JP2612915C - - Google Patents

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JP2612915C
JP2612915C JP2612915C JP 2612915 C JP2612915 C JP 2612915C JP 2612915 C JP2612915 C JP 2612915C
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アデザ・バイオメディカル・コーポレーション
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【発明の詳細な説明】 本発明は正常妊娠および子宮外妊娠;妊娠の終了;および早期(preterm)陣
痛および早期羊膜破裂(rupture of membrane)の危険増大の検出用の方法、試
薬およびキットに関するものである。本発明の各具体例には、腟腔より試料を採
取してその試料中の診断指標(diagnostic indicator)の存在または不存在を判
定することが包含される。 妊娠初期の3箇月中に妊娠を判定する具体例の一つにおいては、試料を検定し
て非制限(nonrestricted)妊娠指標の存在を判定する。 妊娠初期の20週間中に妊娠を判定する具体例においては、胎児性制限 (restristed)抗原の存在を判定する。 子宮外妊娠の判定法は、妊娠初期の20週中において妊娠した患者より試料を採
取し、試料中の胎児性制限抗原の不存在を判定することよりなる。試料中の胎児
性制限抗原の不存在は子宮外妊娠の存在を示す。 本発明は妊娠による生体排出生成物(ex vivo products)の検出に関するも
のである。特に子宮組織中の疑似(suspected)自発妊娠中絶(流産)または治
療的妊娠中絶を経由して子宮より排出または取り出された子宮組織中の妊娠によ
る生成物を判定する。 妊娠20週後の早期陣痛または早期羊膜破裂の危険増加の検出に関する具体例は
、胎児性制限抗原の存在について試料を評価する。 妊娠の判定に関しては広範な試験法が開発されている。商業的な初期妊娠判定
法には一般に尿および血清の検定が含まれる。尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドト
ロピン)に関する家庭内妊娠試験法には、0ないし7日経過後の(days aftermi
ssed period)妊娠の指標として有効な多様な酵素免疫学的検定法、赤血球凝集
反応抑制試験法(hemagglutination inhibition)、および抗体標識凝集試験法
が含まれる。特に子宮外妊娠のような異常妊娠の判定には、医師による確認が推
奨される。 hCGは胎児の栄養芽層(trophoblast)で生産され、胎児血液より胎盤の絨毛間
空間(intervillous space)を通って母親の血液に入る。母体の血液および尿中
のhCGレベルはしばしば約3週間で検出可能となる。hCGの生産量は栄養芽層組織
の量および母体体液中でのhCVの希釈度により決定されるので、血清または尿hCG
試験法の感度は限定されたものである。β−hCG特異結合抗体(specifically bi
nding antibody)の生成までは、LH(黄体形成ホルモン)との交差反応(cross
−rection)も感度レベルの点での制限に関係する。 本件発明者らは、子宮頸管または子宮頸部の近傍より取り出した試料を“妊娠
性抗体”、すなわち胎盤組織内で生産され、女性が妊娠していない場合には正常
には体液(血漿、血清、または尿)中に存在しないか、または妊娠中に母親の体
液中の量が増加する抗原性の、および非抗原性の化合物または物質に関して試験
することにより、正常子宮妊娠の情況(status)が妊娠周期の初期に高い信頼性 を持って判定し得ることを見いだした。 本件発明者らは、子宮頸管または子宮頸部の近傍より採取した試料を胎児性制
限抗原、すなわち、胎盤組織内で生産され、いかなる実質的な量においても母親
の血液に入らない化合物または物質の存在について試験することにより、正常子
宮妊娠を妊娠周期の初期に、高度の信頼性を持って判定し得ること見いだした。
この類(class)の抗原には胎児性フィブロネクチン類が含まれる。 本件発明者らは、子宮頸管または子宮頸部の近傍より採取した試料を胎児性制
限抗原、すなわち、胎盤組織内で生産され、いかなる実質的な量においても母親
の血液に入らない化合物または物質の存在について試験することにより子宮外妊
娠を判定し得ること見いだした。この類の物質には胎児性フィブロネクチンが含
まれる。非制限妊娠性抗原についての血液および尿の試験により妊娠に関する試
験が陽性であるとされた人よりの試料中において胎児性制限抗原が実質的に抑制
されているならば、子宮外妊娠を示していることになる。 治療的、または自発的妊娠中絶で取り出された子宮組織内の妊娠による生体排
出生成物の存在の判定は、子宮妊娠およびその終結を確認するために、また、子
宮外妊娠の存在を除外するために決定的に重要である。母親の血清または尿中の
胎盤随伴性(associated)抗原のレベルが妊娠を示しており、かつ、治療的妊娠
中絶中に採取した子宮組織が妊娠による生成物を含有しないならば、子宮外妊娠
の可能性が示されている。自発的妊娠中絶の指標に随伴する子宮排出物(discha
rge)中の妊娠による生成物の存在は妊娠中絶を確証するものであり、一方、そ
の不存在は妊娠の継続を示すものである。腟腔より採取した試料中の胎児性随伴
抗原の存在を判定するための通常の免疫学的検定技術は、これらの試料が典型的
に母親の血液を含有する故に、妊娠による生成物の存在を示すには信頼性がない
。非制限胎児抗原は通常は母親の血液中に、ならびに胎児に、および胎盤の組織
内に存在する。 早産の切迫の判定は、早産による新生児の生存率を増加させるために決定的に
重要である。羊膜破裂の検出は真の陣痛と誤った陣痛との弁別に重要である。破
裂が小さく、破水した羊水の体積が少ないならば、破裂はしばしば検出されない
。羊膜破裂の検出に受け入れられている方法は十分に敏感でもなく、特定的でも
な い項目である。妊娠の20週間後における早期陣痛および早期の羊膜破裂の危険増
加を検出するための本発明の具体例は、後穹(posterior fornix)、子宮頸管、
または子宮口より採取した試料の評価を指向している。 本発明の方法は妊娠の存在および/または情況の判定に使用できる。本発明に
よれば、膣腔に由来する試料中の診断指標の存在を測定する方法であって、 (a) 全妊娠期間の最初の3箇月中における妊娠の指標として、患者の子宮頚
管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の非制限妊娠性抗原の存在を測定する
工程、 (b) 妊娠初期の20週間中における正常子宮妊娠の指標として、患者の子宮頚
管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の胎児性制限抗原の存在を測定する工
程、 (c) 卵管妊娠の指標として、妊娠初期の20週間中における妊娠患者の子宮頚
管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の胎児性制限抗原の不存在を測定する
工程、 (d) 受胎の指標として、患者の子宮より排出または放出された試料中の胎児
性制限抗原の存在を測定する工程、または (e) 早期陣痛または早期羊膜破裂の危険増大の指標として、妊娠20週より後
の患者の子宮頚管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の胎児性制限抗原の存
在を測定する工程を含んでなる、 よりなる方法が提供される。 妊娠初期の3箇月において正常妊娠を判定するための本発明の具体例の一つは
、試料を採取し、その試料中の非制限妊娠性抗原の存在を判定することよりなる
。試料中に存在する場合に妊娠の指標となる妊娠性抗原の例はhCG、hCT、hPL、S
PI、PAPP−A、PAPP−B、HSAP、CAP、PP5、PAMG1、PAMG2、β1−PAM、α2−PAM
、hCLRF、ソマトスタチン、MP1、PP13、PP20、タンパク質B等である。妊娠性抗
原に関して試験する本発明の具体例は一般に、試料中の妊娠性抗原を抗妊娠性抗
原抗体と、抗原抗体結合を起こさせるのに十分な時間相互作用させ、上記の結合
の存在または不存在を判定することよりなる。 妊娠初期の20週間において正常妊娠を判定するための具体例は、試料を採取し
、 その試料中の胎児性制限抗原の存在を判定することよりなる。胎児性制限抗原の
一つは胎児性フィブロネクチンである。胎児性制限抗原は母親の血漿または血清
中には有意の量で存在しないので、この具体例の方法は、試料が母親の血液で汚
染されている場合にも信頼性がある。試料中の胎児性制限抗原を検定して正常妊
娠を試験する具体例は一般に、試料を抗胎児性制限抗原抗体と、抗原抗体結合を
起こさせるのに十分な時間相互作用させ、上記の結合の存在または不存在を判定
することよりなる。 妊娠初期の20週間において子宮外妊娠を判定するための具体例は、妊娠してい
る患者より試料を採取し、その試料中の胎児性制限抗原の存在を判定することよ
りなる。試料中の胎児制限抗原を検定して子宮外妊娠を試験する具体例は一般に
、試料を抗胎児性制限抗原抗体と、抗原抗体結合を起こさせるのに十分な時間相
互作用させ、上記の結合の存在または不存在を判定することよりなる。 子宮より取り出された、すなわち、拡張および掻爬(dilation and curettage
(D&C))中の、または治療的もしくは疑似自発妊娠中絶中の子宮より引き出
したと考えられる組織試料中の妊娠による生成物の存在を判定するための本発明
の具体例は、試料中の胎児性制限抗原の存在を判定することよりなる。試料中の
胎児制限抗原を検定して妊娠による生体排出生成物に関して試験する具体例は一
般に、試料を抗胎児性制限抗原抗体と、抗原抗体結合を起こさせるのに十分な時
間相互作用させ、上記の結合の存在または不存在を判定することよりなる。 妊娠20週間より後の羊膜破裂または早産の危険増大を判定するための具体例は
、試料を採取し、その試料中の胎児性制限抗原の存在を判定することよりなる。
試料中の胎児性制限抗原を検定して早期の陣痛および羊膜破裂の危険増大を試験
する具体例は一般に、試料を抗胎児性制限抗原抗体と、抗原抗体結合を起こさせ
るのに十分な時間相互作用させ、上記の結合の存在または不存在を判定すること
よりなる。 本発明記載の検定に使用する試薬には標識した、または未標識の抗妊娠性抗原
抗体、たとえば抗−(hCG)抗体、抗−(hPL)抗体等が含まれる。本発明記載の
検定に使用する他の試薬には抗妊娠性抗原抗体、たとえば抗−(hCG)抗体等が
付着している不溶性担体が含まれる。標識した、または未標識の試薬妊娠性抗原 もまた、本発明記載の試薬である。本発明記載の検定に使用する試薬にはまた、
試薬分析剤(reagent analyte)が付着している不溶性担体、すなわち妊娠性抗
原が付着している担体も含まれる。 本発明記載の検定に使用する試薬には標識した、または未標識の抗分析剤抗体
、すなわち抗胎児性制限抗原抗体、たとえば抗胎児性フィブロネクチン抗体;抗
分析剤類抗体、すなわち抗胎児性制限抗原類抗体、たとえば抗フィブロネクチン
抗体等が含まれる。本発明記載の検定に使用する他の試薬には抗分析剤抗体、す
なわち抗胎児性制限抗原抗体、たとえば抗胎児性フィブロネクチン抗体;抗分析
剤類抗体すなわち抗胎児性制限抗原類抗体、たとえば抗フィブロネクチン抗体等
が付着している不溶性担体が含まれる。標識した、または未標識の胎児性制限抗
原もまた、本発明記載の試薬である。本発明記載の検定に使用する試薬にはまた
、反応性分析剤が付着している不溶性担体、すなわち胎児性制限抗原が付着して
いる不溶性担体も含まれる。 本発明には単独の、または標識抗体との組合わせでの上記試薬の1種よりなる
キットが含まれる。上記の試薬はキット中で適当な形状、たとえば容器、包み等
のいかなるものに入れた形状でも存在し得る。 妊娠の存在および/または情況を判定するための本発明記載の方法は後穹、子
宮頸管または子宮頸部の、特に子宮頸管または子宮頸部の近傍の腟腔より採取し
た試料中の診断指標、特に非制限妊娠性抗原または胎児性制限抗原の存在を判定
することよりなる。 本発明の個々の具体例は正常子宮妊娠、子宮外妊娠、治療的または自発妊娠中
絶の発生、および早期陣痛または羊膜破裂の危険増大の判定に使用する。 非制限妊娠性抗原試験 本発明の具体例の一つには妊娠を判定すべき試料中の妊娠性抗原の検出が含ま
れる。本件発明者らは、検出可能な量のこれらの物質が妊娠初期の3箇月におい
て子宮頸管または子宮頸部の近傍で採取した試料中に存在し、また、妊娠初期の
これらの試料中に検出し得る量で見いだされるであろうことを発見した。 本件明細書中において使用する“妊娠性抗原”の語は、妊娠に対する反応とし
て胎盤組織により、または子宮内の母体組織により形成され、その形成に続いて 本発明に従って試料採取した物質中に存在する抗原性の、または非抗原性の化合
物または物質を意味するものとして定義される。妊娠を判定するために検定する
妊娠性抗原は非制限的な、すなわち母親の血漿、血清または尿中に有意の量で存
在するものである。本発明以前にも、母親の血清、血漿または尿をこれらの物質
の存在について試験して、妊娠を判定していた。これらの物質、たとえばhCGの
生産量が胎盤組織の量により制限されている故に、着床に続く最初の数日間にお
ける生産量は少量であり、母親の体液により急速に希釈される。子宮頸管または
子宮頸部の近傍で採取した試料中に現れる妊娠性抗原は母親の体液による大希釈
を受けたものではなく、明らかに子宮腔内の胎盤組織および母体組織により生産
され、放出されたものであり、着床、すなわち桑実胚(受精卵)の子宮内膜への
付着のほとんど直後に検出可能な量で存在する。本件明細書中で使用する“妊娠
性抗原”の語には抗原性物質、タンパク質、および、その純粋な形状では抗原性
ではないが、抗原が選択的に結合し得る独特なエピトープ(本明細書では「末端
構造」という場合もある)を有する他の物質も含まれる。 同定(identify)された妊娠性抗原はヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、ヒ
ト絨毛性チロトロピン(hCT)、ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)、妊娠特異性糖タ
ンパク質1または妊娠特異性β−糖タンパク質(SP1)、妊娠随伴性血漿タンパ
ク質A(PAPP−A)、妊娠随伴性血漿タンパク質B(PAPP−B)、熱安定性アル
カリフォスファターゼ(HSAP)(S、IおよびF表現型)、シスチンアミノペプ
チダーゼ(CAP)、胎盤タンパク質5(PP5)、胎盤特異性α1−ミクログロブリ
ン(PAMG1)、胎盤随伴性α2−ミクログロブリン(PAMG2)、妊娠随伴性β1−マ
クログロブリン(β1−PAM)、妊娠随伴性α2−マクログロブリン(α2−PAM)
、ヒト絨毛性黄体形成ホルモン放出因子(hCLRF)、ヒト絨毛性チロトロピン放
出ホルモン(hCTRF)、ヒト絨毛性成長ホルモン放出抑制ホルモン(ソマトスタ
チン)、胎盤タンパク質PP20およびPP13、タンパク質B、ならびに初期妊娠性因
子(EPF)である。これらのいずれも胎盤により生産され、精製された、十分に
特性を調査したタンパク質である。 本件明細書中で使用する“抗体”の語は分類IgG、IgM、IgB、IgA、IgDおよびI
gEの抗体、ならびに抗体のFabおよびF(ab′)2分画を含む抗体の選択的結合 分画および抗体の混成(hybrid)誘導体を包含するものとして定義される。抗体
はポリクローナル(本明細書では「ポリクローン」という場合もある)のもので
あってもモノクローナル(本明細書では「モノクローン」という場合もある)の
ものであってもよい。一般に、モノクローン抗体が本発明記載の検定に使用する
のに好ましい。 免疫学的方法はその特異性の故に本発明記載の検定の実施に最も便利であり、
本件明細書中で使用する“免疫学的検定法”の語は抗原と、その抗原の末端構造
と選択的に結合する第2の物質(すなわち結合相手、通常は抗体または抗原結合
部位を有する抗体分画)との選択的結合を用いるいかなる方法をも意味するもの
として定義される。本件明細書中で使用する選択的結合とは、選択的な、かつ、
一般には特異的な、一般には10%未満の、好ましくは5%未満の交差反応的非特
異性結合を示す結合成分間の結合を表す語である。 本発明の範囲内にはたとえばサンドウィッチ法、競争法(competition)、浸
漬棒法(dip stick)、アグロメレーション法、沈澱法、トランジスターブリッ
ジプローブ法、粒子選別法(particle sorting)、光擾乱法(light disturbing
)、光散乱法、および超音波プローブ免疫検定法を含むがこれらに限定されるも
のではない、この段階を含む全ての免疫学的検定法が包含される。適当な免疫学
的検定法には、たとえば放射性同位体、酵素または蛍光原性物質、発色原性物質
もしくは化学発光性物質を標識として使用することができる。 検定すべき試料を子宮頸管または子宮頸部の近傍で採取し、この試料を検定し
て試料中の妊娠抗原の存在または量を測定する。この試料は一般に液体および微
粒状固体よりなり、腟粘液もしくは頸管粘液、他の腟もしくは頸管分泌物、細胞
もしくは細胞破片、羊水、または他の胎児性もしくは母体物質を含有し得る。試
料はダクロンまたは他の繊維のチップを有するスワブ、アスピレーター、吸引手
段、洗浄手段等を用いて採取し、適当な貯蔵容器に移し、試験室に運ぶ。 試料組成物中では不安定な、敏感なタンパク質分析剤を保存し得る体液中に試
料を分散させることが重要である。この貯蔵および輸送用の媒体は貯蔵および輸
送中におけるタンパク質分析剤レベルの低下を防ぐものでなければならない。貯
蔵および輸送用の適当な保存溶液は0.05Mトリス−HCl、pH7.4;0.15M NaCl、 0.02%NaN3、1%BSA、500カリクレイン単位/mlのアプロチニン、1mMフッ化フェ
ニルメチルスルホニル(PMSF)および5mM EDTAよりなり、1988年9月15日に受理
された米国特許出願第244,969号に記載されている。 妊娠性抗原の検出は、子宮頸管または子宮頸部の近傍で採取した試料中の妊娠
性抗原を、妊娠性抗原の末端構造に選択的に結合する抗体と結合させ、この結合
の存在を判定して達成することができる。 本発明のサンドウィッチ免疫検定法の具体例においては、試料を抗妊娠性抗原
抗体が付着している不溶性担体と接触させて、試料中の妊娠性抗原の結合と捕捉
とを実現させる。ついで、この不溶性担体を、不溶性担体に付着している妊娠性
抗原と結合する未標識の、または標識した抗体と接触させて、捕捉された妊娠性
抗原、すなわち二次(secondary)抗体を標識し、測定する。たとえば抗−(hCG
)抗体は不溶性担体に付着させることができ、標識した、または未標識の抗−(
hCG)抗体は捕捉したhCG抗原の標識に使用することができる。二次抗体は物理的
に検出可能な標識を有することができ、これを不溶性担体上で直接に測定するこ
とができる。これに替えて二次抗体を標識しないこともでき、この二次抗体は、
二次抗体と選択的に結合する標識した抗体または抗体分画を有する不溶性担体と
接触させ(すなわち三次(tertiary)抗体)、未結合の標識三次抗体を担体より
分離し、不溶性担体上の標識の存在を測定して判定することができる。膜状基質
を用いるサンドウィッチ免疫検定法の使用が適当である。 上述のものに替えて、試料を競争免疫検定法により試験する。試料は標識試薬
抗体または抗原と混合し、抗妊娠性抗原抗体または試薬妊娠性抗原を付着させた
不溶性担体とともに培養することができる。試薬との間に試料分析剤との結合に
関する競争が起きる。この種の免疫学的検定法を実行する方法および手順は免疫
学的検定技術の熟練者には周知されている。不溶性担体に最後まで結合している
標識または溶液に残留している標識を測定する。 抗−(hCG)ポリクローン抗体およびその製造は米国特許第3,171,783、3,234,
096、3,236,732および3,309,275号に記載されている。抗−(hCG)モノクローン
抗体およびその製造は世界特許WO8404598、日本特許出願62046262(1987年2月2
8日)およびヨーロッパ特許出願210863(1987年2月4日)に記載されて いる。抗−(β−hCG)抗体およびその製造は米国特許第4,116,776、4,123,509
、4,234,561、4,256,629、4,268,435、4,310455、および4,313,871号に記載され
ている。 他の公知の妊娠特異的指標およびこれと選択的に結合する抗体は文献および特
許に広く報告されている。たとえば抗−(SPI)抗体およびその製造は日本特許
出願59174762および59214767に、ならびにエングバル(E.Engvall)ら,癌研究
(Cancer Res.)(1982)に記載されている。α−フェトタンパクおよびその製
造はウオチラ(M.Uotila)ら,分子免疫学(Mol.Immunol.)17:791(1980)およ
びウオチラ(M.Uotila)ら,免疫学方法論雑誌(J.Immunol.Meth.)42:11(1981
)に記載されている。抗−(EPF(初期妊娠性因子))抗体およびその製造は世
界特許WO8605498に記載されている。抗−(hPL(ヒト胎盤ラクトゲン因子))抗
体はその製造とともに米国特許第3,892,841号に記載されている。抗体選択結合
性タンパク質Bは米国特許第4,554,256号に記載されている。抗−(MP1(膜随伴
性胎盤タンパク質))抗体はヨーロッパ特許出願125514(1984年11月21日)に記
載されている。抗−(PP13(胎盤特異性タンパク質))抗体およびその製造は米
国特許第4,500,451号に記載されている。抗−(PP17)抗体およびその製造は米
国特許第4,468,345号に記載されている。抗−(PP20)抗体およびその製造は米
国特許第4,592,863号に記載されている。抗−(PLAP(胎盤アルカリフォスファ
ターゼ))抗体およびその製造はミラン(J.Millan)ら,胎盤タンパク質(Plac
ental Proteins)(上掲,432ページに引用)に記載されている。エストロジェン
(エストリオール)と結合する抗体およびその製造はヨーロッパ特許出願178,68
3(1986年4月23日)に記載されている。プロゲステロンと結合する抗体はハン
ガリア特許出願T37028(1985年11月28日)に記載されている。 抗妊娠性抗原抗体は妊娠性抗原から、好ましくは高度に精製した妊娠性抗原か
ら、通常の抗血清技術またはモノクローン技術により得ることができる。本発明
は、本件明細書中において妊娠性抗原としてのヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG
)の検出に関して記述するが、明瞭性の目的のためであって、限定のためのもの
ではない。いかなる妊娠性抗原の検出も本発明の範囲内のものと考えられる。抗
−(hCG)抗体の製造に関しては上に記述してある。 モノクローンおよびポリクローン抗妊娠性抗原抗体の双方とも、妊娠性抗原か
ら、好ましくは高度に精製した抗原から通常の抗血清技術またはモノクローン技
術により直後に誘導することができる。 本発明記載の検定法に有用な主要な抗体はIgGおよびIgM抗体であるが、IgD、I
gEおよびIgA抗体も十分な量入手し得るならば使用することができる。これらの
抗体は、たとえばミシェル(Mishell)およびシルギ(Shilgi),細胞免疫学の方
法(Seledted Methods in Cellular Immunology),サンフランシスコ:フリー
マン(Freeman)(1980)、ゴディング(J.Goding),モノクローン抗体:原理
と実際(Monocl onal Antibodies:Principles and Practice)ニューヨーク:ア
カデミックプレス,111−114ページ(1983)、ならびにパリク(Parikh)ら,C&E
N(1985年8月26日)に記載されているような通常の親和性(affinity)クロマ
トグラフィー技術を用いて親和性精製する。 本発明記載のキットおよび方法における使用に適した選択的結合抗体分画は、
個々のモノクローン抗体またはポリクローン抗体から通常の酵素的または化学的
分画法により製造することができる。適当な方法は、たとえばティーッセン(P.
