JPH06289021A - 遊離型セクレタリー・コンポーネントの定量法及び測定キット - Google Patents

遊離型セクレタリー・コンポーネントの定量法及び測定キット

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JPH06289021A
JPH06289021A JP5096605A JP9660593A JPH06289021A JP H06289021 A JPH06289021 A JP H06289021A JP 5096605 A JP5096605 A JP 5096605A JP 9660593 A JP9660593 A JP 9660593A JP H06289021 A JPH06289021 A JP H06289021A
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JP
Japan
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antibody
human
bovine
iga
secretary
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JP5096605A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Uchida
俊昭 内田
Shunichi Dosemari
俊一 堂迫
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 遊離型セクレタリー・コンポーネント(FS
C)含有試料を固定化免疫グロブリンと接触させて複合
体を形成させ、この複合体を抗SC抗体またはそのフラ
グメントと接触させて抗体複合体を形成させ、この抗体
複合体を定量することよりなるFSC定量法及びこのF
SC定量に使用するキット。 【効果】 FSCのみが免疫グロブリンと結合する性質
を利用するので抗SC抗体としてポリクローナル抗体を
使用することができる。また大量の試料を迅速に定量す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遊離型セクレタリー・
コンポーネントの定量法及びそれに使用する測定キット
に関する。
【0002】
【従来の技術】セクレタリー・コンポーネント(Sec
retory component、以下SCと略記す
る)は、乳、血液、体液中に広く存在する糖蛋白質で、
2量体免疫グロブリンA (以下IgA2 と略記する) や
免疫グロブリンM(以下IgMと略記する)に結合し、
SC結合型IgA2 (以下SIgAと略記する) やSC
結合型IgM(以下SIgM)を形成することが知られ
ており(Nature、第311巻、71〜73頁、1
984年)、また、SCが結合したSIgA及びSIg
Mは、消化酵素に対して耐性を示し、体外に分泌された
免疫グロブリンの機能維持に貢献していることも知られ
ている(J.Immunol.、第109巻、275〜
283頁、1972年)。
【0003】一方、SCの定量は、生理学的及び生化学
的研究において重要な課題となっており、さらには、S
Cの診断薬の重要性も明らかになってきている。すなわ
ち、肝臓疾患において、SCの血中濃度及び胆汁中濃度
が上昇することが知られている。詳しくは、肝疾患によ
る高アルカリフォスファターゼ症、胆汁流出閉塞症、胆
石、初期肝臓癌、肝臓移殖後の急性拒絶、肝臓移殖片局
所貧血などの症例において、著しいSCの上昇が起こる
ことが知られている(The American J.
Medicine、第85巻、327〜330頁、19
88年、Clin.Chimica Acta、第19
7巻、171〜187頁、1991年、Hepatol
ogy、第14巻、1046〜1053頁、1991
年、J.Immunol.、第129巻、133〜13
8頁、1982年)。また、免疫組織学的には、子宮内
膜癌や胃癌などの組織でSCの顕著な減少が観察されて
いる(日本産婦人科学会誌、第38巻、1707〜17
12頁、1986年、Cancer、第66巻、216
8〜2173頁、1990年)。その他、近年になっ
て、医薬品、食品、化粧品及び飼料などへのSCの応用
も幅広く検討されるようになってきており、遊離型SC
