JP2004500020A - 半導体マイクロチップ上の電子的ドットブロットアッセイによる一塩基多型の識別 - Google Patents
半導体マイクロチップ上の電子的ドットブロットアッセイによる一塩基多型の識別 Download PDFInfo
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Abstract
シリコンマイクロチップ上の電子的回路構成を利用する一塩基多型(SNP)検出の迅速なアッセイが開示される。該方法は,電子的に補助されたDNAの移動,濃縮,および選択された電極(テスト部位)への結合により,増幅されたDNAサンプルの正確な識別を提供する。テスト部位は,野生型およびミスマッチ配列を含む二重標識レポーターの内部対照を用いることにより区別されるサンプルの組織化されたアレイを構成し,SNP遺伝子型が確認される。この方法を用いて,マンノース結合蛋白質の複雑な4アレルSNPを識別する。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は,一塩基多型(SNPs)の検出に関する。より詳細には,本発明は,電子的にアドレス可能なマイクロチップを用いてSNPsを検出することに関する。
【0002】
背景
以下の記述は,本発明に関連する情報の概要を提供する。ここに提要される情報のいずれかが本発明に対する先行技術であると認めるものではなく,特定してまたは暗に引用される刊行物のいずれかが本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0003】
一塩基多型(SNPs)は,最も普通のタイプの遺伝的変種を構成する点突然変異であり,ヒトゲノム中の1000塩基対に0.5−10の割合で見いだされる。SNPsは,ヒトの疾患に寄与する因子であることができ,また遺伝子マーカーとして作用することもできる,安定な突然変異である。多数の遺伝子と環境との間の複雑な相互作用のため,疾患の発生および進行におけるSNPsの寄与を解明するためには,大きな集団においてSNPsを追跡することが必要である。現在,高密度アレイ,質量スペクトル,分子ビーコン,ペプチド核酸,および5’ヌクレアーゼアッセイを用いる大規模マッピングのプロジェクトにより,ヒトSNPsを同定する努力が進められている。しかし,これらの技術は,研究および臨床の状況ではまだ広く用いられていない。
【0004】
SNP遺伝子型タイピングの慣用的な方法は,(1)例えばKornman et al.(J.Clin.Peridontol.V.24,pp.72−77(1997)により記載される,PCR増幅物質のゲルに基づく配列決定,(2)例えばA.J.Jeffreys(Cell V.18,pp.1−10(1979)により記載される,制限断片長多型(RFLP),(3)例えばMalmgren et al.(Clin.Genet.V.50,pp.202−205(1996)により記載される,アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブ(ASO)を用いるドットブロットハイブリダイゼーション,または(4)Schafer et al.(Nat.Biotechnol.V15,pp.33−39(1995)により記載される,一本鎖コンフォメーショナル多型(SSCP),のいずれかによって行う。配列決定方法は,有効ではあるが,時間を消費し,二次構造に起因する偽信号が生ずるかもしれない。RFLPは,一般に,SNP多型のサブセットのみを包含する。ASOは,保護された熱変性工程を必要とし,SSCPは,自動化にはあまり適合性がない。高密度オリゴヌクレオチドアレイに対する受動ハイブリダイゼーションは,SNPsの大規模遺伝子型タイピングを成し遂げた。しかし,慣用的なDNAアレイの部位を個々に制御することができず,アレイ全体について同じプロセス工程を実施しなければならない。
【0005】
本発明者らは,マイクロエレクトロニクスと分子生物学技術とを統合することにより,SNP検出の技術を前進させる方法を示す。該方法においては,マイクロチップ上での電界の操作により,指定されたテスト部位におけるDNA分子の迅速な濃縮,ハイブリダイゼーション,および検出が可能である。この新規な方法は,さらに,1塩基対ミスマッチオリゴヌクレオチドを変性するために,テスト部位において極性反転を使用し,ならびに,多様なテスト部位の配置を使用して,目的の遺伝子の迅速なスループットのスクリーニングのための設計の融通性を利用する。
【0006】
発明の概要
本発明は1つのアレルまたは多重アレルの遺伝子複合体および他のSNP含有核酸における一塩基多型(SNPs)の検出において,バイオエレクトロニック・マイクロチップを核酸ハイブリダイゼーションとともに使用することを含む好ましい態様の,多くの観点を提供する。これには,核酸の同じハプロタイプ中の多数の多型部位の存在,マンノース結合蛋白質の複雑な4アレルSNP,Fc−ガンマレセプター,主要組織適合遺伝子複合体,およびインターロイキン1βのSNPタイピングが含まれるが,これらに制限されない。
【0007】
別の態様においては,本発明は,目的とする核酸配列を含む多数の患者サンプルからのSNPsのマルチプレックスアッセイ,例えば,オンデマンド形式で遺伝子のサブセットについて多数のサンプルのSNP遺伝子型を迅速にタイピングする能力を含む。
【0008】
別の態様においては,本発明は,一人の患者のサンプルに由来する異なる遺伝子からの多数のSNPsを同時にスクリーニングする能力を含む。
【0009】
さらに別の態様においては,本発明は,アレル特異的プローブの使用を含み,ここで,多型識別は,多型ヌクレオチドがアレル特異的プローブ中の5’,中心,または3’のいずれに存在するかにかかわらず,同等に良好に得られる。
【0010】
別の態様においては,本発明の方法は,増幅された標的核酸の1つの鎖を標識することを含み,ここで,標識(ビオチンを含有する標識を含むが,これに限定されない)は,増幅反応に用いる増幅プライマー中に組み込んで,前記標的核酸を増幅する。
【0011】
さらに別の態様においては,本発明の方法は,標識した標的増幅産物を電子的にアドレス可能なマイクロチップ上の特定のテスト部位に結合させることを含む。
【0012】
さらに別の態様においては,本発明の方法は,電子的ハイブリダイゼーションおよび電子的ストリンジェンシーの種々の段階を実時間でモニターする能力を含み,このことにより,アッセイの間に確実な制御を提供することができる。
【0013】
別の態様においては,本発明の方法は,負または正であると評点される任意のシグナルが,それぞれ正または負について観察されるMFIの強度に対して統計学的に明らかに下または上であるように,正および負のサンプルの間のシグナルの差異の程度を比較する基準を含む平均蛍光強度/秒(MFI/s)値に基づく,蛍光ハイブリダイゼーションパターン評点法を用いる。また,個々のサンプルに適用したときに,負および正のレポータープローブの結合に起因するシグナルから得られるMFI/sを比較することにより,可変性の評点基準も実施することができる。この場合,サンプル中の特定の標的にハイブリダイズするよう設計された少なくとも2つの異なるレポータープローブを用いてサンプルを試験する。評点から得られる結果はまた,浸透層の性質およびその中の機能性成分の密度(例えばアビジンまたは他の結合成分の濃度)または浸透層の組成(例えばアガロースまたはヒドロゲル)にも依存する。
【0014】
さらに,本発明の方法は,アドレス可能なマイクロチップの,受動アレイ技術より優れた利点をさらに含む。利点としては,以下のものが挙げられる:
【0015】
a.テスト部位を個々に制御することができ,このことにより,試験の直前に試験アレイを注文に応じた配置とすることができる;
b.核酸分子を数秒間の時間で電子的にアドレシング(すなわち輸送),濃縮,およびハイブリダイズすることができる;
c.特定されたテスト部位において電子的ストリンジェンシーを制御することができ,このことにより,同じオープンアレイ・マイクロチップ上で無関係な分子を同時に使用することができる;
d.開示される方法論を,数百のテスト部位を含むアレイについて自動化装填器の使用に適用することができる;および
e.開示される技術を,限定された数の細胞中でのRNAの発現を分析するのに用いることができる。
【0016】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において用いる場合,“平均蛍光強度”(MFI)とは,カメラ積分時間(camera integration time)を1秒として標準化した,目的とする領域全体にわたるピクセル計数値の平均である。値の範囲は,浸透層の構成に従って変化するであろう。
【0017】
本明細書において用いる場合,“蛍光ハイブリダイゼーション評点”とは,ストリンジェンシー後のハイブリダイゼーションパターンの名称であり,ここで評点は,浸透層およびその機能的成分の性質に従って変化するであろう基準に基づく。本発明の1つの態様においては,基準は以下のことを特定する:(1)ミスマッチプローブは10MFI/秒より低い;(2)25MFI/sより低いアレル特異的レポーターは,負であると評点する;そして(3)30MFI/sより高いレポーターは正であると評点する。この評点基準は,電子的ドットブロットアッセイを用いて一塩基多型を同定するために,どのようにシグナルパラメータを用いるかの一例であり,いかなる意味においても本発明を限定することを意図するものではない。正または負の評点の設計におけるMFI/sの大きさは,種々の基準に依存して,検出の異なるレベルについて適切なように適当なレベルに定めることができる。
【0018】
さらに,1つのサンプルについて,多重レポーターハイブリダイゼーションの使用(または内部重複)を設計して,複製または対照サンプルとの比較によらずに,遺伝子型の決定を行うことができる。
【0019】
詳細な態様
本発明は,種々の観点の1つとして,多重アレル遺伝子複合体および他のSNP含有核酸中の一塩基多型(SNPs)を検出する高スループットアッセイを実施する方法を提供する。これには,電子的にアドレス可能なバイオエレクトロニック・マイクロチップを用いる,同じハプロタイプの核酸中の多数の多型部位の存在,マンノース結合蛋白質の複雑な4アレルSNP,Fc−ガンマレセプター,主要組織適合遺伝子複合体,およびインターロイキン1βのSNP−タイピングが含まれるが,これらに限定されない。本明細書において説明するように,マイクロエレクトロニクスと核酸ハイブリダイゼーションとの統合により,SNP配列どうしを迅速かつ正確に識別することができる。実際,本発明の二重蛍光電子的ドットブロットアッセイは,22のブラインドMBP4アレルサンプル,およびDアレルについて増強された13のブラインドサンプルにおけるSNPsの検出に関して,100%の正確性を有することが証明された。この正確性は,新たにミスマッチオリゴヌクレオチドを使用して,電子的マイクロ環境を確認することによって得られ,その結果,ヘテロ接合体配列の正確な識別および個々のサンプル中のSNP配列を確認するcy3およびcy5標識レポーターにより与えられる内部重複が得られる。オンデマンド方式で遺伝子のサブセットについて多数のサンプルを迅速にSNP遺伝子タイピングするこの能力は,現存する方法論よる優れた顕著な利点である。
【0020】
