0)で平衡化し、上記のNaCl勾配を使用した同一の緩衝液で溶出して行った。最終的なα2−HSGの均一調製物は、FPLCスーパーロース12カラム(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)でのゲル濾過の後に得られた。α2−HSG濃度は、ELISAでモニターした。
【0039】
IgA1は、既に記載されているように、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびジャカリンアガロースアフィニティークロマトグラフィーにより、全血清から精製した(11)。トランスフェリンおよびヘモペキシンは、Zn2+イオンで荷電したキレート化セファロースFast Flow(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を封入したカラムでの金属キレートクロマトグラフィーにより、全血清から精製した。カラムおよび血清は、150mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液で予め平衡化した。亜鉛結合タンパク質は、0〜0.5Mイミダゾール線形勾配をかけた同一の緩衝液を使用し、溶出させた。得られたトランスフェリンおよびヘモペキシン含有画分(ウェスタンブロット分析によって決定)を個別にプールし、上記のMonoQ陰イオン交換カラム上、pH8.0でさらに精製した。本プロトコールによって、電気泳動上純粋なヘモペキシン調製物が得られた。トランスフェリンはしかし、トランスフェリン調製物中のヘモペキシンから分離されなかった。
【0040】
糖タンパク質による炭水化物−エピトープの修飾
末端シアル酸部分を、アガロース結合ノイラミニダーゼでの処理により、糖タンパク質から除去した。0.5ml中1mgのタンパク質を、50mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、4mM塩化カルシウム(pH5.5)中、5ユニットのノイラミニダーゼ(Sigma、セントルイス、ミズーリ州)で、37℃下一晩インキュベートした。4000g5分間の遠心分離によって、アガロースビーズを除去した。上清を取り出し、4℃で保存した。
【0041】
中心の炭水化物基を、エンドグリコシダーゼF(EndoF)およびペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGアーゼF)での処理によって糖タンパク質から除去した。これは、Glyko(カリフォルニア州ノヴァト)からの市販のキットにより得られた。40mgのノイラミニダーゼ処理タンパク質を、20mMリン酸ナトリウムpH7.5、50mM EDTA、0.1%v/vSDS、0.5%b−メルカプトエタノールの存在下、100℃で2分間の加熱によって変性した。PNGアーゼFのSDSによる阻害を防止するため、冷却後に0.1%Tween−20を変性サンプルに添加した。次いで、変性タンパク質を、667脱グリコシル化単位(DGU)のEndo F/PNGアーゼF混合物に、37℃18時間インキュベートした。
【0042】
ジャカリン反応性糖タンパク質のサンプルからの除去は、ジャカリン結合アガロースビーズ(Vector、カリフォルニア州バーリンゲーム)での予備吸着によって達成した。サンプルを、ジャカリン結合アガロースで室温30分間インキュベートし、4000g5分間遠心分離した。上清を除去し、4℃で保存した。
【0043】
抗体および糖タンパク質
ヒツジ抗ヒトα2−HSGおよびヒツジ抗ヒトトランスフェリンの免疫グロブリン画分は、Biodesign International(メイン州ケネバンク)から得た。ヤギ抗ヒトヘモペキシン抗血清は、Kent Laboratories(ワシントン州レドモンド)から得た。HRP結合ウサギ抗ヒツジIgGおよびHRP結合ウサギ抗ヤギIgGは、Jackson Immunoresearch Laboratories(ペンシルベニア州ウェストグローブ)から得た。HRP結合ヤギ抗ヒトIgA(α鎖特異的)およびHRP結合ヤギ抗ヒトIgG(γ鎖特異的)は、(Sigma)から購入した。市販のα2−HSGは、Calbiochem−Novabiochem(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)から得た。
【0044】
SDS−PAGE
SDS−PAGEはLaemmliの方法(12)にしたがって行った。手短に述べると、同体積の2×ゲルローディング緩衝液をタンパク質サンプルに添加し、5分間煮沸する。適切な場合には、タンパク質を還元条件下(ゲルローディング緩衝液中、5%v/vのb−メルカプトエタノール)で溶解した。還元タンパク質の再会合は、煮沸後のヨードアセトアミド(最終濃度60mM)の添加により防止した。タンパク質サンプルは、4%〜15%勾配ゲル(Biorad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して分離した。タンパク質を直接可視可するために、ゲルを7.5%v/v酢酸溶液中の0.02%v/v SYPRO−オレンジ(Biorad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)内に30分間置いた。次いで、ゲルを7.5%酢酸でリンスし、ゲル画像処理装置(Alpha Innotech Corporation、カリフォルニア州サンリアンドロ)上で観察した。
【0045】
免疫ブロット法
Biorad Transblot SDセミドライ・ブロッターを用い、タンパク質をSDSゲルからニトロセルロース膜に転移した。ポンソー・レッド染色で、ニトロセルロース膜へのタンパク質の転移を確認した。膜は、4℃のPBS溶液中5%w/v脱脂粉乳、0.5%Tween−20で一晩ブロックした。一次抗体または血清をブロッキング溶液に添加し、室温で2時間インキュベートした。次いで膜を、1回あたり5分間かけて6回PBS中で洗浄した。HRP結合二次抗体を、PBS溶液中0.05%v/v Tween−20を含む3%w/v脱脂粉乳で希釈した。記載のように5分間6回洗浄する前、膜を室温で2時間インキュベートした。次いで、タンパク質を増強化学発光(ECL)(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)により検出した。必要に応じてニトロセルロース膜を剥離し、100mMグリシン−HCl(pH1.5)中室温で30分間の撹拌の前に、1回あたり5分間、0.9%w/v NaCl中での洗浄を2回行うことによって再プローブした。次いで、膜を、1回あたり5分間、PBS(pH7.4)で3回洗浄した。膜をブロックし、記載のように抗体で探索した。
【0046】
酵素免疫測定法(ELISA)
Falcon Microtest IIIマイクロタイタープレート(Becton Dickinson、カリフォルニア州オックスナード)のウェルを、炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.2)で100μlまで希釈した10μlのタンパク質にて4℃で一晩コーティングした。プレートは0.05%v/v Tween20を含むPBS中で3回洗浄した。ウェルは、3回洗浄の前に、3%w/v BSAのPBS/Tween20(ブロッキング緩衝液)にて37℃で1時間ブロックした。一次抗体または試験血清を、ブロッキング緩衝液で適切に希釈し、100μlを各ウェルに添加した。プレートを37℃で2時間インキュベートし、PBS/Tween−20で3回洗浄した。HRP結合二次抗体をブロッキング緩衝液で希釈し、100μlを各ウェルに添加した。プレートを、次いで3回洗浄した。100mlの比色定量HRP基質であるABTを各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。プレートを405nmについてDynatechプレートリーダー(バージニア州シャンティ)で読み取ったデータをGraphpad Prismソフトウェアを用いて分析した。
【0047】
(実施例2)
異所性子宮内膜、正常子宮内膜、腹腔内貯留液、および血清の自己抗原の同定 可溶性子宮内膜タンパク質の調製物を、「材料と方法」の節に記載の子宮摘出組織から調製し、プロテインGクロマトグラフィーに供してIgGを除去した。得られた無IgG調製物を、陰イオン交換クロマトグラフィーに供した(図1a)。次いで、このカラム由来の画分を、還元条件下でのSDS−PAGEによって分析した(図1b)。同一のゲル上のタンパク質バンドを、ウェスタンブロット分析のためにニトロセルロース膜に転写した。一次抗体供給源としてプールした子宮内膜症患者およびプールした健常男性ドナー由来の血清を使用して、ウェスタンブロットの発色を行った。図1cは、患者(W1345)由来の増殖期の正常子宮内膜中で同定された抗原の典型的な例を示す。健常男性ドナー由来の対照血清(示さず)で探索した同一のブロットと比較して、自己反応性IgGは子宮内膜症患者の血清(図1c)に限定された。
【0048】
対照血清を用いたMonoQカラムの画分24に対してIgGのg鎖結合が検出されたが、他の画分(示さず)では検出されなかった。興味深いことに、画分24に対する類似の反応性は、子宮内膜症血清を使用して発色したブロットには現れなかった。プールした子宮内膜症血清を使用して検出された反応性タンパク質の分子量は、他の研究者達6、10により記述された分子量と十分に相関する。プールした子宮内膜症血清で探索したウェスタンブロットによって、全部で10本の自己反応性バンドが検出された。IgAα鎖特異的およびIgGγ鎖特異的二次抗体の両方を含む画分23で72kDaのバンドが検出された(図1cおよび1d)。このバンドは、分子量およびMonoQカラムから溶出されたNaCl濃度に基づいてトランスフェリンとして最初に同定された(この位置でのトランスフェリンの溶出を、ヒツジ抗トランスフェリン抗体を使用したウェスタンブロット分析によって確認した(示さず))。この画分中にIgGγ鎖特異的抗体を含む54kDaのタンパク質もまた検出されたが、IgAα鎖特異的を含むものは検出されなかった。このタンパク質は、部分的に脱シアリル化されたα2−HSGと同一の位置に溶出される(データ示さず)。α2−HSGは、子宮内膜症患者の自己抗原として以前に同定されている(10)。画分26および29で認められた59kDaのIgG反応性バンドはIgAのα鎖であり、溶出位置は、これらの作動条件では、それぞれ単量体および二量体IgAの既知の溶出位置に対応する。このタンパク質がIgAα鎖であることを、ブロットを剥離して抗α鎖特異的抗体で再探索することによって確認した(示さず)。このブロットはまた、画分23(トランスフェリン含有画分)中の抗α鎖反応性バンドの存在を示した。この画分中のIgA抗原の存在は、おそらく他の血清タンパク質13、14と共有結合的に複合体形成したIgAに由来している。画分26はまた、72kDaに反応性バンドを含み、画分28および29は、69kDaのバンドを有していた。これら後者のバンドは、α鎖特異的ブロットに対する活性を示さなかった。IgAのα鎖を認識する子宮内膜症患者のIgG抗体の存在を、高度に精製した血清IgA1を使用したウェスタンブロットによって確認した(図7を参照のこと)。それに対して、これらの画分以外のIgAα鎖を含む子宮内膜抗原に対するIgA自己抗体は認められなかった。
