JP2004500305A - ゲランゴムゲルを含む徐放性組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、その中に拡散した生物学的に活性な成分を含むゲランゴム徐放システムに関する。

Description

【0001】
本発明は、ヒトあるいは動物などの目的とするレシピエントに対して、ゲランゴムを用いて治療上効果的な方法および量で、低分子量のビタミンから巨大なタンパク質にまで及ぶ様々な分子量の生物学的に活性な分子を、効果的に徐放するための組成物および方法に関連する。
【0002】
【発明の背景】
ゲランゴムなどのゲル中への成分の被包(encapsulation)が知られている。例えば、日本国特許番号62125850では、ゲランゴムのビーズ内への食物、油、薬剤などの成分の被包を開示している。この公告済みの特許申請では、ある実施例においてサラダ油の懸濁液を1%のゲランゴム溶液に対し0.5 mlの大きさの液滴として添加したことを報告している。本公告公報では、得られたビーズは0.35 mmの厚さの被膜を有し、球体ごとに0.3 mlの油を含んでいたことを報告している。
【0003】
アメリカ合衆国特許番号4,563,366では、野菜、果物、肉、魚、砂糖、および/または牛乳を含む少なくとも1つの分散した食物成分を含むマトリックスを含む、ゲル化した食物製品を開示している。
【0004】
GB特許番号2219803では、ゲラン、カッパ−カラゲーナンおよびマンナンの混合物を含むゲル化組成物を開示している。このゲル化組成物は、ペット食物などの食物製品におけるゲル化マトリックスとして有用であると述べられている。
【0005】
日本国特許番号63267361では、ゲランゴム、およびそれとカラゲーナン、ゼラチン、寒天、イナゴマメ、ゴム、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロースなどとの組み合わせから選択されるゲル化剤の他に、芳香剤、殺菌剤、殺虫剤などを含むと述べられているゲルを開示している。
【0006】
最も慣習的な錠剤は、とりわけ子供および老人にとっては飲み込むのが困難である。ゲランゴムゲルは、その湿ったゼリー様の飲み込みやすい性質のため、経口送達にとって魅力的な代替を与え得るということが提案されている。ゲル構造は、そのままで、あるいは液体製剤に懸濁されて飲み込むことができた。
【0007】
しかし、生物学的に活性な分子の徐放は、生物学的に活性な分子のバイオアベイラビリティーが長時間(すなわち、数時間)に渡って、かつ/または一定放出速度で、かつ/または投薬濃度とは無関係に、効果的な挙動で送達されることが必要である場合には特に望ましい。
【0008】
発明の目的
徐放システムを提供することが本発明の目的である。本目的および他の目的は、下に詳細に記載する本発明において満たされる。
【0009】
発明の簡単な説明
本発明は、生物学的に活性な分子を一定時間以上、効果的な徐放で効果的に放出するためにゲランゴムゲルを用い得る、組成物および方法を提供する。ヒトあるいは動物などの目的とするレシピエントおよび使用者のために、放出の性質を設定し、調整し、調節する方法をも提供する。治療上効果的な量の活性成分を、本発明によりレシピエントに送達する。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明の一態様に従い、ヒトあるいは動物などの目的とするレシピエントに対する生物学的に活性な分子の放出の性質に影響を及ぼすように容易に修飾することが可能な効果的な孔サイズ幅を持ったゲランゴムを提供する。
【0011】
よって、本発明は、目的とする標的に対する生物学的に活性な分子の、目的とする時間以上、その間、およびその後の“調整可能な(tunable)”放出を可能にする。
【0012】
そのような調節は、ゴム濃度、ゲル化陽イオンの性質および濃度を変えること、および、このゲルネットワークに他のポリマーを混合することを含むいくつかの方法により達成し得る。ゲランゴムゲルに加える選択候補のポリマーは、キサンタンゴムである。このゲル中のキサンタンゴムの濃度を増加させると、ゲルの粘性が増し、有効孔サイズが小さくなる。本明細書を読んだ後、当業者であれば、ゲルの平均有効孔サイズあるいは粘性に影響を及ぼすとそのようなシステムの放出特性が影響されるだろうということを理解するだろう。
【0013】
本発明にとってゲランゴムの有用な性質は、ゲル内に混合される生物学的に活性な分子の対イオンを含む大半の陽イオンとゲル化できることである。適切に、本発明にて使用するゲル相はゲランゴムを含む。