さらに,核酸の移動および濃縮に半導体マイクロエレクトロニクスを使用することは,受動アレイ技術より優れたいくつかの利点を与える。利点としては以下のものが挙げられるが,これらに限定されない:(1)柔軟性,すなわち,オープン・アーキテクチャおよびテスト部位を個々に制御する能力は,試験の直前に各アレイを注文に応じた配置とすることを可能とする;(2)迅速性,すなわち,電子的アドレシングおよび電子的ハイブリダイゼーションにより,DNA分子を数時間ではなく数秒間で輸送,濃縮およびハイブリダイゼーションすることが可能となる;(3)マルチプレックス化,すなわち,電子的ストリンジェンシーを個々のテスト部位において制御する能力により,無関係な分子を同じマイクロチップ上で同時に使用することが可能となる;(4)有効性,すなわち,電子的ハイブリダイゼーションおよび電子的ストリンジェンシーを種々の段階で実時間でモニターする能力は,アッセイの間により確実な制御を提供する;(5)チップ上実験室技術,すなわち,エレクトロニクスの適用は,細胞をマイクロチップ上で直接濃縮,破壊し,核酸を濃縮/増幅する手段として誘電電気泳動(dielectrophoresis)を用いることにより,自動化して,時間を消費する重要な工程を排除する手段を提供することができる;(6)自動化,すなわち,100パッドおよび400パッド半導体チップ用の自動装填器を用いて,高スループットのパラメータを達成することができる;および(7)遺伝子発現,すなわち,本明細書に記載される技術は,少数の細胞からのRNAの発現の分析に適用することができる。
【0021】
実施例1 MBPアレル検出
ヒトマンノース結合蛋白質(MBPまたはMBL2)は,先天的免疫系の重要な成分であり,病原性微生物にオプソニンを作用させることができる。MBPは,まだ多くの病原体に対する免疫を発達させていない子供においては特に重要である。MBPのいくつかのありふれた変種型のいずれかの遺伝により,免疫抑制の期間の間に増強されうる潜行性免疫的欠陥が生じる。MBP遺伝子の4つの別々のアレルが同定されている。この配列は,MBPが臨床的に意味がある可能性があり,遺伝的に複雑であるため,本発明の方法による分析の適切な標的である。
【0022】
本発明の方法は,Nanogen,Inc.,(San Diego,CA)により製造された電子的にアドレス可能なマイクロチップを使用する。マイクロチップは,酸化シリコンウエハー上で標準的加工技術を用いて加工された。高周波スパッタリング方法を用いて,20nmのチタンおよび100nmの白金でウエハーを金属被覆した。標準的写真平板技術を用いて金属層をパターン形成しエッチングして電極アレイを形成した。次に,プラズマ増強化学蒸着により,ウエハー全体に酸化シリコン絶縁層を蒸着した。露出する電極直径は80μmであり,中心間距離は200μmである。ウエハーをホトレジストで被覆し,1cm平方のチップに切断した。現在の例では,1cm平方のチップは,5x5のアレイに配置された25個の微少電極を含む(図1)。各電極もしくはテスト部位は,分子をテスト部位へまたはテスト部位から移動させ濃縮するために,個々に正に,負に,または中性に帯電させることができる。
【0023】
ストレプトアビジンを含有するアガロース浸透層を用いて,電極を含有するチップ表面をコーティングし,このことにより,サンプルの生物学的材料を電極近くの苛酷な電気化学的環境から分離することができ,さらに,サンプルのビオチン化核酸を電極の上方のチップ表面に結合させることができる。
【0024】
グリオキサールアガロース(FMC Bioproducts,Rockland ME)をストレプトアビジン(5mg/ml,Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)と組み合わせて2%アガロースおよび1mg/mlストレプトアビジン混合物とし,これを用いて浸透層コーティングを塗布した。チップをストレプトアビジン−アガロース溶液でスピンコートし,シッフ塩基結合を0.2Mシアノホウ水素化ナトリウム/0.3Mホウ酸ナトリウム,pH9.0で60分間還元する。
【0025】
問題とするMBP遺伝子中の多重SNPは,遺伝子の17塩基対の領域中で生ずる。MBP遺伝子の野生型配列はアレルAと定義され,SNPアレル型は,アレルB,C,およびDと定義される。図3に示されるように,この多型領域を包含する123塩基のフラグメントは,患者のゲノム核酸サンプルから増幅して,本発明の方法において用いることができる。図2は,本発明の方法のアッセイ工程の1つの態様を示す。
【0026】
MBP遺伝子(Genbank HSMBP1A−X15954)を増幅するためのプライマーは,センス鎖プライマーがヌクレオチド配列:5’−TGATTGCCTGTAGCTCTCCAGGCAT−3’(SEQ ID No:2)からなり,逆プライマーがヌクレオチド配列:ビオチン−5’−GGTAAAGAATTGCAGAGAGACGAACAGC−3’(SEQ ID No:3)(すなわち,逆プライマーの5’末端はビオチン化されている)からなるように設計した。
【0027】
この実施例の方法においては,患者のゲノムDNAサンプルからPCRにより123塩基のフラグメントを増幅し,ここで,反応混合物は,100μl反応液中,2−4μlのDNA,1xPCR緩衝液II(Perkin−Elmer,Branchburg,NJ),1.5mM MgCl2,200μM dNTPs,20μMの各プライマー,2.0UのAmpli Taq Gold(Perkin−Elmer),および280nMのTaq Start Antibody(Clontech,Palo Alto,CA)を含有していた。反応混合物は,9700 サーもサイクラー(Perkin−Elmer)中で,95°Cで10分間,(1サイクル),95°Cで30秒間,58°Cで60秒間,および72°Cで120秒間を35サイクル,続いて72°Cで12分間インキュベートするサイクルに供した。各DNAサンプルは,Qiagenカラム(Valencia,CA)により精製し,水中に再懸濁し,DNA質量ラダーコントロール(Gibco BRL,Gathersburg,MD)を用いて,ゲル電気泳動により定量した。DNAサンプルは,100mMヒスチジン(Sigma,St.Louis,MO)中に濃度2.5−10nMで再懸濁した。
【 0028】
サンプル(容量約40−400μl)を95°Cで2−10分間熱変性し,氷上で急冷した。35μlのサンプルをマイクロチップに適用し,正のバイアス直流を用いて,4つの正に荷電したテスト部位のカラムに,400nA/テスト部位,120秒間で,電子的に移動(アドレス)させた。ヒスチジン緩衝液で洗浄することにより,結合していないDNAを除去した。この工程を,各サンプルについて繰り返した。完全にアドレシングされたアレイを処理する随意の方法は,0.5XSSC,pH11.5で5分間,続いて水およびヒスチジンによる十分な洗浄であり,より高いハイブリダイゼーションシグナルが得られる。アドレシングされたアンプリコンは,あらかじめ浸透層に埋め込まれたストレプトアビジンとの相互作用により,それぞれのテスト部位に結合したままであった。
【0029】
次に,各テスト部位の核酸を,蛍光標識したアレル特異的レポーターオリゴヌクレオチドプローブの混合物に,電子的ハイブリダイゼーションによりハイブリダイズさせた。レポータープローブ(表1を参照)は,5’末端に結合したcy3またはcy5蛍光団(Bio Serve Biotechnologies,Laurel,MD)のいずれかを用いて合成した。電子的ハイブリダイゼーションは,野生型およびSNPのcy3およびcy5レポーター基が,100mMヒスチジン緩衝液中でそれぞれ75−125nMの範囲で再懸濁されるように,実施した。各アレル群の2つのcy3標識ミスマッチレポーターを37.5nMで同等に混合し,緩衝液中で合わせて75nMとした。各レポーター基(20−35μl)をマイクロチップに適用し,捕獲されたアンプリコンの列に475nA/テスト部位で15秒間ハイブリダイズさせた。100mMヒスチジンで洗浄することにより,過剰のレポーターを除去した。第2,第3および第4のレポーター基を同じ列方式で適用した。ハイブリダイゼーションの後,チップを20mM NaH2PO4,20mMトリス塩基,pH9.5(20/20緩衝液)で電子的ストリンジェンシーのために洗浄した。
【0030】
次に,1塩基対ミスマッチレポータープローブを,個々のテスト部位においてアンペア数を増加させ荷電極性を逆転させることにより,選択的に変性した(電子的ストリンジェンシー)。0.5μA/テスト部位の0.1秒間オン,0.2秒間オフのパルス電流を150サイクル(または0.1秒間オン,0.1秒間オフ,50サイクル)を各テスト部位に印加した。チップを20/20緩衝液中で洗浄して,変性したレポーターを除去し,IPLabソフトウエアで画像化した。アンペア数を完了まで上げて,画像および蛍光を定量した。詳細には,0.6μA/テスト部位,0.7μA/テスト部位,0.8μA/テスト部位,0.9μA/テスト部位,および1.0μA/テスト部位の電流を用いた。TPMTのコドン460多型にまたがるビオチン化アンプリコンを非特異的バックグラウンド対照として用いた。各画像は,MFI/sに対して標準化し,最終的な定量のためには,各MBPテスト部位から非特異的計数を減じた。正のテスト部位は,ミスマッチ対照より高い顕著なシグナルを維持した。
【0031】
この実施例に示される本発明の方法は,マイクロマニュピレータ6000(Micromanipulator Company,CarsonCity,NV)上に装着されたエポキシリングプローブカード(Cerprobe,Phoenix,AZ)によりマイクロチップへの電子的接続が形成される器機を用いた。電源(Keithley 236;Keithley Instruments,Cleveland,OH)は,その末端とリレーのアレイとの間に固定電位差または固定電流のいずれかを与えた(National Instruments,Austin,TX)。コンピュータハードウエア(Macintosh Power PC,Apple Computer,Cupertino,CA)およびIPLab Spectrum バージョン3.1.1ソフトウエア(Signal Analytics Corporation,Vienna,VA)により,個々のアレイ位置におけるグラフィックユーザーメニュー制御が可能となった。レーザー励起は,HeNe 633nmレーザー(8m Woutput;Research Electro−Optics,Boulder,CO)および周波数2倍化ダイオードポンプ固相レーザー(5mW出力;Laser Compact,Moscow)により,532nmで行った。蛍光は,575nm(cy3について)または670nm(cy5について)の帯フィルターを備えた8x対物レンズ(口径数0.15)により観察した(Chroma Tech,Brattleboro,VT)。蛍光シグナルをスキャンし,電荷結合素子カメラにより集めた(Princeton Instruments,Trenton,NJ)。スキャンした画像は,IPLab Spectrumソフトウエアにより定量した。
【0032】
表1に示されるように,野生型,特にSNPアレル配列に特異的なまたは野生型およびSNPのミスマッチのレポータープローブを合成した。野生型およびSNPレポーターは,cy3(1,1’−ビス(ε−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン−5,5’−ジスルホネートカリウム塩ジ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)およびcy5(1,1’−ビス(ε−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3’−テトラメチルインドジカルボシアニン−5,5’−ジスルホネートカリウム塩ジ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)の両方で標識した。cy3で標識した野生型プローブは,cy5で標識した野生型プローブと別に保存した。SNPプローブは同様に処理した。ただし,野生型およびSNP標識レポーターを組み合わせて2種類のプローブ混合物とした。詳細には,これらの混合物もしくは群は,(1)野生型−cy3/SNP−cy5,および(2)野生型−cy5/SNP−cy3であった。異なるように標識したプローブを混合することにより,各テスト部位においてこれらを増幅した患者DNAサンプルに同時にハイブリダイゼーションし,それぞれのハイブリダイゼーション事象を二重に記録することができる。各SNPアレルについて,野生型およびSNPの両方の異なるミスマッチを取り込んだ2つの追加のレポーター・オリゴヌクレオチドプローブを作成した。これらはcy3でのみ標識した。この実験においては,実験の都合により任意にCy3を選択した。しかし,アレルを区別する目的のために,どのような標識を結合させてもよい。これらのミスマッチプローブも,組み合わせて,cy5で標識した真の野生型またはSNPプローブのいずれかを有する同じモル濃度の2つの群とした((1)野生型−cy5/ミスマッチ−cy3および(2)SNP−cy5/ミスマッチ−cy3)。これらの追加のレポーター対により,野生型およびSNP配列の両方が同じサンプル中に存在する場合であっても(ヘテロ接合体),マッチしたプローブ配列とミスマッチのプローブ配列との間の相互作用を比較することができる。