(以下FSCと略記する)の定量について、ますます重
要性が高まってきている現状にある。
【0004】現在知られているSCの定量法は幾つかあ
るが、その中、抗体を用いてFSCを定量する方法の問
題点は、FSCと同時にSIgAやSIgMも抗体で検
出されてしまうことにある。したがって、簡便に調製が
可能なポリクローナル抗体を用いたFSCの定量法で
は、FSCのみをどのようにして定量するかが大きな課
題となっている。抗SCポリクローナル抗体を用いたF
SCの定量法としては、Enzyme−linked
immunosorbent assay(ELISA
法)を用いた方法が提案されている(特開昭58−99
758号公報)。しかし、この方法では、SIgAの妨
害を避けるために、予め試料を抗IgA抗体カラムで処
理してSIgAを除去しなければならない。このような
前処理を必要とする方法では、多くの試料を定量する際
に時間が要するので好ましくない。また、その他のFS
Cを定量する方法としては、SC、IgA及びSIgA
のポリクローナル抗体を用いてそれぞれの物質の定量を
し、その値からFSC量を算出する方法がある(Cli
n.Physiol.Biochem.、第7巻、16
5〜175頁、1989年)。しかし、この方法では誤
差が大きくなりやすい欠点がある。さらに、SCのモノ
クローナル抗体を用いる方法として、ELISA法が開
発されている(J.Immunol.Methods、
第106巻、153〜160頁、1988年、Clin
ca.Chimica.Acta.、第197巻、17
1〜188頁、1991年)。しかし、モノクローナル
抗体を用いた蛋白質の定量では、抗原認識部位が一ヶ所
のみであるため、異なる抗原認識部位を有する2種類の
モノクローナル抗体を作製しなければならず、多大な労
力と時間を要するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、FSC
を定量するに際して、ポリクローナル抗体を用いても高
い精度が得られ、しかも、簡便に定量できる方法を見出
すべく検討を行ったところ、FSCがIgA2 あるいは
IgMに結合する性質を利用することにより、ポリクロ
ーナル抗体を用いた方法でも簡便に精度の高いFSCの
定量が行えることを見出し、本発明をなすに至った。し
たがって、本発明は、ポリクローナル抗体を用いたFS
Cの定量法を提供することを課題とする。また、本発明
は、このポリクローナル抗体を用いたFSCの定量法に
用いる測定キットを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、まず、固相
にIgA2 あるいはIgMを固定化する。固相にIgA
2 あるいはIgMを固定化する方法としては、ELIS
A用プレートカルボやELISA用プレートアミノ(住
友ベークライト(株)製)のような共有結合を利用する
ことやイオン交換樹脂を用いてイオン結合を利用するこ
ともできるが、IgA2 あるいはIgMを固相と接触さ
せるだけで吸着させる方法が簡便で実用的である。
【0007】また、IgA2 あるいはIgMを固定化す
る固相としては、蛋白質を良好に吸着するものであれば
何でも用いることができる。このような固相としてポリ
スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリビニル系樹脂、
その他の化学合成樹脂、あるいはガラスやセルロースな
どの天然高分子を素材とする平板、ビーズ、膜などを例
示することができる。これらの固相については、油脂な
どの付着物を除去するため、使用前にアルコールなどで
洗浄しておくことが望ましい。一方、固相に固定化する
IgA2 あるいはIgMは、ヒト、マウス、ウサギ、ウ
シなどの哺乳類由来のものやIgA2 あるいはIgM産
生細胞の培養によって得られるものを用いることができ
る。これらの免疫グロブリンについては、SIgAや単
量体の免疫グロブリンA(以下IgAと略記する)ある
いはSIgMが混在していても特に定量には影響ない
が、SC非結合型であるIgA2 あるいはIgMのみの
精製品を用いることが望ましい。また、これらの免疫グ
ロブリンに含まれている不純物については、除去するこ
とが望ましい。なお、これらのIgA2 あるいはIgM
は、ヒト、マウス、ウサギ、ウシなどのSCと非選択的