【0014】
ゲランゴムとは、適切な栄養素の培地中における微生物スフィンゴモナス・エロデア(Sphingomonas elodea)の好気性発酵により得られる細胞外多糖のことを言い、それを含む。様々な形のゲランゴムが知られており(例えば、天然のもの、脱アシル化されたもの、脱アシル化されて不純物を除去した(clarified)もの、部分的に脱アシル化されたもの、および部分的に脱アセチル化されて不純物を除去されたもの)、本発明を実行する際にゲルとして使用し得る。その混合物を用いてもよい。
【0015】
本発明のゲルに用いるゲランゴムには“低アシル”ゲランゴムが含まれるのが好ましい。必要であれば、より高いあるいは低いアシル化レベルのゲランゴムを本発明を実行する際に用いてもよいが、本明細書中で使用する場合、“低アシル”という用語は、ゲランゴムのアシル化レベルが重量で約0.3から約30%であることを示す。ゲルからの放出特性を調整するための別の方法は、ある天然のゲランゴム(高アシル含量)をその脱アシル化体と混合することであろう。
【0016】
ゲランゴムは、注意深く調製した発酵培地に微生物Sphingomonas elodea(ATTC 31461)を植え付けることにより産生される、天然に存在する多糖である。ゲランゴムは、食物および工業製品用の不純物を除去した形KELOGELRおよびMonsanto Company、St. Louis、Missouriの微生物培地、植物組織培養および薬学的応用のための不純物を除去した形GELRITERで入手可能である。ゲランゴムのゲル化のメカニズムは、陽イオンによって誘導される巨大分子鎖の再構成に基づく。ゲランゴムには、不純物を除去していない形、不純物を除去した形、および部分的に不純物を除去した天然の形、脱アシル化された形および部分的に脱アシル化された形も、その混合物などと同様に含まれる。
【0017】
本明細書中で有用なゲルの調製過程には、重量で約0.1%から約5%までの濃度になるように水をゲランゴムと混ぜて、金属イオン封鎖剤ありあるいは無しで、任意に他のポリマーを有するゴム含有組成物を形成させること、および前記ゴム組成物を、続いて冷却した際にゲル化が起こるように前記ゴムの完全水和を維持するのに十分な温かい温度に保つことが含まれる。続いて、生物学的に活性な成分を、可溶化剤および懸濁剤を任意に混ぜることに加え、温かい溶液と混ぜてもより。さらにそれらと任意に混ぜるものに、陽イオンが含まれる。次に、前記生物学的に活性な成分を含むその温かい溶液を、ゲル化を誘導するのに十分な範囲にある温度にまで冷却することが続く。生物学的に活性な成分は、したがって、ゲル化したゴム内にある。
【0018】
必要であればより多いあるいは少ない量も用いてよいが、水中で例えば約0.25から約2.5重量%というゲル化剤の重量に基づき、ゲル化した相中にゲランゴムが約0.1から約5重量%の量で存在するのが好ましい。
【0019】
ゲル化した相は、任意に保存料を含んでいてもよい。好ましい保存料はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートなどである。必要であればより多いあるいは少ない量も用いてよいが、保存料はゲル化した相の約0.2重量%よりも多くない少量で使用するのが適切である。
【0020】
必要であれば任意に、ゲル化した相にはさらに、ゲル化した相の重量に基づいて典型的には約0.05%から約2.5重量%の量で存在する殺生物剤が含まれ得るが、必要であればより多いあるいはより少ない量も用いてよい。
【0021】
必要であれば、ゲランゴムは典型的には、カルシウム、マグネシウム、それらの混合物などの適した陽イオンによってゲル化され得る。ゲル化を誘導する特に魅力的な方法は、ゲル中に導入される生物学的に活性な分子の対イオンを用いることである。
【0022】
ゲルの形状および構造は、目的とする用途に依存するだろう。例えば、経口の(そのままの)送達システムとして使用するためには、ゲルを壊すあるいは損なうことなく手で容易に扱うのに十分固いゲルを得るために、注意が払われなければならない。ゲルを食物と混ぜる必要があるならば、より柔らかく、ゲル構造を壊すのがより簡単なものが望ましいだろう。そのような構造の変更は、ゴムおよび陽イオンの濃度および他の任意の添加物を変えることによって、本明細書を読んだ後ならば当業者により容易に調整され得る。
【0023】