【0033】
【表1】
これらのアッセイ条件を用いて,標準的配列決定技術によりあらかじめ決定された既知のMBP配列のゲノムDNAサンプルについて,ブラインド実験を行った。試験したサンプルのうち,1つの組は,4つの別々のアレルについてホモ接合体またはヘテロ接合体のいずれかであると同定されており,これを対照とした。残りのサンプル(22サンプル)の遺伝子型は未知であった。これらの22のサンプルを本発明の方法においてブラインドで試験した。さらに,第2の組の13のブラインドサンプルをDアレル部位の存在について試験した。
【0034】
各ブラインドアンプリコンを4つのテスト部位のカラムに電子的にアドレシングした。すなわち,25−部位マイクロチップアレイを,4つの異なる患者サンプルおよび非特異的対照アンプリコンに適合させることができる。サンプルの各列を4つのプローブミックスの1つとハイブリダイズさせた(すなわち,(1)Acy3/Bcy5,(2)ミスマッチ−cy3/Acy5,(3)ミスマッチ−cy3/Bcy5,および(4)Bcy3/Acy5のレポーター基))。各レポーター基は,一塩基ミスマッチで異なるcy3標識およびcy5標識SNPアレル特異的オリゴヌクレオチド対からなるものであった。上述したMBPのAまたはBアレルに特異的な4つのcy3/cy5標識レポーター基とハイブリダイゼーションした後の,4つのブラインドサンプル(NC47,NC48,NC49,およびNC50)を含有する代表的なマイクロチップの画像が図4A−Dに示される。ミスマッチ対照(ミスマッチ−cy3)がバックグラウンドのレベルまで除去されるまで,電子的ストリンジェンシーを適用した(図4C)。
【0035】
3つの可能な遺伝子型(A/A,A/B,およびB/B)を表す明確な蛍光パターンが図4A−Dに描かれている。サンプルNC47(カラム1)の分析は,cy3画像(図4C)中で第4のレポーター基(第4列)で,およびcy5画像(図4D)中で第1(第1列)および第3(第3列)のレポーター基で,別々のシグナルを示した。全体として,シグナルは,Bアレル特異的プローブ(真のマッチを表す)を含有するレポーター基のハイブリダイゼーションと一致した。電子的ストリンジェンシーは,Aアレル特異的プローブからのシグナルをバックグラウンドまで減少させた。
【0036】
ブラインドサンプルNC48(図4C,カラム2)は,第1のレポーター基で(第1列)cy3シグナルを,第2および第4のレポーター基で(第2列および第4列)cy5シグナルを示した(図4D)。各シグナルは,Aアレル特異的レポーターのハイブリダイゼーションと相関していた。同様に,サンプルNC49を含有するカラム(カラム4)は,cy3画像(図4C,第1列)およびcy5画像(図4D,第2列および第4列)において,Aアレル特異的レポーターでシグナルを示した。図4Cの第2列および第3列の各テスト部位から放出される蛍光は,バックグラウンドの強度まで減少していることに注目されたい。これらのテスト部位を,AおよびBアレル配列に関してミスマッチであることが知られているミスマッチ−cy3標識レポーターとハイブリダイズさせた。ミスマッチのシグナルがないことにより,SNP識別について適当なレベルの電子的ストリンジェンシーが得られたこと,および残存するレポーターシグナルが完全なマッチを構成することが確認された。
【0037】
各パネル(図4)におけるブラインドサンプルNC50(カラム5)の評価は,cy3画像(図4C,列1および4)およびcy5画像(図4D,列1−4)において,AおよびBアレル特異的結合の両方を示した。ミスマッチcy3レポーターとハイブリダイズしたテスト部位にシグナルがないことから(図4C,列2−3),電子的ストリンジェンシーの完了が確認され,NC50アンプリコン中にAおよびBアレル配列の両方が存在することが同定された。
【0038】
上述の画像を各サンプルから放出された蛍光の定量についてさらに識別した。電子的ハイブリダイゼーション後,MBPレポーターの非特異的アンプリコン(NS)への結合は,全cy5蛍光強度の約4%であり,ストリンジェンシーの前のcy3標識レポーターの2倍から4倍高かった。NC49は,Aアレルレポーター間の平均強度でBアレルおよびミスマッチレポーターより10倍より高い識別を示した(図5Aおよび5B)。すなわち,NC49は,B部位について,A/Aホモ接合体であると評点された。同様に,サンプルNC48は,B部位に関してA/Aホモ接合体であると同定された(データ示さず)。
【0039】
A/Bであると評点されたブラインドサンプルNC50の定量化(図6Aおよび6B)は,AおよびBアレル特異的cy3レポーターおよびcy5−標識レポーターの両方について,捕獲されたアンプリコンに顕著なシグナルが結合したまま残ることを示した(約70MFI/s)。すなわち,NC50アンプリコンは,B部位に関して,A/Bヘテロ接合体であると評点された。
【0040】
NC47サンプル蛍光を定量した(図7Aおよび7B)。これは,ミスマッチおよびAアレルレポーターがバックグラウンド強度まで減少したことを示す。それにもかかわらず,Bアレルレポーターでは,100MFI/sより高いシグナルが維持された。同様に,cy5画像(図7B)の分析から,Aアレルシグナルの減少(すなわち,25MFI/sより低い)およびBアレルシグナルの確かな保持(すなわち,100MFI/sより高い)が明らかとなった。すなわち,NC47は,B/Bホモ接合体であると評点された。
【0041】
SNPアレルに関してA/Aであると評点された患者からの異なるブラインドサンプルの分析(サンプル数=18)は,A−cy3レポーターのA/Aサンプルへの結合が,ミスマッチcy3レポーターと比較して100倍高く,BまたはCアレルcy3標識SNPレポーターの結合より26倍高いことを示した(プローブ:平均±平均の標準誤差(SEM);A−cy3:200±36.2MFI/s,SNP−cy3:7.6±1.8MFI/s,ミスマッチ−cy3:1.9±0.3MFI/s)。逆に,ヘテロ接合体と評点された7つの異なるブラインドサンプルの分析は,cy3標識AアレルおよびSNPプローブの両方ともほぼ等しい強度でサンプルに結合し,ミスマッチプローブは20倍低い強度で結合することを示した(プローブ:平均±SEM;A−cy3:188.3±44.4MFI/s,SNP−cy3:150.1±42.3MFI/s,ミスマッチ−cy3:7±2.2MFI/s)。マッチの対とミスマッチの対の同等の比率をcy5標識プローブについて記録した(データ示さず)。
【0042】
22のブラインドサンプルの各々を,BおよびCアレル位置で評点した。各位置のヌクレオチド配列およびA,B,およびC遺伝子型を,標準的な配列決定の結果と比較した(表2を参照)。表に示されるように,マイクロチップアッセイは,BおよびC部位における44のSNP評点のうち44で(22のA/B判定および22のA/C判定)配列決定の結果と一致した。これまでのところ,同じハプロタイプ中でBおよびCアレル配列が生じることは記載されていない。B/B遺伝子型については,ストリンジェンシーの後に,完全にマッチしたBおよびCアレルプローブのみが結合したまま残る。したがって,混成のヘテロ接合体を決定する前に,これらをBおよびCレポーターの両方について評点しなければならなかった。多数の可変部位にまたがるプローブは遺伝子型を正確に区別することができるであろうが,同じハプロタイプ中に多重の多型部位が存在することは,このようにして実施される識別を混乱させるであろう。そのような場合,各多型部位について別々のプローブ(10−24ヌクレオチド)の組が有利であろう。本明細書において示されるように,多型ヌクレオチドがアレル特異的プローブ中の5’,中心,または3’のいずれに存在しているかにかかわらず,多型識別は同等に良好に得られた。
【0043】
次に,この22のサンプルを,再びブラインド化し,Dアレルの存在について評点した(表2)。本発明の電子的アッセイは,22のサンプル中に存在するDアレルサンプル(NC52−A/D)のみを正確に同定した。Dアレルの出現頻度は低く,SNP識別アッセイの有効性は低頻度のアレルを同定するその能力であるため,第2の組の13のブラインドサンプル(Dアレル系の確認のために重み付けされている,サンプルLM1,LM10,LM11,LM18,LM20,LM27,LM29,LM30,LM31,およびLM32)を,Dアレルレポータープローブを用いる電子的アッセイにより試験した。Dアレルについての両方の群のサンプル(サンプル数=35)の電子的アッセイでの評点は,配列決定の結果と100%一致した。13のブラインドサンプルの10個からのマイクロチップ画像が図8Aおよび8Bに示される。
【0044】
【表2】
実施例2 インターロイキン1βの検出
SNPを検出する本発明の適用可能性を,二アレル性インターロイキン1β(IL−1β)多型についてさらに説明する。IL−1β配列は,Genbank(XO4500)から入手し,これは5888位にCからTへのSNP転移を含む。PCR増幅において用いるプライマー配列は,センス鎖ヌクレオチド配列,5’−AAATTTTGCCACCTCGCCTCACG−3’(SEQ ID No:16)および逆鎖ヌクレオチド配列,ビオチン−5’−AGTCCCGGAGCGTGCAGTTCAGT−3’(SEQ ID No:17)(すなわち,逆鎖はビオチン化されている)を含有していた。
【0045】
この実施例においては,上述したように,野生型(C)およびSNP変種(T)アレルを同定するために,cy3およびcy5標識レポーター基を設計した(合成はBioserve,Laurel,MDによる)(表3を参照)。電子的ストリンジェンシーの増加の後の蛍光の消失は,既知のホモ接合体T/Tビオチン化アンプリコンを含むテスト部位からの非−C/非−Tミスマッチ(mis−cy3)レポーターの変性を示す(図9−10)。同様に,cy3およびcy5Cアレルレポーターは,T/Tアンプリコンに対するストリンジェントなハイブリダイゼーションの証拠を示さなかった。これに対し,cy3標識Tアレルレポーター(図9A)およびcy5標識レポーター(図10A)とのハイブリダイゼーションから100MFI/sより大きい,区別しうるシグナルが放出された。すなわち,配列決定技術によりT/Tホモ接合体であることが知られているアンプリコンは,電子的フォーマットにより同様にT/Tホモ接合体であると評点された。一般に,cy3およびcy5レポーターの両方について,電子的ストリンジェンシーの間の全体的シグナル強度の漸次的減少が観察された(データ示さず)。
【0046】
実施例5に示されるように,実験は,MBP,IL−1β,およびTNFαのマルチプレックスサンプルからSNP識別が得られたことを示す。ここでは,マイクロチップを電子的に剥離し,二重鎖中の第2の遺伝子の遺伝子型タイピングのために再プローブする。
【0047】
【表3】
実施例3 リンホトキシン遺伝子検出