Tijssen),生化学および分子生物学における実験室技術:酵素免疫検定法の実
際と理論(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Pr
actice and Theories of Enzyme Immunoassays),ニューヨーク:エルゼビア(
Elsevier)(1985)に記載されている。ポリクローン抗妊娠性抗原抗体はウサギ
、モルモット、ラットまたはヤギのような動物に、濃縮した妊娠性抗原、たとえ
ばhCGに対する免疫性を与え、免疫性を得た動物から血清を採取し、たとえば硫
酸アンモニウム沈澱法により血清からイムノグロブリンを分離して得ることがで
きる。 親和性クロマトグラフィーにおける使用に適した吸収剤には、抗妊娠性抗原抗
体が共有結合している架橋アガロースおよび架橋ポリアクリルアミドが含まれる
。他のホルモンまたは組織と交差反応する抗体を除去するには、これらの物質が
結合するカラムに抗体血清を通す。ついで、溶離液の残留抗体を含有する部分を
hCGのカラムに通し、溶離して親和性精製した抗体を得ることができる。 これらの工程においては、リン酸塩緩衝溶液を加えた食塩水中でカラムに抗体 溶液を適用し、pH8.0の2.5M NaSCN溶液を用いて抗体を溶離することができる。
所望ならば、負圧透析(negative pressure dialysis)または超遠心により抗体
を濃縮することができる。この抗体溶液は4℃、またはそれ以下の温度で安定で
ある。所望の分離と純度とが達成されるまで、カラム分離工程の反復を継続する
。 モノクローン抗妊娠性抗原抗体は、マウスに妊娠性抗原に対する免疫性を持た
せて混成用の脾臓細胞を得る、ゴーフル(Galfre)およびミルシュタイン(Mils
tein),酵素学の方法(Meth.Enzym.)73:1(1981)の方法により得ることがで
きる。適当な方法はゴディング(J.Goding),モノクローン抗体:原理と実際,5
6−97ページに記載されている。 サンドウィッチ免疫検定法:試料中の妊娠性抗原を測定するための本発明記載の
サンドウィッチ免疫検定法の具体例においては、抗妊娠性抗原抗体が付着してい
る不溶性担体を水性緩衝溶液、たとえばpH6ないし8、好ましくは7.2ないし7.6
のリン酸塩緩衝溶液(PBS)で希釈した試料と、試料中の妊娠性抗原を不溶性担
体上の抗妊娠性抗原抗体と結合させるのに十分な時間接触させる。ついで、試料
を担体から取り出す。培養時間はかなりの結合を生じさせるのに十分なものであ
るべきであり、温度に応じて変化する。適当な培養時間は、16ないし40℃の範囲
の温度では30ないし240分であり、好ましい接触時間は20ないし26℃の範囲の温
度で少なくとも60分である。 ついで、洗浄溶液を用いて残留試料溶液を担体より取り出す。通常の洗浄溶液
のいかなるものも使用することができる。適当な洗浄溶液は米国特許第4,528,26
7号に記載されている。この洗浄溶液は、0.0001ないし0.05のリン酸塩モル濃度
と6ないし8のpHとを有し、0.001ないし0.1重量%の非イオン性界面活性剤を含
有する水性リン酸塩緩衝溶液である。適当な非イオン性界面活性剤にはポリオキ
シエチレンエーテル(BRIJ、たとえばラウリル、セチル、オレイル、ステアリル
、およびトリデシルポリオキシエチレンエーテル);ポリオキシエチレンソルブ
タン(トゥイーン(Tween)、たとえば一ラウリン酸、一パルミチン酸、一ステ
アリン酸、一オレイン酸、および三オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタール
);ならびに他のポリオキシエチレンエーテル(たとえばトリトン(Triton))
が含まれる。好ましい非イオン性界面活性剤は、40個の酸化エチレ ン単位を有するオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(トリトンX−405
、ローム・アンド・ハース社)である。 ついで、不溶性担体を、その不溶性担体上に捕捉された妊娠性抗原と結合する
抗体、すなわちサンドウィッチ抗体と接触させる。サンドウィッチ抗体は標識し
てあるものであっても未標識のものであってもよい。未標識のサンドウィッチ抗
体を使用する場合には、サンドウィッチ抗体と結合し、物理的に検出可能な標識
を保持する三次抗体を、通常の手法でサンドウィッチ抗体の測定に使用すること
ができる。 本件明細書には多様な標識が記述される。明瞭性の目的で、しかし限定のため
ではなく、本件方法の次の各段階を酵素、好ましくは発色原性または蛍光原性酵
素で標識した抗妊娠性抗原抗体に関して記述する。本件明細書中においては、“
発色原性酵素”の語は適当な基質と反応して発色団生成物を生成する酵素を表す
ものとして定義される。本件明細書においては、“蛍光原酵素”の語は適当な基
質と反応して蛍光団生成物を生成する酵素を表すものとして定義される。 水溶液中で、不溶性担体にサンドウィッチ抗体を付着させる。この溶液は好ま
しくは、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、適当な塩および緩衝剤
を含有する。この溶液はたとえばウシ血清アルブミン(BSA)、リン酸塩緩衝溶
液(PBS)、および穏和な界面活性剤、たとえば上記の洗浄溶液中に使用するポ
リオキシエチレンソルビタンエステルを含有することができる。培養はサンドウ
ィッチ抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体に付着している暴露された妊娠
性抗原末端構造と結合させるのに十分な時間継続する。好ましい培養時間はおよ
び温度は、不溶化された試薬抗妊娠性抗原抗体と妊娠性抗原との結合に関して述
べたものと同様である。ついで、不溶性担体からサンドウィッチ抗体溶液を取り
出し、担体をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合物質があ
れば、これを除去する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであれば、酸素標識抗体またはサンドウィ
ッチ抗体と選択的に結合する他の結合剤を水溶液中で不溶性担体に適用する。こ
の溶液は好ましくは、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、たとえば
上記のような適当な塩および緩衝剤を含有する。培養は、標識した抗サンドウィ ッチ抗体抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体に付着している暴露されたサ
ンドウィッチ抗体末端構造と結合させるのに十分な時間継続する。好ましい培養
時間はおよび温度は、不溶化された試薬抗妊娠性抗原抗体と試料妊娠性抗原との
結合に関して述べたものと同様である。ついで、不溶性担体から標識抗体溶液を
取り出し、担体をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合物質
があれば、これを除去する。 サンドウィッチ法の次の段階においては、不溶性担体を酵素の存在下で反応し
て溶液中に蛍光体化合物または発色原化合物を放出する基質の水溶液と接触させ
る。適当な基質とこれを転化させることのできる酵素とは、たとえば米国特許第
4,190,496および4,528,267号に記載されている。担体を10-2ないし10-10モル濃
度の基質を含有する基質水溶液と接触させる。10-4ないし10-5の基質モル濃度が
好ましい。基質溶液中の好ましい付加的な試薬および緩衝剤には、たとえば2−
アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝剤、トリス(Tris)、および塩化マ
グネシウムが含まれる。 基質溶液を不溶性担体とともに、蛍光体または発色団を得る反応を起こさせる
のに十分な時間培養する。18ないし40℃の温度でにおいては5ないし240分の培
養時間を使用し得る。この温度は好ましくは20ないし26℃の範囲であり、培養時
間は30ないし90分である。 ついで、溶液中の蛍光体または発色団のレベルを測定する。基質溶液中の蛍光
体レベルまたは発色団レベル測定用の装置および手順は当該技術で通常使用され
るものである。溶液中の蛍光体または発色団のレベルは不溶性担体上の酵素濃度
に依存し、後者はさらに試料中の妊娠性抗原の量に依存する。妊娠性抗原の濃度
は、溶液の蛍光体または発色団のレベルを、それぞれ、既知濃度の妊娠性抗原を
含有する対照溶液で得た蛍光体または発色団のレベルと比較することにより測定
する。 膜免疫検定:試料中の妊娠性抗原を測定する本発明記載の膜免疫検定の具体例に
おいては、抗妊娠性抗原抗体が付着している不溶性担体を水性緩衝溶液、たとえ
ばpH6ないし8の、好ましくは7.2ないし7.6のリン酸塩緩衝溶液(PBS)で希釈し
た試料と、試料中の妊娠性抗体を不溶性担体上の抗妊娠性抗原抗体と結合させる のに十分な時間接触させる。結合に必要な時間は、流通系においては極めて短い
。適当な培養時間は、16ないし40℃の範囲の温度では1秒ないし20分以内が可能
で、この場合の好ましい接触時間は1分以内であり、最適培養時間は10秒ないし
2分である。 ついで、不溶性担体を、この不溶性担体上に捕捉された妊娠性抗原と結合する
抗体、即ちサンドウィッチ抗体と接触させる。サンドウィッチ抗体は標識したも
のであっても未標識のものであってもよい。未標識のサンドウィッチ抗体を使用
する場合には、サンドウィッチ抗体と係合し、物理的に検出可能な標識を保持す
る三次抗体を使用して、通常の手法でサンドウィッチ抗体を測定することができ
る。 本件明細書には種々の標識が記載されている。明瞭性の目的で、しかし限定の
ためではなく、本件方法の次の各段階を酵素、好ましくは蛍光原性または発色原
性酵素により標識された抗妊娠性抗原抗体に関して記述する。 サンドウィッチ抗体を水溶液中で不溶性担体に適用する。この溶液は好ましく
は、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、適当な塩および緩衝剤を含
有する。この溶液はたとえばウシ血清アルブミン(BSA)、リン酸塩緩衝溶液(P
BS)、および穏和な界面活性剤、たとえば上記の洗浄溶液中に使用するポリオキ
シエチレンソルビタンエステルを含有することができる。培養は、サンドウィッ
チ抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体に付着している暴露された妊娠性抗
原末端構造と結合させるのに十分な時間継続する。好ましい培養時間はおよび温
度は、不溶化された試薬抗妊娠性抗原抗体と試料妊娠性抗原との結合に関して述
べたものと同様である。 任意に、不溶性担体からサンドウィッチ抗体溶液を取り出すことができ、担体
をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、
これを除去する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであれば、酵素標識抗体またはサンドウィ
ッチ抗体と選択的に結合する他の結合剤を水溶液中で不溶性担体に適用する。こ
の溶液は好ましくは、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、たとえば
上記のような適当な塩および緩衝剤を含有する。培養は、標識した抗サンドウィ ッチ抗体抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体に付着したサンドウィッチ抗
体の末端構造と結合させるのに十分な時間継続する。好ましい培養時間はおよび
温度は、不溶化された試薬光サンドウィッチ抗体抗体と試料妊娠性抗原との結合
に関して述べたものと同様である。 ついで、不溶性担体から標識抗体溶液を取り出し、担体をたとえば上記の洗浄
溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、これを除去する。 本発明記載の膜サンドウィッチ法の次の段階においては、不溶性担体を、酵素
の存在下に反応して蛍光原性化合物または発色原性化合物を溶液中に放出する基
質の水溶液と接触させる、適当な基質およびこれを転化させ得る酵素、ならびに
付加的化合物および緩衝剤は上に記述してある。 基質溶液を不溶性担体とともに、蛍光体または発色団を得る反応が起こるのに
十分な時間培養する。18ないし40℃の温度においては1ないし20分の培養時間を
使用することができる。好ましくは、温度は20ないし26℃の範囲であり、培養時
間は2ないし5分である。膜上の蛍光原または発色原のレベルは反射計または光
学密度計により測定することができる。 競争免疫検定法:標識試薬妊娠性抗原を用いる本発明記載の競争法の具体例は、
試料と標識試薬妊娠性抗原との混合物を不溶性担体に付着している抗妊娠性抗原
抗体と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に残留する標識の量を測
定することよりなる。 標識抗妊娠性抗原抗体を用いる本発明記載の競争法の具体例は複数の形態が可
能である。不溶性担体に結合している抗妊娠性抗原抗体を用いる具体例の一つは
、試料と標識抗妊娠性抗原抗体との混合物を不溶性担体に付着している抗妊娠性
抗原抗体と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に残留する標識の量
を測定することよりなる。不溶性担体に結合している試薬妊娠性抗原を用いる具
体例の他の一つは、試料と標識抗妊娠性抗原抗体との混合物を不溶性担体に付着
している妊娠性抗原と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に残留す
る標識の量を測定することよりなる。 これらの方法のいずれにおいても、試料をサンドウィッチ免疫検定法の具体例
に関して上に記述したものと同様にして緩衝溶液で希釈し、培養し、標識測定す る。不溶性担体上に、または溶液中に残留する標識の量は試料中の分析剤の量に
依存して変化するものとして、制限試薬の濃度は試薬間で競争的に結合を起こさ
せるように選択する。これらの方法は一般に周知のものであり、工程の最適化の
ためにこれらをどのように変更するかは、完全に免疫学的検定法の熟練者の知識
の範囲内にある。 抗妊娠性抗原抗体と試料中の妊娠性抗原との結合はまた、試料中の妊娠性抗原
により抗妊娠性抗原抗体が付着した粒子の集積、抗原抗体反応による抗体の沈澱
、または、半導体ブリッジプローブ、たとえば米国特許第4,647,544号に記載さ
れた光擾乱パターン等を用いる、抗原抗体結合に起こる物理的もしくは電気的変
化の観測によっても判定することができる。 試料中の非制限妊娠性抗体の存在の判定は妊娠を示す。 本発明の範囲内に包含される非制限妊娠性抗原試験キットには、試料採取手段
と、(a)不溶性担体に付着している抗妊娠性抗原抗体;(b)不溶性担体に付
着している抗妊娠性抗原抗体と標識抗妊娠性抗原抗体もしくは標識試薬妊娠性抗
原との組合わせ;または(c)不溶性担体に付着している試薬妊娠性抗原および
標識抗妊娠性抗原抗体との組合わせが含まれる。 本発明記載のキットはさらに、試料中の妊娠性抗原および胎児性制限抗原の双
方を判定するための組合わせ;試料輸送および貯蔵用の緩衝剤;本発明記載の試
薬用のガラスびん(vial)、箔包み(foil package)または他の容器;個別のガ
ラスびんまたは他の容器に入れた付加的な試薬、たとえば酵素試薬;抗体抗原結
合の存在および広がりを判定するための機械的または光学的手段;ならびにこれ
らの組合わせをも包含することができる。試料採取手段たとえば試料採取用スワ
ブならびに輸送および貯蔵用の緩衝剤を含ませることもできる。本件キットの個
々の部分は便宜な形状、たとえばガラスびん、箔包み、または他の容器のいかな
るものにも包装することができる。たとえば、箔包み中の不溶性担体構造はガラ
スびん、または他の容器中において他の試薬と組み合わされていることができる
。 胎児性制限抗原妊娠試験 妊娠試験の具体例は、子宮頸管または子宮頸部の近傍で採取した試料中の胎児 性制限抗原、すなわち特異的に胎児性の、または胎盤性の中心物質の検出を包含
する。本件発明者らは、検出可能な量のこれらの物質が妊娠初期の20週間におけ
るこの種の試料中に存在することを見いだした。胎児性制限抗原は母親の血液中
には有意の量で存在しないので、試料中の母親の血液の存在はこの試験を妨害し
ない。 本件明細書中で使用する“胎児性制限抗原”の語は、母親の血清、血漿または
尿中には存在しないかまたは母親の血清、血漿または尿中には有意の量で存在し
ない特異的に胎児性の、または胎盤性の誘導物質を意味するものとして定義され
る。抗原性物質と、タンパク質およびその純粋な形状では抗原性でないが抗体と
特異的に、または選択的に結合し得る独特な末端構造を有する他の物質との双方
を含み、この定義に合致するいかなる物質も、この語の意味に包含されると考え
られる。胎児性制限抗原の例は、マツウラ(H.Matuura)およびハコモリ(S.Hak
omori),米国国立科学アカデミー報文集(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.)82:6517
−6521(1985)に記載されたFDC−6モノクローン抗体と特異的に結合する胎児
性フィブロネクチンである。 本件明細書中で使用する“胎児性制限抗原類”の語は、胎児性制限抗原がその
成員である抗原の類またはグループを意味するものとして定義される。たとえば
胎児性フィブロネクチンはヒトフィブロネクチングループまたは類の胎児性制限
成員である。 本件明細書中で使用する“抗体”の語は、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEの
類の抗体と、選択的結合分画ならびに抗体のFabおよびF(ab′)2分画を含む各
抗体の混成誘導体を包含するものとして定義される。抗体はポリクローンのもの
であってもモノクローンのものであってもよい。一般には、モノクローン抗体が
本発明記載の検定法における使用に好適である。 免疫学的方法は、その特異性の故に本発明記載の検定法を行うのに最も便利で
あり、本件明細書中で使用する“免疫学的検定法”の語は、抗原と、抗原の末端
構造に選択的に結合する第2の物質(すなわち結合相手、通常は抗体または抗原
結合部位を有する抗体分画)との選択的結合を用いるいかなる方法をも意味する
ものとして定義される。本件明細書中で使用する選択的結合は選択的な、かつ一 般的には特異的な結合であり、また、一般的には10%未満の、好ましくは5%未
満の交差反応性非特異的結合を示す結合成員間の結合を表す。たとえば、反応剤
が胎児性フィブロネクチンである場合には抗胎児性フィブロネクチン抗体は成人
フィブロネクチンとは10%未満の、好ましくは5%未満の交差反応性を有する。 たとえばサンドウィッチ法、競争法、浸漬棒法、アグロメレーション法、沈澱
法、トランジスターブリッジプローブ法、粒子選別法、光擾乱法、光散乱法、お
よび超音波プローブ免疫検定法を含むがこれらに限定されるものではない、この
段階を含む全ての免疫学的検定法が本発明の範囲に包含される。適当な免疫学的