【0049】
同一の患者(W1345)由来の卵巣異所性子宮内膜サンプルは、分子量54、47、43、および34kDaの自己抗原タンパク質を有していた(示さず)。54kDaのタンパク質は、ヒツジ抗α2−HSG特異的抗体で発色させたウェスタンブロットにより、α2−HSGであると判定された。α2−HSGはまた、ウェスタンブロットによって異なる患者(W1517)由来の腹腔洗浄液中で検出された。54kDaの抗原に加えて、186、126、68、43、37、および34kDaの抗原が、腹腔内貯留液中に存在していた(図2)。
【0050】
プールした患者および各血清を用いて、2つの分子量マーカーとの反応性が認められた(図1cおよび図3を参照のこと)。これらのマーカーは、205kDのミオシンおよび42kDの炭酸脱水酵素IIであった。プールした男性対照およびいくつかの各男性血清の両方を用いたミオシンバンドとの反応性もまた認められた。それに対して、脱水素酵素IIとの反応性は子宮内膜症血清に特異的であり、このタンパク質は他の研究者によって子宮内膜症における自己抗原7、8と報告されている。
【0051】
要約すれば、正常および異所性子宮内膜ならびに腹腔内貯留液由来の調製物中の自己抗原を同定した。以前に公開された報告と一致して、α2−HSG、トランスフェリンおよび炭酸脱水酵素IIは、子宮内膜症患者由来の血清によって認識される自己抗原である。さらに、本明細書中に示した結果は、IgAのα鎖はまた、同一の血清によって認識される自己抗原であることを示す。これらのタンパク質がタンパク質レベルで有意な相同性を示さないので、4つ全てのタンパク質は共通のペプチド・エピトープを共有する可能性は少ない。しかし、4つのタンパク質のうち3つ(α2−HSG、IgAlのα鎖、およびおそらく炭酸脱水酵素II)が共通の炭水化物エピトープを共有する。このO結合炭水化物構造は、ジャックフルーツ(Artocarpus integrifolia)のレクチン、ジャカリンによって認識されるGalβ1−3NAcGalエピトープを含む。本明細書中に示した結果は、α2−HSGおよびカルビニック脱水素酵素が、子宮内膜症血清中に存在する自己抗体によって認識される自己抗原であるという以前の報告を確認するものである。本発明の研究は、これらの結果を拡大して、IgAおよびヘモペキシンもまた子宮内膜症患者由来の血清によって認識される自己抗原であることを示している。
【0052】
(実施例3)
ジャカリン予備吸着により、自己抗体結合が排除される。
【0053】
α2−ヘーレマンス・シュミット糖タンパク質(α2−HSG)を、子宮内膜症反応におけるジャカリン反応性炭水化物の潜在的役割を調査するためのモデル抗原として選択した。市販のα2−HSGを使用した最初の実験は、不満足な証明となった。これは、これらの調製物中にある糖形態が多様なためだった。ほとんどのシアリル化された糖タンパク質と共通して、α2−HSGは保存中に末端のシアル酸残基を喪失する。正常なヒト血清由来の完全にシアリル化されたα2−HSGを、新たに調製した。その炭水化物含有量についての調製の偏りを避けるため、レクチンベースの親和性精製プロトコールを避け、代わりに陰イオン交換クロマトグラフィーとゲル濾過クロマトグラフィーとの組み合わせを使用した。pH8.0でのMonoQカラム上での陰イオン交換、続いてpH5.0での第2のMonoQカラム、そして最後にスーパーロース12カラムによるゲル濾過段階からなる3段階の処理により、分子量58kDaの完全にシアリル化された糖形態のα2−HSGが精製された。
【0054】
第1の陰イオン交換カラム由来の部分精製α2−HSG画分を使用して実験を行った場合、ウェスタンブロットによる子宮内膜症血清との自己反応性はジャカリンアガロースでの予備インキュベーション後に消滅した(図3)。SYPROオレンジ染色SDS−PAGEゲルにおいて14本のタンパク質バンドが認められた(図3、レーンa)。子宮内膜症血清との反応性は、5つのタンパク質で認められた(図3、レーンb)。反応性タンパク質は、約230、188、168、120、および58kDaの分子量を有しており、58kDaのものはα2−HSGであった。これら5本のバンド全ての子宮内膜症血清におけるIgGによる結合は、ジャカリンアガロースとのインキュベーション後に消滅し(図3、レーンd)、これは、自己抗体の結合は画分中に存在する全てのジャカリン結合タンパク質に対してであって、ただα2−HSGに対してだけでないことを示す。吸着前および後の、画分13のゲルのタンパク質染色は、活性の喪失が画分中のタンパク質の非特異的喪失によって引き起こされたのではないことを示す。吸着および非吸着タンパク質の濃度は、ウェスタンブロット法に使用するゲル上に添加する総タンパク質量が均一となるように調整した。
【0055】
ジャカリンによって認識される炭水化物構造は非常に特異的であり、結合はTfの存在に依存する。ジャカリンは、いくつかのO結合少糖類の内に存在する二糖類Galβ1−3GalNAcを認識する。Galβ1−3GalNAcは、多数の血漿タンパク質のうち非常に限られたいくつかによって発現する。これらのタンパク質には、IgA1、IgD、C1阻害剤、ヘモペキシン、プラスミノゲン、α1−抗トリプシン、α2−マクログルブリン、8S−α3糖タンパク質、絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、およびα2−HSGが含まれる(15)。hCGに関して、hCGの受容体がTf様抗原も発現すること、随伴性の子宮内膜症を罹患しているか、罹患していないか、いずれもの不妊症患者で見出された自己抗体が受容体に結合すること5は興味深い。
【0056】
(実施例4)
炭水化物の除去による自己抗体結合の停止。
【0057】
ジャカリンによる自己抗体によって認識されるタンパク質の除去は、それ自体に共通の炭水化物エピトープ(群)が含まれるかどうかは決定できない。炭水化物が子宮内膜症の自己抗体によるα2−HSGの認識に不可欠であるかどうかを判定するために、脱グリコシル化α2−HSGとの反応性を調査した。α2−HSG炭水化物は、2段階の処理で除去された。第一段階では、ノイラミニダーゼを使用して、末端シアル酸を切断した。第二段階は、EndoF/PNGアーゼ消化工程を更に使用して、炭水化物を完全に除去した。未処理、ノイラミニダーゼ処理、および脱グリコシル化α2−HSGを、等量のタンパク質をロードするウェスタンブロット分析に供した(図4)。シアル酸および全ての炭水化物の除去を、ヒツジ抗α2−HSGとの反応性で示される分子量の減少によって確認した(図4、レーンA〜C)。
【0058】
ヒツジ抗α2−HSG抗体は、ペプチドに反応性を示し、二重免疫拡散法によるジャカリン結合タンパク質との反応性を示さない(データ示さず)。ノイラミニダーゼでの末端シアル酸の除去により、患者の血清との反応性は減少した(図4、レーンDおよびE)。この画分に残存する反応性は未消化α2−HSGと同一の分子量においてで、これは自己抗体結合が末端シアル酸の存在に依存することを示している。ノイラミニダーゼ処理とその後に続くEndoF/PNGアーゼ消化による炭水化物の完全な除去で、反応性は完全に消滅した(図4、レーンF)。類似の部分精製α2−HSG処理により、5つ全ての反応性タンパク質への結合が減少するので、ノイラミニダーゼ後の自己抗体結合のこの減少はα2−HSGに制限されない(図3、レーンc)。
【0059】
【表1】
これらの結果は(トランスフェリンを除いて)、通常の炭水化物エピトープがα2−HSG、炭酸脱水酵素、ヘモペキシン、およびIgA1のa鎖に認識されることを示している(本研究、および公開された研究において同定された抗原、ならびにそれらのジャカリン反応性の要約は、表1を参照のこと)。全ての同定した抗原(トランスフェリンおよび炭酸脱水酵素IIを除く)がレクチンジャカリンに結合することが知られていることと、抗原からの炭水化物の除去により子宮内膜症血清のこれらの抗原への結合能力が失われることに基づいてこの結論に至った。
【0060】
(実施例5)
ウシフェチュインへの自己抗体の結合
ヒトα2−HSGのホモログであるウシフェチュインは、ヒトα2−HSGと同一のジャカリン結合炭水化物部分を有する。ヒトSGペプチドに対して惹起したヒツジ抗血清は、ウシフェチュインと交差反応を示さず、このことから、かなりの配列相同性にも関わらず2種の間の抗原性が有意に異なると示唆される。ELISAおよびウシフェチュインでのウェスタンブロットによれば、子宮内膜症患者由来の血清は正の反応性を示す(図5)。フェチュインのノイラミニダーゼ処理は、−HSGと対照的に、ELISAでの自己抗体反応性をわずかに増加させた(図5)。しかし、ウシフェチュインのより完全な脱シアリル化または完全な脱グリコシル化により、抗体結合は消滅し、これにより子宮内膜症患者の自己抗体反応は炭水化物依存性であるというさらなる証拠が得られた(示さず)。完全なノイラミニダーゼ処理後のフェチュインへの結合の増加は、ウシフェチュインがそのヒト対応物に比べより強くシアリル化されることに起因しうる。
【0061】
(実施例6)
自己抗体結合のD−ガラクトース依存性。
【0062】
ジャカリン結合は、Galb1−3NacGal成分の存在に依存する。もし自己抗体反応がこのエピトープを含んでいたら、ジャカリン結合の場合と同様に、結合はD−ガラクトースによって競合的に阻害されるはずである。ウェスタンブロットでのa2−HSGへの子宮内膜症IgGの結合は、0.8M D−ガラクトースの存在下で完全に消滅し、これはD−ガラクトースが、自己抗体によって認識されるエピトープの一部を形成しうることを示している(示さず)。