に反応するので、例えば、ヒトのFSCを定量する際に
は、ヒト由来のIgA2 あるいはIgMを使用せずに異
種のIgA2 あるいはIgMを使用することが望まし
い。なぜならば、FSCの定量時に起こり得る試料中の
抗原とIgA2 あるいはIgMとの反応を抑制すること
ができ、FSCの定量精度を上げることができるからで
ある。
【0008】本発明では、まず、FSCがIgA2 ある
いはIgMに結合するという性質を利用するため、上記
のようにして調製したIgA2 あるいはIgM固定化固
相と試料とを接触させる。この際、FSCは固相に結合
するが、SIgAあるいはSIgMは固相に結合しない
ので、FSCが結合した固相を十分洗浄することによ
り、SIgAあるいはSIgMを完全に除去することが
できる。
【0009】次に、固相に結合したFSCと抗SC抗体
を接触させる。ここでは、モノクローナル抗体を用いて
も構わないが、ポリクローナル抗体を用いることで十分
である。使用する抗SC抗体は、ウサギ、ヤギなどに通
常の方法で免疫し、採血後、血清部分を遠心分離で分画
したものを用いることができる。また、血清をプロテイ
ンGセファロース4B(ファルマシア社製)のようなI
gGのアフィニティーカラムクロマトグラフィーなどで
さらに精製したIgG画分を用いることもできる。ある
いは、市販の抗ヒトSC抗体(ノルディック社製)など
を用いることもできる。
【0010】そして、通常行われているラジオイムノア
ッセイ(以下RIA法と略記する)やエンザイムイムノ
アッセイ法でFSCを定量する。FSCの定量は、これ
らの定量法の原理を用いたものであればいずれの方法を
用いても構わない。例えば、RIA法の競合反応系や非
競合反応系、あるいはELISA法の均一測定法や非均
一測定法などを用いて測定することができ、また、抗S
C抗体の標識方法も酵素標識法や蛍光標識法などを用い
ることができる。以下に、使用頻度の最も高いエンザイ
ムイムノアッセイ法のうち、エンザイムリンクイムノア
ッセイ法(以下ELISA法と略記する) を中心にし
て、本発明を説明する。
【0011】固相にIgA2 あるいはIgMを結合させ
た後、非特異的結合を防ぐためにブロッキングを行う。
ブロッキング剤としては、ウシ血清アルブミン、ブロッ
クエース(大日本製薬(株)販売)、スパーブロッキン
グバッファー(ピアス社製)などを例示することができ
る。IgA2 あるいはIgMを固定化した固相をブロッ
キング剤に十分浸漬させた後、ブロッキング剤を除去す
る。次に、FSCを含む試料をIgA2 あるいはIgM
を固定化した固相と接触させて試料中のFSCをIgA
2 あるいはIgMに結合させた後、試料を除去して洗浄
液で洗浄する。用いる洗浄液は特に限定されないが、
0.05%ツィーン20及び0.15M塩化ナトリウム
を含むリン酸緩衝液(pH7.2)(以下PBSと略記
する)や希釈したブロックエースなどを用いることがで
きる。洗浄液で数回洗浄した後、抗SC抗体と接触させ
る。
【0012】抗SC抗体は、ポリクローナルで十分であ
るが、モノクローナル抗体を用いても構わない。また、
これらの抗体はそのままの形で用いても構わないし、F
(ab′)2、Fab′、Fabのような抗体のフラグメ
ントとしても用いることができる。これらのフラグメン
トは常法により作成することが可能である。例えば、F
(ab′)2は抗体を0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(p
H4.5)に溶解し、これにペプシンを添加して37℃
で一晩反応を行った後、中和してゲル濾過で精製する。
Fab′は得られたF(ab′)2をジチオスレイトール
及び1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)の存在下に室
温で1時間反応させた後、冷却してヨードアセトアミド
を添加し、30分間処理を行い、さらにジチオスレイト
ールと室温で15分間反応を行い、ゲル濾過で精製す
る。Fabは抗体にパパインを0.01Mシステイン及
び2mMエチレンジアミン4酢酸(EDTA)を含むリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した溶液を
添加し、37℃で一晩反応させた後、陰イオン交換体に
より分離、精製する。