検定法には、たとえば放射性同位体、酵素または蛍光原性物質、発色原性物質も
しくは化学発光性物質を標識として使用することができる。 検定すべき試料を子宮頸管または子宮頸部の近傍で採取し、この試料を検定し
て試料中の胎児性制限抗原の存在または量を測定する。この試料は一般に液体お
よび微粒状固体よりなり、腟粘液もしくは頸管粘液、他の腟もしくは頸管分泌物
、細胞もしくは細胞破片、羊水、または他の胎児性もしくは母体性物質を含有し
得る。試料はダクロンまたは他の繊維のチップを有するスワブ、アスピレーター
、吸引手段、洗浄手段等を用いて採取し、適当な貯蔵容器に移し、試験室に運ぶ
。 試料組成物中では不安定な、敏感なタンパク質分析剤を保存し得る体液中に試
料を分散させることが重要である。この貯蔵および輸送用の媒体は貯蔵および輸
送中におけるタンパク質分析剤レベルの低下を防ぐものでなければならない。貯
蔵および輸送用の適当な保存溶液は0.05Mトリス−HCl、pH7.4;0.15M NaCl、0.02
%NaN3、1%BSA、500カリクレイン単位/mlのアプロチニン、1mMフッ化フェニル
メチルスルホニル(PMSF)および5mM EDTAよりなり、1988年9月15日に受理され
た米国特許出願第244,969号に記載されている。 胎児性制限抗原の検出は、試料中の胎児性制限抗原を、胎児性制限抗原の末端
構造に選択的に結合する抗体と結合させ、この結合の存在または不存在を判定し
て達成することができる。 胎児性制限抗原のためのサンドウィッチ免疫検定法の一例においては、試料を
抗胎児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体と接触させて、試料中の胎児性
制限抗原の不溶性担体への結合を実現させる。ついで、この不溶性担体を、不溶 性担体に付着している胎児性制限抗原と結合する二次抗体、未標識の、または標
識した抗胎児性制限抗原抗体を接触させて、捕捉された胎児性制限抗原を標識し
、測定する。 分析剤胎児性制限抗原を含む物質の類と結合する抗体は特異的抗胎児性制限抗
原抗体捕捉抗体または特異的抗胎児性制限抗原抗体サンドウィッチ抗体と置き換
えることができる。たとえば抗胎児性フィブロネクチン抗体は不溶性担体に付着
させることができ、標識した、または未標識の抗フィブロネクチン抗体は捕捉し
た抗原の標識に使用することができる。これに替えて抗フィブロネクチン抗体を
不溶性担体に付着させ、標識した、または未標識の抗胎児性フィブロネクチン抗
体を捕捉した抗原の標識に使用することもできる。この二次抗体は不溶性担体上
で直接に測定し得る物理的に検出可能な標識を有することもできる。これに替え
て、二次抗体を標識しないこともでき、この二次抗体は、二次抗体と選択的に結
合する標識した抗体または抗体分画を有する不溶性担体と接触させ(すなわち三
次抗体)、未結合の標識三次抗体を担体より分離し、不溶性担体上の標識の存在
を測定して判定することができる。膜状基質を用いるサンドウィッチ免疫検定法
の使用が適当である。 この試料はまた、競争免疫検定法により試験することもできる。試料を標識試
薬抗体または抗原と混合し、抗胎児性制限抗原抗体または試薬胎児性制限抗原を
付着させた不溶性担体とともに培養する。試薬との間に試料分析剤との結合に関
する競争が起きる。この種の免疫学的検定法を実行する方法および手順は免疫学
的検定技術の熟練者には周知されている。最後に不溶性担体に結合している標識
、または溶液に残留している標識を測定する。 抗胎児性制限抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した胎児性制
限抗原から、通常の抗血清技術またはモノクローン技術により得られる。本発明
は、本件明細書中において胎児性制限抗原としての胎児性フィブロネクチンの検
出に関して記述するが、明瞭性の目的のためであって、限定のためのものではな
い。いかなる胎児性制限抗原の検出も本発明の範囲内のものと考えられる。胎児
性フィブロネクチンはエングバル(Engvall)およびルオスラーティ(Ruoslahti
),国際癌雑誌(Int.J.Cancer)20:1−5(1977)の記載と同様に して羊水より精製する。抗胎児性フィブロネクチン抗体は胎児性フィブロネクチ
ンから、通常の抗血清技術により、またはモノクローン抗体技術により誘導する
ことができる。 モノクローンおよびポリクローン抗胎児性制限抗原抗体の双方、または抗胎児
性制限抗原抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した抗原から通常
の抗血清技術またはモノクローン技術により直後に誘導することができる。 本発明記載の検定法に有用な主要な抗体はIgGおよびIgM抗体であるが、IgD、I
gEおよびIgA抗体も十分な量入手し得るならば使用することができる。これらの
抗体は、たとえばミシェル(Mishell)およびシルギ(Shilgi),細胞免疫学の
方法(Seledted Methods in Cellular Immunology),サンフランシスコ:フリ
ーマン(Freeman)(1980)、ゴディング(J.Goding),モノクローン抗体:原
理と実際(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)ニューヨーク:
アカデミックプレス,111−114ページ(1983)、ならびにパリク(Parikh)ら,C
&EN(1985年8月26日)に記載されているような通常の親和性クロマトグラフィ
ー技術を用いて親和性精製する。 本発明記載のキットおよび方法における使用に適した選択的結合抗体分画は、
個々のモノクローン抗体またはポリクローン抗体から通常の酵素的または化学的
分画法により製造することができる。適当な方法は、たとえばティーッセン(P.
Tijssen),生化学および分子生物学における実験室技術:酵素免疫検定法の実
際と理論(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Pr
actice and Theories of Enzyme Immunoassays),ニューヨーク:エルゼビア(
Elsevier)(1985)に記載されている。 ポリクローン抗胎児性制限抗原抗体はウサギ、モルモット、ラットまたはヤギ
のような動物に、濃縮した胎児性制限抗原、たとえば胎児性フィブロネクチンに
対する免疫性を与え、免疫性を得た動物から血清を採取し、たとえば硫酸アンモ
ニウム沈澱法により血清からイムノグロブリンを分離することにより得られる。 親和性クロマトグラフィーにおける使用に適した吸収剤には、抗胎児性制限抗
原抗体が共有結合している架橋アガロースおよび架橋ポリアクリルアミドが含ま
れる。成人性フィブロネクチンと交差反応する抗体を除去するには、成人性フィ ブロネクチンが結合するカラムに抗体血清を通す。ついで、溶離液の残留抗体を
含有する部分を胎児性フィブロネクチンのカラムに通し、溶離して親和性精製し
た抗体を得ることができる。 これらの工程においては、リン酸塩緩衝溶液を加えた食塩水中でカラムに抗体
溶液を適用し、pH8.0の2.5M NaSCN溶液を用いて抗体を溶離することができる。
所望ならば、負圧透析または超遠心により抗体を濃縮することができる。この抗
体溶液は4℃、またはそれ以下の温度で安定である。所望の分離と純度とが達成
されるまで、カラム分離工程の反復を継続する。 胎児性フィブロネクチンの製造には、腫瘍フィブロネクチンを胎児性フィブロ
ネクチンに替えて、マツウラ(H.Matuura)およびハコモリ(S.Hakomori),米
国国立科学アカデミー報文集(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.)82:6517−6521(1985
)に記載された方法に従うことができる。抗胎児性制限抗原類抗体のポリクロー
ンおよびモノクローン変種の双方との周知物質であり、商業的に入手可能である
か、またはヒブリドーマ寄託機関(hybridoma deposit)より公共的に入手可能
である。たとえば抗フィブロネクチンモノクローン抗体はATCC HB 91(アメリカ
形態培養集積所(American Type Culture Collection),ロックビル(Rockvill
e,MD))のクローン試料より誘導される。この種の抗体の他のものは、日本特許
出願60091264(ダイアログ(Dialog)データベースファイル351,WPI登録番号85
−161617/27)および米国特許第4,325,867号に記載されている。 サンドウィッチ免疫検定法:試料中の胎児性制限抗原を測定するための本発明記
載のサンドウィッチ法の具体例においては、抗胎児性制限抗原抗体が付着してい
る不溶性担体を水性緩衝溶液、たとえばpH6ないし8、好ましくは7.2ないし7.6
のリン酸塩緩衝溶液(PBS)で希釈した試料と、試料中の胎児性制限抗原を不溶
性担体上の抗胎児性制限抗原抗体と結合させるのに十分な時間接触させ、ついで
、試料を担体から取り出す。培養時間はかなりの結合を生じさせるのに十分なも
のであるべきであり、温度に応じて変化する。適当な培養時間は、16ないし40℃
の範囲の温度では30ないし240分であり、好ましい接触時間は20ないし26℃の範
囲の温度で少なくとも60分である。 ついで、洗浄溶液を用いて残留試料溶液を担体より取り出す。通常の洗浄溶液 のいかなるものも使用することができる。適当な洗浄溶液は米国特許第4,528,26
7号に記載されている。この洗浄溶液は、0.0001ないし0.05のリン酸塩モル濃度
と6ないし8のpHとを有し、0.001ないし0.1重量%の非イオン性界面活性剤を含
有する水性リン酸塩緩衝溶液である。適当な非イオン性界面活性剤にはポリオキ
シエチレンエーテル(BRIJ、たとえばラウリル、セチル、オレイル、ステアリル
、およびトリデシルポリオキシエチレンエーテル);ポリオキシエチレンソルビ
タン(トゥイーン、たとえば一ラウリン酸、一パルミチン酸、一ステアリン酸、
一オレイン酸、および三オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタール);ならび
に他のポリオキシエチレンエーテル(たとえばトリトン)が含まれる。好ましい
非イオン性界面活性剤は、40個の酸化エチレン単位を有するオクチルフェノキシ
ポリエトキシエタノール(トリトンX−405、ローム・アンド・ハース社)であ
る。 ついで、不溶性担体を、その不溶性担体上に捕捉された胎児性制限抗原と結合
する抗体、すなわちサンドウィッチ抗体と接触させる。サンドウィッチ抗体は抗
胎児性制限抗原抗体であってもよく、抗胎児性制限抗原類抗体であってもよい。
サンドウィッチ抗体は標識してあるものであっても未標識のものであってもよい
。未標識のサンドウィッチ抗体を使用する場合には、サンドウィッチ抗体と結合
し、物理的に検出可能な標識を保持する三次抗体を、通常の手法でサンドウィッ
チ抗体の測定に使用することができる。 本件明細書には多様の標識が記述される。明瞭性の目的で、しかし限定のため
ではなく、本件方法の次の各段階を酵素、好ましくは発色原性または蛍光原性酵
素で標識した抗胎児性制限抗原抗体に関して記述する。本件明細書において、“
発色原性酵素”の語は適当な基質と反応して発色団生成物を生成する酵素を表す
ものとして定義される。本件明細書において、“蛍光原性酵素”の語は適当な基
質と反応して蛍光体生成物を生成する酵素を表すものとして定義される。 水溶液中で、不溶性担体にサンドウィッチ抗体を適用する。この溶液は好まし
くは、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、適当な塩および緩衝剤を
含有する。この溶液はたとえばウシ血清アルブミン(BSA)、リン酸塩緩衝溶液
(PBS)、および穏和な界面活性剤、たとえば上記の洗浄溶液中に使用するポリ オキシエチレンソルビタンエステルを含有することができる。培養はサンドウィ
ッチ抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体に付着している暴露された胎児性
制限抗原の末端構造と結合させるのに十分な時間継続する。好ましい培養時間は
および温度は、不溶化された試薬抗胎児性制限抗原抗体と試料胎児性制限抗原と
の結合に関して上に述べたものと同様である。 ついで、不溶性担体からサンドウィッチ抗体溶液を取り出し、担体をたとえば
上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合物質があれば、これを除去する
。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであれば、酵素標識抗体またはサンドウィ
ッチ抗体と選択的に結合する他の結合剤を水溶液中で不溶性担体に適用する。こ
の溶液は好ましくは、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、たとえば
上記のような適当な塩および緩衝剤を含有する。培養は、標識した抗サンドウィ
ッチ抗体抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体に付着している暴露されたサ
ンドウィッチ抗体末端構造と結合させるのに十分な時間継続する。好ましい培養
時間はおよび温度は、不溶化された試薬抗胎児性制限抗原抗体と試料胎児性制限
抗原との結合に関して述べたものと同様である。 ついで、不溶性担体から標識抗体溶液を取り出し、拒体をたとえば上記の洗浄
溶液で洗浄して、残留している非結合物質があれば、これを除去する。 次の段階においては、不溶性担体の酵素の存在下で反応して溶液中に蛍光体化
合物または発色原化合物を放出する基質の水溶液と接触させる。適当な基質とこ
れを転化させることのできる酵素とは、たとえば米国特許第4,190,496および4,5
28,267号に記載されている。担体を10-2ないし10-10モル濃度の基質を含有する
基質水溶液と接触させる。10-4ないし10-5の基質モル濃度が好ましい。基質溶液
中の好ましい付加的な試薬および緩衝剤には、たとえば2−アミノ−2−メチル
−1−プロパノール緩衝剤、および塩化マグネシウムが含まれる。 基質溶液を不溶性担体とともに、蛍光体または発色団を得る反応を起こさせる
のに十分な時間培養する。18ないし40℃の温度でにおいては5ないし240分の培
養時間を使用し得る。この温度は好ましくは20ないし26℃の範囲であり、培養時
間は30ないし90分である。 ついで、溶液中の蛍光体または発色団のレベルを測定する。基質溶液中の蛍光 体レベルまたは発色団レベル測定用の装置および手順は当該技術で通常使用され
るものである。溶液中の蛍光体または発色団のレベルは不溶性担体上の酵素濃度
に依存し、さらには試料中の胎児性制限抗原の量に依存する。胎児性制限抗原の
濃度は、溶液の蛍光体または発色団のレベルを、それぞれ、既知濃度の胎児性制
限抗原を含有する対照溶液で得た蛍光体または発色団のレベルと比較することに
より測定する。 本件サンドウィッチ法は、捕捉抗体またはサンドウィッチ抗体として胎児性制
限抗原類結合性抗体を使用するために変更することができる。これらの具体例に
おいては、抗胎児性制限抗原類抗体、たとえば抗フィブロネクチン抗体を不溶性
担体に付着させ、標識した、または未標識の抗胎児性制限抗原抗体をサンドウィ
ッチ抗体として適用する。これに替えて、抗胎児性制限抗原抗体を不溶性担体に
付着させ、標識した、または未標識の抗胎児性制限抗原類抗体を用いて捕捉され
た抗原をサンドウィッチすることもできる。 膜免疫検定:試料中の胎児性制限抗原を測定する本発明記載の膜検定法の具体例
においては、抗胎児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体を水性緩衝溶液、
たとえばpH6ないし8の、好ましくは7.2ないし7.6のリン酸塩緩衝溶液(PBS)で
希釈した試料と、試料中の胎児性制限抗原を不溶性担体上の抗胎児性制限抗原抗
体と結合させるのに十分な時間接触させる。結合に必要な時間は、流通系におい
ては極めて短い。適当な培養時間は、16ないし40℃の範囲の温度では1秒ないし
20分以内が可能で、この場合の好ましい触媒時間は1分以内であり、最適培養時
間は10秒ないし2分である。 ついで、不溶性担体を、この不溶性担体上に捕捉された胎児性制限抗原と結合
する抗体、すなわちサンドウィッチ抗体と接触させる。サンドウィッチ抗体は標
識したものであっても未標識のものであってもよい。未標識のサンドウィッチ抗
体を使用する場合には、サンドウィッチ抗体と結合し、物理的に検出可能な標識
を保持する三次抗体を使用して、通常の手法でサンドウィッチ抗体を測定するこ
とができる。 本件明細書には種々の標識が記載されている。明瞭性の目的で、しかし限定の
ためではなく、本件方法の次の各段階を酵素、好ましくは蛍光原性または発色原 性酵素により標識された抗胎児性制限抗原抗体に関して記述する。 サンドウィッチ抗体を水溶液中で不溶性担体に適用する。この溶液は好ましく
は、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、適当な塩および緩衝剤を含
有する。この溶液はたとえばウシ血清アルブミン(BSA)、リン酸塩緩衝溶液(P
BS)、および穏和な界面活性剤、たとえば上記の洗浄溶液中に使用するポリオキ
シエチレンソルビタンエステルを含有することができる。培養は、サンドウィッ
チ抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体に付着している暴露された胎児性制
限抗原末端構造と結合させるのに十分な時間継続する。好ましい培養時間はおよ
び温度は、不溶化された試薬抗胎児性制限抗原抗体と試料胎児性制限抗原との結
合に関して述べたものと同様である。 任意に、不溶性担体からサンドウィッチ抗体溶液を取り出すことができ、担体
をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、
これを除去する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであれば、酵素標識抗体またはサンドウィ
ッチ抗体と選択的に結合する他の結合剤を水溶液中で不溶性担体に適用する。こ
の溶液は好ましくは、反応剤を保存し、結合反応を容易にするために、適当な塩
および緩衝剤を含有する。この溶液はたとえばウシ血清アルブミン(BSA)、リ
ン酸塩緩衝溶液(PBS)、および穏和な界面活性剤、たとえば上記の洗浄溶液中
に使用するポリオキシエチレンソルビタンエステルを含有することができる。培
養は、標識した抗サンドウィッチ抗原抗体を、いかなるものにせよ、不溶性担体
に付着したサンドウィッチ抗体の末端構造と連結させるのに十分な時間継続する
。好ましい培養時間はおよび温度は、不溶化された試薬抗胎児性制限抗原抗体と
試料胎児性制限抗原との結合に関して述べたものと同様である。 ついで、不溶性担体から標識抗体溶液を取り出し、担体をたとえば上記の洗浄
溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、これを除去する。 本発明記載の膜サンドウィッチ法の次の段階においては、不溶性担体を、酵素