当業者が多価のゲル化陽イオンを使用することを必要とすべきならば、これら実例である陽イオンは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、それらの混合物などの塩により適切に提供され得る。他の適切な陽イオンは、生物学的に活性な分子の陽イオンを含め、必要ならば用いてもよい。
【0024】
本発明を実行する際に一価のゲル化陽イオンを用いる一例においては、ゲル化溶液はカルシウム、マグネシウムなどの多価のイオンを実質的に含まない状態を維持していることが好ましい。当業者であれば、ゲル強度を増すために多価のイオンを用いることはこの技術分野では通常の実施であるということを認めるだろう。
【0025】
上で記載したように、本発明の1つの目的は、ゲルからのその後の徐放のために、効果的な放出特性を有するゲル内に生物学的に活性な成分を含ませることである。適切に、活性な成分には、放出特性が異なる可能性があり、本発明において発見されたように、ヒトあるいは動物に対して効果的に放出するために異なる方法によって調整することができるような、低分子あるいは巨大なタンパク質が含まれる。
【0026】
そのような生物学的に活性な分子の例には、低分子種についてはアスコルビン酸(ビタミンC)、ナプロキセンナトリウム、サリチル酸ナトリウム、イブプロフェンが、巨大なタンパク質についてはインスリン、ミオグロビン、ウシソマトトトピンおよびアルブミン、それらの混合物などが限定することなく含まれる。当業者であれば、本発明を実行する際に他の生物学的に活性な分子も同等によく用い得るということ、および本明細書中で提供する例は、例証のみのためであり、いかなるようにも限定を意図するものではないということを理解するだろう。
【0027】
上の詳説から、幅広い分子量を有する生物学的に活性な成分の範囲は、本発明を実行する際に本明細書中の実施例および教示にしたがって、限定することなく用い得るということが認められるだろう。
【0028】
ゲル化は望ましくは、典型的にはカルシウム、カリウムあるいはナトリウムといった一価あるいは二価のゲル価陽イオンの添加によって達成される。そのような陽イオンは、外部の供給源が全く必要でないほど十分な量で生物学的に活性な成分中に存在し得る。温かい溶液に添加する場合は、混合物は冷却され、ゲルを形成するようにされる。溶液を室温に保つ必要がある場合(すなわち、温度感受性あるいは揮発性の生物学的に活性な分子に関して)には、ゆっくり拡散する(溶解する)陽イオン供給源の添加が好ましい。
【0029】
【実施例】
実施例は、例証という形で提供されており、本発明をいかなるようにも限定することを意図するものではない。
【0030】
ゲル化したシステムの例
およそ90 Cに持っていった10 mLの脱イオン水に、30 mgのGELRITERゲランゴムを加え、完全に水和して0.3%の溶液を形成するまで攪拌した。次に、溶液を55℃まで冷却し、1 mLの水に溶解した100 mgのアルブミン(約10 mg/mLの用量を得るため)を温かい溶液に加え、完全に分散するまで攪拌した。この溶液に、全体で6 mMのカルシウム濃度に達するように温かい0.5 mLの濃塩化カルシウム溶液を加えた。あらかじめセットされた2 mLのピペットを用い、温かい分注物を丸形の型枠に移し、冷却するために一晩おいた。様々なゲランゴム濃度および他の活性体を用いた他の製剤も同様の方法で調製し、以下の表1に要約した。
【0031】
【表1】
Figure 2004500305
【0032】
活性成分の放出速度を、50 rpmで37℃、1リットルの溶媒にてかご形の付属部品のついた自動溶解装置(USP I)を用いて得た。放出媒体は、タンパク質については脱イオン水、ナプロキセンナトリウムについては0.1 Mリン酸バッファー、ビタミンCおよびサリチル酸ナトリウムについては疑似胃液(SGF)、イブプロフェンについては疑似腸液(GIF)であった。設定した時間間隔で液体の試料を除き、UV分光光時計にて適切な標準溶液と比較した。典型的な放出曲線を、添付の図1から9に示す。
【0033】
図1:0.5% GELRITEゲル(6 mM Ca)からの様々な活性体の放出。全ての場合において、活性体用量は10 mg/mLである。各曲線につき3つの異なるゲルの平均である。
【0034】
図2:ゲル(6 mM Ca)からのNa−ナプロキセン(活性体用量:10 mg/mL)の放出に対するGELRITE(GR)の濃度の影響。USP 50 RPM、0.1 Mリン酸バッファー中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0035】