【0063】
(実施例7)
子宮内膜症血清により認識される血清自己抗原は、同じエピトープを共有する。
【0064】
同一の炭水化物エピトープが上記で同定された異種抗原との自己反応性の原因となるため、ここで自己抗体結合は、過剰な異種の抗原の存在下では遮断されるはずである。このことは以下の例で証明された:10倍過剰の高度に精製されたa2−HSGまたはウシフェチュインの添加は、どちらも自己抗体の炭酸脱水酵素IIおよび72kDaの抗原への結合を阻害した(図6)。
【0065】
子宮内膜症の72kDa自己抗原は、トランスフェリンよりもむしろヘモペキシンであろうか? これまでに記載の抗原のうち、トランスフェリンを除く全てが、ジャカリンによって認識された。このような炭水化物構造はトランスフェリン上には発現せず、ジャカリンはトランスフェリンと結合しない15。このことから、以下の3つの可能性が残る:ジャカリン炭水化物反応とは別個の抗トランスフェリン反応が子宮内膜症血清に存在するか、またはトランスフェリンで精製する反応性がトランスフェリン調製物中の夾雑物に対するものであるか、またはその両方かである。正常子宮内膜W1345の陰イオン交換画分中には、〜70kDaの2つの反応性タンパク質が見出された。一方は、塩勾配の早い箇所でトランスフェリンと同一の画分中に溶出した。他方のタンパク質はより高い塩濃度で、IgAと同一の画分中に溶出された。スイス2Dデータベースを調査した結果、類似の分子量および等電点のジャカリン結合タンパク質がヘモペキシンを含むことを示した。ヘモペキシンをZn2+金属キレ−トクロマトグラフィー、および陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製した場合に、均質な調整物が得られた。ヘモペキシン特異的抗体を含む画分のウェスタンブロット法により、同一性を確認した。子宮内膜症患者の血清に対して試験したところ、このタンパク質は自己抗原として認識された(図7)。トランスフェリンに対し特異的な抗体での同じタンパク質のウェスタンブロット分析は、精製ヘモペキシンとの反応性を示されなかった。同一のカラム由来の画分をトランスフェリン反応性について調査したところ、陰イオン交換カラム由来のより早期のピークがトランスフェリンを含むことがわかった。抗ヘモペキシンでのトランスフェリン含有画分のウェスタンブロット分析により、SDS−PAGEでの移動度がトランスフェリンと類似のヘモペキシンの存在が明らかになった。二重免疫拡散法で抗ヘモペキシンおよび抗トランスフェリンがトランスフェリンのピーク画分に対して沈降反応させた場合に一致線は示されず、これは、抗血清が抗原特異的であることを表している(示さず)。このトランスフェリン調製物中のジャカリン結合活性の存在を、ジャカリンに対する二重免疫拡散法での沈降線の存在によって確認した(示さず)。トランスフェリンで共精製される抗原の性質を決定するため、さらなる実験が現在進行中であるが、しかし72kDa結合活性が純粋なa2−HSG調製物の添加により阻害されることは興味深いことである(図6)。
【0066】
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1aは子宮内膜症患者由来のホモジナイズした正常子宮内膜のMonoQ陰イオン交換クロマトグラフィーを示す溶出プロフィールである。ホモジネートをプロテインGカラムを通過させてIgGを除去後、MonoQカラムに添加した。塩勾配開始前の最初のピークは、複数の1mlのホモジネートのロードを示す。溶出条件:50mM Tris/HCl(pH8.0)。同一の緩衝液中で、0〜0.5NaClの線形勾配(1M NaClを終点とする)で溶出を行い、これは破線で示した。ゲルローディングに対応する画分(図1b〜d)をグラフの上部に示す。
図1bは、図1aに示される選択されたカラム画分の5〜15%勾配ゲルを還元条件下で泳動しSYPROオレンジで染色した結果を示す図である。
図1cはプールした子宮内膜症の血清中に存在するIgGによって認識されるホモジネート画分中のタンパク質を示すオートラジオグラフィーを示す図である。プールした正常な男性血清を使用した同一のブロットの剥離および再探索によっても、同一のバンドとの反応性を示さなかった。IgG結合活性は対照血清を使用した画分24中で検出されたが、子宮内膜症の血清を使用した場合は類似の結合は認められなかった。45.2kDaの分子量マーカーである炭酸脱水酵素IIは反応性を示す。この同一の反応性は、対照血清では認められなかった。
図1dは子宮内膜症の血清のIgA結合活性を示すオートラジオグラフィーを示す図である。一次血清不在での抗IgA a鎖特異的抗体でのブロットの探索により、これらの画分中にIgAが存在することが示された。
【図2】
図2は、還元およびアルキル化条件下、5〜15%SDS−PAGEゲル上で流した腹水(W1517)のウェスタンブロットを示す図である。次いで、ウェスタンブロットを、ヒツジ抗ヒトα2−HSG、これに続いてHRP−ヤギ抗ヒツジ(レーンa)で、または子宮内膜症の血清を1:100希釈したもので、これに続いてHRP−ヤギIgG g鎖特異的抗体(1:1000希釈)で、のいずれかでインキュベートした。レーンaのα2−HSG、およびレーンbの同分子量のバンドがはっきりと認められる。
【図3】
図3aはα2−HSGの部分精製画分(MonoQカラム、pH8.0)を示すSDS−PAGEゲルである。SYPROオレンジでの染色後に14本のタンパク質バンドが認められる。
図3bはα2−HSGの部分精製画分を泳動し、子宮内膜症血清HRPヤギ抗ヒトIgG抗体で探索した、ゲルのウェスタンブロットである。5本のタンパク質バンドが検出された。
図3cは、タンパク質画分を電気泳動前にノイラミニダーゼで処理したこと以外は図3bに記載通りのウェスタンブロットである。タンパク質全体に結合する抗体が、明白に減少している。
図3dは、α2−HSG画分を電気泳動前にジャカリンアガロースで予備吸着させること以外は図3bに記載通りのウェスタンブロットである。抗体結合が全部除去されている。
図3eは、分子量マーカーの存在下での、ミオシンおよび炭酸脱水酵素IIとの自己反応性を示す。
【図4】
図4はα2−HSGの部分精製画分を泳動し、子宮内膜症血清HRPヤギ抗ヒトIgG抗体で探索したゲルのウェスタンブロットを示し、これはα2−HSGの脱グリコシル化が自己抗体結合を消失させることを表している。シアル酸の末端の切断にはノイラミニダーゼを使用した(レーンB、E、H)。次いで、EndoF/PNGアーゼ消化を使用して、炭水化物を完全に除去した(レーンC、F、H)。シアル酸および全炭水化物の除去は、ヤギ抗α2−HSGとの反応性によって示される分子量の減少によって確認した(レーンA〜C)。レーンA、D、およびGは未処理であった。ノイラミニダーゼでの末端シアル酸の除去により、患者の血清との反応性が減少した(レーンD対E)。この画分の残存する反応性は、未消化α2−HSGと同一の分子量であり、これは、自己抗体結合が末端シアル酸の存在に依存することを示す。ノイラミニダーゼ処理後のEndoF/PNGアーゼ消化による炭水化物の完全な除去により、反応性が完全に消失した(レーンF)。プールした男性対照血清の使用では、同等の反応性は認められなかった(レーンG〜I)。
【図5】
図5aは、ウシフェチュインの脱シアリル化が子宮内膜症の血清との反応性を増加させることを表している。ELISAで測定したところ、ノイラミニダーゼでの処理後に、わずかだが有意な結合の増加が認められる。
図5bはノイラミニダーゼ処理後のフェチュインでの分子量減少を示すSYPROオレンジ染色ゲルを示す。レーンAは未処理である;レーンBはノイラミニダーゼ処理である。
【図6】
図6はどちらも、72kDa抗原および炭酸脱水酵素IIへの結合がα2−HSGの存在下で阻害されたことを表す、グラフおよびラジオオートグラフィーである。
【図7】
図7は還元およびアルキル化泳動した5〜15%勾配ゲルからニトロセルロースに転写した後の、精製タンパク質のウェスタンブロット分析である。精製ヘモペキシン(レーンA)、α2−HSG(レーンB)、および血清IgA1(レーンC)は、子宮内膜症血清中のIgG抗体によって認識される自己抗原である。
(発明の背景)
子宮内膜症は、子宮外(異所性)部位での子宮内膜細胞の成長によって特徴付けられる、珍らしくない疾患である。これは、生殖年齢の女性の10%が罹患し得る、通常の疾患である(1)。子宮内膜症の病因が謎であるにもかかわらず、明らかに細胞性および体液性免疫機能の変化が発症した疾患の特徴である(2〜4)。
【0002】
子宮内膜抗原に対する自己抗体および補体成分の沈積が多数の研究に記載されており((2)に概説)、多数の血清、腹腔内貯留液、および子宮内膜抗原が記載されている。おそらく、これまでのところ記載された最良に特徴付けられた組織抗原は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン受容体(5)および炭酸脱水酵素6−8のイソ型IおよびIIである。トランスフェリンおよびα2−ヘーレマンス・シュミット糖タンパク質(α2−HSG)に対する抗体もまた記載されており、診断マーカー9、10として提案されている。子宮内膜症、生殖疾患、および他の自己免疫疾患におけるこれら抗体の発現率の測定に関して多数の研究が行われてきたが、関連するエピトープの性質についてはほとんど注目されていなかった。同定された抗原は、全て糖タンパク質である。たった1つの明白な例外(5)を除いて、これらのタンパク質上の炭水化物抗原は評価されていなかった。
【0003】
本発明によれば、驚いたことに、共通の炭水化物部分が異なる上記の子宮内膜抗原上に存在することが見出された。共通の炭水化物部分は、Tf抗原またはTf様抗原とも呼ばれているトムセン−フリーデンライヒ関連抗原、Galβ1−3GalNAcである。本明細書中では、「Tf様抗原」は、Tf抗原をも含むものとする。Tf抗原はシアル酸によってマスクされた、潜在性二糖類構造である。シアル酸部分は、ノイラミニダーゼなどのシアリダーゼによって除去することができる。Tf抗原は、ヒト赤血球上に存在し、上皮組織中の腫瘍関連抗原である。
【0004】