の存在下に反応して蛍光原性化合物または発色原性化合物を溶液中に放出する基
質の水溶液と接触させる。適当な基質およびこれを転化させ得る酵素、ならびに
付加的化合物および緩衝剤は上に記述してある。 基質溶液を不溶性担体とともに、蛍光体または発色団を得る反応が起こるのに
十分な時間培養する。18ないし40℃の温度においては1ないし20分の培養時間を
使用することができる。好ましくは、温度は20ないし26℃の範囲であり、培養時
間は2ないし5分である。膜上の蛍光原または発色原のレベルは反射計または光
学密度計を用いて測定することができる。 競争免疫検定法:標識試薬胎児性制限抗原を用いる本発明記載の競争法の具体例
は、試料と標識試薬胎児性制限抗原との混合物を不溶性担体に付着している抗胎
児性制限抗原抗体と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に残留する
標識の量を測定することよりなる。 標識抗胎児性制限抗原抗体を用いる本発明記載の競争法の具体例は複数の形態
が可能である。不溶性担体に結合している抗胎児性制限抗原抗体を用いる一つの
具体例は、試料と標識抗胎児性制限抗原抗体との混合物を不溶性担体に付着して
いる抗胎児性制限抗原抗体と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に
残留する標識の量を測定することよりなる。不溶性担体に結合している試薬胎児
性制限抗原を用いる他の一つの具体例は、試料と標識抗胎児性制限抗原抗体との
混合物を不溶性担体に付着している胎児性制限抗原と接触させ、不溶性担体と結
合する、または溶液相に残留する標識の量を測定することよりなる。 これらの方法のいずれにおいても、試料をサンドウィッチ免疫検定法の具体例
に関して上に記述したものと同様にして緩衝溶液で希釈し、培養し、標識測定す
る。不溶性担体上に、または溶液中に残留する標識の量は試料中の分析剤の量に
依存して変化するものとして、制限試薬の濃度は試薬間で競争的に結合を起こさ
せるように選択する。これらの方法は一般に周知のものであり、工程の最適化の
ためにこれらをどのように変更するかは、完全に免疫学的検定技術の熟練者の知
識の範囲内にある。 抗胎児性制限抗原抗体と試料中の胎児性制限抗原との結合はまた、試料中の胎
児性制限抗原により抗胎児性制限抗原抗体が付着した粒子の集積、抗体抗原反応
による抗体の沈澱、または、半導体ブリッジプローブ、たとえば米国特許第4,64
7,544号に記載された光擾乱パターン等を用いる、抗体抗原結合に起こる物理的
もしくは電気的変化の観測によっても判定することができる。 試料中の胎児性制限抗原の存在の判定は妊娠を示す。 本発明の範囲内に包含される、試料中の胎児性制限抗原を測定するための胎児
性制限妊娠試験キットには一般に、(a)不溶性担体に付着している抗胎児性制
限抗原抗体、抗胎児性制限抗原類抗体、もしくは試薬胎児性制限抗原抗原;(b
)不溶性担体に付着している抗胎児性制限抗原抗体と標識抗胎児性制限抗原抗体
、標識抗胎児性制限抗原類抗体、もしくは標識試薬胎児性制限抗原との組合わせ
;(c)不溶性担体に付着している抗胎児性制限抗原類抗体と標識抗胎児性制限
抗原抗体との組み合わせ;および/または(d)不溶性担体に付着した試薬胎児
性制限抗原と標識抗胎児性制限抗原抗体との組合わせが含まれる。 本発明記載のキットはさらに、試料中の妊娠性抗原と胎児性制限抗原との双方
を判定するための組合わせ;試料輸送および貯蔵用の緩衝剤;本発明記載の試薬
用のガラスびん、箔包みまたは他の容器;個別のガラスびんまたは他の容器に入
れた付加的な試薬、たとえば酵素基質試薬;抗体抗原結合の存在および広がりを
判定するための機械的または光学的手段;ならびにこれらの組合わせをも包含す
ることができる。試料採取手段たとえば試料採取用スワブならびに輸送および貯
蔵用の緩衝剤を含ませることもできる。本件キットの個々の部分は適宜な形状、
たとえばガラスびん、箔包み、または他の容器のいかなるものにも包装すること
ができる。たとえば、箔包み中の不溶性担体構造はガラスびん、または他の包装
中において他の試薬と組み合わされていることができる。 子宮外妊娠試験 子宮外妊娠を判定する本発明記載の方法には、子宮頸管および/または子宮頸
部の近傍で採取した試料中の胎児性制限抗原、すなわち特異的に胎児性の、また
は胎盤性の中心物質の存在または不存在の検出が含まれる。通常は、検出可能な
量のこれらの物質が正常妊娠初期の20週間におけるこの種の試料中に存在する。
妊娠初期の20週間において妊娠より得たこの種の試料中における胎児性制限抗原
の不存在は子宮外妊娠の存在を示すものである。胎児性制限抗原は母親の血液中
には有意の量で存在しないので、試料中の母親の血液の存在はこの試験を妨害し
ない。 “胎児性制限抗原”、“胎児性制限抗原類”、“抗体”、“免疫学的検定法”
、 および“選択的結合”の語はいずれも胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記
述したものと同様に定義される。 検定すべき試料を子宮頸管または子宮頸部の近傍で採取し、この試料を検定し
て試料中の胎児性制限抗原の存在または量を測定する。この試料は一般に液体お
よび微粒状固体よりなり、腟粘液もしくは頸管粘液、他の腟もしくは頸管分泌物
、細胞もしくは細胞破片、羊水、または他の胎児性物質もしくは母体性物質を含
有し得る。試料はダクロンまたは他の繊維のチップを有するスワブ、アスピレー
ター、吸引手段、洗浄手段等を用いて採取し、適当な貯蔵容器に移し、試験室に
運ぶ。 試料組成物中では不安定な、敏感なタンパク質分析剤を保存し得る液体中に試
料を分散させることが重要である。適当な貯蔵および輸送用の媒体は胎児性制限
抗原妊娠試験に関連して上に記述した。 胎児性制限抗原の検出は、試料中の胎児性制限抗原を、胎児性制限抗原の末端
構造に選択的に結合する抗体と結合させ、この結合の存在または不存在を判定し
て達成することができる。 胎児性制限抗原のためのサンドウィッチ免疫検定法の一つにおいては、試料を
抗胎児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体と接触させて、試料中の胎児性
制限抗原の不溶性担体への結合を実現させる。ついで、この不溶性担体を、不溶
性担体に付着している胎児性制限抗原と結合する二次抗体、未標識の、または標
識した抗胎児性制限抗原抗体と接触させて、捕捉された胎児性制限抗原を標識し
、測定する。 分析剤胎児性制限抗原を含む物質の類と結合する抗体は抗胎児性制限抗原抗体
捕捉抗体または抗胎児性制限抗原抗体サンドウィッチ抗体と置き換えることがで
きる。たとえば抗胎児性フィブロネクチン抗体は不溶性担体に付着させることが
でき、標識した、または未標識の抗フィブロネクチン抗体は捕捉した抗原の標識
に使用することができる。これに替えて抗フィブロネクチン抗体を不溶性担体に
付着させ、標識した、または未標識の抗胎児性フィブロネクチン抗体を捕捉した
抗原の標識に使用することもできる。この二次抗体は不溶性担体上で直接に測定
し得る物理的に検出可能な標識を有することもできる。これに替えて、二次抗体 を標識しないこともでき、この二次抗体は、二次抗体と選択的に結合する標識し
た抗体または抗体分画を有する不溶性担体と接触させ(すなわち三次抗体)、未
結合の標識三次抗体を担体より分離し、不溶性担体上の標識の存在を測定して判
定することができる。膜状基質を用いるサンドウィッチ免疫検定法の使用が適当
である。 この試料はまた、競争免疫検定法により試験することもできる。試料を標識試
薬抗体または抗原と混合し、抗胎児性制限抗原抗体または試薬胎児性制限抗原を
付着させた不溶性担体とともに培養する。試薬の間に試料分析剤との結合に関す
る競争が起きる。この種の免疫学的検定法を実行する方法および手順は免疫学的
検定技術の熟練者には周知されている。不溶性担体に最後まで結合している標識
または溶液に残留している標識を測定する。 抗胎児性制限抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した胎児性制
限抗原から、通常の抗血清技術またはモノクローン技術により得ることができる
。本発明は、本件明細書中において胎児性制限抗原としての胎児性フィブロネク
チンの検出に関して記述するが、明瞭性の目的のためであって、限定のためのも
のではない。いかなる胎児性制限抗原の検出も本発明の範囲内のものと考えられ
る。胎児性フィブロネクチンは、エングバル(Engvall)およびルオスラーティ
(Ruoslahti),国際癌雑誌(Int.J.Cancer)20:1−5(1977)の記載のように
して、羊水より精製する。抗胎児性フィブロネクチン抗体は胎児性フイブロネク
チンから通常の抗血清技術により、またはモノクローン技術により誘導すること
ができる。 モノクローンおよびポリクローン抗胎児性制限抗原抗体の双方、または抗胎児
性制限抗原類抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した抗原から通
常の抗血清技術またはモノクローン技術により直接に誘導することができる。こ
こで子宮外妊娠検定法に有用な抗体および抗体分画は、その製造とともに、胎児
性制限抗原妊娠試験に関して上に記述した。 ポリクローンおよびモノクローン抗胎児性制限抗原抗体の製造は、胎児性制限
抗原妊娠試験に関して上に記述した。この種の製造方法は、ここで子宮外妊娠試
験に使用する抗体の製造に適している。 胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述した抗胎児性制限抗原抗体たとえ
ば抗胎児性フィブロネクチン抗体および抗胎児性制限抗原類抗体たとえば抗フィ
ブロネクチン抗体の免疫プロトコル、親和性クロマトグラフィー法、溶離、精製
および濃縮は、子宮外妊娠試験に作用する抗体の製造に使用することができる。
サンドウィッチ免疫検定法:試料中の胎児性制限抗原を測定するための本発明記
載のサンドウィッチ法の具体例においては、胎児性制限抗原妊娠試験との関連で
上に記述したようにして、抗胎児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体を水
性緩衝溶液で希釈した試料と接触させる。試料の希釈、試薬の接触、ならびに培
養および洗浄条件、溶液、時間および温度は、胎児性制限抗原妊娠試験に関連し
て上に記述したものと同様である。洗浄溶液を用いて残留試料溶液を担体より取
り出し、胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述した条件下でサンドウィッ
チ抗体と接触させる。ついで、このサンドウィッチ抗体溶液を不溶性担体より取
り出し、担体をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合物質が
あれば、これを上記のようにして除去する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであるならば、サンドウィッチ抗体と選択
的に結合する抗体または他の結合剤を、上記のようにして、水溶液中で不溶性担
体に適用する。ついで、標識された抗体溶液を不溶性担体より取り出し、担体を
たとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、こ
れを除去する。ついで標識を測定する。上例のように標識が酵素である場合には
、担体を適当な基質水溶液と接触させ、培養して蛍光体または発色団を生成させ
る。ついで、上記のようにして溶液中の蛍光体または発色団のレベルを測定する
。 本件サンドウィッチ法は、胎児性制限抗原妊娠試験と関連して上に記述したよ
うに、捕捉抗体またはサンドウィッチ抗体として胎児性制限抗原類結合性抗体を
使用するために変更することができる。 膜免疫検定:試料中の胎児性制限抗原を測定する膜検定法の具体例においては、
胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述した条件下で、抗胎児性制限抗原抗
体が付着している不溶性担体を、希釈した試料と接触させ、培養する。 ついで不溶性担体を、上記のようにして、この不溶性担体上に捕捉された胎児
性制限抗原と結合する抗体、すなわちサンドウィッチ抗体と接触させる。このサ ンドウィッチ抗体を、胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述したようにし
て、水溶液中で不溶性担体に適用する。任意にこのサンドウィッチ抗体を取り出
し、担体を上記のようにして洗浄する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであるならば、サンドウィッチ抗体と選択
的に結合する抗体または他の結合剤を、上記のようにして水溶液中で不溶性担体
に適用する。好ましい培養時間および温度は上に記述したようなものである。 ついで、標識された抗体溶液を不溶性担体より取り出し、担体をたとえば上記
の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、これを除去する
。上記のように標識が酵素である場合には、不溶性担体を酵素の存在下で反応し
て蛍光体化合物または発色団化合物を溶液中に放出する基質の水溶液と接触させ
る。適当な基質およびこれを転化させる酵素は、付加的な化合物および緩衝剤と
ともに上に記述した。上記のようにして、基質溶液を不溶性担体とともに、蛍光
体または発色団を得る反応が起こるのに十分な時間培養する。膜上の蛍光原また
は発色原のレベルは反射計または光学密度計を用いて測定することができる。 競争免疫検定法:標識試薬胎児性制限抗原を用いる本発明記載の競争法の具体例
は、試料と標識試薬胎児性制限抗原との混合物を不溶性担体に付着している抗胎
児性制限抗原抗体と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に残留する
標識の量を測定することよりなる。 標識抗胎児性制限抗原体を用いる本発明記載の競争法の具体例は、胎児性制限
抗原妊娠試験に関連して上に記述したように、複数の形態が可能である。これら
の方法のいずれにおいても、試料をサンドウィッチ免疫検定法の具体例に関連し
て上に記述したものと同様にして緩衝溶液員で希釈し、培養し、標識測定する。
不溶性担体上に、または溶液中に残留する標識の量は試料中の分析剤の量に依存
して変化するものとして、制限試薬の濃度は試薬間で競争的に係合を起こさせる
ように選択する。これらの方法は一般に周知のものであり、工程の最適化のため
にこれらをどのように変更するかは、完全に免疫学的検定技術の熟練者の知識の
範囲内にある。 抗胎児性制限抗原抗体と試料中の胎児性制限抗原との結合はまた、試料中の胎
児性制限抗原により抗胎児性制限抗原抗体が付着した粒子の集積、抗体抗原反応 による抗体の沈澱、または、半導体ブリッジプローブ、たとえば米国特許第4,64
7,544号に記載された光擾乱パターン等を用いる、抗体抗原結合に起こる物理的
もしくは電気的変化の観測によっても判定することができる。 血清または尿中の妊娠指示性ホルモンの存在を用いて妊娠を判定するのが望ま
しいこともあり得る。患者の血液または尿中の非制限妊娠指示性抗体のレベルを
判定するための多様な方法が当業者に公知である。信頼性のあるいかなる方法も
使用することができる。血漿、血清および/または尿中のhCGを測定する方法は
、たとえば米国特許第3,171,783、3,234,096、3,236,732、3,298,787、3,309,27
5、3,485,751、3,655,838、3.689,633、3.862,302、3,873,682、3,878,683、3,8
33,304、3,991,175、4,003,988、4,014,653、4,016,250、4,033,723、4,071,314
、4,094,963、4,123,224、4,123,509、4,138,214、4,208,187、4,210,723、4,23
4,561、4,256,629、4,268,435、4,270,923、4,310,455、4,313,871、4,320,111
、4,348,207、4,371,515、4,419,453、4,421,896、4,493,793、4,508,829、およ
び4,665,034号に記載されている。尿中(米国特許第3,141,740号)、または乳、
血清もしくは血漿中(ハンガリー特許第T37028号、WPI番号86−023344/04)のプ
ロゲステロン代謝物質;血清または血漿中のヒト胎盤性ラクトゲン(米国特許第
3,892,841、4,371,515、および4,493,793号);尿中のエストロジェンステロイ
ド(米国特許第3,955,928号);血清、血漿または尿中の黄体形成ホルモン(LH
)、プロラクチン(PRL)および/またはhCG様物質(米国特許第4,016,250、4,0
94,963、および4,320,111号);妊娠特異性β−糖タンパク質(米国特許第4,065
,445および4,191,533号);LH(米国特許第4,138,214および4,208,187号);ウ
シの血清または尿中のウシ妊娠性抗原(ヨーロッパ特許出願188,551、WPI番号86
−042108/06);新規な胎盤タンパク質(米国特許第4,592,863号);ならびに初
期妊娠因子WO8605498(WPI番号86−264940/40)の測定による妊娠検出が記載さ
れている。尿に染料を添加することによる(米国特許第2,587,221および3,226,1
96号、ジニトロフェニルヒドラジン;米国特許第3,595,620号、ブロモクレゾー
ルパープルまたはクロロフェノールレッド)、ヨー素紙試験による(米国特許第
3,248,173号)、他の沈澱剤を添加することによる(米国特許第3,278,270号)、
酸と塩化ナトリウムとの混合物 で女性の血液を処理することによる(米国特許第3,883,304号)妊娠判定法が記
載されている。妊娠は、1987年11月17日に受理された米国特許出願一連番号121,
902の示唆に従う、子宮頸管または子宮頸部の近傍で採取した試料の検定を用い
て判定することができる。上記の方法のいかなるものも使用することができるの
が、hCG測定のような方法が好ましい。 妊娠初期の20週間における試料中の妊娠の存在の判定とこれに伴う胎児性制限
抗原の負判定とは、正常子宮妊娠の不存在を示し、かつ、子宮外妊娠が起きてい
ることを示す。 本発明の範囲内に包含される、試料中の胎児性制限抗原を測定する子宮外妊娠
キットには一般に、(a)不溶性担体に付着している抗胎児性制限抗原抗体、抗
胎児性制限抗原類抗体、もしくは試薬胎児性制限抗原;(b)不溶性担体に付着
している抗胎児性制限抗原抗体と標識抗胎児性制限抗原抗体、標識抗胎児性制限
抗原類抗体、もしくは標識試薬胎児性制限抗原との組合わせ;(c)不溶性担体
に付着している抗胎児性制限抗原類抗体と標識抗胎児性制限抗原抗体との組み合
わせ;および/または(d)不溶性担体に付着している試薬胎児性制限抗原と標
識抗胎児性制限抗原抗体との組合わせが含まれる。 子宮外妊娠判定用のキットはさらに、試料中の非制限妊娠性抗原と胎児性制限
抗原との双方を判定するための組合わせ;試料輸送および貯蔵用の緩衝剤;本発