リンホトキシン遺伝子を用いて観察されたSNPの検出により,本発明をさらに説明する。リンホトキシン配列は,Genbank(M16441)から入手し,これは1069位においてAからGへのSNP転移を有していた。PCR増幅において用いたプライマー配列は,センス鎖ヌクレオチド配列,5’−CTTCTCTGTCTCTGACTCTCCATC−3’(SEQ ID No:22)および逆鎖ヌクレオチド配列,ビオチン−5’−CAAGGTGAGCAGAGGGAGAC−3’(SEQ ID No:23)(すなわち逆鎖はビオチン化されている)からなる。
【0048】
この実施例においては,リンホトキシン遺伝子中の1069位にAまたはGの一塩基多型を含む遺伝的変異を同定するために,cy3およびcy5レポーター基を設計した(レポーターオリゴヌクレオチドの合成はBioserve,Laurel,MDによる)(表4を参照)。電子的ストリンジェンシーの増加後の蛍光の消失,サンプルNC50については既知のホモ接合体A/Aビオチン化アンプリコンを,およびサンプルNC43については既知のホモ接合体G/Gビオチン化アンプリコンを含むテスト部位からの,非−A/非−Gミスマッチ(mis−cy3)のレポーターの変性を表す(図11AおよびB)。したがって,配列決定技術によりそれぞれA/AおよびG/Gホモ接合体であることが知られているサンプルNC50およびNC43からのアンプリコンは,電子的フォーマットにより,同様に,それぞれA/AおよびG/Gホモ接合体であると評点された。
【0049】
【表4】
実施例4 腫瘍壊死因子検出
SNPを検出する本発明の応用を示すさらに別の例は,腫瘍壊死因子遺伝子のプロモーター中で観察された。腫瘍壊死因子ゲノムDNA配列は,Genbank(X02910)から入手し,これは308位においてGからAへのSNP転移を有していた。PCR増幅において用いたプライマー配列は,センス鎖ヌクレオチド配列,5’−GTTAGAAGGAAACAGACCACAGACC−3’(SEQ ID No:28)および逆鎖ヌクレオチド配列,ビオチン−5’−TCCTCCCTGCTCCGATTCC−3’(SEQ ID No:29)(すなわち,逆鎖はビオチン化されている)を含有した。
【0050】
この実施例においては,腫瘍壊死遺伝子のプロモーター中にGまたはAの一塩基多型を含む遺伝的変種を同定するために,cy3およびcy5レポーター基を設計した(レポーターオリゴヌクレオチド合成はBioserve,Laurel,MDによる)(表5を参照)。本発明の改良された形態においては,2つのレポーター基のみを用いてGまたはAのいずれかのアレルを検出する。電子的ストリンジェンシーをサンプルNC39およびNC40ならびに非特異的アンプリコンであるTPMTからのアンプリコンを含むテスト部位に適用した。電子的ストリンジェンシーは,サンプルNC39については,DNA配列決定により決定された既知のA/Gヘテロ接合体がA/Gヘテロ接合体であることを明らかにした。さらに,サンプルNC40については,DNA配列決定により決定された既知のG/Gホモ接合体がG/Gホモ接合体であることが同定された(図12A)。評点の目的で,残りの電子的にハイブリダイズしたレポーターシグナルを最大MFI/secについて標準化し,結果を非特異的対照TPMTについてのものと比較した。この実施例は,SNPの同定における本発明の適用のみならず,特定の接合体の特徴を同定するのに必要なレポーターシグナルの数を減少させるスクリーニング方法論をも示す。
【0051】
【表5】
実施例5 マルチプレックス分析
実験はまた,TNFa,MBP,およびIL−1bマルチプレックス化サンプルからのSNP識別を示す。ここでは,マイクロチップを電子的に剥離し,三重鎖中の次の遺伝子の遺伝子型タイピングのために再プローブした。3つのアンプリコン,すなわち,MBPA/Aホモ接合体(M),IL−1T/Tホモ接合体(I),およびTNFG/Gホモ接合体(T)を別々に25パッドの溶液プロセスチップ上の1:1:1三重鎖混合物(T+M+I)として捕獲負荷した(図13A)。TNFα特異的Cy3/Cy5標識レポーター基でチップを二重にハイブリダイズさせた(13B)。アレル特異的多型は,増加する電子的ストリンジェンシーを適用することにより得た(13CおよびD)。マルチプレックス中のTNFの遺伝子型を得た後,高温で(42°C),0.5xSSC,pH11.5中で2分間洗浄することにより,電子的ストリンジェンシーを適用し,チップを標識レポーターから剥離した。次に,剥離したチップをヒスチジン中でよく洗浄し,ベースライン画像を得た(13E)。次にチップをMBPアレル特異的Cy3/Cy5レポーターセットと再ハイブリダイズさせ(13F),電子的ストリンジェンシーの適用により遺伝子型を得た(13GおよびH)。遺伝子型を決定したチップを電子的に剥離し(再び),ベースライン画像を得て(13I),IL−1アレル特異的レポーターグループをマルチプレックスにハイブリダイズさせた(13J)。電子的ストリンジェンシーにより遺伝子型が得られた(13KおよびL)。これらの結果は,電子的ドットブロットアッセイのスループットパラメータが,1つの捕獲負荷事象を必要とするパッド上の多数の遺伝子を遺伝子型タイピングする能力により増加するかもしれないことを示す。
【0052】
上述するように,サンプルのマルチプレックス化はいくつかの方法により行うことができる。1つのフォーマットにおいては,一人の患者サンプルから得ることができる多重標的を1つのオープンアレイマイクロチップ上で試験することができる。さらに,各標的を,マイクロチップ上の別々の位置に,または同じ捕獲パッド上に捕獲することができる。マルチプレックス化はまた,1つのマイクロチップアレイ上の多数の患者サンプルにも適合する。この場合,各患者の個々の標的種を,別々の捕獲部位,または各患者について部位の群または1つの部位のいずれかで,分析のために捕獲することができる。
【0053】
上述は,本発明の態様を例示することを意図しており,いかなる意味においても本発明を限定することを意図するものではない。本発明を特定の改変に関して記述してきたが,その詳細は限定であると解釈すべきではない。本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の等価物,変更および改変が可能であることが明らかであろう。そのような等価の態様も本発明に含まれることが理解されるべきである。すべての刊行物および特許出願は,それぞれの個々の刊行物または出願が特異的にかつ個々に本明細書の一部としてここに引用されていることと同じ程度に,本明細書の一部としてここに引用されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,1つのマイクロ電子的アレイ設計フォーマットの顕微鏡写真である。
【図2】図2は,電子的ドットブロットアッセイのスキームである。
【図3】図3は,野生型ヒトマンノース結合蛋白質(MBP)のセンス鎖の,ヌクレオチド1001から1158までのDNA配列(SEQ ID No:1)を示し,これはアレルAと表示される。アレルB,C,およびDのSNP塩基および位置が示される。図はまた,正(MBLF)および逆(R−1120)増幅プライマーの位置を示す(矢印)。各レポータープローブは,cy3またはcy5のいずれかで標識して合成した。
【図4】図4A,4B,4Cおよび4Dは,マイクロチップ上のSNP検出の結果の顕微鏡写真である。ここでは,4つの捕獲部位の各列に,4つのブラインド増幅MBPサンプル(NC47,NC48,NC49,またはNC50)の1つを負荷した。真中の第5の列には,非特異的(NS)チオプリン S−メチルトランスフェラーゼ(TPMT)アンプリコンを負荷した。図は,電子的ストリンジェンシーの前(図4Aおよび4B)および後(図4Cおよび4D)に,cy3またはcy5のいずれかで標識したアレル特異的レポータープローブのハイブリダイゼーションを示す。図4Aおよび4Cではcy3蛍光を検出したのに対し,図4Bおよび4Dではcy5蛍光を検出した。
【図5】図5Aおよび5Bは,図4のcy3画像(図5A)およびcy5画像(図5B)について,サンプルNC49から放出された蛍光の定量を示すグラフである。サンプルNC49は,A/Aホモ接合体であると同定された。
【図6】図6Aおよび6Bは,図4のcy3画像(図6A)およびcy5画像(図6B)について,サンプルNC50から放出された蛍光の定量を示すグラフである。サンプルNC50は,A/Bヘテロ接合体であると同定された。
【図7】図7Aおよび7Bは,図4のcy3画像(図7A)およびcy5画像(図7B)について,サンプルNC47から放出された蛍光の定量を示すグラフである。サンプルNC47は,B/Bホモ接合体であると同定された。
【図8】図8Aおよび8Bは,AおよびDMBPアレルを含有するサンプルについての,マイクロチップ上でのcy5検出結果を示す顕微鏡写真である。サンプルLM18はD/Dホモ接合体である。サンプルLM27はA/Dヘテロ接合体である。示される残りのサンプルはA/Aホモ接合体である。
【図9】図9Aは,電子的ストリンジェンシーのアンペア数の増加に対する,アレルC,アレルT,およびミスマッチレポーター基とハイブリダイズしたIL−1βT/Tアンプリコンの,cy3標識の検出による定量を示すグラフである。図9Bは,図9Aに示される最後のストリンジェンシーについての検出結果を示す顕微鏡写真である。
【図10】図10Aは,電子的ストリンジェンシーのアンペア数の増加に対する,アレルCおよびアレルT基とハイブリダイズしたIL−1βT/Tアンプリコンのcy5標識の検出による定量を示すグラフである。図10Bは,図10Aに示される最後のストリンジェンシーについての検出結果を示す顕微鏡写真である。
【図11】図11AおよびBは,それぞれリンホトキシン遺伝子のA/AおよびG/Gホモ接合体を有するプローブの正および負のシグナルを示す棒グラフである。
【図12】図12AおよびBは,腫瘍壊死因子α遺伝子中の標的を有するプローブの正,負および対照シグナルを示す棒グラフである
【図13】図13A−Lは,マルチプレックス分析に関する本発明を説明するマイクロアレイの一連の写真を示す。
発明の分野
本発明は,一塩基多型(SNPs)の検出に関する。より詳細には,本発明は,電子的にアドレス可能なマイクロチップを用いてSNPsを検出することに関する。
【0002】
背景
以下の記述は,本発明に関連する情報の概要を提供する。ここに提要される情報のいずれかが本発明に対する先行技術であると認めるものではなく,特定してまたは暗に引用される刊行物のいずれかが本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0003】
一塩基多型(SNPs)は,最も普通のタイプの遺伝的変種を構成する点突然変異であり,ヒトゲノム中の1000塩基対に0.5−10の割合で見いだされる。SNPsは,ヒトの疾患に寄与する因子であることができ,また遺伝子マーカーとして作用することもできる,安定な突然変異である。多数の遺伝子と環境との間の複雑な相互作用のため,疾患の発生および進行におけるSNPsの寄与を解明するためには,大きな集団においてSNPsを追跡することが必要である。現在,高密度アレイ,質量スペクトル,分子ビーコン,ペプチド核酸,および5’ヌクレアーゼアッセイを用いる大規模マッピングのプロジェクトにより,ヒトSNPsを同定する努力が進められている。しかし,これらの技術は,研究および臨床の状況ではまだ広く用いられていない。
【0004】