図3:ゲル(6 mM Ca)からのミオグロビン(活性体用量:10 mg/mL)の放出に対するGELRITE(GR)の濃度の影響。USP 50 RPM、脱イオン水中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0036】
図4:ゲル(6 mM Ca)からのアルブミン(活性体用量:10 mg/mL)の放出に対するGELRITE(GR)の濃度の影響。USP 50 RPM、脱イオン水中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0037】
図5:0.5%(6 mM Ca)GELRITEゲルからのアルブミンの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、脱イオン水中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0038】
図6:0.5%(6 mM Ca)GELRITEゲルからのビタミンCの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、疑似胃液(pH 1.2)中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0039】
図7:0.75%(カルシウム添加なし)GELRITEゲルからのイブプロフェンの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、疑似腸液(pH 6.8)中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0040】
図8:0.75%(カルシウム添加なし)GELRITEゲルからのサリチル酸ナトリウムの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、疑似胃液(pH 1.2)中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0041】
図9:0.75%(カルシウム添加なし)GELRITEゲルからの低分子量の活性成分の放出特性に対する放出媒体/溶解性の影響。USP 50 RPM、ビタミンCおよびサリチル酸ナトリウムについては疑似胃液(pH 1.2)中、ナプロキセンナトリウムについては疑似腸液(pH 6.8)中、イブプロフェンについてはリン酸バッファー中、37℃。100 mg/mLであるビタミンCを除きすべての場合で、活性体用量は150 mg/mLである。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【0042】
図1でわかるように、低分子(すなわち、ビタミンCおよびナプロキセン)と巨大なタンパク質(すなわち、ミオグロビンおよびアルブミン)の間には、放出特性に十分な違いがある。低分子については、t50(ゲルから薬剤の50%が放出されるのに必要な時間)は1.5時間以下である(ビタミンCについては約30分)。巨大なタンパク質については、t50は5時間以上である。タンパク質が大きくなるほど放出速度が遅くなるということも明白である。それゆえ、そのようなゲルは、生物学的に活性な分子をその分子量にしたがって異なる速度で放出するのに用いることができる。
【0043】
アスコルビン酸およびナプロキセンナトリウムなどの低分子については、ゴム濃度は放出特性にわずかな影響しか与えない。これは図2に描かれている。この場合、ゲル中のゴム濃度を0.5%から0.75%まで増加させても(50%の増加)放出曲線に有意な影響は与えないということがわかる。しかし、巨大なタンパク質についでは、ゲルネットワークは放出特性に著しい影響を与える。これゆえ、タンパク質などの放出特性を調整する効果的な方法は、組成物中のゴム濃度を変えることであろう。
【0044】
図3では、ゴム濃度の同様の増加(すなわち、0.5%から0.75%まで)はゲルからのミオグロビンの放出に著しい影響を与えるということがわかる。同様に、図4に示すように、ゲルからのアルブミンの放出は、ゴム濃度を0.5%から1.0%まで増加させたときに有意に影響を受ける。したがって、あるタンパク質については、ゴム濃度が高くなると放出速度が小さくなる。理論に縛られることなく、これは、ガム濃度が下がるにつれて大きくなるゲルの有効孔サイズによって説明することができ、タンパク質の放出特性を目的に合わせて調整する手段として用いることができると考えられている。
【0045】