【0013】これらの抗体あるいはそのフラグメント
は、そのまま用いても構わないが、あらかじめ種々の方
法で標識したものを用いると、操作性の向上や時間の短
縮化などの点で有利である。標識方法としては、β−ガ
ラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスフ
ァターゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−
リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースアミラーゼなどの
酵素を用いる方法、ビオチンを用いる方法などがあり、
RIA法で定量する場合は、 125I、 131Iなどの放射
性同位体を用いる方法がある。さらには、フルオレッセ
インイソチオシアネート、ローダミンイソチオシアネー
ト、フィコエリトリンなどを用いて蛍光標識したものな
ども用いることができる。これらの標識法の中、放射性
同位体を用いる方法は、特殊な施設を必要とし、また取
扱も難しい。また、ビオチン標識のものは感度の点で優
れているが、操作が複雑である。さらに、蛍光標識のも
のでは感度の点で劣る。したがって、酵素標識法が特に
有利である。酵素標識法としては、一般に知られている
方法を用いることができ、例えば、チオール基−マレイ
ミド基、ピリジルスルフィド基−チオール基、アミノ基
−アルデヒド基間の結合反応を利用した標識法がある。
【0014】検出は、酵素標識法の場合、基質を添加し
てその発色や蛍光を分光光度計や蛍光光度計などを用い
て測定し、定量を行う。例えば、β−ガラクトシダーゼ
の場合はO−ニトロフェニル−β−ガラクトピラノシド
(ONPG)、パーオキシダーゼの場合は2,2′−ア
ジノ−ジ(3−エチルベンズチアゾリンスルフォン酸)
(ABTS)、アルカリフォスファターゼの場合はP−
ニトロフェニルフォスフェート(PNPP)や5−ブロ
モ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェート−p−
トルイジン塩(BCIP)、グルコースオキシダーゼの
場合はβ−D−グルコースなどの基質を用いることがで
きる。また、アビジン−ビオチン標識したものも酵素標
識法と同様に行うことができる。放射性同位体を用いる
場合にはγ線測定器を用いて放射線量を測定する。ま
た、蛍光標識したものでは蛍光分光光度計を用いて測定
する。本発明の定量法は、乳、血液、体液などのSCを
含有する試料中のSCの定量に用いられる。以下実施例
により、本発明を具体的に説明する。
【0015】
【実施例1】ここでは、西洋ワサビパーオキシダーゼ標
識した抗ウシSC抗体を用いてウシSCの定量を行っ
た。 (1)ウシSCの調製 10mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したSP
−トヨパール650M(東ソー(株)製)を充填したカ
ラム(直径2.1cm×高さ14cm、容量50ml)
に未殺菌チーズホエー1,000mlを通液してウシS
Cを吸着させた後、10mMクエン酸緩衝液(pH4.
0)でpHを4.0とした。次に、0.45M塩化ナト
リウムを含む10mMクエン酸緩衝液(pH4.0)で
ラクトパーオキシダーゼなどの不純物を溶出した後、2
0mMリン酸緩衝液(pH7.0)でpHを7.0と
し、0.15M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩
衝液(pH7.0)でウシSCを溶出した。この処理に
より純度71%のウシSCを得た。そしてさらにウシS
Cの純度を高めるため、プロテインGセファロース4B
(ファルマシア社製)を充填したカラム(直径1.2c
m×高さ3.6cm、容量4ml) に上記のウシSC画
分を通液して非吸着画分を回収し、分画分子量10,0
00のミリポアフィルターを用いて濃縮したウシSC画
分を0.5M塩化ナトリウムを含む50mMトリス−塩
酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したスーパーロース1
2(ファルマシア社製) を用いてゲル濾過を行った。こ
の処理により電気泳動的に単一なウシSC26mgを得
た。
【0016】(2)抗ウシSC抗体の調製 上記のようにして調製したウシSCをウサギに免疫した