本発明は、Tf様抗原との自己抗体反応性に基づいた診断法を提供する。本診断法は、患者の子宮内膜症の存在判定の一助となり、現在の侵入性の診断法よりも改善されている。
【0005】
(発明の要約)
本発明は、患者の子宮内膜症の診断法を提供する。本発明の1つの実施形態では、患者の子宮内膜症の診断法は、
(a)前記患者から血清サンプルを得て、
(b)前記血清サンプルとトムセン−フリーデンライヒ(Tf)様抗原をインキュベートし、
(c)前記サンプル中のTf様抗原との自己抗原反応性を検出し、
(d)前記血清サンプル中のTf様抗原に対する自己抗原反応性レベルの増加を前記患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0006】
抗体反応性は免疫測定アッセイまたは競合アッセイなどの免疫アッセイによって判定することができる。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、免疫測定アッセイは、
(a)固体支持体上のTf様抗原を固定化し、
(b)患者由来の血清サンプルの一定量を前記固体支持体に結合させたTf様抗原に添加し、インキュベートし、
(c)前記固体支持体に標識抗ヒト免疫グロブリンを添加し、ここで前記抗ヒト免疫グロブリンはシグナル発生系の一部であり、
(d)結合抗体から遊離の標識抗体を分離し、
(e)前記固体支持体を含む溶液によって発生したシグナルを測定し、
(f)シグナル強度の増加を患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態では、競合免疫アッセイは、
(a)一定量のTf様抗原に結合した標識抗体と異なる濃度の患者由来の血清サンプルとのインキュベーションによって反応混合物を調製し、ここで前記標識抗体はシグナル発生系の一部であり、
(b)遊離自己抗体から結合標識抗体を分離し、
(c)前記反応混合物中の標識抗体によって発生したシグナルを測定し、
(d)患者由来の血清サンプルの添加後のシグナル強度の減少を患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態では、競合免疫アッセイは、
(a)Tf様抗原に結合した第1の抗体と、異なる濃度の患者由来の血清サンプルとのインキュベーションによって反応混合物を調製し、
(b)前記反応混合物に一定量の第二の抗体を添加し、ここで前記第二の抗体は前記第1の抗体の重鎖の定常領域を認識し、前記第二の抗体は標識化されており、且つシグナル発生系の一部であり、
(c)結合抗体から遊離の標識第二抗体を分離し、
(d)前記反応混合物中の前記第二抗体によって発生したシグナルを測定し、
(e)シグナル強度レベルの減少を患者の子宮内膜症診断に相関させる、という諸段階を含む。
【0010】
抗体が酵素標識されている場合には、追加の段階として酵素標識抗体と反応する固体支持体に基質を添加しさらにインキュベーションを行う段階を、発生したシグナルの測定前に追加する。
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は、患者の子宮内膜症を検出するための診断法を提供する。本診断法は、トムセン−フリーデンライヒ(Tf)抗原(Tf様抗原をも含む)と反応する患者の血清中の自己抗体の存在を検出する免疫学的検定法に基づく。本明細書中では、「Tf様抗原」は、Tf抗原をも含むものとする。Tf様抗原に結合する自己抗体の正常な血清レベルと比較する場合、Tf様抗原に結合する血清サンプル中の自己抗体レベルの増加は、患者の子宮内膜症の診断と相関する。
【0012】
血液サンプルは、静脈穿刺または他の適切な手段によって、都合よく採取することができる。血清サンプルは、周知の方法を使用して血液サンプルから調製することができる。
【0013】
本発明の方法に使用することができる多数の異なる型の免疫アッセイが存在する。周知の免疫アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、蛍光免疫吸着アッセイ(FIA)、化学結合免疫吸着アッセイ(CLIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、および免疫ブロット法など)を、Tf様抗原と反応する血清サンプル中の自己抗体レベルの検出に適応させることができる。使用することができる異なる免疫アッセイの概説については、「免疫アッセイハンドブック」、David Wild編、Stockton Press、New York、1994を参照のこと。好ましくは、固相分離を使用する競合免疫アッセイまたは抗体試験用の免疫測定アッセイを使用する。「免疫アッセイハンドブック」、第2章を参照のこと。
【0014】
典型的なアッセイでは、試薬には、患者由来の血清サンプル、検出すべき自己抗体(血清サンプル中に含まれる)、Tf様抗原、および検出可能なシグナル発生手段が含まれる。
【0015】
したがって、本発明の1つの実施形態では、患者の子宮内膜症の診断法は、抗体試験のための免疫測定アッセイを使用する。この実施形態では、Tf様抗原を、ビーズ、プレート、スライド、またはマイクロタイター皿などの固体支持体または表面に固定する。患者由来の血清サンプルの一定量を固体支持体に添加し、液相中でTf様抗原とインキュベートする。Tf様抗原に反応する血清中に存在するヒト自己抗体中の定常領域を認識する抗体を添加する。この抗体は、抗ヒト免疫グロブリンであり、シグナル発生系の一部でもある。IgA、IgG、またはIgM重鎖定常領域に特異的な抗ヒト免疫グロブリンを使用することができる。液相からの固体支持体の分離後、支持相を検出可能なシグナルの有無を試験する。固体支持体上のシグナルの存在は、血清サンプル中に存在するTf様抗原に対する自己抗体が固体支持体上のTf様抗原に結合したことを示す。
【0016】
シグナル発生系は、1つまたは複数の成分からなり、その少なくとも1つの成分は標識であり、この標識は、結合および/または非結合標識の量、すなわちTf様抗原に結合または非結合している標識の量をあらわす検出可能なシグナルを発生する。標識は、シグナルを発生するか、誘発されてシグナルを発生できる分子である。標識の例には、蛍光発生物質、酵素、化学発光物質、光増感物質、または懸濁可能な粒子が含まれる。シグナルは、酵素活性、発光、または光吸収によって検出し、またこれによって測定することもできる。放射標識もまた使用することができ、シンチレーションカウンターを使用して放射能レベルを検出および測定をすることができる。
【0017】
抗ヒト免疫グロブリンの標識に使用することができる酵素の例には、β−D−ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびグルコース−6−リン酸脱水素酵素(「G6PDH」)が含まれる。抗ヒト免疫グロブリンの標識に使用することができる蛍光物質の例には、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン化合物、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、およびフルオレスカミンが含まれる。化学発光物質には、例えば、イソルミノールが含まれる。
【0018】
遊離標識抗体を結合抗体から分離し、必要ならば、標識(例えば酵素)が反応する適切な基質を添加して、インキュベートする。
【0019】
好ましい実施形態では、抗ヒト免疫グロブリンは、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼのいずれかで標識した酵素である。
【0020】
反応の際に現れる色彩、蛍光、発光、または放射能の量(使用したシグナル発生系に依存する)は、Tf様抗原と反応する患者の血清中の自己抗体の量に比例する。光学密度の定量化は、分光光度法を使用して行うことができる。放射標識シグナルの定量化は、シンチレーション計数法によって行いうる。
【0021】
正常な血清レベルを超えるTf様抗原に反応する自己抗体レベルの増加は、患者の子宮内膜症診断に相関する。
【0022】
本発明の別の実施形態では、患者の子宮内膜症の診断法は、既知の抗体と患者の自己抗体とがTf結合を競合する、競合免疫アッセイを使用する。この実施形態では、Tf様抗原に結合することが知られている一定量の標識抗体を、異なる濃度の患者由来の血清サンプルとインキュベートする。例えば、Tfに結合することが公知のマウスモノクローナル抗体49H.8(Rahman and Longenecker、1982、J.Immun.,129(5):2021〜4)を使用しうる。Tf様抗原に結合し、競合免疫アッセイに使用することができる他のモノクローナル抗体には、155H7および170H82(Longenecker等、1987、J.Nat.Cancer Inst.,78(3):489〜96)、A78−G/A7(Karsten等、1995、Hybridoma,14(1):37〜44)、HB−T1(DAKO Co.)、RS1−114およびAHB−25B(Stein等、1989、Cancer Res.,49(1):32〜7)、HT8(Metcalfe等、1984、Br.J.Cancer,49(3):337〜42)、161H4(Longenecker等、1987)、HH8(Clausen等、1988)、ならびにBW835(Hanish等、1995、Cancer Res.,55(18):4036〜40)が含まれる。上記のように、抗体を、蛍光発生物質、酵素、化学発光物質、光増感物質、懸濁可能な粒子、または放射性同位元素で標識することができる。好ましくは、公知の抗体は酵素標識されている。インキュベーション後、結合した標識抗体を、遊離の自己抗体から分離する。使用するシグナル発生系によっては、必要ならば、標識抗体と反応する適切な基質を添加してインキュベートする。次いで、サンプルが発生したシグナルを測定する。血清サンプルの添加前と添加後、または実験サンプルと対照サンプルとの間の添加による、光学密度または放射能の減少は、血清サンプル中の自己抗体がTfに結合したことを示す。健常者由来の実験血清サンプルと比較した場合の光学密度または放射標識シグナルの減少は、患者の子宮内膜症診断に相関する。
【0023】