明記載の試薬用のガラスびん、箔包みまたは他の容器;個別のガラスびんまたは
他の包装に入れた付加的な試薬、たとえば酵素基質試薬;抗体抗原結合の存在お
よび広がりを判定するための機械的または光学的手段;ならびにこれらの組合わ
せをも包含することができる。試料採取手段たとえば試料採取用スワブならびに
輸送および貯蔵用の緩衝剤を含ませることもできる。本件キットの個々の部分は
便宜な形状、たとえばガラスびん、箔包み、または他の容器のいかなるものにも
包装することができる。たとえば、箔包み中の不溶性担体構造はガラスびん、ま
たは他の包装中において他の試薬と組み合わされていることができる。 妊娠による生体排出生成物の試験 妊娠による生体排出生成物の存在を判定する本発明の具体例には、疑似自発妊
娠中絶により取り出された試料、または拡張掻爬もしくは治療的妊娠中絶の過程 で採取した試料中の胎児性制限抗原、すなわち特異的に胎児性の、または胎盤性
の中心物質の検出が含まれる。胎児性制限抗原は母親の血液中には有意の量で存
在しないので、試料中の母親の血液の存在はこの試験を妨害しない。 “胎児性制限抗原”、“胎児性制限抗原類”、“抗体”、“免疫学的検定法”
および“選択的結合”の語はいずれも胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記
述したものと同様に定義される。 子宮より排出された物質を代表すると考えられる、妊娠による生体排出生成物
の存在に関して検定すべき試料を採取する。この種の物質には治療的妊娠中絶ま
たはD&C(拡張掻爬)の過程で採取した組織が可能である。これに替えて、こ
の物質には自発妊娠中絶、すなわち流産の指標であると考えられている腟放出物
も可能である。この試料は一般に液体および微粒状固定よりなり、組織物質、腟
粘液もしくは頸管粘液、他の腟もしくは頸管分泌物、細胞もしくは細胞破片、羊
水、または他の胎児性物質もしくは母体性物質を含有し得る。試料はダクロンま
たは他の繊維のチップを有するスワブ、アスピレーター、吸引手段、洗浄手段等
を用いて腟腔より採取することができる。この試料は拡張掻爬の過程で、もしく
は治療的妊娠中絶中に採取した、または疑似妊娠中絶の場合に女性用保護パッド
を用いて採取した組織を代表し得る。 試料組成物中では不安定な、敏感なタンパク質分析剤を保存し得る液体中に試
料を分散させることが重要である。適当な貯蔵および輸送用の媒体は胎児性制限
抗原妊娠試験に関連して上に記述したものである。 胎児性制限抗原の検出は、試料中の胎児性制限抗原を、胎児性制限抗原の末端
構造に選択的に結合する抗体と結合させ、この結合の存在または不存在を判定し
て達成することができる。 胎児性制限抗原のためのサンドウィッチ検定法の一つにおいては、試料を抗胎
児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体と接触させて、試料中の胎児性制限
抗原の不溶性担体への結合を実現させる。ついで、この不溶性担体を、不溶性担
体に付着している胎児性制限抗原と結合する二次抗体、未標識の、また標識した
抗胎児性制限抗原抗体と接触させて、捕捉された胎児性制限抗原を標識し、測定
する。 分析剤胎児性制限抗原を含む物質の類と結合する抗体は抗胎児性制限抗原抗体
捕捉抗体または抗胎児性制限抗原抗体サンドウィッチ抗体と置き換えることがで
きる。たとえば抗胎児性フィブロネクチン抗体は不溶性担体に付着させることが
でき、標識した、または未標識の抗フィブロネクチン抗体は捕捉した抗原の標識
に使用することができる。これに替えて抗フィブロネクチン抗体を不溶性抗体に
付着させ、標識した、または未標識の抗胎児性フィブロネクチン抗体を捕捉した
抗原の標識に使用することもできる。この二次抗体は不溶性担体上で直接に測定
し得る物理的に検出可能な標識を有することもできる。これに替えて、二次抗体
を標識しないことも可能であり、この二次抗体は、二次抗体と選択的に結合する
標識した抗体または抗体分画を有する不溶性担体と接触させ(すなわち三次抗体
)、未結合の標識三次抗体を担体より分離し、不溶性担体上の標識の存在を測定
して判定することができる。膜状基質を用いるサンドウィッチ免疫検定法の使用
が適用である。 この試料はまた、競争免疫検定法により試験することもできる。試料を標識試
薬抗体または抗原と混合し、抗胎児性制限抗原抗体または試薬胎児性制限抗原を
付着させた不溶性担体とともに培養する。試薬間に試料分析剤との結合に関する
競争が起きる。この種の免疫学的検定法を実行する方法および手順は免疫学的検
定技術の熟練者には周知されている。最後に不溶性担体に結合している標識また
は溶液に残留している標識を測定する。 抗胎児性制限抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した胎児性制
限抗原から、通常の抗血清技術またはモノクローン技術により得られる。本発明
は、本件明細書中において胎児性制限抗原としての胎児性フィブロネクチンの検
出に関して記述するが、明瞭性の目的のためであって、限定のためのものではな
い。いかなる胎児性制限抗原の検出も本発明の範囲内のものと考えられる。胎児
性フィブロネクチンはエングバル(Engvall)およびルオスラーティ(Ruoslahti
),国際癌雑誌(Int.J.Cancer)20:1−5(1977)の記載のようにして、羊水よ
り精製する。抗胎児性フイブロネクチン抗体は胎児性フィブロネクチンから通常
の抗血清技術により、またはモノクローン技術により誘導することができる。 モノクローンおよびポリクローン抗胎児性制限抗原抗体の双方、または抗胎児
性制限抗原類抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した抗原から通
常の抗血清技術またはモノクローン技術により直接に誘導することができる。こ
こで妊娠による生体排出生成物の検定に有用な抗体および抗体分画は、その製造
とともに、胎児性制限抗原妊娠試験に関して上に記述した。 ポリクローンおよびモノクローン抗胎児性制限抗原抗体の製造は、胎児性制限
抗原妊娠試験に関して上に記述した。この種の製造方法は、ここで妊娠による生
体排出生成物の検定に使用する抗体の製造に適している。 胎児性制限抗原妊娠試験に関して上に記述した抗胎児性制限抗原抗体たとえば
抗胎児性フィブロネクチン抗体および抗胎児性制限抗原類抗体たとえば抗フィブ
ロネクチン抗体の免疫プロトコル、親和性クロマトグラフィー法、溶離、精製お
よび濃縮は、ここで妊娠による生体排出生成物の検定に使用する抗体の製造に使
用することができる。 サンドウィッチ免疫検定法:試料中の胎児性制限抗原を測定するための本発明記
載のサンドウィッチ法の具体例においては、胎児性制限抗原妊娠試験との関連で
上に記述したようにして、抗胎児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体を水
性緩衝溶液で希釈した試料と接触させる。試料の希釈、試薬の接触、ならびに培
養および洗浄条件、溶液、時間および温度は胎児性制限抗原妊娠試験に関連して
上に記述したものと同様である。洗浄溶液を用いて残留試料溶液を担体より取り
出し、胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述した条件下でサンドウィッチ
抗体と接触させる。ついで、このサンドウィッチ抗体溶液を不溶性担体より取り
出し、担体をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合物質があ
れば、上記のようにしてこれを除去する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであるならば、サンドウィッチ抗体と選択
的に結合し、物理的に検出可能な標識を保持する抗体または他の結合剤を、上記
のようにして、水溶液中で不溶性担体に適用する。ついで、標識された抗体溶液
を不溶性担体より取り出し、担体をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留し
ている非結合標識物質があれば、これを除去する。ついで標識を測定する。上例
のように標識が酵素である場合には、担体を適当な基質水溶液と接触させ、培養 して蛍光体または発色団を生成ささせる。ついで、上記のようにして溶液中の蛍
光体または発色団のレベルを測定する。 本件サンドウィッチ法は、胎児性制限抗原妊娠試験と関連して上に記述したよ
うに、捕捉抗体またはサンドウィッチ抗体として胎児性制限抗原類結合性抗体を
使用するために変更することができる。 膜免疫検定:試料中の胎児性制限抗原を測定する膜検定法の具体例においては、
胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述した条件下で、抗胎児性制限抗原抗
体が付着している不溶性担体を、希釈した試料と接触させ、培養する。 ついで不溶性担体を、上記のようにして、この不溶性担体上に捕捉された胎児
性制限抗原と結合する抗体、すなわちサンドウィッチ抗体と接触させる。このサ
ンドウィッチ抗体を、胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述したようにし
て、水溶液中で不溶性担体に適用する。任意にこのサンドウィッチ抗体を取り出
し、担体を上記のようにして洗浄する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであるならば、サンドウィッチ抗体と選択
的に結合する酵素標識抗体または他の結合剤を、上記のようにして水溶液中で不
溶性担体に適用する。好ましい培養時間および温度は上に述べたものと同様であ
る。 ついで、標識された抗体溶液を不溶性担体より取り出し、担体をたとえば上記
の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、これを除去する
。上記のように標識が酵素である場合には、不溶性担体を酵素の存在下で反応し
て蛍光原化合物または発色原化合物を溶液中に放出する基質の水溶液と接触させ
る。適当な基質およびこれを転化させ得る酵素は、付加的な成分および緩衝剤と
ともに上に記述した。上記のようにして、基質溶液を不溶性担体とともに、蛍光
体または発色団を得る反応が起こるのに十分な時間培養する。膜上の蛍光原また
は発色原のレベルは反射計または光学密度計を用いて測定することができる。 競争免疫検定法:標識試験胎児性制限抗原を用いる本発明記載の競争法の具体例
は、試料と標識試薬胎児性制限抗原との混合物を不溶性担体に付着している抗胎
児性制限抗原抗体と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に残留する
標識の量を測定することよりなる。 標識抗胎児性制限抗原抗体を用いる本発明記載の競争法の具体例は、胎児性制
限抗原妊娠試験に関連して上に記述したように、複数の形態が可能である。これ
らの方法のいずれにおいても、試料をサンドウィッチ免疫検定法の具体例に関連
して上に記述したものと同様にして緩衝溶液で希釈し、培養し、標識測定する。
不溶性担体上に、または溶液中に残留する標識の量は試料中の分析剤の量に依存
して変化するものとして、制限試薬の濃度は試験間で競争的に結合を起こさせる
ように選択する。これらの方法は一般に周知のものであり、工程の最適化のため
にこれらをどのように変更するかは、完全に免疫学的検定技術の熟練者の知識の
範囲内にある。 抗胎児性制限抗原抗体と試料中の胎児性制限抗原との結合はまた、試料中の胎
児性制限抗原により抗胎児性制限抗原抗体が付着した粒子の集積、抗体抗原反応
による抗体の沈澱、または、半導体ブリッジプローブ、たとえば米国特許第4,64
7,544号に記載された光擾乱パターン等を用いる、抗体抗原結合に起こる物理的
もしくは電気的変化の観測によっても測定することができる。 血清または尿中の妊娠指示性ホルモンの存在を用いて妊娠を判定するのが望ま
しいこともあり得る。患者の血液または尿中の非制限妊娠指示性抗体のレベルを
判定するための多様な方法が当業者に公知である。たとえば子宮外妊娠試験に関
連して上に記述したもののような、信頼性のあるいかなる方法も使用することが
できる。 D&C、治療的妊娠中絶、または疑似自発妊娠中絶(流産)の過程で得た試料
は、胎児性制限抗原の存在に関して試験することができる。治療的または自発妊
娠中絶を表すと考えられる試料中の、妊娠の存在の判定と胎児性制限抗原の負判
定との同時判定は、妊娠が発生し、継続していることを示すものである。治療的
または自発妊娠中絶を表すと考えられる試料中の、妊娠の存在の判定と胎児性制
限抗原の正判定とは、妊娠が発生したが、終結したことを示すものである。D&
Cより誘導した試料中の、妊娠指示体の不存在の判定と胎児性制限抗原の負判定
とは、妊娠が発生し、未だ終結していないことを示すものである。 本発明の範囲に包含される、試料中の胎児性制限抗原を測定するための妊娠に
よる生体排出生成物試験キットには一般に、(a)不溶性担体に付着している抗 胎児性制限抗原抗体、抗胎児性制限抗原類抗体、もしくは試薬胎児性制限抗原;
(b)不溶性担体に付着している抗胎児性制限抗原抗体と標識抗胎児性制限抗原
抗体、標識抗胎児性制限抗原類抗体、もしくは標識試薬胎児性制限抗原との組合
わせ;(c)不溶性担体に付着している抗胎児性制限抗原類抗体と標識抗胎児性
制限抗原抗体との組み合わせ;および/または(d)不溶性担体に付着している
試薬胎児性制限抗原および標識抗胎児性制限抗原抗体が含まれる。 妊娠による生体排出生成物測定用のキットはさらに、試料中の非制限妊娠性抗
原と胎児性制限抗原との双方を判定するための組合わせ;試料輸送および貯蔵用
の緩衝剤;本発明記載の試薬用のガラスびん、箔包みまたは他の容器;個別のガ
ラスびんまたは他の包装に入れた付加的な試薬、たとえば酵素基質試薬;抗体抗
原結合の存在および広がりを判定するための機械的または光学的手段;ならびに
これらの組合わせをも包含することができる。試料採取手段たとえば試料採取用
スワブならびに輸送および貯蔵用の緩衝剤を含ませることもできる。本件キット
の個々の部分は便宜な形状、たとえばガラスびん、箔包み、または他の容器のい
かなるものにも包装することができる。たとえば、箔包み中の不溶性担体構造は
ガラスびん、または他の包装中において他の試薬と組み合わされていることがで
きる。 早期陣痛/羊膜破裂の危険性試験 早産の危険増大を示すための本発明の具体例には、妊娠20週以後の試料中の胎
児性制限抗原の検出が含まれる。本件発明者らは、検出可能な量のこれらの物質
が一般に、妊娠20週以後の後穹、子宮頸管または子宮頸部の近傍より得たものの
ような腟試料中には存在しないことを見いだした。検出可能な量のこれらの物質
が妊娠20週以後に採取したこの種の試料中に存在することは、切迫した早産の危
険増大を示し、かつ/または、羊膜の破裂を示す。胎児性制限抗原は母親の血液
中には有意の量で存在しないので、試料中の母親の血液の存在はこの試験を妨害
しない。 “胎児性制限抗原”、“胎児性制限抗原類”、“抗体”、“免疫学的検出法”
および“選択的結合”の語はいずれも胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記
述したものと同様に定義される。 検定すべき試料を後穹、子宮頸管または子宮頸部の近傍より採取し、この試料
を検定して試料中の胎児性制限抗原の存在または量を測定する。この試料は一般
に液体および微粒状固体よりなり、腟粘液もしくは頸管粘液、他の腟もしくは頸
管分泌物、細胞もしくは細胞破片、羊水、または他の胎児性物質もしくは母体性
物質を含有し得る。試料はダクロンまたは他の繊維のチップを有するスワブ、ア
スピレーター、吸引手段、洗浄手段等を用いて採取し、貯蔵用の適当な容器に移
し、試験室に運ぶ。 試料組成物中では不安定な、敏感なタンパク質分析剤を保存し得る液体中に試
料を分散させることが重要である。適当な貯蔵および輸送用の媒体は胎児性制限
抗原妊娠試験に関連して上に記述したものである。 胎児性制限抗原の検出は、試料中の胎児性制限抗原を、胎児性制限抗原の末端
構造に選択的に結合する抗体と結合させ、この結合の存在または不存在を判定し
て達成することができる。 胎児性制限抗原のためのサンドウィッチ検定法の一つにおいては、試料を抗胎
児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体と接触させて、試料中の胎児性制限
抗原の不溶性担体への結合を実現させる。ついで、この不溶性担体を、不溶性担
体に付着している胎児性制限抗原と結合する二次抗体、未標識の、または標識し
た抗胎児性制限抗原抗体と接触させて、捕捉された胎児性制限抗原を標識し、測
定する。 分析剤胎児性制限抗原を含む物質の類と結合する抗体は抗胎児性制限抗原抗体
捕捉抗体または抗胎児性制限抗原抗体サンドウィッチ抗体と置き換えることがで
きる。たとえば抗胎児性フィブロネクチン抗体は不溶性担体に付着させることが
でき、標識した、または未標識の抗フィブロネクチン抗体は捕捉した抗原の標識
に使用することができる。これに替えて抗フィブロネクチン抗体を不溶性担体に
付着させ、標識した、または未標識の抗胎児性フィブロネクチン抗体を捕捉した
抗原の標識に使用することもできる。この二次抗体は不溶性担体上で直接に測定
し得る物理的に検出可能な標識を有することもできる。これに替えて、二次抗体
を標識しないことも可能であり、この二次抗体は、二次抗体と選択的に結合する
標識した抗体または抗体分画を有する不溶性担体と接触させ(すなわち三次抗 体)、未結合の標識三次抗体を担体より分離し、不溶性担体上の標識の存在を測
定して判定することができる。膜状基質を用いるサンドウィッチ免疫検定法の使
用が適当である。 この試料はまた、競争免疫検定法により試験することもできる。試料を標識試
薬抗体または抗原と混合し、抗胎児性制限抗原抗体または試薬胎児性制限抗原を
付着させた不溶性担体とともに培養する。試薬間の試料分析剤との結合に関する
競争が起きる。この種の免疫学的検定法を実行する方法および手順は免疫学的検
定技術の熟練者には周知されている。最後に不溶性担体に付着している標識また
は溶液中に残留している標識を測定する。 抗胎児性制限抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した胎児性制
限抗原から、通常の抗血清技術またはモノクローン技術により得られる。本発明
は、ここで胎児性制限抗原としての胎児性フィブロネクチンの検出に関して記述
するが、明瞭性の目的のためであって、限定のためのものではない。いかなる胎
児性制限抗原の検出も本発明の範囲内のものと考えられる。胎児性フィブロネク
チンはエングバル(Engvall)およびルオスラーティ(Ruoslahti),国際癌雑誌
(Int.J.Concer)20:1−5(1977)の記載のようにして、羊水より精製する。抗
胎児性フィブロネクチン抗体は胎児性フィブロネクチンから通常の抗血清技術に
より、またはモノクローン抗体技術により誘導することができる。 モノクローンおよびポリクローン抗胎児性制限抗原抗体の双方、または抗胎児
性制限抗原類抗体は胎児性制限抗原から、好ましくは高度に精製した抗原から通