当業者であれば、ゲランゴムと別のゲル化あるいは非ゲル化ポリマーとの混合は、ゲル中の有効孔サイズを変える別の手段となり、それゆえに放出特性にも影響するだろうということを理解するだろう。濃度も用い得る。Gelriteゲルに対する好ましいポリマー添加剤は、キサンタンゴムおよび天然のゲランゴム(高アシル含量)であろうが、これらに限定はされない。
【0046】
ゲルへの活性な充填の影響を、図5−8に示す。約30 mg/mLまでの低充填については、巨大分子(図5参照)および低分子(図6参照)の両方の放出曲線が影響を受ける。活性な濃度が高いほど、放出が速い。一方、より高い充填については、上記と同じ。
【0047】
図6は、イブプロフェンについては充填を75 mg/mLから150 mg/mLまで増加させた(ファクター2の増加)場合にほとんど同一の放出曲線が得られるということを示す。サリチル酸ナトリウムについて同様に、150 mg/mLから250 mg/mLまでの増加は、放出特性にほとんど影響を与えない。これは、図8に描かれており、そのような特性は投薬濃度とは無関係な放出特性を持った経口投薬形態を得るのに用いることができ、このことは子供および成人の両方のために同様のシステムを設計するのに魅力的であり得る。
【0048】
考慮に入れるべき別の重要なパラメーターは、放出媒体における薬剤の溶解性である。低分子に関する典型的な例を図9に示す。活性分子が放出媒体に極めて溶解性である場合は、迅速な放出が起こり得る。これはSGFにおけるビタミンCおよびリン酸バッファーにおけるイブプロフェンの場合である。しかし、SIFにおけるナプロキセンあるいはSGFにおけるサリチル酸ナトリウムなど、活性体の溶解性が減少する場合は、放出速度の有意な低下が観察される。最も有意に影響を受ける活性成分は、サリチル酸ナトリウムであり、これはおそらくSGFの低pH環境においてはほとんど溶けないサリチル酸にかわるのだろう。
【0049】
異なる薬剤は異なる放出プロファイルを必要とする。例えば、鎮痛剤あるいは頭痛薬を幾分速く放出する必要があり得る場合には、一方で血圧調節物質あるいは抗ヒスタミン剤は延長した放出プロファイルを必要とするかもしれない。ゲランゴムゲルからの放出プロファイルは薬剤依存的であり、個別的な基準に基づいて用いるべきであることを示すことは、本発明の1つの目的である。
【0050】
ある薬剤について、類似の製剤から異なる放出速度を得ることは興味の対象であり得る。特別な場合(タンパク質あるいは巨大分子)、ゲル中のゲランゴム濃度を上げると放出速度が減ることを示すことは、本発明の1つの目的である。
【0051】
異なる量の活性体を含む製剤から同じ放出特性を得ることは、望ましいことであり得る。例えば、成人は5時間以上に渡って500 mgのある薬剤の送達を必要とし得る一方で、子供は同じ時間、わずか250 mgを必要とするだろう。ある場合(高い充填の小さな可溶性薬剤)には、放出速度は薬剤の充填とは無関係であることを示すことは、本発明の1つの目的である。
【0052】
しかし、ある場合には、ある製剤からの充填依存的な放出速度を持たせることが興味の対象となり得る。例えば低充填の高分子量タンパク質などの特別な場合には、放出速度は充填に依存的であることを示すことは、本発明の別の目的である。
【0053】
上手く調製されたビタミン、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、鎮咳剤を含む自律構造を持った他のゲルの例を、以下の表2に要約する。
【0054】
【表2】
Figure 2004500305
【0055】
したがって、本発明に従い、本明細書中で上に挙げた目的および利点を完全に満たす過程が提供されたことは明らかである。その様々な特異的な実施例及び態様に関して本発明を記載してきたが、本発明はそれらに限定はされず、多くの代替物、修飾物および変化物は、当業者には上記の説明に照らせば明らかであろう。したがって、本発明の精神および広い範囲内に帰着するようなすべての代替物、修飾物および変化物を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】0.5% GELRITEゲル(6 mM Ca)からの様々な活性体の放出。全ての場合において、活性体用量は10 mg/mLである。各曲線につき3つの異なるゲルの平均である。