SNP遺伝子型タイピングの慣用的な方法は,(1)例えばKornman et al.(J.Clin.Peridontol.V.24,pp.72−77(1997)により記載される,PCR増幅物質のゲルに基づく配列決定,(2)例えばA.J.Jeffreys(Cell V.18,pp.1−10(1979)により記載される,制限断片長多型(RFLP),(3)例えばMalmgren et al.(Clin.Genet.V.50,pp.202−205(1996)により記載される,アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブ(ASO)を用いるドットブロットハイブリダイゼーション,または(4)Schafer et al.(Nat.Biotechnol.V15,pp.33−39(1995)により記載される,一本鎖コンフォメーショナル多型(SSCP),のいずれかによって行う。配列決定方法は,有効ではあるが,時間を消費し,二次構造に起因する偽信号が生ずるかもしれない。RFLPは,一般に,SNP多型のサブセットのみを包含する。ASOは,保護された熱変性工程を必要とし,SSCPは,自動化にはあまり適合性がない。高密度オリゴヌクレオチドアレイに対する受動ハイブリダイゼーションは,SNPsの大規模遺伝子型タイピングを成し遂げた。しかし,慣用的なDNAアレイの部位を個々に制御することができず,アレイ全体について同じプロセス工程を実施しなければならない。
【0005】
本発明者らは,マイクロエレクトロニクスと分子生物学技術とを統合することにより,SNP検出の技術を前進させる方法を示す。該方法においては,マイクロチップ上での電界の操作により,指定されたテスト部位におけるDNA分子の迅速な濃縮,ハイブリダイゼーション,および検出が可能である。この新規な方法は,さらに,1塩基対ミスマッチオリゴヌクレオチドを変性するために,テスト部位において極性反転を使用し,ならびに,多様なテスト部位の配置を使用して,目的の遺伝子の迅速なスループットのスクリーニングのための設計の融通性を利用する。
【0006】
発明の概要
本発明は1つのアレルまたは多重アレルの遺伝子複合体および他のSNP含有核酸における一塩基多型(SNPs)の検出において,バイオエレクトロニック・マイクロチップを核酸ハイブリダイゼーションとともに使用することを含む好ましい態様の,多くの観点を提供する。これには,核酸の同じハプロタイプ中の多数の多型部位の存在,マンノース結合蛋白質の複雑な4アレルSNP,Fc−ガンマレセプター,主要組織適合遺伝子複合体,およびインターロイキン1βのSNPタイピングが含まれるが,これらに制限されない。
【0007】
別の態様においては,本発明は,目的とする核酸配列を含む多数の患者サンプルからのSNPsのマルチプレックスアッセイ,例えば,オンデマンド形式で遺伝子のサブセットについて多数のサンプルのSNP遺伝子型を迅速にタイピングする能力を含む。
【0008】
別の態様においては,本発明は,一人の患者のサンプルに由来する異なる遺伝子からの多数のSNPsを同時にスクリーニングする能力を含む。
【0009】
さらに別の態様においては,本発明は,アレル特異的プローブの使用を含み,ここで,多型識別は,多型ヌクレオチドがアレル特異的プローブ中の5’,中心,または3’のいずれに存在するかにかかわらず,同等に良好に得られる。
【0010】
別の態様においては,本発明の方法は,増幅された標的核酸の1つの鎖を標識することを含み,ここで,標識(ビオチンを含有する標識を含むが,これに限定されない)は,増幅反応に用いる増幅プライマー中に組み込んで,前記標的核酸を増幅する。
【0011】
さらに別の態様においては,本発明の方法は,標識した標的増幅産物を電子的にアドレス可能なマイクロチップ上の特定のテスト部位に結合させることを含む。
【0012】
さらに別の態様においては,本発明の方法は,電子的ハイブリダイゼーションおよび電子的ストリンジェンシーの種々の段階を実時間でモニターする能力を含み,このことにより,アッセイの間に確実な制御を提供することができる。
【0013】
別の態様においては,本発明の方法は,負または正であると評点される任意のシグナルが,それぞれ正または負について観察されるMFIの強度に対して統計学的に明らかに下または上であるように,正および負のサンプルの間のシグナルの差異の程度を比較する基準を含む平均蛍光強度/秒(MFI/s)値に基づく,蛍光ハイブリダイゼーションパターン評点法を用いる。また,個々のサンプルに適用したときに,負および正のレポータープローブの結合に起因するシグナルから得られるMFI/sを比較することにより,可変性の評点基準も実施することができる。この場合,サンプル中の特定の標的にハイブリダイズするよう設計された少なくとも2つの異なるレポータープローブを用いてサンプルを試験する。評点から得られる結果はまた,浸透層の性質およびその中の機能性成分の密度(例えばアビジンまたは他の結合成分の濃度)または浸透層の組成(例えばアガロースまたはヒドロゲル)にも依存する。
【0014】
さらに,本発明の方法は,アドレス可能なマイクロチップの,受動アレイ技術より優れた利点をさらに含む。利点としては,以下のものが挙げられる:
【0015】
a.テスト部位を個々に制御することができ,このことにより,試験の直前に試験アレイを注文に応じた配置とすることができる;
b.核酸分子を数秒間の時間で電子的にアドレシング(すなわち輸送),濃縮,およびハイブリダイズすることができる;
c.特定されたテスト部位において電子的ストリンジェンシーを制御することができ,このことにより,同じオープンアレイ・マイクロチップ上で無関係な分子を同時に使用することができる;
d.開示される方法論を,数百のテスト部位を含むアレイについて自動化装填器の使用に適用することができる;および
e.開示される技術を,限定された数の細胞中でのRNAの発現を分析するのに用いることができる。
【0016】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において用いる場合,“平均蛍光強度”(MFI)とは,カメラ積分時間(camera integration time)を1秒として標準化した,目的とする領域全体にわたるピクセル計数値の平均である。値の範囲は,浸透層の構成に従って変化するであろう。
【0017】
本明細書において用いる場合,“蛍光ハイブリダイゼーション評点”とは,ストリンジェンシー後のハイブリダイゼーションパターンの名称であり,ここで評点は,浸透層およびその機能的成分の性質に従って変化するであろう基準に基づく。本発明の1つの態様においては,基準は以下のことを特定する:(1)ミスマッチプローブは10MFI/秒より低い;(2)25MFI/sより低いアレル特異的レポーターは,負であると評点する;そして(3)30MFI/sより高いレポーターは正であると評点する。この評点基準は,電子的ドットブロットアッセイを用いて一塩基多型を同定するために,どのようにシグナルパラメータを用いるかの一例であり,いかなる意味においても本発明を限定することを意図するものではない。正または負の評点の設計におけるMFI/sの大きさは,種々の基準に依存して,検出の異なるレベルについて適切なように適当なレベルに定めることができる。
【0018】
さらに,1つのサンプルについて,多重レポーターハイブリダイゼーションの使用(または内部重複)を設計して,複製または対照サンプルとの比較によらずに,遺伝子型の決定を行うことができる。
【0019】
詳細な態様
本発明は,種々の観点の1つとして,多重アレル遺伝子複合体および他のSNP含有核酸中の一塩基多型(SNPs)を検出する高スループットアッセイを実施する方法を提供する。これには,電子的にアドレス可能なバイオエレクトロニック・マイクロチップを用いる,同じハプロタイプの核酸中の多数の多型部位の存在,マンノース結合蛋白質の複雑な4アレルSNP,Fc−ガンマレセプター,主要組織適合遺伝子複合体,およびインターロイキン1βのSNP−タイピングが含まれるが,これらに限定されない。本明細書において説明するように,マイクロエレクトロニクスと核酸ハイブリダイゼーションとの統合により,SNP配列どうしを迅速かつ正確に識別することができる。実際,本発明の二重蛍光電子的ドットブロットアッセイは,22のブラインドMBP4アレルサンプル,およびDアレルについて増強された13のブラインドサンプルにおけるSNPsの検出に関して,100%の正確性を有することが証明された。この正確性は,新たにミスマッチオリゴヌクレオチドを使用して,電子的マイクロ環境を確認することによって得られ,その結果,ヘテロ接合体配列の正確な識別および個々のサンプル中のSNP配列を確認するcy3およびcy5標識レポーターにより与えられる内部重複が得られる。オンデマンド方式で遺伝子のサブセットについて多数のサンプルを迅速にSNP遺伝子タイピングするこの能力は,現存する方法論よる優れた顕著な利点である。
【0020】
さらに,核酸の移動および濃縮に半導体マイクロエレクトロニクスを使用することは,受動アレイ技術より優れたいくつかの利点を与える。利点としては以下のものが挙げられるが,これらに限定されない:(1)柔軟性,すなわち,オープン・アーキテクチャおよびテスト部位を個々に制御する能力は,試験の直前に各アレイを注文に応じた配置とすることを可能とする;(2)迅速性,すなわち,電子的アドレシングおよび電子的ハイブリダイゼーションにより,DNA分子を数時間ではなく数秒間で輸送,濃縮およびハイブリダイゼーションすることが可能となる;(3)マルチプレックス化,すなわち,電子的ストリンジェンシーを個々のテスト部位において制御する能力により,無関係な分子を同じマイクロチップ上で同時に使用することが可能となる;(4)有効性,すなわち,電子的ハイブリダイゼーションおよび電子的ストリンジェンシーを種々の段階で実時間でモニターする能力は,アッセイの間により確実な制御を提供する;(5)チップ上実験室技術,すなわち,エレクトロニクスの適用は,細胞をマイクロチップ上で直接濃縮,破壊し,核酸を濃縮/増幅する手段として誘電電気泳動(dielectrophoresis)を用いることにより,自動化して,時間を消費する重要な工程を排除する手段を提供することができる;(6)自動化,すなわち,100パッドおよび400パッド半導体チップ用の自動装填器を用いて,高スループットのパラメータを達成することができる;および(7)遺伝子発現,すなわち,本明細書に記載される技術は,少数の細胞からのRNAの発現の分析に適用することができる。
【0021】
実施例1 MBPアレル検出
ヒトマンノース結合蛋白質(MBPまたはMBL2)は,先天的免疫系の重要な成分であり,病原性微生物にオプソニンを作用させることができる。MBPは,まだ多くの病原体に対する免疫を発達させていない子供においては特に重要である。MBPのいくつかのありふれた変種型のいずれかの遺伝により,免疫抑制の期間の間に増強されうる潜行性免疫的欠陥が生じる。MBP遺伝子の4つの別々のアレルが同定されている。この配列は,MBPが臨床的に意味がある可能性があり,遺伝的に複雑であるため,本発明の方法による分析の適切な標的である。
【0022】
本発明の方法は,Nanogen,Inc.,(San Diego,CA)により製造された電子的にアドレス可能なマイクロチップを使用する。マイクロチップは,酸化シリコンウエハー上で標準的加工技術を用いて加工された。高周波スパッタリング方法を用いて,20nmのチタンおよび100nmの白金でウエハーを金属被覆した。標準的写真平板技術を用いて金属層をパターン形成しエッチングして電極アレイを形成した。次に,プラズマ増強化学蒸着により,ウエハー全体に酸化シリコン絶縁層を蒸着した。露出する電極直径は80μmであり,中心間距離は200μmである。ウエハーをホトレジストで被覆し,1cm平方のチップに切断した。現在の例では,1cm平方のチップは,5x5のアレイに配置された25個の微少電極を含む(図1)。各電極もしくはテスト部位は,分子をテスト部位へまたはテスト部位から移動させ濃縮するために,個々に正に,負に,または中性に帯電させることができる。
【0023】
ストレプトアビジンを含有するアガロース浸透層を用いて,電極を含有するチップ表面をコーティングし,このことにより,サンプルの生物学的材料を電極近くの苛酷な電気化学的環境から分離することができ,さらに,サンプルのビオチン化核酸を電極の上方のチップ表面に結合させることができる。