常の抗血清技術またはモノクローン技術により直後に誘導することができる。こ
こで検定に有用な抗体および抗体分画は、その製造とともに、胎児性制限抗原妊
娠試験に関して上に記述した。 ポリクローンおよびモノクローン抗胎児性制限抗原抗体の製造は、胎児性制限
抗原妊娠試験に関して上に記述した。この種の製造方法は、ここで早期陣痛/羊
膜破裂の危険性試験に使用する抗体の製造に適している。 胎児性制限抗原妊娠試験に関して上に記述した抗胎児性制限抗原抗体たとえば
抗胎児性フィブロネクチン抗体および抗胎児性制限抗原類抗体たとえば抗フィブ
ロネクチン抗体の免疫プロトコル、親和性クロマトグラフィー法、溶離、精製お よび濃縮は、早期陣痛/羊膜破裂試験に用いる抗体の製造に使用することができ
る。 サンドウィッチ免疫検定法:試料中の胎児性制限抗原を測定するための本発明記
載のサンドウィッチ法の具体例においては、胎児性制限抗原妊娠試験との関連で
上に記述したようにして、抗胎児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体を水
性緩衝溶液で希釈した試料と接触させる。試料の希釈、試薬の接触、ならびに培
養および洗浄条件、溶液、時間および温度は胎児性制限抗原妊娠試験に関連して
上に記述したものと同様である。洗浄溶液を用いて残留試料溶液を担体より取り
出し、胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述した条件下でサンドウィッチ
抗体と接触させる。ついで、このサンドウィッチ抗体溶液を不溶性担体より取り
出し、担体をたとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合物質があ
れば、上記のようにしてこれを除去する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであるならば、サンドウィッチ抗体と選択
的に結合する抗体または他の結合剤を、上記のようにして、水溶液中で不溶性担
体に適用する。ついで、標識された抗体溶液を不溶性担体より取り出し、担体を
たとえば上記の洗浄溶液で洗浄して、残留している未結合の標識物質があれば、
これを除去する。ついで標識を測定する。上例のように標識が酵素である場合に
は、担体を適当な基質水溶液と接触させ、培養して蛍光体または発色団を生成さ
させる。ついで、上記のようにして溶液中の蛍光体または発色団のレベルを測定
する。 本件サンドウィッチ法は、胎児性制限抗原妊娠試験と関連して上に記述したよ
うに、捕捉抗体またはサンドウィッチ抗体として胎児性制限抗原類結合性抗体を
使用するために変更することができる。 膜免疫検定法:試料中の胎児性制限抗原を測定する膜検定法の具体例においては
、胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述した条件下で、抗胎児性制限抗原
抗体が付着している不溶性担体を、希釈した試料と接触させ、培養する。 ついで不溶性担体を、上記のようにして、この不溶性担体上に捕捉された胎児
性制限抗原と結合する抗体、すなわちサンドウィッチ抗体と接触させる。このサ
ンドウィッチ抗体を、胎児性制限抗原妊娠試験に関連して上に記述したようにし て、水溶液中で不溶性担体に適用する。任意にこのサンドウィッチ抗体を取り出
し、担体を上記のようにして洗浄する。 サンドウィッチ抗体が未標識のものであるならば、サンドウィッチ抗体と選択
的に結合する酵素標識抗体または他の結合剤を、上記のようにして水溶液中で不
溶性担体に適用する。好ましい培養時間および温度は上に述べたものと同様であ
る。 ついで、標識された抗体溶液を不溶性担体より取り出し、担体をたとえば上記
の洗浄溶液で洗浄して、残留している非結合標識物質があれば、これを除去する
。上記のように標識が酵素である場合には、不溶性担体を酵素の存在下で反応し
て蛍光原化合物または発色原化合物を溶液中に放出する基質の水溶液と接触させ
る。適当な基質およびこれを転化させ得る酵素は、付加的な成分および緩衝剤と
ともに上に記述した。上記のようにして、基質溶液を不溶性担体とともに、蛍光
体または発色団を得る反応が起こるのに十分な時間培養する。膜上の蛍光原また
は発色原のレベルは反射計または光学密度計を用いて測定することができる。 競争免疫検定法:標識試薬胎児性制限抗原を用いる本発明記載の競争法の具体例
は、試料と標識試薬胎児性制限抗原との混合物を不溶性担体に付着している抗胎
児性制限抗原抗体と接触させ、不溶性担体と結合する、または溶液相に残留する
標識の量を測定することよりなる。 標識抗胎児性制限抗原抗体を用いる本発明記載の競争法の具体例は、胎児性制
限抗原妊娠試験に関連して上に記述したように、複数の形態が可能である。これ
らの方法のいずれにおいても、試料をサンドウィッチ免疫検定法の具体例に関連
して上に記述したものと同様にして緩衝溶液で希釈し、培養し、標識測定する。
不溶性担体上に、または溶液中に残留する標識の量は試料中の分析剤の量に依存
して変化するものとして、制限試薬の濃度は試薬間で競争的に結合を起こさせる
ように選択する。これらの方法は一般に周知のものであり、工程の最適化のため
にこれらをどのように変更するかは、完全に免疫学的検定技術の熟練者の知識の
範囲内にある。 抗胎児性制限抗原抗体と試料中の胎児性制限抗原との結合はまた、試料中の胎
児性制限抗原により抗胎児性制限抗原抗体が付着した粒子の集積、抗体抗原反応 による抗体の沈澱、または、半導体ブリッジプローブ、たとえば米国特許第4,64
7,544号に記載された光擾乱パターン等を用いる、抗体抗原結合に起こる物理的
もしくは電気的変化の観測によっても判定することができる。 妊娠20週以後の試料中の胎児性抗原抗体の存在の判定は、羊膜が破裂している
可能性があることを示し、かつ/または、早期陣痛の危険性が増大していること
を示すものである。 本発明の範囲内に包含される、試料中の胎児性制限抗原を測定するための早期
陣痛/羊膜破裂の危険性試験キットには一般に、(a)不溶性担体に付着してい
る抗胎児性制限抗原抗体、抗胎児性制限抗原類抗体、もしくは試薬胎児性制限抗
原;(b)不溶性担体に付着している抗胎児性制限抗原抗体と標識抗胎児性制限
抗原抗体、標識抗胎児性制限抗原類抗体、もしくは標識試薬胎児性制限抗原との
組合わせ;(c)不溶性担体に付着している抗胎児性制限抗原類抗体と標識抗胎
児性制限抗原抗体との組み合わせ;および/または(d)不溶性担体に付着して
いる試薬胎児性制限抗原および標識抗胎児性制限抗原抗体含まれる。 本件キットはさらに、試料中の非制限妊娠性抗原と胎児性制限抗原との双方を
判定するための組合わせ;試料輸送および貯蔵用の緩衝剤;本発明記載の試薬用
のガラスびん、箔包みまたは他の容器;個別のガラスびんまたは他の包装に入れ
た付加的は試薬、たとえば酵素基質試薬;抗体抗原結合の存在および広がりを判
定するための機械的または光学的手段;ならびにこれらの組合わせをも包含する
ことができる。試料採取手段たとえば試料採取用スワブならびに輸送および貯蔵
用の緩衝剤を含ませることもできる。本件キットの個々の部分は便宜な形状、た
とえばガラスびん、箔包み、または他の容器のいかなるものにも包装することが
できる。たとえば、箔包み中の不溶性担体構造はガラスびん、または他の包装中
において他の試薬と組み合わされていることができる。 不溶性担体試薬 本発明記載の抗原試薬および抗体試薬は、通常の方法により不溶性担体に結合
させることができる。米国特許第3,234,096、3,236,732、3,309,275、3,873,683
、3,991,175、4,003,988、4,016,250、4,033,723、4,071,314、4,348,207、およ
び4,419,453号に記載された、抗原をたとえばラテックス粒子および赤血球に結
合 させるための方法のような、不溶性担体に抗原を結合させるのに適した抗原結合
方法を使用することができる。抗体を不溶性担体に結合させる方法は、たとえば
米国特許第3,551,555、3,553,310、4,048,298号およびRE−29,474に、ならびに
ティーッソン(Tijsson),酵素免疫検定法の理論と実際(Practice and Theory
of Enzyme Immunoassays),エルゼビア科学出版(Elsevier Science Publishe
rs),(1985)297−328ページに記載されている。吸着により抗体をポリスチレ
ンに結合させる方法は、たとえば米国特許第3,646,346および4,092,408号に記載
されている。明瞭性の目的のために、しかし限定のためではなく、結合方法はこ
こでは抗原の不溶性担体への結合に関連して記述する。これらの方法は試薬抗体
、たとえば抗妊娠性抗原抗体、抗胎児性制限抗原抗体、および抗胎児性制限抗原
類抗体の、ならびに試薬抗原、たとえば試薬妊娠性抗原または試薬胎児性制限抗
原の不溶性担体への結合に適している。 不溶性担体としては多様な物質を使用することができる。第一に考慮すること
は表面への抗体の結合であり、また、抗原結合反応または結合反応の存在および
広がりの判定に使用し得る他の反応に関する干渉の不存在である。天然および合
成の有機または無機の重合体はいずれも不溶性担体として使用することができる
。適当な重合体の例にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ−
(4−メチルブチレン)、ブチルゴム、シリコンゴム系(silastic)重合体、ポ
リエステル、ポリアミド、セルローズおよびセルローズ誘導体(たとえば酢酸セ
ルローズ、ニトロセルローズ等)、アクリレート、メタクリレート、ビニル重合
体(たとえばポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ
化ビニル等)、ポリスチレンおよびスチレングラフト共重合体、レーヨン、ナイ
ロン、ポリ酢酸ビニル、ポリホルムアルデヒド等が含まれる。不溶性担体として
使用し得る他の物質は上記の重合体のラテックス、シリカゲル、ケイ素ウェーフ
ァー、ガラス、紙、不溶性タンパク質、金属、メタロイド、酸化金属、磁性材料
、半導体材料、サーメット(cermet)等である。加えて、ゲルを形成する物質、
たとえばタンパク質たとえばゼラチン、リポ多糖類、ケイ酸塩、アガロース、ポ
リアクリルアミドもしくは幾つかの水相を形成する重合体たとえばデキストリン
、ポリアルキレングリコール(2ないし3個の炭素原子を有するアルキレン)、
ま たは界面活性剤、たとえば両性化合物たとえばリン脂質、長鎖(12−24個の炭素
原子)のアルキルアンモニウム塩等も含まれる。 本発明に用いる好ましい診断用担体にはナイロンおよびニトロセルローズの膜
が含まれる。これに替わる診断用担体はポリスチレン、スチレン共重合体たとえ
ばスチレン−アクリロニトリル共重合体、またはポリオレフィンたとえばポリエ
チレンもしくはポリプロピレンならびにアクルリ酸エステルおよびメタクリル酸
エステルの重合体および共重合体より製造したものである。試薬抗体または抗原
試薬は吸着、イオン結合、ファンデルワールス吸着、静電的結合、もしくは他の
非共有結合により不溶性担体に結合させることができるか、または、共有結合に
より不溶性担体に結合することができる。本件方法に特に有利な担体は複数の井
戸状のくぼみ(well)を有するミクロタイター(microtiter)板よりなるもので
ある。このくぼみの表面またはその中に入れたプラスチックカップ挿入物(inse
rts)が抗原または抗体の担体を構成し得る。判定に蛍光測定法の使用が必要で
あるならば、くぼみに適用する励起光が周囲のくぼみの内容物に到達しないよう
に、または影響を与えないように、上記のミクロタイター板またはくぼみ挿入物
は光に対して不透明であるものが有利である。 非共有結合の方法は米国特許第4,528,267号に記載されている。抗体および抗
原を不溶性担体に共有結合させる方法はチバタ(I.Chibata),固定酵素(Immob
ilized Enzymes),ハルステッド出版(Halsted Press:New York)(1978)に、
また、クアトレカサス(A.Cuatrecasas),生物化学雑誌(J.Bio.Chem.)245:30
59(1970)に記載されている。上記の表面はタンパク質で被覆し、たとえば米国
特許第4,210,418号に記載されている、結合剤としてグルタールアルデヒドを使
用する方法を用いて、抗体また抗原と結合させることができる。これに替わる方
法においては、上記のくぼみを遊離のイソシアネート基を有する層、たとえばポ
リエーテルイソシアネートの層で被覆し、これに水溶液の形状の抗体または抗原
を適用して必要な結合を実現させることができる。さらにその他の方法において
は、米国特許第3,720,760号に記載されているように、臭化シアノゲンを用いて
抗体または抗原をヒドロキシル化物質に結合させることができる。 不溶性担体は、非特異的結合を減少させるために好ましくは“遮蔽(block)
”する。適当な遮蔽剤の選択は不溶性担体の型により決定される。たとえばポリ
スチレン担体に対する適当な遮蔽剤には水溶性の非免疫動物性タンパク質が含ま
れる。適当な水溶性の非免疫動物性タンパク質にはウシ血清アルブミン(BSA)
;ヒト、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、およびウマの血清アルブミン;カゼインおよび
脱脂乳;オボアルブミン;糖タンパク質等が含まれる。 同様の遮蔽剤をナイロンおよびニトロセルローズの担体にも使用することがで
きる。しかし、ニトロセルローズまたはナイロンの膜担体に好ましい遮蔽剤は脱
脂乳またはカゼインである。これらの膜担体に最適な遮蔽剤は1ないし5重量%
の脱脂粉乳またはカゼイン、ならびに非イオン性界面活性剤たとえばポリオキシ
エチレンソルビタン誘導体およびポリオキシエチレンエーテルを含有する水溶液
である。 標識試薬 本発明記載の標識試薬妊娠性抗原、抗妊娠性抗原抗体、抗サンドウィッチ抗体
試薬抗体は、好ましくは抗体結合部位を適当に保護しながらタンパク質に標識を
付着させる通常の方法により製造することができる。 本発明記載の標識試薬胎児性制限抗原、抗胎児性制限抗原抗体、抗胎児性制限
抗原類抗体および抗サンドウィッチ抗体試薬抗体は、好ましくは抗体結合部位を
適当に保護しながらタンパク質に標識を付着させる通常の方法により製造するこ
とができる。 標識は化学的または物理的結合によりタンパク質試薬に結合またはカップルさ
せることができる。本発明記載の試薬抗原または抗体に結合し得るリガンドおよ
び基には、それに結合している試薬を試験すべき化合物および材料と判別するの
に使用し得る物理的または化学的特性を有する単体、化合物または生物学的物質
が含まれる。 本件明細書においては、標識法は明瞭性の目的で抗体の標識との関連で記述さ
れているが、限定のためではなく、記述された方法は一般に、タンパク質性の化
合物または材料、たとえばここでの試薬妊娠性抗原または胎児性制限抗原のいか
なるものの標識にも適している。 本発明記載の放射性標識抗体は生体内診断試験に使用することができる。標識
した抗体の比放射能は放射性標識の半減期、同位体純度およびいかにして抗原ま
たは抗体に標識を組み入れたかに依存する。表Aには数種の通常使用する同位体
、その比放射能および半減期が列記してある。免疫学的検定法試験においては一
般に、比放射能がより高ければ感度もより良好である。 表Aに列記した放射性同位体で抗体を標識する方法は当該技術で周知されてい
るものである。たとえばトリチウム標識法は米国特許第4,320,438号に記載され
ている。特に抗体に受け入れられているヨウ素化法、トリチウム標識法および35
S標識法はゴディング(J.Goding),モノクローン抗体;原理と実際(Monoclona
l Antibodies:Principles and Practice),ニューヨーク・アカデミックプレス
(1983)124−126ページに記載されており、本件明細書に引用されている。ヨウ
素化抗体に関する他の方法はハンター(Hunter)およびグリーンウッド(Greenw
ood),ネーチャー(Nature)144:945(1962)に、およびデービッド(David)
ら,生化学(Biochem.)13:1014−1021(1974)に、ならびに米国特許第3,867,5
17および4,376,110号に記載されている。適当な系、結合方法およびこれに伴う
基質反応は、たとえば米国特許RE−31,006、第3,654,090、4,214,048、4,289,74
7、4,302,438、4,312,943、4,376,110号に開示されており、本件明細書に引用さ
れている。他の適当な系の例はペスケ(Pesce)ら,臨床化学(Clin.Chem.)20:
353−359(1974)およびウィズダム(G.Wisdom)臨床化学(Clin.Chem.)22:124
3(1976)に記載されている。 標識に使用し得る適当な酵素類および各類の特定の例のリストを以下に示す。 適当な酵素はホーク(Hawk)ら、実用生理化学(Practical,Physiological Ch
emistry),ニューヨーク:マグローヒル,306−397ページ(1954)に記載されて
いる。 蛍光原および発色原酵素(その存在下に、選択された基質が蛍光体化合物また
は発色原化合物を生成する酵素)が各部分の標識に有用である。抗体の抗原に結
合する能力を損なうことなく抗体に酵素を選択的に結合させる方法およびタンパ
ク質性試薬に酵素を結合させる方法は当該技術で周知されている。 適当な酵素およびこれを抗体に結合させる方法は、たとえばチバタ(I.Chibat
a),固定酵素(Immobilized Enzymes),ハルステッド出版:ニューヨーク(19
78)、クアトレカサス(A.Cuatrecasas),生物化学雑誌(J.Bio.Chem.)245:30
59(1970);ウイルソン(M.Willson)ら,免疫蛍光法および関連染色技術国際
会議(International Conference in Immunofluoressence and Related Stainin
g Techniques),クナップ(W.Knapp)ら編,アムステルダム:エルゼビア(Els
evier),215−244ページ(1978)、サリバン(M.Sullivan)ら,臨床生化学年報
(Ann.Clin.BioChem.)16:221−240(1979);ニグレン(H.Nygren)ら,医学生
物学(Med.Biol.)57:187−191(1979);ガドカリ(D.Gadkari)ら,ウィルス
学方法論雑誌(J.Virol.Meth.)10:215−224(1985);ティーッセン(P.Tijsse
n)ら,分析生化学 (Anal.Biochem.)136:451−457(1984);ツルタ(J.Turuta)ら,組織化学細
胞化学雑誌(J.Histochem.Cytochem.)33:767−777(1985);イシカワ(E.Ishi
kawa),免疫検定法雑誌(J.Immunoassay):209−327(1983);および米国特
許第4,190,496号に記載されている。 たとえば、好ましい酵素およびこれに対応する適当な基質にはホースラディッ
シュペルオキシダーゼも含まれ、これに適した基質にはo−フェニレンジアミン