【図2】ゲル(6 mM Ca)からのNa−ナプロキセン(活性体用量:10 mg/mL)の放出に対するGELRITE(GR)の濃度の影響。USP 50 RPM、0.1 Mリン酸バッファー中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【図3】ゲル(6 mM Ca)からのミオグロビン(活性体用量:10 mg/mL)の放出に対するGELRITE(GR)の濃度の影響。USP 50 RPM、脱イオン水中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【図4】ゲル(6 mM Ca)からのアルブミン(活性体用量:10 mg/mL)の放出に対するGELRITE(GR)の濃度の影響。USP 50 RPM、脱イオン水中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【図5】0.5%(6 mM Ca)GELRITEゲルからのアルブミンの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、脱イオン水中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【図6】0.5%(6 mM Ca)GELRITEゲルからのビタミンCの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、疑似胃液(pH 1.2)中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【図7】0.75%(カルシウム添加なし)GELRITEゲルからのイブプロフェンの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、疑似腸液(pH 6.8)中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【図8】0.75%(カルシウム添加なし)GELRITEゲルからのサリチル酸ナトリウムの放出に対する活性体用量の影響。USP 50 RPM、疑似胃液(pH 1.2)中、37℃。各曲線につき3つのゲルの平均である。
【図9】0.75%(カルシウム添加なし)GELRITEゲルからの低分子量の活性成分の放出特性に対する放出媒体/溶解性の影響。USP 50 RPM、ビタミンCおよびサリチル酸ナトリウムについては疑似胃液(pH 1.2)中、ナプロキセンナトリウムについては疑似腸液(pH 6.8)中、イブプロフェンについてはリン酸バッファー中、37℃。100 mg/mLであるビタミンCを除きすべての場合で、活性体用量は150 mg/mLである。各曲線につき3つのゲルの平均である。

Claims (16)

  1. 一定時間以上、徐放性にヒトあるいは動物に治療上効果的な量の薬剤を提供するための方法であって、前記薬剤および任意に他の添加物を含むゲランゴムを提供することを含み、前記ゲランゴムが、その中への薬剤の封入の際にゲランゴムゲルの1つあるいはそれ以上の特性の調節によって徐放性特性を提供する前記方法。
  2. 前記特性が、孔サイズ、粘性(作用の種類、ゴム濃度、キサンタンゴムなどの他のポリマーの添加を変えることによって適当に変化させることができる)および/またはその組み合わせからなる群から選択される、請求項1の方法。
  3. 前記調節が孔サイズである、請求項2の方法。
  4. 前記調節が、作用の種類を変えることである、請求項2の方法。
  5. 前記調節が、ゴム濃度を変えることである、請求項2の方法。
  6. 前記調節が、別のポリマーの添加によってなされる、請求項2の方法。
  7. ゲランゴムおよび薬学的に効果的な量の薬剤を含む、前記薬剤の徐放性放出を提供するゲランゴム組成物。
  8. 前記徐放性放出が孔サイズを変えることによって成し遂げられる、請求項7の組成物。
  9. 前記徐放性放出がゴム濃度を変えることによって成し遂げられる、請求項7の組成物。
  10. 前記徐放性放出が別のポリマーを添加することによって成し遂げられる、請求項7の方法。
  11. その中に薬学的に効果的な薬剤をさらに含むゲランゴムを含む徐放性薬剤システム。
  12. 前記徐放性が孔サイズを変えることによって成し遂げられる、請求項11の徐放性薬剤システム。
  13. 前記徐放性がゴム濃度を変えることによって成し遂げられる、請求項11の徐放性薬剤システム。
  14. 前記徐放性が別のポリマーを添加することによって成し遂げられる、請求項11の徐放性薬剤システム。
  15. 請求項4の薬剤を投与することを含む、効果的な量の治療剤を必要とする患者にそのような薬剤を投与する方法。
  16. 患者に請求項1の薬剤を投与することを含む、その患者に効果的な量の治療剤を投与する方法。
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