後、血清を採取し、50%硫安分画により沈澱した画分
を回収した。この回収した画分を0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.5)に対して24時間透析し、プロテインG
セファロース4B(ファルマシア社製)を充填したカラ
ム(直径1.2cm×高さ3.6cm、容量4ml) に
添加した。そして、非吸着画分を0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.5)で洗浄した後、0.1Mグリシン−塩酸
緩衝液(pH2.7)でIgG画分を得、これを抗ウシ
SC抗体として以下の試験に用いた。
【0017】(3)ヒトIgM固定化プレートの調製 ヒト血清IgM(ケミコン社製) を100ng/mlの
濃度となるよう100mM炭酸水素ナトリウム溶液に溶
解してヒトIgM溶液とした。そして、このヒトIgM
溶液を96穴マイクロタイタープレート(ヌンク−イム
ノプレート マキシーソープ、インターメッド社製) の
各ウェルに50μgずつ添加し、室温で1時間反応させ
てヒトIgMをプレートに固定化した後、ヒトIgM溶
液を除去した。次に、4倍希釈のブロックエース(大日
本製薬(株)販売)をプレートに満たし、室温で1時間
静置した後、ブロッキング剤を除去してプレートのブロ
ッキング処理を行い、ヒトIgM固定化プレートを調製
した。
【0018】(4)ウシSCの定量 1〜200ng/mlの濃度に調製した標準ウシSCを
含む試料を10倍希釈のブロックエースで希釈してヒト
IgM固定化プレートの各ウェルに50μlずつ添加
し、室温で1時間プレートを振とうした後、試料を除去
し、0.05%ツィーン20を含む10mMリン酸緩衝
液(pH7.4)でプレートを3回洗浄した。次に、西
洋ワサビパーオキシダーゼ標識キット(ピアス社製) を
用いて先に調製した抗ウシSC抗体を標識した西洋ワサ
ビパーオキシダーゼ標識抗ウシSC抗体をブロックエー
スで200ng/mlに希釈した溶液を各ウェルに50
μlずつ添加し、室温で1時間プレートを振とうした
後、西洋ワサビパーオキシダーゼ標識抗ウシSC抗体溶
液を除去し、0.05%ツィーン20を含む10mMリ
ン酸緩衝液(pH7.4)でプレートを6回洗浄した。
そして、ABTSを0.3mg/mlとなるよう0.0
06%過酸化水素を含む0.1Mクエン酸−クエン酸ナ
トリウム緩衝液(pH4.0)に溶解した溶液を各ウェ
ルに100μlずつ添加して発色を行い、プレートリー
ダーを用いて415nmの吸収で測定した。この測定値
から検量線を作成したところ、ウシSC濃度が1〜20
0ng/mlの範囲で定量性が確認された。その結果を
図1に示す。さらに、ウシSIgAがウシSCの測定に
影響するか否かを調べる目的で、榎本らの方法〔消化器
と免疫、第16巻、146〜150頁、1986年〕に
従ってウシ初乳2リットルから調製したウシSIgA5
4mgを用い、1ng/ml〜50μg/mlの濃度に
調製したウシSIgAを試料に添加したが、ウシSCの
定量性に影響がないことが判った。その結果を図2に示
す。
【0019】
【実施例2】ここでは、アルカリフォスファターゼ標識
した抗ヒトSC抗体を用いてヒトSCの定量を行った。 (1)ウシIgA2 の調製 実施例1で調製したウシSIgAを1mMヨード酢酸を
含む3M塩酸グアニジンに対して透析した後、3M塩酸
グアニジンで平衡化したスーパーデックス200(ファ
ルマシア社製) を充填したカラム(直径2.1cm×高
さ90cm、容量312ml)を用いてゲル濾過を行
い、ウシSCを除去してウシIgA2 8mgを得た。
【0020】(2)ヒトSCの調製 10mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したSP
−トヨパール650Mを充填したカラム(直径2.1c
m×高さ14cm、容量50ml)に母乳300mlを
通液してヒトSCを吸着させた後、10mMクエン酸緩
衝液(pH4.0)でpHを4.0とした。次に、0.
4M塩化ナトリウムを含む10mMクエン酸緩衝液(p
H4.0)で血清アルブミンなどの不純物を溶出した
後、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)でpHを7.