、m−フェニレンジアミン、o−ジアニシジン、および4−クロロ−α−ナフト
ールがある。好ましい酵素にはβ−ガラクトシダーゼも含まれ、これに適した基
質には4−メチルウンベリフェニル−β−D−ガラクトシド、p−ニトロフェニ
ル−β−D−ガラクトース、p−ニトロフェノール、o−ニトロフェニル−β−
D−ガラクトース、およびo−ニトロフェノールがある。好ましい酵素にはアル
カリホスファターゼも含まれ、これに適した基質は、リン酸p−ニトロフェニル
、リン酸インドキシル、およびリン酸5−ブロモ−3−クロロインドキシルがあ
る。 抗体を酵素標識する適当な方法の例にはカルボジイミド、ジアルデヒド、およ
び二官能性結合剤の使用が含まれる。アミド基を経由する酵素の結合は、非水溶
媒、たとえばジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、テト
ラヒドロフラン等に入れた塩化チオニル、N−ヒドロキシスクシニミドまたは同
様の試薬でタンパク質を処理することにより達成される。これに替わる結合剤に
は、たとえば、カルボジイミド類、たとえば1−エチル−(3−(N,N′−ジメ
チルアミノ)−プロピル)−カルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(2−
モルホリノエチル)−カルボジイミド、p−トルエンスルホン酸メチル、4−(
N−マレイミドエチル)−シクロヘキサン−1−カルボン酸スクシニミジル、お
よび3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオン酸スクシニミジルが含まれる。 酵素のカルボヒドラート部分はまた、酸化してアルデヒドとし、イムノグロブ
リンのリシルアミノ基と反応させてシッフ塩基を形成させることもできる。ホウ
水素化ナトリウムによる還元は酵素と抗体との安定な結合に効果を有する。ホー
スラディッシュペルオキシダーゼと抗体とは、ウイルソン(M.Willson)ら,免
疫蛍光法および関連染色技術国際会議(International Conference in Immunofl
uoressence and Related Staining Techniques),クナップ (W.Knapp)ら編,アムステルダム:エルゼビア(Elsevier),215−244ページ(
1978)の方法により、イムノグロブリンに効果的に結合させることができる。蛍
光体標識抗体および発色体標識抗体は、当該技術で公知の標準蛍光体部分より製
造することができる。抗体および他のタンパク質が約310nmまでの波長を有する
光を吸収するので、蛍光体部分は310nm以上の、好ましくは400nm以上の波長でか
なりの吸収を有するように選択するべきである。多くの適当な蛍光体および発色
体がストライヤー(Stryer),サイエンス(Science)162:526(1968)およびブ
ランド(L.Brand)ら,生化学年報(Ann.Rev.Biochem.)41:843−868(1972)に
記載されている。抗体は、たとえば米国特許第3,940,475、4,289,747および4,37
6,110号に開示されているような通常の方法により、蛍光発色体基で標識するこ
とができる。 上記の幾つかの望ましい性質を有する蛍光体のグループの一つはキサンテン染
料であり、これには3,6−ジヒドロシシ−9−フェニルキサントヒドロールとレ
サミン類とより誘導されたフルオレッセイン類および3,6−ジアミノ−9−フェ
ニルキサントヒドロールとリッサニムローダミンBとより誘導されたレサミン類
が含まれる。9−o−カルボキシフェニルキサントヒドロールのローダミン誘導
体およびフルオレッセイン誘導体は9−o−カルボキシフェニル基を有する。反
応性結合基、たとえばアミノ基およびイソチオシアネート基を有するフルオレッ
セイン化合物、たとえばフルオレッセインイソチオシアネートおよびフルオレス
カミンは容易に入手し得る。 蛍光体化合物の他の一つのグループは、α−またはβ−位にアミノ基を有する
ナフチルアミン類である。ナフチルアミン化合物には1−ジメチルアミノナフチ
ル−5−スルホン酸塩、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホン酸塩および2−
p−トルイジニル−6−ナフタレンスルホン酸塩が含まれる。他の染料には3−
フェニル−7−イソシアナトクマリン;アクリジン類、たとえば9−イソチオシ
アナトアクリジンおよびアクリジンオレンジ;N−[p−(2−ベンゾキシアゾリ
ル)−フェニル]−マレイミド;ベンゾキシアジオゾール類、たとえば4−クロ
ロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールおよび7−(p−メトキ
シベンジルアミノ)−4−ニトロベンジル−2−オキサ−1,3−ジアゾール;ス チルベン類、たとえば4−ジメチルアミノ−4′−イソチオシアナトスチルベン
および4−ジメチルアミノ−4′−マレイミドスチルベン;N,N′−ジオクタデシ
クロキサカルボキシアミン−p−トルエンスルホン酸塩;ピレン類、たとえば8
−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホン酸、1−ピレン酪酸、メロシアニン5
40、ローズベンガル、2,4−ジフェニル−3−(2H)−フラノン、o−フタラル
デヒド、ならびに他の容易に入手し得る蛍光体分子が含まれる。これらの染料は
活性官能性基を有するか、またはこの種の官能性基を容易に導入し得る。 抗体は、ゴディング(J.Goding),モノクローン抗体:原理と実際(Monoclon
al Antibodies:Principles and Practice),ニューヨーク:アカデミックプレ
ス(1983)208−249ページに記載された方法により、蛍光発色体または発色体で
標識することができる。蛍光発色体の濃度はゴディング上掲書の229ページの表
に従って選択する。たとえば、フルオレッセインイソシアネート(1.0mg/ml)ま
たはローダミンイソシアネート(10.0mg/ml)のDMSO溶液を調製し、所望の体積
(タンパク質溶液の全体積の1−10%)をタンパク質溶液に、撹拌しながら滴々
添加する。反応は2時間、光を遮断して行う。生成物を、0.1%のNaNO3を含有す
るセファデックス(Sephadex)G−25のPBS中ゲル上でのゲル濾過により精製し
て未反応の、または加水分解した蛍光発色体を分離する。抱合体(conjugate)
の不存在は280nmで、また、その可視領域のピーク(フルオレッセイン化抗体で
は495nm、ローダミン化抗体では550nm)で測定する。蛍光発色体対タンパク質比
はゴディング(J.Goding),モノクローン抗体:原理と実際(Monoclonal Antib
odies:Principles and Practice),ニューヨーク:アカデミックプレス(1983
)224−225ページの方法により計算する。抱合体は使用まで4℃で、光を遮断し
て貯蔵する。抗体溶液濃度が1mg/ml未満であるならば、溶液に、BSAを添加して
最終濃度を1mg/mlとする。 本発明記載の検定法に使用する抗体および試薬抗原はアビジンまたはビオチン
に共有結合させることができる。適当な結合方法には二官能性架橋剤による架橋
が含まれる。適当な二官能性化合物はピータース(K.Peters)ら,生物化学年報
(Ann.Rev.Biochim.)46:523(1977)に記載されている。イミド酸アルキルは、
タンパク質により与えられた官能基の中でも高度の特異性を示す。この反応は主 としてアミノ基に特異的である。適当な結合試薬の例にはアミドエステルたとえ
ばマロニミド酸ジメチル、アジド類たとえばイムノ基と容易に反応してアミド結
合を作るタートリルジアジドのアシルアジドが含まれる。ジハロゲン化アリール
(たとえば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン、または4,4′−ジフルオ
ロ−3,3′−ジニトロフェニルスルホン)、グルタールアルデヒド、1−エチル
−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、ジマレイイミ
ド、混合酸無水物、m−マレアミドベンゾイルN−ヒドロキシスクシニミドエス
テル、および他の公知の架橋剤を使用することができる。 上述の試薬類は基本的に不可逆の結合を与える。二硫化物またはグリコールの
ような官能基を有する二官能性薬剤を使用することもできる。これらは、所望な
らば架橋反応後に切断し得る結合を与える。この種の薬剤には3,3′−ジチオビ
スプロピオニミド酸ジメチル、プロピオニミド酸スクシニミジル、N−(3−フ
ルオロ−4,6−ジニトロフェニル)−シスタミン、タートリルジアジド、タート
リルジ−(グリシルアジド)およびタートリルジ−(ε−アミノカプロイルアジ
ド)が含まれる。 他の場合には、結合は試薬自体の間で直接に形成することができる。たとえば
、抗体は個々の物質の官能基を通してビオチンと結合することができる。特定の
例として、ビオチンは過ヨウ素酸塩で処理し、抗体と反応させて、ビオチンとア
ビジンとの結合を阻害することなく、また抗体の免疫学的活性を遮蔽することな
く、シッフ塩基形状とすることができる。アビジン抱合試薬およびビオチン化試
薬はベクター研究所(Vector Laboratories,Burlingame,California)より入手
し得る。 二官能性架橋剤を用いる公知の技術には以下のものが含まれる。(a)1段階
グルタールアルデヒド結合、アブラメアス(S.Avrameas),免疫化学(Immunoch
em.):43(1969);(b)2段階グルタールアルデヒド結合、アブラメアス(
S.Avrameas),免疫化学(Immunochem.):1175(1971);および(c)ジマレ
イミド結合、カトー(K.kato)ら,ヨーロッパ生化学雑誌(Euro.J.Biochem.)6
2:285(1966)。 抗体はナトウィッチ(D.Hnatowich)ら,応用放射線学雑誌(J.Appl.Rad.) 35 :554−557(1984)およびバックレー(R.Buckley)ら,ヨーロッパ生化学協会
連合(Fed.Eur.Biochem.Soc.)166:202−204(1984年1月)の方法に従って金属
核種で標識することもできる。この方法においては抗体がキレート剤、たとえば
、金属核種とキレートを形成し得るジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)と結合
する。DTPAの二環状無水物を乾燥溶媒、たとえばクロロホルム、エーテルまたは
乾燥DMSOにけん濁させて0.1mg/mlのけん濁液を調製する。1:1のDTPA対イムノグ
ロブリン比を与えるのに十分な量を清浄な乾燥した試験管にとり、窒素下で蒸発
させる。上に使用したpH7.0−7.5の0.05M炭酸水素塩緩衝剤食塩水中の抗体溶液
(10−20mg/ml)10−20ミクロリットルを乾燥DTPAに添加し、内容物を0.5−1.0
分間撹拌する。同一の緩衝溶液を溶いて結合タンパク質配合液を0.2mlに希釈し
、セファデックスG−50ゲルを有する5cmのゲル濾過カラムで、食塩水溶離液を
用いて精製する。結合効率は、pH6.0の0.5M酢酸塩緩衝溶液を入れた“キーレー
ショングレード”の111Inを添加して、精製前に測定する。結合効率を計測する
ために抗体に結合したDTPAを分離するには薄層クロマトグラフィーを使用する。
DTPA−結合抗体は、たとえば111In+3212Bi+3および68Ga+3のような金属放射性
核種との結合が必要となるまで、4℃で貯蔵することができる。 本発明はさらに、以下の特定的な、しかし非限定的な実施例により説明する。
これと異なる指示のない限り、温度は℃で、百分率は重量%で表す。 実施例 1 ポリクローン抗胎児性フィブロネクチン抗体 胎児性フィブロネクチンをエングバル(Engvall)およびルオスラーティ(Ruo
slahti),国際癌雑誌(Int.J.Cancer)20:1−5(1977)の記載のようにして、
羊水より精製する。 抗胎児性フィブロネクチン抗体は、たとえばストラー(Stollar)の文献、酵
素学の方法(Meth.Enzym.)70:70(1980)に記載されている免疫技術および手順
を用いて、ウサギに胎児性フィブロネクチン抗原に対する免疫性を与えて採取す
る。この抗血清を、たとえばランゲ(Lange)ら,臨床実験免疫学(Clin.Exp.Im
munol.)25:191(1976)およびピセツキー(Pisetsky)ら,免疫学方法論雑誌(
J.Immun.Meth.)41:187(1981)に記載されているような、モノ クローン抗体に用いられるものと同様の固相検定法で選別する。 この抗血清のIgG分画を、胎児性フィブロネクチンが結合しているCN Br−セフ
ァロース(CN Br−Sepharose)4B(ファルマシア精密化学薬品(Pharmacia Fine
Chemicals))を使用する親和性クロマトグラフィーによりさらに精製する。結
合に使用する方法は上記ゲル製造業者の、親和性クロマトグラフイー(Affinity
Chromatography),ファルマシア精密化学薬品,15−18ページに推奨されている
ものである。 2ないし3倍体積の緩衝液(0.01M PBS、pH7.2)を用いてカラムを平衡に達せ
しめ、ついで、抗胎児性フィブロネクチン抗体含有溶液をカラムに適用する。タ
ンパク質がもはやカラムより流出しなくなるまで、溶離液の吸光度を280nmで監
視する。ついで、このカラムをpH2.5の0.1Mグリシン緩衝液で洗浄して、免疫親
和性結合した抗胎児性フィブロネクチン抗体を脱着させる。ピークのタンパク質
分画を集め、貯蔵し、pH7.2の0.01M PBSに対して4℃で24−36時間、緩衝液をし
ばしば換えながら透析する。 より高い純度が望ましいならば、上記の方法により、成人血漿性フィブロネク
チンの結合した親和性カラムに親和性精製したIgGを流して、成人血漿性フィブ
ロネクチンと交差反応するいかなる抗体をも除去することができる。 実施例 2 モノクローン抗胎児性フィブロネクチン抗体 実施例1の方法により得られた精製胎児性フィブロネクチンを使用し、マウス
に免疫性を与えるための抗原として胎児性フィブロネクチンを用いるゴーフル(
Galfre)およびミルシュタイン(Milstein),酵素学の方法(Meth.Enzym.)73:
1(1981)ならびにマツウラ(H.Matsuura)およびハコモリ(S.Hakomori)ら,
米国国立科学アカデミー報文集(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)82:6517−6521(198
5)の標準法を使用して、胎児性フィブロネクチンに対するマウスのモノクロー
ン抗体を得る。文献、たとえばランゲ(Lange)ら,臨床実験免疫学(Clin,Immu
n.Meth.)25:191(1976)およびピセツキー(Pisetsky)ら免疫学方法論雑誌(J
.Immun.Meth.)41:187(1981)に記載されている技術の変法を用いてこのモノク
ローン抗体を選別する。 腹水またはヒブリドーマ培養上澄液より、タンパク質−A結合セファロース−
4B(ファルマシア精密化学)を用い、ティーッソン(Tijsson),酵素免疫検定
の実際と理論(Practice and Theory of Enzyme Immunoassays)エルゼビア化学
出版,105−107ページ(1985)の方法に従っててマウスのモノクローン抗体を精
製する。 実施例 3 抗体被覆ミクロタイター板 ヤギのF(ab′)2抗マウスIgG抗体(タゴ(Tago))をpH9.6の0.05M炭酸塩緩
衝溶液で10μg/mlに希釈する。イムロン(Immulon)IIミクロタイター板(ダイ
ナテック(Dnatech))の各井戸状くぼみごとに100μlずつを分ける。このミク
ロタイター板に蓋をし、室温で4時間、または4℃で一晩培養する。このミクロ
タイター板を洗浄緩衝液(0.02MトリスHCl、0.015MNaCl、0.05Mトウイーン20)
で4回洗浄する。ついで、各くぼみごとに200μmの遮蔽溶液(0.01M PBS、1%
BSA、0.02%NaN3、pH7.4)を加えてミクロタイター板を遮蔽する。米国特許第3,
171,783、3,234,096、3,236,732、3,309,275、4,116,776、4,123,509、4,234,56
1、4,256,629、4,268,435、4,310,455、または4,313,871号に記載されている方
法に従って調製した抗−(hCG)抗体をpH7.4の0.01M PBS−1%BSAで1/10,000に
希釈する。この溶液100μlずつを上記の遮蔽したミクロタイター板の各くぼみに
加える。このくぼみに蓋をし、室温で2時間、または4℃で一板培養する。つい
で、このミクロタイター板を上記のような洗浄溶液で4回洗浄する。ここで試料
の免疫検定の準備が整った。 実施例 4 ポリクローン抗体被覆ミクロタイター板 実施例1の記載と同様にして調製し、さらに精製して成人性フィブロネクチン
交差反応性を除いたウサギの抗胎児性フィブロネクチン抗体をpH9.6の0.05M炭酸
塩緩衝溶液で10μg/mlに希釈する。イムロンIIミクロタイター板(ダイナテック
)の各井戸状くぼみごとに100μlずつを分ける。このミクロタイター板に蓋をし
、室温で4時間、または4℃で一板培養する。このミクロタイター板は使用ごと
にくぼみの充填、排出を完全に行って、洗浄緩衝液(0.02MトリスHCl、0.015M NaCl、0.05Mトウィーン20)で4回洗浄する。ついで、各くぼみごとに200μlの
遮蔽溶液(0.01M PBS、1%BSA、0.02%NaN3、pH7.4)を加えてミクロタイター
板を遮蔽し、室温で1時間培養する。ついで、このくぼみを上記のようにして洗
浄緩衝液で4回洗浄する。ここで、このミクロタイター板は試料の免疫検定の準
備が整った。 実施例 5 モノクローン抗体被覆ミクロタイター板 ヤギのF(ab′)2抗マウスIgG抗体(タゴ)をpH9.6の0.05M炭酸塩緩衝溶液で
10μg/mlに希釈する。イムロンIIミクロタイター板(ダイナテック)の各井戸状
くぼみごとに100μlを分ける。このミクロタイター板に蓋をし、室温で4時間、
または4℃で一晩培養する。このミクロタイター板を実施例4に記載したものと
同様の洗浄緩衝液で4回洗浄する。ついで、各くぼみに実施例4に記載したもの
と同様の遮蔽溶液を加えてミクロタイター板を遮蔽する。実施例2と同様にして
調製したマウスのモノクローン抗胎児性フィブロネクチン腹水をpH7.4の0.01M P
BS−1%BSAで1/5000に希釈する。この溶液100μlずつを上記の遮蔽したミクロ
タイター板の各くぼみに加える。このくぼみを室温で2時間、または4℃で一板
培養し、蓋をする。ついで、このミクロタイター板を上記の洗浄緩衝液で4回洗
浄する。ここで試料の免疫検定の準備が整った。 実施例 6 酵素標識抗hCG抗体 米国特許第3,171,783、3,234,096、3,236,732または3,309,275号の方法に従っ
て抗hCG抗体を調製し、アブラメアス(Avrameas),免疫化学(immunochem.)