競合免疫アッセイの好ましい実施形態では、2つの抗体を使用する間接的方法を使用する。第1の抗体は、標識されていないこと以外は、上の段落に記載のTf様抗原特異的抗体である。第1の抗体を、種々異なる濃度の患者由来の血清サンプルとインキュベートする。一定量の第2の抗体を次にサンプルに添加する。第2の抗体は、第1の抗体の重鎖の定常領域を認識する。例えば、第2の抗体は、Tf様抗原に反応するマウス免疫グロブリン(抗マウス免疫グロブリン)の重鎖の定常領域を認識する抗体であり得る。第2の抗体を、上記の蛍光標識体、化学発光体、または放射性同位元素で標識する。遊離の第2の抗体を、結合抗体から分離する。酵素標識抗体を使用する場合、酵素標識に反応する適切な基質を添加してインキュベートする。血清サンプルの添加前と添加後、または添加による実験サンプルを対照サンプルと比較しての、光学密度または放射能の減少は、血清サンプル中の自己抗体がTfに結合したことを示す。健常者由来の実験血清サンプルと比較した場合の光学密度または放射能の減少は、患者の子宮内膜症診断に相関する。
【0024】
周知の方法を使用した本発明の方法のために、酵素をTf様抗原反応性抗体に共有結合することができる。多数の周知の結合法が存在する。例えば、グルタルアルデヒドを使用して、アルカリホスファターゼおよびホースラディッシュ・ペルオキシダーゼを抗体に結合させることができる。ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼを、過ヨウ素酸塩を使用して結合させることもできる。酵素結合抗体用の市販のキットも広範に販売されている。酵素結合抗ヒトおよび抗マウス免疫グロブリン特異的抗体は、複数の販売者から市販されている。
【0025】
酵素結合抗体の代わりに、ビオチン標識抗体を使用することができる。このような場合、市販のストレプトアビジン−ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ検出システムを使用して、結合抗体を検出する。
【0026】
酵素標識抗体は、基質の種類によってそれぞれ異なるシグナル発生源をつくる。シグナル発生には、反応混合物への基質の添加を行う。通常のペルオキシダーゼ基質としては、ABTS(登録商標)(2,2’−アジノビス(エチルベンゾチアゾリン−6−スルホナート))、OPD(O−フェニレンジアミン)およびTMB(3,3’、5,5’−テトラメチルベンジジン)が含められる。これらの基質は、過酸化水素の存在が必要である。p−ニトロフェニルホスフェートは、普通に使用されるアルカリホスファターゼ基質である。インキュベーション中、酵素は基質の一部を徐々にその最終生成物に変化させる。インキュベーション後、酵素活性を停止させる停止試薬が添加される。シグナル強度は、通常分光光度計を使用して光学密度の測定によって決定される。
【0027】
アルカリホスファターゼ標識抗体は、蛍光測定法によっても測定することができる。したがって、本発明の免疫アッセイでは、基質4−メチルウンベリフェリルホスフェート(4−UMP)を使用することができる。4−UMPはアルカリホスファターゼによる脱リン酸化により、4−メチルウンベリフェロン(4−MU)という蛍光標識体が形成される。入射光は365nmであり、放射光は448nmである。
【0028】
本発明の方法で使用するために、Tf様抗原を、種々の供給源から得ることができる。例えばTf様抗原は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能な腺癌細胞株LS174Tなどの腫瘍細胞株の培養に使用した、馴化培養培地から精製することができる。移行性上皮癌株細胞もまた、Tf様抗原の供給源としての機能を果たしうる。Tf様抗原は、MAb49H.8−CnBr活性化セファロースカラムを使用したアフィニティークロマトグラフィーによって、このような馴化培養培地から精製することができる。それ以上に精製するにはゲル濾過を使用することもできる。Tf様抗原をまたそれ以上に精製するには不溶化落花生凝集素(PNA)またはその他のレクチンを使用したレクチンアフィニティークロマトグラフィーを使用することができる。PNAは、カリフォルニア州サンマテオのE−Y Laboratoriesから入手することができる。
【0029】
IgA、ヘモペキシン、およびα−2−ヘーレマンス・シュミットなどのTf様抗原を含む精製血清タンパク質もまた、抗原として使用することができる。Tf様抗原の好ましい供給源は、ウシ血清アルブミンと共有結合した市販の合成Tf様抗原である。最近Dahlenborg等による、1997、In.J.Cancer 70:63〜71に記載のように、BioCarbなどのTf様抗原およびその糖形態が市販されている。あるいはTf様抗原は、市販業者からカスタム合成によって得ることができる。Tf様抗原と反応するモノクローナル抗体を容易に利用することができる。
【0030】
MAb49.H(イソ型IgM)を、Rahman等、(1982)J.Immunol.,129:2021〜2024およびLongenecker等、(1984)Int.J.Cancer 33:123〜129によって報告されているように、調製および精製することができる。これらの論文および本出願で引用した他の論文の開示は、それらが全文提示されていると同様にみなして本明細書中の一部とみなすべきである。
【0031】
本発明の方法を実施するために、関連する免疫アッセイを標準化しなければならない。Tf様抗原は通常、糖タンパク質と会合しているので、天然では不均一である。このような不均一性の原因としては、シアリル化を含み得る。このために、1アンプルの国際標準(IS)または国際基準調製(IRP)を得るべきである。国立生物学的製剤研究所(NIBSC、Blanche Lane、South Mimmus、Potters Bar、Herts EN63QG)は、このようなTf様抗原のサンプルを調製し、その国際単位(IU)を指定することができる。また今後の多数のキャリブレータに標準値を与えるために、複数の二次標準のセットも調製しなければならない。
【0032】
本発明の免疫アッセイは、未知のサンプルに数値または濃度を指定するためのキャリブレータの使用を必要とする。通常は未知のサンプルをプロットする前に、約6つのキャリブレータの組をプロットして、検量線を作成する。未知サンプルの濃度は補間法により決定する。最良の方法としてはコンピュータプログラムによる補間を行う。較正に関する考察については、「免疫アッセイハンドブック」、第2章を参照のこと。
【0033】
本発明はまた、患者の子宮内膜症を緩和、予防、および/または回復させるための治療を提供する。本発明のこの実施形態では、Tf様抗原またはそのアナログを患者に注射する。注射したTf様抗原またはそのアナログは、自己抗体結合で、子宮内膜症患者に存在するTf様抗原と競合する。
【0034】
以下の実施例により、本発明をさらに例示する。
【0035】
(実施例1)
材料と方法
組織ホモジネートの調製
新鮮な異所性および正常の子宮内膜、腹腔内貯留液、および血清を、インフォームドコンセントを行った子宮摘出患者から得た。新鮮な組織(1〜2グラム)に、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Boehringer Mannheim社、インディアナ州インディアナポリス)を含む10mlの氷冷PBSを添加し、調製中全体を通じて4℃に維持した。組織をポリトロンホモジナイザー(Brinkman社製、スイス ルツェルン)で1分間ホモジナイズし、続いて13000gで10分間遠心分離した。上清を回収し、Branson250ソニフィアー(コネチカット州ダンベリー)を使用して、超音波処理した。組織ホモジネートを、0.22mmで濾過し、20℃で保存した。
【0036】
血清の調製
末梢静脈血(60ml)を健常なボランティアから、ガラス製のバキュテイナーチューブ(添加剤なし)に採取し、4時間室温で凝固させた。次いで、血清を滅菌チューブに取り出し、4℃で30分間12000gの遠心分離により脱脂した。
【0037】
組織自己抗原の精製
ホモジナイズ後、組織抗原をプロテインG FPLCカラム(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)に通し、IgGを除去した。プロテインGカラムに保持されなかったタンパク質を、50mMリン酸ナトリウム(pH8.0)で平衡化した陰イオン交換カラム(MonoQ FPLC、Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)にかけた。結合したタンパク質は、0〜0.5M NaClの線形勾配をかけた同一の緩衝液中で、その後1M NaClまでの段階勾配をかけた同一の緩衝液を使用し、カラムから溶出させた。目的のタンパク質は全て1M NaCl勾配の前に溶出した。
【0038】
血清自己抗原の精製
α2−HSGを、上記の組織抗原について記載の陰イオン交換クロマトグラフィーにより、HiPrep16/10QXLカラムを使用して、正常な全ヒト血清から精製した。この部分精製α2−HSGは、いくつかの実験で試験中に示される通りに使用された。さらなる精製を第2の陰イオン交換カラム(MonoQ)にて、20mMピペラジン緩衝液(pH5.0)で平衡化し、上記のNaCl勾配を使用した同一の緩衝液で溶出して行った。最終的なα2−HSGの均一調製物は、FPLCスーパーロース12カラム(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)でのゲル濾過の後に得られた。α2−HSG濃度は、ELISAでモニターした。
【0039】
IgA1は、既に記載されているように、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびジャカリンアガロースアフィニティークロマトグラフィーにより、全血清から精製した(11)。トランスフェリンおよびヘモペキシンは、Zn2+イオンで荷電したキレート化セファロースFast Flow(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を封入したカラムでの金属キレートクロマトグラフィーにより、全血清から精製した。カラムおよび血清は、150mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液で予め平衡化した。亜鉛結合タンパク質は、0〜0.5Mイミダゾール線形勾配をかけた同一の緩衝液を使用し、溶出させた。得られたトランスフェリンおよびヘモペキシン含有画分(ウェスタンブロット分析によって決定)を個別にプールし、上記のMonoQ陰イオン交換カラム上、pH8.0でさらに精製した。本プロトコールによって、電気泳動上純粋なヘモペキシン調製物が得られた。トランスフェリンはしかし、トランスフェリン調製物中のヘモペキシンから分離されなかった。