【0024】
グリオキサールアガロース(FMC Bioproducts,Rockland ME)をストレプトアビジン(5mg/ml,Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)と組み合わせて2%アガロースおよび1mg/mlストレプトアビジン混合物とし,これを用いて浸透層コーティングを塗布した。チップをストレプトアビジン−アガロース溶液でスピンコートし,シッフ塩基結合を0.2Mシアノホウ水素化ナトリウム/0.3Mホウ酸ナトリウム,pH9.0で60分間還元する。
【0025】
問題とするMBP遺伝子中の多重SNPは,遺伝子の17塩基対の領域中で生ずる。MBP遺伝子の野生型配列はアレルAと定義され,SNPアレル型は,アレルB,C,およびDと定義される。図3に示されるように,この多型領域を包含する123塩基のフラグメントは,患者のゲノム核酸サンプルから増幅して,本発明の方法において用いることができる。図2は,本発明の方法のアッセイ工程の1つの態様を示す。
【0026】
MBP遺伝子(Genbank HSMBP1A−X15954)を増幅するためのプライマーは,センス鎖プライマーがヌクレオチド配列:5’−TGATTGCCTGTAGCTCTCCAGGCAT−3’(SEQ ID No:2)からなり,逆プライマーがヌクレオチド配列:ビオチン−5’−GGTAAAGAATTGCAGAGAGACGAACAGC−3’(SEQ ID No:3)(すなわち,逆プライマーの5’末端はビオチン化されている)からなるように設計した。
【0027】
この実施例の方法においては,患者のゲノムDNAサンプルからPCRにより123塩基のフラグメントを増幅し,ここで,反応混合物は,100μl反応液中,2−4μlのDNA,1xPCR緩衝液II(Perkin−Elmer,Branchburg,NJ),1.5mM MgCl2,200μM dNTPs,20μMの各プライマー,2.0UのAmpli Taq Gold(Perkin−Elmer),および280nMのTaq Start Antibody(Clontech,Palo Alto,CA)を含有していた。反応混合物は,9700 サーもサイクラー(Perkin−Elmer)中で,95°Cで10分間,(1サイクル),95°Cで30秒間,58°Cで60秒間,および72°Cで120秒間を35サイクル,続いて72°Cで12分間インキュベートするサイクルに供した。各DNAサンプルは,Qiagenカラム(Valencia,CA)により精製し,水中に再懸濁し,DNA質量ラダーコントロール(Gibco BRL,Gathersburg,MD)を用いて,ゲル電気泳動により定量した。DNAサンプルは,100mMヒスチジン(Sigma,St.Louis,MO)中に濃度2.5−10nMで再懸濁した。
【 0028】
サンプル(容量約40−400μl)を95°Cで2−10分間熱変性し,氷上で急冷した。35μlのサンプルをマイクロチップに適用し,正のバイアス直流を用いて,4つの正に荷電したテスト部位のカラムに,400nA/テスト部位,120秒間で,電子的に移動(アドレス)させた。ヒスチジン緩衝液で洗浄することにより,結合していないDNAを除去した。この工程を,各サンプルについて繰り返した。完全にアドレシングされたアレイを処理する随意の方法は,0.5XSSC,pH11.5で5分間,続いて水およびヒスチジンによる十分な洗浄であり,より高いハイブリダイゼーションシグナルが得られる。アドレシングされたアンプリコンは,あらかじめ浸透層に埋め込まれたストレプトアビジンとの相互作用により,それぞれのテスト部位に結合したままであった。
【0029】
次に,各テスト部位の核酸を,蛍光標識したアレル特異的レポーターオリゴヌクレオチドプローブの混合物に,電子的ハイブリダイゼーションによりハイブリダイズさせた。レポータープローブ(表1を参照)は,5’末端に結合したcy3またはcy5蛍光団(Bio Serve Biotechnologies,Laurel,MD)のいずれかを用いて合成した。電子的ハイブリダイゼーションは,野生型およびSNPのcy3およびcy5レポーター基が,100mMヒスチジン緩衝液中でそれぞれ75−125nMの範囲で再懸濁されるように,実施した。各アレル群の2つのcy3標識ミスマッチレポーターを37.5nMで同等に混合し,緩衝液中で合わせて75nMとした。各レポーター基(20−35μl)をマイクロチップに適用し,捕獲されたアンプリコンの列に475nA/テスト部位で15秒間ハイブリダイズさせた。100mMヒスチジンで洗浄することにより,過剰のレポーターを除去した。第2,第3および第4のレポーター基を同じ列方式で適用した。ハイブリダイゼーションの後,チップを20mM NaH2PO4,20mMトリス塩基,pH9.5(20/20緩衝液)で電子的ストリンジェンシーのために洗浄した。
【0030】
次に,1塩基対ミスマッチレポータープローブを,個々のテスト部位においてアンペア数を増加させ荷電極性を逆転させることにより,選択的に変性した(電子的ストリンジェンシー)。0.5μA/テスト部位の0.1秒間オン,0.2秒間オフのパルス電流を150サイクル(または0.1秒間オン,0.1秒間オフ,50サイクル)を各テスト部位に印加した。チップを20/20緩衝液中で洗浄して,変性したレポーターを除去し,IPLabソフトウエアで画像化した。アンペア数を完了まで上げて,画像および蛍光を定量した。詳細には,0.6μA/テスト部位,0.7μA/テスト部位,0.8μA/テスト部位,0.9μA/テスト部位,および1.0μA/テスト部位の電流を用いた。TPMTのコドン460多型にまたがるビオチン化アンプリコンを非特異的バックグラウンド対照として用いた。各画像は,MFI/sに対して標準化し,最終的な定量のためには,各MBPテスト部位から非特異的計数を減じた。正のテスト部位は,ミスマッチ対照より高い顕著なシグナルを維持した。
【0031】
この実施例に示される本発明の方法は,マイクロマニュピレータ6000(Micromanipulator Company,CarsonCity,NV)上に装着されたエポキシリングプローブカード(Cerprobe,Phoenix,AZ)によりマイクロチップへの電子的接続が形成される器機を用いた。電源(Keithley 236;Keithley Instruments,Cleveland,OH)は,その末端とリレーのアレイとの間に固定電位差または固定電流のいずれかを与えた(National Instruments,Austin,TX)。コンピュータハードウエア(Macintosh Power PC,Apple Computer,Cupertino,CA)およびIPLab Spectrum バージョン3.1.1ソフトウエア(Signal Analytics Corporation,Vienna,VA)により,個々のアレイ位置におけるグラフィックユーザーメニュー制御が可能となった。レーザー励起は,HeNe 633nmレーザー(8m Woutput;Research Electro−Optics,Boulder,CO)および周波数2倍化ダイオードポンプ固相レーザー(5mW出力;Laser Compact,Moscow)により,532nmで行った。蛍光は,575nm(cy3について)または670nm(cy5について)の帯フィルターを備えた8x対物レンズ(口径数0.15)により観察した(Chroma Tech,Brattleboro,VT)。蛍光シグナルをスキャンし,電荷結合素子カメラにより集めた(Princeton Instruments,Trenton,NJ)。スキャンした画像は,IPLab Spectrumソフトウエアにより定量した。
【0032】
表1に示されるように,野生型,特にSNPアレル配列に特異的なまたは野生型およびSNPのミスマッチのレポータープローブを合成した。野生型およびSNPレポーターは,cy3(1,1’−ビス(ε−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン−5,5’−ジスルホネートカリウム塩ジ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)およびcy5(1,1’−ビス(ε−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3’−テトラメチルインドジカルボシアニン−5,5’−ジスルホネートカリウム塩ジ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)の両方で標識した。cy3で標識した野生型プローブは,cy5で標識した野生型プローブと別に保存した。SNPプローブは同様に処理した。ただし,野生型およびSNP標識レポーターを組み合わせて2種類のプローブ混合物とした。詳細には,これらの混合物もしくは群は,(1)野生型−cy3/SNP−cy5,および(2)野生型−cy5/SNP−cy3であった。異なるように標識したプローブを混合することにより,各テスト部位においてこれらを増幅した患者DNAサンプルに同時にハイブリダイゼーションし,それぞれのハイブリダイゼーション事象を二重に記録することができる。各SNPアレルについて,野生型およびSNPの両方の異なるミスマッチを取り込んだ2つの追加のレポーター・オリゴヌクレオチドプローブを作成した。これらはcy3でのみ標識した。この実験においては,実験の都合により任意にCy3を選択した。しかし,アレルを区別する目的のために,どのような標識を結合させてもよい。これらのミスマッチプローブも,組み合わせて,cy5で標識した真の野生型またはSNPプローブのいずれかを有する同じモル濃度の2つの群とした((1)野生型−cy5/ミスマッチ−cy3および(2)SNP−cy5/ミスマッチ−cy3)。これらの追加のレポーター対により,野生型およびSNP配列の両方が同じサンプル中に存在する場合であっても(ヘテロ接合体),マッチしたプローブ配列とミスマッチのプローブ配列との間の相互作用を比較することができる。
【0033】
【表1】
これらのアッセイ条件を用いて,標準的配列決定技術によりあらかじめ決定された既知のMBP配列のゲノムDNAサンプルについて,ブラインド実験を行った。試験したサンプルのうち,1つの組は,4つの別々のアレルについてホモ接合体またはヘテロ接合体のいずれかであると同定されており,これを対照とした。残りのサンプル(22サンプル)の遺伝子型は未知であった。これらの22のサンプルを本発明の方法においてブラインドで試験した。さらに,第2の組の13のブラインドサンプルをDアレル部位の存在について試験した。
【0034】
各ブラインドアンプリコンを4つのテスト部位のカラムに電子的にアドレシングした。すなわち,25−部位マイクロチップアレイを,4つの異なる患者サンプルおよび非特異的対照アンプリコンに適合させることができる。サンプルの各列を4つのプローブミックスの1つとハイブリダイズさせた(すなわち,(1)Acy3/Bcy5,(2)ミスマッチ−cy3/Acy5,(3)ミスマッチ−cy3/Bcy5,および(4)Bcy3/Acy5のレポーター基))。各レポーター基は,一塩基ミスマッチで異なるcy3標識およびcy5標識SNPアレル特異的オリゴヌクレオチド対からなるものであった。上述したMBPのAまたはBアレルに特異的な4つのcy3/cy5標識レポーター基とハイブリダイゼーションした後の,4つのブラインドサンプル(NC47,NC48,NC49,およびNC50)を含有する代表的なマイクロチップの画像が図4A−Dに示される。ミスマッチ対照(ミスマッチ−cy3)がバックグラウンドのレベルまで除去されるまで,電子的ストリンジェンシーを適用した(図4C)。
【0035】