:43(1969)の1段階グルタールアルデヒド法に従ってアルカリホスファターゼ
で抱合する。 実施例 7 酵素標識抗フィブロネクチン抗体 米国特許第4,325,867号の方法に従って調製した、またはATCC HB91(アメリカ
形式培養集積所(American Type Culture Collection,Rockville,MD))より誘
導した抗フィブロネクチン抗体をアブラメアス(Avrameas),免疫化学 (Immunochem.):43(1969)の1段階グルタールアルデヒド法に従ってアルカ
ルホスファターゼで抱合する。 実施例 8 妊娠試験 子宮頸管または子宮腟部の近傍の腟腔より試料を採取し、検定して非制限妊娠
性抗原の存在を判定する。この種の非制限妊娠性抗原の存在は、患者が妊娠して
いることを示す。 この試験には正の対照体と負の対照体とが含まれる。正の対照体は既知の妊娠
性抗原濃度の試料をほぼ検定範囲(モノクローン基準の検定に関しては20ng/ml
ないし5μg/ml)に入るように希釈したものである。負の対照体は試料希釈剤で
ある。検定標準は、既知濃度の妊娠性抗原を有する試料を20ng/mlないし5μg/m
lの範囲で標準曲線が得られるように、試料希釈剤で連続的に希釈したものであ
る。 子宮腟部の近傍で採取した試料を含有する試料採取用スワブを、pH7.4の0.05M
トリス−HCl、0.15M NaCl、0.02%NaN3、1%BSA、500カリクレイン単位/mlのア
プロチニン、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)および5mM EDTAより
なる貯蔵溶液0.75mlに浸す。検定のためにスワブを溶液より取り出し、この溶液
を13,000rpmで5分間遠心して粒状物質を除去する。上澄液は、スワブ中にあっ
た可溶性妊娠性抗原を含有している。 実施例3と同様にして調製したミクロタイター板を検定に使用する。それぞれ
100μlずつの標準、試料、正のおよび負の対照体を個別の井戸状くぼみに入れ、
室温で2時間培養する。このミクロタイター板を上記の洗浄緩衝液で4回洗浄す
る。実施例6と同様にして精製したアルカリホスファターゼ抱合ヤギ抗−(hCG
)抗体100μlを抱合緩衝液(pH8の0.02Mトリス−HCl、0.3M NaCl、0.05%トウィ
ーン20、5%BSA、0.02%NaN3)で1/1000に希釈する。各くぼみに100μlずつ分
け、室温で2時間培養する。このミクロタイター板を上記のようにして4回洗浄
する。4mg/mlのリン酸p−ニトロフェニル(PNPP)を基質として使用する。これ
を、0.12mMのMgCl2を有するpH9.5の0.18M2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ
ール(AMP)緩衝液で希釈する。ミクロタイター板の各くぼみに100μlず つを分ける。室温で5分培養したのち、V−マックス(V−MAXTM)動的ミクロ
タイター板読取器(モレキュラー・ディバイス社(Molecular Devices))上、4
05nmで、反応速度をミリーOD/分で読み取る。 反応速度の増大を標準中の妊娠性抗原濃度の増大と相関させて標準曲線を構成
する。未知数は曲線より直接に、または前もって調整したコンピュータプログラ
ム(モレキュラー・ディバイス社)を用いて計算する。試料中の妊娠性抗原の存
在は妊娠を示す。 実施例 9 択一的妊娠性試験 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、日本特許出願59174726
および59214767の記載と同様にして調製した抗−(SP1)抗体で置き換えて、SP1
妊娠性抗原の検定による妊娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、世界特許WO8605498の方
法により調製した抗−(EPF)(早期妊娠因子)抗体で置き換えて、EPFの検定に
よる妊娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、米国特許第3,892,841号
の記載と同様にして調製した抗−(hPL)抗体で置き換えて、hPLの検定による妊
娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、米国特許第4,554,256号
の記載と同様にして調製した抗−(タンパク質B)抗体で置き換えて、タンパク
質Bの検定による妊娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、米国特許第4,500,451号
の記載と同様にして調製した抗−(PP13)抗体で置き換えて、PP13妊娠性抗原の
検定による妊娠の判定法を提供する。 実施例 10 択一的妊娠性試験 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、ウオリタ(M.Uoria)ら
,分子免疫学(Mol.Immunol.)17:791(1980)およびウオリタら免疫学方法論雑
誌(J.Immunol.Meth.)42:11(1981)の記載と同様にして調製した抗−(α−フ
ェ トタンパク質)抗体で置き換えて、α−フェトタンパク質妊娠性抗原の検定によ
る妊娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、ヨーロッパ特許出願125
514(1984年11月21日)の記載と同様の方法により調製した抗−(MPI)抗体で置
き換えて、MPI妊娠性抗原の検定による妊娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、米国特許第4,468,345号
の記載と同様にして調製した抗−(PP17)抗体で置き換えて、PP17妊娠性抗体の
検定による妊娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、米国特許第4,592,863号
の記載と同様にして調製した抗−(PP20)抗体で置き換えて、PP20妊娠性抗体の
検定による妊娠の判定法を提供する。 実施例8の方法を繰り返し、ただ抗−(hCG)抗体を、ミラン(J.Millan)ら
,胎盤タンパク質(Placental Proteins)(432ページ)の記載と同様にして調
製した抗−(PLAP)(胎盤アルカリホスファターゼ)抗体で置き換えて、PLAP妊
娠性抗原の検定による妊娠の判定法を提供する。 実施例 11 妊娠試験 子宮頸管または子宮腟部の近傍の腟腔より試料を採取し、検定して胎児性制限
抗原の存在を判定する。試料中のこの種の胎児性制限抗原の存在は、患者が妊娠
していることを示す。 この試験には正の対照体と負の対照体とが含まれる。正の対照体は、既知濃度
の胎児性フィブロネクチンを有する羊水を、ほぼ検定範囲(モノクローン基準の
検定に関しては20ng/mlないし5μg/ml)に入るように希釈したものである。負
の対照体は試料希釈剤である。検定標準は、既知濃度のフィブロネクチンを有す
る羊水を20ng/mlないし5μg/mlの範囲で標準曲線が得られるように、試料希釈
剤で連続的に希釈したものである。 試料希釈剤はpH7.4の0.05Mトリス−HCl、0.15M NaCl、0.02%NaN3、1%BSA、
500カリクレイン単位/mlのアプロチニン、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル
(PMSF)および5mM EDTAよりなるものである。 子宮腟部の近傍で採取したスワブ試料を収集用ガラスびん中の試料希釈剤0.75
ml中に浸す。検定のためにスワブを溶液より取り出し、この溶液を13,000rpmで
5分間遠心して粒状体を除去する。上澄液は、スワブ中にあった可溶性妊娠性抗
原を全て含有している。 実施例5と同様にして調製したミクロタイター板を検定に使用する。それぞれ
100μlずつの標準、試料、正のおよび負の対照体を個別の井戸状くぼみに入れ、
室温で2時間培養する。このミクロタイター板を実施例4および5の記載と同様
の洗浄緩衝液で4回洗浄する。実施例7と同様にして調製したアルカリホスファ
ターゼ抱合ヤギ抗−(ヒトフィブロネクチン)100μlを抱合緩衝液(pH8の0.02M
トリス−HCl、0.3M NaCl、0.05%トウィーン20、5%BSA、0.02%NaN3)で1/100
0に希釈する。各くぼみに100μlずつ分け、室温で2時間培養する。このミクロ
タイター板を上記のようにして4回洗浄する。4mg/mlのリン酸p−ニトロフェニ
ル(PNPP)を基質として使用する。これを、0.12mMのMgCl2を有するpH9.5の0.18
M 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)緩衝液で希釈する。ミクロ
タイター板の各くぼみに100μlずつを分ける。室温で5分培養したのち、V−マ
ックス(V−MAXTM)動的ミクロタイター板読取器(モレキュラー・ディバイス社
)上、405nmで、反応速度をミリ−OD/分で読み取る。 反応速度の増大を標準中のフィブロネクチン濃度の増大と相関させて標準曲線
を構成する。未知数は曲線より直接に、または前もって調整したコンピュータプ
ログラム(モレキュラー・ディバイス社)を用いて計算する。 試料中に有意の胎児性フィブロネクチンを表す妊娠20週以前に得た試料は正常
子宮妊娠を示す。有意の量の胎児性フィブロネクチンが存在しない試料は正常子
宮妊娠が存在しないことを示す。 実施例 12 子宮外妊娠試験 妊娠に関して正の試験結果を得ており、かつ、子宮外妊娠の疑いのある患者の
子宮腟部の近傍で収集した試料を用いて実施例11の方法を繰り返した。 試料中に有意の胎児性フィブロネクチンの存在しないことを表す妊娠20週以前
に得た試料は子宮外妊娠の存在を示す。 実施例 13 治療的妊娠中絶の生成物試験 治療的妊娠中絶中に得た試料を試験して、胎児性物質が子宮より取り出された
ことを確認する。 この試験には正の対照体と負の対照体とが含まれる。正の対照体は既知濃度の
胎児性フィブロネクチンを有する羊水を貯蔵溶液で1/10、1/30、1/90、1/270、1
/710および1/2130に希釈したものである。貯蔵溶液はpH7.4の0.05Mトリス−HCl
、0.15M NaCl、0.02%NaN3、1%BSA、500カリクレイン単位/mlのアプロチニン
、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)および5mM EDTAよりなるもので
ある。この貯蔵溶液は、1988年9月15日に受理された米国特許出願第244,969号
に記載されている。負の対照体は妊娠初期の3箇月の母胎血漿を貯蔵溶液で1/5
および1/10に希釈したものである。貯蔵溶液は負のバックグラウンド対照体とし
て使用する。 治療的妊娠中絶中に採取した組織または他の物質の試料を0.75mlの試料希釈剤
中に分散させる。この試料溶液を1mlのミクロヒュージ管中で遠心(13,000rpmで
5分間)して粒状体を除去する。 実施例5と同様にして調製したミクロタイター板を検定に使用する。それぞれ
100μlずつの標準、試料、正のおよび負の対照体を個別の井戸状くぼみに入れ、
室温で2時間培養する。このミクロタイター板を実施例4に記載した洗浄緩衝液
で4回洗浄する。実施例6と同様にして調製したアルカリホスファターゼ抱合ヤ
ギ抗−(hCG)100μlを抱合緩衝液(pH8の0.02Mトリス−HCl、0.3M NaCl、0.05
%トウィーン20、5%BSA、0.02%NaN3)で1/1000に希釈する。各くぼみに100μ
lずつ分け、室温で2時間培養する。このミクロタイター板を上記のようにして
4回洗浄する。4mg/mlのリン酸p−ニトロフェニル(PNPP)を基質として使用す
る。これを、0.12mMのMgCl2を有するpH9.5の0.18M 2−アミノ−2−メチル−1
−プロパノール(AMP)緩衝液で希釈する。ミクロタイター板の各くぼみに100μ
lずつを分ける。室温で5分培養したのち、V−マックス(V−MAXTM)動的ミク
ロタイター板読取器(モレキュラー・ディバイス社,Palo Alto,CA)上、405nmで
、反応速度をミリ−OD/分で読み取る。 反応速度の増大を標準中の胎児性制限抗原濃度の増大と相関させて、標準曲線
を構成する。未知数の曲線より直接に、または前もって調整したコンピュータプ
ログラム(モレキュラー・ディバイス社)を用いて計算する。 妊娠による生成物を含有する試料中に有意の量の胎児性フィブロネクチンが見
いだされれば、正常妊娠とその終結とが確認される。妊娠患者において有意の量
の胎児性フィブロネクチンが存在しないならば、子宮外妊娠の可能性を示す。 実施例 14 自発妊娠中絶試験 正常妊娠の疑似自発妊娠中絶中に得た腟排出物の試料を用いて実施例13の方法
を繰り返す。自発妊娠中絶(流産)よりの試料は排出物中の有意レベルの胎児性
フィブロネクチンを示す。排出物中に胎児性フィブロネクチンが有意のレベルで
検出されないならば、妊娠が継続していることを示す。 実施例 15 早期陣痛/羊膜破裂サンドウィッチ免疫検定 妊娠20−38週中に得た試料を用いて実施例13の方法を繰り返す。試料中の有意
量の胎児性フィブロネクチンの存在は羊膜が破れているであろうことを示し、早
期陣痛が起こり得ることを示す。 本発明の主なる特徴および態様は以下のとおりである。 1.(a)子宮頸管または子宮腟部の近傍で試料を採取し、その試料中の非制限妊
娠性抗原の存在を判定することよりなる、最初の3箇月中における妊娠判定方法
; (b)子宮頸管または子宮腟部の近傍で試料を採取し、その試料中の胎児性制限
抗原の存在を判定することよりなる、妊娠初期の20週間中における正常子宮妊娠
の判定方法; (c)妊娠初期の20週間中における妊娠患者より子宮頸管または子宮腟部の近傍
で試料を採取し、その試料中の胎児性制限抗原の不存在を判定することよりなる
、卵管妊娠の判定方法; (d)子宮より排出された、または取り出された試料を採取し、その試料中の胎
児性制限抗原の存在を判定することよりなる、妊娠による生体排出生成物の判定 方法;または (e)妊娠20週より後の患者より後穹、子宮頸管または子宮腟部の近傍で試料を
採取し、その試料中の胎児性制限抗原の存在を判定することよりなる、早期陣痛
または早期羊膜破裂の危険増大の判定方法 よりなる腟腔より採取した試料中の診断指標の存在の判定方法。 2.(a)子宮頸管または子宮腟部の近傍より試料を採取し、 (b)その試料中の非制限妊娠性抗原の存在を判定する ことよりなる上記の第1項記載の初期の3箇月中における妊娠判定方法。 3.(a)子宮頸管または子宮腟部の近傍より試料を採取し、 (b)その試料中の胎児性制限抗原の存在を判定する ことよりなる上記の第1項記載の妊娠初期の20週中における正常子宮妊娠判定方
法。 4.(a)妊娠初期の20週における妊娠患者より子宮頸管または子宮腟部の近傍で
試料を採取し、 (b)その試料中の胎児性制限抗原の不存在を判定する ことよりなる上記の第1項記載の子宮外妊娠判定方法。 5.(a)子宮より放出された、または採取した試料を得、 (b)その試料中の胎児性制限抗原の存在を判定する ことよりなる上記の第1項記載の妊娠による生体排出生成物の判定方法。 6.(a)妊娠20週以後の患者より後穹、子宮頸管または子宮腟部の近傍で試料を
採取し、 (b)その試料中の胎児性制限抗原の存在を判定する ことよりなる上記の第1項記載の早期陣痛または胎児膜破裂の危険増大の判定方
法。 7.a)試料を抗妊娠性抗原抗体と、抗原−抗体結合を起こさせるのに十分な時間
接触させ b)上記の結合の存在を判定する ことよりなる上記の第1または第2項記載の方法。 8.a)試料を抗妊娠性抗原抗体が付着している不溶性担体と、抗原−抗体結合を 起こさせるのに十分な時間接触させて試料を担体より取り出し、 b)上記の不溶性担体を抗妊娠性抗原抗体と、抗原−抗体結合を起こさせるのに
十分な時間接触させ、未結合の抗妊娠性抗原抗体を担体より取り出し c)上記の不溶性担体上の抗妊娠性抗原抗体の存在を判定する 各段階よりなる上記の第1、第2または第7項記載の方法。 9.a)試料を抗胎児性制限抗原抗体が付着している不溶性担体と、抗原−抗体結
合を起こさせるのに十分な時間接触させて試料を担体より取り出し、 b)上記の不溶性担体を抗胎児性制限抗原抗体または抗胎児制限抗原類抗体と、
抗原−抗体結合を起こさせるのに十分な時間接触させ、未結合の抗胎児性制限抗
原抗体を担体より取り出し c)上記の不溶性担体上の抗胎児性制限抗原抗体の存在を判定する 各段階よりなる上記の第1、第3、第4、第5または第6項記載の方法。 10.a)試料を抗胎児性制限抗原類抗体が付着している不溶性担体と、抗原−抗
体結合を起こさせるのに十分な時間接触させて試料を担体より取り出し、 b)上記の不溶性担体を抗胎児性制限抗原抗体と、抗原−抗体結合を起こさせる
のに十分な時間接触させ、未結合の抗胎児性制限抗原抗体を担体より取り出し c)上記の不溶性担体上の抗胎児性制限抗原抗体の存在を判定する 各段階よりなる上記の第1、第3、第4、第5または第6項記載の方法。 11.上記の妊娠性抗原がhCG、hCT、hPL、SP1、PAPP−A、PAPP−B、HSAP、PLAP
、CAP、PP5、PAMG1、PAMG2、β−PAM、α2−PAM、hCLRF、α−フェトタンパク質
、EPF、MP1、PP13、PP17、PP20、ソマトスタチン、およびこれらの混合物よりな
るグループから選択したものであることを特徴とする上記の第1、第2、第7ま
たは第8項記載の方法。 12.上記の試料中の判定すべき胎児性制限抗原抗体が胎児性フィブロネクチンで
あることを特徴とする上記の第1、第3、第4、第5、第6、第9または第10項
記載の方法。 13.上記の段階(b)の試薬抗体が物理的に検出可能な標識を有することを特徴
とする上記の第8、第9または第10項記載の方法。 14.(a)不溶性担体に付着させた抗妊娠性抗原抗体;(b)不溶性担体に付着 させた抗妊娠性抗原抗体と標識抗妊娠性抗原抗体、標識抗妊娠性抗原類抗体、も
しくは標識反応性妊娠性抗原との組合わせ;または(c)不溶性担体に付着させ
た試薬妊娠性抗原および標識抗妊娠性抗原抗体を有する試料採取手段の組合わせ
よりなる妊娠性抗原試験用キット。 15.(a)不溶性担体に付着させた抗胎児性制限抗原抗体、抗胎児性制限抗原類
抗体、もしくは試薬胎児性制限抗原;(b)不溶性担体に付着させた抗胎児性制
限抗原抗体と標識抗胎児性制限抗原抗体、標識抗胎児性制限抗原類抗体、もしく
は標識試薬胎児性制限抗原との組合わせ;(c)不溶性担体に付着させた抗胎児
性制限抗原類抗体と標識抗試薬胎児性制限抗原抗体との組合わせ;または(d)
不溶性担体に付着させた試薬胎児性制限抗原および標識抗胎児性制限抗原抗体よ
りなる、試料中の胎児制限性抗原判定用キット。 16.上記以外にさらに標識抗サンドウィッチ抗体抗体をも含有する上記の第14も
しくは第15項記載のキット。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a) 全妊娠期間の最初の3箇月中における妊娠の指標として、患者の
    子宮頚管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の非制限妊娠性抗原の存在を測
    定する工程、 (b) 妊娠初期の20週間中における正常子宮妊娠の指標として、患者の子宮頚
    管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の胎児性制限抗原の存在を測定する工
    程、 (c) 卵管妊娠の指標として、妊娠初期の20週間中における妊娠患者の子宮頚
    管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の胎児性制限抗原の不存在を測定する
    工程、 (d) 受胎の指標として、患者の子宮より排出または放出された試料中の胎児
    性制限抗原の存在を測定する工程、または (e) 早期陣痛または早期羊膜破裂の危険増大の指標として、妊娠20週より後
    の患者の子宮頚管または子宮頚部の近傍に由来する試料中の胎児性制限抗原の存
    在を測定する工程、 を含んでなる患者由来の試料中の診断指標の存在の測定方法。 2.試料を子宮頚管または子宮頚部の近傍から単離する試料採取手段と、 (a)不溶性担体に付着している抗非制限妊娠性抗原抗体;(b)不溶性担体に
    付着している抗非制限妊娠性抗原抗体と、標識抗非制限妊娠性抗原抗体もしくは
    標識抗非制限妊娠性抗原類抗体もしくは標識試薬非制限妊娠性抗原との組合せ;
    または(c)不溶性担体に付着している試薬非制限妊娠性抗原および標識抗非制
    限妊娠性抗原抗体、との組合わせよりなり、 (i)妊娠初期の3箇月中において妊娠の存在および/または情況を判定するた
    めに使用するか、 (ii)妊娠初期の20週中における子宮外妊娠の判定において使用するか、または (iii)ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、ヒト絨毛性チロトロピン(hCT)、ヒト
    胎盤性ラクトゲン(hPL)、妊娠特異性β−糖タンパク質(SP1)、エストリオール、
    プロゲステロン、胎盤アルカリフォスファターゼ(PLAP)、妊娠随伴性血漿タンパ
    ク質A(PAPP-A)、妊娠随伴性血漿タンパク質B(PAPP-B)、熱安定性アルカリフォス
    ファターゼ(HSAP)、シスチンアミノペプチダーゼ(CAP)、胎盤タンパク質5(PP5)
    、胎盤特異性α1−ミクログロブリン(PAMG1)、初期妊娠因子(EPF)、胎盤随伴性
    α2−ミクログロブリン(PAMG2)、妊娠随伴性β1−マクログロブリン(β1-PAM)、
    妊娠随伴性α2−マクログロブリン(α2−PAM)、ヒト絨毛性黄体形成ホルモン
    放出因子(hCLRF)、ソマトスタチン、MP-1、胎盤特異的タンパク質(PP13)、PP17
    、PP20およびタンパク質Bから選ばれた妊娠特異性指標を測定することにより妊
    娠の存在および/または情況を判定するために使用する、 非制限妊娠性抗原試験用キット。 3.(a)不溶性担体に付着させた抗胎児性制限抗原抗体;(b)不溶性担体
    に付着させた抗胎児性制限抗原抗体と、標識抗胎児性制限抗原抗体もしくは標識
    抗胎児性制限抗原類抗体もしくは標識試薬胎児性制限抗原との組合わせ;(c)
    不溶性担体に付着させた抗胎児性制限抗原類抗体と標識抗胎児性制限抗原抗体と
    の組合わせ;または(d)不溶性担体に付着させた試薬胎児性制限抗原および標
    識抗胎児性制限抗原抗体と、試料を子宮頚管または子宮頚部の近傍から単離する
    試料採取手段との組合わせよりなる試験試料中の胎児性制限抗原判定用キツト。

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