0とし、0.15M塩化ナトリウムを含む20mMリン
酸緩衝液(pH7.0)でヒトSCを溶出した。この処
理により純度76%のヒトSCを得た。そしてさらにヒ
トSCの純度を高めるため、プロテインGセファロース
4Bを充填したカラム(直径1.2cm×高さ3.6c
m、容量4ml)を用いて免疫グロブリンを除去し、
0.5M塩化ナトリウムを含む50mMトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5)で平衡化したスーパーロース12を
用いてゲル濾過を2回行った。この処理により純度96
%のヒトSC7mgを得た。
【0021】(3)抗ヒトSC抗体 抗ヒトSC抗体は、市販の抗ヒトSC抗体(ノルディッ
ク社製)を用いた。 (4)ウシIgA2 固定化プレートの調製 先に調製したウシIgA2 を100ng/mlの濃度と
なるよう100mM炭酸水素ナトリウム溶液に溶解して
ウシIgA2 溶液とした。そして、このウシIgA2
液を96穴マイクロタイタープレート(スミロン、住友
化学(株)製)の各ウェルに50μgすつ添加し、室温
で1時間反応させてウシIgA2 をプレートに固定化し
た後、ウシIgA2 溶液を除去した。次に、4倍希釈の
ブロックエース(大日本製薬(株)販売)をプレートに
満たし、室温で1時間静置した後、ブロッキング剤を除
去してプレートのブロッキング処理を行い、ウシIgA
2固定化プレートを調製した。
【0022】(5)ヒトSCの定量 1〜300ng/mlの濃度に調製した標準ヒトSCを
含む試料を10倍希釈のブロックエースで希釈してウシ
IgA2 固定化プレートの各ウェルに50μlずつ添加
し、室温で1時間プレートを振とうした後、試料を除去
し、0.05%ツィーン20を含む10mMリン酸緩衝
液(pH7.4)でプレートを3回洗浄した。次に、抗
ヒトSC抗体(ノルディック社製)をアルカリフォスフ
ァターゼ標識キット(ピアス社製) を用いて標識した抗
ヒトSC抗体をブロックエースで200ng/mlに希
釈した溶液を各ウェル50μgずつ添加し、室温で1時
間プレートを振とうした後、アルカリフォスファターゼ
標識抗ウシSC抗体溶液を除去し、0.05%ツィーン
20を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.4)でプレ
ートを6回洗浄した。そして、市販の発色キット(ギブ
コ社製) を用いてBCIPを各ウェルに100μlずつ
添加して発色を行い、プレートリーダーを用いて415
nmの吸収で測定した。この測定値から検量線を作成し
たところ、ヒトSC濃度が1〜300ng/mlの範囲
で定量性が確認された。その結果を図3に示す。さら
に、ヒトSIgAがヒトSCの測定に影響するか否かを
調べる目的で、ヒトSIgA(日本ケミカルリサーチ社
製)を用い、1ng/ml〜50μg/mlの濃度に調
製したヒトSIgAを試料に添加したが、ヒトSCの定
量性に影響がないことが判った。その結果を図4に示
す。
【0023】
【実施例3】ここでは、アルカリフォスファターゼ標識
した抗ヒトSC抗体のFabフラグメントを用いてヒト
SCの定量を行った。 (1)アルカリフォスファターゼ標識Fabフラグメン
トの調製 0.01Mシステイン及び2mM EDTAを含む0.
1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)0.3ml
に実施例2で得られた抗ヒトSC抗体5mgを溶解した
溶液に、0.01Mシステイン及び2mM EDTAを
含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)5
0μlにパパイン(エラスチン・プロダクト社製)0.
1mgを溶解した溶液を添加し、37℃で一晩反応を行
った。反応終了後、この溶液を0.01M酢酸ナトリウ
ム緩衝液(pH5.5)に対して透析し、0.01M酢
酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で平衡化したCM−
52(ホワットマン社製) を充填したカラム(直径1.