3つの可能な遺伝子型(A/A,A/B,およびB/B)を表す明確な蛍光パターンが図4A−Dに描かれている。サンプルNC47(カラム1)の分析は,cy3画像(図4C)中で第4のレポーター基(第4列)で,およびcy5画像(図4D)中で第1(第1列)および第3(第3列)のレポーター基で,別々のシグナルを示した。全体として,シグナルは,Bアレル特異的プローブ(真のマッチを表す)を含有するレポーター基のハイブリダイゼーションと一致した。電子的ストリンジェンシーは,Aアレル特異的プローブからのシグナルをバックグラウンドまで減少させた。
【0036】
ブラインドサンプルNC48(図4C,カラム2)は,第1のレポーター基で(第1列)cy3シグナルを,第2および第4のレポーター基で(第2列および第4列)cy5シグナルを示した(図4D)。各シグナルは,Aアレル特異的レポーターのハイブリダイゼーションと相関していた。同様に,サンプルNC49を含有するカラム(カラム4)は,cy3画像(図4C,第1列)およびcy5画像(図4D,第2列および第4列)において,Aアレル特異的レポーターでシグナルを示した。図4Cの第2列および第3列の各テスト部位から放出される蛍光は,バックグラウンドの強度まで減少していることに注目されたい。これらのテスト部位を,AおよびBアレル配列に関してミスマッチであることが知られているミスマッチ−cy3標識レポーターとハイブリダイズさせた。ミスマッチのシグナルがないことにより,SNP識別について適当なレベルの電子的ストリンジェンシーが得られたこと,および残存するレポーターシグナルが完全なマッチを構成することが確認された。
【0037】
各パネル(図4)におけるブラインドサンプルNC50(カラム5)の評価は,cy3画像(図4C,列1および4)およびcy5画像(図4D,列1−4)において,AおよびBアレル特異的結合の両方を示した。ミスマッチcy3レポーターとハイブリダイズしたテスト部位にシグナルがないことから(図4C,列2−3),電子的ストリンジェンシーの完了が確認され,NC50アンプリコン中にAおよびBアレル配列の両方が存在することが同定された。
【0038】
上述の画像を各サンプルから放出された蛍光の定量についてさらに識別した。電子的ハイブリダイゼーション後,MBPレポーターの非特異的アンプリコン(NS)への結合は,全cy5蛍光強度の約4%であり,ストリンジェンシーの前のcy3標識レポーターの2倍から4倍高かった。NC49は,Aアレルレポーター間の平均強度でBアレルおよびミスマッチレポーターより10倍より高い識別を示した(図5Aおよび5B)。すなわち,NC49は,B部位について,A/Aホモ接合体であると評点された。同様に,サンプルNC48は,B部位に関してA/Aホモ接合体であると同定された(データ示さず)。
【0039】
A/Bであると評点されたブラインドサンプルNC50の定量化(図6Aおよび6B)は,AおよびBアレル特異的cy3レポーターおよびcy5−標識レポーターの両方について,捕獲されたアンプリコンに顕著なシグナルが結合したまま残ることを示した(約70MFI/s)。すなわち,NC50アンプリコンは,B部位に関して,A/Bヘテロ接合体であると評点された。
【0040】
NC47サンプル蛍光を定量した(図7Aおよび7B)。これは,ミスマッチおよびAアレルレポーターがバックグラウンド強度まで減少したことを示す。それにもかかわらず,Bアレルレポーターでは,100MFI/sより高いシグナルが維持された。同様に,cy5画像(図7B)の分析から,Aアレルシグナルの減少(すなわち,25MFI/sより低い)およびBアレルシグナルの確かな保持(すなわち,100MFI/sより高い)が明らかとなった。すなわち,NC47は,B/Bホモ接合体であると評点された。
【0041】
SNPアレルに関してA/Aであると評点された患者からの異なるブラインドサンプルの分析(サンプル数=18)は,A−cy3レポーターのA/Aサンプルへの結合が,ミスマッチcy3レポーターと比較して100倍高く,BまたはCアレルcy3標識SNPレポーターの結合より26倍高いことを示した(プローブ:平均±平均の標準誤差(SEM);A−cy3:200±36.2MFI/s,SNP−cy3:7.6±1.8MFI/s,ミスマッチ−cy3:1.9±0.3MFI/s)。逆に,ヘテロ接合体と評点された7つの異なるブラインドサンプルの分析は,cy3標識AアレルおよびSNPプローブの両方ともほぼ等しい強度でサンプルに結合し,ミスマッチプローブは20倍低い強度で結合することを示した(プローブ:平均±SEM;A−cy3:188.3±44.4MFI/s,SNP−cy3:150.1±42.3MFI/s,ミスマッチ−cy3:7±2.2MFI/s)。マッチの対とミスマッチの対の同等の比率をcy5標識プローブについて記録した(データ示さず)。
【0042】
22のブラインドサンプルの各々を,BおよびCアレル位置で評点した。各位置のヌクレオチド配列およびA,B,およびC遺伝子型を,標準的な配列決定の結果と比較した(表2を参照)。表に示されるように,マイクロチップアッセイは,BおよびC部位における44のSNP評点のうち44で(22のA/B判定および22のA/C判定)配列決定の結果と一致した。これまでのところ,同じハプロタイプ中でBおよびCアレル配列が生じることは記載されていない。B/B遺伝子型については,ストリンジェンシーの後に,完全にマッチしたBおよびCアレルプローブのみが結合したまま残る。したがって,混成のヘテロ接合体を決定する前に,これらをBおよびCレポーターの両方について評点しなければならなかった。多数の可変部位にまたがるプローブは遺伝子型を正確に区別することができるであろうが,同じハプロタイプ中に多重の多型部位が存在することは,このようにして実施される識別を混乱させるであろう。そのような場合,各多型部位について別々のプローブ(10−24ヌクレオチド)の組が有利であろう。本明細書において示されるように,多型ヌクレオチドがアレル特異的プローブ中の5’,中心,または3’のいずれに存在しているかにかかわらず,多型識別は同等に良好に得られた。
【0043】
次に,この22のサンプルを,再びブラインド化し,Dアレルの存在について評点した(表2)。本発明の電子的アッセイは,22のサンプル中に存在するDアレルサンプル(NC52−A/D)のみを正確に同定した。Dアレルの出現頻度は低く,SNP識別アッセイの有効性は低頻度のアレルを同定するその能力であるため,第2の組の13のブラインドサンプル(Dアレル系の確認のために重み付けされている,サンプルLM1,LM10,LM11,LM18,LM20,LM27,LM29,LM30,LM31,およびLM32)を,Dアレルレポータープローブを用いる電子的アッセイにより試験した。Dアレルについての両方の群のサンプル(サンプル数=35)の電子的アッセイでの評点は,配列決定の結果と100%一致した。13のブラインドサンプルの10個からのマイクロチップ画像が図8Aおよび8Bに示される。
【0044】
【表2】
実施例2 インターロイキン1βの検出
SNPを検出する本発明の適用可能性を,二アレル性インターロイキン1β(IL−1β)多型についてさらに説明する。IL−1β配列は,Genbank(XO4500)から入手し,これは5888位にCからTへのSNP転移を含む。PCR増幅において用いるプライマー配列は,センス鎖ヌクレオチド配列,5’−AAATTTTGCCACCTCGCCTCACG−3’(SEQ ID No:16)および逆鎖ヌクレオチド配列,ビオチン−5’−AGTCCCGGAGCGTGCAGTTCAGT−3’(SEQ ID No:17)(すなわち,逆鎖はビオチン化されている)を含有していた。
【0045】
この実施例においては,上述したように,野生型(C)およびSNP変種(T)アレルを同定するために,cy3およびcy5標識レポーター基を設計した(合成はBioserve,Laurel,MDによる)(表3を参照)。電子的ストリンジェンシーの増加の後の蛍光の消失は,既知のホモ接合体T/Tビオチン化アンプリコンを含むテスト部位からの非−C/非−Tミスマッチ(mis−cy3)レポーターの変性を示す(図9−10)。同様に,cy3およびcy5Cアレルレポーターは,T/Tアンプリコンに対するストリンジェントなハイブリダイゼーションの証拠を示さなかった。これに対し,cy3標識Tアレルレポーター(図9A)およびcy5標識レポーター(図10A)とのハイブリダイゼーションから100MFI/sより大きい,区別しうるシグナルが放出された。すなわち,配列決定技術によりT/Tホモ接合体であることが知られているアンプリコンは,電子的フォーマットにより同様にT/Tホモ接合体であると評点された。一般に,cy3およびcy5レポーターの両方について,電子的ストリンジェンシーの間の全体的シグナル強度の漸次的減少が観察された(データ示さず)。
【0046】
実施例5に示されるように,実験は,MBP,IL−1β,およびTNFαのマルチプレックスサンプルからSNP識別が得られたことを示す。ここでは,マイクロチップを電子的に剥離し,二重鎖中の第2の遺伝子の遺伝子型タイピングのために再プローブする。
【0047】
【表3】
実施例3 リンホトキシン遺伝子検出
リンホトキシン遺伝子を用いて観察されたSNPの検出により,本発明をさらに説明する。リンホトキシン配列は,Genbank(M16441)から入手し,これは1069位においてAからGへのSNP転移を有していた。PCR増幅において用いたプライマー配列は,センス鎖ヌクレオチド配列,5’−CTTCTCTGTCTCTGACTCTCCATC−3’(SEQ ID No:22)および逆鎖ヌクレオチド配列,ビオチン−5’−CAAGGTGAGCAGAGGGAGAC−3’(SEQ ID No:23)(すなわち逆鎖はビオチン化されている)からなる。
【0048】
この実施例においては,リンホトキシン遺伝子中の1069位にAまたはGの一塩基多型を含む遺伝的変異を同定するために,cy3およびcy5レポーター基を設計した(レポーターオリゴヌクレオチドの合成はBioserve,Laurel,MDによる)(表4を参照)。電子的ストリンジェンシーの増加後の蛍光の消失,サンプルNC50については既知のホモ接合体A/Aビオチン化アンプリコンを,およびサンプルNC43については既知のホモ接合体G/Gビオチン化アンプリコンを含むテスト部位からの,非−A/非−Gミスマッチ(mis−cy3)のレポーターの変性を表す(図11AおよびB)。したがって,配列決定技術によりそれぞれA/AおよびG/Gホモ接合体であることが知られているサンプルNC50およびNC43からのアンプリコンは,電子的フォーマットにより,同様に,それぞれA/AおよびG/Gホモ接合体であると評点された。
【0049】
【表4】
実施例4 腫瘍壊死因子検出
SNPを検出する本発明の応用を示すさらに別の例は,腫瘍壊死因子遺伝子のプロモーター中で観察された。腫瘍壊死因子ゲノムDNA配列は,Genbank(X02910)から入手し,これは308位においてGからAへのSNP転移を有していた。PCR増幅において用いたプライマー配列は,センス鎖ヌクレオチド配列,5’−GTTAGAAGGAAACAGACCACAGACC−3’(SEQ ID No:28)および逆鎖ヌクレオチド配列,ビオチン−5’−TCCTCCCTGCTCCGATTCC−3’(SEQ ID No:29)(すなわち,逆鎖はビオチン化されている)を含有した。
【0050】
この実施例においては,腫瘍壊死遺伝子のプロモーター中にGまたはAの一塩基多型を含む遺伝的変種を同定するために,cy3およびcy5レポーター基を設計した(レポーターオリゴヌクレオチド合成はBioserve,Laurel,MDによる)(表5を参照)。本発明の改良された形態においては,2つのレポーター基のみを用いてGまたはAのいずれかのアレルを検出する。電子的ストリンジェンシーをサンプルNC39およびNC40ならびに非特異的アンプリコンであるTPMTからのアンプリコンを含むテスト部位に適用した。電子的ストリンジェンシーは,サンプルNC39については,DNA配列決定により決定された既知のA/Gヘテロ接合体がA/Gヘテロ接合体であることを明らかにした。さらに,サンプルNC40については,DNA配列決定により決定された既知のG/Gホモ接合体がG/Gホモ接合体であることが同定された(図12A)。評点の目的で,残りの電子的にハイブリダイズしたレポーターシグナルを最大MFI/secについて標準化し,結果を非特異的対照TPMTについてのものと比較した。この実施例は,SNPの同定における本発明の適用のみならず,特定の接合体の特徴を同定するのに必要なレポーターシグナルの数を減少させるスクリーニング方法論をも示す。