【0040】
糖タンパク質による炭水化物−エピトープの修飾
末端シアル酸部分を、アガロース結合ノイラミニダーゼでの処理により、糖タンパク質から除去した。0.5ml中1mgのタンパク質を、50mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、4mM塩化カルシウム(pH5.5)中、5ユニットのノイラミニダーゼ(Sigma、セントルイス、ミズーリ州)で、37℃下一晩インキュベートした。4000g5分間の遠心分離によって、アガロースビーズを除去した。上清を取り出し、4℃で保存した。
【0041】
中心の炭水化物基を、エンドグリコシダーゼF(EndoF)およびペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGアーゼF)での処理によって糖タンパク質から除去した。これは、Glyko(カリフォルニア州ノヴァト)からの市販のキットにより得られた。40mgのノイラミニダーゼ処理タンパク質を、20mMリン酸ナトリウムpH7.5、50mM EDTA、0.1%v/vSDS、0.5%b−メルカプトエタノールの存在下、100℃で2分間の加熱によって変性した。PNGアーゼFのSDSによる阻害を防止するため、冷却後に0.1%Tween−20を変性サンプルに添加した。次いで、変性タンパク質を、667脱グリコシル化単位(DGU)のEndo F/PNGアーゼF混合物に、37℃18時間インキュベートした。
【0042】
ジャカリン反応性糖タンパク質のサンプルからの除去は、ジャカリン結合アガロースビーズ(Vector、カリフォルニア州バーリンゲーム)での予備吸着によって達成した。サンプルを、ジャカリン結合アガロースで室温30分間インキュベートし、4000g5分間遠心分離した。上清を除去し、4℃で保存した。
【0043】
抗体および糖タンパク質
ヒツジ抗ヒトα2−HSGおよびヒツジ抗ヒトトランスフェリンの免疫グロブリン画分は、Biodesign International(メイン州ケネバンク)から得た。ヤギ抗ヒトヘモペキシン抗血清は、Kent Laboratories(ワシントン州レドモンド)から得た。HRP結合ウサギ抗ヒツジIgGおよびHRP結合ウサギ抗ヤギIgGは、Jackson Immunoresearch Laboratories(ペンシルベニア州ウェストグローブ)から得た。HRP結合ヤギ抗ヒトIgA(α鎖特異的)およびHRP結合ヤギ抗ヒトIgG(γ鎖特異的)は、(Sigma)から購入した。市販のα2−HSGは、Calbiochem−Novabiochem(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)から得た。
【0044】
SDS−PAGE
SDS−PAGEはLaemmliの方法(12)にしたがって行った。手短に述べると、同体積の2×ゲルローディング緩衝液をタンパク質サンプルに添加し、5分間煮沸する。適切な場合には、タンパク質を還元条件下(ゲルローディング緩衝液中、5%v/vのb−メルカプトエタノール)で溶解した。還元タンパク質の再会合は、煮沸後のヨードアセトアミド(最終濃度60mM)の添加により防止した。タンパク質サンプルは、4%〜15%勾配ゲル(Biorad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して分離した。タンパク質を直接可視可するために、ゲルを7.5%v/v酢酸溶液中の0.02%v/v SYPRO−オレンジ(Biorad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)内に30分間置いた。次いで、ゲルを7.5%酢酸でリンスし、ゲル画像処理装置(Alpha Innotech Corporation、カリフォルニア州サンリアンドロ)上で観察した。
【0045】
免疫ブロット法
Biorad Transblot SDセミドライ・ブロッターを用い、タンパク質をSDSゲルからニトロセルロース膜に転移した。ポンソー・レッド染色で、ニトロセルロース膜へのタンパク質の転移を確認した。膜は、4℃のPBS溶液中5%w/v脱脂粉乳、0.5%Tween−20で一晩ブロックした。一次抗体または血清をブロッキング溶液に添加し、室温で2時間インキュベートした。次いで膜を、1回あたり5分間かけて6回PBS中で洗浄した。HRP結合二次抗体を、PBS溶液中0.05%v/v Tween−20を含む3%w/v脱脂粉乳で希釈した。記載のように5分間6回洗浄する前、膜を室温で2時間インキュベートした。次いで、タンパク質を増強化学発光(ECL)(Amersham Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)により検出した。必要に応じてニトロセルロース膜を剥離し、100mMグリシン−HCl(pH1.5)中室温で30分間の撹拌の前に、1回あたり5分間、0.9%w/v NaCl中での洗浄を2回行うことによって再プローブした。次いで、膜を、1回あたり5分間、PBS(pH7.4)で3回洗浄した。膜をブロックし、記載のように抗体で探索した。
【0046】
酵素免疫測定法(ELISA)
Falcon Microtest IIIマイクロタイタープレート(Becton Dickinson、カリフォルニア州オックスナード)のウェルを、炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.2)で100μlまで希釈した10μlのタンパク質にて4℃で一晩コーティングした。プレートは0.05%v/v Tween20を含むPBS中で3回洗浄した。ウェルは、3回洗浄の前に、3%w/v BSAのPBS/Tween20(ブロッキング緩衝液)にて37℃で1時間ブロックした。一次抗体または試験血清を、ブロッキング緩衝液で適切に希釈し、100μlを各ウェルに添加した。プレートを37℃で2時間インキュベートし、PBS/Tween−20で3回洗浄した。HRP結合二次抗体をブロッキング緩衝液で希釈し、100μlを各ウェルに添加した。プレートを、次いで3回洗浄した。100mlの比色定量HRP基質であるABTを各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。プレートを405nmについてDynatechプレートリーダー(バージニア州シャンティ)で読み取ったデータをGraphpad Prismソフトウェアを用いて分析した。
【0047】
(実施例2)
異所性子宮内膜、正常子宮内膜、腹腔内貯留液、および血清の自己抗原の同定 可溶性子宮内膜タンパク質の調製物を、「材料と方法」の節に記載の子宮摘出組織から調製し、プロテインGクロマトグラフィーに供してIgGを除去した。得られた無IgG調製物を、陰イオン交換クロマトグラフィーに供した(図1a)。次いで、このカラム由来の画分を、還元条件下でのSDS−PAGEによって分析した(図1b)。同一のゲル上のタンパク質バンドを、ウェスタンブロット分析のためにニトロセルロース膜に転写した。一次抗体供給源としてプールした子宮内膜症患者およびプールした健常男性ドナー由来の血清を使用して、ウェスタンブロットの発色を行った。図1cは、患者(W1345)由来の増殖期の正常子宮内膜中で同定された抗原の典型的な例を示す。健常男性ドナー由来の対照血清(示さず)で探索した同一のブロットと比較して、自己反応性IgGは子宮内膜症患者の血清(図1c)に限定された。
【0048】
対照血清を用いたMonoQカラムの画分24に対してIgGのg鎖結合が検出されたが、他の画分(示さず)では検出されなかった。興味深いことに、画分24に対する類似の反応性は、子宮内膜症血清を使用して発色したブロットには現れなかった。プールした子宮内膜症血清を使用して検出された反応性タンパク質の分子量は、他の研究者達6、10により記述された分子量と十分に相関する。プールした子宮内膜症血清で探索したウェスタンブロットによって、全部で10本の自己反応性バンドが検出された。IgAα鎖特異的およびIgGγ鎖特異的二次抗体の両方を含む画分23で72kDaのバンドが検出された(図1cおよび1d)。このバンドは、分子量およびMonoQカラムから溶出されたNaCl濃度に基づいてトランスフェリンとして最初に同定された(この位置でのトランスフェリンの溶出を、ヒツジ抗トランスフェリン抗体を使用したウェスタンブロット分析によって確認した(示さず))。この画分中にIgGγ鎖特異的抗体を含む54kDaのタンパク質もまた検出されたが、IgAα鎖特異的を含むものは検出されなかった。このタンパク質は、部分的に脱シアリル化されたα2−HSGと同一の位置に溶出される(データ示さず)。α2−HSGは、子宮内膜症患者の自己抗原として以前に同定されている(10)。画分26および29で認められた59kDaのIgG反応性バンドはIgAのα鎖であり、溶出位置は、これらの作動条件では、それぞれ単量体および二量体IgAの既知の溶出位置に対応する。このタンパク質がIgAα鎖であることを、ブロットを剥離して抗α鎖特異的抗体で再探索することによって確認した(示さず)。このブロットはまた、画分23(トランスフェリン含有画分)中の抗α鎖反応性バンドの存在を示した。この画分中のIgA抗原の存在は、おそらく他の血清タンパク質13、14と共有結合的に複合体形成したIgAに由来している。画分26はまた、72kDaに反応性バンドを含み、画分28および29は、69kDaのバンドを有していた。これら後者のバンドは、α鎖特異的ブロットに対する活性を示さなかった。IgAのα鎖を認識する子宮内膜症患者のIgG抗体の存在を、高度に精製した血清IgA1を使用したウェスタンブロットによって確認した(図7を参照のこと)。それに対して、これらの画分以外のIgAα鎖を含む子宮内膜抗原に対するIgA自己抗体は認められなかった。
【0049】
同一の患者(W1345)由来の卵巣異所性子宮内膜サンプルは、分子量54、47、43、および34kDaの自己抗原タンパク質を有していた(示さず)。54kDaのタンパク質は、ヒツジ抗α2−HSG特異的抗体で発色させたウェスタンブロットにより、α2−HSGであると判定された。α2−HSGはまた、ウェスタンブロットによって異なる患者(W1517)由来の腹腔洗浄液中で検出された。54kDaの抗原に加えて、186、126、68、43、37、および34kDaの抗原が、腹腔内貯留液中に存在していた(図2)。