0cm×高さ5.0cm、容量4ml)に添加した後、
0.01M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で洗浄
して非吸着画分を分取し、この画分を抗ヒトSC抗体の
Fabフラグメントとした。そして、このFabフラグ
メントをアルカリフォスファターゼ標識キットにより標
識してアルカリフォスファターゼ標識Fabフラグメン
トを得た。
【0024】(2)ヒトSCの定量 実施例2で調製したウシIgA2 固定化プレートと先に
調製したアルカリフォスファターゼ標識Fabフラグメ
ントを用い、実施例2に示した手順に準じて検量線を作
成したところ、ヒトSC濃度が1〜300ng/mlの
範囲で定量性が確認された。その結果を図5に示す。
【0025】
【実施例4】ここでは、FITC標識した抗ヒトSC抗
体を用いたヒトSCの定量について説明する。 (1)FITC標識抗ヒトSC抗体の調製 FITCを1mg/mlの濃度となるよう0.1M炭酸
ナトリウム溶液に溶解してFITC溶液とした。一方、
実施例2で得られた抗ヒトSC抗体5mgを0.1M炭
酸ナトリウム溶液1mlに溶解した後、0.1M水酸化
ナトリウムでpHを9.0に調整した溶液に、氷冷しな
がらFITC溶液50μlを添加し、4℃で18時間反
応を行った。反応終了後、この溶液を0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.5)で平衡化したセファデックスG25
(ファルマシア社製)を充填したカラム(直径1.0c
m×高さ60.0cm)に添加し、未反応のFITCを
分離してFITC標識抗ヒトSC抗体を得た。
【0026】(2)ヒトSCの定量 実施例2で調製したウシIgA2 固定化プレートと先に
調製したFITC標識抗ヒトSC抗体を用い、実施例2
に示した手順に準じて検量線を作成したところ、ヒトS
C濃度が10〜300ng/mlの範囲で定量性が確認
された。なお、FITCの検出は蛍光分光光度計を用い
て行い、励起波長490nm、蛍光波長520nmで測
定した。その結果を図6に示す。
【0027】
【実施例5】ここでは、ヒトSC測定キットについて説
明する。 (1)ヒトSC測定キットに組み込む構成要素 ウシIgA2 固定化プレート 実施例2に示した方法によって調製したウシIgA2
同じく実施例2に示した方法によってELISA用プレ
ートH(住友ベークライト(株)製)に吸着させた後、
軽く溶液を除去し、乾燥を防ぐためにシールしたもの用
いた。但し、IgA2 を溶解した100mM炭酸水素ナ
トリウム溶液には、0.02%アジ化ナトリウムを防腐
剤として添加した。 ホースラディシュパーオキシダーゼ標識抗ヒトSC
抗体 ノルディック社製のパーオキシダーゼ標識抗ヒトSC抗
体を用いた。 ブロッキング剤 大日本製薬が販売しているブロッキング剤「ブロックエ
ース」を用いた。 洗浄用緩衝液 0.05%ツイーン20を含む10mMリン酸緩衝液
(pH7.4)を洗浄用緩衝液として用いた。 発色用緩衝液 0.006%過酸化水素を含む0.1Mクエン酸−クエ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)を発色用緩衝液と
して用いた。 発色剤ABTS 和光純薬(株)製のABTSを用いた。 凍結乾燥標準SC 実施例2に示した方法によって調製したヒトSCを透析
膜あるいは限外濾過膜(分画分子量50,000以下)
で脱塩し、凍結乾燥したものを用いた。
【0028】(2)ヒトSC測定キットの構成 ウシIgA2 固定化プレート 1枚 ホースラディシュパーオキシダーゼ標識抗ヒトSC
抗体 1μg ブロッキング剤 100ml 洗浄用緩衝液 1,000ml 発色用緩衝液 20ml 発色剤ABTS 3.7mg×3 凍結乾燥標準SC 標準SC0: 0.00ngのSCを含有したもの 標準SC1: 0.25ngのSCを含有したもの 標準SC2: 1.25ngのSCを含有したもの 標準SC3: 2.50ngのSCを含有したもの 標準SC4: 12.50ngのSCを含有したもの 標準SC5: 25.00ngのSCを含有したもの 標準SC6: 37.50ngのSCを含有したもの 標準SC7: 50.00ngのSCを含有したもの 標準SC8: 62.50ngのSCを含有したもの