【0051】
【表5】
実施例5 マルチプレックス分析
実験はまた,TNFa,MBP,およびIL−1bマルチプレックス化サンプルからのSNP識別を示す。ここでは,マイクロチップを電子的に剥離し,三重鎖中の次の遺伝子の遺伝子型タイピングのために再プローブした。3つのアンプリコン,すなわち,MBPA/Aホモ接合体(M),IL−1T/Tホモ接合体(I),およびTNFG/Gホモ接合体(T)を別々に25パッドの溶液プロセスチップ上の1:1:1三重鎖混合物(T+M+I)として捕獲負荷した(図13A)。TNFα特異的Cy3/Cy5標識レポーター基でチップを二重にハイブリダイズさせた(13B)。アレル特異的多型は,増加する電子的ストリンジェンシーを適用することにより得た(13CおよびD)。マルチプレックス中のTNFの遺伝子型を得た後,高温で(42°C),0.5xSSC,pH11.5中で2分間洗浄することにより,電子的ストリンジェンシーを適用し,チップを標識レポーターから剥離した。次に,剥離したチップをヒスチジン中でよく洗浄し,ベースライン画像を得た(13E)。次にチップをMBPアレル特異的Cy3/Cy5レポーターセットと再ハイブリダイズさせ(13F),電子的ストリンジェンシーの適用により遺伝子型を得た(13GおよびH)。遺伝子型を決定したチップを電子的に剥離し(再び),ベースライン画像を得て(13I),IL−1アレル特異的レポーターグループをマルチプレックスにハイブリダイズさせた(13J)。電子的ストリンジェンシーにより遺伝子型が得られた(13KおよびL)。これらの結果は,電子的ドットブロットアッセイのスループットパラメータが,1つの捕獲負荷事象を必要とするパッド上の多数の遺伝子を遺伝子型タイピングする能力により増加するかもしれないことを示す。
【0052】
上述するように,サンプルのマルチプレックス化はいくつかの方法により行うことができる。1つのフォーマットにおいては,一人の患者サンプルから得ることができる多重標的を1つのオープンアレイマイクロチップ上で試験することができる。さらに,各標的を,マイクロチップ上の別々の位置に,または同じ捕獲パッド上に捕獲することができる。マルチプレックス化はまた,1つのマイクロチップアレイ上の多数の患者サンプルにも適合する。この場合,各患者の個々の標的種を,別々の捕獲部位,または各患者について部位の群または1つの部位のいずれかで,分析のために捕獲することができる。
【0053】
上述は,本発明の態様を例示することを意図しており,いかなる意味においても本発明を限定することを意図するものではない。本発明を特定の改変に関して記述してきたが,その詳細は限定であると解釈すべきではない。本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の等価物,変更および改変が可能であることが明らかであろう。そのような等価の態様も本発明に含まれることが理解されるべきである。すべての刊行物および特許出願は,それぞれの個々の刊行物または出願が特異的にかつ個々に本明細書の一部としてここに引用されていることと同じ程度に,本明細書の一部としてここに引用されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,1つのマイクロ電子的アレイ設計フォーマットの顕微鏡写真である。
【図2】図2は,電子的ドットブロットアッセイのスキームである。
【図3】図3は,野生型ヒトマンノース結合蛋白質(MBP)のセンス鎖の,ヌクレオチド1001から1158までのDNA配列(SEQ ID No:1)を示し,これはアレルAと表示される。アレルB,C,およびDのSNP塩基および位置が示される。図はまた,正(MBLF)および逆(R−1120)増幅プライマーの位置を示す(矢印)。各レポータープローブは,cy3またはcy5のいずれかで標識して合成した。
【図4】図4A,4B,4Cおよび4Dは,マイクロチップ上のSNP検出の結果の顕微鏡写真である。ここでは,4つの捕獲部位の各列に,4つのブラインド増幅MBPサンプル(NC47,NC48,NC49,またはNC50)の1つを負荷した。真中の第5の列には,非特異的(NS)チオプリン S−メチルトランスフェラーゼ(TPMT)アンプリコンを負荷した。図は,電子的ストリンジェンシーの前(図4Aおよび4B)および後(図4Cおよび4D)に,cy3またはcy5のいずれかで標識したアレル特異的レポータープローブのハイブリダイゼーションを示す。図4Aおよび4Cではcy3蛍光を検出したのに対し,図4Bおよび4Dではcy5蛍光を検出した。
【図5】図5Aおよび5Bは,図4のcy3画像(図5A)およびcy5画像(図5B)について,サンプルNC49から放出された蛍光の定量を示すグラフである。サンプルNC49は,A/Aホモ接合体であると同定された。
【図6】図6Aおよび6Bは,図4のcy3画像(図6A)およびcy5画像(図6B)について,サンプルNC50から放出された蛍光の定量を示すグラフである。サンプルNC50は,A/Bヘテロ接合体であると同定された。
【図7】図7Aおよび7Bは,図4のcy3画像(図7A)およびcy5画像(図7B)について,サンプルNC47から放出された蛍光の定量を示すグラフである。サンプルNC47は,B/Bホモ接合体であると同定された。
【図8】図8Aおよび8Bは,AおよびDMBPアレルを含有するサンプルについての,マイクロチップ上でのcy5検出結果を示す顕微鏡写真である。サンプルLM18はD/Dホモ接合体である。サンプルLM27はA/Dヘテロ接合体である。示される残りのサンプルはA/Aホモ接合体である。
【図9】図9Aは,電子的ストリンジェンシーのアンペア数の増加に対する,アレルC,アレルT,およびミスマッチレポーター基とハイブリダイズしたIL−1βT/Tアンプリコンの,cy3標識の検出による定量を示すグラフである。図9Bは,図9Aに示される最後のストリンジェンシーについての検出結果を示す顕微鏡写真である。
【図10】図10Aは,電子的ストリンジェンシーのアンペア数の増加に対する,アレルCおよびアレルT基とハイブリダイズしたIL−1βT/Tアンプリコンのcy5標識の検出による定量を示すグラフである。図10Bは,図10Aに示される最後のストリンジェンシーについての検出結果を示す顕微鏡写真である。
【図11】図11AおよびBは,それぞれリンホトキシン遺伝子のA/AおよびG/Gホモ接合体を有するプローブの正および負のシグナルを示す棒グラフである。
【図12】図12AおよびBは,腫瘍壊死因子α遺伝子中の標的を有するプローブの正,負および対照シグナルを示す棒グラフである
【図13】図13A−Lは,マルチプレックス分析に関する本発明を説明するマイクロアレイの一連の写真を示す。
Claims (9)
- 複数のテスト部位を有する電子的にアドレス可能なマイクロチップを用いて一塩基多型を検出する方法であって,
i.少なくとも1つのSNPを含む,目的とする少なくとも1つの標的核酸を含む少なくとも1つのサンプルを提供し;
ii.任意に,前記標的を増幅反応に供して増幅生成物を形成し;
iii.前記標的または前記増幅生成物を前記マイクロチップ上の特定されたテスト部位に電子的にアドレシングし;
iv.前記標的または前記増幅生成物を前記テスト部位上に捕獲し;
v.SNP特異的プローブを提供し,前記プローブを前記標的または前記増幅生成物に電子的にハイブリダイズさせてハイブリダイズした複合体を形成し;
vi.前記ハイブリダイズした複合体に電子的ストリンジェンシーを実施して,前記標的または増幅生成物と前記プローブとの間に少なくとも1つのミスマッチを含むハイブリダイゼーション複合体を不安定化させ;そして
vii.(vi)の電子的ストリンジェンシーの後に安定に残るハイブリダイゼーション複合体を検出する,
の各工程を含む方法。 - 前記サンプルが,(1)マンノース結合蛋白質,(2)Fc−ガンマレセプター,(3)主要組織適合遺伝子複合体,(4)インターロイキン1β,(5)リンホトキシン,および(6)腫瘍壊死因子αをコードする核酸からなる群より選択される,目的とする標的核酸を含む,請求項1記載の方法。
- 一塩基多型の前記検出が,目的とする核酸配列を含む多数の患者サンプルからのSNPのマルチプレックスアッセイによるものである,請求項1記載の方法。
- 前記患者サンプルが,互いに連続的な関係で提供される,請求項3記載の方法。
- 一塩基多型の前記検出が,1つの患者サンプルに由来する異なる遺伝子からの多数のSNPを同時にスクリーニングする能力を含む,請求項1記載の方法。
- 前記電子的アドレシングおよび/または前記電子的ストリンジェンシーが,種々の段階の電子的ハイブリダイゼーションおよび電子的ストリンジェンシーを実時間でモニターする能力を含み,このことによりアッセイの間に確実な制御を提供することを特徴とする,請求項1記載の方法。
- 前記SNPが,目的とする標的核酸の多重アレル遺伝子複合体に由来する,請求項1記載の方法。
- 各患者サンプルについて複数のテスト部位を有する電子的にアドレス可能なマイクロチップの1つの捕獲部位を用いて,少なくとも1つの患者サンプル起源からの,目的とする標的核酸中の多数の一塩基多型を検出する方法であって,
i.目的とする前記標的核酸のそれぞれの中に少なくとも1つのSNPを含む少なくとも1つのサンプルを提供し;
ii.任意に前記標的核酸を増幅反応に供して増幅生成物を形成し;
iii.前記標的核酸または前記増幅生成物を前記マイクロチップ上の特定されたテスト部位に電子的にアドレシングし;
iv.前記標的核酸または前記増幅生成物を少なくとも1つのテスト部位上に捕獲し;
v.SNP特異的プローブを提供し,前記プローブを前記標的核酸または前記増幅生成物に電子的にハイブリダイズさせてハイブリダイズした複合体を形成し;
vi.前記ハイブリダイズした複合体上で電子的ストリンジェンシーを実施して,前記標的核酸または増幅生成物と前記プローブとの間に少なくとも1つのミスマッチを含むハイブリダイゼーション複合体を不安定化し;そして
vii.(vi)の電子的ストリンジェンシーの後に安定に残るハイブリダイゼーション複合体を検出する,
の各工程を含む方法。 - それぞれの患者サンプルについて,複数のテスト部位を有する電子的にアドレス可能なマイクロチップの少なくとも1つの捕獲部位で,多数の患者サンプル源の標的核酸中の一塩基多型を検出する方法であって,
i.目的とする前記標的核酸のそれぞれの中に少なくとも1つのSNPを含む前記サンプルを提供し;
ii.任意に,前記標的核酸を増幅反応に供して増幅生成物を形成し;
iii.前記標的核酸または前記増幅生成物を前記マイクロチップ上の特定されたテスト部位に電子的にアドレシングし;
iv.前記標的核酸または前記増幅生成物を少なくとも1つのテスト部位上に捕獲し;
v.SNP特異的プローブを提供し,前記プローブを前記標的核酸または前記増幅生成物に電子的にハイブリダイズさせてハイブリダイズした複合体を形成し;
vi.前記ハイブリダイズした複合体上で電子的ストリンジェンシーを実施して前記標的核酸または増幅生成物と前記プローブとの間に少なくとも1つのミスマッチを含むハイブリダイゼーション複合体を不安定化し;そして
vii.(vi)の電子的ストリンジェンシーの後に安定に残るハイブリダイゼーション複合体を検出する,
の各工程を含む方法。
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