【0050】
プールした患者および各血清を用いて、2つの分子量マーカーとの反応性が認められた(図1cおよび図3を参照のこと)。これらのマーカーは、205kDのミオシンおよび42kDの炭酸脱水酵素IIであった。プールした男性対照およびいくつかの各男性血清の両方を用いたミオシンバンドとの反応性もまた認められた。それに対して、脱水素酵素IIとの反応性は子宮内膜症血清に特異的であり、このタンパク質は他の研究者によって子宮内膜症における自己抗原7、8と報告されている。
【0051】
要約すれば、正常および異所性子宮内膜ならびに腹腔内貯留液由来の調製物中の自己抗原を同定した。以前に公開された報告と一致して、α2−HSG、トランスフェリンおよび炭酸脱水酵素IIは、子宮内膜症患者由来の血清によって認識される自己抗原である。さらに、本明細書中に示した結果は、IgAのα鎖はまた、同一の血清によって認識される自己抗原であることを示す。これらのタンパク質がタンパク質レベルで有意な相同性を示さないので、4つ全てのタンパク質は共通のペプチド・エピトープを共有する可能性は少ない。しかし、4つのタンパク質のうち3つ(α2−HSG、IgAlのα鎖、およびおそらく炭酸脱水酵素II)が共通の炭水化物エピトープを共有する。このO結合炭水化物構造は、ジャックフルーツ(Artocarpus integrifolia)のレクチン、ジャカリンによって認識されるGalβ1−3NAcGalエピトープを含む。本明細書中に示した結果は、α2−HSGおよびカルビニック脱水素酵素が、子宮内膜症血清中に存在する自己抗体によって認識される自己抗原であるという以前の報告を確認するものである。本発明の研究は、これらの結果を拡大して、IgAおよびヘモペキシンもまた子宮内膜症患者由来の血清によって認識される自己抗原であることを示している。
【0052】
(実施例3)
ジャカリン予備吸着により、自己抗体結合が排除される。
【0053】
α2−ヘーレマンス・シュミット糖タンパク質(α2−HSG)を、子宮内膜症反応におけるジャカリン反応性炭水化物の潜在的役割を調査するためのモデル抗原として選択した。市販のα2−HSGを使用した最初の実験は、不満足な証明となった。これは、これらの調製物中にある糖形態が多様なためだった。ほとんどのシアリル化された糖タンパク質と共通して、α2−HSGは保存中に末端のシアル酸残基を喪失する。正常なヒト血清由来の完全にシアリル化されたα2−HSGを、新たに調製した。その炭水化物含有量についての調製の偏りを避けるため、レクチンベースの親和性精製プロトコールを避け、代わりに陰イオン交換クロマトグラフィーとゲル濾過クロマトグラフィーとの組み合わせを使用した。pH8.0でのMonoQカラム上での陰イオン交換、続いてpH5.0での第2のMonoQカラム、そして最後にスーパーロース12カラムによるゲル濾過段階からなる3段階の処理により、分子量58kDaの完全にシアリル化された糖形態のα2−HSGが精製された。
【0054】
第1の陰イオン交換カラム由来の部分精製α2−HSG画分を使用して実験を行った場合、ウェスタンブロットによる子宮内膜症血清との自己反応性はジャカリンアガロースでの予備インキュベーション後に消滅した(図3)。SYPROオレンジ染色SDS−PAGEゲルにおいて14本のタンパク質バンドが認められた(図3、レーンa)。子宮内膜症血清との反応性は、5つのタンパク質で認められた(図3、レーンb)。反応性タンパク質は、約230、188、168、120、および58kDaの分子量を有しており、58kDaのものはα2−HSGであった。これら5本のバンド全ての子宮内膜症血清におけるIgGによる結合は、ジャカリンアガロースとのインキュベーション後に消滅し(図3、レーンd)、これは、自己抗体の結合は画分中に存在する全てのジャカリン結合タンパク質に対してであって、ただα2−HSGに対してだけでないことを示す。吸着前および後の、画分13のゲルのタンパク質染色は、活性の喪失が画分中のタンパク質の非特異的喪失によって引き起こされたのではないことを示す。吸着および非吸着タンパク質の濃度は、ウェスタンブロット法に使用するゲル上に添加する総タンパク質量が均一となるように調整した。
【0055】
ジャカリンによって認識される炭水化物構造は非常に特異的であり、結合はTfの存在に依存する。ジャカリンは、いくつかのO結合少糖類の内に存在する二糖類Galβ1−3GalNAcを認識する。Galβ1−3GalNAcは、多数の血漿タンパク質のうち非常に限られたいくつかによって発現する。これらのタンパク質には、IgA1、IgD、C1阻害剤、ヘモペキシン、プラスミノゲン、α1−抗トリプシン、α2−マクログルブリン、8S−α3糖タンパク質、絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、およびα2−HSGが含まれる(15)。hCGに関して、hCGの受容体がTf様抗原も発現すること、随伴性の子宮内膜症を罹患しているか、罹患していないか、いずれもの不妊症患者で見出された自己抗体が受容体に結合すること5は興味深い。
【0056】
(実施例4)
炭水化物の除去による自己抗体結合の停止。
【0057】
ジャカリンによる自己抗体によって認識されるタンパク質の除去は、それ自体に共通の炭水化物エピトープ(群)が含まれるかどうかは決定できない。炭水化物が子宮内膜症の自己抗体によるα2−HSGの認識に不可欠であるかどうかを判定するために、脱グリコシル化α2−HSGとの反応性を調査した。α2−HSG炭水化物は、2段階の処理で除去された。第一段階では、ノイラミニダーゼを使用して、末端シアル酸を切断した。第二段階は、EndoF/PNGアーゼ消化工程を更に使用して、炭水化物を完全に除去した。未処理、ノイラミニダーゼ処理、および脱グリコシル化α2−HSGを、等量のタンパク質をロードするウェスタンブロット分析に供した(図4)。シアル酸および全ての炭水化物の除去を、ヒツジ抗α2−HSGとの反応性で示される分子量の減少によって確認した(図4、レーンA〜C)。
【0058】
ヒツジ抗α2−HSG抗体は、ペプチドに反応性を示し、二重免疫拡散法によるジャカリン結合タンパク質との反応性を示さない(データ示さず)。ノイラミニダーゼでの末端シアル酸の除去により、患者の血清との反応性は減少した(図4、レーンDおよびE)。この画分に残存する反応性は未消化α2−HSGと同一の分子量においてで、これは自己抗体結合が末端シアル酸の存在に依存することを示している。ノイラミニダーゼ処理とその後に続くEndoF/PNGアーゼ消化による炭水化物の完全な除去で、反応性は完全に消滅した(図4、レーンF)。類似の部分精製α2−HSG処理により、5つ全ての反応性タンパク質への結合が減少するので、ノイラミニダーゼ後の自己抗体結合のこの減少はα2−HSGに制限されない(図3、レーンc)。
【0059】
【表1】
これらの結果は(トランスフェリンを除いて)、通常の炭水化物エピトープがα2−HSG、炭酸脱水酵素、ヘモペキシン、およびIgA1のa鎖に認識されることを示している(本研究、および公開された研究において同定された抗原、ならびにそれらのジャカリン反応性の要約は、表1を参照のこと)。全ての同定した抗原(トランスフェリンおよび炭酸脱水酵素IIを除く)がレクチンジャカリンに結合することが知られていることと、抗原からの炭水化物の除去により子宮内膜症血清のこれらの抗原への結合能力が失われることに基づいてこの結論に至った。
【0060】
(実施例5)
ウシフェチュインへの自己抗体の結合
ヒトα2−HSGのホモログであるウシフェチュインは、ヒトα2−HSGと同一のジャカリン結合炭水化物部分を有する。ヒトSGペプチドに対して惹起したヒツジ抗血清は、ウシフェチュインと交差反応を示さず、このことから、かなりの配列相同性にも関わらず2種の間の抗原性が有意に異なると示唆される。ELISAおよびウシフェチュインでのウェスタンブロットによれば、子宮内膜症患者由来の血清は正の反応性を示す(図5)。フェチュインのノイラミニダーゼ処理は、−HSGと対照的に、ELISAでの自己抗体反応性をわずかに増加させた(図5)。しかし、ウシフェチュインのより完全な脱シアリル化または完全な脱グリコシル化により、抗体結合は消滅し、これにより子宮内膜症患者の自己抗体反応は炭水化物依存性であるというさらなる証拠が得られた(示さず)。完全なノイラミニダーゼ処理後のフェチュインへの結合の増加は、ウシフェチュインがそのヒト対応物に比べより強くシアリル化されることに起因しうる。
【0061】
(実施例6)
自己抗体結合のD−ガラクトース依存性。
【0062】
ジャカリン結合は、Galb1−3NacGal成分の存在に依存する。もし自己抗体反応がこのエピトープを含んでいたら、ジャカリン結合の場合と同様に、結合はD−ガラクトースによって競合的に阻害されるはずである。ウェスタンブロットでのa2−HSGへの子宮内膜症IgGの結合は、0.8M D−ガラクトースの存在下で完全に消滅し、これはD−ガラクトースが、自己抗体によって認識されるエピトープの一部を形成しうることを示している(示さず)。
【0063】
(実施例7)
子宮内膜症血清により認識される血清自己抗原は、同じエピトープを共有する。
【0064】
同一の炭水化物エピトープが上記で同定された異種抗原との自己反応性の原因となるため、ここで自己抗体結合は、過剰な異種の抗原の存在下では遮断されるはずである。このことは以下の例で証明された:10倍過剰の高度に精製されたa2−HSGまたはウシフェチュインの添加は、どちらも自己抗体の炭酸脱水酵素IIおよび72kDaの抗原への結合を阻害した(図6)。
【0065】