【0029】(3)測定方法 ウシIgM固定化プレートに凍結乾燥標準SCに脱イオ
ン水300μlを加えて調製した標準SCまたはブロッ
キング剤で適当な濃度に希釈した試料を1ウェル当たり
50μl添加し、室温で1時間振とうした後、標準SC
または試料を除去し、洗浄用緩衝液で3回洗浄する。次
に、ブロッキング剤5mlに溶解したホースラディシュ
パーオキシダーゼ標識抗ヒトSC抗体を1ウェル当たり
50μl添加し、室温で1時間振とうした後、ホースラ
ディシュパーオキシダーゼ標識抗ヒトSC抗体を除去
し、洗浄用緩衝液で6回洗浄する。そして、使用直前
に、脱イオン水6mlに溶解した発色剤に発色用緩衝液
6mlを加えて調製した発色液を1ウェルあたり100
μl添加し、室温で20分間振とうした後、405nm
で吸光度を測定する。
【0030】(4)測定結果 ヒトSC測定キットを用いて標準SCの検量線を作成し
た。その結果を図7に示す。また、ヒトSC測定キット
を用いてヒト血清中のSC量を測定した結果を表1に示
す。
【表1】 ────────────────────────── 試 料 SC濃度(μg/ml) ────────────────────────── 1 0.122 2 0.041 3 0.113 4 0.025 5 0.075 ──────────────────────────
【0031】
【発明の効果】本発明の方法により、モノクローナル抗
体を用いなくともポリクローナル抗体のみで遊離のSC
量を測定することができるので、安価な測定キットを提
供することが可能である。また、本発明の方法により、
大量の試料を迅速に定量することができるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の測定で得られたウシSC標準曲線を
示す。
【図2】実施例1で行ったFSCの定量におけるSIg
Aの影響を示す。
【図3】実施例2の測定で得られたヒトSC標準曲線を
示す。
【図4】実施例2で行ったFSCの定量におけるSIg
Aの影響を示す。
【図5】実施例3の測定で得られたヒトSC標準曲線を
示す。
【図6】実施例4の測定で得られたヒトSC標準曲線を
示す。
【図7】実施例5の測定で得られたヒトSC標準曲線を
示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的定量法を用いて遊離型セクレタ
    リー・コンポーネントを定量する方法において、固相に
    固定化した免疫グロブリンと遊離型セクレタリー・コン
    ポーネント含有試料とを接触させて免疫グロブリン−セ
    クレタリー・コンポーネント複合体を形成させた後、こ
    の複合体と抗セクレタリー・コンポーネント抗体または
    この抗体フラグメントとを接触させて免疫グロブリン−
    セクレタリー・コンポーネント−抗セクレタリー・コン
    ポーネント抗体複合体または抗体フラグメント複合体を
    形成させ、この複合体を定量することを特徴とする遊離
    型セクレタリー・コンポーネントの定量法。
  2. 【請求項2】 抗セクレタリー・コンポーネント抗体ま
    たは抗セクレタリー・コンポーネント抗体フラグメント
    がポリクローナル抗体またはそのフラグメントである請
    求項1記載の定量法。
  3. 【請求項3】 少なくとも免疫グロブリン固定化プレー
    トと標識抗セクレタリー・コンポーネント抗体または標
    識抗セクレタリー・コンポーネント抗体フラグメントと
    から成り、請求項1の遊離型セクレタリー・コンポーネ
    ントの定量のために使用する測定キット。
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