子宮内膜症の72kDa自己抗原は、トランスフェリンよりもむしろヘモペキシンであろうか? これまでに記載の抗原のうち、トランスフェリンを除く全てが、ジャカリンによって認識された。このような炭水化物構造はトランスフェリン上には発現せず、ジャカリンはトランスフェリンと結合しない15。このことから、以下の3つの可能性が残る:ジャカリン炭水化物反応とは別個の抗トランスフェリン反応が子宮内膜症血清に存在するか、またはトランスフェリンで精製する反応性がトランスフェリン調製物中の夾雑物に対するものであるか、またはその両方かである。正常子宮内膜W1345の陰イオン交換画分中には、〜70kDaの2つの反応性タンパク質が見出された。一方は、塩勾配の早い箇所でトランスフェリンと同一の画分中に溶出した。他方のタンパク質はより高い塩濃度で、IgAと同一の画分中に溶出された。スイス2Dデータベースを調査した結果、類似の分子量および等電点のジャカリン結合タンパク質がヘモペキシンを含むことを示した。ヘモペキシンをZn2+金属キレ−トクロマトグラフィー、および陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製した場合に、均質な調整物が得られた。ヘモペキシン特異的抗体を含む画分のウェスタンブロット法により、同一性を確認した。子宮内膜症患者の血清に対して試験したところ、このタンパク質は自己抗原として認識された(図7)。トランスフェリンに対し特異的な抗体での同じタンパク質のウェスタンブロット分析は、精製ヘモペキシンとの反応性を示されなかった。同一のカラム由来の画分をトランスフェリン反応性について調査したところ、陰イオン交換カラム由来のより早期のピークがトランスフェリンを含むことがわかった。抗ヘモペキシンでのトランスフェリン含有画分のウェスタンブロット分析により、SDS−PAGEでの移動度がトランスフェリンと類似のヘモペキシンの存在が明らかになった。二重免疫拡散法で抗ヘモペキシンおよび抗トランスフェリンがトランスフェリンのピーク画分に対して沈降反応させた場合に一致線は示されず、これは、抗血清が抗原特異的であることを表している(示さず)。このトランスフェリン調製物中のジャカリン結合活性の存在を、ジャカリンに対する二重免疫拡散法での沈降線の存在によって確認した(示さず)。トランスフェリンで共精製される抗原の性質を決定するため、さらなる実験が現在進行中であるが、しかし72kDa結合活性が純粋なa2−HSG調製物の添加により阻害されることは興味深いことである(図6)。
【0066】
(引例文献)
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1aは子宮内膜症患者由来のホモジナイズした正常子宮内膜のMonoQ陰イオン交換クロマトグラフィーを示す溶出プロフィールである。ホモジネートをプロテインGカラムを通過させてIgGを除去後、MonoQカラムに添加した。塩勾配開始前の最初のピークは、複数の1mlのホモジネートのロードを示す。溶出条件:50mM Tris/HCl(pH8.0)。同一の緩衝液中で、0〜0.5NaClの線形勾配(1M NaClを終点とする)で溶出を行い、これは破線で示した。ゲルローディングに対応する画分(図1b〜d)をグラフの上部に示す。
図1bは、図1aに示される選択されたカラム画分の5〜15%勾配ゲルを還元条件下で泳動しSYPROオレンジで染色した結果を示す図である。
図1cはプールした子宮内膜症の血清中に存在するIgGによって認識されるホモジネート画分中のタンパク質を示すオートラジオグラフィーを示す図である。プールした正常な男性血清を使用した同一のブロットの剥離および再探索によっても、同一のバンドとの反応性を示さなかった。IgG結合活性は対照血清を使用した画分24中で検出されたが、子宮内膜症の血清を使用した場合は類似の結合は認められなかった。45.2kDaの分子量マーカーである炭酸脱水酵素IIは反応性を示す。この同一の反応性は、対照血清では認められなかった。
図1dは子宮内膜症の血清のIgA結合活性を示すオートラジオグラフィーを示す図である。一次血清不在での抗IgA a鎖特異的抗体でのブロットの探索により、これらの画分中にIgAが存在することが示された。
【図2】
図2は、還元およびアルキル化条件下、5〜15%SDS−PAGEゲル上で流した腹水(W1517)のウェスタンブロットを示す図である。次いで、ウェスタンブロットを、ヒツジ抗ヒトα2−HSG、これに続いてHRP−ヤギ抗ヒツジ(レーンa)で、または子宮内膜症の血清を1:100希釈したもので、これに続いてHRP−ヤギIgG g鎖特異的抗体(1:1000希釈)で、のいずれかでインキュベートした。レーンaのα2−HSG、およびレーンbの同分子量のバンドがはっきりと認められる。
【図3】
図3aはα2−HSGの部分精製画分(MonoQカラム、pH8.0)を示すSDS−PAGEゲルである。SYPROオレンジでの染色後に14本のタンパク質バンドが認められる。
図3bはα2−HSGの部分精製画分を泳動し、子宮内膜症血清HRPヤギ抗ヒトIgG抗体で探索した、ゲルのウェスタンブロットである。5本のタンパク質バンドが検出された。
図3cは、タンパク質画分を電気泳動前にノイラミニダーゼで処理したこと以外は図3bに記載通りのウェスタンブロットである。タンパク質全体に結合する抗体が、明白に減少している。
図3dは、α2−HSG画分を電気泳動前にジャカリンアガロースで予備吸着させること以外は図3bに記載通りのウェスタンブロットである。抗体結合が全部除去されている。
図3eは、分子量マーカーの存在下での、ミオシンおよび炭酸脱水酵素IIとの自己反応性を示す。
【図4】
図4はα2−HSGの部分精製画分を泳動し、子宮内膜症血清HRPヤギ抗ヒトIgG抗体で探索したゲルのウェスタンブロットを示し、これはα2−HSGの脱グリコシル化が自己抗体結合を消失させることを表している。シアル酸の末端の切断にはノイラミニダーゼを使用した(レーンB、E、H)。次いで、EndoF/PNGアーゼ消化を使用して、炭水化物を完全に除去した(レーンC、F、H)。シアル酸および全炭水化物の除去は、ヤギ抗α2−HSGとの反応性によって示される分子量の減少によって確認した(レーンA〜C)。レーンA、D、およびGは未処理であった。ノイラミニダーゼでの末端シアル酸の除去により、患者の血清との反応性が減少した(レーンD対E)。この画分の残存する反応性は、未消化α2−HSGと同一の分子量であり、これは、自己抗体結合が末端シアル酸の存在に依存することを示す。ノイラミニダーゼ処理後のEndoF/PNGアーゼ消化による炭水化物の完全な除去により、反応性が完全に消失した(レーンF)。プールした男性対照血清の使用では、同等の反応性は認められなかった(レーンG〜I)。
【図5】
図5aは、ウシフェチュインの脱シアリル化が子宮内膜症の血清との反応性を増加させることを表している。ELISAで測定したところ、ノイラミニダーゼでの処理後に、わずかだが有意な結合の増加が認められる。
図5bはノイラミニダーゼ処理後のフェチュインでの分子量減少を示すSYPROオレンジ染色ゲルを示す。レーンAは未処理である;レーンBはノイラミニダーゼ処理である。
【図6】
図6はどちらも、72kDa抗原および炭酸脱水酵素IIへの結合がα2−HSGの存在下で阻害されたことを表す、グラフおよびラジオオートグラフィーである。
【図7】
図7は還元およびアルキル化泳動した5〜15%勾配ゲルからニトロセルロースに転写した後の、精製タンパク質のウェスタンブロット分析である。精製ヘモペキシン(レーンA)、α2−HSG(レーンB)、および血清IgA1(レーンC)は、子宮内膜症血清中のIgG抗体によって認識される自己抗原である。
Claims (12)
- (a)患者から血清サンプルを得て、
(b)前記血清サンプルとトムセン−フリーデンライヒ(Tf)様抗原をインキュベートし、
(c)前記サンプル中のTf様抗原との自己抗原反応性を検出し、
(d)前記血清サンプル中のTf様抗原に対する自己抗原反応性レベルの増加を前記患者の子宮内膜症診断に相関させる、
という諸段階を含む、子宮内膜症の診断法。 - 前記自己抗体反応性を免疫アッセイによって決定する、請求項1に記載の方法。
- 前記免疫アッセイが免疫測定アッセイである、請求項2に記載の方法。
- 前記免疫アッセイが競合免疫アッセイである、請求項2に記載の方法。
- (a)固体支持体上のTf様抗原を固定し、
(b)患者由来の血清サンプルの分取を前記固体支持体に結合させたTf様抗原に添加し、インキュベートし、
(c)前記固体支持体に標識抗ヒト免疫グロブリンを添加、ここで前記抗ヒト免疫グロブリンはシグナル発生系の一部である、
(d)結合抗体から遊離の標識抗体を分離し、
(e)前記固体支持体を含む溶液によって発生したシグナルを測定し、
(f)患者の子宮内膜症診断にシグナル強度の増加を相関させる、
という諸段階を含む、請求項3に記載の方法。 - (a)一定量のTf様抗原に結合した標識抗体と異なる濃度の患者由来の血清サンプルとのインキュベーションによって反応混合物を調製、ここで前記標識抗体はシグナル発生系の一部である、
(b)遊離自己抗体から結合標識抗体を分離し、
(c)前記反応混合物中の標識抗体によって発生したシグナルを測定し、
(d)患者の子宮内膜症診断に患者由来の血清サンプルの添加後のシグナル強度の減少を相関させる、
という諸段階を含む、請求項4に記載の競合免疫アッセイ。 - (a)Tf様抗原に結合した第1の抗体と、異なる濃度の患者由来の血清サンプルとのインキュベーションによって反応混合物を調製し、
(b)前記反応混合物に一定量の二次抗体を添加、ここで前記二次抗体は前記第1の抗体の重鎖の定常領域を認識し、前記二次抗体は標識されており、且つシグナル発生系の一部である、
(c)結合抗体から遊離の標識二次抗体を分離し、
(d)前記反応混合物中の前記二次抗体によって発生したシグナルを測定し、
(e)患者の子宮内膜症診断にシグナル強度レベルの減少を相関させる、
という諸段階を含む、請求項4に記載の競合免疫アッセイ。 - 前記抗体が酵素標識されており、追加の段階として前記酵素標識抗ヒト免疫グロブリンと反応する固体支持体に基質を添加する段階とその後で行うインキュベーションとが(d)の段階と(e)の段階との間にある、請求項5に記載の方法。
- 前記抗体が酵素標識されており、追加の段階として前記酵素標識抗ヒト免疫グロブリンと反応する固体支持体に基質を添加する段階とその後で行うインキュベーションとが(b)の段階と(c)の段階との間にある、請求項6に記載の方法。
- 前記二次抗体が酵素標識されており、追加の段階として前記酵素標識抗ヒト免疫グロブリンと反応する固体支持体に基質を添加する段階とその後で行うインキュベーションとが(c)の段階と(d)の段階との間にある、請求項7に記載の方法。
- 前記標識抗体が放射標識されている、請求項5、請求項6、または請求項7のいずれかに記載の方法。
- 前記標識抗体がビオチン標識されている、請求項5、請求項6、または請求項7のいずれかに記載の方法。
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